1: 2012/06/22(金) 18:25:58.41
木崎「ええ・・・」
花山「・・・」
木崎「なんでもその・・・先代の・・・」
花山「・・・堅気の愛人との・・・」
木崎「まあ・・・ええ」
花山「・・・」
木崎「都内で一人暮らしをしながら中学校に通っているようですが・・・」
シュボッ
花山「・・・フゥ」
木崎「会ってみたいですか?」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1340357158/
花山「・・・」
木崎「なんでもその・・・先代の・・・」
花山「・・・堅気の愛人との・・・」
木崎「まあ・・・ええ」
花山「・・・」
木崎「都内で一人暮らしをしながら中学校に通っているようですが・・・」
シュボッ
花山「・・・フゥ」
木崎「会ってみたいですか?」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1340357158/
2: 2012/06/22(金) 18:26:38.32
花山「・・・中学・・・母親は」
木崎「・・・先日他界したらしいです、家賃や学費などはどうしているのか・・・」
花山「・・・堅気の話だ」
木崎「・・・はい」
花山「・・・」
木崎「失礼します」
花山「・・・木崎」
木崎「はい」
花山「・・・住所は」
ガサ
木崎「こちらに」
木崎「・・・先日他界したらしいです、家賃や学費などはどうしているのか・・・」
花山「・・・堅気の話だ」
木崎「・・・はい」
花山「・・・」
木崎「失礼します」
花山「・・・木崎」
木崎「はい」
花山「・・・住所は」
ガサ
木崎「こちらに」
3: 2012/06/22(金) 18:27:54.40
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
組員「行ってらっしゃい!」
花山「・・・」
木崎「本当にお一人で?」
花山「・・・」
木崎「それではっ、車を・・・」
花山「・・・いらねえ」
木崎「では・・・」
花山「木崎ィ」
木崎「はい!」
花山「・・・着替えを」
木崎「着替え?」
4: 2012/06/22(金) 18:28:43.45
花山「ダブルのスーツにエナメルじゃ・・・世間さんが驚いちまう」
木崎「誰か!おい!」
奥より現れたパンチパーマの中年男、新垣はあわてて木崎のもとへ走り寄る
新垣「はいっ!」
木崎「・・・もっと・・・若えのいねえか!」
新垣「若いのでしたら、先日入った・・・おい!」
壁にもたれかかり、携帯電話をいじくっている金髪の若い男は、その画面をニヤつきながら眺めていてこちらに気づかない
ヒロシ「・・・」
新垣「バカヤロウ!ヒロシ!てめえだよ!」
木崎「誰か!おい!」
奥より現れたパンチパーマの中年男、新垣はあわてて木崎のもとへ走り寄る
新垣「はいっ!」
木崎「・・・もっと・・・若えのいねえか!」
新垣「若いのでしたら、先日入った・・・おい!」
壁にもたれかかり、携帯電話をいじくっている金髪の若い男は、その画面をニヤつきながら眺めていてこちらに気づかない
ヒロシ「・・・」
新垣「バカヤロウ!ヒロシ!てめえだよ!」
5: 2012/06/22(金) 18:30:07.62
ヒロシ「・・・あ?自分すか?」
新垣「口の聞き方が・・・」
木崎「・・・まあいい、おい歳は?」
ヒロシ「あっ、歳すか?一応自分18っす!」
木崎「一応18か」
ゴツ
ヒロシ「いってえ!ハンパね」
新垣「普通にしゃべれねえのか!二代目の前だぞ!」
花山「・・・」
ヒロシ「パンチ兄ィいてえよ、もう~・・・自分これが、ガチの普通の状態なんすから」
木崎「・・・うーん」
花山「・・・おい」
新垣「は、はい!」
花山「お前じゃねえ」
ヒロシ「あっ、自分すか?」
新垣「口の聞き方が・・・」
木崎「・・・まあいい、おい歳は?」
ヒロシ「あっ、歳すか?一応自分18っす!」
木崎「一応18か」
ゴツ
ヒロシ「いってえ!ハンパね」
新垣「普通にしゃべれねえのか!二代目の前だぞ!」
花山「・・・」
ヒロシ「パンチ兄ィいてえよ、もう~・・・自分これが、ガチの普通の状態なんすから」
木崎「・・・うーん」
花山「・・・おい」
新垣「は、はい!」
花山「お前じゃねえ」
ヒロシ「あっ、自分すか?」
6: 2012/06/22(金) 18:30:40.76
新垣「しっ、失礼の無いようにな」
ヒロシ「わかってますってパンチ兄ィ、敬語系超得意入ってんすから」
悠々と花山の正面に歩み寄るヒロシ
新垣「ヤバイ・・・絶対ヤバイ」
花山「・・・」
ヒロシ「おっ、おつかるえっす!!」
新垣「ヒィ!」
ヒロシ「わかってますってパンチ兄ィ、敬語系超得意入ってんすから」
悠々と花山の正面に歩み寄るヒロシ
新垣「ヤバイ・・・絶対ヤバイ」
花山「・・・」
ヒロシ「おっ、おつかるえっす!!」
新垣「ヒィ!」
7: 2012/06/22(金) 18:31:18.73
木崎「・・・あのな」
ヒロシ「じ、自分一応空手とボクシングやってたんでえ・・・けっ、喧嘩のことだったらあ、なんとかお力になっちゃえるカンジに・・・」
木崎「いや、あのな」
新垣「・・・見ちゃおれんっ」
ダダダダッ
ガッ
ヒロシに駆け寄り、頭を掴み床に届きそうな程押し下げる新垣
新垣「す、すいやせんでしたー!」
ヒロシ「いてて、頭離してくださいよお、今日マジヘアー決まったんすから」
新垣「お前も謝れっ!・・・コロサレルゾッ」
木崎「・・・やれやれ、まったく」
花山「・・・おい・・・」
新垣「はい!!」
花山「お前じゃねえ」
ヒロシ「じ、自分一応空手とボクシングやってたんでえ・・・けっ、喧嘩のことだったらあ、なんとかお力になっちゃえるカンジに・・・」
木崎「いや、あのな」
新垣「・・・見ちゃおれんっ」
ダダダダッ
ガッ
ヒロシに駆け寄り、頭を掴み床に届きそうな程押し下げる新垣
新垣「す、すいやせんでしたー!」
ヒロシ「いてて、頭離してくださいよお、今日マジヘアー決まったんすから」
新垣「お前も謝れっ!・・・コロサレルゾッ」
木崎「・・・やれやれ、まったく」
花山「・・・おい・・・」
新垣「はい!!」
花山「お前じゃねえ」
8: 2012/06/22(金) 18:31:46.48
木崎「おめえだよ、聞いとけ」
木崎は眉をしかめてヒロシに人差し指を向けた
ヒロシ「・・・」
花山「・・・近頃の若え衆の・・・召しモンは・・・どんなんだ」
ヒロシ「・・・飯?すか?」
木崎「着るモンだよ、まあ~・・・そこらの女の子が・・・警戒しねえような服装な・・・」
ヒロシ「女?ナンパすか?」
新垣「ビクッ」
木崎「いや・・・んー」
花山「まあ、そんな所だ」
木崎は眉をしかめてヒロシに人差し指を向けた
ヒロシ「・・・」
花山「・・・近頃の若え衆の・・・召しモンは・・・どんなんだ」
ヒロシ「・・・飯?すか?」
木崎「着るモンだよ、まあ~・・・そこらの女の子が・・・警戒しねえような服装な・・・」
ヒロシ「女?ナンパすか?」
新垣「ビクッ」
木崎「いや・・・んー」
花山「まあ、そんな所だ」
9: 2012/06/22(金) 18:32:17.14
ヒロシ「まあ~・・・自分のお気に入ングはあ、一応『しまむら』っすね、ユニクロは手ぇ出せませんよ、セレブ過ぎて」
花山「しまむら・・・がいいのか」
木崎「別に安くなくていいんだぞ」
ヒロシ「マジすか?!ユニっちゃいます?」
木崎「ユニ・・・そこも安いだろ」
ヒロシ「でも、まあ二代目ガタイあるんでえ、B系がいっすかね」
花山「しまむら・・・がいいのか」
木崎「別に安くなくていいんだぞ」
ヒロシ「マジすか?!ユニっちゃいます?」
木崎「ユニ・・・そこも安いだろ」
ヒロシ「でも、まあ二代目ガタイあるんでえ、B系がいっすかね」
10: 2012/06/22(金) 18:32:48.99
ヒロシ「ナンパすんだったらB系だと引かれる可能性Maxっすよ」
木崎「・・・なんだかわかんねえが、普通のやつにしてくれ」
ヒロシ「じゃあ、レッツショッピングで」
木崎「おいおい・・・二人で行くんじゃねえんだから」
花山「・・・行くか」
木崎「エエ!?」
ヒロシは卒倒している新垣の肩を揺り起こそうと肩を掴んだ
ヒロシ「パンチ兄ィ!パンチ兄ィ!なに気絶してんすか!起きて下さいよ、電車賃貸して下さい!」
木崎「電・・・」
木崎「・・・なんだかわかんねえが、普通のやつにしてくれ」
ヒロシ「じゃあ、レッツショッピングで」
木崎「おいおい・・・二人で行くんじゃねえんだから」
花山「・・・行くか」
木崎「エエ!?」
ヒロシは卒倒している新垣の肩を揺り起こそうと肩を掴んだ
ヒロシ「パンチ兄ィ!パンチ兄ィ!なに気絶してんすか!起きて下さいよ、電車賃貸して下さい!」
木崎「電・・・」
11: 2012/06/22(金) 18:34:21.27
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
瓦作りの屋根にところどころ金色の装飾がされている、一風変わった造りのアパートの一室で仏壇の前に少女はいた
先ほど火をつけた線香の香りが部屋を包んで行く
チーン
妹「・・・お母さん・・・グス・・・私、強くなるね」
ピロロロンピロロロン
妹「む?電話・・・ん?カオルか・・・もしもーし」
カオル「モッシー、うっちだよー」
妹「わかるよ、名前出るし」
カオル「あ、そっかー!ねえ今日ひま?」
妹「うーん・・・あと洗濯して、部屋の掃除・・・」
カオル「そんなの後でいーじゃんか、ねえ遊びに行こうよ」
妹「・・・んー」
12: 2012/06/22(金) 18:34:49.89
カオル「ねえ、うちがこんなん言うのもなんだけどさ~、学校以外ずっとヒッキーモードだと・・・腐っちゃうよ?」
妹「・・・」
カオル「・・・気持ちは・・・わかるけど」
妹「・・・うん、そうだよね、カオルの言う通りだと思う」
カオル「ねっ!ねっ!じゃあさ、ディズニーランド行こ!」
妹「ディズニー・・・かあ、んー・・・取りあえず今日は買い物ぐらいにしとかない?」
カオル「オッケー!」
妹「・・・」
カオル「・・・気持ちは・・・わかるけど」
妹「・・・うん、そうだよね、カオルの言う通りだと思う」
カオル「ねっ!ねっ!じゃあさ、ディズニーランド行こ!」
妹「ディズニー・・・かあ、んー・・・取りあえず今日は買い物ぐらいにしとかない?」
カオル「オッケー!」
13: 2012/06/22(金) 18:35:21.88
ピンポーン
妹「あっ、誰か来た、カオルちょっと待って・・・あれ?切れてる?」
怪訝な顔を携帯電話に向けながら、玄関へ向かった
ペタペタ
妹「はーい・・・どちら、ハッ!」
ふと、氏んだ母の言葉が脳裏によぎった
母『一人のときに誰か来たら、武器を持ちなさい』
妹「お母さん・・・よっしゃ」
ガッ
妹「このりらっくまクッションで、一撃・・・って、武器がねー!」
?「うちだよ!もー、なに一人でやってんの」
痺れを切らし、友人カオルはドアの外から声を出してしまった
妹「カオル?」
ガチャ
妹「あっ、誰か来た、カオルちょっと待って・・・あれ?切れてる?」
怪訝な顔を携帯電話に向けながら、玄関へ向かった
ペタペタ
妹「はーい・・・どちら、ハッ!」
ふと、氏んだ母の言葉が脳裏によぎった
母『一人のときに誰か来たら、武器を持ちなさい』
妹「お母さん・・・よっしゃ」
ガッ
妹「このりらっくまクッションで、一撃・・・って、武器がねー!」
?「うちだよ!もー、なに一人でやってんの」
痺れを切らし、友人カオルはドアの外から声を出してしまった
妹「カオル?」
ガチャ
14: 2012/06/22(金) 18:35:59.55
妹「なに?外にいたの?」
カオル「せっかく脅かそうと思ったのに、自分でバラしちゃったよ」
妹「びっくりしたよ・・・さっきまで電話してたのに」
カオル「どーせ一人で家にいるだろうと思ってね」
ドアから外に首を出し、カオルの前で左右を確認した
妹「・・・入って」
カオル「どうしたの、怖い顔して」
バタン
カオル「せっかく脅かそうと思ったのに、自分でバラしちゃったよ」
妹「びっくりしたよ・・・さっきまで電話してたのに」
カオル「どーせ一人で家にいるだろうと思ってね」
ドアから外に首を出し、カオルの前で左右を確認した
妹「・・・入って」
カオル「どうしたの、怖い顔して」
バタン
15: 2012/06/22(金) 18:36:25.19
神妙な面持ちで、鍵を閉めチェーンを掛けた
カオル「ゴメン、怒った?」
妹「違うの・・・アパートの周りに・・・変な人いなかった?」
カオル「変な人?・・・いなかった、と思うけど」
妹「なんかね、最近・・・うちの周りに怪しい人がいる気がするの・・・だからなるべく、学校以外では外に出ないようにと思って」
カオル「えー?考え過ぎじゃない?」
カオル「ゴメン、怒った?」
妹「違うの・・・アパートの周りに・・・変な人いなかった?」
カオル「変な人?・・・いなかった、と思うけど」
妹「なんかね、最近・・・うちの周りに怪しい人がいる気がするの・・・だからなるべく、学校以外では外に出ないようにと思って」
カオル「えー?考え過ぎじゃない?」
17: 2012/06/22(金) 18:37:57.12
妹「・・・ううん違うと思う・・・昨日も学校の帰りに、後を着いてくる人がいて・・・怖くて、隣の部屋の男の人の部屋にかくまってもらったんだから」
カオル「隣・・・その人は大丈夫なの?」
妹「うん・・・全然いい人、日本の人じゃないみたいだけど、なんかケガしてたけど、スゴい強そうだし」
カオル「襲われないでよ?もー、怪しいなあー」
妹「それは大丈夫・・・そんな感じじゃないよ、お茶出してくれて『お嬢さんの口に合うかどうか』って、優しい表情で『物騒な世の中だから気を付けなさい』って」
カオル「隣・・・その人は大丈夫なの?」
妹「うん・・・全然いい人、日本の人じゃないみたいだけど、なんかケガしてたけど、スゴい強そうだし」
カオル「襲われないでよ?もー、怪しいなあー」
妹「それは大丈夫・・・そんな感じじゃないよ、お茶出してくれて『お嬢さんの口に合うかどうか』って、優しい表情で『物騒な世の中だから気を付けなさい』って」
18: 2012/06/22(金) 18:38:34.21
突然玄関の方へ顔を向け、身構えた
妹「!」
カオル「どうしたの?」
妹「ドアで、物音」
カオル「うそ・・・怖い」
ピンポーン
妹「・・・武器」
妹「!」
カオル「どうしたの?」
妹「ドアで、物音」
カオル「うそ・・・怖い」
ピンポーン
妹「・・・武器」
19: 2012/06/22(金) 18:39:24.49
キッチンの流し台に出しっぱなしの包丁を手に、玄関へ忍足で向かう
妹「・・・コイツでいくか」
カオル「こえーよ!あんたも」
妹「とりあえず、のぞき穴で・・・あっ」
カオル「知り合い?」
ホッとした表情をカオルに向け、チェーンを外し鍵を開けた
ガチャ
烈「昨日の忘れ物を届けに上がったのだが」
妹「あ、ありがとうございます」
カオル「・・・足」
妹「ちょっと、カオル、失礼だよ」
烈「ハハハ、ビックリしたかな?慣ればなんでも無いものだよ・・・あと、昨日の茶の葉だ、気に入っていただけたようだから」
妹「あっ、ありがとうございます」
妹「・・・コイツでいくか」
カオル「こえーよ!あんたも」
妹「とりあえず、のぞき穴で・・・あっ」
カオル「知り合い?」
ホッとした表情をカオルに向け、チェーンを外し鍵を開けた
ガチャ
烈「昨日の忘れ物を届けに上がったのだが」
妹「あ、ありがとうございます」
カオル「・・・足」
妹「ちょっと、カオル、失礼だよ」
烈「ハハハ、ビックリしたかな?慣ればなんでも無いものだよ・・・あと、昨日の茶の葉だ、気に入っていただけたようだから」
妹「あっ、ありがとうございます」
20: 2012/06/22(金) 18:40:45.07
烈「では、失礼する」
妹「あ、あの・・・隣にお住まいなんですか」
烈「・・・いや、住まいは別で世話になっている・・・ここは、何と言うか・・・建物が故郷の造りに似ていてね、私の部屋の内装も我が国の雰囲気になっていただろう・・・」
妹「え?あ!ああ・・・中国の?」
カオル「すぐ・・・気付けよ」
烈「言ってみれば、癒しの場として使わせてもらっている」
妹「だから、昨日始めて会ったんですね」
烈「たまにしか使わないからね、暫らく入院していたし昨日は幸運だったね」
妹「あ、あの・・・隣にお住まいなんですか」
烈「・・・いや、住まいは別で世話になっている・・・ここは、何と言うか・・・建物が故郷の造りに似ていてね、私の部屋の内装も我が国の雰囲気になっていただろう・・・」
妹「え?あ!ああ・・・中国の?」
カオル「すぐ・・・気付けよ」
烈「言ってみれば、癒しの場として使わせてもらっている」
妹「だから、昨日始めて会ったんですね」
烈「たまにしか使わないからね、暫らく入院していたし昨日は幸運だったね」
21: 2012/06/22(金) 18:43:46.69
烈「ご両親には相談したのかい?」
妹「いえ・・・私」
烈「!」
烈は娘の表情から察するやいなや、目にも止まらないスピードで床に座り込み、頭を伏せた
バババッ
烈「失礼した!無礼を許していただきたくッッ」
カオル「・・・なんて素早い土下座」
妹「ちょっ・・・」
烈「相手の心を踏み躙るが如き軽はずみな言動・・・純粋無垢なる例えるなれば無風の清水に立てた汚らわしき波紋ッッ!なんとお詫びしたら許されるだろうかッッ!!」
妹「チャイナさん落ち着いて!」
カオル「チャイナさん!?」
妹「いえ・・・私」
烈「!」
烈は娘の表情から察するやいなや、目にも止まらないスピードで床に座り込み、頭を伏せた
バババッ
烈「失礼した!無礼を許していただきたくッッ」
カオル「・・・なんて素早い土下座」
妹「ちょっ・・・」
烈「相手の心を踏み躙るが如き軽はずみな言動・・・純粋無垢なる例えるなれば無風の清水に立てた汚らわしき波紋ッッ!なんとお詫びしたら許されるだろうかッッ!!」
妹「チャイナさん落ち着いて!」
カオル「チャイナさん!?」
22: 2012/06/22(金) 18:46:52.55
娘は烈をなだめようと、肩に手をやった
妹「頭を上げ・・・あた・・・ものすごいふんばってる・・・」
烈「許しを・・・中国4000年をかけて許しをいただくまでは頭を上げる訳には・・・」
