1: 2011/02/03(木) 21:10:33.57
唯 「・・・・・・・」ムー
和 「唯、なにを難しい顔をして考え込んでるの?」
唯 「あ、和ちゃん・・・ あの、ね。実は部活動どうしようかと思って・・・」
和 「え、まだ決めてなかったの?学校が始まってもう二週間もたってるよ!」
唯 「でもでも・・・・私、運動音痴だし。文科系のクラブも良く分からないし・・・・それに・・・」
唯 「私なんかが入ったら、きっと迷惑になっちゃうんじゃないかなって・・・それで・・・」
和 「・・・・唯」
和 「唯、なにを難しい顔をして考え込んでるの?」
唯 「あ、和ちゃん・・・ あの、ね。実は部活動どうしようかと思って・・・」
和 「え、まだ決めてなかったの?学校が始まってもう二週間もたってるよ!」
唯 「でもでも・・・・私、運動音痴だし。文科系のクラブも良く分からないし・・・・それに・・・」
唯 「私なんかが入ったら、きっと迷惑になっちゃうんじゃないかなって・・・それで・・・」
和 「・・・・唯」
3: 2011/02/03(木) 21:12:54.83
和 「約束したよね。高校に入ったら”変わる”んだって。少なくても、その努力はするんだって」
和 「そのきっかけ作りのために、まずは部活動をやってみるって誓ったんだよね?」
唯 「うん・・・・」
和 「じゃ、ほら。よく分からないんだったら、部員募集の掲示板とか、あと部活見学とかにも行ってみようよ。私も付き合うし」
唯 「ありがとう、和ちゃん・・・」
和 「唯、このままじゃニート街道まっしぐらだからね。唯の保護者を自認する私としては、放っておけないのよ」
和 「なんてね」
唯 「・・・・・・・部活やってないだけで、ニート・・・・」しょぼん・・・
和 「あ、と、とにかく!放課後になったら、いろいろ見に行きましょ?」
唯 「うん」
和 「そのきっかけ作りのために、まずは部活動をやってみるって誓ったんだよね?」
唯 「うん・・・・」
和 「じゃ、ほら。よく分からないんだったら、部員募集の掲示板とか、あと部活見学とかにも行ってみようよ。私も付き合うし」
唯 「ありがとう、和ちゃん・・・」
和 「唯、このままじゃニート街道まっしぐらだからね。唯の保護者を自認する私としては、放っておけないのよ」
和 「なんてね」
唯 「・・・・・・・部活やってないだけで、ニート・・・・」しょぼん・・・
和 「あ、と、とにかく!放課後になったら、いろいろ見に行きましょ?」
唯 「うん」
4: 2011/02/03(木) 21:14:01.14
昼休み!職員室!!
和 「失礼します。あの、先生」
担任 「おお、真鍋か。どうした?」
和 「あの、部活のことでちょっと相談が・・・」
担任 「ん?真鍋は生徒会に立候補するから、部活動はやらないと言っていなかったか?」
和 「あ、私のことではないんです。じつは友達の平沢唯のことで」
担任 「ああ、いるかいないのか分からない、あの平沢か?」
かっちーん
和 「・・・・そうです。その平沢です。で、ご相談の内容なんですg
担任 「なんだなんだ、真鍋は平沢と親しいのか?」
和 「・・・・はい、幼馴染ですが。それが?」
和 「失礼します。あの、先生」
担任 「おお、真鍋か。どうした?」
和 「あの、部活のことでちょっと相談が・・・」
担任 「ん?真鍋は生徒会に立候補するから、部活動はやらないと言っていなかったか?」
和 「あ、私のことではないんです。じつは友達の平沢唯のことで」
担任 「ああ、いるかいないのか分からない、あの平沢か?」
かっちーん
和 「・・・・そうです。その平沢です。で、ご相談の内容なんですg
担任 「なんだなんだ、真鍋は平沢と親しいのか?」
和 「・・・・はい、幼馴染ですが。それが?」
5: 2011/02/03(木) 21:18:47.93
担任 「ふむ。君みたいな優秀な生徒が、あのような子と親しくするのは、あまり感心せんなぁ」
和 「・・・それは、どういう意味ですか?」
担任 「なんら自己主張ができず存在感はない。出席をとっても蚊の鳴くような声でしか返事ができない。成績も中の下」
担任 「君がつき合って、メリットを見出せるような人物でもなかろう。友達はもっと選ばなくてはなぁ」
担任 「まぁ良い。で、相談ってのはなんなんだ?」
和 「いえ、もう結構です。失礼します」
たったった ぴしゃん
担任 「・・・・なんだ、あいつは」
さわ子 「・・・・・・」
和 「・・・それは、どういう意味ですか?」
担任 「なんら自己主張ができず存在感はない。出席をとっても蚊の鳴くような声でしか返事ができない。成績も中の下」
担任 「君がつき合って、メリットを見出せるような人物でもなかろう。友達はもっと選ばなくてはなぁ」
担任 「まぁ良い。で、相談ってのはなんなんだ?」
和 「いえ、もう結構です。失礼します」
たったった ぴしゃん
担任 「・・・・なんだ、あいつは」
さわ子 「・・・・・・」
6: 2011/02/03(木) 21:20:01.49
和 「なによなによ、あのヒヒオヤジ。よくも言うに事欠いて、唯の事をああも悪く言えたものね!」
和 「・・・・本当の唯のことなんか、露ほども知らないくせに。頭にくる」
和 「・・・・・くやしい(ぐす)」
さわ子 「待って、真鍋さん!」
和 「え、あのえっと・・・?」
さわ子 「追いついた・・・ えっと、真鍋さんね。私は吹奏楽部の顧問をやっている、山中さわ子です。よろしくね」
和 「山中・・・先生?」
さわ子 「・・・・泣いてたの?」
和 「これは・・・ べ、別に」
さわ子 「泣きたくもなるわよね、友達のことをああも悪く言われたら。真鍋さんはよく耐えたわ」
さわ子 「私が言われたんだったら、あのクソジジイ!ふん縛ばってフルボッコにした後、下水に塗れた汚い川に放流してやるところ
和 「・・・・本当の唯のことなんか、露ほども知らないくせに。頭にくる」
和 「・・・・・くやしい(ぐす)」
さわ子 「待って、真鍋さん!」
和 「え、あのえっと・・・?」
さわ子 「追いついた・・・ えっと、真鍋さんね。私は吹奏楽部の顧問をやっている、山中さわ子です。よろしくね」
和 「山中・・・先生?」
さわ子 「・・・・泣いてたの?」
和 「これは・・・ べ、別に」
さわ子 「泣きたくもなるわよね、友達のことをああも悪く言われたら。真鍋さんはよく耐えたわ」
さわ子 「私が言われたんだったら、あのクソジジイ!ふん縛ばってフルボッコにした後、下水に塗れた汚い川に放流してやるところ
7: 2011/02/03(木) 21:23:44.07
和 (ぽかーーん)
さわ子 「だいたいあいつぁー・・・ はっ!?」
さわ子 「い・・・今の聞いてた?」
和 「はい・・・」
さわ子 「あ、今の無し!私、そこまで言ってない!あの、今のはオフレコでお願い。ね?」
和 「・・・・・ぷっ」
和 「くす。はい、わかりました。それで先生、私に何か?」
さわ子 「あ、そうそう。真鍋さん、お友達の部活動のことで先生に相談したいことがあるんでしょう?」
さわ子 「力になれるかどうか分からないけれど、私でよければ相談に乗るわよ?」
和 「え、本当ですか?あ、ありがとうございます!」
さわ子 「いいのよ、ここでは何だから音楽準備室でお話しましょう」
和 「はい!」
さわ子 「だいたいあいつぁー・・・ はっ!?」
さわ子 「い・・・今の聞いてた?」
和 「はい・・・」
さわ子 「あ、今の無し!私、そこまで言ってない!あの、今のはオフレコでお願い。ね?」
和 「・・・・・ぷっ」
和 「くす。はい、わかりました。それで先生、私に何か?」
さわ子 「あ、そうそう。真鍋さん、お友達の部活動のことで先生に相談したいことがあるんでしょう?」
さわ子 「力になれるかどうか分からないけれど、私でよければ相談に乗るわよ?」
和 「え、本当ですか?あ、ありがとうございます!」
さわ子 「いいのよ、ここでは何だから音楽準備室でお話しましょう」
和 「はい!」
8: 2011/02/03(木) 21:24:32.36
音楽準備室!!
さわ子 「少人数で、アットホームな雰囲気の部?」
和 「はい、そういう部があったら、ぜひ紹介して下さい」
さわ子 「それは・・・うーん、そうねぇ。和気藹々としている部はいくつか知っているけど・・・・・」
さわ子 「ね、それは必ず少人数でないといけないものなの?」
和 「はい」
さわ子 「どうして?」
和 「それは・・・ その、言わないといけないでしょうか」
さわ子 「そうね、事情を知っているのと知らないとでは、有用な情報を提供する精度に開きが出る、てところかな」
和 「・・・・・・」
さわ子 「当然だけれど、絶対に口外はしません。私を信用して、話してくれないかしら」
さわ子 「少人数で、アットホームな雰囲気の部?」
和 「はい、そういう部があったら、ぜひ紹介して下さい」
さわ子 「それは・・・うーん、そうねぇ。和気藹々としている部はいくつか知っているけど・・・・・」
さわ子 「ね、それは必ず少人数でないといけないものなの?」
和 「はい」
さわ子 「どうして?」
和 「それは・・・ その、言わないといけないでしょうか」
さわ子 「そうね、事情を知っているのと知らないとでは、有用な情報を提供する精度に開きが出る、てところかな」
和 「・・・・・・」
さわ子 「当然だけれど、絶対に口外はしません。私を信用して、話してくれないかしら」
9: 2011/02/03(木) 21:25:41.74
和 (宛にならない担任の代わりに、何の関わりもない私の相談に乗ってくれるような人だ・・・)
和 (良い人・・・ この人なら信頼にたるかもしれない)
和 「先生は、平沢唯をご存知ですか?」
さわ子 「ごめんなさい。職員室でも聞いていたけど、私はその平沢さんっていう生徒を知らないの」
和 「当然ですよね。なにせ彼女のあだ名は”空気”ですから」
さわ子 「空気・・・?え、それって本当にあだ名なの?」
和 「悪口半分、特徴半分ってところでしょうか。いるのかいないのか分からない。いても見えない。存在を感じられない」
和 「で、ついたあだ名が空気・・・・」
さわ子 「それって・・・・」
和 「ひどいでしょう?でも、本人が空気に徹しようとしているんだから、どうしようもないんです」
さわ子 「徹するって・・・ じゃあ、本来の平沢さんはそういう子じゃなかったってことなの?」
和 「はい。以前の唯はとぼけたところもあったけど、明るくて、前向きで、元気で・・・いつも笑顔で」
和 「ただ、そこにいるだけで、いつの間にかみんなの輪の中心になっているような。みんなもつられて自然と笑顔になってしまうような」
和 「・・・・そんな唯の親友でいられることが、私の何よりの自慢だったんです」
さわ子 「・・・・・・・」
和 「あの子が変わってしまったのは中学2年の頃・・・ 」
和 (良い人・・・ この人なら信頼にたるかもしれない)
和 「先生は、平沢唯をご存知ですか?」
さわ子 「ごめんなさい。職員室でも聞いていたけど、私はその平沢さんっていう生徒を知らないの」
和 「当然ですよね。なにせ彼女のあだ名は”空気”ですから」
さわ子 「空気・・・?え、それって本当にあだ名なの?」
和 「悪口半分、特徴半分ってところでしょうか。いるのかいないのか分からない。いても見えない。存在を感じられない」
和 「で、ついたあだ名が空気・・・・」
さわ子 「それって・・・・」
和 「ひどいでしょう?でも、本人が空気に徹しようとしているんだから、どうしようもないんです」
さわ子 「徹するって・・・ じゃあ、本来の平沢さんはそういう子じゃなかったってことなの?」
和 「はい。以前の唯はとぼけたところもあったけど、明るくて、前向きで、元気で・・・いつも笑顔で」
和 「ただ、そこにいるだけで、いつの間にかみんなの輪の中心になっているような。みんなもつられて自然と笑顔になってしまうような」
和 「・・・・そんな唯の親友でいられることが、私の何よりの自慢だったんです」
さわ子 「・・・・・・・」
和 「あの子が変わってしまったのは中学2年の頃・・・ 」
10: 2011/02/03(木) 21:28:07.68
和 「最初は些細なことだったんです。今となっては原因もはっきりとは思い出せない」
あの頃の唯は人よりノンビリというか、マイペースなところがあって。
いわゆる天然っていうものでしょうか。でも、けっして嫌味なところがあるわけでもなく。
私には唯のそんな天然ぶりが快かったくらいです。おそらくクラスのみんなの大半もそう思っていたと思います。
でも、そうではない人たちもいた。いわゆるクラスの不良たち。
最初は取るに足らない悪戯から始まりました。でも、次第にそれがエスカレートし・・・・
唯は唯で、元来のノンビリさであまり深刻にも考えず、いつも通りに日々を送り・・・
それが不良たちの癇に障ったんでしょう。ついには陰湿ないじめに発展してしまいました。
あの頃の唯は人よりノンビリというか、マイペースなところがあって。
いわゆる天然っていうものでしょうか。でも、けっして嫌味なところがあるわけでもなく。
私には唯のそんな天然ぶりが快かったくらいです。おそらくクラスのみんなの大半もそう思っていたと思います。
でも、そうではない人たちもいた。いわゆるクラスの不良たち。
最初は取るに足らない悪戯から始まりました。でも、次第にそれがエスカレートし・・・・
唯は唯で、元来のノンビリさであまり深刻にも考えず、いつも通りに日々を送り・・・
それが不良たちの癇に障ったんでしょう。ついには陰湿ないじめに発展してしまいました。
11: 2011/02/03(木) 21:31:12.16
相手はたちが悪い不良です。嫌がらせ程度の時とは違って、本格的に目を付けられてしまった以上、唯に近づく人は誰もいなくなりました。
みんな、次の標的が自分に移るのを恐れたんです。
唯にとっては、まったく訳が分からなかったでしょう。ある日を境にクラスの中でただ一人、孤立してしまったんですから。
そして、唯は覚えたんです。誰も味方がいない。助けが期待できない。自分で打開もできない。ならばどうするか、その方法を。
唯は心を閉ざし、自分の内面に殻をかぶせ、その中に篭ってしまいました。
楽しい事があっても笑わない。辛いことがあっても泣かない。体はそこにあっても、自分はいないものと。
やがて何をしても反応のない唯から興味をなくしたのか、不良のいじめは頻度を減らし・・・
3年になりクラスが離れたことで、唯に「空気」というあだ名を最後に残し、いじめは完全に無くなりました。
でも・・・・ 唯は元には戻らなかった。
みんな、次の標的が自分に移るのを恐れたんです。
唯にとっては、まったく訳が分からなかったでしょう。ある日を境にクラスの中でただ一人、孤立してしまったんですから。
そして、唯は覚えたんです。誰も味方がいない。助けが期待できない。自分で打開もできない。ならばどうするか、その方法を。
唯は心を閉ざし、自分の内面に殻をかぶせ、その中に篭ってしまいました。
楽しい事があっても笑わない。辛いことがあっても泣かない。体はそこにあっても、自分はいないものと。
やがて何をしても反応のない唯から興味をなくしたのか、不良のいじめは頻度を減らし・・・
3年になりクラスが離れたことで、唯に「空気」というあだ名を最後に残し、いじめは完全に無くなりました。
でも・・・・ 唯は元には戻らなかった。
12: 2011/02/03(木) 21:32:41.25
さわ子 「ハードな話ね・・・」
和 「高校に入る前、唯と話し合ったんです。このままで良いのかって。このまま自分の殻に閉じこもって、更に3年間を過ごすのかって」
和 「あの子もそれは嫌だって。また以前のように笑って過ごしたい。でも、もう自分ではどうすれば良いか分からないって言うんです」
和 「だから、気のあった仲間たちと、何か夢中になれることに打ち込めたら、心を開くきっかけになるんじゃないかって」
さわ子 「そこで、部活なわけね」
和 「はい。でも、いきなり大所帯に放り込んでも、今の唯じゃ絶対に萎縮してしまう。それじゃ逆効果です」
さわ子 「だから少人数でアットホームな・・・か。うん、心当たりがないでもないけど」
和 「本当ですか!?」
さわ子 「ただね・・・ ちょっと引っかかることがあるのだけど」
和 「え、なんですか?」
和 「高校に入る前、唯と話し合ったんです。このままで良いのかって。このまま自分の殻に閉じこもって、更に3年間を過ごすのかって」
和 「あの子もそれは嫌だって。また以前のように笑って過ごしたい。でも、もう自分ではどうすれば良いか分からないって言うんです」
和 「だから、気のあった仲間たちと、何か夢中になれることに打ち込めたら、心を開くきっかけになるんじゃないかって」
さわ子 「そこで、部活なわけね」
和 「はい。でも、いきなり大所帯に放り込んでも、今の唯じゃ絶対に萎縮してしまう。それじゃ逆効果です」
さわ子 「だから少人数でアットホームな・・・か。うん、心当たりがないでもないけど」
和 「本当ですか!?」
さわ子 「ただね・・・ ちょっと引っかかることがあるのだけど」
和 「え、なんですか?」
13: 2011/02/03(木) 21:35:03.88
さわ子 「あなたはどうするの?」
和 「私・・・ですか?」
さわ子 「そう、あなた。平沢さんを未知の世界に放り込んで、あなたはどうするの?」
和 「わ、私は・・・」
さわ子 「私ね、さっきの話しを聞いていて釈然としないところがあったんだけど」
和 「・・・・・っ」
さわ子 「まぁ、過去の話だし。私に言われて表情を硬くしたってことは、私の言わんとしている事も分かってるようだから・・・」
さわ子 「だからそのことは良いわ。ただし、現在進行形のこの件だけは投げっ放しにしちゃダメよ」
和 「・・・・はい、分かっています」
和 「私も唯と同じところに入ります。ですから、その部を紹介して下さい!」
さわ子 (にっこり)「分かったわ。じゃあ話を付けておくわね。明日の放課後、平沢さんを連れてここにいらっしゃい」
和 「ここって、音楽室へですか?」
さわ子 「そう、廃部寸前の軽音部へ、ね!」
和 「私・・・ですか?」
さわ子 「そう、あなた。平沢さんを未知の世界に放り込んで、あなたはどうするの?」
和 「わ、私は・・・」
さわ子 「私ね、さっきの話しを聞いていて釈然としないところがあったんだけど」
和 「・・・・・っ」
さわ子 「まぁ、過去の話だし。私に言われて表情を硬くしたってことは、私の言わんとしている事も分かってるようだから・・・」
さわ子 「だからそのことは良いわ。ただし、現在進行形のこの件だけは投げっ放しにしちゃダメよ」
和 「・・・・はい、分かっています」
和 「私も唯と同じところに入ります。ですから、その部を紹介して下さい!」
さわ子 (にっこり)「分かったわ。じゃあ話を付けておくわね。明日の放課後、平沢さんを連れてここにいらっしゃい」
和 「ここって、音楽室へですか?」
さわ子 「そう、廃部寸前の軽音部へ、ね!」
14: 2011/02/03(木) 21:37:26.11
翌日!!
唯 「けいおんぶ?」
和 「そう、軽音部。軽音楽部ね。唯、そこ行ってみない?」
唯 「そこ、何をするところなの?」
和 「うーん。軽い音楽って書くんだから、きっと簡単なことしかやらないわよ」
和 「・・・・口笛とか」
唯 「・・・・ほんとに?」
和 「う・・・ と、とにかく見に行ってみない?ほら、唯。たしか楽器を演奏するの、好きじゃなかった?」
唯 「え、そうだっけ?そんな事いったかな・・・・」
和 「幼稚園のとき、カスタネットを叩いて先生に褒められたって・・・」
和 「嬉しそうに教えてくれたじゃない」
唯 「・・・・そんな昔のこと」
唯 「けいおんぶ?」
和 「そう、軽音部。軽音楽部ね。唯、そこ行ってみない?」
唯 「そこ、何をするところなの?」
和 「うーん。軽い音楽って書くんだから、きっと簡単なことしかやらないわよ」
和 「・・・・口笛とか」
唯 「・・・・ほんとに?」
和 「う・・・ と、とにかく見に行ってみない?ほら、唯。たしか楽器を演奏するの、好きじゃなかった?」
唯 「え、そうだっけ?そんな事いったかな・・・・」
和 「幼稚園のとき、カスタネットを叩いて先生に褒められたって・・・」
和 「嬉しそうに教えてくれたじゃない」
唯 「・・・・そんな昔のこと」
16: 2011/02/03(木) 21:38:55.72
和 「良いじゃない。褒められて嬉しかったってことは、音楽は嫌いじゃないんでしょ?」
唯 「うん・・・・」
和 「だったら行ってみましょ?それとも他に、気になる部でもあるの?」
唯 「そういうわけじゃないんだけど・・・・でも・・・」
和 「じゃ私につき合ってくれないかな?軽音部ね、私も気になってるの」
唯 「え・・・和ちゃん、部活やるの?生徒会やりたいって言ってたのに・・・・」
和 「う、うん・・・ まぁ」
和 「・・・・・・・来年。生徒会は来年。今年は目いっぱい部活を楽しみたい気分なのよ」
和 「ね、唯。一人じゃ心細いの。一緒に来てくれないかしら」
唯 「そぉ・・・ 和ちゃん、生徒会に入らないんだ・・・」
唯 「・・・・わかった、和ちゃんがそう言うなら」
和 「ありがとう、唯」
唯 「うん・・・・」
和 「だったら行ってみましょ?それとも他に、気になる部でもあるの?」
唯 「そういうわけじゃないんだけど・・・・でも・・・」
和 「じゃ私につき合ってくれないかな?軽音部ね、私も気になってるの」
唯 「え・・・和ちゃん、部活やるの?生徒会やりたいって言ってたのに・・・・」
和 「う、うん・・・ まぁ」
和 「・・・・・・・来年。生徒会は来年。今年は目いっぱい部活を楽しみたい気分なのよ」
和 「ね、唯。一人じゃ心細いの。一緒に来てくれないかしら」
唯 「そぉ・・・ 和ちゃん、生徒会に入らないんだ・・・」
唯 「・・・・わかった、和ちゃんがそう言うなら」
和 「ありがとう、唯」
17: 2011/02/03(木) 21:41:37.40
>>15
読んでくれてる人がいると嬉しい。
ありがとね、がんばる。
音楽室前!!
和 (さて、山中先生が話を通してくれてるはずだけど・・・・)
和 (さすがにちょっと緊張するわね)
唯 「・・・・・和ちゃん?」
和 「こほん。ん、んー。そ、それじゃ唯、ノックするわよ」
唯 どきどきどきどき
和 (・・・・返事もできないくらい硬くなっちゃってる。唯・・・我ながら強引だったかしら)
和 (でも、一歩を踏み出すのは唯自身も望んだこと。大丈夫、唯には私がついている。もう二度と・・・・)
和 (もう二度と過ちは繰り返すものか!)
? 「なにしてるのー?」
唯・和 「わぁっ!?」
読んでくれてる人がいると嬉しい。
ありがとね、がんばる。
音楽室前!!
和 (さて、山中先生が話を通してくれてるはずだけど・・・・)
和 (さすがにちょっと緊張するわね)
唯 「・・・・・和ちゃん?」
和 「こほん。ん、んー。そ、それじゃ唯、ノックするわよ」
唯 どきどきどきどき
和 (・・・・返事もできないくらい硬くなっちゃってる。唯・・・我ながら強引だったかしら)
和 (でも、一歩を踏み出すのは唯自身も望んだこと。大丈夫、唯には私がついている。もう二度と・・・・)
和 (もう二度と過ちは繰り返すものか!)
? 「なにしてるのー?」
唯・和 「わぁっ!?」
18: 2011/02/03(木) 21:43:29.35
? 「部室の前で何してるの?」
和 「び、び、びっくりした・・・・ あ、あの、軽音部の人ですか?私たち・・・・」
? 「あ、もしかして真鍋さんに平沢さん?」
和 「あ、はい」
? 「入部希望の!」
和 「は、はい!」
? 「わはぁー!!いらっしゃい、待ってたよ!ギターがすっごく上手いんだってね!」
唯・和 「・・・・・・え?」
? 「来てくれるのまってたよー!ひゃっほー!!」
和 (ど、どういうこと!?私、楽器ができるなんて一言も・・・・)
和 「び、び、びっくりした・・・・ あ、あの、軽音部の人ですか?私たち・・・・」
? 「あ、もしかして真鍋さんに平沢さん?」
和 「あ、はい」
? 「入部希望の!」
和 「は、はい!」
? 「わはぁー!!いらっしゃい、待ってたよ!ギターがすっごく上手いんだってね!」
唯・和 「・・・・・・え?」
? 「来てくれるのまってたよー!ひゃっほー!!」
和 (ど、どういうこと!?私、楽器ができるなんて一言も・・・・)
19: 2011/02/03(木) 21:45:50.12
? 「みんなー!入部希望者が来たぞー!!」
がちゃっ!
? 「本当か?! ようこそ軽音部へ!」
? 「まぁ! 歓迎いたしますわ~!」
? 「よぉしムギ!お茶の準備だ!」
? 「はい~♪」
彼女たちが煎れてくれたお茶を頂きながら、私たちは簡単な自己紹介を済ませた。
一つ判明したこと。それは私たちが楽器を演奏できる。それもかなりのベテラン。
山中先生は私たちを紹介するさい、そんな根も葉もない設定をおまけに付けて話していたらしいということ。
なんでそんな事いったんですか、山中先生ーーーー!
がちゃっ!
? 「本当か?! ようこそ軽音部へ!」
? 「まぁ! 歓迎いたしますわ~!」
? 「よぉしムギ!お茶の準備だ!」
? 「はい~♪」
彼女たちが煎れてくれたお茶を頂きながら、私たちは簡単な自己紹介を済ませた。
一つ判明したこと。それは私たちが楽器を演奏できる。それもかなりのベテラン。
山中先生は私たちを紹介するさい、そんな根も葉もない設定をおまけに付けて話していたらしいということ。
なんでそんな事いったんですか、山中先生ーーーー!
20: 2011/02/03(木) 21:46:18.34
律 「実は私たちも今年の新入生なんだけど・・・・」
澪 「先輩たちがみんな卒業しちゃって、部員は私たち三人だけなんだ」
紬 「一週間以内に部員が4人以上にならないと、廃部になるところだったんです」
和 (う・・・重い。なるほど、両者の利害の一致ってわけか。ただ紹介してくれたわけではなかったのね・・・・)
唯 「あうう・・・・・」
和 (ああ・・・唯が入部を断れない雰囲気に押し潰されそうになっている。どういうこと?っていう目でこっち見てる)
和 (でも、みんな良い人そうだし・・・ それにこの人数。唯のリハビリにはうってつけだわ)
和 (これは、却って好都合だったかも知れないわね)
律 「それで、ふたりはどんな音楽がやりたいの?」
和 「え・・・?」
律 「どんなバンドが好きかぁー?」
唯 「あ・・・ぅ」
律 「好きなギタリストは?」
和 「えっと・・・(早く言わなきゃ。じつはギターなんて引けないって)」
澪 「ん? じゃ、平沢さんは? どんな音楽が好き?」
唯 「え・・・と・・・・あの・・・・」
澪 「?」
唯 「・・・・・・・・・」
律 「んー??」
澪 「先輩たちがみんな卒業しちゃって、部員は私たち三人だけなんだ」
紬 「一週間以内に部員が4人以上にならないと、廃部になるところだったんです」
和 (う・・・重い。なるほど、両者の利害の一致ってわけか。ただ紹介してくれたわけではなかったのね・・・・)
唯 「あうう・・・・・」
和 (ああ・・・唯が入部を断れない雰囲気に押し潰されそうになっている。どういうこと?っていう目でこっち見てる)
和 (でも、みんな良い人そうだし・・・ それにこの人数。唯のリハビリにはうってつけだわ)
和 (これは、却って好都合だったかも知れないわね)
律 「それで、ふたりはどんな音楽がやりたいの?」
和 「え・・・?」
律 「どんなバンドが好きかぁー?」
唯 「あ・・・ぅ」
律 「好きなギタリストは?」
和 「えっと・・・(早く言わなきゃ。じつはギターなんて引けないって)」
澪 「ん? じゃ、平沢さんは? どんな音楽が好き?」
唯 「え・・・と・・・・あの・・・・」
澪 「?」
唯 「・・・・・・・・・」
律 「んー??」
21: 2011/02/03(木) 21:48:33.63
和 「あ、あのっ!な、なんだか手違いがあったようで・・・・ 実は私たち、ギターなんて弾けないんです」
紬 「まぁまぁ、そうだったんですか? きのう山中先生がとんでもない逸材をスカウトしてきたって言うから、私たちてっきり・・・・」
和 「あはあは(何を言ってるんですかー、せんせい!!)」
紬 「じゃあ、なにならできるの?」
和 「それが、まったくの素人で。ここで一から始めてみようかと。ご迷惑でしたか・・・」
澪 「いや、そんなことはないよ。弾けなければこれから弾けるようになれば良いだけだし。なぁ、律」
律 「平沢さんもできる楽器ってないの?」
唯 「・・・・・・・・」
和 「あ、この子もしr
律 「平沢さんに聞いてるんだけど」
唯 「・・・・ぅ」
紬 「まぁまぁ、そうだったんですか? きのう山中先生がとんでもない逸材をスカウトしてきたって言うから、私たちてっきり・・・・」
和 「あはあは(何を言ってるんですかー、せんせい!!)」
紬 「じゃあ、なにならできるの?」
和 「それが、まったくの素人で。ここで一から始めてみようかと。ご迷惑でしたか・・・」
澪 「いや、そんなことはないよ。弾けなければこれから弾けるようになれば良いだけだし。なぁ、律」
律 「平沢さんもできる楽器ってないの?」
唯 「・・・・・・・・」
和 「あ、この子もしr
律 「平沢さんに聞いてるんだけど」
唯 「・・・・ぅ」
22: 2011/02/03(木) 21:51:16.83
澪 「おい律、どうしたんだ? そんな強引な聞き方するなよ」
律 「平沢さんさー。ここ来てまだ一言も話してないんだけど。どうしちゃったのかなーって思って、さ」
紬 「そういえば。大丈夫?具合でも悪いのかしら」
唯 (ふるふる・・・・)
澪 「震えてるぞ。風邪か?」
紬 「大変! たしか風邪薬の持ち合わせがあったはずだわ! 待ってね、今・・・」
和 「あ、違う! 違うんです。この子、緊張しちゃってて。それで少し静かになっているだけなんです」
律 「ふーん・・・ そうなんだ」
律 「まぁいいや。二人とも入部ってことでいいんだよね? じゃ、これ。入部届け。書いて明日持ってきてね」
和 「はい。じゃ、今日はこれで。行こう、唯」
唯 (こくっ)
和 「あ、お茶。ご馳走様でした」
ばたん
律 「平沢さんさー。ここ来てまだ一言も話してないんだけど。どうしちゃったのかなーって思って、さ」
紬 「そういえば。大丈夫?具合でも悪いのかしら」
唯 (ふるふる・・・・)
澪 「震えてるぞ。風邪か?」
紬 「大変! たしか風邪薬の持ち合わせがあったはずだわ! 待ってね、今・・・」
和 「あ、違う! 違うんです。この子、緊張しちゃってて。それで少し静かになっているだけなんです」
律 「ふーん・・・ そうなんだ」
律 「まぁいいや。二人とも入部ってことでいいんだよね? じゃ、これ。入部届け。書いて明日持ってきてね」
和 「はい。じゃ、今日はこれで。行こう、唯」
唯 (こくっ)
和 「あ、お茶。ご馳走様でした」
ばたん
23: 2011/02/03(木) 21:53:56.95
澪 「・・・・おい律。途中からなんか、態度悪かったぞ。良くないぞ、ああいうの」
律 「お前、今の平沢っての見て、何も思わなかったのか?」
澪 「なんのことだよ」
紬 「どうかしたの、りっちゃん」
律 「別に・・・・ たださ。ああいうモジモジしたの見てると、無性にイライラするんだよ」
律 「言いたいことがありゃ言えばいいし、無けりゃ堂々と座ってりゃ良いんだ。それをオドオドウジウジ・・・」
澪 「やめろよ律。誰しもお前みたいに単純じゃないんだ。それにお前に辛く当たられて、二人に入部を取り消されたりしてみろ」
紬 「そうよ。二人のおかげで廃部も免れそうなんだし。ね、ここは我慢して・・・」
律 「あー、もう、はいはい。分かってる。わぁーってるよ」
紬 「ま、まあともかく!これで練習開始前に廃部っていう、最悪の事態は避けられそうね」
澪 「そうだな! いよいよ軽音部の本格始動だ。がんばろうな、律! ・・・・律?」
律 「・・・・・・・」
律 「お前、今の平沢っての見て、何も思わなかったのか?」
澪 「なんのことだよ」
紬 「どうかしたの、りっちゃん」
律 「別に・・・・ たださ。ああいうモジモジしたの見てると、無性にイライラするんだよ」
律 「言いたいことがありゃ言えばいいし、無けりゃ堂々と座ってりゃ良いんだ。それをオドオドウジウジ・・・」
澪 「やめろよ律。誰しもお前みたいに単純じゃないんだ。それにお前に辛く当たられて、二人に入部を取り消されたりしてみろ」
紬 「そうよ。二人のおかげで廃部も免れそうなんだし。ね、ここは我慢して・・・」
律 「あー、もう、はいはい。分かってる。わぁーってるよ」
紬 「ま、まあともかく!これで練習開始前に廃部っていう、最悪の事態は避けられそうね」
澪 「そうだな! いよいよ軽音部の本格始動だ。がんばろうな、律! ・・・・律?」
律 「・・・・・・・」
24: 2011/02/03(木) 21:56:08.86
和 「見学のつもりが、入部することになっちゃったわね・・・」
唯 「・・・・・・・」
和 「どう、やっていけそうかしら。 ・・・・唯?」
唯 「・・・・・あのカチューシャの人・・・ 怖い・・・」
和 「あー・・・ ちょっと自己主張が強そうな子だったわね。唯の苦手なタイプか」
和 「でも、そんなに悪い人には見えなかったし、もし何かあっても・・・」
和 「・・・・・今度は私が唯を守るから」
唯 「・・・・のどか・・・ちゃん?」
和 「だから。ね、唯」
唯 「うん・・・ありがとう。私、がんばってみるよ」
和 「一緒にね、がんばろう」
和 「それじゃ、また明日ね」
唯 「・・・うん。また明日」
和 「・・・・・・」
和 「・・・さて、携帯を」(ぴぽぱ)
和 「あ、もしもし。待たせたわね、いま帰るところ。ええ、分かったわ。じゃ、駅前の喫茶店でね」(ぴっ)
和 「あの子にも報告、しておかなきゃね」
唯 「・・・・・・・」
和 「どう、やっていけそうかしら。 ・・・・唯?」
唯 「・・・・・あのカチューシャの人・・・ 怖い・・・」
和 「あー・・・ ちょっと自己主張が強そうな子だったわね。唯の苦手なタイプか」
和 「でも、そんなに悪い人には見えなかったし、もし何かあっても・・・」
和 「・・・・・今度は私が唯を守るから」
唯 「・・・・のどか・・・ちゃん?」
和 「だから。ね、唯」
唯 「うん・・・ありがとう。私、がんばってみるよ」
和 「一緒にね、がんばろう」
和 「それじゃ、また明日ね」
唯 「・・・うん。また明日」
和 「・・・・・・」
和 「・・・さて、携帯を」(ぴぽぱ)
和 「あ、もしもし。待たせたわね、いま帰るところ。ええ、分かったわ。じゃ、駅前の喫茶店でね」(ぴっ)
和 「あの子にも報告、しておかなきゃね」
25: 2011/02/03(木) 22:00:28.83
喫茶店内!!
和 「えっと、窓際の席・・・ あ、いたいた。お待たせ、だいぶ待った?」
憂 「あ、和ちゃん。ううん、さっきついたところ」
和 「そう、良かったわ。あ、コーヒー下さい」
憂 「和ちゃん。お姉ちゃんの部活の件だけど・・・・」
和 「軽音部に決めてきたわ」
憂 「え、もう決まっちゃったの?」
和 「届けを出して、明日から練習に参加するつもりだけど」
憂 「・・・・・・・」
和 「どうしたの?」
和 「えっと、窓際の席・・・ あ、いたいた。お待たせ、だいぶ待った?」
憂 「あ、和ちゃん。ううん、さっきついたところ」
和 「そう、良かったわ。あ、コーヒー下さい」
憂 「和ちゃん。お姉ちゃんの部活の件だけど・・・・」
和 「軽音部に決めてきたわ」
憂 「え、もう決まっちゃったの?」
和 「届けを出して、明日から練習に参加するつもりだけど」
憂 「・・・・・・・」
和 「どうしたの?」
26: 2011/02/03(木) 22:03:06.57
憂 「私、やっぱりお姉ちゃんが部活をするの、反対です」
和 「その話はこの前もしたでしょう? これは前に一歩を踏み出すため、唯自身が望んだことなのよ」
憂 「それでも。お姉ちゃんが自分で決めたからって、その答えが正しいとは限らない」
和 「憂・・・」
憂 「怖いの。もしまた酷い事をされたら、今度こそお姉ちゃん、立ち直れなくなっちゃう。それがとても怖い」
憂 「今は静かにそっとしておいて欲しい。そうすればいつかはお姉ちゃんも」
和 「そのいつかって、いつ?」
憂 「え・・・」
和 「唯が苛めにあったのがもう二年前。この二年で唯が元に戻ることは無かった」
和 「じゃあ、この先の二年も元に戻る保障なんて無いじゃない。二年後って言ったら三年生。進路を決めなきゃならない大事なときに・・・」
和 「その時になって唯が今のままだったら、あの子は本当に終わりよ。そうならないために、させないために・・・・」
和 「多少荒療治でも、今からできることをしておかなきゃ」
和 「その話はこの前もしたでしょう? これは前に一歩を踏み出すため、唯自身が望んだことなのよ」
憂 「それでも。お姉ちゃんが自分で決めたからって、その答えが正しいとは限らない」
和 「憂・・・」
憂 「怖いの。もしまた酷い事をされたら、今度こそお姉ちゃん、立ち直れなくなっちゃう。それがとても怖い」
憂 「今は静かにそっとしておいて欲しい。そうすればいつかはお姉ちゃんも」
和 「そのいつかって、いつ?」
憂 「え・・・」
和 「唯が苛めにあったのがもう二年前。この二年で唯が元に戻ることは無かった」
和 「じゃあ、この先の二年も元に戻る保障なんて無いじゃない。二年後って言ったら三年生。進路を決めなきゃならない大事なときに・・・」
和 「その時になって唯が今のままだったら、あの子は本当に終わりよ。そうならないために、させないために・・・・」
和 「多少荒療治でも、今からできることをしておかなきゃ」
27: 2011/02/03(木) 22:04:40.35
和 「だいじょうぶよ。何かあっても、私が唯を必ず守るから」
憂 「・・・・・あの時も、和ちゃんがそれだけ親身になってくれてたら、お姉ちゃん壊れなかったかもしれないのにね」
和 「憂・・・ そうね。本当にその通りよ。でも、過去にはもう戻れないもの」
和 「だから私は、今できることを全力でやるわ」
憂 「勝手だよ」
和 「そうね、勝手だわ」
憂 「私ね。和ちゃんのこと、まだ許せてないんだ」
和 「・・・・当然よね。でも。許さなくて良いから、少しだけ私を信用して? お願い」
憂 「・・・・・うん」
和 「ありがとう」
和 「ところで、憂の夢。そっちのほうはどうなっているのかしら?」
憂 「うん・・・こつこつやってるよ」
和 「機会があったら、私にも見せてね?」
憂 「そのうちに・・・ね」
和 「楽しみだわ」
憂 「・・・・・」
和 「・・・・空が高いわね。明日も晴れるのかしら」
憂 「うん、晴れたら良いよね」
憂 「・・・・・あの時も、和ちゃんがそれだけ親身になってくれてたら、お姉ちゃん壊れなかったかもしれないのにね」
和 「憂・・・ そうね。本当にその通りよ。でも、過去にはもう戻れないもの」
和 「だから私は、今できることを全力でやるわ」
憂 「勝手だよ」
和 「そうね、勝手だわ」
憂 「私ね。和ちゃんのこと、まだ許せてないんだ」
和 「・・・・当然よね。でも。許さなくて良いから、少しだけ私を信用して? お願い」
憂 「・・・・・うん」
和 「ありがとう」
和 「ところで、憂の夢。そっちのほうはどうなっているのかしら?」
憂 「うん・・・こつこつやってるよ」
和 「機会があったら、私にも見せてね?」
憂 「そのうちに・・・ね」
和 「楽しみだわ」
憂 「・・・・・」
和 「・・・・空が高いわね。明日も晴れるのかしら」
憂 「うん、晴れたら良いよね」
28: 2011/02/03(木) 22:06:04.28
・
・・・
・・・・
・・・・・
男子 「やーい、がり勉!勉強ばっかしてて、そんなに先生に褒められたいのかよー!」
和 「ちが・・・やめて・・・やめてよ・・・」
男子 「がーりがりべん!がりがりべんべーん!」
男子 「あひゃーひゃっひゃっひゃ!」
和 「う・・・ぐす・・・ ふぇ・・・」
唯 「こらーっ!」
男子 「うわ、平沢だ!」
唯 「和ちゃんをいじめるなー!」
男子 「うっせーな、からかってただけだよ。ちぇ。もう行こうぜ」
唯 「まったくもー! だいじょぶ?和ちゃん」
和 「あ、ありがとう、唯ちゃん・・・・」
唯 「えへへ。和ちゃんは唯が守ってあげるからね!」ぎゅっ
和 「きゃっ、唯ちゃん!?」
唯 「へへ。ぎゅってされると落ち着くでしょ?泣き止むまで、ずっとこうしていてあげるね!」
和 「ありがとう・・・///」
・・・・・
・・・・
・・・
・
和 「・・・・・ん」
和 「朝・・・? 夢か・・・昔の・・・・」
和 「・・・・・・・唯」
和 「・・・今日から部活か。がんばろうね、唯」
・・・
・・・・
・・・・・
男子 「やーい、がり勉!勉強ばっかしてて、そんなに先生に褒められたいのかよー!」
和 「ちが・・・やめて・・・やめてよ・・・」
男子 「がーりがりべん!がりがりべんべーん!」
男子 「あひゃーひゃっひゃっひゃ!」
和 「う・・・ぐす・・・ ふぇ・・・」
唯 「こらーっ!」
男子 「うわ、平沢だ!」
唯 「和ちゃんをいじめるなー!」
男子 「うっせーな、からかってただけだよ。ちぇ。もう行こうぜ」
唯 「まったくもー! だいじょぶ?和ちゃん」
和 「あ、ありがとう、唯ちゃん・・・・」
唯 「えへへ。和ちゃんは唯が守ってあげるからね!」ぎゅっ
和 「きゃっ、唯ちゃん!?」
唯 「へへ。ぎゅってされると落ち着くでしょ?泣き止むまで、ずっとこうしていてあげるね!」
和 「ありがとう・・・///」
・・・・・
・・・・
・・・
・
和 「・・・・・ん」
和 「朝・・・? 夢か・・・昔の・・・・」
和 「・・・・・・・唯」
和 「・・・今日から部活か。がんばろうね、唯」
29: 2011/02/03(木) 22:08:02.76
放課後! 音楽室!!
がちゃっ
和 「こんにちわ」
唯 「・・・・こ、こんにちわ」
律 「おー、来たなー、新入り! 改めて今日からよろしくな!」
和 「こちらこそよろしく、田井中さん」
律 「ちっちっ、今日からは同じ軽音部の仲間なんだしさ、堅苦しいのは無しにしようぜ。私のことは律でいいよ」
澪 「私は澪で」
紬 「私はみんなからムギって呼ばれてます。お二人にもそのように呼んでもらえたら嬉しいです」
和 「ありがとう。私のことは和って呼んでね」
律 「平沢さんは、どう呼んでもらいたいー?」
唯 「え・・・あの・・・・ うぅ」
律 「・・・・・はぁ」
がちゃっ
和 「こんにちわ」
唯 「・・・・こ、こんにちわ」
律 「おー、来たなー、新入り! 改めて今日からよろしくな!」
和 「こちらこそよろしく、田井中さん」
律 「ちっちっ、今日からは同じ軽音部の仲間なんだしさ、堅苦しいのは無しにしようぜ。私のことは律でいいよ」
澪 「私は澪で」
紬 「私はみんなからムギって呼ばれてます。お二人にもそのように呼んでもらえたら嬉しいです」
和 「ありがとう。私のことは和って呼んでね」
律 「平沢さんは、どう呼んでもらいたいー?」
唯 「え・・・あの・・・・ うぅ」
律 「・・・・・はぁ」
31: 2011/02/03(木) 22:10:21.91
澪 「ま、まぁまぁ。呼び名なんて馴染んできたら自然に決まるさ。なぁ、ムギ!」
紬 「そうね。その為にもまずは親睦を深めないと。というわけで、お茶にしましょう!」
和 「え、あの・・・練習は?」
澪 「練習といっても、まだ平沢さんと和のパート分けが決まっていないだろ?どっちにしてもすぐに練習と言う訳にはいかないよ」
和 「そうか・・・ 言われてみれば当然よね」
律 「で、いま我々に不足しているのがギターだ。てわけでぇ、二人のどっちかはギターって事でお願いね」
和 「残ったほうは?」
澪 「それなんだけど、ギターが加われば一通りバンドの形は整うんだ。もちろんギターが二本になっても、それは構わないんだけど」
紬 「ただ、楽器は二人とも初心者でしょ? それだったらギターは一人に集中して練習してもらって、もう一人には専属のボーカルを頼もうかと思ってたの」
和 「ぼ、ぼーかる!!?」
唯 「!!!!」
紬 「そうね。その為にもまずは親睦を深めないと。というわけで、お茶にしましょう!」
和 「え、あの・・・練習は?」
澪 「練習といっても、まだ平沢さんと和のパート分けが決まっていないだろ?どっちにしてもすぐに練習と言う訳にはいかないよ」
和 「そうか・・・ 言われてみれば当然よね」
律 「で、いま我々に不足しているのがギターだ。てわけでぇ、二人のどっちかはギターって事でお願いね」
和 「残ったほうは?」
澪 「それなんだけど、ギターが加われば一通りバンドの形は整うんだ。もちろんギターが二本になっても、それは構わないんだけど」
紬 「ただ、楽器は二人とも初心者でしょ? それだったらギターは一人に集中して練習してもらって、もう一人には専属のボーカルを頼もうかと思ってたの」
和 「ぼ、ぼーかる!!?」
唯 「!!!!」
32: 2011/02/03(木) 22:12:26.72
和 (こ、これは予想外の展開だわ。てっきり楽器だけをやればいいものかと思っていたけど・・・・)
和 (でも、そうよね。バンドだもん。歌を唄う人が当然必要になるわよね。だけど、人前で歌を唄うなんて、そんな恥ずかしいこと・・・)
唯 がくがくぶるぶる・・・・
和 (唯・・・・ )
律 「平沢さん、やってみない? ボーカル。いちばん目立つし、かっこいいぜ!それにきっと気持ちいーよ?」
唯 ぶんぶん!!!
