1: 2010/09/04(土) 14:34:56.88
【2/13 8:15 中野梓】

憂「ねぇ、梓ちゃんはお姉ちゃんにチョコレートあげないの?」

梓「今あげるって話してたじゃん」

憂「それは軽音部の皆さんへのチョコレートでしょ? そうじゃなくて、お姉ちゃん個人へはあげないの?」

梓「え、なんで?」

憂「だって、梓ちゃんお姉ちゃんのこと好きでしょ?」

梓「好きだけど、わざわざ……」

憂「そっかぁ。梓ちゃんはあげないんだ~。だったら私はとっておきの作っちゃおうかなぁ。お姉ちゃん、振り向かせなきゃだし」

梓「振り向かせ……え?」

憂「お姉ちゃん、なかなか振り向いてくれないんだよ。姉妹じゃなくて、恋人みたいなのがいいのになぁ」

梓「す、好きって。そ、そういう意味の好きなの!?」

憂「そうだよ。梓ちゃんもお姉ちゃんとキスしたりしたいでしょ?」

梓「キ、キスなんて……したくないもん!」


  Chocolate days


4: 2010/09/04(土) 14:36:27.62
【2/12 8:15 平沢憂】

こんにちは、平沢憂です。
今日はバレンタインデーの3日前です。
去年、軽音部の先輩たちにチョコレートを渡せなかった梓ちゃんは、今年こそチョコレートを渡す決心をしたみたいです。

梓「ぜっっったい!唯先輩たちには言っちゃダメだよ!」

憂「う、うん」

梓「純も!」

純「わかってるよ。だけど……結構いろんな人にバレちゃったみたい」

梓ちゃんが大きい声で話すから、私たちはクラスの注目の的です。

クラスメイト「梓ちゃん、かわいい~」

梓「はっ……し、しまった~!!」


梓ちゃんは反応が面白いので、ついからかいたくなっちゃいます。
お姉ちゃんや軽音部の皆さんの気持ち、ちょっと分かるかも。
ちょっといじわるしちゃおうかな。

5: 2010/09/04(土) 14:38:11.32
憂「ねぇ、梓ちゃんはお姉ちゃんにチョコレートあげないの?」

梓「いまあげるって話してたじゃん」

憂「それは軽音部の皆さんへのチョコレートでしょ? そうじゃなくて、お姉ちゃん個人へはあげないの?」

梓「え、なんで?」

憂「だって、梓ちゃんお姉ちゃんのこと好きでしょ?」

梓「好きだけど、わざわざ……」

憂「そっかぁ。梓ちゃんはあげないんだ~。だったら私はとっておきの作っちゃおうかなぁ。お姉ちゃん、振り向かせなきゃだし」

梓「振り向かせ……え?」

なんだか楽しくなってきました。
梓ちゃんって分かりやすい。

6: 2010/09/04(土) 14:40:10.96
憂「お姉ちゃん、なかなか振り向いてくれないんだよ。姉妹じゃなくて、恋人みたいなのがいいのになぁ」

梓「す、好きって。そ、そういう意味の好きなの!?」

憂「そうだよ。梓ちゃんもお姉ちゃんとキスしたりしたいでしょ?」

梓「キ、キスなんて……したくないもん!」

耳まで真っ赤にして反論する梓ちゃん。
梓ちゃんは考えてることがすぐ顔に出ます。お姉ちゃんみたいで可愛い。
お姉ちゃんと梓ちゃんが付き合っちゃえばいいのにな。

9: 2010/09/04(土) 14:44:57.38
【2/13 10:10 平沢憂】

こんにちは、平沢憂です。
今日はバレンタインデーの前日です。
お姉ちゃんたちは第1志望の大学入試の日。

明日のチョコレートを作るために買い物に来ました。
お姉ちゃんの為に、美味しいチョコレートいっぱい作らなきゃ。
いっぱい作るんだったらチョコケーキがいいかなぁ。
でもお姉ちゃん生チョコ好きだし。両方作っちゃおうか。

あ、純ちゃんと梓ちゃんだ。

梓「あ、憂」

純「なんだ、憂もバレンタインの買い物?」

憂「うん」

10: 2010/09/04(土) 14:49:08.57
小麦粉2袋に、チョコレートたくさん。
お姉ちゃんは甘いもの大好きだから、作り過ぎて困ることはあんまりないんです。

憂「まずはお姉ちゃんの分からかな」

純「え、これで1人分?」

憂「梓ちゃんは何作るの?」

梓「チョコケーキのはずなんだけど……」

梓ちゃんの買い物カゴの中には、小麦粉と黒砂糖にチ、チモルチョコ……
純はお菓子作り苦手って感じだけど、梓ちゃんも初めてなのかな。
大丈夫かなぁ。

憂「一緒に作らない?」

純「よろしくお願いします!」

梓「さっきまでの強気はどこに……?」

梓ちゃんがおいしくないチョコケーキを作って、お姉ちゃんに嫌われちゃったら大変です。
二人にはらぶらぶになってもらわないと!

