1: 2011/07/16(土) 20:47:10.77
いつだったか、俺達の住むサイド7へ、ジオン軍が攻めこんできた。
街は破壊され、人は氏に、住む場所は当然のごとく失せた。
もう駄目だと思った。逃げる場所もなく、呆然と立ち尽くした。

そこに、白いモビルスーツが現れた。
圧巻だった。ザクを2機も潰した。

そのモビルスーツの御蔭で、サイド7は窮地を脱した。

だが、まだ敵は来ていた。
皆、大きな新型戦艦へと乗り込んだ。



しかし、俺は、取り残された。
途中で足をくじいてこけた俺は、痛みに打ちひしがれている間に、取り残されていたのだった。

人が居ない、氏んだ街。

そこに一人、立ち尽くすしか、無かった。

4: 2011/07/16(土) 20:54:02.07
どうしようもなく彷徨い、軍の基地へとたどり着いた。

関係者以外進入禁止。

それを無視して先へ進む。
建物の中を突き進む。
突き当たると、大きな扉があった。

丁度、モビルスーツの通れそうな具合の、大きい扉が。
半開きだったので、俺はそこを通って、先へ進んだ。



見渡すかぎり、広い土地。

軍事演習場だったのだろうか。
と、考えていると目線の先に、煙が見えた。

大きな黒い影が、一つ。

誰か居るのか、と。そう思った俺は走ってその影へと近づいていった。

8: 2011/07/16(土) 21:03:14.62

その影は、モビルスーツだった。

「誰かいませんか」
と叫ぶと、う、う。という呻き声が聞こえた。

コックピット付近からの声だった。
急いで近寄り、登った。
改めて見ると、結構破損していた。

コックピットは、開いていた。
見ると、中に血塗れの男がいた。

「大丈夫ですか」と俺は気付の意味も込めて大きな声で言う。
男は「う、う」と呻くだけだった。

彼はもう、虫の息だった。
血の量が、もう見るからに致氏量だった。
俺は医者ではないので、どうすることも出来ない。

男が俺に気づく。意識が辛うじて復活したようだ
「聞いてくれ、いま、から、このガンダムの事を話、す」
途切れ途切れな声の中、彼は、''ガンダム''という、このモビルスーツの操縦方法、ある程度の構造を話した。
血を吐いても、止めなかった。

「このガンダムを、頼んだよ」

彼はそう言って、生き絶えた。

俺は、彼を丁重に運び、埋葬した。

10: 2011/07/16(土) 21:09:11.03
一般人に託しちゃうのか

11: 2011/07/16(土) 21:12:14.45
「ガン・・・・ダム」
彼の言葉を思い出し、ポツリとつぶやく。

ガンダムと呼ばれるこのモビルスーツは真っ黒だった。
「黒いガンダム・・・・・・・・・」
戦闘後のようで、ところどころ煤けていた。
というより、戦闘後でないと彼は氏にはしなかっただろう。

