1: 2017/07/01(土) 00:42:27.310
あかり「楽しみだなぁ」

3: 2017/07/01(土) 00:43:36.366
あかり「今日のお洋服は何にしようかなぁ」

あかり「どこに遊びに行こうかなぁ」

あかり「ちなつちゃんはなにがしたいのかなぁ」

あかり「おっとっと、もう時間だよぉ」

あかり「あかりってば出発するよぉ」

5: 2017/07/01(土) 00:45:21.622
あかり「ふんふんふーん」

あかり「あかりってばご機嫌で鼻唄も軽快だよぉ」

あかり「音楽の都ウィーンがあかりの鼻の中にあるようだよぉ」

あかり「世界的演奏が流れてるのに感慨深くなるねぇ」

あかり「そうだ!ちなつちゃんにも聞かせてあげるよぉ!」

8: 2017/07/01(土) 00:47:45.330
あかり「ぽひーぽひー、あっ!待ち合わせの場所に着いたよぉ」

あかり「約束の時間より少し早く着いちゃったよぉ」

あかり「んんっ!?あれは愛しのちなつちゃん!?」

あかり「ちなつちゃんも早くに着いたんだねぇ!」

あかり「あかりとの逢瀬がそんなに待ち遠しいのかよぉ」

あかり「あかりってば照れるよぉ」

あかり「おーい、ちなつちゃ……んんっ!?」

9: 2017/07/01(土) 00:51:30.150
あかり「櫻子ちゃんと一緒にいるよぉ!」

あかり「しっ、しかも路上で熱烈なキッスを始めたよぉ!」

ちなつ「もうダメだよ、あかりちゃんが来ちゃう」

櫻子「まだ大丈夫だよティナツ」

あかり「ひえええええ、あかりの待ち合わせ前になんてことしてるんだよぉ!」

あかり「しかも櫻子ちゃんのちなつちゃんへの呼び方がこなれてるよぉ!」

あかり「これはよっぽど古い濡れた仲だよぉ!」

10: 2017/07/01(土) 00:52:43.655
あかり「あわわわ、また路上で人目を憚らず怒濤のキッスしてるよぉ」

あかり「とんでもない失楽園をみせられてるよぉ!」

あかり「あかり、こんなはずじゃなかったよぉ!」

12: 2017/07/01(土) 00:53:47.813
あかりちゃんは今日ちなつちゃんを拘束して家に監禁しようとするために持ってきた脅しの包丁を

鞄から取り出した

13: 2017/07/01(土) 00:57:07.394
人混みを避ける事も考えられず路上の人々を突き飛ばして

アクション映画のラストシーンの如く熱烈なキッスを交わすカップルにあかりちゃんは猪突猛進していく

鋭利なナイフが夏の陽光に閃いて

その輝きを見た櫻子ちゃんはそれが何であるか知覚する前に

お腹を刺されていた

14: 2017/07/01(土) 01:00:40.305
あかりちゃんは鋭利な包丁で何度も何度も櫻子ちゃんのお腹を刺突する

櫻子ちゃんが倒れても上に覆い被さって

何度も何度も何度も何度もお腹を突き破る

皮膚の張りがなくなり

内臓をかき混ぜるだけになっても

悲しくて悲しくて

手を止めることを出来ず

何度も何度も包丁を降り下ろすことしかできなかった

16: 2017/07/01(土) 01:07:21.274
永遠とも思える時間

あかりちゃんは櫻子ちゃんを突き刺しつづけた

だけどその永遠とも思える虚無の時間を終わらせる手が

あかりちゃんの肩に啓示のようにかけられた

船見結衣ちゃんだった

あかり「ゆいちゃ……」

あかり「あかりやっちゃったよぉ」

あかり「法を犯しちまったよぉ」

結衣「良いんだ。今は何も考えるな。何も考えるな」

辺り一面の路上は信じられない量の血が池のように広がっていた

櫻子ちゃんは空を見続ける事に決めたようで開いた目を一切閉じようとはしなかった

17: 2017/07/01(土) 01:10:22.976
たまたま通りかかった結衣ちゃんはあかりちゃんを落ち着かせる為だけの言葉を吐いて

ポリ公が来るまであかりちゃんの側に居続けた

あかりちゃんはパトカーに詰め込まれ

長い長い罪を償う時間を約束させられようとしていた

18: 2017/07/01(土) 01:14:00.038
あかり「クソがぁ逮捕されちゃったよぉ」

あかり「ちくしょう、あかり一生の不覚だよぉ」

あかり「あかりの尊い人生の時間がきったない塀の中で無為に終わりそうだよぉ」

あかり「ふざけんじゃねぇよぉ」

あかり「あかり一人の命は塀の外の万人の命を秤にかけてもあかりの方が尚重いよぉ」

あかり「公権力め政府めふざけんじゃねぇよぉ」

19: 2017/07/01(土) 01:16:14.476
あかり「この世界は間違ってるよぉ」

あかり「欺瞞と嘘が大手を振って闊歩してやがるよぉ」

あかり「間違いが正当性を全て隠してしまってるよぉ」

