3: 2012/08/29(水) 00:09:04.47
雪女「…男さん、今なんて言いました?」

男「だから寒いって言ったんだよ」

雪女「念のために聞いておきますけど、今の季節を知ってますか?」

男「夏だな。まあ正確に言えば残暑だけど」

雪女「そんな季節なのに寒いって…正気ですか?」

男「そうだな、普通だったらありえないよな」

雪女「自覚症状あり…これは重症だわ」

男「この状況のどこが普通だっていうんだよ!!」ウガー!!!


4: 2012/08/29(水) 00:12:28.58
雪女「ちょ、ちょっと大声出さないでくださいよ~」キーン

男「うるさい!まずは俺の服装を見てみろ!!」

雪女「えーと、黒のフリースにロングコート、で、下もしっかり長ズボンを履いていると…」

男「しかもここは室内だ。さて、何か気付いた事はないか?」

雪女「…三十点、ですかね」

男「俺はファッションセンスを評価してほしかった訳じゃないんだかな」

雪女「冗談は置いといて、季節感がまるでないですよ」

男「良かった、ちゃんと理解できたみたいで」

雪女「バカにしないでくださいよ!!私だってそれぐらいは分かりますって」

5: 2012/08/29(水) 00:17:30.99
男「じゃあ次の質問だ。この部屋の気温、今何度だと思う?」

雪女「えーっと…平温じゃないですか?」

男「オーケー、じゃあエアコンの温度計を見てみようか」

室内温度    5℃

男「さあ何か感想はあるか?」

雪女「…ちゃんと冷房になってますね」

男「そこじゃねーだろ!温度!温度だ!!」

雪女「…平温ですね、で、これがどうかしましたか?」

男「いやいやどう考えてもおかしいだろ!普通の家庭では温度計が一ケタになるなんて
まずあり得ないからな!!」

雪女「まあ、それはエアコンを全開で使ってるからであって…」

男「何処の世界に一ケタまで温度を下げるエアコンがあるんだよ、冷蔵庫じゃないんだぞここは」

雪女「…逆に考えるんです、ここは実は部屋じゃなくて冷蔵庫だったと」

男「ねーよ」

6: 2012/08/29(水) 00:23:26.71
雪女「まあ私の適温を維持するためにこんな事になってるんですけど」

男「それなのに暑いときたか、しかも自分で気温を下げてるのにか」

雪女「もちろんです!!今もこうして気温を下げるのにパワーを消費してるんですからね。
それだけでも私の身体は暑くなっていくんですよ!!」

男「…自分の事だけじゃなくてさ、少しは俺の事も考えてくれよ」

雪女「むー、こっちは男さんのためにこれでも結構遠慮してるんですよ」

男「つまり、実際はもっと寒いほうがいいと」

雪女「そうですねー、できればあと10℃ぐらいは下げたいところなんですが」

男「氏ぬから、それだと自宅で凍氏するから。真夏に凍氏ってもうありえないってレベル
じゃねーから」

雪女「真夏に凍氏…斬新でいいですね!!」

男「さて窓を開けて換気換気と」ガラガラ

雪女「スト、スト―――ップ!!」

7: 2012/08/29(水) 00:31:44.05
雪女「すいません、調子にのってました…」

男「お前が言うと冗談に聞こえないからな。昔話的にな」

雪女「いやいやあれはあくまで昔話であって、実際はあんな事はやってませんからね」

男「だったらもう少し俺にも気を使ってだな」

雪女「だから男さんの生活に合わせるようにしてるんですけど…」ガリガリ

男「………」

雪女「?何か言いたそうですね」ボリボリ

男「エアコン全開で、扇風機まで付けて、おまけにアイスボックスをかじってるやつが
言うか!もう少し自重しろよ!」

雪女「…?食べますか」オイシイデスヨ?

男「いらねーよ」

8: 2012/08/29(水) 00:38:20.12
雪女「えー、こんなに美味しいのに~」ガリガリボリボリ

男「こんな寒い中じゃそんなん食う気も起きないっつーの」

雪女「じゃあ何がいいんですか、ジャンボモナカ?白くま?それともガリガリ君ですか?」

男「なんでアイスばっかりなんだよ」

雪女「それならここは初心に帰って氷イチゴとかですかね~?」

男「まずは氷菓子から離れろっての」

雪女「だってとっても美味しいじゃないですか!!」

男「俺はできれば鍋とかシチューとかそういうのがな…」

雪女「うん、それ無理です」

男「即答?!」


9: 2012/08/29(水) 00:45:15.82
~ ~ ~

男「全く…」モグモグ

雪女「またボンカレーですか、たまにならいいですけどあまり食べ過ぎると身体に毒ですよ?」

男「仕方ないだろ、お前料理できないんだし」ドウタベテモウマイシナ

雪女「失礼な!料理ぐらいできますよ」

男「例えば?」

雪女「えーと、冷麺、ソーメン、流水麺」

男「それは料理とは言わん」

雪女「後は…カキ氷とかですかね」

男「もういい、聞いた俺がバカだったわ」


10: 2012/08/29(水) 00:49:42.68

雪女「あれ、もしかして嫌いですか?」

男「嫌いではないが…この部屋の窓全開にしていいのなら是非食べたいんだが」

雪女「やめてくださいまた駄目になってしまいます」

男「むしろ少しぐらいダメになってくれよ…」

雪女「…!!ま、まさか力が出せないところを狙って襲うつもりですか!?」

男「安心しろ、絶対ないから」

雪女「嗚呼、親切だとは思っていましたがやはりそれが目的だったんですね…けど、健全な男の人
なら当然なんでしょうか…///」

男「とりあえず妄想はそれぐらいにしておけ」

11: 2012/08/29(水) 00:58:15.95
男「全く…見て見ろ。外との気温差のせいで窓が真っ白じゃねーかよ」

雪女「ホントだーほらへのへのもへじ~!」キュッキュッ!

男「遊ぶな!!」

雪女「カリカリしすぎですよ男さん。人生もっと余裕を持たないといけませんよ」

男「その原因が一体何を言っている」

雪女「い、いいじゃないですか!こんな経験滅多にできませんよ」

男「そうだな、まさかせっかくの夏休みをこんな風に過ごすなんて思いもしなかったわ」

雪女「でしょ?」

男「全く…こんな事ならあの時助けるんじゃなかったな…」

17: 2012/08/29(水) 23:39:59.90
~昨晩~

アリガトウゴザイマシター

男「うん。晩飯とデザートも買ったし、準備万端だな」

男「はぁ~普通より遅いけどようやく夏休みだー!!」

男「まあ客商売だから遅くなるのは仕方ないっちゃ仕方ないんだが…」

男「その分明日からはゆっくり休むぞー!!!」

ムシムシ… ジメジメ…

男「しっかし、今日は暑いな…」

男「もう日も落ちてだいぶ経つってのに全然温度が下がってね~し」

男「今年はまだこの暑さが続くんだよな~、もう秋だってのに勘弁してほしいもんだよ」

18: 2012/08/29(水) 23:50:43.34
男「こんな日はさっさと家に帰ってエアコンつけて…うん?」

???「……」フラッ

男「…前の女の人大丈夫か?なんかふらふらしてるけど」

???「……」フラフラ…

男「声かけてみる…ってこんな夜にいきなり声なんかかけたら不審者扱いだろうな~」

???「……っ」バターン!!

男「って大丈夫ですか!!」

???「…うーん」

19: 2012/08/30(木) 00:01:12.76
男「急に倒れたもんだから思わず近づいちゃったけど…」

???「……」ハァ、ハァ

男「だいぶ辛そうだな…熱射病か?」

???「……」ゼェゼェ

男「とりあえず体温は…って冷た!!」ヒヤッ!!

???「…!!」

男「な、ど、どうなってるんだこりゃ!?氷みたいに冷たいぞ」


20: 2012/08/30(木) 00:13:06.79
男『…普通熱射病の時ってどっちかって言うと身体は熱くなるよな』

男『けどこの人の体は氷のように冷たい…もしかして体質か?』

男『だとすると普通の応急処置じゃダメだよな、そうなるとやっぱり』

男「ちょっと待ってて下さいね、今救急車を呼びますから」ピッピッ

???「…やめて!!」ガシッ!!

男「へ!?いや、そうしないとヤバいんじゃあ」

???「お願い…医者には…かかりたくないの」

男『医者にはかかりたくないって…もしかしてなんかヤバい人だったりすんのか?』


21: 2012/08/30(木) 00:20:01.49
???「お願い…お願いします」

男『良く見たら綺麗な人だし、他に何か事情があるんかな?』

男『とはいえ乗り掛かった船だし、このまま放っておく訳にもいかないし…』

男「よし、とりあえず肩貸しますから歩けますか?この近くに俺の家がありますんでまずはそこで
休んでください。それで治療の方はその後考える形でいいですか?」

???「…い、いいんですか?それはとても助かりますけど…」

男「じゃあまずは起こしますからしっかりつかまってくださいよ…よいしょっと!」

???「よ、よいしょ…!」ムクッ


22: 2012/08/30(木) 00:26:23.72
男「じゃあ引っ張っていきますんで、しんどかったら言ってくださいね」

???「は、はい…あの」

男「ああ、無理にしゃべらない方がいいですよ」

???「いやその…本当にありがとうございます」

男「ああ、気にしなくていいですよ。俺が勝手にやってるだけですから」

???「…はい」

男「さーて、じゃあ急いで帰りますか」

男『全く…夏休み開始早々、とんでもない事になっちまったな~』

23: 2012/08/30(木) 00:32:32.92
~ 十数分後 男の家 ~

???「……」ウーン

男「さて、エアコンも入れてとりあえず寝てもらったけど…どうしたものか」

男「肩を貸した時もなんか冷たさが気になったけど、暑さが原因って事でいいんだよな」

男「となるとここは氷枕でも作って持っていくか…さて氷、氷っと」

ガラガラガラ

???「この音は!!」ダダダッ!!

男「!!大丈夫なんですか、安静にしていた方が…」

???「いえ、というよりこの音って」

男「これですか、今氷枕を作ろうとしていた所ですよ」


24: 2012/08/30(木) 00:37:32.47
???「あの…氷枕は大丈夫ですので、この氷をいただけませんか?」

男『何か枕以外に使うのかな、俺じゃちょっと分からないけど…』

男「氷そのままですか?別にかまいませんが…」

???「良かった!それじゃあ」

男「あの、よろしければタオルとかも貸しm」

???「いただきまー――す!!!」ガリッ!

???「うん、美味しい!生き返る~!!!」ガリガリボリボリ!

男「   」


25: 2012/08/30(木) 00:42:25.39
???「ふう、チャージ完了!!」

男「…あの~」

???「!!すいません、私ったら氷に集中しちゃって感謝の言葉も言わずに」

男「いや、気になるのはそこじゃないんだけど…」

???「このたびは本当にありがとうございました!!あのままだったら私どうなって
いた事だか…本当に感謝してもしきれません!!」

男「それは良かった、じゃあ今度は俺の方から質問してもいいですか?」

???「はいはい、何でも…あ、スリーサイズは秘密ですよ!けど健全な男の人なら…
仕方ないですよね?それでしたら…」

男「うん、ここまで話を脱線させられると流石にむかついてきたわ」


26: 2012/08/30(木) 00:54:35.34
???「失礼しました!それで、質問って言うのは?」

男「じゃあまず一つ、なんで氷を食べたの?」

???「えー、そう聞かれますと答えずらいといいますか…強いて言うなら身体の体温を
下げるためですかね」

男「それを踏まえてもう一つ。体温を調べたときとか肩を貸した時とかにも気になったん
だけど、体温がかなり低くないか?」

???「えーっと、それは体質といいますか…」

男「医者にかかりたくないって言ったのはそれが理由なんだな」

???「えっと理由といいますか仕方ないといいますか…そうですね、ここまで親切にしてもらった
のに隠し事はできませんよね」

男「隠し事?やっぱり何かの犯罪にかかわってるとかか」

???「違います!!いいですか、聞いて驚かないでくださいよ…」


27: 2012/08/30(木) 01:03:37.12
男「……なんなんだ?」

???「いいですか、私…実は」

男「…!!!」

雪女「雪女なんですーーー!!!」

男「    」

雪女「申し訳ございませんでした。隠すつもりはなかったんですが、やっぱり正体を言う
とショックが大きいと思いまして」

男「…うん、分かった」

雪女「良かったー。分かってくれたんですね」

男「…こうなったら最後まで付き合ってやるよ。まずは病院を探して…と」カチャカチャ

雪女「ちょ、淡々と何をしようとしてるんですか!?」


28: 2012/08/30(木) 01:05:43.23
男「いや、とりあえず夜でもやってる病院を探してるんだよ。まあ専門的な治療はできない
かもしれないけど…そのままよりはましだろ」

雪女「いやいや、何勝手に私を痛い子みたいにしようとしてるんですか」

男「…まさか自分の体温が低いからって雪女になりきろうとするなんてな、よほど暑さが
こたえたんだろ?」

雪女「違いますー!!紛れもなく本物の雪女なんですよー!!」

男「…じゃあ証明できるのか?まあ無理だろうが」

雪女「ええ、こうなったらやってやりますよ!!言っときますけど後悔しても遅いですよ!!」

男「はいはい怖い怖い」

雪女「全く信用されてないー!」

29: 2012/08/30(木) 01:07:17.43
男「で、具体的には何をしてくれるんだ」

雪女「そうですね~、あ、あのバナナいただいていいですか?」

男「ああ、別にかまわないけど」

雪女「じゃあまずは半分食べていただけますか?」

男「こうか…うん、普通のバナナだな」モグモグ

雪女「ありがとうございます。じゃあ残りのバナナを使って…とう!!」ガキーン!!

