1: 2010/09/12(日) 19:58:31.88
――ザーザーザー……

憂「お姉ちゃんこっちだよっ。早く~」コッチコッチ

唯「まってーー、ういー」タタタ

2: 2010/09/12(日) 20:03:34.34
はい、雨が降ってきました。夕立でしょうか。
お姉ちゃんと一緒に買い物に行った帰りに降ってきました。

公園のベンチで雨宿りです。
ベンチに付いている大きな傘が雨を防いでくれます。

お姉ちゃんの方を見ると、息を少し荒くして手でパタパタと扇いでいます。
お姉ちゃんは途中で転んでしまったので、少し服や体が汚れていました。

3: 2010/09/12(日) 20:05:27.61
憂「お姉ちゃん大丈夫?」

唯「うん、平気だよー」

憂「結構走ったもんね」

憂「ベンチに座ろう?」

唯「うん!」

4: 2010/09/12(日) 20:08:28.27
唯「もーやんなっちゃうね。急に降り出してさ」

憂「だね~。服が濡れちゃったよ髪の毛も」

唯「憂、髪の毛額に張り付いてるよ」クスクス

憂「え?本当?やだっ」

唯「ほら、憂こっちおいで」

憂「うん」

5: 2010/09/12(日) 20:11:25.20
お姉ちゃんはハンカチで額を優しく拭いてくれました。
流れで頬や首回りも拭いてくれました。

うなじは――ちょっとくすぐったいですね。

唯「よし、拭いたよー」

憂「ありがとう、お姉ちゃん」

唯「ん~リボンとろっか。こっちも拭いてあげる」

6: 2010/09/12(日) 20:16:11.97
お姉ちゃんがリボンをほどいてくれました。
微かにしっとりと湿った髪が首もとに纏わり付きます。

唯「憂の髪は雨の匂いと、憂の匂いがするね」

お姉ちゃんは髪の毛を優しく拭きながらそう言ってきました。

憂「もう……恥ずかしいよ」

唯「ごめんごめん、でもなんかいい匂いなんだもん」

憂「そうかな……?」

8: 2010/09/12(日) 20:19:22.96
唯「うん、甘いよー」スンスン

憂「やーっ!、嗅がないでよぉ」

唯「ちょっとくらい、いいではないかー」ヘヘヘ

憂「少し汗かいてるからダーメっ」

唯「憂の汗は甘いんだね!」

憂「お姉ちゃんじゃないんだから……」

9: 2010/09/12(日) 20:22:16.57
唯「じゃあ、ぎゅってしていい?」

憂「……うん、いいよ?」

唯「やったー。ではお言葉に甘えて」ギューッ

憂「んっ」

10: 2010/09/12(日) 20:25:16.67
唯「やわらかーい。いいにおーい」ギューギュー

憂「お姉ちゃんもいい匂いするよ」

唯「そうかな~?」

憂「うん。それに少し土の匂いするね」

唯「土?転んだ時に付いちゃったかな」

11: 2010/09/12(日) 20:28:08.50
憂「今度私が拭いてあげるね」

唯「おお、ありがとー」

憂「まず髪の毛だね~」

お姉ちゃんはベンチの上で正座になり
両手を膝の上にちょこんと乗せてます。

準備オッケーだからどうぞ!って感じですね。

13: 2010/09/12(日) 20:33:17.04
憂「ふふ、じゃあ拭いちゃうよ~」

唯「ほーい」

憂「お姉ちゃんドロだらけだよ」

唯「いやあ面目ない」

少し顔を朱くするお姉ちゃん。
お姉ちゃんの顔を見るだけで優しい気持ちになれます。

髪の毛を拭いている間
凝視されているので少しだけ恥ずかしいですね。

15: 2010/09/12(日) 20:37:34.48
憂「お姉ちゃん首を拭くから髪、結んでおくね」

唯「うん!」

お姉ちゃんの背中に回って
私のリボンで髪を結んであげました。
どうせだから私と同じポニーテールです。

憂「はい、完成」

唯「あ、これ憂と同じポニーテールだね?!」

16: 2010/09/12(日) 20:40:15.98
憂「そうだよ~似合ってるよ」

唯「えへへ、憂と同じ、憂と同じ!」

憂「そうだねー」ニコ

唯「ねー」ニコ

20: 2010/09/12(日) 20:43:14.81
結構拭いてあげましたが、ドロの跡は消えませんでした。

憂「結構汚れているから、帰ったらお風呂入ったほうがいいね」

唯「うん、そうしよっかな」

憂「帰ったら準備するからね~」

唯「うん、ありがとねー」

23: 2010/09/12(日) 20:48:41.12
――ザーザーザー……

雨は止みません。
ただただ、ザーザーっと音を出し続けていました。

お姉ちゃんは薄っすら口を開けて空を見上げています。

私は横でお姉ちゃんを眺めていました。
お姉ちゃんはふらふら頭を揺らしているので
ポニーテールも同様にゆらゆら揺れています。

その小さなポニーテールに目から離せませんでした。

24: 2010/09/12(日) 20:50:39.48
唯「雨、止まないねー」

憂「うん、帰れないね」

唯「うん、憂のご飯食べれないよー」

憂「大丈夫だよ。そのうち止むから」

唯「あめーやめーー!」

25: 2010/09/12(日) 20:54:09.54
憂「お姉ちゃん、アイス食べる?ただ待つのもアレだしね」

唯「お、食べる食べるー」

唯「憂も食べよーよ」

憂「食べるよ~」

唯「外で食べるとなんか味が違って感じるよねー」

憂「そうだね~新鮮な感じだよ」

