1: 2010/07/18(日) 20:31:36.22
澪「だから、唯の想いには応えられないんだ」

唯「……そっか、ざ、残念だなー」

澪「唯は本当に仲の良い友達だと思ってるんだけど……」

唯「い、いいんだよ! 澪ちゃんなら憂を任せられるよ!」

澪「本当か!」

唯「え? ……あ、うん」

澪「そっかそっか……って、あ、ごめん」

唯「い、いいんだ、じゃ、じゃあ、またあしたね!」

澪「う、うん……」

3: 2010/07/18(日) 20:35:36.23
 平沢唯です。
 今日生まれて初めての愛の告白というのをしたんですが見事にふられてしまいました。
 でも、澪ちゃんは友達だと言ってくれたので、まだ望みはあると思います。
 高校生活はまだ長いですから!

 でも、今日の帰り道くらいではちょっとくらい泣いてもいいよね?
 あ、でも、憂にバレないようにしないと。
 私の妹は優しいからきっといろいろ効いてくるに決まってる。
 そんな事になったら澪ちゃんの評価を下げちゃうかも知れない。
 
 うん、そうだ。
 涙はそっと胸の奥に隠して、
 いつもの通りの笑顔でいないとね!

梓「あれ、唯先輩?」

 こういう時に限って人に会ってしまう。
 別にあずにゃんに会いたいわけじゃなくて、今きっと口を開いたら涙声になってしまいそうだから。

梓「忘れ物でも取りに来たんですか?」

唯「そ、そう! そうなんだよぉ、私うっかりさんだからねえー」

梓「唯先輩らしいですね」

4: 2010/07/18(日) 20:39:24.42
 夕日が差し込む廊下で苦笑いを浮かべる。
 上手に笑えているかどうかは分からないけど、
 泣き顔よりはきっと数倍マシだろうから。

梓「もう、忘れ物はいいんですか?」

唯「あずにゃんこそぉー、何を忘れたのかなー?」

梓「え? ああ、別に私は忘れ物を取りに来たわけじゃないですよ」

唯「へ?」

梓「唯先輩を待……いえ、澪先輩に声をかけてから帰ろうと思ってたんです」

唯「澪ちゃんは大人気だねえ」

梓「ええ、私の友達でも憧れている人がいるですよ」

唯「澪ちゃんみたいに格好良かったらよかったのになー」

梓「唯先輩には無理ですよ」

唯「そうだねー、だったらせめて、憂みたいに色んな事ができたらなー」

梓「……べつに、このままでもいいじゃないですか」

唯「ほへ?」

梓「人には向き不向きっていうものがあるんですから。」

7: 2010/07/18(日) 20:43:30.42
 靴を履き替える途中であずにゃんがじっと私を見ていることに気がついた。

唯「どうしたの?」

梓「いえ、唯先輩が澪先輩みたいになったら気持ち悪いなあって」

唯「ひどいこといってる!?」

梓「唯先輩がクールで凛々しくてキリキリ動いてたら変ですよ、唯先輩は唯先輩のままでいいんです」

唯「えへへー、そうかなー」

 校門を出てしばらく歩いていると腕を小さい力で引かれる。

梓「何か、食べていきませんか?」

唯「あ、幻のフランクフルト屋とかどうかな!」

梓「なんですかそれ」

唯「この街の何処かを回っているっていう絶品のフランクフルト屋さんだよ! ブラジル人のアッシマー・ガーさんがやってるの!」

梓「普通のたい焼き屋さんでいいじゃないですか……」

8: 2010/07/18(日) 20:47:35.94
 あずにゃんは基本的に甘いモノが好きだ。
 こういう所は私も同じだけど、あずにゃんは小さいから数倍女の子っぽく感じる。
 小さい口を開いて一生懸命たい焼きを食べているところとか……

唯「あずにゃん、鯛さんとキスしてるー」

梓「唯先輩こそ、尻尾から食べるなんて行儀悪いですよ」

唯「こっちからの方が美味しいんだよ!」

梓「はあ、そんなもんですか」

唯「そんなもんなのです」

 このたい焼き屋さんは、どこの人だか分からないけどゴアさんというのがやってる。
 とても巨大な人で本業はトラック運転手らしい。
 

11: 2010/07/18(日) 20:51:35.61
梓「唯先輩」

 あずにゃんが私を呼んだ。
 なんだか普通じゃない感じで、切羽詰まるという表現がとても似合う感じだ。

梓「私、さっき見ちゃいました」

唯「あー、澪ちゃん探してたんだもんねー」

 だとすれば悪いことをしてしまった。
 先輩が後輩に気を使わせてしまうなんて、
 私はこれだからいけない。

梓「唯先輩は、澪先輩のどんなところが好きなんですか?」

唯「え?」

梓「気になるんです。教えてもらえますか?」

 澪ちゃんの好きなところか……。
 まずは、女の子の間でも評判のスタイルのいいところかな。
 りっちゃんとか、ムギちゃんが澪ちゃんのいないところで大抵ネタにしてるし。
 他のみんなは恥ずかしがり屋って言うとけど、澪ちゃんの場合はそうじゃない。
 あれはすっごい慎ましい女の子なんだよ、と思う。そういうところも好き。
 でも、澪ちゃんの一番好きな部分は、髪かな。
 スラリと長くて、澪ちゃんみたいに格好いい。

12: 2010/07/18(日) 20:55:16.54
>憂澪……じゃあ、ないかも……

唯「語り尽せないねえ……」

梓「随分誤魔化しましたね」

唯「好きすぎて好きな部分がいっぱいあるからねえ」

 あずにゃんがとても悲しそうな顔をした。
 きっと、澪ちゃんに憧れている部分があるとか、
 そもそも女の子が女の子を好きなんて、という、
 道徳的な部分でも感じるところがあるからだろう。

唯「でもね!」

梓「はあ」

唯「高校生活はまだ長いよ! これから夏休みになって! 合宿して、あずにゃんが入っての初めてのライブ!」

梓「テストも近いですね」

唯「どぼじてあずにゃんはわたしのSAN値を0にしよぉとするのぉー」

 なんだか涙が出てきた。 

13: 2010/07/18(日) 21:00:00.23
梓「泣いて良いんですよ」

唯「うぅえぇぇ……やだ、なみだ……ぁ、とばらなぁいよぉ……」

梓「小さいですけど、どうぞ」

 あずにゃんが手を広げる。
 これは、私の胸に飛び込んでおいでの合図だ。
 じゃあ、お言葉に甘えて。

唯「うわぁぁぁ! ふられちゃったよぉ! うぅ、ぐす……かなじいよぉ!」

梓「好きな人にふられたんなら当たり前です、悲しくてやりきれないのは当然です」

 梓ちゃん……年幾つ? 