男「なっ!?」

雪女「どうです?試しに食べてみます?」

男「ああ、じゃあ…って」ガキッ!

雪女「どうですか?カッチカチでしょ?」

男「全然歯が立たないぞ、これ」

雪女「そりゃあ全力で凍らせましたもん、やる気になればそれで釘も打てますよ?」

男「それは遠慮しておく」



33: 2012/09/02(日) 00:02:02.71
男「…ってかさ、一つ聞いていいか?」

雪女「お断りします!!」

男「なぜ断ったし」

雪女「だってさっきから質問されてばっかりなんですもん。こっちも聞きたい事があるのに
フェアじゃないですよ」

男「一応助けたのは俺なんだけど…で、聞きたい事って何さ?」

雪女「それはもちろんあなたの名前ですよ」

男「…は?」

雪女「だって助けてくれた人の名前も知らないなんておかしいじゃないですか!!まだ
ちゃんとお礼も言えてないんですから」


34: 2012/09/02(日) 00:09:53.45
男「なんだそんな事か。だから気にしなくてもいいって」

雪女「私は気にするんです!で、何ていうんですか?」

男「そこまで言うんだったら…まあ周りからは一応男って呼ばれてるよ」

雪女「男さんですか…なんというか、安直な名前ですね?」

男「おいこら」

雪女「冗談ですって!けどこれでようやくお礼が言えます…男さん、見ず知らずの私なんかを
介抱してくれて、本当にありがとうございました」

男「お前が元気になったんだったらそれでいいよ」

雪女「…ツンデレですか?」

男「違う!!」

35: 2012/09/02(日) 00:19:21.20
男「…で、あと何か聞きたい事はあるか」

雪女「いえ、とりあえずはないですね」

男「じゃあ改めて俺から質問だ。これは思い込みなのかもしれないけど…雪女って基本的に
冬の妖怪だよな?」

雪女「そうですね、冬限定って言う訳ではないですけどまあ雪の多い季節に出る事が多いので
まず間違ってませんね」

男「今は夏なんだけど」

雪女「…では逆に聞きます、夏に雪女が出てはいけないなんて誰が決めたんですか?」

男「いや決めたわけじゃないけど」

雪女「だったらいいじゃないですか。夏に雪女が出てきたって」

男「まあ、そりゃそうだけどさ…」

雪女「ただ出てくるもんじゃないってのは今日身をもって知りましたけどね!本当に
氏にかけましたし」

男「駄目じゃねーか」


36: 2012/09/02(日) 00:32:10.32
雪女「もちろん私だって目的がなくて出てきた訳じゃないんですよ?ちゃんとした目的が
あったんですから」

男「なんだ、妖怪の集まりでもあったのか」

雪女「いえいえ、ほら最近なんかやたらバカでかい電波塔ができたっていうじゃないですか」

男「電波塔…?スカイツリーの事か」

雪女「あー、多分それです。で、それがどれだけ大きいのかを自分の目で確かめたくなりましてね」

男「まさか観光目的か」

雪女「そうです!今の時期なら仕事の方もオフですし、ちょうどいい機会かと思いまして」

男「…で、氏にかけたと」

雪女「…都会って、予想以上に暑いんですね~ホントビックリしました」


37: 2012/09/02(日) 00:37:46.79
男「それで話の腰を折るようで悪いんだけどさ、観光に行くのはいいけど…ここ、スカイツリー
から、かなーり離れてるんだけど。それこそ何十キロも」

雪女「あーそれなんですけどね、本当は今日中にスカイツリー付近までは行く予定だったんですよ」

雪女「けど、電車に乗ってたらこの暑さと電車の密閉感に参ってしまいまして、とりあえずここの近くの駅に降りたんですよ」

男「何ていうか…現代慣れしてない妖怪も大変だな」

雪女「で、電車から降りたのは良かったんですが、今度は何処で体力を回復させようかと
思いまして、ちょうど目に入ったスーパーに入ったんです。そしたらそこが思いのほか
涼しくてついつい長居しちゃいまして」

男「どのぐらい?」

雪女「えーっと、閉店まで居ましたかね?最後店員さんに声をかけられまして」

男「何も買わずに長居だけするって…」


38: 2012/09/02(日) 00:47:50.76
雪女「で、夜も遅かったので今日は何処かに泊まろうかと思案してたんですが…この暑さ
ですよ。何なんですかこの暑さは!!」

男「あー、アスファルトとか熱は逃げにくいし、山と比べればそりゃ過ごしにくいわな」

雪女「それなんでだんだん意識がボーっとしてきまして、ふらふらしてしていたところを
男さんに助けられたんですよ」

男「なんというか…もう少ししっかりと計画を立てろよ」

雪女「そうですね、今後は気をつけようとは思います」

男「で、これからどうするんだ?」

雪女「そうですね~、体調の方もだいぶ回復しましたしどこか泊まれる所でも探しますよ」


39: 2012/09/02(日) 00:52:19.80
男「泊る所って…どこかあてはあるのか?」

雪女「あてって…正直ないですね。最悪漫画喫茶にでも行きますかね」

男「はぁ、だったら…泊っていくか?」

雪女「えっ///!!」

男「い、いやいやそういう意味じゃないから!!ただ泊る所がないとまたぶっ倒れる可能性が
あるだろ?だからお前さえよければ…な」

雪女「けど…」

男「だ、大丈夫だって、最悪台所で寝るからさそんな気にしなくてもさ」

雪女「そうじゃなくって…男さんに迷惑をかけると思いますから」

男「うーん、俺は別にかまわないけど?時期外れだけど明日から夏休みだし部屋のものを
荒らしたりしなければ別に」

雪女「……」

男「まあ最終的な判断はお前に任せるけどさ」

40: 2012/09/02(日) 00:57:27.16
雪女「…本当にいいんですか?」

男「俺は別に、後はお前次第だよ」

雪女「…それじゃあ、お言葉に甘えてお世話になります!!」

男「はいよ、じゃあ短い間だけどよろしくな」

雪女「こちらこそ、よろしくお願いします!」

男『まあ、特に予定もなかったし変わった事になりそうだけど…それもまたいいか』


41: 2012/09/02(日) 00:59:39.19
雪女「それで、さっそくで悪いんですけど…ちょっとこの部屋の温度下げさせてもらっても
いいですか?」

男「ありゃ、確かクーラーは入ってるからそこまで暑くはないはずだけど」

雪女「確かにクーラーは入ってるんですけど、私からするとやっぱりまだ暑いんですよね~
だから私の力を使って少し涼しくしようかと思いまして」

男「涼しくって…どのぐらいだ?」

雪女「そうですね~適温ですかね」

男「嫌な予感しかしないんだけど…試しにやってみてくれる?」

雪女「はい!それじゃあ遠慮なく~!」ヒュオォォォォォーーー!!

男「おぉー涼しい、本当に雪女なんだなー」

42: 2012/09/02(日) 01:05:38.33
雪女「えへへ///けどまだまだ下がりますよ~!」ゴォォォォォォーーー!

男「おぉーこれはこれは…ってさむっ!」ゾクッ!

雪女「そーれそれそれそれ~」ヒュゴォォォォォォーーー!

男「すと、ストーップ!!もういいから、もういいから元に戻してくれ!!」

雪女「なんでですか、ようやく適温近くになってきたんですよ」

男「ゴメン俺が間違ってたわ。この温度は人間には無理だ!!」

雪女「え~、雪女って一度力を出すとしばらく止まらないんですよね」

男「なん…だと?」


48: 2012/09/07(金) 23:12:33.32
~ ~ ~

男「そして俺は押し入れから冬着を引っ張り出して、今に至る訳だ」

雪女「何をごそごそやってるかと思ったらそんな事をやってたんですね」

男「いや、服でも着こまないとマジで凍氏しかねないから。おまけに暖かい食べ物もないし」

雪女「さっきカレーを食べたじゃないですか」

男「いやこう身体の心から温まれるようなものがほしいんだよ!」

雪女「ないない、この時期にそれはないですよ」

男「お前のせいだろうが!全く、俺が凍氏したらどう責任取るつもりだよ」

雪女「…それはそれで都合がいいんですがね」ボソッ

男「!!今何か物騒な事言わなかったか、なんか背筋がゾッと来たんだが」

雪女「き、気のせいですよ~!!」

男「…念のためもう少し厚着しておこう」

49: 2012/09/07(金) 23:25:11.19
男「しかし…そんな虚弱体質で観光とか大丈夫なのかよ?」

雪女「大丈夫です!ここで十分充電させていただきましたし」

男「充電て言ってもどうせまたすぐへばるんじゃないか?」

雪女「いえいえ、今回の事を反省しまして定期的にアイスを食べる事にしました」

男「そんな事で大丈夫なのかよ」

雪女「問題ないです。それなりに冷えますし…まあ一時間に一個のペースになっちゃいそうですが」

男「太るぞ」

雪女「だ、大丈夫ですよ!!いざとなったらサウナにでも入ればすぐに」

男「それは自殺行為だ、というか自殺じゃねーか!」

50: 2012/09/07(金) 23:38:40.28
雪女「そうそう、アイスといえばちょっと男さんにお願いしたい事があるんですが」

男「これ以上寒くしたいという願いだったら即効で断るが」

雪女「違いますよ、あのですね~実は私、今手持ちのお金がないもので」

男「ふーん…ってはぁ!?」

雪女「そんなに驚かないでくださいよ~」

男「いやいや、金がないってお前どうやってここまで来たんだよ?」

雪女「いやーここまでの旅費は冬場、スキーで来る人たちが転んだ時に落としたお金を
コツコツと集めたものでして」

男「…なんかものすごい地道なことしてるな」

雪女「そりゃそうですよ、人様には迷惑をかけられませんからね」

男「妖怪が言う台詞じゃないだろう、それ。というかなんでアイスで思い出したんだ?」

雪女「…まあそれは置いときまして」

男「置いておくなよ」

51: 2012/09/07(金) 23:48:06.42
雪女「で、まあコツコツ集めたお金なのでそんなに集まらなかった訳でして」

男「なるほど…暑さに参った他にもそんな理由もあった訳か」

雪女「それでですね、私には手持ちのお金がないんですが…代わりにこれを持ってきまして」ゴソゴソ

男「これ?」

雪女「はい、えーっと…はい!!これです」ジャラ!

男「これって…!!こ、小判!?」

雪女「そうですね、ちょっと大きめですけど多分本物ですよ」

男「まあ俺も本物なんて見たことないけど…どうしたんだよこれ?」

雪女「話せば長くなる…訳でもないですけど、それは私のおばあさんから受け継いだものなんですよね」

男「受け継いだ…って事は形見とか何かか!?んな大事なもんを…」

雪女「あ、そういうのではなくて」


52: 2012/09/08(土) 00:01:10.98
雪女「何でも私のおばあさんが若かったころ、山の奥の方にたくさんのお侍さんが来た事が
あったらしいんです」

雪女「で、そのお侍さんたちが何かを埋めて、その上何やら目立つ目印みたいなのを建てて
山を下りていったらしいんですよ」

雪女「で、気になったおばあさんがその埋めた跡を掘り起こすと…これが埋まっていたという訳です」

男「…それって、徳川埋蔵k」

雪女「で、おばあさんはこれはいけない!!と思ったらしいんですよ」

男「まあ仮にも埋蔵金を掘り出しちゃったわけだしな」

雪女「いえ、こんな分かりやすい所に隠すなんて…って」

男「そっちかいな!」


53: 2012/09/08(土) 00:05:49.32
雪女「で、その後おばあさんは更に山の奥深く、それこそ人が入り込めないような所に
改めて埋めなおしたんですって」