あかり「救いようのないほどこの世界は間違ってるよぉ」

あかり「正しさはどこにいったんだよぉ」

20: 2017/07/01(土) 01:19:30.785
あかり「ふざけんじゃねぇよぉ」

あかり「あかりは正しいよぉ」

あかり「間違ってるのは世界だよぉ」

新聞の見出しは若者の凶悪犯罪に焦点を当てる方向から

事件について書かれていた

あかり「あかり一躍時の人だよぉ」

21: 2017/07/01(土) 01:21:38.056
あかり「この世界はどうしようもなく間違いを正せないよぉ」

あかり「いつだって間違いを是として追認していくだけなんだぁ」

あかり「正義はどこにいったんだよぉ」

あかり「真実はどこに消えたんだよぉ」

22: 2017/07/01(土) 01:24:39.418
あかり「あかりの未来はどこだよぉ」

あの日恋人が不義を働いていた場所に正義はどこを探してもなかった

そこにはただ不正義だけがあった

それを正さねばならなかった

打破しなければなかった

不正義は正義によって駆逐されねばならなかった

だからあかりちゃんは包丁を取り出して

不正義に立ち向かったのだ

不正義を駆逐するために

そこには正義しかなかった

23: 2017/07/01(土) 01:26:34.577
だけど世界はその正義を叩きのめした

あかりちゃんの絶対的正義を認めなかったのだ

報道はあかりちゃんの正義を隠蔽した

単なる精神異常者による猟奇的犯罪に落とし込んでしまったのだ

あかりちゃんは世界の欺瞞に

殺されてしまった

24: 2017/07/01(土) 01:30:09.731
あかり「ふざけんじゃねぇよぉ」

あかりちゃんは塀の中で煙草を密売してる仲間から買ったラッキーストライクを吹かし

暇さえあれば体を鍛え抜き

なにかしら考え事をしては胸糞悪そうな顔をして塀に唾棄して

独房に戻るのを日常としていた

25: 2017/07/01(土) 01:34:59.703
あかり「まったくもって、ふざけんじゃねぇよぉ」

あかり「あかりは何も悪くないのに鎖に繋がれて」

あかり「このままここで生きていかなきゃいけねぇのかよぉ」

あかり「ふざけんじゃねぇよぉふざけんじゃねぇよぉ」

あかり「ちくしょう誰でも良いからぶっ殺○したいよぉ」

26: 2017/07/01(土) 01:36:09.336
あかり「あかりはなにも悪くないよぉあかりはなにも悪くないよぉ」

あかり「世界は間違ってるよぉ」

誰も世界の間違いを

正してはくれなかった

あかり「あかりもう生きるのに疲れたよぉ」

27: 2017/07/01(土) 01:41:05.779
あかり「あかり本当はもう良いんだぁ」

あかり「あかりは世界と戦うのに疲れたよぉ」

あかり「あかり疲れた」

あかり「あかり真面目に服役する」

あかりちゃんに仮釈放が出たのは

それから8万年後のことだった

地球は氏の星と化して宇宙はその誕生から消滅、活動までが銀河に散らばった人類によって数式化されていた

28: 2017/07/01(土) 01:43:42.087
あかり「あかりってばやっとシャバに出られたよぉ」

あかり「今からシャバ造をビビらせるのを考えると楽しみで笑いが口の端から漏れちゃうよぉ」

あかり「とりあえず別の銀河に向かってみるよぉ」

あかり「お知り合いがいると良いなぁ」

29: 2017/07/01(土) 01:46:27.194
いくつかの銀河を回ってあかりちゃんは気付いた

この世にもう知る人はいないのだと

塀の中の時間は

あかりちゃんとお友達を引き裂くには

充分すぎるほどの時間が

経ってしまっていたのだと

30: 2017/07/01(土) 01:51:30.862
あかり「あかりは本当になにもなくなってしまったよぉ」

あかり「思えばとても遠いとこにあかりは来たよぉ」

見渡す限り見知らぬ銀河と見知らぬ惑星しかなくて

最早あかりちゃんには帰り道もわからなくなっていた

ただ銀河も恒星も惑星も

どの銀河も変わらず公転や自転を繰り返し

この広大な宇宙を廻っていた

31: 2017/07/01(土) 01:53:31.019
それはまるでダンスのようで

あかりちゃんは楽しくなってきた一緒に踊った

たとえそれが命ないものを相手に一人で踊る虚しいダンスであっても

それは正しくダンスだった

32: 2017/07/01(土) 01:55:13.831
そうしてあかりちゃんは踊った

踊って躍り疲れて

あかりちゃんは呟いた

おわり

33: 2017/07/01(土) 02:00:19.998
意味分かんないけどまあとりあえず乙

引用元: あかり「ちなつちゃんとデートだよぉ」