―― 教室 ――
まどか「よかったね、上条君」
さやか「う、うん……」
まどか「さやかちゃんも行ってきなよ。まだ声かけてないんでしょ?」
仁美「……」
さやか「私は、いいよ……」
まどか「……」
学校に着いた私達。
会話の内容はやっぱり上条君のことになり、さやかちゃんに挨拶でもしてきたらどうかと促すのですが
さやかちゃんは複雑そうな表情をして固辞します。
でも、その視線は上条君を追っていて、すぐにでも話しかけたいことがありありと伝わってきました。
仁美「……」
ほどか「……」
まどか「よかったね、上条君」
さやか「う、うん……」
まどか「さやかちゃんも行ってきなよ。まだ声かけてないんでしょ?」
仁美「……」
さやか「私は、いいよ……」
まどか「……」
学校に着いた私達。
会話の内容はやっぱり上条君のことになり、さやかちゃんに挨拶でもしてきたらどうかと促すのですが
さやかちゃんは複雑そうな表情をして固辞します。
でも、その視線は上条君を追っていて、すぐにでも話しかけたいことがありありと伝わってきました。
仁美「……」
ほどか「……」
296: 2012/07/25(水) 07:06:57.40
―さやか―
―― 放課後 喫茶店 ――
さやか「それで、話ってなに?」
いま、私は仁美に呼び出され、いつもの喫茶店に二人でいる。
私の前にはいつになく真剣な表情の仁美が座っていて、
今から話される内容がなにか、大事なものだと思わせられた。
仁美「恋の相談ですわ」
さやか「……」
思わぬ言葉が出てきて驚く。
仁美に言いよる男子は多く毎週のように告白なんかされている彼女だけど、
仁美自身から恋の相談なんかは受けたことがない。
そのことから私は仁美は色恋なんてものに興味がないのではと勝手に思い込んでいた。
仁美「私ね、前からまどかさんやさやかさんに秘密にしてきたことがあるんです」
さやか「え……う、うん」
仁美「ずっと前から、私……。上条恭介君のことお慕いしておりましたの」
さやか「!! ……そ、そうなんだ」
恋の相談と言われ、仁美にも好きな人が出来たのか。と考えはした。
だけど、まさか仁美が恭介のことを……。
さやか「ま、まさか仁美がねー。なーんだ、恭介のやつ隅におけないなー」
できるだけ、普段通りに振舞おうとする。
だけど、あまりにも予想外のことに声が震える。
仁美「さやかさんは上条君とは幼馴染でしたわね」
さやか「あーう、うん。まぁ腐れ縁というか、なんというか……」
―― 放課後 喫茶店 ――
さやか「それで、話ってなに?」
いま、私は仁美に呼び出され、いつもの喫茶店に二人でいる。
私の前にはいつになく真剣な表情の仁美が座っていて、
今から話される内容がなにか、大事なものだと思わせられた。
仁美「恋の相談ですわ」
さやか「……」
思わぬ言葉が出てきて驚く。
仁美に言いよる男子は多く毎週のように告白なんかされている彼女だけど、
仁美自身から恋の相談なんかは受けたことがない。
そのことから私は仁美は色恋なんてものに興味がないのではと勝手に思い込んでいた。
仁美「私ね、前からまどかさんやさやかさんに秘密にしてきたことがあるんです」
さやか「え……う、うん」
仁美「ずっと前から、私……。上条恭介君のことお慕いしておりましたの」
さやか「!! ……そ、そうなんだ」
恋の相談と言われ、仁美にも好きな人が出来たのか。と考えはした。
だけど、まさか仁美が恭介のことを……。
さやか「ま、まさか仁美がねー。なーんだ、恭介のやつ隅におけないなー」
できるだけ、普段通りに振舞おうとする。
だけど、あまりにも予想外のことに声が震える。
仁美「さやかさんは上条君とは幼馴染でしたわね」
さやか「あーう、うん。まぁ腐れ縁というか、なんというか……」
297: 2012/07/25(水) 07:07:23.77
仁美「本当にそれだけ?」
さやか「……」
本当はそれだけじゃないでしょう。と仁美は目で語りかける。
だけど、その問いかけに私は言葉を返せなかった。
仁美「私、決めたんですの。もう自分に嘘はつかないって。あなたはどうですか」
そう語り続ける仁美は相変わらず私の目から視線を外さない。
仁美「さやかさん、あなた自身の本当の気持ちと向き合えますか」
さやか「な、なんの話をしてるのさ」
勝手に話し続ける仁美になにか勘違いをしているんじゃ、という意味を込めてそう返す。
だけど、そんな言葉は聞こえないと言いたげに仁美は話を続ける。
仁美「あなたは私の大切なお友達ですわ。だから抜け駆けも横取りするようなこともしたくないんですの」
仁美「上条君のことを見つめていた時間は私よりさやかさんのほうが上ですわ。
だからあなたには私の先を越す権利があるべきです」
さやか「仁美……」
もはや、私の答えをも待たずに私の気持ちは知っているとばかりに彼女は話す。
彼女の言葉はとても真剣なもので、きっと彼女なりに私のこと自分のことをよく考えた上で出した結論なんだと思う。
でも、私は……。
私には……。
仁美「私、明日の放課後に上条君に告白します。丸一日だけお待ちしますわ。
さやかさんは後悔なさらないよう決めてください」
仁美「上条君に気持ちを伝えるべきかどうか」
さやか「……私は……」
私に告白する資格なんて――。
私の答えは聞かずに去っていく仁美。
一人喫茶店に取り残された私はしばらくそこから動けなかった。
さやか「……」
本当はそれだけじゃないでしょう。と仁美は目で語りかける。
だけど、その問いかけに私は言葉を返せなかった。
仁美「私、決めたんですの。もう自分に嘘はつかないって。あなたはどうですか」
そう語り続ける仁美は相変わらず私の目から視線を外さない。
仁美「さやかさん、あなた自身の本当の気持ちと向き合えますか」
さやか「な、なんの話をしてるのさ」
勝手に話し続ける仁美になにか勘違いをしているんじゃ、という意味を込めてそう返す。
だけど、そんな言葉は聞こえないと言いたげに仁美は話を続ける。
仁美「あなたは私の大切なお友達ですわ。だから抜け駆けも横取りするようなこともしたくないんですの」
仁美「上条君のことを見つめていた時間は私よりさやかさんのほうが上ですわ。
だからあなたには私の先を越す権利があるべきです」
さやか「仁美……」
もはや、私の答えをも待たずに私の気持ちは知っているとばかりに彼女は話す。
彼女の言葉はとても真剣なもので、きっと彼女なりに私のこと自分のことをよく考えた上で出した結論なんだと思う。
でも、私は……。
私には……。
仁美「私、明日の放課後に上条君に告白します。丸一日だけお待ちしますわ。
さやかさんは後悔なさらないよう決めてください」
仁美「上条君に気持ちを伝えるべきかどうか」
さやか「……私は……」
私に告白する資格なんて――。
私の答えは聞かずに去っていく仁美。
一人喫茶店に取り残された私はしばらくそこから動けなかった。
298: 2012/07/25(水) 07:09:17.28
―まどか―
―― さやホーム 正面入口前 ――
さやか「……マミさんには繋がらないか……」
さやかちゃんは、マミさんに連絡を取ろうと携帯に電話を掛ける。
だけど、マミさんには繋がらず、溜め息交じりに携帯を閉じる。
まどか「さやかちゃん、今日なにかあった?」
溜め息を吐いたさやかちゃんの顔は疲れているように見えた。
それは、ここ最近あった色々な出来事からの疲れにも見えたが、それだけではないと私は感じた。
さやか「え、別に、なにも……」
まどか「嘘だよ。だって、さやかちゃん辛そうな顔してるもん。
ねぇ、辛いんなら私に言ってほしいな。私は魔法少女じゃないけど、さやかちゃんの友達だよ?
だから、さやかちゃんが辛いときは頼ってほしい」
さやか「……。あんた、なんで……。なんでそんなに優しいかな。私にはそんな価値なんてないのに」
悲しげにそう呟くさやかちゃん。その顔はうっすらと笑みを浮かべていて、自嘲しているようにも見えた。
まどか「……」
ほどか「さやかさん……」
さやか「私ね、今日後悔しそうになっちゃった」
ぽつり、ぽつりとさやかちゃんは今日あったことを話し出す。
そして、自分の想いを。
さやか「あの時、仁美を助けなければって、ほんの一瞬だけ思っちゃった。正義の味方失格だよ」
悲しそうに、辛そうに、自分のことを憎々しげにさやかちゃんは語る。
瞳にはうっすらと涙も光って見える。
まどか「……」
黙ってさやかちゃんを抱きしめる。
今はただ、何も言わずにさやかちゃんの話を聞いてあげたい。
さやか「仁美に恭介を取られちゃうよ……。でも私、何もできない……!」
私を抱きしめながら、徐々に声を荒げ、自分の感情を吐き出す。
目からは涙がボロボロと零れている。
さやか「だって私、もう氏んでるんだもん! ゾンビだもん! こんな体で抱きしめてなんていえない!
キスしてなんていえないよ!」
泣き喚くさやかちゃん。
苦しいんだろうな。辛いんだろうな。
そんな感情を全部流してほしくて、ただ私は彼女を抱きしめる。
私にはそれしかできないから……。
ほどか「……」
さやか「ありがとう、ごめんね」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「もう大丈夫。スッキリしたから」
そう言って笑顔を作るさやかちゃんだけど、まだ無理をしているようにも見える。
まどか(当たり前だよね……。そう簡単に吹っ切れるものじゃないもん)
なにか言おうと思うけど止めておく。
これ以上はきっと、さやかちゃんも触れられたくないだろうから。
さやか「さぁ、いこ! 今夜も魔女をやっつけないと!
ほら! ほどかも!」
ほどか「はい……」
―― さやホーム 正面入口前 ――
さやか「……マミさんには繋がらないか……」
さやかちゃんは、マミさんに連絡を取ろうと携帯に電話を掛ける。
だけど、マミさんには繋がらず、溜め息交じりに携帯を閉じる。
まどか「さやかちゃん、今日なにかあった?」
溜め息を吐いたさやかちゃんの顔は疲れているように見えた。
それは、ここ最近あった色々な出来事からの疲れにも見えたが、それだけではないと私は感じた。
さやか「え、別に、なにも……」
まどか「嘘だよ。だって、さやかちゃん辛そうな顔してるもん。
ねぇ、辛いんなら私に言ってほしいな。私は魔法少女じゃないけど、さやかちゃんの友達だよ?
だから、さやかちゃんが辛いときは頼ってほしい」
さやか「……。あんた、なんで……。なんでそんなに優しいかな。私にはそんな価値なんてないのに」
悲しげにそう呟くさやかちゃん。その顔はうっすらと笑みを浮かべていて、自嘲しているようにも見えた。
まどか「……」
ほどか「さやかさん……」
さやか「私ね、今日後悔しそうになっちゃった」
ぽつり、ぽつりとさやかちゃんは今日あったことを話し出す。
そして、自分の想いを。
さやか「あの時、仁美を助けなければって、ほんの一瞬だけ思っちゃった。正義の味方失格だよ」
悲しそうに、辛そうに、自分のことを憎々しげにさやかちゃんは語る。
瞳にはうっすらと涙も光って見える。
まどか「……」
黙ってさやかちゃんを抱きしめる。
今はただ、何も言わずにさやかちゃんの話を聞いてあげたい。
さやか「仁美に恭介を取られちゃうよ……。でも私、何もできない……!」
私を抱きしめながら、徐々に声を荒げ、自分の感情を吐き出す。
目からは涙がボロボロと零れている。
さやか「だって私、もう氏んでるんだもん! ゾンビだもん! こんな体で抱きしめてなんていえない!
キスしてなんていえないよ!」
泣き喚くさやかちゃん。
苦しいんだろうな。辛いんだろうな。
そんな感情を全部流してほしくて、ただ私は彼女を抱きしめる。
私にはそれしかできないから……。
ほどか「……」
さやか「ありがとう、ごめんね」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「もう大丈夫。スッキリしたから」
そう言って笑顔を作るさやかちゃんだけど、まだ無理をしているようにも見える。
まどか(当たり前だよね……。そう簡単に吹っ切れるものじゃないもん)
なにか言おうと思うけど止めておく。
これ以上はきっと、さやかちゃんも触れられたくないだろうから。
さやか「さぁ、いこ! 今夜も魔女をやっつけないと!