男「道理で糸井さんが探しても見つかんなかった訳だ」

雪女「もっとも今となっては私もどこにあるのだか知らないんですけどね」

男「おばあさん伝えなかったの!?」

雪女「何でも『世の中には、眠り続けていた方がいいものもあるのだよ…』って言ってたみたいで」

男「…まあ、一理あるけどさ」

雪女「そんな訳で、これはその時埋めなおした報酬って事でくすねた一部らしいです」

男「結局盗ってるんじゃねーか」

雪女「ちなみにウチにはあと千枚近くあったりします」

男「それは本当に一部なのか!?」

雪女「そんな事言われましても」

54: 2012/09/08(土) 00:12:05.71
雪女「で、お金代わりになるかなーと思いまして持ってきたんですよ」

男「お金代わり…まあ換金できれば大丈夫だろうけど」

雪女「それじゃあちょっと換金して来ていただけないでしょうか?」

男「それぐらいなら別にいいけど…ってかお前はなんでしてこなかったんだ?」

雪女「いや~最寄り駅がかなりの田舎街でして…換金できそうな所がなかったんですよね」

男「それなら仕方がないか」

雪女「…田舎駅の宿命ですかね」

男「言うな」

55: 2012/09/08(土) 00:19:19.33
雪女「そうそう、ついでにお金が余るようなら帰りにアイスも買ってきてくれませんか」

男「どんどん注文が増えるな…もう氷でも食っとけよ」

雪女「味気ないです」

男「そんなもんかね~」

雪女「そうですよ、人間でいえばフランスパンをひたすらガジガジしてるようなものですよ」

男「何とも嫌な例えだな」

雪女「けどわかってくれましたか?」

男「…確かに辛いものがあるな」


56: 2012/09/08(土) 00:23:20.12
雪女「そういう訳でお願いいたします、それとアイスはできればアイスボックスを所望したいのですが」

男「本当に好きだな、あれ」

雪女「ああああああああああ並みの中毒性ですよ、あれは」

男「じゃあちょっと行ってくるわ」

雪女「では、よろしくお願いしますー」

男「けど外はかなり暑いんだよな~なんか感覚が狂いそうだわ」

雪女「この部屋になれてると確かに辛そうですね」

男「全くだよ、帰ってきたら部屋の気温が少しはまともになっていてほしいもんだけど」

雪女「大丈夫です!!キンッキンに冷やしておきますんで」

男「よーし行く前に換気も兼ねて窓を全開にしていくかー」ガラガラッ

雪女「何もしないんで許してくださーい!!」


57: 2012/09/08(土) 00:36:23.64
~ ~ ~

男「た、ただいま…」ハァ…

雪女「お帰りなさいってなんかすごく疲れてませんか?」

男「ああ、まあとりあえずこれを先にしまっといてもらえないか」

雪女「おおーアイスがこんなに!ありがとうございます!!」

男「別にいいさ、それより…相談があるんだけど」

雪女「相談ですか?」

男「うん、率直に言うと…あれを売ってきたらこれだけになった」バサバサッ

雪女「   」

58: 2012/09/08(土) 00:42:15.89
雪女「…すごく、多いですね」

男「俺も驚いたよ、まあ一番驚いていたのはお店の人だったけど」

雪女「どんだけ貴重だったんでしょうか?あれ」

男「さあ…まあこの額から言って相当なものだったんだろうけど。けどよかったじゃないか、
これだけあればいい旅行ができるぞ」

雪女「…そう、ですね」

男「なんだ、まだ何か不満な事でもあるのか?」

雪女「いえ…不満というか、よかったらでいいんですが」モジモジ

男「?」

雪女「これだけお金もありますし…男さんも一緒に来てくれませんか?」

男「お、俺もか?」


59: 2012/09/08(土) 00:44:41.39
雪女「は、はい。ほらやっぱり旅行とかは一人より二人とかのほうが楽しいじゃないですか。
それに男さんも夏休みって言ってましたし…」

男「…まあ確かに予定はないけどさ」

雪女「それなら…ついてきてもらえないでしょうか?もちろん男さん次第ですが」

男「なるほど…で、本音は?」

雪女「万が一倒れた時にフォローしてくれる人がいないと即効で研究所送りにさせそうなので」

男「ありがとう。とっても分かりやすいわ」

雪女「あ、あの全部がそうじゃないんですよ!あくまで心配なだけで!!」


60: 2012/09/08(土) 00:48:48.86
男「分かってるって…で、行くとしたら明日か?」

雪女「そうですね、今日はもう時間的にもちょっと遅いですし」

男「だよな、じゃあ今日は早めに飯食べて休むとするか」

雪女「え、じゃあ男さん…?」

男「…まあここまできたら最後までって事で、それに何もする事がなかったのも事実だしな。
付き合わせてもらうよ」

雪女「!!あ、ありがとうございます!!!」ヒュゴォォォォォ!!!

男「分かった、分かったからこの吹雪はなんとかしてくれ!!」

雪女「あ、すいません嬉しさのあまりつい…」

男「どんな表現の仕方だよ」

61: 2012/09/08(土) 00:52:01.09
雪女「けど、こうして誰かと出かけるなんて事初めてなんでとっても楽しみです!」

男「あれ、こうやって出かける機会とかってあんまないの?」

雪女「出かけるるといっても基本的に地元だけですし…こういう遠出は初めてなんですよ」

男「だからあんな行き当たりばったりな計画だったんだな」

雪女「もうそれは言わないでくださいよ~」

男「冗談だって、さて早いけど夕飯の準備でもするかな」

雪女「あ、お礼に何か作りますよ」

男「どうせ冷製の何かだろ」

雪女「…そうですけど」

男「いまは温かいものが食べたいのでお断りします」

雪女「そんな~」

男「まあ、その元気は明日にでもとっておけって。どうせ疲れるだろうしな」

雪女「…はーい!」



65: 2012/09/09(日) 23:47:21.31
~次の日~

雪女「…楽しみだったんです、本当に」

雪女「こうやって出かける機会なんてなくって、子供みたいにウキウキしちゃって…
だから、これも不可抗力だったんですよ」

男「ほうほう」

雪女「信じてくださいよ!本当に無意識だったんですよ、まさか、あんな事になるなんて」

男「そうだな、俺だってあんな風になってるなんて思ってなかったよ」

男「まさか起きてみたら部屋の中が銀世界だったなんてなー」マッシロダッタナー

雪女「本当にゴメンなさーい!!」

66: 2012/09/10(月) 00:04:28.78
男「全く…この夏に雪を見るなんて思っても見なかったわ、しかも部屋の中でなんて」

雪女「いや~私もびっくりですよ!」

男「おかげで朝から掃除が大変だったがな!」

雪女「掃除というか雪かきでしたね」

男「お前な…下手したら凍氏してたんだぞ」

雪女「いや~厚着していて良かったですよね」

男「…もういいや」


67: 2012/09/10(月) 00:17:54.58
雪女「で、掃除も終わりましたしどうしましょうか?」

男「そうだな…まだ九時ぐらいでそんなに外も暑くないから今のうちに駅に行っちまうか」

雪女「はーい、了解しました!」

男「ところで何か持っていくものとかはあるか?」

雪女「いえ特には、まあアイスとかはその場で買ってかないと溶けちゃいますし」

男「はいよ。しかし…」

雪女「なんですか?人をジロジロと見て」

男「いや、昨日は気にもしなかったけど、お前一応雪女だよな?」

雪女「今さらですか?何度も証明してみせたじゃないですか」

男「うん、それは分かってるんだけど…なんか露出多すぎないか?」


68: 2012/09/10(月) 00:23:43.31
雪女「!!!どこを見てるんですか!このエOチー!」

男「違う!そういう意味じゃなくてだな」

雪女「エOチー、スケッチー、ワンタッチー」

男「お前は小学生か!!」

雪女「…とまあ冗談はこれぐらいにして、ちょっと肌を出しすぎでしたかね」

男「いやぁまあ時期的にはいいんだろうけど…雪女的にはどうなのよ」

雪女「といいますと?」

男「いや、ほら雪女ってこう着物のイメージがあるからさ、こう洋服を着ているとなんか
違和感があるというか」

雪女「いやですね~男さんも。妖怪だって時代の流れには合わせていきますよ」


69: 2012/09/10(月) 00:31:40.27

男「そういうものなのか」

雪女「そういうものなのです。それに男さん、考えてみてくださいよ…今の時期真っ白な
着物を着て街を歩く人がいたら男さんはどう思いますか」

男「まあまず近寄りたくはないな、って言うか怖い」

雪女「でしょ!だから今回はこんな風に夏服にしてみたんですよ。ちなみに無理はしてませんので大丈夫です」

男「それならいいんだけどさ…」

雪女「何かまだ聞きたい事でもあるんですか?」

男「いや聞きたい事というか…その」

雪女「その?」

男「いや、やっぱスタイルいいなーって思ってさ」


70: 2012/09/10(月) 00:32:47.59
雪女「…!!やだ、もー!!!」ヒュゴォォォォォォ!!!

男「ぶっ!ちょ、吹雪はやめて、いやマジで!!」

雪女「だってさっきから男さんが変な事言うんですもの」ゴォォォォォォ

男「仕方がないだろ!気になっちゃうんだよ」

雪女「もう、男さんって本当にエOチなんですね!」ヒュゴォォォォォォ!!!

男「分かったからいい加減止めてくれ!凍傷になっちまうー!!!」

71: 2012/09/10(月) 00:33:49.17
~ ~ ~

男「…まさか今日のうちに二度も凍氏する羽目になるとは…」

雪女「知りません!!」

男「だーかーら、ただ気になっただけで深い意味はないんだってさ」

雪女「ふん、どーだか」

男「冗談も言えんのかいな…まあいいや、はいこれ切符な」

雪女「あ、ありがとうございます」

男「まあ切符って言っても乗り換えも特にないし迷うこともないとは思うけど」


72: 2012/09/10(月) 00:39:59.87
雪女「案外簡単に着けちゃうもんなんですね」

男「いいじゃないか、簡単に着けた方が。乗換なんてあると悲惨だぞ、一歩間違うと…」クッ

雪女「えーっと、何か嫌な事でも思い出させちゃいましたか?」

男「いやいいんだ。もう昔の事だしな…」

男「とはいえ電車に乗ってる時間も長いし、今のうちにアイスとか買っておくといいんじゃないのか?」

雪女「そうですね、じゃあちょっとそこの売店に行ってきますね」

男「買いすぎるなよー」

雪女「はーい!」

男「さて、こっから行くと大体一時間半ぐらいか。それならお昼前には着けるかな」カチャカチャ

男「後はあいつの体調を見ながらその他を散策してと」

男「さて、今日はそんなに暑くならなきゃいいんだけど…」


73: 2012/09/10(月) 00:40:53.32
雪女「…絶望しました」ドヨーン…

男「ど、どうしたんだよ!そんな暗くなっちゃってさ」

雪女「ここの売店、アイスボックスが売ってないんですよ…」

男「そりゃまあしかたないだろ…ってかアイスボックス好きだなぁおい!」

雪女「…おかげでテンション駄々下がりですよ」

男「まあ、ご愁傷さまとしか言えないけど…で、その手に持ってる袋は?」

雪女「腹いせにアイスモナカを大人買いしてきてやりました」

男「なにやってんのやお前は!?」

雪女「全てはアイスボックスを置かないここの売店が悪いのです…」

男「だからって子供じみたやつあたりをするな!!」





80: 2012/09/10(月) 23:31:27.57
雪女「嗚呼、アイスボックス…」モグモグ

男「いい加減機嫌直せよな、こうして出発してるんだからさ」

雪女「ええ、だからこうして我慢しつつ食べてるんですよ」

男「だったらもう少し静かに食べろ」

雪女「はぁーい…」

男「それと食べたごみはちゃんと袋にいれとけよ、後でまとめて捨てるから」

雪女「大丈夫です、それぐらいのマナーは心得ていますよ」

男「その考えも、本当は当たり前なんだがな…」


82: 2012/09/10(月) 23:45:44.05
雪女「ふぅ、満足満足!」

男「ずいぶん食べたな…周りの人も結構見てたぞ?」

雪女「まあ私の場合は充電も兼ねてますし」

男「じゃあ後はのんびりとしてようか、まだまだ到着までには時間はあるしな」

雪女「…けど男さん」

男「どうした、まさかまだ食い足りないとかじゃないだろうな」

雪女「そうじゃないです!景色ですよ、景色」

男「景色?ああ電車の外の景色か」

雪女「ええ、何ていうか…本当に変わるもんなんですね」

男「そうか、お前はこっちの方とか来た事がないんだっけ?」

雪女「はい…まあ昔の様子については母とかから聞いたりはしてたし、山の方もスキー場やら
何やらで開発はされていましたけど」

男「…こんなビルだらけの景色なんて見た事が無かったってか」


83: 2012/09/10(月) 23:54:43.34
雪女「…確かにたくさんの人が住むんですから、こうなっていくのも自然かもしれないん
ですけど、これってどうなんでしょうか?」