27: 2010/09/12(日) 20:57:27.13
お姉ちゃんは足をブラブラさせてアイスを食べました。

お姉ちゃんの一挙一動がとてもかわいらしいので目が離せません。

憂「お姉ちゃん、アイス美味しい~?」

唯「もっちろん!憂と一緒に食べてるしねー」

憂「よかったあ」

28: 2010/09/12(日) 20:59:36.47
唯「前、家に居たときもこんなに雨が降ってたよね」

憂「うん、リビングでお姉ちゃんと居たね」

憂「お姉ちゃん、ギー太と練習してたよ」

唯「あーそうだったあ。ギー太持ってくればここでも弾けたなぁ」

憂「ギー太大きいから大変だよ~」

30: 2010/09/12(日) 21:04:21.85
唯「うーん、いい子なんだけどなぁ」

唯「重いのが玉にキズだね」

唯「ダイエットさせたいよ」

憂「ふふ、お姉ちゃんがギー太支えられるくらい強くならなくっちゃ」

唯「毎日持ってるからね、強くなるよ!」

31: 2010/09/12(日) 21:09:44.85
――ザーザーザー……

アイスも食べ終わり、気がつくとお姉ちゃんと寄り添う形になっていました。

少し胸がドキドキとするけれど
ほんのりと髪から漂うシャンプーの甘い匂いと
雨に濡れたコンクリートの独特の匂いが、私を落ち着かせてくれました。

34: 2010/09/12(日) 21:14:02.39
そのまま雨が止むまでぼうっとしていましたが
耳を澄ますとお姉ちゃんが何かを呟いていました。

憂「お姉ちゃん、何を歌っているの?」

唯「雨の歌だよー」

憂「雨?」

唯「ほら、前一緒に歌ったじゃん」

憂「ああ、あめふりだね」

35: 2010/09/12(日) 21:18:56.50
唯「雨の日は歌いたくなるもんだよ」

憂「楽しくなるもんね」

唯「よーっしそれじゃあ一緒に歌おうーー!」

憂「うん!」

唯「ギー太が居ないからアカペラだよー」

憂「私、手拍子するね」

唯「うん!頼んだー」

36: 2010/09/12(日) 21:25:20.87
――パチ パチ パチ パチ

唯「あーめあーめ ふーれふーれ かーあさーんがー」

唯憂「じゃーのめーで おーむかーい うーれしーいなー」

唯憂「ピッチピッチ チャップチャップ ランランラーン」

唯憂「あーめあーめ ふーれふーれ かーあさーんがー」

唯憂「じゃーのめーで おーむかーい うーれしいなー」

唯憂「ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン」


唯憂「ピッチピッチ チャップチャップ ランランラーーン」

37: 2010/09/12(日) 21:28:27.03
唯「……ふ……ふふ」

憂「えへへ……」

唯「あはははははは」

憂「あはあはははは」

唯「もー憂、笑わないでよー」アハハ

憂「お姉ちゃんから笑ってきたよ~」クスクス

39: 2010/09/12(日) 21:32:50.83
そのまま二人して一頻り笑いあいました。
笑いが収まる頃には私達はまた肩を寄せ合っていました。

そして、ふと気が付けば雨も止み、空はすっかり晴れ上がっています。

憂「お姉ちゃん、ほら晴れてるよ」

唯「うん、キレイだねー」

40: 2010/09/12(日) 21:35:18.75
唯「やったー帰れるよおーー!」ダッ!

憂「あっ」

唯「雨上がりさいこーー」

唯「お、虹発見!」ビシッ!

憂「あ、本当だぁ。綺麗だね」

41: 2010/09/12(日) 21:38:54.83
唯「そう言えば、虹の足元にはお宝が眠っているみたいだよー」

唯「お宝って何かなー、アイスいっぱいあるかな。今なら探せるかも!!」

憂「ここからだと相当遠くになるよ」

憂「それにアイスならここにいっぱいあるよ~」

唯「そうだった!憂はお宝いっぱい持ってるねぇー。いい子いい子」ナデナデ

憂「うん……!」

43: 2010/09/12(日) 21:42:18.54
唯「よーしアイスもいいけど、憂のご飯食べに帰るぞーー」

憂「うん!張り切って作っちゃうよ~~」

唯「今日はハンバーグ?オムライス?」

憂「ん~出来てからのお楽しみ!」

唯「ちぇっ。いいもん憂のご飯は何でも美味しいから」

憂「今日もお姉ちゃんの好きな物だからね」

唯「さっすがういーー!」ギュ!

45: 2010/09/12(日) 21:45:15.18
唯「そうと分かれば早く帰ろう!」

憂「うん、慌てちゃダメだよ」

唯「分かってるよー」

憂「はい、お姉ちゃん、手」スッ

唯「うん!」ギュ!

憂「えへへ」ギュ!

46: 2010/09/12(日) 21:47:22.35
雨宿りの短い時間は
私達をいつも以上に幸せな気持ちにしてくれました。

今度お姉ちゃんと一緒に買い物行くときは
雨が降っても大丈夫なように
折りたたみ傘を一本持っていこうと思います。





                         おしまい

47: 2010/09/12(日) 21:48:41.76

48: 2010/09/12(日) 21:48:54.85
すばらしい!おつ!
こういうSS書けるなんてホントうらやましい!

49: 2010/09/12(日) 21:51:59.24
とてもいい唯憂だった

おつ!!

引用元: 憂「あーめあーめふーれふーれ」