ほら! ほどかも!」
ほどか「はい……」
299: 2012/07/25(水) 07:09:46.30
―― 魔女結界内 ――
さやかちゃんを襲う無数の触手。
木の枝や幹を彷彿とさせるそれは、いくら薙いでも復活しさやかちゃんを絡め取ろうと、その先端を伸ばし続ける。
ほどか「さやかさん!」
さやか「ほどかはまどかを守ってて! こいつは私が一人でやるから!」
ほどか「でも!」
さやか「いいから!」
そう言って魔女の本体に飛び掛かる。
だけど、その攻撃が届くことはなく、さやかちゃんは木の枝を束ねた物に押し返されそのまま飲み込まれる。
まどか「さやかちゃん!」
ほどか「っ!」
慌ててさやかちゃんを助けに入ろうとするほどかちゃんだが、ある乱入者によりその必要はなくなった。
杏子「全く、見てらんねぇつーの。いいから、もうすっこんでなよ。手本を見せてやるからさ」
さやかちゃんを抱きかかえ安全な場所で降ろした後、槍を構える杏子ちゃん。
そして、そのまま魔女に攻撃をしかけようとするけれど、さやかちゃんが前に出たことによりそれは阻まれた。
杏子「お、おい!」
さやか「邪魔しないで。一人でやれるわ」
再度、スピードを増して魔女に飛びかかる。
そして、魔女の首を刎ねることに成功する。
だけど首を斬られたにも関わらず魔女は生きていて、反撃をまともに受けてしまう。
まどか「さやかちゃん!」
接近しすぎたさやかちゃんはその反撃をまともに受けてしまい、全身を突き刺されてしまう。
さやか「ふふふふ……。あははははは」
全身を串刺しにされ、血をだらだらと流しながら笑うさやかちゃん。
様子が変に見えた。
さやかちゃんを襲う無数の触手。
木の枝や幹を彷彿とさせるそれは、いくら薙いでも復活しさやかちゃんを絡め取ろうと、その先端を伸ばし続ける。
ほどか「さやかさん!」
さやか「ほどかはまどかを守ってて! こいつは私が一人でやるから!」
ほどか「でも!」
さやか「いいから!」
そう言って魔女の本体に飛び掛かる。
だけど、その攻撃が届くことはなく、さやかちゃんは木の枝を束ねた物に押し返されそのまま飲み込まれる。
まどか「さやかちゃん!」
ほどか「っ!」
慌ててさやかちゃんを助けに入ろうとするほどかちゃんだが、ある乱入者によりその必要はなくなった。
杏子「全く、見てらんねぇつーの。いいから、もうすっこんでなよ。手本を見せてやるからさ」
さやかちゃんを抱きかかえ安全な場所で降ろした後、槍を構える杏子ちゃん。
そして、そのまま魔女に攻撃をしかけようとするけれど、さやかちゃんが前に出たことによりそれは阻まれた。
杏子「お、おい!」
さやか「邪魔しないで。一人でやれるわ」
再度、スピードを増して魔女に飛びかかる。
そして、魔女の首を刎ねることに成功する。
だけど首を斬られたにも関わらず魔女は生きていて、反撃をまともに受けてしまう。
まどか「さやかちゃん!」
接近しすぎたさやかちゃんはその反撃をまともに受けてしまい、全身を突き刺されてしまう。
さやか「ふふふふ……。あははははは」
全身を串刺しにされ、血をだらだらと流しながら笑うさやかちゃん。
様子が変に見えた。
300: 2012/07/25(水) 07:10:15.96
杏子「あんた、まさか……」
さやか「あははは、ふふふふふふ」
首を刎ねられたはずの魔女は首があった場所から触手を生やし、さらに、さやかちゃんに猛攻を加える。
だけど、その無数の触手に突き刺されながらも、さやかちゃんはそれを気にも留めずに攻撃し続ける。
まどか「さやかちゃんどうして……」
血を撒き散らしながら魔女と戦うさやかちゃんを見て、おもわず震えてしまう。
魔女の血とさやかちゃんの血が吹き出し、混じり合うその後景は今まで見てきた戦いの中でも特に異質に思えた。
ほどか「そんな、痛みを消して……」
まどか「それって……」
痛みを消して戦う。
魔法少女は魂がソウルジェムに変質したことにより、元の体と分離。
体とのリンクを断つことが出来る。
それを利用し、本来体が受けるはずであった痛みを消して戦うことが出来る。
キュゥべぇが真実を語った時に、同時に私達に伝えたことだ。
杏子「あのバカ……」
杏子ちゃんが眉を顰め、さやかちゃんの姿を睨む。
その表情は険しいながらも憐れんでいるようにも見えた。
さやか「あっははははは! 本当だ!」
その間もさやかちゃんは魔女に反撃され、お互いの黒い血を撒き散らしながらも攻撃を続ける。
そして、地面に流れる液体。
さやか「その気になれば痛みだって消せる!」
狂った様に笑い、もはや斬り伏せるというよりも叩き伏せるように戦うさやかちゃん。
そんなふうに戦う彼女を見た私は思わずその姿から目を背けてしまう。
まどか「やめて……。もう、やめて……」
そして、力無く呟くしかなかった。
さやか「あははは、ふふふふふふ」
首を刎ねられたはずの魔女は首があった場所から触手を生やし、さらに、さやかちゃんに猛攻を加える。
だけど、その無数の触手に突き刺されながらも、さやかちゃんはそれを気にも留めずに攻撃し続ける。
まどか「さやかちゃんどうして……」
血を撒き散らしながら魔女と戦うさやかちゃんを見て、おもわず震えてしまう。
魔女の血とさやかちゃんの血が吹き出し、混じり合うその後景は今まで見てきた戦いの中でも特に異質に思えた。
ほどか「そんな、痛みを消して……」
まどか「それって……」
痛みを消して戦う。
魔法少女は魂がソウルジェムに変質したことにより、元の体と分離。
体とのリンクを断つことが出来る。
それを利用し、本来体が受けるはずであった痛みを消して戦うことが出来る。
キュゥべぇが真実を語った時に、同時に私達に伝えたことだ。
杏子「あのバカ……」
杏子ちゃんが眉を顰め、さやかちゃんの姿を睨む。
その表情は険しいながらも憐れんでいるようにも見えた。
さやか「あっははははは! 本当だ!」
その間もさやかちゃんは魔女に反撃され、お互いの黒い血を撒き散らしながらも攻撃を続ける。
そして、地面に流れる液体。
さやか「その気になれば痛みだって消せる!」
狂った様に笑い、もはや斬り伏せるというよりも叩き伏せるように戦うさやかちゃん。
そんなふうに戦う彼女を見た私は思わずその姿から目を背けてしまう。
まどか「やめて……。もう、やめて……」
そして、力無く呟くしかなかった。
301: 2012/07/25(水) 07:11:45.53
―マミ―
―― マミホーム ――
マミ「……」
魔法少女はもう氏んでいる。
その事実を知ってからしばらくが経った。
マミ「……」
私はそのことにショックを受け、学校にもいかず、そして魔女退治にもいかず、自室に籠っていた。
マミ「ねぇ、キュゥべぇ」
名前を呼ぶ。今までは信頼して呼んでいた名前だ。
そして、これからも信頼し続けると思っていた名前。
QB「なんだい。マミ」
マミ「魔法少女は氏んでるのよね」
変わるはずのない答えを聞く。
だが、もしかしたらという期待もあった。
QB「そうなるね」
だけど、やはり返ってくる答えは望んでいたものではなかった。
マミ「そう」
しかし、それはもうよかった。
氏んでいることに変わりはないけど。
私はこうやって生活することが出来ている。
マミ「ねぇ」
再度、質問する。
だけど、今度の質問は少し変わったものだ。
マミ「まだ、なにか隠していることが、あるんじゃない?」
その言葉に反応するキュゥべぇ。
それだけで、答えがわかった私はそのまま質問を続ける。
マミ「それって、魔女に関連したことじゃないの?」
QB「やれやれ。もう黙っていても無駄みたいだね」
そこまで言うと観念したのか、キュゥべぇは首を振り答え始める。
QB「そこまで言うなら全部わかってるんだろうね。
そうだよ。今、マミが考えている通りさ」
キュゥべぇらしくない、すごく曖昧な答えを返してくる。
マミ「あなたらしくないわね。そんな答え方」
QB「そうだね。少し僕達の考え方に影響を与えることがあったのさ」
マミ「そう」
でも今はそんなことはどうでもいい。
―― マミホーム ――
マミ「……」
魔法少女はもう氏んでいる。
その事実を知ってからしばらくが経った。
マミ「……」
私はそのことにショックを受け、学校にもいかず、そして魔女退治にもいかず、自室に籠っていた。
マミ「ねぇ、キュゥべぇ」
名前を呼ぶ。今までは信頼して呼んでいた名前だ。
そして、これからも信頼し続けると思っていた名前。
QB「なんだい。マミ」
マミ「魔法少女は氏んでるのよね」
変わるはずのない答えを聞く。
だが、もしかしたらという期待もあった。
QB「そうなるね」
だけど、やはり返ってくる答えは望んでいたものではなかった。
マミ「そう」
しかし、それはもうよかった。
氏んでいることに変わりはないけど。
私はこうやって生活することが出来ている。
マミ「ねぇ」
再度、質問する。
だけど、今度の質問は少し変わったものだ。
マミ「まだ、なにか隠していることが、あるんじゃない?」
その言葉に反応するキュゥべぇ。
それだけで、答えがわかった私はそのまま質問を続ける。
マミ「それって、魔女に関連したことじゃないの?」
QB「やれやれ。もう黙っていても無駄みたいだね」
そこまで言うと観念したのか、キュゥべぇは首を振り答え始める。
QB「そこまで言うなら全部わかってるんだろうね。
そうだよ。今、マミが考えている通りさ」
キュゥべぇらしくない、すごく曖昧な答えを返してくる。
マミ「あなたらしくないわね。そんな答え方」
QB「そうだね。少し僕達の考え方に影響を与えることがあったのさ」
マミ「そう」
でも今はそんなことはどうでもいい。
302: 2012/07/25(水) 07:12:12.20
マミ「そう。そうだったのね」
そっか。ふふふ。
そうだったんだ。
QB「マミ?」
マミ「ふふふ」
――魔女の正体は魔法少女だったんだぁ。
マミ「ふふ、ふふふふ……。……ない」
QB「なにか言ったかいマミ?」
マミ「いーえ。なにも」
なら――。
魔法少女が魔女になるっていうなら――
――氏ぬしかないじゃない。
そっか。ふふふ。
そうだったんだ。
QB「マミ?」
マミ「ふふふ」
――魔女の正体は魔法少女だったんだぁ。
マミ「ふふ、ふふふふ……。……ない」
QB「なにか言ったかいマミ?」
マミ「いーえ。なにも」
なら――。
魔法少女が魔女になるっていうなら――
――氏ぬしかないじゃない。
303: 2012/07/25(水) 07:12:51.54
―まどか―
―― バス停 ――
まどか「さやかちゃん、あんな戦い方、ないよ……」
魔女を倒し、その疲れからかふらふらのさやかちゃんを休ませるために、
雨宿りも兼ねて屋根のあるバス停にて休む私達。
まどか「痛くないなんて嘘だよ。見てるだけで痛かったもん。感じないから傷ついてもいいなんてそんなのダメだよ」
ほどか「……」
さやか「ああでもしなきゃ勝てないんだよ。私、才能ないからさ」
私の肩にもたれ掛りながら、さやかちゃんはそう言い捨てる。
その声はとても無機質なもので、とてもさやかちゃんの声とは思えなかった。
まどか「あんな戦い方で戦ってたら、勝てたとしてもさやかちゃんの為にならないよ」
さやか「私の為にってなによ」
呻くように、でもその声からは確かな怒りを感じられた。
まどか「え……?」
さやか「こんな姿にされた後で、なにが私の為になるっていうの?」
立ち上がりソウルジェムを私に突きつける。
その表情は酷く歪んで見えた。
さやか「今の私はね、ただ魔女を頃すしか意味のない石ころなのよ。
氏んだ体を動かして生きてるふりをしてるだけ。そんな私の為に誰がなにをしてくれるっていうの?
考えるだけ無意味じゃん。ほどかもそう思うでしょ?」
そう言って、さやかちゃんは私の横に座るほどかちゃんに笑いながら同意を求める。
でも、ほどかちゃんはどう答えていいのかわからないといった表情をするだけで、
辛そうにさやかちゃんの瞳を見つめ返すだけだった。
まどか「でも、私はどうしたらさやかちゃんが、みんなが幸せになれるかって……」
さやか「だったら、あんたが戦ってよ」
さやかちゃんは、ぶっきらぼうにそう言い放つ。
その声と表情には私に対する呆れと嫌悪が入り混じっているようにも見えた。
―― バス停 ――
まどか「さやかちゃん、あんな戦い方、ないよ……」
魔女を倒し、その疲れからかふらふらのさやかちゃんを休ませるために、
雨宿りも兼ねて屋根のあるバス停にて休む私達。
まどか「痛くないなんて嘘だよ。見てるだけで痛かったもん。感じないから傷ついてもいいなんてそんなのダメだよ」
ほどか「……」
さやか「ああでもしなきゃ勝てないんだよ。私、才能ないからさ」
私の肩にもたれ掛りながら、さやかちゃんはそう言い捨てる。
その声はとても無機質なもので、とてもさやかちゃんの声とは思えなかった。
まどか「あんな戦い方で戦ってたら、勝てたとしてもさやかちゃんの為にならないよ」
さやか「私の為にってなによ」
呻くように、でもその声からは確かな怒りを感じられた。
まどか「え……?」
さやか「こんな姿にされた後で、なにが私の為になるっていうの?」
立ち上がりソウルジェムを私に突きつける。
その表情は酷く歪んで見えた。
さやか「今の私はね、ただ魔女を頃すしか意味のない石ころなのよ。
氏んだ体を動かして生きてるふりをしてるだけ。そんな私の為に誰がなにをしてくれるっていうの?
考えるだけ無意味じゃん。ほどかもそう思うでしょ?」
そう言って、さやかちゃんは私の横に座るほどかちゃんに笑いながら同意を求める。
でも、ほどかちゃんはどう答えていいのかわからないといった表情をするだけで、
辛そうにさやかちゃんの瞳を見つめ返すだけだった。
まどか「でも、私はどうしたらさやかちゃんが、みんなが幸せになれるかって……」
さやか「だったら、あんたが戦ってよ」
さやかちゃんは、ぶっきらぼうにそう言い放つ。
その声と表情には私に対する呆れと嫌悪が入り混じっているようにも見えた。
304: 2012/07/25(水) 07:13:28.44
ほどか「さやかさんそれは!」
さやか「ほどかは黙ってて」
さやかちゃんがこの後なにを言おうとするのか気づいたのか、
ほどかちゃんが慌てて止めに入る。
だけど、そんな静止をさやかちゃんは目と言葉を持って遮る。
さやか「あんた誰よりも才能あるんでしょ? 私みたいな苦労しなくても簡単に魔女をやっつけられるんでしょ」
まどか「私は……。そんな……」
さやか「私の為になにかしようっていうんなら、まず私と同じ立場になってみなさいよ。
無理でしょ? 当然だよね」
さやか「ただの同情で人間やめられるわけないもんねぇ!」
少しずつ声を荒げ、私を詰る様に嘲る様に叫ぶ。
まどか「同情なんてそんな!」
さやか「なんでもできるくせに、なにもしないあんたの代わりに私がこんな目にあってるの。
それを棚に上げて知ったようなこと言わないで!」
そういってさやかちゃんは停留所から出ていこうとする。
だけど、立ち止まりほどかちゃんの方を見ると、憐みの籠った声で
さやか「……ほどかも大変だよね。まどかのせいでほむらがあんな目にあうっていうのに、それをわかっててこんな体になってさ
あんたの目的ってさ魔女に見せられた、あの映像にあった出来事を止める為だよね?」
そう告げる。
ほどか「ッ!」
まどか「え……?」
さやか「……」
まどか「さやかちゃん!」
さやか「ついてこないで」
そう言うと停留所から飛び出し、走り去っていく。
私達はそれを見送ることしかできず、ただ黙って雨の中走る彼女を眺めることしかできなかった。
さやか「馬鹿ね、私……。なんてこと言ってんのよ!」
さやか「もう、救いようがないよ……」
――――――――――――
――――――――――
――――――――
さやか「ほどかは黙ってて」
さやかちゃんがこの後なにを言おうとするのか気づいたのか、
ほどかちゃんが慌てて止めに入る。
だけど、そんな静止をさやかちゃんは目と言葉を持って遮る。
さやか「あんた誰よりも才能あるんでしょ? 私みたいな苦労しなくても簡単に魔女をやっつけられるんでしょ」
まどか「私は……。そんな……」
さやか「私の為になにかしようっていうんなら、まず私と同じ立場になってみなさいよ。
無理でしょ? 当然だよね」
さやか「ただの同情で人間やめられるわけないもんねぇ!」
少しずつ声を荒げ、私を詰る様に嘲る様に叫ぶ。
まどか「同情なんてそんな!」
さやか「なんでもできるくせに、なにもしないあんたの代わりに私がこんな目にあってるの。
それを棚に上げて知ったようなこと言わないで!」
そういってさやかちゃんは停留所から出ていこうとする。
だけど、立ち止まりほどかちゃんの方を見ると、憐みの籠った声で
さやか「……ほどかも大変だよね。まどかのせいでほむらがあんな目にあうっていうのに、それをわかっててこんな体になってさ
あんたの目的ってさ魔女に見せられた、あの映像にあった出来事を止める為だよね?」
そう告げる。
ほどか「ッ!」
まどか「え……?」
さやか「……」
まどか「さやかちゃん!」
さやか「ついてこないで」
そう言うと停留所から飛び出し、走り去っていく。
私達はそれを見送ることしかできず、ただ黙って雨の中走る彼女を眺めることしかできなかった。
さやか「馬鹿ね、私……。なんてこと言ってんのよ!」
さやか「もう、救いようがないよ……」
――――――――――――
――――――――――
――――――――
305: 2012/07/25(水) 07:14:11.80
―ほむら―
―― ほむホーム ――
ほむら「あの子が私の子供……?」
昨日まどかに言われたことを思い返す。
鹿目ほどか。彼女は未来からきた私の子供だと。
ほむら「そんなこと、あるわけ……」
そう思いたかった。だけど、そう思い込もうとしても無理だった。
そもそも、私はあの子に初めてあった時から、なぜか他人のような気がしなかった。
なにか親しみのようなものを感じていたのだ。
でも、
ほむら「第一、まどかとの子ってどういうわけよ……」
まどかは女の子じゃない……。
インキュベーターの星の技術で性転換って……。
ほむら「そんなの信じられるわけないじゃない……」
いくらなんでも話が突拍子がなさすぎる。
ほむら「いえ、決してまどかが相手なのが嫌なわけじゃないけど……」
むしろそのことに関しては嬉しいわよ?
でも、できれば私が父親役がよかったわ。
ほむら「っていうかそれが本当なら、私はどうやってワルプルギスの夜を乗り越えたの?
