1: 2011/03/29(火) 21:05:37.65
夢を見た。ついこの間のようなずっと昔のことのような記憶。
森の中の花畑で、『少女』はそう笑っていたのだ。
世界中の何処を探したって、もう二度と『ジャギ』には抱きしめられない『少女』は。
ジャギ「ちっ……」(むくり)
ジャギ「妙な夢見たぜ。 なんか、胸の辺りがおも……」(ちらっ)
ジャギ「あ?」
顔に当てた手が細い。両の胸には柔らかな膨らみが二つ。
ジャギ「え?」
視線を巡らす。殺風景な部屋の片隅に放置された鏡に目を止める。
そこに映っていたのもが信じられず、目をこすった。
鏡の中の像も、同じ動きをする。
ジャギ「嘘、だろ」
酷く傷を負った顔。ボサボサになった金の髪。胸に刻まれた七つの傷。
それは『ジャギ』のものだ。けれど、それ以外の部位は。
ジャギ「女になってるーーーー?!」(がびーん)
※この物語は、『北斗の拳』及び『ジャギ外伝 極悪ノ華』の設定を取り入れつつ
オリジナル設定を混ぜ込んだ残念なSSです※
※VIPに立てられなかったのでこちらに※
森の中の花畑で、『少女』はそう笑っていたのだ。
世界中の何処を探したって、もう二度と『ジャギ』には抱きしめられない『少女』は。
ジャギ「ちっ……」(むくり)
ジャギ「妙な夢見たぜ。 なんか、胸の辺りがおも……」(ちらっ)
ジャギ「あ?」
顔に当てた手が細い。両の胸には柔らかな膨らみが二つ。
ジャギ「え?」
視線を巡らす。殺風景な部屋の片隅に放置された鏡に目を止める。
そこに映っていたのもが信じられず、目をこすった。
鏡の中の像も、同じ動きをする。
ジャギ「嘘、だろ」
酷く傷を負った顔。ボサボサになった金の髪。胸に刻まれた七つの傷。
それは『ジャギ』のものだ。けれど、それ以外の部位は。
ジャギ「女になってるーーーー?!」(がびーん)
※この物語は、『北斗の拳』及び『ジャギ外伝 極悪ノ華』の設定を取り入れつつ
オリジナル設定を混ぜ込んだ残念なSSです※
※VIPに立てられなかったのでこちらに※
2: 2011/03/29(火) 21:07:14.04
ジャギ「えーっと落ち着け俺。落ち着いて昨日のことを思い出すんだ」
ジャギ「昨日は起きて、飯食って、人頃して、飯奪って、人頃して、飯食って、寝た」
ジャギ「うん、いつも通りの一日だったな」
ジャギ「寝てる間に妙な秘孔でも突いたか?」
ジャギ「いやそれはねぇか。筋肉を強化するならともかく、性別を変えるなんざ……」
部下A「ジャギ様ー、おはようございまーす」(バーンッ)
ジャギ「うぉっ!?」
部下A「ジャギ様?」
ジャギ「(やべえ! この姿をどう説明すりゃいいんだ!)」
部下A「珍しいですね、起こしに来る前に起きてるなんて」
ジャギ「ぬぁにぃ~?」
部下A「ひっ! でっ、出過ぎたことを言いました、すいやせん!」(バタンッ)
ジャギ「……気が付かなかった?」
ジャギ「ラッキー……なんだろうが釈然としねぇ」
ジャギ「昨日は起きて、飯食って、人頃して、飯奪って、人頃して、飯食って、寝た」
ジャギ「うん、いつも通りの一日だったな」
ジャギ「寝てる間に妙な秘孔でも突いたか?」
ジャギ「いやそれはねぇか。筋肉を強化するならともかく、性別を変えるなんざ……」
部下A「ジャギ様ー、おはようございまーす」(バーンッ)
ジャギ「うぉっ!?」
部下A「ジャギ様?」
ジャギ「(やべえ! この姿をどう説明すりゃいいんだ!)」
部下A「珍しいですね、起こしに来る前に起きてるなんて」
ジャギ「ぬぁにぃ~?」
部下A「ひっ! でっ、出過ぎたことを言いました、すいやせん!」(バタンッ)
ジャギ「……気が付かなかった?」
ジャギ「ラッキー……なんだろうが釈然としねぇ」
3: 2011/03/29(火) 21:08:00.53
ジャギ「(とりあえず、飯食いに降りてきてみたが)」
部下ABC「(がやがや)」「(ざわざわ)」「(ヒャッハー)」
ジャギ「(どいつもこいつも、俺の体が女になったことに気付いてねぇ?)」
ジャギ「おい、テメェら」
部下ABC「へい?」
ジャギ「あー、その、なんだ。今日の俺は、妙だと思わんか?」
部下A「いえ」
部下B「特には」
部下C「いいからとっとと略奪に行きやしょうぜー」
ジャギ「おっ、おう?」
ジャギ「(クソッタレ、どうなってやがるんだ)」
ジャギ「(……俺ぁ、とうとう、どっかイカレちまったのかよ)」
部下A「どうしたんすかジャギ様ー」
ジャギ「……今日は気分がノらねぇ。テメェらだけで好きに暴れて来い」
部下ABC「ヒャッハー!」(どたばた)
部下ABC「(がやがや)」「(ざわざわ)」「(ヒャッハー)」
ジャギ「(どいつもこいつも、俺の体が女になったことに気付いてねぇ?)」
ジャギ「おい、テメェら」
部下ABC「へい?」
ジャギ「あー、その、なんだ。今日の俺は、妙だと思わんか?」
部下A「いえ」
部下B「特には」
部下C「いいからとっとと略奪に行きやしょうぜー」
ジャギ「おっ、おう?」
ジャギ「(クソッタレ、どうなってやがるんだ)」
ジャギ「(……俺ぁ、とうとう、どっかイカレちまったのかよ)」
部下A「どうしたんすかジャギ様ー」
ジャギ「……今日は気分がノらねぇ。テメェらだけで好きに暴れて来い」
部下ABC「ヒャッハー!」(どたばた)
4: 2011/03/29(火) 21:09:15.97
ジャギ「ちぃっ!」(げしっ)
ジャギ「何がどうなってこんな体になっちまってんだ!」