12: 2010/09/04(土) 14:55:24.39
【02/13 13:05 平沢唯】

今日は第一志望!の大学の入試の日でした。
国語と英語の試験が終わって、これで全部の試験はおわり!
やっと、入試の地獄から解放されるのです。

ギー太が弾きたいよー。
もう弾けなかったりして。
ごめんねギー太。また練習するからね。

唯「ふにゃ~」

澪「唯、いつまで腑抜けてる気だ」

唯「だってぇ」

澪「勉強がんばってる真剣な表情の唯はかっこいいって梓が言ってたのに。また呆れられるぞ」

唯「そうなの!? あずにゃ~ん……あずにゃん分が足りないよぉ」

13: 2010/09/04(土) 15:00:26.13
肝心の試験はというと……よくわかりません。
みんなで同じ大学に行けたらいいなぁ。

紬「澪ちゃん、仕方ないわよ。ずーっと頑張ってきたんだもの」

律「そうだぞ澪。唯はムギや澪と違って優等生じゃないんだから」

唯「ひどいー。りっちゃんには言われたくないー!」

律「唯、1学期の中間試験で15点を取ったことを忘れたのかぁ?」

唯「あー!それは言わないって約束したじゃん!りっちゃんのばかー!」

世界史で15点を取ったのをバラされました。
二人だけの秘密って言ったのに~。りっちゃんめ。
でも、真面目に勉強した2学期からは、赤点なんか取ってないんですよ。
えっへん。

14: 2010/09/04(土) 15:07:02.47
紬「そういえば、明日はバレンタインデーね」

バレンタイン!

唯「そっかぁ。すっかり忘れてたよ~。ムギちゃん、今年もチョコレート持ってきてくれるの?」

紬「私が持ってこなくても……。うふふ。なんでもないわ、楽しみにしていてね」

唯「ちょっこれ~ぇと~」

澪「バレンタイン……」

15: 2010/09/04(土) 15:12:44.47
【2/14 14:30 秋山澪】

バレンタイン。すっかり忘れてた。
12月くらいまでは、試験勉強しながらもチョコレートのことを考えてたのに。
今年こそは律にチョコレートを渡して。
こ、こく……告白を、しようと思ってたのに!

律「で、ムギがさぁ。って聞いてるか澪?」

ずーっと抱えてた想いを伝えようとした高校1年のバレンタイン。
今まで手作りチョコなんて渡したことがなかったのに、初めて挑戦したんだっけ。
黒くて不味そうな塊が出来上がった。
結局渡せなかったんだよな。

市販品を買って、いつも通りのバレンタインを過ごした。
塊は自分で食べた。
胃が爆発した。
そのまま5日間、ご飯を食べることが出来なくて、みんなに心配されたっけ。

17: 2010/09/04(土) 15:18:24.72
律「澪?」

高2のバレンタインは、練習を重ねた手作りチョコを作って渡した。
律みたいに料理得意じゃないし、ましてお菓子作りなんて初めてみたいなものだったから、全然綺麗にできなかった。
でも深夜まですっごい時間かけて作ったんだ。

それで、とうとう告白したんだよな、好きだって。
『そうか。私も好きだぞ』の一言で流されてしまった。
超絶鈍感カチューシャな律にはもっと分かりやすーーーーく伝えないとだめだ。

律「澪、聞いてるのかー?」

分かりやすく。
愛してる、とかじゃまたスルーされる気がする。
あんな恥ずかしい思いはもうイヤだ。
うわぁああああ、思い出しただけで頭がフットーしそうだ。

18: 2010/09/04(土) 15:23:25.29
ずっと一緒にいたい……だめだ。
二人で オシドリさんみたいになろうよ……微妙。かわいくない。
律とキスしたい……キ、キス……は、恥ずかしいっ><

律「み~おちゅぁ~ん?」

澪「うわぁああ。なんだよ律、そんなに顔近づけなくても聞こえるって」

律「聞こえてなかっただろ。どうしたんだよ、澪も唯みたいに腑抜けちまったのかぁ?」

澪「そんなんじゃないよ。ただ……」

律「ただ?」

澪「……」

律「どうした。なんかおかしいぞ、澪」

澪「なんでもない!! もう……バカ律!カチューシャ!おかしくねーし!!」

また素直になれなかった。
もっと甘えたいのに、なんでこうなっちゃうんだろ。

20: 2010/09/04(土) 15:29:40.95
【2/13 17:05 田井中律】

『なんでもない!! もう……バカ律!カチューシャ!おかしくねーし!!』
だって。
カチューシャって悪口なのか?
あの反応はきっと明日のバレンタインのことを考えていたんだろうな。

バレンタインか。
今までは市販品だったのに、去年のは……手作り、だよな。
なんかいびつな形してたし。
よく言えば俵型。
悪く言えば、うんk……汚いことを考えるのは止めておこう。

21: 2010/09/04(土) 15:33:03.08
『わ、私。律のこと、す、すす、好きなんだ!』
『そうかー、私も好きだぞー』

照れてる澪は可愛かったなぁ。
びっくりして、私も好きだぞーとか適当な感じで言っちゃったけど。
あの時の言葉は……
そんなわけないか。

22: 2010/09/04(土) 15:37:32.77
そういえばずっと、バレンタインに澪から貰って、ホワイトデーに私が返すって感じだったな。
バレンタインに私から手作りチョコなんか渡しちゃったら、澪はどんな顔するだろ。

