1: 2012/03/06(火) 00:49:39.04
――河原


杏子 「・・・さやかが消えて、今日で1ヶ月か。

    やっと友達になれたと思ったのに、あんなことになるなんて・・・。

    もっと早くさやかと出会っていたら、一緒に遊んだりできたのかな・・・。

    ・・・・・・まあいつまでも落ち込んでちゃダメだよな。これからは気持ちを切り替えて・・・」

???「ワン!」

杏子 「ん・・・?」


https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1330962578/

2: 2012/03/06(火) 00:50:41.21
犬  「ワンワン!」

杏子 「お、犬じゃねーか!」

犬  「ハッハッハッ」

杏子 「可愛いな、コイツ・・・首輪付いてないから野良犬か?」

犬  「ワン!」

杏子 「お前みたいな汚い野良犬にやる餌はねえぞ!さっさと・・・」

犬  『野良犬かと思った?残念!さやかちゃんでした!』

杏子 「・・・・・・え」

3: 2012/03/06(火) 00:52:00.35
さやか『野良犬かと思った?残念!さやかちゃんでした!』

杏子 「えっ!?えっ!?」

さやか『残念!さやかちゃんでした!』

杏子 「ええええええええええええええええええ!?

     どういう事だよオイ!いいい犬が、しゃべっべべっべ」

さやか『もう、落ち着きなよ!私よ私!美・樹・さ・や・か!』

杏子 「さやか!?なんでさやかが!?だってさやかは、あの時・・・!?」

さやか『ふっふーん、聞いて驚かないでよ!なんと私、犬に生まれ変わったの!』

4: 2012/03/06(火) 00:53:10.05
杏子 「イヌに生まれ変わったって・・・!?まさか魔法少女は氏ぬと犬に!?」

さやか『そうじゃなくて!・・・あんた、ほむらが話してたまどかって子の話は覚えてる?』

杏子 「えっと・・・全ての魔法少女を救うためになんちゃら・・・て話だっけ」

さやか『そのまどかって子がなんか配慮してくれて、こうしてこの世界に戻ってこれたのよ!』

杏子 「まどかすげえな!でもなんで犬なんだ?」

さやか『それはあたしも知らないんだけど』

杏子 「・・・ぷぷっ」

さやか『何笑ってんのよ!』

杏子 「あははは!確かにさやかは犬っぽかったもんな!あはははは!」

5: 2012/03/06(火) 00:54:29.80
さやか『実はあんたに相談があるんだけど』

杏子 「ん?」

さやか『あたしと契約して、飼い主になってよ!』

杏子 「キュゥべえみたいに言うなよ!」

さやか『みての通り、あたし犬でしょ?こんな身体だから食事とか色々大変なのよ』

杏子 「そりゃ大変だろうけど、あたし犬の育て方なんか・・・」

さやか『育て方分かんないなら、本屋とか図書館で調べればいいでしょ!』

杏子 「あたしが・・・さやかの飼い主に・・・?」

6: 2012/03/06(火) 00:55:37.21
――書店


杏子 「(なになに・・・。

     『犬を飼育するには、狂犬病の予防のために自治体で犬の登録と年に一回の予防接種を・・・』

     ・・・これは良く分かんないから後回しだな、マミかほむらにでも聞いておくか。

     『犬の散歩をするときは、きちんと首輪とリードを使いましょう』

     ・・・迷子になったら大変だし、飼い主が紐で引っ張らないと他人に迷惑をかける、か。

     『犬もお風呂が大好き!定期的にお風呂に入れてあげましょう』

     ・・・さやかと・・・風呂・・・。

     とっ、とにかく、首輪やさやかの飯のこともあるし、まずはペットショップに行くべきかな)」

7: 2012/03/06(火) 00:56:24.05
――ペットショップ


店員 「いらっしゃいませ!」

杏子 「えーっと、犬のえさが欲しいんですけど」

店員 「ドッグフードですね。どのような商品をご希望ですか?」

杏子 「店の外で待ってるさや・・・あのでっかい犬が食べそうな奴を」

店員 「えっ、店の外・・・ああ、ラブラドール・レトリーバーですね」

杏子 「らぶらぶ?」

店員 「ラブラドールです」

8: 2012/03/06(火) 00:57:25.07
店員 「えーっと、当店で取り扱っている大型犬用のドッグフードは・・・こちらとこちらになります」

杏子 「大きい犬には大きい犬用の餌をあげないとダメなんですか」

店員 「ダメというわけではないのですが、やはりそれぞれの犬種に合った餌を与えるのを推奨します」

杏子 「ふーん・・・それと首輪とヒモが欲しいんですけど」

店員 「当店では首輪とリードの試着ができますので、お客様のワンちゃんに合うサイズのものをお選びください」

杏子 「じゃあさやかを呼んできまーす」

店員 「・・・さやか?」

9: 2012/03/06(火) 00:58:03.72
杏子 「これはどうだ?」

さやか『ちょっと派手すぎない?』

店員 「中々お似合いですね」

杏子 「うーん、じゃあこっちか」

店員 「・・・」

さやか『こっちはサイズが合ってなくて苦しい』

杏子 「そうか・・・じゃあ、これ!」

さやか「・・・これは結構ピッタリかも!」

杏子 「(さやかに首輪をつける・・・なんであたしドキドキしてるんだろう)」

10: 2012/03/06(火) 00:58:40.43
店員 「ありがとうございました、またお越しくださいませ!」


杏子 「餌と首輪とリードで2万円か・・・キツイな・・・」

さやか『犬を飼うにはそれだけ覚悟がいるってことでしょ!

