1: 2012/07/20(金) 23:10:03.85
女「クーラー涼しい~♪」

男「……」

女「やっぱりあつい日はクーラーよね」

男「寒い」

女「え?」

男「寒い」

女「うそ、ちょうど良いわよ」

男「寒い」

女「えー」

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1342793403/

3: 2012/07/20(金) 23:22:10.32
男「長袖着てくればよかった」

女「えー、だってここ、図書館よ?」

男「知ってるよ?」

女「図書館のクーラーって、そんなに強くないじゃない」

男「クーラー苦手。頭が痛くなる」

女「あー、そういえばそうだった」

男「油断した。節電してるから、クーラーなんかつけてないと思ってた」

女「だいじょぶ? いっかい帰る?」

男「多分平気。女の言うとおり、そんなに強くないから」

女「そ。まあ無理しないでね」

男「ん」

女「それじゃあ席を取りに行きましょー」

4: 2012/07/20(金) 23:30:30.09
男「寒い」

女「だから無理しないでって」

男「でも、ちょっと慣れてきた」

女「そう?」

男「とりあえず何から始める?」

女「んー、やっぱり数学かな。一番苦手だし」

男「おっけ。じゃあとりあえず教科書のここからここまでね」

女「ん、結構あるね」

男「1学期の復習ってことで。分かんないところがあったら聞いて」

女「了解」

男「じゃあ、参考書探してくるから、ちょっと自分で進めてて」

女「はーい」

5: 2012/07/20(金) 23:36:44.43
男「えーと、数学の参考書はっと」

女友「あら、男さん?」

男「え?」

女友「こんにちは、お久しぶりです」

男「女友さん。こんにちは」

女友「この間、道端でお会いした時以来ですわね」

男「そうですね」

女友「お元気でしたか?」

男「まあまあ元気にやってます。女友さんは?」

女友「わたくしも元気ですわ。あつい日が多いですから、体調には気をつけてますの」

男「そうですか。なによりです」

6: 2012/07/20(金) 23:41:24.33
女友「ところで、男さんはどのような御用事でこちらへいらしたのですか?」

男「はい、ちょっと勉強をしに」

女友「まあ、それで図書館へ?」

男「こっちの方が、家でやるよりも集中できますから」

女友「奇遇ですわ、わたくしも同じですの。家にいますと、召使いがうるさいですからね」

男「そうですか」

女友「せっかくですから、ご一緒に勉強しませんか?」

男「いえ、連れがいますから、すいません」

女友「お一人でいらしたのではないのですか?」

男「はい」

女友「ちなみに、どなたと?」

男「あの、女、です」

女友「そう、女さんと」

7: 2012/07/20(金) 23:45:44.61
男「あの……」

女友「分かりましたわ。わたくし、野暮なことはいたしません」

男「はあ」

女友「男さんと女さんの貴重なお時間をお邪魔してしまい、申し訳ありませんでしたわ」

男「別にそんなことは」

女友「いえ、余計なお気づかいは無用です」

男「はあ」

女友「名門女友財閥の息女であるわたくし、誤った行動については、きちんと謝罪させていただきます」

男「……」

女友「それでは、ごゆっくり女さんとお二人でお勉強なさってください、わたくしはここで失礼いたしますわ」

男「はい」

女友「では、ごきげんよう」

男「ごきげんよう……」

8: 2012/07/20(金) 23:49:14.27
女「えーと、あれがこうなって、ここにあの公式使って……」

男「ただいま……」

女「おかえり男。遅かったわね」

男「女友さんに捕まってた」

女「へー、来てるんだ」

男「はあ」

女「どうしたの? なんだか疲れてるみたいだけど」

男「おれ、あの人苦手」

女「どしたのよ」

男「悪い人ではないんだけど、なんか圧倒される」

女「まあね、クラスでもちょっと浮いてるしね」

男「なんで男友は、あんな人が好きなんだろう……」

女「私もけっこうアレだけど、あんたもたいがいよね」

9: 2012/07/20(金) 23:53:35.58
男「なんか、余計に頭痛くなってきた」

女「もう、無理しないでって言ったのに」

男「でも、女の勉強も見てあげたいしさ」

女「律儀ねー。私は嬉しいから、いいけどさ」

男「はあ」

女「ほんとにだいじょぶ? 男の家でもよかったのに」

男「家で勉強するのはイヤっていったの女じゃん、あついから集中できないって」

女「そうだっけ」

男「じゃあ女の家は?って聞いたら、自分の部屋じゃもっと集中できないって言ってさ」

女「テヘペロ」

男「変な顔したってごまかされないよ」

女「いや、これ世間では可愛い顔なんだけど」

10: 2012/07/20(金) 23:56:10.70
男「まあいいや、とりあえず俺も勉強するよ」

女「……」

男「……」

女「……」

男「……?」

女「ピト」

男「……」

女「……」

男「なにしてんの」

女「よっかかってんの」

男「なんで」

女「ちょっとは温かいでしょ」

男「温かいけど……」

女「♪」

11: 2012/07/20(金) 23:58:29.79
男「……」

女「ペタ」

男「ちょっと」

女「ふふん」

男「頭重い、顔近い」

女「いいでしょ」

男「だから、そういうのはダメだって」

女「キスまでしたのに?」

男「あれは、女が……」

女「ん?」

男「……、ちょっとだけだからね」

女「ニヒヒ」

男「まったくもう」

女「ペータコンタッターコンタッター♪」

18: 2012/07/21(土) 23:24:18.75
男「……」

女「んー」

男「……」

女「男ー、ここ教えて」

男「ん? えっと、この問題は、この値をこっちに代入して――」

女「ふんふん」

男「で、この式をこう変換すればオーケー」

女「あーそっか、ありがと」

男「ゆあうぇるかむ」

19: 2012/07/21(土) 23:30:02.44
女「……」

男「……」

女「ねえ」

男「なに?」

女「もしかして今、英語の勉強してる?」

男「うん」

女「やっぱり」

男「なんで?」

女「なんでって、なんか変な英語使ったでしょ、今」

男「使ったけど」

20: 2012/07/21(土) 23:32:34.41
女「やめて」

男「なんで」

女「気になる」

男「別にいいじゃん」

女「恥ずかしい」

男「えー?」

女「図書館なんだから、他にも人がいるんだから」

男「しょうがないじゃん。集中してると自然に出ちゃうんだよ」

21: 2012/07/21(土) 23:36:31.55
女「やめて」

男「しょうがないなあ」

女「やめてね」

男「はいはい、気をつけます」

女「……」

男「……さのばびっち」

女 ベシッ

男「いてっ」

22: 2012/07/21(土) 23:38:55.25
女「……」

男「……」

女「……」

男「ねえ」

女「ん?」

男「さっきから、女が俺にもたれかかったまんまなんだけど」

女「うん」

男「これは恥ずかしくないの?」

女「なんで?」

男「なんでって」

23: 2012/07/21(土) 23:41:44.00
女「別にいいじゃん」

男「恥ずかしい」

女「誰が?」

男「俺が」

女「そう」

男「……」

女「……」

男「そろそろやめない?」

女「ヤだ」

24: 2012/07/21(土) 23:45:25.94
男「じゃあ、俺も英語使うのやめない」

女「それはだめ」

男「なんで」

女「恥ずかしいから」

男「じゃあ」

女「ヤだ」

男「……」

女「……」

男「ねえ」

女「図書館ではお静かに」

男「もう……」

女「……」

25: 2012/07/21(土) 23:49:53.54
男「……」

女「……」

男「……」

女「……」スッ

男「……」

女「……」

男「……」チラ

女「……」

男「……」

女「……」

26: 2012/07/21(土) 23:50:23.95
男「……ねえ」

女「なに?」

男「……」

女「……」

男「やっぱり、寒い」

女「……」

男「……」

女「……」ピト

男「……」

女「……」

男「ありがと」

女「ゆあうぇるかむ」

27: 2012/07/21(土) 23:57:19.06
男「……」

女「……」

男友「……おい、バカップル」

男「?」

女「あ、男友君だ」

男友「お前ら、こんなところで何やってんだよ」

男「なにって」

女「勉強だよね」

男友「勉強?」

男「うん」

男友「それが?」

女「うん」

28: 2012/07/22(日) 00:03:48.47
男友「……」

男「……」

女「?」

男友「お前ら、ここは図書館だぞ」

女「知ってるよ」

男友「だったら、なんでそんなことしてんだよ」

女「え? 勉強してるだけじゃん」

男友「そうじゃなくてだな」

