1: 2013/04/25(木) 22:40:35.59
ゼハート「今日は皆に機動戦士ガンダムAGEの魅力についてより知ってもらうための勉強会を行おうと思う。講師のゼハート・ガレットだ。よろしく頼む」

キオ・ウェンディ・ウットビット・ルウ・ディーン「「「「よろしくお願いしまーす!」」」」

ゼハート「うむ、では皆席についてくれたまえ」

キオ「はーい!」
ウェンディ「はーい!」
ウットビット「俺一番端っこー!」
ルウ「私キオの隣―っ!」
ディーン「俺は…景色が見える窓際がいいな」

ゼハート「よし、授業を始める」

子供達「ハイ、よろしくお願いします!!」

4: 2013/04/25(木) 22:44:56.47
ゼハート「この勉強会ではテレビを観ただけじゃわかり辛かったり、説明されなかった設定について話したり、公式から言及の無かった部分について皆で考えたりしていこうと思っている。では、ここまでで何か質問は?」

ウットビット「ハイ先生!」

ゼハート「うむ、何かなウットビット君」

ウットビット「設定についてなら小説版ガンダムAGEを読めば詳しく書いているんじゃないですか?それを読めば…」

ゼハート「いい質問だウットビット君。確かに小説版ガンダムAGEには設定を考えたスタッフが協力している事もあり本編では説明しきれなかった部分が多数補足されている為、一見すると世界観の勉強には最適に思える」

ウェンディ「一巻約500円だから決して高くないもんね」

ディーン(結構高いな…ウチは買えないや)

ルウ「ウチは買えないね」

全員「!!」

6: 2013/04/25(木) 22:49:19.82
ゼハート「しかしこの小説版ガンダムAGEは独自の解釈や設定の改変が行われていることもあり必ずしも本編の補足に適しているとは実はあまり言えない側面がある」

ウットビット「へーそうなのか」

ゼハート「実際メカニック関係だけでなく、ストーリーの根幹たる登場人物の性格・人格・あるいは思想や活躍に至るまで大きく違う場合がある。本編の補足と言うよりは別解釈で再構成したガンダムAGEと捉える方が正しいと、私は思う」

ウットビット「なるほどー」

ゼハート「うむ。また、上記の設定改変も含め歴代の小説版ガンダムというものは往々にして本編と比べ一部過激な描写・表現も多数含まれているものなのだ
その為君達のような子供や苦手な方は多少の注意が必要になる場合についても言及しておく。理解できたかな?」

子供達「ハイ先生!」

7: 2013/04/25(木) 22:51:22.17
ゼハート「うむ。では、早速本編についての勉強を……」


???「本当は小説と本編での活躍とを比べられるのが嫌で読んで欲しくないだけなのではないのか?ゼハート・ガレット…!」

全員「!!?」

ガラッ

ゼハート「!!……貴様は…ザナルド・ベイハート!!」

ザナルド「クックック…子供達の先生とは随分似合わない事をやってるなゼハートよ」

キオ「お前は!」
ウェンディ「うわ、でかっ!?」
ウットビット「人間か!?」
ルウ「お兄ちゃん、あれがゴリラ?」
ディーン「こらルウ、失礼だぞ。ちゃんと喋ってるだろ、きっと人間だよ」

12: 2013/04/25(木) 22:54:56.09
ワイワイガヤガヤ

ゼハート「なぜ貴様がここに……っ!」

ザナルド「貴様がガンダムAGEの魅力についての勉強会を行うという話を聞いてな…
貴様のような無能な男が誤った知識を子供達に与えて作品のイメージが損なわれては困るのだよ…少し見物に来させてもらった」