まどかの話じゃ、未来ではマミ達もみんな元気なようだし……」
……。今はそんなことはいいわね。
とにかく、あの子が私の子供。それを事実として受け止めるべきかどうか。
ほむら「……。確かに辻褄は合うわね」
あの子が知っている知識は偏りがあるものの私達関連のことばかり。
特に、私の願いのことなんて私が言わなきゃわかるわけがない。
ほむら「私の願いを知っているインキュベーターはあの時間軸のみの存在なわけだし……」
それに、
ほむら「あの子が私に似ていることは認めるしかないし……」
思えば、戦い方も考え方も多少の相違はあっても似通っていた。
それも母娘だからと考えたら頷けるのか。
ほむら「状況証拠だけは揃ってるのね……」
色々考えて見てそう結論する。
ほむら「DNA検査でもしたらはっきりするのかしら」
でも、なんて言って見てもらうの?
この子が私の本当の子供か調べてくださいって?
ほむら「ダメだわ。そんなことしたら違う病院に入院させられてしまうに決まってるわ」
―― ほむホーム ――
ほむら「あの子が私の子供……?」
昨日まどかに言われたことを思い返す。
鹿目ほどか。彼女は未来からきた私の子供だと。
ほむら「そんなこと、あるわけ……」
そう思いたかった。だけど、そう思い込もうとしても無理だった。
そもそも、私はあの子に初めてあった時から、なぜか他人のような気がしなかった。
なにか親しみのようなものを感じていたのだ。
でも、
ほむら「第一、まどかとの子ってどういうわけよ……」
まどかは女の子じゃない……。
インキュベーターの星の技術で性転換って……。
ほむら「そんなの信じられるわけないじゃない……」
いくらなんでも話が突拍子がなさすぎる。
ほむら「いえ、決してまどかが相手なのが嫌なわけじゃないけど……」
むしろそのことに関しては嬉しいわよ?
でも、できれば私が父親役がよかったわ。
ほむら「っていうかそれが本当なら、私はどうやってワルプルギスの夜を乗り越えたの?
まどかの話じゃ、未来ではマミ達もみんな元気なようだし……」
……。今はそんなことはいいわね。
とにかく、あの子が私の子供。それを事実として受け止めるべきかどうか。
ほむら「……。確かに辻褄は合うわね」
あの子が知っている知識は偏りがあるものの私達関連のことばかり。
特に、私の願いのことなんて私が言わなきゃわかるわけがない。
ほむら「私の願いを知っているインキュベーターはあの時間軸のみの存在なわけだし……」
それに、
ほむら「あの子が私に似ていることは認めるしかないし……」
思えば、戦い方も考え方も多少の相違はあっても似通っていた。
それも母娘だからと考えたら頷けるのか。
ほむら「状況証拠だけは揃ってるのね……」
色々考えて見てそう結論する。
ほむら「DNA検査でもしたらはっきりするのかしら」
でも、なんて言って見てもらうの?
この子が私の本当の子供か調べてくださいって?
ほむら「ダメだわ。そんなことしたら違う病院に入院させられてしまうに決まってるわ」
306: 2012/07/25(水) 07:14:40.02
QB「やぁ、なにか悩んでるようだね」
ほむら「……。急に現れないで頂戴。っていうか勝手に家に入らないで」
QB「まぁそういわないでくれよ。最近シリアス続きでこういうバカげた空気が恋しいんだ」
ほむら「なんの話よ」
QB「こっちの話さ」
ほむら「はぁ……。なんの用なの?」
QB「なに、君の悩みに答えを出そうと思ってね」
ほむら「盗み聞きとはいい度胸ね。頃すわ」
QB「待って待って! せめてこれだけは聞いて!」
ほむら「なにかしら」
QB「ほどかと君は正真正銘、親子だ。これは間違いない」
ほむら「どうしてそんなことがわかるのよ……」
QB「僕も気になっていたからね。調べてみたのさ。
それで、君達の毛髪なんかを調べてみた所、やっぱり親子だということが証明されたのさ」
ほむら「そう。わかったわ」ターン
QB「きゅっぷい!」
とりあえず不法侵入の淫獣は始末してと。
でも、これで確定したわけね。
ほむら「……。どうしろっていうのよ」
それがわかったとして、今更私にどうしろと……。
ほむら「あれだけ酷いことをしておいて、仲良くしろって?」
そんなことできるわけないじゃない……。
でも……。
ほむら「あの子は私の為に魔法少女の運命を受け入れてこの時代に来たのよね……」
なによそれ。なんて愚かなの。
ほむら「……」
私も人の事はいえないか……。
ほむら「……。急に現れないで頂戴。っていうか勝手に家に入らないで」
QB「まぁそういわないでくれよ。最近シリアス続きでこういうバカげた空気が恋しいんだ」
ほむら「なんの話よ」
QB「こっちの話さ」
ほむら「はぁ……。なんの用なの?」
QB「なに、君の悩みに答えを出そうと思ってね」
ほむら「盗み聞きとはいい度胸ね。頃すわ」
QB「待って待って! せめてこれだけは聞いて!」
ほむら「なにかしら」
QB「ほどかと君は正真正銘、親子だ。これは間違いない」
ほむら「どうしてそんなことがわかるのよ……」
QB「僕も気になっていたからね。調べてみたのさ。
それで、君達の毛髪なんかを調べてみた所、やっぱり親子だということが証明されたのさ」
ほむら「そう。わかったわ」ターン
QB「きゅっぷい!」
とりあえず不法侵入の淫獣は始末してと。
でも、これで確定したわけね。
ほむら「……。どうしろっていうのよ」
それがわかったとして、今更私にどうしろと……。
ほむら「あれだけ酷いことをしておいて、仲良くしろって?」
そんなことできるわけないじゃない……。
でも……。
ほむら「あの子は私の為に魔法少女の運命を受け入れてこの時代に来たのよね……」
なによそれ。なんて愚かなの。
ほむら「……」
私も人の事はいえないか……。
307: 2012/07/25(水) 07:15:06.41
ほむら「はぁ、どうしてまどかに似なかったのかしら……」
あ、ダメだ。まどかに似たら似たで結局、魔法少女になるわね。
ほむら「一つ気になることがあるわね」
あの子の願い。本当に私の為なの……?
ほむら「私を助ける為。それは間違いないとは思うけど……」
行動基準が私の目的に沿ってるし、ワルプルギスの夜を倒すためにマミ達に協力を仰いだのも私の為みたいだけど。
ほむら「でも、それなら別にこの時代じゃなくても……」
あの子の母親として存在している時間軸の私を助ければいい話じゃない。
なのにどうしてわざわざこの時代に……。
ほむら「まだ、隠していることがありそうね」
そういえばインキュベーターは知っているのだろうか。
目の前にある氏体を眺めそう考える。
あの子はこの淫獣と仲がよかった。
魔法少女の秘密を知っているにも関わらずだ。
ほむら「普通なら、嫌うはずだけど……」
……。とにかく一度会う必要がありそうね。
――――――――――――
――――――――――
――――――――
あ、ダメだ。まどかに似たら似たで結局、魔法少女になるわね。
ほむら「一つ気になることがあるわね」
あの子の願い。本当に私の為なの……?
ほむら「私を助ける為。それは間違いないとは思うけど……」
行動基準が私の目的に沿ってるし、ワルプルギスの夜を倒すためにマミ達に協力を仰いだのも私の為みたいだけど。
ほむら「でも、それなら別にこの時代じゃなくても……」
あの子の母親として存在している時間軸の私を助ければいい話じゃない。
なのにどうしてわざわざこの時代に……。
ほむら「まだ、隠していることがありそうね」
そういえばインキュベーターは知っているのだろうか。
目の前にある氏体を眺めそう考える。
あの子はこの淫獣と仲がよかった。
魔法少女の秘密を知っているにも関わらずだ。
ほむら「普通なら、嫌うはずだけど……」
……。とにかく一度会う必要がありそうね。
――――――――――――
――――――――――
――――――――
308: 2012/07/25(水) 07:15:42.34
―さやか―
さやか「はぁ……はぁ……」
使い魔を倒し終え一息つく。
でも、出来ればもっと戦っていたかった。
戦っている間はさっき見た光景を忘れられるから。
さやか「はぁ……はぁ……」
仁美と恭介が楽しそうに笑いあっている光景。
仁美は恭介に告白したんだろうか。
たぶん、したんだろうな。
それで、その笑顔なんだから、きっと……。
さやか「くそ……」
どうして私じゃないんだろう。
どうして恭介の隣にいるのが私じゃ……。
さやか「だれ……」
誰かが近づく気配がする。
ほどか「さやかさん」
さやか「ほどか……。なにしにきたの」
いったいなんの用があるのか。今は誰の顔も見たくないってのに。
ほどか「これを使ってください」
そう言って私にグリーフシードを渡す。
さやか「いいよ。グリーフシードなら自分でとるから」
だけどそれは受け取らない。施しは受けない。
そんなものを受けたら自分が余計に惨めになるだけだ。
ほどか「でも、さやかさんのソウルジェムもうそんなに穢れて」
さやか「いいって言ってるでしょ!!」
私が大声をあげるとほどかは驚き、狼狽したようだった。
さやか「あ、ごめん。そんなつもりじゃ……」
八つ当たりだ。そう思い謝る。
ほどか「いえ、……」
ほどかもそんな私の気を察してかすぐに表情をもとに戻す。
さやか「はぁ……はぁ……」
使い魔を倒し終え一息つく。
でも、出来ればもっと戦っていたかった。
戦っている間はさっき見た光景を忘れられるから。
さやか「はぁ……はぁ……」
仁美と恭介が楽しそうに笑いあっている光景。
仁美は恭介に告白したんだろうか。
たぶん、したんだろうな。
それで、その笑顔なんだから、きっと……。
さやか「くそ……」
どうして私じゃないんだろう。
どうして恭介の隣にいるのが私じゃ……。
さやか「だれ……」
誰かが近づく気配がする。
ほどか「さやかさん」
さやか「ほどか……。なにしにきたの」
いったいなんの用があるのか。今は誰の顔も見たくないってのに。
ほどか「これを使ってください」
そう言って私にグリーフシードを渡す。
さやか「いいよ。グリーフシードなら自分でとるから」
だけどそれは受け取らない。施しは受けない。
そんなものを受けたら自分が余計に惨めになるだけだ。
ほどか「でも、さやかさんのソウルジェムもうそんなに穢れて」
さやか「いいって言ってるでしょ!!」
私が大声をあげるとほどかは驚き、狼狽したようだった。
さやか「あ、ごめん。そんなつもりじゃ……」
八つ当たりだ。そう思い謝る。
ほどか「いえ、……」
ほどかもそんな私の気を察してかすぐに表情をもとに戻す。
309: 2012/07/25(水) 07:16:11.24
さやか「ほどか、聞いてもいいかな」
ほどか「はい」
さやか「あんたはなんで、ほむらを救おうと魔法少女になったの?
知ってたんでしょ? 魔法少女の運命をさ」
ほどか「はい……」
さやか「なんで? こんな体になるのがわかってたのにさ、
なんであんたはこんなことを続けられるの」
ほどか「……少し、長くなりますよ?」
さやか「あぁ、いいよ」
ほどか「私の話を聞いたらこのグリーフシード使ってくれますか?」
さやか「わかった」
ほどか「絶対ですよ?」
さやか「わかったって。どうしてそこまで必氏なのさ」
ほどか「だって、ソウルジェムが穢れきったら魔法少女は魔女になるんですよ?」
さやか「は――?」
いま、なんていって……。
ほどか「魔女の正体は魔法少女。これが、まだみんなが知らない真実の一つです」
さやか「ちょ、ちょっとそれって……」
ほどか「そのことも含めてお話ししますね。これは私の目的にも関わることですから」
さやか「ほどか……?」
そう言って話始めるほどかの顔は、今まで見たこともないような無表情な顔で、とても冷たく、恐ろしく感じた。
そして、ほどかが語り始める。自身が隠してきた真実を。
ほどか「私がこの時代にきた本当の目的は――」
ほどか「はい」
さやか「あんたはなんで、ほむらを救おうと魔法少女になったの?
知ってたんでしょ? 魔法少女の運命をさ」
ほどか「はい……」
さやか「なんで? こんな体になるのがわかってたのにさ、
なんであんたはこんなことを続けられるの」
ほどか「……少し、長くなりますよ?」
さやか「あぁ、いいよ」
ほどか「私の話を聞いたらこのグリーフシード使ってくれますか?」
さやか「わかった」
ほどか「絶対ですよ?」
さやか「わかったって。どうしてそこまで必氏なのさ」
ほどか「だって、ソウルジェムが穢れきったら魔法少女は魔女になるんですよ?」
さやか「は――?」
いま、なんていって……。
ほどか「魔女の正体は魔法少女。これが、まだみんなが知らない真実の一つです」
さやか「ちょ、ちょっとそれって……」
ほどか「そのことも含めてお話ししますね。これは私の目的にも関わることですから」
さやか「ほどか……?」
そう言って話始めるほどかの顔は、今まで見たこともないような無表情な顔で、とても冷たく、恐ろしく感じた。
そして、ほどかが語り始める。自身が隠してきた真実を。
ほどか「私がこの時代にきた本当の目的は――」
310: 2012/07/25(水) 07:16:49.48
―まどか―
―― まどホーム ――
まどか「はぁ……」
いま、私は自室でさやかちゃんのことを考えている。
なんで、あの時追いかけなかったのか……。
まどか「あの時、追いかけなきゃ駄目だったのに……」
なのに私は追いかけることができなかった。
それは、さやかちゃんの言っていた言葉が気になったからだ。
さやか『あんたの目的ってさ、あの映像にあった出来事を止める為だよね?』
まどか「あの映像にあった出来事ってなんなの?」
そのことをほどかちゃんに聞いてもなにも言ってはくれなかった。
そして、それには答えずに
ほどか『さやかさんのことは私に任せてください』
そういって学校が終わるとさやかちゃんを探しに出かけてしまった。
まどか「また、私はなにもできないのかな……」
はぁ……。っと二度目になる溜め息を吐く。
どうしてこう、うまくいかないんだろうか……。
ほむら『まどか。いる?』コンコン
まどか「! ほ、ほむらちゃん?」
ほむら『よかった。窓を開けてもらえるかしら』
まどか「え、え? ちょっと待ってね」
ほむらちゃんの突然の来訪に驚く。
まさか、いきなり現れるなんて……。
ほむら「わざわざごめんなさい」
―― まどホーム ――
まどか「はぁ……」
いま、私は自室でさやかちゃんのことを考えている。
なんで、あの時追いかけなかったのか……。
まどか「あの時、追いかけなきゃ駄目だったのに……」
なのに私は追いかけることができなかった。
それは、さやかちゃんの言っていた言葉が気になったからだ。
さやか『あんたの目的ってさ、あの映像にあった出来事を止める為だよね?』
まどか「あの映像にあった出来事ってなんなの?」
そのことをほどかちゃんに聞いてもなにも言ってはくれなかった。
そして、それには答えずに
ほどか『さやかさんのことは私に任せてください』
そういって学校が終わるとさやかちゃんを探しに出かけてしまった。
まどか「また、私はなにもできないのかな……」
はぁ……。っと二度目になる溜め息を吐く。
どうしてこう、うまくいかないんだろうか……。
ほむら『まどか。いる?』コンコン
まどか「! ほ、ほむらちゃん?」
ほむら『よかった。窓を開けてもらえるかしら』
まどか「え、え? ちょっと待ってね」
ほむらちゃんの突然の来訪に驚く。
まさか、いきなり現れるなんて……。
ほむら「わざわざごめんなさい」
311: 2012/07/25(水) 07:17:43.52
まどか「いいよ。でも突然どうしたの?」
ほむら「え、っと今日はあの子に用があったのだけど……」
そう言ってほむらちゃんは辺りを見回す。
ほむら「でも、いないようね……」
まどか「ほどかちゃんなら、さやかちゃんを探しに言ったよ」
どうしたんだろう。ほむらちゃんがほどかちゃんに用なんて珍しいな……。
ほむら「さやか……。しまったわ。自分のことに気を取られ過ぎてそこまで気が回らなかった……」
まどか「え、さやかちゃんがどうしたの?」
ほむら「話は後よ、とにかく今はさやかを探しましょう」
まどか「でも、ほどかちゃんが任せてって……」
ほむら「その子にも用があるのよ」
そう言って窓から出ていくほむらちゃん。
もぅ……。なんなの、私全然、話についていけないよ……。
ほむら『まどか、早く』
まどか「わかったからちょっと待って」
ほむら「え、っと今日はあの子に用があったのだけど……」
そう言ってほむらちゃんは辺りを見回す。
ほむら「でも、いないようね……」
まどか「ほどかちゃんなら、さやかちゃんを探しに言ったよ」
どうしたんだろう。ほむらちゃんがほどかちゃんに用なんて珍しいな……。
ほむら「さやか……。しまったわ。自分のことに気を取られ過ぎてそこまで気が回らなかった……」
まどか「え、さやかちゃんがどうしたの?」
ほむら「話は後よ、とにかく今はさやかを探しましょう」
まどか「でも、ほどかちゃんが任せてって……」
ほむら「その子にも用があるのよ」
そう言って窓から出ていくほむらちゃん。
もぅ……。なんなの、私全然、話についていけないよ……。
ほむら『まどか、早く』
まどか「わかったからちょっと待って」
312: 2012/07/25(水) 07:18:58.15
―さやか―
ほどか「以上で私の話は終わりです。他の人には黙っててくださいね?」
さやか「……」
ほどかの話を聞き始めしばらく経った。
ほどか「これで私がこの時代にきた理由は納得してもらえたと思います」
さやか「あ、あんたそれ本気で言ってんの?」
その内容は信じがたく、そして、あまりにも衝撃的だった。
ほどか「本気です。私はこの目的を果たすためならなんでもします」
さやか「じょ、冗談じゃないって。それじゃあんた、その後は!」
ほどか「覚悟の上です」
さやか「ば、ばかだよあんた。正気じゃない……」
ほどか「そうですね。私もそう思います」
なんでそんなに冷静なのさ、あんたのやろうとしてることは……。
ほどか「約束です。グリーフシードを使ってくれますか?」
再び私にグリーフシードを渡すほどか。
でも私は、今度はそれを拒みはしない・
さやか「……」
グリーフシードに穢れが吸い取られていく。
ほどか「……よかった」
それを確認したほどかがほっと一息吐く。
なにがよかったのか。なにもよくないんじゃないか。
ほどか「さやかさん」
さやか「な、なによ」
ほどか「私の目的のために力を貸してくれませんか?」
じっと私の目を見つめ懇願してくる。
さやか「あ、うぅ……」
ほどか「そうすれば、さやかさんの望みだって叶うかもしれませんよ?」
そうだろう。この子の言ってることが本当なら私の今の悩みは大方解消される。
でも、本当にいいのか?
