綾波「碇くんはおかしい」
1: 2012/12/19(水) 05:09:08.63
シンジ「……えっ?」

綾波「碇くんが作る料理、おいしい」

シンジ「あっ、あぁそういうこと……ありがとう」

綾波「どういたしまして。……碇くん」

シンジ「なに?」

綾波「私も、碇くんが作る料理、作りたい」

シンジ「綾波も料理したいの?」

綾波「えぇ。教えてくれない?」

シンジ「そんなのお安いご用だよ。でも……綾波が料理に興味を持つなんて、ちょっと意外かな」

綾波「一人暮らしが長いのに、料理もまともに出来ないなんて、恥ずかしいから」

シンジ「そんなの気にする必要ないと思うけど……」

綾波「ダメ。このままだと、嫁の貰い手がいなくなるわ」

シンジ「なら、それこそ気にする必要ないよ。料理くらい、僕が作るからさ」

綾波「えっ」

シンジ「あっ」

4: 2012/12/19(水) 05:10:25.51
綾波「……今の言葉、どういう意味?」

シンジ「え、えっと……その……ご、ごめんっ!」

綾波「謝らないでちゃんと答えて」

綾波「碇くんは……私を嫁に貰ってくれるの?」

シンジ「そ、それよりさ!早く料理作ろうよ!ほら、時は金なりなんだからっ!!」

綾波「……ヘタレ」

シンジ「もうどうとでも言えばいいよっ!」

綾波「……まぁいいわ。碇くんがヘタレだってこと、前々から知っていたし」

綾波「それに……言質も取ったし」

シンジ「あ、アレを言質というのは、ちょっと無理がない……?」

綾波「そう思うんならそうじゃない?あなたの中では」

シンジ「どういう返しだよ、それ……」

6: 2012/12/19(水) 05:12:00.37
綾波「それで、今日はどんな料理を教えてくれるの?」

シンジ「えっ?あー、そうだな……綾波はなにか作りたいものってある?」

綾波「碇くんが好きなもの」

シンジ「ぼ、僕の好きなもの?」

綾波「えぇ。碇くんが好きなもの、作れるようになりたい」

シンジ「はやなみっ……!そっか……僕の好きなもの、か……」

綾波「なにかない?難しいものでもいいから」

シンジ「……ごめん。いまいち思い付かないや」

シンジ「僕、どんな食べ物でも大抵は食べられるから、あんまり好き嫌いってないんだ」

綾波「そう……」

シンジ「ただ……今までは1人でご飯を食べることが多かったから、誰かとご飯を食べることは好きかな」

綾波「そうなの?」

シンジ「うん。だから……綾波と一緒になら、どんなものでも、好きな食べ物になりそうだよ」

綾波「えっ」

シンジ「ん?……僕、なんか変なこと言った?」

10: 2012/12/19(水) 05:14:34.60
綾波「……自覚、ないの?」

シンジ「自覚ってどういうこと?」

綾波「ないのね……いいわ。もういい」

シンジ「あ、綾波?なんか怒ってない……?」

綾波「怒る?私が?どうして私が怒らなきゃいけないの?」

シンジ「い、いや……怒ってないなら、それでいいんだけど……」

綾波「とにかく、碇くんはどんな食べ物でも好きということ?」

シンジ「うん、そういうことだね」

綾波「それじゃあ、なにか食べたいものはないの?」

シンジ「食べたいもの?うーん……しいて言うなら和食かなぁ……」

綾波「和食が食べたいの?」

シンジ「うん。アスカが来て以来、ほとんど洋食だから、なかなか食べる機会がなくてね」

綾波「そう……なら、作るのは和食にしましょう」

シンジ「そうだね。そうしようか」

12: 2012/12/19(水) 05:16:10.10
綾波「それで、どんな料理を作るの?」

シンジ「その前に一つ聞いておきたいんだけど、綾波って料理の経験ある?」

綾波「ペヤングなら作ったことあるわ」

シンジ「いや、ペヤングは料理にならないよ……」

綾波「今朝もペヤング作ったの」

シンジ「あ、朝からペヤング!?なんというか……わ、ワイルドだね」

綾波「レイちゃん、朝からペヤング食べてやったぜぇ~。しかも超大盛りだぜぇ~。ワイルドだろぉ~?」

シンジ「古いよ、それっ!ていうか超大盛りっ!?」

綾波「でもレイちゃん、ワイルドだから、わざと流しに麺をドバーしてやったぜぇ~。おかげで超大盛りが、ただの大盛りになっちまったぜぇ~」

綾波「……ワイルドだろぉ~?」

