1: 2011/02/10(木) 05:20:33.15
~Prologue~
律(オマエは・・・誰だ
何故・・・なぜ私の思考を侵食する?
『私は・・・誰だ』
私が狂っているのか?
いや・・・この世界が狂っているんだ
人は何故、戦争を始めてしまったのか
『ワタシは・・・誰だ』
ワタシは・・・何の為に生まれてきたんだ
『ワタシは・・・誰ダ』
記憶のカケラが・・・ワタシに何かを叫んでいる
『ワタシは・・・ダレダ』
もし、この世に神が存在するのなら
教えてくれ・・・
JESUS…)
律(オマエは・・・誰だ
何故・・・なぜ私の思考を侵食する?
『私は・・・誰だ』
私が狂っているのか?
いや・・・この世界が狂っているんだ
人は何故、戦争を始めてしまったのか
『ワタシは・・・誰だ』
ワタシは・・・何の為に生まれてきたんだ
『ワタシは・・・誰ダ』
記憶のカケラが・・・ワタシに何かを叫んでいる
『ワタシは・・・ダレダ』
もし、この世に神が存在するのなら
教えてくれ・・・
JESUS…)
2: 2011/02/10(木) 05:22:19.47
~Prologue2 Dr. Manabe’s Report~
あの戦争が私たちの全てを変えてしまった。
平和だった街の歴史は燃え尽き、人々は未来を見失った。
戦いは人の“希望”のみならず、“記憶”までを奪い去っていった。
1946年5月、第二次世界大戦ヨーロッパ終戦・・・
あれから一年余りが過ぎた。
ベルリンの陥落をもって事実上、第三帝国ドイツは敗戦国となった。
敗戦国のその後は悲惨なものだった。
廃墟と化したかつての都は敵兵に蹂躙され、国民の人権などは無きに等しかった。
戦勝国となった連合軍はその戦利品にとドイツの国土をいくつかに分断し、我が物にした。
そして罪なき国民は一年たった今も、自由はおろか夢見ることさえ許されていなかった。
人間は勝って尚、醜さをまき散らしていく・・・
例え戦争が終わろうとも、人類の愚かさは永遠に尽きることがないのだろうか。
戦後における虐げられた従属こそ、長きに続く本当の戦争の恐ろしさかもしれない。
敗戦国の戦後復興は果てしなく、そして険しい。
あの戦争が私たちの全てを変えてしまった。
平和だった街の歴史は燃え尽き、人々は未来を見失った。
戦いは人の“希望”のみならず、“記憶”までを奪い去っていった。
1946年5月、第二次世界大戦ヨーロッパ終戦・・・
あれから一年余りが過ぎた。
ベルリンの陥落をもって事実上、第三帝国ドイツは敗戦国となった。
敗戦国のその後は悲惨なものだった。
廃墟と化したかつての都は敵兵に蹂躙され、国民の人権などは無きに等しかった。
戦勝国となった連合軍はその戦利品にとドイツの国土をいくつかに分断し、我が物にした。
そして罪なき国民は一年たった今も、自由はおろか夢見ることさえ許されていなかった。
人間は勝って尚、醜さをまき散らしていく・・・
例え戦争が終わろうとも、人類の愚かさは永遠に尽きることがないのだろうか。
戦後における虐げられた従属こそ、長きに続く本当の戦争の恐ろしさかもしれない。
敗戦国の戦後復興は果てしなく、そして険しい。
3: 2011/02/10(木) 05:23:44.75
そんな戦争の中で起きてしまったあの忌まわしい事件。
隠蔽された悲劇を歴史の闇へと消さないため、
そしてかつて友だった彼女たちの生きた証を遺すため、ここに真実を綴る。
友を裏切った私に正義を説く資格などありはしないが・・・せめてもの償いとして。
あの時、彼女たちは人として氏に、人として生きた。
傷ついたカラダで、人間らしさを後の世に残すために戦った。
そして彼女たちは確かに、誰よりも人間らしかった・・・。
隠蔽された悲劇を歴史の闇へと消さないため、
そしてかつて友だった彼女たちの生きた証を遺すため、ここに真実を綴る。
友を裏切った私に正義を説く資格などありはしないが・・・せめてもの償いとして。
あの時、彼女たちは人として氏に、人として生きた。
傷ついたカラダで、人間らしさを後の世に残すために戦った。
そして彼女たちは確かに、誰よりも人間らしかった・・・。
4: 2011/02/10(木) 05:24:51.53
~第一章 RRプロジェクト~
私の名前は真鍋和。日本人だ。
ロボット機械工学を学ぶためドイツへと留学中、そのまま戦争へと巻き込まれ、
戦時中はロボット工学において世界一といわれたドイツの企業に技術研究スタッフとして招かれていた。
私はその企業で、あるプロジェクトに関わることになった。
そのプロジェクトは、軍部でも知る者はごくわずかという極秘任務で、記録や施設は終戦前に完全に抹消されていた。
それゆえそのプロジェクトは戦後を迎えた現在でも一切歴史の表で語られることはなく・・・
しかしそれは確実に存在していた。
軍部とその企業とが進めた極秘プロジェクト。
コード名『RR』と呼ばれたそのプロジェクトは、神の領域を侵す愚かしい行為だった。
私の名前は真鍋和。日本人だ。
ロボット機械工学を学ぶためドイツへと留学中、そのまま戦争へと巻き込まれ、
戦時中はロボット工学において世界一といわれたドイツの企業に技術研究スタッフとして招かれていた。
私はその企業で、あるプロジェクトに関わることになった。
そのプロジェクトは、軍部でも知る者はごくわずかという極秘任務で、記録や施設は終戦前に完全に抹消されていた。
それゆえそのプロジェクトは戦後を迎えた現在でも一切歴史の表で語られることはなく・・・
しかしそれは確実に存在していた。
軍部とその企業とが進めた極秘プロジェクト。
コード名『RR』と呼ばれたそのプロジェクトは、神の領域を侵す愚かしい行為だった。
5: 2011/02/10(木) 05:25:41.15
当初は“兵士の数を穴埋めする”という観点から、ロボット兵器の開発が進められたが、
戦場における実用性は乏しく、成功への道のりは遠かった。
その時、注目されたのが人体改造技術・バイオヒューマノイドだった。
生きた人間をサイボーグ化することで、全くもって人間そのものの外観、動きはもちろん、
作戦思考力、洞察力、適時判断力、すべてにおいて人間の数値を大きく上回るという計画だった。
戦場における実用性は乏しく、成功への道のりは遠かった。
その時、注目されたのが人体改造技術・バイオヒューマノイドだった。
生きた人間をサイボーグ化することで、全くもって人間そのものの外観、動きはもちろん、
作戦思考力、洞察力、適時判断力、すべてにおいて人間の数値を大きく上回るという計画だった。
6: 2011/02/10(木) 05:26:22.38
生きた人間を兵器として改造する・・・
その非人道的な計画の犠牲となったのが、国を愛する多くの志願兵と、周辺国からの義勇兵、占領区域からの強制徴募だった。
彼女たちはその中にいた。
いや、いたと言うべきではない。
私が彼女たちを巻き込んでしまった。
私は欲におぼれ、大事なものを切り捨てたんだ。
その非人道的な計画の犠牲となったのが、国を愛する多くの志願兵と、周辺国からの義勇兵、占領区域からの強制徴募だった。
彼女たちはその中にいた。
いや、いたと言うべきではない。
私が彼女たちを巻き込んでしまった。
私は欲におぼれ、大事なものを切り捨てたんだ。
7: 2011/02/10(木) 05:26:54.83
------------------
--------------
澪「あのっ、真鍋さんと平沢さん・・・だよね?」
和「ええ、そうだけど・・・あなたは?」
私は大日本帝国の帝都大学において機械工学を学んでいた際に、来日していた山中博士からミュンヘン工科大学へ留学してみないかと、推薦を受けた。
当時、偶然にも私の幼馴染の両親もミュンヘンへの転勤が決まっており、彼女ら家族と共にドイツへ移り住むことを決意した。
同盟を結ぶ国同士とはいえ、当時やはり日本人は珍しく、幼馴染も同大学に進学したこともあり、私たちは三人で過ごす時間が多かった。
そんな私たちに声をかけてくれたのが、彼女達だった。
澪「私は秋山澪。 こっちが・・・」
律「あたしは田井中律」
紬「琴吹紬で~す」
梓「中野梓です」
--------------
澪「あのっ、真鍋さんと平沢さん・・・だよね?」
和「ええ、そうだけど・・・あなたは?」
私は大日本帝国の帝都大学において機械工学を学んでいた際に、来日していた山中博士からミュンヘン工科大学へ留学してみないかと、推薦を受けた。
当時、偶然にも私の幼馴染の両親もミュンヘンへの転勤が決まっており、彼女ら家族と共にドイツへ移り住むことを決意した。
同盟を結ぶ国同士とはいえ、当時やはり日本人は珍しく、幼馴染も同大学に進学したこともあり、私たちは三人で過ごす時間が多かった。
そんな私たちに声をかけてくれたのが、彼女達だった。
澪「私は秋山澪。 こっちが・・・」
律「あたしは田井中律」
紬「琴吹紬で~す」
梓「中野梓です」
8: 2011/02/10(木) 05:27:28.16
彼女達はドイツ生まれの日系人で、その容姿はドイツ人というより、私たちと同じく東洋人にみえることが多かった。
彼女達はその容姿と特殊な生い立ちからか、常に集まって行動しており、私たちも孤独感からか、それとも祖国を思う気持ちからか、日本語が話せる彼女たちを気にするようになっていた。
そして、私の幼馴染である唯は彼女たちが立ち上げた軽音楽サークルに参加し、私と憂も次第に彼女達と話をするようになり、気が付けば仲良くなっていた。
私たちはいつしか共にいる時間が増えていった。
まるで子供の頃からの幼馴染であったかのように語らい、遊び、そして笑った。
だが、そんな私たちにとっての幸福な時間も長くは続かなかった。
あの憎き戦争が始まったんだ。
彼女達はその容姿と特殊な生い立ちからか、常に集まって行動しており、私たちも孤独感からか、それとも祖国を思う気持ちからか、日本語が話せる彼女たちを気にするようになっていた。
そして、私の幼馴染である唯は彼女たちが立ち上げた軽音楽サークルに参加し、私と憂も次第に彼女達と話をするようになり、気が付けば仲良くなっていた。
私たちはいつしか共にいる時間が増えていった。
まるで子供の頃からの幼馴染であったかのように語らい、遊び、そして笑った。
だが、そんな私たちにとっての幸福な時間も長くは続かなかった。
あの憎き戦争が始まったんだ。
9: 2011/02/10(木) 05:28:35.56
------------------
--------------
和「本当に行くの?」
律「ああ・・・ごめんな」
和「そんなっ。謝ることじゃ・・・」
和「私の方こそ・・・ごめんなさい」
律「いいんだよ。和は頭いいんだから。開発の方で、しっかり支えてくれ」
紬「和ちゃん・・・無理はしないでね。私たちも必ず生きて帰るから」
梓「やってやるです!」
和「でもっ・・・」
唯「和ちゃん、心配しないで。私たちなら大丈夫だよぉ~。
だから、憂をよろしくね」
憂「お姉ちゃん!やっぱり私もっ!!」
唯「憂、わがままいっちゃダメ。お姉ちゃんは大丈夫だから。」
唯「憂を守るために、頑張ってくるからね。
和ちゃんの言うことをちゃんと聞くようにね」
--------------
和「本当に行くの?」
律「ああ・・・ごめんな」
和「そんなっ。謝ることじゃ・・・」
和「私の方こそ・・・ごめんなさい」
律「いいんだよ。和は頭いいんだから。開発の方で、しっかり支えてくれ」
紬「和ちゃん・・・無理はしないでね。私たちも必ず生きて帰るから」
梓「やってやるです!」
和「でもっ・・・」
唯「和ちゃん、心配しないで。私たちなら大丈夫だよぉ~。
だから、憂をよろしくね」
憂「お姉ちゃん!やっぱり私もっ!!」
唯「憂、わがままいっちゃダメ。お姉ちゃんは大丈夫だから。」
唯「憂を守るために、頑張ってくるからね。
和ちゃんの言うことをちゃんと聞くようにね」
10: 2011/02/10(木) 05:29:36.93
唯「和ちゃん。憂をよろしくね」
和「うんっ・・・わかった。絶対生きて帰ってきてよ」
唯「当然だよ」フンス
澪「りつぅ~」
律「心配すんな、澪っ。
ちゃっちゃとこの戦争を終わらせて、またみんなで遊ぼうな」
律「和、澪のこともよろしく頼むな。
・・・ごめんな、和にいろいろ押し付けちゃって」
和「そんなことないわよ。みんな、頑張ってきてね。また、会いましょう」
律「ああ。またな」
唯「そうだ!!みんなで写真をとろうよ!離れても一緒だよって」
・・・・パシャ!