ゼハート「……っ! 私を監視しに来たというわけか…相変わらず私が気に入らんようだな」

ザナルド「フン…!貴様のような男にガンダムAGEの魅力が語れるかな…?本編で一切作戦を成功させる事ができなかったゼハート・ガレットよ」

ゼハート「クッ…!!」


ウェンディ「あの二人仲悪いんだね」

ウットビット「大人なのに喧嘩すんなよなー」

13: 2013/04/25(木) 22:57:40.31
キオ「お前……っ!!」

ザナルド「んん…?なんだ貴様もいたのか」

ルウ「キオの知り合い?」

キオ「えっ……いや、うん…ちょっと……」

ルウ&ディーン「?」

キオ「……(言えない…ディーンを頃した人がこの人だなんて)



キオ(今思うとこの空間にいる皆の関係すごいなぁ……)

15: 2013/04/25(木) 23:01:55.27
ゼハート「私の講師ぶりが不安だというのならお前も参加するといい。ただし邪魔だけは許さんぞ。本編のようにな」

ザナルド「面白い…貴様が本編のように無様な醜態を晒さぬよう私が見張ってやろう」

ゼハート「フン……ではお前も席に着くがいい」

ザナルド「フン」

ズシンッズシンッ

スッ←前を通る

ザナルド「アホ」 ボソッ
ゼハート「ハゲ」 ボソッ
ザナルド「ブワーカ」
ゼハート「オマエノホウガバカ」
ザナルド「マヌケ」
ゼハート「メタボ」


子供達「……」

17: 2013/04/25(木) 23:04:37.00
ザナルド「フフフ……では私は後ろの列から見物させてもらおう」

ウットビット「椅子と机いくつ使ってんだよあのオッサン」

ゼハート「邪魔が入ったが、では早速機動戦士ガンダムAGEについての勉強会を始めよう」

子供達「わーい!」

ゼハート「うむ、まずはこの世界観の大前提たる存在である『銀の杯条約』について勉強しよう」

子供達「はい!」

19: 2013/04/25(木) 23:06:11.85
だいぶ強いられてるな

20: 2013/04/25(木) 23:06:19.51
AGE好きだから復習も兼ねて読みますからね

21: 2013/04/25(木) 23:06:42.42
ゼハート「この『銀の杯条約』が何か、わかる人はいるかな?」

ウットビット「ハイ先生!大昔に地球圏で起こったでっかい戦争が終わった時に造られた、武器や兵器の技術の一切を捨ててしまおうという条約です!!」

ゼハート「概ね正解だウットビット君。補足するなら、これには軍事関係のノウハウや歴史、戦術やそれに連なるもの全てを廃棄する事も含まれていたんだ」

ルウ「へー」

ディーン「すごく規模の大きな話だったんですね」

ゼハート「ああ。実際この技術と歴史に関する廃棄と秘匿は徹底しており、後年には一部を除き本当に全く伝わっていない状況を生み出した
この銀の杯条約の存在によってAGE世界の地球圏は軍事組織を持たない世界となっていた」

ウェンディ「すごいですね……」

ゼハート「うむ。また逆に言えばこれだけ徹底し、歴史から消さねばならないほど過去の戦争で使われた技術や兵器が恐ろしかったとも解釈できる」

22: 2013/04/25(木) 23:08:36.02
キオ「……」

ルウ「昔も大変だったんだね」

ゼハート「この徹底的な秘匿により地球圏は仮初とはいえ『戦争の無い歴史』を生み出す事に成功している」

ウットビット「昔の戦争ってどんなのだったのかなー」

ゼハート「それについては推測するしかないが……本編に搭乗した過去のMSが強大だった事から凄まじいものだった事だけはわかっている
主人公機3機がかりでようやく互角に戦えるヴェイガンギアや自己進化・自己修復が可能なシドといった存在から推察されるように、物語終盤でも追いつけなかったレベルにあったようだ

……話ついでに、それほどの戦争を終わらせるきっかけとなった存在についても話しておこう」

キオ「!」



ゼハート「……そう、『ガンダム』だ」

25: 2013/04/25(木) 23:12:27.79
ゼハート「AGE世界におけるガンダムとは、永きに渡った戦争をその力で終結させるほどの、伝説的活躍をしたMSそのものを指している。これは私よりキオ君の方が詳しいのではないかな?」