ほどか「あ、それと一つ言い忘れてました」
ぽんっと手のひらを叩き伝え忘れがあることを告げる。
ほどか「仁美さんはまだ、上条さんに告白はしていませんよ」
ほどか「以上で私の話は終わりです。他の人には黙っててくださいね?」
さやか「……」
ほどかの話を聞き始めしばらく経った。
ほどか「これで私がこの時代にきた理由は納得してもらえたと思います」
さやか「あ、あんたそれ本気で言ってんの?」
その内容は信じがたく、そして、あまりにも衝撃的だった。
ほどか「本気です。私はこの目的を果たすためならなんでもします」
さやか「じょ、冗談じゃないって。それじゃあんた、その後は!」
ほどか「覚悟の上です」
さやか「ば、ばかだよあんた。正気じゃない……」
ほどか「そうですね。私もそう思います」
なんでそんなに冷静なのさ、あんたのやろうとしてることは……。
ほどか「約束です。グリーフシードを使ってくれますか?」
再び私にグリーフシードを渡すほどか。
でも私は、今度はそれを拒みはしない・
さやか「……」
グリーフシードに穢れが吸い取られていく。
ほどか「……よかった」
それを確認したほどかがほっと一息吐く。
なにがよかったのか。なにもよくないんじゃないか。
ほどか「さやかさん」
さやか「な、なによ」
ほどか「私の目的のために力を貸してくれませんか?」
じっと私の目を見つめ懇願してくる。
さやか「あ、うぅ……」
ほどか「そうすれば、さやかさんの望みだって叶うかもしれませんよ?」
そうだろう。この子の言ってることが本当なら私の今の悩みは大方解消される。
でも、本当にいいのか?
ほどか「あ、それと一つ言い忘れてました」
ぽんっと手のひらを叩き伝え忘れがあることを告げる。
ほどか「仁美さんはまだ、上条さんに告白はしていませんよ」
313: 2012/07/25(水) 07:19:28.33
さやか「え?」
ほどか「私がお願いして、待ってもらいました。
今、さやかさんはとても不安定な状態で、とても告白なんてできる状態じゃないので待ってくださいって」
さやか「あ、あんた」
ほどか「本当は、こんなことはしたくなかったんですけど、状況が状況ですからね」
え、でもそれじゃあ仁美はなんで恭介と……。
ほどか「でも、告白は待ってもらいましたけど、仁美さんが上条さんに対するアプローチまでは止めてませんからね。
さすがにそこまではやりすぎだと思いますし」
さやか「それじゃあ……」
あれはただ話してただけ……?
ほどか「さやかさんもうかうかしてられませんよー?
仁美さんああ見えて積極的ですからね。急がないと本当にとられちゃいますよ?」
だから、明日からは学校にもちゃんと来てください。
そう笑顔で締めくくるほどか。
さやか「あ、あんた……」
ほどか「余計なお世話だとは思います。だけど、こうなってしまった以上は仕方ないですよね」
そう言って、ウインクをしてくる彼女。
そこまでされたらなにも言えないじゃんか……。
さやか「どうして私なんかの為に……」
私はあんたや、まどかに酷いことを……。
散々心配してくれて私のことを助けてくれた彼女達に酷い仕打ちをしたんだ。
ほどか「いいんですよ。あの時のさやかさんはちょっと疲れてただけですから」
さやか「疲れて……」
ほどか「そうです。疲れてたからちょっといらいらしてただけです」
さやか「……」
ほどか「そりゃ疲れますよ。朝は学校でそれが終わったら魔女退治。休みもなくそれを続けるなんて。
今考えたら魔法少女ってすっごくブラックですよね」
ほどか「でも、もう大丈夫です。さやかさんはもう苦しまなくていいんです」
そう言って私に近寄り抱きしめてくれる。
ほどか「私がお願いして、待ってもらいました。
今、さやかさんはとても不安定な状態で、とても告白なんてできる状態じゃないので待ってくださいって」
さやか「あ、あんた」
ほどか「本当は、こんなことはしたくなかったんですけど、状況が状況ですからね」
え、でもそれじゃあ仁美はなんで恭介と……。
ほどか「でも、告白は待ってもらいましたけど、仁美さんが上条さんに対するアプローチまでは止めてませんからね。
さすがにそこまではやりすぎだと思いますし」
さやか「それじゃあ……」
あれはただ話してただけ……?
ほどか「さやかさんもうかうかしてられませんよー?
仁美さんああ見えて積極的ですからね。急がないと本当にとられちゃいますよ?」
だから、明日からは学校にもちゃんと来てください。
そう笑顔で締めくくるほどか。
さやか「あ、あんた……」
ほどか「余計なお世話だとは思います。だけど、こうなってしまった以上は仕方ないですよね」
そう言って、ウインクをしてくる彼女。
そこまでされたらなにも言えないじゃんか……。
さやか「どうして私なんかの為に……」
私はあんたや、まどかに酷いことを……。
散々心配してくれて私のことを助けてくれた彼女達に酷い仕打ちをしたんだ。
ほどか「いいんですよ。あの時のさやかさんはちょっと疲れてただけですから」
さやか「疲れて……」
ほどか「そうです。疲れてたからちょっといらいらしてただけです」
さやか「……」
ほどか「そりゃ疲れますよ。朝は学校でそれが終わったら魔女退治。休みもなくそれを続けるなんて。
今考えたら魔法少女ってすっごくブラックですよね」
ほどか「でも、もう大丈夫です。さやかさんはもう苦しまなくていいんです」
そう言って私に近寄り抱きしめてくれる。
314: 2012/07/25(水) 07:20:17.89
ほどか「さやかさんはいっぱいいっぱい頑張りました。
自分だって辛いのに苦しいのに人を守る為にグリーフシードを落とさない使い魔まで倒して……」
そしてそのまま私の頭を撫でる。
ほどか「それって普通できませんよ? みんな、なんだかんだで自分のことで手一杯なんですから
でもさやかさんはそれを続けた。さやかさんは凄いです」
さやか「あ、でも、私……。仁美の事を助けなきゃよかったって……」
ほどか「そんなの仕方ないですよ。さやかさんは恋する女の子なんですよ?
好きな人が取られそうになったら嫉妬くらいしますよ」
さやか「でも、」
ほどか「じゃあ、さやかさんは今、仁美さんが魔女に襲われていたら見捨てますか?」
さやか「え……」
ほどか「恋のライバルである仁美さんが魔女に襲われさぁピンチ! その時さやかさんはどうします?
放っておきますか? 仁美さんがいなくなればライバルはいなくなりますもんねー」
さやか「仁美がいなくなれば……」
ほどか「はい。仁美さんがいなくなれば。すごいチャンスだと思いません?」
そんなの……。
さやか「……だ」
ほどか「はい?」
さやか「そんなの、やだ……。仁美は私の友達だから、親友だから、いなくなるのはやだ」
ほどか「そうですか」
優しい、ほどかの声が聞こえる。
相変わらず私の事を抱きしめるほどか。
でも、なんだか全部許されたようで、それが今はたまらなく嬉しかった。
ほどか「そこまでわかってるのなら、さやかさんはもう大丈夫です」
大丈夫。そう言われてなんだか、泣きそうになる。
さやか「う、ううぅぅぅ……」
ほどか「今まで辛かったね、悲しかったね。でも、もう大丈夫だから。
さやかさんは幸せになっていいんだよ? さやかさんが望む未来を追い求めてもいいんだよ?」
だめだ、もう泣く。
こんなの、ずるいよ……。
さやか「う、うわあああああああああん! 辛かった! 悲しかった! もう氏んでるって言われて! ゾンビだってわかって!
これじゃあ恭介と一緒にはいられないって思ったら嫌で! でも後悔はしたくないから意地張って!」
今まで抑えてきた感情が溢れる。
私はほどかの胸に顔を埋め泣き続ける。
ほどか「そうだね。辛かったよね。好きな人と一緒にいられないのは悲しいもんね」
よしよしと私の頭を撫でてくれる。
だから私は安心して子供の用に泣くことができた。
うわああああああああああああああああん――!!
いつの間にか辺りには私の泣き声とほどかのあやす声しか聞こえなくなっていた。
自分だって辛いのに苦しいのに人を守る為にグリーフシードを落とさない使い魔まで倒して……」
そしてそのまま私の頭を撫でる。
ほどか「それって普通できませんよ? みんな、なんだかんだで自分のことで手一杯なんですから
でもさやかさんはそれを続けた。さやかさんは凄いです」
さやか「あ、でも、私……。仁美の事を助けなきゃよかったって……」
ほどか「そんなの仕方ないですよ。さやかさんは恋する女の子なんですよ?
好きな人が取られそうになったら嫉妬くらいしますよ」
さやか「でも、」
ほどか「じゃあ、さやかさんは今、仁美さんが魔女に襲われていたら見捨てますか?」
さやか「え……」
ほどか「恋のライバルである仁美さんが魔女に襲われさぁピンチ! その時さやかさんはどうします?
放っておきますか? 仁美さんがいなくなればライバルはいなくなりますもんねー」
さやか「仁美がいなくなれば……」
ほどか「はい。仁美さんがいなくなれば。すごいチャンスだと思いません?」
そんなの……。
さやか「……だ」
ほどか「はい?」
さやか「そんなの、やだ……。仁美は私の友達だから、親友だから、いなくなるのはやだ」
ほどか「そうですか」
優しい、ほどかの声が聞こえる。
相変わらず私の事を抱きしめるほどか。
でも、なんだか全部許されたようで、それが今はたまらなく嬉しかった。
ほどか「そこまでわかってるのなら、さやかさんはもう大丈夫です」
大丈夫。そう言われてなんだか、泣きそうになる。
さやか「う、ううぅぅぅ……」
ほどか「今まで辛かったね、悲しかったね。でも、もう大丈夫だから。
さやかさんは幸せになっていいんだよ? さやかさんが望む未来を追い求めてもいいんだよ?」
だめだ、もう泣く。
こんなの、ずるいよ……。
さやか「う、うわあああああああああん! 辛かった! 悲しかった! もう氏んでるって言われて! ゾンビだってわかって!
これじゃあ恭介と一緒にはいられないって思ったら嫌で! でも後悔はしたくないから意地張って!」
今まで抑えてきた感情が溢れる。
私はほどかの胸に顔を埋め泣き続ける。
ほどか「そうだね。辛かったよね。好きな人と一緒にいられないのは悲しいもんね」
よしよしと私の頭を撫でてくれる。
だから私は安心して子供の用に泣くことができた。
うわああああああああああああああああん――!!
いつの間にか辺りには私の泣き声とほどかのあやす声しか聞こえなくなっていた。
315: 2012/07/25(水) 07:20:45.53
さやか「……なんか、ごめんね」
ほどか「いえいえ、さやかさんなかなか可愛かったですよ? 意外と子供なんだなーって」
さやか「この! あんたは人の弱みを!」
ほどか「ごめんなさーい」
手を挙げてぶつ仕草をする私に頭を押さえて謝るほどか。
そんなバカなことをしていると、いつもの私に戻れたんだ。そう思えた。
さやか「まったく。……でも、あれだね。ほどか、結構胸あるんだね」
顔を胸に埋めた時、確かな質感を持った、柔らかいものがこう……。
包み込んでくれて……。
ほどか「ちょっとさやかさん、それセクハラ……」
そんな私の言葉にほどかは胸を両腕で庇いながら、じとーっとした目で非難してくる。
さやか「いやいや、だってさ、あんたの親を見たらさ……」
ほどか「……その辺は詢子さんの血でしょうかね」
さやか「あぁ……。よかったね」
ほどか「まぁ、はい」
さやか「……」
ほどか「……」
さやか「ふふ」
ほどか「ふふふ」
さやか「あははは! なに話してるんだろうね私達、こんな時に胸の話なんて」
さっきまでのシリアスムードはどこにいったのか、場には明るい笑いが響き渡る。
全く、なんで胸の話なんかしてるんだ私達は。
でも、ま。すっごく楽にはなったかな。
ほどか「いえいえ、さやかさんなかなか可愛かったですよ? 意外と子供なんだなーって」
さやか「この! あんたは人の弱みを!」
ほどか「ごめんなさーい」
手を挙げてぶつ仕草をする私に頭を押さえて謝るほどか。
そんなバカなことをしていると、いつもの私に戻れたんだ。そう思えた。
さやか「まったく。……でも、あれだね。ほどか、結構胸あるんだね」
顔を胸に埋めた時、確かな質感を持った、柔らかいものがこう……。
包み込んでくれて……。
ほどか「ちょっとさやかさん、それセクハラ……」
そんな私の言葉にほどかは胸を両腕で庇いながら、じとーっとした目で非難してくる。
さやか「いやいや、だってさ、あんたの親を見たらさ……」
ほどか「……その辺は詢子さんの血でしょうかね」
さやか「あぁ……。よかったね」
ほどか「まぁ、はい」
さやか「……」
ほどか「……」
さやか「ふふ」
ほどか「ふふふ」
さやか「あははは! なに話してるんだろうね私達、こんな時に胸の話なんて」
さっきまでのシリアスムードはどこにいったのか、場には明るい笑いが響き渡る。
全く、なんで胸の話なんかしてるんだ私達は。
でも、ま。すっごく楽にはなったかな。
316: 2012/07/25(水) 07:21:19.64
ほどか「さやかさんがふってきたんじゃないですかー。っていうか、失礼ですよ! お母さんに!」
さやか「あ、まどかはいいんだ」
ほどか「お父さんですから」
さやか「あぁ、確かに」
ほどか「もー。帰りますよ? もう遅いですし」
さやか「あー。そうだね。私のとこは結構、放任主義だからいいけど、ほどかのとこは厳しそうだもんね」
ほどか「はい。特にお父さんが……」
さやか「まどかが?」
なんか意外だな。ほどかには激甘に見えるのに。
ほどか「なんか、最近特に。この前とか一人で夜にコンビニに買い物に行ったら、危ないとかで一時間お説教ですよ?」
さやか「うっわ。なにそれ」
さすがに引くわ。
ほどか「私は魔法少女なんだから大丈夫だっていうのにそれは関係ないって聞かないんですよ……」
さやか「まどかがねー……」
やっぱり親になったらみんな変わるのかねー。こりゃビックリだわ。
ほどか「心配してくれるのはありがたいんですが、さすがに過保護すぎるっていうか……」
さやか「ほどかも苦労してるんだねー……」
ほどか「……はい」
そう頷くと、そのままがっくりとうなだれる。
うーん。私からは頑張れとしか言えないね。
さやか「あ、まどかはいいんだ」
ほどか「お父さんですから」
さやか「あぁ、確かに」
ほどか「もー。帰りますよ? もう遅いですし」
さやか「あー。そうだね。私のとこは結構、放任主義だからいいけど、ほどかのとこは厳しそうだもんね」
ほどか「はい。特にお父さんが……」
さやか「まどかが?」
なんか意外だな。ほどかには激甘に見えるのに。
ほどか「なんか、最近特に。この前とか一人で夜にコンビニに買い物に行ったら、危ないとかで一時間お説教ですよ?」
さやか「うっわ。なにそれ」
さすがに引くわ。
ほどか「私は魔法少女なんだから大丈夫だっていうのにそれは関係ないって聞かないんですよ……」
さやか「まどかがねー……」
やっぱり親になったらみんな変わるのかねー。こりゃビックリだわ。
ほどか「心配してくれるのはありがたいんですが、さすがに過保護すぎるっていうか……」
さやか「ほどかも苦労してるんだねー……」
ほどか「……はい」
そう頷くと、そのままがっくりとうなだれる。
うーん。私からは頑張れとしか言えないね。
317: 2012/07/25(水) 07:22:16.18
さやか「……ところでさ、本当にさっきのあれ黙ってるつもりなの?」
話を変え、さっき聞いた話、それについての確認をする。
ほどかは黙っていると言ったけど、こんな話を黙ったままにしていて本当にいいのか……。
ほどか「はい」
即答か……。
さやか「なんで? こんなこと黙ってたら……」
ほどか「でも、言ったらきっと止められるでしょうから。最悪、監禁もありえますし」
さやか「……」
だろうね。私だって出来れば止めたい。
さっきは自分のことでいっぱいいっぱいだったけど、改めて考えると間違ってるんじゃないかとも思う。
ほどか「バカな自己犠牲だと思いますか?」
さやか「正直ね」
ほどか「止めたいですか?」
さやか「……正直ね」
でも、
さやか「ほどかはそれを望んじゃいないんでしょ?
