1: 2010/08/13(金) 23:02:46.47


―――夏。

ああ、どうしてこんなに暑いんだろう

もう本当にやる気がでない

まあこれからも当然毎年"夏"は来るんだろうけど

そして私は夏が来るといつもあの夏を思い出す

もう戻ってこないあの夏を

そういやもうあれから何年だ?

すっかり私も大人になって……フフ

今となって思い出すと全てが懐かしい


「さて……と」

私は気だるい体をムクッと起こし空を見上げた

「軽音……か」



4: 2010/08/13(金) 23:05:45.81

――2010年8月。


唯「図書館に来たわいいものの……」

唯「一向にやる気が出ないのは何故でしょうか」

唯「私の中のやる気……目覚めよ!」

唯「……あれ?」

唯「目覚め―――、
バンッ

澪「いいからペンを動かせ!」

唯「だってぇ……シクシク」

澪「律、お前もだぞ!」

律「お前は先生かっつーの!」

澪「はあ?大学行けなくても知らないぞ!」

澪(ムギ……旅行なんて行ってないで早く帰ってきてくれ…)

5: 2010/08/13(金) 23:08:05.54

律「う……だ、だいたいなんで夏休みに勉強なんてしなきゃいけないんだ」

澪「それじゃあ頭も良くならないな」

律「だってそうじゃんか!こんなことに時間費やすよりもっとやるべきことが………」

澪「やるべきこと?」

律「た、例えば…………ば、バンド練習とか!」

澪「まあそれも大事だけど、今は勉強優先だろ……」
律「勉強勉強……ってもっと大切なことがあると思います!」

澪「ほぅ。聞かせてもらおうじゃないか!」
律「えっと……だな」
澪「?」
律「……い…」
唯「できたー!」
唯「ねえねえ見て見て!ほら!あずにゃん!」

律「……」
澪「……」

唯「あれ……なんかおかしいかな」
律「………ップ」
澪「………クス」

唯「えーっ、どうしてどうしてー?上手いじゃーん……」

6: 2010/08/13(金) 23:10:44.56

「今日も暑いわねー」

「あっ、本当ですね……もう車無きゃ外になんか出られませんよね」

私は車の鍵を挿し込みドアを開けた

車の中はサウナ状態だ

「お出かけですか?」

「ちょっと今日は出勤しなくちゃいけないんで」

「こんな暑い中大変ねぇ……行ってらっしゃい」

「はーい!」

あの時の私が見たら驚くんだろうな…

私が車を運転しているなんて予想にもしてないだろうからな

「この先右折です」
聞き慣れたカーナビの声が妙な懐かしさを私に感じさせる

私の昔からの"通学路"

「はいはい、右折ですねー」
一人でぶつぶつ呟きながら私はハンドルをきった

7: 2010/08/13(金) 23:12:53.11

唯「今日花火やらない?」
律「おっいいなー」澪「そんくらいなら……まあいいか」
紬「やっぱり夏といえば花火よね」
唯「そうと決まれば」カチカチ

律「梓呼ぶのかー?」
唯「あたりまえです!」
律「どうせなら憂ちゃんや和も誘えば?」
唯「そうだね!やっぱり多い方が楽しいもんね!」
澪「でどこでやるんだ?」
唯「あ……」
澪「決めてなかったんかい」ガクッ