ジャギ「まさか……」(シュッ)
(ごしゃっ)
ジャギ「よし、壁くらいなら余裕だ」
ジャギ「北斗神拳まで使えなくなってる、なんてこたぁねぇか」
ジャギ「当然だ。俺は『北斗神拳伝承者ジャギ様』だからな……!」
ジャギ「しかし、結局理由はわからん」
ジャギ「こういう時はバイクでぶっ飛ばせばスカッとすんだろうが……」(ちらっ)
ジャギ「……この格好で表を歩いたら、ただの変態野郎だ」
ジャギ「む。今は野郎じゃなくてアマか」
ジャギ「……確認してみたのは、上だけなんだよな……」
(かちゃかちゃ…じーっ……そっ……じーっ……かちゃかちゃ)
ジャギ「……うん、下もだ下も」
ジャギ「ってぇ、何なんだこの居た堪れなさは! 俺の体だぞ!」
ジャギ「大体他の女の体だって見てきてんだ、今更どうってことねえだろ!」
ジャギ「ああくそっ、気分悪ィ! もう一眠り……」
ジャギ「ん? 待てよ、そういや今朝は妙な夢を見たんだったな」
ジャギ「あの夢に、なんか原因があんのか?」
ジャギ「あれに……出て来たのは、アイツは」
ジャギ「何がどうなってこんな体になっちまってんだ!」
ジャギ「まさか……」(シュッ)
(ごしゃっ)
ジャギ「よし、壁くらいなら余裕だ」
ジャギ「北斗神拳まで使えなくなってる、なんてこたぁねぇか」
ジャギ「当然だ。俺は『北斗神拳伝承者ジャギ様』だからな……!」
ジャギ「しかし、結局理由はわからん」
ジャギ「こういう時はバイクでぶっ飛ばせばスカッとすんだろうが……」(ちらっ)
ジャギ「……この格好で表を歩いたら、ただの変態野郎だ」
ジャギ「む。今は野郎じゃなくてアマか」
ジャギ「……確認してみたのは、上だけなんだよな……」
(かちゃかちゃ…じーっ……そっ……じーっ……かちゃかちゃ)
ジャギ「……うん、下もだ下も」
ジャギ「ってぇ、何なんだこの居た堪れなさは! 俺の体だぞ!」
ジャギ「大体他の女の体だって見てきてんだ、今更どうってことねえだろ!」
ジャギ「ああくそっ、気分悪ィ! もう一眠り……」
ジャギ「ん? 待てよ、そういや今朝は妙な夢を見たんだったな」
ジャギ「あの夢に、なんか原因があんのか?」
ジャギ「あれに……出て来たのは、アイツは」
5: 2011/03/29(火) 21:10:21.32
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
幼ジャギ「アンナー」
幼アンナ「なーに、ジャギ」
幼ジャギ「ボスの姿が見えねぇけどどうしたんだ? もう夜中だぞ」
幼アンナ「大丈夫だよ。ボスもアタシも、夜型だから」
幼ジャギ「そういうもんなのか?」
幼アンナ「そうそう。あ、それともジャギはお子ちゃまだから、もう眠たい?」
幼ジャギ「おっ、お子ちゃまって言うんじゃねえー!」
幼アンナ「お子ちゃまだよ。ほら、ここんとこすりむいてるじゃん」(ぺろん)
幼ジャギ「ーーーーーーーっ、舐めるなー!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アンナ「アタシ、ココが好き」
アンナ「ジャギには、ココみたいに大切な場所ってある?」
ジャギ「あるさ! あの星!」
アンナ「星が夢、かぁ」
ジャギ「なっ、何だよ笑うなよ」
アンナ「ううん、笑わないよ。アタシも、星は好きだもの」
アンナ「太陽はあんまり好きじゃないんだ」
ジャギ「? なんで?」
アンナ「(それは言えないよ)」
アンナ「(それが言えないから。私の夢は、半分しか叶わない)」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
6: 2011/03/29(火) 21:11:44.06
ジャギ「アンナ。そうだ、思い出した。アンナだ」
ジャギ「何で、今まで忘れちまってた」
ジャギ「アンナ。アンナ、アンナ」
ジャギ「なんでだ、何で忘れちまってた。あいつは、何処に……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「嘘」
「やだ」
「起きて」
「嘘だよね」
「目を開けて」
「名前を呼んで」
「お願いだからぁ」
長い長い石段の途中。力尽きた姿。抱き止めたのは弟。
瞼の裏に鮮烈に甦った光景。慟哭で、憎悪で、染まる心。
その瞬間に、何かが音を立てて崩れた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
7: 2011/03/29(火) 21:12:44.37
ジャギ「あ」
ジャギ「あ」
ジャギ「アアアアアアアアアアアッ?!」
ジャギ「そうだっ、そうだった、『アンナ』は、あの時、居なくなっちまったんだ!」
ジャギ「誰のせいだ、誰のせいだ、誰のせいで氏んじまったんだっ」
ジャギ「あいつらだ、あいつらが、頃した……ッ!」
ジャギ「なのに、俺は、全部忘れちまってたっ!」
ジャギ「……女の体だとか、そんなことは、関係ない」
ジャギ「奴らを、頃してやる」
ジャギ「いいや、奴らだけじゃねえ。全部、全部、だ、全部[ピーーー]!」
ジャギ「……あぁ、俺はイカれちまってんだな」
ジャギ「だから、自分の体が女なんかに見えるんだ」
ジャギ「『アンナ』の体に見えちまうんだ。は、はは、ひゃはははは」
ジャギ「ヒャハッハハハハハハハハハハハハハ……………」
ショットガンを手にとって、皆が出払った古いビルの中で、『ジャギ』は笑う。