    ・・・それより、あんたそのお金はどうしたの?』

杏子 「今は新聞配達のバイトとかやってるんだ。

     もう悪いことして金を稼ぐのは止めたんだぞ!(身分は偽ってるけど・・・)」

さやか『へー、偉い!』

杏子 「・・・あたしがこうなれたのも全部、さやかのおかげなんだからな」

さやか『杏子・・・』

11: 2012/03/06(火) 00:59:13.41
杏子 「えーっと、次はどうしようか・・・」

さやか『とりあえずお腹すいたから、あんたのホテルでご飯にしよう!』

杏子 「お、そうだな!」

さやか『早くドッグフードって奴を食べてみたいわー!』

杏子 「ぷっ、さやかの口から『ドッグフード食べたい』なんて言葉が聞けるとは」

さやか『犬なんだからしょうがないでしょ!』

杏子 「サヤカ イズ ドッグ!あはは!」

さやか『もう、杏子!』

22: 2012/03/06(火) 18:10:05.50
――杏子の部屋

杏子 「ふー、食った食った!」

さやか『ドッグフード、思ったより悪くなかったわー』

杏子 「犬は人ほど味覚が発達してないって、さっきの本に書いてあったぞ」

さやか『ふ~ん・・・』

杏子 「食い終わったことだし、散歩でも行くか?」

さやか『・・・ねえ、杏子・・・』

杏子 「・・・ん?」

さやか『お風呂、入りたいんだけど』

23: 2012/03/06(火) 18:11:17.98
杏子 「おっお風呂・・・!?」

さやか『ほら、あたしの身体ちょっと汚れてるでしょ?』

杏子 「いや、そりゃそうだけど・・・!」

さやか『さっき読んだ本にも書いてあったんでしょ?犬は風呂が好きだって』

杏子 「・・・・・・」

さやか『何赤くなってんの!さ、早く早く』

杏子 「分かったよ・・・。

    (さやかと風呂・・・)」

24: 2012/03/06(火) 18:12:18.33
――浴室


さやか『ちょっと!まだ?』

杏子 「うるせーな!服脱いでる途中なんだよ!」

さやか『あー、あんたまさかあたしに裸見られるのが恥ずかしいんじゃないの?』

杏子 「ち、ちげーよ!ほら、脱いだぞ!」

さやか『だったらさっさと入ってきなよ!』

杏子 「わかってるよ・・・ったく、なんであたしがこんなこと・・・」

25: 2012/03/06(火) 18:13:16.22
杏子 「・・・・・・」

さやか『・・・・・・』

杏子 「・・・よろしくお願いします」

さやか『・・・何よその挨拶』

杏子 「じゃあ体洗うぞ・・・あ」

さやか『どうかした?』

杏子 「さっきの店で犬用のシャンプー買うの忘れてた」

さやか『人用のじゃダメなの?』

杏子 「うーん・・・」

26: 2012/03/06(火) 18:14:31.35
さやか『まあ、とりあえずシャンプーはいいからゴシゴシ洗ってよ』

ゴシゴシ

杏子 「・・・かゆい所あるか?」

さやか『あーそこ!そこかゆい!』

ゴシゴシ

さやか『そこそこ!そこ気持ちいい!』

杏子 「(今もさやかが人の形をしてたら・・・。

     人の形をしてるさやかと風呂に入って身体洗いあいたかったな・・・。

     ・・・ってあたしは何を考えてるんだ!)」

さやか『痛っ!ちょっと杏子、力入れ過ぎ!』

杏子 「・・・あっ、悪い!」