なら、私に止める権利はないよ」
実質命を救われたようなもんだし。
さやか(いや、救われるのか……)
ほどか「ごめんなさい。出来ればこのことは言いたくなかったんですけど……」
さやか「……」
ほどか「でも、さやかさんに知ってもらえて少し楽になりました」
さやか「そっか」
……。この子の覚悟は本物か……。
さやか(嫌になるね。私はなんであんなことで悩んで……)
自分の小ささに嫌気がさすよ。全く……。
さやか(でも、本当にまどか達に黙ったままでいいのかな……)
そこだけはどうしても納得いかないんだよな。
これはまどか達にとっても大事なことだろう。
それなのに黙ったままなんて……。
ほどか「行きましょうか」
さやか「あ、うん」
ほどかに促され、思考を切る。そういえば、帰ろうとしてったっけ。
ほどか「明日は学校に来てくださいよ?」
念を押すように再度、確認するほどか。
この子も心配性だねー。
さやか「わかったって。まどかにも謝らないとダメだしね」
酷いこといっちゃったもんね。
あー……。なんであんなことを私は……。
今更ながら後悔が……。
あの時の私をひっ叩いてやりたいよ……。
話を変え、さっき聞いた話、それについての確認をする。
ほどかは黙っていると言ったけど、こんな話を黙ったままにしていて本当にいいのか……。
ほどか「はい」
即答か……。
さやか「なんで? こんなこと黙ってたら……」
ほどか「でも、言ったらきっと止められるでしょうから。最悪、監禁もありえますし」
さやか「……」
だろうね。私だって出来れば止めたい。
さっきは自分のことでいっぱいいっぱいだったけど、改めて考えると間違ってるんじゃないかとも思う。
ほどか「バカな自己犠牲だと思いますか?」
さやか「正直ね」
ほどか「止めたいですか?」
さやか「……正直ね」
でも、
さやか「ほどかはそれを望んじゃいないんでしょ?
なら、私に止める権利はないよ」
実質命を救われたようなもんだし。
さやか(いや、救われるのか……)
ほどか「ごめんなさい。出来ればこのことは言いたくなかったんですけど……」
さやか「……」
ほどか「でも、さやかさんに知ってもらえて少し楽になりました」
さやか「そっか」
……。この子の覚悟は本物か……。
さやか(嫌になるね。私はなんであんなことで悩んで……)
自分の小ささに嫌気がさすよ。全く……。
さやか(でも、本当にまどか達に黙ったままでいいのかな……)
そこだけはどうしても納得いかないんだよな。
これはまどか達にとっても大事なことだろう。
それなのに黙ったままなんて……。
ほどか「行きましょうか」
さやか「あ、うん」
ほどかに促され、思考を切る。そういえば、帰ろうとしてったっけ。
ほどか「明日は学校に来てくださいよ?」
念を押すように再度、確認するほどか。
この子も心配性だねー。
さやか「わかったって。まどかにも謝らないとダメだしね」
酷いこといっちゃったもんね。
あー……。なんであんなことを私は……。
今更ながら後悔が……。
あの時の私をひっ叩いてやりたいよ……。
318: 2012/07/25(水) 07:22:57.49
まどか「あ、いた!」
さやか「まどか?」
引き上げようと歩を進める私達。
でも、その歩みは見知った友人と遭遇することですぐに止められてしまう。
ってかなんでまどかがこんなところに? ほむらまでいるし……。
まどか「もうさやかちゃん探したよ?」
怒りながらまどかが近づいてくる。
まさか探しに来てくれたのかな?
まどか「ほどかちゃんも! こんなに遅くなるなんて聞いてないよ!」
あ、違うな。ほどかの方が心配だったんだな。
さやか「あー、ごめんごめん。ほどかは怒らないでやって。もとはといえば私のせいだしさ」
まどほむ「え?」
二人が信じられないものを見たような目で見てくる。
なに? 私変なこと言った?
まどか「えっと……。さやかちゃんもう大丈夫なの?」
さやか「え、あー」
そういや私、暴走してたもんね。
忘れてた。そりゃ不思議そうな顔をするわけだ。
さやか「あー、もう大丈夫。ほどかがさ、その……。叱ってくれたから。
頭も冷えたよ」
まどか「ほどかちゃんが……?」
納得いかないのか、どうやって説得したのか、っと怪訝な顔をしてまどかはほどかを見つめる。
ちょっとまずいかな。
さやか「あー、だから私は大丈夫だからさ! 心配かけてごめん! 酷いこといってごめん!」
まどか「あ、うん……」
ほむら「……」
うー……。無理があるか。でも押し通すしかない。
さやか「と、とにかくもう遅いしさ、帰ろうよ! まどか達は出歩いてちゃまずいでしょ?」
まどか「う、うん……」
さやか「ほらほら、帰ろ帰ろ!」
まどかとほむらの体を押して無理矢理帰宅を促す。
強引だけど、しょうがない。
ほむら「ちょ、ちょっとさやか」
まどか「危ないよ!」
さやか「さぁ、帰ろー。 それ帰ろー。いつまでもフラフラしてたらマミさんに怒られるよ」
そういえばマミさんはどうしたのかな……。
最近見ないし、携帯にも繋がらないし……。
「あら、私がどうかしたの?」
さやか「え?」
なんか聞き覚えのある声がしたような……。
さやか「まどか?」
引き上げようと歩を進める私達。
でも、その歩みは見知った友人と遭遇することですぐに止められてしまう。
ってかなんでまどかがこんなところに? ほむらまでいるし……。
まどか「もうさやかちゃん探したよ?」
怒りながらまどかが近づいてくる。
まさか探しに来てくれたのかな?
まどか「ほどかちゃんも! こんなに遅くなるなんて聞いてないよ!」
あ、違うな。ほどかの方が心配だったんだな。
さやか「あー、ごめんごめん。ほどかは怒らないでやって。もとはといえば私のせいだしさ」
まどほむ「え?」
二人が信じられないものを見たような目で見てくる。
なに? 私変なこと言った?
まどか「えっと……。さやかちゃんもう大丈夫なの?」
さやか「え、あー」
そういや私、暴走してたもんね。
忘れてた。そりゃ不思議そうな顔をするわけだ。
さやか「あー、もう大丈夫。ほどかがさ、その……。叱ってくれたから。
頭も冷えたよ」
まどか「ほどかちゃんが……?」
納得いかないのか、どうやって説得したのか、っと怪訝な顔をしてまどかはほどかを見つめる。
ちょっとまずいかな。
さやか「あー、だから私は大丈夫だからさ! 心配かけてごめん! 酷いこといってごめん!」
まどか「あ、うん……」
ほむら「……」
うー……。無理があるか。でも押し通すしかない。
さやか「と、とにかくもう遅いしさ、帰ろうよ! まどか達は出歩いてちゃまずいでしょ?」
まどか「う、うん……」
さやか「ほらほら、帰ろ帰ろ!」
まどかとほむらの体を押して無理矢理帰宅を促す。
強引だけど、しょうがない。
ほむら「ちょ、ちょっとさやか」
まどか「危ないよ!」
さやか「さぁ、帰ろー。 それ帰ろー。いつまでもフラフラしてたらマミさんに怒られるよ」
そういえばマミさんはどうしたのかな……。
最近見ないし、携帯にも繋がらないし……。
「あら、私がどうかしたの?」
さやか「え?」
なんか聞き覚えのある声がしたような……。
319: 2012/07/25(水) 07:23:46.33
マミ「あら、みんな揃ってるわね」
さやか「マミさんこそ、どうしてこんなところに……」
マミ「みんなを探していたのよ? 家に行っても留守だったし……」
あー。マミさんも心配してくれてたんだ。
なんか悪いことしたなー……。
こんなに迷惑かけて。
さやか「そうなんですか、ごめんなさい。でも、ほどかのおかげで解決しましたから」
ね? っとほどかに目配せする。
ほどかはそれに笑顔ではい。っと答えてくれて今回の一件が一応の解決をしたことを示してくれる。
マミ「解決? いったいなにが解決したっていうの?」
あれ? なんか食い違いがあるのかな、てっきり私のことを探してくれてたんだと思ったけど……。
ほどか「そういえばマミさんはさやかさんが無茶してたことを知らないんじゃないでしょうか」
あ、そういや会ってないもんね。じゃあ、あれかな。私達が家にいないのを魔女を探しに行ってるって勘違いしたとかかな。
それならマミさんが魔法少女の姿なのもわかるし。
さやか「あー。この辺の使い魔はもう全部、私が倒しちゃいましたよ」
マミ「そうなの?」
あまり興味がなさそうに返答するマミさん。
なんだろう? 少し違和感があるな……。
ほむら「……?」
まどか「ね、マミさん少し様子が変じゃない?」
まどかがほどかに小声でそう話しかける。
確かに、変かな。
よく見れば顔も少しやつれてるし、なにより笑顔がいつもと少し違うような……?
ほどか「そうですね……。やっぱり、魔法少女のことで悩んでるんじゃないでしょうか……」
ほどかがそう言ってマミさんに近寄っていく。
慰めるつもりかな。ほどかならそれが出来るだろうし。
さやか(なにからなにまで悪いな……)
マミ「まぁいいわ。みんな集まってるなら都合がいいし」
都合がいい? 一体なんの話をして……。
さやか「!? マミさん!」
まどか「マミさん!!」
ほどか「え……?」
信じられない光景が目の前に広がった。
マミさんがほどかの胸元に銃を向けていたのだ。
マミ「まずはあなたからね」
笑顔でそう言い放つマミさん。
その顔は狂気に彩られていて、なにかの冗談かと思っていた私の考えを裏切り、そして――。
ほむら「ほどか!」
ダアン――。っという銃声となにかが砕ける音が聞こえた。
ほどか「あ――」
さやか「マミさんこそ、どうしてこんなところに……」
マミ「みんなを探していたのよ? 家に行っても留守だったし……」
あー。マミさんも心配してくれてたんだ。
なんか悪いことしたなー……。
こんなに迷惑かけて。
さやか「そうなんですか、ごめんなさい。でも、ほどかのおかげで解決しましたから」
ね? っとほどかに目配せする。
ほどかはそれに笑顔ではい。っと答えてくれて今回の一件が一応の解決をしたことを示してくれる。
マミ「解決? いったいなにが解決したっていうの?」
あれ? なんか食い違いがあるのかな、てっきり私のことを探してくれてたんだと思ったけど……。
ほどか「そういえばマミさんはさやかさんが無茶してたことを知らないんじゃないでしょうか」
あ、そういや会ってないもんね。じゃあ、あれかな。私達が家にいないのを魔女を探しに行ってるって勘違いしたとかかな。
それならマミさんが魔法少女の姿なのもわかるし。
さやか「あー。この辺の使い魔はもう全部、私が倒しちゃいましたよ」
マミ「そうなの?」
あまり興味がなさそうに返答するマミさん。
なんだろう? 少し違和感があるな……。
ほむら「……?」
まどか「ね、マミさん少し様子が変じゃない?」
まどかがほどかに小声でそう話しかける。
確かに、変かな。
よく見れば顔も少しやつれてるし、なにより笑顔がいつもと少し違うような……?
ほどか「そうですね……。やっぱり、魔法少女のことで悩んでるんじゃないでしょうか……」
ほどかがそう言ってマミさんに近寄っていく。
慰めるつもりかな。ほどかならそれが出来るだろうし。
さやか(なにからなにまで悪いな……)
マミ「まぁいいわ。みんな集まってるなら都合がいいし」
都合がいい? 一体なんの話をして……。
さやか「!? マミさん!」
まどか「マミさん!!」
ほどか「え……?」
信じられない光景が目の前に広がった。
マミさんがほどかの胸元に銃を向けていたのだ。
マミ「まずはあなたからね」
笑顔でそう言い放つマミさん。
その顔は狂気に彩られていて、なにかの冗談かと思っていた私の考えを裏切り、そして――。
ほむら「ほどか!」
ダアン――。っという銃声となにかが砕ける音が聞こえた。
ほどか「あ――」
320: 2012/07/25(水) 07:24:25.79
ほむら「そ、そんな……」
マミさんが放った銃弾はその狙い通りにほどかの胸元に飛んでいった。
そして、そのまま彼女のソウルジェムを砕く。
さやか「嘘、でしょ」
そのはずだった。
ほどか「え、パ、パパ……?」
まどか「……」
もう少しで銃弾が届く、もう間に合わない。
私達が諦めかけた時だった。
ほどかの目の前に彼女の近くにいたまどかが飛び出したのだ。
そのおかげでほどかを貫くはずだった弾はその役目を果たせずにほどかは助かることになった。
ほどか「う、うそ……」
崩れ落ちるまどか。
ほどかはそれを支えようとするがショックのせいかフラフラと足元が覚束ない。
さやか「! まどか!」
手を貸そうと私も傍に近寄る。
でも、あんなのをまともに受けたら……。
マミ「あ、わ、私……」
まさか、まどかに当たるとは思っていなかったのか、自分のしでかしたことに呆然としその場に座り込むマミさん。
だけど、今はマミさんに構っている暇はない。
ほむら「ま、まどか……。そんな嘘でしょ……?」
いつもは冷静なほむらもあまりの出来事に半ば意識を失いかけ呆然としている。
さやか「ちょっと、まどか! しっかりしなよ!」
意識のないまどかを揺さぶり声をかけるけど反応がない。
まさか、本当に氏んで……?