よくみると、ザクのものらしき腕が2本ほど付近に転がっていた。
両方共、右手のようだ。ということは2機は潰した、ということか。

2機。白いモビルスーツと同じ。

白いモビルスーツ、そのシルエットは、まさにこのモビルスーツと同じだった。

ガンダム・・・・・・・・

彼は氏に際、ガンダムを頼むといった。
それは動かせ、ということだろうか。

何方にせよ、このままだと俺はいずれ氏ぬだろう。
ならば。
ならば、俺は、このガンダムを動かして、あの戦艦へと合流しよう。

今の俺には、それしか出来ない。


コックピットへ乗り込む。鉄の匂いが、鼻を突く。
彼の遺言通り、僕はハンドルを取る。
どうやら、動くようだった。

13: 2011/07/16(土) 21:21:15.40
「エネルギーは・・・・・・全然残っているみたいだ」

サイド7を出たばっかりの戦艦に追いつけるのか。
今は、それしか考えられない。

残弾や、装備がモニターへ表示される。
肩に装備されてるマシンガンはもう使いものにならないのはわかった。

残る装備は、ヘッドのマシンガンと、ビームサーベルと呼ばれる物だけ。

「大丈夫・・・・・敵は撤退した」

そう、自分に言い聞かせ、俺はガンダムを立たせる操作をした。

強烈なGがかかる。
肺が潰されそうになる。

「ぐ・・・・ぅ・・・・・・」

どうやらガンダムは、無事に立ったようだった。

後は
「後は、追いつくだけ」




なんだか、ガンダムの中が、とても落ち着いた。

18: 2011/07/16(土) 21:31:36.41
その時、奥に残る鉄の山が大きく動いた。
まさか

「あれは・・・・・ザク・・・・・・か?」

多分、このガンダムに大破させられたのだろう。
左腕もなく、右足は膝までしか無い。

「でも・・・・動いている」

手を地面につき、前かがみの状態で、俺の乗っているガンダムへと向かう
すると、外部スピーカーを使ってザクの操縦者が話し始めた

「ふざけるなよ・・・・・この黒いモビルスーツがああああああああああああああ」

そう叫ぶと同時に、彼の乗っているザクは、さながら芋虫のように、のそのそとガンダムの方へと近寄ってきた。
恐怖と、狂気を感じた。
勝てるのか、自信がなかった。

「氏ね・・・・・・・氏ねェ・・・・・・・・」

そう言ったが早いか、ザクは、斧型の近接戦闘武器を手に取り、最後の力を振り絞って、襲いかかってきた。

このままだと直撃だった。

「う、うあああああああ」

たまらず俺は叫んだ。
無我夢中でガンダムを動かしにかかった。

19: 2011/07/16(土) 21:32:03.41
オリジンの一号機か

20: 2011/07/16(土) 21:40:10.36
突然、電撃が走ったようになった。

「あ」
と、落ち着きを取り戻し、声を漏らしてしまった。
なんだ、簡単なことだったのだ。

スラスターを使い、十分にザクとの距離をとった。
当たらなかった。当然のことだった。

外部スピーカーを使い相手の操縦者へ話しかける
「止めてくれ、ここで戦っても無意味だ」

「うるさい、仲間を頃した奴を殺さないと帰れないんだよおおおおお」
聞く耳は、無かった。

バカヤロウ、とつぶやく。
もう頃した奴は居ないのに。
彼は、氏んだのに。

ザクは止まらない。
どうしたら止められる。
どうしたら殺さないで済む。

「四肢を切り落とそう」

結論は、それだった。



「・・・・・・・・・・・やってやる」

21: 2011/07/16(土) 21:42:01.62
RX-78-1か?

22: 2011/07/16(土) 21:47:33.73
はぁ、と息を吐き、気合を入れる。

「行くぞ」
言うと同時に、ビームサーベルを取り出した。

スラスターを使い、一瞬にして間合いを詰める。
最初は左足だ。

「っが・・・・・・」

スピーカーから呻く声が聞こえた。
コックピットにも相当衝撃が行くようだった。
上手く切り落とせた。

「糞野郎おおおおおおおおお」

彼は叫ぶ
もう、正気じゃない。

だるまのようになったザクは、我武者羅に斧を振るった。

「うあ・・・・・・・っ」

当たる、距離を詰め過ぎた。
必氏になって、動こうとするが、無理な範囲だった。


気づくと、ビームサーベルを振るっていた。

腕どころか、胴体まで切れてしまっていた。

30: 2011/07/16(土) 22:18:28.27
バチバチと火花を散らす
ザクの胴体から、ドロドロと燃料が漏れていた。

爆発する。

絶対に引火する。


機体が持てる全力でザクから離れる。
瞬間、ザクに火がついた。

と思ったが早いか、爆発した。
白いモビルスーツが倒したザクの時と同じか、それ以上か。
酷い爆発だった。
すごい爆発だった。

コロニーに穴が開く。

空気が漏れ出す。

「ヤバい・・・・・・宇宙に出る・・・・っ」

気流によって、徐々に穴へと近づく
散らばっていた破片は、もう宇宙の彼方へと消えた。

しかし、サイド7はもう持たない。
宇宙に出るしか無いのだ。

「なるようになれっ・・・・・・・・」
そう呟いて俺は宇宙へ飛び出した。

32: 2011/07/16(土) 22:29:55.04
背中のランドセルのブーストも使い、機体の動きを整える。
「これが・・・・・・宇宙」
感嘆の声が漏れる。

初めて見る宇宙。
声が漏れるのも仕方がない。
綺麗だった。

「・・・・・・・戦艦は何処だ」
先ずはそれだった。
しかし、見当たらない。

それどころか
「ザクだ・・・・・・・・」

ザクが、こっちへ向かっていた

「3機・・・・・いや、4機・・・・・・・」

爆発に気づいたのだろうか
それとも
「今さっきの男が通信・・・・・を」
そう考えるのが妥当だろう。

ザクは、こう言うことを考えてるうちにも近づいてくる。
どう考えても勝てるわけがない。
「どうすりゃいいんだ・・・・・」

ザクを一機倒しただけの俺が。
勝てるわけないのだ

37: 2011/07/16(土) 22:47:47.61
先頭のザクが、手に持つ銃を撃ってくる
それが戦闘の火蓋を切ることになった。

俺から見て右端のザクが回りこむようにして高速で近づいてくる
やってやる。
やるしか無い。

「うおおおおおおおおおお」
ビームサーベルを持ったままの腕を振るう
上から振りかぶった一撃目は、早すぎて当たらなかった。
タイミンがずれたのだ。
早過ぎる。このガンダムは今まで見てきたモビルスーツとは違った
格が違う。
「まだだ」
下から振り上げる
その攻撃は、思ったとおり、ザクを切り裂く
真っ二つにする。