梓「好きな人が、他に好きな人がいるっていうだけでも辛いのに、その好きな人が妹なんて」

唯「……あずにゃん?」

梓「憂は良い子ですよね、澪先輩が好きになるのも当然だと思います」

 そっか、あずにゃんも澪ちゃんのことが好きだから……

唯「ごべ、ごめんねぇえ……あずにゃんもつらいのにぃ!」

梓「……」

15: 2010/07/18(日) 21:03:51.93
梓「落ち着きました?」

唯「落ち着きました」

梓「ところでこれからどうします?」

唯「え? 家に帰ろうかと思ってるけど」

梓「そうじゃありませんよ」

 あずさちゃんがやれやれって感じで首を振る。

梓「澪先輩の恋路を応援するか、それとも唯先輩が頑張って澪先輩に振り向いてもらうかです」

唯「……」

梓「どうしますか?」

唯「どう……って……」

梓「私のオススメは、振り向いてもらう方ですね」

唯「ええ!? あずにゃんも澪ちゃんのこと好きなのに!?」

梓「そうですね、まあ、私はそういう健気な部分も良いかなって思うんですよ」

16: 2010/07/18(日) 21:09:16.34
 恐れいった。
 澪ちゃんの幸せを第一に考えるなんて、
 さすがあずにゃんはとても優しい。
 私も見習いたい点はある……けど、私は私のことを見て欲しいよ。

唯「わかった! 頑張る! 頑張って澪ちゃんに振り向いてもらうよ!」

梓「……そ、それはよかったです、では、何から始めましょう」

唯「ほ、へ?」

梓「今のままでは唯先輩に振り向いてもらえる可能性はゼロです。だったら、努力しなくちゃいけません」

 努力……。
 澪ちゃんは憂が好きだって言ってたよね、じゃあ、憂みたいに……

梓「憂みたいに、家事万能で優秀な女の子になるっていうつもりでしょう」

唯「なぜばれたし!」

梓「私はわりと、唯先輩のことは理解してるんですよね」

唯「あずにゃん……」

 私はどうしてここまで単純なんだろう。

梓「まあ、まずは手始めに格好良くなるとかはどうでしょう」

唯「澪ちゃんみたいに?」

17: 2010/07/18(日) 21:11:31.60
梓「そうですね、憧れていると同時に近くにいますから、良い案だと思いますよ」

唯「ふふふー、私が澪ちゃんみたいに格好良くなっても惚れちゃダメですぞぉ」

梓「……!? ふ、ふざけないでください! 唯先輩は唯先輩のことだけを考えてください!」

唯「へへへー、冗談だってばぁ……冗談だっぜ!」

梓「……口調はべつに変えなくても良いと思いますけど」

18: 2010/07/18(日) 21:14:32.50
 じたく!

唯「ただいまー」

憂「おかえりお姉ちゃん」

唯「おそくなってごめんねー……くんくん、あれ? 匂いしないね?」

憂「私も色々あってついさっき帰ってきたばっかりだから」

唯「じゃあじゃあ、お手伝いするよ!」

憂「え? いいよ、お腹空いてるでしょ」

唯「だいじょうぶ、補給はしたから!」

憂「ふふ、紬さんのお菓子は美味しいもんね」

唯「それもあるけど、帰るときあずにゃんとたい焼き食べたの!」

憂「梓ちゃん?」 

19: 2010/07/18(日) 21:16:43.66
 ゆうしょく!

唯「え!? ムギちゃんに告白された!?」

憂「そ、そうなの、帰りが遅くなったのもそれが原因なの」

唯「ほへー、憂すごいねー」

憂「すごくは……ないと思うけど」

唯「お姉ちゃんの見立てだと、憂のこと好きな人はまだまだいるよ!」

憂「(え……それってもしかして、お姉ちゃんが!?)」

唯「でも、それは教えてあげないんだよ」

憂「ざんねん……」

唯「?」

20: 2010/07/18(日) 21:20:05.36
唯「それでそれで、どうしたの?」

憂「どうしたって」

唯「告白されたら、お答えしないと! ムギちゃんきっと待ってるよ」

憂「ああ、お断りしたよ」

唯「断ったの!?」

憂「うん、私は他に好きな人がいるから……」

 そうかー、だったら仕方ないね。
 ムギちゃんには明日私からも謝っておこう。

憂「お、お姉ちゃんは私の好きな人とか興味ないかな!」

唯「憂の好きな人でしょ、きっと素敵な人なんだろうねえ……」

憂「う、うん、素敵な人だよ」

唯「きっと、勉強が良く出来て家庭的で、すっごく格好良くて運動もよく出来るんだろうなあ……」

憂「……」

唯「えへへ、私とは正反対の人だねぇ」

21: 2010/07/18(日) 21:24:55.13
 べっど!

 憂の好きな人か……
 きっと澪ちゃんみたいな凛々しい女の子なんだろうなあ。
 ムギちゃんみたいに、お嬢様だけどっぽやぽやした柔らかい雰囲気な女の子も良いと思うけど、
 どこか私と似ている部分があるから、きっとそれのせいでムギちゃんは……
 ごめんね。

唯「あ、りっちゃんからメール着てる」

『憂ちゃんくれ』 

 なんだか二人の告白を聞いちゃったし、意味深な表現な気がするよぉ。
 でも、りっちゃんはああ見えて頼りがいがあるし、リーダーとして責任感もあるし、
 りっちゃんでも、憂は任せられるかな……。
 でも、憂の隣に立つのは澪ちゃんがあってる気がする……。

『格好良くなったらいいよ』

 メールを送り返す。
 直ぐに返事が来た。

『イケメンになったぞ』

 添付ファイルに髪をおろしたりっちゃんの写真があった。
 確かに普段と違ってちょっと格好イイかも。

『鬼太郎みたい』

 格好イイよね、鬼太郎。

23: 2010/07/18(日) 21:27:23.67
 よくじつ!