さやか「シャレになってないって! ねぇまどか! まどかったら!」
「落ち着けバカ、氏んでねーよ」
さやか「え?」
マミさんが放った銃弾はその狙い通りにほどかの胸元に飛んでいった。
そして、そのまま彼女のソウルジェムを砕く。
さやか「嘘、でしょ」
そのはずだった。
ほどか「え、パ、パパ……?」
まどか「……」
もう少しで銃弾が届く、もう間に合わない。
私達が諦めかけた時だった。
ほどかの目の前に彼女の近くにいたまどかが飛び出したのだ。
そのおかげでほどかを貫くはずだった弾はその役目を果たせずにほどかは助かることになった。
ほどか「う、うそ……」
崩れ落ちるまどか。
ほどかはそれを支えようとするがショックのせいかフラフラと足元が覚束ない。
さやか「! まどか!」
手を貸そうと私も傍に近寄る。
でも、あんなのをまともに受けたら……。
マミ「あ、わ、私……」
まさか、まどかに当たるとは思っていなかったのか、自分のしでかしたことに呆然としその場に座り込むマミさん。
だけど、今はマミさんに構っている暇はない。
ほむら「ま、まどか……。そんな嘘でしょ……?」
いつもは冷静なほむらもあまりの出来事に半ば意識を失いかけ呆然としている。
さやか「ちょっと、まどか! しっかりしなよ!」
意識のないまどかを揺さぶり声をかけるけど反応がない。
まさか、本当に氏んで……?
さやか「シャレになってないって! ねぇまどか! まどかったら!」
「落ち着けバカ、氏んでねーよ」
さやか「え?」
321: 2012/07/25(水) 07:25:09.48
杏子「よく見ろよ。血も流れてねーし息もしてるだろ?」
声のした方向を向くと、杏子が槍を携えながら歩いてきた。
ほどか「え、あ、ほんとだ……」
ほむら「え、まどか氏んでないの?」
杏子「勝手に頃してやるなよ……」
錯乱気味の二人がその言葉に調子を取り戻す。
え、でもなんで……? 確かに銃弾はまどかを貫いたはずじゃ……。
さやか「な、なんで……」
杏子「弾ならあそこ」
杏子が指で壁の方を指す。
その方向を見ると、確かに壁に弾がめりこんでいた。
杏子「咄嗟にしてはうまくいったよなー」
杏子が分割した自分の槍の一部を指先でくるくると回す。
さやか「え、まさかあんたが?」
杏子「感謝しろよ?」
八重歯を見せニヤリと笑う杏子。
多分、あの槍の一部を銃弾に当てて軌道を逸らしたんだよね?
さやか(なんちゅう器用なことを……)
普通できる? そんなこと……。
杏子「っていうか、こいつも当たってないのになんで気絶してんだよ、ほら起きろ」
そう言うと杏子はまどかの傍に寄ってきて槍の柄の部分で頭をこんこんと突く。
ほむら「ちょ、ちょっとあんまり乱暴に扱わないで。怪我人よ」
ほどか「そうですよ、お父さんは気絶して」
杏子「はぁ……、だから弾は当たってないって。無傷なのこいつは」
まどか「う、うーん……?」
少しすると、まどかが目を覚ました。
そして、きょろきょろと辺りを見回しほどかを見つけると急に焦ったように肩を掴むと強引に揺さぶる。
声のした方向を向くと、杏子が槍を携えながら歩いてきた。
ほどか「え、あ、ほんとだ……」
ほむら「え、まどか氏んでないの?」
杏子「勝手に頃してやるなよ……」
錯乱気味の二人がその言葉に調子を取り戻す。
え、でもなんで……? 確かに銃弾はまどかを貫いたはずじゃ……。
さやか「な、なんで……」
杏子「弾ならあそこ」
杏子が指で壁の方を指す。
その方向を見ると、確かに壁に弾がめりこんでいた。
杏子「咄嗟にしてはうまくいったよなー」
杏子が分割した自分の槍の一部を指先でくるくると回す。
さやか「え、まさかあんたが?」
杏子「感謝しろよ?」
八重歯を見せニヤリと笑う杏子。
多分、あの槍の一部を銃弾に当てて軌道を逸らしたんだよね?
さやか(なんちゅう器用なことを……)
普通できる? そんなこと……。
杏子「っていうか、こいつも当たってないのになんで気絶してんだよ、ほら起きろ」
そう言うと杏子はまどかの傍に寄ってきて槍の柄の部分で頭をこんこんと突く。
ほむら「ちょ、ちょっとあんまり乱暴に扱わないで。怪我人よ」
ほどか「そうですよ、お父さんは気絶して」
杏子「はぁ……、だから弾は当たってないって。無傷なのこいつは」
まどか「う、うーん……?」
少しすると、まどかが目を覚ました。
そして、きょろきょろと辺りを見回しほどかを見つけると急に焦ったように肩を掴むと強引に揺さぶる。
322: 2012/07/25(水) 07:25:55.74
まどか「ほ、ほどかちゃん大丈夫!? 生きてる!?」
ほどか「わわわ、大丈夫です平気です!」
さやか(まぁ生きてはいないんだけど)
杏子「おい」
さやか「いた! なんで槍で叩くのさ!」
杏子「バカなこと考えただろ」
なんで私の考えてることが……。
杏子「短い付き合いだけどお前が空気を読めないのは理解したからな」
さやか「なにそれ……」
ほむら「ちょっと落ち着いてまどか。ほどかが目を回しているわ」
まどか「え? あ、ごめん」
ほどか「あうぅ……」
まどかから解放されたほどかがふらふらと頭を回す。
っていうか、まどかの方が大丈夫じゃないのかって話だと思うけど……。
まどか「あれ?」
さやか「ん?」
そういえばほむら、今。
まどか「ほむらちゃん今……」
まどかがじっとほむらの顔を覗き込む。
同様に私もおかしなものを見るようにほむらの顔を見つめる。
ほむら「な、なにかしら……」
そんな私達の異様さに若干引き気味のほむら。
まどか「ほどかちゃんのことをほどかって」
さやか「呼んだよね」
ほどか「え?」
ほむら「あ」
まどか「ちょ、ちょっと呼んだよね!? 名前だけで! ほどかって!」
さやか「う、うん! 呼んだ呼んだ! そういえばさっきも!」
ほどかの胸に銃弾が迫った時もほどか! って。
さやか「しかも、時間を止めて助けようともしてたよね!」
まどか「本当に!?」
ほむら「いや、それは……」
ほどか「え、え?」
ほどか「わわわ、大丈夫です平気です!」
さやか(まぁ生きてはいないんだけど)
杏子「おい」
さやか「いた! なんで槍で叩くのさ!」
杏子「バカなこと考えただろ」
なんで私の考えてることが……。
杏子「短い付き合いだけどお前が空気を読めないのは理解したからな」
さやか「なにそれ……」
ほむら「ちょっと落ち着いてまどか。ほどかが目を回しているわ」
まどか「え? あ、ごめん」
ほどか「あうぅ……」
まどかから解放されたほどかがふらふらと頭を回す。
っていうか、まどかの方が大丈夫じゃないのかって話だと思うけど……。
まどか「あれ?」
さやか「ん?」
そういえばほむら、今。
まどか「ほむらちゃん今……」
まどかがじっとほむらの顔を覗き込む。
同様に私もおかしなものを見るようにほむらの顔を見つめる。
ほむら「な、なにかしら……」
そんな私達の異様さに若干引き気味のほむら。
まどか「ほどかちゃんのことをほどかって」
さやか「呼んだよね」
ほどか「え?」
ほむら「あ」
まどか「ちょ、ちょっと呼んだよね!? 名前だけで! ほどかって!」
さやか「う、うん! 呼んだ呼んだ! そういえばさっきも!」
ほどかの胸に銃弾が迫った時もほどか! って。
さやか「しかも、時間を止めて助けようともしてたよね!」
まどか「本当に!?」
ほむら「いや、それは……」
ほどか「え、え?」
323: 2012/07/25(水) 07:26:25.44
さやか「ちょっとどうしたのさ! あんたほどかのことは敵だー! っとか言ってたよね!?
それが助けようとしたりして!」
まどか「ま、まさかほむらちゃん……。ついにほどかちゃんの魅力に気づいて!?」
ほむら「ちょっとなによそれ。べ、別にいいじゃない。助けるくらい……」
口をもごもごさせながらそっぽを向くほむら。
こ、これは……。
さやか(デレか!? デレが来たのか!?」
杏子「へー。おかしなことを言うなほむら」
ほむら「な、なによあなたまで」
杏子「いや、アタシはお前からそいつを頃すーなんて物騒な言葉を聞いてるからさ。
だから、そんなお前がそいつを助けようなんて言うと思わなかったもんでな」
杏子がニヤニヤしながらほむらに詰め寄る。
え、っていうかあんたらそんなこと計画してたの?
ほむら「う……」
杏子「へー、助けるねー。なんだ本当はそいつのこと仲間だと思ってたんだな。
大切に思ってたんだなー」
ほどか「……」
まどか「杏子ちゃん……」
ほむら「う、そういうわけじゃ……」
杏子「じゃあどういうわけだよ? 仲間だと思ってない奴を助けようとするか?
ましてや殺そうとしてた奴だぞ」
ほむら「くっ……」
徐々にほむらを追い詰める杏子。
なんかこんなに困った顔のほむら見るの初めてだなー。
ほむらにこんな表情をさせるとは杏子恐るべし……。
杏子「素直になったらどうだ? 守りたかったんだろ?
こいつが氏ぬのは嫌だったんだろ? で、今こいつは危険を脱して無事生きてるんだ」
なら言うことあるよな?
そうほむらの肩を叩いてほどかの方へ押し出す。
さやか(なにこのイケメン)
急に現れておいしいとこ全部持っていきやがった。
それが助けようとしたりして!」
まどか「ま、まさかほむらちゃん……。ついにほどかちゃんの魅力に気づいて!?」
ほむら「ちょっとなによそれ。べ、別にいいじゃない。助けるくらい……」
口をもごもごさせながらそっぽを向くほむら。
こ、これは……。
さやか(デレか!? デレが来たのか!?」
杏子「へー。おかしなことを言うなほむら」
ほむら「な、なによあなたまで」
杏子「いや、アタシはお前からそいつを頃すーなんて物騒な言葉を聞いてるからさ。
だから、そんなお前がそいつを助けようなんて言うと思わなかったもんでな」
杏子がニヤニヤしながらほむらに詰め寄る。
え、っていうかあんたらそんなこと計画してたの?
ほむら「う……」
杏子「へー、助けるねー。なんだ本当はそいつのこと仲間だと思ってたんだな。
大切に思ってたんだなー」
ほどか「……」
まどか「杏子ちゃん……」
ほむら「う、そういうわけじゃ……」
杏子「じゃあどういうわけだよ? 仲間だと思ってない奴を助けようとするか?
ましてや殺そうとしてた奴だぞ」
ほむら「くっ……」
徐々にほむらを追い詰める杏子。
なんかこんなに困った顔のほむら見るの初めてだなー。
ほむらにこんな表情をさせるとは杏子恐るべし……。
杏子「素直になったらどうだ? 守りたかったんだろ?
こいつが氏ぬのは嫌だったんだろ? で、今こいつは危険を脱して無事生きてるんだ」
なら言うことあるよな?
そうほむらの肩を叩いてほどかの方へ押し出す。
さやか(なにこのイケメン)
急に現れておいしいとこ全部持っていきやがった。
324: 2012/07/25(水) 07:26:52.24
ほむら「あ、えと」モジモジ
ほどか「あ、はい」モジモジ
ほむら「あ、あの……。その、ぶ、無事でよかったわ///」モジモジ
ほどか「あ、えっと、はい。すいません。ありがとうございます///」モジモジ
まどか「……ふふ」
さやか(なんだこれ)
なにをしてるんだこの母娘は。
普段はバシバシ言いたいことをいう二人なのに。
もっと色々言うことあるだろ!
さやか(あー! もどかしい!)
いっそのこと私が!
杏子「邪魔すんな」
さやか「いた! だから頭を槍で叩くなって!」
杏子「お前が空気を読まないからだろ? もうあの二人は大丈夫だよ」
二人を微笑みながら優しい目つきで眺める杏子。
なにこれ、あんたそんなキャラだっけ……?
ほどか「あ、はい」モジモジ
ほむら「あ、あの……。その、ぶ、無事でよかったわ///」モジモジ
ほどか「あ、えっと、はい。すいません。ありがとうございます///」モジモジ
まどか「……ふふ」
さやか(なんだこれ)
なにをしてるんだこの母娘は。
普段はバシバシ言いたいことをいう二人なのに。
もっと色々言うことあるだろ!
さやか(あー! もどかしい!)
いっそのこと私が!
杏子「邪魔すんな」
さやか「いた! だから頭を槍で叩くなって!」
杏子「お前が空気を読まないからだろ? もうあの二人は大丈夫だよ」
二人を微笑みながら優しい目つきで眺める杏子。
なにこれ、あんたそんなキャラだっけ……?
325: 2012/07/25(水) 07:27:22.84
杏子「さてと」
さやか「どこ行くの」
杏子「あれ」
そう言うと指を差す。
そしてその方向を見ると……。
さやか「あ」
マミさんが呆然と座り込んでいた。
さやか「忘れてた」
そういやいたね。
杏子「酷い奴だな。尊敬してる先輩じゃねーのかよ」
軽蔑の眼差しで私を見てくる杏子。
さやか「しょうがないじゃない! 一気に色々あったんだから!」
杏子「お前はあたふたしてただけだろ?」
ぐっ……。
こいつはホントに可愛くないことを……!
さやか(いつか見てろよ……)
なにかしらの形でやりかえす!
絶対に泣かす!
杏子「おい、マミ。いつまで腑抜けてるんだよ」
マミ「え?」
声をかけられマミさんはやっと意識を取り戻す。
杏子「お前、なにしたかわかってんのか? 危うく氏人が出るとこだったんだぞ」
マミ「な、なによ。あれは急にまどかさんが出てきたから……」
杏子「そういうことじゃねーだろ。お前は仲間に向けて発砲した。
この意味がどういうことかわかってんのかって聞いてるんだ」
真剣な表情でマミさんに向けて語りかける。
そんな杏子の気迫に押されてか、自分のしてしまったことに対する自責からかマミさんはいつものように強気には出れないみたいだった。
さやか「どこ行くの」
杏子「あれ」
そう言うと指を差す。
そしてその方向を見ると……。
さやか「あ」
マミさんが呆然と座り込んでいた。
さやか「忘れてた」
そういやいたね。
杏子「酷い奴だな。尊敬してる先輩じゃねーのかよ」
軽蔑の眼差しで私を見てくる杏子。
さやか「しょうがないじゃない! 一気に色々あったんだから!」
杏子「お前はあたふたしてただけだろ?」
ぐっ……。
こいつはホントに可愛くないことを……!
さやか(いつか見てろよ……)
なにかしらの形でやりかえす!
絶対に泣かす!