男「…俺はこれでいいとは思う。あくまで個人的にだけどな」

男「なんだかんだいって買いものとかは楽だし、あまり不便に感じる事はない。しいて
言うなら部屋が狭いことぐらいだが」

男「けどまあ…自然ではないよな。特にお前からしたら」

雪女「そうですね、やっぱり慣れませんね…こういうのは」

男「お前は自然の方がいいってか」

雪女「一応雪女ですし」

男「まあ、初めての観光なんだし、こういうものと割り切って楽しめよ。どうせずっといるわけ
じゃないんだしさ」

雪女「そうですね。すいませんつい感情的になってしまいまして」

男「いや、別にいいさ。それにお前の言いたい事も分かるしな」

雪女「…ところで男さん」

男「うん?」

雪女「アイスが食べたいです」

男「燃費悪っ!?」



84: 2012/09/11(火) 00:10:53.68
~ ~ ~

雪女「~♪」

男「…あの後途中で駅を降りて、売店でアイスを補給する事数回…ようやく着いたか」

雪女「いや~思ったより長かったですね」

男「大体お前のせいだろう!!」

雪女「ちょ、大声は止めてくださいよー、目立ちますし」

男「くっ!!」

雪女「それにしてもまあ…人が多いですねぇ」

男「元々観光客も多かった所にあのスカイツリーだもんな、そりゃ人も多くなるさ」

雪女「物好きも多いんですね」

男「お前もその一人だろーが」

雪女「そりゃ~まあそうですけど」

86: 2012/09/11(火) 00:17:09.69
雪女「けど男さん、ここからスカイツリーまでは結構距離があるみたいなんですが…」

男「ああ、少し歩こうと思ってな」

雪女「この暑い中を何故ですか!ひょっとしたらいじめですか!?」

男「いや、スカイツリーだけってのも寂しいからさ、ちょっとこのあたりを観光していこうと
思って」

雪女「このあたりといいますと」

男「浅草雷門とか…お前も知ってるだろ?」

雪女「あー、あのバカでかい提灯のやつですね」

男「そうそう、どうせ来たことないんだったら他のもんも見たいかな~と思ったんだが…
嫌ならタクシーでも使って直接行くか」


87: 2012/09/11(火) 00:31:44.89
雪女「……」

男「まあ確かに俺が勝手に考えただけだし、そんな無理しなくても」

雪女「…男さん、私を何だと思ってるんですか」

男「へ?」

雪女「雪女だからって心も冷たいと思いますか?男さんがせっかく考えてくれた予定を潰すような、そんな風に見えるんですか?」

男「いやいや、いってる意味が分からないんだが…」

雪女「だーかーら、男さんの計画でいいですって!!その代わり、精一杯私を楽しませて下さい!!!」

男「お、お前こそ大声を出すなよ…」

雪女「あ、ついうっかり///」

男「…まあそこまで楽しませられるかは分からないけど、精一杯頑張らせてもらうよ」

雪女「じゃあ道中お願いしますね!」

男「はいよー」

88: 2012/09/11(火) 00:40:07.09
男「…というわけでさっそく着いたか」

雪女「ほへー、雷門って本当に大きいんですね~」

男「俺も実物を見るのは初めてだが…大きいもんだな」

雪女「横にある像は何の像なんでしょうか?」

男「えーっと、風神雷神像らしいぞ」

雪女「へー…って何を見てるんですか」

男「ああ、アプリの観光サイトを見ながら」

雪女「はぁ、結局は機械だよりですか、悲しいですね」

男「ほっとけ!!」

89: 2012/09/11(火) 00:42:42.87
雪女「けど、この風神雷神像もかわいそうですよね」

男「どこがだ、立派なもんじゃないか?」

雪女「だって、確かに浅草のイメージですと一番に出てきますけど…それは雷門と提灯で
あって、この像ではないですよね」

男「…確かに」

雪女「そういう意味でなんというかかわいそうだなーと思いまして。例えるなら酢豚の
中のパイナップルのような」

男「賛否両論出てきそうだからその例えはやめい」

雪女「ちなみに男さんは?」

男「…どうでもいい」


96: 2012/09/13(木) 22:50:09.50
男「で、この通りを通って浅草寺まで行くぞ」

雪女「それにしても人が多いですね、提灯といいまるでお祭りみたいです」

男「祭りではないにしろ人が多いのは確かだな。まあ東京の観光スポットといえば…」

雪女「あ、人形焼きだ~」トテトテ

男「ってなことでな…っていね~!!」

雪女「男さん見てくださいよ!できたてホヤホヤですよこの人形焼き」

男「おっ!なかなか美味そうだな」

雪女「けど熱いのは持ちたくないんで男さん持って下さいな」

男「買ってきておいてそれかよ」

雪女「後で食べますって…とりあえず冷たくなったらですけど」

男「できたて買ってきた意味ないじゃないか…」

97: 2012/09/13(木) 23:01:01.24
雪女「しかし、このあたりは見てて飽きませんね~」

男「そりゃあそこらじゅうで買い食いしてれば飽きないだろうさ、ってか大丈夫なのか?
そんなに食って」

雪女「大丈夫ですよ、途中でソフトクリームとかも食べてますし、それに昔から言うじゃないですか」

男「昔から?」

雪女「ほら、『甘いものは別腹』って」

男「お前の場合はもう主食の域までいってるぞ」

雪女「もう、我慢しないで男さんも食べればいいじゃないですか」

男「横でここまでバクバク食べられたら食う気も失せるわ」


98: 2012/09/13(木) 23:08:12.32
男「さて…そうこうしてるうちに着いたか」

雪女「ここが浅草寺ですか。いや、なかなか重々しいですね」

男「そういえばお前は大丈夫なのか?」

雪女「はい?」

男「ほら、妖怪というか幽霊とかってこういう神聖な場所とかは苦手とか言わないか?」

雪女「なんですか?人を悪霊とでも言いたいんですか?」

男「いや、そういう訳じゃないけどさ」

雪女「そのあたりは大丈夫ですよ、特に影響もありません」

男「それなら良かった、万が一何かあったら嫌だしな」

雪女「一応心配してくれたんですね」

男「一応は余計だ」

雪女「…ありがとうございます、男さん」

男「……ん?」

雪女「!!そ、それじゃあ早く行きましょー!!!」ピュー!!

男「…?変なやつ」


99: 2012/09/13(木) 23:15:19.54
~ ~ ~

雪女「お、お寺って結構大きいんですね…」ハァハァ

男「おい、大丈夫かよ?」

雪女「大丈夫です、ちょっとはしゃぎすぎただけですから…」

男「寺ではしゃぐってのもなんだかな」

雪女「後でまたアイスの2、3個でも補給すれば元に戻りますよ」

男「…なんだったら今近くで買って来てやろうか?」

雪女「!!いいですって、ほら、もう元気になっちゃいましたから!」ピーン!

男「無理してるのがバレバレだぞ」

雪女「あう…」

男「…まあいい、ただくれぐれも無理はするなよな」

雪女「はい、気をつけます…」


100: 2012/09/13(木) 23:19:55.00
雪女「そうですね。さて、お賽銭お賽銭っと」ガサガサ

男「そういえばお賽銭って具体的にどれぐらい入れればいいんだ?」

雪女「んー、特に決まりはないとは思いますよ。まあその人の気持ち次第とは言いますが」

男「けどほら語呂合わせとかあるじゃん、45円とか15円とか」

雪女「あれはあくまでゲン担ぎみたいなものですし…まあ私もよく知らないんですけど」

男「そんなものか」

雪女「あとはその人の思い次第でしょうね。お賽銭を上げたから願いが確実にかなうもんでも
ないですし…」

雪女「大事なのは、その願いに向けてどれだけ努力できるかでしょうね」


101: 2012/09/13(木) 23:24:21.54
男「……」

雪女「男さん?」

男「…ああゴメン、お前がなんかまともな事言いだしたからやっぱり暑さにやられたのかと」

雪女「だーかーらー、本当に大丈夫なんですからー!!!」

男「悪い悪い、じゃあさっさと済ませちゃうか」チャリン

雪女「話しをそらしましたね…まあいいですけど」チャリーン!!

パン!!パン!!

男「……」

雪女「……」


102: 2012/09/13(木) 23:28:49.54
男「さて、お祈りも済んだし行くか」

雪女「ちなみに男さんは何を願ったんですか」

男「黙秘します」

雪女「なんでですかー」

男「ほらこういうのって口に出すと叶わなくなるって言うじゃんか?」

雪女「じゃあちょっとだけヒントをお願いします!」

男「だーめ」

雪女「男さんのケチ~」

男「お前だって言いたくはないだろ、お互い様ってことさ」

雪女「私ですか?私はですね…」

男「俺が悪かった、悪かったから言わんでいい言わんで」


103: 2012/09/13(木) 23:38:18.48
雪女「ぶー、けちーけちー」ブツブツ

男「そんなにふてくされるなよ」

雪女「だってー…あ!男さん!あそこにおみくじがありますよ、記念にやっていきましょうよ」

男「おみくじか…まあたまにはいいかな」

雪女「ふふっ、なにがでるかななにがでるかなー♪」ガラガラ

男「ご○げんようじゃないんだから…さて、俺はと」ガラガラ

雪女「さーて中身の方は…!!」ピラッ

男「あまりいい予感はしないが、果たしてどうだか…?」ピラッ

雪女「見てください男さん!!大吉ですよ大吉!!」

男「…良かったじゃないか」

雪女「いやー、やっぱり日頃の行いがいいからですかねー、人知れずスキー場の環境美化に
努めたかいがあったってもんですよね」

男「結構マメにそんな事やってたんだな」


104: 2012/09/13(木) 23:41:56.70
雪女「いや~それほどでも、で、男さんは」

男「…これ」

雪女「どれどれ…あ、吉ですか」

男「いやよかったとは思うんだけど…こうリアクションがな」

雪女「…取りづらいですね、けど悪くないだけいいじゃないですか」

男「うん、ありがとう…」

雪女「そ、そうだほらそこに結ぶ所があるから結んでいきましょうよ!」

男「…確か結ぶといいんだっけ?」

雪女「うーん、まあこれもマチマチですけど…」

雪女「自分か良くなると思えばいいんですよ!これも気持ち次第ですからね!」

男「流石、大吉を引いたやつは言う事が違うなー」

105: 2012/09/13(木) 23:47:51.23

雪女「いや、そういうつもりでいったんじゃなくてですね…」

男「冗談だよ、じゃあちょっと結んでくるわ」

雪女「はい、じゃあ私はここで待ってますね」

男「あれ、お前は?って大吉だから持って帰るのか」

雪女「まあそれもありますけど…」

雪女「…男さんとの、大事な記念の品になりそうですから」


106: 2012/09/13(木) 23:52:36.45
雪女「うーん、ジェラート美味しい!!」モグモグ

男「だいぶ回復したみたいだな、良かった良かった」

雪女「で、この後はどうするんですか?」

男「そうだな…食事の方は食べ歩きながらの方が楽しそうだし、電車で行くのもなんか
味気ないし…歩いてスカイツリーまで行かないか?」

雪女「…修羅の道ですね」

男「大げさな、って言ってもお前にとっては氏活問題なのか」

雪女「いえ別に私は構わないんですがまたどうしてですか」

男「いや~観光の事も考えたんだけどさ、あんま俺そういうの詳しくないから…あ、浅草寺は
定番だったから知ってただけで」


107: 2012/09/13(木) 23:57:22.17
雪女「つまりあまり良く分からないと」

男「で、そんな頼りない俺の案内よりもこうして下町を歩いて行った方が楽しいと思ったのよ」

雪女「なるほど、モヤさまみたいなノリですね」

男「なんでお前がそれを知ってるんだよ」

雪女「けどいいですよそれ!なんかちょっとした冒険みたいで楽しそうです」

男「幸いにも目印のスカイツリーを見逃すって事はないしな」

雪女「…あれを見逃せたらよっぽどですよね」

男「それじゃあ、時間もあるしのんびり行ってみようか」

雪女「おー!」

108: 2012/09/14(金) 00:01:22.83
男「しっかし今日は天気にも恵まれて良かったな」

雪女「そうですねー、青空が綺麗で、太陽も眩しくて…とても恨めしいです」

男「それでも大雨よりはましだろ?」

雪女「そりゃあそうですけど」

男「それにしてもこうして歩いてるとお前が雪女だって事を忘れそうだよ」

雪女「そうですか?」

男「まあ見た目人間と変わらないし、黙っていれば分からないだろ」

雪女「触られたらすぐに分かりますけどねー」ヒヤッ!