ルウ&ディーン「?」

キオ「ハイ。えっと…詳しいかはわからないですけど、ガンダムは、僕の家に代々伝わっていたMSなんです。僕のご先祖様はMS鍛冶って言って、MSを開発したり研究する職人を代々していたそうです」

ルウ「へーすごい!」

ディーン「じゃあ、キオの先祖がガンダムを造って戦争を終わらせたのか」

キオ「……うん。そうみたいだね。僕もじいちゃんに聞いただけだから、実はそれぐらいしか知らないんだけど……」

ウットビット「お前のじいちゃんの家フリットさんが子供の頃に消えたもんな」

全員「……」

27: 2013/04/25(木) 23:14:53.01
ゼハート「いや、充分だ。ありがとう
この戦争を終結させたガンダムは、後の世に争いに終止符をうった『救世主』だと伝えられる事になった

これをAGE世界では『ガンダム伝説』と呼ぶものもいる」

キオ「…救世主……」

ウットビット「かっこいいなー」

ディーン「……キオも、ガンダムに乗っていたよな」

キオ「えっ……うん」

ルウ「じゃあキオも救世主だね!」

キオ「え……」

ディーン「……そうだな。俺たち兄妹にとって、キオはホントの救世主だ」

キオ「……」

ルウ「……ありがとね、キオ」

28: 2013/04/25(木) 23:15:27.88
ゼハート「ガンダムは、AGE世界において神聖視される面がある機体なのだ」

ザナルド「フン……どこかの誰かはそのガンダムの名を冠する機体を受領していながら錯乱しあっさりやられる醜態を晒したがな」

ウットビット「へーそんな奴がいたのか」

ゼハート「……」

ザナルド「ああ、酷い醜態であったな」ニヤニヤ

ゼハート「……不必要な私語は慎むように。では授業を続ける」



ゼハート「誰のせいで錯乱するまで追い詰められたと思っている…」ボソッ
ザナルド「黙れ青二才」ボソッ

子供達「?」

30: 2013/04/25(木) 23:16:25.62
ゼハート「そうだ、忘れる所だった。ウットビット君、先生の質問に正解した君にはこれを送ろう」

ウットビット「?」

ゼハート「グルドりん君人形だ」

ウットビット「うわ、なんだこれ!?」
ウェンデイ「可愛い!」
ルウ「ホントだ可愛い!」
ディーン「浮いてる!」

キオ「……多分、Cファンネルと同じ原理だ」

ゼハート「3つ集めれば羽のついた金のグルドりん君人形と交換してもらえるぞ」

ルウ「わーすごい!」
ウェンディ「頑張ろう!」
キオ「羽ついたんだ……アレ……」

33: 2013/04/25(木) 23:17:39.21
ゼハート「さて、ここまででAGE世界では
●技術レベル自体は高いが兵器・軍事関連のノウハウが極端に無い
●ガンダムとはシンボル的な存在である
●一度地球圏は戦争を棄て去った
ということがわかったと思う」

ゼハート「このように、まずは世界観の大前提から勉強していきたい」

全員「ハーイ!」


ウェンディ「よく考えたら宇宙にコロニーがいっぱいあるってすごいことだよね」

キオ「うん」

ゼハート「うむ、そしてそんな争いの無い世界が地球圏で150年以上続いた時、ある大事件が起きた。何かわかるかな?」

キオ「……『天使の落日』、ですか?」

ウットビット&ウェンディ「……」
ルウ&ディーン「……?」

ゼハート「……その通りだ」

36: 2013/04/25(木) 23:19:39.08
ゼハート「当時の地球圏にとって未知の存在である、『UE』、つまり『アンノウンエネミー(正体不明の敵)』が地球圏のコロニー『エンジェル』を破壊し、住人を全て殺害する事件が起きた」