憂「お姉ちゃん、朝だよー、朝ごはん食べて学校にいくよー」

唯「起きないから奇跡っていうんだよ……すぴー……」

梓「まったく、格好良くなるんじゃないんですか」

唯「ほへ!?」

憂「あ、お姉ちゃん起きた」

梓「情けないですねえ……」

 どうしてあずにゃんがこんな所に。
 あ、そっか、これはきっと夢なんだね。

唯「おやすみなさい……」

憂「お姉ちゃん二度寝ダメー!」

梓「やれやれ」

25: 2010/07/18(日) 21:31:33.25
梓「それで、格好良くなるって台詞は嘘だったんですか」

唯「朝一番だから仕方ないんだよぉ」

梓「まったく、ぽやぽやして、家事も憂に任せっきりで、昨日の迫真の台詞はなんだったんですか?」

唯「反論がひとつも出来ないよぉ」

憂「昨日のことって?」

梓「唯先輩、澪先輩みたいに格好良くなるって、そう宣言したんだよ」

憂「(かっこういい……かな……? 見た目だけのような気がするけど)」

唯「えへへ、澪ちゃんみたいに、しゃんとして、きりっとして、怪傑ずばっとするんだよ!」

梓「できない予想のはらたいらさんにしゃんぜんてんです」

唯「うう、巨泉がいるよ……」

憂「それで、どうして梓ちゃんは朝から家に?」

27: 2010/07/18(日) 21:34:51.18
梓「ああ、唯先輩がいるときに言うっていったよね」

憂「うん」

梓「ちゃんとしているかなーって気になったのが一つ」

憂「……ぜ、全然出来てなかった?」

梓「がっかりした!」

唯「うう、ごめんなさい……」

憂「でもお姉ちゃんのために朝早くから来てくれたんだよね」

唯「そうだよぉ。ありがとうあずにゃん」

梓「昨日結局おごってもらったたい焼きのお礼なだけです!」

憂「(素直じゃないなあ……)」

唯「澪ちゃんに奢ったら、澪ちゃん来てくれるかなあ……」

梓「!? ……き、来てくれるわけないじゃないですか!」

唯「そうだよねえ」

28: 2010/07/18(日) 21:38:28.65
>>憂ちゃんはヤンデレないので……

きょうしつ!

唯「今日は早く着いた! 予習をしよう!」

律「明日は大雨かなんかだな」

唯「りっちゃんおはよう!」

律「よっす、唯。んでだよ、鬼太郎はねーよ、私傷ついたぞー」

唯「ええー、似てたよぉ」

律「なぁにー、おい! 鬼太郎!(裏声)」

唯「あははは! そっくり、目玉のおやじにそっくりだよ!」

紬「目玉……目玉で親父……?」

律「おうムギ、おはようさん」

唯「あ、ムギちゃん、ごめんねぇ」

紬「……あ、ああ、いいのよ、元より望み薄だったから」

律「なんだなんだ、何の話だー」

31: 2010/07/18(日) 21:42:46.46
唯「え、えーっと」

紬「昨日憂ちゃんに好きだって告白したの」

律「へ!?」

唯「憂はね、断ったの」

律「そ、それはいいんだけど……う、憂ちゃんのこと、ムギも好きだったのか?」

紬「も? まさか、りっちゃんも!?」

唯「ええ!? ういモテモテだよぉ!?」

律「ムギがふられた……こりゃあ、私も望み薄かぁ」

紬「私もダメでもともとだったから」

唯「ほへー、澪ちゃんもムギちゃんもりっちゃんも……」

律「唯、なんで澪が憂ちゃん好きだって知ってるんだ?」

唯「どえ!?」

紬「唯ちゃんは澪ちゃんが好きだったわよね」

唯「ぼえ!?」

33: 2010/07/18(日) 21:47:19.78
唯「じゃあ、白状するけど、私昨日澪ちゃんに告白したの」

律「あー」

紬「唯ちゃんも辛かったのね……」

唯「い、いいの! べつに澪ちゃんが悪いわけじゃないし!」

律「ま、まあ、そ、そうだけどよ……」

紬「……」

唯「でね、私頑張って澪ちゃんに振り向いてもらうんだ!」

律「お、おう、そっか」

紬「それ、唯ちゃんが考えたの?」

唯「ううん、ふられちゃってね、残念だなーって思ってる時に、澪ちゃんに会いに来たあずにゃんと会ったの」

律「あ、梓か……」

唯「でね、あずにゃん、澪ちゃんに振り向いてもらうために協力してくれるって!」

紬「ええ!?」

唯「あずにゃん澪ちゃんの事好きなのに、私の恋を応援してくれるんだよ……イイコだよねえ」

紬「ほ、本当にいい子……ね……」

37: 2010/07/18(日) 21:51:07.23
唯「というわけで、私は澪ちゃんに振り向いてもらえるような女の子になるために予習を頑張ります!」

紬「そ、そう、が、頑張って……」

律「てかよ、唯、普通予習だったら家でやってこね?」

唯「りっちゃんがメール送るからー」

律「なにをぉ! 唯が予習なんて雷が落ちても知らねーぞぉ!」

唯「言ったなぁ!」

律「よーし、じゃあ、私は憂ちゃんに振り向いてもらうために予習するぜー!」

唯「負けるかぁー!」

紬「……私は……どうしたら……」

38: 2010/07/18(日) 21:56:00.99

おひる!