男「冷たっ!!」

雪女「まあこうなりますよね」


109: 2012/09/14(金) 00:07:14.25
雪女「けど…男さんとこうして歩いていると、ちょっと思うんですよね」

男「なにを?」

雪女「…妖怪と人間って、今の世の中じゃ共存はできないのかな~って」

男「さあ、どうだかな…」

雪女「ほら、日本だと昔から妖怪と人間との共存というか、そういうのが身近だったじゃないですか」

男「河童とか座敷わらしとかか?」

雪女「そうです、今じゃあ話すら聞きませんけど…けど、確かにいるんですよ」

男「確かに今じゃあ聞かなくなったわな…」


110: 2012/09/14(金) 00:10:23.61
雪女「環境の変化もありますけど…一番の理由はこう、人との間に壁ができた事だと思うんですよ」

男「壁?」

雪女「そうです、そういう神話とか妖怪とかを信じなくなった事でできた壁です。もっとも、
それには科学って言う常識があるからですけど」

男「科学では解明できないものは存在しない。たとえそれが昔から言い伝えられてきた事だとしても…ってか」

雪女「そういう壁ができて、妖怪…まあ私も含めてですが、人の前に姿を出さなくなったんですよね」

男「……」

雪女「けどこうして男さんと居ると、そんな壁なんてすぐに壊せるような…そんな気がしまして」

男「悪いけどそれは難しいだろうな」


111: 2012/09/14(金) 00:14:33.69
雪女「…!!」

男「自分で言うのもなんだとは思うけど、俺がこうしてお前を受け入れられたのはあの事があったからだしな」

男「もしお前がそういう前提無しにいきなり出てきたとしたら…正直受け入れられないと思うぞ」

男「もちろんこれは俺だけじゃないとは思う。お前が思っている以上に、その壁ってのはでかいからな」

雪女「…そうですか、ですよね」

男「…まあ、お前がそこまで気に病む事もないだろ。分かる人にだけ分かってもらえればそれで」

雪女「……」

男「…それとも、俺だけじゃ不満か?」

雪女「…!!そんな訳ないじゃないですか!!」ブンブン!

男「じゃあそれでいいじゃないか。それでこの話題は終わりだ」

112: 2012/09/14(金) 00:23:38.83
雪女「え、けど…」

男「いいからその話題は禁止だ。それとなるべくそういう事を考えるのもやめておけ」

雪女「な、なんでですか!?」

男「確かにそんな事を思うのはお前の勝手だ、ただ、お前は何をしにここに来てるんだ?」

男「人間の研究か?それともその打開策を考えるためか?…違うだろ。ただ遊びに来てる。
それだけじゃないのか?」

雪女「…!!」

男「だったら今はそんな事を考えない方がいいだろ。そうじゃなきゃ楽しめなくなっちまうぞ?」

雪女「…失礼しました、つい」

男「なーに、そんな深く考えなくてもいずれ分かりあえる時も来るだろ。まあ、長く時間はかかる
だろうけどな」

雪女「…だといいですね」


118: 2012/09/14(金) 23:43:36.47
男「さて、ちょっと小腹がすいたな」

雪女「そうですねー、あ、あそこに屋台がありますよ!」

男「たこ焼きか…ちょうどいいかな?じゃあちょっと買ってくるわ」

雪女「私もいきますよ」

男「いいけど、暑いのは大丈夫か?鉄板使ってるから結構熱いと思うけど」

雪女「いやいや、流石の私でもそこまで虚弱じゃないですから」

男「そんなものか。まあお前がいいなら別にいいけどさ」


119: 2012/09/14(金) 23:50:50.14
おっちゃん「へいらっしゃい!!」

男「えーっと、たこ焼き一皿ください」

おっちゃん「はいよ…ん、お嬢ちゃんはいいのかい?」

雪女「あ、私は別に…」

雪女『まあ熱いのは食べれないですし…』

おっちゃん「ふーん、そういう事か…」ニヤニヤ

雪女「?」

おっちゃん「なーに…はいお待ち!!」

男「ありがとうございます、じゃあこれお代ですね」

おっちゃん「はいよ、熱いうちに食ってくれよな!」


120: 2012/09/14(金) 23:59:43.19
男「それはもちろん…あれ?」

雪女「どうしたんですか?」

男「あれ、おじさんたこ焼の数が多いみたいなんですけど」

おっちゃん「ああ、それは俺からのサービスってやつよ」

男「いやサービスって…」

おっちゃん「いやーしかし兄ちゃん達もやるね~、恋人同士で分けあって食べようなんてな~」

男「なっ!」

雪女「!?!?」

おっちゃん「まあいちゃつきたいのは分かるけどさぁ、熱いのはたこ焼だけにしてくれよ?」


121: 2012/09/15(土) 00:06:24.85
男「いや、そんな関係じゃあないんですか…」

雪女「そ、そうですよ!!違いますって///」

おっちゃん「おいおい、あんちゃんももうちょっとお嬢ちゃんの事を考えてやれよ。もう顔真っ赤にしてんじゃねーか」

男「えっ?」

雪女「ち、違うんですーーー///!!!」ビューーー!!

男「うぉっ!」カチーン!!

おっちゃん「な…あ、あんちゃんのたこ焼、凍ってねぇか!?」

男「えーっと、これはですね…」

雪女「えと、あの、これはその」アセアセ!

おっちゃん「あれ、確かにさっき焼いたばかりだったはずなんだが…」ブツブツ

男「あーもー、良くあることですよ!じゃあいただいていきますね~!」ズダダダダーーー!!

雪女「あ、待って下さいよ~」

おっちゃん「ま、まいどありー」

おっちゃん「……」

おっちゃん「もしかして冷めちまったのか?一応味見に一つ」パクッ

おっちゃん「って熱っ!!やっぱ焼き立てじゃねーか!」


123: 2012/09/15(土) 00:14:21.35
男「さ、流石にどうなるかと思ったぞ」

雪女「すみません、つい驚いちゃって無意識で…」

男「にしてもなぁ。こんな綺麗に凍らせたけど、これどうするか」

雪女「…食べれますかね?」

男「いや流石に無理だろ…って熱っ!!」パクッ!

雪女「ど、どうしたんですか!?」

男「…表面は完全に凍ってんだが、中は熱々のままだぞこれ」

雪女「なんと!」

男「…食えなくはないけど、なんだかなーって感じだなこれ」

雪女「新食感なたこ焼として売り出せそうですかね」

男「俺はたこ焼は普通に食べたいな」

124: 2012/09/15(土) 00:20:35.49
男「にしてもさ、お前もあんな冗談ぐらいでそこまであわてるなよな」

雪女「だ、だっていきなりあんな事言われれば驚きますって!」

男「おっちゃんから見ればまあそう見えたのかもしれないけどな~そんな気にしなくても
いいんだぞ?」

雪女「…じゃあ男さんはそういう事言われても気にしないんですか?」

男「まあ、俺はあくまで付き添いだしな」

雪女「ふーん、そうなんですか…」

男「ん、どうしたんだ?」

雪女「別にいいですよ、それじゃあさっさと行きましょうか」スタスタスタスタ

男「おい、ちょっと待てって!」



雪女「…朴念仁」


126: 2012/09/15(土) 00:35:18.62
~ ~ ~

男「さて、ようやく着いたか…」

雪女「ほへー、やっぱり大きいですね~、首が痛くなっちゃいそうですよ」

男「無理に首を上げるなや」

雪女「というより、スカイツリーを囲んで何やら色々とありますね」

男「えーと、『東京ソラマチ』って言う商業施設らしいぞ。中にも色々とあるみたいだ」

雪女「色々と、じゃあ少し回ってみましょうか?」

男「そうだな…ところでさ、どうせならスカイツリーに行くならさ、夜東京の夜景を見たくないか?」

雪女「興味ありません」

男「即答!?」

127: 2012/09/15(土) 00:43:07.52

雪女「冗談ですって!けど夜景をみたいなんて男さんも結構ロマンチストなんですね?」

男「ほっとけ!!それにどうせ見るなら綺麗な方がいいだろーが!」

雪女「それもそうですけど…けど、結構時間ありますよ?」

男「その間色々と回ってればいいじゃないか。チケットはあらかじめ予約しといてさ」

雪女「なるほど、男さんも案外考えているんですね」

男「案外は余計だ、さて、それじゃあまずはチケットを買ってくるか」

雪女「あ、私はここで待ってますね~」

男「あれ、今回はついてこなくていいのか?」

雪女「ここまでの人混みだと万が一迷子になったりしたら大変じゃないですか!」

男「まあ確かに。で、本音は?」

雪女「疲れて歩きたくありません」

男「無理して急ぎ足で来るから…」

128: 2012/09/15(土) 00:45:30.83
~ ~ ~

男「ってなわけである程度回る所のチケットは取ってきたぞ」

雪女「お疲れ様です」

男「さて、じゃあさっそく回っていくとするか」

雪女「といいましてもどっから行くんですか?マジメに回ったらそれこそ一日じゃ足りなそう
なんですが…」

男「大丈夫だって、お前が気に入りそうな所を見つけたからさ」

雪女「私が?」

男「そう、そういえば確かお前って今までずっと山にいたって言ってたよな?」

雪女「はい、こうして出てくるのも初めてですし…まあふもとの街とかには数回
行った事はありますけど」

男「なるほど…って事はあまり魚とかは知らないんだな?」

雪女「魚ですか?ああ鮎とか鰻とかドジョウとかですか」

男「うんうん、つまりそれぐらいしか知らないのか…それはいい!」

雪女「…なーんか企んでませんか?」

男「いやいや、お前の驚く顔が見れるなーと思ってな?」

雪女「?」

131: 2012/09/19(水) 22:41:09.63
~スカイツリー内、すみだ水族館~

雪女「す、すごい…」

男「どうだ、やっぱり初めてみると驚くもんなのか?」

雪女「そりゃあもちろん!!すっごい数じゃないですか!しかも大きいの小さいの様々で
…うーん、最高ですよ!」

男「俺なんかはあまり物珍しく感じないけどな」

雪女「それはきっと世間に毒されているからですよ!!」

男「…かもな」


132: 2012/09/19(水) 22:46:18.74
雪女「けど、こういうのは話しには聞いていましたけど、実際に見てみるとやはり違うもんなんですね」

男「って事は話しだけは聞いていたのか」

雪女「ええ、それぐらいは聞いてますよそれにしても…綺麗ですね」

男「まあ水族館だし、綺麗に見えるように工夫してるだろうさ」

雪女「そうじゃなくって、魚とかの動きですよ」

男「動き?そんなもんあんま違いなんてないだろ」

雪女「大アリですよ!こう群れたり離れたり、と思ったら一斉に動いたりとそれこそ目が離せませんよ!」

男「は―、ここまで力説されるとは思ってもいなかったな」

雪女「だって本当に面白いんですもん!!」

133: 2012/09/19(水) 22:54:29.75
雪女「しかし、スカイツリーを作るだけじゃ飽き足らずこんな人工の海まで再現するなんて…」

男「海ってほどでかいものではないけどな」

雪女「それでもすごいもんですよ!」

男「…まあ、良くやるよとは思うけどな」

雪女「ところで男さん。ここはお魚さんたち以外にも何かいるんですか?」

男「魚以外か…ああ、そういえばあれがいるみたいだな」

雪女「な、なんです!!そのあれってのは」

男「鳥だよ、ただし飛べないけど」

雪女「飛べない鳥ですか…まさかニワトリですか?」

男「ちげーよ、ってかそれなら水族館にいる必要がないだろ」


134: 2012/09/19(水) 23:02:46.02
~水族館内、別のエリア~

雪女「ちょ!あ、あの可愛らしいのがそうですか!?」

男「ああ、種類は知らんがペンギンだよ。寒い地域に住んでいるらしいけど…まあ山には
いないわな」

雪女「もちろんですよ!!あんな可愛らしいもの見たことないですもん」

男「…可愛いか?なんか目つきが鋭く見えるんだけど」

雪女「だが、それがいい」

男「あー、それ込みでか」

雪女「後あの横にいるあののぺっとしたのは!?」

男「あれはオットセイって言うんだよ」

雪女「うーん、ペンギンと比べると可愛げがないですね」

男「あんまひどい事言ってやるな」

135: 2012/09/19(水) 23:13:11.50
雪女「けどいいなー、お持ち帰りしたいなー」チラッ!