子供達「!!」

ゼハート「このUEこそガンダムAGEの世界における地球連邦の敵対勢力、我々『ヴェイガン』なのだ」

ディーン「……」
ルウ「……」

ゼハート「……」

キオ「……どうして、そんな事を?」

ゼハート「私もその時代の人間ではないが、理由は諸説ある。だがその前に、我々ヴェイガンについて知ってもらわなければならない」

スッ←グルドりん人形

キオ「……」

39: 2013/04/25(木) 23:21:27.36
ザナルド「……我々ヴェイガンがどういった存在か、貴様らも知っているであろう?」

ウェンディ「……『火星移住計画』の失敗によって火星圏に取り残された人達、ですよね?」

ゼハート「その通りだ」


ゼハート「順を追って説明しよう。前述した過去の戦争、『コロニー国家間戦争』が終結し、銀の杯条約が施行された地球圏は、ある問題を抱えていた」

子供達「……」

ゼハート「人が増えすぎたのだ。つまり、『人口爆発』が起きていた」

ゼハート「地球圏に抱えきれない人口……この問題に、連邦政府は火星を人類が住める環境に改造、つまりテラフォーミングを行う事で解決をしようとした。これが『火星移住計画』だ」

41: 2013/04/25(木) 23:22:22.46
ザナルド「……連邦政府の火星環境改造計画が終了し、それを受けて当時火星には16基のコロニー軍という大規模な移民が行われたと言われているのだ」

ゼハート「そうだ。そして当時の火星移住計画に選ばれた人間達は、誰もが新天地を夢見、旅立っていた。連邦政府は火星環境の改造に成功し、資源の豊富な地を生み出したと発表していたからだ」

子供達「……」

ゼハート「だがそこは、地獄だった」

ゼハート「土壌改良プロジェクトの失敗によって地表には新たな有害物質が生まれていた上、磁場にも大きな変化が起き、磁気嵐が吹き荒ぶ人の住めない世界がそこに待っていた。
連邦の調査は不十分だったのだ」

ザナルド「フン……」

ゼハート「火星圏に辿り着いた人間達は、すぐさま地球圏に助けを求めた。しかし地球圏の人間達、つまり連邦政府は自分達の失態を隠蔽しようとその声に蓋をし、全員が氏亡したと発表、以後の歴史から火星移住計画の言葉すら抹消されるほど大規模な情報操作が行われた」

子供達「……」

ゼハート「我々は帰る場所を失ったのだ」

44: 2013/04/25(木) 23:24:05.16
ゼハート「さらに火星圏の人間を恐ろしい病気が襲う事となった」

ルウ「!」
ディーン「……」
キオ「……っ」

ゼハート「氏の病、『マーズ・レイ』だ」

ゼハート「前述した火星の有害物質が大規模な磁気嵐で大気圏外のコロニー群にまで巻き上がりコロニー内部に侵入することで中の住人を蝕む
ナノフィルターでも完全に除去できないその小さ過ぎる微粒子群が体内に徐々に蓄積される事で呼吸器や循環器に異常をきたすようになる

そうして……やがて氏に至る」

ウェンディ&ウットビット「……っ」

ゼハート「この病気は完全な治療法が存在せず、薬を飲んである程度の有害物質を固めて体外に排出し症状を弱める事でしか対処ができない
住人の20%がこの病だけで命を落とした」

ゼハート「マーズ・レイは感受性の高い子供に特に症状が多く現れ、火星圏の人間の氏因で最も大きな割合を占めることとなってしまった」

46: 2013/04/25(木) 23:25:53.84
ゼハート「……本編で君の命を奪った病気も、これだったな」

ルウ「……うん」

ウェンディ「!」
ウットビット「えっ…」

ゼハート「そうか……君も、辛かっただろう」

ディーン「……」

ゼハート「この病気の存在によってヴェイガンは短命を強いられ、子供の方が氏亡率の高い世界が形成されてしまった」

キオ「……」

ゼハート「地球圏が、明確に自分達の存在を抹消しようと動いた事で我々は逃げる事も戦う事もできず、火星圏に取り残されたのだ。当然だ。そんな相手が治める世界に帰ることなど出来るはずも無い」