なんてな。唯あたりに言ったら爆笑されそうだ。
『えー、りっちゃんが手作りチョコ?そんなのりっちゃんじゃないよー!』とかな。
……なんだか、想像したらムカついてきた。

私がバレンタインに手作りチョコか。

おかしーし。

23: 2010/09/04(土) 15:46:10.27
【2/13 17:35 鈴木純】

『梓ちゃんもお姉ちゃんとキスしたりしたいでしょ?』

あれは梓をからかう憂の冗談だったんだろうか。
でもかなり目が本気だった。
それに憂の異常なお姉ちゃん好き。ありえない話じゃない気もする。
梓が騒いだせいで、なんか曖昧なまま話流れちゃったし。

24: 2010/09/04(土) 15:47:42.28
『とっておきの作っちゃおうかなぁ』

姉妹でキス。
アリか。いや無いだろ。
そもそも女の子同士って。

振り向いてもらう為に、特別なチョコレートを作る。
好きな人……か。

純「私も、私にもできるかな」

チーン!

あ、ケーキ焼けた。

25: 2010/09/04(土) 15:53:27.37
【2/13 17:45 平沢憂】

チョコケーキの飾り付けに使う粉砂糖がなかったので、梓ちゃんとお買い物に来ました。
純ちゃんは家でお留守番です。

梓「ねぇ、憂。今朝言ってたのってさ」

憂「今朝?」

梓「その、唯先輩に、唯先輩と……き、キスしたいって」

憂「ホントだよ。お姉ちゃん、か~わいいんだもんっ!」

もう。梓ちゃんってば可愛いなぁ。
もっと正直になればいいのに。

26: 2010/09/04(土) 15:58:40.04
梓「恋人になりたいってことはさ。憂はその、唯先輩に、こ、告白、したりするの?」

憂「梓ちゃんが告白しないっていうなら、私がしちゃおっかなぁ。お姉ちゃん大学行っちゃったら、あんまり会えなくなるかもだし」

なんてね。

梓「あんまり会えなく……そっか」

憂「どうしたの?」

梓「ううん。なんでもない」

29: 2010/09/04(土) 16:06:34.95
>>27
支援ありがとうございます

28: 2010/09/04(土) 16:03:45.07
【2/13 17:47 真鍋和】

バレンタインにチョコレートなんて、ちょっと私らしくないわね。
真面目な生徒会長はバレンタインごときで浮つかない、ってみんな思ってるんでしょうね。

まさかダメで元々の国立大学の推薦入試に受かるとは思わなかったし。
ちょっとくらい自分へのご褒美があってもいいわよね。

高校最後のバレンタイン。
最後にちょっと甘い思い出を残しておくのも悪くない、かな。

大通り沿いにあるスーパーは、バレンタインフェアーで賑わっていた。
カカオのいい香り。
みんな甘いものが好きなのね。

30: 2010/09/04(土) 16:08:35.24
和「クーベルチュール……ヴァローナチョコレートか。ちょっとビターなチョコの方が口に合うかしら」

ちょっとほろ苦いチョコがあの人のイメージに合う。
きっと本人は甘いやつがお好みなんだろうけど。

なんてことを考えながら、チョコレートを物色していると、
憂と軽音部の中野梓ちゃんが話しているのを偶然聞いてしまいました。

梓「ねぇ、憂。今朝言ってたのってさ。その、唯先輩に、唯先輩と……き、キスしたいって」

憂「ホントだよ。お姉ちゃん、か~わいいんだもんっ!」

仲がいいのは昔からだけど、ちょっと過剰じゃないかしら。

梓「恋人になりたいってことはさ。憂はその、唯先輩に、こ、告白、したりするの?」

憂「梓ちゃんが告白しないっていうなら、私がしちゃおっかなぁ。お姉ちゃん大学行っちゃったら、あんまり会えなくなるかもだし」

姉の親友として、私は憂にどんな言葉を掛ければいいのでしょうか。

90: 2010/09/04(土) 19:04:38.67
>>30分とか言いながら、規制くらってちょっと遅れちゃいました。すまん。




斉藤「矢庭に訪問してしまい、誠に申し訳ございません」

斉藤「私は琴吹家で、紬お嬢様の執事をしております、斉藤と申します」

斉藤「紬お嬢様の幼き頃から琴吹家に仕え、この実を紬お嬢様やお館様に捧げることを生業とし、我が人生の本懐と信じておりました」

斉藤「しかしながら、齢40に近くして、この心躍る不思議な心持ち」


斉藤「私は、あなた様に恋心というような不埒な感情を抱いていることに気づいてしまったのです」









斉藤「田井中、聡様」

34: 2010/09/04(土) 16:17:11.24

【2/13 18:15 中野梓】

なんだかよく分からなくなっちゃった。
どうしよう。

こんなとき相談できるのって……
試験終わったばっかりなのに、電話したら迷惑かな。
でも明日だし。

ピッ、プルルルルルル――

??『はい、もしもし』

梓「あの、ムギ先輩ですか?ちょっと相談があるんですけど」

35: 2010/09/04(土) 16:22:15.12
【2/13 18:23 琴吹紬】

梓『それじゃ。こんな時間にすいませんでした』

紬「いいのよ。また明日ね」ピッ


うふふふふふふふふふふふふ。
カンペキ。カンペキよ!
あ、カンペキすぎて鼻血出てきちゃった。
嫌だわ私ったら。輸血、輸血っと。
プスッ
あぁん。血が!血が足りないのぉおおおおお。

あら、鼻血の出過ぎでベッドが血の海だわ。
また斉藤に取り換えてもらわなきゃ。

まぁいいわ。
明日は待ちに待ったXデーだもの。

1年掛けてこの日のために種を蒔いて、水をやってきた甲斐があったわ。
カメラ176台、中継衛星の準備もばっちりだし。
最新鋭の録画設備も整えた。

私って天才かも!