己は狂っているのだ、と。そうして一しきり笑った後、その声は消えた。
ジャギ「あ」
ジャギ「アアアアアアアアアアアッ?!」
ジャギ「そうだっ、そうだった、『アンナ』は、あの時、居なくなっちまったんだ!」
ジャギ「誰のせいだ、誰のせいだ、誰のせいで氏んじまったんだっ」
ジャギ「あいつらだ、あいつらが、頃した……ッ!」
ジャギ「なのに、俺は、全部忘れちまってたっ!」
ジャギ「……女の体だとか、そんなことは、関係ない」
ジャギ「奴らを、頃してやる」
ジャギ「いいや、奴らだけじゃねえ。全部、全部、だ、全部[ピーーー]!」
ジャギ「……あぁ、俺はイカれちまってんだな」
ジャギ「だから、自分の体が女なんかに見えるんだ」
ジャギ「『アンナ』の体に見えちまうんだ。は、はは、ひゃはははは」
ジャギ「ヒャハッハハハハハハハハハハハハハ……………」
ショットガンを手にとって、皆が出払った古いビルの中で、『ジャギ』は笑う。
己は狂っているのだ、と。そうして一しきり笑った後、その声は消えた。
8: 2011/03/29(火) 21:15:37.87
男「…………」
男「ちっ、うるせぇ笑い声で目が覚めちまった」
男「まだ日が照ってるじゃねぇか……」
(ガシャアアン)
ジャギ「よぉ、ボスぅ」
ボス「……」
ジャギ「だんまりかよ」
ボス「……余計なことを言うな、つって俺を檻に入れたんだろうが」
ジャギ「あぁ? そうだったか?」
ジャギ「まぁ、んなこたぁ、どうだっていいんだ」
ジャギ「ちょいと付き合えよ」
ボス「何処へ行くつもりだよ」
ジャギ「アンナの仇討ちだよ」
ボス「ッ! お前、記憶が……」
ジャギ「情けねぇなぁ。アイツを頃した奴らを部下にしてたなんてよ」
ジャギ「奴ら頃して、そんで、他の人間も[ピーーー]」
ジャギ「アイツが氏んだのに、のうのうと生きてるなんざ、許せねぇんだ」
ボス「馬鹿! そんなことして、アイツが喜ぶとでも思ってんのかよ!」
ジャギ「なぁ、ボス。今の俺の姿、どう見える?」
ボス「何?」
ジャギ「あんたに、いつも見えてた姿と変わらないのか、って聞いてんだよ」
ボス「……変わらない。俺が見ていた、お前の姿だ」
ジャギ「ひひっ、だろう? でもなぁ、俺ぁ違うんだ」
ジャギ「この体が、アンナの姿に見えるんだよ」
ジャギ「アンナがさ、殺せって言ってんだ、きっと」
ボス「……」
ジャギ「ついてきてくれるよな、ボス」
ジャギ「アイツを失った悲しみを分かち合えるのは、ボスだけだ」
ボス「……」
男「ちっ、うるせぇ笑い声で目が覚めちまった」
男「まだ日が照ってるじゃねぇか……」
(ガシャアアン)
ジャギ「よぉ、ボスぅ」
ボス「……」
ジャギ「だんまりかよ」
ボス「……余計なことを言うな、つって俺を檻に入れたんだろうが」
ジャギ「あぁ? そうだったか?」
ジャギ「まぁ、んなこたぁ、どうだっていいんだ」
ジャギ「ちょいと付き合えよ」
ボス「何処へ行くつもりだよ」
ジャギ「アンナの仇討ちだよ」
ボス「ッ! お前、記憶が……」
ジャギ「情けねぇなぁ。アイツを頃した奴らを部下にしてたなんてよ」
ジャギ「奴ら頃して、そんで、他の人間も[ピーーー]」
ジャギ「アイツが氏んだのに、のうのうと生きてるなんざ、許せねぇんだ」
ボス「馬鹿! そんなことして、アイツが喜ぶとでも思ってんのかよ!」
ジャギ「なぁ、ボス。今の俺の姿、どう見える?」
ボス「何?」
ジャギ「あんたに、いつも見えてた姿と変わらないのか、って聞いてんだよ」
ボス「……変わらない。俺が見ていた、お前の姿だ」
ジャギ「ひひっ、だろう? でもなぁ、俺ぁ違うんだ」
ジャギ「この体が、アンナの姿に見えるんだよ」
ジャギ「アンナがさ、殺せって言ってんだ、きっと」
ボス「……」
ジャギ「ついてきてくれるよな、ボス」
ジャギ「アイツを失った悲しみを分かち合えるのは、ボスだけだ」
ボス「……」
9: 2011/03/29(火) 21:19:23.62
部下A「あべらばべばーっ!」(パーン)
部下B「げぼーっ!」(ぐしゃっ)
部下C「ひっ、ひぃーーーーーっ!」
ケンシロウ「おい待て。貴様には聞かねばならんことがある」
部下C「いっ言いますから! 何でも言いますからっ! いっ、命だけは!」
ケンシロウ「これと同じ胸の傷を持つ男の居場所を教えろ」
部下C「じゃっ、ジャギ様のことですねっ!」
ケンシロウ「ジャ、ギ?」
部下C「えっ、ええ、そうです!」
部下C「ジャギ様なら、この先のアジトに……うべらげっ!」(ぼんっ)
ケンシロウ「銃弾か」
(ドルルンドルルルン)
ケンシロウ「バイクのエンジン音?」
(ドルンドルンドルン……ブォン)
ジャギ「あぁ? 何だぁ、テメェは」
ジャギ「……ちっ、コイツら頃しちまったのかよ」
破裂した部下共の氏体を持ちあげ、地面に叩き付けた。
ジャギ「俺が、この手で頃してやろうと思ってたのに」
手についた血を舐める。その味に嫌悪を抱かない自分に、少しだけ驚いた。
そこまで狂っているのか、とちらりと頭の片隅を過った。
ジャギ「こいつらの氏に方、覚えがあるなぁ。なぁボス、そう思わねぇか?」
ボス「……『ジャギ』と同じ技じゃねえのか」
ジャギ「あぁ……そうか。これぁ、北斗神拳だ」(じろり)
ジャギ「そうだ、テメェには、覚えがある」
ジャギ「その七つの傷も、その顔も、その技も」
ジャギ「ひっ、ひひっ、ヒャハハハッ! 久しぶりじゃねぇか」
ジャギ「なぁおい、ケンシロウ!」