憂「あ、梓ちゃん」

梓「ん、どうしたの?」

憂「お姉ちゃん誘って、一緒に食べない?」

梓「それは願ったり叶ったりだけど……でも、唯先輩は澪先輩と食べたほうがいいんじゃないの?」

憂「澪さんは和ちゃんと食べてるし、お姉ちゃんは紬さん律さんと食べてると思うから」

梓「そ、そう、よく知ってるね」

憂「お姉ちゃんが話してたから、澪さんと食べたいなーって」

梓「は、はあ、いいけど」

憂「ふふ、実はお姉ちゃんはもう誘ってあるんだ。ほら、いっしょにいこ?」

梓「う、うん、じゅ、純! またあとでね!」

純「……え、私は誘ってくれないの……?」

40: 2010/07/18(日) 22:00:36.26
唯「あ、おそいよぉ、ういー」

憂「ごめんね、授業が長引いちゃって」

梓「唯先輩、そういうときに格好イイ人は今来たところだよって言うものですよ」

唯「いま来ました!」

梓「口にご飯粒くっつけたままで言われても説得力ありませんよ」

唯「えへへ、だってぇ、朝から真面目に授業を受けてたからお腹空いちゃって」

憂「お姉ちゃん頑張ったね!」

梓「そうですね、褒めてあげてもいいです」

唯「うえっへっへ、澪ちゃんにも後で褒めてもらおっと」

憂「……」

梓「その締まりの無い笑顔、凛々しくするんでしょう?」

唯「そうでした! キリッ! ドヤッ!」

梓「(かっこいい……)って、できるんなら最初からやってください!」

唯「この顔疲れるよぉ」

49: 2010/07/18(日) 22:11:30.89


和「あれ。唯たちだ」

澪「んー? 本当だな」

和「こうして見てると、仲の良い姉妹にしか見えないわね」

澪「梓は妹じゃないぞ」

和「妹みたいなものでしょ」

澪「まあ、梓は唯の事好きだしな」

和「唯は……誰のことが好きなのかしらね」

澪「ん? 気になるのか?」

和「そうね、澪だから白状するけど」

澪「好き……なのか?」

和「幼なじみとしての感覚と、好きって気持ちの同居かしら」

51: 2010/07/18(日) 22:14:11.58
和「もし仮に、唯が他の誰かのことを好きなら、応援したいわね」

澪「そ、そうか、い、いいんじゃないか」

和「ああ、そうなの、唯ってば澪が好きなのね」

澪「へあ!?」

和「意外だわ、でもどっちかっていうと頼りがいはありそうだし、分からなくもないか」

澪「あの、和? 名探偵なのか?」

和「メガネかけてるからって名探偵じゃないわよ」

澪「これから江戸川って読んでいいかな」

和「バーロー」

54: 2010/07/18(日) 22:18:31.11
 ぶかつ!

唯「へっへー! いちばんのりー!」

律「ちっきしょー! 二番だ!」

紬「三番ね」

梓「残念でしたみなさん、私が一番です」

唯「あずにゃん早い!?」

律「くっ、負けたぜ……」

紬「あれ、澪ちゃんは?」

律「部活休むとかいう連絡は着てないけどな」

梓「さあ、唯先輩ギター出してください、格好良くなるために特訓ですよ」

唯「ええー、授業完走したんだから休ませてよぉ」

梓「そんなのは当たり前です、さ、ギターを出すです!」

唯「うえぇぇぇ、りっちゃぁぁぁん!」

律「ま、今までのツケだと思え」

梓「律先輩も準備してください!」

56: 2010/07/18(日) 22:22:10.66
澪「ごめん遅くなった……って、練習してたのか?」

律「座れよ澪、なんかふたりだけの世界って感じだからさー」

紬「梓ちゃん付きっきりで唯ちゃんを鍛えてるのよ」

澪「へえー、まあ、これで唯が一生懸命練習してくれればいいけど」

律「すっかり私たちは蚊帳の外だぜ」

紬「一生懸命な梓ちゃんもかわいいわあ」

澪「ムギは相変わらずだなあ」

律「(無理してるけどな)」

澪「じゃあ、私も少し練習をするか」

57: 2010/07/18(日) 22:26:10.97
げこう!

梓「あ、唯先輩、ちょっとお話があるので前のたい焼き屋さんに行きましょう」

唯「ゴアスクリーミングショウ……?」

梓「え、あそこのたい焼き屋さんそんな名前だったんですか?」

澪「あそこ、美味しいよな、行くんだったら私も……」

律「太るぞ」

澪「……さて、じゃあ帰るとするか」

紬「(りっちゃんナイス!)」

唯「看板娘のユカちゃんと、店主のゴアさんの兼ね合いが面白いんだよ……」

梓「ほーら、力を使い果たしてないでいくですよ!」

唯「」

58: 2010/07/18(日) 22:28:14.41
唯「あぁ、生き返るぅ!」

梓「プリンプリンセスのプリンすごく美味しいですよね」

唯「ゴアさんのたい焼きも美味しいけど、プリプリのダイヤモンドプリンは最高だね!」

梓「でも、ゴアさん見つかりませんでしたねえ」

唯「きっと本業が忙しいんだよぉ」

店員「わたしたちといっしょにおどりましょ!」

梓「だが断る」

60: 2010/07/18(日) 22:33:21.07
暑い……集中力が……でも頑張る。

梓「ところで、明日は休日ですね」

唯「そうだねー」

梓「先輩は何か予定はありますか?」

唯「とくにないかなー、ごろごろしてるー」

梓「かっこうよくないです」

唯「うっ!」

梓「はぁ、仕方ありませんねえ」

唯「え?」

梓「休日で何もしないと、唯先輩もだらけてしまいますからね、私と一緒にあそびましょう」

唯「え!? いいの?」

梓「その代わり、朝7時には起こしに来ますから、覚悟しててくださいね」

唯「鬼がいる……!」

62: 2010/07/18(日) 22:36:28.79
よくじつ!