紬「でもいいわねぇ花火って……私もいつか小さな頃やったのを覚えているわ」
紬「花火ってやってるときと思い出すときじゃなんか違わない?」

澪「わかるな……それ」

律「えーっ、どんな感じ?」

澪「お前にもいつかわかる日が来るよ」
律「今知ーりーたーいー!」

8: 2010/08/13(金) 23:14:10.13


夕方


梓「あの…唯先輩?」

唯「え?」

梓「本当にここで花火やっていいんですか?」

唯「いいんだよ~」
唯「だってほら花火の残骸がたくさん残ってるしー」

梓「いや…その残骸は花火を讃えるというよりむしろマナーの悪さを表しているんですが…」

梓「それに見てください!」

梓「ほら《花火禁止》って書いてあるじゃないですか!」

唯「花火やりたくないんだ」

梓「いや決してそういう訳じゃありませんけど…」

10: 2010/08/13(金) 23:15:08.37

律「大丈夫だってぇ。ほらここ河川敷だから火事になっても水はたくさんあるし」

梓「いや花火で火事って大惨事なんですけど…」

紬「でもいいんじゃない?またスリルがあって」

梓「それは抱いちゃいけない感情だと思うんですが…」

和「…まあマナーを守ってやれば良いんじゃない?」

唯「そうだよー、ってもう日が暮れちゃったよ」

律「じゃ…始めるか!」


14: 2010/08/13(金) 23:16:44.76


まだ時間あるし喫茶店でも寄ってくかな…

店員「いらっしゃいませー」

「えーと…アイスティで」

店員「かしこまりましたー」


私もすっかり大人になってしまったな

昔ならなんか甘いやつを飲んで美味しい美味しいって言ってたけど今は逆に甘ったるくて変な感じがする


この喫茶店も懐かしいなあ


よく来た覚えがある
まあ高校生の頃はムギの持ってきた紅茶を良く飲んでたけど、たまにここに来てこうやって何か飲むこともあった

でももうあの味は全く思い出せない

そういやムギは今頃何やってんだろうな…

でもなんかスゴいことしてそうな気がする

15: 2010/08/13(金) 23:17:53.66

それにしても今日はいい空をしている

雲一つない青空で

だから夏の空は好きなんだ

ずっとずっと遠くを眺めることができそうで

私はあっという間にアイスティを飲み干し、店を出た

店員「ありがとうございましたー」

カランカラン


17: 2010/08/13(金) 23:19:24.12


唯「うわっ!」

パチパチパチ

律「私は三本だぜ!」

ジュジュジュ

律「おら梓覚悟しろー!」

タッタッタ

梓「ちょ、やめてくださいよー!」


和「澪はあっちに行かないの?」

澪「私はこれで十分」

パチパチパチ

澪「線香花火っていいよな……なんていうか風情があって」
和「……そうね。私もどちらかといえば線香花火の方が好きよ」


18: 2010/08/13(金) 23:20:43.48
和「私たちって線香花火と同じよね」

パチパチ

和「今はこうやって光ってるけどいつかは終わりがくる」

和「だけどその儚さがまたその光をより光らせてくれているの」

パチパチ……

澪「あっ…」

和「……」

和「でもね澪、大丈夫」ゴソゴソ

澪「え?」

和「花火はたくさんあるから」

澪「いつの間に…」
和「だからね、一つの花火が終わったらまた次の花火をしたらいいのよ」

澪「次の……花火?」

和「夜は長いから」

19: 2010/08/13(金) 23:21:59.13
タッタッタ

パチパチパチ

澪「うわっ!」

律「なーにやってんのさ、そんな小さい花火ばっかやって。もっと派手な花火にしようぜ?」

澪「って火傷するわ!」

律「へっ!」

タッタッタ

澪「くっそ…バカ律……!待てー!」

タッタッタ

和「なかなか楽しんでるじゃない…」

唯「和ちゃんもやろ!」

和「そうね」



ただ実際高校を卒業してから"2本目の花火"になかなか火を着けることができなかったのは事実だ

今はそこそこ安定はしているけれど、綺麗とは言えないんだろうな

20: 2010/08/13(金) 23:23:35.35

ヒュルルルル


パーン


唯「いやぁやっぱり打ち上げ花火だねー!」

澪「だな…」

紬「綺麗ね…」

和「本当に夏っていいわよね」

憂「ですね」

梓「……」ジーッ

梓(律先輩すごい頑張ってるなー)