36: 2010/09/04(土) 16:30:33.51
【2/13 18:26 琴吹家執事・斉藤】

今日のお嬢様はいつになく嬉しそうで何よりでございます。
試験が全て終わられたから。
いえ、明日のバレンタインデーのことに心躍らせていらっしゃるのでしょうね。
紬お嬢様の願いとあらば、他人の家に侵入して隠しカメラを設置することも、極秘裏に中継衛星を載せたロケットを発射することも、造作もないことです。

それにしても、バレンタインデー。
実に甘美な響きでございます。

恋人たちのフェスティバル。
婚姻を禁止されていたローマ帝国で、秘密裏に兵士を結婚させていた司祭・聖ヴァレンティヌス。
彼が処刑されたルペルカリア祭の前日。

不思議と胸弾む心持ちになるのは何故でございましょうか。
お嬢様の晴れやかな表情を拝見させて頂いたから。

それとも。

38: 2010/09/04(土) 16:32:58.48
【2/13 18:40 中野梓】

卒業しちゃったら先輩たちと今みたいに会えなくなる。
私は受験生だし、先輩だって授業にバイトに、もしかしたら新しいバンドで活動するかも。
まして、放課後ティータイムがみんな揃う機会なんて。


卒業しちゃったら。



唯先輩とも。


梓「……やってやるです!」

チョコケーキは先輩たちへのプレゼント。
なにか特別な、いいのないかなぁ。
パラパラ

梓「トリュフ……チョコレート?」

39: 2010/09/04(土) 16:38:36.53
【2/13 19:05 木下しずか】

こんばんは。私の事こと、ご存知ですか?
二期の三話くらいで「鬼太郎子」とか言われてた、木下しずかです。
本名は静香っていうんですよ。
文化祭のときに、私がオカルト研からロゼッタストーンを借りてきたあの名シーン、けいおん好きな皆さんならもちろん覚えていますよね?

??「溶けた」

しずか「うん、じゃあ次はお砂糖をね」

今日、授業が終わって帰ろうとしたら、若王子さんに捕まってしまいました。
あんまり話したことないんだけどな。
チョコレートを作りたいから手伝って欲しい、ってお願いされたんです。

「若王子って誰だよ」って人は、モブキャラの勉強して出直してきて下さいね。
勉強不足のおまえらの為に、3年2組で一番小さくて可愛くて優しいと評判のこの私が特別に説明してあげると、若王子ってのは「若王子いちごさん」のことです。
テストに出ますよ。

41: 2010/09/04(土) 16:41:24.92
しずか「ねぇ、若王子さん」

いちご「名前でいい」

しずか「じゃあ、いちご……ちゃん」

いちご「……」

しずか「いちごちゃんって、好きな人いるの?」

いちご「……うん」

しずか「え、そうなんだ!意外だね」

いちご「意外?」

しずか「いちごちゃんって、そういうのあんまり興味ないのかなぁって」

いちご「そんなことない」

しずか「ねぇねぇ、誰なの、好きな人?」

いちご「教えない」

しずか「あ、教えないってことは私の知ってる人なんだね?」

いちご「!」

42: 2010/09/04(土) 16:45:30.08
照れてるのかな?
いちごちゃんって、意外と可愛いかもっ

しずか「図星だー。いちごちゃんって分かり易いんだね。」

いちご「……砂糖、溶けた」

しずか「ね。だーれ?」

いちご「次は?」

しずか「誰だか教えてくれないと、次に進んであげないっ」

いちご「ひみつ」

しずか「ずるいー。チョコ作り手伝ってあげたじゃん」

いちご「……」

しずか「チョコ、固まっちゃうよ?」

いちご「わかった。言う」

しずか「クラスの人?」

いちご「うん、あのね……」

44: 2010/09/04(土) 16:48:40.92
【2/13 22:48 中野梓】

今月のおこづかいピンチ!
チョコケーキ以外に作る予定なんてなかったからなぁ。
でも唯先輩のためだもん!