シンジ「もういいよっ!ていうか、なんでちょっとためて言ったの!?」

綾波「オリジナリティって、大事だと思うから」

シンジ「パクっておいてなにがオリジナリティだよっ!どうしてあんなことしたの!?」

綾波「だって、碇くんがネタ振りをしたから」

シンジ「アレはそんなんじゃないよ!アレはただの感想だからねっ!?」

14: 2012/12/19(水) 05:17:49.65
綾波「……そんなに怒られるとは思ってなかった」

シンジ「あっ……ご、ごめん……でも、別に怒ってたわけじゃないんだ」

綾波「なら、あの反応はなに?」

シンジ「アレは……綾波が、いきなりあんなこと言い出したから、ちょっと戸惑っちゃって……」

シンジ「だから、決して怒ってたわけじゃないんだ。でも……ごめん……」

綾波「そう……ならいいわ」

綾波「でも碇くんって、怒ったら怖そうね」

シンジ「まぁ……碇だけにね」

綾波「あ?」

シンジ「えっ」

綾波「私をなめてるの?」

シンジ「い、いや!そんなつもりは……ごめん……」

綾波「もう二度とふざけないで」

シンジ「う、うん……ていうか、ちょっと厳しすぎない……?」

15: 2012/12/19(水) 05:18:35.31
ワロタ

16: 2012/12/19(水) 05:19:19.86
綾波「気を取り直して、なにを作るか決めましょう」

シンジ「僕はそんなすぐに、気を取り直せそうにないよ……」

綾波「碇くん、そういう時はあれよ。あの……猫に小判よ。だから、頑張って」

シンジ「全然関係ないじゃないか、それ……とりあえず、綾波は料理の経験がないってことでいいよね?」

綾波「ペヤングが料理にならないなら、そういうことね」

シンジ「なら、初心者でも作れそうなものにしようか」

綾波「そんなのあるの?」

シンジ「うん。料理って言っても、いろいろあるからね」

シンジ「綾波って、肉食べられないんだよね?卵も?」

綾波「分からない。食べたことないから」

シンジ「そっか……それなら卵料理は避けたほうがいいかな……」

シンジ「……よしっ!味噌汁を作ろう!」

綾波「1つだけなの?」

シンジ「あっ、少かったかな?それなら、なにかもう1つ足すけど……」

綾波「いえ、それだけでいいわ。私、まだ初心者だから」

18: 2012/12/19(水) 05:21:16.55
シンジ「それじゃあ、早速作ってみようか」

綾波「ところで、味噌汁って、あの泥水みたいな茶色い液体のよね?」

シンジ「そ、そうだけど……料理の例えに泥水はどうかと思うよ」

綾波「一体、どうやったらああなるの?」

シンジ「なんか言い方が気になるけど……まぁいいや。説明していくね」

シンジ「まずはお湯を沸かすんだ」

シンジ「こうやって、お碗に水を入れて量をはかるといいよ」

綾波「ふむふむ」

シンジ「で、火をつけたら、次は出汁をとるんだ。あっ、火加減はこれくらいね」

シンジ「ほんとは、昆布と一緒に鰹節か煮干しを入れて、出汁をとるのがいいんだけど」

シンジ「それだと手間がかかるし、毎日やるのも面倒くさいから、こういうだしの素を使えばいいよ」

綾波「ほうほう」

シンジ「で、だしの素を入れます。どれくらい入れればいいかは、大体だしの素に書いてあるから、それを参考にしてね」

綾波「えぇ、分かったわ」

19: 2012/12/19(水) 05:23:19.04
シンジ「それで、こういう風に沸騰してきたら、一旦火を止めます」

綾波「何故、火を止めるの?」

シンジ「このまま味噌をいれると、風味が落ちちゃうんだ。あと、辛くなったりもするしね」

綾波「そう……いろいろあるのね」

シンジ「どう?覚えられそう?」

綾波「大丈夫。心配いらないわ」

シンジ「そっか、それなら良かった。……続けるね?」

綾波「えぇ、お願い」

シンジ「じゃあ……次は、いよいよ味噌をいれるんだ」

シンジ「味噌の量は、こういうスプーンがあればはかれるよ。大体1人前で、スプーン1杯くらいかな」

綾波「ふむふむ」

シンジ「味噌を取ったら、こうやってお玉に移すんだ。お玉に味噌を移したら、少しお湯に浸けて、箸で味噌を溶かしていく……」

シンジ「ほら、綾波。やってみて」

綾波「えっ?いきなり?」

20: 2012/12/19(水) 05:24:35.96