律 「そんな豪快に首ふって、それほど嫌かぁ」
唯 こくこく!!!
律 「嫌なら嫌でいいけどさぁ、意思表示は言葉でしようぜ。口、ついてるんだからさ」
唯 「うう・・・・」
和 「はいっ!!」 しゅたっ!
和 「はいっはいっ!!ボーカル、私がやります!」しゅたっしゅたっ!
唯 「・・・・のどかちゃん」
和 「ボーカル、前からやってみたかったの! ああ、超やりたいなー!!」
律 「超って・・・」
澪 「決まりだな! じゃあ、平沢さんがギターね。それで良い?」
唯 こくり・・・
和 (いくらなんでも今の唯にボーカルはやらせられない! くぅ、唯のため。がんばるのよ、私!)
こうして私たちの役割が定まり、いよいよ軽音部員としての新たな日々の幕が切って落とされたのだった。
和 (でも、そうよね。バンドだもん。歌を唄う人が当然必要になるわよね。だけど、人前で歌を唄うなんて、そんな恥ずかしいこと・・・)
唯 がくがくぶるぶる・・・・
和 (唯・・・・ )
律 「平沢さん、やってみない? ボーカル。いちばん目立つし、かっこいいぜ!それにきっと気持ちいーよ?」
唯 ぶんぶん!!!
律 「そんな豪快に首ふって、それほど嫌かぁ」
唯 こくこく!!!
律 「嫌なら嫌でいいけどさぁ、意思表示は言葉でしようぜ。口、ついてるんだからさ」
唯 「うう・・・・」
和 「はいっ!!」 しゅたっ!
和 「はいっはいっ!!ボーカル、私がやります!」しゅたっしゅたっ!
唯 「・・・・のどかちゃん」
和 「ボーカル、前からやってみたかったの! ああ、超やりたいなー!!」
律 「超って・・・」
澪 「決まりだな! じゃあ、平沢さんがギターね。それで良い?」
唯 こくり・・・
和 (いくらなんでも今の唯にボーカルはやらせられない! くぅ、唯のため。がんばるのよ、私!)
こうして私たちの役割が定まり、いよいよ軽音部員としての新たな日々の幕が切って落とされたのだった。
33: 2011/02/03(木) 22:14:28.41
澪 「じゃあ、早いうちにギターを買わないとだね」
和 「ギターってどれ位するのかしら。値段・・」
澪 「うーん・・・ 安いのは一万円台からあるけど、あんまり安すぎるのもよくないからな。5万円くらいが良いかも」
唯 (五万・・・!私のお小遣い10カ月分・・・・・)
澪 「高いのは10万円以上するのもあるよ」
和 「部費で落ちないのかしら」
律 「落ちません♪」
澪 「とにかく、楽器がないとなにも始まらないからな」
律 「よーし!今度の休みにギター見に行こうぜ!ね、平沢さん」
唯 「う・・・・うん」(お金だいじょぶかなぁ・・・)
和 「ギターってどれ位するのかしら。値段・・」
澪 「うーん・・・ 安いのは一万円台からあるけど、あんまり安すぎるのもよくないからな。5万円くらいが良いかも」
唯 (五万・・・!私のお小遣い10カ月分・・・・・)
澪 「高いのは10万円以上するのもあるよ」
和 「部費で落ちないのかしら」
律 「落ちません♪」
澪 「とにかく、楽器がないとなにも始まらないからな」
律 「よーし!今度の休みにギター見に行こうぜ!ね、平沢さん」
唯 「う・・・・うん」(お金だいじょぶかなぁ・・・)
34: 2011/02/03(木) 22:16:13.27
その日の夜。平沢家の唯の部屋!!
憂 「お姉ちゃん、ご飯だよ・・・ あれ、貯金箱なんかひっくり返して何してるの?」
唯 「あ、憂・・・。あの、えっとね」
憂 「なにかお金が必要なの?」
唯 「うん。あのね、私・・・ 軽音部に入ったんだ」
憂 「・・・・そうなんだ」
唯 「うん。でね、ギターをやることになってね。それ、買うお金が必要で・・・・」
憂 「そっか。ねえ、お姉ちゃん」
唯 「なぁに?」
憂 「軽音部の人たちって、どんな人なの?」
唯 「え、どうして・・・?」
憂 「単なる好奇心だよ」
唯 「・・・・みんな良い人だよ。一人ちょっと怖い人もいるけど、悪い人じゃないっていうのはわかるから・・・・」
憂 「やっていけそう?」
唯 「がんばってみるよ」
憂 「うん、がんばって。でも、無理もしないで。辛くなったら逃げ出したって良い」
唯 「・・・憂?」
憂 (逃げないで無理して、それでよけいお姉ちゃんが壊れてしまったら、元も子もないもの)
憂 (もしそうなったら・・・今度こそ和ちゃん。私はあなたを許さない)
憂 「お姉ちゃん、ご飯だよ・・・ あれ、貯金箱なんかひっくり返して何してるの?」
唯 「あ、憂・・・。あの、えっとね」
憂 「なにかお金が必要なの?」
唯 「うん。あのね、私・・・ 軽音部に入ったんだ」
憂 「・・・・そうなんだ」
唯 「うん。でね、ギターをやることになってね。それ、買うお金が必要で・・・・」
憂 「そっか。ねえ、お姉ちゃん」
唯 「なぁに?」
憂 「軽音部の人たちって、どんな人なの?」
唯 「え、どうして・・・?」
憂 「単なる好奇心だよ」
唯 「・・・・みんな良い人だよ。一人ちょっと怖い人もいるけど、悪い人じゃないっていうのはわかるから・・・・」
憂 「やっていけそう?」
唯 「がんばってみるよ」
憂 「うん、がんばって。でも、無理もしないで。辛くなったら逃げ出したって良い」
唯 「・・・憂?」
憂 (逃げないで無理して、それでよけいお姉ちゃんが壊れてしまったら、元も子もないもの)
憂 (もしそうなったら・・・今度こそ和ちゃん。私はあなたを許さない)
35: 2011/02/03(木) 22:27:58.72
(回想)
憂 (あなた方ですか?姉を苛めているというのは・・・・)
憂 (え?私?顔見て分からない?あなた方が苛めに苛め抜いた平沢唯の妹ですよ)
憂 (何しに来たって・・・ バカですか?これ、私の手にあるもの。見て分かりません?)
憂 (あはは。冗談って・・・ この期におよん・・・でっ!!!!)がごっ!!!
憂 (きゃははは!痛い?ねぇ、痛い??痛いよねぇ。痛くしてるんだもん。あなた方と一緒)
憂 (人が嫌がるの、痛がるのを分かっていて、私のお姉ちゃんを滅茶苦茶にしてくれたお前らと一緒だぁ!)どごっ!!
憂 (こんな事してただで済むと思ってるかって?思ってないよ。だってこれは私への罰でもあるんだも・・・んっ!!!)ごきゃっ!!
憂 (私に心配させないように、いつも通りに振舞ってくれてたお姉ちゃん。私・・・気付けなかった)
憂 (お姉ちゃんが壊れちゃうまで気付けなかった!私!私がああああああ!)ばきょむっ!!
憂 (はぁはぁ・・・・ 仕返ししたくなったら、いつでも来てください。でも・・・・)
憂 (私はお姉ちゃんのためなら何でもやれる女だって。分かってもらえましたよね?それが分かった上でくるのなら・・・)
憂 (それ相応の覚悟を持ってどうぞ)
憂 (あなた方ですか?姉を苛めているというのは・・・・)
憂 (え?私?顔見て分からない?あなた方が苛めに苛め抜いた平沢唯の妹ですよ)
憂 (何しに来たって・・・ バカですか?これ、私の手にあるもの。見て分かりません?)
憂 (あはは。冗談って・・・ この期におよん・・・でっ!!!!)がごっ!!!
憂 (きゃははは!痛い?ねぇ、痛い??痛いよねぇ。痛くしてるんだもん。あなた方と一緒)
憂 (人が嫌がるの、痛がるのを分かっていて、私のお姉ちゃんを滅茶苦茶にしてくれたお前らと一緒だぁ!)どごっ!!
憂 (こんな事してただで済むと思ってるかって?思ってないよ。だってこれは私への罰でもあるんだも・・・んっ!!!)ごきゃっ!!
憂 (私に心配させないように、いつも通りに振舞ってくれてたお姉ちゃん。私・・・気付けなかった)
憂 (お姉ちゃんが壊れちゃうまで気付けなかった!私!私がああああああ!)ばきょむっ!!
憂 (はぁはぁ・・・・ 仕返ししたくなったら、いつでも来てください。でも・・・・)
憂 (私はお姉ちゃんのためなら何でもやれる女だって。分かってもらえましたよね?それが分かった上でくるのなら・・・)
憂 (それ相応の覚悟を持ってどうぞ)
37: 2011/02/03(木) 22:31:59.69
憂 「・・・・・・・・」
憂 (分かってる。本当は私に和ちゃんを責める資格なんてないんだって・・・)
憂 (私も一緒。和ちゃんとおなんなじ、お姉ちゃんがこうなる前に何もしてあげられなかった・・・・)
憂 (でも、勝手だけど和ちゃん。今回のこと・・・不安だけど、期待しちゃっていいのかな?)
憂 「・・・・お金、お小遣いの前借り、お母さんにお願いしてみたら?」
唯 「え、でも・・・」
憂 「だいじょうぶだよ。私も一緒にお願いしてあげるから」
唯 「うん、ありがとうね。憂・・・・」
唯 「いつも本当にありがとう。ごめんね、迷惑ばっかりかけて・・・・」
憂 「・・・・そんなことないよ。なに言ってるの、やだなお姉ちゃん。さ、行こう?」
憂 (分かってる。本当は私に和ちゃんを責める資格なんてないんだって・・・)
憂 (私も一緒。和ちゃんとおなんなじ、お姉ちゃんがこうなる前に何もしてあげられなかった・・・・)
憂 (でも、勝手だけど和ちゃん。今回のこと・・・不安だけど、期待しちゃっていいのかな?)
憂 「・・・・お金、お小遣いの前借り、お母さんにお願いしてみたら?」
唯 「え、でも・・・」
憂 「だいじょうぶだよ。私も一緒にお願いしてあげるから」
唯 「うん、ありがとうね。憂・・・・」
唯 「いつも本当にありがとう。ごめんね、迷惑ばっかりかけて・・・・」
憂 「・・・・そんなことないよ。なに言ってるの、やだなお姉ちゃん。さ、行こう?」
38: 2011/02/03(木) 22:33:57.75
・
・・・
・・・・
・・・・・
唯 「和ちゃん。私、少し学校を休もうかなーって思うんだ」
和 「え、どうしたのよ急に」
唯 「あの人たち、私を眼の敵にして、それがここのところ特に酷くてさー」
唯 「いじめ・・・られてるみたいなんだ。・・・へへ」
唯 「少し休んで冷却期間をおいたら、あの人たちも飽きて嫌なこともされなくなるんじゃないかなぁって」
和 「・・・唯、だったらなおのこと休んじゃダメよ。ああいう卑劣なやつ等に弱みを見せたら、事態は更に悪化しかねないわよ」
唯 「そうなの?でも、正直もう辛いんだよ・・・」
和 「平気よ。なにかあっても私がいるじゃない。クラスの他のみんなも。唯は一人じゃないんだから、ね?」
唯 「う・・・うん。和ちゃんがそう言うなら、もうちょっとがんばってみようかな」
和 「偉いわ、唯。その意気よ!」
・・・・・
・・・・
・・・
・
がばっ
和 「・・・・・・・・」
和 「はぁ、何だってのよ。もう・・・・」
和 「と、もうこんな時間。早く支度して出かけないと。今日はギターを見に行くんだから・・・」
和 「・・・・・・・唯」
・・・
・・・・
・・・・・
唯 「和ちゃん。私、少し学校を休もうかなーって思うんだ」
和 「え、どうしたのよ急に」
唯 「あの人たち、私を眼の敵にして、それがここのところ特に酷くてさー」
唯 「いじめ・・・られてるみたいなんだ。・・・へへ」
唯 「少し休んで冷却期間をおいたら、あの人たちも飽きて嫌なこともされなくなるんじゃないかなぁって」
和 「・・・唯、だったらなおのこと休んじゃダメよ。ああいう卑劣なやつ等に弱みを見せたら、事態は更に悪化しかねないわよ」
唯 「そうなの?でも、正直もう辛いんだよ・・・」
和 「平気よ。なにかあっても私がいるじゃない。クラスの他のみんなも。唯は一人じゃないんだから、ね?」
唯 「う・・・うん。和ちゃんがそう言うなら、もうちょっとがんばってみようかな」
和 「偉いわ、唯。その意気よ!」
・・・・・
・・・・
・・・
・
がばっ
和 「・・・・・・・・」
和 「はぁ、何だってのよ。もう・・・・」
和 「と、もうこんな時間。早く支度して出かけないと。今日はギターを見に行くんだから・・・」
和 「・・・・・・・唯」
39: 2011/02/03(木) 22:36:33.55
楽器店
和 「すごい・・・ギターがこんなにたくさん」
唯 「はぁ~~~~・・・」
律 「平沢さん、どれがいいか決めた?」
唯 「あ、えと・・・ その、選ぶ基準とか・・・どうすればいいのかなって・・・」
澪 「ギターって音色はもちろん、重さやネックの形や太さも色々あるんだ」
唯 「・・・・・・あ」
澪 「だから女の子はネックが細いほうが・・・て、あれ、平沢さん?」
唯 「このギター・・・ 可愛い・・・」
紬 「平沢さん、そのギターが気に入ったの?」
唯 「・・・よく分からない。けど、なんか気になるの」
律 「でも、そのギター25万円もするぞ」
和 「すごい・・・ギターがこんなにたくさん」
唯 「はぁ~~~~・・・」
律 「平沢さん、どれがいいか決めた?」
唯 「あ、えと・・・ その、選ぶ基準とか・・・どうすればいいのかなって・・・」
澪 「ギターって音色はもちろん、重さやネックの形や太さも色々あるんだ」
唯 「・・・・・・あ」
澪 「だから女の子はネックが細いほうが・・・て、あれ、平沢さん?」
唯 「このギター・・・ 可愛い・・・」
紬 「平沢さん、そのギターが気に入ったの?」
唯 「・・・よく分からない。けど、なんか気になるの」
律 「でも、そのギター25万円もするぞ」
40: 2011/02/03(木) 22:37:05.37
唯 「本当だ・・・ これはさすがに手が出ないよ・・・」
律 「・・・・・」
唯 がっくり・・・
律 「平沢さんさ。これ、そんなに気に入ったの?」
唯 「え・・・・ でも、高すぎt
律 「はっきり言えって! 欲しいの欲しくないの?」
唯 「え、う・・・ほ、欲しいです・・・!」
律 「よしよし、やっと自分の気持ち、言ってくれたな」
澪 「律?」
律 「言いたいことはさ、考えるより先に口に出しておいたほうが気持ちいいぜ。そうすることによって開ける道もある」
唯 「え、どういうこと・・・・?」
律 「私に考えがあるっ!!」
律 「・・・・・」
唯 がっくり・・・
律 「平沢さんさ。これ、そんなに気に入ったの?」
唯 「え・・・・ でも、高すぎt
律 「はっきり言えって! 欲しいの欲しくないの?」
唯 「え、う・・・ほ、欲しいです・・・!」
律 「よしよし、やっと自分の気持ち、言ってくれたな」
澪 「律?」
律 「言いたいことはさ、考えるより先に口に出しておいたほうが気持ちいいぜ。そうすることによって開ける道もある」
唯 「え、どういうこと・・・・?」
律 「私に考えがあるっ!!」
41: 2011/02/03(木) 22:38:01.11
律 「たしか予算で5万円持ってきてるんだったよな?」
唯 「うん、お小遣い前借りして・・・」
律 「だったら不足分はあと20万。うーん、楽勝じゃね?」
紬 「あの、言っている意味がいまいち分からないんですが・・・」
律 「だからさ。5万円手付けで払って分割にしてもらってさ。残り20万はみんなでバイトしてチャチャッと稼いじまおうぜ!」
唯 「・・・・え」
律 「ここに5人もいるんだ。一人頭4万円。けっこう現実的な額じゃねーの?」
澪 「なるほどな。律、お前にしては良い事を言うじゃないか。良いアイデアだ、見直した!」
律 「だってだって部長だもん♪」
和 「簡単に言うけど、4万といったら大金よ。口で言うほど楽には稼げないと思うけど、それでも協力してくれるの?」
律 「協力って・・・ お堅い人ですなぁ和ちゃんは」
唯 「うん、お小遣い前借りして・・・」
律 「だったら不足分はあと20万。うーん、楽勝じゃね?」
紬 「あの、言っている意味がいまいち分からないんですが・・・」
律 「だからさ。5万円手付けで払って分割にしてもらってさ。残り20万はみんなでバイトしてチャチャッと稼いじまおうぜ!」
唯 「・・・・え」
律 「ここに5人もいるんだ。一人頭4万円。けっこう現実的な額じゃねーの?」
澪 「なるほどな。律、お前にしては良い事を言うじゃないか。良いアイデアだ、見直した!」
律 「だってだって部長だもん♪」
和 「簡単に言うけど、4万といったら大金よ。口で言うほど楽には稼げないと思うけど、それでも協力してくれるの?」
律 「協力って・・・ お堅い人ですなぁ和ちゃんは」
42: 2011/02/03(木) 22:40:40.68
律 「私たちはバンドをやるんだぜ。だったら、バンドで使うギターをみんなで買ったって、別に不自然じゃないだろ」
和 「律・・・・」
律 「それにさ、私もいま使ってるドラムがどうしても欲しくってさ。値切りに値切って、がんばって買ったんだよ」
澪 「あの時は店員さん、泣いてたぞ・・・・」
律 「だから、それくらい欲しかったんだって。やっぱりさ、自分が気に入った楽器で演奏したいじゃん。なぁ、唯?」
唯 「・・・・・!」
律 「ん、どしたー?」
唯 「う、ううん。あ、あの・・・・ あ、ありがとう・・・・」
律 「おう♪」
紬 「あの~、りっちゃん。値切るって、なんですか?」
律 「欲しいものを手に入れるために、努力と根性で負けさせることだよ!」
紬 「すごいですね!なんか憧れます!!」
澪 (憧れる要素がどこに!?)
和 「律・・・・」
律 「それにさ、私もいま使ってるドラムがどうしても欲しくってさ。値切りに値切って、がんばって買ったんだよ」
澪 「あの時は店員さん、泣いてたぞ・・・・」
律 「だから、それくらい欲しかったんだって。やっぱりさ、自分が気に入った楽器で演奏したいじゃん。なぁ、唯?」
唯 「・・・・・!」
律 「ん、どしたー?」
唯 「う、ううん。あ、あの・・・・ あ、ありがとう・・・・」
律 「おう♪」
紬 「あの~、りっちゃん。値切るって、なんですか?」
律 「欲しいものを手に入れるために、努力と根性で負けさせることだよ!」
紬 「すごいですね!なんか憧れます!!」
澪 (憧れる要素がどこに!?)
43: 2011/02/03(木) 22:41:55.67
紬 「よぉし!」
ずんずんずん!
和 「え、ムギ・・・どこに?」
紬 「ちょっと待っていてね(ふんす)!」
和 「ムギ、どうしたのかしら・・・」
律 「さぁ・・・ なんか店員さんと話してるみたいだけど」
澪 「お、なんだ?店員さんが電卓をたたいて・・・ あ、ムギが戻ってきたぞ」
紬 「このギター、5万円で売ってくれるって」
唯 「ひっ!?」
唯 「・・・・ひゅー・・・ひゅー・・・へぐっ」
律 「お・・・おお・・・ 唯が驚きのあまり、呼吸困難を起こしてるぞ・・・」
和 「しっかり、唯! ゆっくり息を吸うのよ!」
唯 「ああ・・んぐぅ・・・ ぜはぜは・・・」
澪 「い、いったいなにをやったんだ!?」
紬 「このお店、実はうちの系列のお店で」
和 「そ、そうなんだ・・・・」
唯 「ぜぇぜぇ・・・ も、もうだいじょぶ・・・」
ずんずんずん!
和 「え、ムギ・・・どこに?」
紬 「ちょっと待っていてね(ふんす)!」
和 「ムギ、どうしたのかしら・・・」
律 「さぁ・・・ なんか店員さんと話してるみたいだけど」
澪 「お、なんだ?店員さんが電卓をたたいて・・・ あ、ムギが戻ってきたぞ」
紬 「このギター、5万円で売ってくれるって」
唯 「ひっ!?」
唯 「・・・・ひゅー・・・ひゅー・・・へぐっ」
律 「お・・・おお・・・ 唯が驚きのあまり、呼吸困難を起こしてるぞ・・・」
和 「しっかり、唯! ゆっくり息を吸うのよ!」
唯 「ああ・・んぐぅ・・・ ぜはぜは・・・」
澪 「い、いったいなにをやったんだ!?」
紬 「このお店、実はうちの系列のお店で」
和 「そ、そうなんだ・・・・」
唯 「ぜぇぜぇ・・・ も、もうだいじょぶ・・・」
44: 2011/02/03(木) 22:44:29.61
律 「驚いたが・・・何はともあれ、良かったな唯!」
唯 「はぁはぁ・・・ う、うん。ありがとう・・・・琴吹さん」
唯 「足りなかった分は、きちんと返すから・・・」
紬 「どういたしましてー。気にしないでね?」
和 「ムギって、実はすごいお嬢様だったのね・・・・」
澪 「のようだな。どうりでどこか、浮世離れしてる雰囲気があるわけだよ・・・」
紬 「しゃらんらしゃらんら♪」
律 「しっかし、これでバイトは必要なくなっちゃったな。せっかくの私の大演説、無駄になった今となっちゃ恥ずかしいぜ・・・」
(くいくいっ)
律 「・・・ん、なんだ、唯」
唯 「そ、そんなこと・・・・ないよ。あの・・・ りっ・・・・」
律 「・・・・・・」
唯 「あぐ・・・・」
律 「なんだよ?」
唯 「・・・田井中さん・・・ あ、ありがとう・・・・」
律 「ああ、友達だろ。気にすんな」
唯 「ともだ・・・ち・・・」(かぁーー・・・)
和 「・・・・唯」
唯 「はぁはぁ・・・ う、うん。ありがとう・・・・琴吹さん」
唯 「足りなかった分は、きちんと返すから・・・」
紬 「どういたしましてー。気にしないでね?」
和 「ムギって、実はすごいお嬢様だったのね・・・・」
澪 「のようだな。どうりでどこか、浮世離れしてる雰囲気があるわけだよ・・・」
紬 「しゃらんらしゃらんら♪」
律 「しっかし、これでバイトは必要なくなっちゃったな。せっかくの私の大演説、無駄になった今となっちゃ恥ずかしいぜ・・・」
(くいくいっ)
律 「・・・ん、なんだ、唯」
唯 「そ、そんなこと・・・・ないよ。あの・・・ りっ・・・・」
律 「・・・・・・」
唯 「あぐ・・・・」
律 「なんだよ?」
唯 「・・・田井中さん・・・ あ、ありがとう・・・・」
律 「ああ、友達だろ。気にすんな」
唯 「ともだ・・・ち・・・」(かぁーー・・・)
和 「・・・・唯」
45: 2011/02/03(木) 22:45:29.01
数日後。駅前の喫茶店!!
憂 「お姉ちゃんがね。笑ってたの」
和 「へぇ」
憂 「嬉しそうにギターを抱えて帰ってきて。夜にお風呂空いたよって部屋に呼びに行ったら、鏡の前でギターを構えてポーズをとってた」
和 「唯らしい。・・・昔の、だけど」
憂 「でね、私が見てるのに気がついたら、照れてはにかんで・・・ ミュージシャンっぽい?って」
和 「可愛いわね」
憂 「うん、可愛いひと。お姉ちゃんはもともと、こういう人だったんだなって」
和 「・・・・そうね」
憂 「あれから・・・ ギターを買ったあの日からお姉ちゃん、少しずつ笑顔を見せてくれるようになったよ。だからね、和ちゃん」
憂 「今回は、和ちゃんが正しかったのかも知れないね」
和 「憂・・・・」
憂 「お姉ちゃんがね。笑ってたの」
和 「へぇ」
憂 「嬉しそうにギターを抱えて帰ってきて。夜にお風呂空いたよって部屋に呼びに行ったら、鏡の前でギターを構えてポーズをとってた」
和 「唯らしい。・・・昔の、だけど」
憂 「でね、私が見てるのに気がついたら、照れてはにかんで・・・ ミュージシャンっぽい?って」
和 「可愛いわね」
憂 「うん、可愛いひと。お姉ちゃんはもともと、こういう人だったんだなって」
和 「・・・・そうね」
憂 「あれから・・・ ギターを買ったあの日からお姉ちゃん、少しずつ笑顔を見せてくれるようになったよ。だからね、和ちゃん」
憂 「今回は、和ちゃんが正しかったのかも知れないね」
和 「憂・・・・」
46: 2011/02/03(木) 22:47:03.79
憂 「軽音部の皆さんの事も少し話してくれたよ。学校の出来事を話すなんて、お姉ちゃんが壊れちゃって以来のことだもん」
憂 「嬉しかった・・・・」
和 「みんなのこと、唯はなんて?」
憂 「うん。ベースの秋山澪さんは背が高くて、格好良い大人の女性って感じの人。でも少し繊細だって」
和 「ふふ、そうね。サバサバしてるのに、本当は極度の恥ずかしがりやさんなのよね」
憂 「キーボードの琴吹紬さん、通称ムギちゃん。おっとりぽわぽわしていて可愛い人。そんで、かなりお嬢様っぽいって」
和 「そうなのよ。どうやらお金持ちの家の子らしいんだけど、いろいろ謎も多いのよね・・・ いつかお家にお邪魔してみたいものだわ」
憂 「それとドラムの田井中律さん・・・・」
和 「律のことはなんて?」
憂 「嬉しかった・・・・」
和 「みんなのこと、唯はなんて?」
憂 「うん。ベースの秋山澪さんは背が高くて、格好良い大人の女性って感じの人。でも少し繊細だって」
和 「ふふ、そうね。サバサバしてるのに、本当は極度の恥ずかしがりやさんなのよね」
憂 「キーボードの琴吹紬さん、通称ムギちゃん。おっとりぽわぽわしていて可愛い人。そんで、かなりお嬢様っぽいって」
和 「そうなのよ。どうやらお金持ちの家の子らしいんだけど、いろいろ謎も多いのよね・・・ いつかお家にお邪魔してみたいものだわ」
憂 「それとドラムの田井中律さん・・・・」
和 「律のことはなんて?」
47: 2011/02/03(木) 22:47:43.27
憂 「最初は怖かったって。ううん、今でも少し怖いって言ってた。元気いっぱいの姿が、いまの自分には眩しすぎるからって」
和 「そう・・・」
憂 「でも、本当はすごく優しい人だとも言ってたよ。人のために一生懸命になれる、とても優しい人・・・・」
和 「・・・・・」
憂 「軽音部が良い人ばかりみたいで良かった。あそこでならお姉ちゃん・・・・」
憂 「自分を取り戻していけるかもね。ちょっとずつ・・・・着実に・・・・ね、和ちゃん」
和 「ええ、きっとそうなるわ。だから憂も心配しないで。あなたにはあなたの夢もあるんだから。そっちにも専念しないとね?」
憂 「うん。それで今、ちょっと考えてる事があるんだ」
和 「なになに?」
憂 「えへへ、まだ秘密。でも、形になったら和ちゃんには真っ先に見せるからね」
和 「憂・・・ ええ、楽しみにしているわね」
和 「そう・・・」
憂 「でも、本当はすごく優しい人だとも言ってたよ。人のために一生懸命になれる、とても優しい人・・・・」
和 「・・・・・」
憂 「軽音部が良い人ばかりみたいで良かった。あそこでならお姉ちゃん・・・・」
憂 「自分を取り戻していけるかもね。ちょっとずつ・・・・着実に・・・・ね、和ちゃん」
和 「ええ、きっとそうなるわ。だから憂も心配しないで。あなたにはあなたの夢もあるんだから。そっちにも専念しないとね?」
憂 「うん。それで今、ちょっと考えてる事があるんだ」
和 「なになに?」
憂 「えへへ、まだ秘密。でも、形になったら和ちゃんには真っ先に見せるからね」
和 「憂・・・ ええ、楽しみにしているわね」
48: 2011/02/03(木) 22:48:55.44
憂の言ったとおり、それからの唯は時おり皆の前で笑顔を見せてくれるようになった。
昔の彼女からは程遠い、それはとても控えめな笑顔ではあったけれど。
また、笑顔と同じく控えめな態度と声で、皆の話の輪にも加われるようになってきていた。
軽音部でのふれあいの中で唯は少しずつ、亀の歩みのようにノロノロと。でも、着実に。
かつての自分を取り戻していっているようだった。
そして平穏な日々がゆったりと私たちの横をすり抜けて行き、気がつけばもう季節は夏。
私と唯が軽音部の仲間に加わって、はや三ヶ月が経とうとしていた。
昔の彼女からは程遠い、それはとても控えめな笑顔ではあったけれど。
また、笑顔と同じく控えめな態度と声で、皆の話の輪にも加われるようになってきていた。
軽音部でのふれあいの中で唯は少しずつ、亀の歩みのようにノロノロと。でも、着実に。
かつての自分を取り戻していっているようだった。
そして平穏な日々がゆったりと私たちの横をすり抜けて行き、気がつけばもう季節は夏。
私と唯が軽音部の仲間に加わって、はや三ヶ月が経とうとしていた。
49: 2011/02/03(木) 22:50:07.06
ある日の軽音部!!
がらっ
和 「こんにちわ。あれ、澪ひとり?」
澪 「やぁ和。うん、まだ誰も来ていないよ。平沢さんは?」
和 「日直なの。日誌かいて来るから、少し遅れるわ」
澪 「そっか」
和 「・・・・・・あの、澪」
澪 「なに?」
和 「練習、しないの? 私よく分からないんだけど、あの・・・セッションとかいうの?合わせて演奏するやつ」
澪 「そうだよね。いつもお茶を飲んで時間過ぎちゃって、気がついたら下校時間になってるんだよな。
澪 「・・・私もこのままではまずいと思ってるんだけど」
がらっ
和 「こんにちわ。あれ、澪ひとり?」
澪 「やぁ和。うん、まだ誰も来ていないよ。平沢さんは?」
和 「日直なの。日誌かいて来るから、少し遅れるわ」
澪 「そっか」
和 「・・・・・・あの、澪」
澪 「なに?」
和 「練習、しないの? 私よく分からないんだけど、あの・・・セッションとかいうの?合わせて演奏するやつ」
澪 「そうだよね。いつもお茶を飲んで時間過ぎちゃって、気がついたら下校時間になってるんだよな。
澪 「・・・私もこのままではまずいと思ってるんだけど」
50: 2011/02/03(木) 22:51:11.58
澪 「和は家で自主練とかしてる?」
和 「一応。ボイストレーニングの本を買って声出しをしているわ」
澪 「そうか・・・ 初心者の和もがんばってるってのに。軽音部のこの体たらく。このままじゃ部全体がダメになる」
和 「澪?」
澪 「なぁ和。ちょっと相談があるんだけど」
和 「??」
そして30分後!
律 「よーし!全員そろったな!それじゃ~~、ムギ!!」
紬 「はーい、今日のおやつはモンブランよー♪」
律 「やったー!でっかい栗!でっかい栗!あ、これ私のー♪じゃあ、さっそくいただきm
澪 「ちょっと待ったー!!」
律 「な、なんだよ。嬉しいおやつ時に水をさすように大声で」
澪 「お茶の前に、みんなに言っておくことがあります!」
唯 「???」
澪 「和」
和 「うん。せーの・・・」
澪・和 「合宿をします!!!」
和 「一応。ボイストレーニングの本を買って声出しをしているわ」
澪 「そうか・・・ 初心者の和もがんばってるってのに。軽音部のこの体たらく。このままじゃ部全体がダメになる」
和 「澪?」
澪 「なぁ和。ちょっと相談があるんだけど」
和 「??」
そして30分後!
律 「よーし!全員そろったな!それじゃ~~、ムギ!!」
紬 「はーい、今日のおやつはモンブランよー♪」
律 「やったー!でっかい栗!でっかい栗!あ、これ私のー♪じゃあ、さっそくいただきm
澪 「ちょっと待ったー!!」
律 「な、なんだよ。嬉しいおやつ時に水をさすように大声で」
澪 「お茶の前に、みんなに言っておくことがあります!」
唯 「???」
澪 「和」
和 「うん。せーの・・・」
澪・和 「合宿をします!!!」
51: 2011/02/03(木) 22:53:29.32
紬 「合宿?」
和 「そう、もうすぐ夏休みだし」
律 「もしかして海? それとも山とか!?」
澪 「遊びに行くんじゃありません!!バンドの強化合宿。朝から晩までみっちり練習するの!!」
律 「着ていく服や水着、買いに行かなきゃ!」
澪 「聞けーーーーっ!」
唯 「がっしゅく・・・・」(わくっ)
和 「夏休みが終わったら、すぐに学祭があるでしょ」
律 「学園祭・・・・?」
和 「そう、もうすぐ夏休みだし」
律 「もしかして海? それとも山とか!?」
澪 「遊びに行くんじゃありません!!バンドの強化合宿。朝から晩までみっちり練習するの!!」
律 「着ていく服や水着、買いに行かなきゃ!」
澪 「聞けーーーーっ!」
唯 「がっしゅく・・・・」(わくっ)
和 「夏休みが終わったら、すぐに学祭があるでしょ」
律 「学園祭・・・・?」
52: 2011/02/03(木) 22:55:16.21
澪 「そう。桜高祭での軽音部のライブといえば、昔はけっこう有名だったんだぞ!」
澪 「それなのに。いくら慌てずやっていこうっていったって、もう三ヶ月にもなるのに一度も合わせたことが無いなんて」
和 「そろそろ本格的に練習を開始しないといけない時期だと思うわ。このままライブをやっても大恥をかくのがオチよ」
紬 「そうね。行きましょう!私、みんなでお泊りするの夢だったの!」
律 「おーし!決まりだな!唯も行けるだろー、合宿!」
唯 「・・・う、うん」
律 「よーし、よしよし!楽しみだな、唯!」
唯 「うん・・・///」
和 「・・・・・」
律 「あ、でも待てよ・・・ なぁ、澪」
澪 「なんだ?」
律 「かかる費用とかどう捻出するんだ?部費だけじゃ結構きつくね?」
澪 「あ・・・それは・・・ あ、あのムギ?」
紬 「はい?」
澪 「別荘とか・・・」
紬 「ありますよ♪」
律・澪・和 「あるんかい!!」
澪 「それなのに。いくら慌てずやっていこうっていったって、もう三ヶ月にもなるのに一度も合わせたことが無いなんて」
和 「そろそろ本格的に練習を開始しないといけない時期だと思うわ。このままライブをやっても大恥をかくのがオチよ」
紬 「そうね。行きましょう!私、みんなでお泊りするの夢だったの!」
律 「おーし!決まりだな!唯も行けるだろー、合宿!」
唯 「・・・う、うん」
律 「よーし、よしよし!楽しみだな、唯!」
唯 「うん・・・///」
和 「・・・・・」
律 「あ、でも待てよ・・・ なぁ、澪」
澪 「なんだ?」
律 「かかる費用とかどう捻出するんだ?部費だけじゃ結構きつくね?」
澪 「あ・・・それは・・・ あ、あのムギ?」
紬 「はい?」
澪 「別荘とか・・・」
紬 「ありますよ♪」
律・澪・和 「あるんかい!!」
53: 2011/02/03(木) 22:58:01.60
和 「唯、帰ろう?帰りに合宿に持っていくいろいろな物、買って行きましょ」
唯 「・・・あ、うん」
和 「楽しみね、合宿」
唯 「・・・・・うんっ」
和 「澪はみっちり練習って言ってたけど、練習は練習でがんばって、遊びも目いっぱい楽しみましょうね」
和 「ムギの別荘は海だっていうし、夏にしかできない事をたくさんするの。きっと良い想い出になるわ」
唯の心の中に汚泥のように凝り固まり蓄積されている、忌まわしい悪しき想い出。
それを楽しい、すばらしい想い出で上書きしてやるんだ。
澪は純粋に練習目的で合宿を持ち出したんだろうけれど、私がその提案に乗った理由は別にある。
それは未だ学校との往復以外は家に篭りがちな唯を、夏の太陽の下に引っ張り出すため。
やはり人間、内に篭りっぱなしでは心の中も内に内にと萎縮してしまう。
唯は軽音部の皆とのふれあいで笑顔を取り戻しつつある。そんな皆と家や学校を離れ、外への一歩を踏み出すのだ。
きっと唯は、もっともっと笑顔を見せてくれるようになるだろう。
夏の太陽にも負けない、あのまぶしいくらいの無垢な笑顔を・・・・
和 「澪のことを利用したようでちょっと気がひけるけど・・・ 許してくれるわよね・・・」
唯 「和ちゃん、何か言った?」
和 「あ、ううん。さ、まずは何から買いに行こうか。水着?おやつ?どれからでもバッチコイよ!」
唯 「くすっ。変な和ちゃん・・・」
唯 「・・・あ、うん」
和 「楽しみね、合宿」
唯 「・・・・・うんっ」
和 「澪はみっちり練習って言ってたけど、練習は練習でがんばって、遊びも目いっぱい楽しみましょうね」
和 「ムギの別荘は海だっていうし、夏にしかできない事をたくさんするの。きっと良い想い出になるわ」
唯の心の中に汚泥のように凝り固まり蓄積されている、忌まわしい悪しき想い出。
それを楽しい、すばらしい想い出で上書きしてやるんだ。
澪は純粋に練習目的で合宿を持ち出したんだろうけれど、私がその提案に乗った理由は別にある。
それは未だ学校との往復以外は家に篭りがちな唯を、夏の太陽の下に引っ張り出すため。
やはり人間、内に篭りっぱなしでは心の中も内に内にと萎縮してしまう。
唯は軽音部の皆とのふれあいで笑顔を取り戻しつつある。そんな皆と家や学校を離れ、外への一歩を踏み出すのだ。
きっと唯は、もっともっと笑顔を見せてくれるようになるだろう。
夏の太陽にも負けない、あのまぶしいくらいの無垢な笑顔を・・・・
和 「澪のことを利用したようでちょっと気がひけるけど・・・ 許してくれるわよね・・・」
唯 「和ちゃん、何か言った?」
和 「あ、ううん。さ、まずは何から買いに行こうか。水着?おやつ?どれからでもバッチコイよ!」
唯 「くすっ。変な和ちゃん・・・」
54: 2011/02/03(木) 23:00:41.31
・
・・・
・・・・
・・・・・
唯 「和ちゃん!和ちゃん助けて・・・・っ!」
和 「・・・・唯!」
唯 「っ! やだ、服引っ張らないで!助けてよ、和ちゃん!和ちゃん!!」
和 「ああ、わ、私・・・・ ゆ、唯・・・!」
唯 「きゃあ!やあ!やだ!和ちゃん!和ちゃん!」
和 「・・・・っ」
唯 「の ど か ちゃ - ん !!!!」
・・・・・
・・・・
・・・
・
和 「唯!!!!」がばっ
和 「はぁはぁ・・・・」
和 「また、あの頃の夢・・・ もうヤダ。もうヤダよ・・・・」
和 「唯・・・ なぜ私を責めないの・・・」
・・・
・・・・
・・・・・
唯 「和ちゃん!和ちゃん助けて・・・・っ!」
和 「・・・・唯!」
唯 「っ! やだ、服引っ張らないで!助けてよ、和ちゃん!和ちゃん!!」
和 「ああ、わ、私・・・・ ゆ、唯・・・!」
唯 「きゃあ!やあ!やだ!和ちゃん!和ちゃん!」
和 「・・・・っ」
唯 「の ど か ちゃ - ん !!!!」
・・・・・
・・・・
・・・
・
和 「唯!!!!」がばっ
和 「はぁはぁ・・・・」
和 「また、あの頃の夢・・・ もうヤダ。もうヤダよ・・・・」
和 「唯・・・ なぜ私を責めないの・・・」
55: 2011/02/03(木) 23:01:22.70
最悪の寝覚めで重い体を鞭打ち、私は強引にベッドから跳ね起きた。
いつまでもこうしていられない。手早くパジャマを脱ぎ、ベッド脇に用意しておいた服に着替える。
顔を洗って髪を整えたら、きっと気分も切り替わるだろう。
今日は合宿の第一日目。言いだしっぺの一人である私が、待ち合わせに遅れるわけにはいかない。
行こう、唯が待ってる。
いつまでもこうしていられない。手早くパジャマを脱ぎ、ベッド脇に用意しておいた服に着替える。
顔を洗って髪を整えたら、きっと気分も切り替わるだろう。
今日は合宿の第一日目。言いだしっぺの一人である私が、待ち合わせに遅れるわけにはいかない。
行こう、唯が待ってる。
56: 2011/02/03(木) 23:02:15.50
平沢家!唯の部屋!!
ちゅんちゅん・・・
唯 「・・・・・」(むくっ)
憂 「お姉ちゃん、朝だよ。そろそろ起き・・・ あ、もう起きてたんだ」
唯 「うん。おはよ、憂」
憂 「おはよう、お姉ちゃん。いよいよ今日から合宿だね」
唯 「うん。 ・・・・楽しみで早く目が覚めちゃった」
憂 (お姉ちゃんがこんなに外のことに心を開くなんて。もしかしてお姉ちゃん、もう元に戻りかけて・・・?)
憂 「ね、なんでそんなに楽しみなの?」
唯 「え・・・?だって、別荘に泊まるの初めてなんだよ。海に泊りがけで行くのも初めてだし」
唯 「それに和ちゃんも皆も一緒だし、あと、りっ・・・・」
憂 「りっ?」
ちゅんちゅん・・・
唯 「・・・・・」(むくっ)
憂 「お姉ちゃん、朝だよ。そろそろ起き・・・ あ、もう起きてたんだ」
唯 「うん。おはよ、憂」
憂 「おはよう、お姉ちゃん。いよいよ今日から合宿だね」
唯 「うん。 ・・・・楽しみで早く目が覚めちゃった」
憂 (お姉ちゃんがこんなに外のことに心を開くなんて。もしかしてお姉ちゃん、もう元に戻りかけて・・・?)
憂 「ね、なんでそんなに楽しみなの?」
唯 「え・・・?だって、別荘に泊まるの初めてなんだよ。海に泊りがけで行くのも初めてだし」
唯 「それに和ちゃんも皆も一緒だし、あと、りっ・・・・」
憂 「りっ?」
57: 2011/02/03(木) 23:04:02.35
唯 「あ、ううん。なんでもない/// ・・・でも、何でそんなことを聞くの?」
憂 「・・・・・ううん、何となくだよ。じゃあ、目いっぱい楽しんでこなきゃだね!」
唯 「くすくす・・・・ 変な憂・・・」
憂 「えへへ・・・」
憂 (軽音部に入って徐々に明るさを取り戻してきてるお姉ちゃん。本当に良いところなんだね、お姉ちゃんの高校の軽音部って)
憂 (本当は泊りがけで出かけるなんてまだまだ不安なんだけど、でもこんなに上手くいってるんだもん)
憂 (信じてるからね、和ちゃん。今度こそ本当に)
憂 「さ、朝ごはんできてるよ。早く食べないと、待ち合わせに遅れちゃうよ!」
唯 「・・・・! すぐに着替えて降りるからね・・・!」
憂 「・・・・・ううん、何となくだよ。じゃあ、目いっぱい楽しんでこなきゃだね!」
唯 「くすくす・・・・ 変な憂・・・」
憂 「えへへ・・・」
憂 (軽音部に入って徐々に明るさを取り戻してきてるお姉ちゃん。本当に良いところなんだね、お姉ちゃんの高校の軽音部って)
憂 (本当は泊りがけで出かけるなんてまだまだ不安なんだけど、でもこんなに上手くいってるんだもん)
憂 (信じてるからね、和ちゃん。今度こそ本当に)
憂 「さ、朝ごはんできてるよ。早く食べないと、待ち合わせに遅れちゃうよ!」
唯 「・・・・! すぐに着替えて降りるからね・・・!」
58: 2011/02/03(木) 23:10:00.64
律 「青い空!」
紬 「白い雲!」
澪 「照りつける太陽!」
和 「心地よい潮風!」
唯 「着いたぁ・・・!」
到着!ムギの別荘!!
律 「でっけーっ!なんだこの別荘!自宅か!?」
紬 「本当はもっと広い所に泊まりたかったんだけど・・・いちばん小さい所しか借りられなかったの」
律 「いちばん小さい・・・・? コレで?」
和 「世の中って広いわ。まだまだ私の知らない世界が、こんなにも身近にあるものなのね」
澪 「ま、まぁ・・・圧倒されそうだが、まずは荷物を置かせてもらって、一息ついたら練習を始めるぞ!」
律 「えー、まずは遊びでしょー。せっかく海にきたんだから、泳いでぇスイカ割ってぇ砂でお城作ってぇ~」
澪 「何しに来たんだよ!言ったろ、みっちり練習するって!遊ぶなら練習の後だからな!」
和 「それに遊び疲れちゃったら、練習での集中力が続かないでしょ? 先にやることをやって、後からノンビリ遊べばいいのよ」
律 「相変わらず硬いなぁ、お二人さん。んー、唯は? 唯はどうしたい?」
紬 「白い雲!」
澪 「照りつける太陽!」
和 「心地よい潮風!」
唯 「着いたぁ・・・!」
到着!ムギの別荘!!