杏子「おい、マミ。いつまで腑抜けてるんだよ」
マミ「え?」
声をかけられマミさんはやっと意識を取り戻す。
杏子「お前、なにしたかわかってんのか? 危うく氏人が出るとこだったんだぞ」
マミ「な、なによ。あれは急にまどかさんが出てきたから……」
杏子「そういうことじゃねーだろ。お前は仲間に向けて発砲した。
この意味がどういうことかわかってんのかって聞いてるんだ」
真剣な表情でマミさんに向けて語りかける。
そんな杏子の気迫に押されてか、自分のしてしまったことに対する自責からかマミさんはいつものように強気には出れないみたいだった。
326: 2012/07/25(水) 07:27:57.52
マミ「で、でもしょうがないじゃない……。魔法少女は氏ぬべきなんだから」
杏子「はぁ? 何言ってんだよお前」
的を射ないマミさんの答えに杏子は訝しげな表情をする。
私もマミさんのその言葉は意味がわからない。
どうして魔法少女が氏ななければいけないのか。
マミ「あなた達は知らないからしょうがないわよね。ふふ。いいわ、教えてあげる。
あなた達もまだ知らない魔法少女の真実を」
魔法少女の真実……? 私達が知らないって……。
ほむら「! まさか!」
ほどか「……」
マミ「ふふふ。心して聞きなさい。魔法少女の真実。それは!!」
魔女の正体は魔法少女なのよ――!!!
マミさんの言葉に周囲はしんっとなる。
誰も言葉を発さない。
マミ「ふふふ。驚いて言葉も出ないでしょう? 無理もないわ。私だって驚いたもの。
どう、これでわかったでしょう? 魔法少女が氏なないといけないわけが」
さやか「……」
杏子「……」
マミ「わかったのならいいわ。じゃあ、今度はおとなしく私に殺されなさい。
大丈夫。みんなを頃したら私もすぐに――」
ゴツン! っと鈍い音が辺りに響いた。
そしてその後に続くマミさんの悲鳴。
マミ「いったーい!! なにするのよ佐倉さん! 槍で頭を叩くなんて酷いじゃない!」
いやあんた……。
杏子「はぁ? 何言ってんだよお前」
的を射ないマミさんの答えに杏子は訝しげな表情をする。
私もマミさんのその言葉は意味がわからない。
どうして魔法少女が氏ななければいけないのか。
マミ「あなた達は知らないからしょうがないわよね。ふふ。いいわ、教えてあげる。
あなた達もまだ知らない魔法少女の真実を」
魔法少女の真実……? 私達が知らないって……。
ほむら「! まさか!」
ほどか「……」
マミ「ふふふ。心して聞きなさい。魔法少女の真実。それは!!」
魔女の正体は魔法少女なのよ――!!!
マミさんの言葉に周囲はしんっとなる。
誰も言葉を発さない。
マミ「ふふふ。驚いて言葉も出ないでしょう? 無理もないわ。私だって驚いたもの。
どう、これでわかったでしょう? 魔法少女が氏なないといけないわけが」
さやか「……」
杏子「……」
マミ「わかったのならいいわ。じゃあ、今度はおとなしく私に殺されなさい。
大丈夫。みんなを頃したら私もすぐに――」
ゴツン! っと鈍い音が辺りに響いた。
そしてその後に続くマミさんの悲鳴。
マミ「いったーい!! なにするのよ佐倉さん! 槍で頭を叩くなんて酷いじゃない!」
いやあんた……。
327: 2012/07/25(水) 07:28:35.26
杏子「はぁ……。マミ、そのことならたぶん、ここにいる奴等みんな知ってるぞ」
マミ「へ?」
杏子「そうだろ?」
さやか「うん、まぁ」
ほどか「えぇと、はい」
ほむら「当然の如く……」
まどか「私もさやかちゃんを探している間にほむらちゃんから……」
杏子「ほら」
マミ「へ?」
あぁ、マミさん。きっと一人で空回ったんだろうな。
さやか(同類か……)
なんだかんだで私とマミさんは似てたのか……。
杏子「それで、なんで魔女の正体が魔法少女なら氏なないといけないんだ?」
マミ「え、だっていずれ魔女になるならその前に氏なないと、魔女は人間に仇名す存在だし……」
まぁ、マミさんの生き方だとそうなるか。
さやか(私も魔女になって人を襲うのはゴメンだし)
杏子「バカ。それなら今じゃなくてもいいだろ?」
マミ「え?」
杏子「なぁほどか。魔女になるのはどういう時だっけ?」
ほどか「え、えーっと。魔法なんかを使いすぎたせいでソウルジェムが穢れきると魔女になりますね。
後は絶望したりすると一気に穢れるのでそれが原因で魔女化したりもします。
まぁそれでもすぐになるわけではなく徐々に。といった感じですが」
急に杏子に話しを振られほどかは焦りながらも魔女になる原因を説明する。
杏子「ふーん。で、確かソウルジェムを砕いたら私達は氏ぬんだよな?」
ほどか「はい。そうなりますね」
わかった、サンキュ。っといいほどかに向けていた目をマミに向きなおす。
杏子「そういうことだ。わかったか?」
マミ「な、なにがよ」
杏子「つまりだ、魔女になるって言っても今すぐになるわけじゃない。しかも急になるわけでもない。
ソウルジェムのことにさえ気を使えば今まで通り生活できるわけだ」
マミ「……」
杏子「だから、今すぐ氏ぬ必要はねーだろ? 最悪、魔女になる直前に砕けばいい話じゃん」
マミ「あ……」
杏子「だからさ、その時まで今まで通り生きようぜ。もしかしたら魔法少女から普通の人間に戻れる方法もあるかもしれないしさ」
な、そうだろ? そう言って杏子は私達の方へ顔を向ける。
いや、その瞳はほどかに向けられていた。
ほどか「……」
マミ「へ?」
杏子「そうだろ?」
さやか「うん、まぁ」
ほどか「えぇと、はい」
ほむら「当然の如く……」
まどか「私もさやかちゃんを探している間にほむらちゃんから……」
杏子「ほら」
マミ「へ?」
あぁ、マミさん。きっと一人で空回ったんだろうな。
さやか(同類か……)
なんだかんだで私とマミさんは似てたのか……。
杏子「それで、なんで魔女の正体が魔法少女なら氏なないといけないんだ?」
マミ「え、だっていずれ魔女になるならその前に氏なないと、魔女は人間に仇名す存在だし……」
まぁ、マミさんの生き方だとそうなるか。
さやか(私も魔女になって人を襲うのはゴメンだし)
杏子「バカ。それなら今じゃなくてもいいだろ?」
マミ「え?」
杏子「なぁほどか。魔女になるのはどういう時だっけ?」
ほどか「え、えーっと。魔法なんかを使いすぎたせいでソウルジェムが穢れきると魔女になりますね。
後は絶望したりすると一気に穢れるのでそれが原因で魔女化したりもします。
まぁそれでもすぐになるわけではなく徐々に。といった感じですが」
急に杏子に話しを振られほどかは焦りながらも魔女になる原因を説明する。
杏子「ふーん。で、確かソウルジェムを砕いたら私達は氏ぬんだよな?」
ほどか「はい。そうなりますね」
わかった、サンキュ。っといいほどかに向けていた目をマミに向きなおす。
杏子「そういうことだ。わかったか?」
マミ「な、なにがよ」
杏子「つまりだ、魔女になるって言っても今すぐになるわけじゃない。しかも急になるわけでもない。
ソウルジェムのことにさえ気を使えば今まで通り生活できるわけだ」
マミ「……」
杏子「だから、今すぐ氏ぬ必要はねーだろ? 最悪、魔女になる直前に砕けばいい話じゃん」
マミ「あ……」
杏子「だからさ、その時まで今まで通り生きようぜ。もしかしたら魔法少女から普通の人間に戻れる方法もあるかもしれないしさ」
な、そうだろ? そう言って杏子は私達の方へ顔を向ける。
いや、その瞳はほどかに向けられていた。
ほどか「……」
328: 2012/07/25(水) 07:29:06.38
杏子「もし、マミが自分のソウルジェムを砕くのが怖いっていうんなら、そん時はアタシがやってやるしさ」
再びマミさんの方へ向き挑発気味にそう締めくくる。
マミ「馬鹿にしないで、その時は自分でやるわ」
それを受け取ってマミさんが立ち上がり、汚れの付いたスカートを払いながら、
そう言い返す。
杏子「おぉ、それでこそ巴マミだ」
そう言うと杏子はケラケラ笑いながら頭の後ろで手を組む。
マミ「……」
杏子「ほら、あいつらに言うことあるんだろ」
マミ「えぇ」
少し、俯きながらマミさんがこっちにゆっくりと歩いてくる。
マミ「あの、ごめんなさい!」
そして勢いよく頭を下げ謝罪。
マミ「私、魔法少女が魔女になるって聞いて……。
それで、なんだかおかしくなって、みんな氏ぬしかないって」
頭を下げながら話続けるマミさん。
その肩は少し震えている。
マミ「でも、佐倉さんに言われたように今、氏ぬ必要はないのに……。なのにあんなことして……。
ほどかさんにもまどかさんにも怖い思いをさせて……」
ごめんなさい!
さやか(マミさん……)
一人で悩んでたんだろうな。
誰にも相談できずに、一人でこんなこと抱えて……。
さやか(今、思えば私達マミさんに頼ってばかりだったもんね)
マミさんが頼りになるから、ついつい甘えて……。
だから、マミさんはそんな私達の為に頑張って……。
さやか(私達にも原因はあるか……)
特に私なんか、周りが止めてくれてるにも関わらず暴走しちゃうし……。
再びマミさんの方へ向き挑発気味にそう締めくくる。
マミ「馬鹿にしないで、その時は自分でやるわ」
それを受け取ってマミさんが立ち上がり、汚れの付いたスカートを払いながら、
そう言い返す。
杏子「おぉ、それでこそ巴マミだ」
そう言うと杏子はケラケラ笑いながら頭の後ろで手を組む。
マミ「……」
杏子「ほら、あいつらに言うことあるんだろ」
マミ「えぇ」
少し、俯きながらマミさんがこっちにゆっくりと歩いてくる。
マミ「あの、ごめんなさい!」
そして勢いよく頭を下げ謝罪。
マミ「私、魔法少女が魔女になるって聞いて……。
それで、なんだかおかしくなって、みんな氏ぬしかないって」
頭を下げながら話続けるマミさん。
その肩は少し震えている。
マミ「でも、佐倉さんに言われたように今、氏ぬ必要はないのに……。なのにあんなことして……。
ほどかさんにもまどかさんにも怖い思いをさせて……」
ごめんなさい!
さやか(マミさん……)
一人で悩んでたんだろうな。
誰にも相談できずに、一人でこんなこと抱えて……。
さやか(今、思えば私達マミさんに頼ってばかりだったもんね)
マミさんが頼りになるから、ついつい甘えて……。
だから、マミさんはそんな私達の為に頑張って……。
さやか(私達にも原因はあるか……)
特に私なんか、周りが止めてくれてるにも関わらず暴走しちゃうし……。
329: 2012/07/25(水) 07:29:59.69
まどか「……ふふ」
ほどか「……えへへ」
まどかとほどかが笑い出す。急にどうしたんだろう。
まどか「顔を上げてくださいマミさん」
ほどか「私達は気にしてませんから」
マミ「え……?」
まさかの言葉に驚いたのかマミさんは顔を上げる。
まどか「まぁ実際かなりビックリしましたけど」
ほどか「マミさんの気持ちもわからないでもないですからね」
マミ「……」
まどか「私もさっきほむらちゃんから聞いた時は驚いたし、っていうかほどかちゃん!
そんな大事な事黙ってるなんてヒドいよ!」
ほどか「ごめんなさい。ちょっとショッキングな事実なのでどう言ったらいいか迷ってました。
最悪、知らなくてもいいことかなーって」
まどか「知らなくてもいいことじゃないでしょ!? っていうかかなり深刻な事じゃない! どうするの!?」
ほどか「まぁ、その辺は追々考えるということで……」
まどか「なにそれ!? もう! 罰として今日はほどかちゃんと私は一緒に寝ること!! いい!?」
ほどか「ちょ、なんですかそれ! お父さんが一緒に寝たいだけでしょう!?」
まどか「そうだよ」
ほどか「えぇ……。開き直ったよこの人」
まどか「あ、ほむらちゃんもね? ほむらちゃんも今まで黙ってたんだから同罪なんだから」
ほむら「ほむ!?」
ほどか(あ、ママが一緒なら嬉しいかも)
さやか「あんたら……」
杏子「バカだな」
マミ「……ふふふ」
まどか「あ、マミさん笑ったー」
マミ「え、あ、これは違うの」
杏子「なにが違うんだよ? 笑っただろ?」
マミ「もぅ! 佐倉さん!」
さくら「確かに笑ったね」
マミ「美樹さんまで!」
ほどか「えへへ、いつものマミさんですね」
マミ「え?」
まどか「そだね、いつもの頼れるマミさんだ」
ほどか「私達の大好きなマミさんですね」
ほどか「……えへへ」
まどかとほどかが笑い出す。急にどうしたんだろう。
まどか「顔を上げてくださいマミさん」
ほどか「私達は気にしてませんから」
マミ「え……?」
まさかの言葉に驚いたのかマミさんは顔を上げる。
まどか「まぁ実際かなりビックリしましたけど」
ほどか「マミさんの気持ちもわからないでもないですからね」
マミ「……」
まどか「私もさっきほむらちゃんから聞いた時は驚いたし、っていうかほどかちゃん!
そんな大事な事黙ってるなんてヒドいよ!」
ほどか「ごめんなさい。ちょっとショッキングな事実なのでどう言ったらいいか迷ってました。
最悪、知らなくてもいいことかなーって」
まどか「知らなくてもいいことじゃないでしょ!? っていうかかなり深刻な事じゃない! どうするの!?」
ほどか「まぁ、その辺は追々考えるということで……」
まどか「なにそれ!? もう! 罰として今日はほどかちゃんと私は一緒に寝ること!! いい!?」
ほどか「ちょ、なんですかそれ! お父さんが一緒に寝たいだけでしょう!?」
まどか「そうだよ」
ほどか「えぇ……。開き直ったよこの人」
まどか「あ、ほむらちゃんもね? ほむらちゃんも今まで黙ってたんだから同罪なんだから」
ほむら「ほむ!?」
ほどか(あ、ママが一緒なら嬉しいかも)
さやか「あんたら……」
杏子「バカだな」
マミ「……ふふふ」
まどか「あ、マミさん笑ったー」
マミ「え、あ、これは違うの」
杏子「なにが違うんだよ? 笑っただろ?」
マミ「もぅ! 佐倉さん!」
さくら「確かに笑ったね」
マミ「美樹さんまで!」
ほどか「えへへ、いつものマミさんですね」
マミ「え?」
まどか「そだね、いつもの頼れるマミさんだ」
ほどか「私達の大好きなマミさんですね」
330: 2012/07/25(水) 07:31:00.70
マミ「……」
杏子「はは、よかったじゃん。こいつらさっきのことは全然気にしてないって」
マミ「でも……」
杏子「いいだろ? 気にしないって言ってんだから。なら甘えろよ。
マミは少し気にし過ぎなんだよ」
マミ「……」
まどか「マミさん! また一緒に頑張りましょう!」
ほどか「そうですよ! 私達は仲間なんですから!」
マミ「……」
まどか「お互いに助け合う。マミさんが言ったんですよ?」
マミ「あ……」
ほどか「そうですよ。むしろマミさんが辛いときに一人にして、私達が謝らないといけないくらいですよ」
マミ「そんなことは……」
ほどか「いえ、ごめんなさい。マミさんを一人にして……」
そう言って今度はほどかが頭を下げる。
それを見たマミさんは慌ててまた頭を下げる
マミ「そんな、今回の事は全部私が悪いわ! ごめんなさい!」
まどか「ううん。私達がマミさんに頼りすぎてたから……。マミさんは一人で追い詰められて
ごめんなさい!」
マミ「いや、そんなことは……。ごめんなさい!」
そして、ごめんなさいごめんなさいと謝り続ける三人。
杏子「はは、よかったじゃん。こいつらさっきのことは全然気にしてないって」
マミ「でも……」
杏子「いいだろ? 気にしないって言ってんだから。なら甘えろよ。
マミは少し気にし過ぎなんだよ」
マミ「……」
まどか「マミさん! また一緒に頑張りましょう!」
ほどか「そうですよ! 私達は仲間なんですから!」
マミ「……」
まどか「お互いに助け合う。マミさんが言ったんですよ?」
マミ「あ……」
ほどか「そうですよ。むしろマミさんが辛いときに一人にして、私達が謝らないといけないくらいですよ」
マミ「そんなことは……」
ほどか「いえ、ごめんなさい。マミさんを一人にして……」
そう言って今度はほどかが頭を下げる。
それを見たマミさんは慌ててまた頭を下げる
マミ「そんな、今回の事は全部私が悪いわ! ごめんなさい!」
まどか「ううん。私達がマミさんに頼りすぎてたから……。マミさんは一人で追い詰められて
ごめんなさい!」
マミ「いや、そんなことは……。ごめんなさい!」
そして、ごめんなさいごめんなさいと謝り続ける三人。
331: 2012/07/25(水) 07:31:26.97
さやか(あー、まぁなにはともあれ一件落着ってやつ?)