そして、いま。試作1号が完成したのです。
あずにゃんトリュフチョコ1号。

梓「味見は、大事だよね」

パクッ

梓「うわっ……まずーい……」

どろどろとしたドブみたいな味。

作り直しかな。
この不味いチョコレートは……日ごろの感謝を込めて、律先輩にでもあげればいっか。

45: 2010/09/04(土) 16:52:50.28
【2/13 23:05 平沢憂】

こんばんは、平沢憂です。
梓ちゃん純ちゃんのチョコケーキの後、自分のケーキを焼いたのでこんな時間になってしまいました。
チョコケーキ2ホール。パウンドケーキ2ホール。
これだけあれば、今週いっぱいくらいはお姉ちゃんのおやつになるなぁ。
あ、宿題やってないや。

唯「う~い~~」

憂「あ、お姉ちゃん。もう11時だよ」

唯「てへへ、試験終わって疲れてたから寝ちゃった」

憂「入試おわったんだもんね。お疲れさま」

46: 2010/09/04(土) 16:55:21.74
寝癖ぼさぼさのお姉ちゃんは犬みたいです。
なでなでしたいなぁ。

唯「あれ?なんかいい匂いがする~」

憂「チョコケーキだよ、食べる?」

唯「そっか、明日はバレンタインだったんだ。軽音部のみんなとそんな話したっけ」

憂「うん。ケーキいっぱい作ったから、バレンタイン過ぎても食べれるよ」

唯「……」

憂「お姉ちゃん?」

唯「うい~。あのね、夜遅くて大変申し訳ないんだけど。お願いがあるの……」

もう、お姉ちゃんも可愛いなぁ。
宿題は、いっか。

47: 2010/09/04(土) 16:57:52.83
【2/13 24:10 真鍋和】

和「やっと出来た……」

いやだわ私ったら、もうこんな時間。
クラスのみんなに知られたら、笑われちゃいそう。

新聞部なんかが喜んで食いつきそうなネタね。
生徒会長真鍋和・恋人に深夜のチョコ作りか!なんてね。

私も夢中になれるもの、あったのね。

明日。

渡せるかしら。

48: 2010/09/04(土) 17:00:41.81
【2/13 25:35 鈴木純】

純「やっと……でき……た」

まさか一人でチョコレートを作るのがこんなに難しいとは。
型に流し込むだけのシンプルなのしか作ったことなかったからなぁ
でも愛情たっぷり。問題ない!

明日。絶対に告白する。
ダメでもともと。

がんばれ、純。

49: 2010/09/04(土) 17:02:52.28
【2/13 28:15 秋山澪】

澪「まだ……できない」

50: 2010/09/04(土) 17:06:18.29
【2/14 08:12 平沢憂】

こんにちは、平沢憂です。
昨日はいつもより夜更かし気味だったので、ちょっと眠いかも。
お姉ちゃんの為なら夜更かしなんてへっちゃら。

今日はバレンタインデー当日です!
梓ちゃん、お姉ちゃんへのチョコレート作ってきてくれたかなぁ。

純「おはよぉ~」
梓「おはよー」

憂「純ちゃん梓ちゃん、おはよー。あれ、純ちゃんなんか眠そうだね」

純「うん。昨日は遅くまで……ゲームしてたからさ!」

梓「え、ゲーム!?」

憂「そうなんだ。ちゃんと寝なきゃだめだよ」

51: 2010/09/04(土) 17:07:39.25
純「いいよ、授業中に寝るから」

憂「梓ちゃん、ちゃんとチョコレート持ってきた?」

梓「うん。黄色い箱が律先輩にあげる不味いチョコ。赤い箱が唯先輩に……あっ!」

純「梓、けっきょく唯先輩に別のチョコ渡すんだ」

憂「ふふ。頑張ってね。応援してる」

可愛いなぁ。もう。

52: 2010/09/04(土) 17:10:53.85
【2/14 08:10 琴吹紬】

唯「おはよーごぜぇます!」

紬「あ、唯ちゃんおはよ~」テカテカ

唯「あれぇ、ムギちゃんなんかいつもよりテカテカしてるねぇ」

紬「そうかしらぁ」テカテカテカテカテカテカテカテカテカテカテカテカ

昨日は平沢家・秋山家・田井中家・中野家・真鍋家・鈴木家にセットしたカメラを10個のモニターを使って華麗にスイッチングしながらチェックしてたから、ちょっと眠いわ。
でも、眠気なんか吹き飛ぶくらいワクワクテカテカ。
なんてったって、今日は最高のおかずDVDが出来るんだから!

唯「澪ちゃん、どうしたの!すっごいクマできてるよ!」

澪「きのう、おそくまで、チョコ……ちょこっと、ベースの練習をしちゃってさ!」

唯「そっかぁ。入試終わったもんね。でもちゃんと寝ないと健康に悪いよー」

澪ちゃんは結局朝の5時半までチョコを作っていたわね。
りっちゃんへの愛……美しいわ!!