和「うんっ・・・わかった。絶対生きて帰ってきてよ」
唯「当然だよ」フンス
澪「りつぅ~」
律「心配すんな、澪っ。
ちゃっちゃとこの戦争を終わらせて、またみんなで遊ぼうな」
律「和、澪のこともよろしく頼むな。
・・・ごめんな、和にいろいろ押し付けちゃって」
和「そんなことないわよ。みんな、頑張ってきてね。また、会いましょう」
律「ああ。またな」
唯「そうだ!!みんなで写真をとろうよ!離れても一緒だよって」
・・・・パシャ!
11: 2011/02/10(木) 05:31:26.54
当初、第三帝国ドイツ、イタリアを中心とした枢軸国軍が優勢に進めていた戦争も、
北アフリカ戦線での敗北を機に連合国軍優勢へと流れは動いていった。
連合国軍は、中長期に渡る戦略で
西ヨーロッパを蹂躙し続けた第三帝国ドイツに対しての包囲網を完成しつつあった。
そんな戦争末期、数で勝っている連合国軍を退けるために、
“疲労しない無尽蔵な戦力”をドイツ国防軍最高司令部は渇望していた。
そんな折に、極秘裏に進められたのが、RRプロジェクトだった。
そして、少しでも兵士の数を増やす為、そして(こちらは公にされなかった理由だが)、
RRプロジェクトの実験体を確保する為に女性兵の有志が募られた。
その知らせを聞き、唯は大切な妹を守るため、
彼女たちは愛する祖国を守るために戦場へ身を投げ出す決意をした。
北アフリカ戦線での敗北を機に連合国軍優勢へと流れは動いていった。
連合国軍は、中長期に渡る戦略で
西ヨーロッパを蹂躙し続けた第三帝国ドイツに対しての包囲網を完成しつつあった。
そんな戦争末期、数で勝っている連合国軍を退けるために、
“疲労しない無尽蔵な戦力”をドイツ国防軍最高司令部は渇望していた。
そんな折に、極秘裏に進められたのが、RRプロジェクトだった。
そして、少しでも兵士の数を増やす為、そして(こちらは公にされなかった理由だが)、
RRプロジェクトの実験体を確保する為に女性兵の有志が募られた。
その知らせを聞き、唯は大切な妹を守るため、
彼女たちは愛する祖国を守るために戦場へ身を投げ出す決意をした。
12: 2011/02/10(木) 05:31:55.72
彼女たちのこの国における立場がそうさせたのかも知れない。
仕事のこと、生活のこと、街の人々の自分たちに対する見方、考え方、付き合い方・・・
彼女たちはドイツにおいてかなり辛い立場に置かれることも少なくなかった。
彼女たちは純血ではないから、と虐げられてきた汚名を晴らすべく、国防軍へと志願したのだ。
家族を、そしてドイツに生まれた者としてのプライドを守るために。
彼女たちは本当に国と家族を愛していた。
仕事のこと、生活のこと、街の人々の自分たちに対する見方、考え方、付き合い方・・・
彼女たちはドイツにおいてかなり辛い立場に置かれることも少なくなかった。
彼女たちは純血ではないから、と虐げられてきた汚名を晴らすべく、国防軍へと志願したのだ。
家族を、そしてドイツに生まれた者としてのプライドを守るために。
彼女たちは本当に国と家族を愛していた。
13: 2011/02/10(木) 05:32:43.28
------------------
--------------
彼女たちが軍へ入隊してから数か月後、私は・・・私たちは、ある知らせを受けた。
それは、最も恐れていた最悪の事態。
私の手に握られたその手紙には、無情にもこう書かれていた。
『平沢唯 遠征地にて戦氏』
身の毛がよだつ思いがした。
私の隣で憂と澪はただ泣いていたが、私は悲しみよりも先に、憎しみを感じていた。
幼馴染を奪ったこの戦争への憎しみ。
いや、正確には幼馴染を奪われたことに対して、ぶつけ所のない怒りを感じていたのだろう。
私はその怒りをどうすることもできなかった。
今思えば、私はこの瞬間からおかしくなっていたのだろう。
私が山中博士の指名により、彼女の主催する研究機関に所属することが正式に決定したのは、
そんな時だった・・・
--------------
彼女たちが軍へ入隊してから数か月後、私は・・・私たちは、ある知らせを受けた。
それは、最も恐れていた最悪の事態。
私の手に握られたその手紙には、無情にもこう書かれていた。
『平沢唯 遠征地にて戦氏』
身の毛がよだつ思いがした。
私の隣で憂と澪はただ泣いていたが、私は悲しみよりも先に、憎しみを感じていた。
幼馴染を奪ったこの戦争への憎しみ。
いや、正確には幼馴染を奪われたことに対して、ぶつけ所のない怒りを感じていたのだろう。
私はその怒りをどうすることもできなかった。
今思えば、私はこの瞬間からおかしくなっていたのだろう。
私が山中博士の指名により、彼女の主催する研究機関に所属することが正式に決定したのは、
そんな時だった・・・
14: 2011/02/10(木) 05:33:39.73
------------------
--------------
和「お久しぶりです、山中博士」
RRプロジェクトの研究を進めていたのが、山中博士が主催する企業傘下の科学医療機関であった。
表向きには企業であったが、実態は軍管轄の兵器開発を引き受けていた最先端の研究機関であり、
大戦末期、軍が管理する極秘プロジェクトのいくつかはこの機関が実際に実行、管理をしていた。
さわ子「久しぶりね、和ちゃん。さっそくだけど、これがあなたに参加してもらう、RRプロジェクトよ」ペラッ
和「・・・なっ!? この計画・・・人体をサイボーグ化するって・・・!?」
さわ子「言っておくけど、この計画は軍部でも最重要機密。
知ったからには・・・分るわよね?」
和「・・・はい」
--------------
和「お久しぶりです、山中博士」
RRプロジェクトの研究を進めていたのが、山中博士が主催する企業傘下の科学医療機関であった。
表向きには企業であったが、実態は軍管轄の兵器開発を引き受けていた最先端の研究機関であり、
大戦末期、軍が管理する極秘プロジェクトのいくつかはこの機関が実際に実行、管理をしていた。
さわ子「久しぶりね、和ちゃん。さっそくだけど、これがあなたに参加してもらう、RRプロジェクトよ」ペラッ
和「・・・なっ!? この計画・・・人体をサイボーグ化するって・・・!?」
さわ子「言っておくけど、この計画は軍部でも最重要機密。
知ったからには・・・分るわよね?」
和「・・・はい」
15: 2011/02/10(木) 05:34:56.95
さわ子「話が早くて助かるわ」
さわ子「あなたを呼んだのは生きた人体から創り出されるサイボーグ兵器、
『強襲用ヒト型兵器貳式(ツヴァイ)』の大量生産の準備としてなんだけど・・・
その前に一つ、問題があるの」
和「問題・・・ですか」
さわ子「そう。実は先日、最初の実験成功体、【プロト】が失踪したの」
さわ子「試作機である【プロト】の活躍は戦局に明るい兆しを見せていたわ。
人間そのものの外観と行動、運動記憶を可能とし、
作戦思考力、洞察力、適時判断力すべてにおいて人間の数値を超越していたの」
さわ子「しかし、そんな【プロト】が戦場で突然ロストした。
どこかしら破壊されたのか?それとも単に故障が原因だったのか?
正確な理由は分からないけど、『作戦行動中失踪』と認定されているわ。」
さわ子「・・・まあ詳しい話はさておき、これから宜しくね。
ここでの作業に慣れるまでは、雑用が中心になっちゃうと思うけど」
さわ子「あなたを呼んだのは生きた人体から創り出されるサイボーグ兵器、
『強襲用ヒト型兵器貳式(ツヴァイ)』の大量生産の準備としてなんだけど・・・
その前に一つ、問題があるの」
和「問題・・・ですか」
さわ子「そう。実は先日、最初の実験成功体、【プロト】が失踪したの」
さわ子「試作機である【プロト】の活躍は戦局に明るい兆しを見せていたわ。
人間そのものの外観と行動、運動記憶を可能とし、
作戦思考力、洞察力、適時判断力すべてにおいて人間の数値を超越していたの」
さわ子「しかし、そんな【プロト】が戦場で突然ロストした。
どこかしら破壊されたのか?それとも単に故障が原因だったのか?