ケンシロウ「……」
ジャギ「ケンシロウ……! 俺の名を言ってみろぉおおおおおお!!」
部下B「げぼーっ!」(ぐしゃっ)
部下C「ひっ、ひぃーーーーーっ!」
ケンシロウ「おい待て。貴様には聞かねばならんことがある」
部下C「いっ言いますから! 何でも言いますからっ! いっ、命だけは!」
ケンシロウ「これと同じ胸の傷を持つ男の居場所を教えろ」
部下C「じゃっ、ジャギ様のことですねっ!」
ケンシロウ「ジャ、ギ?」
部下C「えっ、ええ、そうです!」
部下C「ジャギ様なら、この先のアジトに……うべらげっ!」(ぼんっ)
ケンシロウ「銃弾か」
(ドルルンドルルルン)
ケンシロウ「バイクのエンジン音?」
(ドルンドルンドルン……ブォン)
ジャギ「あぁ? 何だぁ、テメェは」
ジャギ「……ちっ、コイツら頃しちまったのかよ」
破裂した部下共の氏体を持ちあげ、地面に叩き付けた。
ジャギ「俺が、この手で頃してやろうと思ってたのに」
手についた血を舐める。その味に嫌悪を抱かない自分に、少しだけ驚いた。
そこまで狂っているのか、とちらりと頭の片隅を過った。
ジャギ「こいつらの氏に方、覚えがあるなぁ。なぁボス、そう思わねぇか?」
ボス「……『ジャギ』と同じ技じゃねえのか」
ジャギ「あぁ……そうか。これぁ、北斗神拳だ」(じろり)
ジャギ「そうだ、テメェには、覚えがある」
ジャギ「その七つの傷も、その顔も、その技も」
ジャギ「ひっ、ひひっ、ヒャハハハッ! 久しぶりじゃねぇか」
ジャギ「なぁおい、ケンシロウ!」
ケンシロウ「……」
ジャギ「ケンシロウ……! 俺の名を言ってみろぉおおおおおお!!」
10: 2011/03/29(火) 21:20:10.09
ケンシロウ「誰?」
ジャギ「えっ」
ケンシロウ「えっ」
ジャギ「えっ」
ジャギ「えっ」
ケンシロウ「えっ」
ジャギ「えっ」
19: 2011/03/30(水) 22:17:57.42
ジャギ「ふっ、ふざけんじゃねぇえええええ!!」
ジャギ「テメェ、この『ジャギ様』のことを忘れやがって!!」
ジャギ「そんなに、俺のことがどうでもいいってのか!!」
ジャギ「弟のクセに、ふざけてんじゃねぇええええ!!」
(だきゅーん)
ケンシロウ「(スッ)」
ケンシロウ「……テメェが誰かは知らん。だが、これだけは言える」
ケンシロウ「テメェは、ジャギじゃない」
ジャギ「黙れぇえええええ! そんなわけあるかぁあああああ!!」
ジャギ「俺はっ、俺は、『北斗神拳伝承者ジャギ様』だぁあああああ!!」
指先が、ケンシロウへと一直線に伸びる。ケンシロウは何の苦もなく避ける。
再度振りかぶろうとしたその拳が、止められた。
ボス「もうやめろ!」
ジャギ「ボスっ、くそっ、離せっ!」
ボス「もう、やめるんだ」
ジャギ「離せっつってんだ! 邪魔すんじゃねえよ、ボス!」
ケンシロウ「おい、アンタ」
ボス「あ?」
ケンシロウ「そいつの動きは、確かにジャギによく似ている」
ケンシロウ「だからこそ、解らない。答えてもらおうか」
ボス「なんだよ」
ケンシロウ「……アレでも、普通の人間よりはジャギは余程強かったはずだ」
ケンシロウ「そのジャギと同じ動きをするそいつを、何故片手で止められる」
ジャギ「!」
ジャギ「テメェ、この『ジャギ様』のことを忘れやがって!!」
ジャギ「そんなに、俺のことがどうでもいいってのか!!」
ジャギ「弟のクセに、ふざけてんじゃねぇええええ!!」
(だきゅーん)
ケンシロウ「(スッ)」
ケンシロウ「……テメェが誰かは知らん。だが、これだけは言える」
ケンシロウ「テメェは、ジャギじゃない」
ジャギ「黙れぇえええええ! そんなわけあるかぁあああああ!!」
ジャギ「俺はっ、俺は、『北斗神拳伝承者ジャギ様』だぁあああああ!!」
指先が、ケンシロウへと一直線に伸びる。ケンシロウは何の苦もなく避ける。
再度振りかぶろうとしたその拳が、止められた。
ボス「もうやめろ!」
ジャギ「ボスっ、くそっ、離せっ!」
ボス「もう、やめるんだ」
ジャギ「離せっつってんだ! 邪魔すんじゃねえよ、ボス!」
ケンシロウ「おい、アンタ」
ボス「あ?」
ケンシロウ「そいつの動きは、確かにジャギによく似ている」
ケンシロウ「だからこそ、解らない。答えてもらおうか」
ボス「なんだよ」
ケンシロウ「……アレでも、普通の人間よりはジャギは余程強かったはずだ」
ケンシロウ「そのジャギと同じ動きをするそいつを、何故片手で止められる」
ジャギ「!」
20: 2011/03/30(水) 22:19:55.94
ボス「……吸血鬼、って知ってるか?」
ケンシロウ「おとぎ話の類だろう」
ボス「表向きは、な。だが実在する」
ケンシロウ「アンタがソレだというのか」
ボス「ああ」
ジャギ「何言ってんだよボス。吸血鬼が、日の下を歩けるわけがねぇだろ」
ボス「俺達は……俺と妹は、先祖返りを起こした人間だ」
ボス「遠いジジイだかババアだかが吸血鬼だったせいで、その力を持って生まれた」
ボス「日の下を歩けるくせに、人間の血を美味いと感じる」
ボス「腕の力だって、常人にゃ負けねぇ」
ジャギ「嘘だっ、じゃあなんで、あの時奴らに負けたんだ?!」
ボス「普段はな、暗示の力で抑え込んでるんだ」
ケンシロウ「暗示?」
ボス「力を出せない、と自分へ強い暗示をかけちまったら、その通りになる」
ボス「本来は、他人へ使う催眠術なんだが、俺と妹はそれを自分に使った」