シンジ「今まではずっと見てただけだったし、こういうことでもやったほうがいいと思ってね」

綾波「そう……そうね。やってみるわ」

シンジ「じゃあ、このお玉と箸を持って」

綾波「さっき、碇くんがやったみたいにやればいいの?」

シンジ「うん。お玉の中で箸を回しながら、少しずつ味噌を溶かしていくんだ」

綾波「そう……分かったわ」

シンジ「……その調子だよ。綾波、なかなか上手じゃないか」

綾波「そうなの?」

シンジ「うん。なんか、手つきがお母さんみたい」

綾波「な、なにを言うのよ……」

22: 2012/12/19(水) 05:25:59.69
シンジ「……うん、上手に出来たね」

綾波「私、変じゃなかった?」

シンジ「そんなことないよ。むしろ、ほとんど完璧だった」

綾波「そう……良かった」

シンジ「それじゃあ味噌も溶けたことだし、味見してくれないかな?」

綾波「私がするの?」

シンジ「もちろん。綾波の好み通りにしないと、作る意味がないじゃないか。綾波に教えてるんだし」

綾波「確かにそうね。……分かったわ」

シンジ「じゃあこれ、飲んでみて」

綾波「いただきます」

シンジ「……どうかな?」

綾波「……おいしい」

シンジ「そっか!それなら良かった!」

綾波「碇くんはやっぱりおいしい」

シンジ「ま、まだ言うのそれ?それだと、意味が違ってくる気がするんだけど……」

23: 2012/12/19(水) 05:28:16.24
綾波「味噌汁はこれで終わり?」

シンジ「いや、まだもうちょっと。次は具を入れなきゃ。これだけだと寂しいでしょ?」

綾波「そうね。このままだと、本当に泥水にしか見えないわ」

シンジ「だからその例えやめなって……まぁ、具って言っても、豆腐だけなんだけど……」

シンジ「とにかく豆腐を入れよう。豆腐はパックの中に水が入っているから、こうやって豆腐を押さえながら、逆さにしてパックの水を捨てるんだ」

綾波「ほうほう」

シンジ「それで水を捨てたら、こうやって手の上に豆腐を乗せて切っていきます」

綾波「それ、危なくないの?」

シンジ「刃物って、切れるのは引くときだけだから、こうやって落とすだけなら手を切る心配はないよ」

綾波「なら、どうして豆腐は切れているの?」

シンジ「豆腐は柔らかいからね。包丁の重さだけで切ることが出来るんだ。分かったかな?」

綾波「えぇ。なんとなくは、だけど」

シンジ「そっか……じゃあ、やってみて」

綾波「えっ?……私がそれ、やるの?」

シンジ「うん。大丈夫、綾波ならきっと出来るよ」

24: 2012/12/19(水) 05:31:11.26
綾波「でも、碇くんにけがをさせたら、私……」

シンジ「僕が言ったことに気を付ければ大丈夫だよ。安心して」

シンジ「それに……ほんとに僕がケガをしたとしても、その相手が綾波なら、僕は許せるから」

綾波「えっ」

シンジ「だから、怖がらずにやってみてくれないかな?」

綾波「……分かった。私、やってみる」

シンジ「うんっ!その意気だよ、綾波!」

シンジ「はい、包丁。持ち方分かる?」

綾波「持ち方?……こう?」

シンジ「……うん、大体合ってる。それじゃあ、豆腐を切ってみようか」

綾波「あの……本当にけがをさせてしまったら、ごめんなさい」

シンジ「いいって、そんなこと気にしなくても。ほら、やってみて?」

綾波「……こ、こういう風でいいの?」

シンジ「うん、その調子……次は縦で切ってみよう」

25: 2012/12/19(水) 05:34:47.53
シンジ「……うん、ちゃんと切れてる。綾波は物覚えがいいね」

綾波「碇くん、手、大丈夫?」

シンジ「大丈夫だよ。綾波が、上手に豆腐を切ってくれたおかげでね」

綾波「そう……なら良かった」

シンジ「それじゃあ次は、この豆腐を味噌汁に入れていくんだ。入れるときは、こうやって静かに入れてね」

シンジ「じゃないと、豆腐が崩れたり、味噌汁が跳ねたりして危ないから」

綾波「なるほど」

シンジ「それで豆腐を入れたら、今度は弱火で味噌汁を温めるんだ。豆腐が崩れないように気を付けて、お玉で全体を回しながらね」

綾波「どうしてそんなことするの?」

シンジ「味噌が下に沈んでるから、そうしないと全体に味噌が回らないんだ。これをやらなかったら、上のほうは味噌風味の水になっちゃう」