憂「ごめんね梓ちゃん……」

梓「どうせこんなことだろうと思ってたから大丈夫」

憂「ぐっすりだね……」

梓「でも、本当にこんなセリフで起きるのかな?」

憂「大丈夫」

梓「あ! 澪先輩です!」

 ……

梓「起きないじゃん」

憂「あ、あれ? 今までは成功してたんだけどな?」

梓「……まったく。ほら、唯先輩、中野ですよ、中野梓が迎えに来ましたよ?」

唯「あずにゃん!?」

梓「」

憂「」

63: 2010/07/18(日) 22:39:33.63
唯「髪ほどいてるんだぁ」

梓「ええ、澪先輩っぽいでしょう」

唯「うん! よく似てるよ、あずにゃんかっこいい!」

梓「……あ、ありがとうございます」

憂「あ、お姉ちゃんご飯粒付いてるよ」

唯「ういー、取ってー」

梓「私がっ」

憂「はーい、取れたよー」

梓「……」

憂「ふ」

梓「ま、負けないから!」

憂「私もだよ梓ちゃん!」


65: 2010/07/18(日) 22:42:56.59
えき!

憂「へー、バスに乗るんだー」

梓「唯先輩、乗り物に弱いですよね、これでトレーニングしますよ!」

唯「どのバスに乗るの?」

梓「はい、青梅営業所~青梅駅~柳沢駅行きのバスです!」

憂「」

唯「やぎさわって聞いたことないね」

梓「さ、トイレも済ませましたし、あとは乗るだけですよ!」

67: 2010/07/18(日) 22:44:11.75
やぎさわ!

唯「」

憂「……やっと着いたね……」

梓「さ、次のバスに乗りますよ」

唯「」

梓「次は、三鷹駅行きです!」

憂「が、頑張ろう、頑張ろう私……」

69: 2010/07/18(日) 22:48:02.26
みたか!

唯「武蔵野うどん美味しかったねー」

憂「硬くて太くてコシがあったね」

梓「エキナカでも美味しいところがあるんだ……」

唯「あ、リリアン女学園行のバスがあるよ!」

憂「有名なところだねー」

梓「そっちじゃないですよ、これから調布に行きますから」

唯「ちょーふ?」

憂「あ、ゲゲゲの女房でいまブームだよね、深大寺の方には行くの?」

梓「そうだね、途中で寄ろうか」

唯「ええー、神社なんて面白くないよー」

梓「深大寺はお蕎麦で有名なんですよ」

唯「行きます!」

70: 2010/07/18(日) 22:50:31.36
ちょうふ!

唯「お蕎麦は美味しかったけど、強行スケジュールだったよ……」

憂「植物公園良かったね、お姉ちゃん」

梓「さてっと、こっちですよ先輩」

唯「ふぇー、ひらけてるねー」

梓「これからもっとひらけているところに行きますよ」

憂「そうなんだ」

梓「渋谷に行くから」

憂「」

唯「わー若者の街だねえ!」

71: 2010/07/18(日) 22:52:49.95
唯「」

憂「」

梓「もう、二人共だらしないなあ、青梅から九〇分、柳沢から三鷹が二〇分、三鷹から調布が三〇分、調布から渋谷まで九〇分バスに乗っただけでしょ」

唯「」

憂「あ、梓ちゃん……か、帰りはどうするの?」

梓「え? 電車で帰るけど?」

憂「そ、そう……」

唯「」

梓「これだけバスに乗れば、唯先輩のバス酔いもへいきへっちゃらです!」

72: 2010/07/18(日) 22:55:59.67
よる!

憂「お、お姉ちゃんー」

唯「今日で、一生分乗り物に乗った気がする」

梓「あぁー、今日は楽しかったです! 二人共元気ないね?」

唯「どうして、一時間に一本バスが出てるんだろう……九〇分かかるのに……」

梓「やだ、需要があるからに決まってるじゃないですかー」

憂「梓ちゃん楽しそうだね……結局バスと電車に乗ってるようなものだったのに」

梓「だ・か・ら・だよぉー」

憂「はは、梓ちゃんが楽しいならいいや」

唯「そうだね」

73: 2010/07/18(日) 22:58:52.22
よくじつ!

唯「」

梓「あれー、唯先輩寝てるー憂も寝てるし」

唯「」

梓「ほら、折角の休日ですよ、あそびに行きましょうよぉ」

唯「」

梓「って、はっ! 違います! 監視しに来ました! 唯先輩が真面目になるためのです!」

唯「」

梓「寝てる……もう! ……キス……しちゃいますよ?」

唯「」

梓「勘違いしないでください、これは、眠り姫を起こす一般的な方法です!」

唯「」

梓「だから……いいですよね……」

76: 2010/07/18(日) 23:03:03.18
憂「あぁずぅさぁちゃぁぁん!」

梓「にゃ!」

憂「ぬ、抜け駆け……わぁ、許さないよぉ……」

梓「う、憂、なんでそんなにテンションひくいの?」

憂「なぁんでだろぉねぇ……乗り疲れかなあ……」

梓「はは、憂ってば冗談ばっかりー」

憂「」

梓「でも今日はね、普通にデート……じゃなかった、ファッションを整えるために街をめぐるの!」

憂「……そ、そう」

梓「唯先輩のファッションセンスはちょっと問題ある、どんな服でも可愛いけど、やっぱりちょっと変だもん」

憂「そうだね、プロテインだね」

梓「もう、筋肉のためならゲイに掘られても構わないって言うきんに君のマネ? 似てないよぉ?」

憂「そうだね、プロテインだね」

77: 2010/07/18(日) 23:07:16.70
よる!

梓「結局唯先輩ってば夕方まで寝て! せっかくの計画が台無しです!」

唯「えへへ、ごめんねぇ……起き上がれなくてさぁ……」

憂「梓ちゃん元気だね……」

梓「まったく、憂も唯先輩もしゃきっとする! 澪先輩のためでしょう!」

唯「そ、そうだね!」

憂「」

唯「そうだよ! 澪ちゃんのためだった! 月曜日からまた宜しくね!」

梓「……! ええ、ええ、いいですよ! もちろんです!」

憂「(駄目だこのあずさちゃん……はやくなんとかしないと……)」

79: 2010/07/18(日) 23:12:06.96
よくじつ!

梓「えっへっへ……」

純「どしたの梓、ご機嫌だね?」

梓「本当、昨日一昨日の休日は楽しくてさぁ」

純「憂は……机に突っ伏してるけど」

梓「唯先輩と憂と一緒にバス巡りの旅したんだ!」

純「ああ……東京一停留所に止まるバスと、1が乗って泣きそうになったバスを巡る旅だね」

梓「たった往復8時間バスに揺られただけなのにねえ」

純「……憂ー、元気出してー」

憂「むりかも……」

純「あと2日は疲れを覚悟しておいたほうがいいよ」

梓「まったく、純も憂も情けない! バスは最高なのに!」

82: 2010/07/18(日) 23:17:24.88
おひる!