正確な理由は分からないけど、『作戦行動中失踪』と認定されているわ。」
さわ子「・・・まあ詳しい話はさておき、これから宜しくね。
ここでの作業に慣れるまでは、雑用が中心になっちゃうと思うけど」
16: 2011/02/10(木) 05:35:32.84
------------------
--------------
RRプロジェクトに参加してから数週間が過ぎた頃、
私は山中博士の頼みでプロトに関する資料を整理していた時、写真でその顔を初めて見た。
私はその顔に見覚えがあった。
私の知っている子に似ている・・・
いや、似ているというより、そのもの。
和「ゆ・・・い・・・?」
プロトは私の唯一無二の親友だった。
彼女は私の幼馴染で、昔から何をするにしても一緒だった。
妹を守る為、軍へと志願した、そんな優しい彼女が戦争のための兵器へと変えられていた。
その事実が、私の目の前に突き付けられていた。
私の中で、何かが壊れた
--------------
RRプロジェクトに参加してから数週間が過ぎた頃、
私は山中博士の頼みでプロトに関する資料を整理していた時、写真でその顔を初めて見た。
私はその顔に見覚えがあった。
私の知っている子に似ている・・・
いや、似ているというより、そのもの。
和「ゆ・・・い・・・?」
プロトは私の唯一無二の親友だった。
彼女は私の幼馴染で、昔から何をするにしても一緒だった。
妹を守る為、軍へと志願した、そんな優しい彼女が戦争のための兵器へと変えられていた。
その事実が、私の目の前に突き付けられていた。
私の中で、何かが壊れた
17: 2011/02/10(木) 05:36:14.19
------------------
--------------
ツヴァイの初期型として生み出された【プロト】の失踪。
RRプロジェクト関係者以外にこの情報は伏せられ、証拠も隠蔽されていた。
私が知る限り、ロストした場所さえ明らかにされず、
残骸や遺留品が発見されたという記録さえ目にしたことは無かった。
ただ、あの戦時中においてプロトの行方は大きな問題ではなかった。
山中博士が最も恐れていたのは、軍上層部によるその管理責任における査問であった。
戦局をドイツ有利に持っていくため、莫大な資金を投入し勧められた極秘プロジェクト。
それが原因不明の失踪となれば、その責任追及は免れず、
軍法会議を待たずして処分されることになるだろう。
RRプロジェクトの存続、そして全てのスタッフの安全の為には、
プロトの穴を埋める必要性があった。
--------------
ツヴァイの初期型として生み出された【プロト】の失踪。
RRプロジェクト関係者以外にこの情報は伏せられ、証拠も隠蔽されていた。
私が知る限り、ロストした場所さえ明らかにされず、
残骸や遺留品が発見されたという記録さえ目にしたことは無かった。
ただ、あの戦時中においてプロトの行方は大きな問題ではなかった。
山中博士が最も恐れていたのは、軍上層部によるその管理責任における査問であった。
戦局をドイツ有利に持っていくため、莫大な資金を投入し勧められた極秘プロジェクト。
それが原因不明の失踪となれば、その責任追及は免れず、
軍法会議を待たずして処分されることになるだろう。
RRプロジェクトの存続、そして全てのスタッフの安全の為には、
プロトの穴を埋める必要性があった。
18: 2011/02/10(木) 05:36:40.89
事の重大さは、当時の山中博士の口調からも伺えた。
温厚だった博士が、怯えながらも狂気に満ち溢れていた。
そして、恐怖に狂ったその目で、彼女はこう言った。
さわ子「プロト・・・平沢唯には、瓜二つの妹がいたらしいわね」
温厚だった博士が、怯えながらも狂気に満ち溢れていた。
そして、恐怖に狂ったその目で、彼女はこう言った。
さわ子「プロト・・・平沢唯には、瓜二つの妹がいたらしいわね」
19: 2011/02/10(木) 05:37:29.36
和「っ・・・!?」
和(まさか憂を・・・!)
それだけは阻止しなければ。
大切な、もう一人の幼馴染まで失うわけにはいかないと、そう思った。
和(それに・・・唯と約束したもの。あの子を守るって)
プロトの資料を見たときから不安定になっていた当時の私に、正確な判断を下すことはできなかった。
そしてあろうことか、幼馴染との約束を後ろ盾にし、
私は人として許されざる一言を口走ってしまった。
和「あの・・・、私の友人に・・・、そっくりな子がいますよ。
彼女は軍に在籍していますし、今日中にでも連れて来られるかと・・・」
そう、あの資料の写真・・・学生時代愛用していたヘアピンを外したその姿は、
前髪を下したあの子にとてもよく似ていた。
いつも元気で、それでいて誰よりも友達のことを大切にしていた・・・
私はそんな彼女を、こともあろうか売ってしまった。
兵器へと変えてしまった。
和(まさか憂を・・・!)
それだけは阻止しなければ。
大切な、もう一人の幼馴染まで失うわけにはいかないと、そう思った。
和(それに・・・唯と約束したもの。あの子を守るって)
プロトの資料を見たときから不安定になっていた当時の私に、正確な判断を下すことはできなかった。
そしてあろうことか、幼馴染との約束を後ろ盾にし、
私は人として許されざる一言を口走ってしまった。
和「あの・・・、私の友人に・・・、そっくりな子がいますよ。
彼女は軍に在籍していますし、今日中にでも連れて来られるかと・・・」
そう、あの資料の写真・・・学生時代愛用していたヘアピンを外したその姿は、
前髪を下したあの子にとてもよく似ていた。
いつも元気で、それでいて誰よりも友達のことを大切にしていた・・・
私はそんな彼女を、こともあろうか売ってしまった。
兵器へと変えてしまった。
20: 2011/02/10(木) 05:38:10.25
------------------
--------------
私の一言が招いた事とはいえ、驚いたのは山中博士の行動の早さだった。
博士には人としての迷いや葛藤はなかった。
『これは戦争なのよ』と、独り言のように、一言つぶやいただけだった。
彼女は・・・律はきっと、『国の為だ、家族の為だ』と言われたのだろう。
国に虐げられてきた家族を思うあの子には、その言葉だけで理由は十分だった。
律はかつて【プロト】と呼ばれた者に改造された。
【プロト】の持った知識、戦歴、戦闘データ、行動データのすべてが上書きされた。
個を確定する要素。
それはまさに『記憶』と『意識』。
だとすると【プロト】は・・・私の幼馴染は確かにそこにいた。
外見上は【プロト】と非常に酷似し、人格もそれに等しい。
軍は帰ってきた【プロト】を本人と断定。
そして【プロト】はツヴァイの量産を機にプロトタイプから、0号機として配備され、【ZERO】というコードが新たに与えられた。
【ZERO】に合わせて、新たに『第4独立”機械化“遊撃部隊』なるものが編成された。
【ZERO】を部隊長とし、隊員はすべてツヴァイで編成された部隊。
ツヴァイ達は、すべて女性兵で編成された。
【プロト】のデータを上書きする際、彼女と同姓の方が都合がよかったのだという。
そして、ツヴァイ達の中には、私のかつての友人たちの、軽音部の姿があった・・・。
--------------
私の一言が招いた事とはいえ、驚いたのは山中博士の行動の早さだった。
博士には人としての迷いや葛藤はなかった。
『これは戦争なのよ』と、独り言のように、一言つぶやいただけだった。
彼女は・・・律はきっと、『国の為だ、家族の為だ』と言われたのだろう。
国に虐げられてきた家族を思うあの子には、その言葉だけで理由は十分だった。
律はかつて【プロト】と呼ばれた者に改造された。
【プロト】の持った知識、戦歴、戦闘データ、行動データのすべてが上書きされた。
個を確定する要素。
それはまさに『記憶』と『意識』。
だとすると【プロト】は・・・私の幼馴染は確かにそこにいた。
外見上は【プロト】と非常に酷似し、人格もそれに等しい。
軍は帰ってきた【プロト】を本人と断定。
そして【プロト】はツヴァイの量産を機にプロトタイプから、0号機として配備され、【ZERO】というコードが新たに与えられた。
【ZERO】に合わせて、新たに『第4独立”機械化“遊撃部隊』なるものが編成された。
【ZERO】を部隊長とし、隊員はすべてツヴァイで編成された部隊。
ツヴァイ達は、すべて女性兵で編成された。
【プロト】のデータを上書きする際、彼女と同姓の方が都合がよかったのだという。
そして、ツヴァイ達の中には、私のかつての友人たちの、軽音部の姿があった・・・。
21: 2011/02/10(木) 05:38:51.28
彼女達の活躍は目覚ましいものだった。
ツヴァイの量産後、戦局はみるみるドイツ優勢へと変わっていった。
彼女たちは一個小隊で一個大隊級の働きを示し、そのことごとくを一片の慈悲もなく、地獄へと誘った。
人にして、人にあらざる者たち。
彼女達は人の魂を持たないことから、【GHOST】と呼ばれた。
この冥府の亡霊たちは、戦場を恐怖に陥れた。
そして、かつてあんなに優しかった律は、“ニーベルゲンの氏神”と、戦場でそう呼ばれ、恐れられた。
そしてそんな彼女たちのメンテナンス全般を私が担当することになったのも、運命の悪戯だったのかも知れない。
私は戦場から帰ってきた彼女達を迎え入れ、新たな指示を特殊な方法で与えていった。
この頃、彼女達に対しての私の立場は、完全に上に立つようになっていた。
そして、私は律の持っていた写真・・・左に私と憂と澪、右に他の軽音部のメンバーが映った写真を、
私たちが友人だった最後の瞬間を刻んだあの日の写真を、2つに切り裂いた。
私の記憶から、かつての友を引きはがすように。
ツヴァイの量産後、戦局はみるみるドイツ優勢へと変わっていった。
彼女たちは一個小隊で一個大隊級の働きを示し、そのことごとくを一片の慈悲もなく、地獄へと誘った。
人にして、人にあらざる者たち。
彼女達は人の魂を持たないことから、【GHOST】と呼ばれた。
この冥府の亡霊たちは、戦場を恐怖に陥れた。
そして、かつてあんなに優しかった律は、“ニーベルゲンの氏神”と、戦場でそう呼ばれ、恐れられた。
そしてそんな彼女たちのメンテナンス全般を私が担当することになったのも、運命の悪戯だったのかも知れない。
私は戦場から帰ってきた彼女達を迎え入れ、新たな指示を特殊な方法で与えていった。
この頃、彼女達に対しての私の立場は、完全に上に立つようになっていた。
そして、私は律の持っていた写真・・・左に私と憂と澪、右に他の軽音部のメンバーが映った写真を、
私たちが友人だった最後の瞬間を刻んだあの日の写真を、2つに切り裂いた。
私の記憶から、かつての友を引きはがすように。
22: 2011/02/10(木) 05:39:32.82
GHOST達の活躍を傍らに、私は澪と憂に悲しい事実を伝えなければならなかった。
私たちの知っている“あの子たち”はもう、この世には存在しない。
いつまでも隠しおおせるはずもない事実。
『あの子たちが戦氏した』という作られた事実を。
和「あのね、気を落とさないで聞いて?私たちにとっては・・・、本当に残念な知らせが届いたの」
和「あの子たちが氏んだの・・・。戦場で、戦氏が確認されたらしいの。
撤退戦で、遺体の収容は不可能だったって・・・」
私のこの言葉に、澪と憂は泣き崩れた。
覚悟はしていたのかもしれない。
大声で泣くでもなく、静かに泣いた。
その後、しばらくの間、彼女達はふさぎ込んでいた。
しかし数日後、事態は変わった。
澪のもとに、手紙が届いたのだ。
差出人は、氏んだはずの律だった。
私たちの知っている“あの子たち”はもう、この世には存在しない。
いつまでも隠しおおせるはずもない事実。
『あの子たちが戦氏した』という作られた事実を。
和「あのね、気を落とさないで聞いて?私たちにとっては・・・、本当に残念な知らせが届いたの」
和「あの子たちが氏んだの・・・。戦場で、戦氏が確認されたらしいの。
撤退戦で、遺体の収容は不可能だったって・・・」
私のこの言葉に、澪と憂は泣き崩れた。
覚悟はしていたのかもしれない。
大声で泣くでもなく、静かに泣いた。
その後、しばらくの間、彼女達はふさぎ込んでいた。
しかし数日後、事態は変わった。
澪のもとに、手紙が届いたのだ。
差出人は、氏んだはずの律だった。
23: 2011/02/10(木) 05:40:11.15
~第二章 再生、甦る記憶~
(ここは・・・何処だ?