律 「でっけーっ!なんだこの別荘!自宅か!?」
紬 「本当はもっと広い所に泊まりたかったんだけど・・・いちばん小さい所しか借りられなかったの」
律 「いちばん小さい・・・・? コレで?」
和 「世の中って広いわ。まだまだ私の知らない世界が、こんなにも身近にあるものなのね」
澪 「ま、まぁ・・・圧倒されそうだが、まずは荷物を置かせてもらって、一息ついたら練習を始めるぞ!」
律 「えー、まずは遊びでしょー。せっかく海にきたんだから、泳いでぇスイカ割ってぇ砂でお城作ってぇ~」
澪 「何しに来たんだよ!言ったろ、みっちり練習するって!遊ぶなら練習の後だからな!」
和 「それに遊び疲れちゃったら、練習での集中力が続かないでしょ? 先にやることをやって、後からノンビリ遊べばいいのよ」
律 「相変わらず硬いなぁ、お二人さん。んー、唯は? 唯はどうしたい?」
59: 2011/02/03(木) 23:16:25.43
唯 「わ、私は・・・」(ちらっ)
和 「・・・・・・」
唯 「え・・・ぅ・・・ あ、あそ・・・・」
律 「・・・・・・」
唯 「・・・・・あぐ」
紬 「はいはいはーい! 私は遊びたいです!」
澪 「ムギまでっ!!」
律 「おーっっし、多数決!あっそびたい人、手ぇあげてー♪」
紬 「はいっ!」
澪 「む、負けるかぁ!練習に賛成な人、挙手だ!」
和 「はい!」
律 「むむっ!」
澪 「むむむっ!!」
紬 「両者同数!一進一退の膠着状態ね!息詰まる攻防戦!はぁはぁ・・・」
律 「・・・と、いうことは、だ」
和・律・澪・紬 じーーーーーー・・・・
唯 「え!? え・・・あ、あぐっ・・・ 」
和 「・・・・・・」
唯 「え・・・ぅ・・・ あ、あそ・・・・」
律 「・・・・・・」
唯 「・・・・・あぐ」
紬 「はいはいはーい! 私は遊びたいです!」
澪 「ムギまでっ!!」
律 「おーっっし、多数決!あっそびたい人、手ぇあげてー♪」
紬 「はいっ!」
澪 「む、負けるかぁ!練習に賛成な人、挙手だ!」
和 「はい!」
律 「むむっ!」
澪 「むむむっ!!」
紬 「両者同数!一進一退の膠着状態ね!息詰まる攻防戦!はぁはぁ・・・」
律 「・・・と、いうことは、だ」
和・律・澪・紬 じーーーーーー・・・・
唯 「え!? え・・・あ、あぐっ・・・ 」
60: 2011/02/03(木) 23:20:22.67
和 「唯はどうしたいの?」
唯 「わたし・・・は・・・」
和 「いいのよ、唯。言っていいの。自分の考えで、自分のしたいことを言ってもいいんだよ?」
唯 「わたし・・・・」
唯 「私は、遊びたい・・・」
和 「・・・・」
律 「いよっしゃー! これで決まりー。公平な多数決の結果だからな、澪も文句ないよな?」
澪 「わかったよ。でも、帰ってきたら本当に練習だからな」
律 「分かってるよ。ムギ、行こうぜ! ほら、唯も」
唯 「う・・・うん///」
唯 「わたし・・・は・・・」
和 「いいのよ、唯。言っていいの。自分の考えで、自分のしたいことを言ってもいいんだよ?」
唯 「わたし・・・・」
唯 「私は、遊びたい・・・」
和 「・・・・」
律 「いよっしゃー! これで決まりー。公平な多数決の結果だからな、澪も文句ないよな?」
澪 「わかったよ。でも、帰ってきたら本当に練習だからな」
律 「分かってるよ。ムギ、行こうぜ! ほら、唯も」
唯 「う・・・うん///」
61: 2011/02/03(木) 23:22:33.76
澪 「みんな行っちゃったな。ま、仕方がないか。あきらめて流れに従うとしますか。ね、和」
澪 「・・・和?」
和 「え、あ・・・ ゴメン、澪。ちょっと感極まっちゃって」
澪 「どうしたんだ?」
和 「唯がね。あの引っ込み思案になっていた唯が、ちゃんと自分の意思を言葉に出してくれた・・・・」
和 「それがね、私にはとても嬉しくって」
澪 「そうなのか・・・ だけど、だったら和」
和 「え?」
澪 「・・・・なんだってそんな、辛そうな顔をしてるんだ?」
和 「・・・・・!」
澪 「・・・和?」
和 「え、あ・・・ ゴメン、澪。ちょっと感極まっちゃって」
澪 「どうしたんだ?」
和 「唯がね。あの引っ込み思案になっていた唯が、ちゃんと自分の意思を言葉に出してくれた・・・・」
和 「それがね、私にはとても嬉しくって」
澪 「そうなのか・・・ だけど、だったら和」
和 「え?」
澪 「・・・・なんだってそんな、辛そうな顔をしてるんだ?」
和 「・・・・・!」
62: 2011/02/03(木) 23:25:34.25
律 「ほらほらー、唯ー! わかめお化けだぞー!」
唯 「きゃーっ」
律 「うははは!お前もわかめ人形にしてやろうか!」
唯 「やだーっ」
紬 「あらあら。平沢さんとりっちゃん、すっかり仲良しね」
律 「はぁはぁ・・・けっこう唯、逃げ足速いのな。疲れたぁ・・・ さて、次は何して遊ぶー?」
澪 「スイカ持ってきたけど・・・・ 割る?」
律 「おー!割る割る!かち割ってやる!」
紬 「割ってやるー!」
唯 「あははっ」
和 「・・・・・・」
唯 「きゃーっ」
律 「うははは!お前もわかめ人形にしてやろうか!」
唯 「やだーっ」
紬 「あらあら。平沢さんとりっちゃん、すっかり仲良しね」
律 「はぁはぁ・・・けっこう唯、逃げ足速いのな。疲れたぁ・・・ さて、次は何して遊ぶー?」
澪 「スイカ持ってきたけど・・・・ 割る?」
律 「おー!割る割る!かち割ってやる!」
紬 「割ってやるー!」
唯 「あははっ」
和 「・・・・・・」
63: 2011/02/03(木) 23:28:44.04
そして楽しい時間はあっという間に過ぎ、時は夕暮れ・・・
律 「いや~。遊んだ遊んだ!余は満足じゃ・・・・」
澪 「まだまだ。せっかく海に来たんだから、思う存分遊ばないと!ここまで来た意味が・・・」
澪 「て、ああーーー!練習!」
律 「・・・忘れてたのかよ」
澪 「ま、まったく・・・ 律が遊ぼうなんていうからだゾー・・・」
律 「いちばん楽しそうに遊んでたのは誰だ」
澪 「ツーン」
和 「み、澪・・・」
紬 「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ。さぁさ、戻って練習にしましょ」
唯 「・・・六回」
澪 「ほらほら、遊びモードはここまで!気分切り替えて練習するからな!さ、早く戻るぞ!」
律 「へいへい。ま、約束だしなー。よっし、唯!戻ろうぜー!」
唯 「う、うん。和ちゃん、行こう?」
和 「ええ」
和 「・・・唯、楽しかった?」
唯 「うんっ・・・!」(にこーー)
和 「そっか。良かったね」
唯 「えへ・・・」
律 「いや~。遊んだ遊んだ!余は満足じゃ・・・・」
澪 「まだまだ。せっかく海に来たんだから、思う存分遊ばないと!ここまで来た意味が・・・」
澪 「て、ああーーー!練習!」
律 「・・・忘れてたのかよ」
澪 「ま、まったく・・・ 律が遊ぼうなんていうからだゾー・・・」
律 「いちばん楽しそうに遊んでたのは誰だ」
澪 「ツーン」
和 「み、澪・・・」
紬 「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ。さぁさ、戻って練習にしましょ」
唯 「・・・六回」
澪 「ほらほら、遊びモードはここまで!気分切り替えて練習するからな!さ、早く戻るぞ!」
律 「へいへい。ま、約束だしなー。よっし、唯!戻ろうぜー!」
唯 「う、うん。和ちゃん、行こう?」
和 「ええ」
和 「・・・唯、楽しかった?」
唯 「うんっ・・・!」(にこーー)
和 「そっか。良かったね」
唯 「えへ・・・」
64: 2011/02/03(木) 23:30:32.33
じゃじゃっじゃじゃっじゃーーーん♪
律 「・・・・・・」
澪 「・・・・・・」
紬 「・・・・・・」
和 「・・・・・唯」
唯 「え?」
和 「唯、いつの間にこんなに上達してたの!?」
唯 「そ、そうかな? い、家に帰った後はとくに何もすることなかったし・・・」
唯 「ギターばっかりいじってたから、だからかなぁ・・・」
和 「それにしたって・・・」
律 「・・・・・・」
澪 「・・・・・・」
紬 「・・・・・・」
和 「・・・・・唯」
唯 「え?」
和 「唯、いつの間にこんなに上達してたの!?」
唯 「そ、そうかな? い、家に帰った後はとくに何もすることなかったし・・・」
唯 「ギターばっかりいじってたから、だからかなぁ・・・」
和 「それにしたって・・・」
65: 2011/02/03(木) 23:32:18.22
思えば唯には、小さい頃からこのようなことが度々あった。
いろんなことに興味を示し意識が散漫になりがちな唯は、一つの事に集中するのが非常に苦手な子だった。
しかしいったんツボにはまって「やる気」の矛先が一ところに向かった時。
今回のような急成長を成し遂げて、周りを驚かせるのだ。
つまりそれは・・・・
澪 「いや、すごいな平沢さん。正直驚いたよ」
唯が自ら前向きに音楽に取り組もうとしていることの現われであり・・・
紬 「本当ね。私たちも平沢さんに負けないように頑張らないといけないわね」
唯という無色の空気に、人の目を惹く色彩が添えられたことでもあり・・・
律 「唯、頑張ったな」
唯 「・・・・うん!///」
私の元から唯が巣立って行く日が近いことの、何よりの証だった。
いろんなことに興味を示し意識が散漫になりがちな唯は、一つの事に集中するのが非常に苦手な子だった。
しかしいったんツボにはまって「やる気」の矛先が一ところに向かった時。
今回のような急成長を成し遂げて、周りを驚かせるのだ。
つまりそれは・・・・
澪 「いや、すごいな平沢さん。正直驚いたよ」
唯が自ら前向きに音楽に取り組もうとしていることの現われであり・・・
紬 「本当ね。私たちも平沢さんに負けないように頑張らないといけないわね」
唯という無色の空気に、人の目を惹く色彩が添えられたことでもあり・・・
律 「唯、頑張ったな」
唯 「・・・・うん!///」
私の元から唯が巣立って行く日が近いことの、何よりの証だった。
66: 2011/02/03(木) 23:35:52.43
律 「なぁ、唯ー」
唯 「なぁに?」
律 「唯さ、コーラス。やってみね?」
唯 「え・・・・」
澪 「お、おい律・・・」
律 「前から考えてたんだよ。メインの和に唯のコーラス。幼馴染だし、息もぴったり合うだろ?」
律 「唯はギター初心者だし、そこまでやらせるのは酷かなーって思って黙ってたんだけど。けど、これだけ上達してるなら、歌いながらだって大丈夫そうじゃん?」
紬 「それはそうかもしれないけど、だけど・・・」
律 「別に無理強いさせようってわけじゃないよ。たださ。なぁ、唯。一度でかい声でわーってやっちゃえば、けっこう色々と吹っ切れちゃうもんだぞ」
和 「・・・・・!」
唯 「なぁに?」
律 「唯さ、コーラス。やってみね?」
唯 「え・・・・」
澪 「お、おい律・・・」
律 「前から考えてたんだよ。メインの和に唯のコーラス。幼馴染だし、息もぴったり合うだろ?」
律 「唯はギター初心者だし、そこまでやらせるのは酷かなーって思って黙ってたんだけど。けど、これだけ上達してるなら、歌いながらだって大丈夫そうじゃん?」
紬 「それはそうかもしれないけど、だけど・・・」
律 「別に無理強いさせようってわけじゃないよ。たださ。なぁ、唯。一度でかい声でわーってやっちゃえば、けっこう色々と吹っ切れちゃうもんだぞ」
和 「・・・・・!」
67: 2011/02/03(木) 23:37:08.82
唯 「田井中さん・・・」
律 「ライブでさ。みんなの前で大口あけてデッカイ声だして。クラスの奴等とかビックリするぞ。どんな顔するか、ちょっと見てみたくないか?」
唯 「え・・・あの・・・・でも・・・・」
澪 「おい、律!」
唯 「ご、ごめんね。少し考えておく、ね・・・ あの、ちょっとトイレに・・・」
とことこ・・・ばたん。
澪 「はぁ・・・ なぁおい、律」
澪 「今の、ちょっと強引じゃないか?平沢さん、困ってたじゃないか」
律 「はぁ? 何いってるんだ、澪。唯のやつ、歌いたそうな顔をしてただろ?」
和 「・・・・律」
澪 「そ、そんなわけ・・・」
律 「・・・はぁ。あのなぁ、澪。あとムギもだ。そろそろ言っておこうと思ってたんだけどな」
律 「お前らいつまで唯を腫れ物を触るみたいに、お客様扱いし続けるんだ?」
紬 「え、私たち、そんなつもりじゃ・・・」
律 「だいたいなんだよ、いつまで経っても平沢さん平沢さんって。いいかげん名前で呼んでやれよ」
澪 「そ、それは・・・ 平沢さんが名前で呼ばれたいのかどうか分からなかったし・・・」
律 「私と和は名前で呼んでるだろ。嫌に思うもんか。そんな変な気遣いをしてるから、いつまで経っても他人行儀な態度で接しちまうんだよ」
律 「澪ならわかってやれるだろう?相手から踏み込んできてくれなきゃ、自分から一歩を踏み出せない。そこまで心が弱くなっちゃうこともあるって」
澪 「・・・律」
和 「・・・・・・・」
律 「ライブでさ。みんなの前で大口あけてデッカイ声だして。クラスの奴等とかビックリするぞ。どんな顔するか、ちょっと見てみたくないか?」
唯 「え・・・あの・・・・でも・・・・」
澪 「おい、律!」
唯 「ご、ごめんね。少し考えておく、ね・・・ あの、ちょっとトイレに・・・」
とことこ・・・ばたん。
澪 「はぁ・・・ なぁおい、律」
澪 「今の、ちょっと強引じゃないか?平沢さん、困ってたじゃないか」
律 「はぁ? 何いってるんだ、澪。唯のやつ、歌いたそうな顔をしてただろ?」
和 「・・・・律」
澪 「そ、そんなわけ・・・」
律 「・・・はぁ。あのなぁ、澪。あとムギもだ。そろそろ言っておこうと思ってたんだけどな」
律 「お前らいつまで唯を腫れ物を触るみたいに、お客様扱いし続けるんだ?」
紬 「え、私たち、そんなつもりじゃ・・・」
律 「だいたいなんだよ、いつまで経っても平沢さん平沢さんって。いいかげん名前で呼んでやれよ」
澪 「そ、それは・・・ 平沢さんが名前で呼ばれたいのかどうか分からなかったし・・・」
律 「私と和は名前で呼んでるだろ。嫌に思うもんか。そんな変な気遣いをしてるから、いつまで経っても他人行儀な態度で接しちまうんだよ」
律 「澪ならわかってやれるだろう?相手から踏み込んできてくれなきゃ、自分から一歩を踏み出せない。そこまで心が弱くなっちゃうこともあるって」
澪 「・・・律」
和 「・・・・・・・」
69: 2011/02/03(木) 23:40:08.24
紬 「お茶にしましょう」
律 「え?」
紬 「唯ちゃんにコーラスをやりたいかどうか聞かなきゃならないし。やるならどういう風に、どんな風に入れるのか話し合わなきゃならないし」
紬 「休憩も兼ねてお茶にしよ。ね?」
律 「あ、ああ・・・そうだな。と、唯のやつ、遅いな。もしかして、でっかいh
澪 「わー!下品なこと言うなよ、律!」
澪 「その、なんだ・・・ 夜風に当たって休んでるのかもしれないだろ。その・・・唯は、さ」
律 「・・・・そうだな! じゃ、呼びにいってみるか!みんなはお茶の準備をしといてくれー」
和 「あ、待って。私も行くわ」
律 「おー、いこいこー!」
律 「え?」
紬 「唯ちゃんにコーラスをやりたいかどうか聞かなきゃならないし。やるならどういう風に、どんな風に入れるのか話し合わなきゃならないし」
紬 「休憩も兼ねてお茶にしよ。ね?」
律 「あ、ああ・・・そうだな。と、唯のやつ、遅いな。もしかして、でっかいh
澪 「わー!下品なこと言うなよ、律!」
澪 「その、なんだ・・・ 夜風に当たって休んでるのかもしれないだろ。その・・・唯は、さ」
律 「・・・・そうだな! じゃ、呼びにいってみるか!みんなはお茶の準備をしといてくれー」
和 「あ、待って。私も行くわ」
律 「おー、いこいこー!」
70: 2011/02/03(木) 23:42:00.45
とことこ・・・・
律 「和はどう思う?唯のコーラス」
和 「私は正直、まだ時期尚早だと思う。失敗したらと考えると、せっかく明るさを取り戻しかけた唯がまたふさぎ込んじゃうんじゃないかって」
和 「・・・それがとても心配」
律 「そっかぁー」
和 「でもね・・・ それは杞憂なのよね。きっと上手くいくだろうし、それにもし失敗しても・・・」
和 「居場所を見つけた唯なら、落ち込んでも立ち直れる・・・・ ううん」
和 「落ち込む暇すら与えてもらえないのかもね」
律 「おう♪」
和 「だから、唯が望むのなら私は賛成」
律 「和はどう思う?唯のコーラス」
和 「私は正直、まだ時期尚早だと思う。失敗したらと考えると、せっかく明るさを取り戻しかけた唯がまたふさぎ込んじゃうんじゃないかって」
和 「・・・それがとても心配」
律 「そっかぁー」
和 「でもね・・・ それは杞憂なのよね。きっと上手くいくだろうし、それにもし失敗しても・・・」
和 「居場所を見つけた唯なら、落ち込んでも立ち直れる・・・・ ううん」
和 「落ち込む暇すら与えてもらえないのかもね」
律 「おう♪」
和 「だから、唯が望むのなら私は賛成」
71: 2011/02/03(木) 23:44:30.55
律 「やっぱトイレにいなかったな。じゃ、澪が言うように、外で風に当たってるのかもな。行ってみようぜ」
和 「ええ」
和 「・・・・ねぇ、律。あなた唯のことに気づいて・・・」
律 「私さ」
和 「・・・・・」
律 「唯みたいなやつって、なんだか放っておけないんだよな。昔の澪を見てるみたいで」
和 「澪?」
律 「そう、澪。今でもあいつ、かなりの恥ずかしがりだけど、昔はそれに輪をかけた照れ屋さんでさ」
律 「ていうか、もう対人恐怖症に片足突っ込んじゃってるってくらい、人と接するのにオドオドしてたのね」
律 「そうなったのには何かきっかけがあったんだと思う。それが何かは澪も言おうとしないし、敢えて私も聞かなかったけどさ」
和 「ええ」
和 「・・・・ねぇ、律。あなた唯のことに気づいて・・・」
律 「私さ」
和 「・・・・・」
律 「唯みたいなやつって、なんだか放っておけないんだよな。昔の澪を見てるみたいで」
和 「澪?」
律 「そう、澪。今でもあいつ、かなりの恥ずかしがりだけど、昔はそれに輪をかけた照れ屋さんでさ」
律 「ていうか、もう対人恐怖症に片足突っ込んじゃってるってくらい、人と接するのにオドオドしてたのね」
律 「そうなったのには何かきっかけがあったんだと思う。それが何かは澪も言おうとしないし、敢えて私も聞かなかったけどさ」
72: 2011/02/03(木) 23:46:06.48
律 「まあとにかく。澪は自分で自分の心に蓋をしてしまって。その蓋を開ける鍵は外側にしか付いていなかったんだ」
和 「・・・・・・」
律 「だから誰かがそれを外してやらなきゃならない。蓋を開け外の光を入れてやって、見ろよ、外の景色も悪いもんじゃないだろって」
律 「んでさ。私は昔からこんな感じのやつだったからさー。ガサツで頭が悪くて単純で・・・」
律 「でも、単純だからこそかな。見えるんだよ。あ、こいつはもう一人じゃどうにもできなくなってるんだなってのが・・・わかっちゃうんだ」
和 「考えるんじゃない。感じるんだ・・・って?」
律 「そうそう、それそれ。だからお節介といわれてもうるさがられても、放っておけない。あの頃の澪と一緒なんだ、唯は」
律 「てことくらいかな、私がわかったのは。もちろん唯に何があったか、なんて分かるはずもないし、知る必要もないしなー」
律 「まぁ、本音を言えばウジウジしてるやつを見るとイライラしちゃうから、もう言いたいことははっきり言えよ!って、言ってやりたいだけなんだけどな!」
和 「律・・・・」
和 「・・・・・・」
律 「だから誰かがそれを外してやらなきゃならない。蓋を開け外の光を入れてやって、見ろよ、外の景色も悪いもんじゃないだろって」
律 「んでさ。私は昔からこんな感じのやつだったからさー。ガサツで頭が悪くて単純で・・・」
律 「でも、単純だからこそかな。見えるんだよ。あ、こいつはもう一人じゃどうにもできなくなってるんだなってのが・・・わかっちゃうんだ」
和 「考えるんじゃない。感じるんだ・・・って?」
律 「そうそう、それそれ。だからお節介といわれてもうるさがられても、放っておけない。あの頃の澪と一緒なんだ、唯は」
律 「てことくらいかな、私がわかったのは。もちろん唯に何があったか、なんて分かるはずもないし、知る必要もないしなー」
律 「まぁ、本音を言えばウジウジしてるやつを見るとイライラしちゃうから、もう言いたいことははっきり言えよ!って、言ってやりたいだけなんだけどな!」
和 「律・・・・」
73: 2011/02/03(木) 23:49:00.51
和 「律は澪の心に光を灯すことに成功したってわけね」
律 「そんな大したことじゃないよ。けっきょく澪しだいだったからな。本人が変わりたいと思ってくれなきゃ、どうにもならないし」
和 「それでもすごいわ。そして、今回も。唯のことも・・・」
和 「私にはできなかったこと・・・」
律 「おい、和?」
和 「正直に言うとね、律。私はあなたに嫉妬しているの」
律 「はぁ・・・?」
和 「唯は律と出会って、笑顔を取り戻せたの。強引なところに戸惑いながらも、律の明るさに引き込まれるように、唯も笑っていることが多くなった」
和 「あなたのおかげ」
律 「いや・・・ たしかに唯を笑わそうと色々したけど、別に私だけのおかげってわけじゃ・・・」
和 「ううん、やっぱり律がいたからよ。幼馴染の私には分かるの。きっと唯は律が好きなんだわ」
律 「はぁー・・!?」
律 「そんな大したことじゃないよ。けっきょく澪しだいだったからな。本人が変わりたいと思ってくれなきゃ、どうにもならないし」
和 「それでもすごいわ。そして、今回も。唯のことも・・・」
和 「私にはできなかったこと・・・」
律 「おい、和?」
和 「正直に言うとね、律。私はあなたに嫉妬しているの」
律 「はぁ・・・?」
和 「唯は律と出会って、笑顔を取り戻せたの。強引なところに戸惑いながらも、律の明るさに引き込まれるように、唯も笑っていることが多くなった」
和 「あなたのおかげ」
律 「いや・・・ たしかに唯を笑わそうと色々したけど、別に私だけのおかげってわけじゃ・・・」
和 「ううん、やっぱり律がいたからよ。幼馴染の私には分かるの。きっと唯は律が好きなんだわ」
律 「はぁー・・!?」
74: 2011/02/03(木) 23:50:40.00
和 「私は唯に昔の明るさを取り戻してもらいたくて、色々やってきたつもり。そしてここに入部して、やっと唯は笑顔を見せてくれるようになったわ」
和 「でも、その笑顔の先にあるのは律、いつもあなただった。ずっと一緒にいた私ではなく・・・・」
和 「だけど、それは当然なのよ。だって私はいちど唯を裏切った身なんだもの・・・・」
律 「なぁ、和」
和 「なのに私・・・勝手に報われない気になっちゃって・・・見返りなんて求めてるつもりはなかったのに・・・・」
律 「和」
和 「唯の笑顔が見たい。ただそれだけの筈だったのに・・・・」
律 「和!!」
和 「律ぅ・・・」
律 「唯が・・・・見てる・・・・」
和 「えっ」
和 「でも、その笑顔の先にあるのは律、いつもあなただった。ずっと一緒にいた私ではなく・・・・」
和 「だけど、それは当然なのよ。だって私はいちど唯を裏切った身なんだもの・・・・」
律 「なぁ、和」
和 「なのに私・・・勝手に報われない気になっちゃって・・・見返りなんて求めてるつもりはなかったのに・・・・」
律 「和」
和 「唯の笑顔が見たい。ただそれだけの筈だったのに・・・・」
律 「和!!」
和 「律ぅ・・・」
律 「唯が・・・・見てる・・・・」
和 「えっ」
75: 2011/02/03(木) 23:54:01.77
唯 「の、和ちゃん・・・・」
和 「唯!ど・・どど・・・どこら辺から聞いてたの!?」
唯 「えっと・・・田井中さんが私を秋山さんみたいで、放っておけないって言ったくらいから・・・・」
和・律 「ほぼ最初からかい!!」
唯 「だってだって・・・ 出で行きにくい雰囲気だったから、その・・・」
唯 「ごめんなさい・・・・」
和 「う、ううん・・・ 私こそ変なこと言って、聞かせちゃって・・・ ごめんね・・・」
唯 「・・・・・ううん」
和 「・・・・・・・・」
律 「・・・・さて、唯も見つかったし、私は戻るかなっと」
律 「あ、和」
和 「え、なに・・・」
律 「なんか顔が赤いぞ?暑くてのぼせちゃったんじゃないか?みんなには言っとくから、すこし外で涼んでから戻って来いよ」
和 「そんなこと、私は別になんとm
律 「あ、それと唯」
律 「ちょっと心配だからさ。和に付いてやっててくれ。お前が一緒にいれば安心だ」
唯 「うん」
律 「じゃ、あとよろしくー」とてちて・・・
唯 「行っちゃったね」
和 「いい人だね」
唯 「うん」
和 「唯!ど・・どど・・・どこら辺から聞いてたの!?」
唯 「えっと・・・田井中さんが私を秋山さんみたいで、放っておけないって言ったくらいから・・・・」
和・律 「ほぼ最初からかい!!」
唯 「だってだって・・・ 出で行きにくい雰囲気だったから、その・・・」
唯 「ごめんなさい・・・・」
和 「う、ううん・・・ 私こそ変なこと言って、聞かせちゃって・・・ ごめんね・・・」
唯 「・・・・・ううん」
和 「・・・・・・・・」
律 「・・・・さて、唯も見つかったし、私は戻るかなっと」
律 「あ、和」
和 「え、なに・・・」
律 「なんか顔が赤いぞ?暑くてのぼせちゃったんじゃないか?みんなには言っとくから、すこし外で涼んでから戻って来いよ」
和 「そんなこと、私は別になんとm
律 「あ、それと唯」
律 「ちょっと心配だからさ。和に付いてやっててくれ。お前が一緒にいれば安心だ」
唯 「うん」
律 「じゃ、あとよろしくー」とてちて・・・
唯 「行っちゃったね」
和 「いい人だね」
唯 「うん」
76: 2011/02/03(木) 23:56:45.88
和 「せっかくだから、少し話してからもどろうか」
唯 「うん」
和 「といっても、何から話したら良いのかな・・・ ていうか、すでに色々聞かれちゃってるんだよね」
唯 「・・・・あのね、和ちゃん」
和 「・・・・うん」
唯 「ありがとう」
和 「・・・・・!」
唯 「私ね、和ちゃんが言ってたとおり田井中さん・・・ りっちゃんが好き」
和 「・・・・・う」
唯 「和ちゃんが背中を押してくれなきゃ私、ずっとどこかの隅で小さくなって怯えてるだけで・・・」
唯 「みんなやりっちゃんと出会えなかったと思う。だからね和ちゃん、ありがとう」
和 「なんで・・・なんで”ありがとう”なんて言えるのよ・・・」
唯 「和ちゃん・・・・?」
和 「責めてよ・・・ せめて一言なり、なんでなじってくれないのよ・・・」
唯 「うん」
和 「といっても、何から話したら良いのかな・・・ ていうか、すでに色々聞かれちゃってるんだよね」
唯 「・・・・あのね、和ちゃん」
和 「・・・・うん」
唯 「ありがとう」
和 「・・・・・!」
唯 「私ね、和ちゃんが言ってたとおり田井中さん・・・ りっちゃんが好き」
和 「・・・・・う」
唯 「和ちゃんが背中を押してくれなきゃ私、ずっとどこかの隅で小さくなって怯えてるだけで・・・」
唯 「みんなやりっちゃんと出会えなかったと思う。だからね和ちゃん、ありがとう」
和 「なんで・・・なんで”ありがとう”なんて言えるのよ・・・」
唯 「和ちゃん・・・・?」
和 「責めてよ・・・ せめて一言なり、なんでなじってくれないのよ・・・」
77: 2011/02/03(木) 23:58:18.02
唯は小さい頃、よく私をかばってくれたよね。
なのに私は唯が辛い思いをしている時、見当はずれな助言をしてしまった。
それでよけい苦しい立場に追い込まれた唯を・・・ 助けを求めて差し出されていた唯の手を・・・・
あんな最低な奴らに目を付けられるのが怖くて、掴んであげることができなかった。
そのせいで唯は笑わなくなって、私は良心の呵責に苛まれて・・・
だから、唯の笑顔を取り戻したかった! そうすることが唯のためだって・・・!
だけど・・・ いざ唯が笑顔を取り戻して。けれどその笑顔が自分に向けられたものではなかったから・・・
悔しくて悲しくて・・・・ 律が妬ましくなって・・・・
なのに私は唯が辛い思いをしている時、見当はずれな助言をしてしまった。
それでよけい苦しい立場に追い込まれた唯を・・・ 助けを求めて差し出されていた唯の手を・・・・
あんな最低な奴らに目を付けられるのが怖くて、掴んであげることができなかった。
そのせいで唯は笑わなくなって、私は良心の呵責に苛まれて・・・
だから、唯の笑顔を取り戻したかった! そうすることが唯のためだって・・・!
だけど・・・ いざ唯が笑顔を取り戻して。けれどその笑顔が自分に向けられたものではなかったから・・・
悔しくて悲しくて・・・・ 律が妬ましくなって・・・・
78: 2011/02/04(金) 00:00:32.42
和 「だから違うよ!私は唯にお礼を言って貰えることなんか、何もしていないんだ!」
和 「唯がもとの唯に戻ることで、私が犯した過ちも無かったことにしたかっただけなのよ!」
和 「そんなんだから・・・ 律に嫉妬してしまうなんてみっともないこと・・・ 私は自分が情けない・・・」
唯 「和ちゃん・・・」
唯 「あのね、和ちゃん。正直言うとね、和ちゃんのことちょっと嫌いになってたんだ・・・」
和 「・・・・!」
唯 「私バカだけど、いま和ちゃんが言ったことくらい分かってたよ。だからね・・・・」
唯 「今さらって。調子良いよって。ずっとね、少しだけ思ってたの。だからね、ほんのちょっとだけ・・・」
唯 「和ちゃんのこと、嫌いになってた」
和 「唯がもとの唯に戻ることで、私が犯した過ちも無かったことにしたかっただけなのよ!」
和 「そんなんだから・・・ 律に嫉妬してしまうなんてみっともないこと・・・ 私は自分が情けない・・・」
唯 「和ちゃん・・・」
唯 「あのね、和ちゃん。正直言うとね、和ちゃんのことちょっと嫌いになってたんだ・・・」
和 「・・・・!」
唯 「私バカだけど、いま和ちゃんが言ったことくらい分かってたよ。だからね・・・・」
唯 「今さらって。調子良いよって。ずっとね、少しだけ思ってたの。だからね、ほんのちょっとだけ・・・」
唯 「和ちゃんのこと、嫌いになってた」
79: 2011/02/04(金) 00:02:38.62
和 「ゆ・・・い・・・」
唯 「あんなにやりたがってた生徒会をあきらめた時も、だから私は何も言わなかったの」
唯 「私、嫌なやつだよね。私のためにやりたかったこともできなくなって、ちょっといい気味だって・・・・」
和 「・・・・・」
唯 「でもね、和ちゃんはそれくらい私のことを考えてくれてたんだよね。だからね、心の別のところでは嬉しいとも思ってたんだ」
唯 「だって昔の友達で、私がこうなっちゃってからも変わらず側にいてくれたの、和ちゃんだけだったんだもん」
和 「ユイィ・・・・」
唯 「今は感謝してるよ。私を見捨てないでくれて。ここに引っ張ってきてくれて。さっきのありがとうは、だからこの事の”ありがとう”」
和 「唯・・・・ 唯・・・・」
唯 「それとね、ごめんね。生徒会のことも、嫌っちゃったことも」
和 「唯~~~~・・・・」
唯 「泣かないで。まるで私みたいだよ?」
和 「なに言ってるのよ、バカ・・・」
唯 「えへへ・・・ 和ちゃん、今は昔と同じ」
唯 「大好きだよ」
和 「泣かせるようなこと言っておいて、泣かないでなんて。勝手なこと言わないでよーー・・・」
外に出て開放的な気分になって、新しい一歩を踏み出す。
唯のためになればと、そう考えて賛成した合宿だった。
でも・・・・内に篭って考えが凝り固まっていたのは、唯だけではなかった。
私もそうだった。それを自覚することができた。
唯 「あんなにやりたがってた生徒会をあきらめた時も、だから私は何も言わなかったの」
唯 「私、嫌なやつだよね。私のためにやりたかったこともできなくなって、ちょっといい気味だって・・・・」
和 「・・・・・」
唯 「でもね、和ちゃんはそれくらい私のことを考えてくれてたんだよね。だからね、心の別のところでは嬉しいとも思ってたんだ」
唯 「だって昔の友達で、私がこうなっちゃってからも変わらず側にいてくれたの、和ちゃんだけだったんだもん」
和 「ユイィ・・・・」
唯 「今は感謝してるよ。私を見捨てないでくれて。ここに引っ張ってきてくれて。さっきのありがとうは、だからこの事の”ありがとう”」
和 「唯・・・・ 唯・・・・」
唯 「それとね、ごめんね。生徒会のことも、嫌っちゃったことも」
和 「唯~~~~・・・・」
唯 「泣かないで。まるで私みたいだよ?」
和 「なに言ってるのよ、バカ・・・」
唯 「えへへ・・・ 和ちゃん、今は昔と同じ」
唯 「大好きだよ」
和 「泣かせるようなこと言っておいて、泣かないでなんて。勝手なこと言わないでよーー・・・」
外に出て開放的な気分になって、新しい一歩を踏み出す。
唯のためになればと、そう考えて賛成した合宿だった。
でも・・・・内に篭って考えが凝り固まっていたのは、唯だけではなかった。
私もそうだった。それを自覚することができた。
81: 2011/02/04(金) 00:05:07.47
だから、踏みとどまっていた4本の足を互いの手で引き合いながら。
一人じゃなく、二人で。お互いの止まっていた時間を取り戻すために。
今、踏み出すんだ。
和 「唯、お願いがあるんだけど」
唯 「なぁに?」
和 「ぎゅってして?昔、私が泣いていたら、いつもしてくれたみたいに」
唯 「えへへ・・・ 和ちゃんのあまえんぼ」ぎゅっ
和 「うん、そうだよ。ずっと昔から・・・」
唯の暖かな抱擁。それと同じくらい温かな唯の心が肌を通して、私の中に入り込んでくるようで。
ハッキリと分かった。唯には今までの立ち居地の「和」は、もう必要ないんだ。そして私にも、今までの「唯」は、もう要らない。
この共依存の日々が、終わる時が来たんだ。
この日を契機に私たちはかつての。そう、あの忌まわしい出来事が起こる以前の。
本当に意味での親友に戻ることができた。
一人じゃなく、二人で。お互いの止まっていた時間を取り戻すために。
今、踏み出すんだ。
和 「唯、お願いがあるんだけど」
唯 「なぁに?」
和 「ぎゅってして?昔、私が泣いていたら、いつもしてくれたみたいに」
唯 「えへへ・・・ 和ちゃんのあまえんぼ」ぎゅっ
和 「うん、そうだよ。ずっと昔から・・・」
唯の暖かな抱擁。それと同じくらい温かな唯の心が肌を通して、私の中に入り込んでくるようで。
ハッキリと分かった。唯には今までの立ち居地の「和」は、もう必要ないんだ。そして私にも、今までの「唯」は、もう要らない。
この共依存の日々が、終わる時が来たんだ。
この日を契機に私たちはかつての。そう、あの忌まわしい出来事が起こる以前の。
本当に意味での親友に戻ることができた。
82: 2011/02/04(金) 00:06:31.50
そして。夏休みが終わり・・・
桜高祭でのライブは、自分達でも驚くほどの盛況ぶりだった。
学祭直前に顧問になってくれた山中先生(あんな人だったなんて・・・)作の華やかな衣装は観客の目を惹き。
練習の甲斐もあって演奏のスキルは急上昇。
私の歌声に寄り添うように重なる唯のコーラス。我ながら抜群のコンビネーションだったと思う。
最後の最後で飛び出した澪の恥ずかしいサプライズもあって、更に会場の熱気はオーバーヒート。
これ以上ないってくらいの満足感を私たちの胸に残し(澪には他の思いも残っちゃっただろうけど)、ステージの幕は閉じられた。
そして・・・・
桜高祭でのライブは、自分達でも驚くほどの盛況ぶりだった。
学祭直前に顧問になってくれた山中先生(あんな人だったなんて・・・)作の華やかな衣装は観客の目を惹き。
練習の甲斐もあって演奏のスキルは急上昇。
私の歌声に寄り添うように重なる唯のコーラス。我ながら抜群のコンビネーションだったと思う。
最後の最後で飛び出した澪の恥ずかしいサプライズもあって、更に会場の熱気はオーバーヒート。
これ以上ないってくらいの満足感を私たちの胸に残し(澪には他の思いも残っちゃっただろうけど)、ステージの幕は閉じられた。
そして・・・・
83: 2011/02/04(金) 00:07:40.72
やがて季節は移り変わり・・・
盛夏を過ぎるととたんに肌寒くなって、季節は秋。
並木が紅葉する様を楽しみながら、軽音部のみんなと登下校した通学路。
やがて紅葉が色あせて舞い落ち、路上に薄茶色の絨毯を敷きつめ始めると、マフラーに顔を埋めて小さくなりながら歩く子たちの姿が目立ち始める。
あっという間に冬の到来だ。
クリスマス。年越し。お正月。冬は楽しいイベントで盛りだくさん。
みんなで集まってはしゃいで、心の底から笑いあって。
そして気がついたら季節は一巡して春。
私たちが高校生になって・・・ 軽音部のみんなと出会って一年が経った。
私は二年生になって。
そして・・・・
私は軽音部を退部した。
盛夏を過ぎるととたんに肌寒くなって、季節は秋。
並木が紅葉する様を楽しみながら、軽音部のみんなと登下校した通学路。
やがて紅葉が色あせて舞い落ち、路上に薄茶色の絨毯を敷きつめ始めると、マフラーに顔を埋めて小さくなりながら歩く子たちの姿が目立ち始める。
あっという間に冬の到来だ。
クリスマス。年越し。お正月。冬は楽しいイベントで盛りだくさん。
みんなで集まってはしゃいで、心の底から笑いあって。
そして気がついたら季節は一巡して春。
私たちが高校生になって・・・ 軽音部のみんなと出会って一年が経った。
私は二年生になって。
そして・・・・
私は軽音部を退部した。
84: 2011/02/04(金) 00:09:00.84
駅前の喫茶店!!
和 「お待たせ、憂」
憂 「こんにちわ、和さん」
和 「なぁに、憂。急にさん付けなんて、他人行儀な呼び方をしちゃって」
憂 「えへへ。だって私も桜校生になって、和ちゃんは先輩だもん。きちんとけじめはつけなきゃって思って」
和 「へぇ?その割には今、ちゃん付けで呼んでたけどね?」
憂 「はっ!いけない・・・ ついいっつもの癖で」
和 「ふふ。まぁ、二人の時はいいじゃない。私も憂からさん付けで呼ばれるの、なんだかくすぐったいって言うか落ち着かないもの」
憂 「そうだよね。じゃ改めて。こんにちわ、和ちゃん」
和 「こんにちわ、憂」
和 「お待たせ、憂」
憂 「こんにちわ、和さん」
和 「なぁに、憂。急にさん付けなんて、他人行儀な呼び方をしちゃって」
憂 「えへへ。だって私も桜校生になって、和ちゃんは先輩だもん。きちんとけじめはつけなきゃって思って」
和 「へぇ?その割には今、ちゃん付けで呼んでたけどね?」
憂 「はっ!いけない・・・ ついいっつもの癖で」
和 「ふふ。まぁ、二人の時はいいじゃない。私も憂からさん付けで呼ばれるの、なんだかくすぐったいって言うか落ち着かないもの」
憂 「そうだよね。じゃ改めて。こんにちわ、和ちゃん」
和 「こんにちわ、憂」
85: 2011/02/04(金) 00:10:35.83
憂 「和ちゃん、軽音部やめちゃったんだね。どうして?」
憂 「その・・・ 楽しくなかったの?」
和 「ううん、とっても楽しかったわよ。居心地が良くて暖かくて」
憂 「じゃあ、どうして?」
和 「やりたいことがあるの。だからね、彼女たちとは今までと違った形で、今まで以上の付き合いをしていくつもり」
和 「それにね。唯も私も・・・ もうお互いがベッタリじゃなくってもやっていけるんだって。その事に気づいたから」
憂 「・・・・・」
和 「あ、それで。今日はどうしたの?何か用事?」
憂 「うん、和ちゃんに見てもらいたいものがあって」
憂 「その・・・ 楽しくなかったの?」
和 「ううん、とっても楽しかったわよ。居心地が良くて暖かくて」
憂 「じゃあ、どうして?」
和 「やりたいことがあるの。だからね、彼女たちとは今までと違った形で、今まで以上の付き合いをしていくつもり」
和 「それにね。唯も私も・・・ もうお互いがベッタリじゃなくってもやっていけるんだって。その事に気づいたから」
憂 「・・・・・」
和 「あ、それで。今日はどうしたの?何か用事?」
憂 「うん、和ちゃんに見てもらいたいものがあって」
86: 2011/02/04(金) 00:14:23.80
憂 「はいこれ。形になったら一番に和ちゃんに見せるって、約束だったから」
和 「これ・・・完成したんだ。ありがとう。さっそく見せてもらって良い?」
憂 「恥ずかしいけど・・・ うん。感想、聞かせてね」
和 「もちろん。どれどれ・・・ あら、これって・・・・」
憂 「どうかな・・・・」
和 「よく描けてるわ。みんなも特徴を捉えて可愛く描けてる。それに・・・この雰囲気・・・・」
和 「私たちの軽音部に満ちてる雰囲気そのものね」
憂 「えへへ・・・ クリスマスや年越しに皆さんが家に来てくれたから、イメージしやすかったんだ」
和 「あと・・・ マンガの中の唯・・・ とっても楽しそう」
憂 「うん。今まで辛い想いをした分も、これから楽しい高校生活をおくれますようにって。その願いも込めて」
和 「きっと・・・ううん。絶対そうなるわよ」
和 「これ・・・完成したんだ。ありがとう。さっそく見せてもらって良い?」
憂 「恥ずかしいけど・・・ うん。感想、聞かせてね」
和 「もちろん。どれどれ・・・ あら、これって・・・・」
憂 「どうかな・・・・」
和 「よく描けてるわ。みんなも特徴を捉えて可愛く描けてる。それに・・・この雰囲気・・・・」
和 「私たちの軽音部に満ちてる雰囲気そのものね」
憂 「えへへ・・・ クリスマスや年越しに皆さんが家に来てくれたから、イメージしやすかったんだ」
和 「あと・・・ マンガの中の唯・・・ とっても楽しそう」
憂 「うん。今まで辛い想いをした分も、これから楽しい高校生活をおくれますようにって。その願いも込めて」
和 「きっと・・・ううん。絶対そうなるわよ」
87: 2011/02/04(金) 00:15:18.77
和 「それにしても・・・うふふ」
憂 「なぁに?」
和 「このペンネーム。変なの」
憂 「だって、本名は恥ずかしいんだもん。だけど、かっこいいペンネームって難しいね。ぜんぜん思いつかなくって」
憂ことPN「かきふらい」作のこのマンガ。作者の姉と周りの人々をモデル(もちろんフェイクあり)に描かれた「けいおん!」。
やがてこの作品は雑誌編集者の目に留まり、連載・アニメ化と順調に人気をはくし、一大ムーブメントを巻き起こすことになるのであるが・・・・
それはまた別のお話である。
和 「憂、カキフライ好きだったっけ?」
憂 「むしろ苦手・・・」
和 「好き嫌いはダメよ。自分のペンネームに恥じないよう、きちんと食べられるようになりなさい」
憂 「はい、努力します・・・」
憂 「なぁに?」
和 「このペンネーム。変なの」
憂 「だって、本名は恥ずかしいんだもん。だけど、かっこいいペンネームって難しいね。ぜんぜん思いつかなくって」
憂ことPN「かきふらい」作のこのマンガ。作者の姉と周りの人々をモデル(もちろんフェイクあり)に描かれた「けいおん!」。
やがてこの作品は雑誌編集者の目に留まり、連載・アニメ化と順調に人気をはくし、一大ムーブメントを巻き起こすことになるのであるが・・・・
それはまた別のお話である。
和 「憂、カキフライ好きだったっけ?」
憂 「むしろ苦手・・・」
和 「好き嫌いはダメよ。自分のペンネームに恥じないよう、きちんと食べられるようになりなさい」
憂 「はい、努力します・・・」
88: 2011/02/04(金) 00:18:39.52
軽音部には可愛い後輩が入部したそう。きっとますます、賑やかで楽しい部になっていくんだろうな。
居場所とかつての明るさを取り戻した唯。次は律へ気持ちを伝える大仕事が待っているね。
鋭い律もそっちの方面には疎そうだし、苦労する唯が目に浮かぶよう。
でも、今の唯だったら気持ちをきちんと言葉にして、相手に伝えることができるよね。だから、ひとまず心配はしないことにしておくわ。
憂も夢への第一歩を原稿という形になした。
皆が日々、新しい一歩を踏み出している。
じゃあ、私は?