律「おーい、ムギ。鼻血でてるぞ。朝からチョコレートでも食べ過ぎたか?」

53: 2010/09/04(土) 17:14:52.83
【2/14 12:55 中野梓】

卒業、か。

純「ほら、梓」

先輩たちが卒業しちゃったら。

純「あの。澪先輩、これ受け取ってください」

澪「え。ど、どうも」

純「あ、先輩たちにも」

律「ありがとう。ってちっさ!」

紬「でも可愛らしいわね」

純「ほら、梓も」

梓「う、うん」

チョコレートを渡す。
ただそれだけなのに。

54: 2010/09/04(土) 17:15:46.94
唯「あずにゃんちょこ!?」

もう会えなくなる。

梓「あ、あの……」

私ひとり。

口を開いたら、溜め込んだ涙が零れそうで、何も言えなくなってしまった。

梓「あの、私。ちょっとトイレに」

澪「ちょ、ちょっと、梓!」

唯「どうしたんだろ?」

さわ子「青春ねぇ!」

55: 2010/09/04(土) 17:18:13.52
【2/14 12:56 山中さわ子】

軽音部3年生の子達に、2年生がチョコレートを渡している。
鈴木さん、だったかしら。

澪「へぇ、梓も持ってきてくれたのか?」

唯「あずにゃんちょこ!?食べたい!」

梓ちゃんは今にも泣きそうな表情で、チョコレートが入っているだろう可愛い包みを抱いて何も言えずにいる。
私にもこんな時代があったっけなぁ。

梓「あの、私。ちょっとトイレに」

梓ちゃんは走り去ってしまった。
目尻に涙が見えた気がしたのは、気のせいだったろうか。

澪「ちょ、ちょっと、梓!」

唯「どうしたんだろ?」

さわ子「青春ねぇ!」

56: 2010/09/04(土) 17:19:15.94
律「ちょ、さわちゃん。なんだよ急に」

さわ子「あら、あなたたち分からなかったの?梓ちゃん、あんなに泣きそうな顔してたじゃない」

唯「え、あずにゃん体調悪かったのかなぁ」

紬「違うわよ、唯ちゃん」

律「女の子の日だったんだろ」

澪「律、もっと違うぞ」

さわ子「私たちが、入試や卒業の話をしてたのを聞いてたんでしょ。卒業の2文字が突きつけられて、感極まっちゃったのね」

澪「梓……」

唯「新入部員見つけてあげれなかったもんね」

紬「放課後は笑顔で迎えてあげましょう」

律「そうだ!ムギが今日はお菓子を持ってきていないってことにして、梓にチョコレートを出しやすいようにしてやるってのはどうだ」

57: 2010/09/04(土) 17:20:05.18
さわ子「ちゃんと私の分、残しておきなさいよ」

律「はいはい。分かってるって」

さわ子「今年は、バレンタインだっていうのに、チョコをあげる男の人もいなくて寂しいんだから」

律「さわちゃ~ん。去年も一昨年もだろ~?」

さわ子「うっさいわね!」

律「うひゃー、さわちゃんがキレたぞ。逃げろ~」


はぁ。
よく考えたら、バレンタインって碌な思い出がないわね。



和「山中先生」

さわ子「へ?あ、真鍋さん。なにかしら」

和「もしお時間ありましたら、放課後生徒会室に来て頂きたいのですが」

58: 2010/09/04(土) 17:23:49.14
【2/14 12:57 中野梓】

純「梓。そんなに恥ずかしがることでもないじゃん。普通に渡せばいいんだよ、はい!って」

そうじゃないよ。

そうじゃなくて。

梓「卒業しちゃうんだなって。みんな、いなくなっちゃうんだなって」

憂「梓ちゃん」

純「よしよし」


先輩たちが卒業しても、一人じゃない。
友達がいる。

寂しくなんかない。
寂しくなんかないもん!