ボス「妹は優しい奴だった。誰かを傷つけたくないから、その暗示を使っていた」
ジャギ「そんな暗示かけてたせいでっ、アイツは氏んじまったんじゃないか!」
ボス「違う」
ジャギ「違わない! 暗示さえかけなきゃ、力さえ、抑えてなきゃ」
ジャギ「そうしたら……っ」
ボス「もうよせ。それ以上責めるのは」
ジャギ「でも……っ」
ケンシロウ「おとぎ話の類だろう」
ボス「表向きは、な。だが実在する」
ケンシロウ「アンタがソレだというのか」
ボス「ああ」
ジャギ「何言ってんだよボス。吸血鬼が、日の下を歩けるわけがねぇだろ」
ボス「俺達は……俺と妹は、先祖返りを起こした人間だ」
ボス「遠いジジイだかババアだかが吸血鬼だったせいで、その力を持って生まれた」
ボス「日の下を歩けるくせに、人間の血を美味いと感じる」
ボス「腕の力だって、常人にゃ負けねぇ」
ジャギ「嘘だっ、じゃあなんで、あの時奴らに負けたんだ?!」
ボス「普段はな、暗示の力で抑え込んでるんだ」
ケンシロウ「暗示?」
ボス「力を出せない、と自分へ強い暗示をかけちまったら、その通りになる」
ボス「本来は、他人へ使う催眠術なんだが、俺と妹はそれを自分に使った」
ボス「妹は優しい奴だった。誰かを傷つけたくないから、その暗示を使っていた」
ジャギ「そんな暗示かけてたせいでっ、アイツは氏んじまったんじゃないか!」
ボス「違う」
ジャギ「違わない! 暗示さえかけなきゃ、力さえ、抑えてなきゃ」
ジャギ「そうしたら……っ」
ボス「もうよせ。それ以上責めるのは」
ジャギ「でも……っ」
21: 2011/03/30(水) 22:21:48.52
ボス「ジャギが氏んだのは、お前のせいじゃあない」
ジャギ?「は?」
ジャギ?「おかしなこと言うなよ、ボス」
ジャギ?「ジャギが氏んだ? 何馬鹿なこと言ってんだよ」
ジャギ?「じゃあ、俺は、誰だってんだ。今ここにいる俺は」
ケンシロウ「……核が落ちた直後。俺は道場へ続く階段でジャギを見つけた」
ジャギ?「何を、言ってやがんだ。やめろ、やめてくれ」
聞きたくない、と脳が叫ぶ。
けれど、ケンシロウのその悲しげな言葉に耳を防げなかった。
その悲しげな視線から目をそらせなかった。
ジャギ?「は?」
ジャギ?「おかしなこと言うなよ、ボス」
ジャギ?「ジャギが氏んだ? 何馬鹿なこと言ってんだよ」
ジャギ?「じゃあ、俺は、誰だってんだ。今ここにいる俺は」
ケンシロウ「……核が落ちた直後。俺は道場へ続く階段でジャギを見つけた」
ジャギ?「何を、言ってやがんだ。やめろ、やめてくれ」
聞きたくない、と脳が叫ぶ。
けれど、ケンシロウのその悲しげな言葉に耳を防げなかった。
その悲しげな視線から目をそらせなかった。
22: 2011/03/30(水) 22:23:36.23
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ケンシロウ「ジャギ……? どうしたんだ、しっかり……!」
ジャギ「父さん? 父さんなの、そこにいるのは」
ケンシロウ「?! 違う、俺は師父じゃ、父さんじゃない、気を確かに持て!」
ジャギ「父さん、ぼくね、まもりたいおんなのこがいたんだ」
ジャギ「でもね、だめだったよ。あのこ、アンナ、しんじゃった」
ジャギ「ぼくね、かたき、とろうとおもって、さ」
ジャギ「あいつらのとこに、のりこんだんだ」
ケンシロウ「(ジャギがやられた? 伝承者候補だぞ)」
ケンシロウ「(有象無象に負ける程弱いはずは……!)
ケンシロウ「お前、その傷……」
ジャギ「……ばくはつで、ほのおで、やけど、してて」
ジャギ「北斗神拳、うまく、つかえなかった」
ジャギ「ごめんなさい、とうさん、ごめんなさい」
ジャギ「つかっちゃだめっていわれてたのに」
ジャギ「とうさんの、拳で、まけたく、なかったのに」
ジャギ「ごめんなさい、とうさん、ごめんなさい、ごめんなさい……」
ケンシロウ「ジャギ! ジャギ、しっかりしろ! 俺は父さんじゃない!!」
ジャギ「ごめん、ごめん、ゆるして、アンナ。まもれなくって、ごめん、ごめん……」
ケンシロウ「しっかりするんだ! 今師父を探してくる!」
ジャギ「」
ケンシロウ「……ジャギ? おい、ジャギ、ジャギ!!」
少女「ジャギ? ジャギが、そこに、いるの?」
ケンシロウ「っ」
少女「ジャギ、私は、大丈夫だよ。頑丈に出来てるから」
少女「えっと、ちょっとひどい顔になっちゃったけどさ」
少女「氏んでないから、ね。謝らなくていいんだよ」
ジャギ「」
少女「ジャギ?」
少女「嘘」
少女「やだ」
少女「起きて」
少女「嘘だよね」
少女「目を開けて」
少女「名前を呼んで」
少女「お願いだからぁ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
23: 2011/03/30(水) 22:26:22.66
ジャギ?「ああああああああああああ!!」
長い長い石段の途中。力尽きた彼の姿。抱き止めたのは彼の弟。
瞼の裏に鮮烈に甦った光景。慟哭で、憎悪で、染まる心。
その瞬間に、何かが音を立てて崩れた。
自分の顔には、醜い傷があった。
(それはケンシロウに負わされたものだと信じていた)
(実際は、暴行された時に負った傷跡だったのだけれど)
だから、ずっとヘルメットや布で隠していた。
おかしいと思うべきだった。部屋に鏡があることを。
あの鏡に向かって、自分は毎夜何をしていた?