私は今期の生徒会選挙に立候補するため、その準備に追われる日々を送っている。
ずっとやってみたかった仕事。実現のためには、やることは山盛り。演説文、ポスター作りにクラス巡り・・・てんやわんや。
だけど必ず実現してみせる。私には私の新しい居場所を作る、夢を叶えるという義務と権利があるのだから。
居場所とかつての明るさを取り戻した唯。次は律へ気持ちを伝える大仕事が待っているね。
鋭い律もそっちの方面には疎そうだし、苦労する唯が目に浮かぶよう。
でも、今の唯だったら気持ちをきちんと言葉にして、相手に伝えることができるよね。だから、ひとまず心配はしないことにしておくわ。
憂も夢への第一歩を原稿という形になした。
皆が日々、新しい一歩を踏み出している。
じゃあ、私は?
私は今期の生徒会選挙に立候補するため、その準備に追われる日々を送っている。
ずっとやってみたかった仕事。実現のためには、やることは山盛り。演説文、ポスター作りにクラス巡り・・・てんやわんや。
だけど必ず実現してみせる。私には私の新しい居場所を作る、夢を叶えるという義務と権利があるのだから。
89: 2011/02/04(金) 00:21:24.38
律 「みなさん、こんにちわー!今日は私たち軽音部のライブにようこそー!じゃあ、メンバーを紹介します!」
律 「ギター!休みの日はいつもゴロゴロ。甘い物なら私に任せろ!ノンビリ妖精 平沢唯ぃー!」
唯 「じゃらーん!じゃららららら、ぎゅいーーん!」
律 「キーボード!お菓子の目利きはお手の物。シットリノリノリ天然系お嬢様 琴吹紬ぃー!」
紬 「ぽろぽろぽろ、ぽろろろろろろん。えへ♪」
律 「ベース!怖い話と痛い話が超苦手!軽音部のドン、デンジャラスクイーン!秋山澪ぉー!」
澪 「誰がデンジャラスだ!!」
律 「ドラム!!容姿端麗頭脳明晰!さわやか笑顔で幸せはこぶみんなのアイドル!田井中りt(ごんっ!)いたぁー!?」
澪 「自分だけ持ち上げすぎだろ!!」
律 「最後にボーカル、バンドの花形の登場だ!全てを見通す赤ブチメガネ。しっかり者の軽音部のお母さん!真鍋和ぁー!」
和 「お・・・お母さん。そう見られてたのね、私・・・ 正直へこむわ・・・・」
90: 2011/02/04(金) 00:23:04.72
律 「てな感じのMCでいってみようと思うんだけど、どーよ」
唯 「私はいいと思うよ、りっちゃん!!」
澪 「えー・・・ もうちょっとまじめにやろうよ・・・コミックバンドと間違われちゃうだろ」
唯 「澪ちゃん、面白いしこれで行こうよー。それにもうすぐ幕が開いちゃうよ、ねぇムギちゃん?」
紬 「あらあら、そうねぇ。今から考え直している時間はないわねぇー」
澪 「うう・・・」
和 「せ、せめてお母さんってのだけは抜いてくれないかしら・・・・」
律 「分かった分かった。さ、時間だ。みんな配置につこうぜ。良いライブにしような!」
おーっ!
唯 「私はいいと思うよ、りっちゃん!!」
澪 「えー・・・ もうちょっとまじめにやろうよ・・・コミックバンドと間違われちゃうだろ」
唯 「澪ちゃん、面白いしこれで行こうよー。それにもうすぐ幕が開いちゃうよ、ねぇムギちゃん?」
紬 「あらあら、そうねぇ。今から考え直している時間はないわねぇー」
澪 「うう・・・」
和 「せ、せめてお母さんってのだけは抜いてくれないかしら・・・・」
律 「分かった分かった。さ、時間だ。みんな配置につこうぜ。良いライブにしような!」
おーっ!
91: 2011/02/04(金) 00:25:46.48
静かにゆっくりと、目の前を覆っていた幕が上がってゆく。
替わりに現われたのは、これから始まるライブに期待の目を向ける顔・顔・顔・・・
体が震える。武者震い。心地好い緊張感が全身を支配する。悪い気はしない。
マイクスタンドに手を沿えながら、震えで膝が笑わないように両足に力を込める。
律のワンツーの掛け声と共に始まる演奏。いよいよだ。
私も皆の演奏に負けないように、懸命に歌う。隣では唯も私を追うように声を重ねてくる。
最高の演奏。最高のコーラス。だから私も最高の歌で応えなきゃ。
緊張は興奮に代わり、ただ純粋に今の瞬間を楽しんでいる自分がそこにはいた。
この思い出があれば、きっとこの先。失敗したり後悔を感じることがあっても。
きっと私は膝を折ることなく、挫折を知ることもないだろう。
後ろに気を取られていた私に前を向かせてくれた、かけがえのないみんなとの思い出があれば。
私の軽音部でのライブは終わったけれど、新しいステージの幕はまだ開いたばかりだ。
おわり!
替わりに現われたのは、これから始まるライブに期待の目を向ける顔・顔・顔・・・
体が震える。武者震い。心地好い緊張感が全身を支配する。悪い気はしない。
マイクスタンドに手を沿えながら、震えで膝が笑わないように両足に力を込める。
律のワンツーの掛け声と共に始まる演奏。いよいよだ。
私も皆の演奏に負けないように、懸命に歌う。隣では唯も私を追うように声を重ねてくる。
最高の演奏。最高のコーラス。だから私も最高の歌で応えなきゃ。
緊張は興奮に代わり、ただ純粋に今の瞬間を楽しんでいる自分がそこにはいた。
この思い出があれば、きっとこの先。失敗したり後悔を感じることがあっても。
きっと私は膝を折ることなく、挫折を知ることもないだろう。
後ろに気を取られていた私に前を向かせてくれた、かけがえのないみんなとの思い出があれば。
私の軽音部でのライブは終わったけれど、新しいステージの幕はまだ開いたばかりだ。
おわり!
92: 2011/02/04(金) 00:26:58.93
淡々と投下して淡々と終了。
お目汚し、失礼致しました。
お目汚し、失礼致しました。
93: 2011/02/04(金) 00:28:07.34
おつかれさま
なかなかおもしろかったよ
膨らませようと思えばまだまだいけそうだね
なかなかおもしろかったよ
膨らませようと思えばまだまだいけそうだね
95: 2011/02/04(金) 00:33:23.92
乙、個人的に満足です
なんか途中ヤンデレがあったような気がしたけどそんな事はなかったぜ
なんか途中ヤンデレがあったような気がしたけどそんな事はなかったぜ
105: 2011/03/21(月) 12:28:05.48
1です。
ちょっと外伝というか、補完をば。
夏休みが終わって、あと数日でいよいよ学園祭という、ある日の出来事です。
ゆっくり行きます。
ちょっと外伝というか、補完をば。
夏休みが終わって、あと数日でいよいよ学園祭という、ある日の出来事です。
ゆっくり行きます。
106: 2011/03/21(月) 12:28:46.95
和 「桜高軽音部専属ボーカル 真鍋和です~桜高祭 本番まであと三日 編~
107: 2011/03/21(月) 12:31:51.10
学園祭を三日にひかえた、ある日の放課後。
軽音部!!
ちゃちゃっ!ちゃちゃっ!ちゃ~~~ん♪
じゃかじゃんっ!
澪 「・・・・・ふむ」
律 「いいじゃんいいじゃん」
唯 「うんうん!」
和 「・・・だね!」
みんな「完・璧!!」
軽音部!!
ちゃちゃっ!ちゃちゃっ!ちゃ~~~ん♪
じゃかじゃんっ!
澪 「・・・・・ふむ」
律 「いいじゃんいいじゃん」
唯 「うんうん!」
和 「・・・だね!」
みんな「完・璧!!」
108: 2011/03/21(月) 12:35:58.85
澪 「最近ずっと思ってたんだけどさ。もしかして私たち、凄くないか?」
律 「ああ、凄い凄い。夏休みに初めて音合わせして、それからまだ間もないってのに」
澪 「もうこんなに息がピッタリだ!」
唯 「これなら胸を張って、桜高祭のステージにも立てるね」
和 「そうね。これも合宿で頑張った成果かしら」
合宿・・・
私が無用なこだわりを捨て、唯が心の蓋を開くことができた、あの合宿が終わってから早一ヶ月。
私たちの高校生活最初の夏休みは、軽音部のみんなとの多くの思い出を跡に残して、怒涛のように過ぎ去っていった。
日中は部室に集まり練習に明け暮れ、それがすめばみんなで外に繰り出し。
街で遊んだりファーストフードでだべったり。
わずかひと月たらずの夏休みの、なんて密度が濃かったことだろう。
友達とただ楽しく笑いあって、負い目のない付き合い方をすることが、こんなにも楽しかっただなんて。
忘れていた感覚。
律 「ああ、凄い凄い。夏休みに初めて音合わせして、それからまだ間もないってのに」
澪 「もうこんなに息がピッタリだ!」
唯 「これなら胸を張って、桜高祭のステージにも立てるね」
和 「そうね。これも合宿で頑張った成果かしら」
合宿・・・
私が無用なこだわりを捨て、唯が心の蓋を開くことができた、あの合宿が終わってから早一ヶ月。
私たちの高校生活最初の夏休みは、軽音部のみんなとの多くの思い出を跡に残して、怒涛のように過ぎ去っていった。
日中は部室に集まり練習に明け暮れ、それがすめばみんなで外に繰り出し。
街で遊んだりファーストフードでだべったり。
わずかひと月たらずの夏休みの、なんて密度が濃かったことだろう。
友達とただ楽しく笑いあって、負い目のない付き合い方をすることが、こんなにも楽しかっただなんて。
忘れていた感覚。
109: 2011/03/21(月) 12:38:35.82
律 「しっかし和って、良い声してるよなぁ」
和 「え。な、なによいきなり・・・」
澪 「いや、私もそれは思ってた」
和 「ちょ、ちょっと・・・」
澪 「声に伸びがあるって言うか、聞いていて心地好い声音だよな~」
和 「ああ、もうっ!」
唯 「和ちゃん、照れてる~」
和 「ゆ、唯っ!」
唯 「きゃー♪」
和 「え。な、なによいきなり・・・」
澪 「いや、私もそれは思ってた」
和 「ちょ、ちょっと・・・」
澪 「声に伸びがあるって言うか、聞いていて心地好い声音だよな~」
和 「ああ、もうっ!」
唯 「和ちゃん、照れてる~」
和 「ゆ、唯っ!」
唯 「きゃー♪」
110: 2011/03/21(月) 12:40:42.18
唯 「照れてる和ちゃんも可愛いよ」
和 「唯!こら、待ちなさいっ!」
唯 「やだー」キャッキャ
和 「ちょ、この・・・!逃げ足だけは相変わらず速い・・・!」
唯 「可愛いって言ってるのに、なんで和ちゃんは怒るのかなー・・・ おっと!」
和 「くっ!この!ちょこ・・・」すかっ
和 「まか・・・とっ!」すかっ!
澪 「すごいな唯。全部すんでのところでかわしてるぞ」
律 「おーおー、和も必氏になっちゃって」
和 「唯!こら、待ちなさいっ!」
唯 「やだー」キャッキャ
和 「ちょ、この・・・!逃げ足だけは相変わらず速い・・・!」
唯 「可愛いって言ってるのに、なんで和ちゃんは怒るのかなー・・・ おっと!」
和 「くっ!この!ちょこ・・・」すかっ
和 「まか・・・とっ!」すかっ!
澪 「すごいな唯。全部すんでのところでかわしてるぞ」
律 「おーおー、和も必氏になっちゃって」
111: 2011/03/21(月) 12:45:29.26
律 「なんも怒ることないだろー、和」
和 「はぁはぁ・・・だ、だって、みんなで・・・ぜぇぜぇ、変なことを言うから・・・」
律 「褒めたんだろ?」
和 「うう・・・」
澪 「別にお世辞や冷やかしで言ってるんじゃないよ。本当に良い声だなって思ったから言ったんだ」
澪 「歌い手が良いと選曲の幅も広がるし、ほんと和が軽音部に入ってくれて良かったよ」
和 「・・・っ」
律 「唯のコーラスも、良い感じで声が出てきたし」
唯 「えへへ」
律 「楽しみだな、ライブ!」
和 「え、ええ・・・・」
唯 「・・・・和ちゃん?」
和 「はぁはぁ・・・だ、だって、みんなで・・・ぜぇぜぇ、変なことを言うから・・・」
律 「褒めたんだろ?」
和 「うう・・・」
澪 「別にお世辞や冷やかしで言ってるんじゃないよ。本当に良い声だなって思ったから言ったんだ」
澪 「歌い手が良いと選曲の幅も広がるし、ほんと和が軽音部に入ってくれて良かったよ」
和 「・・・っ」
律 「唯のコーラスも、良い感じで声が出てきたし」
唯 「えへへ」
律 「楽しみだな、ライブ!」
和 「え、ええ・・・・」
唯 「・・・・和ちゃん?」
112: 2011/03/21(月) 12:47:34.75
和 「そ、それはそうと・・・!」
律 「誤魔化した!」
和 「じゃなくて。今日ムギの姿が見えないのが気になってたんだけど・・・」
澪 「ああ、ムギなら職員室だよ」
澪 「学園祭でステージを使う許可をもらいにね、お使いをお願いしたんだ」
和 「そうだったの」
律 「と、噂をすれば・・・」
がらっ
紬 「みんな、ただいま~」
唯 「ムギちゃん、おかえり!」
律 「誤魔化した!」
和 「じゃなくて。今日ムギの姿が見えないのが気になってたんだけど・・・」
澪 「ああ、ムギなら職員室だよ」
澪 「学園祭でステージを使う許可をもらいにね、お使いをお願いしたんだ」
和 「そうだったの」
律 「と、噂をすれば・・・」
がらっ
紬 「みんな、ただいま~」
唯 「ムギちゃん、おかえり!」
113: 2011/03/21(月) 12:53:03.16
澪 「ご苦労様、ムギ。それでステージは何時から使えるって?」
紬 「それがねぇ。軽音部はまだちゃんとしたクラブって認められてないって、断られちゃった」
唯 「ああ、そっか~」
律 「それじゃぁ仕方がないよなぁ」
澪 「うんうん。じゃあ、ライブに向けてもう一ガンバ・・・・り・・・」
・・・・・
・・・・・
律・澪・唯・和 「ええっ!?!?!?」
紬 「それがねぇ。軽音部はまだちゃんとしたクラブって認められてないって、断られちゃった」
唯 「ああ、そっか~」
律 「それじゃぁ仕方がないよなぁ」
澪 「うんうん。じゃあ、ライブに向けてもう一ガンバ・・・・り・・・」
・・・・・
・・・・・
律・澪・唯・和 「ええっ!?!?!?」
114: 2011/03/21(月) 13:04:10.41
律 「部として認められてないだって!?」
紬 「うん、そうみたい・・・」
唯 「部員が四人以上集まったんだから、ダイジョブなんじゃなかったの・・・?」
律 「そのはずなんだけどな」
和 「・・・部として認められてないのに、音楽室を勝手に使ってて良かったのかしら」
律 「い、今まで何も言われなかったから、大丈夫だよ!・・・・きっと」
律 「それより!どういう理由なのか聞きに行かないとな!」
澪 「そうだな。納得のいく答えがもらえない時には、抗議してやらないと・・・!」
律 「よし、ここは部長の私と・・・ 和!いっしょに来てくれ!」
和 「分かったわ」
紬 「うん、そうみたい・・・」
唯 「部員が四人以上集まったんだから、ダイジョブなんじゃなかったの・・・?」
律 「そのはずなんだけどな」
和 「・・・部として認められてないのに、音楽室を勝手に使ってて良かったのかしら」
律 「い、今まで何も言われなかったから、大丈夫だよ!・・・・きっと」
律 「それより!どういう理由なのか聞きに行かないとな!」
澪 「そうだな。納得のいく答えがもらえない時には、抗議してやらないと・・・!」
律 「よし、ここは部長の私と・・・ 和!いっしょに来てくれ!」
和 「分かったわ」
115: 2011/03/21(月) 13:09:30.98
とことこ
律 「しかし、これって一体どういうことだよ・・・!」
和 「律、そんなにカッカしないで。生徒会室に行けば、理由も分かるから」
律 「そりゃそうだけど、だけどさぁ・・・」
和 「?」
律 「人前で声を出すのに慣れてない唯がさ、あんな一生懸命がんばってるってのに」
律 「そんな前向きな気持ちに水を差されて、それでまた唯の心が蓋で閉ざされたらって思うと、私・・・」
和 「律・・・」
和 「ありがと、律。唯のことを本気で考えてくれてるのね」
律 「友達なんだ、当たり前だろ」
律 「しかし、これって一体どういうことだよ・・・!」
和 「律、そんなにカッカしないで。生徒会室に行けば、理由も分かるから」
律 「そりゃそうだけど、だけどさぁ・・・」
和 「?」
律 「人前で声を出すのに慣れてない唯がさ、あんな一生懸命がんばってるってのに」
律 「そんな前向きな気持ちに水を差されて、それでまた唯の心が蓋で閉ざされたらって思うと、私・・・」
和 「律・・・」
和 「ありがと、律。唯のことを本気で考えてくれてるのね」
律 「友達なんだ、当たり前だろ」
116: 2011/03/21(月) 13:11:50.14
和 「でも大丈夫。今の唯は、そんなにやわじゃないわよ」
律 「そんなの分からないだろ。心なんてデリケートなもの、何がきっかけで崩れちゃうかなんてさ」
和 「そうだけど。でもね、平気なのよ。今の唯は」
律 「なんでだよ・・・」
和 「それは私の口からはちょっと、ね。機会があったら本人から聞いてちょうだい」
律 「いじわるめ」
和 「知らなかった?こう見えてね、私はけっこう意地悪なのよ」
それはね、律が唯の側にいてくれているから。
なんてことは、私の口からは言ってあげない。
律 「そんなの分からないだろ。心なんてデリケートなもの、何がきっかけで崩れちゃうかなんてさ」
和 「そうだけど。でもね、平気なのよ。今の唯は」
律 「なんでだよ・・・」
和 「それは私の口からはちょっと、ね。機会があったら本人から聞いてちょうだい」
律 「いじわるめ」
和 「知らなかった?こう見えてね、私はけっこう意地悪なのよ」
それはね、律が唯の側にいてくれているから。
なんてことは、私の口からは言ってあげない。
117: 2011/03/21(月) 13:15:30.39
生徒会室!!
和 「さて、ついたわね」
律 「相手は海千山千の役員どもだ。気圧されるなよ」
和 「もちろん」
律 「じゃあ、開けるぞ!」
がちゃっ!
和 「ごめん下さい!」
律 「部長はワタシッ!!」
曽我部 「・・・・・・へ?」
和 「さて、ついたわね」
律 「相手は海千山千の役員どもだ。気圧されるなよ」
和 「もちろん」
律 「じゃあ、開けるぞ!」
がちゃっ!
和 「ごめん下さい!」
律 「部長はワタシッ!!」
曽我部 「・・・・・・へ?」
118: 2011/03/21(月) 13:20:05.55
・・・・・・
・・・・・・
曽我部 「そう、正式な部じゃないって先生に言われちゃったのね」
和 「はい。部活動の申請と許可は生徒会を通して学校側に通されるでしょう?」
曽我部 「そうね」
和 「なので、なぜ軽音部が部として認められていないのか。ここに来れば分かると思いまして」
律 「ふむ・・・ ちょっと待ってね」
ぺらぺら
律 「それ、何です?」
曽我部 「桜高の全部活リスト。一応申請が出されたものに関しては、全て記録されているはずなんだけど・・・」
曽我部 「やっぱり無いわね。軽音部」
律 「無いって・・・ それ、そういうことですか」
・・・・・・
曽我部 「そう、正式な部じゃないって先生に言われちゃったのね」
和 「はい。部活動の申請と許可は生徒会を通して学校側に通されるでしょう?」
曽我部 「そうね」
和 「なので、なぜ軽音部が部として認められていないのか。ここに来れば分かると思いまして」
律 「ふむ・・・ ちょっと待ってね」
ぺらぺら
律 「それ、何です?」
曽我部 「桜高の全部活リスト。一応申請が出されたものに関しては、全て記録されているはずなんだけど・・・」
曽我部 「やっぱり無いわね。軽音部」
律 「無いって・・・ それ、そういうことですか」
119: 2011/03/21(月) 13:27:26.33
曽我部 「部活申請用紙、ちゃんと提出した?」
和 「そんなの当然じゃないですか」
曽我部 「おかしいわね。提出された申請用紙もまとめて綴られてるんだけど、軽音部のはやっぱり無いのよ」
律 「・・・・・あ」
曽我部 「一応聞くけど、用紙の出し忘れってことは無いのかしら?」
和 「そんな。申請用紙なんて一番最初に提出するものですし、忘れるなんて事・・・」
和 「・・・・律?」
律 「・・・・」
和 「まさか・・・?」
律 「え・・・えへ♪」
和 「そんなの当然じゃないですか」
曽我部 「おかしいわね。提出された申請用紙もまとめて綴られてるんだけど、軽音部のはやっぱり無いのよ」
律 「・・・・・あ」
曽我部 「一応聞くけど、用紙の出し忘れってことは無いのかしら?」
和 「そんな。申請用紙なんて一番最初に提出するものですし、忘れるなんて事・・・」
和 「・・・・律?」
律 「・・・・」
和 「まさか・・・?」
律 「え・・・えへ♪」
120: 2011/03/21(月) 13:29:39.63
律 「ごめんなさいっ!!」どげざっ!!
和 「ちょ・・・ 律、頭を上げて」
曽我部 「そうよ、土下座はよくないわ」
律 「だけど!私の不注意で軽音部のみんなには不安な思いをさせてしまったし・・・」
律 「生徒会の人を疑うようなことをしちゃったりもしたし、もう何と謝ったら良いのか」
曽我部 「まぁまぁ。仲間内のことはそっちで解決してもらうとして、私のことならもう良いわよ」
律 「怒ってないので・・?」
曽我部 「土下座までされちゃ、怒る気にもなれないわよ」
律 「いやはや、なんとも・・・・」
和 「私も生徒会のほうに原因があると、一方的に決めてかかっていました」
和 「曽我部先輩、すみませんでした」
曽我部 「え?」
和 「ちょ・・・ 律、頭を上げて」
曽我部 「そうよ、土下座はよくないわ」
律 「だけど!私の不注意で軽音部のみんなには不安な思いをさせてしまったし・・・」
律 「生徒会の人を疑うようなことをしちゃったりもしたし、もう何と謝ったら良いのか」
曽我部 「まぁまぁ。仲間内のことはそっちで解決してもらうとして、私のことならもう良いわよ」
律 「怒ってないので・・?」
曽我部 「土下座までされちゃ、怒る気にもなれないわよ」
律 「いやはや、なんとも・・・・」
和 「私も生徒会のほうに原因があると、一方的に決めてかかっていました」
和 「曽我部先輩、すみませんでした」
曽我部 「え?」
121: 2011/03/21(月) 13:35:58.35
曽我部 「あなた、私の名前を知って・・・?」
和 「あ、はい」
曽我部 「どうして?そんなに下級生に名が売れてるとも思えないんだけど」
和 「えっと・・・ 一応。生徒会の主だった人の名前は覚えていますので・・・」
曽我部 「へぇ?何はともあれ、それは光栄ね。じゃ、私にもあなたの名前を聞かせてもらえるかしら?」
和 「はい、真鍋です。真鍋 和」
曽我部 「真鍋さんね。これも何かの縁、あなたの名前は覚えておくわね」
和 「ありがとうございます」
和 「あ、はい」
曽我部 「どうして?そんなに下級生に名が売れてるとも思えないんだけど」
和 「えっと・・・ 一応。生徒会の主だった人の名前は覚えていますので・・・」
曽我部 「へぇ?何はともあれ、それは光栄ね。じゃ、私にもあなたの名前を聞かせてもらえるかしら?」
和 「はい、真鍋です。真鍋 和」
曽我部 「真鍋さんね。これも何かの縁、あなたの名前は覚えておくわね」
和 「ありがとうございます」
122: 2011/03/21(月) 13:39:22.02
曽我部 「よし・・・ これで良いわ」
曽我部 「これで軽音部は正式な部として認められたわ。ステージの使用申請も、問題なく受理されるはずよ」
律 「あ、ありがとうございますうううっ!このご恩は一生忘れませんんっ!」
曽我部 「面白い子ね、田井中さんって」
和「彼女なりの、罪悪感と責任感の現われなんです」
曽我部 「あらあら」
和 「曽我部先輩、なにから何までやっていただいて、本当にありがとうございました」
曽我部 「良いのよ。それと、これ」(ぴらっ)
和 「これは?」
曽我部 「顧問の承諾書。これに顧問の先生の印鑑をもらってきてちょうだい。それで万事解決よ」
律・和「え」
曽我部 「これで軽音部は正式な部として認められたわ。ステージの使用申請も、問題なく受理されるはずよ」
律 「あ、ありがとうございますうううっ!このご恩は一生忘れませんんっ!」
曽我部 「面白い子ね、田井中さんって」
和「彼女なりの、罪悪感と責任感の現われなんです」
曽我部 「あらあら」
和 「曽我部先輩、なにから何までやっていただいて、本当にありがとうございました」
曽我部 「良いのよ。それと、これ」(ぴらっ)
和 「これは?」
曽我部 「顧問の承諾書。これに顧問の先生の印鑑をもらってきてちょうだい。それで万事解決よ」
律・和「え」
123: 2011/03/21(月) 13:52:15.51
曽我部 「えって・・・ え?」
律・和 「いやあの・・・ え?顧問?」
曽我部 「・・・まさか」
律 「あ、あはは・・・ 忘れて・・・た。そういや必要ですよね、部活に顧問って・・・」
和 「自分に愕然だわ。なぜこんな基本的なことに、今まで気がつかなかったのかしら・・・」
曽我部 「あなたたち・・・」
律 「てへ・・・」
和 「あは・・・」
曽我部 「はは・・は・・」
ははははははは・・・
生徒会室にしばし響く、私たちの乾いた笑い。
律・和 「いやあの・・・ え?顧問?」
曽我部 「・・・まさか」
律 「あ、あはは・・・ 忘れて・・・た。そういや必要ですよね、部活に顧問って・・・」
和 「自分に愕然だわ。なぜこんな基本的なことに、今まで気がつかなかったのかしら・・・」
曽我部 「あなたたち・・・」
律 「てへ・・・」
和 「あは・・・」
曽我部 「はは・・は・・」
ははははははは・・・
生徒会室にしばし響く、私たちの乾いた笑い。
124: 2011/03/21(月) 14:00:58.68
和 「とりあえず、この用紙は頂いていきます」
曽我部 「これから顧問を探すつもり?」
和 「はい。諦めるわけにはいかないので」
曽我部 「そう。でも急いだほうが良いわ。学祭で講堂のステージはあらゆる部が使用するのだし」
曽我部 「割り振りの都合上、もうそんなに時間は残されていないのよ」
律 「これは、本格的にやばい雲行きになってきたな」
和 「・・・・平気。私にちょっと心当たりがあるの」
律 「ほう」
和 「ではこれで。書類うめたら、またすぐ来ます」
曽我部 「はい。がんばってね」
曽我部 「これから顧問を探すつもり?」
和 「はい。諦めるわけにはいかないので」
曽我部 「そう。でも急いだほうが良いわ。学祭で講堂のステージはあらゆる部が使用するのだし」
曽我部 「割り振りの都合上、もうそんなに時間は残されていないのよ」
律 「これは、本格的にやばい雲行きになってきたな」
和 「・・・・平気。私にちょっと心当たりがあるの」
律 「ほう」
和 「ではこれで。書類うめたら、またすぐ来ます」
曽我部 「はい。がんばってね」
125: 2011/03/21(月) 14:04:36.55
廊下!!
律 「ほんとゴメンなぁ・・・」
和 「もう良いわよ。いつまでも、律らしくない」
律 「そうかもしれないけど、さっきかっこいい事を言った手前、どうにも・・・さ」
和 「まぁ、分かるけど。けど、律が唯のことを本気で考えてくれてるのは変わらないのだし」
和 「それに顧問の件はね。律だけじゃなくて、部のみんなが迂闊だったわけだから」
和 「だから、あまり気に病むことはないわよ」
律 「和、良いやつだなぁ・・・」
和 「律ほどじゃないわよ」
律 「・・・むぅ」
律 「ほんとゴメンなぁ・・・」
和 「もう良いわよ。いつまでも、律らしくない」
律 「そうかもしれないけど、さっきかっこいい事を言った手前、どうにも・・・さ」
和 「まぁ、分かるけど。けど、律が唯のことを本気で考えてくれてるのは変わらないのだし」
和 「それに顧問の件はね。律だけじゃなくて、部のみんなが迂闊だったわけだから」
和 「だから、あまり気に病むことはないわよ」
律 「和、良いやつだなぁ・・・」
和 「律ほどじゃないわよ」
律 「・・・むぅ」
126: 2011/03/21(月) 14:08:38.06
律 「それはそうと、和。あの先輩のこと、知ってたんだな」
和 「ええ。律には言ったかしら。私、一時期生徒会に入りたかったことがあってね」
和 「だからかな。生徒会の人のこと、自然と目で追っちゃうのよ」
律 「そうなんだ。私はまたてっきり・・・」
和 「・・・・」
律 「あ、いや。それで。顧問の心当たりって言うのは?」
和 「ふふ・・・ねぇ律。あなた、音楽室の書架に古い卒業アルバムがあったの知ってる?」
律 「ああ、昔の卒業生が記念においていったやつな。パラパラめくってみたことはあるけど・・・」
和 「で。それがここにあるわけだけど」(てってれー)
律 「なんで持ち歩いてるんだよ!」
和 「ええ。律には言ったかしら。私、一時期生徒会に入りたかったことがあってね」
和 「だからかな。生徒会の人のこと、自然と目で追っちゃうのよ」
律 「そうなんだ。私はまたてっきり・・・」
和 「・・・・」
律 「あ、いや。それで。顧問の心当たりって言うのは?」
和 「ふふ・・・ねぇ律。あなた、音楽室の書架に古い卒業アルバムがあったの知ってる?」
律 「ああ、昔の卒業生が記念においていったやつな。パラパラめくってみたことはあるけど・・・」
和 「で。それがここにあるわけだけど」(てってれー)
律 「なんで持ち歩いてるんだよ!」
127: 2011/03/21(月) 14:14:01.12
和 「いざというときに役に立ちそうだったからね」
律 「なんでさ?」
和 「それはね、ほらここ。軽音部のページを見て」
律 「・・・なんど見ても凄いな。ロックって言うか、パンクだろこれ」
和 「でね、この真ん中のギターの人。よく見てみて?」
律 「え? ・・・んー」
和 「何か気がつかない?」
律 「・・・・・・あれ?この人、どっかで・・・」
律 「あ」
和 にやり
律 「なんでさ?」
和 「それはね、ほらここ。軽音部のページを見て」
律 「・・・なんど見ても凄いな。ロックって言うか、パンクだろこれ」
和 「でね、この真ん中のギターの人。よく見てみて?」
律 「え? ・・・んー」
和 「何か気がつかない?」
律 「・・・・・・あれ?この人、どっかで・・・」
律 「あ」
和 にやり
128: 2011/03/21(月) 14:17:19.17
職員室!!
律 「というわけで、顧問になって欲しくて来ました!」
さわ子 「来ました!って、元気に言われてもねぇ・・・ まだ顧問いなかったんだ」
和 「お願いします。先生しか頼める人がいないんです」
さわ子 「ごめんなさい。なってあげたいのは山々だけど・・・」
さわ子 「真鍋さんには言ったことがあると思うけど、私は吹奏楽部の顧問をしているから。かけもちはちょっと・・・」
律 「そんなぁ・・・」
さわ子 「ごめんなさいね・・・」
律 「いてもらうだけで良いんです!ここに名前書いて、はんこ押すだけ!簡単でしょー!?」
さわ子 「ちょ、ちょっと・・・」
律 「というわけで、顧問になって欲しくて来ました!」
さわ子 「来ました!って、元気に言われてもねぇ・・・ まだ顧問いなかったんだ」
和 「お願いします。先生しか頼める人がいないんです」
さわ子 「ごめんなさい。なってあげたいのは山々だけど・・・」
さわ子 「真鍋さんには言ったことがあると思うけど、私は吹奏楽部の顧問をしているから。かけもちはちょっと・・・」
律 「そんなぁ・・・」
さわ子 「ごめんなさいね・・・」
律 「いてもらうだけで良いんです!ここに名前書いて、はんこ押すだけ!簡単でしょー!?」
さわ子 「ちょ、ちょっと・・・」
129: 2011/03/21(月) 14:21:43.86
さわ子 「無理なものは無理です!」
律 「どうしても?」
さわ子 「ごめんね」
律 「そうか・・・ できればこの手は使いたくはなかったんだけど」
さわ子 「え?」
和 「致し方ないわね。先生を脅迫するなんて、非常に心苦しいのだけど」
ごそごそ
和 「私たちも手段を選んではいられないので」
てってれー
さわ子 「そ、その卒業アルバムは!?」
和 「ふっふっふ」
律 「どうしても?」
さわ子 「ごめんね」
律 「そうか・・・ できればこの手は使いたくはなかったんだけど」
さわ子 「え?」
和 「致し方ないわね。先生を脅迫するなんて、非常に心苦しいのだけど」
ごそごそ
和 「私たちも手段を選んではいられないので」
てってれー
さわ子 「そ、その卒業アルバムは!?」
和 「ふっふっふ」
130: 2011/03/21(月) 14:30:01.25
和 「このページのこの人、山中先生ですよね?」
さわ子 「そ、その禁断の書を、一体どこで!?」
和 「部室にありました」
さわ子 「ま、まさか最後の一冊が学校に保管されていたなんて・・・・!!」
和 「やはりこのアルバム、先生にとっての黒歴史だったようですね」
律 「綺麗な顔立ちと柔らかな物腰で、生徒はおろか教師の間でも人気が高い。そんな山中先生のかつての姿がこれ・・・」
律 「そりゃ、誰にも知られたくないわなぁ~」ケラケラ
さわ子 「よこしなさい!」ひゅっ
和 「おっと!」ひょいっ
さわ子 「ちいっ!」ひゅひゅっ
和 「ぬるいぬるい!」ひょひょいっ
律 「おお、普段から唯の逃げ足に鍛えられてるだけあって、和もなかなかのフットワーク!」
さわ子 「そ、その禁断の書を、一体どこで!?」
和 「部室にありました」
さわ子 「ま、まさか最後の一冊が学校に保管されていたなんて・・・・!!」
和 「やはりこのアルバム、先生にとっての黒歴史だったようですね」
律 「綺麗な顔立ちと柔らかな物腰で、生徒はおろか教師の間でも人気が高い。そんな山中先生のかつての姿がこれ・・・」
律 「そりゃ、誰にも知られたくないわなぁ~」ケラケラ
さわ子 「よこしなさい!」ひゅっ
和 「おっと!」ひょいっ
さわ子 「ちいっ!」ひゅひゅっ
和 「ぬるいぬるい!」ひょひょいっ
律 「おお、普段から唯の逃げ足に鍛えられてるだけあって、和もなかなかのフットワーク!」
132: 2011/03/21(月) 14:40:02.62
和 「というわけで。ばらされたくなかったら顧問をやってください」
さわ子 「分かったわ。負け。私の負けです。さっきも言ったけど掛け持ちですからね。つきっきりにはなれないわよ」
和 「はい。それで構いません」
律 「やったー!じゃ早速、これにはんこちょーだい♪」
さわ子 「はいはい。・・・・と、これで良い?」
和 「確かに。じゃ、律。書類は私が生徒会室に持っていくから」
律 「頼んだ!私はこのこと、みんなに伝えに戻るぜ!」
律 「そんじゃこれからよろしく、さわちゃん!」
さわ子 「さ、さわちゃん!?」
さわ子 「分かったわ。負け。私の負けです。さっきも言ったけど掛け持ちですからね。つきっきりにはなれないわよ」
和 「はい。それで構いません」
律 「やったー!じゃ早速、これにはんこちょーだい♪」
さわ子 「はいはい。・・・・と、これで良い?」
和 「確かに。じゃ、律。書類は私が生徒会室に持っていくから」
律 「頼んだ!私はこのこと、みんなに伝えに戻るぜ!」
律 「そんじゃこれからよろしく、さわちゃん!」
さわ子 「さ、さわちゃん!?」
133: 2011/03/21(月) 14:42:18.48
さわ子 (ぐったり)「はぁ・・・ 他の先生が側にいなかったのだけが、せめてもの救いね」
さわ子 「・・・あなたは行かないの?」
和 「行きます。でも、その前に・・・・」
がばっ!
さわ子 「な、なぁに?いきなり頭なんか下げて!」
和 「先生を脅迫するような真似をして、すみませんでした」
さわ子 「・・・真鍋さん」
和 「先生には感謝しているんです。あの時の私に進む道の指針を与えてくれて」
和 「おかげで私は唯と同じ部活に入る決心がつき、その結果、いま一緒だった律をはじめ・・・」
和 「すばらしい友達とも出会えることができたんです」
134: 2011/03/21(月) 14:51:42.17
さわ子 「・・・そう。よかったわ、そんな風に思ってくれていて」
和 「唯、みんなと出会えて少しずつ明るさを取り戻していって・・・」
和 「そんな唯が今、桜高祭のライブに向けて本当にがんばっているんです」
和 「だから、顧問がいなくてステージに立てないなんて。唯の頑張りが無駄になっちゃうなんて、そんな事にはしたくないんです」
さわ子 「うん・・・」
和 「それに山中先生なら良い顧問になってくれると思ったから。だから強引に。すみませんでした・・・」
さわ子 「もう良いわよ。怒るに怒れなくなっちゃったじゃない」
和 「・・・はい」
さわ子 「それじゃ、あとで軽音部に顔を出します。みんながどんな演奏を聴かせてくれるのか、確かめに行かなきゃね」
和 「先生」
さわ子 「顧問の初仕事よ。あなた達も気合入れて聴かせなさい。さ、まずは書類。もってっちゃいなさい」
和 「はい!ありがとうございました!」
和 「唯、みんなと出会えて少しずつ明るさを取り戻していって・・・」
和 「そんな唯が今、桜高祭のライブに向けて本当にがんばっているんです」
和 「だから、顧問がいなくてステージに立てないなんて。唯の頑張りが無駄になっちゃうなんて、そんな事にはしたくないんです」
さわ子 「うん・・・」
和 「それに山中先生なら良い顧問になってくれると思ったから。だから強引に。すみませんでした・・・」
さわ子 「もう良いわよ。怒るに怒れなくなっちゃったじゃない」
和 「・・・はい」
さわ子 「それじゃ、あとで軽音部に顔を出します。みんながどんな演奏を聴かせてくれるのか、確かめに行かなきゃね」
和 「先生」
さわ子 「顧問の初仕事よ。あなた達も気合入れて聴かせなさい。さ、まずは書類。もってっちゃいなさい」
和 「はい!ありがとうございました!」
135: 2011/03/21(月) 14:56:57.15
再び生徒会室!!
曽我部 「え、もう顧問を見つけてきたの?」
和 「はい。掛け持ちですけど、山中先生に承諾を頂いてきました」
曽我部 「へぇ、あの山中先生がねぇ。ちょっと意外だわ。じゃ、書類を貰えるかしら?」
和 「お願いします」
曽我部 「・・・はい。後はこれを学校に提出して、手続き終了ね」
曽我部 「ステージの使用申請も、その時いっしょにやっておいてあげるわ」
和 「すみません。なにからなにまで」
曽我部 「良いのよ。ついでだし、生徒会の仕事でもあるしね」
和 「生徒会の・・・ 仕事・・・」
曽我部 「ん?」
曽我部 「え、もう顧問を見つけてきたの?」
和 「はい。掛け持ちですけど、山中先生に承諾を頂いてきました」
曽我部 「へぇ、あの山中先生がねぇ。ちょっと意外だわ。じゃ、書類を貰えるかしら?」
和 「お願いします」
曽我部 「・・・はい。後はこれを学校に提出して、手続き終了ね」
曽我部 「ステージの使用申請も、その時いっしょにやっておいてあげるわ」
和 「すみません。なにからなにまで」
曽我部 「良いのよ。ついでだし、生徒会の仕事でもあるしね」
和 「生徒会の・・・ 仕事・・・」
曽我部 「ん?」
136: 2011/03/21(月) 15:06:12.58
和 「凄いですね、曽我部先輩って」
曽我部 「なにが?」
和 「手際が良いというか、何でも分かっている感じ」
曽我部 「私、生徒会は二年目だしね。こんなの慣れよ慣れ」
和 「聞いても良いですか?」
曽我部 「なにかしら」
和 「曽我部先輩は、どうして生徒会に入ろうと思ったんですか?」
曽我部 「唐突ね」
和 「すみません。でも、興味があって」
曽我部 「なにが?」
和 「手際が良いというか、何でも分かっている感じ」
曽我部 「私、生徒会は二年目だしね。こんなの慣れよ慣れ」
和 「聞いても良いですか?」
曽我部 「なにかしら」
和 「曽我部先輩は、どうして生徒会に入ろうと思ったんですか?」
曽我部 「唐突ね」
和 「すみません。でも、興味があって」
137: 2011/03/21(月) 15:16:54.72
曽我部 「そうねぇ・・・ 理由はいろいろあるんだけど・・・」
曽我部 「やっぱり一番は、物事を良い方向に変えていける醍醐味を味わえるから・・・かな」
和 「・・・・」
曽我部 「みんなの”こういう学校であって欲しい”という意見を集約して、それを形にする」
曽我部 「それによって、みんなの学生生活がより良く改善されていく。生徒会でなければ出来ないことだわ」
和 「つまり・・・生徒による自治に意義を見出しているっていう事ですか?」
曽我部 「まぁ、しょせん私たちは子供だからね」
曽我部 「こんなの、大人の掌の上での”なんちゃって自治”だっていうのは、十分分かっているんだけれどね」
曽我部 「やっぱり一番は、物事を良い方向に変えていける醍醐味を味わえるから・・・かな」
和 「・・・・」
曽我部 「みんなの”こういう学校であって欲しい”という意見を集約して、それを形にする」
曽我部 「それによって、みんなの学生生活がより良く改善されていく。生徒会でなければ出来ないことだわ」
和 「つまり・・・生徒による自治に意義を見出しているっていう事ですか?」
曽我部 「まぁ、しょせん私たちは子供だからね」
曽我部 「こんなの、大人の掌の上での”なんちゃって自治”だっていうのは、十分分かっているんだけれどね」
138: 2011/03/21(月) 15:22:18.22
曽我部 「それでも、生徒会には微力でも学校を良くしていける力がある」
和 「学校を良く・・・」
曽我部 「縁の下の力持ちって言うのかな?私たちの活動でさ。みんなの学生生活が少しでも素晴らしい物になるのなら」
曽我部 「最高じゃない!」
和 「・・・・!」
曽我部 「・・・・真鍋さん?」
和 「あ・・・いや」
曽我部 「ごめんね、語りすぎちゃった。ちょっと引いちゃった?」
和 「そんな事・・・ あの、先輩の考え、とても素晴らしいと思います」
曽我部 「そう? ありがと」
和 「学校を良く・・・」
曽我部 「縁の下の力持ちって言うのかな?私たちの活動でさ。みんなの学生生活が少しでも素晴らしい物になるのなら」
曽我部 「最高じゃない!」
和 「・・・・!」
曽我部 「・・・・真鍋さん?」
和 「あ・・・いや」
曽我部 「ごめんね、語りすぎちゃった。ちょっと引いちゃった?」
和 「そんな事・・・ あの、先輩の考え、とても素晴らしいと思います」
曽我部 「そう? ありがと」
139: 2011/03/21(月) 15:25:59.49
和 「それじゃ、わたしはこれで。色々ありがとうございました」
曽我部 「ううん。じゃあね」
和 「失礼しまs
曽我部 「あ、そうそう」
曽我部 「こうしてせっかく知り合えたんだから、また遊びにいらっしゃいね」
和 「・・・はい!」
曽我部 「ううん。じゃあね」
和 「失礼しまs
曽我部 「あ、そうそう」
曽我部 「こうしてせっかく知り合えたんだから、また遊びにいらっしゃいね」
和 「・・・はい!」
147: 2011/03/22(火) 11:39:43.52
軽音部!!
律 「と、いうわけでー・・・・」
律 「我らが軽音部の救世主!クールビューティー・ミスさわ子に盛大な拍手をー・・・・!!」
ぱちぱちぱち!!
さわ子 「なんなの、このノリ」
律 「さぁさぁ、さわちゃん!一番良い席に座って。上座上座♪ムギ!上等のお茶でおもてなししてくれ!」
紬 「あいあいさー♪」
さわ子 「ちょっと・・・」
澪 「山中先生、感激です!生徒の憧れ、あの山中先生が私たちの顧問になってくれるなんて」
さわ子 「あ、あはは・・・」
律 「まぁ憧れと言っても、本当の姿はアルバムの通りなんだけどな」
さわ子 「けっきょくバラしてんじゃないのよ!」
唯 「ありがとうございます、山中先生!」ニッコー
さわ子 「もう好きにして・・・」
148: 2011/03/22(火) 11:43:51.04
ずず・・・
さわ子 「ふぅ。お茶、ご馳走様。じゃ、早速だけど、みんなの演奏を聴かせてくれるかしら」
和 「はい。みんな、やろう」
澪 「ああ。それじゃ、先生。ここにいるムギが作曲して」
紬 ぺこり
澪 「私が作詞した曲 ふわふわ時間 を聴いてください」
いよいよだわ。ここで無様な姿はさらせない。
強引に引っ張ってきた山中先生のためにも、軽音部のこれからのためにも。
全力で、今もてる力を全て発揮して、最高の歌を唄うんだ・・・!