カオル「とんでもねえスケールの話に・・・」
妹「許します!許します!って言うかもともと怒ってないし!」
カオル「なんも言ってないしね」
妹「頭を上げ・・・あた・・・ものすごいふんばってる・・・」
烈「許しを・・・中国4000年をかけて許しをいただくまでは頭を上げる訳には・・・」
カオル「とんでもねえスケールの話に・・・」
妹「許します!許します!って言うかもともと怒ってないし!」
カオル「なんも言ってないしね」
23: 2012/06/22(金) 18:52:12.94
頭を上げた烈に微笑み、静かに話し始める
妹「・・・父も母も亡くなりました・・・」
烈「・・・なんと・・・私としたことが」
妹「でも・・・本当についさっきまで落ち込んでたけど・・・いつまでも落ち込んでいられないもんね、カオルもいるし」
カオル「も・・・、ね、でもいーよ、あんたが元気になったんなら」
烈「・・・お許しいただきたい」
妹「もう許したってば・・・いいですよ」
烈「見縊っていた・・・女性の、それも見たところ・・・二人とも落ち着いて見えるが学生であろう」
カオル「中学生だよ」
烈「中学・・・なんと・・・」
烈は改めて姿勢を正した
烈「私には君達に本物の絆が見える・・・拳を交えた者以外には・・・生まれ無いと思っていた・・・絆が・・・素晴らしいことだ」
カオル「いちいち大げさだなあ、チャイナさん」
妹「あの・・・たまに、本当にたまにでいいので、顔を出していただけませんか?」
反省の面持ちから烈の頬はほころび、二人に笑ってみせた
烈「喜んで!」
妹「・・・父も母も亡くなりました・・・」
烈「・・・なんと・・・私としたことが」
妹「でも・・・本当についさっきまで落ち込んでたけど・・・いつまでも落ち込んでいられないもんね、カオルもいるし」
カオル「も・・・、ね、でもいーよ、あんたが元気になったんなら」
烈「・・・お許しいただきたい」
妹「もう許したってば・・・いいですよ」
烈「見縊っていた・・・女性の、それも見たところ・・・二人とも落ち着いて見えるが学生であろう」
カオル「中学生だよ」
烈「中学・・・なんと・・・」
烈は改めて姿勢を正した
烈「私には君達に本物の絆が見える・・・拳を交えた者以外には・・・生まれ無いと思っていた・・・絆が・・・素晴らしいことだ」
カオル「いちいち大げさだなあ、チャイナさん」
妹「あの・・・たまに、本当にたまにでいいので、顔を出していただけませんか?」
反省の面持ちから烈の頬はほころび、二人に笑ってみせた
烈「喜んで!」
24: 2012/06/22(金) 19:04:30.21
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
人混みの商店街、毎日のようにカップルや親子連れの人々が行き交う
だが、一部いつもと違う部分があった
大量のビー玉に端から指を入れて行くように、人混みが避けて行く
花山と肩を並べて歩いているヒロシは、その裂け目を気分良さそうに闊歩していた
ザワザワ
ヒロシ「・・・二代目、やっぱ目立ちますねえ、完全人込みがモーゼモードっすよ」
花山「・・・」
ヒロシ「普通かぁ・・・このガタイを普通に見せるには・・・あっ!あの店入ってみましょうよ」
ヒロシが指差した店の看板には『大きいサイズの店』と書かれていた
迷わず入って行くヒロシ
ヒロシ「おう!店長いるか?!」
25: 2012/06/22(金) 19:07:22.52
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山組、落ち着かない様子で部屋の中を行ったり来たりしている新垣
ウロウロ
新垣「・・・ダイジョウブカナ・・・」
木崎「おい、落ち着けよ」
新垣「は、はいっ・・・しかし」
木崎「大丈夫だよ、よっぽどのことがなきゃ二代目が若造に手上げるこたあねえよ」
パンチ「はい、しかし、二代目に失礼が・・・」
木崎「失礼の話をすりゃ、もうとっくに失礼だ・・・だがよ」
パンチ「は、はいっ」
木崎「なんだか・・・今日は機嫌がいいみてえだったぜ?」
26: 2012/06/22(金) 19:12:59.66
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
二人が入った洋服屋は、大きいサイズの服専門店
ヒロシは店の奥へ威嚇するように声を上げた
花山「おい」
ヒロシ「ええ、任しといて下さいよ、二代目に似合わねえの用意しようもんなら・・・」
花山「普通にやらせろ」
ヒロシ「え?あっ、はい」
店長「い、い、い、いらっしゃしゃいままませ」
花山「・・・普通に見えるヤツ頼む」
店長「そ、うですね・・・でしたら、こちらのスリム系デニムなんかは・・・」
ヒロシ「ああ?!二代目にデニムだあ?なめてんのか?!」
花山「・・・くれ」
ヒロシ「ええ?!」
27: 2012/06/22(金) 19:15:23.67
店長「一度・・・お召しになったほうが」
花山「・・・そうだな」
ヒロシ「二代目が・・・試着・・・」
店員の持つジーンズを囲み、あれこれやりとりしていると、店の入り口に現れた巨大な影
店長「あ!いらっしゃいませ!」
ヒロシ「なんだあいつ・・・でけえ」
花山「・・・あれは・・・」
花山「・・・そうだな」
ヒロシ「二代目が・・・試着・・・」
店員の持つジーンズを囲み、あれこれやりとりしていると、店の入り口に現れた巨大な影
店長「あ!いらっしゃいませ!」
ヒロシ「なんだあいつ・・・でけえ」
花山「・・・あれは・・・」
28: 2012/06/22(金) 19:28:57.16
ジャック「マタ服がボロボロになっちまった・・・」
店長「毎度ありがとうございます!」
花山「・・・」
ヒロシ「二代目より全然でけえ・・・」
ジャック「・・・ン?」
店長「毎度ありがとうございます!」
花山「・・・」
ヒロシ「二代目より全然でけえ・・・」
ジャック「・・・ン?」
29: 2012/06/22(金) 19:40:22.97
ジャック「オオ・・・ミスターハナヤマ、ショッピングかい?」
ヒロシ「!二代目・・・マブな感じすか?」
花山「・・・怪我はいいのか」
ジャック「ハハハ!生きてりゃケガは尽きないゼ!ボス!」
花山「・・・フッ」
ヒロシ「二代目がわらったあ・・・」
ジャック「ソレ・・・アンタが履くのカイ?」
花山「・・・試しにな」
ジャック「試し・・・アンタらしくねえセリフだな・・・」
ヒロシ「ああ?こらあ!外人!!喧嘩売ってんのかあ?!」
花山「・・・やめとけ」
花山はヒロシを制し、ジャックに顔を向けた
花山「・・・なあ」
ジャック「・・・ン?」
ヒロシ「!二代目・・・マブな感じすか?」
花山「・・・怪我はいいのか」
ジャック「ハハハ!生きてりゃケガは尽きないゼ!ボス!」
花山「・・・フッ」
ヒロシ「二代目がわらったあ・・・」
ジャック「ソレ・・・アンタが履くのカイ?」
花山「・・・試しにな」
ジャック「試し・・・アンタらしくねえセリフだな・・・」
ヒロシ「ああ?こらあ!外人!!喧嘩売ってんのかあ?!」
花山「・・・やめとけ」
花山はヒロシを制し、ジャックに顔を向けた
花山「・・・なあ」
ジャック「・・・ン?」
30: 2012/06/22(金) 19:41:15.01
花山「・・・兄弟・・・」
ジャック「ナニ?」
花山「兄弟ってのは・・・どんな感じだ」
ジャック「・・・」
ヒロシ「・・・?」
ジャック「ナニ?」
花山「兄弟ってのは・・・どんな感じだ」
ジャック「・・・」
ヒロシ「・・・?」
32: 2012/06/22(金) 19:47:26.93
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アパートの部屋の線香の香りは、烈の煎じた茶の臭いで優しく消されていった
コポコポ
烈「・・・お待たせした」
妹「ンー・・・いい香り」
カオル「・・・ふぅーん」
カチャカチャ
烈「時間はいいのかな?二人で出かけるはずだったのでは・・・」
カオル「いーのいーの、どーせこの娘の気晴らしさせたかっただけだし」
妹「・・・カオル」
烈はカオルの一言に笑いかけ、テーブルに茶碗を置きながら話し始めた
烈「・・・我が国の国民は、愛国心が強い・・・誇りに思う、そして・・・また謝ることになってしまうかな・・・日本には愛国心のある者が・・・失礼ながら、いないと思っていた」
妹「・・・」
カオル「間違ってないと思う」
烈「・・・愛国心の無い者は・・・『愛』を知らない者、人との繋がりが・・・深く保てない者・・・」
カオル「・・・つまり日本人は人を愛せないと」
烈「思っていた・・・」
33: 2012/06/22(金) 19:53:47.92
カオル「そう考えるのも仕方ないと思うよ・・・だってうちも正直・・・」
妹「・・・」
烈「・・・さあ、冷めないうちに・・・」
カオル「あ、はーい」
カオルは柔らかい香りのする薄茶色の茶を口に運んだ
カオル「・・・おい・・・しい!」
妹「ね!おいしいよね!」
烈「謝謝・・・そう、そうなんだ、君達の繋がりを見ていると・・・自分の愛国心すら・・・些細なことに思えてくる」
妹「チャイナさん・・・」
烈「国境すら・・・ね」
カオル「いいこと言うわあ・・・」
烈「最近・・・なんだか情緒的でね・・・」
烈は照れたように笑い、慣れた手つきで茶碗を口にした
妹「・・・」
烈「・・・さあ、冷めないうちに・・・」
カオル「あ、はーい」
カオルは柔らかい香りのする薄茶色の茶を口に運んだ
カオル「・・・おい・・・しい!」
妹「ね!おいしいよね!」
烈「謝謝・・・そう、そうなんだ、君達の繋がりを見ていると・・・自分の愛国心すら・・・些細なことに思えてくる」
妹「チャイナさん・・・」
烈「国境すら・・・ね」
カオル「いいこと言うわあ・・・」
烈「最近・・・なんだか情緒的でね・・・」
烈は照れたように笑い、慣れた手つきで茶碗を口にした
34: 2012/06/22(金) 19:59:25.71
烈は唇に茶碗が付く寸前に、手を止めた
そして玄関の方へ鋭く目を向け、そちらへ歩み寄った
カオル「ん?どうし・・・」
妹「シッ!」
烈「・・・」
烈はドアの覗き穴を覆うように唇を被せ、瞬時に矢のような吐息を吐き出した
プンッ
「うあああああああ!」
ドアの外から聞こえてきた悲鳴
それと同時に逃げ去る足音
タタタタ
カオル「なに?!」
烈「捕えましょうか?姫」
カオル「イヤン、姫て」
妹「・・・もう逃げちゃったよ」
烈「まだ十分追い付く」
妹「ううん・・・いい」
カオル「・・・昨日の・・・着けてきたヤツ?」
そして玄関の方へ鋭く目を向け、そちらへ歩み寄った
カオル「ん?どうし・・・」
妹「シッ!」
烈「・・・」
烈はドアの覗き穴を覆うように唇を被せ、瞬時に矢のような吐息を吐き出した
プンッ
「うあああああああ!」
ドアの外から聞こえてきた悲鳴
それと同時に逃げ去る足音
タタタタ
カオル「なに?!」
烈「捕えましょうか?姫」
カオル「イヤン、姫て」
妹「・・・もう逃げちゃったよ」
烈「まだ十分追い付く」
妹「ううん・・・いい」
カオル「・・・昨日の・・・着けてきたヤツ?」
38: 2012/06/22(金) 21:05:20.99
烈「ちらと見えたが・・・まともな職についているようには、見えなかったな」
妹「・・・」
カオル「やだ、ヤクザ?」
烈「一概には言えないが」
妹「・・・」
カオル「やだ、ヤクザ?」
烈「一概には言えないが」
40: 2012/06/22(金) 21:23:12.53
商店街の角にあるオープンカフェは、装飾と背反して異様な空気に包まれていた
原因は、巨大な身体の極道の男と、それ以上に大きい2メートルを越す白人の男と、若いチンピラの三人組が座る席から発する雰囲気だった
ジャック「アンタとカフェに来ることになるとはなァ」
花山「・・・」
ヒロシ「・・・これは・・・どんな状況だよ、まったく・・・」
ジャックの向かいに座る花山が、店に入って初めて口を開いた
花山「・・・妹が・・・」
ヒロシ「・・・え?二代目、妹萌え?」
ジャック「俺はな、ミスターハナヤマ・・・兄弟がいることを知ったのが・・・トーナメントの1週間前だった・・・」
ジャックはカップの中のコーヒーを飲み干すと、獣のような青い目をむき出した
ジャック「闘争の勝利の為なら、兄弟の絆など、犬に食わせてやろうと思ったゼ」
ハナヤマ「・・・」
ジャック「つまり、とっくに脳みそに、くすりがまわっていた訳だ、ハハハハハハ!!」
ヒロシ「こいつ・・・あぶねー」
原因は、巨大な身体の極道の男と、それ以上に大きい2メートルを越す白人の男と、若いチンピラの三人組が座る席から発する雰囲気だった
ジャック「アンタとカフェに来ることになるとはなァ」
花山「・・・」
ヒロシ「・・・これは・・・どんな状況だよ、まったく・・・」
ジャックの向かいに座る花山が、店に入って初めて口を開いた
花山「・・・妹が・・・」
ヒロシ「・・・え?二代目、妹萌え?」
ジャック「俺はな、ミスターハナヤマ・・・兄弟がいることを知ったのが・・・トーナメントの1週間前だった・・・」
ジャックはカップの中のコーヒーを飲み干すと、獣のような青い目をむき出した
ジャック「闘争の勝利の為なら、兄弟の絆など、犬に食わせてやろうと思ったゼ」
ハナヤマ「・・・」
ジャック「つまり、とっくに脳みそに、くすりがまわっていた訳だ、ハハハハハハ!!」
ヒロシ「こいつ・・・あぶねー」
42: 2012/06/22(金) 21:29:05.76
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アパートの三人は茶を飲み終えた
そして、烈は二人に申し訳なさそうに話し始めた
烈「今夜は・・・私はここにいることが出来ない」
妹「そう・・・ですよね」
カオル「チャイナさんもいそがしいんだね」
烈「だが・・・私の世話になっている道場に来るといい」
妹「え?」
烈「日本中のどこよりも安全な場所だ、話をつけてみよう」
カオル「道場・・・プロレスとかの人?」
烈「まあ、そんなところだ」
43: 2012/06/22(金) 21:37:07.50
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
烈が道場に電話をかけ、了承を得ると、間もなくして烈の電話が鳴った
ピロロロンピロロロン
ピッ
烈「・・・私だ・・・うむ、ご苦労様、わざわざ君が来てくれるとはね・・・ああ、今出るよ」
妹「本当にいいんですか?」
烈「話は通してある、総帥直々だ」
カオル「よかったじゃん」
妹「なんか緊張するなあ・・・」
烈「さあ、いこうか」
44: 2012/06/22(金) 21:41:57.28
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山とヒロシはジャックと別れ、来た時と同様電車で商店街のあった街から離れて、駅のホームに降り立った
ヒロシ「・・・結局服買わなかったっすね」
花山「・・・」
ヒロシ「二代目って・・・妹いたんすか?」
花山「・・・今日知った」
ヒロシ「そうすか・・・自分一人っ子だから、気持ちわかんないすけど・・・ちょいうらやましいっすね」
花山「・・・そうか」
ピンポーン
ヒロシ「あ!二代目!キップいれないと!」
花山「・・・」
ヒロシ「行きにもやったじゃないすか、もー」
花山「・・・」
45: 2012/06/22(金) 21:50:15.76
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
二人が組に戻ると、入り口の前の組員が迎え入れた
組員「おかえりなさい!」
ヒロシ「二代目、楽しかったっすね」
花山「・・・」
ヒロシ「また、遊びにいきましょうね」
花山「・・・」
ヒロシ「・・・なんて・・・すんません・・・じゃあ、自分帰ります」
花山「・・・ヒロシ」
ヒロシ「は、はいっ」
ヒロシに背を向けていた花山は、振り返り軽く唇の端を上げてみせた
花山「・・・また付き合え」
ヒロシ「え・・・あ、はい!喜んで!」
46: 2012/06/22(金) 23:26:02.22
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
三人は荷物をまとめ、アパートの前に立ち待っていると、一台の車がこちらへ向かって来た
プップッー
烈「あの車だ」
末堂「烈さーん!こっちですよー!」
カオル「なんか・・・怖そうな人」
烈「ハハハ、見かけよりずっと優しいよ」
妹「よろしくお願いします」
末堂「おお、烈先生の頼みとあっちゃあ断れねえや」
カオル「先生なんだ・・・」
末堂「君達の想像してる以上にスゴい人だぜ」
烈「・・・」
カオル「赤くなってる!かわいー」
47: 2012/06/22(金) 23:34:47.84
妹「ちょっとカオルー」
烈「いや、いいんだ」
カオル「じゃあうちは帰るね」
妹「カオル、今日はありがとね、本当に」
カオル「フフ、今度ディズニーランドね!チャイナさんもまたね!」
烈「きっとまた会えるだろう・・・再見」
末堂「なんだい、君も送ってくぜ」
カオル「近いからいいの、ありがとう怖い人」
末堂「・・・怖い人」
カオル「ウソウソ、じゃあね!」
妹「じゃあね!」
バタンバタン ブーン
烈は助手席に、娘は後部座席に乗り込み
車は出発した
妹「本当にいいのかなあ・・・」
烈「人との縁は大切にするものだよ」
末堂「まあ、肩肘張らずに気軽にな・・・ほらお友達まだ手を振ってるぜ」
妹「ほんと・・・え?!」
ルームミラーが映したのは、黒服の二人組に取り押さえされているカオルの姿だった
烈「車を止めてくれ!!」
烈「いや、いいんだ」
カオル「じゃあうちは帰るね」
妹「カオル、今日はありがとね、本当に」
カオル「フフ、今度ディズニーランドね!チャイナさんもまたね!」
烈「きっとまた会えるだろう・・・再見」
末堂「なんだい、君も送ってくぜ」
カオル「近いからいいの、ありがとう怖い人」
末堂「・・・怖い人」
カオル「ウソウソ、じゃあね!」
妹「じゃあね!」
バタンバタン ブーン
烈は助手席に、娘は後部座席に乗り込み
車は出発した
妹「本当にいいのかなあ・・・」
烈「人との縁は大切にするものだよ」
末堂「まあ、肩肘張らずに気軽にな・・・ほらお友達まだ手を振ってるぜ」
妹「ほんと・・・え?!」
ルームミラーが映したのは、黒服の二人組に取り押さえされているカオルの姿だった
烈「車を止めてくれ!!」
48: 2012/06/22(金) 23:38:42.75
キキーッ
末堂は状況を察し、車を急ブレーキさせた
妹「カオル!!やだ!連れていかれちゃう!どうしよう!」
ザッ
車から飛び降りる烈と末堂
烈「間に合うか!?」
末堂「任せといて下さい、細い道に入った・・・靴脱いで走ったほうが早えや」
スポンスポン タタタタ
末堂は靴を脱ぎ捨て、裸足でカオルが連れ去られた細道へ走った
妹「は・・・早い」
烈「ここは彼に任せよう」
末堂は状況を察し、車を急ブレーキさせた
妹「カオル!!やだ!連れていかれちゃう!どうしよう!」
ザッ
車から飛び降りる烈と末堂
烈「間に合うか!?」
末堂「任せといて下さい、細い道に入った・・・靴脱いで走ったほうが早えや」
スポンスポン タタタタ
末堂は靴を脱ぎ捨て、裸足でカオルが連れ去られた細道へ走った
妹「は・・・早い」
烈「ここは彼に任せよう」
49: 2012/06/22(金) 23:44:55.43
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
腕を掴み、押さえ込もうとする黒服の二人組に身体全体を使って必氏に抵抗するカオル
黒服A「こいつっ!大人しくしやがれ!」
黒服B「暴れるな!」
カオル「さわんじゃねーよ!てめー!キー!」
黒服A「待て!こいつ・・・写真と違う?」
黒服の片割れが、カオルの顔を覗き込み、何かに気付くと同時に、路地に飛び込んで来た末堂の脚刀が襲う
末堂「シャア!!」
バコーン
黒服A「ぐあ!」
末堂「裸足の蹴りは痛えだろう」
黒服B「なんだてめ・・・でけえ」
末堂「シャッ!」
黒服B「ゲフッ」
もう一人も末堂のキックの餌食となった
カオル「こ、怖い人~」
末堂「・・・怖い人・・・」
腕を掴み、押さえ込もうとする黒服の二人組に身体全体を使って必氏に抵抗するカオル
黒服A「こいつっ!大人しくしやがれ!」
黒服B「暴れるな!」
カオル「さわんじゃねーよ!てめー!キー!」
黒服A「待て!こいつ・・・写真と違う?」
黒服の片割れが、カオルの顔を覗き込み、何かに気付くと同時に、路地に飛び込んで来た末堂の脚刀が襲う
末堂「シャア!!」
バコーン
黒服A「ぐあ!」
末堂「裸足の蹴りは痛えだろう」
黒服B「なんだてめ・・・でけえ」
末堂「シャッ!」
黒服B「ゲフッ」
もう一人も末堂のキックの餌食となった
カオル「こ、怖い人~」
末堂「・・・怖い人・・・」
50: 2012/06/22(金) 23:48:45.45
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山組組長室、レザーの椅子に腰掛ける花山の前に立つ神妙な面持ちの木崎
花山「・・・紅蓮会?」
木崎「金の為ならなんでもやるそうです」
花山「・・・」
木崎「最近至るところで、やりたい放題・・・ガキの集まりがそのまま大人になったような連中です」
花山「・・・耳に入れておく」
木崎「はい・・・ところで、あの・・・いかがいたしやしょう」
花山「・・・」
木崎「妹さん・・・若い衆でも使って、連れて来させますか」
花山「・・・やめとけ」
木崎「・・・はい」
花山「極道が・・・素人に関わるモンじゃねえな・・・」
花山は軽く笑い、煙草に火を着けた
木崎「・・・二代目」
51: 2012/06/22(金) 23:51:58.64
コンコン
木崎「おう、入れ」
ノックの音に木崎が返事をすると、新垣がただ事では無い様子で飛び込んできた新垣
「失礼しやす!」
木崎「なんだ、騒々しい」
新垣「あの・・・」
木崎「はっきりしやがれ、何があった」
新垣「ヒッ、ヒロシが・・・」
花山「・・・どうした」
新垣「拉致されたようです」
花山「!」
木崎「おう、入れ」
ノックの音に木崎が返事をすると、新垣がただ事では無い様子で飛び込んできた新垣
「失礼しやす!」
木崎「なんだ、騒々しい」
新垣「あの・・・」
木崎「はっきりしやがれ、何があった」
新垣「ヒッ、ヒロシが・・・」
花山「・・・どうした」
新垣「拉致されたようです」
花山「!」
52: 2012/06/23(土) 00:07:22.81
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
末堂とカオルは、気を失った黒服を見下ろし怪訝な表情をうかべていた
カオル「怖かった~怖い人~」
末堂「怖い人って言うな、まったく、何者なんだこいつら・・・」
末堂は服を掴み、顔を確認しようと片手で軽々引き起こすと、胸元に光るピンバッヂに気づいた
グイ
末堂「関東・・・紅蓮会?」
そこに駆け寄って来た娘と烈
妹「カオル!大丈夫だった?!」
カオル「大丈夫だったよ~、可愛く生まれてくるんじゃなかった~」
烈「・・・この服装、先程の」
末堂「とんだ人違いだったみてえだぜ・・・ほら見ろよ」
黒服の内ポケットを調べた末堂は一枚の写真を見つけていた
シュッ
妹「・・・私の写真」
カオル「人違い?」
末堂「多分この黒服は金で雇われた奴等だ」
烈「このアパートに一人で住む中学生を・・・攫えと」
妹「・・・私」
53: 2012/06/23(土) 00:10:15.77
暫くの沈黙の後、娘は意を決したように口を開いた
妹「・・・実は」
烈「事を急くことはない」
烈は肩に手を置き、落ち着かせるように優しく声をかけた
末堂「そうだな、まず道場まで行って・・・こいつら締め上げねえと・・・あっと、カオルちゃんだっけか?やっぱり送ったほうが良さそうだな」
カオル「うちも道場行く!」
末堂「ああ?」
妹「カオル・・・目がハートになってる」
末堂「なんだあ?」
ギュッ
カオル「すごーい太い腕・・・ステキ」
妹「さっきまで、怖い人とか言ってたくせに・・・」
カオル「男は顔じゃないの!」
末堂「・・・なんか、複雑」
烈「そうだな、君ももう巻き込まれている・・・彼女の話を詳しく聞いておいたほうがいいかもしれない」
妹「・・・実は」
烈「事を急くことはない」
烈は肩に手を置き、落ち着かせるように優しく声をかけた
末堂「そうだな、まず道場まで行って・・・こいつら締め上げねえと・・・あっと、カオルちゃんだっけか?やっぱり送ったほうが良さそうだな」
カオル「うちも道場行く!」
末堂「ああ?」
妹「カオル・・・目がハートになってる」
末堂「なんだあ?」
ギュッ
カオル「すごーい太い腕・・・ステキ」
妹「さっきまで、怖い人とか言ってたくせに・・・」
カオル「男は顔じゃないの!」
末堂「・・・なんか、複雑」
烈「そうだな、君ももう巻き込まれている・・・彼女の話を詳しく聞いておいたほうがいいかもしれない」
54: 2012/06/23(土) 00:14:34.53
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山組では組員達が慌ただしく動いていた
木崎「すぐ車用意しろやッッ!!」
新垣「は、はい!!」
花山「・・・ヒロシ」
組員「車回しましたあ!」
木崎「カチコミじゃあ!!」
バタンバタン ブロロロ
花山、木崎、新垣が車に乗り込むと直ぐに発車した
木崎「場所は?」
新垣「はい!二丁目の工場跡に・・・向こうから電話が来て、来いと」
花山「・・・目的は俺か」
55: 2012/06/23(土) 00:26:05.01
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
道場へ向かう末堂の車は追い越し車線を少し早いスピードで走っていた
烈「もう少しで到着だ」
ブロロロ
そこで隣の車線を猛スピードで追い越した一台の車
末堂「おお!あぶね!なんだあの黒塗り、飛ばしてやがんなあ!ヤクザか?」
カオル「ヤダー、きょわーい」
ギュッ
末堂「バカやろ!運転中に腕なんか組むな、あぶねーだろ」
烈「ハハハ」
妹「・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ブロロロ
新垣「・・・今追い越した車の運転手、随分でけえ野郎でしたね・・・レスラー?」
木崎「無駄口叩いてねえで急げ!」
新垣「はいっ!」
花山「・・・」
56: 2012/06/23(土) 00:35:09.30
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
末堂の車は神心会館本部に到着した
キッ
末堂「着いたぜ・・・おい、離れろよ!誤解される・・・」
そこに運転席の窓を叩く音
コンコン
末堂「あ?誰だ・・・あッッ!!」
烈「ご協力、痛み入ります」
カオル「か、海賊?」
窓の外には鋼の様な肉体を道着の胸元から覗かせた、愚地独歩がニヤついた顔で立っていた
独歩「す~え~どぉ~~~」
末堂「館長!」
独歩「もう館長じゃっつってんだろ、この口Oコン」
末堂「ち、違・・・おい離れろ」
カオル「やだよー」
独歩「こっちは末堂の女だとして・・・話してたのはこっちのお嬢ちゃんかい?」
妹「ご迷惑おかけします」
57: 2012/06/23(土) 00:38:41.57
独歩「ほう、若ぇのに、なかなか礼儀正しいじゃねえか、気に入ったぜ」
烈「空いている宿直室を使わせていただければと・・・」
独歩「おお、まあ俺はもうココの責任者じゃねえからな、克巳にゃ話してあるからよ」
烈「有り難うございます」
独歩「まあ、高級スイートルームとはいかねえがよ、なかなか悪くねえ部屋だぜ?」
妹「お世話になります」
独歩「ラブホテルでもねえからな!末堂指導員!」
末堂「勘弁してくださいよ・・・もう・・・あと、後ろのトランクを見てもらえますか」
独歩「ああ?」
独歩は末堂の言葉に車の後ろに周り、トランクの取っ手を引いた
バコン
独歩「なんだあ!話より随分お客様が多いじゃねえか、ええ?」
烈「こちらも丁重にご案内致しましょう」
烈「空いている宿直室を使わせていただければと・・・」
独歩「おお、まあ俺はもうココの責任者じゃねえからな、克巳にゃ話してあるからよ」
烈「有り難うございます」
独歩「まあ、高級スイートルームとはいかねえがよ、なかなか悪くねえ部屋だぜ?」
妹「お世話になります」
独歩「ラブホテルでもねえからな!末堂指導員!」
末堂「勘弁してくださいよ・・・もう・・・あと、後ろのトランクを見てもらえますか」
独歩「ああ?」
独歩は末堂の言葉に車の後ろに周り、トランクの取っ手を引いた
バコン
独歩「なんだあ!話より随分お客様が多いじゃねえか、ええ?」
烈「こちらも丁重にご案内致しましょう」
58: 2012/06/23(土) 00:41:51.74
独歩「ん?こりゃあ」
末堂「知ってる顔ですか?」
独歩「いや・・・」
独歩は黒服の胸元のピンバッヂを引きちぎった
ブチ
独歩「・・・紅蓮会じゃねえか」
烈「ご存知で?」
独歩「ヤクザよりタチの悪りいチンピラ武道家崩れ集団だって評判だぜ、ケッ」
末堂「・・・武道家」
独歩「見たところこいつらは使いっパシリだ・・・黒服は一番下の階級らしい、くだらねえ」
末堂「階級?」
カオル「一番ザコだったのね、ムカつくー!」
烈「どうやらこの娘は、その紅蓮会に狙われているようです、くわしい話は・・・後で聞きますが」
妹「・・・お母さん」
カオル「・・・」
末堂「知ってる顔ですか?」
独歩「いや・・・」
独歩は黒服の胸元のピンバッヂを引きちぎった
ブチ
独歩「・・・紅蓮会じゃねえか」
烈「ご存知で?」
独歩「ヤクザよりタチの悪りいチンピラ武道家崩れ集団だって評判だぜ、ケッ」
末堂「・・・武道家」
独歩「見たところこいつらは使いっパシリだ・・・黒服は一番下の階級らしい、くだらねえ」
末堂「階級?」
カオル「一番ザコだったのね、ムカつくー!」
烈「どうやらこの娘は、その紅蓮会に狙われているようです、くわしい話は・・・後で聞きますが」
妹「・・・お母さん」
カオル「・・・」
59: 2012/06/23(土) 01:47:39.30
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山達の車は工場跡にたどり着いていた
三人は粉っぽい臭いのする工場の中に、入って行った
カツカツ
木崎「おう!!来てやったぞコラあ!!」
新垣「ヒロシ!いるか!?」
花山「・・・」
『なんだあ?三人だけかあ?』
軽薄な男の声が工場の中に響いた
木崎「どこだあ!」
新垣「この建物の周り組員で囲んだあ!逃げ場はねえと思え!!」
工場の高い所にあるギャラリーのような通路に、濃い青色のスーツを着た男が現れた
コツコツ
藍「ようこそ、僕の巣へ」
木崎「あんだとぉ?!コラァ!!!」
『ドン!!ドン!!』
ガラガラガラガラ
木崎が怒鳴り声を上げ、男を威嚇すると同時に、左右の壁から爆発音が響き、壁は瓦礫と化した
花山「?!」
60: 2012/06/23(土) 01:48:52.26
木崎「発破か?!」
藍「この建物には至るところに爆弾がしかけてあるからね、気を付けてね~」
新垣「ヒロシをどこにやった?!」
藍「ねえ・・・あんたさあ、大層な喧嘩自慢なんだってねえ」
花山「・・・」
藍「爆弾と喧嘩しても勝てるかなあ?」
花山「・・・」
藍「この建物には至るところに爆弾がしかけてあるからね、気を付けてね~」
新垣「ヒロシをどこにやった?!」
藍「ねえ・・・あんたさあ、大層な喧嘩自慢なんだってねえ」
花山「・・・」
藍「爆弾と喧嘩しても勝てるかなあ?」
花山「・・・」
61: 2012/06/23(土) 01:53:13.77
木崎「何が目的だコラあ!!」
藍「目的?んー・・・お金、かな?」
木崎「ああ?」
藍「でも・・・あんたらを始末したい理由は別、商売しにくいんだよね、あんたらみたいな真面目なヤクザ屋さんがいるとさ、クライアントも皆ビビっちまうんだよ」
花山「・・・」
藍「花山が怖いからってさ!」
木崎「やっぱりな・・・紅蓮会か」
藍「だから今日ここで氏んでね・・・はい、サヨナラ」
ピッ
男は懐から手のひらに乗る位の大きさのリモコンを取り出すと、三人に見せびらかし、そのままそのスイッチを押した
『ドオンドオオン!!』
モクモク
藍「・・・氏んだな、あの位置じゃ壁に穴でも掘れなきゃ逃げきれな・・・」
ガツ
藍「目的?んー・・・お金、かな?」
木崎「ああ?」
藍「でも・・・あんたらを始末したい理由は別、商売しにくいんだよね、あんたらみたいな真面目なヤクザ屋さんがいるとさ、クライアントも皆ビビっちまうんだよ」
花山「・・・」
藍「花山が怖いからってさ!」
木崎「やっぱりな・・・紅蓮会か」
藍「だから今日ここで氏んでね・・・はい、サヨナラ」
ピッ
男は懐から手のひらに乗る位の大きさのリモコンを取り出すと、三人に見せびらかし、そのままそのスイッチを押した
『ドオンドオオン!!』
モクモク
藍「・・・氏んだな、あの位置じゃ壁に穴でも掘れなきゃ逃げきれな・・・」
ガツ
62: 2012/06/23(土) 01:56:14.63
砂煙の中、そこにある筈の氏体を確認しに降りて来た男の頭を、巨大な掌が乱暴に包みこんだ
藍「いて・・・ん?」
花山「ヒロシどこだ?」
藍「・・・マジで、壁に穴掘って回避したの?いて、いてて、やめて!頭潰れる!」
木崎「ゲホゲホ・・・本当に潰れるぞ、早く言え」
藍「屋上・・・です」
藍「いて・・・ん?」
花山「ヒロシどこだ?」
藍「・・・マジで、壁に穴掘って回避したの?いて、いてて、やめて!頭潰れる!」
木崎「ゲホゲホ・・・本当に潰れるぞ、早く言え」
藍「屋上・・・です」
63: 2012/06/23(土) 02:00:47.41
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
工場の屋上に二人が駆け上がると、そこには傷だらけのヒロシを抱える新垣が既にいた
新垣「ヒロシ!しっかりしろ!」
ヒロシ「・・・あ、パンチ兄ィ」
木崎「ひでえケガだな、すぐ病院に連れてってやるからな」
花山「・・・すまねえな」
ヒロシ「二代目?俺なんかのために来てくれたんすか?・・・グス・・・ありとやーす」
木崎「ありとやーす」
70: 2012/06/23(土) 08:06:09.57
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
神心会ロビーに行き交う指導員や練習生達、小さな子供から、社会人、OL、孫のいるような歳の者まで、まさに老若男女が道場を出入りしていた
そのロビーの一角が待合室になっており、そこに烈達はいた
練習生「ありがとうございました!押忍!」
末堂「おう、お疲れさん」
妹「私とあまり歳変わらなそう・・・」
独歩「中等部だな、お嬢ちゃんと同じくらいだろう・・・末堂から移動願い出たらどうしよ」
末堂「たのんますよ!俺は口Oコンなんかじゃ・・・」
妹「クスッ」
独歩「お?やっと笑ったな」
妹「・・・皆さんといると、とても・・・和みます・・・失礼かもしれないけど・・・」
独歩「和むかあ、こりゃあ初めて言われたわ」
烈「私も初めて言われたよ」
カオル「ねー、なごむねー」
末堂「いい加減に離れろ、生徒が見てるじゃねえか」
妹「フフフ」
72: 2012/06/23(土) 08:23:15.03
談笑の中、烈は優しく娘に促した
烈「・・・話してもらえるかな」
妹「・・・はい、先日・・・母が亡くなりました、父も・・・記憶はないけど、幼い頃に亡くしました」
独歩「・・・そうか」
妹「・・・母が手紙を残してくれたんです」
娘は荷物の中から白い封筒を大事そうに取り出した
ガサ
<あなたがこの手紙を読んでいるということは、私はもうこの世にいないのでしょう>
<いつも不平不満を言わず、なんでも言うことを聞いてくれてありがとうね>
<私は幸せでした、何も思い残すことはありません>
<幸せになりなさい、そして強くなりなさい、あなたの父親は強い人でした、決して弱音を吐かず、人からの人望も厚い人でした>
烈「・・・話してもらえるかな」
妹「・・・はい、先日・・・母が亡くなりました、父も・・・記憶はないけど、幼い頃に亡くしました」
独歩「・・・そうか」
妹「・・・母が手紙を残してくれたんです」
娘は荷物の中から白い封筒を大事そうに取り出した
ガサ
<あなたがこの手紙を読んでいるということは、私はもうこの世にいないのでしょう>
<いつも不平不満を言わず、なんでも言うことを聞いてくれてありがとうね>
<私は幸せでした、何も思い残すことはありません>
<幸せになりなさい、そして強くなりなさい、あなたの父親は強い人でした、決して弱音を吐かず、人からの人望も厚い人でした>
73: 2012/06/23(土) 08:26:01.80
静かに鼻をすすり涙を隠すカオル
末堂は目を合わさず、そっと口を開いた
末堂「いいお母さんだったんだな・・・」
妹「・・・優しい母でした・・・」
烈「・・・しかし、この手紙と連中がどのように・・・」
妹「・・・この手紙の最後に・・・母の名前で銀行の口座番号と暗証番号が・・・」
独歩「貯えを残してくれていたのかい?」
妹「それが・・・この通帳です・・・」
烈「拝見してもいいかな」
妹「はい」
ペラ
烈「・・・これは」
末堂は目を合わさず、そっと口を開いた
末堂「いいお母さんだったんだな・・・」
妹「・・・優しい母でした・・・」
烈「・・・しかし、この手紙と連中がどのように・・・」
妹「・・・この手紙の最後に・・・母の名前で銀行の口座番号と暗証番号が・・・」
独歩「貯えを残してくれていたのかい?」
妹「それが・・・この通帳です・・・」
烈「拝見してもいいかな」
妹「はい」
ペラ
烈「・・・これは」
74: 2012/06/23(土) 13:59:26.63
驚いた表情を見せる烈の横から末堂は顔を覗かせた
末堂「見てもいいかい?・・・ッッ?!・・・いくらあるんだこりゃあ・・・イチ、ジュウ、ヒャク・・・」
独歩「やめとけ」
妹「決して貧乏ではないと思っていたけど・・・」
独歩「親戚の方はこのことを?」
妹「誰にも話していません・・・なのに、最近家の周りに人が・・・それで、私怖くて・・・」
カオル「・・・そうだったの」
末堂「見てもいいかい?・・・ッッ?!・・・いくらあるんだこりゃあ・・・イチ、ジュウ、ヒャク・・・」
独歩「やめとけ」
妹「決して貧乏ではないと思っていたけど・・・」
独歩「親戚の方はこのことを?」
妹「誰にも話していません・・・なのに、最近家の周りに人が・・・それで、私怖くて・・・」
カオル「・・・そうだったの」
75: 2012/06/23(土) 14:01:57.40
烈「これが奴等の目的か・・・しかしこのことを、どこから知ったのか・・・」
末堂「本当に誰にも話して無いのかい?」
妹「はい、間違いありません・・・ただ」
独歩「・・・なにか思い当たる節が?」
妹「いえ・・・関係があるか分かりませんけど、母が亡くなる前・・・病院のベッドで、カオルの話をしたんです・・・」
カオル「うち?」
妹「うん・・・カオルって友達が出来たよって、そしたら・・・私にはカオルっていうお兄さんがいるのよって、そのときはお母さん寝る前だったから、寝ぼけてるのかと思ったの・・・でも・・・こないだお母さんの荷物を整理してたら・・・バッジと名刺が出てきたんです」
独歩「・・・バッジと名刺・・・」
妹「このこととは関係が無いと思って、持ってこなかったんですけど・・・」
末堂「どんなバッジだった?」
末堂「本当に誰にも話して無いのかい?」
妹「はい、間違いありません・・・ただ」
独歩「・・・なにか思い当たる節が?」
妹「いえ・・・関係があるか分かりませんけど、母が亡くなる前・・・病院のベッドで、カオルの話をしたんです・・・」
カオル「うち?」
妹「うん・・・カオルって友達が出来たよって、そしたら・・・私にはカオルっていうお兄さんがいるのよって、そのときはお母さん寝る前だったから、寝ぼけてるのかと思ったの・・・でも・・・こないだお母さんの荷物を整理してたら・・・バッジと名刺が出てきたんです」
独歩「・・・バッジと名刺・・・」
妹「このこととは関係が無いと思って、持ってこなかったんですけど・・・」
末堂「どんなバッジだった?」
76: 2012/06/23(土) 14:05:14.11
妹「なんか・・・高そうな感じでした」
烈「・・・名刺には?」
妹「そうなんです・・・そこに」
末堂「・・・!!・・・カオルって、まさか・・・」
妹「花山組、花山薫と書かれてました」
独歩「!」
烈「なんと!」
末堂「・・・うそだろ」
妹「知ってるんですか?」
末堂「知ってるもなにも・・・」
カオル「ナニ?どーゆーこと?すえOち」
末堂「誰がすえOちだ!」
烈「なんという偶然・・・」
独歩「・・・嬢ちゃん、その名刺の男はな、俺達の良く知る男だよ」
妹「本当に?!・・・私の兄さん?」
独歩「そりゃあわからねえが・・・なんとなく流れが読めてきたぜ」
烈「・・・名刺には?」
妹「そうなんです・・・そこに」
末堂「・・・!!・・・カオルって、まさか・・・」
妹「花山組、花山薫と書かれてました」
独歩「!」
烈「なんと!」
末堂「・・・うそだろ」
妹「知ってるんですか?」
末堂「知ってるもなにも・・・」
カオル「ナニ?どーゆーこと?すえOち」
末堂「誰がすえOちだ!」
烈「なんという偶然・・・」
独歩「・・・嬢ちゃん、その名刺の男はな、俺達の良く知る男だよ」
妹「本当に?!・・・私の兄さん?」
独歩「そりゃあわからねえが・・・なんとなく流れが読めてきたぜ」
77: 2012/06/23(土) 14:17:31.20
独歩が顎に手をあてて頷くと同時に、道着を着た若い練習生が駆け寄って来た
練習生「師範!入り口に・・・」
末堂「ああ?どうした?」
練習生「変なスーツの男が・・・小娘を出せって」
末堂「変なスーツ?」
独歩「・・・へえ、い~い度胸じゃねえか」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
神心会の入口前には二人の道着を着た男がいた、一人はうずくまり、もう一人は身構えている
そして、その二人にからかうような視線を飛ばす赤と青のスーツの二人組
練習生「・・・うう」
青「なんだ、だらしねえ・・・それでも空手家か?」
指導員「貴様!卑怯だぞ!武器を使うとは!」
青「おおそうか、そいつは悪かったな!こちらの空手家さん達には、武器を使っちゃいけなかったのか!・・・分かりやすく看板に書いといてくれよ、スタンガン禁止ってよ!」
赤「おい、弱い者いじめはやめとけよ!可哀想だろ!」
練習生「師範!入り口に・・・」
末堂「ああ?どうした?」
練習生「変なスーツの男が・・・小娘を出せって」
末堂「変なスーツ?」
独歩「・・・へえ、い~い度胸じゃねえか」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
神心会の入口前には二人の道着を着た男がいた、一人はうずくまり、もう一人は身構えている
そして、その二人にからかうような視線を飛ばす赤と青のスーツの二人組
練習生「・・・うう」
青「なんだ、だらしねえ・・・それでも空手家か?」
指導員「貴様!卑怯だぞ!武器を使うとは!」
青「おおそうか、そいつは悪かったな!こちらの空手家さん達には、武器を使っちゃいけなかったのか!・・・分かりやすく看板に書いといてくれよ、スタンガン禁止ってよ!」
赤「おい、弱い者いじめはやめとけよ!可哀想だろ!」
78: 2012/06/23(土) 14:26:28.11
指導員「くそ!シャアッ!」
指導員の男青いスーツに回し蹴りを放つが、反応良く半歩後退され、虚しく空を切り、バランスを失った
スカッ
青「ナイスショット!」
指導員「グゥッ」
即座に体制を立て直すが、背中に当てられた固い棒の感触に血の気が引いた
赤「はいご褒美」
バチッ
全身が弾け飛ぶような衝撃に反り返り、悲鳴を上げた
指導員「ぐああ!」
赤「大袈裟だなあ」
青「はい、もういっちょ」
今度は突き出された腹に当てられたスタンガンが、容赦なく火を吹く
バシッ
指導員「グッ」
赤「バカお前、あんまり押し付けると氏んじゃうぜ」
青「お前もだよ!ハッ!!」
指導員の男青いスーツに回し蹴りを放つが、反応良く半歩後退され、虚しく空を切り、バランスを失った
スカッ
青「ナイスショット!」
指導員「グゥッ」
即座に体制を立て直すが、背中に当てられた固い棒の感触に血の気が引いた
赤「はいご褒美」
バチッ
全身が弾け飛ぶような衝撃に反り返り、悲鳴を上げた
指導員「ぐああ!」
赤「大袈裟だなあ」
青「はい、もういっちょ」
今度は突き出された腹に当てられたスタンガンが、容赦なく火を吹く
バシッ
指導員「グッ」
赤「バカお前、あんまり押し付けると氏んじゃうぜ」
青「お前もだよ!ハッ!!」
79: 2012/06/23(土) 14:32:32.81
練習生「・・・先生」
崩れ落ちた指導員に、涙をうかべながら声をかけたが、彼の耳には届かなかった
赤「あれ?まだ起きてるのか」
青「よし、師匠の後を追え」
練習生「・・・ヒィッ」
青いスーツの男が頭を起こした練習生の男に、スタンガンを振り上げると、背後からハッキリとした口調の力強い声が聞こえてきた
?『こら、困るなあ、うちは武器禁止だよ』
赤「あ?」
赤いスーツが声のする方へ振り返ると、スタンガンを持つ手に小さな衝撃が走り、それは消えた
パンッ
赤「あれ?おれのスタンガンは?」
青「!」
崩れ落ちた指導員に、涙をうかべながら声をかけたが、彼の耳には届かなかった
赤「あれ?まだ起きてるのか」
青「よし、師匠の後を追え」
練習生「・・・ヒィッ」
青いスーツの男が頭を起こした練習生の男に、スタンガンを振り上げると、背後からハッキリとした口調の力強い声が聞こえてきた
?『こら、困るなあ、うちは武器禁止だよ』
赤「あ?」
赤いスーツが声のする方へ振り返ると、スタンガンを持つ手に小さな衝撃が走り、それは消えた
パンッ
赤「あれ?おれのスタンガンは?」
青「!」
80: 2012/06/23(土) 16:26:28.72
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
駆けつけた一行は、建物の中からガラス越しに外の様子が見えた
末堂「あそこだ!」
独歩「ん~?ありゃ・・・おいしいとこ持っていかれてるわ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
突然現れた片腕をギプスで覆った男は、低く身構え、もう片方の腕を握りしめ腰に当てたまま動いていない、ようにみえた
赤「なにしやがった!!触りもしねえで!」
パンッパンッ
先ほどスタンガンが空を舞った時と同じ、破裂音のような音と共に、青色のスーツの胸元と肩口が切り裂かれた
身構えた男の姿勢は変わらない
青「服が・・・てめえ」
?「あれ?お気に入りだったかな?悪いことしたね、許してくれ君達のファッションセンスに免じて」
赤「怪我人じゃねえか、ぶっころす!」
激昂した赤スーツの男の右フックは、立ち位置を変えない最小限動きで躱された
ブン スカッ
?「あ、父さん!遅いですよ!」
81: 2012/06/23(土) 16:29:10.45
独歩達の現れた建物の入り口に目をやりながら、まるでリハーサルをしていたかのように、二人の攻撃を次々に躱して行く
青「この・・・」
スカッスカッ
妹「・・・スゴい」
克巳「参ったなあ、うちはダンスも禁止だよ」
スカッスカッ
克巳「皆さんおそろいで・・・おや?素敵なレディまでいるじゃないですか」
スカッスカッスカッ
独歩「こっちは末堂の彼女だ」
末堂「まだ言いますか!」
克巳「はっはっは!そうかぁ、末堂、よかったなあ!彼女が出来て!」
スカッスカッスカッスカッ
青「ハアハア・・・こいつ」
青「この・・・」
スカッスカッ
妹「・・・スゴい」
克巳「参ったなあ、うちはダンスも禁止だよ」
スカッスカッ
克巳「皆さんおそろいで・・・おや?素敵なレディまでいるじゃないですか」
スカッスカッスカッ
独歩「こっちは末堂の彼女だ」
末堂「まだ言いますか!」
克巳「はっはっは!そうかぁ、末堂、よかったなあ!彼女が出来て!」
スカッスカッスカッスカッ
青「ハアハア・・・こいつ」
82: 2012/06/23(土) 16:37:54.07
克巳への攻撃を一旦止め、身を引いた二人は独歩へ目をやった
独歩は表情を変えずに、視線を受け止める
独歩「紅蓮会だな」
赤「てめえが、頭か・・・」
克巳「ああっ、君達が彼の有名な・・・服の色で階級分けしてるって言う・・・なんとも、かわいいヤクザの人達だね」
青「・・・ゆるさねえ」
二人は再び克巳に視線を移し、同時に飛びかかった
克巳「・・・こっちのセリフだ、うちの教え子を傷付けやがって・・・キャオラッ!!」
克巳が先ほどの構えを素早く作り、独特の雄叫びを上げると、連続した破裂音が響き渡った
すると、スーツと共に身体中を切り裂かれた二人はその場に崩れ落ちた
『パパパパパパン!!』
シュウゥゥ~
ドサッドサ
末堂「・・・氏んだんじゃねえか?」
独歩「ああ・・・」
克巳「ちょっと、ちょっと!人頃しにしないでよ!」
烈「息は・・・あるようだが」
独歩は表情を変えずに、視線を受け止める
独歩「紅蓮会だな」
赤「てめえが、頭か・・・」
克巳「ああっ、君達が彼の有名な・・・服の色で階級分けしてるって言う・・・なんとも、かわいいヤクザの人達だね」
青「・・・ゆるさねえ」
二人は再び克巳に視線を移し、同時に飛びかかった
克巳「・・・こっちのセリフだ、うちの教え子を傷付けやがって・・・キャオラッ!!」
克巳が先ほどの構えを素早く作り、独特の雄叫びを上げると、連続した破裂音が響き渡った
すると、スーツと共に身体中を切り裂かれた二人はその場に崩れ落ちた
『パパパパパパン!!』
シュウゥゥ~
ドサッドサ
末堂「・・・氏んだんじゃねえか?」
独歩「ああ・・・」
克巳「ちょっと、ちょっと!人頃しにしないでよ!」
烈「息は・・・あるようだが」
83: 2012/06/23(土) 17:34:03.32
妹「スゴい強い・・・」
克巳「たま~にいるんだよね、こう言った命知らずのお客様が・・・えっと、お二人は、道場見学かな?」
独歩「クックッ、誰だか知ったら驚くぜえ」
克巳「ん?・・・親父の話してた、宿直室貸したい人って」
妹「お世話になります・・・」
克巳「・・・まさか女の子だとはね」
独歩「しかもなぁ・・・、まあ確定じゃねえが・・・」
克巳「ナニナニ?」
克巳「たま~にいるんだよね、こう言った命知らずのお客様が・・・えっと、お二人は、道場見学かな?」
独歩「クックッ、誰だか知ったら驚くぜえ」
克巳「ん?・・・親父の話してた、宿直室貸したい人って」
妹「お世話になります・・・」
克巳「・・・まさか女の子だとはね」
独歩「しかもなぁ・・・、まあ確定じゃねえが・・・」
克巳「ナニナニ?」
84: 2012/06/23(土) 19:16:04.58
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
夕暮れに染まる街の一角を、花山達の乗る車はスピードを緩めて走っていた
木崎「・・・二代目、あちらのアパートが・・・」
花山「・・・停めろ」
キッ ガチャ
花山「・・・行っていいぞ」
新垣「は、しかし・・・お帰りは・・・」
木崎「・・・分かりやした、おい、出せ」
新垣「・・・はい」
花山「・・・」
ブロロロ
85: 2012/06/23(土) 19:19:53.80
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山を降ろし、出発した車内で木崎は窓の外を物憂げに見ていた
新垣「あのアパートに何かあるんで?」
木崎「ああ・・・二代目の、腹違いの妹が住んでるらしい」
新垣「・・・そうなんですか」
木崎「先代、生前その母親に随分魅入れされていたようだ・・・聞いたことあるだろ?組の金半分消えちまった話」
新垣「・・・ええ」
木崎「その母親が病気でな、見舞いだってポーンと振込んじまったんだよ」
新垣「聞いたことはあります」
木崎「まあ、うちのモンはだ~れも文句言わなかったがな・・・」
新垣「・・・」
86: 2012/06/23(土) 19:23:14.38
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ことの顛末を聞き終えた克巳は、驚きを隠せないと言った表情で身を乗り出していた
克巳「・・・凄いな、運命だよそれは」
烈「まったくだ」
妹「あの時、チャイナさんに会わなかったら今頃・・・」
独歩「悪い事考えるな、良かったじゃねえか、なあ」
妹「・・・はい」
カオル「末ともっちとも出会えたしね!」
末堂「・・・すえっち・・・それやめて」
コンコン
指導員「失礼します」
克巳「どーした?」
指導員「黒服の二人なんですが・・・」
克巳「ああ、すえOちが華麗にやっつけたって言う二人組ね!」
末堂「もう・・・すえOちでいいや・・・」
87: 2012/06/23(土) 19:25:43.53
烈「なにか聞き出せたのかい」
指導員「・・・いえ、核心には触れられませんでした・・・どうやら完全に金で雇われた、ただのチンピラだったようです、写真を渡され『あそこに住む中学生をさらったらウン十万』と言う具合に・・・」
烈「写真を渡した者は、どのような風貌だと?」
指導員「いかにも、ヤクザと言った感じだったようです」
指導員「・・・いえ、核心には触れられませんでした・・・どうやら完全に金で雇われた、ただのチンピラだったようです、写真を渡され『あそこに住む中学生をさらったらウン十万』と言う具合に・・・」
烈「写真を渡した者は、どのような風貌だと?」
指導員「いかにも、ヤクザと言った感じだったようです」
88: 2012/06/23(土) 19:26:49.23
独歩「そうか・・・それじゃあ、あの赤青に期待だな」
克巳「こっちはなかなか口を割らなそうですね」
烈「・・・ここは私にお任せを、中国4000年の伝統を持つ拷問術、とくと御覧に入れよう」
カオル「・・・チャ、チャイナさん」
克巳「あんまり・・・グロいのは・・・」
克巳「こっちはなかなか口を割らなそうですね」
烈「・・・ここは私にお任せを、中国4000年の伝統を持つ拷問術、とくと御覧に入れよう」
カオル「・・・チャ、チャイナさん」
克巳「あんまり・・・グロいのは・・・」
89: 2012/06/23(土) 20:11:54.96
烈「さあ!何処の部屋に!?」
烈は待ってましたとばかりに身体を起こし、懐より、両手に八本の投げをナイフ取り出した
シャキン
カオル「シュリケン?」
克巳「れ・・・烈先生、落ち着いて」
指導員「さ、三階の用具室に・・・」
烈「御意ッッ!」
場所を聞くや否や踵を返し、物凄いスピードで廊下の奥へと消えて行った
スタタタ
独歩「・・・行っちまった」
カオル「義足とは思えない身のこなし・・・」
烈は待ってましたとばかりに身体を起こし、懐より、両手に八本の投げをナイフ取り出した
シャキン
カオル「シュリケン?」
克巳「れ・・・烈先生、落ち着いて」
指導員「さ、三階の用具室に・・・」
烈「御意ッッ!」
場所を聞くや否や踵を返し、物凄いスピードで廊下の奥へと消えて行った
スタタタ
独歩「・・・行っちまった」
カオル「義足とは思えない身のこなし・・・」
90: 2012/06/23(土) 20:16:02.84
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
車を降りた花山はその場から暫く動かなかった
やがて小さく首を上げ、アパートを見上げた
花山「・・・あの部屋か・・・」
懐から煙草を取り出しながら呟く
シュボッ
花山「・・・帰って、酒でも呑むか」
その場を去ろうと歩き始めると、気配の無かった所から突然声がした
?「・・・花山薫」
花山「・・・!!」
91: 2012/06/23(土) 20:20:52.88
声のした方を振り返ると、細身に長身でキャップを被った男が姿勢良く立っていた
ザッ
花山「・・・紅蓮会か」
男「いや、僕は違うよ」
花山「・・・強えな、やるかい?」
男「勘弁・・・」
身構えようとする花山の前で、男は大きく宙を舞い、花山を飛び越す形で背を向け着地した
スタ
男「また会いましょう、ファイター」
こちらを振り向きもせず、軽く片手を上げて男は去って行った
花山「・・・あいつ、何処かで」
ザッ
花山「・・・紅蓮会か」
男「いや、僕は違うよ」
花山「・・・強えな、やるかい?」
男「勘弁・・・」
身構えようとする花山の前で、男は大きく宙を舞い、花山を飛び越す形で背を向け着地した
スタ
男「また会いましょう、ファイター」
こちらを振り向きもせず、軽く片手を上げて男は去って行った
花山「・・・あいつ、何処かで」
92: 2012/06/23(土) 23:46:45.95
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山組の一室は、工場跡で暴れた藍色の服の紅蓮会の男を拉致するのに使われていた
木崎は自分の部屋で、部下に尋問を命じ、その結果を待っていた
そろそろ音を上げるだろうと言う頃に、扉でノックが鳴った
木崎「おう、入れ」
組員「失礼します」
木崎「どうだ?爆弾野郎は?」
組員「今、新垣の兄貴が任せろと一人で・・・」
木崎「パンチが・・・あいつ大丈夫か?」
木崎は、キャリアこそあれ、どこか抜けている所のある新垣の尋問の様子を頭に思い浮かべ、心配な表情を浮かべた
その時、その部屋の方から銃声が響いた
パァン
木崎「チャカ!?」
組員「・・・あの部屋の方から!!」
木崎は立ち上がり、部屋の方へ駆け出した
木崎「パンチィ!!」
93: 2012/06/23(土) 23:53:38.31
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
烈が走り去った後、先程のロビーの席で再び座談をしていた
妹「チャイナさん・・・大丈夫かな」
独歩「まあ、頃しゃしねえとは思うがよ」
克巳「一応様子を見にいきますか・・・」
末堂「女の子達にゃ、ちと目に毒かもな・・・」
カオル「もーう、すえOち優しいんだからあ」
独歩「じゃあすえOちとお嬢ちゃん達は、ここで待っててくれ」
末堂「お願いですから、館長のすえOちだけは勘弁して・・・」
94: 2012/06/23(土) 23:56:40.93
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
異様な空気を漂わせた烈は、赤青スーツの二人を閉じ込めている用具室の前に着いた
扉の前には見張りの指導員が立っている
指導員「烈先生!ご苦労様です!押忍!」
烈「・・・その部屋かい?」
指導員「は、はい」
ガチャ バタン
指導員「こ、怖い・・・」
95: 2012/06/24(日) 09:19:08.23
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
扉を閉じた烈は、暗い用具室の奥へ目を凝らした
烈「さあ・・・目を覚・・・」
気を失っていると思っていた二人の意識は戻っていた、だが、何か様子がおかしい
ガタガタガタガタ
烈「・・・震えている?」
赤「・・・来る・・・嫌だ」
青「け・・・消される、助け・・・て」
烈「来る・・・?誰が来るというのだ?」
赤「ダメだ・・・もう終わりだ」
烈「この場所まで来ると?・・・ここは神心会本部道場だ、外部の者がここまで忍び込むのは・・・不可能だ」
青「・・・どんな場所だって現れる」
赤「ヒイィィィィィーッッ!!」
烈「・・・」
96: 2012/06/24(日) 15:05:13.98
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
木崎がドアを開けると部屋は硝煙の臭いが立ち込めていた
木崎「~~~ッッ!!」
倒れていたのは、眉間から血を流した藍色のスーツの男
新垣「・・・チャカを・・・奪われて・・・」
木崎「・・・自殺か」
新垣「何かに恐れていたようでした・・・自分は脅しの為に使おうと・・・」
木崎「・・・額を・・・氏ぬ前に何か言ってたか?」
新垣「なにかが、来る・・・その前に、と」
木崎「一体・・・何が来るって言うんだ」
97: 2012/06/24(日) 15:09:20.91
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山は先程の男の様子を脳裏に浮かべながら、帰路についていた
そこで、携帯電話がなった
ピッ
花山「・・・どうした」
木崎『二代目・・・たった今・・・』
花山「・・・そうか・・・木崎、細身で長身の・・・ジャージを上下着て、キャップをかぶった男を探せ・・・」
ピッ
花山「・・・」
99: 2012/06/26(火) 18:38:20.97
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
独歩と克巳が用具室の前に立ちドアを開けると、寄り添い固まり震える二人が目に入った
どうやら烈のせいではないようだ
独歩「・・・烈」
烈「何かに・・・相当怯えています」
赤「・・・嫌だ・・・氏にたくない」
青「・・・来る・・・来る」
克巳「・・・おいおい、君達紅蓮会が怖いもの知らずだと言うことはわかったが・・・・・忍者じゃあるまいし、こんなところまで入って来れるかなあ?」
独歩「まあ、こいつらもたった二人で乗り込んで来た訳だ・・・」
克巳「・・・クッ、神心会が・・・愚地が怖くねえのかよッッ!!」
100: 2012/06/26(火) 18:40:44.89
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ロビーでは暫く沈黙が続いていたが、娘が静かに口を開いた
妹「・・・末堂さん」
末堂「ん?」
妹「この・・・お金、やっぱり・・・その・・・ヤクザ・・・のお金なんですか?」
末堂「ん~、どうだかなあ、なんとも言えねえけどよ・・・まあどういう形にしてもお母さんが、お前さんの為に残しておいてくれたモンな訳だろ?持ってていいと思うぜ」
カオル「うん、そうだよ」
妹「・・・私、このお金・・・」
末堂「・・・返したいのか?」
妹「・・・うん」
101: 2012/06/26(火) 18:44:22.40
妹「お母さん、昼間はスーパーで働いて、夜も飲み屋さんで働いていたの・・・お金は苦労して、頑張って、やっと稼げるものなんだって、お母さんの姿を見て思っていた・・・おかげで私はなに不自由なく暮らせた・・・」
末堂「・・・」
妹「なのに・・・このお金・・・きっとこのお金は、ポンと受け取ってはいけないと思う、返すべきお金なんだと思う」
末堂「・・・嬢ちゃん・・・おお、そうだな・・・間違ってねえ」
末堂「・・・」
妹「なのに・・・このお金・・・きっとこのお金は、ポンと受け取ってはいけないと思う、返すべきお金なんだと思う」
末堂「・・・嬢ちゃん・・・おお、そうだな・・・間違ってねえ」
102: 2012/06/26(火) 18:46:58.53
末堂「花山組・・・連絡入れてみるかい?」
妹「え?」
カオル「そんな、すえOちヤクザの事務所なんて・・・」
末堂「ああ、その・・・名刺の、花山薫って男は察している通りヤクザだ・・・見た目も生活も、嬢ちゃん達からは、かけ離れた世界だ・・・」
妹「・・・はい」
真っ直ぐで素直な返事に、末堂は優しく顔をほころばせ、話し始めた
末堂「俺は・・・ガキの頃から空手バカでよ、頭は良くねえが、なんとなく・・・嬢ちゃんのお母さんが、その手紙の最後に・・・口座番号だけを残したのか、分かる気がすんだ」
カオル「・・・すえOち」
妹「え?」
カオル「そんな、すえOちヤクザの事務所なんて・・・」
末堂「ああ、その・・・名刺の、花山薫って男は察している通りヤクザだ・・・見た目も生活も、嬢ちゃん達からは、かけ離れた世界だ・・・」
妹「・・・はい」
真っ直ぐで素直な返事に、末堂は優しく顔をほころばせ、話し始めた
末堂「俺は・・・ガキの頃から空手バカでよ、頭は良くねえが、なんとなく・・・嬢ちゃんのお母さんが、その手紙の最後に・・・口座番号だけを残したのか、分かる気がすんだ」
カオル「・・・すえOち」
103: 2012/06/26(火) 18:48:24.31
末堂「ガキの頃よ・・・親父と歩いてて、財布を拾ったんだよ・・・分厚いヤツだ」
妹「・・・」
末堂「ウチは貧乏でな・・・子供心にもっと金がありゃあな、なんて考える時期だったよ・・・そんとき親父、俺にその財布を渡してよ『お前の好きにしろ』ってよ」
カオル「・・・」
末堂「いや~考えたね、その日は結局家に持って帰っちまった、親父は一切そのことには触れねえしよ」
妹「・・・そのお金・・・どうしたんですか?」
末堂「一晩財布とにらめっこしてな・・・次の日、朝一で交番に届けたよ」
カオル「えらい!」
末堂「悩んだぜ?・・・この金さえあればクラスのあいつみたいにゲームが買える、好きなだけお菓子も買える・・・でもな、なんつーか・・・親父に、試されてる気がしてな・・・俺はどうするべきなんだって」
妹「・・・」
末堂「ウチは貧乏でな・・・子供心にもっと金がありゃあな、なんて考える時期だったよ・・・そんとき親父、俺にその財布を渡してよ『お前の好きにしろ』ってよ」
カオル「・・・」
末堂「いや~考えたね、その日は結局家に持って帰っちまった、親父は一切そのことには触れねえしよ」
妹「・・・そのお金・・・どうしたんですか?」
末堂「一晩財布とにらめっこしてな・・・次の日、朝一で交番に届けたよ」
カオル「えらい!」
末堂「悩んだぜ?・・・この金さえあればクラスのあいつみたいにゲームが買える、好きなだけお菓子も買える・・・でもな、なんつーか・・・親父に、試されてる気がしてな・・・俺はどうするべきなんだって」
106: 2012/06/26(火) 21:51:50.65
末堂「きっと・・・金ってのはよ、嬢ちゃん・・・楽して手に入れちゃいけねえモンなんだって・・・俺もその時強く思ったんだ」
妹「素晴らしいと思います」
自分の心の内を話してくれた末堂に、精一杯の笑顔で受け答えると、そこに、重く冷たい声が響いた
『なるほど・・・やはりお金は持つべき者が持つ、それが自然なんだね』
妹「!」
末堂「なんだてめえ・・・どこから入った!?」
男「いや、普通に入り口から・・・ねえ、君のところの大将にやられた派手なスーツの二人知らない?」
末堂「てめえも紅蓮会か」
男「いやいや、僕は違うの・・・バイトだよバイト」
妹「素晴らしいと思います」
自分の心の内を話してくれた末堂に、精一杯の笑顔で受け答えると、そこに、重く冷たい声が響いた
『なるほど・・・やはりお金は持つべき者が持つ、それが自然なんだね』
妹「!」
末堂「なんだてめえ・・・どこから入った!?」
男「いや、普通に入り口から・・・ねえ、君のところの大将にやられた派手なスーツの二人知らない?」
末堂「てめえも紅蓮会か」
男「いやいや、僕は違うの・・・バイトだよバイト」
108: 2012/06/29(金) 00:07:41.82
組に帰った花山は、藍色を拉致していた部屋で氏体を見下ろしていた
花山「・・・チャカを」
木崎「はい・・・何かに怯えてたようです」
花山「・・・こいつは」
木崎「何か?」
花山「・・・いや、紅蓮会について・・・調べてあるか?」
木崎「はい・・・奴等、極道と言うより、何と言うか・・・金儲けの為に集めた、武闘集団と言ったほうが的確なようです」
花山「・・・」
木崎「一つの儲け話にメンバーを集め、一人しくじればまた入れ替え・・・と言ったように」
花山「入れ替え?」
木崎「・・・トップの内情がばれる前に、消されています・・・ヒットマンがいるようです」
花山「消されるのを恐れて、自分で頭撃ったのか」
木崎「はい・・・調べて分かったのはそれだけです・・・結局、頭の素性は掴めませんでした」
花山「・・・ああ、分かった」
花山「・・・チャカを」
木崎「はい・・・何かに怯えてたようです」
花山「・・・こいつは」
木崎「何か?」
花山「・・・いや、紅蓮会について・・・調べてあるか?」
木崎「はい・・・奴等、極道と言うより、何と言うか・・・金儲けの為に集めた、武闘集団と言ったほうが的確なようです」
花山「・・・」
木崎「一つの儲け話にメンバーを集め、一人しくじればまた入れ替え・・・と言ったように」
花山「入れ替え?」
木崎「・・・トップの内情がばれる前に、消されています・・・ヒットマンがいるようです」
花山「消されるのを恐れて、自分で頭撃ったのか」
木崎「はい・・・調べて分かったのはそれだけです・・・結局、頭の素性は掴めませんでした」
花山「・・・ああ、分かった」
110: 2012/06/29(金) 00:12:59.10
木崎「ああ・・・それと」
花山「なんだ」
木崎「まあ、下らねえことですが・・・こいつら着ているスーツの色で階級が分かれているんだそうです」
花山「・・・どういうことだ」
木崎「ええ、何でもメンバーを決める時に実力を見て、階級を分けるようです・・・明るい色ほど腕が立つらしいですが・・・」
花山「・・・藍色、こいつは雑魚か・・・」
木崎「そのようです・・・まあ兵隊は黒服のようですが」
花山「・・・」
花山「なんだ」
木崎「まあ、下らねえことですが・・・こいつら着ているスーツの色で階級が分かれているんだそうです」
花山「・・・どういうことだ」
木崎「ええ、何でもメンバーを決める時に実力を見て、階級を分けるようです・・・明るい色ほど腕が立つらしいですが・・・」
花山「・・・藍色、こいつは雑魚か・・・」
木崎「そのようです・・・まあ兵隊は黒服のようですが」
花山「・・・」
111: 2012/06/29(金) 00:14:51.89
花山「・・・こいつがヒロシ攫ったのは・・・恐らく、命令を無視した行動だったんだろう」
木崎「・・・と言うと?」
花山「雑魚が一匹・・・俺を呼び出すとは思えねえ」
木崎「・・・なるほど・・・それと、二代目、先程電話でおっしゃった・・・帽子の男ですが・・・うちの若えのが、それらしき男が歩いているのを見かけたと・・・」
花山「かなり腕の達つ野郎だ、手出すんじゃねえ」
木崎「そう思いまして、後を着けさせましたところ・・・」
花山「どうした」
木崎「神心会本部道場へと入って行ったと・・・」
花山「・・・神心会」
木崎「・・・と言うと?」
花山「雑魚が一匹・・・俺を呼び出すとは思えねえ」
木崎「・・・なるほど・・・それと、二代目、先程電話でおっしゃった・・・帽子の男ですが・・・うちの若えのが、それらしき男が歩いているのを見かけたと・・・」
花山「かなり腕の達つ野郎だ、手出すんじゃねえ」
木崎「そう思いまして、後を着けさせましたところ・・・」
花山「どうした」
木崎「神心会本部道場へと入って行ったと・・・」
花山「・・・神心会」
112: 2012/06/29(金) 00:18:04.06
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
異様な雰囲気を放つ長身の男と対峙した末堂は、うろたえる様子も無く、飄々と受け答えていた
末堂「バイトぉ?紅蓮会じゃねえのか?」
男「う~ん、まあヒットマンってとこかな」
末堂「へえ・・・その風貌で?そうは見えねえな?」
男「よく中性的って言われるよ、ははは」
末堂「で?そのヒットマンがたった一人で神心会になんの御用だい?」
男「いやいや、しくじった奴を消しに来たのさ・・・君には用は無いよ」
男が言い終わるが早いか、末堂の上段回し蹴りが放たれた
末堂「シャッ!!」
スパーン
113: 2012/07/01(日) 00:46:02.34
男「・・・すごいキックだね、帽子が飛んだよ、はっはっは」
末堂「・・・最小限の動きで躱しやがった」
妹「!」
男の頭頂部は煮えた油のように、ただれていた
男「驚いたかい?頭、凄い傷だろ?髪の毛を剃ってわざと見せてるのさ」
カオル「・・・不気味」
男「そう、嫌だろう?な?・・・そして、末堂君、君が今一番嫌なことは・・・」
シュッ
末堂「・・・なっ!」
妹「消えた?」
男「後ろだよ」
ガッ
末堂の眼前から姿を消した男は、カオルの後ろに姿を現した
そして、カオルの首に腕を巻きつける
カオル「キャッ!離し・・・」
男「これだろ?」
末堂「てめえ・・・」
末堂「・・・最小限の動きで躱しやがった」
妹「!」
男の頭頂部は煮えた油のように、ただれていた
男「驚いたかい?頭、凄い傷だろ?髪の毛を剃ってわざと見せてるのさ」
カオル「・・・不気味」
男「そう、嫌だろう?な?・・・そして、末堂君、君が今一番嫌なことは・・・」
シュッ
末堂「・・・なっ!」
妹「消えた?」
男「後ろだよ」
ガッ
末堂の眼前から姿を消した男は、カオルの後ろに姿を現した
そして、カオルの首に腕を巻きつける
カオル「キャッ!離し・・・」
男「これだろ?」
末堂「てめえ・・・」
115: 2012/07/01(日) 02:34:50.47
末堂「離しやがれ!」
男「おっと、動いたらこの細い腕が反対に曲がってしまうよ」
グッ
カオル「イヤッ!」
末堂「てめえ・・・ただじゃすまねえぞ」
男「さあ!二人がいる場所を教えるんだ!」
末堂「クッ・・・三階の・・・用具室だ」
男「Thank you!」
末堂「その娘を離せ!」
男「いやいや、もう少しお付き合いいただくよ」
末堂「・・・上には館長がいる、行かねえほうが身の為だ」
男「ああ、館長ね、大丈夫!僕、館長より強いから」
末堂「・・・何だと?」
男「おっと、動いたらこの細い腕が反対に曲がってしまうよ」
グッ
カオル「イヤッ!」
末堂「てめえ・・・ただじゃすまねえぞ」
男「さあ!二人がいる場所を教えるんだ!」
末堂「クッ・・・三階の・・・用具室だ」
男「Thank you!」
末堂「その娘を離せ!」
男「いやいや、もう少しお付き合いいただくよ」
末堂「・・・上には館長がいる、行かねえほうが身の為だ」
男「ああ、館長ね、大丈夫!僕、館長より強いから」
末堂「・・・何だと?」
116: 2012/07/02(月) 12:01:12.22
木崎は男が入って行ったという、神心会館の電話をならしていた
プルルルルプルルルル
木崎「誰も出ませんね」
花山「・・・」
木崎「7時・・・まだ道場に人がいてもおかしくねえ時間ですがね」
花山「・・・向かうか」
プルルルルプルルルル
木崎「誰も出ませんね」
花山「・・・」
木崎「7時・・・まだ道場に人がいてもおかしくねえ時間ですがね」
花山「・・・向かうか」
118: 2012/07/02(月) 12:08:55.70
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
男の発言に今にも飛び掛りそうな末堂だが、カオルの腕を取られている状態でてを出せず、その場で拳を握り締めるしかなかった
末堂「ちょっと曲芸が出来るからって、館長に敵うと勘違いするんじゃねえ!」
男「勘違い?ん~・・・違うんだけどなあ・・・まあいいや、それじゃっ」
男はカオルを人質にとったまま何時の間にか、背後エレベーターのボタンを押していた
そして、扉が開いた
チーン ガラガラ
末堂「待て!」
男「bye」
こちらにウインクをして、男とカオルは扉の奥へ姿を消した
末堂「チィッ!追うぞ!」
119: 2012/07/02(月) 12:11:06.99
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
神心会に向かう木崎と花山を乗せた車内、木崎は少しスピードを上げていた
ブロロロ
木崎「どういうことですかね・・・神心会に」
花山「・・・門下生って訳じゃねえだろう」
木崎「すると・・・」
花山「行ってみりゃあ分かる」
120: 2012/07/02(月) 12:25:53.35
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
男とカオルを乗せたエレベーターは三階で扉を開いた
ガラガラ
ピリリリピリリリ
男「ん?電話」
不意に鳴った携帯電話に出る為、両手で押さえていた手を一つ外し、極めている方の手を尚一層強く握った
カオル「痛っ・・・あんたなんか・・・すえOちとチャイナさん達にやられちゃえ!」
男「まったく・・・口の減らない娘だ、ねっ!」
男の拳がカオルの鳩尾にめり込んだ
ドス
カオルはそのまま気を失い、男の腕にぶら下げられた
カオル「うっ!」
男「しばらく寝てなさい」
ピッ
男「はーい、もしもーし・・・ああ、これはこれはボス・・・うん、花山組にいる奴の始末は後でだからもう少しかかるよ・・・あ、氏んだ?そうなの?取り分が減るなあ・・・まあいっか・・・」
121: 2012/07/02(月) 12:29:06.74
男「え?・・・娘を拉致?僕が?・・・なんだよ~さっきまで一緒にいたのに・・・赤青二人の始末もあるし・・・手間だなあ」
電話の相手に愚痴をこぼしていると、階段から飛び出るように末堂が現れた
タタタタタ
末堂「!」
男「あら、追いつかれちゃった」
末堂「その娘になにしやがったあ!!」
122: 2012/07/02(月) 12:32:01.14
男「あー、ボス、ちょっと立て込んでるから・・・応援?弱いのはいらないよ」
末堂「なにごちゃごちゃやってやがる!」
男「ああ・・・彼らなら使えるかな・・・頼むよ」
電話をしているのも構わず、末堂の上段蹴りが男を狙った
しかし、頭を屈めてこれを躱す
シュッ
男「あぶなっ・・・じゃあ切るよ」
ピッ
男「いやあ、お待たせ」
末堂「許さねえッッ!」
末堂「なにごちゃごちゃやってやがる!」
男「ああ・・・彼らなら使えるかな・・・頼むよ」
電話をしているのも構わず、末堂の上段蹴りが男を狙った
しかし、頭を屈めてこれを躱す
シュッ
男「あぶなっ・・・じゃあ切るよ」
ピッ
男「いやあ、お待たせ」
末堂「許さねえッッ!」
126: 2012/07/02(月) 19:52:36.88
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山を乗せた車が神心会館入口前に着くと、木崎は運転席の窓を開け、顔を出して様子を見た
木崎「電気ついてますね」
花山「・・・お前はここにいろ」
木崎「はい」
ガチャ バタン
花山「・・・」
127: 2012/07/02(月) 19:56:00.50
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
妹は、カオルが連れさらたのがわかると同時に、猛ダッシュで行ってしまった末堂を追おうと、階段を駆け上がっていた
妹「・・・末堂さん、速すぎ・・・あれ?いない?どこに・・・ここ二階だ、いやもう何でこんなに広いの」
タッタッタ
妹「あれ?ていうか、何階だっけ・・・うーん、あ、エレベーター来た・・・一度一階に戻ってみよう」
チーン ガラガラ
妹「!!」
128: 2012/07/02(月) 20:02:53.89
扉が開くとそこに立っていた花山
暫し向かい合い、沈黙
花山「・・・乗らないのか」
妹「・・・いえ、乗ります」
花山「・・・おい」
妹「はい」
花山「・・・受付に誰もいねえんだが・・・館長はどこだい?」
妹「あ、私も探してるところです」
花山「・・・一番上じゃねえかと思うんだが」
妹「行ってみましょう」
花山「そうだな」
チーン ガラガラ
花山は自分の口数が増えてることに気づいたが、制すること無く不思議な心地よさに任せていた
暫し向かい合い、沈黙
花山「・・・乗らないのか」
妹「・・・いえ、乗ります」
花山「・・・おい」
妹「はい」
花山「・・・受付に誰もいねえんだが・・・館長はどこだい?」
妹「あ、私も探してるところです」
花山「・・・一番上じゃねえかと思うんだが」
妹「行ってみましょう」
花山「そうだな」
チーン ガラガラ
花山は自分の口数が増えてることに気づいたが、制すること無く不思議な心地よさに任せていた
129: 2012/07/02(月) 20:06:27.63
チーンガラガラ
花山「いねえな」
妹「どこかの部屋じゃないかな」
花山「それもそうだな」
妹「あ、あの部屋は?館長室」
花山「ああ、そこか」
ガチャ
花山「・・・いねえな」
妹「あっ、違う、用具室」
花山「用具室?」
妹「あった!用具室」
花山「この中にいるのか?」
ガチャ
妹「いなーい、カオルもいなーい、どーしよー」
花山「・・・なに?」
花山「いねえな」
妹「どこかの部屋じゃないかな」
花山「それもそうだな」
妹「あ、あの部屋は?館長室」
花山「ああ、そこか」
ガチャ
花山「・・・いねえな」
妹「あっ、違う、用具室」
花山「用具室?」
妹「あった!用具室」
花山「この中にいるのか?」
ガチャ
妹「いなーい、カオルもいなーい、どーしよー」
花山「・・・なに?」
130: 2012/07/02(月) 20:14:53.90
花山「カオル?」
妹「そう、ともだち・・・悪い人につかまっちゃったの」
花山「そりゃいけねえな」
妹「助けなきゃ」
花山「そうだな」
妹「・・・あ・・・ごめんなさい、図々しいこと」
花山「・・・」
妹「そう、ともだち・・・悪い人につかまっちゃったの」
花山「そりゃいけねえな」
妹「助けなきゃ」
花山「そうだな」
妹「・・・あ・・・ごめんなさい、図々しいこと」
花山「・・・」
131: 2012/07/02(月) 20:25:50.08
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
激怒する末堂を前にしても、男は調子を変えること無く飄々と話した
男「探す人が増えちゃったよ、ねえ、もう一人の女の子は?」
末堂「答えろ、その娘になにしやがった!」
男「うるさいから、ちょっと寝てもらってるだけだよ」
末堂「うらぁ!」
再び男に襲いかかる末堂の右上段回し蹴り
だが、またも虚しく空を切る
男「おっと・・・」
末堂「チョロチョロと・・・」
男「ここは・・・天井が低いなあ・・・」
末堂「あ?」
ガシッ
男は両脚を鞭のようにしならせ、末堂の身体に巻きつけると、そのまま両腕を床に着けた
末堂「・・・グッ」
男「サヨナラ、末堂君」
そして身体を後ろに反らし、バック転の容量で末堂の巨体を、窓に投げた
ブンッ ガッシャアーン
末堂「うああああああ!」
ドサ
男「・・・思い切り地面に落ちた音だ、氏んだか」
132: 2012/07/02(月) 20:33:30.79
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
末堂と男が対峙した所の、同階の一番奥の用具室で、未だ震えている二人を見張っていた独歩と克巳と烈が更なる館内の異変に気づいた
克巳「ガラスの割れた音?!」
独歩「この階の、エレベーターホールの方だ」
烈「行きましょう!」
独歩「俺はこいつら見張ってるぜ」
克巳「はい!お願いします!」
133: 2012/07/02(月) 20:40:20.45
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
男は落ちた末堂の様子を見ようと、窓に近づいた時に携帯電話が鳴った
ピリリリピリリリ
ピッ
男「はいはーい・・・あ、もう着いたの?早いね・・・三階ね、ヨロシクー」
ピッ
男は電話を切ると、こちらに向かって駆け寄って来る足音に気づいた
そして、廊下の遠くの方から瞬く間に男の間合いまで踏み切った烈と克巳
烈「・・・何者だ」
克巳「君、女の子に手を上げたの?」
男「おや?烈海王に愚地克巳?なんだ、君達、仲良しになったの?」
烈「何?」
克巳「・・・こいつどこかで・・・」
134: 2012/07/02(月) 20:44:27.68
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山は何故かこのまま、この娘とこうしていたいと思った
不思議な感情だった
花山「・・・同じ名のよしみだ」
妹「・・・同じ・・・名?」
花山「・・・ああ」
135: 2012/07/02(月) 20:52:07.63
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
男はわざとらしく目を上下させ、二人の身体の様子をみて、眉をしかめた
男「どうしたんだい?二人とも・・・足に、腕」
烈「克巳!窓の外を!」
克巳「!?」
烈が丸々一枚割れてなくなった窓ガラスの枠から外を見て、驚愕の表情を浮かべ克巳の腕を引いた、そして男は外に顔を覗かせる二人の様子を見ていた
男「ああ、邪魔するからさあ、ごめんね」
克巳「末堂ォォッッ!!」
139: 2012/07/03(火) 21:14:33.06
狼狽した様子の克巳は、窓から振り返り、廊下のほうへ声を上げる
克巳「救助を!誰かいないか!」
「「「「「誰もいないよ」」」」」
不意に扉が開いたエレベーターから、真っ白いスーツを来た五人組の男が現れた
男「ああ、来たか」
克巳「なんだ貴様らッッ!」
烈「・・・同じ・・・顔、五つ子?」
男「ハンド・・・の皆さんだっけ?じゃあ二人は頼んだよ」
「「「「「お安い御用だ」」」」」
克巳「待っ・・・!」
その場を去ろうとする男を止めようと克巳が踏み出すと、男は膝を曲げ小さく身を屈めた
そして勢い良く身体を起こすと、廊下の男の足元の部分が陥没し、クレーターが現れた
『ドンッ!!』
克巳「!!」
烈「ッッ床を!」
突如現れたクレーターに、克巳が一瞬戸惑った隙を逃さず、男は階段の奥へ消えた
タタタタタ
克巳「思い出したぜ・・・あの野郎」
克巳「救助を!誰かいないか!」
「「「「「誰もいないよ」」」」」
不意に扉が開いたエレベーターから、真っ白いスーツを来た五人組の男が現れた
男「ああ、来たか」
克巳「なんだ貴様らッッ!」
烈「・・・同じ・・・顔、五つ子?」
男「ハンド・・・の皆さんだっけ?じゃあ二人は頼んだよ」
「「「「「お安い御用だ」」」」」
克巳「待っ・・・!」
その場を去ろうとする男を止めようと克巳が踏み出すと、男は膝を曲げ小さく身を屈めた
そして勢い良く身体を起こすと、廊下の男の足元の部分が陥没し、クレーターが現れた
『ドンッ!!』
克巳「!!」
烈「ッッ床を!」
突如現れたクレーターに、克巳が一瞬戸惑った隙を逃さず、男は階段の奥へ消えた
タタタタタ
克巳「思い出したぜ・・・あの野郎」
141: 2012/07/03(火) 21:30:37.75
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山と妹は目を見合わせ、二人の間には沈黙の空気が流れていた
妹「・・・お兄・・・ちゃん?」
花山「・・・!」
妹「・・・」
花山「・・・そうか・・・そんな気がした」
妹「やっぱり、そうなんだ」
花山「母親が、逝ったってな・・・」
妹「・・・うん、一人になっちゃった」
花山「・・・」
妹は震えていた
今日は色々なことがあり過ぎた、戸惑う、などという言葉で片付けられる精神状態ではなかった、
別の世界に紛れ込んでしまったような、
気を失いそうな
でも、真実を、現実を知りたい
その一心で、なんとか正気を保っている
そして、今、目の前に優しく温かい真実が現れてくれた
思わず、妹は花山の逞しい掌に手を伸ばしていた
ギュ
妹「・・・大きい手」
花山「・・・」
142: 2012/07/03(火) 23:54:44.02
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
独歩は上の階の戦闘で、天井が崩れ落ちそうなほどヒビが入って行くのを見ていた
独歩「・・・おいおい、また壊されてるよ、まったく」
そこで用具室のドアが開かれた
ガチャ
男「・・・いやあ、お久しぶりです、愚地独歩先生」
独歩「・・・!?てめえ・・・」
男「地下闘技場トーナメント以来ですね」
独歩「天内・・・悠」
143: 2012/07/04(水) 00:21:39.50
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
信じられない程大きな兄の手に触れていると、不思議な程に心が落ち着く
自然と言葉が出てくる
妹「・・・お金、かえさきゃ」
花山「お前の金だ」
妹「ううん、ダメ」
妹は預金通帳と母からの手紙を取り出し、花山の手に置いた
妹「お父さんのお金だよ・・・お兄ちゃん受け取って」
花山「・・・」
妹「これ、お母さんの手紙・・・最後に口座番号と暗証番号書いてある」
無表情だけど優しい目を見ながら、話し続けていると、空気を劈く破裂音と共に花山の目が見開かれた
『ドン!』
花山「・・・クッ!」
妹「イヤ!何?!」
花山「散弾銃・・・隠れろ!」
妹をすっぽりと覆うように庇い、銃声に背中を向けているが、構わず連発される撃鉄を鳴らす音
『ドン!ドン!ドン!』
花山「・・・グッ」
妹「いやあ!お兄ちゃん!!」
144: 2012/07/04(水) 00:28:49.07
『やっと妹と出会えたなあ、二代目ぇ』
硝煙の出る散弾銃を肩に掛け、玉虫色のスーツを着てこちらに近づいて来た、聞き慣れた声を出す、パンチパーマの男
花山「・・・新垣」
妹「!」
新垣「無敵の花山薫も、流石にショットガン四発はキツいだろ」
花山「・・・手前ぇ」
新垣「二人まとめてここで氏んでくれ、なあ」
妹「お兄ちゃん!」
花山「・・・どういうことだ」
新垣「・・・あんたはいい頭だよ、人望がある・・・先代と同じようにな」
花山「・・・」
新垣「その娘の母親に、先代は深く入れ込んでたなあ・・・入院したときゃ組の金半分ポンとやっちまった」
花山「・・・手前ぇ親父にずっと付いてたな・・・金目的か」
新垣「その通りだよ、いつか組の金ごっそり頂いて高飛びしちまおうと考えてた」
花山「・・・」
新垣「小遣い集めによ、最近チンピラを集めて仕事させてたんだが、大した金にもなりゃしねえや」
花山「・・・手前ぇが」
新垣「そこで考えたんだ、リスクが少なく大金を手にするにはどうするか・・・その娘だよ」
妹「・・・」
新垣「そいつの母親が氏んだと聞いた時、こりゃチャンスだと思ってよ、またチンピラ集めて攫ってやろうと考えたんだが・・・なかなか上手くいかねえ」
硝煙の出る散弾銃を肩に掛け、玉虫色のスーツを着てこちらに近づいて来た、聞き慣れた声を出す、パンチパーマの男
花山「・・・新垣」
妹「!」
新垣「無敵の花山薫も、流石にショットガン四発はキツいだろ」
花山「・・・手前ぇ」
新垣「二人まとめてここで氏んでくれ、なあ」
妹「お兄ちゃん!」
花山「・・・どういうことだ」
新垣「・・・あんたはいい頭だよ、人望がある・・・先代と同じようにな」
花山「・・・」
新垣「その娘の母親に、先代は深く入れ込んでたなあ・・・入院したときゃ組の金半分ポンとやっちまった」
花山「・・・手前ぇ親父にずっと付いてたな・・・金目的か」
新垣「その通りだよ、いつか組の金ごっそり頂いて高飛びしちまおうと考えてた」
花山「・・・」
新垣「小遣い集めによ、最近チンピラを集めて仕事させてたんだが、大した金にもなりゃしねえや」
花山「・・・手前ぇが」
新垣「そこで考えたんだ、リスクが少なく大金を手にするにはどうするか・・・その娘だよ」
妹「・・・」
新垣「そいつの母親が氏んだと聞いた時、こりゃチャンスだと思ってよ、またチンピラ集めて攫ってやろうと考えたんだが・・・なかなか上手くいかねえ」
147: 2012/07/04(水) 01:39:12.86
新垣「思わぬ邪魔が入ってな・・・こんな厄介な所に連れて来られやがった」
妹「・・・チャイナさんがいなかったら」
新垣「いずれあんたの耳にも入って、計画がオジャンとなる前に、下っぱ使ってあんたに動けなくなってもらおうと思ったんだが・・・あんたの強さは・・・知っちゃあいたが、桁外れだった」
花山「爆弾野郎は・・・手前ぇの差し金だったのか・・・おかしいと思ったぜ」
新垣「始末したのはいいんだが、額を撃っちまった・・・あんたはなんとなく違和感に気付いただろ、自分で頭撃つ時は普通こめかみだ・・・」
花山「・・・まさかとは思ったが」
妹「・・・チャイナさんがいなかったら」
新垣「いずれあんたの耳にも入って、計画がオジャンとなる前に、下っぱ使ってあんたに動けなくなってもらおうと思ったんだが・・・あんたの強さは・・・知っちゃあいたが、桁外れだった」
花山「爆弾野郎は・・・手前ぇの差し金だったのか・・・おかしいと思ったぜ」
新垣「始末したのはいいんだが、額を撃っちまった・・・あんたはなんとなく違和感に気付いただろ、自分で頭撃つ時は普通こめかみだ・・・」
花山「・・・まさかとは思ったが」
148: 2012/07/04(水) 01:51:44.67
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
バラバラの身長で同じ顔という、不気味な五人組『ハンド』
親指から小指までの順番で並び、戦闘体制に入っている
烈「早く、末堂に救助を呼ばなければ・・・」
サム「ここに来るまでに」
ファースト「道場の人間には」
ミドル「全員」
リング「眠ってもらって」
ショート「誰も来ない」
克巳「・・・なんだこいつら」
烈「まるで・・・一人の人間が喋っているように」
「「「「「我らハンドは五身一体!」」」」」
克巳「真っ白いスーツ着てないで、おまえらこそ一人ずつ色分けしやがれ!シャッ!」
真ん中の一番背の高い男『ミドル』に向かい放たれた克巳の上段蹴りは、その左右の『リング』と『ファースト』の腕によって止められ、それと同時に一番外側の『サム』と『ショート』が克巳の脇腹に一撃ずつ食らわせた
それはまさに、一人の人間の一つの手の平の動きのようだった
シュッ ガッ ガッ ドス ドス
烈「克巳!」
149: 2012/07/04(水) 01:55:41.28
克巳「クッ・・・躱すと同時に攻撃・・・」
床に倒れていたカオルが、目を覚ました
カオル「・・・う・・・ん」
烈「カオル!末堂君が下に落下した!」
カオル「・・・え?」
烈「救助をッッ!」
ショート「おっと、逃がさないよ」
立ちあがろうとするカオルの前に、一番低身長のショートが立ちはだかった
カオル「キャッ!」
サム「ショート、お前が捕まえておけ」
ファースト「さて続きだ」
ミドル「防御、攻撃」
リング「同時に多方向から」
「「「「「どうする?」」」」」
カオル「すえっち・・・ここから、落ちたの?!」
ショート「そのようだねぇ」
烈「・・・」
床に倒れていたカオルが、目を覚ました
カオル「・・・う・・・ん」
烈「カオル!末堂君が下に落下した!」
カオル「・・・え?」
烈「救助をッッ!」
ショート「おっと、逃がさないよ」
立ちあがろうとするカオルの前に、一番低身長のショートが立ちはだかった
カオル「キャッ!」
サム「ショート、お前が捕まえておけ」
ファースト「さて続きだ」
ミドル「防御、攻撃」
リング「同時に多方向から」
「「「「「どうする?」」」」」
カオル「すえっち・・・ここから、落ちたの?!」
ショート「そのようだねぇ」
烈「・・・」
151: 2012/07/04(水) 12:54:05.04
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
男の名は天内悠
かつて地下闘技場トーナメントで独歩と拳を交えた相手だった
赤青スーツの二人は、天内の姿を見ると一気に恐怖が絶頂まで登りつめた
赤・青「ヒッ・・・ヒイィィィィィィ~~~ッッ!!」
独歩「こいつらは・・・お前さんに怯えてたのかい」
天内「ええ、一度公開処刑をしたことがありまして・・・身体中の骨を砕いた所を見せてやりました」
独歩「・・・堕ちたモンだな、アメリカ大統領SPから頃し屋かよ」
天内「・・・愛あるが故に、それに反する人の望まぬことを行う・・・天職を見つけましたよ」
152: 2012/07/04(水) 12:55:19.53
独歩「思い出して来たぜ、その神経に触るほど丁寧な立ち振舞い・・・なんとかならねえのかよ」
天内「目上の方に対してだけです、誇っていい・・・貴方は私に尊敬されている」
独歩「相手見て使い分けてんのか、嫌な奴だったんだなあ・・・俺に敗ける前は聖人のように振る舞ってたじゃねえか」
天内「敗けてなどいないッッ!!」
天内「目上の方に対してだけです、誇っていい・・・貴方は私に尊敬されている」
独歩「相手見て使い分けてんのか、嫌な奴だったんだなあ・・・俺に敗ける前は聖人のように振る舞ってたじゃねえか」
天内「敗けてなどいないッッ!!」
157: 2012/07/04(水) 22:41:14.38
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
背中から流血する花山を見下ろし、新垣は意気揚々とショットガンをリロードした
ガシャッ
新垣「親父が愛人に大金注ぎ込んでてよ、その愛人が氏んだと聞いたら、残された娘を狙う・・・普通のことだろ?」
妹「・・・最低」
花山「・・・」
新垣「最低ね・・・ククッ・・・まあ、こんなモンで、あんたを仕留めれるとは思っちゃいねえよ・・・」
新垣は硝煙が出たままのショットガンを、慣れた手付きで一度振り回して見せてから、床に放った
新垣「だがよ、こいつを口にぶちこんだら、どうかな?」
放り投げた手をそのまま懐に入れ、銀色に輝く拳銃を取り出した
妹「・・・イヤ」
花山「・・・やってみろ」
新垣は妹を抱え込んだまま無表情で見上げる花山の口に銃口をねじ込んだ
ズボ
新垣「デザートイーグルに44マグナム弾だぜ?ハンドキャノンってぇやつだ・・・ヒャッハハハハ!!酷ぇ様だなあ!二代目え!」
妹「止めてぇ!!」
158: 2012/07/04(水) 22:50:06.51
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
烈は義足を上手く利用し、克巳の背中に自らの背中を合わせた
クルッ ピタ
烈「急がなければ!」
克巳「ああ!」
サム「ほう、流石だな」
ファースト「背中合わせで、氏角を消したか」
ミドル「だがこれは、試合では無い」
リング「正々堂々と正面からやり合うと思うか?」
不気味な台詞の輪唱の中、ショート以外の四人はスーツの背中から、美しく装飾がされた、太い曲線を描く大きな刀を同時に取り出した
シャキンシャキッシャキ
ショート「多方向から、同時に青龍刀の波状攻撃・・・」
烈「・・・ッッ!」
克巳「クソッ・・・」
159: 2012/07/04(水) 23:03:22.79
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
用具室に響き渡った天内の声には、明らかに今までの冷静沈着な言い回しとは異なり、感情が露わにされていた
独歩「あっれ~?俺が勝ったと思ったがなあ」
天内「明らかに!明らかに私が勝っていたッッ!邪魔さえ入らなければ・・・」
独歩「・・・それじゃあ・・・どうすんだ?」
天内「知れたことッッ!」
天内は異常に長い両腕を床と水平に広げ、両脚を揃えて、独特の戦闘体制をとった
独歩「やっぱりヤルのか・・・もう、床壊さねぇでくれよ?」
天内「あの時は、ギャラリーに他出場者・・・人の目があった」
独歩「ああ、なんだ?兄ちゃんあがり症だったの?」
天内「ふざけるなッッ!」
独歩「ふざけてるのはどっちでぇ・・・」
160: 2012/07/04(水) 23:16:07.56
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
絶望的な表情を浮かべながら、背中合わせで構える烈と克巳に、青龍刀で空気を切る音をさせながら、四人が近付いて行く
克巳「・・・ダメだ」
烈「ここまでか・・・」
二人が両腕をぶら下げ、観念したように両目を閉じた時、拍子抜けする程明るい、聞き慣れた声が聞こえて来た
『お待たせ』
ショート「ん?」
カオル「!」
克巳「来た来た」
烈「よし」
サム「・・・何故?」
カオル「すえっち!!」
末堂「ッッシャア!!」
音を頃してカオルを人質に取るショートの後ろに現れた末堂は、巨木の様な右脚をショートの脇腹に叩きつけた
ズドッ
ショート「ゲハァ!」
ドサ
163: 2012/07/04(水) 23:58:19.89
末堂「こっちはもう大丈夫です、二人ともナイスでした」
克巳「ちと臭かったかな?」
烈「克巳、咄嗟の判断でよく合わせてくれた」
克巳「だってコイツ、外で普通に起き上がって、こっちに手振ってんだもんな」
サム「今の狼狽が・・・芝居だったと言うのか」
克巳「いやあ~、あのオカマ野郎天内を油断させて、一網打尽にしてやろうと思ったんだけどね」
烈「彼女が人質に捕られ、芝居続行・・・フッ・・・思わぬ効果があったものだ」
克巳「ちと臭かったかな?」
烈「克巳、咄嗟の判断でよく合わせてくれた」
克巳「だってコイツ、外で普通に起き上がって、こっちに手振ってんだもんな」
サム「今の狼狽が・・・芝居だったと言うのか」
克巳「いやあ~、あのオカマ野郎天内を油断させて、一網打尽にしてやろうと思ったんだけどね」
烈「彼女が人質に捕られ、芝居続行・・・フッ・・・思わぬ効果があったものだ」
165: 2012/07/05(木) 00:27:28.83
ファースト「・・・貴様達二人が窮地に陥っているという、事実には変わりはない」
ミドル「デカブツ、お前は後回しだ」
リング「こいつ達の後で、娘もろとも切り刻んでやる」
末堂「え?なにが?」
克巳「もういいかな」
烈「ああ」
克巳は烈の返事を聞くと、低く身構えた
そして、破裂音と共に四人の手に持っていた青龍刀が弾け飛ぶ
「「「「~~~~ッッ!!」」」」
ガシャガシャシャン
克巳「うちは武器禁止だってば」
烈「人質を捕るまでは良かったが・・・その床に転がっている武具は君達如きが扱える代物では無い・・・」
烈は床に落ちた青龍刀に近づくと、義足を軸にもう片方の足で四本を宙に舞い上げ、両手で見事に全てキャッチした
スッ パシッパシパシパシ
烈「貴様達は中国武術を舐めたッッ!!」
末堂「片手に二本ずつ・・・よ、四刀流?」
ミドル「デカブツ、お前は後回しだ」
リング「こいつ達の後で、娘もろとも切り刻んでやる」
末堂「え?なにが?」
克巳「もういいかな」
烈「ああ」
克巳は烈の返事を聞くと、低く身構えた
そして、破裂音と共に四人の手に持っていた青龍刀が弾け飛ぶ
「「「「~~~~ッッ!!」」」」
ガシャガシャシャン
克巳「うちは武器禁止だってば」
烈「人質を捕るまでは良かったが・・・その床に転がっている武具は君達如きが扱える代物では無い・・・」
烈は床に落ちた青龍刀に近づくと、義足を軸にもう片方の足で四本を宙に舞い上げ、両手で見事に全てキャッチした
スッ パシッパシパシパシ
烈「貴様達は中国武術を舐めたッッ!!」
末堂「片手に二本ずつ・・・よ、四刀流?」
166: 2012/07/05(木) 00:34:40.98
ファースト「クソ!」
ファーストが苦い表情と共に、懐から自動小銃を取り出すと、他の三人も同じ顔をしてそれを取り出した
カオル「銃!」
克巳「ほう、やっとチンピラらしくなってきたじゃないか」
末堂「カオル!避難するぞ!」
カオル「は、はい!」
ファーストが苦い表情と共に、懐から自動小銃を取り出すと、他の三人も同じ顔をしてそれを取り出した
カオル「銃!」
克巳「ほう、やっとチンピラらしくなってきたじゃないか」
末堂「カオル!避難するぞ!」
カオル「は、はい!」
167: 2012/07/05(木) 00:41:33.73
烈「克巳、君も下がっていてくれ」
克巳「そ、そう?・・・なんか、キレてる?」
「「「「氏ね!!」」」」
烈「憤ッッ!!」
四人が引き金に指をかけようとすると、烈はチャイナ服をたなびかせ、駒のように回転しながら青龍刀を唸らせた
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン
ポトッ ポトッポトポト
ファースト「あれ?」
ミドル「・・・何か降って」
リング「これって」
サム「ッッ!!」
床に落ちる四つの自動小銃、そして
ガシャシャン
克巳「よく物を落とすなあ」
「「「「指~~~~~ッッ!!」」」」
克巳「そ、そう?・・・なんか、キレてる?」
「「「「氏ね!!」」」」
烈「憤ッッ!!」
四人が引き金に指をかけようとすると、烈はチャイナ服をたなびかせ、駒のように回転しながら青龍刀を唸らせた
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン
ポトッ ポトッポトポト
ファースト「あれ?」
ミドル「・・・何か降って」
リング「これって」
サム「ッッ!!」
床に落ちる四つの自動小銃、そして
ガシャシャン
克巳「よく物を落とすなあ」
「「「「指~~~~~ッッ!!」」」」
168: 2012/07/05(木) 00:51:31.98
烈「急いで病院に向かえば、まだ再生出来る筈・・・それともまだ・・・」
烈が言い終わる前に、四人は押し合いへし合いながら「餅まき」の様に指を取り合って、背を向け走り始めていた
サム「それは俺のだ!」
ファースト「違う!お前のはあっちだ!」
ミドル「指があ!指があ!」
リング「ヒイィ~!!」
ダダダダダダダダ
克巳「なんて悪者っぽい去り方だ・・・」
末堂「おい!忘れ物だ!」
ガシッ
ショート「・・・ん?」
末堂は気を失っていたショートのベルトを背中から掴み、砲丸投げの容量で二回三回回って四人の方へ放り投げた
ブン
ショート「うあああああ!」
ドーン
烈が言い終わる前に、四人は押し合いへし合いながら「餅まき」の様に指を取り合って、背を向け走り始めていた
サム「それは俺のだ!」
ファースト「違う!お前のはあっちだ!」
ミドル「指があ!指があ!」
リング「ヒイィ~!!」
ダダダダダダダダ
克巳「なんて悪者っぽい去り方だ・・・」
末堂「おい!忘れ物だ!」
ガシッ
ショート「・・・ん?」
末堂は気を失っていたショートのベルトを背中から掴み、砲丸投げの容量で二回三回回って四人の方へ放り投げた
ブン
ショート「うあああああ!」
ドーン
169: 2012/07/05(木) 00:59:39.87
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
天内は落ち着きを取り戻し、先程までの口調で静かに話し始めた
天内「あなたに最後に仕掛けた技・・・あなたに使う以前も、相手が絶命する前に技を解いていた・・・」
独歩「・・・」
天内「あのトーナメント以後・・・警護の仕事に戻った私は、以前のようにクライアントを悪漢から守り続けた」
独歩「・・・真面目にやってたのかい」
天内「あなたと闘るまでは・・・人を傷つけることなど人として最低の行為だと考えていた」
独歩「よ~く言うぜぇ」
170: 2012/07/05(木) 01:06:12.16
天内「だが・・・知ってしまった、悦びを・・・ある日、クライアントの前に銃を持った男が飛び出して来た、いつものように取り押さえ、警察に連行・・・のはずだった」
独歩「・・・」
天内「蘇ったんだ・・・トーナメントの記憶、貴方に仕掛けたあの技・・・あの時戸惑わずに、最後まで締め続けていれば・・・我に帰ると、壊れた人形が転がっていたよ」
独歩「・・・素人に使っちまった訳だ」
天内「犯罪者だ!生きている価値などない!」
独歩「おいおい、人頃しも犯罪って知ってるか?」
天内「制裁だ、天に替わって下したまでだ」
独歩「・・・」
天内「蘇ったんだ・・・トーナメントの記憶、貴方に仕掛けたあの技・・・あの時戸惑わずに、最後まで締め続けていれば・・・我に帰ると、壊れた人形が転がっていたよ」
独歩「・・・素人に使っちまった訳だ」
天内「犯罪者だ!生きている価値などない!」
独歩「おいおい、人頃しも犯罪って知ってるか?」
天内「制裁だ、天に替わって下したまでだ」
171: 2012/07/05(木) 01:17:04.16
独歩「・・・それでクビになって、頃し屋に転職かい」
天内「自ら望んだことだ・・・だが、満たされない・・・一時の快楽は得られるが・・・貴方の時と違う」
独歩「・・・照れるねぇ」
天内「今回の仕事・・・運命を感じましたよ、愚地独歩先生」
独歩「う~ん・・・」
天内「さあ!始めましょう!あの時のように・・・」
『パァン!!』
天内「え?」
天内は鼻骨に弾けるような衝撃を感じると、両手を広げたままの形で、そのまま真後ろへ倒れた
ドサ
独歩「悪りぃなあ、天内・・・」
天内「わ・・・私が・・・一撃で」
独歩「オイラよぉ、お前さんと違って毎日毎日毎日毎日・・・努力してんのよ・・・いい歳こいて、どつき合いに勝っただ敗けただ言いながらよ」
天内「馬鹿な・・・こんな」
独歩「人頃しなんかにウツツぬかしてる奴なんかにゃ敗けらんねぇよ・・・あの時に比べたら雲泥の差だよ、克巳も烈も末堂も・・・」
天内は鼻血を流しながら床に手を付き、充血した両目で独歩を睨みつけながら、ゆっくり立ち上がった
天内「認めない・・・」
独歩「おっ?立てるか」
天内「自ら望んだことだ・・・だが、満たされない・・・一時の快楽は得られるが・・・貴方の時と違う」
独歩「・・・照れるねぇ」
天内「今回の仕事・・・運命を感じましたよ、愚地独歩先生」
独歩「う~ん・・・」
天内「さあ!始めましょう!あの時のように・・・」
『パァン!!』
天内「え?」
天内は鼻骨に弾けるような衝撃を感じると、両手を広げたままの形で、そのまま真後ろへ倒れた
ドサ
独歩「悪りぃなあ、天内・・・」
天内「わ・・・私が・・・一撃で」
独歩「オイラよぉ、お前さんと違って毎日毎日毎日毎日・・・努力してんのよ・・・いい歳こいて、どつき合いに勝っただ敗けただ言いながらよ」
天内「馬鹿な・・・こんな」
独歩「人頃しなんかにウツツぬかしてる奴なんかにゃ敗けらんねぇよ・・・あの時に比べたら雲泥の差だよ、克巳も烈も末堂も・・・」
天内は鼻血を流しながら床に手を付き、充血した両目で独歩を睨みつけながら、ゆっくり立ち上がった
天内「認めない・・・」
独歩「おっ?立てるか」
172: 2012/07/05(木) 08:59:54.58
独歩は天内の視線から目を逸らし、そのまま床に落とした
そして、拳を、幾多も幾多も幾多も握り締めて来た拳を、
本当の正拳を突く為の、
境地の拳を形作った
独歩「・・・目を覚まさせてやるよ、お前さんは強くなるんじゃなくて、手軽に気持ちよくなる方を選んじまった」
天内「愚地独歩ォォォッッ!!」
飛び上がる天内、そして両腕と両脚をしならせ、独歩に絡み付こうとする
が、独歩は微動だにしない
もらった、と
天内が作った歓喜の表情に、触れる
菩薩の拳
『パアァァァン!!!!』
四肢を弾かせ、何度も回転しながら天井にぶつかり床に落ちた天内は、母親の胎内にいる胎児のような姿勢のまま動かなくなった
その顔は笑みを浮かべているように見えた
独歩「・・・気ん持ちいい~~」
そして、拳を、幾多も幾多も幾多も握り締めて来た拳を、
本当の正拳を突く為の、
境地の拳を形作った
独歩「・・・目を覚まさせてやるよ、お前さんは強くなるんじゃなくて、手軽に気持ちよくなる方を選んじまった」
天内「愚地独歩ォォォッッ!!」
飛び上がる天内、そして両腕と両脚をしならせ、独歩に絡み付こうとする
が、独歩は微動だにしない
もらった、と
天内が作った歓喜の表情に、触れる
菩薩の拳
『パアァァァン!!!!』
四肢を弾かせ、何度も回転しながら天井にぶつかり床に落ちた天内は、母親の胎内にいる胎児のような姿勢のまま動かなくなった
その顔は笑みを浮かべているように見えた
独歩「・・・気ん持ちいい~~」
173: 2012/07/05(木) 12:55:54.48
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
銃口を花山の口に捻じ込んだ新垣は、見下ろした花山に哀れんだ顔をして見せたが、勝利の確信から口角が自然と上がってしまう
新垣「ク、ククク・・・喧嘩最強ヤクザの最後だ!やっと出会えた妹の側で逝きなあ!!」
妹「いやあ!!」
『ドン』
新垣「!」
花山「・・・」
妹「お兄・・・ちゃ・・・」
撃鉄は落とされた、
花山の口内で鉛の弾は高速回転しながら、血飛沫を飛び散らせ、貫通した
花山の頬を
花山は驚異の反射神経で、新垣が引き金を引くタイミングに合わせて、顔を回転させ、右頬を犠牲に致命傷を免れたのである
新垣「嘘だろ・・・・・・そんなことが・・・」
ガシッ
花山「まだ・・・やるかい?」
花山は即座に銃を持つ新垣の前腕を、両手の平で挟んだ
そして、超人的な握力で血液の逃げ場所を無くし、
破裂させた
『パンッ』
新垣「うわああああ!!!腕がああああああ!!!!!」
飛散した自分の肉片に、発狂した新垣
花山は立ち上がり、ゆっくりと上半身を捻じり背を向けて行った
無数の散弾によってダブルのスーツは破られ、大きくむき出されていた花山の背中
そこに現れる、血液で彩られ、涙を流しているようにも見える、漢の彫り物
新垣「・・・侠客・・・立ち」
捻じられた背中の奥に装填された、拳と言う名の大砲の弾が、新垣の目に、
鐘を担ぐ侠客の残像を残して、
発射された
ググググ グォッ
『ドオオオン!』
新垣の身体に、花山の固く硬く握られた拳が激突すると、瞬時に廊下の端の壁まで吹っ飛び、そこに恐怖と絶望の表情を残して大の字に貼り付けられた
パラパラ
妹「お兄ちゃん!」
174: 2012/07/05(木) 14:28:43.15
花山「・・・フゥ」
花山は拳を振り切った勢いでそのまま床に崩れ落ちそうになるのを、踏みとどまった
そして、妹はしゃくり上げながら、駆け寄る
妹「大丈夫?!ねえ、大丈夫?!グスッ」
花山「大丈夫だ・・・あんなモン食らっても痛くも痒くもねえ」
妹「本当?」
花山「本当だ」
妹「本当に本当?」
花山「本当に本当だ、うまく喋れねえがな」
妹「・・・病院に」
花山「なあ」
妹「・・・ん?」
花山「・・・親父は、お前の母親と・・・俺のお袋がいながら・・・」
妹「・・・」
花山は拳を振り切った勢いでそのまま床に崩れ落ちそうになるのを、踏みとどまった
そして、妹はしゃくり上げながら、駆け寄る
妹「大丈夫?!ねえ、大丈夫?!グスッ」
花山「大丈夫だ・・・あんなモン食らっても痛くも痒くもねえ」
妹「本当?」
花山「本当だ」
妹「本当に本当?」
花山「本当に本当だ、うまく喋れねえがな」
妹「・・・病院に」
花山「なあ」
妹「・・・ん?」
花山「・・・親父は、お前の母親と・・・俺のお袋がいながら・・・」
妹「・・・」
175: 2012/07/05(木) 14:31:00.96
花山「・・・恨むかい?」
妹「・・・わからない、でも」
花山「・・・」
妹「お母さん・・・お父さんのバッジと、お兄ちゃんの名刺を、大事に持ってた」
花山「・・・」
妹「きっと、私にお兄ちゃんと会って欲しかったんだと思う」
花山「・・・そうか」
妹「お兄ちゃんは、お父さんのことどう思ったの?」
花山「・・・男ってのは、そんなもんだ」
妹「・・・わからない、でも」
花山「・・・」
妹「お母さん・・・お父さんのバッジと、お兄ちゃんの名刺を、大事に持ってた」
花山「・・・」
妹「きっと、私にお兄ちゃんと会って欲しかったんだと思う」
花山「・・・そうか」
妹「お兄ちゃんは、お父さんのことどう思ったの?」
花山「・・・男ってのは、そんなもんだ」
176: 2012/07/05(木) 14:32:00.70
妹「ふぅん・・・ねえ、お兄ちゃん」
花山「・・・なんだ」
妹「たまに・・・本当にたまにでいいから・・・会ってくれる?」
花山「・・・」
妹「・・・ダメ?」
花山「・・・なんだ」
妹「たまに・・・本当にたまにでいいから・・・会ってくれる?」
花山「・・・」
妹「・・・ダメ?」
177: 2012/07/05(木) 14:41:50.59
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
カオルは烈達のいる階から一つ下の階へ避難していた
上の様子が少し静かになったので、階段から顔を出して上を覗いてみると、白スーツの男達が脱兎の如く、駆け降りて来た
タタタタタタタタ
「「「「「ヒイィ~~~!!」」」」」
タタタタタタタタ
情けない叫び声を上げながら、下の階へ逃げて行く一堂を見ていると、いつの間にか隣に末堂が立っていた
末堂「・・・終わったぜ」
カオル「すえOち・・・ケガ大丈夫?」
末堂「ケガあ?どっこにもしてねえよ」
カオル「・・・三階から落ちたのに」
末堂「まあな、動いてるジェットコースターから落ちても生きてたぐれえだからよ」
カオル「ふふふっ、やだあ、すえOち面白くなーい」
末堂「・・・」
178: 2012/07/05(木) 14:57:51.65
カオル「ねえ、すえっち・・・」
末堂「あのよお・・・そのすえっちって呼び方・・・」
カオル「こんな時に・・・アレなんだけど・・・か、彼女とかいるの?」
末堂「・・・いるよ」
カオル「・・・そう」
末堂「・・・」
カオル「ごめんなさい」
末堂「・・・いや」
カオル「・・・今日は、ありがとうございました」
タタタタタタ
カオルは深く頭を下げると、末堂と目を合わせず下を向いたまま背を向け走り出した
すると、階段のある筈の手前の所で、何かにぶつかった
末堂と同じ匂いの、何かに
ドン
カオル「あっ、ごめ・・・グス」
汚れた道着、逞しく、優しい身体
独歩の手がカオルの肩に添えられた
独歩「だぁ~れに彼女がいるんだあ?」
烈「初耳だな」
克巳「女の子を泣かやがったなあ」
末堂「あのよお・・・そのすえっちって呼び方・・・」
カオル「こんな時に・・・アレなんだけど・・・か、彼女とかいるの?」
末堂「・・・いるよ」
カオル「・・・そう」
末堂「・・・」
カオル「ごめんなさい」
末堂「・・・いや」
カオル「・・・今日は、ありがとうございました」
タタタタタタ
カオルは深く頭を下げると、末堂と目を合わせず下を向いたまま背を向け走り出した
すると、階段のある筈の手前の所で、何かにぶつかった
末堂と同じ匂いの、何かに
ドン
カオル「あっ、ごめ・・・グス」
汚れた道着、逞しく、優しい身体
独歩の手がカオルの肩に添えられた
独歩「だぁ~れに彼女がいるんだあ?」
烈「初耳だな」
克巳「女の子を泣かやがったなあ」
180: 2012/07/05(木) 16:09:10.59
末堂「じっ、自分には!空手が・・・」
独歩「へえ、空手が恋人ってか?なら、ゆくゆくは空手と結婚して、空手に洗濯してもらって、空手に飯炊いてもおうとでも考えてんのか?ああ?」
末堂「・・・はい」
克巳「・・・フッ・・・それって、誰かさんみたいですね・・・」
独歩「何笑ってやがる克巳・・・ああ、そうなんだよ、夏恵と会う前の・・・若え頃の俺と、全く同じタイプなんだよ、おまえは・・・末堂よ」
末堂「・・・え?」
独歩「俺とおまえみてぇな空手しか出来ないバカはよ、女がいなきゃ一人でケツも拭けねぇんだ」
末堂「・・・館長」
独歩「お嬢ちゃん・・・カオルだっけか」
カオル「はいっ!」
独歩「男ってバカだよなあ、好きなことやってるとな~んも周りが見えなくなっちまう」
カオル「・・・」
独歩「どんなきっかけで、アンタがこいつに・・・惚れたか分かんねぇが・・・こんなヤツにゃあ女が必要なのよ、まあ、覚えときな」
末堂「・・・」
克巳「いいこと言うなあ」
独歩「ケッ!バッケロウ!おめえが言うと嫌味になんだよ!」
独歩「へえ、空手が恋人ってか?なら、ゆくゆくは空手と結婚して、空手に洗濯してもらって、空手に飯炊いてもおうとでも考えてんのか?ああ?」
末堂「・・・はい」
克巳「・・・フッ・・・それって、誰かさんみたいですね・・・」
独歩「何笑ってやがる克巳・・・ああ、そうなんだよ、夏恵と会う前の・・・若え頃の俺と、全く同じタイプなんだよ、おまえは・・・末堂よ」
末堂「・・・え?」
独歩「俺とおまえみてぇな空手しか出来ないバカはよ、女がいなきゃ一人でケツも拭けねぇんだ」
末堂「・・・館長」
独歩「お嬢ちゃん・・・カオルだっけか」
カオル「はいっ!」
独歩「男ってバカだよなあ、好きなことやってるとな~んも周りが見えなくなっちまう」
カオル「・・・」
独歩「どんなきっかけで、アンタがこいつに・・・惚れたか分かんねぇが・・・こんなヤツにゃあ女が必要なのよ、まあ、覚えときな」
末堂「・・・」
克巳「いいこと言うなあ」
独歩「ケッ!バッケロウ!おめえが言うと嫌味になんだよ!」
181: 2012/07/05(木) 16:17:15.84
独歩は照れ臭さそうに自分の頭を撫でて、皆に背を向けた
独歩「あ~疲れた、帰るぜ」
末堂「お、お疲れ様でした!押忍ッッ!」
克巳「また母さんの蕎麦食べに行きますよ」
独歩「・・・ヘッ」
三人は階段を下って行く大きな、大きな独歩の背中を見送った
克巳「さて、俺も帰るかな・・・あれ?烈は?」
末堂「いつの間にかいなくなりましたね・・・」
カオル「・・・チャイナさん」
独歩「あ~疲れた、帰るぜ」
末堂「お、お疲れ様でした!押忍ッッ!」
克巳「また母さんの蕎麦食べに行きますよ」
独歩「・・・ヘッ」
三人は階段を下って行く大きな、大きな独歩の背中を見送った
克巳「さて、俺も帰るかな・・・あれ?烈は?」
末堂「いつの間にかいなくなりましたね・・・」
カオル「・・・チャイナさん」
182: 2012/07/05(木) 16:37:34.89
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
烈は既に神心会を後にし、帰路へ歩き始めていたが
ふと、脚を止め、振り返る
烈「・・・人との縁、何故、私が彼女達と出会ったのか・・・この出会いの意味とは・・・」
二人の姿を思い出し、思わず微笑む
烈「意味などいらぬか・・・大切なのは、瞬間、感じること・・・拳を交えなくとも人と人は強く繋がりを持てるのだな」
そして烈は再び前を向き、歩み始めた
烈「良い日だった」
沈み行く夕日へと、一歩ずつ、一歩ずつ進んで行く義足の男、
烈海王
中国拳法最高峰の称号を背に、明日に向かう
万感の思いで
183: 2012/07/05(木) 16:42:41.35
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
克巳は意味ありげな笑顔を残し、「じゃっ」と軽く挨拶をすると末堂とカオルを残して去っていった
カオル「克巳さん、強くて優しい人だった、烈さんも、独歩さんも・・・」
末堂は強く頷くと、軽い深呼吸をしてカオルに顔を向けた
末堂「・・・なあ」
カオル「・・・はい」
末堂「俺はよ・・・空手のこと意外なにも知らねえ」
カオル「・・・」
末堂「俺に・・・教えてくれるか」
カオル「おす!」
184: 2012/07/05(木) 18:09:02.94
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極道の世界、筋物達が命を取り合い、汚れた金を動かし、罠を張り、そして裏切る
女子中学生が首を突っ込むには、余りにも非情な場所である
妹「・・・住む世界が・・・違い過ぎるよね」
花山「・・・そうだな」
妹「お兄ちゃんと・・・一緒に・・・出掛けたり、遊びに行ったりしたい・・・わがままかなあ?」
花山「・・・こんな風貌だ・・・無理だ」
185: 2012/07/05(木) 23:45:15.76
銃声が聞こえた辺りから建物に入り、様子を伺っていた木崎は、階段の踊り場で二人のやり取りに聞き耳を立てていた
木崎「・・・に、二代目が・・・めちゃめちゃ喋ってる」
花山「・・・そこに隠れて・・・立ち聞きしてる奴」
木崎「ばれてる・・・は、はい!」
花山「・・・服を・・・買いに行く」
喧嘩最強と言う肩書きを持ち、
向かって来る者がいれば、行住坐臥、叩き伏せて来た
自ら望んだ訳でも無い、生まれつきの豪腕
強くなる為の努力すら女々しいと断ずる、強烈な雄度を持ち、振るって来た、拳
そして、やがて自分と肩を並べる実力の持ち主や、自分より遥かに強い化け物の様な男達に出会った
花山は再び拳を握り、思った
この拳は、何の為に在る
強くは有るが、無双とは決して言えぬ
何故、この拳を授かった
その答えは、既に手の中にあった
そっと掌を開くと、蘇る、護るべき者の手のひらの感触
それが、目の前に
妹「・・・え?」
木崎「はい」
花山「着て、出掛ける服を買いに行く」
妹「・・・お兄・・・」
花山「・・・付き合え」
妹「・・・」
花山「嫌か」
堪えきれぬ涙は、とめど無く溢れ、かけがえの無い笑顔をつくりだす
妹は、何度も首を横に振った
花山「いいのか」
コクッ
木崎「・・・に、二代目が・・・めちゃめちゃ喋ってる」
花山「・・・そこに隠れて・・・立ち聞きしてる奴」
木崎「ばれてる・・・は、はい!」
花山「・・・服を・・・買いに行く」
喧嘩最強と言う肩書きを持ち、
向かって来る者がいれば、行住坐臥、叩き伏せて来た
自ら望んだ訳でも無い、生まれつきの豪腕
強くなる為の努力すら女々しいと断ずる、強烈な雄度を持ち、振るって来た、拳
そして、やがて自分と肩を並べる実力の持ち主や、自分より遥かに強い化け物の様な男達に出会った
花山は再び拳を握り、思った
この拳は、何の為に在る
強くは有るが、無双とは決して言えぬ
何故、この拳を授かった
その答えは、既に手の中にあった
そっと掌を開くと、蘇る、護るべき者の手のひらの感触
それが、目の前に
妹「・・・え?」
木崎「はい」
花山「着て、出掛ける服を買いに行く」
妹「・・・お兄・・・」
花山「・・・付き合え」
妹「・・・」
花山「嫌か」
堪えきれぬ涙は、とめど無く溢れ、かけがえの無い笑顔をつくりだす
妹は、何度も首を横に振った
花山「いいのか」
コクッ
186: 2012/07/05(木) 23:46:52.37
花山「よし・・・行くぞ」
木崎「二代目・・・もう、店が閉まってる時間です」
花山「・・・そうか」
木崎「念のため・・・調べてみます」
花山「・・・ああ」
タッタッタッ
花山「・・・」
妹「・・・」
木崎「二代目・・・もう、店が閉まってる時間です」
花山「・・・そうか」
木崎「念のため・・・調べてみます」
花山「・・・ああ」
タッタッタッ
花山「・・・」
妹「・・・」
187: 2012/07/05(木) 23:48:34.08
花山「・・・」
妹「・・・お兄ちゃん」
花山「・・・なんだ」
妹「ギュッてしていい?」
花山「・・・ああ」
ギュッ
妹「・・・お兄ちゃん」
花山「・・・」
妹「大好き!」
~おしまい~
妹「・・・お兄ちゃん」
花山「・・・なんだ」
妹「ギュッてしていい?」
花山「・・・ああ」
ギュッ
妹「・・・お兄ちゃん」
花山「・・・」
妹「大好き!」
~おしまい~
189: 2012/07/05(木) 23:51:12.83
ありがとうございました
190: 2012/07/06(金) 00:01:09.88
乙
192: 2012/07/06(金) 00:16:27.37
面白かった おつかれさま
引用元: 花山薫「・・・妹?」
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