律「ああもう!どうしてグーをだしたんだ我が拳よ!」

ジュッ

ジュッ

律「私も見たーーーい!!!」

21: 2010/08/13(金) 23:24:24.56

それとも初めから"2本目"なんて存在しなかったのだろうか

私は初めから1本の花火で

一度消えたら二度と着かないんじゃないだろうか

だとしたらあの花火と一緒で私の花火が綺麗な火花を出すことはもうないのかもしれない

でもまあ、それが花火のあるべき姿なのかもしれないが


その日は唯の家に泊まった



22: 2010/08/13(金) 23:25:12.97

唯「いやー花火良かったねー」

梓「警察に見つかってたら大変な目にあってましたよ」

和「でもちゃんと掃除もしてきたし、打ち上げ花火なんか近所の人も見てたから良かったんじゃない?」

紬「ちょっと警察に追われてみたい気もしたけど」

梓(だからそれは芽生えちゃいけない感情ですってばー!)
唯「りっちゃんも……って寝てる」

紬「澪ちゃんも…」

23: 2010/08/13(金) 23:26:11.52
憂「二人ともはしゃいでましたからね…」

律「………zzz」
澪「………zzz」

梓「本当に仲が良いですよね」

唯「じゃああずにゃん私たちも一緒に…」

梓「いやです!だいたい『じゃあ』ってなんですか!」

唯「うぅ…」

和「でももう夜も遅いし私たちも寝たほうが良いんじゃない?明日からまた勉……」

和「言わない約束よね」


憂「じゃあ電気消しますねー」

カチッ


結局あの日以来あんな風に皆と花火をやることはなかった

というより「またそのうちできる」という思いが逆になかなかできない状況を作っていたのかもしれないが


24: 2010/08/13(金) 23:27:36.80

私は車に乗り込みエンジンをかけようとしたそのとき誰かが窓を叩いているのに気がついた

「?」

憂「お久しぶりです!」

「あー!憂ちゃん、久しぶりー!」

憂「あんま変わってなくてホッとしましたよ」

憂「これからお出かけですか?」

「うん。まあお出かけっていうか仕事なんだけどな」

憂「大変ですねー、頑張ってくださいね」

「また手のかかる子達でねー…あはは」
憂「あっ、そっか!先生やってるんでしたよね?」

「そうなんだ。でもこんなに大変だとは思わなかったな」

25: 2010/08/13(金) 23:28:17.55

憂「でも輝いてますよ!先生!」

「ちょっと~!」

憂「あ、じゃあまた今度うちに遊びに来てくださいね!お姉ちゃんもいるんで!」

「うん。そのうち行かせてもらうよ」


「じゃあ」と彼女は笑顔で手を振って歩いていった

私はエンジンをかけ直し再び車を走らせた


27: 2010/08/13(金) 23:29:52.53

―――2010年8月13日
ミーンミンミン

夏休みがあと2週間くらいで終わってしまうという時、私達は唯の家で"勉強会"という名のお茶会をやっていた

唯「なぜこんなにも夏休みは早いんだ」
澪「まあそんなもんだろ夏休みなんて」
律「私を置いていかないで~!シクシク」

紬「大丈夫よ、りっちゃん。まだ夏休みは来年もあるわ!」
澪「来年か……一体何やってんだろうな」

唯「来年は海に行こう!」

律「おっいいね!賛成!」

澪「そうだ、来年もそうやって笑っていられるように今精一杯勉強するんだ」

紬「そうよ、今くらいしかできないんだから」

澪(仲間がいるって嬉しいよームギ!)
紬「海水浴は」

澪「そっち!?」


28: 2010/08/13(金) 23:30:50.98
憂「皆さん頑張ってくださいね!私も応援してますよ」

唯「あぅー」グテー
唯「うーいー!」

憂「どうしたの?」
唯「ここわかんなーい」

憂「えっとねここは……」

律(なんで教えてもらってんだよー!)
澪(こんなんで大丈夫なのか……?)


今思い出すと笑い事だが当時はもう先が見えず毎日が鬱だった

この勉強方法で本当に大学に行けるのー、とか

大学に行っても幸せな生活をすることができるのー、とか

でももしかすると私のこの性格には学校の先生というのが性に合っていたのかもしれない

まあまだまだ私は若いから仕事も終電ギリギリの時間に帰らされることも多々あったり、ましてや"あんな部活"の顧問にまでなってしまったのだから毎日が高校時より大変だというのは言うまでもないが

29: 2010/08/13(金) 23:31:47.30

もちろん勉強づくし(?)の夏休みにもたまに部活に行ったりはした


梓「…ってせっかくこうやって集まったのに」


唯「いやー美味しいねー!」

律「おかわり!」

紬「はいはい」

梓「どうしてまたお茶会なんてやってるんですかー!」

唯「どうして………って、ねぇ」

律「ま、まあそういうことだよなあ」

紬「ごめんなさい……私がこんなもの持ってくるからいけないのよね」

澪(いや、実際そうかもしれない)

梓「あ……え…と」

30: 2010/08/13(金) 23:32:40.40

梓(ムギ先輩には怒れない……ってまさか!)

唯「作戦通りだねりっちゃん!」ヒソヒソ

律「だな」ヒソヒソ

梓「う……」

澪「はいはい、練習やるぞー」

唯「えー!」

澪「せっかく集まったのにもったいないだろ…だいたいお茶会なんて夏休み中にも時々やってるって言うのに」

梓「そ、そうですよー!皆さんやりましょうよ!」

律「……んじゃ、やるかあ」


31: 2010/08/13(金) 23:34:26.57


学校に着いた私は車を停め、職員室に向かった

ガラガラガラ

「こんにちはー」


とは言っても今はお盆休み

職員室にはあまり先生方はいなかった


「あー!澪ちゃ…」
「ゴホン」

「こんにちは、秋山先生」ニコッ

澪「そろそろ慣れてくださいよ、山中先生」

さわ子「にしても今日は暑いわねー」

澪「本当ですね」
さわ子「今日は?」
澪「ああ、えーと部活動があって…」

さわ子「"あんな部活"に入って、やっと私の大変さがわかってきたんじゃない?」
澪「"あんな部活"とか言って、先生だってたまに部活に行ってるそうじゃないですか。顧問でもないのに」

32: 2010/08/13(金) 23:35:22.50
さわ子「忘れられないのよ」

澪「?」

さわ子「あの紅茶の味が」

澪「私はとっくに忘れちゃいましたよ」
さわ子「そう。でも今もまだやってくれてるじゃない、お茶会」

澪「いやな伝統ですよ。ろくに練習してくれませんし」

さわ子「あなた達も一緒だったでしょ?」

澪「……まあ」

澪「ってヤバい!時間だ!」

澪「では山中先生」
タッタッタ

さわ子「あらあら……すっかり先生らしくなっちゃって」

さわ子(きっとあの時の私も今の澪ちゃんみたいだったのよね…)