紬「唯ちゃん……お昼だよ?」

律「まったく、前の威勢はどうしたよ」

唯「8時間……」

紬「え?」

唯「ムギちゃんもりっちゃんも、8時間バスで揺られても、平気……?」

律「ああ、深夜バスってやつ? 確か、14時間20分のはかた号が日本最長なんだっけ」

紬「乗りたい乗りたい!」

唯「」

律「まずは札幌をスタートするだろぉ、それで函館、青森と行って東京、そして福岡な! 3日連続深夜バスだけの旅!」

紬「すごいすごい! やってみたいわ!」

律「中学の時に澪がやってさー、メモ帳をいくつも使い果たしてて驚いたよー」

唯「へ? 澪ちゃんはバス得意なの?」

律「おうさ、あいつはバスのためなら氏んでも構わないってくらいのバス好きだぞ」

唯「(そっか……だから梓ちゃんは……)」

84: 2010/07/18(日) 23:21:55.04
ぶかつ!

唯「じゃじゃーん! 復活です!」

梓「もう! 憂も放課後になるまで机で寝てたし! 唯先輩もムギ先輩のお菓子食べるまで元気ないし!」

澪「あ、梓は淵野辺~登戸のバスは乗ったか?」

梓「それがスケジュールが合わなくてなかなか、よみうりランド~新宿は乗ったんですけど」

澪「あれ期間限定なんだよなー」

梓「今度、バスだけで神奈川横断の旅って言うのがしたいんですよね」

澪「あ、縦断はやったよ」

唯「梓ちゃんは澪ちゃんと話せてご機嫌だねえ」

律「澪とあんだけバスで盛り上がれるって珍しいな」

紬「私、バスに乗ったことないから憧れちゃうわ」

唯「お嬢様がいる!?」

律「わかってたけどな!」

86: 2010/07/18(日) 23:25:49.30
梓「って、今日も特訓しますよ唯先輩!」

澪「私も付きあわせてくれ」

梓「もちろんです! さっ、唯先輩! いいところ見せちゃってください!」

唯「がってんです!」

律「さって、私もはじっこでドラムでも叩くか……」

紬「あ、りっちゃん、私も付き合うわ」

律「ムギ!」

紬「りっちゃん!」

和「盛り上がってるところ悪いけど、今日から部活禁止よ」

律「」

唯「」

澪「」

梓「」

和「……それじゃ、私生徒会に行くから」

紬「生徒会も活動禁止よ……」

89: 2010/07/18(日) 23:30:46.02
げこう!

澪「そういえば、ゴアさんのところ店畳んだんだって?」

唯「そうなんだよぉ、あんなに美味しいたい焼きを焼く人いなかったのに」

梓「あ、このまえ純が、クレパトのアイスクリーム屋さんが美味しいって話をしてました!」

澪「ああ、アイス・クレオパトラね」

唯「でも、隣にあった、ライチジュース楊貴妃っていうのは潰れちゃったよね」

澪「ライチジュースしかおいてなかったしな、美味しかったけど」

梓「あそこの店員さんの名前変わってますよね、小野小町とか、静御前とか、卑弥呼とか」

澪「卑弥呼は卑弥呼じゃないって噂だけど」

唯「卑弥呼ちゃんちっちゃくて可愛いよねえ」

梓「ドア・ピッ・チュって感じですよね」

91: 2010/07/18(日) 23:33:59.08
>>梓ちゃん>あ……ミスった……


梓「はぁ、美味しいですねえ」

澪「まったくだ、安い値段で美味しいな」

唯「しあわせだよぉー」

梓「ところで、唯先輩、勉強の方は大丈夫なんですか」

唯「あずにゃんこそぉ、バスばっか乗ってて大丈夫なのぉ」

梓「え? 私バスの中で勉強してましたけど」

澪「常識だよな」

唯「あんなに揺れてるバス車内で暗記とかできるの……?」

梓「逆にリズムが付きます」

澪「たまに停留所の名前を書いてる時あるよな、塚、とか浄水場前とか」

92: 2010/07/18(日) 23:36:42.39
梓「さて、唯先輩の勉強も心配なので付き合いますよ」

澪「じゃあ、私も」

唯「ええ、澪ちゃん付き合ってくれるの!」

梓「……」

澪「勉強だけな」

唯「えへへー、じゃあ、勉強頑張らないとなー」


あと一時間くらいで寝るので、誰かが代わりに梓を幸せにしてくれると信じてる。

93: 2010/07/18(日) 23:39:19.55
憂「いらっしゃーい」

澪「ん、お邪魔します」

梓「さ、キリキリ動いてください唯先輩!」

唯「そうだね! 勉強頑張るよ!」

憂「……」

梓「(こく)」

憂「……」

澪「……? じゃあ、上がらせてもらうな」

憂「はい、夕飯になったら呼びますね!」

95: 2010/07/18(日) 23:42:12.44
いちじかんご!

憂「おねえちゃんたちー、ごはんだよー」

紬「だよー」

律「だぜー!」

澪「うおわ! 律にムギ!」

律「(んっふっふー、みおちゅあん、抜け駆けは許さないぞー)」

紬「(ぬっけがけ、ぬっけがけ♪)」

梓「さ、行きましょう唯先輩」

唯「あずにゃん、なんかりっちゃんと、ムギちゃんが怖い気がするけど……」

憂「今日はお姉ちゃんの大好きなエビフライ重だよ」

唯「わーい!」

梓「……(憂がライバルなの忘れてた……)」

97: 2010/07/18(日) 23:44:31.20
律「くぁー! うめーっ! 憂ちゃん、私の嫁にならない?」

憂「ごめんなさい、お姉ちゃんがいますから」

紬「憂ちゃん、私の専属のメイドにならない?」

憂「そういうのはちょっと……」

澪「く、おほん、憂ちゃん、幸せにする」

憂「私よりもお姉ちゃんを幸せにしてほしいなー、なんて」

澪「君だけを守りたいんだ」

梓「」

唯「」

律「」

紬「」

憂「あ、あははは……」

澪「あれ?」

101: 2010/07/18(日) 23:47:56.36
べんきょう!