ジャギ?「俺の姿に疑問を持つな、って、暗示をかけてたんだ」
ジャギ?「部下にも、誰より、俺自身にも」
ボス「だが、その暗示は同じ力を持つ俺には通じなかった」
ケンシロウ「ジャギを、この腕の中で看取った俺にも」
ジャギ?「その後、こいつの腕からジャギを奪い取って」
ボス「……飲んだ」
ケンシロウ「血を、か?」
ジャギ?「一滴も、残さず」
ボス「心から思う相手の血を、氏後、一滴残さず飲み干せば」
ボス「そいつの魂と肉体の記憶を全て受け継ぐことができる、っつー伝承があってな」
ジャギ?「俺は、それに賭けたんだ」
ジャギ?「そして……あの時から、俺は……『ジャギ』になった」
ボス「自分自身が『ジャギ』だと信じてるこいつに、俺の言葉は届かなかった」
ジャギ?「ようやく思い出した。俺は……アタシは、ジャギじゃなかったんだ」
ボス「そうだ。だから、もういいだろ」
24: 2011/03/30(水) 22:29:08.61
ジャギ?「よくないよ」
ボス「何?」
ジャギ?「アタシの中には、ジャギの記憶があるんだ」
ジャギ?「ジャギは、ケンシロウを憎んでた」
ジャギ?「後から来たケンシロウに、居場所を奪われたって!」
ジャギ?「だから、だからアタシは、俺は、ケンシロウをこのまま見過ごすことなんて出来
ない!」
(ばしっ)
ボス「しまっ……」
ジャギ?「[ピーーー]ぇえええええええええ!!」
北 斗 羅 漢 撃 !!
ケンシロウ「むんっ!」(ドスッ)
ジャギ?「何でっ、受け止められる! ジャギの、一番得意な技をっ!」
ケンシロウ「……北斗羅漢撃は、怒りを、憎しみを、怨みを、全て無くして初めて完成する
技」
ケンシロウ「そう、父さんに習ったはずだ、ジャギは」
ケンシロウ「ジャギが俺を怨んでいるというなら、その技は、ただのスローな突きだ!」
ケンシロウ「いつまでもジャギの亡霊に囚われるな……!」
ジャギ?「うっ、うっ」
ボス「もうやめようぜ。お前が人を頃しても、ジャギは喜ばねぇよ」
ジャギ?「うっ、ううっ」
ボス「なぁ……、アンナ」
ジャギ?=アンナ「うあぁああああん、あっ、うっ、ひぐっ、あぁああああああん」
荒野のビル街に、少女の泣き声が木霊する。
あの時から隠し続けていた涙が、悲しみが、木霊する。
少女は、元は余り泣かないタチだった。だから、今泣いてしまうのはきっと、
大好きだった『泣き虫の男の子』の魂を、その身に宿しているからなのだろう。
ボス「何?」
ジャギ?「アタシの中には、ジャギの記憶があるんだ」
ジャギ?「ジャギは、ケンシロウを憎んでた」
ジャギ?「後から来たケンシロウに、居場所を奪われたって!」
ジャギ?「だから、だからアタシは、俺は、ケンシロウをこのまま見過ごすことなんて出来
ない!」
(ばしっ)
ボス「しまっ……」
ジャギ?「[ピーーー]ぇえええええええええ!!」
北 斗 羅 漢 撃 !!
ケンシロウ「むんっ!」(ドスッ)
ジャギ?「何でっ、受け止められる! ジャギの、一番得意な技をっ!」
ケンシロウ「……北斗羅漢撃は、怒りを、憎しみを、怨みを、全て無くして初めて完成する
技」
ケンシロウ「そう、父さんに習ったはずだ、ジャギは」
ケンシロウ「ジャギが俺を怨んでいるというなら、その技は、ただのスローな突きだ!」
ケンシロウ「いつまでもジャギの亡霊に囚われるな……!」
ジャギ?「うっ、うっ」
ボス「もうやめようぜ。お前が人を頃しても、ジャギは喜ばねぇよ」
ジャギ?「うっ、ううっ」
ボス「なぁ……、アンナ」
ジャギ?=アンナ「うあぁああああん、あっ、うっ、ひぐっ、あぁああああああん」
荒野のビル街に、少女の泣き声が木霊する。
あの時から隠し続けていた涙が、悲しみが、木霊する。
少女は、元は余り泣かないタチだった。だから、今泣いてしまうのはきっと、
大好きだった『泣き虫の男の子』の魂を、その身に宿しているからなのだろう。
25: 2011/03/30(水) 22:32:17.35
古びたビルの中。ボスが紙の束をケンシロウに手渡す。
あまり丁寧とは言えない文字に、『二人とも』見覚えがあったがそれを口にはしない。
ボス「これが、攫った人間を売り飛ばした先のリストだ」
ケンシロウ「いただいておこう」
ケンシロウ「友人が、妹を『七つの傷を持つ男』に攫われて、行方を捜している」
ボス「……もしかして、アイリっつー嬢ちゃんか?」
ケンシロウ「知っているのか」
ボス「向かいの牢に入れられてた」
ボス「攫われてきたのが相当ショックだったらしい。もう何も見たくない、つってた」
ケンシロウ「それで、どうした」
ボス「あのままじゃ自分の目を潰しかねなかったんでな、暗示で目を見えなくしてやった」
ケンシロウ「暗示で、か」
ボス「ああ。だからま、ちょっと暗示を解いてやりゃあすぐ目が見えるはずだぜ」
ケンシロウ「そうか」
ボス「……ありがとよ、アンナを殺さないでくれて」
ケンシロウ「……」
ボス「アイツがやってきたことは、到底許されることじゃねぇ」
ボス「殺されたって、文句は言えなかった」
ケンシロウ「夢を見た」
ボス「夢?」
ケンシロウ「あの階段にいる夢。そこには、ジャギが立っていて、こう言われた」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ジャギ「お前が、北斗神拳を継いだんだろう」
ジャギ「お前が、俺が継げなかった、父さんの拳を継いだんだろう」
ジャギ「お前に……お前にしか、あいつを救えないんだ」
ジャギ「頼む、アイツを、止めてやってくれ」
ジャギ「お前は、世紀末救世主様なんだろう!?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ボス「そっか」
ケンシロウ「アンタらは、これからどうするんだ?」
ボス「さぁなぁ。ま、あんたが気にすることじゃねぇよ」
ケンシロウ「そうだな。では、俺はもう行く。日も暮れそうだしな」
ボス「ああ、あばよ」
26: 2011/03/30(水) 22:34:44.10
ビル街の片隅。そこで、アンナはそっとヘルメットを脱いだ。
アンナ「ジャギ」
呼びかけて、ことり、と地面にそれを置く。
傷を隠すようにして、顔にはバンダナを巻いている。
アンナ「私の夢はね、ジャギと一緒に幸せに暮らすことだったよ」
アンナ「ジャギと一緒に、って部分は、やっぱり駄目になっちゃった」
あの頃は、自分に流れるバケモノの血のせいで傍に居られないと思っていた。
今は、一緒に居たいと願った相手を失ってしまった。
アンナ「でもね……幸せには、暮らせるように、頑張るよ」
細い手を、そっと胸に当てる。
服の下には、彼を忘れまいと刻んだ七つの傷が今も残ったままだ。
アンナ「血まみれの手で、こんなこと言っちゃだめなんだろうね、本当は」
アンナ「それでも……、ジャギの分まで、生きて生きて、生き抜くから」
少女は空を見上げた。日は暮れ、空には星が輝いている。
彼が『夢だ』と言った七つ星が、キラリと瞬いた。
アンナ「あの星が輝く限り、ジャギはアタシの傍にいる」
愛しげに己の体を、その内に宿したもう一人の魂ごと抱きしめる。
アンナ「そう思って、幸せに、なるよ」
27: 2011/03/30(水) 22:42:29.27
以上で終了です。誰得って俺得だよ。オチはやや投げやりになったよ!