律 「じゃ、いくぞー!ワン・ツー!」
失敗は許されない・・・
さわ子 「ふぅ。お茶、ご馳走様。じゃ、早速だけど、みんなの演奏を聴かせてくれるかしら」
和 「はい。みんな、やろう」
澪 「ああ。それじゃ、先生。ここにいるムギが作曲して」
紬 ぺこり
澪 「私が作詞した曲 ふわふわ時間 を聴いてください」
いよいよだわ。ここで無様な姿はさらせない。
強引に引っ張ってきた山中先生のためにも、軽音部のこれからのためにも。
全力で、今もてる力を全て発揮して、最高の歌を唄うんだ・・・!
律 「じゃ、いくぞー!ワン・ツー!」
失敗は許されない・・・
149: 2011/03/22(火) 11:49:01.25
前奏が始まった。
軽快なリズムの合わせて、私の身体も自然とリズムを刻む。
心地良い曲の流れに身を任せ、みんなの演奏と私の一体感を得る。
良い感じだ・・・!
前奏が終わりに近づき、いよいよ歌い出しが間近に迫る。
あとはいつもの練習通りに歌うだけ。私は口を開いた。
と、その途端に感じる違和感。同時に早鐘を打つかのように、心臓の鼓動がペースを上げだす。
・・・え、なにこれ?
和「っ君を見てると いつもハートどどきどききっ」
唯・律・澪・紬 「・・・・え?」
軽快なリズムの合わせて、私の身体も自然とリズムを刻む。
心地良い曲の流れに身を任せ、みんなの演奏と私の一体感を得る。
良い感じだ・・・!
前奏が終わりに近づき、いよいよ歌い出しが間近に迫る。
あとはいつもの練習通りに歌うだけ。私は口を開いた。
と、その途端に感じる違和感。同時に早鐘を打つかのように、心臓の鼓動がペースを上げだす。
・・・え、なにこれ?
和「っ君を見てると いつもハートどどきどききっ」
唯・律・澪・紬 「・・・・え?」
150: 2011/03/22(火) 11:54:07.23
しーん・・・
和 「み、みんな、ごめんなさい。かんじゃった」
律 「あはは。なんだよ、和らしくない」
まったくだ。我ながら、私らしくない凡ミス。
・・・・しっかりしなくちゃ。
情けない歌を聴かせて山中先生に呆れられちゃったら、顧問の話も立ち消えになっちゃうかもしれない。
そんなことにさせてはいけない。頑張らなくちゃ。
頑張らなくちゃ・・・ でも、さっきのはいったい・・・
ううん、気にしちゃいられない。とにかくもう一回。次はきっと上手くいく。
和 「もう平気。もう一回、よろしく!」
ちゃかちゃかちゃん♪ちゃかちゃかちゃか♪ちゃかちゃかちゃん♪
和 「君をみ・・・あぐ・・・ぅ」
律 「ちょ、ストップ・・・」
和 「み、みんな、ごめんなさい。かんじゃった」
律 「あはは。なんだよ、和らしくない」
まったくだ。我ながら、私らしくない凡ミス。
・・・・しっかりしなくちゃ。
情けない歌を聴かせて山中先生に呆れられちゃったら、顧問の話も立ち消えになっちゃうかもしれない。
そんなことにさせてはいけない。頑張らなくちゃ。
頑張らなくちゃ・・・ でも、さっきのはいったい・・・
ううん、気にしちゃいられない。とにかくもう一回。次はきっと上手くいく。
和 「もう平気。もう一回、よろしく!」
ちゃかちゃかちゃん♪ちゃかちゃかちゃか♪ちゃかちゃかちゃん♪
和 「君をみ・・・あぐ・・・ぅ」
律 「ちょ、ストップ・・・」
151: 2011/03/22(火) 11:58:04.80
唯 「どうしちゃったの、和ちゃん?」
紬 「喉の調子でも悪いのかしら?」
唯 「それだったら、無理しないほうが良いよ!」
和 「や、違う。喉は全然なんとも・・・ んっ、んっ、おかしいな・・・・」
澪 「もしかして、先生が見てるんで緊張しちゃったのか?」
和 「・・・・あ」
そうか、そういうことだったのか・・・
律 「ますます、らしくないな。リラックスしてもう一回! 最初っからいってみようぜ!」
和 「・・・・ええ。ごめんね」
紬 「喉の調子でも悪いのかしら?」
唯 「それだったら、無理しないほうが良いよ!」
和 「や、違う。喉は全然なんとも・・・ んっ、んっ、おかしいな・・・・」
澪 「もしかして、先生が見てるんで緊張しちゃったのか?」
和 「・・・・あ」
そうか、そういうことだったのか・・・
律 「ますます、らしくないな。リラックスしてもう一回! 最初っからいってみようぜ!」
和 「・・・・ええ。ごめんね」
152: 2011/03/22(火) 12:00:46.65
20分後・・・
律 「・・・・」
澪 「・・・・」
紬 「・・・・」
唯 「・・・和ちゃん」
和 「ごめんね、みんな。だけど、そんな哀れんだ目で私を見ないで」
律 「いや。つーかさ、本当にどうしたんだ?」
和 「澪がさっき言った通りだと思うわ・・・」
紬 「緊張しちゃって、声が出なかったの?」
唯 「え、でもでも。今まで練習のときは、あんなにちゃんと歌えてたのに・・・」
和 「だからそれも・・・ 澪がさっき言った通りに・・・」
さわ子 「私がいたから?」
律 「・・・・」
澪 「・・・・」
紬 「・・・・」
唯 「・・・和ちゃん」
和 「ごめんね、みんな。だけど、そんな哀れんだ目で私を見ないで」
律 「いや。つーかさ、本当にどうしたんだ?」
和 「澪がさっき言った通りだと思うわ・・・」
紬 「緊張しちゃって、声が出なかったの?」
唯 「え、でもでも。今まで練習のときは、あんなにちゃんと歌えてたのに・・・」
和 「だからそれも・・・ 澪がさっき言った通りに・・・」
さわ子 「私がいたから?」
153: 2011/03/22(火) 12:06:26.80
律 「つまり、私ら以外の第三者がいたから、緊張して声が出なかった・・・と?」
和 「おそらく」
澪 「え?だけど第三者といっても、山中先生ひとりだけだぞ」
和 「人数の問題じゃないみたい」
紬 「どうしよう・・・ それじゃもっとたくさんの観客が見に来るライブなんか、とても・・・」
和 「本番前に気がついてよかったわ」
唯 「冷静に分析してる場合じゃないよ!」
和 「そうよ!ど、どうしよう、唯ーーーーー!」
さわ子 「だからって、取り乱さない」
和 「そうですね」
和 「おそらく」
澪 「え?だけど第三者といっても、山中先生ひとりだけだぞ」
和 「人数の問題じゃないみたい」
紬 「どうしよう・・・ それじゃもっとたくさんの観客が見に来るライブなんか、とても・・・」
和 「本番前に気がついてよかったわ」
唯 「冷静に分析してる場合じゃないよ!」
和 「そうよ!ど、どうしよう、唯ーーーーー!」
さわ子 「だからって、取り乱さない」
和 「そうですね」
154: 2011/03/22(火) 12:13:18.29
初心者なりに練習もがんばってきた。
みんなの足を引っ張りたくなくて、私なりに懸命に。
なにより、唯に笑顔を取り戻させてくれた場所を私も大切に思っているから。
だから、大切な場所と大切なみんなのために。
なのに・・・
和 「どうしよう・・・ このままじゃ私、みんなに迷惑をかけてしまう」
律 「迷惑とかさ、そんな風には考えなくても良いけど。ただ、な」
澪 「この現状、どう打開するかが問題だな」
紬 「うーん・・・」
和 「ほんと・・・ ほんと、ごめんなさい・・・」
唯 「・・・・」
みんなの足を引っ張りたくなくて、私なりに懸命に。
なにより、唯に笑顔を取り戻させてくれた場所を私も大切に思っているから。
だから、大切な場所と大切なみんなのために。
なのに・・・
和 「どうしよう・・・ このままじゃ私、みんなに迷惑をかけてしまう」
律 「迷惑とかさ、そんな風には考えなくても良いけど。ただ、な」
澪 「この現状、どう打開するかが問題だな」
紬 「うーん・・・」
和 「ほんと・・・ ほんと、ごめんなさい・・・」
唯 「・・・・」
155: 2011/03/22(火) 12:17:42.91
唯 「今日はいったん練習はお開きにしようよ」
律 「唯?」
唯 「和ちゃんも、気分を落ち着ける時間があった方が良いよね」
和 「ええ・・・」
律 「そうだな。時間を置いたらスンナリ事が運ぶって場合も、けっこうあるもんな」
紬 「そうね、それじゃお茶を煎れるわ!まずは一息つきましょう。ね?」
和 「え、ええ・・・」
唯 「和ちゃん・・・」
さわ子 (ふむ・・・)
律 「唯?」
唯 「和ちゃんも、気分を落ち着ける時間があった方が良いよね」
和 「ええ・・・」
律 「そうだな。時間を置いたらスンナリ事が運ぶって場合も、けっこうあるもんな」
紬 「そうね、それじゃお茶を煎れるわ!まずは一息つきましょう。ね?」
和 「え、ええ・・・」
唯 「和ちゃん・・・」
さわ子 (ふむ・・・)
156: 2011/03/22(火) 12:20:57.33
解散後 職員室!!
唯 「山中先生・・・」
さわ子 「あら、平沢さん? みんなと帰ったんじゃなかったの?」
唯 「あ、はい。ちょっと用事があるって言って、抜けてみました」
さわ子 「そう。で、その用事って私に?」
唯 「はい・・・ あの、今日はごめんなさい」
さわ子 「なにがかしら」
唯 「せっかく来てくれたのに、顧問にもなってもらったのに、演奏を聞かせられなくって・・・」
さわ子 「ま、仕方がないわよ。今日はダメでも、次にきちんと歌えれば問題ないじゃない」
唯 「はい・・・」
唯 「山中先生・・・」
さわ子 「あら、平沢さん? みんなと帰ったんじゃなかったの?」
唯 「あ、はい。ちょっと用事があるって言って、抜けてみました」
さわ子 「そう。で、その用事って私に?」
唯 「はい・・・ あの、今日はごめんなさい」
さわ子 「なにがかしら」
唯 「せっかく来てくれたのに、顧問にもなってもらったのに、演奏を聞かせられなくって・・・」
さわ子 「ま、仕方がないわよ。今日はダメでも、次にきちんと歌えれば問題ないじゃない」
唯 「はい・・・」
157: 2011/03/22(火) 12:23:45.71
さわ子 「真鍋さんは?」
唯 「一人になりたいって。たぶん教室に・・・」
さわ子 「そっか」
唯 「先生。私、和ちゃんから聞きました」
さわ子 「ん?」
唯 「一番最初。私が部活を始めるのに二の足を踏んでいるとき、山中先生が親身になってくれたって」
唯 「おかげで私、軽音部に入れて。あんなに良い人たちとも知り合えて・・・ だから」
唯 「本当にありがとう。山中先生・・・」
さわ子 「・・・良いのよ」
唯 「一人になりたいって。たぶん教室に・・・」
さわ子 「そっか」
唯 「先生。私、和ちゃんから聞きました」
さわ子 「ん?」
唯 「一番最初。私が部活を始めるのに二の足を踏んでいるとき、山中先生が親身になってくれたって」
唯 「おかげで私、軽音部に入れて。あんなに良い人たちとも知り合えて・・・ だから」
唯 「本当にありがとう。山中先生・・・」
さわ子 「・・・良いのよ」
158: 2011/03/22(火) 12:30:03.49
さわ子 「私は廃部寸前で、部員が喉から手が出るほど欲しかった軽音部と・・・」
さわ子 「そしてあなた達との橋渡しをしただけ。だから、ね?」
唯 「・・・」
さわ子 「そこで良い友達と巡り合えたというのなら、それはあなた自身の力」
さわ子 「あなたが良い人だから、周りの良い人も惹き付けられた。ただそれだけの話よ」
唯 「先生・・・」
さわ子 「感謝してくれるのは嬉しいけど、それよりも自分を誇りなさい」
唯 「・・・はい」
さわ子 「そしてあなた達との橋渡しをしただけ。だから、ね?」
唯 「・・・」
さわ子 「そこで良い友達と巡り合えたというのなら、それはあなた自身の力」
さわ子 「あなたが良い人だから、周りの良い人も惹き付けられた。ただそれだけの話よ」
唯 「先生・・・」
さわ子 「感謝してくれるのは嬉しいけど、それよりも自分を誇りなさい」
唯 「・・・はい」
159: 2011/03/22(火) 12:32:49.79
唯 「でも、それでも。先生と、あと和ちゃんにはいくらお礼を言っても足りないくらい」
唯 「特に和ちゃんには・・・ 和ちゃんがいたから、みんなとも、先生とも知り合えて・・・」
唯 「その和ちゃんが困ってて・・・ たぶん今、凄く落ち込んでて・・・」
さわ子 「そうね。かなりショックを受けてるようだったものね」
唯 「はい。だから、何か力になりたいなって。でも、私に何ができるのか。全然分からないんです」
さわ子 「ふむ。私は逆に分かって来ちゃったけど、ね」
唯 「わかっちゃいます?」
さわ子 「分かるわよ。つまり、真鍋さんを立ち直らせるために力を貸せと。そう言いたいのね」
唯 「さすが先生」
さわ子 「やっぱり長年の親友ってだけあるわね・・・ 考え方も似てること」
唯 「えへへ」
唯 「特に和ちゃんには・・・ 和ちゃんがいたから、みんなとも、先生とも知り合えて・・・」
唯 「その和ちゃんが困ってて・・・ たぶん今、凄く落ち込んでて・・・」
さわ子 「そうね。かなりショックを受けてるようだったものね」
唯 「はい。だから、何か力になりたいなって。でも、私に何ができるのか。全然分からないんです」
さわ子 「ふむ。私は逆に分かって来ちゃったけど、ね」
唯 「わかっちゃいます?」
さわ子 「分かるわよ。つまり、真鍋さんを立ち直らせるために力を貸せと。そう言いたいのね」
唯 「さすが先生」
さわ子 「やっぱり長年の親友ってだけあるわね・・・ 考え方も似てること」
唯 「えへへ」
160: 2011/03/22(火) 12:36:26.31
さわ子 「よし。乗りかけた船だ。最後まで舵取りしてやろうじゃないの!」
唯 「ありがとう、先生!」
さわ子 「たぁだし!」
唯 「!?」
さわ子 「これは真鍋さんの時にも言ったことだけど、自分で言い出したことなんだから投げっぱなしはダメ」
さわ子 「あなたにも協力してもらうわよ?」
唯 「ふ・・・・ふぇ?」
唯 「ありがとう、先生!」
さわ子 「たぁだし!」
唯 「!?」
さわ子 「これは真鍋さんの時にも言ったことだけど、自分で言い出したことなんだから投げっぱなしはダメ」
さわ子 「あなたにも協力してもらうわよ?」
唯 「ふ・・・・ふぇ?」
161: 2011/03/22(火) 12:39:21.65
教室!!
唯 「あ、和ちゃん。やっぱりここにいた!」
和 「唯・・・ みんなと帰ったんじゃなかったの?」
唯 「ううん? 私はね、和ちゃんと一緒に帰るの」
和 「いや、今はちょっと一人に・・・」
唯 「でね、帰りにちょっと寄り道したいところがあるんだー」
和 「唯。人の話を聞いてる?」
唯 「さ、早くいこ!遅くなっちゃうよ」
和 「・・・はぁ。分かったわ。で、どこによって帰りたいの?」
唯 「えっへっへっへ・・・・」
和 「??」
唯 「あ、和ちゃん。やっぱりここにいた!」
和 「唯・・・ みんなと帰ったんじゃなかったの?」
唯 「ううん? 私はね、和ちゃんと一緒に帰るの」
和 「いや、今はちょっと一人に・・・」
唯 「でね、帰りにちょっと寄り道したいところがあるんだー」
和 「唯。人の話を聞いてる?」
唯 「さ、早くいこ!遅くなっちゃうよ」
和 「・・・はぁ。分かったわ。で、どこによって帰りたいの?」
唯 「えっへっへっへ・・・・」
和 「??」
162: 2011/03/22(火) 12:42:53.82
カラオケ屋の前!!
和 「いや、カラオケって・・・」
唯 「和ちゃんとカラオケなんて、久しぶりだよね。中学の頃いらい?」
和 「そうね。その後は唯もカラオケどころじゃなかったし・・・て、そうじゃなくて!」
唯 「ん?」
和 「悪いんだけど、唯。とてもカラオケって気分じゃないのよ。だから・・・・」
唯 「話は中で聞くよー。さ、はいろはいろ」
和 「人の話を聞けー!」
唯 「あ、受付はしないで良いよー。先にやってもらってるから」
和 「やってもらってるって、誰が・・・」
和 「あ・・・ もしや・・・」
和 「いや、カラオケって・・・」
唯 「和ちゃんとカラオケなんて、久しぶりだよね。中学の頃いらい?」
和 「そうね。その後は唯もカラオケどころじゃなかったし・・・て、そうじゃなくて!」
唯 「ん?」
和 「悪いんだけど、唯。とてもカラオケって気分じゃないのよ。だから・・・・」
唯 「話は中で聞くよー。さ、はいろはいろ」
和 「人の話を聞けー!」
唯 「あ、受付はしないで良いよー。先にやってもらってるから」
和 「やってもらってるって、誰が・・・」
和 「あ・・・ もしや・・・」
163: 2011/03/22(火) 12:49:15.60
がちゃっ!
唯 「さわ子先生!お待たせー!!」
さわ子 「はい、待ってた待ってた♪ 先に2~3曲歌っちゃってたわよ」
和 「・・・やっぱり」
唯 「せっかちだなぁ。これからいくらでも、たくさん歌えるのに」
さわ子 「なに言ってるの。あんたたち待ってる間も料金はかかってるんだからね。ただボーっとしてるのも、もったいないじゃない」
唯 「それもそうかー」
アハハハハ
和 「ちょっと、談笑中に申し訳ないんですけれど・・・・」
さわ子・唯 「ん?」
和 「これは何事? そろそろ説明してくれても良いんじゃないかしら・・・」
さわ子 「何事って・・・ カラオケに来て、やることは一つじゃない」
唯 「歌うよ!」
唯 「さわ子先生!お待たせー!!」
さわ子 「はい、待ってた待ってた♪ 先に2~3曲歌っちゃってたわよ」
和 「・・・やっぱり」
唯 「せっかちだなぁ。これからいくらでも、たくさん歌えるのに」
さわ子 「なに言ってるの。あんたたち待ってる間も料金はかかってるんだからね。ただボーっとしてるのも、もったいないじゃない」
唯 「それもそうかー」
アハハハハ
和 「ちょっと、談笑中に申し訳ないんですけれど・・・・」
さわ子・唯 「ん?」
和 「これは何事? そろそろ説明してくれても良いんじゃないかしら・・・」
さわ子 「何事って・・・ カラオケに来て、やることは一つじゃない」
唯 「歌うよ!」
164: 2011/03/22(火) 12:53:50.34
和 「そうじゃなくって!」
さわ子 「ああ、飲み物ね!」
和 「へ??」
さわ子 「これはうっかり。飲み物ないと喉かわいちゃうものねぇ。唯ちゃん、メニューとって」
唯 「ほいきた」
さわ子 「んー、何にしようかなぁ。ほれ、あんた達も選びなさい」
唯 「・・・これ、美味しそう・・」
さわ子 「・・・カルーアミルクって、お酒じゃない。ダメです。そういうのは先生のいない時、こっそり飲みなさい」
唯 「ちぇー・・・」
さわ子 「固いことは言いたくはないけどね。目の前で飲酒なんかさせちゃ、私にも立場って物があるのよ」
唯 「ばれなきゃ平気なのにぃ・・・」
さわ子 「はいはい。おとなしくただのミルクでも飲んでなさいな」
さわ子 「ああ、飲み物ね!」
和 「へ??」
さわ子 「これはうっかり。飲み物ないと喉かわいちゃうものねぇ。唯ちゃん、メニューとって」
唯 「ほいきた」
さわ子 「んー、何にしようかなぁ。ほれ、あんた達も選びなさい」
唯 「・・・これ、美味しそう・・」
さわ子 「・・・カルーアミルクって、お酒じゃない。ダメです。そういうのは先生のいない時、こっそり飲みなさい」
唯 「ちぇー・・・」
さわ子 「固いことは言いたくはないけどね。目の前で飲酒なんかさせちゃ、私にも立場って物があるのよ」
唯 「ばれなきゃ平気なのにぃ・・・」
さわ子 「はいはい。おとなしくただのミルクでも飲んでなさいな」
168: 2011/03/23(水) 11:37:44.34
さわ子 「それじゃ飲み物が来たら、さっそく歌うわよ!」
唯 「歌うぞー!」
和 「・・・・」
さわ子 「さぁさ、今のうちに歌を選んでおきなさい」
唯 「ねぇ、歌う順番はどうするの?」
和 「・・・・」
さわ子 「そうね。じゃんけんして、負けた人から時計回りで良いんじゃないかな」
唯 「うわ、一番目は嫌だなぁ。これは気合を入れて勝負をしないと・・・!」
和 「・・・・」
さわ子 「じゃ、決めちゃいましょう!じゃーんけん・・・ほいっ」グー
唯 「ほいっ!」パー
和 「・・・・・」パー
唯 「歌うぞー!」
和 「・・・・」
さわ子 「さぁさ、今のうちに歌を選んでおきなさい」
唯 「ねぇ、歌う順番はどうするの?」
和 「・・・・」
さわ子 「そうね。じゃんけんして、負けた人から時計回りで良いんじゃないかな」
唯 「うわ、一番目は嫌だなぁ。これは気合を入れて勝負をしないと・・・!」
和 「・・・・」
さわ子 「じゃ、決めちゃいましょう!じゃーんけん・・・ほいっ」グー
唯 「ほいっ!」パー
和 「・・・・・」パー
169: 2011/03/23(水) 11:42:36.71
さわ子 「私からか。ふっふっふ、望むところよ。喉はもう暖まってるもの!歌い倒してやるわ!」
唯 「先生、私、和ちゃんの順番だね。二番手か、緊張するなぁ」
和 「・・・・」
唯 「どうしたの、和ちゃん。さっきからずっとダンマリしちゃって」
和 「どういうつもりなの?」
唯 「え・・・ なにが??」
和 「歌えないのよ!二人も部室で見てたでしょう?それをこんな無理やり!」
和 「なんなの、なんだってのよ!」
唯 「の、和ちゃん・・・」オロオロ
和 「ひどい・・・ 酷いよ・・・」
さわ子 「・・・・・」
唯 「先生、私、和ちゃんの順番だね。二番手か、緊張するなぁ」
和 「・・・・」
唯 「どうしたの、和ちゃん。さっきからずっとダンマリしちゃって」
和 「どういうつもりなの?」
唯 「え・・・ なにが??」
和 「歌えないのよ!二人も部室で見てたでしょう?それをこんな無理やり!」
和 「なんなの、なんだってのよ!」
唯 「の、和ちゃん・・・」オロオロ
和 「ひどい・・・ 酷いよ・・・」
さわ子 「・・・・・」
170: 2011/03/23(水) 11:46:34.51
さわ子 「なんかちょっと幻滅だわー・・・・」
和 「・・・・え」
さわ子 「嫌なことから逃げるようなこと、あなたはしない人だと思っていたんだけれどなぁ」
和 「逃げるなんて、私はただ・・・」
さわ子 「ライブまでそう日がないのよ。歌えないんだったら、急いで歌えるようにならないとまずいんじゃないの?」
さわ子 「そのライブでは、たくさんの知らない顔があなたの歌を聴きにくる」
和 「・・・・・」
さわ子 「それなのに、たった一人の私の前で歌えなくて、それでボーカルが務まるのかしら?」
唯 「あぅ、先生・・・それは言い過ぎ・・・」
さわ子 「そうかなぁ? 唯ちゃんの時は荒療治とかきついこと言っちゃってさ」
さわ子 「いざ自分の立場になったら、酷いとか無理やりとか弱音はいて、甘ったれてんじゃないわよ」
和 「・・・!!」
和 「・・・・え」
さわ子 「嫌なことから逃げるようなこと、あなたはしない人だと思っていたんだけれどなぁ」
和 「逃げるなんて、私はただ・・・」
さわ子 「ライブまでそう日がないのよ。歌えないんだったら、急いで歌えるようにならないとまずいんじゃないの?」
さわ子 「そのライブでは、たくさんの知らない顔があなたの歌を聴きにくる」
和 「・・・・・」
さわ子 「それなのに、たった一人の私の前で歌えなくて、それでボーカルが務まるのかしら?」
唯 「あぅ、先生・・・それは言い過ぎ・・・」
さわ子 「そうかなぁ? 唯ちゃんの時は荒療治とかきついこと言っちゃってさ」
さわ子 「いざ自分の立場になったら、酷いとか無理やりとか弱音はいて、甘ったれてんじゃないわよ」
和 「・・・!!」
171: 2011/03/23(水) 11:52:50.69
唯 「先生!」
さわ子 「なぁに?」
唯 「そこまで言わなくても・・・ そんなに言ったら和ちゃん・・・」
さわ子 「平気平気。彼女みたいなタイプはね・・・」
和 「・・・・・・わよ」
唯 「へ?」
和 「やってやるわよ!歌ってやろうじゃない!」
唯 「の、和ちゃん・・・」
和 「唯、なに歌うか決めたの!?後がつかえてるんだから、早く決めてね!」
唯 「は、はいっ!」
さわ子 「と、まぁ。こーなるわけよ」
さわ子 「なぁに?」
唯 「そこまで言わなくても・・・ そんなに言ったら和ちゃん・・・」
さわ子 「平気平気。彼女みたいなタイプはね・・・」
和 「・・・・・・わよ」
唯 「へ?」
和 「やってやるわよ!歌ってやろうじゃない!」
唯 「の、和ちゃん・・・」
和 「唯、なに歌うか決めたの!?後がつかえてるんだから、早く決めてね!」
唯 「は、はいっ!」
さわ子 「と、まぁ。こーなるわけよ」
172: 2011/03/23(水) 11:56:27.61
さわ子 「さ、飲み物も来たし、歌うわよ!まずは私から。手拍子よろしく!」
じゃんじゃんじゃかじゃん♪
唯 「わ、なにこれ、メタル?!」
さわ子 「・・・・すぅっ」
さわ子 「わあああぁぁあああああ!!!」
唯・和 「!!??」
さわ子 「おいはあああふぁええええええええっ!!!!」
さわ子 「おいっ!おいっ!おいっ!ふぁでぇええええええっ!!!!!」
さわ子 「んああああああああああいいいいいいいいいっ!!!!!!」
和 「・・・・・・・こ、これ何語?」
唯 「こ、怖いよ和ちゃんー・・・・」
じゃんじゃんじゃかじゃん♪
唯 「わ、なにこれ、メタル?!」
さわ子 「・・・・すぅっ」
さわ子 「わあああぁぁあああああ!!!」
唯・和 「!!??」
さわ子 「おいはあああふぁええええええええっ!!!!」
さわ子 「おいっ!おいっ!おいっ!ふぁでぇええええええっ!!!!!」
さわ子 「んああああああああああいいいいいいいいいっ!!!!!!」
和 「・・・・・・・こ、これ何語?」
唯 「こ、怖いよ和ちゃんー・・・・」
173: 2011/03/23(水) 12:01:33.70
じゃーーーーんっ♪
さわ子 「せぇんきゅーっ!」
唯・和 「・・・・・」
さわ子 「ん?どうしたの? 鳩が豆鉄砲でも喰らったみたいな顔で」
和 「豆鉄砲のほうが、いくらかましです。見てください・・・」
唯 がくがくがくがく
和 「唯がすっかり怯えてしまいました」
唯 「うう・・・・ ひっくひっく」
さわ子 「なにも泣く事はないじゃない・・・」
唯 「だって、普段とのギャップがあまりに激しすぎるから・・・ 食われちゃうかと思った・・・」
さわ子 「食べません!」
さわ子 「せぇんきゅーっ!」
唯・和 「・・・・・」
さわ子 「ん?どうしたの? 鳩が豆鉄砲でも喰らったみたいな顔で」
和 「豆鉄砲のほうが、いくらかましです。見てください・・・」
唯 がくがくがくがく
和 「唯がすっかり怯えてしまいました」
唯 「うう・・・・ ひっくひっく」
さわ子 「なにも泣く事はないじゃない・・・」
唯 「だって、普段とのギャップがあまりに激しすぎるから・・・ 食われちゃうかと思った・・・」
さわ子 「食べません!」
174: 2011/03/23(水) 12:05:24.52
さわ子 「だって、あなた達には私の前歴、ばれちゃってるでしょ? だったら猫かぶる意味ないしね」
さわ子 「せいぜい歌いたい歌を唄わせてもらうわよ。おしとやかキャラってのも、けっこう肩がこるのよね」
和 「律・・・ ぜんぜんクールビューティーじゃないわよ、この先生・・・」
さわ子 「ん、なに?」
和 「いえ、独り言です」
さわ子 「そ。ま、ね。どうせ歌うなら、好きな歌を楽しく歌うほうが、内面的にも健康的で良いと思わない?」
和 「それは・・・ そうです」
さわ子 「ね。じゃ次。唯ちゃんね」
唯 「まだ震えが止まらないけど・・・・ が、ガンバル」
さわ子 「そんなに?そんなにか?」
さわ子 「せいぜい歌いたい歌を唄わせてもらうわよ。おしとやかキャラってのも、けっこう肩がこるのよね」
和 「律・・・ ぜんぜんクールビューティーじゃないわよ、この先生・・・」
さわ子 「ん、なに?」
和 「いえ、独り言です」
さわ子 「そ。ま、ね。どうせ歌うなら、好きな歌を楽しく歌うほうが、内面的にも健康的で良いと思わない?」
和 「それは・・・ そうです」
さわ子 「ね。じゃ次。唯ちゃんね」
唯 「まだ震えが止まらないけど・・・・ が、ガンバル」
さわ子 「そんなに?そんなにか?」
175: 2011/03/23(水) 12:16:03.55
~~~~~♪
唯 「あ、始まった。じゃ、いきまーす♪」
和 (唯、きちんと歌えるかしら・・・ 唯だって、軽音部のみんなの前以外で歌うのって、初めてだろうし)
和 (部活でだって、歌はあくまで私がメインだったから・・・ 大丈夫かな)
唯 「校庭に夕陽が落ちて~ 手を振って家に帰る~♪」
和 「・・・・あ」
唯 「ベッドの中でまた今夜~ 今日の君に逢えたら良いな~♪」
和 (唯が・・・ 先生の前で歌っている・・・)
唯 「行こう 眠ろう 朝まで待てない~♪」
和 (あんなにのびのびと、楽しそうに・・・)
和 (笑顔で)
唯 「あ、始まった。じゃ、いきまーす♪」
和 (唯、きちんと歌えるかしら・・・ 唯だって、軽音部のみんなの前以外で歌うのって、初めてだろうし)
和 (部活でだって、歌はあくまで私がメインだったから・・・ 大丈夫かな)
唯 「校庭に夕陽が落ちて~ 手を振って家に帰る~♪」
和 「・・・・あ」
唯 「ベッドの中でまた今夜~ 今日の君に逢えたら良いな~♪」
和 (唯が・・・ 先生の前で歌っている・・・)
唯 「行こう 眠ろう 朝まで待てない~♪」
和 (あんなにのびのびと、楽しそうに・・・)
和 (笑顔で)
176: 2011/03/23(水) 12:20:35.50
唯 「夢色の恋~♪」
~~~~~ちゃん♪
唯 「お粗末さまでした!」
さわ子 「いやー、良かったわ!先生、感動しちゃった!」
唯 「え、そ、そうかな。えへへ、ありがとうございます」
さわ子 「上手だし、良い声してるじゃない。なにより、楽しそうに歌ってるのが、聞いてて心地好かったわ」
さわ子 「ね、和ちゃん」
和 「ええ・・・」
さわ子 (いい具合に触発されてくれたかしらね)
唯 「和ちゃん、また豆が鳩を食べちゃったみたいな顔になってるよ?」
さわ子 「唯ちゃん、それ違うわよ・・・」
~~~~~ちゃん♪
唯 「お粗末さまでした!」
さわ子 「いやー、良かったわ!先生、感動しちゃった!」
唯 「え、そ、そうかな。えへへ、ありがとうございます」
さわ子 「上手だし、良い声してるじゃない。なにより、楽しそうに歌ってるのが、聞いてて心地好かったわ」
さわ子 「ね、和ちゃん」
和 「ええ・・・」
さわ子 (いい具合に触発されてくれたかしらね)
唯 「和ちゃん、また豆が鳩を食べちゃったみたいな顔になってるよ?」
さわ子 「唯ちゃん、それ違うわよ・・・」
177: 2011/03/23(水) 12:25:52.52
さわ子 「さて、いよいよ和ちゃんの番となったわけだけど」
唯 「歌、もう予約した?」
和 「ええ・・・ ま、頑張ってみるわ」
~~~♪
唯 「始まった!」
和 「ごきゅり・・」
さわ子 「・・・・・」
和 (う・・・ 二人の視線が・・・ こっちを注視している・・・)
和 (唯はともかく、山中先生の目線が・・・ う・・・・)
どきどきどきどきどきどきどき・・・・・
また胸の鼓動が・・・ それに釣られたのか、心なしか呼吸まで苦しくなってきた気がする。
もう、鼓動!!
和 「あ・・・・・ う・・・・」
静まれ、鼓動!!
唯 「歌、もう予約した?」
和 「ええ・・・ ま、頑張ってみるわ」
~~~♪
唯 「始まった!」
和 「ごきゅり・・」
さわ子 「・・・・・」
和 (う・・・ 二人の視線が・・・ こっちを注視している・・・)
和 (唯はともかく、山中先生の目線が・・・ う・・・・)
どきどきどきどきどきどきどき・・・・・
また胸の鼓動が・・・ それに釣られたのか、心なしか呼吸まで苦しくなってきた気がする。
もう、鼓動!!
和 「あ・・・・・ う・・・・」
静まれ、鼓動!!
178: 2011/03/23(水) 12:33:11.21
和 「は・・・・ぅ・・・ くぅ・・・・」
喉に異物が詰まっているよう。
まともに声が出せない。苦しい・・・
もっと頑張らなきゃ。しっかりしなくちゃいけないのに。
歌うって、さっき決めたのに・・・ なんで・・・
どきどきどきどきどきどきどき・・・・・
さわ子 (演奏中止)ぴっ
和 「え・・・・?」
唯 「さわ子先生・・・」
喉に異物が詰まっているよう。
まともに声が出せない。苦しい・・・
もっと頑張らなきゃ。しっかりしなくちゃいけないのに。
歌うって、さっき決めたのに・・・ なんで・・・
どきどきどきどきどきどきどき・・・・・
さわ子 (演奏中止)ぴっ
和 「え・・・・?」
唯 「さわ子先生・・・」
179: 2011/03/23(水) 12:37:56.52
さわ子 「ごめんね、大事なことを忘れてたわ」
唯・和 「・・・・???」
さわ子 「タンバリン!」
唯 「ふぇ?」
さわ子 「あれがあると盛り上がるのよねー。なのに、借りてくるのを忘れちゃったのよ!」
和 「は、はぁ・・・」
さわ子 「てことで、和ちゃんの歌はタンバリンが来てからね。で、唯ちゃん」
さわ子 「悪いんだけど、受け付け行って借りてきてくれる?」
唯 「え、でも・・・」
さわ子 「ね、お願い」
唯 「・・・・あ。う、うん、わかったよ」
唯 「和ちゃん、ちょっと行ってくるね」
とことことこ がちゃっ
唯・和 「・・・・???」
さわ子 「タンバリン!」
唯 「ふぇ?」
さわ子 「あれがあると盛り上がるのよねー。なのに、借りてくるのを忘れちゃったのよ!」
和 「は、はぁ・・・」
さわ子 「てことで、和ちゃんの歌はタンバリンが来てからね。で、唯ちゃん」
さわ子 「悪いんだけど、受け付け行って借りてきてくれる?」
唯 「え、でも・・・」
さわ子 「ね、お願い」
唯 「・・・・あ。う、うん、わかったよ」
唯 「和ちゃん、ちょっと行ってくるね」
とことことこ がちゃっ
180: 2011/03/23(水) 12:47:43.89
さわ子 「さて・・・」
和 「不甲斐ないですよね・・・」
さわ子 「うん?」
和 「さっき大見得を切ったのに、けっきょく歌えないんですから」
和 「唯も・・・ あの唯だって、あんなに堂々と先生の前で歌えてたのに。なのに私は・・・」
さわ子 「唯ちゃん、楽しそうに歌ってたわねぇ。良い笑顔だった。ああいう子なのね、本来の彼女は」
和 「・・・はい」
さわ子 「あなたと、そして軽音部のみんな。4人で唯ちゃんに”楽しい”って気持ちを取り戻させたのね」
さわ子 「彼女の笑顔を見てると、前に和ちゃんが言ってた言葉・・・」
さわ子 「唯ちゃんは自然とみんなの中心にいる、そんな子だったって意味。わかるような気がするわ」
和 「・・・・」
和 「不甲斐ないですよね・・・」
さわ子 「うん?」
和 「さっき大見得を切ったのに、けっきょく歌えないんですから」
和 「唯も・・・ あの唯だって、あんなに堂々と先生の前で歌えてたのに。なのに私は・・・」
さわ子 「唯ちゃん、楽しそうに歌ってたわねぇ。良い笑顔だった。ああいう子なのね、本来の彼女は」
和 「・・・はい」
さわ子 「あなたと、そして軽音部のみんな。4人で唯ちゃんに”楽しい”って気持ちを取り戻させたのね」
さわ子 「彼女の笑顔を見てると、前に和ちゃんが言ってた言葉・・・」
さわ子 「唯ちゃんは自然とみんなの中心にいる、そんな子だったって意味。わかるような気がするわ」
和 「・・・・」
181: 2011/03/23(水) 12:53:57.36
さわ子 「さて、それに転じてだけど。和ちゃん」
和 「はい」
さわ子 「あなたは楽しめてる?」
和 「え・・・?」
さわ子 「軽音部での活動、唯ちゃんほどに楽しめているのかなって」
和 「楽しんでます。みんな良い人ばかりだし、あの中にいると時間の経つのも早くって・・・」
さわ子 「みんなとのコミュニケーションは、まぁそうでしょうね。今日、和ちゃんと田井中・・・りっちゃんか」
さわ子 「りっちゃんとのやり取りを見ていたら、それは良く伝わってきたもの」
和 「律には本当、感謝してもし足りないくらいで。だから私、彼女に報いるためにも頑張らなきゃいけないのに・・・」
さわ子 「ふむ・・・」
和 「はい」
さわ子 「あなたは楽しめてる?」
和 「え・・・?」
さわ子 「軽音部での活動、唯ちゃんほどに楽しめているのかなって」
和 「楽しんでます。みんな良い人ばかりだし、あの中にいると時間の経つのも早くって・・・」
さわ子 「みんなとのコミュニケーションは、まぁそうでしょうね。今日、和ちゃんと田井中・・・りっちゃんか」
さわ子 「りっちゃんとのやり取りを見ていたら、それは良く伝わってきたもの」
和 「律には本当、感謝してもし足りないくらいで。だから私、彼女に報いるためにも頑張らなきゃいけないのに・・・」
さわ子 「ふむ・・・」
182: 2011/03/23(水) 12:58:49.38
さわ子 「じゃあ、演奏は?」
和 「え・・・」
さわ子 「歌うとき。歌うときも楽しんでやってる?」
和 「えっと。どういう意味でしょう・・・」
さわ子 「私ねぇ、見てて思ったんだけど。和ちゃん、あなた責任って言葉にがんじがらめになってない?」
和 「・・・・・!」
和 「だ、だって! 軽音部にはこっちの都合で入ったんです。それに唯のことも、彼女は私が強引に軽音部に誘ったんです!」
和 「勝手をやった分は、責任を果たす義務があると思うから! だから私は・・・!」
さわ子 「分かった分かった。言ってることに間違いはないし、立派な心がけだとも思うわ」
さわ子 「でもね、ちょっとだけ軌道修正をしたほうが良い」
和 「意味、分からないです・・・」
和 「え・・・」
さわ子 「歌うとき。歌うときも楽しんでやってる?」
和 「えっと。どういう意味でしょう・・・」
さわ子 「私ねぇ、見てて思ったんだけど。和ちゃん、あなた責任って言葉にがんじがらめになってない?」
和 「・・・・・!」
和 「だ、だって! 軽音部にはこっちの都合で入ったんです。それに唯のことも、彼女は私が強引に軽音部に誘ったんです!」
和 「勝手をやった分は、責任を果たす義務があると思うから! だから私は・・・!」
さわ子 「分かった分かった。言ってることに間違いはないし、立派な心がけだとも思うわ」
さわ子 「でもね、ちょっとだけ軌道修正をしたほうが良い」
和 「意味、分からないです・・・」
183: 2011/03/23(水) 13:03:08.07
さわ子 「じゃあ、分かるように言う。あなたも楽しみなさい」
さわ子 「責任を果たすことと楽しむことは対立しない。イーブンにもできるはず」
さわ子 「あなたの気持ち一つでね」
和 「私は楽しんでます!」
さわ子 「そうかしらね。私には責任感ばかりが前面に出て、あなたの感情が後ろに追いやられているようにしか見えないんだけど」
さわ子 「だから第三者である私の前で歌えなくなる。失敗して責任を果たせなくなるかもって言う恐怖のせいで」
和 「あ・・・・」
さわ子 「間違ってる?」
和 「先生、私・・・」
さわ子 「あのね、和ちゃん。私はあなたが凄いと思う」
和 「・・・」
さわ子 「責任を果たすことと楽しむことは対立しない。イーブンにもできるはず」
さわ子 「あなたの気持ち一つでね」
和 「私は楽しんでます!」
さわ子 「そうかしらね。私には責任感ばかりが前面に出て、あなたの感情が後ろに追いやられているようにしか見えないんだけど」
さわ子 「だから第三者である私の前で歌えなくなる。失敗して責任を果たせなくなるかもって言う恐怖のせいで」
和 「あ・・・・」
さわ子 「間違ってる?」
和 「先生、私・・・」
さわ子 「あのね、和ちゃん。私はあなたが凄いと思う」
和 「・・・」
184: 2011/03/23(水) 13:13:07.86
さわ子 「友達のことを真剣に憂い、行動を起こし、責任の重要さも理解している」
さわ子 「私があなたくらいだった頃は、もっと何も考えてなかった。日々楽しむことだけで精一杯だったもの」
和 「私、凄くなんか・・・」
さわ子 「ううん、凄い。ただね、凄すぎる。もっとね、その年頃の女の子らしい楽しみ方もできるようになれたら」
さわ子 「ふふ、ちょっとだけね、グレードダウンしてくれたら、最終的にもっと凄くなれると思うんだ」
和 「凄く、なくなれってことですか?」
さわ子 「年齢以上に大人すぎなのね、和ちゃん。でもね、責任感で忙殺されるのは、本当の大人になってからで充分なのよ」
さわ子 「今は楽しむことを第一のモットーになさいな。そうすることでね」
さわ子 「責任感を楽しむ余裕を身に付けられたら、最強の大人になることができるわよ。無敵の大人に!」
和 「責任感を・・・ 楽しむ・・・!」
さわ子 「私があなたくらいだった頃は、もっと何も考えてなかった。日々楽しむことだけで精一杯だったもの」
和 「私、凄くなんか・・・」
さわ子 「ううん、凄い。ただね、凄すぎる。もっとね、その年頃の女の子らしい楽しみ方もできるようになれたら」
さわ子 「ふふ、ちょっとだけね、グレードダウンしてくれたら、最終的にもっと凄くなれると思うんだ」
和 「凄く、なくなれってことですか?」
さわ子 「年齢以上に大人すぎなのね、和ちゃん。でもね、責任感で忙殺されるのは、本当の大人になってからで充分なのよ」
さわ子 「今は楽しむことを第一のモットーになさいな。そうすることでね」
さわ子 「責任感を楽しむ余裕を身に付けられたら、最強の大人になることができるわよ。無敵の大人に!」
和 「責任感を・・・ 楽しむ・・・!」
185: 2011/03/23(水) 13:20:27.45
和 「先生も、そうなんですか? 責任感を楽しいと・・・?」
さわ子 「教師なんてねー。特にそう思わないとやってられないわよ」
さわ子 「やることたくさん。でも間違えば生徒の進路にも関わる。責任に比して少ない給料。オフも少ない・・・」
和 「う、うわー・・・」
さわ子 「でもね、頑張った分だけあなた達がね。楽しい高校生活を送り、笑顔で巣立っていってくれたら・・・」
さわ子 「頑張った甲斐があろうってもんじゃない。それがね私の責任で、また私の楽しみ」
そのとき不意に。さわ子先生の話を聞いていた私の頭の中に。
今日、生徒会室で聞いた曽我部先輩の声が蘇ってきた。
(縁の下の力持ちって言うのかな?私たちの活動でさ。みんなの学生生活が少しでも素晴らしい物になるのなら)
(最高じゃない!)
和 「・・・・あ」
さわ子 「教師なんてねー。特にそう思わないとやってられないわよ」
さわ子 「やることたくさん。でも間違えば生徒の進路にも関わる。責任に比して少ない給料。オフも少ない・・・」
和 「う、うわー・・・」
さわ子 「でもね、頑張った分だけあなた達がね。楽しい高校生活を送り、笑顔で巣立っていってくれたら・・・」
さわ子 「頑張った甲斐があろうってもんじゃない。それがね私の責任で、また私の楽しみ」
そのとき不意に。さわ子先生の話を聞いていた私の頭の中に。
今日、生徒会室で聞いた曽我部先輩の声が蘇ってきた。
(縁の下の力持ちって言うのかな?私たちの活動でさ。みんなの学生生活が少しでも素晴らしい物になるのなら)
(最高じゃない!)