さわ子「……フフ」

さわ子「軽音……ね」

33: 2010/08/13(金) 23:36:09.10

澪「遅刻だ遅刻ー!」

澪「………!」


と、その時階段の前でふと私は歩みを止めた

そう、一瞬あの頃に戻ったような気がしたからだ

大人になってから昔修学旅行で行った場所やよく皆で遊んだ場所にあの懐かしさを求めて出かけてみてもどうもしっくりこないのだが、今はどこか違った


そんな思いを抱きながら再びまた私は歩き始めた


そして思い出す


あの夏の終わりに起こった出来事を




34: 2010/08/13(金) 23:36:55.33

――――2010年8月30日


唯「終業式に戻りたい」

澪「戻ってどうするんだ?」

唯「また夏休みやり直す」

澪「でもいつかまたこの日が来るぞ?」
唯「そ、そしたらまたやり直す!」

澪「そんなの無理なんだからさー受け入れて宿題終わらせたら?」

唯「い、良いもん憂に手伝ってもらうから」

澪「自分でやれ!」
唯「ひどい……ねぇりっちゃんもなんか言ってよー」

律「………」

唯「……りっちゃん?」


35: 2010/08/13(金) 23:38:01.40
律「…へっ?あ、ああそうだ!自力でやっても一向に終わらん!誰かに手伝ってもらうべきだ!」

澪「お前誰に手伝ってもらうんだ?」

律「う……それは」
律「ねー、みーおー手伝ってよー!」

澪「いやだ」

律「けちー!悪魔ー!」

澪「……ったく」

澪「ムギは終わったんだよな?」

紬「もちろんよ。旅行行く前には終わってたわ」

唯・律(これが私達との差か)

澪「…でももう夏休みも終わりか」

唯「いやだな」

紬「私ももうちょっと欲しいわ」


36: 2010/08/13(金) 23:38:44.51
律「………」

澪「律、お前そんなに夏休みが終わるのが辛いのか?」

律「……そ、そんなわけないだろ~!私もう大人だからさー……あはは」


確かにその時私はふと律の異変に気がついていたのだが、私が干渉するまでもないと思い何もしなかった

ただもしかするとこの時何か行動を移せば事態はあれほど酷くはならなかったのかもしれない



37: 2010/08/13(金) 23:41:06.47
―――8月30日19:00

私の家に電話が入った

澪母「ちょっと澪ー?りっちゃん知らないかーだって」

澪「律がどうしたって?」

澪母「それがね、まだ家に帰ってないんだって」

澪「あいつのことだからその辺ほっつき歩いてるんじゃないかな」

澪母「ほら、昨日起きた"あの事件"の犯人、まだ捕まってないんでしょ?」

澪「"あの事件"………?」

澪母「ほら、例の通り魔よ」

澪「あれってまだ捕まってないの?ていうかあれって隣街で起きたんじゃないの?」

澪母「そうなんだけど、噂じゃもう何人も頃してるらしいわよ?」

澪「じゃあちょっとその辺見てくるよ」

澪母「危ないわよ」

澪「大丈夫大丈夫」

38: 2010/08/13(金) 23:41:57.90

通り魔と言っても「誰かが氏んだ」という事実はその時はまだなかった


実際「人を頃した」のはあくまで噂であって、その日の前日に起きた事件も被害者の女性は氏には陥らなかった


ただ私は律のことが心配でならなかった

―――もしかしたら。


ふとそれを考えただけで私は寒気がしていつもの私ならそこから逃げていたがその時はもうただただ一心不乱になっていた

澪「とりあえず皆にも聞いてみよう」

私は携帯の一斉送信の機能を使ってみんなに連絡を入れた

みんなというのはもちろん軽音部を含めクラスメイト達だった


39: 2010/08/13(金) 23:42:51.85

ただ律を捜すと言っても正確な場所はわからない

律は電話にも出ないしメールにも返信がない

それも含め私は不安で心が押し潰されそうになった

そして憂ちゃんの提案で私達軽音部の面々は唯の家に集まった


紬「まだ見つからないの?」

梓「そうみたいです…」

澪「ったくあのバカ」

唯「でも本当にどこ行っちゃったんだろ…」


40: 2010/08/13(金) 23:43:36.65
憂「律さんが良く行く場所ってどこかわからないんですか?」

澪「よく行く場所……かあ」


アナウンサー「昨夜遅くに女性が何者かに傷つけられた事件で未だに犯人が逃走中です。近隣にお住みの方はくれぐれもご注意ください。」

梓「本当に……何もないといいですね」

澪(律……)



41: 2010/08/13(金) 23:46:24.50

私は音楽室の前に来た

この扉の中には私達の三年間の思い出が詰まっている

それはもちろん楽しい思い出も辛い思い出も

思い出すとちょっと涙が出そうになる

なあ、あの頃の私

私は今輝けているか?