真っ暗で、身動きがとれない。)
一線の光もなく、自分の姿さえも見えない、重力に支配されているようで、身動きの一つもとれない、
・・・冷たくて、深海のような場所に、私は一人で佇んでいた。
律(・・・何もない所だな。何でこんな所に。確かわたしは・・・)
(ここは・・・何処だ?
真っ暗で、身動きがとれない。)
一線の光もなく、自分の姿さえも見えない、重力に支配されているようで、身動きの一つもとれない、
・・・冷たくて、深海のような場所に、私は一人で佇んでいた。
律(・・・何もない所だな。何でこんな所に。確かわたしは・・・)
24: 2011/02/10(木) 05:40:42.44
------------------
--------------
私たちは軍に志願して、ただ戦場で戦い続けた・・・
明日のことなんて全く分からなかったけど、ただこの戦争を生き抜いてやろうと必氏に戦い続けた。
さっきまで普通に動き、喋っていた仲間が、次の瞬間には氏んでいた・・・。
本当に、ひどい所だった・・・。
そんな中、私だけが前線から呼び戻されたんだっけな・・・
出頭した先は、和が勤務する機関だった。
律(和が戦場から呼び戻してくれたのか?
いや・・・そんな権限はないか)
日本人の和がどう手をつくしたって、そんなことはできっこなかった。
私を出迎えたのは山中博士で、そこに和の顔はなかった・・・
さわ子「なるほど・・・あなたね。所属は?」
律「ハッ! 第17装甲敵弾兵士団であります」
さわ子「ちょっとカチューシャを外させてもらえるかしら・・・?」
さわ子「へえ・・・確かに、似てるわね。入れ物にはもってこいだわ」
律「いれ・・・もの・・・ですか?」
--------------
私たちは軍に志願して、ただ戦場で戦い続けた・・・
明日のことなんて全く分からなかったけど、ただこの戦争を生き抜いてやろうと必氏に戦い続けた。
さっきまで普通に動き、喋っていた仲間が、次の瞬間には氏んでいた・・・。
本当に、ひどい所だった・・・。
そんな中、私だけが前線から呼び戻されたんだっけな・・・
出頭した先は、和が勤務する機関だった。
律(和が戦場から呼び戻してくれたのか?
いや・・・そんな権限はないか)
日本人の和がどう手をつくしたって、そんなことはできっこなかった。
私を出迎えたのは山中博士で、そこに和の顔はなかった・・・
さわ子「なるほど・・・あなたね。所属は?」
律「ハッ! 第17装甲敵弾兵士団であります」
さわ子「ちょっとカチューシャを外させてもらえるかしら・・・?」
さわ子「へえ・・・確かに、似てるわね。入れ物にはもってこいだわ」
律「いれ・・・もの・・・ですか?」
25: 2011/02/10(木) 05:41:47.59
さわ子「ゴホン!・・・わが軍は、先のノルマンディー以降、
連合軍に苦戦を強いられているのは知っているでしょう?」
さわ子「戦争とは、駒の数できまるモノ。わかるわね?」
律「ハイ!軍学校で、学んでいます」
さわ子「しかし!もしもの話だけれど、一騎当千の能力を秘め、
決して怯むことのない兵士を大量に抱えることができたとしたら・・・それはどう?」
律「少ない数で隊を組み、敵を次々と撃滅することが可能かと・・・」
さわ子「ならばもし、あなたにその力を授けるといったら・・・?」
律「私にですか?」
さわ子「そう。無敵の兵となり、一刻も早く戦争を終結させる」
さわ子「あなたの家族も・・・そう望んではいない?」
律(家族・・・)「あのっ!少し考える時間をいただければ・・・」
連合軍に苦戦を強いられているのは知っているでしょう?」
さわ子「戦争とは、駒の数できまるモノ。わかるわね?」
律「ハイ!軍学校で、学んでいます」
さわ子「しかし!もしもの話だけれど、一騎当千の能力を秘め、
決して怯むことのない兵士を大量に抱えることができたとしたら・・・それはどう?」
律「少ない数で隊を組み、敵を次々と撃滅することが可能かと・・・」
さわ子「ならばもし、あなたにその力を授けるといったら・・・?」
律「私にですか?」
さわ子「そう。無敵の兵となり、一刻も早く戦争を終結させる」
さわ子「あなたの家族も・・・そう望んではいない?」
律(家族・・・)「あのっ!少し考える時間をいただければ・・・」
26: 2011/02/10(木) 05:42:20.70
さわ子「考える時間をあげたいのは山々なんだけど・・・事は急を要するの」
さわ子「こうしてる間にも、多くのドイツ国民が苦しんでいるわ」
さわ子「やっぱり東洋人の血が流れる者には理解しがたいのかしらね」
律「いえ・・・自分は間違いなくドイツ国民です!」
さわ子「クスッ。話はまとまったわね。それじゃあ、すぐに準備をして頂戴」
私はそのあと、いくつかの準備を終え、手術室のような所に連れていかれて・・・
さわ子「こうしてる間にも、多くのドイツ国民が苦しんでいるわ」
さわ子「やっぱり東洋人の血が流れる者には理解しがたいのかしらね」
律「いえ・・・自分は間違いなくドイツ国民です!」
さわ子「クスッ。話はまとまったわね。それじゃあ、すぐに準備をして頂戴」
私はそのあと、いくつかの準備を終え、手術室のような所に連れていかれて・・・
27: 2011/02/10(木) 05:42:51.40
------------------
--------------
律(そこからの記憶は、もうない・・・。
私はずっと暗闇の中にいた)
そして、その暗闇の中で目を閉じれば、
『イミノナイコノセカイヲコワセ・・・』と、無機質な声が聞こえてくるだけだった。
私は考えた。
私とは、本当は元々存在しなかったんじゃないかと。
私の意思は、記憶は・・・虚構にすぎないのではないかと。
リツ「ワタシは・・・ダレダ」
薄れていく意識の中、私に時折語りかけてくる声があった。
???『りっちゃん!自分が自分であることを、忘れちゃいけないよ!』
リツ「だ・・・誰だ!?」
???「強い意志と、かけがえのない記憶・・・りっちゃんは確かにそこにいる」
???「忘れちゃだめだよ!大切な仲間のことを」
リツ「イッタイ何ナンダ!?」
その声だけが頼りだった・・・
強い意志とかけがえのない記憶、そして、大切な仲間・・・
--------------
律(そこからの記憶は、もうない・・・。
私はずっと暗闇の中にいた)
そして、その暗闇の中で目を閉じれば、
『イミノナイコノセカイヲコワセ・・・』と、無機質な声が聞こえてくるだけだった。
私は考えた。
私とは、本当は元々存在しなかったんじゃないかと。
私の意思は、記憶は・・・虚構にすぎないのではないかと。
リツ「ワタシは・・・ダレダ」
薄れていく意識の中、私に時折語りかけてくる声があった。
???『りっちゃん!自分が自分であることを、忘れちゃいけないよ!』
リツ「だ・・・誰だ!?」
???「強い意志と、かけがえのない記憶・・・りっちゃんは確かにそこにいる」
???「忘れちゃだめだよ!大切な仲間のことを」
リツ「イッタイ何ナンダ!?」
その声だけが頼りだった・・・
強い意志とかけがえのない記憶、そして、大切な仲間・・・
28: 2011/02/10(木) 05:43:24.15
その声に導かれるように、私の目の前には、見たことのある現実の世界が現れ始めた。
時には激しい戦闘を繰り返し、殺戮の限りをつくす・・・
律『誰か・・・誰か私を止めてくれ』
逃げ惑う相手の兵士を残酷なまでに一掃する友達の姿・・・
その強さは明らかに人間のものではなかった。
そしてどうやら自分は、彼女達を預かる小隊の隊長のようだった。
またある時には、ラボのような所でメンテナンスを受けた。
和「私のせいで・・・ごめんなさいっ」
目の前には、何故かいつも和がいた・・・
私に【ZERO】と呼びかける彼女がいた・・・。
次第にそれが何の光景か、理解できるようになってきた。
そして嵐の夜、作戦途中に民家に立ち寄ったときのことだった・・・
時には激しい戦闘を繰り返し、殺戮の限りをつくす・・・
律『誰か・・・誰か私を止めてくれ』
逃げ惑う相手の兵士を残酷なまでに一掃する友達の姿・・・
その強さは明らかに人間のものではなかった。
そしてどうやら自分は、彼女達を預かる小隊の隊長のようだった。
またある時には、ラボのような所でメンテナンスを受けた。
和「私のせいで・・・ごめんなさいっ」
目の前には、何故かいつも和がいた・・・
私に【ZERO】と呼びかける彼女がいた・・・。
次第にそれが何の光景か、理解できるようになってきた。
そして嵐の夜、作戦途中に民家に立ち寄ったときのことだった・・・
29: 2011/02/10(木) 05:44:14.74
------------------
--------------
その家の主は、バンド活動をしていたのだろうか。
家の中には、ギター2本にベース、ドラムにキーボードが揃っていた。
私は無意識の内にギターをかき鳴らしていた。
周りには、私と同じくギターを弾くツインテールの少女と、キーボードを弾く金髪の少女の姿があった。
『チガウ・・・』
どこか懐かしさを感じる光景だったが、なにか違和感があった。
『違ウ・・・』
確かに見慣れた光景ではあったのだが、私はいつも後ろから彼女達を見守っていたはずだ。
私・・・?
私ハ・・・誰ダ?
私ハ・・・
私は・・・!!
--------------
その家の主は、バンド活動をしていたのだろうか。
家の中には、ギター2本にベース、ドラムにキーボードが揃っていた。
私は無意識の内にギターをかき鳴らしていた。
周りには、私と同じくギターを弾くツインテールの少女と、キーボードを弾く金髪の少女の姿があった。
『チガウ・・・』
どこか懐かしさを感じる光景だったが、なにか違和感があった。
『違ウ・・・』
確かに見慣れた光景ではあったのだが、私はいつも後ろから彼女達を見守っていたはずだ。
私・・・?