放課後は笑顔で音楽室に行かなきゃ。

59: 2010/09/04(土) 17:26:47.30
【2/14 15:00 若王子いちご】

どきどき。
チョコレート、準備OK

??「今日は学校がカカオの匂いでいっぱいだねー」

いちご「ごめんなさい、呼び出して」

??「気にしないで、それより話ってなに」

いちご「……」

??「あ、分かった。いちご、好きな人がいるんでしょ」

いちご「!」

60: 2010/09/04(土) 17:28:38.09
??「それで、その人に渡すチョコレートの受け渡しを、私にお願いしたいんだ?」

いちご「ちがう」

??「そっか。当たったと思ったんだけどな」

いちご「……甘いもの、好き?」

??「好きだよ。甘いもの好きとか言うと、イメージじゃない!って言われるけどね」

いちご「……」

??「もしかして、私にチョコレートくれるとか?」

いちご「これ……」

??「え、ほんとに?」

いちご「本命」

??「ほん……っ」

いちご「私、あなたのことが――」

61: 2010/09/04(土) 17:30:08.49
いちご「私、あなたのことが好き。姫子」

姫子「うっそ。意外なフラグだったわ」

いちご「女の子を好きなんて、嫌われるかと思って。嫌いにならないでほしい」

姫子「嫌いになるなんて、そんなわけないじゃん」

いちご「本当?ありがとう」

姫子「私も……いちごのこと、好きだったし」

いちご「え」

姫子「いちご、クールだからそういうこと興味ないのかなって諦めてたんだよ」

いちご「昨日も、言われた」

姫子「キスしよっか」

いちご「……っ!」

姫子「両思いだよ。いいでしょ?」

いちご「だって。はずかし――っ!」

いちご「あっ……ん……」

62: 2010/09/04(土) 17:32:20.87
紬「キマシタワー!!」

憂「紬さん。鼻血出てますよ、ティッシュどうぞ」

紬「ありがとう。って憂ちゃんも見学?」
プスッ
アァン、チガタリナイノー

憂「はい。私もフラグ立ってない傍観者ですから」

紬「あらあらあらあらあらあらあらあら。気づいてないのね」

憂「気づいてない……?」

紬「本当に大事なものは、意外と近くにあるものよ」

憂「紬さん?」

紬「ほんとは、気づいてるんじゃないの?」

憂「気づいて――」

紬「がんばってね、憂ちゃん!」グッ

63: 2010/09/04(土) 17:35:11.57
【2/14 15:17 真鍋和】

未だかつて、これほど緊張したことがあっただろうか。

初めて全校生徒の前に立った、小学校の児童会役員選挙。
中学の英語のスピーチコンテスト。
桜が丘の入試のとき。
この間の大学入試の面接。

そんなものが比較にならないほど、どきどきしてる。
私らしくないわね。ほんと。

さわ子「ごめんなさいね、遅くなっちゃって」

和「いえ、私もいま来た所ですから」

生徒会はもう次の代に代わっているけど、無理を行って貸してもらった。
私の一番のホームグラウンドだから。

さわ子「はい、チョコレートちょうだい」

和「え?」

64: 2010/09/04(土) 17:36:57.50
さわ子「その為に呼び出したんじゃないの?それで、私は貴女のことが好きです、って!」

この人は、凄いんだか凄くないんだか……。

和「そうですよ。もう……先生なんだから、もっと大人な対応してくださいよ」

さわ子「こういう私が好き、なんじゃないの?」

和「なんだか涙出てきちゃいました」

メガネを取って涙を拭う。
悲しいわけじゃない。
大人な対応をされていたら、私は逆に畏縮してしまっただろう。
先生の方がよっぽど大人だった。全部見透かされてる。
そんな、ちょっと嬉し涙。

さわ子「あら、メガネ取ると意外と可愛いのね」

意外と可愛い……胸がカッと熱くなるのを感じた。

65: 2010/09/04(土) 17:39:18.67
さわ子「私の元彼に似てるのね。まぁ彼は真鍋さんと違ってちょっと強引な人だったけど」

和「先生、強引な人が好きなんですか?」

さわ子「そうねぇ。過去の経験からすると、そうなるのかもね」

過去の経験……
私と違って…

さわ子「どうしたの、真鍋さん?」

和「のどか、って呼んでください」

そう言って、私は先生の唇を無理矢理奪った。

さわ子「っ……。ん、っ……」

憧れの人と唇を合わせている……キスする前より、急速に頬が紅潮していくのがわかる。
少し背の高い先生を抱きしめて、自分がとんでもないことをしたことを悟る。
でももう戻れない。だってしちゃったんだもん。

和「先生。少し強引な女の子は、いかがですか?」

66: 2010/09/04(土) 17:43:14.89
【2/14 15:30 琴吹紬】

唯「あずにゃんの気配がしたから~」

今日は鼻血が止まりそうにないわ。
あと何リッター輸血すれば生きていけるかしら。
もう1斗缶ひとつ分の血液は輸血しちゃったし。

でもまさか、あのいちごちゃんが告白してキスする場面に出会えるとは!
学校中にもカメラを設置しておいて正解だったわ。
いやだ、思い出したらまた鼻血が出てきちゃった。

あ、お紅茶にお鼻血が入っちゃったでございますわよ。
面倒だから、特別ってことにして、このまま出しちゃいましょう。
うふふ、一度鼻血入りの紅茶作ってみたかったのー。なんてね。

67: 2010/09/04(土) 17:45:48.04
梓ちゃんが申し訳なさそうに座っている。
昼休みのこともあるけど、このあと唯ちゃんに渡すチョコレートが気になってるのかしら。