27: 2012/03/06(火) 18:15:52.03
杏子 「よし、もうこれくらいでいいだろ」

さやか『ふー、さっぱりした!』ブルブルッ

杏子 「うわっ!水滴飛ばすなよ!」

さやか『あたしはさっぱりしたんだから・・・今度はあんたの番ね』

ペロッ

杏子 「うわっ!さっさっさやか!どこ舐めてんだよ!」

さやか『どこって、脚でしょ・・・?』ペロッ

杏子 「そうじゃなくて・・・あっ!」

28: 2012/03/06(火) 18:16:48.35
ペロッ

杏子 「あっ・・・そこは・・・」

さやか『わき腹でしょ?』

杏子 「そうじゃなくて・・・こういうのは良くないだろ!その・・・女同士だし」

さやか『女と女じゃなくて、飼い主とペットでしょ?』

ペロッ

さやか『杏子の肌、スベスベ』

杏子 「や・・・やめろって!」

さやか『ねえ、顔も舐めちゃおっか』

杏子 「あっ・・・」

29: 2012/03/06(火) 18:18:34.41
――30分後、寝室


杏子 「・・・・・・」

さやか『・・・・・・』

杏子 「・・・風呂、気持ち良かったな」

さやか『・・・うん』

杏子 『・・・・・・』

キンコーン

さやか『ん?誰か来たのかな』

杏子 「誰だろう、マミかほむらかな?街の見回りにはまだ早いと思うんだけど・・・」

ガチャッ

30: 2012/03/06(火) 18:19:44.72
従業員「申し訳ございません。当ホテルでは、ペットの持ち込みを禁止しておりまして・・・」

杏子 「え?でもさやかはおとなしいんですけど」

従業員「他のお客様のご迷惑となりますので、大変申し訳ないのですがお客様には・・・」

杏子 「分かったよ!出ていけばいいんだろ!出ていけば!」

バタン!

杏子 「くそっ、こんなにおとなしくて可愛いのになんでダメなんだよ・・・」

さやか『・・・』

杏子 「とりあえずマミの家に行くしかないか・・・」

31: 2012/03/06(火) 18:20:45.85
――マミのマンション


ピンポーン

ガチャッ

杏子 「おーっす!」

マミ 「いらっしゃい、どうしたの?パトロールの時間はまだ早いけど・・・あれ?」

さやか「ワン!」

マミ 「犬?佐倉さん、この子はどうしたの?」

杏子 「ビックリすると思うけど、コイツ・・・さやかなんだよ!」

マミ 「さや・・・佐倉さん、美樹さんのことが辛いのは私も同じ。

    だけど、ワンちゃんにさやかって名付けるのは・・・」

杏子 「いやそうじゃなくて」

32: 2012/03/06(火) 18:21:52.43
杏子 「ほむらが言ってたまどかって奴の話覚えてるだろ?」

マミ 「・・・ええ、全ての魔法少女を救済するためにこの世界の概念、つまり円環の理となったとかいう・・・」

杏子 「そう、そのまどかが消えたさやかを犬として生まれ変わらせてくれたんだよ!」

マミ 「・・・・・・」

杏子 「さやかが頑張って魔獣と戦ったから、きっとそのまどかがご褒美をくれたんだよ!」

マミ 「ええっと・・・」

杏子 「ほら、さやかもなんか喋ってみろよ!」

さやか『どうも、マミさん!』

マミ 「きゃっ!」

33: 2012/03/06(火) 18:23:01.11
マミ 「・・・ごめんね佐倉さん、ここはマンションだから吠える声は迷惑になるし、そもそもペット禁止なの」