そんな思いを嘲笑うかのように音楽室の中からは女の子らしくはない声が聴こえてきた

澪「…その通りかもな」


私は微笑を浮かべその思い出の詰まった部屋の扉をノックした



42: 2010/08/13(金) 23:49:21.52
――――23:00

澪「……そうですか」ピッ

唯「どう?」
澪「…まだ帰ってきてないってさ」
梓「……警察にはもう連絡を?」

澪「一応したらしい…ただ例の事件が取り込んでるからちゃんと手が回るかわからないらしい」

紬「澪ちゃん…元気出して?」

憂「そ、そうですよ!」

澪「こんな時に元気が出るかよ…」


律『なー、澪』

澪『ん?』

律『この夏さー、ちょっと行きたい場所あんだよねー』

澪『ほう、楽器店か?』
律『違う違う!ここだよここ!』
澪『山……?なんでまた』
律『まー行けばわかるからさー!ね、お願い!』
澪『覚えてたらな』

澪「!」

43: 2010/08/13(金) 23:50:37.33
そんな何気ない会話をふと思い出し私はすぐさま立ち上がった

澪(確かにあの山はそんな遠くじゃない)

澪(まさかあいつ私が約束を忘れたから一人で…?)

梓「どうしたんですか?澪先輩」


澪「ちょっと出かけてくる!」

憂「危ないですよ!もう夜も遅いしそれに……」

澪「あいつが…待ってるから」

澪「それにさ、後悔したくないんだ」

澪「だってほら律と私は」



44: 2010/08/13(金) 23:52:10.92


―――無二の親友。

親友が困っていたら助けるのが当たり前だ

とは言ってもどうしてあの時の私は歩みを止めることなく何にも恐れることはなく前に進めたのか今となってはわからない

私の背中を押してくれたのは律に対する不安や、心配ではなく紛れもない律自身だったんじゃないかと私は思っている


その後私は唯の家を飛び出しその"約束の場所"へと向かった




45: 2010/08/13(金) 23:53:31.49

―――8月31日24:00

もうすでに真っ暗で辺りに人影は見えない

まさかこんな形で夏休みの最終日を迎えることになるなんて私は思ってもいなかった


澪「はぁはぁ……この辺りか……?」

山と一概に言ってもそんなに小さな山じゃなく、一体全体どこを見ればいいのかなんて見当もつかなかったがその時の私はもう止まらなかった

澪「!」

その時人が山から降りてきた

手には望遠鏡

はっと私は気が付いた

澪「すいません」

「ん?どうした?」
澪「この山の星空が見えるスポットってどうやって行けますか?」

46: 2010/08/13(金) 23:55:12.14

「これを上に上がってくだけだよ」

澪「ありがとうございます!」

「でもなんでこんな日に?」

澪「え?」

私は空を見上げた

澪「うそ…」

確かに星空を観察できるような天気では無かった

「言っておくけど星なんて見えないよ」
澪「そうですか…」
「そういや変なお嬢ちゃんがいたな……あいつも『星を見に来た』なんて言ってたから早く帰るよう言ったんだけど」

澪「律だ!」

タッタッタ

「ちょっとあんた!」

澪「ありがとうございました!」

「変な人だ…」

私はその後あの場所を目指して一心不乱に山を登っていった

47: 2010/08/13(金) 23:58:04.25

やはり今日は曇りだから人が全くいない

澪「はぁ……着いた」

天気が良ければ賑わうであろうその場所に一人ぽつんと仰向けに寝転ぶ人がいた

澪「……律?」

律「来てくれるって信じてた」

澪「お前どれだけみんなが心配してるか―――、

澪「律?」

律「……ぅ…ヒグッ」ポロポロ

澪「どうした?」

律「みーおー!」ギュッ

突然律が泣き出し私に抱きついてきたため私はどうしていいかわからなかった

律「いやだよー!みんなとずっと一緒にいたいよー!」ポロポロ

澪「律……」


48: 2010/08/14(土) 00:00:17.58
澪「…大丈夫だよ、私がずっとそばにいてやるから」

律「ほんとう…?」ポロポロ

澪「当たり前だろ?私達親友なんだからさ」

律「うわああああん」ポロポロ


澪「よしよし…」

律を泣き止ます間私も泣いていたことなんて律は知らないだろう

何せあんなことを律が思っていたなんて知らなかったからな

――――25:00

私達は泣き止み今までの思い出を語り合っていた

49: 2010/08/14(土) 00:02:25.46
律「今考えてみたらさー、本当に良かったと思ってる。軽音部に入って」
澪「私も」

律「ずっとずーっと演奏してたいな皆と」
澪「ああ」

私はまだ律に聞いていないことがあった
澪「なあ律…?」

律「ん?」

澪「そういやなんでこんな曇ってる日に星なんて見に来ようと思ったんだ?」

律「……」

澪「星なんてひとつも…」

律「……見えるよ」
澪「どこ?」

「目には見えないよ」

澪「?」

まさかそんな深い言葉をまさか律に言われるとは思わなかった

でもその言葉の意味はいつか皆とやった花火の時にムギが言った言葉の意味に近いものがあったんだろう

50: 2010/08/14(土) 00:03:53.21
律なんかでも未来への不安やそういう心が私の知らないうちに覚えていたかと思うとちょっぴりホッとした


私はふと律の顔を見ると律は目を閉じていた

澪「眠いのか?」

律「違うよ。星を眺めてるんだ」

澪「星を?」

律「こうやると見えるんだ」

そう言われ私も同じように目を閉じた



51: 2010/08/14(土) 00:06:23.42
タッタッタ

律『みーおー!』
澪『ん?』
律『軽音部入ろうぜー!』

思えば律のあの言葉から始まった私の物語

例えいつかこの物語が終わる日が来たとしても私は忘れることはないだろう

唯『澪ちゃん!』
ちょっぴり天然な平沢唯

紬『澪ちゃん』
お嬢様の琴吹紬

梓『澪先輩』
しっかり者の中野梓
律『澪!』
そして親友の律

目を閉じたら確かに見えた気がした

今まで見たことがない綺麗な星空が

目を開けると律が私の顔をじっと見ていた

律「見えた?」
澪「見えた……かも」
律「そっか…」

52: 2010/08/14(土) 00:07:58.14
お互いどんな星が見えたかなんて聞きもしなかった

なぜならそう、私も律もきっと同じ星空を見ていると思ったからだ

ふと律の顔を見ると目があってドキッとした

律「………」

澪「………」

律・澪「あ、あのさ」

律・澪「!」

律「お前から言えよ!」

澪「いいよお前で!」

律「えと……じゃ、じゃあ……」

律「その……今日はありがとうな」

澪「………クス」

澪「あはははは!」
律「なっ……おい澪、こっちは真面目に言ってんだぞ!」
澪「あー、悪い悪い」
律「……で、澪は?」
澪「なーんか変な空気になったから言わない!」
律「卑怯な!」

53: 2010/08/14(土) 00:08:49.40

実際私も律と同じことを言おうと思ってた



これから先楽しいことだけじゃない、辛いこともあるだろう

でも律と一緒なら……


……一緒なら大丈夫。そんな気がした


澪「帰ろっか」

律「だな」


あとは帰るだけ



―――だった。




56: 2010/08/14(土) 00:14:25.04

澪「一応さっき電話したんだが出なくて…まあメール送っておいたから事はすんでると思うんだけど」

律「あ、そうか私携帯家に…」

澪「帰ったらスゴいことになってるぞ、きっと」

律「だよねー…」


ふとその時人影が目に入った

澪「今…誰かいたような…」

律「え?」


ビニール袋か何かを背負った二人組の姿があった

ガサゴソと音を立てながらスコップで地面を掘っていた


澪「!」

ふと私は思い出した

例の事件のことを


そしてさらに悪いことに雨が降ってきた

57: 2010/08/14(土) 00:16:23.14

澪「律早く逃げ――――、

律「冷たっ!……って雨か…」

澪「り、律……!」
男A「!」
男B「そこに誰かいるのか?」

澪「走るぞ!律!」
律「え?なんで?」
澪「あいつら犯人だよ!あの例の!」

律「ちょっ……マジかよ……!」

男B「待てえええ!」
澪「今のうちにメールを……」

澪「うわっ!」

ザーッ

いきなりのどしゃ降りのせいで私は滑って転んでしまった

律「大丈夫か?」
澪「け…携帯が…」
そして転んだ拍子に携帯をどこかに落としてしまった

58: 2010/08/14(土) 00:18:09.63
もちろん明かりもない中携帯を探すのは無理だった

澪「しょうがない行くぞ!」

律「ああ!」

二人はぐれないように私達はお互いの手を握り必氏に犯人から逃げた


男B「逃がさねえぞ!」

澪「私達…どうなるんだ……?」

律「私がこんなとこに来なきゃ…」

タッタッタ

とそのとき、私達が向かう方向に人影が見えた


――――助かった。
そんな気がした

澪「助けてください!」

律「私達通り魔の犯人に追われてて!」

「………」


59: 2010/08/14(土) 00:19:58.50
男B「そいつら捕まえてくれ!」

一瞬恐怖が脳裏をよぎった

男C「時間かかりすぎなんだよお前らは」

澪「え?」

律「マジかよ…」

隠れる場所も逃げ道もない

男C「大丈夫大丈夫。お前らもあっという間に連れてってやるからな」

男C「天国に」

「それは君たちだよ」

ガスッ

男C「うっ…」バタ

男B「!?」

澪「!」

律「!」


61: 2010/08/14(土) 00:24:42.39

今からさかのぼること一時間前


紬「やっぱり私達もりっちゃん探しに行くべきよ!」

梓「そうですよ!このまま黙って祈ってるわけには行かないですよ!」

唯「よし!行こう!」フンス

憂「でも澪さんどこ行ったかわからないんじゃ…それに澪さんが向かった方向がわかっても律さんがいるとは…」


プルルルル

ガチャ

憂「はい、平沢ですが」

聡「あっ、えっと律の弟の聡です。お騒がせしてすいません!」

唯「だれー?」

憂「律さんの弟の聡くん!」


62: 2010/08/14(土) 00:25:55.07
聡「お姉ちゃんもしかしたら星を見に山に行ってるかもしれません!」

憂「山……?」

聡「最近どこの山が綺麗に星空が見えるか母や父に聞いていたのでもしかしたら!」

憂「お姉ちゃん星が見える山だって」

唯「やまー?」

紬「星が見える山………」

梓「!」

梓「もしかしたらあの山かもしれない!」

憂「ありがとう聡くん!」

聡「いえ…姉を心配する気持ちは同じなので」

ガチャ

唯「わかるの?あずにゃん」

梓「小さい頃見に行った記憶が…とりあえず行ってみましょう!」
唯「よっしゃー!」紬「待っててりっちゃん!」
憂「おー!」

63: 2010/08/14(土) 00:27:00.78
ガチャ

憂「よし!鍵OK!」
唯「じゃあ出ぱ…………」

「遅いんじゃないの?」


唯「さ、さわちゃん!」

さわ子「さあ行くわよ!乗って!」

梓「どうして…」

さわ子「私は軽音部の顧問よ!当たり前じゃない!」

紬「行こう!」

「おー!」


64: 2010/08/14(土) 00:28:06.48

ブーーン

さわ子「何もなきゃいいわね…」

梓「あ、あそこに人が!」

キキー


さわ子「すいません!」

「はい?」

さわ子「山ってこの方向であってますかね」

「あってるけど……今日は星は見えな……」

さわ子「ありがとう!」

ブーーン

「最近の若者は何が流行ってるのかわからないなあ……もう」


「あのー!」

「え?」


65: 2010/08/14(土) 00:29:16.82


ブーーン


さわ子「ここだわ!」

唯「真っ暗だー」

紬「本当…何も見えないわあ」

梓「い、今誰か人が!」

さわ子「あそこから入るのね!行くわよみんな!」

唯「りっちゃん今行くぞー!」

紬「行きましょー!」

梓「おー!」



あの時聡が唯たちに伝えていなかったら私は今頃存在しないんだろう

もちろん律も

もし伝え損ねていたら文化祭や卒業ライヴの思い出なんて出来る前に私達は氏んでいたのかもしれない


66: 2010/08/14(土) 00:30:51.46
男C「大丈夫大丈夫。お前らもあっという間に連れてってやるからな」

男C「天国に」


「それは君たちだよ」


ガスッ

男C「うっ…」バタ

男B「!?」

澪「!」

律「!」

律「唯……それにみんな!」

梓「間に合ったみたいですね…はあはあ」

澪「お前ら…どうしてここに」

紬「聡くんがね……ここじゃないかって教えてくれたのよ」
律「あいつ…」

男B「おいおいやめてくれないか?」
男B「俺は"青春"なんつーもんは嫌いなんだよ」

67: 2010/08/14(土) 00:32:36.86

律「早く逃げ…」

男A「おーっと…それはまずいねぇ」カチャ

梓「ピストル!?」

男B「悪いなあ手こずっちまって」

男A「まあいいよ……どうせみんなここの"肥料"になるわけだし」

唯「ちょっとヤバいって…」

男A「まずは手始めにお前からだ」

律「ちょっ…」

男A「たまんねぇなあ…その顔は何回見ても」

律「お前まさか!」
男B「そう俺らは例の事件の犯人」

男A「お前らどうせ一人残らず氏ぬんだし?まあ関係ないかーあははー」

カチャ

男A「氏ね」

ドンッ

68: 2010/08/14(土) 00:33:50.82


澪「………」

ドラマなんかで聴く音と違った

あんなのよりもっと鈍い音

まるで石でもぶつけられたかのような……

石………?


男A「ぁ……」ドサッ

男B「お、おい!」

律「た…助かった…」

澪「今のなに?」

スゴいスピードだったような


「はぁ…間に合った」

71: 2010/08/14(土) 00:40:37.90

唯「!」


さわ子「あ、あなたたち……どうして」


姫子「私達だってクラスメートですから、先生!」

和「仲間が大変な目にあってたら助けるのが仲間ですから」

いちご「まあ別に私は心配じゃなかったんだけど……みんな行くって言うから…」

律「みんな……ごめん!」

「謝ることないよー!」

「安心したー!」

「姫子ちゃんもう一人も倒しちゃえー!」


男B「仲間……か」カチャ

男B「俺もそんな高校時代送ってみたかったよ…」

ピーポーピーポー

男B「終わり………か」

72: 2010/08/14(土) 00:45:57.01
タッタッタ

警察官「銃を下ろせ!」

さわ子「良かったー、すぐ呼んでおいて」

姫子「グッジョブ!先生!」

男B「ククク………あはははは!」カチャ

警察官「銃を下ろしなさい!」

男B「捕まるくらいなら―――――、

その時、誰かがスッと私の横を駆けていった

警察官「!」

男「じ ゃ あ な」カチャ


澪「バカ!り―――――、

唯「!」
紬「!」
梓「!」

パーン

73: 2010/08/14(土) 00:47:58.67

アナウンサー「えーこの一連の犯行は全てこの三名で行われたものであり、この三名に対しては相当罪の重い判決が下されるでしょう。また…」


律「いやーあはは」ポリポリ

律「自分でも不思議だよ」

澪「軽症ですんだからいいものの」

律「ピストル耳につけた瞬間なんか勝手にさー…」

ギュッ

律「澪……?」

澪「良かった……本当に良かった」ポロポロ

律「泣くなよー」ナデナデ


ガラガラガラ


74: 2010/08/14(土) 00:49:34.79

澪「!」

律「!」

「うわあああ!」

唯「押すな押すなー!」

姫子「お幸せにー!」

律「あのなぁ……ここ病室。私患者。もうちょっと静かにしてもらえるかな?」

唯「えー、私達だって心配したんだよー?」


律「そうかそうか、ありがとうね」

唯「なんか気持ちこもってない」

「あははは!」



75: 2010/08/14(土) 00:51:31.89

梓「本当に良かったですね…何事もなくて」

さわ子「そうね…でもみんなの友情私にもちゃんと伝わったわよ?」

和「澪って律のことになると本気になりますよね」


澪「そりゃもちろん」

梓「ってうわっ!聞いてたんですか?」

澪「今私の面会時間が強制終了されて中は大変なことになってるよ」


和「"もちろん"何のよ」

さわ子「そうよ、その続きは?」

梓「言わないと帰らせませんよ!」

澪「え…とつまりもちろん」



76: 2010/08/14(土) 01:02:36.48


―――親友だから。


バタン


「あー、もう先生遅刻ー!」

「あれほど言ったのにー!」

「ひどーい」

澪「一度にそう罵声を浴びせられると私も辛いんだけど」

澪「で、今日は私に練習見てもらいたいんでしょ?」

「そうだけど、その前に」

澪「え、ちょっとなに?」

「座った座った!」
澪「あ、あの…」

「え?何その顔!ティータイムだよティータイム!」

77: 2010/08/14(土) 01:04:39.90

澪「まったく………」

「ティータイムと言えばさ先生?」

澪「なに?」

「先生は『放課後ティータイム』ってバンド知ってますか?」

澪「そのバンドがどうかした?」

「いや今日掃除してたらですね……じゃーん!」

澪「ずいぶん古そうね」

「まああの倉庫に残ってたCDですからね……で、聴いてみたらスゴいいいんですよ!」


澪「そう…」

「いつか私達もこんなバンドになりたいなーって皆で話してたんですよ!」

「ねーっ!」

澪「じゃあたくさん練習しなきゃね!」

「その前にティータイムです!」


78: 2010/08/14(土) 01:06:03.34
澪「待って…どうせなら私にも聴かせてくれない?その歌」

「はい、もちろん!」


ジャカジャカ♪


懐かしいな

今までの思い出が全部蘇ってくるみたいだ

楽しかったな

目を閉じると見える
あの時の星空のように綺麗な光景が


「ねー、いい曲だよ………ねって先生?」

澪「え?」

生徒の言葉で私は自分が泣いていることに気がついた

「やっぱりすごいよね?ね!」

澪「すごい……すごいね」ポロポロ

79: 2010/08/14(土) 01:08:12.02
あの時飲んだ紅茶の味やケーキの味なんて思い出せないけど、あの時の光景は今でも思い出せる

そこには笑顔のみんながいて私を手招きしている

そして私は呟く

―――目指すは武道館!


そうだ、またいつかみんなであの山へ行こう

もちろん曇った日じゃなく晴れた日に

そしてまた語ろう

あの時の思い出を夢を


「だからさ、先生私達決めたの!バンド名!」


澪「どういう名前?」

「せーの」


「放課後ティータイム!」

澪「…ってそれ一緒じゃない、いいの?」

80: 2010/08/14(土) 01:09:59.78
「このバンドを超えてやるんです……だからこれはこの人たちへの挑戦状!」

時代は回る

そして受け継がれていく

いつかこの子達にも綺麗な星空を見る日がやってくる

永遠なんてない、だからより光る

あのいつかした花火のように

澪「それなら武道館目指したら?」

「そうだ…それが一番手っとり早い!」
「武道館って…えー!?」

きっとさわ子先生もあの時こんな気持ちで私たちを見つめていたのかな

それならいつかこの子達にも話すことにしよう

あの日あの時みんなで過ごした軽音部の話を

あの甘くて愛しい夢の話を


いつかの夏の終わりに

おしまい

81: 2010/08/14(土) 01:11:39.20
乙!夏休みに相応しいSSだったな。

83: 2010/08/14(土) 01:17:17.43
おっつ

引用元: 澪「いつかの夏の終わりに」