でもいいんだよ俺得SSなんだから! 感想ありがとうございました!!
わかりにくいとこ勝手にFAQ
Q:トキは? ラオウは?
A:その内適当に解るんじゃねえの?!
Q:アミバは?
A:知らん! 核の炎に焼かれて氏んだりとかしてんじゃね?!
そもそも極悪ノ華で一切出てこないからねアミバ
Q:どういう流れだったの?
A:核落ちる→※ジャギ核の炎で焼かれる→アンナさらわれる
→アンナ暴行される→※アンナ怪我をし仮氏状態に→※ジャギ、アンナが氏んだと思い込む
→※ジャギ、アンナをさらった奴らの下で暴れるが致命傷を負い逃げる
→※アンナ復活、ジャギ探す→※ジャギ、ケンシロウに看取られ氏ぬ→※アンナ狂う
→※アンナ、ジャギの血を飲み干して記憶を全て受け継ぐ
→※アンナ、自身をジャギと信じるよう自他共に暗示をかける→※アンナ、ボスを幽閉
→※アンナ、以降『ジャギ』として悪逆非道の限りを尽くす(アイリさらったり)
→※色々あってSS冒頭部分
※印の部分がSSオリジナル設定
こんな感じでした! 以上! 終わり!
でもいいんだよ俺得SSなんだから! 感想ありがとうございました!!
わかりにくいとこ勝手にFAQ
Q:トキは? ラオウは?
A:その内適当に解るんじゃねえの?!
Q:アミバは?
A:知らん! 核の炎に焼かれて氏んだりとかしてんじゃね?!
そもそも極悪ノ華で一切出てこないからねアミバ
Q:どういう流れだったの?
A:核落ちる→※ジャギ核の炎で焼かれる→アンナさらわれる
→アンナ暴行される→※アンナ怪我をし仮氏状態に→※ジャギ、アンナが氏んだと思い込む
→※ジャギ、アンナをさらった奴らの下で暴れるが致命傷を負い逃げる
→※アンナ復活、ジャギ探す→※ジャギ、ケンシロウに看取られ氏ぬ→※アンナ狂う
→※アンナ、ジャギの血を飲み干して記憶を全て受け継ぐ
→※アンナ、自身をジャギと信じるよう自他共に暗示をかける→※アンナ、ボスを幽閉
→※アンナ、以降『ジャギ』として悪逆非道の限りを尽くす(アイリさらったり)
→※色々あってSS冒頭部分
※印の部分がSSオリジナル設定
こんな感じでした! 以上! 終わり!
28: 2011/03/30(水) 22:50:48.67
乙華麗
29: 2011/03/31(木) 17:35:16.11
乙乙
30: 2011/03/31(木) 22:05:33.62
乙
綺麗にまとまったな
綺麗にまとまったな
31: 2011/04/01(金) 21:43:03.42
アミバ「氏が、罰か」
※余韻台無し一発ネタ※
※構想・製作時間携帯でポチポチ打って50分
どうせスレ空いてるんだし投下しちゃえ系のがっかりクオリティ※
※余韻台無し一発ネタ※
※構想・製作時間携帯でポチポチ打って50分
どうせスレ空いてるんだし投下しちゃえ系のがっかりクオリティ※
32: 2011/04/01(金) 21:43:57.03
嘘つきには報いを。
血まみれの両手。ちぎれた両手。確かに氏んだはずだった。
アミバ「……あれは、きっと悪い夢だったんだろうな」
アミバ「俺は天才でも何でもねぇし」
娘「父さん? どうしたの?」
アミバ「ああいや、何でもないさ」
アミバ「(……そうさ。俺は四十前のただの農夫で)」
アミバ「(もうすぐ氏んじまいそうな、ただの哀れな男だよ)」
娘「やっぱり…具合悪いの?」
アミバ「苦労をかけるな…俺がこんな体でなけりゃ、お前を嫁に出せたのに」
娘「やだ、父さんが気にすることないわ」
アミバ「(娘も、立派に育ってくれた)」
アミバ「(あの夢の中の『アミバ』に比べりゃあ随分マシな人生だ)」
33: 2011/04/01(金) 21:45:00.49
娘「……ねぇ、父さん」
アミバ「ん?」
娘「私、この間隣村に行ったでしょう?」
アミバ「ああ」
娘「そこでね、噂を聞いたの」
娘「色んな怪我や病気を治してくれる人が住む――奇跡の村の話を」
アミバ「奇跡、の、村?」
アミバ「(聞いた気がする……だが思い出せん)」
娘「ね、父さん、そこへ行ってみましょう?」
アミバ「だが、俺は歩けん…」
娘「私が背負っていくわ」
アミバ「そんな苦労は…」
娘「私は、父さんが元気になるためだったら何だってするわ」
アミバ「……すまん」
アミバ「ん?」
娘「私、この間隣村に行ったでしょう?」
アミバ「ああ」
娘「そこでね、噂を聞いたの」
娘「色んな怪我や病気を治してくれる人が住む――奇跡の村の話を」
アミバ「奇跡、の、村?」
アミバ「(聞いた気がする……だが思い出せん)」
娘「ね、父さん、そこへ行ってみましょう?」
アミバ「だが、俺は歩けん…」
娘「私が背負っていくわ」
アミバ「そんな苦労は…」
娘「私は、父さんが元気になるためだったら何だってするわ」
アミバ「……すまん」
34: 2011/04/01(金) 21:45:47.86
辺りは砂漠。昼はとてもではないが歩けない。故に二人は夜を進む。
娘「父さん父さん辛くはない?」
アミバ「ああ、大丈夫だ」
娘「父さん父さん喉が乾いてはいない?」
アミバ「ああ、大丈夫だお前が飲みなさい」
親子は二人、夜を進む。この苦労の先に、きっと幸せがあると信じて。
そして二人は、辿り着く。
娘「父さん父さん辛くはない?」