ザナルド「……フン」

子供達「……」

47: 2013/04/25(木) 23:26:55.18
ゼハート「……だが、我々は生きる道を選んだ。地球圏の人間は我々の生を否定し、存在すら認めなかったが、我々は生きた。生きようとした
自分達は人間だと、必氏で人として生きようとした」

ゼハート「だが、家族も隣人もいつ命を落とすかわからない世界ではそれすら難しかった
子を産めばその子が自分より早く氏ぬかもしれない世界で、誰かを愛してもその相手がすぐいなくなってしまうかもしれない世界で、人間らしく生きるのは、あまりに難しすぎたのだ」

子供達「……」

ゼハート「子供の頃は感情を持っていても、成長するにつれ必ず親しい人の氏に直面し続けることでやがて感情を頃すようになる」

ゼハート「だが、助けあわなければ生きていく事などできない。そうしてやがて、決して感情を持つ事無く、ただ困っている相手がいたらただただ助け合う、そんな歪な社会が形成された」

ゼハート「誰かを助けこそすれそれ以上は関わろうとせず、すぐ離れる。感情を持って接した所でその相手は明日にも氏ぬかもしれない
さっきも言ったように、あまりにも歪な社会だった」

ゼハート「こうしてヴェイガンは、人を愛さず、涙を流さない、そういう風にいつしかなってしまっていた」

49: 2013/04/25(木) 23:27:55.33
子供達「……」

ゼハート「我々は希望も無く、人として生きる事も許されず、ただ生きていた
せめて人らしくあろうと、貨幣文化を保ち、必氏で人間の真似事をし、ただ滅びを待つのみだった」

ゼハート「いつしか我々は、諦めながらも『人間らしく生きる事』を強く望むようになっていた」

ルウ「……私も、そうだった」

全員「!」

ルウ「…病気になって、長く生きられなくなっても、私だって人間らしく生きたい……誰かと触れ合いたい、そう思ってた」

ディーン「……俺は、妹が氏ぬ時に、未練にならないように、別れが辛くならないように、ルウを周りから離そうとした」

全員「……」

50: 2013/04/25(木) 23:28:48.53
ゼハート「……火星に取り残されて一世紀と半が過ぎようとした時ヴェイガンの世界が変わる出来事が起きた
ヴェイガン帰還の方法を探っておられたイゼルカント様が地球圏より廃棄されたはずの過去の兵器のデータの一部を入手し帰ってこられた」

全員「!」

ウットビット「あっ!『EXA-DB』!!」

ゼハート「そうだ。ここで初めて出る単語だが、このEXA-DBとは、銀の杯条約締結前の兵器などの情報を、抹消ではなく隠匿という形で地球圏の何処かに隠したものだ

本編では守護用MSとともに過去のデータ群を記憶した媒体が小惑星に隠されていたのだが、実際は複数存在したらしい
偶然これらの一部を入手されたイゼルカント様は、これらを利用しヴェイガン帰還の為の、そして最終的に争いの無い、人らしく暮らせる楽園、『エデン』を創造する為の計画に着手なされた」

ゼハート「プロジェクト・エデンについてはまた後で解説するとして、ヴェイガンは大きな変化を迎えた。諦めに満ちた世界で、『希望』が見えた
地球に帰れるかもしれない。楽園に辿り着けるかもしれない。そんな希望だ