29: 2012/07/22(日) 00:06:45.22
男「女、やっぱり離れた方がいいよ」

女「でも、寒いって言ったのは男じゃない」

男「そうだけど、やっぱり周りの目が」

女「気にしなければいいじゃん」

男「そんなこと言ったって、男友にも注意されてるんだしさ」

女「私は、男とくっついていたいの」

男「もう」

女「男は、私とくっついているのイヤ?」

男「……イヤじゃ、ないけど」

女「じゃあいいじゃん」

男「……」

女「ね」

男「……しょうがないなあ」

30: 2012/07/22(日) 00:17:13.29
男友「……、お前らな」

女「あら、まだいたの」

男友「っ! てめっ」

男「女、今の言い方はヒドイよ」

女「だって、おじゃま虫なんだもん」

男「そうだけど、もっと言葉は選ばないと男友が傷つくよ」

女「ああいうタイプは、ハッキリ言わないと伝わらないわよ」

男「確かに、男友は物分かりが悪いけどさあ」

男友「おい、男。俺は今、お前の言葉に一番傷ついてるぞ」

31: 2012/07/22(日) 00:25:42.43
男友「黙って気いてりゃ好き放題言いやがって」

女「でも事実だし」

男「ごめんね男友。勉強はまた今度教えてあげるから」

男友「そういうことじゃねえよ。いいから聞け、ここは図書館なんだぞ」

女「だから知ってるわよ」

男友「だったら、こんなところでイチャイチャしてんじゃねえ」

女「しょうがないでしょ、男が寒いって言うから」

男友「じゃあ家でやればいいじゃねえか」

女「男の家は、クーラーついてないからあついんだもん」

男友「あついんだもんじゃねえよ、それなら女の家でやればいいだろ」

女「自分の部屋だと集中できないのよね」

男「散らかってるからね」

女「うるさい、あのくらい散らかってる方が居心地がいいの」

32: 2012/07/22(日) 00:45:19.92
男友「だーもう、どうでもいいんだよそんなことは!」

男「ちょっと男友」

男友「うるせえ! いいから黙って聞いてろ」

男友「前々から思ってたけど、お前らうぜえんだよ!」

男友「いつもいつもベタベタくっついているくせに俺たちはまだ付き合ってないとかほざきやがって!」

男友「誰がどう見たってお前らは付き合ってんだよ、ラブラブなんだよ!」

男友「それをなんだ? 付き合うのはまだ早いだとか、そういうことは大人にならないとダメだとか」

男友「いい加減にしろ! お前らのせいで周りはみんなイライラしてんだ!」

男友「いいからさっさとくっつけ! くっついて俺たちを安心させろ!」

男友「女友に変な期待を持たせるな! 男にアタックする姿が可哀想で見てられねえよ!」

男友「もう、お前ら二人の姿を見てヤキモキしたくねえんだ」

男友「頼むからラブコメは家でやってくれ、な?」

33: 2012/07/22(日) 00:52:15.95
男「男友……」

女「男友……」

男友「なんだよ、俺の言ってること分かったか? 分かってくれたか?」

男「いや、あのさ……」

女「うん……、ね……」

男友「んだよハッキリ言えよ。なんなんだよ」

男「男友……、ここ、図書館」

女「周りから注目されて、すっごく恥ずかしいんだけど」

男友「え……」

男「……」

女「……」

来館者「「「「しーーーっ」」」」

男友「あ、すいません、すいませんっした」

34: 2012/07/22(日) 01:01:57.74
男友「ったく、お前らのせいでヒデえ目にあっちまったじゃねえか」

女「いやいや、あれ完全に自業自得だし」

男友「まあいいや。で? 俺の言ったこと、ちゃんと分かったか?」

男「うん、まあ……、ね」

女「うん。……、ね」

男友「あ? なんだよ、チラチラ見つめあって気持ちワリいな」

女「ていうか、私たちもう付き合ってるから」

男友「……、はあ?」

35: 2012/07/22(日) 01:13:18.81
男「ちょっと女、付き合うのは卒業してからって何度も……」

女「あそこまでしといて、今さらそれはないんじゃない?」

男「でも、まだ1回だけだし、あれはその、なんていうか雰囲気がさ……」

女「いいじゃない、1回しちゃえば2回も3回も一緒よ」

男「ダメだよ、もうしないからね。ちゃんとけじめはつけないと」

女「もー、意気地無しなんだから男は~、えい」

男「ちょっ、でこピンしないで、痛い」

女「男がしてくれないんなら、私からまたしちゃうぞ」

36: 2012/07/22(日) 01:14:54.37