律「さすがにムギの教え方は上手だな」

唯「えー、美緒ちゃんの方がじょうずー」

紬「あらあら、負けちゃったわ」

澪「そうかな、ムギの教え方は上手だと思うけど」

梓「あ、唯先輩て、汚れてますよ」

唯「あー、ずっと鉛筆使ってたから汚れちゃったよー」

憂「わた……!」

律「憂ちゃん、ジュースお代わり!」

澪「じゅーじゅーしすぎだ!」

律「澪だって差出してんじゃねーかよ」

梓「ほら、もう、こんなにまっくろにして」

唯「ごめんねあずにゃーん」

梓「(……ふ)」

憂「(……う)」

103: 2010/07/18(日) 23:53:19.21
時間がないから焦って誤字が 美緒→澪

澪「さて、今日は一日目だからこんなもんでいいだろ」

紬「あれ、澪ちゃん帰るの?」

澪「え? 当たり前じゃないか」

律「そっかそっか、私たちは泊まってくんだけどな」

澪「迷惑がかかるだろ!」

唯「ええー、泊まっていってよー」

憂「どうぞ泊まっていってください」

梓「でも、みんな一緒に寝るの?」

紬「こんなこともあろうかと」

律「チキチキ! 寝る場所争奪くじびきゲーム!」

唯「おぉー」

104: 2010/07/18(日) 23:55:25.36
唯「じゃあ、私の寝る場所を決めるよ! >>106

1 唯の部屋

2 憂の部屋

3 両親の部屋

4 リビング(床)

5 洗面所

6 リビング(ソファー)

106: 2010/07/18(日) 23:57:03.52

107: 2010/07/18(日) 23:57:33.83
そういうのいいからマジで

108: 2010/07/18(日) 23:57:42.79
唯「……じゃあ、外で寝るー」

澪「はやまるな!」

梓「そうです! 急に安価とか1にはまだ早かったんですよ!」

紬「さあ、唯ちゃん、引いてね?」

109: 2010/07/18(日) 23:59:54.76
唯「おおう! 私の部屋だ!」

梓「自分の部屋を引きましたね」

憂「よかったぁ」

律「さって、次は私だな」

澪「いや、次が私だ」

紬「喧嘩しちゃダメよぉ」

梓「まあ、私は洗面所以外ならどこでもいいですけど、ひとつ屋根の下ですしね」

111: 2010/07/19(月) 00:05:13.69
よる!

憂「あ、梓ちゃん」

梓「ん?」

憂「これ……余計なお世話だと思うけど……」

梓「ゴキジェット……?」

憂「寝袋で顔まですっぽりすれば、多分気が付かないと思うけど……」

梓「」

憂「でも元々、梓ちゃんが皆さんを呼ぼうっていったんだからね」

梓「だ、だって! 澪先輩が教えちゃったら!」

憂「分かってるよ」

梓「憂……」

憂「それじゃあ、おやすみ」

114: 2010/07/19(月) 00:08:30.78
唯「……」

梓「ん……? あれ? 唯先輩?」

唯「あ、起こしちゃった?」

梓「ていうか、洗面所だと眠れないです」

唯「私の部屋に来る?」

梓「……!?」

唯「だいじょうぶだよ、みんなも本気で言ったわけじゃないから」

梓「で、でも、唯先輩のベッドは1人用じゃ!」

唯「詰めればだいじょうぶだよ」

梓「(ゆ、ゆいせんぱいとっ! いっしょのべっど! べっどいん!?)」

唯「さ、あずにゃん起きて」

117: 2010/07/19(月) 00:12:59.33
唯「じゃああずにゃん、奥ね」

梓「いいですよ、私が端で」

唯「いいのいいの、あずにゃんがお客さまだから」

梓「そこまで言われたらしょうがないですね」

唯「うんうん、素直に聞いておくものだよー」

梓「じゃあ、寄りますよー」

唯「そして私もフェードイン!」

梓「あ、唯先輩、もっと近づかないと」

唯「え? 余裕はあるよ?」

梓「くっつかないと落っこちちゃうじゃないですか」

唯「そんな事ないと思うけど……」

梓「私、憂に恨まれるのは嫌ですからね」

唯「分かったよぉ」

119: 2010/07/19(月) 00:15:41.29
梓「もっと、もっとくっついてください」

唯「う、うん……」

梓「じゃあ、ねますよ」

唯「ねえ、あずにゃん」

梓「なんですか?」

唯「あずにゃんって、澪ちゃんが好きなんだよね」

梓「……ええ、まあ」

唯「告白とかした?」

梓「いいえ、そういう気はないですし」

121: 2010/07/19(月) 00:18:44.15
唯「そっか、告白って、いいよぉ」

梓「フラれちゃったじゃないですか」

唯「でもいいんだよ、想いは伝えられたし」

梓「……唯先輩は、もしかして、澪先輩の気持ちを……」

唯「最初はね、憂に変装しようかなって思った、私たちよく似てるしね」

梓「……」

唯「でもね、憂の格好で澪ちゃんにすきだって言われたって、なんにも嬉しくないって思ったんだ」

梓「後悔、してます?」

唯「後悔するのは、諦めた時だよ」

梓「本気で振り向かせるおつもりですか?」

唯「やってやるです!」

梓「真似しないでください」

123: 2010/07/19(月) 00:21:31.11
梓「……ねえ、先輩」

唯「なに?」

梓「憂の気持ちは……知ってますか?」

唯「私たちは姉妹だからねー」

梓「しって……たんですか?」

唯「そうだね」

梓「……」

唯「あずにゃん?」

梓「さ、寒いですね……なんだか、寒気が」

唯「もっとぎゅっとしようか?」

梓「……い、良いです」

唯「本当は澪ちゃんにされたいんだもんね」

梓「ええ、そ、そうですね……」

124: 2010/07/19(月) 00:24:08.21
梓「唯先輩」

唯「なあに?」

梓「今夜だけは許してあげますから、ぎゅって抱きしめてください」

唯「前にあずにゃんが私を抱きとめてくれたみたいに?」

梓「そうです、力強く……でないと」

唯「いいよ、抱きしめてあげるね」

梓「……う……ひっく……うぅ……」

唯「あずにゃん……いいや、梓ちゃん、最後のチャンスだよ」

梓「うう……ぐす……い、いいんです、もぅ……」

唯「そっか……」

125: 2010/07/19(月) 00:26:57.27
よくあさ!