私ハ・・・誰ダ?
私ハ・・・
私は・・・!!
30: 2011/02/10(木) 05:45:11.42
律「違う・・・」
ギターの演奏を止める。
他の2人も私の異変に気づき、演奏を止めて私の顔を見る。
律「私はっ・・・」
私はギターを離し、後方へと、慣れ親しんだ楽器のもとへと歩を進める。
そして、ドラムの前で足を止める。
梓「律・・・先輩?」
あどけなさの残る、かわいい後輩の声が聞こえてくる。
律「梓・・・?」
紬「りっちゃん! もとに戻ったのね!?」
律「ム・・・ギ・・・?」
この日、ついに私にカラダが戻ってきた。
人間の体では無くなってしまったけれど、それは確かに、自分のカラダだった。
ギターの演奏を止める。
他の2人も私の異変に気づき、演奏を止めて私の顔を見る。
律「私はっ・・・」
私はギターを離し、後方へと、慣れ親しんだ楽器のもとへと歩を進める。
そして、ドラムの前で足を止める。
梓「律・・・先輩?」
あどけなさの残る、かわいい後輩の声が聞こえてくる。
律「梓・・・?」
紬「りっちゃん! もとに戻ったのね!?」
律「ム・・・ギ・・・?」
この日、ついに私にカラダが戻ってきた。
人間の体では無くなってしまったけれど、それは確かに、自分のカラダだった。
31: 2011/02/10(木) 05:45:55.80
------------------
--------------
『澪、今からいう事を、落ち着いて聞いてくれ』
『私は、人間としてこの世には存在していない。』
『殺戮兵器として、改造を受けたんだ・・・』
澪に手紙が届いたとき、正直、私はまだ高をくくっていた。
どうせ律がツヴァイになる前にどこかの戦地から彼女に宛てた手紙が、今頃届いたのだろうと・・・
しかし、その手紙は今現在の律からの・・・【ZERO】からの手紙だった。
あり得るはずのない手紙・・・
存在してはいけない手紙だった。
メンテナンスは完璧だった。
問題はなかったはずだ。
しかし、ツヴァイがかつての幼馴染に手紙を書くなどあり得ない。
そんなプログラムはもちろん存在しない。
明らかに律が蘇った、記憶を取り戻したんだと、私は確信した。
--------------
『澪、今からいう事を、落ち着いて聞いてくれ』
『私は、人間としてこの世には存在していない。』
『殺戮兵器として、改造を受けたんだ・・・』
澪に手紙が届いたとき、正直、私はまだ高をくくっていた。
どうせ律がツヴァイになる前にどこかの戦地から彼女に宛てた手紙が、今頃届いたのだろうと・・・
しかし、その手紙は今現在の律からの・・・【ZERO】からの手紙だった。
あり得るはずのない手紙・・・
存在してはいけない手紙だった。
メンテナンスは完璧だった。
問題はなかったはずだ。
しかし、ツヴァイがかつての幼馴染に手紙を書くなどあり得ない。
そんなプログラムはもちろん存在しない。
明らかに律が蘇った、記憶を取り戻したんだと、私は確信した。
32: 2011/02/10(木) 05:46:36.20
その手紙にはいったい何が書いてあったのか。
おそらくは一部始終が書かれていたのかもしれない。
私のついた醜いウソが、彼女に伝わっているかもしれないという不安。
無論、私にそれを見せてもらう資格などなかった。
澪は優しさと慈しみに包まれ清んだ顔をしていた。
私にはそれが何よりも痛く心に突き刺さった。
澪「律は氏んだりしないよ・・・。
氏ぬよりも生きることの辛さを律は知ってる。
誰よりも優しくて、誰よりも繊細。
そして人間らしく生きていく強い心を誰よりも持ってる。
私も強く生きなきゃ・・・律に笑われちゃうよね。
和・・・、和も負けないで強く生きて・・・」
今ならばはっきりと分かる。
律と澪はいつも繋がっていたんだと。
人の“記憶”と“意志”こそが人の存在そのものであることを。
そしてそれらは永遠に生き続けるんだと。
おそらくは一部始終が書かれていたのかもしれない。
私のついた醜いウソが、彼女に伝わっているかもしれないという不安。
無論、私にそれを見せてもらう資格などなかった。
澪は優しさと慈しみに包まれ清んだ顔をしていた。
私にはそれが何よりも痛く心に突き刺さった。
澪「律は氏んだりしないよ・・・。
氏ぬよりも生きることの辛さを律は知ってる。
誰よりも優しくて、誰よりも繊細。
そして人間らしく生きていく強い心を誰よりも持ってる。
私も強く生きなきゃ・・・律に笑われちゃうよね。
和・・・、和も負けないで強く生きて・・・」
今ならばはっきりと分かる。
律と澪はいつも繋がっていたんだと。
人の“記憶”と“意志”こそが人の存在そのものであることを。
そしてそれらは永遠に生き続けるんだと。
33: 2011/02/10(木) 05:47:06.43
私は研究所に帰ってすぐ、【プロト】の、唯に関する記録の全てを調べ上げた。
すると、私の前任のRRプロジェクトの管理者であろうか、
【曽我部】という人物の残したレポートが見つかった。
そこには、幼馴染の、唯のサイボーグ化に関する事実が綴られていた。
すると、私の前任のRRプロジェクトの管理者であろうか、
【曽我部】という人物の残したレポートが見つかった。
そこには、幼馴染の、唯のサイボーグ化に関する事実が綴られていた。
34: 2011/02/10(木) 05:47:59.12
------------------
--------------
唯は大日本帝国、桜ヶ丘市で生まれ、両親の仕事の都合でミュンヘンに移住した。
しかし、戦争が始まると同時に大学も閉鎖、両親を戦争初期に亡くし、妹を守る為、軍へと志願。
しかし、彼女は訓練での成績が芳しく無かった自分の無力さに打ちひしがれ、妹を、
友を守る力が欲しいとRRプロジェクトに志願。
人間である自分を捨ててまで、大切な人たちを守りたいと願った彼女。
しかし、大切な人たちさえ無事ならと、すべてを捨てたにも関わらず、
心のどこかでそれをさせまいと、“記憶”は復元しようとする。
そして彼女は人であった自分をもう一度、取り戻してしまう。
そして記憶を取り戻しても尚、戦争という愚かしい行為の中で“氏神”と呼ばれ、
大量に殺戮を繰り返すだけの兵器である自分の存在自体を許せず、抹消したかったのだろう。
そして、唯は消えた。
もうこの世に存在してはいけないと。
--------------
唯は大日本帝国、桜ヶ丘市で生まれ、両親の仕事の都合でミュンヘンに移住した。
しかし、戦争が始まると同時に大学も閉鎖、両親を戦争初期に亡くし、妹を守る為、軍へと志願。
しかし、彼女は訓練での成績が芳しく無かった自分の無力さに打ちひしがれ、妹を、
友を守る力が欲しいとRRプロジェクトに志願。
人間である自分を捨ててまで、大切な人たちを守りたいと願った彼女。
しかし、大切な人たちさえ無事ならと、すべてを捨てたにも関わらず、
心のどこかでそれをさせまいと、“記憶”は復元しようとする。
そして彼女は人であった自分をもう一度、取り戻してしまう。
そして記憶を取り戻しても尚、戦争という愚かしい行為の中で“氏神”と呼ばれ、
大量に殺戮を繰り返すだけの兵器である自分の存在自体を許せず、抹消したかったのだろう。
そして、唯は消えた。
もうこの世に存在してはいけないと。
35: 2011/02/10(木) 05:48:41.56
このレポートの中で、ツヴァイが記憶を取り戻す現象のことは、“Rebirth”と呼ばれていた。
【GHOST】たちには全て、【プロト】のデータが与えられていた。
【GHOST】たちは【プロト】そのものだった。
そして、【プロト】の失敗因子は【GHOST】たち全員の中にも備わっていた。
いずれ記憶を取り戻すであろうそれらは、仕掛けられた時限爆弾のようなものだった。
今回、律にも“Rebirth”が発生したとすれば、彼女が蘇ったことにも説明がつく。
完全に記憶が戻れば、彼女達は最後まで、全力で軍へと抵抗するだろう。
例えその身を焦がし、その命を捧げることになっても、
この悲しみの連鎖を終わらせるために、失われた本当の自由を取り戻す為に、最後まで戦うだろう。
そうなる前に、何か対策はないかと、私は先ほどのレポートを更に読み進めた。
どうやら、“Rebirth”早期発見段階であれば、
【プロト人格】か【本来の人格】のどちらかを強く焼きいれることにより、そちらの人格へ修復可能であるらしい。
しかし私はこの時、あのとき友を売ったことを後悔していた。
できる事ならあの子たちをこの悲しみから解放したいと、そう考えていた。
【GHOST】たちには全て、【プロト】のデータが与えられていた。
【GHOST】たちは【プロト】そのものだった。
そして、【プロト】の失敗因子は【GHOST】たち全員の中にも備わっていた。
いずれ記憶を取り戻すであろうそれらは、仕掛けられた時限爆弾のようなものだった。
今回、律にも“Rebirth”が発生したとすれば、彼女が蘇ったことにも説明がつく。
完全に記憶が戻れば、彼女達は最後まで、全力で軍へと抵抗するだろう。
例えその身を焦がし、その命を捧げることになっても、
この悲しみの連鎖を終わらせるために、失われた本当の自由を取り戻す為に、最後まで戦うだろう。
そうなる前に、何か対策はないかと、私は先ほどのレポートを更に読み進めた。
どうやら、“Rebirth”早期発見段階であれば、
【プロト人格】か【本来の人格】のどちらかを強く焼きいれることにより、そちらの人格へ修復可能であるらしい。
しかし私はこの時、あのとき友を売ったことを後悔していた。
できる事ならあの子たちをこの悲しみから解放したいと、そう考えていた。
36: 2011/02/10(木) 05:49:15.19
この時、私はふと思った。
もし、記憶を焼きいれたまま戦争が終わったら彼女たちは、
そして【GHOST】たちはどうなってしまうのだろうか?
戦争があるからこその存在価値。
意思もない、記憶もない、ましてや今はもう人間ですらない。
ただの機械だ。
そんな存在を戦後の世の中が果たして受け入れてくれるのだろうか?
非人道的な形で産み落とされた兵器、そんな彼女らが記憶を取り戻したとして、
私はどんな顔をして彼女達の前に立てるというのだろうか?
私には、どうすればいいのか分からなかった。
そんな中、【GHOST】と共に行軍中の部隊から、連絡がはいった。
<全【GHOST】に、“Rebirth”の可能性を確認>
もし、記憶を焼きいれたまま戦争が終わったら彼女たちは、
そして【GHOST】たちはどうなってしまうのだろうか?
戦争があるからこその存在価値。
意思もない、記憶もない、ましてや今はもう人間ですらない。
ただの機械だ。
そんな存在を戦後の世の中が果たして受け入れてくれるのだろうか?