杏子 「ん?別に吠えてないだろ!」

マミ 「え?」

ペロッ

杏子 「うわっ!いきなり人の手を舐めるなよ!」

マミ 「人懐っこいワンちゃんなのね、この子」

杏子 「初めて出会った頃は仲悪かったけど、今日再会してからはべったりでさ!ずっとあたしについてきたり舐めてきたりすんだよ」

マミ 「ええっと・・・本当に美樹さんなの?」

杏子 「だからそうだって!あたしも最初はびっくりしたんだけど。ほら、喋ってみろって!」

さやか『マミさん!聞こえてます?マミさん!』

34: 2012/03/06(火) 18:24:15.55
マミ 「ごめんね、やっぱり犬の吠え声は近所の迷惑になるから・・・とりあえず下の階へ降りましょう?」

杏子 「だからさやかは吠えては無いだろ!言ったじゃないか!『マミさん』って!」

マミ 「・・・私には、吠える声しか聞こえなかったわ」

杏子 「まさか・・・マミにはさやかの声が聞こえないのか?」

マミ 「・・・あのね、佐倉さん。きっとあなた疲れてるのよ。最近は早朝にバイトもしてるって言ってたでしょう?きっと・・・」

杏子 「別に疲れてねーよ!良く聞いてみてよ!ほら、さやかももっとはっきり喋ってみろって!」

さやか『マミさん!マミさん!』

35: 2012/03/06(火) 18:26:27.65
マミ 「佐倉さん、私・・・」

杏子 「な?聞こえただろ?」

マミ 「私、美樹さんが消えてしまって辛かった。その上佐倉さん、あなたまで消えてしまったらと思うと・・・!」

杏子 「は?何言ってるんだよ!?」

マミ 「お願い、しっかりして!いつもの佐倉さんに戻って!」

杏子 「変なのはマミのほうだろ!」

ダッ

マミ 「あっ・・・待って、佐倉さん!」

36: 2012/03/06(火) 18:26:58.45
――ほむらのアパートへの道


杏子 「さやか、走るぞ」

さやか「・・・・・・」

杏子 「きっと疲れてるのは、マミの方だ・・・。

    ほむらなら・・・ほむらならさやかの声が聞こえるはずだ・・・。

    だってあいつは、ヘンテコなまどかの話をしてたくらいなんだ・・・。

    疲れてるのは、マミの方なんだ・・・」

さやか「・・・・・・」

37: 2012/03/06(火) 18:27:46.62
――ほむらのアパート


キンコーン

ガチャ

ほむら「杏子・・・どうしたの?」

杏子 「ハア・・・ハア・・・まどかって話してただろ」

ほむら「!・・・まどかがどうしたの!?」

杏子 「ほら!まどかが!さやかを生きかえらせてくれたんだよ!」

ほむら「・・・犬に?」

杏子 「そう!ほら、さやか、なんか喋ってみろよ!」

さやか「ワンワン!」

杏子 「な?喋っただろ?『ほむらのバカ』って!」

ほむら「あなた・・・」

38: 2012/03/06(火) 18:28:24.92
杏子 「さやかが消えた時は辛かったよ、友達になったばっかりだったし。

     だけど見ろよ!今じゃこんなに仲良くしてるんだよ!

     今日は一緒に散歩したし、一緒にお風呂にも入ったんだ!

     これからは今までできなかった色んなことを、さやかとやるんだ!

     魔獣退治だって、この姿でもさやかの事だから足手まといにはならないだろうし!」

     ほんと、まどか様様ってやつだよ!」

ほむら「杏子・・・!」

ペチン!

39: 2012/03/06(火) 18:29:19.16
杏子 「・・・なんでぶつんだよ」

ほむら「いい加減にして」

杏子 「・・・」

ほむら「まどかは、私たちに直接干渉したりできないし、しない」

杏子 「でも・・・さやかが・・・」

ほむら「私にはあなたの気持ちがよく分かる。でも、無くしたものに依存していたら先へは進めない。

     私たち魔法少女にできることは・・・戦い続けるだけよ」

杏子 「違う・・・」

ほむら「お願い・・・目を覚まして」

40: 2012/03/06(火) 18:30:47.53
杏子 「そんな説教知らない!だってさやかは喋ってるじゃないか!」

犬   「ワン!ワン!」

杏子 「そうだよ!さやかの言うとおりだよ!おかしいのはほむらだ!」ダッ

ほむら「杏子、待ちなさい!」


杏子 「クソっ・・・なんでだよ・・・なんでマミとほむらにはさやかの声が聞こえないんだよ」

犬   「・・・」

41: 2012/03/06(火) 18:31:53.38
――河原


杏子 「さやかと友達になれて、あたしは本当に嬉しかったんだ」

犬   「ワン!ワン!」

杏子 「分かってる、分かってるよ、さやか」

犬   「クゥーン」

杏子 「明日はどこへ行こうか・・・。

    一緒に見滝原以外の場所に行こうぜ!初めての遠出になりそうだな!

    ・・・やっと友達になれたんだもんな。

    ・・・これからは、ずっとずっと、いつまでも一緒だからな、さやか」

42: 2012/03/06(火) 18:32:49.64

おわり

44: 2012/03/06(火) 18:35:01.98
盲導犬ポスターの絵を見た瞬間こんな感じのを妄想してしまったのでついに書いてしまいました
バター犬とか書きたかったけど恥ずかしかったので書けませんでした

引用元: さやか「野良犬かと思った?残念!さやかちゃんでした!」