和 「・・・・あ」
186: 2011/03/23(水) 13:26:25.57
さわ子 「和ちゃん?」
和 「あ、いえ。先生、ありがとうございます。なんか私、吹っ切れたような気がします。それで、あの・・・」
和 「とても共感できました」
さわ子 「そう? だったら嬉しいな。それで、そろそろ唯ちゃんが戻ってくる頃だろうと思うけど・・・」
和 「歌いますよ!」
さわ子 「うん、期待してるわ」
がちゃっ
唯 「ただいまー! はいこれ、さわ子先生。一つしか借りて来れなかったー」
さわ子 「一つあれば充分! さ、和ちゃん! その美声を遺憾なく発揮してちょうだい!」
和 「よぉし・・・」
和 「あ、いえ。先生、ありがとうございます。なんか私、吹っ切れたような気がします。それで、あの・・・」
和 「とても共感できました」
さわ子 「そう? だったら嬉しいな。それで、そろそろ唯ちゃんが戻ってくる頃だろうと思うけど・・・」
和 「歌いますよ!」
さわ子 「うん、期待してるわ」
がちゃっ
唯 「ただいまー! はいこれ、さわ子先生。一つしか借りて来れなかったー」
さわ子 「一つあれば充分! さ、和ちゃん! その美声を遺憾なく発揮してちょうだい!」
和 「よぉし・・・」
192: 2011/03/24(木) 00:51:55.22
楽しむ・・・ 楽しむ・・・
今までの私は肩肘張りすぎていたのだろうか。
もっと気を楽に。先生の言うとおり、自分が楽しむことを動機の主体に添えても良いのだろうか。
・・・きっと、それが良いんだ。
「誰のためでもない。自分自身のために」なんてチープな言い回しは大っ嫌いだけど。
でも、自分が楽しむことで物事がスムーズに進み、それが皆のためにもなるのだったら・・・・
いちばん理想的なことじゃないだろうか。
そう思うと、まるで憑き物がおちたみたいに、心も身体も楽になった。
喉を覆っていた息苦しさも去り・・・
~~~♪
唯 「始まった! 和ちゃん、ファイト!」
和 「うん!」
和 「ぐっと来たよありがとうって言葉よりずっと~♪」
声は意外なほどすんなりと出た。
今までの私は肩肘張りすぎていたのだろうか。
もっと気を楽に。先生の言うとおり、自分が楽しむことを動機の主体に添えても良いのだろうか。
・・・きっと、それが良いんだ。
「誰のためでもない。自分自身のために」なんてチープな言い回しは大っ嫌いだけど。
でも、自分が楽しむことで物事がスムーズに進み、それが皆のためにもなるのだったら・・・・
いちばん理想的なことじゃないだろうか。
そう思うと、まるで憑き物がおちたみたいに、心も身体も楽になった。
喉を覆っていた息苦しさも去り・・・
~~~♪
唯 「始まった! 和ちゃん、ファイト!」
和 「うん!」
和 「ぐっと来たよありがとうって言葉よりずっと~♪」
声は意外なほどすんなりと出た。
193: 2011/03/24(木) 00:55:04.06
帰り道!!
唯 「歌いすぎちゃったね・・・」
和 「三人で四時間歌い続け。さすがにきつかったわね。喉が痛いわ」
唯 「ちょっと声、枯れちゃってるね」
和 「ふふ。でも、気持ちよかった」
唯 「・・・うん!」
和 「ありがとう、唯」
唯 「私は何も・・・」
和 「唯が先生に掛け合ってくれたんでしょ?」
唯 「ばれてたか」
和 「ふふ、今度は私が助けられちゃったわね。ていうか、唯にはずっと先に行かれちゃったような気がするわ」
唯 「そ、そんなことないよ」
唯 「歌いすぎちゃったね・・・」
和 「三人で四時間歌い続け。さすがにきつかったわね。喉が痛いわ」
唯 「ちょっと声、枯れちゃってるね」
和 「ふふ。でも、気持ちよかった」
唯 「・・・うん!」
和 「ありがとう、唯」
唯 「私は何も・・・」
和 「唯が先生に掛け合ってくれたんでしょ?」
唯 「ばれてたか」
和 「ふふ、今度は私が助けられちゃったわね。ていうか、唯にはずっと先に行かれちゃったような気がするわ」
唯 「そ、そんなことないよ」
194: 2011/03/24(木) 00:58:28.46
和 「ねぇ、唯。ライブ、頑張ろうね。私はもう大丈夫だから」
唯 「うん、楽しみだね」
和 「そうね。それでね・・・」
唯 「なぁに?」
和 「私、二年生になったら軽音部を辞めようと思うの」
唯 「・・・そっか」
和 「このことはずっと・・・ 合宿が終わった頃から考えてたんだけど、踏ん切りがね、つかなかったのよ」
和 「それが今日、生徒会の先輩と、それと山中先生と話をしていて気持ちが固まったんだ」
和 「・・・私、生徒会に行くわね」
唯 「・・・うん」
和 「・・・・怒らないの? 唯」
唯 「どうして?」
和 「だって・・・ 唯を軽音部に誘ったのは私なのに。その私が途中で抜けるようなことをして」
和 「私としても、その。ちょっと後ろめたい気持ちもあるから。だからね・・・」
唯 「うん、楽しみだね」
和 「そうね。それでね・・・」
唯 「なぁに?」
和 「私、二年生になったら軽音部を辞めようと思うの」
唯 「・・・そっか」
和 「このことはずっと・・・ 合宿が終わった頃から考えてたんだけど、踏ん切りがね、つかなかったのよ」
和 「それが今日、生徒会の先輩と、それと山中先生と話をしていて気持ちが固まったんだ」
和 「・・・私、生徒会に行くわね」
唯 「・・・うん」
和 「・・・・怒らないの? 唯」
唯 「どうして?」
和 「だって・・・ 唯を軽音部に誘ったのは私なのに。その私が途中で抜けるようなことをして」
和 「私としても、その。ちょっと後ろめたい気持ちもあるから。だからね・・・」
195: 2011/03/24(木) 01:02:42.50
唯 「怒らないよ。けど、とっても寂しい」
和 「・・・うん」
唯 「でもね。和ちゃん、軽音部やみんなが嫌になって辞めるんじゃないもんね」
和 「当然よ。みんな、大好き」
唯 「うん、分かってる。だからね、和ちゃんはそれだけやりたい事があるんだって、その事も分かるんだ」
和 「唯・・・」
唯 「それに、もともと和ちゃん、生徒会やりたかったんだもんね。だからね、最初に戻るだけなんだよ」
和 「違うよ。ちょっと違う」
唯 「・・・・」
和 「軽音部ではね、たくさんのことを得たわ。それはこれからも、私の心の糧になり続ける。ずっと。氏ぬまで・・・」
和 「だから、私は昔よりちょっとだけ一歩踏み出した場所から、生徒会のスタートを切ることができると思うの」
和 「・・・うん」
唯 「でもね。和ちゃん、軽音部やみんなが嫌になって辞めるんじゃないもんね」
和 「当然よ。みんな、大好き」
唯 「うん、分かってる。だからね、和ちゃんはそれだけやりたい事があるんだって、その事も分かるんだ」
和 「唯・・・」
唯 「それに、もともと和ちゃん、生徒会やりたかったんだもんね。だからね、最初に戻るだけなんだよ」
和 「違うよ。ちょっと違う」
唯 「・・・・」
和 「軽音部ではね、たくさんのことを得たわ。それはこれからも、私の心の糧になり続ける。ずっと。氏ぬまで・・・」
和 「だから、私は昔よりちょっとだけ一歩踏み出した場所から、生徒会のスタートを切ることができると思うの」
196: 2011/03/24(木) 01:05:29.32
和 「軽音部に入って、本当に良かったわ」
唯 「和ちゃん・・・ 私も。和ちゃんと一緒にバンドできて、本当に楽しい!」
和 「唯・・・」
唯 「和ちゃん。私、応援してるからね」
和 「ありがとう、唯」
和 「・・・・・」
和 「まぁ、まだ先の話よ。まだ半年も先の。だからね、唯」
唯 「うん」
和 「これからもよろしく」
唯 「こちらこそ♪」
唯 「和ちゃん・・・ 私も。和ちゃんと一緒にバンドできて、本当に楽しい!」
和 「唯・・・」
唯 「和ちゃん。私、応援してるからね」
和 「ありがとう、唯」
和 「・・・・・」
和 「まぁ、まだ先の話よ。まだ半年も先の。だからね、唯」
唯 「うん」
和 「これからもよろしく」
唯 「こちらこそ♪」
197: 2011/03/24(木) 01:16:11.79
和 「それに私には、まだ見届けなきゃいけないことがあるからね」
唯 「・・・?」
和 「唯が律にちゃんと気持ちを打ち明けること」
唯 「えっ!」
和 「じゃないと安心して他所になんていけないわ」
唯 「む~~・・・ あ、だったらさ!」
唯 「私がずっとりっちゃんに告白しなかったら、和ちゃんはそのまま軽音部にいてくれるってことだよね」
和 「え、それって。ちょっと、唯・・・」
唯 「・・・・へへ。冗談。冗談だよ。和ちゃんを困らせるようなこと、しないもん」
和 「まったく・・・」
唯 「でも、やっぱり。和ちゃんと離れ離れになっちゃうのは、寂しいなぁ・・・」
和 「・・・・」
唯 「・・・?」
和 「唯が律にちゃんと気持ちを打ち明けること」
唯 「えっ!」
和 「じゃないと安心して他所になんていけないわ」
唯 「む~~・・・ あ、だったらさ!」
唯 「私がずっとりっちゃんに告白しなかったら、和ちゃんはそのまま軽音部にいてくれるってことだよね」
和 「え、それって。ちょっと、唯・・・」
唯 「・・・・へへ。冗談。冗談だよ。和ちゃんを困らせるようなこと、しないもん」
和 「まったく・・・」
唯 「でも、やっぱり。和ちゃんと離れ離れになっちゃうのは、寂しいなぁ・・・」
和 「・・・・」
198: 2011/03/24(木) 01:19:35.14
和 「離れ離れって言っても。別に転校するってわけではないんだし」
和 「放課後は別々になっちゃうけど、今までと何も変わらない」
和 「・・・・親友だよ。ずっと。これからも」
唯 「うん・・・」
和 「・・・・」
唯 「・・・・」
唯 「あ、あのさ」
和 「なぁに?」
唯 「手、つないでかえろ?」
和 「・・・・あは、子供みたい」
和 「放課後は別々になっちゃうけど、今までと何も変わらない」
和 「・・・・親友だよ。ずっと。これからも」
唯 「うん・・・」
和 「・・・・」
唯 「・・・・」
唯 「あ、あのさ」
和 「なぁに?」
唯 「手、つないでかえろ?」
和 「・・・・あは、子供みたい」
199: 2011/03/24(木) 01:23:50.79
唯 「子供だもん」
和 「そうね、私たちは子供だわ。だから、ね」
ぎゅっ
和 「もっともっと、できることを楽しまないと、ね」
唯 「・・・? うん」
和 「・・・唯、大好きよ」
唯 「うん、私も和ちゃん大好き♪」
和 「・・・・」
唯 「・・・ん??」
和 「あ、いや・・・ ありがとう、唯」
和 「そうね、私たちは子供だわ。だから、ね」
ぎゅっ
和 「もっともっと、できることを楽しまないと、ね」
唯 「・・・? うん」
和 「・・・唯、大好きよ」
唯 「うん、私も和ちゃん大好き♪」
和 「・・・・」
唯 「・・・ん??」
和 「あ、いや・・・ ありがとう、唯」
200: 2011/03/24(木) 01:27:05.94
翌日の放課後 軽音部!!
さわ子 「さーて、準備は良いかしら?」
和 「はいっ」
さわ子 「昨日お預け喰わせた分、今日は抜群の演奏を聴かせてくれなくちゃ嫌よ。そこのところ、分かってるわね?」
律 「重々承知してます! な、みんな!?」
澪 「ああ!」
紬 「ドントコイです!」
唯 「ガンバルよ!」
和 「うん!」
律 「・・・・よし、じゃ元気に行こうぜ! ワン・ツー!!」
さわ子 「さーて、準備は良いかしら?」
和 「はいっ」
さわ子 「昨日お預け喰わせた分、今日は抜群の演奏を聴かせてくれなくちゃ嫌よ。そこのところ、分かってるわね?」
律 「重々承知してます! な、みんな!?」
澪 「ああ!」
紬 「ドントコイです!」
唯 「ガンバルよ!」
和 「うん!」
律 「・・・・よし、じゃ元気に行こうぜ! ワン・ツー!!」
201: 2011/03/24(木) 01:30:08.99
~~~~♪
和 「キミを見てると いつもハートDOKI☆DOKI」
和 「揺れる想いはマシュマロみたいにふーわ☆ふわ」
和 「いつもがんばる」
唯 「いーつもがんばる」
和 「キミの横顔」
唯 「キーミの横顔」
和 「ずっと見てても気づかないよね」
和 「夢の中なら」
唯 「ゆーめの中なら」
和・唯 「二人の距離縮められるのにな」
~~~~♪
和 「キミを見てると いつもハートDOKI☆DOKI」
和 「揺れる想いはマシュマロみたいにふーわ☆ふわ」
和 「いつもがんばる」
唯 「いーつもがんばる」
和 「キミの横顔」
唯 「キーミの横顔」
和 「ずっと見てても気づかないよね」
和 「夢の中なら」
唯 「ゆーめの中なら」
和・唯 「二人の距離縮められるのにな」
~~~~♪
202: 2011/03/24(木) 01:33:02.30
じゃ~~ん じゃかじゃんっ♪
さわ子 「・・・・・」
和 「はぁはぁ・・・・」
唯 「上手く・・・歌えたよね?」
澪 「ああ、たぶん」
紬 「演奏することで精一杯だったから・・・」
律 「さわちゃん、どうだった? 私たちの演奏!」
さわ子 「・・・うん」
(ごきゅっ)
さわ子 「良かったわ!」
わっ!!
さわ子 「・・・・・」
和 「はぁはぁ・・・・」
唯 「上手く・・・歌えたよね?」
澪 「ああ、たぶん」
紬 「演奏することで精一杯だったから・・・」
律 「さわちゃん、どうだった? 私たちの演奏!」
さわ子 「・・・うん」
(ごきゅっ)
さわ子 「良かったわ!」
わっ!!
203: 2011/03/24(木) 01:37:13.75
唯 「和ちゃ~~~ん!!」ひしっ
和 「うわっ、唯。急に抱きついてきて・・・ 唯・・・?」
唯 「う・・・ぐすっ。ひっぐ・・・」
和 「・・・・唯」
律 「おーお、見事な本泣きだなぁ唯。どしたんだぁー?」
唯 「わがんないげど・・・ なんだか感ぎわばっちゃっで・・・ ずず」
澪 「唯、ハナでてるぞ。ほら」
唯 「あじがど、澪じゃん。ちーーーんっ」
紬 「でも、唯ちゃんが泣いちゃうのも分かる気がする。和ちゃん、頑張ったのね」
和 「私は、そんな・・・・」
唯 「そうだよ! 和ちゃんは頑張ったんだよ!!」
和 「ひっ!鼻水!唯、鼻水!飛んでくる飛んでくる!!」
びちゃっ
唯・和 「あ」
和 「うわっ、唯。急に抱きついてきて・・・ 唯・・・?」
唯 「う・・・ぐすっ。ひっぐ・・・」
和 「・・・・唯」
律 「おーお、見事な本泣きだなぁ唯。どしたんだぁー?」
唯 「わがんないげど・・・ なんだか感ぎわばっちゃっで・・・ ずず」
澪 「唯、ハナでてるぞ。ほら」
唯 「あじがど、澪じゃん。ちーーーんっ」
紬 「でも、唯ちゃんが泣いちゃうのも分かる気がする。和ちゃん、頑張ったのね」
和 「私は、そんな・・・・」
唯 「そうだよ! 和ちゃんは頑張ったんだよ!!」
和 「ひっ!鼻水!唯、鼻水!飛んでくる飛んでくる!!」
びちゃっ
唯・和 「あ」
204: 2011/03/24(木) 01:41:19.56
唯 「ごめんね和ちゃん・・・」ふきふき
和 「いいのよ。それより唯、ハナは最後まできちんとかもうね」
唯 「うんっ」
律 「お母さんか・・・」
紬 「くすくす」
和 「というような、ね」
澪 「え?」
和 「私ね、軽音部のこういう雰囲気が大好きなんだ。明るくて、みんなが親しい家族のような・・・」
和 「そんな軽音部をもっと楽しみたい。楽しんで良いんだ!、そう気づいたらね」
和 「声、出るようになっちゃった」えへっ
紬 「和ちゃん・・・」
澪 「和・・・」
和 「いいのよ。それより唯、ハナは最後まできちんとかもうね」
唯 「うんっ」
律 「お母さんか・・・」
紬 「くすくす」
和 「というような、ね」
澪 「え?」
和 「私ね、軽音部のこういう雰囲気が大好きなんだ。明るくて、みんなが親しい家族のような・・・」
和 「そんな軽音部をもっと楽しみたい。楽しんで良いんだ!、そう気づいたらね」
和 「声、出るようになっちゃった」えへっ
紬 「和ちゃん・・・」
澪 「和・・・」
205: 2011/03/24(木) 01:45:35.08
律 「おいおい、唯に続いてお前らも涙目か? 感極まるの、ちょっと早いんじゃないの?」
澪 「とかいって、律もちょっとうるって来てるくせに」
律 「きてないやいっ! 感動のシーンはライブ後に取っておいたほうがいいんでないのって言ってんの!」
澪 「あーはいはい。でも、そうだな。なにせ」
唯 「本番まであと二日!だもんね!」
紬 「ええ!」
和 「今は自信あるもの。みんなの演奏と私の歌で、観客を総立ちにしてみせるわ!」
律 「大きく出たな!」
和 「任せてよ!」
わーっ!!!
さわ子 「ふ・・・ 私、存在を完全に忘れられてるわね」
澪 「とかいって、律もちょっとうるって来てるくせに」
律 「きてないやいっ! 感動のシーンはライブ後に取っておいたほうがいいんでないのって言ってんの!」
澪 「あーはいはい。でも、そうだな。なにせ」
唯 「本番まであと二日!だもんね!」
紬 「ええ!」
和 「今は自信あるもの。みんなの演奏と私の歌で、観客を総立ちにしてみせるわ!」
律 「大きく出たな!」
和 「任せてよ!」
わーっ!!!
さわ子 「ふ・・・ 私、存在を完全に忘れられてるわね」
206: 2011/03/24(木) 01:48:38.31
ぱんぱんっ!
さわ子 「はいみんな、ちゅうもーく!」
唯 「あ、さわ子先生」
律 「そういや、いたんだよな」
さわ子 「・・・・自分らで呼んでおいて、この扱いかい! ・・・まぁ良いわ。これを見たら、もうそんな態度は取れなくなるわよ?」
澪 「な、何のことです?」
さわ子 「ふっふっふ。不本意ながらも軽音部の顧問になったことだし、何か手伝うことはないかーと思って!」
さわ子 「衣装作ってきましたぁーーー♪」じゃーん!!
律 「のりのりだぁ!!」
さわ子 「はいみんな、ちゅうもーく!」
唯 「あ、さわ子先生」
律 「そういや、いたんだよな」
さわ子 「・・・・自分らで呼んでおいて、この扱いかい! ・・・まぁ良いわ。これを見たら、もうそんな態度は取れなくなるわよ?」
澪 「な、何のことです?」
さわ子 「ふっふっふ。不本意ながらも軽音部の顧問になったことだし、何か手伝うことはないかーと思って!」
さわ子 「衣装作ってきましたぁーーー♪」じゃーん!!
律 「のりのりだぁ!!」
207: 2011/03/24(木) 01:53:21.90
律 「や・・・先生、気持ちはありがたいんだけど・・・」
さわ子 「え?」
律 「ん・・・」(和を指差し)
和 「あんな服を着て歌うの・・・? あ、ありえない・・・」がたがた
さわ子 「これはお気に召さなかったか。じゃあ、私の昔の衣装はどぉお?」じゃじゃーん!!!
和 「いやいやいやむりむりむり!!」
さわ子 「・・・あのさぁ和ちゃん?」
和 「ひっ!?」
さわ子 「私さ、けっこう和ちゃんのお願い聞いてあげてた気がするんだけどなぁ。だったらぁ・・・」
和 「あ・・・あ・・・」
さわ子 「今度はこっちの欲求、満たしてくれてもいいんじゃないのかなぁーーぁ・・・」
和 「あぅぅうぅぅ」ぷるぷる
さわ子 「え?」
律 「ん・・・」(和を指差し)
和 「あんな服を着て歌うの・・・? あ、ありえない・・・」がたがた
さわ子 「これはお気に召さなかったか。じゃあ、私の昔の衣装はどぉお?」じゃじゃーん!!!
和 「いやいやいやむりむりむり!!」
さわ子 「・・・あのさぁ和ちゃん?」
和 「ひっ!?」
さわ子 「私さ、けっこう和ちゃんのお願い聞いてあげてた気がするんだけどなぁ。だったらぁ・・・」
和 「あ・・・あ・・・」
さわ子 「今度はこっちの欲求、満たしてくれてもいいんじゃないのかなぁーーぁ・・・」
和 「あぅぅうぅぅ」ぷるぷる
208: 2011/03/24(木) 01:57:59.36
ばたーん!
澪 「あああ、和が倒れた!」
和 「ううーーーーー・・・・ん」ぱたっ
さわ子 「あ、あれ・・・?」
唯 「さわ子先生、荒療治すぎるよ・・・」
律 「これでまた和が歌えなくなったら、その衣装に身を包んでステージに出るのさわちゃんだから!」
さわ子 「ええええ?いやいやいやむりむりむり!!」
さわ子 「こんな恥ずかしい衣装でなんて、歌えないよ!」
律 「おい作者!」
紬 「あらあらうふふふ。これはゴス口リっていうのかしら?和ちゃんの赤ブチ眼鏡と相まって、舞台栄えしそうねー」
律 「そしてこっちもノリノリだ!」
澪 「あああ、和が倒れた!」
和 「ううーーーーー・・・・ん」ぱたっ
さわ子 「あ、あれ・・・?」
唯 「さわ子先生、荒療治すぎるよ・・・」
律 「これでまた和が歌えなくなったら、その衣装に身を包んでステージに出るのさわちゃんだから!」
さわ子 「ええええ?いやいやいやむりむりむり!!」
さわ子 「こんな恥ずかしい衣装でなんて、歌えないよ!」
律 「おい作者!」
紬 「あらあらうふふふ。これはゴス口リっていうのかしら?和ちゃんの赤ブチ眼鏡と相まって、舞台栄えしそうねー」
律 「そしてこっちもノリノリだ!」
209: 2011/03/24(木) 02:02:38.85
和 「・・・・・」
冷たい木床の感触を背に受けながら、やっぱり好きだなと実感を新たにする。
軽音部のこのノリ、この雰囲気がたまらなく心地いい。大好き。
私も流れに身を任せて倒れてみたけど、わざとらしかったかしら?
周りに合わせての冗談なんて、今までの私のキャラじゃなかったけれど。
ここにいたら、みんなと一緒だから。私はどんどん、新しい自分を発見できる。
みんなと一緒に笑い、歌い、戯れに倒れてもみて。 そして、責任を楽しむ術を知り。
ぜんぶ新しい私。
次は恥ずかしい衣装で、衆目に晒される私・・・かしら。
こっちの「私」はかなりハードルが高そうだけれど、頑張って飛び越えなくちゃ。
だって・・・
冷たい木床の感触を背に受けながら、やっぱり好きだなと実感を新たにする。
軽音部のこのノリ、この雰囲気がたまらなく心地いい。大好き。
私も流れに身を任せて倒れてみたけど、わざとらしかったかしら?
周りに合わせての冗談なんて、今までの私のキャラじゃなかったけれど。
ここにいたら、みんなと一緒だから。私はどんどん、新しい自分を発見できる。
みんなと一緒に笑い、歌い、戯れに倒れてもみて。 そして、責任を楽しむ術を知り。
ぜんぶ新しい私。
次は恥ずかしい衣装で、衆目に晒される私・・・かしら。
こっちの「私」はかなりハードルが高そうだけれど、頑張って飛び越えなくちゃ。
だって・・・
210: 2011/03/24(木) 02:06:58.54
和 「く・・・ふふ」
律 「和は寝ながら笑ってるし・・・」
唯 「え? あー。和ちゃん、起きてんじゃん! もう、心配したんだからね?」
和 「ごめんごめん。さ、早速衣装を試着してみましょ。せっかくのライブ、いつもの制服じゃ見栄えしないものね」
さわ子 「和ちゃん! そうこなくちゃね!」
紬 「じゃあこのフリルひらひら~の衣装はどうかしら? とっても可愛いと思うの~~♪」
和 「まずは片っ端から着てみるわ。こんなの着たことがないから、なにが自分に合うかなんて分からないもの」
澪 「なんだよぉ・・・ 結局は和もノリノリの側だったのか・・・」
和 「当然じゃない。確かに恥ずかしいけど、そうも言ってられないわ。だって・・・」
本番まであと二日!
和 「なんだからね!」
終わり!!
律 「和は寝ながら笑ってるし・・・」
唯 「え? あー。和ちゃん、起きてんじゃん! もう、心配したんだからね?」
和 「ごめんごめん。さ、早速衣装を試着してみましょ。せっかくのライブ、いつもの制服じゃ見栄えしないものね」
さわ子 「和ちゃん! そうこなくちゃね!」
紬 「じゃあこのフリルひらひら~の衣装はどうかしら? とっても可愛いと思うの~~♪」
和 「まずは片っ端から着てみるわ。こんなの着たことがないから、なにが自分に合うかなんて分からないもの」
澪 「なんだよぉ・・・ 結局は和もノリノリの側だったのか・・・」
和 「当然じゃない。確かに恥ずかしいけど、そうも言ってられないわ。だって・・・」
本番まであと二日!
和 「なんだからね!」
終わり!!
211: 2011/03/24(木) 02:09:02.61
終了です。読んでくれた人、どうもありがとう。
澪の過去話や唯律フラグの件は、これから考えてみます。
上手くまとめることができたら投下するので、良かったらまたお付き合い下さい。
ではまた~。
澪の過去話や唯律フラグの件は、これから考えてみます。
上手くまとめることができたら投下するので、良かったらまたお付き合い下さい。
ではまた~。
212: 2011/03/24(木) 03:26:55.86
乙
楽しみに待ってます
楽しみに待ってます
217: 2011/04/06(水) 22:35:33.01
和 「桜高軽音部専属ボーカル 真鍋和です~完結編~」
218: 2011/04/06(水) 22:36:27.20
律 「わん・つー!」
律の明朗な掛け声。それに合わせてカツカツとスティックの音が軽快に響く。
待っていたとばかりに音の波がステージいっぱいに広がり、それは瞬く間に客席をも飲み込んでゆく。
ドッと上がる歓声。手拍子。中には指笛なんてお調子者もいて。
私たちと客席の一体感。
それを得られた時、ああ楽しいな。幸せだな。そう、心底思う。
今もそう。この場に立てること、軽音部のみんなと演奏ができたこと。
それが嬉しくてたまらない。
律の明朗な掛け声。それに合わせてカツカツとスティックの音が軽快に響く。
待っていたとばかりに音の波がステージいっぱいに広がり、それは瞬く間に客席をも飲み込んでゆく。
ドッと上がる歓声。手拍子。中には指笛なんてお調子者もいて。
私たちと客席の一体感。
それを得られた時、ああ楽しいな。幸せだな。そう、心底思う。
今もそう。この場に立てること、軽音部のみんなと演奏ができたこと。
それが嬉しくてたまらない。
219: 2011/04/06(水) 22:38:13.19
一曲目が終わり、二曲目との間に唯がMCを行う。
唯 「どうもー、軽音部です!」
朗々と、はっきりとした声で。
唯 「えと、新入生の皆さん。ご入学おめでとうございます!」
人を引き込まずにはいられない、愛くるしい笑顔で。
律 「今の唯のMCは、安心して聞いていられるな」
小声で話しかけてきた律に、私は笑顔でうなづき返した。
今日は新歓ライブ。目の前にはいっぱいの新入生たち。
私たちは二年生になった。
唯 「どうもー、軽音部です!」
朗々と、はっきりとした声で。
唯 「えと、新入生の皆さん。ご入学おめでとうございます!」
人を引き込まずにはいられない、愛くるしい笑顔で。
律 「今の唯のMCは、安心して聞いていられるな」
小声で話しかけてきた律に、私は笑顔でうなづき返した。
今日は新歓ライブ。目の前にはいっぱいの新入生たち。
私たちは二年生になった。
220: 2011/04/06(水) 22:41:33.16
ライブ後。軽音部!!
律 「楽しかったなぁ~、ライブ!」
澪 「律、目的を履き違えちゃダメだ。楽しむことが目的じゃなかっただろ」
澪 「今日のライブを観た新入生に、軽音部に入部したいって思ってもらえないことにはな」
紬 「まぁまぁ澪ちゃん。私たちが楽しそうに見えなかったら、誰にも入部しようなんて思ってもらえないもの」
唯 「だから、これで正解!ってことだね」
澪 「それもそうか」
和 「そういうことね」
あはははは。
和 「でも・・・・」
唯 「どうしたの、和ちゃん」
律 「楽しかったなぁ~、ライブ!」
澪 「律、目的を履き違えちゃダメだ。楽しむことが目的じゃなかっただろ」
澪 「今日のライブを観た新入生に、軽音部に入部したいって思ってもらえないことにはな」
紬 「まぁまぁ澪ちゃん。私たちが楽しそうに見えなかったら、誰にも入部しようなんて思ってもらえないもの」
唯 「だから、これで正解!ってことだね」
澪 「それもそうか」
和 「そういうことね」
あはははは。
和 「でも・・・・」
唯 「どうしたの、和ちゃん」
222: 2011/04/06(水) 22:44:03.45
和 「今更だけど、私が一緒でよかったのかしら。それもメインボーカルで」
律 「なに言ってるんだよ。良いんだよ、つーか。和が一緒じゃなきゃダメなんだ」
紬 「私たちのほうこそ。和ちゃん忙しいのに無理いって参加してもらってごめんなさいね」
澪 「でも、お陰で最高のステージになったよ。ありがとう、和」
和 「みんな・・・」
そう、本来であれば、私は今日のステージに立つ資格はないはずだった。
一年の春休みを最後に、軽音部を退部した私には。
律 「それにいちばん最初に和に参加してもらおうって言い出したの、唯だしな」
和 「唯・・・」
唯 「えへへ」
律 「なに言ってるんだよ。良いんだよ、つーか。和が一緒じゃなきゃダメなんだ」
紬 「私たちのほうこそ。和ちゃん忙しいのに無理いって参加してもらってごめんなさいね」
澪 「でも、お陰で最高のステージになったよ。ありがとう、和」
和 「みんな・・・」
そう、本来であれば、私は今日のステージに立つ資格はないはずだった。
一年の春休みを最後に、軽音部を退部した私には。
律 「それにいちばん最初に和に参加してもらおうって言い出したの、唯だしな」
和 「唯・・・」
唯 「えへへ」
223: 2011/04/06(水) 22:47:18.11
唯 「あのね和ちゃん。新歓ライブってさ、私たちの一年間の集大成だと思うんだ」
和 「どういうこと?」
唯 「だからね。去年私たちはこんなに楽しい部で過ごしたんだよ!その成果がこれなんだよ!って」
唯 「今年もこんな風に楽しくなるんだよっ、だからここにおいでよって!そう新入生のみんなに知ってもらうのが目的だと思うの」
唯 「だったらそこに和ちゃんがいないなんて、そんなのありえないよ」
唯 「だって去年の軽音部は、この中の誰一人が欠けても、こんなに楽しい部にはならなかったと思うから!」
紬 「うん!」
澪 「唯の言うとおりだ!」
律 「そうだぜ。和は一年間、紛れもなく私たちの専属ボーカルだったんだからな!」
和 「・・・・みんな、ありがとうっ」
和 「どういうこと?」
唯 「だからね。去年私たちはこんなに楽しい部で過ごしたんだよ!その成果がこれなんだよ!って」
唯 「今年もこんな風に楽しくなるんだよっ、だからここにおいでよって!そう新入生のみんなに知ってもらうのが目的だと思うの」
唯 「だったらそこに和ちゃんがいないなんて、そんなのありえないよ」
唯 「だって去年の軽音部は、この中の誰一人が欠けても、こんなに楽しい部にはならなかったと思うから!」
紬 「うん!」
澪 「唯の言うとおりだ!」
律 「そうだぜ。和は一年間、紛れもなく私たちの専属ボーカルだったんだからな!」
和 「・・・・みんな、ありがとうっ」
224: 2011/04/06(水) 22:51:03.60
和 「私こそ、私の方こそみんなと一年、この部で過ごせて良かった。楽しかった!」
和 「今日の新歓ライブで私の軽音部での活動は終わったけれど、でm
律 「ちょーっと、待ったぁー!」
和 「ええええ、この流れなのに、ここで止める!?」
律 「早まるなよ。まだ最後じゃないんだぜ、これが」
和 「え・・・」
律 「真鍋和くん!キミにはあと一回、軽音部の活動に参加してもらおう。これは部長命令です!」
和 「え・・・ だって、ちょ・・・ 律?」
唯・澪・紬 くすくす・・・
和 「え?なによ、みんなして!一体どういうこと?」
澪 「和が面食らっちゃってるだろ。早く説明してやりなよ」
律 「悪い悪い。じゃ、唯ー」
唯 「うん!」ばっ!!
和 「今日の新歓ライブで私の軽音部での活動は終わったけれど、でm
律 「ちょーっと、待ったぁー!」
和 「ええええ、この流れなのに、ここで止める!?」
律 「早まるなよ。まだ最後じゃないんだぜ、これが」
和 「え・・・」
律 「真鍋和くん!キミにはあと一回、軽音部の活動に参加してもらおう。これは部長命令です!」
和 「え・・・ だって、ちょ・・・ 律?」
唯・澪・紬 くすくす・・・
和 「え?なによ、みんなして!一体どういうこと?」
澪 「和が面食らっちゃってるだろ。早く説明してやりなよ」
律 「悪い悪い。じゃ、唯ー」
唯 「うん!」ばっ!!
225: 2011/04/06(水) 22:54:24.97
和 「え、なにそれ。チラシ・・・・?」
『真鍋和 壮行会! ~和ちゃんの新しい門出を呪って~』どどんっ
和 「・・・・・・」
唯 「じゃんっ!と、いうわけなんだよー!」
律 「まぁ、いつものお茶会に毛が生えた程度のものだけどさ。だけど主賓を和にすえて」
律 「みんなで飲み物やお菓子持ち寄ってさ、パーティーしようって事になったんだ」
澪 「和には生徒会でも頑張ってもらいたいから、激励の意味を込めて。ね、参加してくれるよな」
和 「・・・・う、うん」
唯 「あれ・・・どうしたの、和ちゃん。微妙な顔つきで・・・ もしかして、乗り気になれなかった?」
和 「そうじゃなくって、その・・・」
紬 「・・・あ、唯ちゃん!祝うっていう字、間違ってるわよ!」
唯 「え?え?」
律 「呪ってどうする・・・」
唯 「あーーーーっ!!」
『真鍋和 壮行会! ~和ちゃんの新しい門出を呪って~』どどんっ
和 「・・・・・・」
唯 「じゃんっ!と、いうわけなんだよー!」
律 「まぁ、いつものお茶会に毛が生えた程度のものだけどさ。だけど主賓を和にすえて」
律 「みんなで飲み物やお菓子持ち寄ってさ、パーティーしようって事になったんだ」
澪 「和には生徒会でも頑張ってもらいたいから、激励の意味を込めて。ね、参加してくれるよな」
和 「・・・・う、うん」
唯 「あれ・・・どうしたの、和ちゃん。微妙な顔つきで・・・ もしかして、乗り気になれなかった?」
和 「そうじゃなくって、その・・・」
紬 「・・・あ、唯ちゃん!祝うっていう字、間違ってるわよ!」
唯 「え?え?」
律 「呪ってどうする・・・」
唯 「あーーーーっ!!」
226: 2011/04/06(水) 22:58:42.17
『真鍋和 壮行会! ~和ちゃんの新しい門出をXって~』
祝
唯 「というわけで、これです!」ドドン
和 「は、はぁ・・・」
紬 「強引に直しちゃったのね」
律 「はは・・・ まぁ、話を続けるとさ。壮行会の発案者も唯なんだ。なにか和を喜ばせる事がしたいって張り切っちゃってさ」
律 「・・・唯、本当に和のことが大好きなんだな」
唯 「うん。和ちゃん大好きっ」ニコー
和 「・・・・っ」どきっ
紬 「・・・和ちゃん?」
和 「い、いえ・・・ あの、みんなありがとう。喜んで参加させてもらうわね」
唯 「やったぁー♪」
律 「おおー!良かったなぁ、唯。企画して、がんばってチラシを作ってきた甲斐があったなー」なでなで
唯 「えへへへ。もっと撫でてもっと撫でて」
祝
唯 「というわけで、これです!」ドドン
和 「は、はぁ・・・」
紬 「強引に直しちゃったのね」
律 「はは・・・ まぁ、話を続けるとさ。壮行会の発案者も唯なんだ。なにか和を喜ばせる事がしたいって張り切っちゃってさ」
律 「・・・唯、本当に和のことが大好きなんだな」
唯 「うん。和ちゃん大好きっ」ニコー
和 「・・・・っ」どきっ
紬 「・・・和ちゃん?」
和 「い、いえ・・・ あの、みんなありがとう。喜んで参加させてもらうわね」
唯 「やったぁー♪」
律 「おおー!良かったなぁ、唯。企画して、がんばってチラシを作ってきた甲斐があったなー」なでなで
唯 「えへへへ。もっと撫でてもっと撫でて」
228: 2011/04/06(水) 23:03:53.32
律 「ん?よぉし。よーしよしよしよし!よしよしよしよし!!これでどうだ!」なでなでなで
唯 「えへへへへへへへへへへへ」ワンワン
澪 「律・・・ムツゴロウさんか」
紬 「唯ちゃんのほうは、まるでワンちゃんみたいね」
澪 「そういや唯って、そこはかとなく犬っぽいところあるよな・・・」
律 「まだか?まだいくか!?よしよしよしよーし!よーしよしよし!!」
唯 「えへへ・・・へ・・・」
和 (もやっ)
澪 「仲睦まじすぎだろ。ね、和」
和 「・・・そ、そうね」
和 (なにかしら。胸の奥のほう。なんか重い・・・ もやもやとする)
唯 「えへへへへへへへへへへへ」ワンワン
澪 「律・・・ムツゴロウさんか」
紬 「唯ちゃんのほうは、まるでワンちゃんみたいね」
澪 「そういや唯って、そこはかとなく犬っぽいところあるよな・・・」
律 「まだか?まだいくか!?よしよしよしよーし!よーしよしよし!!」
唯 「えへへ・・・へ・・・」
和 (もやっ)
澪 「仲睦まじすぎだろ。ね、和」
和 「・・・そ、そうね」
和 (なにかしら。胸の奥のほう。なんか重い・・・ もやもやとする)
229: 2011/04/06(水) 23:08:47.02
帰り道!!
和 「日の沈むのがすっかり遅くなったわね。この時間なのに、まだ明るい」
唯 「そうだね。それに暖かくなってきたし、すっかり春って感じだよ」
和 「うん」
唯 「あの頃も、このくらいの時期だったよね・・・・」
和 「ええ、早いものよね。あっという間の一年だったわ」
唯 「うん。私たちが軽音部に入って、みんなと出会って・・・」
唯 「私、笑えるようになって」
和 「唯・・・」
唯 「和ちゃんがいたから。和ちゃんがいなかったら、私・・・ ずっと暗いところで一人、膝を抱えてたと思う」
和 「・・・・」
唯 「ありがとね、和ちゃん。何度でも言うよ。ありがとう、和ちゃん。大好き」
和 「・・・・私も、唯が大好きよ」
唯 「へへ」
和 「日の沈むのがすっかり遅くなったわね。この時間なのに、まだ明るい」
唯 「そうだね。それに暖かくなってきたし、すっかり春って感じだよ」
和 「うん」
唯 「あの頃も、このくらいの時期だったよね・・・・」
和 「ええ、早いものよね。あっという間の一年だったわ」
唯 「うん。私たちが軽音部に入って、みんなと出会って・・・」
唯 「私、笑えるようになって」
和 「唯・・・」
唯 「和ちゃんがいたから。和ちゃんがいなかったら、私・・・ ずっと暗いところで一人、膝を抱えてたと思う」
和 「・・・・」
唯 「ありがとね、和ちゃん。何度でも言うよ。ありがとう、和ちゃん。大好き」
和 「・・・・私も、唯が大好きよ」
唯 「へへ」
230: 2011/04/06(水) 23:13:14.84
唯 「それでね、約束・・・」
和 「ん?」
唯 「約束、一つまだ果たしてなかったよね」
和 「うん、そうだったわね。律に・・・」
唯 「告白、一年生のうちにすること、できなかったよ」
和 「まぁ、こういうのはタイミングだわ。慌てても何も良いこと無いもの」
唯 「そうだけど、でもね。言ってたよね、安心して生徒会に行くためにも、私が気持ちを打ち明けるのを見届けたいって」
和 「それは・・・」
唯 「するよ」
和 「唯・・・」
唯 「告白、する」
和 「・・・・」
唯 「大好きな和ちゃんに安心してもらいたいから。それに・・・」
和 「それに?」
唯 「和ちゃんのお陰で取り戻せた笑顔でね、今なら何でもできそうな気がするんだ」
和 「ん?」
唯 「約束、一つまだ果たしてなかったよね」
和 「うん、そうだったわね。律に・・・」
唯 「告白、一年生のうちにすること、できなかったよ」
和 「まぁ、こういうのはタイミングだわ。慌てても何も良いこと無いもの」
唯 「そうだけど、でもね。言ってたよね、安心して生徒会に行くためにも、私が気持ちを打ち明けるのを見届けたいって」
和 「それは・・・」
唯 「するよ」
和 「唯・・・」
唯 「告白、する」
和 「・・・・」
唯 「大好きな和ちゃんに安心してもらいたいから。それに・・・」
和 「それに?」
唯 「和ちゃんのお陰で取り戻せた笑顔でね、今なら何でもできそうな気がするんだ」
231: 2011/04/06(水) 23:17:51.07
和 「そう・・・ そうね。今の唯だったら。ステージでも堂々、MCをこなせる度胸もついた唯なら、ね」
唯 「あれでも実は心臓バックバク。今にも卒倒しそうなのをかなり堪えてたんだけどねー」
和 「ふふ、そうだったんだ?」
唯 「うん。でもがんばれた。だから、告白もがんばる。心配しないでね、和ちゃん」
和 「うん。じゃあ、安心しておく」
言って私はにこりと微笑んだ。
内心の動揺を悟られないように、努めて明るく。自然に。
でも、なぜ?なぜ私は動揺しているの?何に?
唯とは昔通りの親友に戻り、共依存のくびきからは開放されたはずと思っていたのに。
なのに、この喪失感は何だって言うのだろう。
・・・・・・
分からない。戸惑いを拭うことができない。
唯 「あれでも実は心臓バックバク。今にも卒倒しそうなのをかなり堪えてたんだけどねー」
和 「ふふ、そうだったんだ?」
唯 「うん。でもがんばれた。だから、告白もがんばる。心配しないでね、和ちゃん」
和 「うん。じゃあ、安心しておく」
言って私はにこりと微笑んだ。
内心の動揺を悟られないように、努めて明るく。自然に。
でも、なぜ?なぜ私は動揺しているの?何に?
唯とは昔通りの親友に戻り、共依存のくびきからは開放されたはずと思っていたのに。
なのに、この喪失感は何だって言うのだろう。
・・・・・・
分からない。戸惑いを拭うことができない。
232: 2011/04/06(水) 23:20:34.56
和 「そ、それで。告白はいつするの?」
唯 「うん。こういうのってタイミングだって和ちゃんは言ってくれたけど。でも・・・・」
唯 「やっぱりこの日に!って決めておかないと、自分に言い訳してズルズル先延ばしにしちゃいそうで怖いから・・・」
和 「うん・・・」
唯 「和ちゃんの壮行会の日。りっちゃんと二人きりになれるタイミングを狙って、私は行くよ!」
和 「そっか。うん、がんばってね。唯」
唯 「がんばる!」フンス
鼻息も荒く、決意に満ちた目で微笑みかけてくる唯。
そういう顔もできるようになったんだ。なんだか少し、唯が頼もしく思えてくる。
翻って私は?内心のもやもやを唯に感づかれてはいないだろうか。うまく隠せているだろうか?
内心の葛藤の原因を私自身が測りかねている。だから無理やり笑う。唯と、私自身を誤魔化すように。
和 「唯、がんばれ」
もう一度言った私に、唯が自信に満ちた笑顔でうなづき返した。
唯 「うん。こういうのってタイミングだって和ちゃんは言ってくれたけど。でも・・・・」
唯 「やっぱりこの日に!って決めておかないと、自分に言い訳してズルズル先延ばしにしちゃいそうで怖いから・・・」
和 「うん・・・」
唯 「和ちゃんの壮行会の日。りっちゃんと二人きりになれるタイミングを狙って、私は行くよ!」
和 「そっか。うん、がんばってね。唯」
唯 「がんばる!」フンス
鼻息も荒く、決意に満ちた目で微笑みかけてくる唯。
そういう顔もできるようになったんだ。なんだか少し、唯が頼もしく思えてくる。
翻って私は?内心のもやもやを唯に感づかれてはいないだろうか。うまく隠せているだろうか?
内心の葛藤の原因を私自身が測りかねている。だから無理やり笑う。唯と、私自身を誤魔化すように。
和 「唯、がんばれ」
もう一度言った私に、唯が自信に満ちた笑顔でうなづき返した。
233: 2011/04/06(水) 23:26:25.52
帰り道 唯と別れたあと!!