澪「……」

律「……」

紬「……」

憂「あれ、皆さん目が真っ赤ですよ?」

澪「ちょっとね……不埒者がいたから成敗を」

紬「不埒者だなんて、よば……いえ、当然じゃないですか」

律「あと少しだったんだけどなあ……」

憂「梓ちゃんも目が赤いよ、眠れなかった?」

梓「眠れたけど……」

憂「梓ちゃんには特製のハバネロスープを用意してるから、眠気覚ましにはぴったりだよ」

梓「ちょ!?」

127: 2010/07/19(月) 00:30:06.53
憂「お姉ちゃんはまだ寝てるの?」

梓「うん」

憂「一緒に起こしに行こっか」

梓「そうだね」

律「澪、私等の友情もこれまでだな」

澪「ああ……これから律は、ただのデコだ」

紬「じゃあ、これからふたりのことを陰気ブスとデコッパゲって呼ぶわね♪」

律「それはいじめだ!」

澪「陰気ブス……おい、良純、天気予報を少しは当ててみろよ!」

紬「さんづけしろ、この電波ブスがぁ!」

憂「完徹するとテンション上がるよね」

梓「大丈夫かなあ、軽音部……」

132: 2010/07/19(月) 00:59:24.10
唯「zzz」

憂「寝てるね」

梓「だね」

憂「梓ちゃんは結局告白したの?」

梓「知ってたの!?」

憂「当然、隣の部屋だよ? 会話もまる聞こえだよぉ

梓「は、恥ずかしい! 恥ずかしさで氏ねる!」

憂「ヘタレだねえ」

梓「だって! だって……唯先輩、憂の気持ち知ってるって……」

憂「そうだね、勝手に告白して梓ちゃんってば」

梓「そ、それは!?」

憂「いいよ、私は。きっと、一生かけても言えなかったと思うし、でも、梓ちゃんは」

梓「憂の気持ちがわかるなら……私の気持ちだって……さいしょから……」

憂「……だろうね」

133: 2010/07/19(月) 01:00:16.20
さるさんに引っかかりました。ごめんなさい。続き書きます

憂「告白すればよかったじゃない」

梓「どうせフラれちゃうなら、いいよ」

憂「でも……言って後悔したほうがすっきりするんじゃ」

梓「かもね、唯先輩にも似たようなこと言われちゃった」

憂「本当にいいの?」

梓「憂ってば、いいんだよ、私が求めるのは唯先輩の幸せなんだから」

憂「梓ちゃん……」

憂「それは、諦めだよ」

梓「……」

憂「後悔、してるでしょ?」

梓「うん」

憂「言いたいんでしょ、好きだって」

梓「うん」

憂「だったら、言おうよ」

135: 2010/07/19(月) 01:06:45.50
梓「すぅー」

梓「唯先輩、聞いてください。
  私は、唯先輩のことが好きです。
  軽音部に入ったときには、練習もしないし
  変なあだ名付けるし、苦手だったんです」

梓「でも、
  ある時から唯先輩が、憂や他の女の子たちにくっつくと
  すごくイライラして、で、余計に先輩に当たったりして」

梓「この気持ちがなんなのか分からなくて、
  余計にイライラして、
  怒鳴り散らしちゃったりしたこともありましたよね」

梓「そんな時でも先輩は優しく抱きしめてくれて、
  刺立ってた気持ちが安心してくのを感じて、私、気づきました
  ああ、先輩のことが好きなんだなって」

梓「唯先輩のことが好きだって気がつくと、
  唯先輩が澪先輩の事好きだって気づきました
  じっと見てるとすぐに分かりますね、
  唯先輩は表情に出やすすぎです」

梓「あんまり人の事は言えないみたいですけど」

136: 2010/07/19(月) 01:12:57.62
梓「唯先輩
  私はべつにお付き合いできなくてもいいんです
  ただこれからも私とギターを弾いてくれますか?」

梓「軽音部の活動だからじゃなくて、
  私と音楽するのが好きだから……みたいな。二人で組むのも、良いですよね」

梓「って、はは、告白みたいですね、てか、告白なんですけど」

憂「梓ちゃん……」

梓「ごめんね、憂、長くなっちゃった」

憂「その、お姉ちゃんが」

唯「」

梓「あ、こ、告白……どうでした?」

唯「嬉しいよ、こんなふうに想えてもらって、すごく。ありがとうあずにゃん」

梓「は……い」

唯「でも、私は澪ちゃんが好きなんだ」

梓「そ、う、ですね」

唯「あずにゃん、私のこと見守っていてくれる? 助けてくれるかな?」

梓「もちろんです唯先輩! 厳しく行きますから!」

138: 2010/07/19(月) 01:20:00.22
唯「あずにゃん……ごめんね?」

梓「謝らないでください! 良いんです、本当、言えてすっきりしてますから!」

唯「……うん」

梓「あ、でも、一つお願いがあるんですけどいいですか?」

唯「いいよいいよぉ、どんとこいだよぉー」

梓「私の恋路、見守っていてくれます?」

憂「え!?」

唯「もちろんだよ、お互い頑張ろうね!」

梓「はいです!」

憂「……はぁー、もう、しょうがないなぁ。二人ともごはん食べよ!」

梓「唯先輩シャキッと着替えちゃってください!」

唯「あずにゃん着替させてー」

梓「もう、しょうがないですねぇ」

憂「それは行き過ぎー!」

終わり。

140: 2010/07/19(月) 01:21:39.52
おつ!!

引用元: 澪「実は憂ちゃんが好きなんだ」唯「」