同時に、今さっき見た時右から二番目のザク、今俺から一番近いザクが、今自分の左で起こった出来事を認識したようだ。
進行方向を変えた。
あと2機も、同じように。

完全に的だった。
撃たれる。

一番近いザクが発砲を開始した
その奥から、斧を取り出した2機が間合いを詰めてきた。

避けるしか無い。
上に向かって全力で推進した。

43: 2011/07/16(土) 22:58:34.58
行ける

速さも、どう見てもガンダムのほうが性能が上だった。
どんどん時間が経つごとに間合いは遠ざかる。

しかし、これでは埒があかない。

倒すしか無いのだ。
壊すしか無いのだ。

「くっ、うおおおおおおおおおおおおおお」

刹那にして後ろへ振り向く
まずは銃を構えているザクから

ヘッドのマシンガンの装填が完了する
ボタンを押す

弾が発射される

ババババと、刻みのいい音が耳を啄き
マズルフラッシュがカメラに映る。

「当たれ、当たれ」

最初の何発かは外れた
だが、それ以外は全て命中した。

一機のザクが沈む
あと2機だ。

44: 2011/07/16(土) 23:10:01.73
2つのザクはスピードを緩める
1機のモビルスーツに2機もやられたのだ
当たり前かもしれない。

しかし、俺はひるむ隙を与えないようにした
というより、そうするしか無かった。
もう残弾は無い。

ビームサーベルしかないのだ
突っ込むしか無い

「頼む・・・・・・動いてくれよ・・・・・・」

最高速で間合いを詰める
一番左にいたザクを通り過ぎざまに切る

無事に切った。
上下にまっぷたつになる。

「最後の一機っ」
右後ろにいる最後のザクへと勢いのまま近づき
そして

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

最後の一撃を


振り下ろした。

45: 2011/07/16(土) 23:20:46.89
「はぁ・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・」

全機倒せた。
奇跡か、偶然か。

初めてガンダムを動かした俺が、約一個師団を潰したのだ。

自分でも驚きだった。

自分に感心している場合じゃない
「早く・・・・・・・皆のいる戦艦に」

一刻も早く、あの木馬のような戦艦に追いつきたかった。

「何処にいるんだ・・・・・・・・・何処にっ」

音も、光も無い世界

手がかりは、何も無い

「どうしたら」

その時
丁度その時、ギリギリ目視できるレベルで
小さな光が見えた。

今見たからわかる。

モビルスーツの爆発だと。

46: 2011/07/16(土) 23:30:31.58
戦闘だ。
戦闘が起こっている
多分あそこに、きっと戦艦が。
皆のいる戦艦が

「行こう」
期待を持って近づいていく

徐々に、戦闘の様子が見える。
あれは
「白いモビルスーツ・・・・・・ガン・・・・・ダム」

俺らを救ってくれたガンダムが戦っていた
赤いザクと。

大丈夫なのか
勝てるのか?

その疑問をいだいた時、ガンダムは赤いザクに蹴られた。
思い切り

「駄目だ、負ける」
そう思った俺は、浅はかにも、馬鹿のように、戦域へ突入し、ガンダムへと向かった

後ろから斬りかかる。
絶対に当たると思った。

しかし、避けられる。

「なっ・・・嘘だろ」

49: 2011/07/16(土) 23:42:37.50
ザザ、という音がして、通信が入る
「こちらホワイトベース、応答してください」
ホワイトベース、というのはあの白い木馬のような戦艦なのだろう
「こちら」
ガンダム、と
最後、彼に聞いた言葉を、俺は言った。

視界の端に、赤いザクが映る。
撤退していくようだ。

ホワイトベースから通信が引き続き聞こえる
「この空域での戦闘は終了したようです。RX-78ー01の操縦者、ホワイトベースへ帰還してください」


モビルスーツ収容ハッチが開く


やっと着いた。
気が緩む。


「こちら、黒いガンダム、帰還します」





ホワイトベースへと、俺は帰った。

                         ~fin~

50: 2011/07/16(土) 23:47:27.08
ガンダムオリジン立ち読みしてから、衝動的に書きました。

此処迄お付き合いいただき有難う御座いました。

プロトタイプのカラーリングカッコイイですよねー

51: 2011/07/16(土) 23:48:38.47
第一部完ですねわかります

52: 2011/07/16(土) 23:50:47.84
第二部はまだですかー?

53: 2011/07/16(土) 23:53:35.66
乙乙

引用元: 男「黒いガンダム・・・・・・」