? 「あれ、和ち・・・さん?」
和 「え・・・ 憂?」
憂 「やっぱり和さんだ。こんばんわ!」
和 「こんばんわ、憂。どうしたの?家、こっちのほうじゃないでしょう」
憂 「えへへ・・・ ちょっと寄り道。お買い物してきたの」
和 「そうなんだ。そちらは友達?」
憂 「うん。同じクラスの鈴木純ちゃん。中学から一緒なの」
純 「こんばんわ!」
憂 「純ちゃん、こちら真鍋和さん。先輩で、私の幼馴染でもあるんだ」
純 「うん、知ってる!憂や憂のお姉さんと一緒にいるところ、何度か見たことあるから」
和 「こんばんわ、鈴木さん」
純 「純でいいです!」
和 「うん、じゃあ。純、さん」
? 「あれ、和ち・・・さん?」
和 「え・・・ 憂?」
憂 「やっぱり和さんだ。こんばんわ!」
和 「こんばんわ、憂。どうしたの?家、こっちのほうじゃないでしょう」
憂 「えへへ・・・ ちょっと寄り道。お買い物してきたの」
和 「そうなんだ。そちらは友達?」
憂 「うん。同じクラスの鈴木純ちゃん。中学から一緒なの」
純 「こんばんわ!」
憂 「純ちゃん、こちら真鍋和さん。先輩で、私の幼馴染でもあるんだ」
純 「うん、知ってる!憂や憂のお姉さんと一緒にいるところ、何度か見たことあるから」
和 「こんばんわ、鈴木さん」
純 「純でいいです!」
和 「うん、じゃあ。純、さん」
234: 2011/04/06(水) 23:30:15.47
純 「あの、今日のライブ!すっごいカッコよかったです!」
和 「ありがとう。そう言ってもらえると、がんばった甲斐があったわ」
純 「もう感激しちゃって!真鍋先輩みたいなカッコいい人がいるなら、私!軽音部に入っちゃおうかな~」
憂 「あ・・・ あのね、純ちゃん」
純 「ん??」
和 「ごめんね。せっかくかっこ良いって言ってもらえたんだけど、私。もう軽音部じゃないのよ」
純 「え・・・?」
和 「今日のステージには上がらせてもらったけど、本当は私、一年の終わりで軽音部を退部しているの」
純 「あ・・・ そうなんだ・・・」ガッカリ
憂 「あ、で、でも!他にも格好いい先輩いるし、お姉ちゃんも軽音部はいってからすっごく楽しそうだし!」
憂 「純ちゃんが入ってくれたら、きっと皆さん喜んでくれると思うな~」
純 「うーん、でも。真鍋先輩がいないんじゃなぁ。いやね、ジャズ研究会にもカッコいい先輩がいてさぁ」
純 「どっち入るか迷ってたんだけど、うーむ」
憂 「・・・・そこなんだ」
和 (面白い子)
和 「ありがとう。そう言ってもらえると、がんばった甲斐があったわ」
純 「もう感激しちゃって!真鍋先輩みたいなカッコいい人がいるなら、私!軽音部に入っちゃおうかな~」
憂 「あ・・・ あのね、純ちゃん」
純 「ん??」
和 「ごめんね。せっかくかっこ良いって言ってもらえたんだけど、私。もう軽音部じゃないのよ」
純 「え・・・?」
和 「今日のステージには上がらせてもらったけど、本当は私、一年の終わりで軽音部を退部しているの」
純 「あ・・・ そうなんだ・・・」ガッカリ
憂 「あ、で、でも!他にも格好いい先輩いるし、お姉ちゃんも軽音部はいってからすっごく楽しそうだし!」
憂 「純ちゃんが入ってくれたら、きっと皆さん喜んでくれると思うな~」
純 「うーん、でも。真鍋先輩がいないんじゃなぁ。いやね、ジャズ研究会にもカッコいい先輩がいてさぁ」
純 「どっち入るか迷ってたんだけど、うーむ」
憂 「・・・・そこなんだ」
和 (面白い子)
235: 2011/04/06(水) 23:33:40.92
・・・・・・・・
純 「それじゃ私こっちだから。またね、憂。真鍋先輩も失礼します!」トテチテ・・・
憂 「うん、また明日ねー」
和 「さよなら」
憂 「・・・・」
和 「・・・・憂」
憂 「なぁに、和ちゃん?」
和 「私って、カッコいいの?」
憂 「うん、かなりカッコいいと思う」
和 「・・・・///」
憂 (照れてる和ちゃん、可愛い・・・)
和 「でも、じゃあ・・・・」
憂 「え?」
和 「律と私だったら、どっちのが格好いいのかしら・・・?」
憂 「律先輩と和ちゃん・・・えっと、それ・・・どういうこと?」
和 「・・・・はっ」
純 「それじゃ私こっちだから。またね、憂。真鍋先輩も失礼します!」トテチテ・・・
憂 「うん、また明日ねー」
和 「さよなら」
憂 「・・・・」
和 「・・・・憂」
憂 「なぁに、和ちゃん?」
和 「私って、カッコいいの?」
憂 「うん、かなりカッコいいと思う」
和 「・・・・///」
憂 (照れてる和ちゃん、可愛い・・・)
和 「でも、じゃあ・・・・」
憂 「え?」
和 「律と私だったら、どっちのが格好いいのかしら・・・?」
憂 「律先輩と和ちゃん・・・えっと、それ・・・どういうこと?」
和 「・・・・はっ」
236: 2011/04/06(水) 23:39:38.48
和 「な、なんでもない!それじゃ憂、私もう行くから!また学校でね」タッタッタ
憂 「え、あ・・・うん。また・・・」
憂 「・・・・行っちゃった。変な和ちゃん」
私、憂に何を言ってるのかしら。ううん、それ以前に・・・・
なんで人と・・・律と自分を比べるようなことを口に出して・・・・
なんなの、さっきから何だってのよ、私。もう、私!ああ、私!!
・・・・私
私はどうしてしまったのだろう。
もう、自分で自分がわからない・・・・
憂 「え、あ・・・うん。また・・・」
憂 「・・・・行っちゃった。変な和ちゃん」
私、憂に何を言ってるのかしら。ううん、それ以前に・・・・
なんで人と・・・律と自分を比べるようなことを口に出して・・・・
なんなの、さっきから何だってのよ、私。もう、私!ああ、私!!
・・・・私
私はどうしてしまったのだろう。
もう、自分で自分がわからない・・・・
237: 2011/04/06(水) 23:46:32.84
数日後の放課後 軽音部!!
壮行会当日!!
律 「いえーーい♪それでは皆さんお待ちかね!これより我らが専属ボーカル ノドカ・マナベのぉーーー・・・」
紬 「どこどこどこどこどこ・・・どどん!!」
律 「壮行会を開始したいと思いまーす!!!」
澪 「ぱちぱちぱち!」
唯 「ちぇけらっちょい!」
和 「ノリが・・・」
律 「引くな引くな、主役ぅ。今日は、楽しく飲み食いしようぜー!」
澪 「もちろん飲み物はお茶とジュースだけど、な」
紬 「みんな、ちゃんと隠し芸考えてきた?一人一芸だからね、たくさん和ちゃんを笑わせた人が勝ちー」
律 「ふっふっふ。抜かりはないぞ!部室中を笑いの渦に巻き込み、一人残らず腸捻転で病院送りにしてくれる!」
唯 「私も負けないもん。みんな笑いすぎて、下顎もげちゃうよ。きっと!!」
和 「何だか物騒ねぇ」
律 「よーし、騒ぐぞ!楽しむぞーー!」
おーっ!!
和 (唯・・・見た感じ普通だけど、大丈夫かしら・・・)
和 (あ、だめ。今日は私のための壮行会。せっかくのみんなの好意なんだから。私も楽しむことに集中しないと)
和 (でも・・・)
壮行会当日!!
律 「いえーーい♪それでは皆さんお待ちかね!これより我らが専属ボーカル ノドカ・マナベのぉーーー・・・」
紬 「どこどこどこどこどこ・・・どどん!!」
律 「壮行会を開始したいと思いまーす!!!」
澪 「ぱちぱちぱち!」
唯 「ちぇけらっちょい!」
和 「ノリが・・・」
律 「引くな引くな、主役ぅ。今日は、楽しく飲み食いしようぜー!」
澪 「もちろん飲み物はお茶とジュースだけど、な」
紬 「みんな、ちゃんと隠し芸考えてきた?一人一芸だからね、たくさん和ちゃんを笑わせた人が勝ちー」
律 「ふっふっふ。抜かりはないぞ!部室中を笑いの渦に巻き込み、一人残らず腸捻転で病院送りにしてくれる!」
唯 「私も負けないもん。みんな笑いすぎて、下顎もげちゃうよ。きっと!!」
和 「何だか物騒ねぇ」
律 「よーし、騒ぐぞ!楽しむぞーー!」
おーっ!!
和 (唯・・・見た感じ普通だけど、大丈夫かしら・・・)
和 (あ、だめ。今日は私のための壮行会。せっかくのみんなの好意なんだから。私も楽しむことに集中しないと)
和 (でも・・・)
238: 2011/04/06(水) 23:49:12.34
そして一時間後!!
律 「なぁ、澪」
澪 「ん、なんだ?」
律 「あのさ。コーヒー飲むとトイレが近くなるのは、なんでだと思う?」
澪 「・・・・行ってこい」
律 「はいはーい。ちょっとごめんよ、すぐ戻るからな」トコトコ・・・バタン
唯 (りっちゃん・・・ 今なら!)
澪 「まったく。・・・ん?唯、どこに行くんだ?」
唯 「あ、うん。私もちょっとトイレに。へへへ」
和 (唯・・・・)
唯 「ごめんね。ちゃちゃっと済ませてくるから」トコトコ・・・バタン
澪 「連鎖反応というやつだろうか」
紬 「そうね、一緒にトイレは女の子の基本よねー」
澪 「そ、そうか?」
紬 「うふふふふふ♪」
和 「・・・・」
律 「なぁ、澪」
澪 「ん、なんだ?」
律 「あのさ。コーヒー飲むとトイレが近くなるのは、なんでだと思う?」
澪 「・・・・行ってこい」
律 「はいはーい。ちょっとごめんよ、すぐ戻るからな」トコトコ・・・バタン
唯 (りっちゃん・・・ 今なら!)
澪 「まったく。・・・ん?唯、どこに行くんだ?」
唯 「あ、うん。私もちょっとトイレに。へへへ」
和 (唯・・・・)
唯 「ごめんね。ちゃちゃっと済ませてくるから」トコトコ・・・バタン
澪 「連鎖反応というやつだろうか」
紬 「そうね、一緒にトイレは女の子の基本よねー」
澪 「そ、そうか?」
紬 「うふふふふふ♪」
和 「・・・・」
239: 2011/04/06(水) 23:53:15.65
気になる。
唯、きちんと自分の想いを言葉に託せるかしら。
託せたとして、律にその気持ちは届くのかな。
気持ちが通じたなら、二人は相思相愛となって、恋人になって。
ハッピーエンド。唯はきっと幸せで、花を咲かせたように笑顔がもっともっと輝いて。
そうなって欲しい。唯には幸せになって欲しい。この気持ちは真実。偽りなんてない。
・・・・ないはずなのに。
苦しい。胸が苦しいよ。
二人が上手くいった後の事を思うと、まるで心が押しつぶされる様。
交錯する、私の二つの想い。これは一体、なんなんだろう。
紬 「・・・・ちゃん?」
私は、私の心が・・・
紬 「・・・どかちゃん?」
自分の心が分からない・・・!!
紬 「和ちゃん!」
和 「えっ!?」
唯、きちんと自分の想いを言葉に託せるかしら。
託せたとして、律にその気持ちは届くのかな。
気持ちが通じたなら、二人は相思相愛となって、恋人になって。
ハッピーエンド。唯はきっと幸せで、花を咲かせたように笑顔がもっともっと輝いて。
そうなって欲しい。唯には幸せになって欲しい。この気持ちは真実。偽りなんてない。
・・・・ないはずなのに。
苦しい。胸が苦しいよ。
二人が上手くいった後の事を思うと、まるで心が押しつぶされる様。
交錯する、私の二つの想い。これは一体、なんなんだろう。
紬 「・・・・ちゃん?」
私は、私の心が・・・
紬 「・・・どかちゃん?」
自分の心が分からない・・・!!
紬 「和ちゃん!」
和 「えっ!?」
240: 2011/04/06(水) 23:56:34.90
和 「む、ムギ・・・ え?な、なに?」
紬 「何って・・・大丈夫?和ちゃん」
和 「え・・・?」
紬 「なんだかとっても、辛そうな顔をしてる」
和 「私が・・・?」
澪 「どうしたんだ?具合でも悪いのか?」
和 「ううん、違う。ごめん、なんでもないの。あ、でも」スクッ
和 「ちょっと私もトイレに行って来るわね」
澪 「一人で平気か?なんだったら一緒に行っても・・・」
和 「あは、大げさね。一人で平気よ。でも、ありがとう」
気になる。唯の告白がどうなったのかが。
本当はこんな覗きのような下衆なまね、褒められたことではないんだろうけれど。
でも、このまま考えあぐねていたら、きっと耐えきれなくなる。
・・・見届けなくちゃ、唯の告白を。
紬 「何って・・・大丈夫?和ちゃん」
和 「え・・・?」
紬 「なんだかとっても、辛そうな顔をしてる」
和 「私が・・・?」
澪 「どうしたんだ?具合でも悪いのか?」
和 「ううん、違う。ごめん、なんでもないの。あ、でも」スクッ
和 「ちょっと私もトイレに行って来るわね」
澪 「一人で平気か?なんだったら一緒に行っても・・・」
和 「あは、大げさね。一人で平気よ。でも、ありがとう」
気になる。唯の告白がどうなったのかが。
本当はこんな覗きのような下衆なまね、褒められたことではないんだろうけれど。
でも、このまま考えあぐねていたら、きっと耐えきれなくなる。
・・・見届けなくちゃ、唯の告白を。
245: 2011/04/07(木) 13:07:32.25
階段 踊り場!!
律 「話って何だよ。早くしてくれないと、私の尿意が臨界点突破しちゃうだろ」
唯 「あ、ごめん。でもその、すぐ済むから・・・あのね・・・」
和 (あ・・・唯。こんな、部室のすぐ下で。相変わらず天然ね。誰かに見られたらどうするのよ・・・)
和 (・・・て、私が見てるんだけれどね。とりあえず手すりの陰に隠れて・・・と)
律 「で、話って?」
唯 「うん・・・・」
和 「・・・・・」
唯 「りっちゃん、前に言ってくれたよね。言いたいことがある時は、考えるより先に言ってしまえって」
律 「ああ、言ったな」
唯 「その言葉、とっても励みになったんだよね。私、色んなことを内に込めて考え込んじゃうの、癖になっちゃってたから・・・」
律 「以前はそうだったな。でも今の唯は・・・て、ん?」
唯 「だからね・・・私ね・・・」フルフル
律 「・・・唯。ちょっと震えてんぞ?顔も心なしか赤く・・・はっ!?尿意か!?尿意がまんしてるのか!?」
律 「ちょっ、そんなんなるまでがまんするなって!話はトイレに行ってから聞くk
唯 「りっちゃん!」
律 「はいっ!?」
律 「話って何だよ。早くしてくれないと、私の尿意が臨界点突破しちゃうだろ」
唯 「あ、ごめん。でもその、すぐ済むから・・・あのね・・・」
和 (あ・・・唯。こんな、部室のすぐ下で。相変わらず天然ね。誰かに見られたらどうするのよ・・・)
和 (・・・て、私が見てるんだけれどね。とりあえず手すりの陰に隠れて・・・と)
律 「で、話って?」
唯 「うん・・・・」
和 「・・・・・」
唯 「りっちゃん、前に言ってくれたよね。言いたいことがある時は、考えるより先に言ってしまえって」
律 「ああ、言ったな」
唯 「その言葉、とっても励みになったんだよね。私、色んなことを内に込めて考え込んじゃうの、癖になっちゃってたから・・・」
律 「以前はそうだったな。でも今の唯は・・・て、ん?」
唯 「だからね・・・私ね・・・」フルフル
律 「・・・唯。ちょっと震えてんぞ?顔も心なしか赤く・・・はっ!?尿意か!?尿意がまんしてるのか!?」
律 「ちょっ、そんなんなるまでがまんするなって!話はトイレに行ってから聞くk
唯 「りっちゃん!」
律 「はいっ!?」
246: 2011/04/07(木) 13:10:19.82
唯 「好きです!!」
律 「ふへっ!?」
和 (・・・・言った!)
唯 「・・・・・」かぁ~~~
律 「な、へ?あ、ちょ・・・ビックリした。なんだよ、唐突に。んなの、私だって唯のことは大好きだぞ。はは・・・」
唯 「・・・違うよ。その好きじゃなくって、もっと・・・」
律 「!? ・・・あ。いや!ちょ、ちょっと待って」
唯 「いま口をつぐんだら、きっともう言うことができなくなっちゃうと思うんだ。だから」
律 「待て、待てって・・・」
唯 「りっちゃん。ずっと。あの日、ギターを買いに行った日からずっと。ずっとりっちゃんのことばっかり考えちゃうようになっちゃって・・・」
律 「だから、ちょっと待ってくれって・・・」
唯 「寝てても起きてても、ご飯食べてても。いま、りっちゃんは何をしてるのかな?会いたいなって」
律 「唯・・・」
唯 「顔を見てお話したいな。ずっと一緒に、隣にいたいなって・・・ ね、りっちゃん」
律 「やめてくれよ」
唯 「だから私、一世一代の決心をしてきたよ。りっちゃんに教えてもらった、大切なこと。言うべきことを言うんだって、私」
律 「・・・・!」
律 「ふへっ!?」
和 (・・・・言った!)
唯 「・・・・・」かぁ~~~
律 「な、へ?あ、ちょ・・・ビックリした。なんだよ、唐突に。んなの、私だって唯のことは大好きだぞ。はは・・・」
唯 「・・・違うよ。その好きじゃなくって、もっと・・・」
律 「!? ・・・あ。いや!ちょ、ちょっと待って」
唯 「いま口をつぐんだら、きっともう言うことができなくなっちゃうと思うんだ。だから」
律 「待て、待てって・・・」
唯 「りっちゃん。ずっと。あの日、ギターを買いに行った日からずっと。ずっとりっちゃんのことばっかり考えちゃうようになっちゃって・・・」
律 「だから、ちょっと待ってくれって・・・」
唯 「寝てても起きてても、ご飯食べてても。いま、りっちゃんは何をしてるのかな?会いたいなって」
律 「唯・・・」
唯 「顔を見てお話したいな。ずっと一緒に、隣にいたいなって・・・ ね、りっちゃん」
律 「やめてくれよ」
唯 「だから私、一世一代の決心をしてきたよ。りっちゃんに教えてもらった、大切なこと。言うべきことを言うんだって、私」
律 「・・・・!」
247: 2011/04/07(木) 13:16:17.62
唯 「りっちゃん、大好き。私とつきあってk
律 「唯っ!!」
唯 「っ!」ビクッ
律 「やめろって言ってるだろ・・・」
唯 「り、りっちゃん・・・・」
律 「確かに言いたいことは言えって言ったけどさ、相手がやめろって言ってるのに我を押し通せと話した覚えはないぞ」
唯 「・・・あ。ご、ごめん・・・」
律 「・・・・・」
唯 「・・・・・」
律 「いや、私も大声出して悪かったな。でもさ、そっから先は言うなよ。な、唯」
唯 「え、それって・・・・」
律 「みんな楽しく、さ。波風立てずにやって行きたいだろ?そういうわけだからさ、な?」
唯 「りっちゃん・・・・うん、わかったよ・・・ごめんね・・・」
律 「・・・・」
和 (・・・・・)
律 「唯っ!!」
唯 「っ!」ビクッ
律 「やめろって言ってるだろ・・・」
唯 「り、りっちゃん・・・・」
律 「確かに言いたいことは言えって言ったけどさ、相手がやめろって言ってるのに我を押し通せと話した覚えはないぞ」
唯 「・・・あ。ご、ごめん・・・」
律 「・・・・・」
唯 「・・・・・」
律 「いや、私も大声出して悪かったな。でもさ、そっから先は言うなよ。な、唯」
唯 「え、それって・・・・」
律 「みんな楽しく、さ。波風立てずにやって行きたいだろ?そういうわけだからさ、な?」
唯 「りっちゃん・・・・うん、わかったよ・・・ごめんね・・・」
律 「・・・・」
和 (・・・・・)
248: 2011/04/07(木) 13:35:05.81
律 「と、とりあえずさ、溢れんばかりのこの尿意をどうにかしてこようぜ。もう私、漏れちゃいそうでさー・・はは」
唯 「うん、そうだね。じゃ、ト・・・イレ・・・にっ」
唯 「・・・・・・・・・・」
唯 「・・・・・う~~~~」ポロポロ
律 「ゆ、唯・・・・」
唯 「っ」ダッ!
律 「あ、唯!ちょっと待・・・」
律 「・・・・唯」
かたっ
律 「え・・・・?」
和 「・・・・・律っ」
律 「和?」
唯 「うん、そうだね。じゃ、ト・・・イレ・・・にっ」
唯 「・・・・・・・・・・」
唯 「・・・・・う~~~~」ポロポロ
律 「ゆ、唯・・・・」
唯 「っ」ダッ!
律 「あ、唯!ちょっと待・・・」
律 「・・・・唯」
かたっ
律 「え・・・・?」
和 「・・・・・律っ」
律 「和?」
249: 2011/04/07(木) 13:42:00.77
律 「ははっ、なに。見てたの?ずっと?」
和 「・・・・」
律 「覗き見とは高尚な趣味だな。ええ、和」
和 「唯の想いに応えてあげないのね」
律 「・・・・応えられるわけないだろ」
和 「二人のこと、ずっと見ていたから意外だったわ。律も唯のこと、まんざらでもないって思ってたもの」
和 「唯のこと、好きじゃなかったのね」
律 「・・・・・・好きだよ」
和 「っ!?・・・だ、だったら・・・」
和 「だったらなんで!?」
律 「好きに決まってるだろ!大好きだ!和やムギと同じ、とっても大好きな友達だ!」
和 「・・・・・え」
律 「・・・・・・」
和 「澪・・・なの?」
律 「・・・・・・」
和 「・・・・」
律 「覗き見とは高尚な趣味だな。ええ、和」
和 「唯の想いに応えてあげないのね」
律 「・・・・応えられるわけないだろ」
和 「二人のこと、ずっと見ていたから意外だったわ。律も唯のこと、まんざらでもないって思ってたもの」
和 「唯のこと、好きじゃなかったのね」
律 「・・・・・・好きだよ」
和 「っ!?・・・だ、だったら・・・」
和 「だったらなんで!?」
律 「好きに決まってるだろ!大好きだ!和やムギと同じ、とっても大好きな友達だ!」
和 「・・・・・え」
律 「・・・・・・」
和 「澪・・・なの?」
律 「・・・・・・」
250: 2011/04/07(木) 13:54:46.00
和 「・・・そう。分かったわ」タッ
律 「おい、どこに行くんだよ?」
和 「唯を追いかける。放っては置けないでしょ」
律 「そうか・・・その前に、さ。和・・・」
和 「・・・なに?」
律 「なんでお前・・・和まで、泣いてんの・・・?」
和 「え・・・?」
うそ。私、泣いてる?
気がつかなかった。律に言われて初めて、私の頬を涙の粒がポロポロポロポロと。
とめどなく溢れ出ていることを知った。
ポロポロポロポロ後から後から、まるで瞳が決壊したみたいに際限なく。これは・・・・
これは一体、何に対する涙なのだろう。
律 「おい、どこに行くんだよ?」
和 「唯を追いかける。放っては置けないでしょ」
律 「そうか・・・その前に、さ。和・・・」
和 「・・・なに?」
律 「なんでお前・・・和まで、泣いてんの・・・?」
和 「え・・・?」
うそ。私、泣いてる?
気がつかなかった。律に言われて初めて、私の頬を涙の粒がポロポロポロポロと。
とめどなく溢れ出ていることを知った。
ポロポロポロポロ後から後から、まるで瞳が決壊したみたいに際限なく。これは・・・・
これは一体、何に対する涙なのだろう。
251: 2011/04/07(木) 14:05:13.89
和 「これは、べっ、別に・・・」グシッ
零れ落ちる涙を袖で乱暴にぬぐう。
和 「律には・・・関係ないっ」
律 「まぁ、関係ないかもだけどさ。だけど、和・・・」
律 「・・・・・」ジー
和 「な、なによ。人の泣き顔をまじまじと見て!」
律 「・・・・なぁ和。これはお前と一緒で、ずっと和と唯を見ていて思ってたことなんだけれど」
和 「だから、なに?」
律 「和こそ・・・もしかして、唯のことが好きなんじゃないのか?」
和 「・・・え?」
律 「もちろん、唯が私に言ってくれた”好き”と、同じ意味合いとしての、な?」
和 「な、何を言って・・・ふざけるのも大概にしてよ!」
律 「この状況でふざけられるわけないだろ」
和 「ぐ・・・だ、だって!だって私は唯の親友なのよ!」
律 「・・・っ!んなの関係あるかよっ!!」
和 「っ!」
零れ落ちる涙を袖で乱暴にぬぐう。
和 「律には・・・関係ないっ」
律 「まぁ、関係ないかもだけどさ。だけど、和・・・」
律 「・・・・・」ジー
和 「な、なによ。人の泣き顔をまじまじと見て!」
律 「・・・・なぁ和。これはお前と一緒で、ずっと和と唯を見ていて思ってたことなんだけれど」
和 「だから、なに?」
律 「和こそ・・・もしかして、唯のことが好きなんじゃないのか?」
和 「・・・え?」
律 「もちろん、唯が私に言ってくれた”好き”と、同じ意味合いとしての、な?」
和 「な、何を言って・・・ふざけるのも大概にしてよ!」
律 「この状況でふざけられるわけないだろ」
和 「ぐ・・・だ、だって!だって私は唯の親友なのよ!」
律 「・・・っ!んなの関係あるかよっ!!」
和 「っ!」
252: 2011/04/07(木) 14:10:30.19
律 「・・・和、もし私の言ってる通りなんだったらさ・・・」
和 「・・・・律」
律 「ん、ああ・・・」
和 「・・・・私、唯を追うから。せっかくの壮行会、途中で抜けてごめんね。皆にはうまく言っておいて・・・」
律 「分かった・・・」
和 「それじゃ私、行くね」タッ
律 「・・・・・・」
律 「・・・・トイレ、行くか」
軽音部!!
律 「たっだいまー・・・」
澪 「おかえり。ずいぶん遅かったな」
律 「あ、あー・・・限界までがまんしてたからかな、出たら止まらなくなっちゃってさ」
澪 「相変わらず、下品なやつだ・・・」
紬 「あれ、唯ちゃんと和ちゃんは?途中で一緒にならなかったの?」
律 「あいつらね、うん。その・・・唯、ちょっと具合悪くしたみたいでさ」
澪 「え?それでどうしたんだ!?」
律 「心配ないよ。和が連れて一緒に帰った。だから、今日の壮行会はこれでお開きだな」
澪 「そ、そうか・・・仕方がないとはいえ、ちょっと残念だな」
和 「・・・・律」
律 「ん、ああ・・・」
和 「・・・・私、唯を追うから。せっかくの壮行会、途中で抜けてごめんね。皆にはうまく言っておいて・・・」
律 「分かった・・・」
和 「それじゃ私、行くね」タッ
律 「・・・・・・」
律 「・・・・トイレ、行くか」
軽音部!!
律 「たっだいまー・・・」
澪 「おかえり。ずいぶん遅かったな」
律 「あ、あー・・・限界までがまんしてたからかな、出たら止まらなくなっちゃってさ」
澪 「相変わらず、下品なやつだ・・・」
紬 「あれ、唯ちゃんと和ちゃんは?途中で一緒にならなかったの?」
律 「あいつらね、うん。その・・・唯、ちょっと具合悪くしたみたいでさ」
澪 「え?それでどうしたんだ!?」
律 「心配ないよ。和が連れて一緒に帰った。だから、今日の壮行会はこれでお開きだな」
澪 「そ、そうか・・・仕方がないとはいえ、ちょっと残念だな」
253: 2011/04/07(木) 14:14:20.96
紬 「じゃあ。ここを片付けたら、私たちも唯ちゃんのお見舞いに行きましょうか」
澪 「そうだな。さっきまで元気だったのに、急に体調を崩すなんて心配だし。じゃあ、手早く片付けて・・・」
律 「いや。大げさにしても気を使わせるだけだろ。ここは和に任せておこうぜ」
紬 「うーん・・・心配だけど。そうね、じゃあ代わりにお見舞いメールでも送ってあげたらどうかしら?」
澪 「ああ、大勢で押しかけるより、その方がいいかもな」
律 「・・・・」
澪 「・・・律?」
律 「あ、ああ。じゃあ、ちゃちゃっと片付けて帰ろうぜ」
澪 (・・・?)
帰り道!!
紬 「それじゃ私、こっちだから。みんな、また明日ねー」
澪 「ああ、気をつけてな」
律 「明日なー」
澪 「そうだな。さっきまで元気だったのに、急に体調を崩すなんて心配だし。じゃあ、手早く片付けて・・・」
律 「いや。大げさにしても気を使わせるだけだろ。ここは和に任せておこうぜ」
紬 「うーん・・・心配だけど。そうね、じゃあ代わりにお見舞いメールでも送ってあげたらどうかしら?」
澪 「ああ、大勢で押しかけるより、その方がいいかもな」
律 「・・・・」
澪 「・・・律?」
律 「あ、ああ。じゃあ、ちゃちゃっと片付けて帰ろうぜ」
澪 (・・・?)
帰り道!!
紬 「それじゃ私、こっちだから。みんな、また明日ねー」
澪 「ああ、気をつけてな」
律 「明日なー」
254: 2011/04/07(木) 14:20:02.15
澪 「さて、律・・・二人きりだな」
律 「え、なに!?なんでそんなこと言うの!?私を犯す気!?!」キャー
澪 「・・・気持ち悪いこと言うなよ」
律 「なんつてな。はっは」
澪 「・・・なにがあった?」
律 「・・・・」
澪 「・・・律」
律 「ちぇー。澪には全部お見通しか」
澪 「付き合い、長いからな。それに律は分かりやすい」
律 「はは・・・は。いや・・・笑ってる場合じゃないんだけどさ。はは・・・」
澪 「私でよければ、話を聞くぞ」
律 「ありがと・・・・」
律 「え、なに!?なんでそんなこと言うの!?私を犯す気!?!」キャー
澪 「・・・気持ち悪いこと言うなよ」
律 「なんつてな。はっは」
澪 「・・・なにがあった?」
律 「・・・・」
澪 「・・・律」
律 「ちぇー。澪には全部お見通しか」
澪 「付き合い、長いからな。それに律は分かりやすい」
律 「はは・・・は。いや・・・笑ってる場合じゃないんだけどさ。はは・・・」
澪 「私でよければ、話を聞くぞ」
律 「ありがと・・・・」
255: 2011/04/07(木) 14:26:38.84
マック 店内!!
澪 「告白された!?」
律 「声大きいって!・・・私から言ったって、言うなよ?」
澪 「誰にも言えないよ、こんなこと。しかし、そうか。あの唯がなぁ・・・」
律 「気づいてなかった?」
澪 「律ほど分かりやすくないしな、唯は。まぁ、律に好感を抱いてるとは思っていたけど、それが恋心だったとは・・・」
律 「恋心とか言うなよ。ハズいから・・・」
澪 「なんか、いつもと逆だな。私の言葉で律が恥ずかしがるなんて。なんだか新鮮だ」
律 「茶化すなよ。こっちは真剣なんだ」
澪 「・・・・真剣に応えるってことか?唯の気持ちに・・・」
律 「応えられないから、真剣に悩んでるんだ」
澪 「そっか・・・」
澪 「告白された!?」
律 「声大きいって!・・・私から言ったって、言うなよ?」
澪 「誰にも言えないよ、こんなこと。しかし、そうか。あの唯がなぁ・・・」
律 「気づいてなかった?」
澪 「律ほど分かりやすくないしな、唯は。まぁ、律に好感を抱いてるとは思っていたけど、それが恋心だったとは・・・」
律 「恋心とか言うなよ。ハズいから・・・」
澪 「なんか、いつもと逆だな。私の言葉で律が恥ずかしがるなんて。なんだか新鮮だ」
律 「茶化すなよ。こっちは真剣なんだ」
澪 「・・・・真剣に応えるってことか?唯の気持ちに・・・」
律 「応えられないから、真剣に悩んでるんだ」
澪 「そっか・・・」
256: 2011/04/07(木) 14:33:18.68
律 「なぁ、澪・・・」
澪 「ん?」
律 「真剣って言えばさ。唯もほんと、真剣な顔でさ・・・私のことを好きだって言おうとしてくれたんだ」
澪 「うん」
律 「でもさ・・・私も気が動転しちゃってて。唯の告白を最後まで聞いちゃったら、私も答え、ハッキリと出さなきゃならなくなるだろ?」
澪 「それはそうだな」
律 「・・・・どう答えて良いか分からなかったんだ。だからさ、最後まで言わせなかった」
澪 「・・・・」
律 「だって、唯の気持ちは嬉しいけど・・・応えられない以上は断らなきゃならない。だけど・・・」
律 「どんな言葉で言いつくろっても、唯を傷つけちゃいそうで怖かった・・・から・・・」
澪 「律・・・」
律 「そしたら唯、すっごく悲しそうな顔をしちゃって。結局さ、私はいちばん酷いやり方で唯を傷つけちゃったんじゃないかなぁって・・・」
律 「私・・・唯に嫌われちゃった・・・かも・・・」グスッ
澪 「ん?」
律 「真剣って言えばさ。唯もほんと、真剣な顔でさ・・・私のことを好きだって言おうとしてくれたんだ」
澪 「うん」
律 「でもさ・・・私も気が動転しちゃってて。唯の告白を最後まで聞いちゃったら、私も答え、ハッキリと出さなきゃならなくなるだろ?」
澪 「それはそうだな」
律 「・・・・どう答えて良いか分からなかったんだ。だからさ、最後まで言わせなかった」
澪 「・・・・」
律 「だって、唯の気持ちは嬉しいけど・・・応えられない以上は断らなきゃならない。だけど・・・」
律 「どんな言葉で言いつくろっても、唯を傷つけちゃいそうで怖かった・・・から・・・」
澪 「律・・・」
律 「そしたら唯、すっごく悲しそうな顔をしちゃって。結局さ、私はいちばん酷いやり方で唯を傷つけちゃったんじゃないかなぁって・・・」
律 「私・・・唯に嫌われちゃった・・・かも・・・」グスッ
257: 2011/04/07(木) 14:39:28.72
澪 「なるほどね。律にしては、えらく後ろ向きになってるな」
律 「な、なんだよー・・・」ヒグヒグッ
澪 「律、たしか唯にこんなこと言ってたよな?思ったことは、考えるより先に口に出せって」
律 (あ・・・それ、さっき唯も言ってた・・・)
澪 「そうすることで開ける道もあるって、そう言ったのおまえだよな?律」
律 「言った・・・・かも・・・・」
澪 「自分が言ったことには責任を持て。有言実行。部長のお前が範を垂れないで、どうするんだよ」
澪 「唯の想いに、律。自分の言葉できちんと返事をしてやるべきじゃないのか」
律 「でも、唯になんて言えば良いの・・・?」
澪 「どうせ伝えたい事は頭の中に浮かんでるんだろ?だったらアレコレ考えずに、思いの丈をぶつければ良いんじゃないかな?」
澪 「本音を晒して、それで人のことを悪し様に思うような唯じゃないだろ」
律 「う・・・うん・・・ そうだよね・・・ そうだな」グシグシ
律 「よっし!明日だ!明日、きちんと唯と話をするよ」
澪 「うん、それが良い。唯もきっと、律の言葉を待っていると思うよ」
律 「な、なんだよー・・・」ヒグヒグッ
澪 「律、たしか唯にこんなこと言ってたよな?思ったことは、考えるより先に口に出せって」
律 (あ・・・それ、さっき唯も言ってた・・・)
澪 「そうすることで開ける道もあるって、そう言ったのおまえだよな?律」
律 「言った・・・・かも・・・・」
澪 「自分が言ったことには責任を持て。有言実行。部長のお前が範を垂れないで、どうするんだよ」
澪 「唯の想いに、律。自分の言葉できちんと返事をしてやるべきじゃないのか」
律 「でも、唯になんて言えば良いの・・・?」
澪 「どうせ伝えたい事は頭の中に浮かんでるんだろ?だったらアレコレ考えずに、思いの丈をぶつければ良いんじゃないかな?」
澪 「本音を晒して、それで人のことを悪し様に思うような唯じゃないだろ」
律 「う・・・うん・・・ そうだよね・・・ そうだな」グシグシ
律 「よっし!明日だ!明日、きちんと唯と話をするよ」
澪 「うん、それが良い。唯もきっと、律の言葉を待っていると思うよ」
258: 2011/04/07(木) 14:44:22.95
律 「・・・しかしそうは言っても、唯になんて言って声をかけるかなぁ。本音とはいえ、言葉は選ばないとだし・・・」
澪 「あまり言葉を飾ろうとするなよ。素直なのが一ばん心に届く」
律 「そうだな」
澪 「・・・私も」
律 「・・・ん?」
澪 「私もさ、一つ良いかな・・・」
律 「よく分からないけど、一つでも二つでもどうぞ。で、なにが?」
澪 「・・・素直な言葉を一つ。ここで言ってしまおうかなと思って、さ」
律 「お??澪にもなにかあったのか・・・?私で良ければ何でも聞くぞー」
澪 「うん。・・・ちょっと酷いことを言ってしまうと思うけどさ、良いかな?」
律 「え・・・今はあまり心が折れそうな事、言って欲しくないなぁ・・・」
澪 「そういうのじゃないよ。ただ・・・・」
律 「・・・・」
澪 「律と唯が両思いじゃなくって、良かったなって・・・・」
律 「・・・・え?」
澪 「唯には悪いけど・・・正直、ホッとしてるんだ、今」
律 「み、澪・・・それって・・・」
澪 「私、勝手で酷いやつだよな。でも・・・それが今の正直な。素直な気持ち・・・」
律 「あ・・・う・・・///」
澪 「///」
澪 「あまり言葉を飾ろうとするなよ。素直なのが一ばん心に届く」
律 「そうだな」
澪 「・・・私も」
律 「・・・ん?」
澪 「私もさ、一つ良いかな・・・」
律 「よく分からないけど、一つでも二つでもどうぞ。で、なにが?」
澪 「・・・素直な言葉を一つ。ここで言ってしまおうかなと思って、さ」
律 「お??澪にもなにかあったのか・・・?私で良ければ何でも聞くぞー」
澪 「うん。・・・ちょっと酷いことを言ってしまうと思うけどさ、良いかな?」
律 「え・・・今はあまり心が折れそうな事、言って欲しくないなぁ・・・」
澪 「そういうのじゃないよ。ただ・・・・」
律 「・・・・」
澪 「律と唯が両思いじゃなくって、良かったなって・・・・」
律 「・・・・え?」
澪 「唯には悪いけど・・・正直、ホッとしてるんだ、今」
律 「み、澪・・・それって・・・」
澪 「私、勝手で酷いやつだよな。でも・・・それが今の正直な。素直な気持ち・・・」
律 「あ・・・う・・・///」
澪 「///」
269: 2011/04/08(金) 21:51:35.76
平沢家!!
和 (けっきょく学校では唯を捕まえることができなかった)
和 (家に・・・戻ってくれてれば良いんだけれど)
ピンポーン♪
憂 「はい・・・(がちゃっ)あれ、和ちゃん」
和 「こんばんわ、憂。唯、戻ってる?」
憂 「うん・・・さっき、帰ってきたところ」
和 「良かった・・・お邪魔して良い?」
憂 「うん、良いけど・・・ねぇ、和ちゃん。学校でなにかあったの?」
和 「・・・どうして?」
憂 「どうしてって、お姉ちゃん。すごく沈んだ顔で帰ってきたから・・・・」
憂 「最近のお姉ちゃん、いつもニコニコ笑顔で帰ってきて、軽音部であった事とかを楽しそうに話してくれるのに」
憂 「今日は靴を脱ぐなり、すぐに部屋に直行してそのまんま・・・こんなの最近のお姉ちゃんじゃ無かったことだもん」
和 (唯・・・)
憂 「これってまるで以前の・・・」
和 「と、とにかく、上がらせてもらうわね」
憂 「う、うん・・・」
和 (けっきょく学校では唯を捕まえることができなかった)
和 (家に・・・戻ってくれてれば良いんだけれど)
ピンポーン♪
憂 「はい・・・(がちゃっ)あれ、和ちゃん」
和 「こんばんわ、憂。唯、戻ってる?」
憂 「うん・・・さっき、帰ってきたところ」
和 「良かった・・・お邪魔して良い?」
憂 「うん、良いけど・・・ねぇ、和ちゃん。学校でなにかあったの?」
和 「・・・どうして?」
憂 「どうしてって、お姉ちゃん。すごく沈んだ顔で帰ってきたから・・・・」
憂 「最近のお姉ちゃん、いつもニコニコ笑顔で帰ってきて、軽音部であった事とかを楽しそうに話してくれるのに」
憂 「今日は靴を脱ぐなり、すぐに部屋に直行してそのまんま・・・こんなの最近のお姉ちゃんじゃ無かったことだもん」
和 (唯・・・)
憂 「これってまるで以前の・・・」
和 「と、とにかく、上がらせてもらうわね」
憂 「う、うん・・・」
270: 2011/04/08(金) 21:54:41.89
唯の部屋の前!!
こんこん
憂 「お姉ちゃん、和ちゃん来てくれたけど・・・」
唯 「どーぞー」
憂 「声は・・・いつも通りな感じ」
和 「うん。さ、あとは私と唯の二人にしてくれる?」
憂 「分かったよ、和ちゃん。・・・何があったか知らないけれど、和ちゃん。信用してるから・・・」
和 「ありがとう。・・・唯、入るわよ」ガチャッ
ドアを後ろ手に閉める。憂の不安げな表情が、隙間の中に吸い込まれるようにして消えた。
唯 「いらっしゃい、和ちゃん・・・」
和 「唯・・・」
ベッドの上に膝を抱えて座っている唯。その姿に・・・
私の背筋をアイスピックで貫かれたかのように、冷たく鋭利な何かが走り抜ける。
(そんなの分からないだろ。心なんてデリケートなもの、何がきっかけで崩れちゃうかなんてさ)
いつかの律の言葉が、脳裏に蘇る。まさか・・・冷たい汗が頬を伝うのを感じた。
まさか・・・また・・・
い、いやだ!
たまらず側に駆け寄ろうとした私に向け、唯が顔を上げた。目と目が合う。
和 「・・・あ」
その瞳を凝視して、私の不安は杞憂だと悟った。とともに、思わず肺腑から漏れる安堵の息。
唯の瞳は、くすんではいなかった。
こんこん
憂 「お姉ちゃん、和ちゃん来てくれたけど・・・」
唯 「どーぞー」
憂 「声は・・・いつも通りな感じ」
和 「うん。さ、あとは私と唯の二人にしてくれる?」
憂 「分かったよ、和ちゃん。・・・何があったか知らないけれど、和ちゃん。信用してるから・・・」
和 「ありがとう。・・・唯、入るわよ」ガチャッ
ドアを後ろ手に閉める。憂の不安げな表情が、隙間の中に吸い込まれるようにして消えた。
唯 「いらっしゃい、和ちゃん・・・」
和 「唯・・・」
ベッドの上に膝を抱えて座っている唯。その姿に・・・
私の背筋をアイスピックで貫かれたかのように、冷たく鋭利な何かが走り抜ける。
(そんなの分からないだろ。心なんてデリケートなもの、何がきっかけで崩れちゃうかなんてさ)
いつかの律の言葉が、脳裏に蘇る。まさか・・・冷たい汗が頬を伝うのを感じた。
まさか・・・また・・・
い、いやだ!
たまらず側に駆け寄ろうとした私に向け、唯が顔を上げた。目と目が合う。
和 「・・・あ」
その瞳を凝視して、私の不安は杞憂だと悟った。とともに、思わず肺腑から漏れる安堵の息。
唯の瞳は、くすんではいなかった。
271: 2011/04/08(金) 22:06:19.12
唯 「・・・和ちゃん。壮行会、途中で抜けちゃってごめんね。私、言いだしっぺだったのに」
和 「良いのよ」
唯 「わざわざ来てくれたって事は、何があったか知ってるんだよね?」
和 「ごめん。どうしても気になっちゃって。こっそり・・・様子を、ね」
唯 「そっかー・・・へへ、私、ふられちゃったよ。おっかしーね」
和 「おかしくなんかないわ」
唯 「上手く、いくって勝手に思い込んじゃってたから。ちょっとショックが大きかったんだ」
和 「・・・そう」
唯 「和ちゃんに軽音部につれて来られて。みんなと知り合って、楽しい時間を過ごして・・・」
唯 「私、笑えるようになって。なんだか全てのことが上手く運んでたから、告白もぜったい成功するんだって、変な自信を・・・」
和 「唯・・・」
唯 「でもでも、今まで上手くいったのは、あくまで私の心の問題。今回の事は・・・相手の気持ちがあってのことだもんね」
唯 「・・・軽く、考えすぎていたの、かも」ニコー
和 「・・・」
和 「良いのよ」
唯 「わざわざ来てくれたって事は、何があったか知ってるんだよね?」
和 「ごめん。どうしても気になっちゃって。こっそり・・・様子を、ね」
唯 「そっかー・・・へへ、私、ふられちゃったよ。おっかしーね」
和 「おかしくなんかないわ」
唯 「上手く、いくって勝手に思い込んじゃってたから。ちょっとショックが大きかったんだ」
和 「・・・そう」
唯 「和ちゃんに軽音部につれて来られて。みんなと知り合って、楽しい時間を過ごして・・・」
唯 「私、笑えるようになって。なんだか全てのことが上手く運んでたから、告白もぜったい成功するんだって、変な自信を・・・」
和 「唯・・・」
唯 「でもでも、今まで上手くいったのは、あくまで私の心の問題。今回の事は・・・相手の気持ちがあってのことだもんね」
唯 「・・・軽く、考えすぎていたの、かも」ニコー
和 「・・・」
272: 2011/04/08(金) 22:13:24.80
唯 「へへ・・・で、どうして良いかわからなくなっちゃって、気づいたら家に向かって走ってました!」
和 「・・・」
唯 「私もまだまだ弱いよね。でも、もう平気だよ。明日は普通に部活にも出るし、りっちゃんともいつも通りだから!」
和 「・・・」
唯 「ちょっと泣いたら落ち着いたし、もう和ちゃんを心配させるような事にはならないから、ね」
和 「・・・」
唯 「だから和ちゃんも安心して生徒会に・・・」
確かに唯は強くなった。失恋してしまっても、もう昔のように内に篭って心の傷をえぐるような真似はしないだろう。
でも、だからといってそれは辛い出来事を、心についてしまった傷をなかったことにできる訳ではない。
唯・・・今は私の手前笑っているけど、きっと悲しくて悲しくて仕方がないに違いない。
だって・・・
今でもその両目は溢れんばかりに涙をたたえ、肩は小刻みに震え続けているんだもの。
なんだろう・・・そんな唯を見ていたら。
悲しいのを堪え微笑んでいる唯が健気で、いじましくて・・・・
たまらなく、愛しい。
和 「・・・」
唯 「私もまだまだ弱いよね。でも、もう平気だよ。明日は普通に部活にも出るし、りっちゃんともいつも通りだから!」
和 「・・・」
唯 「ちょっと泣いたら落ち着いたし、もう和ちゃんを心配させるような事にはならないから、ね」
和 「・・・」
唯 「だから和ちゃんも安心して生徒会に・・・」
確かに唯は強くなった。失恋してしまっても、もう昔のように内に篭って心の傷をえぐるような真似はしないだろう。
でも、だからといってそれは辛い出来事を、心についてしまった傷をなかったことにできる訳ではない。
唯・・・今は私の手前笑っているけど、きっと悲しくて悲しくて仕方がないに違いない。
だって・・・
今でもその両目は溢れんばかりに涙をたたえ、肩は小刻みに震え続けているんだもの。
なんだろう・・・そんな唯を見ていたら。
悲しいのを堪え微笑んでいる唯が健気で、いじましくて・・・・
たまらなく、愛しい。
273: 2011/04/08(金) 22:23:32.22
和 「唯っ・・・!」
思わずベッドの上の唯を抱きしめる。唯もそれに応えて力を抜き、私にしな垂れかかってきた。
唯 「和ちゃん・・・」
和 「律はバカよ・・・」
唯 「え・・・?」
和 「大バカも良いところだわ。唯の、こんな良い子の想いを拒絶するだなんて。ありえない大バカよ!」
唯 「やめて・・・りっちゃんのこと悪く言わないで?」
この期に及んで律を庇う優しさに触れ、唯を抱く腕にも知らずに力がこもる。
唯 「いたっ・・・ちょ、苦しいよ、和ちゃん・・・」
和 「私だったら!」
唯 「・・・?」
和 「私だったら、唯にこんな悲しい思いをさせたりなんて、絶対にしないのに・・・」
唯 「和ちゃん、なにを言って・・・」
和 「悔しい・・・悔しいよ、唯ぃ・・・」
唯 「なにが悔しいの?」
和 「分からない。わからないよ・・・でも・・・・」
分からないと言いつつも、私には分かったことが一つあった。
律の前で、唯の失恋を目の当たりにして流れ出た、私の涙の意味。
思わずベッドの上の唯を抱きしめる。唯もそれに応えて力を抜き、私にしな垂れかかってきた。
唯 「和ちゃん・・・」
和 「律はバカよ・・・」
唯 「え・・・?」
和 「大バカも良いところだわ。唯の、こんな良い子の想いを拒絶するだなんて。ありえない大バカよ!」
唯 「やめて・・・りっちゃんのこと悪く言わないで?」
この期に及んで律を庇う優しさに触れ、唯を抱く腕にも知らずに力がこもる。
唯 「いたっ・・・ちょ、苦しいよ、和ちゃん・・・」
和 「私だったら!」
唯 「・・・?」
和 「私だったら、唯にこんな悲しい思いをさせたりなんて、絶対にしないのに・・・」
唯 「和ちゃん、なにを言って・・・」
和 「悔しい・・・悔しいよ、唯ぃ・・・」
唯 「なにが悔しいの?」
和 「分からない。わからないよ・・・でも・・・・」
分からないと言いつつも、私には分かったことが一つあった。
律の前で、唯の失恋を目の当たりにして流れ出た、私の涙の意味。
274: 2011/04/08(金) 22:27:59.90
それは、唯の口から紡がれた告白の言葉が、私には向けられなかったこと。
そしてそれなのに、その告白が成就しなかったという現実。
この二つに対しての、悔しさの涙だったんだ。
不安げに私を見つめる唯の潤んだ瞳。泣き腫らして、少し厚ぼったくなった瞼。
嗚咽を堪えたためだろう、少し熱を帯びて甘く香る唯の吐息。
私の腕の中で震えている、華奢な肩。
和 「唯・・・」
唯 「の、和ちゃん・・・?」
所在無げに半ば開かれた、唯の唇・・・・
気がついたら私は
和 「・・・んっ」
唯の。一番大切に思っている親友の唇に
唯 「・・・・っ!?」
自分のそれを重ね合わせていた。
和 (唯・・・唯っ!)
唯 「んむっ・・・」
何が起きているのか分からないといった風に見開かれた唯の目。
驚きと戸惑いをない交ぜにして、私を見ている。でも・・・
唯は私のキスを拒絶はしなかった。
そしてそれなのに、その告白が成就しなかったという現実。
この二つに対しての、悔しさの涙だったんだ。
不安げに私を見つめる唯の潤んだ瞳。泣き腫らして、少し厚ぼったくなった瞼。
嗚咽を堪えたためだろう、少し熱を帯びて甘く香る唯の吐息。
私の腕の中で震えている、華奢な肩。
和 「唯・・・」
唯 「の、和ちゃん・・・?」
所在無げに半ば開かれた、唯の唇・・・・
気がついたら私は
和 「・・・んっ」
唯の。一番大切に思っている親友の唇に
唯 「・・・・っ!?」
自分のそれを重ね合わせていた。
和 (唯・・・唯っ!)
唯 「んむっ・・・」
何が起きているのか分からないといった風に見開かれた唯の目。
驚きと戸惑いをない交ぜにして、私を見ている。でも・・・
唯は私のキスを拒絶はしなかった。
275: 2011/04/08(金) 22:40:08.53
・・・・
・・・・
和 「・・・・ごめんなさい、唯」
唯 「謝らなくってもいいけど・・・」
和 「嫌じゃなかった?」
唯 「和ちゃんだもん、嫌なんて思わないよ。だけど・・・どうしてキスなんか・・・」
和 「唯、今日ね。唯が律にふられた後、私、律とちょっと言い合っちゃったの」
唯 「・・・え」
和 「そこで、情けないわね。私ね、泣いちゃってた。自分でも気がつかないうちに、ポロポロ涙が溢れてきちゃって」
唯 「和ちゃん・・・」
和 「それを見ていた律がね、私に言ったのよ」
唯 「・・・・」
和 「・・・・」
唯 「・・・りっちゃんは、なんて?」
和 「・・・和は、唯が・・・好きなんじゃないのかって」
唯 「和ちゃんが、私を・・・」
和 「唯が律に言ったのと、同じ意味合いでって、ね」
唯 「そ、それって・・・」
・・・・
和 「・・・・ごめんなさい、唯」
唯 「謝らなくってもいいけど・・・」
和 「嫌じゃなかった?」
唯 「和ちゃんだもん、嫌なんて思わないよ。だけど・・・どうしてキスなんか・・・」
和 「唯、今日ね。唯が律にふられた後、私、律とちょっと言い合っちゃったの」
唯 「・・・え」
和 「そこで、情けないわね。私ね、泣いちゃってた。自分でも気がつかないうちに、ポロポロ涙が溢れてきちゃって」
唯 「和ちゃん・・・」
和 「それを見ていた律がね、私に言ったのよ」
唯 「・・・・」
和 「・・・・」
唯 「・・・りっちゃんは、なんて?」
和 「・・・和は、唯が・・・好きなんじゃないのかって」
唯 「和ちゃんが、私を・・・」
和 「唯が律に言ったのと、同じ意味合いでって、ね」
唯 「そ、それって・・・」
276: 2011/04/08(金) 22:46:15.17
和 「律と別れてから。ここに来るまでの道すがら。ううん、唯の顔を見た後も・・・」
唯 「・・・・」
和 「私、律の言った言葉をずっと反芻してた。頭の中、心の底、私が唯に抱いている想い。律の言った意味・・・」
和 「ううん、今日のことだけじゃない。去年、唯の笑顔を律に取られたと思って落ち込んだ時の焦燥感・・・」
和 「初めて唯の口から、律のことを好きだと聞いた時の喪失感・・・そして」
和 「いつかのカラオケの帰り、思わず口をついで出た・・・唯、大好きっていう、その言葉の意味・・・・」
唯 「のど・・・かちゃん・・・」
和 「自分でも計りかねていた、本当の意味・・・」
和 「・・・さすがは律、部長なだけあって慧眼ね。私自身が気づかずに・・・・違うか」
和 「気づかないフリをして感情の底に押し込んでた、唯への想い・・・それ、向けられてる本人より先に、気付いちゃうんだもの」
唯 「和ちゃん・・・和ちゃん・・・」
友達だ親友だという感情のフィルターに覆われて見えてこなかった本心が、律という第三者の言葉によってハッキリと。
今、私の気持ちの表面に。目に見える形で。浮かび上がった。
目の前の唯を通して。この気持ちは紛れもない。
和 「唯、私はあなたを愛している。ずっと昔から、今の今まで。変わらずに」
この想いは、恋、だ。
唯 「・・・・」
和 「私、律の言った言葉をずっと反芻してた。頭の中、心の底、私が唯に抱いている想い。律の言った意味・・・」
和 「ううん、今日のことだけじゃない。去年、唯の笑顔を律に取られたと思って落ち込んだ時の焦燥感・・・」
和 「初めて唯の口から、律のことを好きだと聞いた時の喪失感・・・そして」
和 「いつかのカラオケの帰り、思わず口をついで出た・・・唯、大好きっていう、その言葉の意味・・・・」
唯 「のど・・・かちゃん・・・」
和 「自分でも計りかねていた、本当の意味・・・」
和 「・・・さすがは律、部長なだけあって慧眼ね。私自身が気づかずに・・・・違うか」
和 「気づかないフリをして感情の底に押し込んでた、唯への想い・・・それ、向けられてる本人より先に、気付いちゃうんだもの」
唯 「和ちゃん・・・和ちゃん・・・」
友達だ親友だという感情のフィルターに覆われて見えてこなかった本心が、律という第三者の言葉によってハッキリと。
今、私の気持ちの表面に。目に見える形で。浮かび上がった。
目の前の唯を通して。この気持ちは紛れもない。
和 「唯、私はあなたを愛している。ずっと昔から、今の今まで。変わらずに」
この想いは、恋、だ。
277: 2011/04/08(金) 22:51:55.62
和 「・・・・言っちゃった。はは、勢いですらっと言っちゃったけど、これって結構はずかしいものね」
唯 「・・・・・」
和 「その・・・ごめんなさいね、こんな時。こんなタイミングで。唯、それどころじゃないのにね・・・」
唯 「・・・・・」
和 「・・・・唯?」
唯 「和ちゃん、ごめんねーーー・・・」グスッ
和 「えっ!?」
唯 「ほんとにごめんー・・うぅー・・・うあー・・・」ポロポロ
和 「な、どうしたの?ちょ・・・大丈夫、唯?」
唯 「辛かったよね?苦しかったよね?私、和ちゃんの気持ちなんか考えずに、浮かれちゃって・・・・」
和 「・・・・唯」
唯 「りっちゃんのことばかり話して、告白の相談までして・・・それなのに和ちゃん、嫌な顔一つしないで・・・」
唯 「ごめんなさいー・・・」ウアーン
和 「ちがっ・・・違うよ!私が素直になれなかったのが悪かったんだよ!唯が謝ることなんてなにもないの!だから・・・」
唯 「びわーーーん!」
和 「だから・・・泣き、やんで・・・・」グスッ
唯 「びえーーーん!」
和 「う・・・うえええええん・・・」
唯 「・・・・・」
和 「その・・・ごめんなさいね、こんな時。こんなタイミングで。唯、それどころじゃないのにね・・・」
唯 「・・・・・」
和 「・・・・唯?」
唯 「和ちゃん、ごめんねーーー・・・」グスッ
和 「えっ!?」
唯 「ほんとにごめんー・・うぅー・・・うあー・・・」ポロポロ
和 「な、どうしたの?ちょ・・・大丈夫、唯?」
唯 「辛かったよね?苦しかったよね?私、和ちゃんの気持ちなんか考えずに、浮かれちゃって・・・・」
和 「・・・・唯」
唯 「りっちゃんのことばかり話して、告白の相談までして・・・それなのに和ちゃん、嫌な顔一つしないで・・・」
唯 「ごめんなさいー・・・」ウアーン
和 「ちがっ・・・違うよ!私が素直になれなかったのが悪かったんだよ!唯が謝ることなんてなにもないの!だから・・・」
唯 「びわーーーん!」
和 「だから・・・泣き、やんで・・・・」グスッ
唯 「びえーーーん!」
和 「う・・・うえええええん・・・」
278: 2011/04/08(金) 22:58:18.84
こんこん
憂 「お姉ちゃん、和ちゃん。お茶、煎れたんだけれど・・・」ガチャッ
唯 「えーーーん!えんえん!」
和 「うあああん、うああああん」
憂 「・・・・え!?」
唯 「あ、憂ー、ありがとう・・・そこ、置いておいて・・・うわーーーんっ」
和 「い、いただき・・・ます・・・うあーーーん」
憂 「な・・・何事・・・」
子供のような大泣き。声をあげて泣いたのなんて、いったい何年ぶりだろう。
でも、不思議と気持ちが良い。涙や嗚咽と共に、感情を押し頃していた要らない物まで洗い流されていくようで。
憂 「あ、あのっ、お茶請け・・・どうしようか・・・」オロオロ
唯 「アイス、アイス食べたいぃーーーーっ」
和 「そ、その組み合わせは・・・正直どうかと思う、わぁぁあぁん・・・」
憂 「どうしたら良いの、私・・・」ウルウル
憂 「う・・・ぐすっ」
唯・和・憂 「びわぁぁあああああぁん!」
憂 「お姉ちゃん、和ちゃん。お茶、煎れたんだけれど・・・」ガチャッ
唯 「えーーーん!えんえん!」
和 「うあああん、うああああん」
憂 「・・・・え!?」
唯 「あ、憂ー、ありがとう・・・そこ、置いておいて・・・うわーーーんっ」
和 「い、いただき・・・ます・・・うあーーーん」
憂 「な・・・何事・・・」
子供のような大泣き。声をあげて泣いたのなんて、いったい何年ぶりだろう。
でも、不思議と気持ちが良い。涙や嗚咽と共に、感情を押し頃していた要らない物まで洗い流されていくようで。
憂 「あ、あのっ、お茶請け・・・どうしようか・・・」オロオロ
唯 「アイス、アイス食べたいぃーーーーっ」
和 「そ、その組み合わせは・・・正直どうかと思う、わぁぁあぁん・・・」
憂 「どうしたら良いの、私・・・」ウルウル
憂 「う・・・ぐすっ」
唯・和・憂 「びわぁぁあああああぁん!」
279: 2011/04/08(金) 23:04:27.14
数分後!!
和 「泣くだけ泣いたら、すっきりしちゃった」
唯 「そうだね。でも、憂にはビックリさせて、悪いことしちゃったなぁ」
和 「あの子まで泣かせちゃったもんね。後で謝っておかないと」
唯 「うん・・・」
和 「・・・・」
唯 「あの、ね。和ちゃん。愛してるって。言ってくれて、ありがとう」
和 「べ、別にっ。・・・礼を言われるようなことじゃないわ」
唯 「ううん。やっぱり、ありがとうだよ。だって、嬉しいんだ。とっても・・・」
唯 「友達としてだけじゃなく。私のこと、そこまで大切に思ってくれているなんて・・・すっごくね、嬉しいの」
和 「唯・・・」
唯 「だけどね、返事はちょっと待って欲しいんだ。いきなりだったから、まだ頭が混乱してるし・・・」
和 「えっ?」
唯 「えって・・・え??」
和 「あ、だって・・・てっきり私、即座に拒否されるかと思ってたから・・・」
唯 「そんなことしないよ!大好きな和ちゃんにそんな事できない。できない、けど・・・」
和 「泣くだけ泣いたら、すっきりしちゃった」
唯 「そうだね。でも、憂にはビックリさせて、悪いことしちゃったなぁ」
和 「あの子まで泣かせちゃったもんね。後で謝っておかないと」
唯 「うん・・・」
和 「・・・・」
唯 「あの、ね。和ちゃん。愛してるって。言ってくれて、ありがとう」
和 「べ、別にっ。・・・礼を言われるようなことじゃないわ」
唯 「ううん。やっぱり、ありがとうだよ。だって、嬉しいんだ。とっても・・・」
唯 「友達としてだけじゃなく。私のこと、そこまで大切に思ってくれているなんて・・・すっごくね、嬉しいの」
和 「唯・・・」
唯 「だけどね、返事はちょっと待って欲しいんだ。いきなりだったから、まだ頭が混乱してるし・・・」
和 「えっ?」
唯 「えって・・・え??」
和 「あ、だって・・・てっきり私、即座に拒否されるかと思ってたから・・・」
唯 「そんなことしないよ!大好きな和ちゃんにそんな事できない。できない、けど・・・」
280: 2011/04/08(金) 23:13:05.15
唯 「私、本当に和ちゃんが好き。大好き。」
和 「唯・・・」
唯 「だけど、この”好き”が、どの”好き”なのか・・・ラブなのかライクなのか・・・私、分からない」
唯 「だって、和ちゃんは小さい頃からずっと私の側にいてくれてて」
唯 「私はそんな和ちゃんが”好き”だってことが、あまりに当然の事になりすぎてたんだもん」
和 「うん・・・・」
唯 「えへへ、あまり上手く説明できないや・・・」
和 「ううん、分かる。すごく分かるよ。だって私も、今の唯と一緒だったんだもの」
和 「今日の今日まで、私の”好き”がラブだって、ずっと気がつかなかった・・・」
唯 「うん・・・それにね、りっちゃんが好きだって気持ちも、ほんとのほんとなんだ。ふられちゃった今も、やっぱり好き」
唯 「告白して、ふられて、告白されて、キスまでされちゃって・・・」
和 「あ・・・///」
和 「唯・・・」
唯 「だけど、この”好き”が、どの”好き”なのか・・・ラブなのかライクなのか・・・私、分からない」
唯 「だって、和ちゃんは小さい頃からずっと私の側にいてくれてて」
唯 「私はそんな和ちゃんが”好き”だってことが、あまりに当然の事になりすぎてたんだもん」
和 「うん・・・・」
唯 「えへへ、あまり上手く説明できないや・・・」
和 「ううん、分かる。すごく分かるよ。だって私も、今の唯と一緒だったんだもの」
和 「今日の今日まで、私の”好き”がラブだって、ずっと気がつかなかった・・・」
唯 「うん・・・それにね、りっちゃんが好きだって気持ちも、ほんとのほんとなんだ。ふられちゃった今も、やっぱり好き」
唯 「告白して、ふられて、告白されて、キスまでされちゃって・・・」
和 「あ・・・///」
281: 2011/04/08(金) 23:16:05.53
唯 「これだけの事がいっぺんに起こって、正直私の頭はオーバーヒート寸前だよ!」
和 「う~~~。なんか・・・ごめん」
唯 「へへ・・・ううん。だけど。だから、ね。落ち着くまで、返事は待って欲しいの」
唯 「和ちゃんに、混乱した頭で出した答えでなんて、返事したくないもん」
和 「唯。ありがとう。本当にありがとう。私・・・唯の答え、ずっと待ってるから」
私自身が戸惑い、どう扱って良いものか思いあぐねている、唯への気持ち。
なかば押し付けるような告白を唯は。自分も辛いときだと言うのに、唯は・・・
嫌な顔一つせず、正面から受け止めてくれた。唯の心の温かさに触れることができた。
私、唯を好きになって・・・好きだって気がついて本当に良かった。
だけど・・・
和 「う~~~。なんか・・・ごめん」
唯 「へへ・・・ううん。だけど。だから、ね。落ち着くまで、返事は待って欲しいの」
唯 「和ちゃんに、混乱した頭で出した答えでなんて、返事したくないもん」
和 「唯。ありがとう。本当にありがとう。私・・・唯の答え、ずっと待ってるから」
私自身が戸惑い、どう扱って良いものか思いあぐねている、唯への気持ち。
なかば押し付けるような告白を唯は。自分も辛いときだと言うのに、唯は・・・
嫌な顔一つせず、正面から受け止めてくれた。唯の心の温かさに触れることができた。
私、唯を好きになって・・・好きだって気がついて本当に良かった。
だけど・・・
282: 2011/04/08(金) 23:25:23.40
それから間もなくして・・・
私は無事、生徒会に入ることができた。
のみならず書記という役職にまで選出され、私の高校生活二年目は上々のスタートを切ることができた。
でも、それからが大変。
初めての仕事、慣れない役目に追われる日々。もう忙しすぎて、文字通り目が回っちゃう毎日。
全校集会がある時なんかは、たまに司会みたいなこともやらされて。
もちろん主役は生徒会長である曽我部先輩なのだけれど。
それでもやっぱり全校生徒の注目を集める壇上に登っての司会は、なかなかに緊張を強いられる役目なわけで・・・
・・・でも。
軽音部にいたから。そこで歌い、笑い、泣き。友情を育んで。そして一緒に培った舞台度胸があったから。
私は大勢の前で過度に緊張することも言葉を噛むこともなく、大過なく役目をこなし続けることができている。
みんなと過ごした一年。あの宝石のように輝く想い出の日々は、確かに私の血となり肉となり。
今の、そしてこれからの真鍋和を形づくる、大きな糧となってくれている。
私は無事、生徒会に入ることができた。
のみならず書記という役職にまで選出され、私の高校生活二年目は上々のスタートを切ることができた。
でも、それからが大変。
初めての仕事、慣れない役目に追われる日々。もう忙しすぎて、文字通り目が回っちゃう毎日。
全校集会がある時なんかは、たまに司会みたいなこともやらされて。
もちろん主役は生徒会長である曽我部先輩なのだけれど。
それでもやっぱり全校生徒の注目を集める壇上に登っての司会は、なかなかに緊張を強いられる役目なわけで・・・
・・・でも。
軽音部にいたから。そこで歌い、笑い、泣き。友情を育んで。そして一緒に培った舞台度胸があったから。
私は大勢の前で過度に緊張することも言葉を噛むこともなく、大過なく役目をこなし続けることができている。
みんなと過ごした一年。あの宝石のように輝く想い出の日々は、確かに私の血となり肉となり。
今の、そしてこれからの真鍋和を形づくる、大きな糧となってくれている。
283: 2011/04/08(金) 23:29:25.96
だけど・・・
そんな大好きなみんなと、ここ最近わたしはろくに話をしていない。
かろうじて唯一同じクラスになった澪と、申し訳程度に挨拶を交わすくらいだ。
理由は明快。私が雑多で忙しいから。これに尽きる。
・・・・というのは表向きの話。
唯の告白を発端として起こった一連の出来事で、気まずかったり気恥ずかしかったりして・・・
それに軽音部を抜けた後ろめたさも手伝って、まともに顔を合わせる気になれないのが本当のところだった。
梅雨もとっくにあけ、もうすぐ楽しい夏休みが控えているというのに。
私の心の中には、未だに暗雲が低くたれこめたまま。
和 「はぁ・・ぁ・・・」
口から漏れ出るは、ため息ばかり。
そんな大好きなみんなと、ここ最近わたしはろくに話をしていない。
かろうじて唯一同じクラスになった澪と、申し訳程度に挨拶を交わすくらいだ。
理由は明快。私が雑多で忙しいから。これに尽きる。
・・・・というのは表向きの話。
唯の告白を発端として起こった一連の出来事で、気まずかったり気恥ずかしかったりして・・・
それに軽音部を抜けた後ろめたさも手伝って、まともに顔を合わせる気になれないのが本当のところだった。
梅雨もとっくにあけ、もうすぐ楽しい夏休みが控えているというのに。
私の心の中には、未だに暗雲が低くたれこめたまま。
和 「はぁ・・ぁ・・・」
口から漏れ出るは、ため息ばかり。
284: 2011/04/08(金) 23:40:52.25
和 「そういえば・・・」
生徒会室の窓辺に立ち何気に空を見上げてみれば、ふわふわ揺らぐ白い雲と、ぽっかりノンキに浮かんでいる眩しいお日様。
去年の今頃もこんな風に空を眺めながら、指折り夏休みの訪れを待っていたっけ。
皆で行く合宿を。唯の笑顔を取り戻すため。夏の海に。
和 「海・・・行こうかな」
なんだか無性に、打ち寄せる波と戯れたくなった。
砂浜で寝転がって、意味もなく身体を焼いて。水平線に沈む夕日を愛でて。それから・・・
『トウキュウハーンズナウ ヘイッ♪トウキュウハーンズナウ ヘイッ♪』
ん・・・?
和 「メール・・・?唯、から・・」
『和ちゃん、放課後お暇?何もなければ、一緒に帰ろうよ!』
和 「・・・唯」
生徒会室の窓辺に立ち何気に空を見上げてみれば、ふわふわ揺らぐ白い雲と、ぽっかりノンキに浮かんでいる眩しいお日様。
去年の今頃もこんな風に空を眺めながら、指折り夏休みの訪れを待っていたっけ。
皆で行く合宿を。唯の笑顔を取り戻すため。夏の海に。
和 「海・・・行こうかな」
なんだか無性に、打ち寄せる波と戯れたくなった。
砂浜で寝転がって、意味もなく身体を焼いて。水平線に沈む夕日を愛でて。それから・・・
『トウキュウハーンズナウ ヘイッ♪トウキュウハーンズナウ ヘイッ♪』
ん・・・?
和 「メール・・・?唯、から・・」
『和ちゃん、放課後お暇?何もなければ、一緒に帰ろうよ!』
和 「・・・唯」
291: 2011/04/09(土) 20:35:57.56
帰り道!!
唯 「なんだか久しぶりだね、和ちゃんと一緒に帰るの!」
和 「そうだね。なんかごめんね、唯」
唯 「んーん、和ちゃん忙しいの知ってるし。今日もね、ダメ元でメールしてみたんだ」
和 「うん、たまたまね。今日は何も予定が入ってなかったから」
唯 「誘って正解!だね」
和 「で?私に何か、話でもあったんじゃないの?」
唯 「さすがだよ、和ちゃん!やっぱりお見通しだったか」
和 「うん、そろそろかなって思ってたから」
唯 「内容まで読まれてましたか」
和 「でも、唯の出す答えまでは読みきれない。だから、ね。ハッキリ唯の気持ちを聞かせて欲しい」
唯 「うん・・・」
唯 「と、重い話をする前に!和ちゃんにお見せしたいものがあります!」バッ!!
和 「え、な、なに?藪から棒ね・・・それ、携帯でしょ?一体・・・」
唯 「ちっち。見てもらいたいのは、この中に入っている”とある物”なのです!てことで、さい・せい!!」ピピッ
和 「・・・動画?」
律 『和ー!』
和 「!」
唯 「なんだか久しぶりだね、和ちゃんと一緒に帰るの!」
和 「そうだね。なんかごめんね、唯」
唯 「んーん、和ちゃん忙しいの知ってるし。今日もね、ダメ元でメールしてみたんだ」
和 「うん、たまたまね。今日は何も予定が入ってなかったから」
唯 「誘って正解!だね」
和 「で?私に何か、話でもあったんじゃないの?」
唯 「さすがだよ、和ちゃん!やっぱりお見通しだったか」
和 「うん、そろそろかなって思ってたから」
唯 「内容まで読まれてましたか」
和 「でも、唯の出す答えまでは読みきれない。だから、ね。ハッキリ唯の気持ちを聞かせて欲しい」
唯 「うん・・・」
唯 「と、重い話をする前に!和ちゃんにお見せしたいものがあります!」バッ!!
和 「え、な、なに?藪から棒ね・・・それ、携帯でしょ?一体・・・」
唯 「ちっち。見てもらいたいのは、この中に入っている”とある物”なのです!てことで、さい・せい!!」ピピッ
和 「・・・動画?」
律 『和ー!』
和 「!」
292: 2011/04/09(土) 20:36:59.81
>>290
良いわけ=言い訳です。
失礼しました。
良いわけ=言い訳です。
失礼しました。
293: 2011/04/09(土) 20:40:50.84
律 『唯、もう始まってるのか?ちゃんと写ってる?』
唯 『平気だよ、りっちゃん!さ、澪ちゃんもムギちゃんもこっち来て!』
澪 『お、おお・・・』
紬 『なんだか緊張しちゃうわー』
律 『和。今これ、見てるんだよな?じゃ、さ。久しぶりだな。なんだよ随分ご無沙汰してくれちゃってさ!』
澪 『教室でもあまり、話せてないしな』
紬 『寂しいわー・・・』
律 『あと・・・おい、梓。なに隅っこに隠れてるんだよ。こっち来いって。一緒に写ろうぜ!』
梓 『あ!わ、私は遠慮して・・・ああ、もう・・・』
唯 『あずにゃん、あずにゃん。はい、にっこり笑って自己紹介!』
梓 『あうう・・・は、始めまして真鍋先輩。新しく軽音部に入部させていただいた中野梓っていいます』
唯 『通称あずにゃん!』
梓 『もう!その呼び方、やめて下さいって!こ・・こほん。えーと、真鍋先輩・・・』
梓 『新歓ライブ、とても感激しました。先輩の歌声、すっごくすっごく心に響きました。感動です!』
梓 『よろしかったらぜひ、部室に遊びに来てください。いろいろお話、伺ってみたいです』
律 『・・・てわけでさ、和が忙しいのは知ってるけど、たまには暇見つけて軽音部にも顔を出せよ』
律 『梓もこう言ってるし、澪もムギも。もちろん唯も、さ。寂しがってるから。な?』
唯 『平気だよ、りっちゃん!さ、澪ちゃんもムギちゃんもこっち来て!』
澪 『お、おお・・・』
紬 『なんだか緊張しちゃうわー』
律 『和。今これ、見てるんだよな?じゃ、さ。久しぶりだな。なんだよ随分ご無沙汰してくれちゃってさ!』
澪 『教室でもあまり、話せてないしな』
紬 『寂しいわー・・・』
律 『あと・・・おい、梓。なに隅っこに隠れてるんだよ。こっち来いって。一緒に写ろうぜ!』
梓 『あ!わ、私は遠慮して・・・ああ、もう・・・』
唯 『あずにゃん、あずにゃん。はい、にっこり笑って自己紹介!』
梓 『あうう・・・は、始めまして真鍋先輩。新しく軽音部に入部させていただいた中野梓っていいます』
唯 『通称あずにゃん!』
梓 『もう!その呼び方、やめて下さいって!こ・・こほん。えーと、真鍋先輩・・・』
梓 『新歓ライブ、とても感激しました。先輩の歌声、すっごくすっごく心に響きました。感動です!』
梓 『よろしかったらぜひ、部室に遊びに来てください。いろいろお話、伺ってみたいです』
律 『・・・てわけでさ、和が忙しいのは知ってるけど、たまには暇見つけて軽音部にも顔を出せよ』
律 『梓もこう言ってるし、澪もムギも。もちろん唯も、さ。寂しがってるから。な?』
294: 2011/04/09(土) 20:49:54.10
紬 『あらあら、りっちゃん自分のことは?』
澪 『和がいなくて張り合いなくなっちゃってさ。一番しょんぼりしてるの律のくせになー』
律 『ば、ばかぁ!んなことないやい!』
唯 『りっちゃん、照れてるー♪』
律 『ゆ、ゆ、唯!お前は黙って携帯かまえてろ!』ガー!
紬 『きゃー、暴力よ暴力♪』
唯 『こわーい♪』
梓 『なんですか、そのキャラは・・・』
律 『ぐぎぎ・・・こ、こんないじられ方されるのも、和!おまえがぜんぜん、軽音部に顔を出さないせいなんだからなっ!』
澪 『こらこら、人のせいにしちゃダメだろ』
律 『とにかくぅ!近々いっかい遊びに来い!つーか、和の壮行会。中途半端なままだったろ?』
律 『あれ、梓も入れてもっかい仕切りなおすから!だから部室に来るように!これは部長命令ですっ!』
唯 『えー、部長命令って。和ちゃん、もう軽音部じゃないんだよー・・・?』
律 『そんなの関係あるかよ。私はずーっとお前達の部長のつもりだし・・・』
律 『そして和、お前も。どこにいても変わらない。私たち軽音部の大切な仲間なんだからな』
唯 『りっちゃん・・・て、あ!残り時間がm(ぷつっ)
澪 『和がいなくて張り合いなくなっちゃってさ。一番しょんぼりしてるの律のくせになー』
律 『ば、ばかぁ!んなことないやい!』
唯 『りっちゃん、照れてるー♪』
律 『ゆ、ゆ、唯!お前は黙って携帯かまえてろ!』ガー!
紬 『きゃー、暴力よ暴力♪』
唯 『こわーい♪』
梓 『なんですか、そのキャラは・・・』
律 『ぐぎぎ・・・こ、こんないじられ方されるのも、和!おまえがぜんぜん、軽音部に顔を出さないせいなんだからなっ!』
澪 『こらこら、人のせいにしちゃダメだろ』
律 『とにかくぅ!近々いっかい遊びに来い!つーか、和の壮行会。中途半端なままだったろ?』
律 『あれ、梓も入れてもっかい仕切りなおすから!だから部室に来るように!これは部長命令ですっ!』
唯 『えー、部長命令って。和ちゃん、もう軽音部じゃないんだよー・・・?』
律 『そんなの関係あるかよ。私はずーっとお前達の部長のつもりだし・・・』
律 『そして和、お前も。どこにいても変わらない。私たち軽音部の大切な仲間なんだからな』
唯 『りっちゃん・・・て、あ!残り時間がm(ぷつっ)
295: 2011/04/09(土) 20:57:18.55
唯 「・・・おしまい」
和 「り、律・・・」
唯 「あずにゃん・・・梓ちゃんも加わって、軽音部はますます賑やかで楽しい場所になったよ。いつも笑いの絶えない・・・」
唯 「これも和ちゃんが新歓ライブでがんばってくれた成果だよね!」
和 「私の歌が、心に・・・」
唯 「うん。あずにゃん、とても和ちゃんと会いたがっていたよ。だから、ね?」
唯 「あと、りっちゃんからの伝言。あの時は、きついことを言ってごめんって」
和 「・・・・」
唯 「ね、和ちゃん。たまに、たまぁにで良いから軽音部に遊びに来てね?」
唯 「澪ちゃんもムギちゃんもあずにゃんも、もちろん私も。あと、りっちゃんが・・・首、長くして待ってるからね」
和 「うん。行くよ。ありがとう、唯。みんな・・・」
みんなの優しさ、暖かさが心に染みる。
私、何を意固地になっていたんだろうか・・・
唯 「それではお待たせしました。次は、私の話・・・」
き・・・来た。
にわかに緊張感が走り、知らずに飲み込んだ生唾で喉がごきゅりと鳴った。
和 「り、律・・・」
唯 「あずにゃん・・・梓ちゃんも加わって、軽音部はますます賑やかで楽しい場所になったよ。いつも笑いの絶えない・・・」
唯 「これも和ちゃんが新歓ライブでがんばってくれた成果だよね!」
和 「私の歌が、心に・・・」
唯 「うん。あずにゃん、とても和ちゃんと会いたがっていたよ。だから、ね?」
唯 「あと、りっちゃんからの伝言。あの時は、きついことを言ってごめんって」
和 「・・・・」
唯 「ね、和ちゃん。たまに、たまぁにで良いから軽音部に遊びに来てね?」
唯 「澪ちゃんもムギちゃんもあずにゃんも、もちろん私も。あと、りっちゃんが・・・首、長くして待ってるからね」
和 「うん。行くよ。ありがとう、唯。みんな・・・」
みんなの優しさ、暖かさが心に染みる。
私、何を意固地になっていたんだろうか・・・
唯 「それではお待たせしました。次は、私の話・・・」
き・・・来た。
にわかに緊張感が走り、知らずに飲み込んだ生唾で喉がごきゅりと鳴った。
296: 2011/04/09(土) 21:05:19.81
唯 「あれは春先だったから、もうずいぶん経っちゃったよね。たくさん待たせてゴメンね、和ちゃん」
和 「う、ううん」
唯 「でも、私もね。和ちゃんとあまり会えない間、ずっと考えてたんだよ。ずっとたくさん、真剣に・・・」
和 「うん・・・」
唯 「でね。私、決めた!和ちゃんっ!!」
和 「う、うんっ!」ドキッ
唯 「和ちゃん、私と・・・!!」
和 「っ唯!!」
唯 「海に行こう?」
和 「うん、行こう!!」
唯 「やったー♪じゃ、夏休みに行こうね♪」
和 「分かった・・・わ・・・」
和 「え!?」
どてちんっ!
唯 「わ!!の、和ちゃん。なんでずっこけてるの・・・!?」
和 「う、ううん」
唯 「でも、私もね。和ちゃんとあまり会えない間、ずっと考えてたんだよ。ずっとたくさん、真剣に・・・」
和 「うん・・・」
唯 「でね。私、決めた!和ちゃんっ!!」
和 「う、うんっ!」ドキッ
唯 「和ちゃん、私と・・・!!」
和 「っ唯!!」
唯 「海に行こう?」
和 「うん、行こう!!」
唯 「やったー♪じゃ、夏休みに行こうね♪」
和 「分かった・・・わ・・・」
和 「え!?」
どてちんっ!
唯 「わ!!の、和ちゃん。なんでずっこけてるの・・・!?」
297: 2011/04/09(土) 21:12:23.90
和 「ゆ、唯・・・なんでこの流れで海なのかしら・・・」
唯 「和ちゃん、海。・・・嫌い?」
和 「いや、好きとか嫌いとかじゃなくってね」
唯 「一年前・・・さ」
和 「え・・・?」
唯 「一年前。みんなと海に合宿に行った時のこと、覚えてる?」
和 「え・・・忘れられるわけないわ。私が要らないこだわりを捨て、そして唯が。昔の唯が戻ってきてくれた合宿の事だもの」
唯 「うん。そして、私と和ちゃんの新しい関係の始まりにもなった、ね?」
和 「そう、あの夏が起点だったわね。私、唯と本当の意味で親友に戻ることができた」
和 「・・・嬉しかった」
唯 「私も。だからね。海は私たちにとって大切な場所。そして、新しいスタートをきるのに、もっともピッタリな場所だと思うんだ」
和 「新しいって・・・あ。ゆ、唯・・・」
唯 「えへ・・・・」
唯 「和ちゃん、海。・・・嫌い?」
和 「いや、好きとか嫌いとかじゃなくってね」
唯 「一年前・・・さ」
和 「え・・・?」
唯 「一年前。みんなと海に合宿に行った時のこと、覚えてる?」
和 「え・・・忘れられるわけないわ。私が要らないこだわりを捨て、そして唯が。昔の唯が戻ってきてくれた合宿の事だもの」
唯 「うん。そして、私と和ちゃんの新しい関係の始まりにもなった、ね?」
和 「そう、あの夏が起点だったわね。私、唯と本当の意味で親友に戻ることができた」
和 「・・・嬉しかった」
唯 「私も。だからね。海は私たちにとって大切な場所。そして、新しいスタートをきるのに、もっともピッタリな場所だと思うんだ」
和 「新しいって・・・あ。ゆ、唯・・・」
唯 「えへ・・・・」
298: 2011/04/09(土) 21:22:33.22
唯 「和ちゃん。私、白状するね」
和 「な、なに・・・?」
唯 「私、今でもやっぱり、りっちゃんのことが好きなんだと思う。かっこいーし、一緒にいるとドキドキするし」
和 「唯・・・」
唯 「ふられたことを思い返すと、やっぱり悲しくなるし。でもね・・・?」
ぎゅ
和 「あ・・・唯?」
唯 「こうして、和ちゃんの隣にいる今。和ちゃんの手を握っている今・・・この今も、やっぱりドキドキしてるの」
唯 「気が多いって笑わないでね?今のドキドキは、和ちゃんが私を好きだって言ってくれたからこそ、気づけた気持ちなんだから」
和 「唯・・・そんな、ストレートに言われたら・・・こっちまでドキドキしてきちゃうじゃない」
唯 「へへ、ごめんね?でも、だから、こそ。今の気持ち、自分できちんと見極めたい」
唯 「和ちゃんと。想い出の場所で。一緒に・・・だから。だから、ね?」
和 「・・・ふふ」
唯 「えー!?なんでこのタイミングで笑うの?私、なんかおかしな事を言っちゃった?」
和 「じゃなくってね。私も、海。行きたいなって思ってたから・・・おかしいね。離れていても、考えてることは一緒なんだもの」
唯 「へへへ・・・だって私たち、ずっと。子供の頃から一緒だったんだもん。この、繋いだ手みたいに。そして、これからも」
和 「そうだね。だから、そのためにも・・・行こう、唯」
唯 「うん!あの、夏の海へ」
和 「な、なに・・・?」
唯 「私、今でもやっぱり、りっちゃんのことが好きなんだと思う。かっこいーし、一緒にいるとドキドキするし」
和 「唯・・・」
唯 「ふられたことを思い返すと、やっぱり悲しくなるし。でもね・・・?」
ぎゅ
和 「あ・・・唯?」
唯 「こうして、和ちゃんの隣にいる今。和ちゃんの手を握っている今・・・この今も、やっぱりドキドキしてるの」
唯 「気が多いって笑わないでね?今のドキドキは、和ちゃんが私を好きだって言ってくれたからこそ、気づけた気持ちなんだから」
和 「唯・・・そんな、ストレートに言われたら・・・こっちまでドキドキしてきちゃうじゃない」
唯 「へへ、ごめんね?でも、だから、こそ。今の気持ち、自分できちんと見極めたい」
唯 「和ちゃんと。想い出の場所で。一緒に・・・だから。だから、ね?」
和 「・・・ふふ」
唯 「えー!?なんでこのタイミングで笑うの?私、なんかおかしな事を言っちゃった?」
和 「じゃなくってね。私も、海。行きたいなって思ってたから・・・おかしいね。離れていても、考えてることは一緒なんだもの」
唯 「へへへ・・・だって私たち、ずっと。子供の頃から一緒だったんだもん。この、繋いだ手みたいに。そして、これからも」
和 「そうだね。だから、そのためにも・・・行こう、唯」
唯 「うん!あの、夏の海へ」
299: 2011/04/09(土) 21:28:46.39
想い出の海へ。皆と賑やかにひと夏の想い出を紡いだ、あのリスタートの場所へ。
今度はそこへ、唯と。愛する人と二人で行こう。
二人手をつなぎ、どこまでも続く波打ち際を歩いて、いろいろな話をしよう。
寄せては返す波に足を洗われながら、今までのこと。これからのこと。唯の気持ち。私の想いのこと。
きっと入道雲の隙間からさす陽の光が、隠れていた感情まで照らしてくれて。
今まで以上に素直な気持ちで、お互い向き合うことができるだろう。それはとても素敵なこと。
そこで唯が出す結論がどんな形になるか、それは今の私には知る由もないけれど。
でも、予想はできる。
きっと導き出された答えは、どんな形であれ、私たちの新しい関係への出発点となってくれるに違いない。
一年前のあの時と同じように。
ううん。あの時よりも、もっと・・・
今度はそこへ、唯と。愛する人と二人で行こう。
二人手をつなぎ、どこまでも続く波打ち際を歩いて、いろいろな話をしよう。
寄せては返す波に足を洗われながら、今までのこと。これからのこと。唯の気持ち。私の想いのこと。
きっと入道雲の隙間からさす陽の光が、隠れていた感情まで照らしてくれて。
今まで以上に素直な気持ちで、お互い向き合うことができるだろう。それはとても素敵なこと。
そこで唯が出す結論がどんな形になるか、それは今の私には知る由もないけれど。
でも、予想はできる。
きっと導き出された答えは、どんな形であれ、私たちの新しい関係への出発点となってくれるに違いない。
一年前のあの時と同じように。
ううん。あの時よりも、もっと・・・
300: 2011/04/09(土) 21:35:51.83
また今年も。これから指折り夏休みまでの日数を数える日々が始まる。
それは同時に、新たなスタートを切るまでのカウントダウン。
そう・・・
和 「・・・唯」
繋がれたままの唯の手を、さらに強く握る。
和 「唯、大好きだよ」
唯 「うん、私も。大好き、和ちゃん」
唯もそれに応えて、強く握り返してくれる。
そんな唯の手の暖かさと確かな感触を肌で感じ、胸にも刻み込み。
そして心で実感する。
私の軽音部でのライブは終わったけれど、私と唯の・・・
二人の新しいステージの幕は、まさに今。これから開かれようとしているところなんだと。
おわり!
それは同時に、新たなスタートを切るまでのカウントダウン。
そう・・・
和 「・・・唯」
繋がれたままの唯の手を、さらに強く握る。
和 「唯、大好きだよ」
唯 「うん、私も。大好き、和ちゃん」
唯もそれに応えて、強く握り返してくれる。
そんな唯の手の暖かさと確かな感触を肌で感じ、胸にも刻み込み。
そして心で実感する。
私の軽音部でのライブは終わったけれど、私と唯の・・・
二人の新しいステージの幕は、まさに今。これから開かれようとしているところなんだと。
おわり!
301: 2011/04/09(土) 21:43:08.63
以上です。
で、言い訳をちょっとww
唯律を期待していた人が多かったようで、なんか申し訳なかったです。
最初「唯律フラグ回収編」と言ったのは、あくまで唯の律に対する恋愛感情の結末を書くって程度の意味だったのですが、紛らわしかったようで。
本編の後に続きを書こうと思った段階で、この結末は自分の中では決まっていました。
やはり主人公には、希望を持てるラストで締めくくりたいと思いまして。
全て自分の構成力の無さが問題ですね。重ね重ね申し訳ない。
とにもかくにも読んでくださった方、ありがとうございました。
もっと話作りが上手くなるよう頑張りますので、機会があればまたよろしくお願いします。
で、言い訳をちょっとww
唯律を期待していた人が多かったようで、なんか申し訳なかったです。
最初「唯律フラグ回収編」と言ったのは、あくまで唯の律に対する恋愛感情の結末を書くって程度の意味だったのですが、紛らわしかったようで。
本編の後に続きを書こうと思った段階で、この結末は自分の中では決まっていました。
やはり主人公には、希望を持てるラストで締めくくりたいと思いまして。
全て自分の構成力の無さが問題ですね。重ね重ね申し訳ない。
とにもかくにも読んでくださった方、ありがとうございました。
もっと話作りが上手くなるよう頑張りますので、機会があればまたよろしくお願いします。
304: 2011/04/10(日) 14:34:47.84
お疲れ様
305: 2011/04/10(日) 14:44:44.78
乙でした
ここの唯はスカートが膝までありそうだな
ここの唯はスカートが膝までありそうだな
引用元: 和「桜高軽音部専属ボーカル 真鍋和です」
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