アミバ「ああ、大丈夫だ」
娘「父さん父さん喉が乾いてはいない?」
アミバ「ああ、大丈夫だお前が飲みなさい」
親子は二人、夜を進む。この苦労の先に、きっと幸せがあると信じて。
そして二人は、辿り着く。
35: 2011/04/01(金) 21:47:07.72
娘「ここが奇跡の村…」
アミバ「(やはり…見覚えがある?)」
アミバ「(そうだ、あの夢の中で)」
男「おや、お嬢さんどうかなさいましたかな?」
娘「父さんが重い病気なんです」
男「それはいけない…どれ見せてご覧なさい」
娘「お医者様ですか?」
男「似たようなものです」
男が、顔を覗きこむ。父は、悲鳴を上げそうになった。
喉から声が漏れる前に、男の指先が喉を突く。
男「ふむ、砂漠で体力を消耗したようだ」
娘「まあなんてこと、父さんしっかりして」
アミバ「あ…あ…(俺はいいから、逃げろ)」
男「お嬢さんも疲れているでしょう…あの建物で少し休みなさい」
アミバ「あ…ああ…(やめろ、行くな、戻って来い!)」
娘は建物の中へ消える。そして聞こえてきたのは、悲鳴。
男「馬鹿な女だ…こんなご時世で他人を信じるなど」
アミバ「あ…あ…ああああ……」
体が動いた。身を起こし、建物へ駆け寄る。
扉を開けば、暗闇に倒れ伏す娘。
アミバ「おいっ、おいっ、しっかりしろっ!」
娘「ひどいよぉ…痛いよぉ…」
娘「助けたかっただけなのに、どうしてこんな酷いことするの?」
腫れた瞼や頬。四肢は腐り蛆が湧いている。
娘の両手がなじるようにアミバの顔に伸ばされ…ボトリ、とちぎれてとけた。
いつの間にか、男が再度覗きこんでいる。その口元が耳まで裂ける。
アミバ「何で……何で、こんな酷いことを……」
男「酷いこと、だと?」
男「……これが……貴様がやってきたことだろう……?」
男のその顔は――彼とそっくり同じもの。
アミバ「ああああああああああああ!」
アミバ「(やはり…見覚えがある?)」
アミバ「(そうだ、あの夢の中で)」
男「おや、お嬢さんどうかなさいましたかな?」
娘「父さんが重い病気なんです」
男「それはいけない…どれ見せてご覧なさい」
娘「お医者様ですか?」
男「似たようなものです」
男が、顔を覗きこむ。父は、悲鳴を上げそうになった。
喉から声が漏れる前に、男の指先が喉を突く。
男「ふむ、砂漠で体力を消耗したようだ」
娘「まあなんてこと、父さんしっかりして」
アミバ「あ…あ…(俺はいいから、逃げろ)」
男「お嬢さんも疲れているでしょう…あの建物で少し休みなさい」
アミバ「あ…ああ…(やめろ、行くな、戻って来い!)」
娘は建物の中へ消える。そして聞こえてきたのは、悲鳴。
男「馬鹿な女だ…こんなご時世で他人を信じるなど」
アミバ「あ…あ…ああああ……」
体が動いた。身を起こし、建物へ駆け寄る。
扉を開けば、暗闇に倒れ伏す娘。
アミバ「おいっ、おいっ、しっかりしろっ!」
娘「ひどいよぉ…痛いよぉ…」
娘「助けたかっただけなのに、どうしてこんな酷いことするの?」
腫れた瞼や頬。四肢は腐り蛆が湧いている。
娘の両手がなじるようにアミバの顔に伸ばされ…ボトリ、とちぎれてとけた。
いつの間にか、男が再度覗きこんでいる。その口元が耳まで裂ける。
アミバ「何で……何で、こんな酷いことを……」
男「酷いこと、だと?」
男「……これが……貴様がやってきたことだろう……?」
男のその顔は――彼とそっくり同じもの。
アミバ「ああああああああああああ!」
36: 2011/04/01(金) 21:49:31.23
嘘つきには報いを。
血まみれの両手。ちぎれた両手。
ギリギリ氏体になっていない男が、地面に転がっている。
傍らに佇む少女が一人。
アンナ「全部、嘘だけどね」
全ては彼女の見せた幻。
アンナ「自分がどんな罪を背負って、その罰として氏ぬのか」
アンナ「それがわからないまんまって正直腹が立ったんだよね」
アンナ「だから、あんたに悪夢を見せてやった」
アミバ「……氏が、罰か」
アンナ「……まだ生きてたんだ」
アミバ「一つ…勘…違い…して…る」
アンナ「え?」
アミバ「……娘は、いな、かった。だま、され、て、しんだ、俺の、娘は」
アミバ「それ、が、わか、た、から……安、心、して、[ピーーー]る」
アンナ「え…」
アミバ「その、程度で、改心、しや、しないさ……」
男は瀕氏のまま、不敵に笑う。
アンナ「……氏が罰にならなかったんだ」
アンナ「本当は、さ。私も似たようなもんだし、罰を与える立場になんてないんだよね」
アンナ「でも、嘘をつきたかった」
アンナ「何でかわかる?」
アンナ「今日が四月一日だからエイプリルフールネタ便乗したくて」
アミバ「ああ…しがつ…ばか…」
37: 2011/04/01(金) 21:50:17.99
……うん、正直すまんかった。
38: 2011/04/02(土) 12:09:32.70
乙乙
エイプリルフールなら仕方ないね
エイプリルフールなら仕方ないね
39: 2011/04/02(土) 19:13:03.02
何だか超展開だなあ
結構好きだけどね乙
結構好きだけどね乙
引用元: ジャギ「女になってる……」
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