紬「今日はとっておきのお茶にしてみたの」

梓「あ、そうなんですか」

澪「確かにいい匂いだな。(……でも、なんかちょっと鉄くさくないか?)」

律「あ、そういえば!今日のお菓子は?」

りっちゃんは割と普通だけど、そのバッグの中にチョコがしまってあるのを私は知ってる。
澪ちゃんも平静を装ってるけど、目が泳ぎすぎね。

紬「ごめんなさい。今日は用意してないの。その代わり、梓ちゃんが用意してくれてるみたいよ?」

梓「え。な、なんでバレてるの!?」

68: 2010/09/04(土) 17:47:36.60
【2/14 15:40 山中さわ子】

音楽室に行くと、軽音部の子たちが窓の所に集まって外を見ていた。
外は一面、雪化粧。
白雪が音を吸って、静かな雪景色は悲しみを倍増させる。

梓「みんなでこうしてるのって、いいですね。今日は朝から寒かったですけど、先輩たちと一緒にいると、なんか寒くないっていうか」

誰かといれば、大事な人がいれば、その悲しみは何倍もの幸せに変わる。
こうして少しずつ、みんな大人になっていくのね。

唯「あ、さわちゃん」

さわ子「うふふ、あなたたち本当に仲がいいのね」

律「あれ、さわちゃんなんかご機嫌だね、なんかいいことあったの?」

さわ子「そうなのよぉ~。りっちゃん聞いてくれる?」

69: 2010/09/04(土) 17:50:07.69
律「イヤです」

さわ子「ちょっと、いいじゃない話させなさいよ」

律「やだよー、唯パス!」

唯「え~、さわちゃんの話長いんだもん」

言ってくれるわ、この子たち。
教師の威厳台無しね。
でも気分がいいから許してあげちゃう。

紬「先生。おめでとうございます」

琴吹さんが耳打ちしてきた。
この子は分かってるのね。

さわ子「ありがと、幸せになるわ」

70: 2010/09/04(土) 17:53:08.21
【2/14 17:50 中野梓】

もう6時かぁ。
なんだかタイミングがないなぁ。
帰りに律先輩たちと別れた後でいっか。

澪「梓、帰る準備しないのか?」

梓「あ、はいっ」

さわ子「あー!りっちゃん澪ちゃん、ちょっと話があるから先に職員室に来てもらっていいかしら」

律「話ならここでもできのに。変なさわちゃん。じゃあ唯ムギ、梓。先行ってるぞー」

もしかして、気を遣われた!?
待って。まだ心の準備がっ。

紬「梓ちゃん、頑張ってね」

梓「へ!?」

バタン

行ってしまった。
雪が降ってるからかな。
なんだかとっても静か。

71: 2010/09/04(土) 17:56:19.82
唯「あずにゃん、ふたりっきりだね~」

梓「はい。あの……」

唯「あずにゃん顔真っ赤だよ。どったの?」

あ、唯先輩が近い……
唯先輩のいい匂い……どきどきする。
いつも抱きしめられても、こんなにはならなかったのに。

唯「熱は無いなぁ」

よし。

梓「唯先輩!!」

唯「わ、びっくりした。どうしたの、急に大きい声出して」

梓「さ、寒いですね!」

唯「雪が降ってるからねー、ってさっきも同じような話してたよぉ」

梓「はい……。あの……っ!」
やっぱり言えないっ

ぎゅ。

唯「こうしたら、暖かいよ」

梓「あ……」

72: 2010/09/04(土) 17:58:57.55
唯「あったか、あったか」

……。

…………。

梓「唯先輩。私、唯先輩と離れたくないです」

唯「私もだよ、あずにゃん」

梓「違います」

唯「違くないよ?」

梓「違うんです。そういうんじゃなくて……こ、こ恋人として……唯先輩の側にいたいっていうか」

唯「うん」

梓「卒業して……もう今みたいに会えなくなると思ったら……」グスッ

ずっと我慢してたのに。
文化祭のときも、1人のクリスマスも、先輩たちに心配かけないようにって、泣かないでいたのに。
一度決壊した堤防はもう戻らない。

唯「うん」

梓「憂に、発破かけられて、やっと、気づい……たんです。私、唯先輩のこと……女の子として好きなんだって」

唯「そうなんだ」

73: 2010/09/04(土) 18:02:00.12
梓「変ですよね、女の子同士が好きなんて。軽蔑されてもいいです。気持ちが伝えられただけで、私は十分ですから」

唯「だから、違くないんだよ。あずにゃん」

梓「違くないって、何がですか?」

唯「私も、恋人としてあずにゃんの側にいたいんだよ」

うそっ……

唯「うそじゃないよ?」

梓「ホント……ですか?」

唯「そうだよ。私だって、あずにゃんは女の子と付き合うなんて嫌かなぁ、ってずっと悩んでたんだから」

梓「うれしい、です。なんだかどきどきします」

唯「顔真っ赤だよ、あずにゃん。えへへ、今日から恋人同士だねー」

梓「恥ずかしいから、あんまり言わないで下さいっ。あ、唯先輩にチョコレート作ってきたんですよ」

精一杯の照れ隠し。
え、なにこれ……。
唯先輩が、私のことを好き……どうしよう。

74: 2010/09/04(土) 18:03:53.95
唯「ちょこれーと!?」

梓「はい、……ちょっとビターで、でもとっても甘い私のスイートハートです」

唯「わぁい、ありがとう!」

唯先輩が包みを開ける。
赤い包み。あったかい唯先輩にぴったりな色。

唯「おいし~」

梓「ホントですか、よかったです!」

唯「あずにゃん。私からもあるんだよ、チョコレート」

梓「え!?」

唯「昨日、憂に手伝ってもらって作ったんだぁ」

75: 2010/09/04(土) 18:05:50.00
水色の、可愛い包みに入ったチョコレート。

梓「食べて、いいですか?」

唯「うん!」

唯先輩のチョコレートは、唯先輩みたいに甘くてとろとろのホワイトチョコレートでした。

梓「おいしい……」

唯「よかったぁ」

梓「でも、なんか。ふわふわして、まだ信じられないです。不思議な感じ。唯先輩が私の……こ、恋人になってくれるなんて」

唯「信じられない……? そっかぁ。困ったなぁ」

梓「あ、ごめんなさい。困らせるようなこと言って」

76: 2010/09/04(土) 18:08:43.52
唯「よし。じゃあ、証拠を見せてあげよう」

梓「証拠って……」

唯「私があずにゃんを好きだって証拠。目、閉じて」

梓「えっ」

唯「はやく~」

ゆっくりと目を閉じます。

梓「んぅ……っ」

唯先輩の柔らかい唇の感触。

……。

唯「ぷはっ。息止めちゃった。私のファーストキスだよ」

梓「私もですよ……。唯先輩、大好きです」


ファーストキスは、チョコレートの味でした。


  Chocolate days –fin -



99: 2010/09/04(土) 19:25:45.53
何か変な部分もあったがww
良かった

乙!!

101: 2010/09/04(土) 20:02:57.60

素晴らしかった

引用元: 唯「ちょこれーとでいず」