非人道的な形で産み落とされた兵器、そんな彼女らが記憶を取り戻したとして、
私はどんな顔をして彼女達の前に立てるというのだろうか?
私には、どうすればいいのか分からなかった。
そんな中、【GHOST】と共に行軍中の部隊から、連絡がはいった。
<全【GHOST】に、“Rebirth”の可能性を確認>
37: 2011/02/10(木) 05:49:55.56
“人間を模倣した行動”
彼女らは外見こそ人間のそれと変わらないものの、中身は正真正銘、機械である。
それゆえ、我々の与える特殊なエネルギー源以外は摂取する必要はないはずなのだが、
まるで人間のように、食べ物を食べるフリや、水を飲むフリ、
他にも子供に手を差し伸べる行為や楽器を演奏する行為など、【GHOST】達にとっては奇妙でしかない行為が見られている、との報告があった。
そのような状況の中で、どのように対応すべきなのか指示を仰いできたようだった。
本部はその連絡を受け、極秘裏に対応を進めた。
“GHOST殲滅作戦”
それは私が恐れていたものだった。
氏なない兵士として生み出された【GHOST】達はまさに戦場では無敵であり、
彼女達は短機関銃やライフル、ましてやピストルなどで歯が立つ相手ではなかった。
殲滅するには重火器を使用する必要があり、その準備に時間がかかったのは、せめてもの救いだろうか。
彼女らは外見こそ人間のそれと変わらないものの、中身は正真正銘、機械である。
それゆえ、我々の与える特殊なエネルギー源以外は摂取する必要はないはずなのだが、
まるで人間のように、食べ物を食べるフリや、水を飲むフリ、
他にも子供に手を差し伸べる行為や楽器を演奏する行為など、【GHOST】達にとっては奇妙でしかない行為が見られている、との報告があった。
そのような状況の中で、どのように対応すべきなのか指示を仰いできたようだった。
本部はその連絡を受け、極秘裏に対応を進めた。
“GHOST殲滅作戦”
それは私が恐れていたものだった。
氏なない兵士として生み出された【GHOST】達はまさに戦場では無敵であり、
彼女達は短機関銃やライフル、ましてやピストルなどで歯が立つ相手ではなかった。
殲滅するには重火器を使用する必要があり、その準備に時間がかかったのは、せめてもの救いだろうか。
38: 2011/02/10(木) 05:50:33.56
GHOST殲滅作戦が進められていく中、
どうするべきか分からなくなった私は、温もりを求めて憂に会いに行った。
しかし、大学が機能していない今、私はただの東洋人であった。
日本人の権利がドイツの街中で機能するとは考えにくい。
そこで私は、万が一のことを想定し、プロジェクトのユニフォームを着たまま、
軍用車でミュンヘンへと向かった。
軍属の特権を盾にしようとしたんだ。
それがどんな悲劇を起こすのかも知らずに・・・
どうするべきか分からなくなった私は、温もりを求めて憂に会いに行った。
しかし、大学が機能していない今、私はただの東洋人であった。
日本人の権利がドイツの街中で機能するとは考えにくい。
そこで私は、万が一のことを想定し、プロジェクトのユニフォームを着たまま、
軍用車でミュンヘンへと向かった。
軍属の特権を盾にしようとしたんだ。
それがどんな悲劇を起こすのかも知らずに・・・
39: 2011/02/10(木) 05:51:08.35
この頃、あれほど支持していた軍政府への人々の信頼はすでに消え去り、
第三帝国などもうどうでもいい、こんな戦争の先にある勝利などもうどうでもいいと思う市民が大部分を占めていた。
あの時、私が運転する軍用車を見る人々の目が、覚めきっていたのを私は今でも覚えている。
和(・・・?)
第三帝国などもうどうでもいい、こんな戦争の先にある勝利などもうどうでもいいと思う市民が大部分を占めていた。
あの時、私が運転する軍用車を見る人々の目が、覚めきっていたのを私は今でも覚えている。
和(・・・?)
40: 2011/02/10(木) 05:51:41.62
和「憂?いる?」コンコン
私の呼びかけに返事をするかのように、ガチャリと重い音を立てて、ドアが開く。
しかし、そこから顔を出したのは、私の幼馴染ではなく、綺麗な黒髪を腰まで伸ばした少女だった。
澪「ああ、和か」
両親と唯が亡くなった後、憂は澪の家族と共に暮らしていた。
私としては澪とは顔を合わせずらかったものの、
彼女がいつもと変わらぬ笑顔で迎えてくれ、少しホッとした。
澪「憂ちゃんは今出かけてて・・・」
私の服装を見て、澪の表情が曇る。
澪「ママ・・・ちょっと出かけて来るね」
そう小さい声で家族に告げると、澪は扉の狭い隙間からはい出るようにして、
外に出るなり、私を建物の裏へと促した。
私の呼びかけに返事をするかのように、ガチャリと重い音を立てて、ドアが開く。
しかし、そこから顔を出したのは、私の幼馴染ではなく、綺麗な黒髪を腰まで伸ばした少女だった。
澪「ああ、和か」
両親と唯が亡くなった後、憂は澪の家族と共に暮らしていた。
私としては澪とは顔を合わせずらかったものの、
彼女がいつもと変わらぬ笑顔で迎えてくれ、少しホッとした。
澪「憂ちゃんは今出かけてて・・・」
私の服装を見て、澪の表情が曇る。
澪「ママ・・・ちょっと出かけて来るね」
そう小さい声で家族に告げると、澪は扉の狭い隙間からはい出るようにして、
外に出るなり、私を建物の裏へと促した。
41: 2011/02/10(木) 05:52:16.93
澪「和・・・ほんとに変わっちゃたんだな」
和「どういうこと?」
最初の笑顔から一変した澪の一連の行動の理由を、私は理解できないでいた。
澪「今、この国がどういう状況にあるのか本当に理解してるのか?」
澪「街の・・・いや、この国の人たちはみんな戦争に苦しんで、戦争を憎んでるんだ。
軍を憎んでいる人も少なくない・・・っ!?」
その時、澪が突然駆け出し、私の横を通り過ぎていった。
和「・・・っ!?」
私が振り返る直前、銃声が鳴り響き、完全に振り返った瞬間には、
目の前に腹部から血を大量に流した澪が立っていた。
和「どういうこと?」
最初の笑顔から一変した澪の一連の行動の理由を、私は理解できないでいた。
澪「今、この国がどういう状況にあるのか本当に理解してるのか?」
澪「街の・・・いや、この国の人たちはみんな戦争に苦しんで、戦争を憎んでるんだ。
軍を憎んでいる人も少なくない・・・っ!?」
その時、澪が突然駆け出し、私の横を通り過ぎていった。
和「・・・っ!?」
私が振り返る直前、銃声が鳴り響き、完全に振り返った瞬間には、
目の前に腹部から血を大量に流した澪が立っていた。
42: 2011/02/10(木) 05:52:46.96
和「なんで・・・こんなことに・・・・。何で澪が・・・」
私に覆いかぶさるようにして立っていた澪が、ゆっくり崩れ落ちていった。
和「どうして私なんかを庇って・・・!?」
私は足がすくんで、動けなかった。
私のつまらない浅知恵が、澪までをも氏に追いやってしまったのだ。
その後のことは本当に何も思い出せない。
澪が氏ぬ前に私に残してくれた言葉以外は・・・
澪「私にとって和は、律や、他のみんなと同じくらい大切な人だったよ・・・
でも、私が知ってる和は今はどこにもいない」
澪「また・・・そう遠くない未来でいいから、私が好きだった和にもう一度会いたい・・・」
澪「大丈夫・・・未来のない世界なんてないから」
私に覆いかぶさるようにして立っていた澪が、ゆっくり崩れ落ちていった。
和「どうして私なんかを庇って・・・!?」
私は足がすくんで、動けなかった。
私のつまらない浅知恵が、澪までをも氏に追いやってしまったのだ。
その後のことは本当に何も思い出せない。
澪が氏ぬ前に私に残してくれた言葉以外は・・・
澪「私にとって和は、律や、他のみんなと同じくらい大切な人だったよ・・・
でも、私が知ってる和は今はどこにもいない」
澪「また・・・そう遠くない未来でいいから、私が好きだった和にもう一度会いたい・・・」
澪「大丈夫・・・未来のない世界なんてないから」
43: 2011/02/10(木) 05:53:14.50
~第三章 精神と心の闇~
律「そうか・・・梓やムギも唯に・・・」
梓「はい、あの真っ暗な場所から助け出してくれたのは、間違いなく唯先輩でした」
紬「唯ちゃんの声がなければ、私たちは一体どうなっていたか・・・」
律「唯は今でも私たちの中で生き続けてるんだな」
紬「でも、そうしたら唯ちゃんのあの記憶は・・・」
梓「事実・・・なんでしょうね」
律「くそっ・・・唯・・・・!!」
律「そうか・・・梓やムギも唯に・・・」
梓「はい、あの真っ暗な場所から助け出してくれたのは、間違いなく唯先輩でした」
紬「唯ちゃんの声がなければ、私たちは一体どうなっていたか・・・」
律「唯は今でも私たちの中で生き続けてるんだな」
紬「でも、そうしたら唯ちゃんのあの記憶は・・・」
梓「事実・・・なんでしょうね」
律「くそっ・・・唯・・・・!!」
44: 2011/02/10(木) 05:53:50.22
------------------
--------------
私たちの中には、その体が機械と化しても、
氏してすら尚、私たちを守ろうとしてくれた唯が、確かに存在した。
体をサイボーグに改造され、与えられた命令に従うだけだった私たちを救い出してくれたのは、紛れもなく唯だった。
そして今でも、もう一人の自分とでも言えるほど、彼女の温もりを自分の中に感じることができる。
だからこそ、感じられるんだ。
唯の思いを・・・そして、彼女の記憶を・・・・。
--------------
私たちの中には、その体が機械と化しても、
氏してすら尚、私たちを守ろうとしてくれた唯が、確かに存在した。
体をサイボーグに改造され、与えられた命令に従うだけだった私たちを救い出してくれたのは、紛れもなく唯だった。
そして今でも、もう一人の自分とでも言えるほど、彼女の温もりを自分の中に感じることができる。
だからこそ、感じられるんだ。
唯の思いを・・・そして、彼女の記憶を・・・・。
45: 2011/02/10(木) 05:54:39.53
唯は、戦争のない世界を、心から望んでいた。
そして、たった一人の妹を、たとえその身が機械となろうと、
記憶を失おうと、最後まで守り続けようとした。
唯が自分を取り戻す前の記憶、その中で彼女は、顔も思い出せない、
それでも大切な思いだけは覚えている妹を・・・
顔のない天使を・・・抱きしめ、そして泣いていた。
記憶を取り戻した後、殺戮兵器となった自分に憂ちゃんを守る資格はないと、
自ら命を絶ってしまったけれど・・・
律「・・・憂ちゃんは私らが守ってやるからな。安心しろ、唯。
私らもお前と同じ殺戮兵器になっちゃったけど・・・
お前が嫌だといっても絶対に守り抜いてやる。」
律「そして、お前が思い焦がれた、戦争のない世界を実現してやるからな」
そして、たった一人の妹を、たとえその身が機械となろうと、
記憶を失おうと、最後まで守り続けようとした。
唯が自分を取り戻す前の記憶、その中で彼女は、顔も思い出せない、
それでも大切な思いだけは覚えている妹を・・・
顔のない天使を・・・抱きしめ、そして泣いていた。
記憶を取り戻した後、殺戮兵器となった自分に憂ちゃんを守る資格はないと、
自ら命を絶ってしまったけれど・・・
律「・・・憂ちゃんは私らが守ってやるからな。安心しろ、唯。
私らもお前と同じ殺戮兵器になっちゃったけど・・・
お前が嫌だといっても絶対に守り抜いてやる。」
律「そして、お前が思い焦がれた、戦争のない世界を実現してやるからな」
46: 2011/02/10(木) 05:55:07.03
------------------
--------------
姫子「隊長!!最後の一人がRebirthしました!!」
律「“Rebirth”か・・・。私らからしたら、“Reborn”って感じだけどな。」
律「気が付いたら、体が機械に変わってた訳だしな」
紬「だけど、心までは変わっていないわ」
律「そうだな・・・」
律「よぉーし!!それじゃあ、今から軍に対し、反抗作戦を開始する!!