人的資源と物的資源、共に乏しい環境にいながらヴェイガンの士気は高かった」

ゼハート「そんな環境な上、短命なものが多かった事から人材は年齢問わず能力重視で登用され、十数年という入念な準備の元進められた」

52: 2013/04/25(木) 23:29:56.36
ゼハート「地球圏を震撼させたコロニー襲撃事件が何故必要だったかわかるかね?」

キオ「……わかりません」

ゼハート「諜報畑出身の私が確信を持って述べるが、この世で最も強力な武器は『情報』だ」

ゼハート「150年以上隔たりのあった相手の世界に関する情報を入手し、証拠を残さず抹消する事は何よりも重要だったのだ」

ゼハート「威力偵察を行い地球圏の情報と反応を集めつつ、証拠の抹消を徹底する。それが目的だった」

キオ「……っ だからって……!」

ゼハート「……ここで善悪を論じるつもりは無い

だが国力という最も重要な点で劣っている我々には自分達の情報を与えない事は最重要事項だった

仮にこちらのMS技術が流出しあちらに同性能のものが造られれば我々に勝ち目が無いのは明白だったからだ」

ザナルド「それらを徹底する為に我らのMSは任意・自動両方の自爆装置が常に内蔵されている
大きな損傷を受けたり本体からパーツが離れれば爆発し解析を不可能にする

人的資源は確かに貴重だが、我らのMSはそれ以上に決して地球側に渡ってはならなかったのだよ」

53: 2013/04/25(木) 23:31:23.91
ゼハート「コロニー襲撃の頻度が多ければ早急に対策される恐れが有る
事実、地球連邦は条約の範囲内のレベルとはいえ軍隊を発足して対処してきた

我々は各コロニーの企業などに密かに裏工作をし、協力を取り付ける方向へシフトし、間隔を空けて襲撃を行うスタイルに変更した」

ザナルド「地球圏という広大な領域をカバーする軍隊……その上条約のせいでノウハウも技術も圧倒的に不足している状況……
できる事も作れるMSも高が知れる上に、それだけの組織ともなれば維持費も膨大……加えて我らの攻撃頻度は一年に一度あるかないか

無能な連邦どもは各コロニーに自衛用のMSを持つ事を許可する事で事態を打開しようとした」

ゼハート「我々はその好機を見逃さなかった
それに乗じて各コロニーに低レベルかつ連邦軍のMS以上の性能のMSを過去のデータから開発し各コロニーに売りつけ資金集めに入った」

ザナルド「戦争のない世界に生きておいて、武器を得た途端醜く争う。当時の前線指揮官のギーラ・ゾイも呆れ果てていたと聞いているぞ」ニヤッ

ウットビット「!」ムッ

ゼハート「かつて廃棄された過去の宇宙要塞アンバット……そこを拠点とし我らは来るべき地球侵攻作戦に使うMSの開発に取り掛かった」

54: 2013/04/25(木) 23:32:39.70
ザハート「こうして連邦は各コロニーにおける内紛と来るのかどうかすら不明確なヴェイガンの襲撃に混乱させられ、ガンダムが現れるまでまともな対応が取れずにいた」

ゼハート「これが、地球圏がガンダムを開発するまでの我らの歴史だ」

子供達「……」

ゼハート「君たちの中には『なぜそこまで非道な真似を』と考えるものもいただろう
だが総じて戦争というのは追い詰められて起きる場合が多いのだ
退路を絶たれた国家や集団が戦いをしかけるなどはよくあるパターンなのだ」

ザナルド「お前たちのような小僧どもにはわからんだろうが、平和な世界でぬくぬくと過ごす貴様らを見たときの我らの怒りは理解できまい」

ゼハート「本編のヴェイガンによる襲撃のシーンなどでヴェイガンが華やかな所や人の多い所、または象徴的な部分を襲撃する事が多いのには、そういう感情を秘めて攻撃を行っていたからだというのもある」

ザナルド「我らは地球の人間を『地球種』と罵り別の存在のように扱うのには、相応の理由があるのだよ。我らヴェイガンは、その多くが貴様らを憎んでいたのだ」

ディーン「……」

55: 2013/04/25(木) 23:34:35.47
ゼハート「……恨み自体は薄くとも、火星に住む人間のためという大儀の為に動く者もいた。我らの戦争は、そうして始まった」