シンジ「そんなの、綾波も嫌だろ?」

綾波「そうね。そんなの、おいしくなさそう」

シンジ「実際、おいしくないしね……で、味噌汁が全体的に温まってきたら、お椀に移して……」

シンジ「はい、これで味噌汁の出来上がり」

27: 2012/12/19(水) 05:36:13.77
綾波「味噌汁って、思ってたより大変なのね」

シンジ「そう?まぁ綾波は初心者だから、そう思うのかもしれないね」

シンジ「でも慣れてくると、そうでもなくなるよ」

綾波「そう……そうかもしれないわね」

シンジ「うん……これ、食べてみてくれないかな?」

綾波「私が食べるの?」

シンジ「もちろん。綾波のために作ったんだし」

綾波「私のため……そう、分かったわ」

綾波「じゃあ……いただきます」

シンジ「どうぞ、召し上がれ」

綾波「……おいしい。味見した時と、同じ味がする」

シンジ「そっか、それなら良かった」

綾波「でも……ちょっと味気ない気がする」

シンジ「あー……やっぱり?具が豆腐だけだもんね」

綾波「他にも、何か入れたりするの?」

28: 2012/12/19(水) 05:38:26.65
シンジ「うん。わかめとかネギとか、あとはまぁ……油揚げとか」

綾波「どうして入れなかったの?」

シンジ「今回は用意がなくてね……また今度教えるときにやるよ」

綾波「えっ」

シンジ「あっ……また教えようと思ってたんだけど、ダメだったかな……?」

綾波「……ううん、そんなことない。私、碇くんからもっと教わりたい」

シンジ「綾波……それじゃあ、今度はもうちょっと難しい料理に挑戦してみようか」

綾波「お願い。……それはそうと、味噌汁、食べないの?」

シンジ「あっ……そうだね。僕も食べるよ」

綾波「……どう?おいしい?」

シンジ「うん、おいしい……綾波と一緒に食べると、普通の味噌汁でも、こんなにおいしくなるんだね」

綾波「……私も、碇くんと一緒に食べてると、さっきよりおいしく感じる」

シンジ「そっか……ははっ、おそろいだね。僕たち」

綾波「そうね。……ふふっ」

33: 2012/12/19(水) 05:54:01.09
綾波「2号機の人。これ、見て」

アスカ「……なによこれ、ただの弁当じゃない」

綾波「違う。これは普通のお弁当じゃない」

綾波「これは、私と碇くんが一緒に作ったお弁当」

アスカ「!?」

綾波「言うなれば……2人の初めての共同作業」

アスカ「!?!?」

綾波「どう?」

アスカ「ど、ドヤ顔してんじゃないわよっ!こんなの見せて、アタシになにが言いたいわけっ!?」

綾波「別に……碇くん、私の料理を食べて、おいしいって言ってくれるわ」

アスカ「ふ、フンッ!それがどうしたってぇのよ……」

綾波「つまり、私は碇くんの胃袋を掴んだということ」

綾波「それ即ち……碇くんは私にゾッコンLOVEということ」

アスカ「な、なんでそうなんのよっ!?飛躍しすぎじゃない!!」

34: 2012/12/19(水) 05:55:27.01
綾波「負け犬の遠吠えにしか聞こえないわ。……こうはなりたくないものね」

アスカ「コイツっ……!ブン殴るわよっ!?」

綾波「悔しかったら、あなたも碇くんに、料理、作ってあげれば?」

アスカ「!!」

綾波「でもあなたの腕前じゃ、碇くんを満足させられないでしょうけど」

アスカ「言わせておけばぁ……!ヒカリ!私に料理教えてっ!!」

ヒカリ「えぇっ!?あ、アスカ!?どうしたのよ、いきなり!?」

アスカ「いいからっ!!あんな人形女に負けてたまるもんですかっ……!」

綾波「精々頑張ることね……2号機の人」

アスカ「あん!?……なによ、まだなんか用!?」

綾波「素直さって大事よ」

アスカ「なっ……!わ、分かってるわよ、それくらいっ!」

綾波「そう……ならいい」

アスカ「くっ……!なによホントに……ベーっだっ!!」

ヒカリ「アスカ……小学生みたいよ、それ」

35: 2012/12/19(水) 05:56:14.08
これで終わり

味噌汁の作り方が変なのと具が質素なのは勘弁して

37: 2012/12/19(水) 06:03:52.58
レイのドヤ顔って想像出来ない

引用元: 綾波「碇くんはおいしい」