・・・ただし、なるべく氏者を出すな」
律「この戦争を、私たちの手で終わらせるんだ!!」
GHOST隊員達「おぉーー!!!」
紬「おー!」
梓「やってやるです!」
--------------
姫子「隊長!!最後の一人がRebirthしました!!」
律「“Rebirth”か・・・。私らからしたら、“Reborn”って感じだけどな。」
律「気が付いたら、体が機械に変わってた訳だしな」
紬「だけど、心までは変わっていないわ」
律「そうだな・・・」
律「よぉーし!!それじゃあ、今から軍に対し、反抗作戦を開始する!!
・・・ただし、なるべく氏者を出すな」
律「この戦争を、私たちの手で終わらせるんだ!!」
GHOST隊員達「おぉーー!!!」
紬「おー!」
梓「やってやるです!」
47: 2011/02/10(木) 05:55:37.98
律(やっと・・・やっと分かったんだ。
やっと・・・自分を取り戻すことができたんだ。
人は弱いものだけれど・・・決して自分を見失っちゃいけない。
人は誰だって弱い生き物で、繊細で、ちょっとしたことで傷つき、動けなくもなる。
それでも、強い意志を持たなければ、人は人じゃあ無くなるんだ・・・。
自分が、自分でいられなくなるんだ。
今の自分が、本当の自分でいるために、戦わなければならないんだ。
私たちが・・・私たちがすべて終わらせなければならないんだ。
そうだよな・・・澪
私に力を・・・貸してくれ!)
やっと・・・自分を取り戻すことができたんだ。
人は弱いものだけれど・・・決して自分を見失っちゃいけない。
人は誰だって弱い生き物で、繊細で、ちょっとしたことで傷つき、動けなくもなる。
それでも、強い意志を持たなければ、人は人じゃあ無くなるんだ・・・。
自分が、自分でいられなくなるんだ。
今の自分が、本当の自分でいるために、戦わなければならないんだ。
私たちが・・・私たちがすべて終わらせなければならないんだ。
そうだよな・・・澪
私に力を・・・貸してくれ!)
48: 2011/02/10(木) 05:56:08.88
------------------
--------------
GHOST殲滅作戦開始の少し前、彼女達がついに動き出した。
軍では、【GHOST】達の襲撃に備えて、準備が着々と進められていた。
和「遅くなりました、真鍋です」
紀美「チッ・・・。だから私はこのプロジェクトに反対したんだ」
紀美「フン・・・。さすがだな、君の友人は」
--------------
GHOST殲滅作戦開始の少し前、彼女達がついに動き出した。
軍では、【GHOST】達の襲撃に備えて、準備が着々と進められていた。
和「遅くなりました、真鍋です」
紀美「チッ・・・。だから私はこのプロジェクトに反対したんだ」
紀美「フン・・・。さすがだな、君の友人は」
49: 2011/02/10(木) 05:56:43.00
和(届くはずのない手紙が届いたあの日から・・・私は覚悟していた)
和(私こそが、人にあらざる者)
律「撃て!!」
ダダダダダダダダ・・・・・・・!!
律(砕け散るガラスは、命弾ける音・・・)
律「っ!? 伏せろ!!」
ズドォーーン!!
律(ガラス細工のように、壊れていく躯・・・)
和(腐食する躯は祈りの言葉を受け、いつかはすべての者がその運命を負う)
ドォーーン!!
梓「くっ・・・!」
律(悲しみが・・・宙を黒く染めていく)
律(もう、戻れない)
和(もう、戻れない)
律(Real or Dream? 教えてくれ・・・澪)
和(私こそが、人にあらざる者)
律「撃て!!」
ダダダダダダダダ・・・・・・・!!
律(砕け散るガラスは、命弾ける音・・・)
律「っ!? 伏せろ!!」
ズドォーーン!!
律(ガラス細工のように、壊れていく躯・・・)
和(腐食する躯は祈りの言葉を受け、いつかはすべての者がその運命を負う)
ドォーーン!!
梓「くっ・・・!」
律(悲しみが・・・宙を黒く染めていく)
律(もう、戻れない)
和(もう、戻れない)
律(Real or Dream? 教えてくれ・・・澪)
50: 2011/02/10(木) 05:57:10.95
風子『こちらデルタ1、こちらデルタ1、救援をお願いします』
律「フゥ・・・行くぞ!!」
ダダダダダダダダダ・・・・・・!!
ズガァーン!!
梓「ぐっ・・・!? ぐぁ・・・」
律「大丈夫か?」
梓「肩がショートしましたっ・・・」
律「手を貸せ!」
ダダダダダダダダ・・・・!!
梓「もうっ・・・このままじゃ保ちません!!他の小隊もどんどんやられています!」
律「フゥ・・・行くぞ!!」
ダダダダダダダダダ・・・・・・!!
ズガァーン!!
梓「ぐっ・・・!? ぐぁ・・・」
律「大丈夫か?」
梓「肩がショートしましたっ・・・」
律「手を貸せ!」
ダダダダダダダダ・・・・!!
梓「もうっ・・・このままじゃ保ちません!!他の小隊もどんどんやられています!」
51: 2011/02/10(木) 05:57:39.71
ヒューーン・・・・ズドォーーン!!
ズガァァァ!!
ドォーーン・・・
紬「相手は本気ねッ・・・!?」
梓「この装備はおかしすぎます!!」
梓「ほとんどの戦力は、前線に回されているはずなのにっ・・・」
律「そうだなっ・・・ハァッハァッ・・・」
紬「もしかして・・・」
律「ああ・・・おそらく軍は初めから、こういう事態を想定していたんだ」
ズガァァァ!!
ドォーーン・・・
紬「相手は本気ねッ・・・!?」
梓「この装備はおかしすぎます!!」
梓「ほとんどの戦力は、前線に回されているはずなのにっ・・・」
律「そうだなっ・・・ハァッハァッ・・・」
紬「もしかして・・・」
律「ああ・・・おそらく軍は初めから、こういう事態を想定していたんだ」
52: 2011/02/10(木) 05:58:09.72
梓「私たちが“Reborn”することを!?」
紬「唯ちゃんが失踪した原因も、私たちと同じだから・・・」
律「そのことを知った軍はその事実を隠蔽したまま、
次の計画、ツヴァイの大量生産に踏み切ったんだ。・・・不完全なままに」
梓「ということはっ・・・私たちを殲滅するための装備ということっ!?」
律「そういうことだ・・・」
律「氏ぬなよ?絶対に生きて帰るぞ!!」
梓「はいっ!」
紬「うん!!」
紬「唯ちゃんが失踪した原因も、私たちと同じだから・・・」
律「そのことを知った軍はその事実を隠蔽したまま、
次の計画、ツヴァイの大量生産に踏み切ったんだ。・・・不完全なままに」
梓「ということはっ・・・私たちを殲滅するための装備ということっ!?」
律「そういうことだ・・・」
律「氏ぬなよ?絶対に生きて帰るぞ!!」
梓「はいっ!」
紬「うん!!」
53: 2011/02/10(木) 05:58:37.04
ダダダダダダダダ・・・・
ズキュウン! ズキュウン!!
律「・・・様子がおかしい。待て! 撃ち方やめ!!」
律(この音・・・)
梓「どうしました?」
ドオンッ!! ヒューーーーーーン!!!!
律「伏せろぉーー!!!」
ズッガァァァアーーーン!!!!!
ズキュウン! ズキュウン!!
律「・・・様子がおかしい。待て! 撃ち方やめ!!」
律(この音・・・)
梓「どうしました?」
ドオンッ!! ヒューーーーーーン!!!!
律「伏せろぉーー!!!」
ズッガァァァアーーーン!!!!!
54: 2011/02/10(木) 05:59:05.33
律(くっ・・・)
律「聞こえるか? デルタ1! こちら【ZERO】・・・こちら【ZERO】!!」
律「応答しろ!! 誰もいないのか!? デルタ1!!!」
ピッ ガガガ・・・・
姫子『こちらデルタ2! デルタ1も、他の部隊ももうやられたわ!!』
姫子『こっちも敵に囲まれているっ・・・!! 応援をお願いっ!!』
律「今からそっちに行く。諦めるな!!」
姫子『隊長・・・私たちに、帰る場所あるわよねっ!?』
律「当たり前だ・・・みんなで帰るんだ。 生きて帰るぞ!!」
『ズガァーン!!』
『ジジジ・・・ジジジ・・・』
律「聞こえるか? デルタ1! こちら【ZERO】・・・こちら【ZERO】!!」
律「応答しろ!! 誰もいないのか!? デルタ1!!!」
ピッ ガガガ・・・・
姫子『こちらデルタ2! デルタ1も、他の部隊ももうやられたわ!!』
姫子『こっちも敵に囲まれているっ・・・!! 応援をお願いっ!!』
律「今からそっちに行く。諦めるな!!」
姫子『隊長・・・私たちに、帰る場所あるわよねっ!?』
律「当たり前だ・・・みんなで帰るんだ。 生きて帰るぞ!!」
『ズガァーン!!』
『ジジジ・・・ジジジ・・・』
55: 2011/02/10(木) 05:59:35.88
律「デルタ2・・・どうした? デルタ2っ!!!!」
律「くそっ・・・」
律(私たちは・・・逃げられるのだろうか・・・
この終わりのない悪夢から・・・)
紬「っ!? りっちゃん!! にげ・・・」
ズッッガァァァァアアアアアアーーーーン!!!!