ウットビット「……なんつーか、恨む気持ちもわかるけど…」

ウェンディ「うん……複雑だね」

キオ「……」

ディーン「……俺も、最初は地球の連中が憎かった」

全員「!」

ディーン「親もいない二人だけの家族だった妹が病気になって……生きられないって知って、なんで妹がって」

ルウ「……」

キオ「……」

58: 2013/04/25(木) 23:36:17.47
ディーン「……でも、キオが薬をくれたんだ。ルウに思い出をいっぱいくれて、それで……」

ディーン「ルウが氏んだ後、俺はキオが見たことも無いMSに乗って去っていくのを見て、地球の人間だってわかった。でも、ルウに薬をくれたんだ!」

「……」

ディーン「キオ……俺は、お前に恨みなんか持たなかったんだ。戦ったのは、ルウの墓を地球に作ってやりたかったからなんだ……本当に、それだけだったんだ」

ルウ「……お兄ちゃん…」

キオ「……うん…わかってるよ、ディーン…」

ルウ「……私も、キオに感謝してるよ。キオが地球の人だって知ったとしても、きっと感謝したと思う」


ゼハート&ザナルド「……」

59: 2013/04/25(木) 23:36:49.05
ルウ「だって、キオは私に薬を持ってきてくれたんだ。そうして、いっぱいお喋りして、いっぱい遊んで、絵を描いて……すごく、楽しかったから」

キオ「……」

ウェンディ「……」

ルウ「すごく人間らしい時間が過ごせたんだ。……だから、最期の時も、お別れは寂しかったけど、ホントはもっとやりたいこといっぱいあったけど、笑って天国に逝けたんだ」

ディーン「……」

ルウ「キオ、私達を人間として接してくれてありがとう。色んな思い出、くれたよね」

ディーン「……ありがとう、キオ」


ウットビット「グスッ……キオ、お前…火星でそんな事があったんだな~…」ズビッ

61: 2013/04/25(木) 23:37:39.66
ゼハート「……君は最後に、我々ヴェイガンを救ってくれた。あの時は(氏んでたから)応える事ができなかったが、君は私達を、ずっと人間として接しようとしてくれた
……君には、本当に感謝している。最後にヴェイガンを救ってくれて、ありがとう。すまなかった」

キオ「……そんな…僕は……僕は結局…何も……」

ザナルド「……フン…いけすかん小僧だったが、ゼハートよりは見所がある奴だったようだな」



キーンコーンカーンコーン

ゼハート「む……もうそんな時間だったか……次の授業では本編第一期……いわゆる『フリット編』の解説を行おうと思う。それでは休み時間だ。解散しよう」

子供達「ハイ先生!」

63: 2013/04/25(木) 23:38:25.30
キオ「きりーつ」

ガタガタ

全員「……」



ザナルド「……?」

ウットビット「何やってんだよ。立てよオッサン」

ザナルド「何?」

ウェンディ「ホラ、早く!」

ルウ「終われないでしょ!」

ザナルド「???」ガタタッ

64: 2013/04/25(木) 23:38:58.20
キオ「れーい!」


「「「「ありがとうございましたー!」」」」


ゼハート「うむ、授業を終了する」ニヤッ

ザナルド「っっってなんで私がゼハートに頭を下げねばならんのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!??」



終わり

67: 2013/04/25(木) 23:41:33.00

やっぱ色々惜しいガンダムだったな
ゲームで他作品との絡みが楽しみ

69: 2013/04/25(木) 23:42:18.25
ここまでです
なんかまた巻き添え規制を受けたようでいつ切られるかわかんないっぽいです。
ここで一旦終わります

支援ありがとうでしたm(_)m

ヴェイガン側の心理描写の補足はスタッフさんももっと入れたかったみたいですね
ちなみにセカンドムーンの人達の心情はゲームで少しわかります

規制解けたら続き投稿します、ありがとうでした

70: 2013/04/25(木) 23:43:18.34
1回目と2回目で印象が変わるアニメ

73: 2013/04/26(金) 00:02:41.13
設定だけみると普通に見てみたいと思えるな
MSのデザインも嫌いじゃないし
どうすればよかったんだろうな

引用元: ゼハート「今日はガンダムAGEについて勉強しよう」