男「いや見られても無理だからね、まず持ち帰れないし」

雪女「冷凍保存なら…それでも冷凍保存なら!!」

男「無理無理、ってかいくら寒さに強いとはいえ限度があるから」

雪女「ちぇー、残念」

男「って言うか一万歩譲って持って帰ったとしても飼えないだろう」

雪女「大丈夫ですよ!氷漬けにして観賞用にしますので」

男「さらっと恐ろしい事言うな」


136: 2012/09/19(水) 23:23:43.25
雪女「しっかし、世界にはいろんな生き物がいるんですねー」

男「この中のだけでもまだ一部だからな」

雪女「こういうのを見ると改めて世界は広いってのを感じさせてくれますね」

男「お前の場合は活動範囲がものすごく狭いしな」

雪女「狭いというか、まあ活動できる場所が限られているというのが近いですね」

男「…なんていうか、妖怪ってのも不便じゃないか?」

雪女「いえいえ、私は今のままで満足してますし、ただこういうのを見れたのはいい経験には
なりましたけどね」

男「…けどさ、お前ももっと別の場所に自由にいけたらいいのにな」

雪女「ちょ、ちょっと何を言い出すんですか」

男「いや、ふと思っただけだよ。ただあまりにもいける範囲が限られているのもかわいそうだなと
思っただけよ。それこそ余計なお世話かもしれないが」

雪女「男さん…」

男「って自分で注意しておきながら俺がしけっぽい事言ってたら駄目だよな」

雪女「い、いえそんなことはないですよ!むしろうれしいです!!そこま私のことを気にして
くれるなんて」

男「…うん、それならいいんだ。それじゃあ気を取り直して次の所に行くか」

雪女「はいっ!!」

137: 2012/09/19(水) 23:31:52.23
~ ~ ~

雪女「とはいったものの次はどこに向かう予定ですか」

男「そうそう、ちょっとこれが気になったんだ」

雪女「なになに…プラネタリウム?なんですかこれは」

男「平たく言えば天体観測だな」

雪女「バンプですか」

男「違う!ってかなんでそんな知識があるんだよ」

雪女「一時期スキー場でいやってほど流れてまして、それで覚えたんですよ」

男「…お前の冬の時期の行動がめっちゃ気になるんだが」

雪女「まあ色々やってますよ、色々と!」


138: 2012/09/19(水) 23:42:04.23
雪女「けど、夜景を見る前に天体観測ですか…内容的にダブりませんか?」

男「中身が違うからな、スカイツリーから見えるのは夜景だけどこっちは完全な星空だし。
まあ人工的ではあるが」

雪女「うーん、星空でしたら山で見るのが一番だと思うんですが…」

男「そうだろうけどさ、これはこれで楽しいと思うぞ?」

男「それにこれなら終わるまでに一時間ぐらいかかるから夜景を待つのに丁度いいんだよ」

雪女「ふーん…まあ男さんがそこまで言うんでしたら行ってみましょうか」

男「素直に行きたいって言えないのかお前は」

雪女「いやいや、どうせ本物から比べたら大した事ないでしょうし」

男「…言ったな?おし、じゃあ入るぞ」

雪女「はーい」

139: 2012/09/19(水) 23:53:00.45
~ ~ ~

雪女「良かったですねー、隣同士に座れて」

男「ああ、お前を離れさせると何しでかすか分からないしな」

雪女「私ってそんなに信用ないんですか!」

男「…今朝の惨劇」

雪女「あ、まだ怒ってるんですか」

男「…まああれは俺の部屋だったからいいものの、ここでやったら大惨事確定だからな」

雪女「もうしませんから大丈夫ですよー」


140: 2012/09/19(水) 23:59:22.68
男「っと、そんな事言ってる間に始まるみたいだな」ウィーン

雪女「はいはい、じゃあどんなものだか見てみるとしますか」

男「っていっときながらまた壮大に驚くんだろうな」

雪女「いやいや、流石に私でもそんなに驚く事は…!!」キラキラッ

男「…で、どうだって?」

雪女「……」キラキラ

男「言葉もないってか」

雪女「……すごく、綺麗です」


141: 2012/09/20(木) 00:05:38.03
男「…しかし、こうして星空を見るってのもいいな」

雪女「それでも人工なんですよね、こんなに綺麗でも」

男「そりゃあな、ってか今じゃこんな空、どこ行っても見れないし」

雪女「山でしたら見れますよ?もっともここまで綺麗には見れませんけど」

男「…けど、一回ぐらいなら見てみたいよなー」

雪女「だ、だったら男さんも一度ウチに来ませんか?」

男「ウチにって…お前の家にか?」

雪女「ええ!!男さんにはこうして連れてきた恩もありますし大歓迎ですよ!」

男「声が大きいぞ、周りの人は真剣に見てるんだから静かにしとけ」

雪女「あ…はい」

142: 2012/09/20(木) 00:27:12.25
男「けど、そうだな…一度ぐらいは行ってみたいかもな」

雪女「え!?」

男「やっぱ山から見る星空ってのも興味があるし…それに冬とかなら空気が澄んでてすごく
綺麗に見えそうだしさ」

雪女「…そうですよ!とっても綺麗なんですから!!」

男「まあ雪もそんなに積もってなくて、更に天候が良かったらの話だけど…後俺寒いの
苦手だからそれなりに暖かくないと駄目だし」

雪女「へ?」

男「そこの所がなんとかなるようなら…行ってみてもいいかもな」チラッ

雪女「そんなのび太みたいなこと言わないでくださいよ~」


143: 2012/09/20(木) 00:41:08.68
~しばらくして~

男「……」

雪女「…男さん?」

男「……」

雪女「……見るのに集中してるみたいですね」

雪女『それにしても本当に綺麗。男さんが勧めた訳もうなずけるわ』

雪女『…しかし、今考えてみるとホント計画性がなかったわ。完全に行き当たりばったりの
旅行なのに良くうまくいったもんだよね』

雪女『というより、あそこで男さんと出会えて本当に良かったな!』

雪女『…けど、もしあそこで出会えてなかったら…私ってどうなってたんだろ?』

雪女『男さんみたいな親切な人がいるとも限らないし…下手してたら本当に研究材料に!?』ブルッ!

144: 2012/09/20(木) 00:48:26.92
雪女『…!!いや、そんな事を考えるのは止めよう』

雪女『今はこうして楽しめればそれでいいよね…うん』

雪女『…けど、それももうすぐ終わりか…』

雪女『……!』ピコーン!

雪女「…男さん?」

男「…うん?なんだ」

雪女「ちょっとこの中暑くないですか?」

男「暑い?まあそれなりに人もいるしな…」

雪女「それじゃあちょっと手を出してもらえないでしょうか?」

男「手を?こんな感じか?」ヒョイ

雪女「はい、それじゃあ失礼します!!」ギュッ!!


145: 2012/09/20(木) 00:54:49.32

男「!!な、何を…///!」

雪女「どうです、涼しくなりませんか?」

男「お、おお…確かに」ヒンヤリ

雪女「ちょっとしたお礼です!私、こんなことぐらいしかできないんで」

男「ってかお前は大丈夫なのか?そんな無理しなくても」

雪女「大丈夫です!だから…」

雪女「しばらく…このままでいさせてもらえませんか?」

男「…お前がいいのなら、別に」

雪女「はい、ありがとうございます!」


146: 2012/09/20(木) 01:02:26.57
雪女「…これも、もうすぐ終わっちゃいますね」

男「ああ、そうしたらいよいよ今日のメインだな。天気の方も良かったし綺麗に見えるん
じゃないか?」

雪女「けど、実際どんな感じなんですかね、東京の夜景って」

男「さあ俺も見た事はないから何とも言えないな」

男「ただまあ、きっと思い出には残ると思うぞ」

雪女「…そうですよね!」

男「ところで…もう十分涼めたから、お前も辛いだろうしもう手を離してもいいぞ?」

雪女「辛いなんて!!私は大丈夫ですから、もう少しだけ…」ギュッ

男「……はいよ」

152: 2012/09/21(金) 22:06:48.32
~ ~ ~

男「さてと…だいぶ暗くなってきたな」

雪女「まあもう六時ですもんね、そりゃ暗くもなりますよ」

男「…なんだかんだいってもう夏も終わりなんだよな」

雪女「暑さだけは依然変わりませんけどね」

男「そればっかりはどうしようもないだろ、何でも九月の最後までぐらい続くらしいぞ」

雪女「うわっ、もう異常気象じゃないですか!」

男「まあここまで暑さが続くってのも異常だよなー」

雪女「全く…今年の冬はどうなる事やら」

154: 2012/09/21(金) 22:21:55.47
男「どうなるって…いざとなったらお前がどうにかすればいいんじゃないか?」

雪女「私だって神様じゃないんですからそんなことできませんよ」

男「けど雪を降らせることぐらいはできるんだろ?実際今日やらかしたんだし」

雪女「まだ言ってるー、まあ確かに降らせる事はできなくはないですけど、それはごく限られた部分だけなんですよ」

男「つまり山一個丸々雪だらけにするのは不可能てか」

雪女「できるようなら雪不足で悩んだりしてませんよ」

男「そういえばたまーにニュースで言ってるよな、雪が降らなくてスキー場がどうたらとか」

雪女「そうです、そうなったらいくら私でもお手上げですからね」

男「…ていうかお前的には人が来ない方がいいんじゃないのか?」


155: 2012/09/21(金) 22:28:55.48

雪女「いやいや、あまりにも過疎りすぎるのもいやなんですよ」

男「そりゃまたなんで?」

雪女「なんでって、気持ち的なもんですよ。私的にはあまり一人でいるのが好きじゃないんで」

男「妖怪にしては珍しいな」

雪女「いえ、決して珍しい事ではないですよから。私もたまーに混じってスキーとかしてますし」

男「ってかお前人間と馴染み過ぎだろ」

雪女「たまにですよ、た ま に!!」

男「強調する所がなんか怪しいな…」

156: 2012/09/21(金) 22:31:23.70
男「しかし、スカイツリーか。こんな機会でもなかったら来なかっただろうな」

雪女「ありゃ、そりゃまたなんでですか?」

男「いや、まあテレビで散々特集もやってて混んでる中無理していくこともないなーって思ってたし、なにより」

雪女「なにより?」

男「…高すぎだろ、これ」

雪女「そりゃあスカイツリーって言うぐらいですし。って男さんってまさか!」

男「……好きに言えよ」

雪女「ははぁ~、あれですか、高所恐怖症ってやつですね。なーんだ」

男「いやいや、本人からしてみたら氏活問題だからね、いやマジで」

雪女「大丈夫ですって!ちゃんと設計されてるんですから」

男「嗚呼、人類はバベルの経験をいまだ生かし切れていないのか…」

雪女「訳わかんない事言ってないでさっさと行きましょうよ!ほら早く~」

男「はぁ、わかったよ…」

157: 2012/09/21(金) 22:36:43.27
ハイ、チケットオアズカリシマシター

雪女「さーて、入場もできましたし後はエレベーターで一直線ですね!」

男「エレベーターか。何でも上まで一分ぐらいで着くみたいだが…」

雪女「上って、かなり距離ありますよね」

男「まあ、技術大国だからな日本は。可能にしちゃったんだろ」

雪女「ほへー、そりゃまたすごい」

男「まあ俺としてもそんな長時間乗ってたくないしな」

雪女「だから大丈夫ですって!あ、動きますね」ウィーン!

男「って早っ!!!」

雪女「すごい!下の街があんな小さくなってますよ!」

男「うん、そうだな、こんな早く上がっていくなんて思いもしなかったよhahaha!」

雪女「…何が何でも下を見ないようにしてるんですね」

158: 2012/09/21(金) 22:44:26.45
~展望デッキ~

雪女「これが…東京の夜景ですか」

男「どんなもんかと思っていたけど、本当に綺麗だな」

雪女「あれ、男さん平気なんですか?」

男「夜景を見るだけなら平気だよ、まかり間違っても下は見たくないけど」

雪女「それにしても、こんなに明かりって綺麗に見えるもんなんですね」

男「そうだな…それだけ人がいるってことなんだろうけど」

雪女「…多分山にいるだけじゃあ見れない光景でしたよ、これは」

男「なら、苦労して来たかいがあったな」

雪女「はい。本当にいい経験になりました!!」

159: 2012/09/21(金) 22:50:11.22
男「さて、ちょっと小腹がすいたから何か買って来るけど、お前は何かリクエストはあるか?」

雪女「アイスをお願いします!!」

男「ここまで来てもそれかよ…じゃあちょっとここで待ってろよ」

雪女「それじゃあ私はここでまた夜景を見てますね」

男「他の人に迷惑かけんなよ」

雪女「大丈夫ですよ~」

雪女「…けど、こんなに広いんだ、東京って」

雪女『確かに私ってあまり外の世界を見ようとしなかったんだよね』

160: 2012/09/21(金) 22:57:38.02
雪女『妖怪だからって理由もあるけど、多分…怖かっただけなんだ』

雪女『お母さんとも別れて、今まで一人で生きてきて…人とかかわるのが怖かったんだよね』

雪女『確かに人に混じって遊ぶ機会とかはあったけど、ただ遊ぶだけで関わろうとはしなかった』

雪女『だから今回、いい機会かなって思い切って出てきてみたけど、本当に正解だったな』

雪女『けどこれは…偶然、ほんとに偶然だけど男さんと知り合えたおかげだよね』

雪女『本当に、男さんには…』ヒヤッ

雪女「!!た、たるかじゃ!!」ビクゥ!!

男「お、おいそこまで驚くなよ!!こっちが驚いたじゃねーか」

雪女「す、すいません!ちょっと考え事をしていたもので」

男「雪女が冷たいもので驚くってどんだけレアだよ」

雪女「不意を突かれれば驚きますって!」

男「まあ何でもいいんだけどさ、ほらアイス」

雪女「あー、やっぱりアイスボックスはないんですね」

男「ここまで来てそんな無茶な事言うな」

雪女「まあ別にいいんですけどね」ソフトクリームダー

162: 2012/09/21(金) 23:03:11.31
男「全く…それじゃあそれを食べたら次に行くぞ」

雪女「次?もしかしてもう帰るんですか」

男「違うよ、ってか本当に何も調べてこなかったのかよ」

雪女「…のワの」

男「あー、もうその反応はいいわ。この上にさらに高い展望台があるんだよ、そこに行くぞって事!」

雪女「え、まだこの上があるんですか!?」

男「いやならもうしばらくここにいるか?むしろそっちの方が俺的には…」

雪女「行きましょう、男さん!!」ワクワク

男「デスヨネー」


163: 2012/09/21(金) 23:10:38.04
~展望回廊~

雪女「すごい…さっきのでも十分高いと思ったのに」

男「ああ、本当に高い。思わず吐きそうになっちまうよ」クラッ

雪女「ちょっと、ここでのリバースは勘弁してください!!」

男「冗談だよ…ただ、立ちくらみがしたのは本当だけど」

雪女「なんでですか!こんな綺麗なのにー」

男「いや、ちょっとここで今地震でも起きたら…って考えちまって」

雪女「男さんて結構メンタル弱いんですねー」

男「誰が豆腐メンタルだ」

雪女「そこまで言ってません!」

164: 2012/09/21(金) 23:20:09.42
雪女「ほら男さん、ちゃんと歩けますか?」

男「大丈夫だって…」フラフラ…

雪女「もう、じゃあこうしましょう」ギュッ!