・・・・・・・・
------------------
--------------
律「くそっ・・・」
律(私たちは・・・逃げられるのだろうか・・・
この終わりのない悪夢から・・・)
紬「っ!? りっちゃん!! にげ・・・」
ズッッガァァァァアアアアアアーーーーン!!!!
・・・・・・・・
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56: 2011/02/10(木) 06:00:09.99
~最終章 別れ、そして祈り~
紀美「状況は?」
和「今のところ、全滅かと・・・」
紀美「なぜお前は残念そうな顔を浮かべている・・・?」
和「い、いえ・・・」
紀美「所詮、機械は機械ということか。一度壊れたら手に負えない・・・」
兵士「大佐、生存と確認できるモノ、一体を確認しました!」
紀美「・・・なんだとっ!?」
兵士「おそらく、首謀者の【ZERO】であるかと思われます」
和(・・・っ!?)
紀美「まだ生きているんだな?」
紀美「フンッ・・・さすがだな。お前の人形は」
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紀美「状況は?」
和「今のところ、全滅かと・・・」
紀美「なぜお前は残念そうな顔を浮かべている・・・?」
和「い、いえ・・・」
紀美「所詮、機械は機械ということか。一度壊れたら手に負えない・・・」
兵士「大佐、生存と確認できるモノ、一体を確認しました!」
紀美「・・・なんだとっ!?」
兵士「おそらく、首謀者の【ZERO】であるかと思われます」
和(・・・っ!?)
紀美「まだ生きているんだな?」
紀美「フンッ・・・さすがだな。お前の人形は」
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57: 2011/02/10(木) 06:00:43.45
律「私たちは・・・硝煙したんだ・・・」
ギギギギ・・・・
律「この戦争に・・・誰が敵で、誰が味方なんてない・・・」
律「私たちは・・・ただ、この醜い争いを終わらせたかった・・・」
ギッ・・・ギギギッ・・・
律「早く・・・休みたかったんだ」
律「私の名前は、【ZERO】」
ギギッ・・・・
律「第四独立“機械化”遊撃部隊の隊長であり」
律「“ニーベルゲンの氏神”と恐れられた、ただの・・・」
ギッ・・・
律「ただのサイボーグだ」
58: 2011/02/10(木) 06:01:29.95
私たちが律のもとに到着した時、彼女はもう以前の姿を留めていなかった。
手足は無残なまでにも引きちぎれ、そこからは無骨な金属がむき出しになっている。
和(りつ・・・)
その場で崩れ落ちたかった。
だが、河口大佐の憎たらしい声が私にそうさせなかった。
紀美「こいつ・・・まだ動くのか?」
兵士「はい。生体反応がまだあります」
59: 2011/02/10(木) 06:02:16.51
紀美「そうか。まだ動けるのか・・・」
そういって、大佐は律の隣へと腰かけた。
紀美「逃げられると思ったか?」
そう言いながら、タバコを取り出して、火をつける。
紀美「お前たちはただの飼い犬だぞ?」
紀美「人形だ」
律の肩に腕を回し、そして・・・
紀美「鉄クズのな」
コンコンッと、もう片方の手の指でライターを突きながら、彼女はついにそう言い放った。
そういって、大佐は律の隣へと腰かけた。
紀美「逃げられると思ったか?」
そう言いながら、タバコを取り出して、火をつける。
紀美「お前たちはただの飼い犬だぞ?」
紀美「人形だ」
律の肩に腕を回し、そして・・・
紀美「鉄クズのな」
コンコンッと、もう片方の手の指でライターを突きながら、彼女はついにそう言い放った。
60: 2011/02/10(木) 06:02:54.27
紀美「どうした?仲間が氏んで辛いか?」
更に言葉を続けていく・・・
紀美「泣いてみろ」
紀美「人間のようにな」
そして、律の耳元で、そう呟いた。
紀美「フンッ。 機械には無理か・・・」
ギギギギッ・・・・
律が機械音を鳴らしながら、大佐の方へと顔を向ける
61: 2011/02/10(木) 06:03:41.84
紀美「もういい。殺せ」
和「っ・・・!?」
それを知ってか知らずか、大佐は吐き捨てるようにそう言い、立ち上がった。
律に、一斉に短機関銃の銃口が向けられる。
律「私たちの方が・・・よっぽど・・・」
律が口を開く。
和(お願い・・・もうやめて!)
律「人間らしいぜ」
紀美「・・・っ!? このっ・・・!!」
大佐は傍にいた兵士から短機関銃を奪い取り、容赦なく律に銃弾の雨を浴びせる。
62: 2011/02/10(木) 06:04:07.44
ダダダダダダダダダダダダ・・・・・・・・・!!
銃口から発せられた弾は、機械と化した律のカラダに当たり、弾け飛んでいく。
ダダダダダダダダ・・・・・・!!
銃弾を受けた律のカラダは、その衝撃を受け、上下に激しく揺れ動く。
ダダッ・・・・カチッ・・・カチッ・・・・
そして、その激しい銃弾の雨が止んだ時、律のカラダはすでに動かぬものとなっていた・・・
63: 2011/02/10(木) 06:05:01.69
紀美「・・・何一つ残すな。こいつらの痕跡をな!!」
兵士たち「Yes, sir!!」
紀美「何が人間らしいだっ・・・」
そう呟きながら、大佐は本部へと歩いていき、
他の兵士たちも【GHOST】達の証拠を隠蔽する作業に取り掛かり、
その場に残ったのは私と・・・律だけになった。
和「人間・・・らしいか」
私の意思に関わらず、私は膝から崩れ落ち、そう呟いていた。
和「私は・・・私はとんでもない事をしてしまった・・・」
目から大粒の涙が流れ落ちていく。
そんなことをしても許されはしない罪だと分かってはいるけれど。
和「ごめんねっ・・・ごめんねっ・・・!!」
その後、私は彼女に何度も何度も謝り続けた・・・
たとえ自由を奪われても、最後まで人間らしく生き続けた彼女に。
64: 2011/02/10(木) 06:05:35.05
・・・そうだ、律にかえさなきゃ。
この子が人間だった証を。
この子たちがいつまでも仲間だと誓い合ったあの日の写真を。
和「あなたの・・・記憶の・・・カケラよ」
あの日、無残にも2つに引き裂き、この子達から奪い去ってしまったあの日の写真を、
律の手に、そっと握らせた。
和「ごめんねっ・・・ホントにごめんねっ・・・・」
そういって、私はこれ以上耐えられなくなり、その場から駆け出した・・・・
65: 2011/02/10(木) 06:06:18.95
------------------
--------------
重火器の激しい爆撃を受け、無残に焼け散った街・・・
その中で、手足の捥げた悲しき運命の少女の目が・・・
一度は光を失ったその目が再び・・・少しずつ輝き始めた。
律(和・・・)
視線が写真の握られた・・・彼女の四肢の中で唯一残った右手に向けられる。
律(これは・・・?)
その手の中には、かつてのように笑いあう彼女たちの姿が・・・
永遠に続くであろうその姿があった。
--------------
重火器の激しい爆撃を受け、無残に焼け散った街・・・
その中で、手足の捥げた悲しき運命の少女の目が・・・
一度は光を失ったその目が再び・・・少しずつ輝き始めた。
律(和・・・)
視線が写真の握られた・・・彼女の四肢の中で唯一残った右手に向けられる。
律(これは・・・?)
その手の中には、かつてのように笑いあう彼女たちの姿が・・・
永遠に続くであろうその姿があった。
66: 2011/02/10(木) 06:07:01.25
律(あの日の・・・)
機械と化した彼女の目から涙が・・・
使い古したオイルのような白く濁った色ではあったが、
この世のどんなモノよりも美しい涙が流れ落ちた。
律(最後のカケラが・・・埋まった)
彼女の中から、楽しかったあの日々の思い出が、走馬灯のように溢れ出してくる。
そして、今度こそ永遠に・・・しかし今回は静かに、彼女の目は光を失った。
67: 2011/02/10(木) 06:07:46.44
~Epilogue~
戦争が終わり、街に少しずつ静けさが戻ってきた現在、私と憂は、かつての友達の墓の前にいる。
和「みんな・・・あなた達の思い焦がれていた、戦争のない世界がもうすぐ、始まろうとしているわ」
和「正直・・・私なんかがこの世界を生きていていいのかって思うけど・・・」
憂「そんなこと言っちゃだめだよ、和ちゃん。
お姉ちゃん達はきっと、元気になった和ちゃんに、この世界を生き抜いてほしいと思ってるはず」
憂「あの日、澪さんに届いたあの手紙にも、そう書いてあったよ」
戦争が終わり、街に少しずつ静けさが戻ってきた現在、私と憂は、かつての友達の墓の前にいる。
和「みんな・・・あなた達の思い焦がれていた、戦争のない世界がもうすぐ、始まろうとしているわ」
和「正直・・・私なんかがこの世界を生きていていいのかって思うけど・・・」
憂「そんなこと言っちゃだめだよ、和ちゃん。
お姉ちゃん達はきっと、元気になった和ちゃんに、この世界を生き抜いてほしいと思ってるはず」
憂「あの日、澪さんに届いたあの手紙にも、そう書いてあったよ」
68: 2011/02/10(木) 06:08:17.95
『なあ澪・・・どんなことがあっても、私たちはずっと仲間だからな? もちろん、和も』
『私たちがこの戦争を終わらせて帰ってきたら、みんなで和に説教してやらないとな』
『そして、あいつにも笑顔を取り戻してやらないと・・・』
憂「だから『めっ!』だよ和ちゃん。 そんな顔してちゃ」
『私たちがこの戦争を終わらせて帰ってきたら、みんなで和に説教してやらないとな』
『そして、あいつにも笑顔を取り戻してやらないと・・・』
憂「だから『めっ!』だよ和ちゃん。 そんな顔してちゃ」
69: 2011/02/10(木) 06:08:47.30
憂「ほら見て和ちゃん。 このお花さんたち、お姉ちゃんたちみたい。」
そこには寄り添って咲く、美しい5輪の花があった。
憂「仲良しさんだね~」
和「そうね・・・きっと唯たちも、天国でこうして仲良く笑ってるに違いないわ・・・」
長かった私の戦争も、かけがえのない友人たちのおかげで、ついに終焉を迎えた。
律・唯・澪・紬・梓『この世界にいつか、戦争のない平和が訪れることを』
律・唯・澪・紬・梓『心から祈っています』
Fin.
そこには寄り添って咲く、美しい5輪の花があった。
憂「仲良しさんだね~」
和「そうね・・・きっと唯たちも、天国でこうして仲良く笑ってるに違いないわ・・・」
長かった私の戦争も、かけがえのない友人たちのおかげで、ついに終焉を迎えた。
律・唯・澪・紬・梓『この世界にいつか、戦争のない平和が訪れることを』
律・唯・澪・紬・梓『心から祈っています』
Fin.
71: 2011/02/10(木) 13:17:30.05
GACKT好きの自分には面白かった
72: 2011/02/10(木) 13:33:15.18
…を使ってほしかった
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります