2: 2012/12/24(月) 08:25:16.93
クリスマス・イブ
一人の青年がせまい部屋の中にいた。
彼は765プロという会社に勤め、プロデューサーとして働き、一人のアイドルを受け持っていた。
休日なんてなかった。いや、あるにはあるが、彼は休まなかった。
彼がプロデュースするアイドルは少し他のアイドルとは違うところ、良く言っても個性、悪くいえば欠点があり、それが彼の苦労を増やした。
しかし彼女の仕事の熱意は真剣であり、だからこそ今まで頑張ってきたのだが、
P「俺、正しかったのかな……」
最近、彼は疲れはじめていた。
一人の青年がせまい部屋の中にいた。
彼は765プロという会社に勤め、プロデューサーとして働き、一人のアイドルを受け持っていた。
休日なんてなかった。いや、あるにはあるが、彼は休まなかった。
彼がプロデュースするアイドルは少し他のアイドルとは違うところ、良く言っても個性、悪くいえば欠点があり、それが彼の苦労を増やした。
しかし彼女の仕事の熱意は真剣であり、だからこそ今まで頑張ってきたのだが、
P「俺、正しかったのかな……」
最近、彼は疲れはじめていた。
3: 2012/12/24(月) 08:25:42.03
一人残った事務所ではパソコンを打つ音だけが響いていた。
P「……やばい、これを今日中に仕上げなければいけないのに……」
日も変わるまで一時間をきったころ、睡魔に襲われた彼はうとうととし始めた。
しかし、その後彼はそばに人の気配を感じ、はっとして顔をあげると、
サンタクロースが立っていた。
P「……やばい、これを今日中に仕上げなければいけないのに……」
日も変わるまで一時間をきったころ、睡魔に襲われた彼はうとうととし始めた。
しかし、その後彼はそばに人の気配を感じ、はっとして顔をあげると、
サンタクロースが立っていた。
4: 2012/12/24(月) 08:26:23.81
彼は驚いた。だが、それはサンタクロースがいたことに驚いたのではなく、
P「ゆ、雪歩!?」
サンタクロースが彼が担当しているアイドルの姿だったから驚いた。
P「こんな時間にどうしてこんなところにいるんだ。
それにその格好はなんなんだ?」
彼女は今日は完全オフなのだから忘れ物ではないはずだ。
それにもし何か用事があったとしても彼女がステージ衣装以外でミニスカートをはいてくるなんてあきらかにおかしかった。
P「ゆ、雪歩!?」
サンタクロースが彼が担当しているアイドルの姿だったから驚いた。
P「こんな時間にどうしてこんなところにいるんだ。
それにその格好はなんなんだ?」
彼女は今日は完全オフなのだから忘れ物ではないはずだ。
それにもし何か用事があったとしても彼女がステージ衣装以外でミニスカートをはいてくるなんてあきらかにおかしかった。
5: 2012/12/24(月) 08:26:56.37
??「私は『雪歩』という人物ではありません」
サンタクロースは言った。
P「何を言っているんだ? 雪歩……だろ?」
??「違います。私は俗に言う『さんたくろおす』なる人物です」
サンタクロースはそう言うけれど、もちろん青年は信じることなどできない。
サンタクロースは言った。
P「何を言っているんだ? 雪歩……だろ?」
??「違います。私は俗に言う『さんたくろおす』なる人物です」
サンタクロースはそう言うけれど、もちろん青年は信じることなどできない。
6: 2012/12/24(月) 08:27:25.00
P「……ああ、そうか、ドッキリなんだな?
おそらく小鳥さんあたりと手を組んで……」
さんた「どっきりでも、冗談でもありません。
本当はあなた様もわかっておられるのでしょう?」
P「……」
サンタクロースの言う通り、青年はわかっていた。
たとえ目の前にいるのが本当のサンタクロースかどうかはわからなくても、目の前にいる人物が青年の担当しているアイドルではないということぐらいは始めから感じていた。
でも、
P「サンタクロースっておひげをはやしたじいちゃんじゃないのか……?」
少なくとも花も恥じらうような年頃の少女ではないはずだと、月並みの疑問だったが、青年は言わずにはいられなかった。
おそらく小鳥さんあたりと手を組んで……」
さんた「どっきりでも、冗談でもありません。
本当はあなた様もわかっておられるのでしょう?」
P「……」
サンタクロースの言う通り、青年はわかっていた。
たとえ目の前にいるのが本当のサンタクロースかどうかはわからなくても、目の前にいる人物が青年の担当しているアイドルではないということぐらいは始めから感じていた。
でも、
P「サンタクロースっておひげをはやしたじいちゃんじゃないのか……?」
少なくとも花も恥じらうような年頃の少女ではないはずだと、月並みの疑問だったが、青年は言わずにはいられなかった。
7: 2012/12/24(月) 08:28:19.99
さんた「さんたくろおすは皆、ぷれぜんとを配る人が驚かないように事前にその方がお慕いする人物に擬態できるのです」
P「……どうやって?」
さんた「それは、トップシークレットです」
普通ならふざけているとしか思えないけど、音もなく侵入したあたり、青年は細かいことは気にせず信じることにした。
P「……どうやって?」
さんた「それは、トップシークレットです」
普通ならふざけているとしか思えないけど、音もなく侵入したあたり、青年は細かいことは気にせず信じることにした。
8: 2012/12/24(月) 08:29:07.67
P「なるほど、わかりました。
ところで、サンタさんは何で俺のところにいらっしゃったんですか?」
さんた「先程も言ったでしょう、プレゼントを配りにです」
P「でも、俺はもう子供じゃないですよ?」
さんた「年など関係ありません。ちゃんすは皆に平等なのです。
さあ、望みを言いなさい。叶えてさしあげましょう」
サンタクロースの促しに青年の頭の中に、様々なものがかげろうのように現れては消えていく。現金や車などの即物的なものから地位や名誉といった無形のものまで。
ところで、サンタさんは何で俺のところにいらっしゃったんですか?」
さんた「先程も言ったでしょう、プレゼントを配りにです」
P「でも、俺はもう子供じゃないですよ?」
さんた「年など関係ありません。ちゃんすは皆に平等なのです。
さあ、望みを言いなさい。叶えてさしあげましょう」
サンタクロースの促しに青年の頭の中に、様々なものがかげろうのように現れては消えていく。現金や車などの即物的なものから地位や名誉といった無形のものまで。
9: 2012/12/24(月) 08:30:47.41
さんた「望みは決まりましたか?」
サンタクロースはまた言った。だが青年は、いざになるとなかなか決められなかった。
そうして悩んでいるうちに、ふと心境の変化が起こった。
P「……さんたさん。願いの権利を誰かに譲渡することはできますか?」
さんた「あなた様が望むのであれば。……しかし、良いのですか?」
P「はい。どうせ俺の願いなんてくだらないものですし、
今日は雪歩……あなたが今、擬態している、俺が願い事を譲渡したい子は、
今日が誕生日なのに俺は何もあげられていないから。
何より、これで何かを得てしまったら、何の苦労もなく結果を得てしまったら、
俺はもう二度と雪歩の前でプロデューサーを名乗れません」
サンタクロースはまた言った。だが青年は、いざになるとなかなか決められなかった。
そうして悩んでいるうちに、ふと心境の変化が起こった。
P「……さんたさん。願いの権利を誰かに譲渡することはできますか?」
さんた「あなた様が望むのであれば。……しかし、良いのですか?」
P「はい。どうせ俺の願いなんてくだらないものですし、
今日は雪歩……あなたが今、擬態している、俺が願い事を譲渡したい子は、
今日が誕生日なのに俺は何もあげられていないから。
何より、これで何かを得てしまったら、何の苦労もなく結果を得てしまったら、
俺はもう二度と雪歩の前でプロデューサーを名乗れません」
10: 2012/12/24(月) 08:31:45.51
さんた「……あなた様は立派な方なのですね」
P「立派って言われるような資格はありません。ただの自己満足です。
あ! そうだ、雪歩にはこのことを黙っていてもらえますか?」
さんた「構いませんが、どうして……?」
P「恩を着せたくないから。
それに、たとえあなたがくれるものより劣っているとしても、ちゃんと自分の力で手に入れたものを彼女に送ってやりたいんです」
さんた「……わかりました。
それがあなたの望みならそうしましょう。
あなたの言う通りにしましょう……」
サンタクロースはそう言って、青年の前から忽然と姿を消した。
だから今のサンタクロースが本当だったのか寝ぼけて見た夢だったのか青年にはわからない。
けれど、
P「よし、もう少し頑張るか!」
彼は幾分か疲れがとれた気がした。
P「立派って言われるような資格はありません。ただの自己満足です。
あ! そうだ、雪歩にはこのことを黙っていてもらえますか?」
さんた「構いませんが、どうして……?」
P「恩を着せたくないから。
それに、たとえあなたがくれるものより劣っているとしても、ちゃんと自分の力で手に入れたものを彼女に送ってやりたいんです」
さんた「……わかりました。
それがあなたの望みならそうしましょう。
あなたの言う通りにしましょう……」
サンタクロースはそう言って、青年の前から忽然と姿を消した。
だから今のサンタクロースが本当だったのか寝ぼけて見た夢だったのか青年にはわからない。
けれど、
P「よし、もう少し頑張るか!」
彼は幾分か疲れがとれた気がした。
11: 2012/12/24(月) 20:57:36.91
今日誕生日をむかえた少女がいた。
雪歩「プロデューサー……」
その少女は家族や友達に今日の誕生日を祝ってもらえたけれど、
もう一人、おめでとうって言ってほしかった人からの言葉はもらえず、
落胆しながらも自室の床につこうとしていた。
そのそばにあらわれたサンタクロースは言った。
さんた「何か欲しいものはありますか?」
雪歩「プロデューサー……」
その少女は家族や友達に今日の誕生日を祝ってもらえたけれど、
もう一人、おめでとうって言ってほしかった人からの言葉はもらえず、
落胆しながらも自室の床につこうとしていた。
そのそばにあらわれたサンタクロースは言った。
さんた「何か欲しいものはありますか?」
12: 2012/12/24(月) 20:58:05.81
彼女は驚いた。だが、それはサンタクロースがいたことに驚いたのではなく、
雪歩「ぷ、プロデューサー!?」
サンタクロースが彼女のプロデューサーだったから驚いた。
雪歩「こんな時間にどうしてこんなところにいるんですかぁ?
そ、それにその格好……」
プロデューサーは今日も仕事だと聞いていた。
もし何か用事があって来たのだとしてもいきなり自室に来るのはおかしいし、何より彼の格好がおかしかった。
彼はミニスカートをはいていた。
雪歩「ぷ、プロデューサー!?」
サンタクロースが彼女のプロデューサーだったから驚いた。
雪歩「こんな時間にどうしてこんなところにいるんですかぁ?
そ、それにその格好……」
プロデューサーは今日も仕事だと聞いていた。
もし何か用事があって来たのだとしてもいきなり自室に来るのはおかしいし、何より彼の格好がおかしかった。
彼はミニスカートをはいていた。
13: 2012/12/24(月) 20:58:44.71
??「私は『プロデューサー』という人物ではありません」
サンタクロースは言った。
普段の彼女ならそう言われた瞬間、いきなり知らない男性が近くにいることに怯えてもおかしくないのだけれど、
今この時だけは目の前のスカートをはいた男性がプロデューサーでないことに安心した。
??「私は俗に言う『さんたくろおす』なる人物です」
それから、青年のときと似たようなやりとりが繰り返され、少女はサンタクロース信じるまでいたった。
サンタクロースは言った。
普段の彼女ならそう言われた瞬間、いきなり知らない男性が近くにいることに怯えてもおかしくないのだけれど、
今この時だけは目の前のスカートをはいた男性がプロデューサーでないことに安心した。
??「私は俗に言う『さんたくろおす』なる人物です」
それから、青年のときと似たようなやりとりが繰り返され、少女はサンタクロース信じるまでいたった。
14: 2012/12/24(月) 20:59:18.35
雪歩「……本当のサンタクロースなんですね?」
さんた「はい」
雪歩「えっと、その姿は擬態……なんですよね?」
さんた「そうですが?」
雪歩「じゃ、じゃあ、あなたの本当の姿に戻ってくれませんか?
私、その……男の人と話すのが苦手で……」
本当半分、嘘半分で少女は言った。
さすがに本人ではないとはいえ、好意を寄せている人物のミニスカート姿をずっと耐えるのは、
花も恥じらう年頃の少女には厳しすぎた。
さんた「はい」
雪歩「えっと、その姿は擬態……なんですよね?」
さんた「そうですが?」
雪歩「じゃ、じゃあ、あなたの本当の姿に戻ってくれませんか?
私、その……男の人と話すのが苦手で……」
本当半分、嘘半分で少女は言った。
さすがに本人ではないとはいえ、好意を寄せている人物のミニスカート姿をずっと耐えるのは、
花も恥じらう年頃の少女には厳しすぎた。
15: 2012/12/24(月) 21:00:39.41
さんた「そうですか、それは失礼しました」
少女は言ってからもしサンタクロースの本当の姿が話のようなおひげの立派な老紳士だった場合の、
さらなる悪鬼地獄絵図を恐れたのだけど、その心配は杞憂に終わったらしく、
気がつけばサンタクロースは白銀の髪を持った美しい女性に変わっていた。
雪歩「うわぁ。き、綺麗ですぅ」
さんた「ふふ、ありがとうございます」
どこか神秘的な雰囲気を持つ上品で妖艶な笑みを持つ女性。
少女は女性に嫉妬よりも羨望の感情を持った。
少女は言ってからもしサンタクロースの本当の姿が話のようなおひげの立派な老紳士だった場合の、
さらなる悪鬼地獄絵図を恐れたのだけど、その心配は杞憂に終わったらしく、
気がつけばサンタクロースは白銀の髪を持った美しい女性に変わっていた。
雪歩「うわぁ。き、綺麗ですぅ」
さんた「ふふ、ありがとうございます」
どこか神秘的な雰囲気を持つ上品で妖艶な笑みを持つ女性。
少女は女性に嫉妬よりも羨望の感情を持った。
16: 2012/12/24(月) 21:01:05.75
さんた「では話を戻しましょう。
欲しいもの、望みのこと、なんでもおっしゃってください。
かなえてさしあげましょう」
雪歩「えっ? えっと、それじゃあ……」
少女は考えはじめた。
あなたみたいになりたいですって言ったら、私、強くなれるかな?
あ、でも私犬も男の人も苦手だしそれを治してもらうのも……
でも、私なんてひんそーだし、ちんちくりんだし……
欲しいもの、望みのこと、なんでもおっしゃってください。
かなえてさしあげましょう」
雪歩「えっ? えっと、それじゃあ……」
少女は考えはじめた。
あなたみたいになりたいですって言ったら、私、強くなれるかな?
あ、でも私犬も男の人も苦手だしそれを治してもらうのも……
でも、私なんてひんそーだし、ちんちくりんだし……
17: 2012/12/24(月) 21:01:33.47
さんた「決まりましたか?」
サンタクロースが言うと、少女は聞いた。
雪歩「どうして私のところに来たんですか?」
さんた「それは……トップシークレットです」
さんたの答えに少女はさらに少し考えた後、やがてぽつりと言いはじめた。
雪歩「私、お世話になっている人がいるんです。
その人はダメダメな私をいつも助けてくれて、
きっと今も私なんかのために頑張ってくれているんです。
だけど私、その人に何も返せてなくて……
だから、この願いの権利をその人にあげるってことはできませんか?
プロデューサー……あなたが擬態した人なんですけど……」
さんた「……あなた方は本当に素晴らしい人なのですね。
……しかし、これは困りました」
サンタクロースが言うと、少女は聞いた。
雪歩「どうして私のところに来たんですか?」
さんた「それは……トップシークレットです」
さんたの答えに少女はさらに少し考えた後、やがてぽつりと言いはじめた。
雪歩「私、お世話になっている人がいるんです。
その人はダメダメな私をいつも助けてくれて、
きっと今も私なんかのために頑張ってくれているんです。
だけど私、その人に何も返せてなくて……
だから、この願いの権利をその人にあげるってことはできませんか?
プロデューサー……あなたが擬態した人なんですけど……」
さんた「……あなた方は本当に素晴らしい人なのですね。
……しかし、これは困りました」
18: 2012/12/24(月) 21:02:36.55
雪歩「やっぱり駄目なんでしょうか?」
さんた「いえ、望み自体は大丈夫なのです。
ですが、実は……言わぬように言われました仕方ありません。
私があなたのもとに来た理由はプロデューサーが願いの権利を、あなたに譲渡なされたからなのです」
雪歩「そ、そうなんですか?」
さんた「はい。だから、これでプロデューサーのもとに行ったとしても、
彼の願いはあなたに望みの権利を譲渡することでしたから、
私はまたあなたへの戻ってしまうのです」
雪歩「そうですか。でも、プロデューサーはどうして望みの権利を私に……?
やっぱり、私がダメダメだから……」
さんた「……プロデューサーは、悔やんでいました。
今日があなたの誕生日なのに祝ってあげられなかったと」
雪歩「! ……プロデューサー、覚えていてくれたんだ。嬉しいなあ……」
少女は青年の優しさに胸を温かくした一方、サンタクロースのほうは妙にそわそわしていた。
さんた「いえ、望み自体は大丈夫なのです。
ですが、実は……言わぬように言われました仕方ありません。
私があなたのもとに来た理由はプロデューサーが願いの権利を、あなたに譲渡なされたからなのです」
雪歩「そ、そうなんですか?」
さんた「はい。だから、これでプロデューサーのもとに行ったとしても、
彼の願いはあなたに望みの権利を譲渡することでしたから、
私はまたあなたへの戻ってしまうのです」
雪歩「そうですか。でも、プロデューサーはどうして望みの権利を私に……?
やっぱり、私がダメダメだから……」
さんた「……プロデューサーは、悔やんでいました。
今日があなたの誕生日なのに祝ってあげられなかったと」
雪歩「! ……プロデューサー、覚えていてくれたんだ。嬉しいなあ……」
少女は青年の優しさに胸を温かくした一方、サンタクロースのほうは妙にそわそわしていた。
19: 2012/12/24(月) 21:03:40.98
さんた「だから困りました。私、今日中に願いを叶えないと月に帰れないのです」
雪歩「えっ、本当ですか!?」
サンタクロースが月に帰るなんて初耳ではあるが、少女は一々そんな野暮にはつっこまなかった。
雪歩「……じゃあ、真ちゃんにこの権利を譲らさせてください」
彼女は一番の親友である少女の名前をあげた。
さんた「構いませんが……よろしいのですか?」
雪歩「はい。
私の欲しいものは私の力で……
いえ、私とプロデューサーの力で手に入れる。
そう、プロデューサーと約束しましたから」
最初に思い浮かんだものに未練がないわけではない。
しかし、自分はまだプロデューサーに見捨てられたわけではないと知った。
それで少女は満足だった。
さんた「わかりました。それがお望みなら、そうしましょう。さようなら」
雪歩「さようなら……」
そうしてサンタクロースは再び忽然と消えた。
雪歩「えっ、本当ですか!?」
サンタクロースが月に帰るなんて初耳ではあるが、少女は一々そんな野暮にはつっこまなかった。
雪歩「……じゃあ、真ちゃんにこの権利を譲らさせてください」
彼女は一番の親友である少女の名前をあげた。
さんた「構いませんが……よろしいのですか?」
雪歩「はい。
私の欲しいものは私の力で……
いえ、私とプロデューサーの力で手に入れる。
そう、プロデューサーと約束しましたから」
最初に思い浮かんだものに未練がないわけではない。
しかし、自分はまだプロデューサーに見捨てられたわけではないと知った。
それで少女は満足だった。
さんた「わかりました。それがお望みなら、そうしましょう。さようなら」
雪歩「さようなら……」
そうしてサンタクロースは再び忽然と消えた。
20: 2012/12/24(月) 21:05:15.57
はずだった、
21: 2012/12/24(月) 21:05:54.78
さんた「……」
雪歩「……」
さんた「……さようなら」
雪歩「さ、さようならですぅ……」
何故かサンタクロースは消えず二人は硬直したまま数分を過ごした。
自分の体が消えない理由についてサンタクロースは考え、やがて一つの可能性に気がつく。
いや、実は始めから気づいていたがそれを認めたくなかっただけなのかもしれない。
しかしこのままでいてもどうしようもない。
サンタクロースは恐る恐る聞いた。
雪歩「……」
さんた「……さようなら」
雪歩「さ、さようならですぅ……」
何故かサンタクロースは消えず二人は硬直したまま数分を過ごした。
自分の体が消えない理由についてサンタクロースは考え、やがて一つの可能性に気がつく。
いや、実は始めから気づいていたがそれを認めたくなかっただけなのかもしれない。
しかしこのままでいてもどうしようもない。
サンタクロースは恐る恐る聞いた。
22: 2012/12/24(月) 21:06:45.72
さんた「すみませんが、今の時間を教えてくれませんか?」
雪歩「は、はい……あっ!
……あ、あの……その……」
さんた「本当のことを言ってください」
雪歩「……10分、0時10分ですぅ」
さんた「……そう、ですか」
それっきりサンタクロースは黙った。
雪歩「は、はい……あっ!