男「おい!俺はもう暑くはないって!」

雪女「何言ってるんですか。男さんが歩くのが遅いからこうして引っ張ってあげてるんですよ」

男「どんだけ過保護だよ」

雪女「だってこうでもしないと男さん来てくれないじゃないですか」

男「大丈夫だよ、後からゆっくりいくから」

雪女「いいんです!!さあ、早く早く!!」

男「お、おいそんな強く引っ張るなって」

雪女『だって…どうせなら男さんと一緒に見たいんですもん!!後からなんて絶対だめなんですからね!!』


165: 2012/09/21(金) 23:36:37.81
男「で、ここが最上階か」ハァハァ

雪女「ですね。しかし、何ていいますか」

男「改めて、実際見るのとテレビで見るのとでは違うんだな…驚くばかりだが」

雪女「本当に自分のいた世界が小さかったというのを実感させられますね」

男「そうだな。それに、こんなに広く見えてもまだまだ一部なんだからな」

雪女「日本は狭いってよく言いますけど、それでもやっぱり大きいんですよね」

男「昼間だったら、もう少し良く見えたのかな?」

雪女「晴れていたらの話ですけど」

男「そういえばここって下手すると雲がかかる高さらしいぞ?」

雪女「それはそれで見てみたいですね。雲なんて近くで見る機会もないですし」

男「…すぐに飽きるだろうけどな」

166: 2012/09/21(金) 23:42:13.81
男「…けど、なんだかんだ言いながら今日一日楽しかったよな」

雪女「ええ、それで…男さん、あの…」

男「ん、なんだ?」

雪女「今日は本当にありがとうございました。多分一人だったらここまで感動できなかったと
思います」

雪女「本当に…感謝してもしきれないぐらいです」

男「なんだ、だからずっと別にいいって言ってるじゃないか」

雪女「そ、それはそうですけど…」

男「俺がいいって言ってるんだからいいんだよ、うん、別にそれはいいんだが…」

雪女「だが?他に何かあるんですか」

男「あのー、なんだ。こうして俺も体調は大丈夫そうだからさ、ほら、手…」

雪女「手?ってあっ///」ギュッ

男「さっきからずっとこのまんまなんだよなー」

167: 2012/09/21(金) 23:47:15.08
男「…どうする、いい加減外すか?」

雪女「…ダメですよ、まだ男さん震えてるじゃないですか」

男「え、もう流石に震えも止まったが」

雪女「何言ってるんですか?全然止まってないじゃないですよ!だから…ここから降りるまでは
このままでいますよ」

男「い、いやそれだとな」

雪女「いいですね!私だって最後に男さんが腰を抜かす光景なんて見たくないんです!」

男「…なら好きにしろ」ハァ

雪女「はい!好きにさせていただきます!!」

男「…なあ?」

雪女「なんですか」




男「お前の手、あったかく感じるんだが…///」

雪女「…なんででしょうね?」


168: 2012/09/21(金) 23:56:53.44
~ ~ ~

男「うーん、今日は疲れたな~」

雪女「後は電車に乗って帰るだけですね」

男「けどいいのか?何にもお土産買わなくてさ」

雪女「いいんですよ、お土産よりもっといいものが見れたりしましたから」

男「いいのか?結構いいペナントとか提灯とかあったけど」

雪女「なんですかその外国人が買っていきそうなお土産のセンスは」

男「いや、ほら妖怪のセンスとか良く分からないからそういうのがいいのかと思って」

雪女「とりあえずそういうのは遠慮しますよ」

169: 2012/09/22(土) 00:06:45.96
男「で、この後はどうするんだ、そのまま帰るのなら時刻表を調べるけど」

雪女「……あの、帰る頃には遅くなってしまうので、今日も泊らせてもらっていいですか?
そしたら明日明るいうちに帰りますんで」

男「別にいいけど…なんだったらホテルとかの方がいいんじゃないか?お金もあるんだし
わざわざ狭い所に泊らなくても」

雪女「いえ、出かける関係もあって余り綺麗に掃除もできなかったので、最後に後片付けを
させていきたかったんですが…駄目ですか?」

男「うーん、そこまでひどく散らかってなかったとは思うんだけど」

雪女「……」ジー

男「それに駅に近いほうが色々と…」

雪女「……」ジトー

男「…はいはい、ただまたあんな惨劇はゴメンだからな」


170: 2012/09/22(土) 00:15:07.82
雪女「そんなに心配でしたら…どうです、一緒に寝ますか///」

男「お断りします!」

雪女「ひどい!!せっかく勇気を振り絞ったのに!!」

男「はいはい冗談でもそういう事はいっちゃだめだから、まあどうせ『そしたらそのまま凍らせて
あげますからー』とか言うつもりなんだろうけどさ」

雪女「…その手があったか」

男「おいコラ」

雪女「その発想はなかったです、流石男さんですね」

男「うん、今自分の安易な発言にものすごく後悔してるわ」


171: 2012/09/22(土) 00:27:31.95
男「さて、冗談はそのぐらいにしてそろそろ家に帰るか」

雪女「それで帰りの電車はどうするんですか?昼間と違ってかなり人も多いですけど」

男「あー、俺も結構疲れたから帰りは指定席をとってみた。これなら少なくとも座れないなんてことはないしな」

雪女「……」

男「なんだ、何か不満でもあるのか?」

雪女「いえ…こういうのもなんですが、あまり楽な方に流されるのも良くないですよ?」

男「では椅子に座れなくて、おまけに人混みにもまれる方を望むか?」

雪女「指定席バンザーイ!」

男「それじゃあまだ電車も来ないみたいだし、今のうちに食べ物やらアイスやら買ってくるぞ」

雪女「はーい!」



雪女「けど…」

雪女「さっきのは、冗談じゃなかったんだけどね///」ボソッ

175: 2012/09/26(水) 22:54:41.40
~次の日~

雪女「……」Zzz Zzz

男「…おい」

雪女「……」Zzz Zzz

男「あーもー、いい加減起きろって!」バサッ!

雪女「むにゃ!?」ビクッ!!

男「ったく、むにゃじゃねーっての!もう昼前だぞ!!」

雪女「ふへっ!?もうそんな時間なんですか」

男「そうだよ、全く観光で疲れたのは分かるけど、いくらなんでも寝すぎだろーが」

雪女「すいません、爆睡してました」

男「どんだけ疲れてるんだよ…もしかして年か?」

雪女「失礼な!女性に年を聞くのはマナー違反なんですよ」

男「だったらもう少し寝起きを良くしろや」

雪女「はーい」

176: 2012/09/26(水) 23:03:49.52
男「しかし今となってみれば…時間の流れってのは早いもんだな」

雪女「そうですね、実際には数日したたってないはずなんですがね」

男「何ていうか…濃密な時間だったな」

雪女「私もそう思います」

男「お前と出会って、妖怪だと知って、なんやかんやで旅行に付き合わされて…まあ滅多にできない経験だよ」

雪女「けどこの数日間、私はとっても楽しかったですよ!」

男「それは俺もだ。もしお前がいなかったらただダラダラ過ごす夏休みになってただろうしな」

雪女「うーん、じゃあ私って役に立ったってやつですか」

男「まあいい退屈しのぎにはなったな」

雪女「ひどい!!いくらなんでもそんな言い方はあんまりですよー」


177: 2012/09/26(水) 23:10:05.21
男「冗談だって。そうそう、はいこれ」ドサドサッ

雪女「あ、アイスボックスだ~!」

男「まあ朝飯って事で。ってか朝からアイスって流石に…」

雪女「ふぇ、ひょんにゃこひょはにゃいでひゅよ?」モグモグ

男「食べながら話すんじゃない!何言ってるか分からねーから」

雪女「むぐむぐ…ふぅ、ご馳走様でしたー」

男「相変らず食べるの早いな、お前」

雪女「そうですかね?というよりこれって家にありましたか?確か昨日の段階では冷凍庫
には入っていなかったはずですが?」

男「あー、お前が爆睡してる時に買ってきたんだよ。自分の昼飯もあったからな」

雪女「そうなんですか、いや~悪いですねーここまでしてもらいまして」

男「いいんだよ別に、それより早く支度済ませろよ?これ以上遅くなると炎天下の中駅に
行く羽目になるぞ」

雪女「そ、それは勘弁したいです!?」

男「だったらさっさと支度しな」

雪女「流石に40秒じゃ無理ですよ~」

男「そこまで無理しろとはいっとらんわ」

178: 2012/09/26(水) 23:23:21.59
~駅のホーム~

男「さて、持ち物の方は大丈夫か?」

雪女「はい!お金も持ちましたし、お土産も大丈夫です!ついでに補給用のアイスもばっちりです」

男「それならいいんだが…後で送り届けるなんてのはめんどくさいし」

雪女「もう、いくら私でもそこまでうっかりではないですよ」

男「この数日間のお前の行動を見ているとそうは思えないんだが…」

雪女「一体男さんの中で私のイメージはどんな風になってるんです」

男「んー、吹雪、天然、猪突猛進」

雪女「どんだけイメージひどいんですか私は!!」


179: 2012/09/26(水) 23:31:40.12

男「けどまあ、これでお前ともお別れか。何ともあっけないもんだ」

雪女「そうですね…ねえ、男さん?」

男「なんだ」

雪女「やっぱり…私がいなくなるのが寂しかったりしますか?」

男「別に。今までが異常だっただけで、また元の生活に戻る…そんだけだ」

雪女「…すごいですね、男さんって、そんな風にすぐに割り切れて」

男「割り切るというより、そうしてかないと先に進めないからな。特に俺の場合はそう
しないといつまでも引きずっちまうし」

雪女「…男さんって、私より冷たいんじゃないんですか?」

男「まさか雪女にこんな事言われるとは思ってもいなかったな」


180: 2012/09/26(水) 23:38:01.32
雪女「だってそうじゃないですか!そりゃあ今回男さんを巻き込んだのは私ですけど、けど
男さんも楽しいって言ってくれたじゃないですか」

男「うん、実際に楽しかったし」

雪女「それなのに…そんなすぐに元の生活に戻れるなんて…寂しすぎですよ」

男「…とはいえ、このままお前がここにいるわけにもいかないだろ?」

雪女「!!」

男「確かにお前と一緒に出かけたりして楽しかったけど、けどそれはずっと続く訳じゃない。俺も
仕事があるし、お前にだってお前の事情があるだろうしな」

男「だから、少し冷たいけど…別れは別れと割り切るんだよ」

雪女「…そうでしたか」

181: 2012/09/26(水) 23:43:50.50
男「とはいえちょっと冷たいいい方になったのは謝るよ。ゴメン」

雪女「…いいえ、私の方こそ何も考えず勝手な事ばかり言っちゃって」

男「なに、お前が勝手な事を言うのにはこの数日でもう慣れたよ」

雪女「ってどういう意味ですか!?」

男「そのまんまの意味だよ」

雪女「もう、せっかくシリアスな雰囲気になっていたのにー!」

男「むりだな、お前にはシリアスは合わないよ」

雪女「もー!!!」

182: 2012/09/26(水) 23:53:33.08
エー、マモナクデンシャガハッシャシマスー

男「おっと、そろそろ時間か」

雪女「はい、じゃあそろそろ私もいきますね」

男「おう、じゃあ…妖怪にこんな事言うのもなんだけど、元気でな」

雪女「はい、男さんも…どうかお元気で」

男「…まあなんだ、また何か機会があったら会いに来たらどうだ?もちろん無理にとは言わないが」

雪女「そうですね。時間が作れたら考えさせていただきます」

男「ってなると…また夏頃か」

雪女「季節的には私的には非常にだるいのですが、まあ頑張ってみますよ」

男「まあ来るにしても今度は路上でブッ倒れるなよな」

雪女「大丈夫です。もうあの過ちは繰り返しませんから!」

男「まあ来年もまた介抱するのはゴメンだからな、精々気をつけてくれよ」

雪女「分かりましたよー」


183: 2012/09/26(水) 23:59:20.05
ジリリリリリリリ!!

男「それじゃあ、俺はこれで行くぞ」

雪女「!!待って下さい。最後にこれを」ゴソゴソ

男「いや、もうドアが閉まっちまうぞ」

雪女「えーと…あった、これです」ポイ!

男「ん、この包みは…?」

雪女「それ大事な物ですから!大事に取っといてくださいよねー!!それじゃ」

男「お、おい待てよ!」

雪女「本当にありがとうございました!!またいつか、またいつか会いましょうねー!」プシュン!

184: 2012/09/27(木) 00:08:14.97
ガタンゴトン ガタンゴトン…

男「…行っちまったか」

男「にしてもなんだこれ。なんか白い紙に包まれてるみたいだけど」カサカサ

男「ん、おみくじ?」

男「ああ、あの時あいつが引いたやつか!!」

男「あいつったら大吉だーって大はしゃぎしてたんだよなー」

男「……」

男「ったく、あのやろ―。最後にこんな厄介なもん押しつけやがって」

男「こんなもん持たされたら、簡単に割り切れなくなるじゃねーかよ…」

185: 2012/09/27(木) 00:16:47.34



~季節は過ぎて、十二月~

男「ふー、寒い寒い。なんか今日はやたら寒いな~」

男「やっぱこんな日はコタツにミカンだよなー、あー極楽極楽」

男「まあ仕事の方も今年中のはあらかた終わったし、後は年末の休みを堪能するか。さーて、テレビテレビと」ピッ!

キャスター『…では、次のニュースです』

キャスター『毎年スキー客などが多い○○山ですが、今年は例年にない異常事態だそうです』

男「ん、異常事態?」

186: 2012/09/27(木) 00:22:30.49
キャスター『○○山についてですが、今年は例年より雪の降り方が非常に荒く、雪が全く
降らないかと思うと、急に吹雪のごとく降り出してきたりという状況だそうです。○○山
の天候は基本的に安定しているので、ここまで雪の降り方が異常というのは地元の人でも
初めての経験だそうです』

キャスター『気象庁では、ここ数年各地で頻発してる異常気象の影響がここにも出ている
のではないかという見方を強めています』

男「雪か…そういえばあいつ、元気にしてるのかな?」

キャスター『それでは次のニュースです、ついにサバ寿司のギネス記録が誕生しました』ピンポーン!

男「うん、誰だよこんな寒いときに…」ピンポンピンポン!

男「はいはい、そんなにチャイム鳴らさなくても大丈夫ですよー」ピポピポピポホピポーン!!

男「はい、新聞の勧誘ならお断りでs」ガチャ

雪女「ハハハ―――!!わが世の春が来たぁーーー!!!」

男「……」

男「はぁぁぁぁ?!」

187: 2012/09/27(木) 00:27:21.47
雪女「あーすいません、ついついハイテンションになっちゃいまして」

男「おまっ、今冬…ええっ!?」

雪女「あー、なんか混乱してますね~。まあ無理もないですけど」

男「あ、当たり前だろ!!なんでお前がいるんだよ」

雪女「なんでって…男さんに会いたかったから?ですかね」

男「あー、今そういうのいいから」

雪女「全く、男さんもノリが悪いですねー」


188: 2012/09/27(木) 00:32:49.41
男「というか…ここにいて大丈夫なのか?一応山の管理とかは…」

雪女「あー、それなら後輩の子たちに練習も兼ねて任せてきました!」

男「ずいぶん投げやりだなおい!!」

雪女「だっていつまでも私だけがやってたら後輩の子たちが成長しないじゃないですか。だから
ここは心を鬼にしてですね」

男「…ってか任せるにしてもせめて監督役とかでいた方が良かったんじゃ」

雪女「大丈夫です!彼女たちならきっとうまくやってくれてますよ!」

男「…うん、そういえばさっきのニュースで…」ブツブツ…

雪女「なにをぶつくさ言ってるんですか」

189: 2012/09/27(木) 00:35:45.51
男「…なあ、お前がいた山って○○山だったりするか?」

雪女「!!よく分かりましたね、男さんってひょっとしてエスパーだったりしますか」

男「違う、今ちょっとニュースになってたんだよ」

雪女「ニュース?あそこは冬場はスキーぐらいしか名所はなかったはずですけど」

男「何でも異常気象でえらい事になってるんだとさ」

雪女「  」

男「…なあ、やっぱりあれって…」

雪女「こ、こまけェことはいいんですよ!それより男さん」

男「強引に話題を変えるな!!」

雪女「こうして再開したんですからどこかに出かけましょう!今回は私は倒れる心配はないので
安心して出かけられますよ」

男「そりゃあまあ、こんな寒けりゃあなぁ」

190: 2012/09/27(木) 00:42:45.09
雪女「けど、今度はどこがいいですかね~。またスカイツリーに行くのもアリですし、私的には
他の場所も見てみたかったりするんですよねー」

男「おい、俺の都合は考えてないのかよ」

雪女「んー、そうですね!男さんの希望とかは何かありますか?」

男「俺は家でゆっくりしていたい」

雪女「却下します」

男「だろうと思ったよ!!」

雪女「さぁさぁ、男さんも早く支度してくださいって」

男「ったく、こんな寒いのに良く元気だよな…」

雪女「そりゃあまあ雪女ですから」

191: 2012/09/27(木) 00:53:29.02
男「ったく、あ、そうだ…これ返しておくぞ?」

雪女「これは、あー、あの時渡したおみくじ!!」

男「ったく、こんなん別れ際に渡しやがって…」

雪女「いやー、あの時は思いつきで渡したんですけどね!ここまで男さんが大事にして
くれていたとは思いませんでしたよ」

男「まあ、お前との記念だったしな…///」

雪女「…あれ、男さんひょっとして照れてますか?」

男「て、照れてねーから!!」

雪女「はいはい、じゃあそういう事にしておきますよーっと」

男「だから違うって」

雪女「さーて、男さんも元気が出てきたみたいですし、そろそろ行きましょうか!!」

男「あのな…」

雪女「ほらほら、早くしないと置いていきますよー」

男「俺の話を聞け―!!!」



END

192: 2012/09/27(木) 00:57:26.26
というわけで 雪女「暑いですねー」男「寒いよ」はこれにて完結になります

相変わらずのgdgd展開でしたが、いかがでしたでしょうか?
それでは、この後は後書きと、オマケの小話になりますのでよろしければお付き合いください

193: 2012/09/27(木) 01:06:22.38
後書き

まあ初めに言えることが…もう暑くねーじゃん!!という事です
予定では九月上旬ぐらいには終わるかなーと思ってたんですが、情けない話仕事の方優先に
してるうちにあれよあれよと過ぎてしまい…このような形になってしまいました
まだ九月中旬ぐらいだったら暑かったのでよかったのですが、今は朝晩ともに涼しいぐらいに
なってしまいましたし…完全なタイトル詐欺ですね。ここにお詫び申し上げます

で、この後はちょっとした小話になります。とはいっても短い内容なのであまり期待されないように
お願いします
それでなんですが注意事項が一つ

※この小ネタは>>1が今まで書いてきたssの内容を多分に含んだものになってます。
それでもいい方は、短い文ですがもう少しお付き合いください

194: 2012/09/27(木) 01:23:23.13
オマケ1 

>>98の手前あたりの一コマ



雪女「そんな食欲のない男さんのために、これを買ってきましたよ!!」ドサッ!

男「なんだこれ…寿司か?」

雪女「正確にはサバ寿司ですね、そこのお店で売っていました」

男「まあ、確かにサッパリはしてるけどさ…どうなのよ?」

雪女「ふふっ、まあ一口やってみてくださいよ、試食で一つ食べてみましたけど、とっても
美味しかったんですよ!」

男「じゃあとりあえず一口…!!」パクッ!

雪女「おお、いい食べっぷりですね~」

男「こ、これは…!!」

雪女「どうです?美味しいでしょ」

男「美味い…醤油もつけてないのに美味いぞ、これ」

雪女「良かった~、やっぱり私のレーダーと味覚を信じたかいがありましたよ!」


195: 2012/09/27(木) 01:24:55.96
男「しっかし…浅草ってそんなにサバ寿司って有名だったっけ?今まで聞いたことなかったけど」

雪女「えーっと、なんか有名な所の支店らしいですよ」

男「ふーん、ところでさっきのレーダーってあれか?乙女のカンってやつか?」

雪女「いえ?妖怪レーダーですが?」

男「!!!」グハッ!

雪女「だ、大丈夫ですか男さん!?」

男「だ、大丈夫だけど…妖怪レーダーって?」

雪女「まあ簡潔に言ってしまえばお仲間ですね。どうやらちょっと違うみたいですけど」

男「…寺の近くに妖怪が作った商品を売ってるのって…アリなのか?」

雪女「アリじゃないんですか?」


196: 2012/09/27(木) 01:28:28.87
~ ~ ~

シャル「くしゅん!!」

マミ「あらシャル、風邪かしら?」

シャル「いや、風邪じゃないと思うんだけど…誰かが噂してるのかな?」

エリー「うわさって…どんな噂よ?」

杏子「案外シャル達の正体に気付いたやつだったりしてな」

エリー「いや、それ洒落になってないわよ…」

さやか「けど色んなところに支店が出せるようになってよかったねー、評判も上々だし」

ほむら「そのうち日本を代表する食べ物になりかねないわね…この勢いなら」

まどか「そうだねー、そうなったら嬉しいよね」

マミ「…そうかしら?」

シャル「けど、本当に誰かが噂したのかなー?」

~ ~ ~

雪女「くしゅん!!」



197: 2012/09/27(木) 01:34:51.58
オマケ2

>>111の手前~もしも男を説得する人たちがいたら~



雪女「けどこうして男さんと居ると、そんな壁なんてすぐに壊せるような…そんな気がしまして」

男「悪いけどそれは難しいだろうな」

???「なんでそこで諦めるんですか!!」

男「!?」

???「壁があるなら壊せばいい。それに必要なのは少しの勇気なんですよ」

雪女「あ、あなたたちは…!」

???「リア充爆発しろ」

???「あんたは何を言ってるのよ」

???「あ、あの~そろそろ名前出しませんか?向こうの人達も混乱してますし、誰が誰だか分からないですし」

???「だねー」

男「本当に誰なんだよお前たちは!!」

198: 2012/09/27(木) 01:38:16.65
幽霊「男さんのその否定的な態度に」

鬼娘「居ても経ってもいられなくなって」

メリー「別の時間軸からお邪魔します!!」

貞子「リア充爆発しろ」

口裂け女「あんたは少しは会話しなさい」

花子「あの…急にすいません」

男「どちらさま!?」

雪女「ってなんだーあなたたちだったのね?」

花子「あ、雪女さん久しぶりです」

雪女「いえいえ、こちらこそ」

口裂け女「そっちもあんま変わってないみたいね。まあ良かったわ」

男「お前の知り合いかよ」

雪女「ええ、まあ平たく言えば妖怪仲間ってところですね」


199: 2012/09/27(木) 01:42:05.52
男「にしても多くない?ってか何しに来たんだよ」

メリー「いえいえ、男さんのその否定的な態度を矯正しにきたんですよ」

男「いや、俺は一般的な意見を言おうとしたまでで…」

鬼娘「黙らっしゃい!!いいですか、人間と妖怪が共存する方法なんていくらでもあるんですよ」

幽霊「そうそう、例えば恋をしたり…」

メリー「家に押しかけに行ったり…」

鬼娘「そのまま上手く事実婚状態に持っていったりと…」

貞子「リア充爆発しろ」

男「うん、なんかお前さんとは意見が合うみたいだわ」

200: 2012/09/27(木) 01:43:28.20
花子「えーっと、まあこれ以外にもあるんですけど…とりあえずその否定から入る所を治そうと
いう話しでまとまりまして」

男「お、俺の意志は無視?」

幽霊「まあ意見するのもいいですし、抵抗するのもアリですけど…」

六人「「「「「「「抵抗…できますか?」」」」」」」ゴゴゴゴゴゴゴ…

男「   」

メリー「という訳で雪女ちゃん、ちょっと連れてくよー」

雪女「はい、あの…男さんはいい人なんで、あまりやりすぎないようにしてくださいね?」

鬼娘「はいはい、じゃあ、ちょっと裏まで行こうか」

男「へ、ヘルプミーーー!!!」



…その一時間後、フラフラの姿で男さんは帰ってきました。

男「み、みんなも…何事も頭から否定しないようにな…グフッ」バタッ!

雪女「お、男さん―――!!!」

花子「ち、ちゃんちゃん!」


201: 2012/09/27(木) 01:48:30.45
それでは、これで小ネタの方は終了です
…はい、やりたい放題です。元ネタが分からない人がいましたら、改めてお詫び申し上げます

それでは、ここまでお付き合いいただきまして本当にありがとうございました!!
恐らくまた次も何かしら書くと思うので、その時はまたよろしくお願いいたします

…恐らく↓のAAが確実にありますので、もし見かけましたら『またお前か』と思っていただけるとありがたいです

バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン       バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・)  バンバンバンバン゙ン
 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
    \/___/ ̄

やっぱり可愛いですね
それではまた、次の作品で

引用元: 雪女「暑いですねー」男「寒いよ」