男「だからダメだって。卒業するまでは、ね」

女「しょうがないなあ。じゃあ、卒業したらいっぱいしてもらうからね」

男「それだったら、まあ……、うん、いいよ」

女「ニヒヒ、約束したわよ、ちゃんと守ってね」

男「はいはい、分かりました」

男友「……、て、め、え、ら~」

男「あ、え?」

女「? なに?」

男友「いい加減にしろ! 俺の目の前でイチャイチャすんな! リア充爆発しろ!」

来館者「「「「しーーーっ」」」」

41: 2012/07/23(月) 23:20:59.13
男友「ちくしょう、お前らのせいで恥かいたじゃねえかよ」

男「……、俺らのせいかな」

女「自爆しただけの様な気もするけど」

男友「うるせー」

男「ところで、男友は図書館になにしにきたのさ」

男友「あ? んなもん、本読みに来たに決まってんじゃねえか」

女「ほんとに?」

男友「んだよ、文句あんのか?」

女「いや、だって……」

男友「あ?」

42: 2012/07/23(月) 23:25:35.83
男「あ、そういえば女友さんも来てたよ」

男友「な?! ま、まじか!」

女「あんた……」

男友「い、いや! 違うぞ、勘違いするなよ、俺は別にクラスの知り合いが来てるのに驚いただけで別に女友はかんけーねからな」

女「……」

男友「ところで、女友はもう帰ったのか……?」

男「さっき参考書探しに行ったときに会ったから、まだそのあたりにいると思うけど」

男友「そうか、よし!」

女「……」

43: 2012/07/23(月) 23:32:29.13
男友「いや、だから違うからな、クラスメイトだし挨拶しておこうと思っただけだからな!」

男「うん、分かってるよ」

男友「いや、男はいいんだよ。お前は信用してるから」

男「ありがとう」

男友「いいか女、勘違いするなよ。別に俺は女友のことなんかなんとも思ってないからな」

女「はいはい」

男友「じゃあ、俺は行くからな。いいか、勘違いするなよ。絶対だぞ、絶対だからな」

男「うん、またね」

女「……」ノシ

44: 2012/07/23(月) 23:37:25.69
女「……、ねえ男」

男「ん?」

女「男友君って、女友ちゃんのストーカーになってないよね」

男「そんなことないと思うけど、どうして?」

女「だって、あの野球バカが、図書館に来るとかおかしい」

男「あー……」

女「それに、あんな取ってつけた様に言いわけする態度、怪しすぎるわ」

男「んー、あれは仕方ないと思うけど」

女「どうして?」

男「男友が女友さんを好きだってほんとは知らないことになってるからね、女は」

女「あーそっか」

男「話しちゃった俺も悪いんだけどね。まあでも確かに、あの話し方はちょっと変だったかなあ」

女「ね、そうでしょ? ちょっと注意した方がいいかもしれないわ」

男「うーん、男友はそんなコソコソするような奴じゃないから、大丈夫だと思うけどな……」

45: 2012/07/23(月) 23:42:19.20
女「ところで、寒いのは平気なの?」

男「そういえば全然寒いって思ってなかった。男友が来たせいかな」

女「騒がしかったからね」

男「うん、寒いって思う暇もなかったね」

女「今は?」

男「だいぶ良くなったよ。来た時よりもだいぶマシになった」

女「そう、ならよかったわ」

男「うん……」

女「……」

46: 2012/07/23(月) 23:45:40.58
男「もう寒いのは平気だから、離れても大丈夫だよ」

女「ふーん」

男「……女?」

女「なに?」

男「離れないの?」

女「離れてほしいの?」

男「……」

女「……」

47: 2012/07/23(月) 23:47:19.18
男「……」

女「……」

男「……やっぱり、勉強は家でやろうよ」

女「なによ急に。やっぱり寒い? クーラー弱めてもらう?」

男「ううん、そうじゃなくて、それもあるけど」

女「けど?」

男「……」

女「……」

48: 2012/07/23(月) 23:49:25.57
男「……家だったら、人の目を気にしないで、女とくっついていられるからさ」

女「……」

男「だから、これからは家で、一緒に勉強したいなって」

女「……」

男「……」

女「……」ギュッ

男「……」

女「あつい」

男「……」

女「……」

男「あついね」

女「うん」




おわり

49: 2012/07/23(月) 23:50:06.86
終わります。
ありがとうございました。

引用元: 女「涼しい」男「……」