……あ、あの……その……」
さんた「本当のことを言ってください」
雪歩「……10分、0時10分ですぅ」
さんた「……そう、ですか」
それっきりサンタクロースは黙った。
23: 2012/12/24(月) 21:08:00.53
少女は焦った。
サンタクロースが言った、今日中に願いを叶えなければというのは、おそらく24日のことをさすのだろうから。
自分は大変なことをしてしまったのではないかという不安でいっぱいになった。
さんた「……これで、一年間月に帰れなくなってしまいました」
雪歩「はぅ……」
悲しげな表情をするサンタクロースに少女は申し訳なく思った。
さんた「……これで、一年間らあめんを食べ放題になりました」
雪歩「……えっ?」
嬉しそうな笑みを浮かべるサンタクロースに少女は何とも言えない気持ちになった。
サンタクロースが言った、今日中に願いを叶えなければというのは、おそらく24日のことをさすのだろうから。
自分は大変なことをしてしまったのではないかという不安でいっぱいになった。
さんた「……これで、一年間月に帰れなくなってしまいました」
雪歩「はぅ……」
悲しげな表情をするサンタクロースに少女は申し訳なく思った。
さんた「……これで、一年間らあめんを食べ放題になりました」
雪歩「……えっ?」
嬉しそうな笑みを浮かべるサンタクロースに少女は何とも言えない気持ちになった。
24: 2012/12/24(月) 21:08:43.84
さんた「しかし、生きていくにはお金が必要になるのが人の世の常。
すみませんが、働き口を紹介してくれませんか?」
雪歩「ええっ!?」
突然の申し出に少女はもちろん驚いた。
けれど、
雪歩「あっ! そ、それじゃあ……」
それは完全に思いつきでしたけれど、少女はきっとうまくいくだろうと思った。楽しくなるだろうと思った。
すみませんが、働き口を紹介してくれませんか?」
雪歩「ええっ!?」
突然の申し出に少女はもちろん驚いた。
けれど、
雪歩「あっ! そ、それじゃあ……」
それは完全に思いつきでしたけれど、少女はきっとうまくいくだろうと思った。楽しくなるだろうと思った。
25: 2012/12/24(月) 21:10:18.10
25日、朝
青年は今日、新たに765プロの門をたたいた少女と面談していた。
P「君が新しく入ってきた子だね?」
「はい」
青年は質問を二、三個投げかけながら少女を観察する。
なるほど、確かに社長が即決で迎え入れたことだけはある。
そう、青年が思うほど彼女には神秘的な魅力があった。
P「雪歩が連れて来たって聞いたけど、古くからなの知り合いだったりするの?」
少女は青年が担当しているアイドルに連れられて来たと聞いていた。
「いいえ、お互いに知り合ったのは昨日です。
ですが、彼女が素晴らしい人間であることは知っています」
青年は今日、新たに765プロの門をたたいた少女と面談していた。
P「君が新しく入ってきた子だね?」
「はい」
青年は質問を二、三個投げかけながら少女を観察する。
なるほど、確かに社長が即決で迎え入れたことだけはある。
そう、青年が思うほど彼女には神秘的な魅力があった。
P「雪歩が連れて来たって聞いたけど、古くからなの知り合いだったりするの?」
少女は青年が担当しているアイドルに連れられて来たと聞いていた。
「いいえ、お互いに知り合ったのは昨日です。
ですが、彼女が素晴らしい人間であることは知っています」
26: 2012/12/24(月) 21:10:53.32
少女は経歴不明、住所不明、出身地不明。
なぜ社長はこれで通したのか不明になるほど、少女は謎が多かったけれど、
青年はそれ以上に気になることが一つあった。
P「……君、どこかで俺と会ったことある……?」
「!」
言ってから青年は自分の失態に気づく。
しまった、これじゃ古臭いナンパみたいじゃないかと。
P「ち、違うんだこれは……」
青年は慌てて弁明する。しかし、
「ふふふ」
少女は笑っていた。
「ふふ……、それは……トップシークレットです」
P「ある夜の物語」end.
なぜ社長はこれで通したのか不明になるほど、少女は謎が多かったけれど、
青年はそれ以上に気になることが一つあった。
P「……君、どこかで俺と会ったことある……?」
「!」
言ってから青年は自分の失態に気づく。
しまった、これじゃ古臭いナンパみたいじゃないかと。
P「ち、違うんだこれは……」
青年は慌てて弁明する。しかし、
「ふふふ」
少女は笑っていた。
「ふふ……、それは……トップシークレットです」
P「ある夜の物語」end.
27: 2012/12/24(月) 21:13:10.79
雪誕SSのつもりがサンタクロースSSになっていた
何を言って(ry
元ネタ
未来いそっぷの「ある夜の物語」
何を言って(ry
元ネタ
未来いそっぷの「ある夜の物語」
28: 2012/12/24(月) 21:25:34.37
おっつ
ホラーかと思ってビクビクしてたわw
ホラーかと思ってビクビクしてたわw
引用元: P「ある夜の物語」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります