1: 2013/02/23(土) 22:25:33.02

―765プロ事務所

P「はぁぁぁぁ…終わった…」

律子「こっちも終わりましたよ」

P「うぃー…おつかれー」

律子「そういえば冷蔵庫にケーキあるんでよかったらどうぞ」

P「ありがとう。律子は天使だなぁ」


https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361625932

2: 2013/02/23(土) 22:26:17.70

律子「それはやよい。そういうのいいですから」

P「律子がよく食べてるやつか?」

律子「ええ。悪くないんですよ」

P「んじゃありがたく…律子は?」

律子「私一回昼に戻ってきたとき食べちゃったんで」

3: 2013/02/23(土) 22:27:20.80

P「じゃあ半分個するか」

律子「いいですよ。食べちゃってください」

P「律子は相変わらずツンデレだなぁ」

律子「はいはい。今日もテレビ見て帰るんですか?」

P「ああ、今日はスーパーゴール特集だ!今週の一位は誰かなー」

律子「あんまり遅くならないうちに上がってくださいよ」

4: 2013/02/23(土) 22:28:02.29

P「律子こそ、リハの後なのに悪かったな」

律子「いつものことじゃないですか」

P「そのいつもが申し訳ないなーと…」

律子「ま、来年度には事務の方が来ていただけるそうですし…」

P「え!?初耳だぞ!?」

律子「私も社長からちらっと聞いただけですから」

5: 2013/02/23(土) 22:28:38.56

P「お、女の人かな!?」

律子「…スケベ」

P「ち、違うって!知的好奇心というものでだな…!」

律子「知りませんよ。ほんとにちょっと聞いただけですから」

6: 2013/02/23(土) 22:29:13.12

P「そっか…でもそしたら律子もアイドル活動に専念できるな」

律子「…」

律子「…先にあがりますね」ガチャ

P「おう、お疲れさん」

7: 2013/02/24(日) 00:55:40.34


律子「…」テクテク

律子「…」ポパピプペ

律子「…」プルルルル…

『はい~』

律子「あ、あずささん?遅くにすいません」

8: 2013/02/24(日) 00:58:15.84

あずさ『いえいえ~律子さんこそお疲れさまです~』

あずさ『今上がったところですか~?』

律子「はい。お疲れさまです」

あずさ『それで~どうなさったんですか~?』

律子「今日で…5日目です」

あずさ『…そうですね~』

9: 2013/02/24(日) 00:58:45.35

律子「ええ…まったく、しょうがないですよね」

あずさ『しょうがないですね~まったくあの人は~』

律子「しょうがないですよ…ほんとに」

あずさ『そうですか~…』

律子「…あずささんには相談に乗ってもらってましたし」

律子「ご報告を、と思いまして…」

あずさ『…』

10: 2013/02/24(日) 00:59:19.19

あずさ『寂しくなっちゃうわね~』

律子「…そう言ってもらえるのは素直に嬉しいですね、ふふ」

あずさ『あらあら~』

あずさ『…普段からそう素直になればいいのに~』

11: 2013/02/24(日) 00:59:51.57

律子「普段から思ったことは口に出してるつもりですけどね?」

あずさ『うふふ~そうね~』

あずさ『…まぁ律子さんは頑固だから、これ以上は言わないわ~』

律子「頑固ですか…」

あずさ『頑固さんよ~うふふ~』

律子「…明日には社長に話します」

12: 2013/02/24(日) 04:23:50.90

翌日―

P「…んん…」

P「ぐああ~体痛て………あふぅ」

P「さすがに一旦家帰って…って」

P「…あれ?あれー!?」

P「…うそぉん」

13: 2013/02/24(日) 04:24:23.32


律子「おはよーございま」

P「り、律子!」

律子「きゃ!」

P「鍵知らないか!鍵!」

律子「…落ち着いてください。あいさつは?」

P「お、おはよう」

14: 2013/02/24(日) 04:24:56.66

律子「はい、おはようございます。それで?」

P「いや机に自宅の鍵入れてたんだが気づいたらなくなってたんだ!」

律子「…それはいつ気づいたんですか?」

P「それは…」

P「…昨日律子が帰ったあと…」

律子「…そうですか」

15: 2013/02/24(日) 04:25:36.54

律子「…確かに落し物で鍵がありましたよ」

P「ほ、ほんとか!?」

律子「ええ…」ゴソゴソ

律子「まぁ…これであればですけど」チャリン

P「そ、それや!」

律子「はいはい良かったですね」

P「ぐぁ~よかった…マジで焦った…」

律子「気をつけてくださいよ」

16: 2013/02/24(日) 04:26:08.25

P「すまん。でもホント助かったよ、はぁ」

律子「…じゃあ昨日はどうしてたんですか」

P「ああ…しょうがないから事務所に泊まったよ」

P「!…な、なぁ律子」

律子「なんですか?」

P「この鍵って…落とし物として届いたのいつだ?」

17: 2013/02/24(日) 04:26:42.17

律子「…鍵がないの気づいたのいつだって言ってました?」

P「…昨日の夜」

律子「じゃあ昨日届いたに決まってるじゃないですか」

律子「毎日使うものがなくなってたら普通すぐ気づきますよね?」

P「だ、だよな…はは」

律子「…」

P「はは…おれちょっと一旦家戻ってくるな…」

18: 2013/02/24(日) 04:27:16.89

律子「ええ。まだ時間も大丈夫でしょう」

P「ああ…律子今日外にでる仕事は?」

律子「今日明日はレッスンスタジオで最終調整です」

P「そうか…じゃちょっと行ってくる」ガチャ

律子「はい」

律子「…」

19: 2013/02/24(日) 04:27:47.16


律子「…」カタカタ

高木「おっはー!」ガチャ

律子「…おはようございます」

高木「おっと律子君!ツッコミもなしとは相変わらず手厳しいねぇ!」

律子「じゃあ…古いです」

高木「はっはっは」

律子「ところで社長、少しお話が」

20: 2013/02/24(日) 04:28:14.91

高木「うん?大丈夫君は私服も素敵だよ!それは巷ではいろいろ言われてるようだが…」

高木「…真剣な話のようだね」

律子「はい」

高木「わかった…社長室へ」

21: 2013/02/24(日) 04:29:13.72


高木「そうか…わかった」

律子「はい。急な話で申し訳ありませんがよろしくお願いします」

高木「いやいや、今までむしろよくやってくれたよ」

高木「ところで、来年度事務員が増えるという話はたしかしたかな?」

律子「はい、聞きました」

高木「そうか、それがわかった上での決断ならかまわない」

律子「ありがとうございます」

22: 2013/02/24(日) 04:29:46.76

高木「まぁ正直寂しくはあるがね…」

律子「ふふ…ありがとうございます」

高木「…君は笑ったほうが素敵だね」

律子「冗談は存在だけにしてください」

高木「これは厳しい!…ところでプロデューサー君には?」

律子「まだ話してませんが」

高木「そうか…では私からも一言言っておこう」

律子「…」

律子「…お願いします」

23: 2013/02/24(日) 04:30:36.87


P「戻りましたー」ガチャ

律子「失礼しました」ガチャ

律子「あ、おかえりなさい」

P「ああ…社長いらっしゃってるのか?」

律子「ええ」

P「そっか。いつもより少し早いな」

24: 2013/02/24(日) 04:31:05.42

律子「さて…それじゃ私スタジオ行きますね」

P「ん…ああ。頑張ってな」

律子「はい」ガチャ

P「ふぅ…」

高木「…」ガチャ

25: 2013/02/24(日) 04:31:35.58

P「あ、社長おはようございます」

高木「ああ、おはよう」

P「…?なんか元気ありませんね?」

社長「そうかい?…ところで、今少し時間いいかね?」

26: 2013/02/24(日) 04:32:16.12


―夜 事務所

律子「ただいま戻りましたー…」

P「おかえり…」

律子「あ、お疲れさまです」

律子「みんなもう上がりました?」

P「ああ…なぁ、ちょっといいか?」

27: 2013/02/24(日) 04:32:47.71

律子「なんですかー」

P「社長から話を聞いたんだが…」

律子「そうですか」

P「…」

律子「じゃあ、そういうことです」

P「そういうことって…」

28: 2013/02/24(日) 04:34:09.94

律子「あ、ちょうどいいです。一応ひと区切りということで…」

律子「今まで私のプロデュース、ありがとうございました」

律子「そして新年度からは同僚として、よろしくお願いします」

P「…!」

P「なんで…」

律子「なんでもなにも、私は最初からマネージャー志望でしたから。知ってますよね?」

P「それは…そうだが」

29: 2013/02/24(日) 04:35:09.25

律子「高校も卒業しますし、ちょうどいい時期だからです」

P「だからって…なにもアイドルやめなくても」

P「今までだって両立して頑張ってきたじゃないか」

律子「両立?3本ですよ」

P「あ?…」

P「そうか…学生、事務、アイドル…か」

30: 2013/02/24(日) 04:36:02.02

律子「そうですよ…いやぁ大変でした」

P「それは…」

律子「プロデューサーだっていつも悪いな、って言ってるじゃないですか」

律子「でも4月からは同じプロデューサーですから、プロデューサー一本」

律子「だから悪いなんて思う必要もうないですからね」

P「ちょ、ちょっと待てって」

31: 2013/02/24(日) 04:37:25.49

律子「なんですか?」

P「ホントにアイドル辞めるつもりか?」

律子「あのですね…こんなことで冗談言いませんよ」

律子「…あさってのライブがアイドル『秋月律子』としては最後のステージになります」

P「な…!」

律子「社長ともきっちり話を進めています」

律子「さすがにこの件は代表から各所に話を通してもらうべきですから」

P「…」

32: 2013/02/24(日) 04:38:06.39

律子「仕事も基本的には一区切りついてますよね」

律子「このあとも継続してってのはなかったはずです」

P「どうしてだ…?どうして急に…」

律子「だから前々から…」

P「そういうことじゃない!」

律子「…」

P「あ、すまん…」

律子「…」

33: 2013/02/24(日) 04:38:50.52

P「でも…相談ぐらいしてくれてもよかったじゃないか…」

律子「…普通は代表に話をするものでしょう」

P「だからその前に…!」

律子「それに」

律子「相談したら…今みたいに止めようとするかなって思ったからです」

P「…」

34: 2013/02/24(日) 04:40:54.61

P「なぁ、なにか…さっき言った以外の理由があるんじゃないのか?」

律子「…はい?」

P「おれには…」

P「おれには…律子が…」

P「元々そういう予定だったからって理由でアイドルをやめようとするなんて…思えない」

律子「…」

35: 2013/02/24(日) 04:41:48.52

P「だってファンとの握手会とか販促イベントとか」

P「いつもすごく楽しそうじゃないか…」

P「ファンレターも一通も欠かさず読んでるし…」

P「ライブもリハから入念にチェックして」

P「納得できないことは納得できるまでおれと話を詰めるし…」

P「ライブだって…いつもアンコールには2曲以上応えてるし…」

律子「…」

36: 2013/02/24(日) 04:42:19.21

P「なにより…いつもとても楽しそうじゃないか。なのに…」

律子「…もういいです」

P「…」

律子「確かにほかにも理由はあります」

P「…」

律子「でも…あなたには」

律子「話せません。話したく…ありません」

37: 2013/02/24(日) 04:43:07.66

P「…!」

律子「だから…お願いします。もういいじゃないですか」

P「…」

律子「これ以上は…私も」

律子(言いたくもないことを…)

律子「…さ!この話はおしまい!早いとこ上がりましょ!」

律子(言ってしましそうで…)

38: 2013/02/24(日) 04:43:58.46

P「…」

P「…納得できない」

律子「…」

P「…なぁ、勝手に話してるから聞いてくれないか?」

P「律子にはアイドルとしての才能があるだろう?」

P「…やっぱり資質がなきゃAランクまでこれないよ」

律子(…お願い)

39: 2013/02/24(日) 04:44:50.61

P「それにもうSランクも見えてきている。…そのくらい」

律子(言いたくないの…言いたく、ないのに…)

P「律子にはファンが大勢いるんだ。律子がやめたら…」

律子「…プロデューサーは責任が取れるんですか」

P「え…?」

40: 2013/02/24(日) 04:46:39.89

律子「私は将来のビジョンをしっかり持っているつもりです」

律子「ここでマネージャー業、プロデュース業をしっかり学んで」

律子「将来的には経営の道に進んで、起業も目標にしています」

律子(ああ…やっちゃったな)

P「…」


41: 2013/02/24(日) 04:47:29.04

律子「そのために今がちょうどいい時期だと思って決断したんです」

律子(よくもまあここまで理論理論理論…)

律子「応援はしてくれても、止める権利があるんですか?」

律子(権利なんて…よく言うわねこの口は)

律子「アイドルの寿命なんてわからない。厳しい世界ですから」

律子(こんなこと言いたくないのに…)

律子「トップアイドルが3年後に仕事がなくなったなんて話はザラにあります」

律子(もう一種の才能…いいえ、病気かもね、あはは)

律子「そうなった時にプロデューサーは責任が取れるんですかって言ってるんです」

42: 2013/02/24(日) 04:47:54.35

P「…」

律子「…まったく、しょうがないですね」

律子「…」

律子「…お先に失礼します」ガチャ

P「…」

43: 2013/02/24(日) 04:48:30.99


律子「…」テクテク

律子「…しょうがないのは私じゃない」

律子「…」

律子「…もうやだな、こんな…性格…」

50: 2013/02/24(日) 21:49:46.25

―翌日 律子宅

律子「…はぁ」

<コイヲユメミルオヒメサマハー

律子「…ん…」

『着信:F91』

律子「もしもし?あずささん?」

51: 2013/02/24(日) 21:51:08.40

あずさ『はい~よかった、まだ起きてましたか~』

律子「…はい」

あずさ『明日のライブ、がんばってくださいね~…最後になるんでしょう?』

律子「そうですね…頑張りますよ」

あずさ『あらあら~…なんだかあんまり調子が良くないみたい~』

律子「…そうですか?」

52: 2013/02/24(日) 21:52:03.79

あずさ『そうね~、この声はなにか悩んでる時の声ね~』

律子「…」

あずさ『お姉さんでよければ話を聞くわよ~、うふふ』

律子「…ありがとうございます、いつもいつも」

あずさ『いえいえ~、律子さんに頼られるなんて光栄だわ~』

律子「実は…」

53: 2013/02/24(日) 21:52:39.10


あずさ『そうねぇ…お酒でも飲んで話しちゃえ!って感じなんだけど…』

律子「私未成年ですから…」

あずさ『じゃあこういうのはどうかしら~』



54: 2013/02/24(日) 21:53:11.82


律子「…ありがとうございました、あずささん。なんだかすっきりしました」

あずさ『いいのよ~、報告よろしくね~』

律子「うっ…報告しないとだめですか…」

あずさ『相談料ってことで~』

律子「はぁい…」

55: 2013/02/24(日) 21:53:54.72

あずさ『ふふ、じゃあもう一つサービスしちゃうわ~』

律子「…?」

あずさ『この電話、実はプロデューサーさんのお願いなの~』

律子「…はい?」

あずさ『今日の律子さんのレッスンスタジオ、プロデューサーさんこっそり行ったらしくて~』

律子「んなっ…!?」

56: 2013/02/24(日) 21:55:08.26

あずさ『うふふ、それであんまり調子よくなさそうだったから心配だって』

あずさ『私に励ましてくれって連絡が来たのよ~』

律子「…はぁ。そうですか…」

あずさ『まったく、いつまでもラブコメしてんじゃないわよ』

律子「は…?」

あずさ『なんでもないわ~とにかく!きっと明日は大丈夫よ~』

律子「は、はい…」

57: 2013/02/24(日) 21:55:48.61

あずさ『デレりっちゃんの魅力に落とされない男はいないわよ~』

律子「…あずささん、酔ってません?」

あずさ『そんなことないわよ~飲まなきゃやってられないわ~』

律子「…とにかくありがとうございました」

あずさ『うふ、おやすみ律子さん…がんばってね』

律子「…はい」

58: 2013/02/24(日) 21:56:24.37

―翌日 ライブ会場

スタッフA「開演十分前デース!」

スタッフB「秋月さん、そろそろスタンバイおねがいシマース!」

律子「はい」

律子「…」ポパピプペ

律子「…」

律子「…お疲れさまです、律子です」

59: 2013/02/24(日) 21:58:15.61

律子「今から最後のライブです。頑張ってきます」

律子「それと…このメッセージを聞いたら」

律子「ライブ会場に来てくれませんか?もちろんその頃にはライブは終わってるとは思いますが…」

律子「話したいことがありますので…」

律子「待ってます…」

律子「待ってますから」

60: 2013/02/24(日) 21:59:47.75

律子「…」ピ

律子「…よし!いくわよ、秋月律子!」

律子「…ってうわ!!」ヴ-ンヴ-ン

律子「メ、メール…?」

『がんがれ!まにあったらかけつけふ』

律子「ふふ…」

律子「焦りすぎですよ…プロデューサー」

61: 2013/02/24(日) 22:00:32.93


P「はぁ…はぁ…!」

P「こりゃもう…はぁ、ダメ…かな…さすが、に…」

「「「「「ワァァァァァァァァァァ!!!!!」」」」」

P「!?…っ、まだ!!」

「「「「「アンコール、アンコール!!!!!!」」」」」

62: 2013/02/24(日) 22:01:57.33

P「はぁ…はぁ…!」バタン

「「「「「ワァァァァァァァァ!!!!」」」」」

律子『みんな本当にありがとう!!スタッフに怒られても、じゃああともう一曲だけ!』

P「はぁ、はぁ」チラ

P(終了予定時間を20分も過ぎてる…!)

P「すいません!」

メガネA「は、はい!?」

63: 2013/02/24(日) 22:03:34.74

P「ライブ押してますか!?」

メガネA「いやアンコールをりったんが…」

律子『…あっ!!』

P「これ何回目ですか!?アンコール!」

メガネA「4回…?」

メガネB「5回目だよ!今日りっちゃんすげーがんばってくれててさ!」

メガネC「リッチャンハメガミデスヨ」

64: 2013/02/24(日) 22:04:13.48

律子『な、なんでもないなんでもない!…でもこれでホントに最後!!』

P「くっ…あいつ…!」

P「ありがとうございました!」ダッ

P(律子…!!)

65: 2013/02/24(日) 22:04:54.66

律子『…魔法をかけて!』

「「「「「ワァァァァァァァァァァァァ!!!!!」」」」」


66: 2013/02/24(日) 22:05:45.26

―舞台袖

『鏡の中 ため息が一つ 教科書がボーフレンド? みんな言うけど♪』

P「すいません!すいません765プロのものですが!」

P「責任者の方は…!」

D「はい?おお765の!」

P「はい!この度はすいませんうちの秋月が…!」

D「いやあすごいね律子ちゃん!」

67: 2013/02/24(日) 22:06:31.67

『机の中書きかけのラブレター まだ見ぬあなたに思いを馳せる♪』

P「…え?」

D「いやあこんなにアンコールに応えてくれるなんて、アイドルの鏡だよ!」

P「し、しかし終了時間が…」

D「いいじゃないか細かいことは!それに…」

68: 2013/02/24(日) 22:09:51.39

『つまらない子だと思うかしら? 本当はこの胸のドキドキ探したいのに♪』

D「アンコールの度に律子ちゃんが『すいませんもう1曲だけお願いします!』って頭下げに来てな」

P「…」

D「今回のライブにはなにか…懸ける思いがあるんじゃないかなぁ」

P「…」

69: 2013/02/24(日) 22:10:42.53

『恋を夢見るお姫様は いつか素敵な王子様に巡り会える♪』

D「それに、なんだか誰か来るのを待ってるようだったが…」

P「…え?」

D「ま、ファンのためと、その人のためにアンコールに応え続けてるんじゃないかな?」

D「あんたかな!?ははは!」

P「…」

70: 2013/02/24(日) 22:11:45.87

『早くそんな日がきますように そっと瞳閉じるから―』

D「それよりほら!あんたんとこのアイドルのライブだ!」

D「あんたがしっかり聞いてやらなくてどうすんだ!」

P「…!はい!ありがとうございます!」




『―魔法をかけて!』

「「「「「ワァァァァァァァァァァァァ………」」」」」

71: 2013/02/24(日) 22:12:49.91

―ライブ後 ライブ会場

P「…なんとかなったぞー」

律子「あは、ありがとうございます…」

P「まぁ律子がヘロヘロなのは先方も知ってるし」

P「俺の免許証を担保に預けるプラス」

P「明日午前中に必ず返しに来る、との条件で裏の非常口のカギを借りてきた」

73: 2013/02/24(日) 22:14:38.67

律子「すいません…」

P「いいさ。貴重な律子のわがままだ」

P「しかし…まだライブ会場に残っていたい…なんて」

P「珍しいな」

律子「…いつも思ってますよ」

74: 2013/02/24(日) 22:15:41.30

P「…そうなのか?」

律子「ええ…いつも…いつまでも…」

律子「このキラキラした時間が続けばな、って…」

P「…そうか」

律子「…アイドルなんて私は、って最初は思ってましたけど…」

律子「…悪くなかったです」

75: 2013/02/24(日) 22:16:55.15

P「はは…」

律子「む…なんですか?」

P「いや…その悪くないですって口癖だなって思って」

律子「そ、そうですか?」

P「ああ…この間のケーキとかもな」

P「おすすめのものを持ってきてくれたりすると言うだろ」

P「『悪くないんで、食べてみてください』とかな」

律子「それは…そうかもですね、あはは」

76: 2013/02/24(日) 22:18:09.88

律子「でもホントに…悪くなかったです」

律子「応援してもらえて…いろんなこと経験出来て…」

律子「今日も最高でした…でも」

律子「今日が終わったら…アイドルとして会場にいることは…もう…」

律子「…!」

律子「…あれ?」

P「律子…」

77: 2013/02/24(日) 22:19:36.08

律子「…すいません………少し…まって…」

律子「……っ」

律子「…うっ…すい、ま………少し…だけ」

律子「手を……ぐす、にぎって…くれま、せん…か?」

P「…」ギュ

律子「…うう…」

律子「…うぁ…ぁぁぁああああん…」ギュ

78: 2013/02/24(日) 22:41:31.31


P「落ち着いたか?ほらコーヒー」

律子「ありがと…ございます…」

P「…」ズズズ

律子「…」

P「…いいライブだったな」

律子「…ええ」

律子「…」

79: 2013/02/24(日) 22:42:02.47

律子「あの…」

P「うん?」

律子「…ここ2、3日のこと」

律子「すいませんでした…」

P「…なんかしたっけ」

80: 2013/02/24(日) 22:42:37.63

律子「おとといの…事務所での言い争いとか…」

P「あんなのおれと律子の間だと言い争いのうちに入らんだろ」

律子「昨日も心配かけてしまったようですし…」

P「ありゃおれが勝手に見に行っただけだからな」

律子「優しいですね」

81: 2013/02/24(日) 22:43:14.52

P「律子こそ、今日は素直だな、はは」

律子「…」

P「あ、あれ!?」

律子「あの、この前言ってたじゃないですか」

P「な、なにを?」

律子「『アイドル辞める理由が他にもあるんじゃないか』って…」

82: 2013/02/24(日) 22:44:22.99

P「ああ…」

律子「あの時言いたくないって言った方の理由…まだ知りたいですか?」

P「知りたいね」

律子「そうですか…じゃあビンタしていいですか?」

P「はい?」

律子「プロデューサー、嘘つきましたよね」

P「な、なに?」

83: 2013/02/24(日) 22:45:07.28

律子「この前のカギ騒ぎの時…」

P「う…」

律子「5日間ぐらい事務所に泊まり込みで仕事してたでしょう?」

P「ぐ…」

律子「実はカギを拾ったのはプロデューサーにカギをお返しする5日前…」

律子「そして拾ったのは私です」

P「…」

84: 2013/02/24(日) 22:45:45.36

律子「…もしかしてプロデューサーのかなと思ったんですけど」

律子「あえて黙ってました」

律子「普通の人は自宅の鍵なんてなくせばその日に気づきます」

律子「…しっかり毎日帰宅してれば、ですけどね」

P「うぐ…あの時はその…たまたま…」

律子「まぁでも前々から怪しいとは思ってましたよ」

85: 2013/02/24(日) 22:46:28.88

律子「こそこそロッカールームに着替え持ち込んでるし…」

律子「帰るとき以前ほど事務所から一緒に出なくなりましたしね」

P「」

律子「前、近場でシャワーも浴びれるネットカフェ見つけたとかって喜んでましたし」

律子「そもそもどう考えてもこなせる仕事量じゃないですし」

P「…」

律子「事務仕事もしてるんですから、そのくらいわかりますよ」

86: 2013/02/24(日) 22:48:03.32

律子「だから…カギを拾った時に決めたんです」

律子「もしプロデューサーが5日間以上家に帰らないで仕事してるようだったら…」

律子「アイドル活動はすっぱり諦めるって」

P「そんな馬鹿な…」

律子「馬鹿じゃないですよ…」

律子「そもそもプロデューサーがあなた一人ってのがおかしいんです」

87: 2013/02/24(日) 22:49:46.51

P「だから来年度から事務員が…」

律子「プロデュース面での仕事が減るわけじゃないでしょう」

律子「それにまだBランクやCランクの子達がランクが上がったらまた業務が増えます」

P「…」

律子「…あなたは頑張りすぎです。ホントに倒れてからじゃ遅いんですよ」

律子「だから私もプロデューサーになってあなたをサポートしたい」

律子「…これが、この前言うことのできなかった方の理由です」

88: 2013/02/24(日) 22:59:00.06

P「そうか…」

律子「ええ…」

律子「…」

律子「…最近、本で見つけたこんなセリフに共感したんですよ」

P「…?」

律子「『私たちの両手は、何かを掴むためにある』」

P「…」

89: 2013/02/24(日) 22:59:49.68

律子「その通りだなぁと思って…同時に…」

律子「手が二つしかないように…ひとりの人間の掴めるもの…大切にできるものは…」

律子「…きっと二つなんだろうって思いました」

律子「…ましてや私は不器用ですからね。きっと頑張って二つなんです」

律子「なら私は…片方の手は自分の夢を掴むために…そしてもう片方は」

律子「…プロデューサーを支える手にしようって、思いました」

P「…」

90: 2013/02/24(日) 23:00:18.80

律子「私はプロデューサーのこと…」

律子「その…」

P「…」

律子「悪くないと…思ってますから…」

91: 2013/02/24(日) 23:00:56.26

P「…そうか」

律子「はい…」

P「…なんでこの前は言ってくれなかったんだ?」

律子「…なんでですかね」

P「なんでですかねって…」

92: 2013/02/24(日) 23:02:28.68

律子「…私素直に話すのが苦手みたいで」

律子「なんか…気づいたら正論とか建前とかが口をついて出ちゃうんです」

律子「何かと理由をつけたがるし…」

P「そうか?」

律子「ええ…正直さっきのも」

律子「プロデューサーを助けたいっていうのが一番大きな理由です」

律子「でも素直に言えなくて…将来設計がーとか、ちょうどいい時期だからーとか」

93: 2013/02/24(日) 23:03:29.70

P「『悪くないですよ』とかな」

律子「あはは、そうですね…」

律子「でも…小さいことですけどそれもそうです」

律子「否定されるのが…怖いんですかね」

P「…」

律子「素直に『私これ好きなんだ』って言えればいいんですけど」

律子「無難に『悪くないと思うよ』って言っちゃうんですね、たぶん…」

律子「はは…嫌になっちゃう…」

94: 2013/02/24(日) 23:03:55.25

P「…なんで今日は話せるんだ?」

律子「え?」

P「素直に話せてるじゃないか」

律子「ああ…ふふ」

律子「これ、あずささんのアドバイスなんです」

P「あずささんの?」

律子「はい…」

95: 2013/02/24(日) 23:05:03.89

律子「『ライブのあとって、興奮して、なんだかぽわぽわ~ってなってるじゃない』」

律子「『だから、その勢いを利用して素直に言っちゃえばいいのよ~』」

律子「『大丈夫、へとへとに疲れてもいるはずだし、きっと理屈とか話すほうがめんどくさくなっちゃうわよ~』」

律子「…とのことです」

P「なんたる…」


96: 2013/02/24(日) 23:05:38.18

律子「なんでもライブ後の高翌揚感がお酒飲んでる時と近いことから考えたらしく…あはは」

律子「あずささんらしいアドバイスですよね」

P「っていうかあずささんっぽすぎるだろ…」

律子「でも正解でした」

律子「素直に…話せました」

P「そっか、そりゃよかった」

97: 2013/02/24(日) 23:08:31.78

律子「ついでと言ってはなんですけど…」

P「うん?」

律子「私さっき言いましたよね?」

律子「プロデューサーのこと…その」

律子「…悪くないと思ってるって」///

P「お、おう…」

律子「プロデューサーは…?」

98: 2013/02/24(日) 23:09:44.39

P「!?」

律子「…」

P「あー…その」

律子「私には言わせておいて…」

律子「プロデューサーは…答えてくれないんですか…?」

P「ぐ…」

99: 2013/02/24(日) 23:10:58.48

P「…」

P「…!」

P「わかった…」

P「律子…瞳を閉じろ」

律子「…は、はい!?」

P「『魔法をかけて』の歌詞にあるだろ…」

P「『そっと瞳を閉じるから…魔法をかけて』ってな」

律子「あ、あの…それは…///」

P「…閉じろ」

100: 2013/02/24(日) 23:11:33.40

律子「う…」

P「…」

律子「…」スッ

P「…」

律子「…」

101: 2013/02/24(日) 23:12:34.28

P「…」

律子「あ、あの…ぷろ…きゃ!」

律子「な、なに…デコピン!?」

P「はは、なんだと思ったんだ?」

律子「~!!」

102: 2013/02/24(日) 23:13:08.16

P「おれも律子のこと、悪くないと思ってるよ」

律子「…っ!」

律子「う…」///

P「でもまだまだ」

P「お前にはこの先もあるし、素敵な人がいっぱい出てくるさ」

103: 2013/02/24(日) 23:16:01.00

律子「え…?」

P「だから…そうだな」

P「もし30までに貰い手がいなかったら、貰ってやるよ」

律子「…んな!?」

P「はは、お嫁さんになりたい理想の年齢まで貰い手がいなかったらおれが貰ってやるって言ってんの!」

P「…これが契約の魔法だ…なんてな」

律子「う…」

P「おれも律子のこと、悪くないと思ってるからな!」

104: 2013/02/24(日) 23:17:01.40

律子「…もう!ばか!」

P「はは!やっぱ素直な律子もいいけど、こっちの律子も好きだなー」

律子「~!」///

P「いてぇ!…んじゃ帰るかぁ」

律子「…ふん!」

P「はは…おれ荷物持ってくるから、先出てろー」タタタ…

律子「…プロデューサー!」

105: 2013/02/24(日) 23:17:48.94

P「なんじゃー?」

律子「私のお嫁さんになりたい理想の年齢は27です!」

P「…」

律子「27ですからね!!」

P「…ああ」

律子「フンだ!」

106: 2013/02/24(日) 23:18:41.52

P「はは…んじゃ荷物取ってくるか…」タタタ…

律子「…」

律子「うー顔が熱い」///

律子「素直に…か」

107: 2013/02/24(日) 23:19:10.64

律子「…」

律子「…好きです」

律子「…」

律子「~!」/////

律子「ムリムリムリムリ!!」///

108: 2013/02/24(日) 23:20:36.30

律子「はー…」

律子「…まだまだね、私も」

律子「…」クルッ

律子「…ラストライブ、か」

律子「さよなら…アイドル『秋月律子』…ごめんね」

律子「…」

律子「ありがとう…ございました…!」ペコリ

109: 2013/02/24(日) 23:21:35.04


あずさ「―ってなことがあったのよ~」

亜美「せーしゅんだよせーしゅん!少年よ、たいちを抱け!ってやつですなぁ!」

伊織「…胸焼けしちゃうわ」

あずさ「ほんとよね~付き合わされるこっちの身にもなってほしいわ~」

あずさ「…ほんとに」

伊織(こわ)

110: 2013/02/24(日) 23:22:36.54

亜美「んー、それが今では…」


律子「だから言ったじゃないですか!これはこうするべきだって!それが人の意見を無視した挙句に…!」ギャースカギャースカ!

P「(´・ω・`)」ショボン


亜美「こーですからなー」

伊織「…なんかあれでもイチャついてるように見えてくるから不思議だわ…」

111: 2013/02/24(日) 23:23:38.74

亜美「そーいや兄ちゃんはなんでりっちゃんにアイドルやめさせたくなかったのかな?」

伊織「んー、当時Aランクアイドルだった律子が抜けたらやっぱり事務所としても…」

あずさ「単純に律子さんがアイドルやってる姿が好きだっただけよ~」

あずさ「飲んでる時にプロデューサーさんに聞いたから間違いないわ~」

伊織「…もうお腹いっぱいよ」

112: 2013/02/24(日) 23:24:30.62

亜美「おー、だからクインテットライブの時絶対にりっちゃんに声かけるんだー!」

あずさ「ほんとやってらんねーよなー!こちとら浮いた話のひとつもねーのに、ったく…」

伊織(…あずさが壊れた)



律子「はぁ!?今クインテットライブに誘うなんてどうかしてるんじゃないですか!?だいたいあなたはいつも…!」ガミガミガミガミ!!

P「(´;ω;`)」

113: 2013/02/24(日) 23:25:20.64


小鳥「律子さん、またクインテットライブ出るそうですね」

律子「はぁ…まったく、しょうがなくですよ!しょ・う・が・な・く!」

小鳥「ま、まあまあ…でもライブの時の律子さん、楽しそうじゃないですか!」

律子「そうですね…まぁライブに出ること自体は…」

律子(たまにあの人にアイドルの姿を見せるのも)




律子「悪くないですね!!」

114: 2013/02/24(日) 23:28:48.80

終わりー!読んでくれた人ありがと リッチャンハカワイイデスヨ
やっぱツンデレ書きやすいな…律子はベタ甘なストーリーがよく似合う笑

115: 2013/02/24(日) 23:29:22.02
乙~
リッチャンハカワイイデスネ

116: 2013/02/24(日) 23:37:54.82
律っちゃんは素直じゃないしめんどくさいけど、そんなとこも全部可愛い

引用元: 律子「悪くないですね」