どうやらこれで全部丸く収まったの、かな?
杏子「ったく、世話がやける……」
杏子は相変わらず謝り続ける三人を見つめながらそう呟く。
思えばこいつがいてくれたから、こうなったんだよね。
さやか「あんた、なんだかんだでいいやつじゃん」
ニヤニヤしながら杏子の脇腹をつつく。
まさかこんな一面があるなんてねー。
杏子「あぁ? バカ、そんなんじゃねーよ」
照れているのか悪態をつく。
なんだなんだ、意外と可愛いなこいつ。
さやか「ふっふっふっ。杏子ちゃんは可愛いのー」
杏子「ウゼェ……。それより、お前に話しがある」
急に真剣な顔になり、私の顔をじっと見つめる。
おぉ、なにかな、まさか愛の告白とか!?
さやか「そんな! 私達女同士なのよ!?」
杏子「超ウゼェ……。はぁ、マジな話なんだよ。少し付き合え」
さやか「……ここでは話せないことなの?」
杏子「あぁ、ほむら」
ほむら「なにかしら」
杏子「お前も付き合え。お前にも関係……。いや、お前にとって重要な話だ」
凄く真剣な眼差しでほむらを見続ける杏子。
なにさ、一体なんの話をしようっていうのよ……。
――――――――――――
――――――――――
――――――――
どうやらこれで全部丸く収まったの、かな?
杏子「ったく、世話がやける……」
杏子は相変わらず謝り続ける三人を見つめながらそう呟く。
思えばこいつがいてくれたから、こうなったんだよね。
さやか「あんた、なんだかんだでいいやつじゃん」
ニヤニヤしながら杏子の脇腹をつつく。
まさかこんな一面があるなんてねー。
杏子「あぁ? バカ、そんなんじゃねーよ」
照れているのか悪態をつく。
なんだなんだ、意外と可愛いなこいつ。
さやか「ふっふっふっ。杏子ちゃんは可愛いのー」
杏子「ウゼェ……。それより、お前に話しがある」
急に真剣な顔になり、私の顔をじっと見つめる。
おぉ、なにかな、まさか愛の告白とか!?
さやか「そんな! 私達女同士なのよ!?」
杏子「超ウゼェ……。はぁ、マジな話なんだよ。少し付き合え」
さやか「……ここでは話せないことなの?」
杏子「あぁ、ほむら」
ほむら「なにかしら」
杏子「お前も付き合え。お前にも関係……。いや、お前にとって重要な話だ」
凄く真剣な眼差しでほむらを見続ける杏子。
なにさ、一体なんの話をしようっていうのよ……。
――――――――――――
――――――――――
――――――――
332: 2012/07/25(水) 07:32:08.64
―ほむら―
―― ほむホーム ――
ほむら「で、なんの話かしら」
あの後、まどかとほどかと別れ、落ち着いて話せる場所がいいという杏子の為に自分の家に呼ぶことにした。
マミ「私も聞いた方がいいのよね?」
できれば、マミもいた方がいいという杏子の言に従いマミもこの場所にいる。
杏子「あぁ、それなんだけど……。ほどかのことだ」
さやか「! あんたまさか……」
ほどかのこと。杏子はそう言った。
さやかの反応を見るにさやかは察しがついたみたいだけど……。
杏子「あいつがこの時代に来た本当の理由。それを今から話す」
さやか「ちょっと杏子! それは!」
杏子「黙れ。さやかも本当はわかってるんだろう? これは伝えなきゃいけないことだって」
さやか「そ、それは……」
杏子の言葉に俯き何も話さなくなるさやか。
珍しい……。さやかが杏子にやり込められるとは……。
マミ「……美樹さんと佐倉さんはほどかさんの本当の目的を知っているのね?
本人に聞いたのかしら」
杏子「アタシは直接聞いたわけじゃない。さやかに話しているところを偶然聞いただけだ」
マミ「偶然?」
杏子「偶然」
マミ「そ、なら仕方ないわね」
杏子「だろ?」
ニヤリ。っと笑いあう二人。
この二人はこういうところで気が合うのだから……。
ほむら「その理由とやらを早く聞かせてもらえるかしら?」
このままでは話が進まない。
私としても、あの子がなにかを隠しているのは気づいている。
それがわかるというのなら早く知りたい。
―― ほむホーム ――
ほむら「で、なんの話かしら」
あの後、まどかとほどかと別れ、落ち着いて話せる場所がいいという杏子の為に自分の家に呼ぶことにした。
マミ「私も聞いた方がいいのよね?」
できれば、マミもいた方がいいという杏子の言に従いマミもこの場所にいる。
杏子「あぁ、それなんだけど……。ほどかのことだ」
さやか「! あんたまさか……」
ほどかのこと。杏子はそう言った。
さやかの反応を見るにさやかは察しがついたみたいだけど……。
杏子「あいつがこの時代に来た本当の理由。それを今から話す」
さやか「ちょっと杏子! それは!」
杏子「黙れ。さやかも本当はわかってるんだろう? これは伝えなきゃいけないことだって」
さやか「そ、それは……」
杏子の言葉に俯き何も話さなくなるさやか。
珍しい……。さやかが杏子にやり込められるとは……。
マミ「……美樹さんと佐倉さんはほどかさんの本当の目的を知っているのね?
本人に聞いたのかしら」
杏子「アタシは直接聞いたわけじゃない。さやかに話しているところを偶然聞いただけだ」
マミ「偶然?」
杏子「偶然」
マミ「そ、なら仕方ないわね」
杏子「だろ?」
ニヤリ。っと笑いあう二人。
この二人はこういうところで気が合うのだから……。
ほむら「その理由とやらを早く聞かせてもらえるかしら?」
このままでは話が進まない。
私としても、あの子がなにかを隠しているのは気づいている。
それがわかるというのなら早く知りたい。
333: 2012/07/25(水) 07:32:35.00
杏子「んー? ママは娘のことが心配なのかー?」
意地の悪い顔で茶化すようにそう言う杏子。
この子は……。
さやか「ちょっと杏子! ほどかのことはほむらには秘密で!」
マミ「……いえ、暁美さんの様子から察するにそのことにはもう気づいているのかしら?」
さやか「え?」
ほむら「はぁ……。まぁね、まどかから聞いたわ」
さやか「え、そうなんだ……」
ほむら「まぁ、あの子には私が知っていることは話してないけど」
ほどかにはそのことはまだ伝えていない。
なにか、タイミングが掴めないから。
まぁ、まどかが伝えているとは思うけど。
杏子「早く自分の口から言ってやったほうがいいぞ。そんで抱きしめてやれ」
ほむら「なんでそんなこと……」
抱きしめるとか、今更そんなこと出来るわけ……。
杏子「時間がないんだよ。あいつにはもう」
ほむら「え……?」
時間がない? それはいったいどういう……。
杏子「あいつは、ほどかはな。ワルプルギスの夜を倒した後は」
消えちまうんだ――。
その杏子の言葉に場は静まりかえる。
私はその意味が理解できずにただ、呆然とするしかなかった。
――――――――――――
――――――――――
――――――――
意地の悪い顔で茶化すようにそう言う杏子。
この子は……。
さやか「ちょっと杏子! ほどかのことはほむらには秘密で!」
マミ「……いえ、暁美さんの様子から察するにそのことにはもう気づいているのかしら?」
さやか「え?」
ほむら「はぁ……。まぁね、まどかから聞いたわ」
さやか「え、そうなんだ……」
ほむら「まぁ、あの子には私が知っていることは話してないけど」
ほどかにはそのことはまだ伝えていない。
なにか、タイミングが掴めないから。
まぁ、まどかが伝えているとは思うけど。
杏子「早く自分の口から言ってやったほうがいいぞ。そんで抱きしめてやれ」
ほむら「なんでそんなこと……」
抱きしめるとか、今更そんなこと出来るわけ……。
杏子「時間がないんだよ。あいつにはもう」
ほむら「え……?」
時間がない? それはいったいどういう……。
杏子「あいつは、ほどかはな。ワルプルギスの夜を倒した後は」
消えちまうんだ――。
その杏子の言葉に場は静まりかえる。
私はその意味が理解できずにただ、呆然とするしかなかった。
――――――――――――
――――――――――
――――――――
334: 2012/07/25(水) 07:33:38.38
―― 翌日 学校 ――
ほむら「……」
黒板には無数の数列が刻まれている。
だけど、私にはその数字を理解することは出来ない。
いつもの私ならばその意味を理解し、そこから導き出される答えを出すことが出来るのだが、今の私の心境ではそれは不可能であった。
だから、ただ、ボーっとそれを眺めることしかできなかった。
「暁美。暁美!」
ほむら「あ、はい」
ふいに私を呼ぶ声が聞こえた。
条件反射でその声に答えるが誰に呼ばれたのかまではわからない。
「どうした、ボーっとして。まぁいい、前に出てこの問題を解いてみろ」
少し状況を把握できた。
私を呼んでいたのは先生で、私に黒板に刻まれたあの数列を解け、そう指示しているのだと。
ほむら「すいません。わかりません」
だけど、今の私にそれを説くことは不可能だ。
「え、そ、そうか……。まぁ、この問題は難関高校の受験用でかなり難しいからな……。
な、なら鹿目、鹿目ほどか。代わりに解いてやれ」
ほどか「はい」
鹿目ほどか。
私と同じように未来から来た魔法少女であり、私の娘。
その子が前に出て私の解けなかった問題を代わりに解く。
「うん。完璧だ。間違いは一つもないぞ」
ほどか「ありがとうございます」
彼女の回答は完璧で、一点の間違いもない。
そのことを褒められた彼女の顔はとても嬉しそうで、少し誇らしげでもある。
席に戻る途中の彼女と目が合う。私と目があった彼女は少し照れくさそうで、でも褒められたときよりも嬉しそうに見えた。
ほむら「……」
「みんなも鹿目に負けないように頑張るんだぞ。
正しい答えを導く力は将来必ず役に立つ。自分の未来を決める時に助けになってくれるんだからな」
自分の未来を決める助け。
彼女はその力があったから、正しい答えを導けたのだろうか。
誰も氏なず、まどかだけでなくマミ達が生存したまま、ワルプルギスを越えることが出来る。
彼女にその力があったから、私には出来なかった、そんな奇跡のようなことが起こせたのだろうか。
なぜ、私にはその力がなかったんだろう。
なぜ、私には正しい未来が導けなかったんだろう。
もし、私にその力があれば。
もし、私に彼女のような才能があれば。
私は、あの子を失わずに済んだのだろう――。
ほむら「……」
黒板には無数の数列が刻まれている。
だけど、私にはその数字を理解することは出来ない。
いつもの私ならばその意味を理解し、そこから導き出される答えを出すことが出来るのだが、今の私の心境ではそれは不可能であった。
だから、ただ、ボーっとそれを眺めることしかできなかった。
「暁美。暁美!」
ほむら「あ、はい」
ふいに私を呼ぶ声が聞こえた。
条件反射でその声に答えるが誰に呼ばれたのかまではわからない。
「どうした、ボーっとして。まぁいい、前に出てこの問題を解いてみろ」
少し状況を把握できた。
私を呼んでいたのは先生で、私に黒板に刻まれたあの数列を解け、そう指示しているのだと。
ほむら「すいません。わかりません」
だけど、今の私にそれを説くことは不可能だ。
「え、そ、そうか……。まぁ、この問題は難関高校の受験用でかなり難しいからな……。
な、なら鹿目、鹿目ほどか。代わりに解いてやれ」
ほどか「はい」
鹿目ほどか。
私と同じように未来から来た魔法少女であり、私の娘。
その子が前に出て私の解けなかった問題を代わりに解く。
「うん。完璧だ。間違いは一つもないぞ」
ほどか「ありがとうございます」
彼女の回答は完璧で、一点の間違いもない。
そのことを褒められた彼女の顔はとても嬉しそうで、少し誇らしげでもある。
席に戻る途中の彼女と目が合う。私と目があった彼女は少し照れくさそうで、でも褒められたときよりも嬉しそうに見えた。
ほむら「……」
「みんなも鹿目に負けないように頑張るんだぞ。
正しい答えを導く力は将来必ず役に立つ。自分の未来を決める時に助けになってくれるんだからな」
自分の未来を決める助け。
彼女はその力があったから、正しい答えを導けたのだろうか。
誰も氏なず、まどかだけでなくマミ達が生存したまま、ワルプルギスを越えることが出来る。
彼女にその力があったから、私には出来なかった、そんな奇跡のようなことが起こせたのだろうか。
なぜ、私にはその力がなかったんだろう。
なぜ、私には正しい未来が導けなかったんだろう。
もし、私にその力があれば。
もし、私に彼女のような才能があれば。
私は、あの子を失わずに済んだのだろう――。
335: 2012/07/25(水) 07:34:07.34
―― 前日 ほむホーム ――
ほむら「消えるって……どういう意味よ」
杏子の言葉が理解できず、私は聞き返す。
杏子「そのままの意味だ。ワルプルギスの夜を倒せばほどかは消える」
さやか「私が説明するよ。えっと、さっきほむら達が来る前にほどかに聞いたんだ」
さやかが説明を引き継ぎ説明を始める。
その内容は信じがたいものだった。
ほむら「消えるって……どういう意味よ」
杏子の言葉が理解できず、私は聞き返す。
杏子「そのままの意味だ。ワルプルギスの夜を倒せばほどかは消える」
さやか「私が説明するよ。えっと、さっきほむら達が来る前にほどかに聞いたんだ」
さやかが説明を引き継ぎ説明を始める。
その内容は信じがたいものだった。
336: 2012/07/25(水) 07:35:06.25
~~ 回想 ~~
ほどか『私がこの時代に来た本当の理由は、魔法少女をこの先の未来から消し去ることです』
さやか『!? そ、それってどういう……』
ほどか『さやかさんは、まだ知らないので先に教えておきますね?
魔女の正体は魔法少女です』
さやか『は!? う、嘘でしょ!!?』
ほどか『本当です。ソウルジェムが穢れきった時、魔法少女は魔女になります』
さやか『そ、そんなの信じられるわけ……』
ほどか『ですが、これは事実です』
さやか『い、いやちょっと待ってよ! 魔法少女が魔女になって誰が得をするっていうの!?
メリットがないじゃん!』
ほどか『メリットならありますよ? キュゥべぇが宇宙人だということはお話ししましたよね』
さやか『え、うん。そうだけど、それがなんの関係が……』
ほどか『キュゥべぇの星は私達の文明よりずっと進んでいるんです。そして、その文明の力により、ある発見をした』
さやか『発見?』
ほどか『今、この宇宙は深刻なエネルギー不足に陥っているらしいんです。
地球でも石油がいつなくなるかわからないっていう話は聞きますよね? それと同じ感じですかね』
さやか『……』
ほどか『ただ、違うのはことの重大さです。この一件を放っておくと、この宇宙自体が成り立たなくなる。
そう結論づけたキュゥべぇ達はその問題を解決しようとする』
さやか『解決……?』
ほどか『はい。試行錯誤を繰り返し、キュゥべぇ達はある星において重大な発見をします』
さやか『それって……』
ほどか『察しの通り、地球の人類ですね。彼等は私達人類の持つ感情に目を付けました』
さやか『感情……? そんなものになにが……』
ほどか『簡単に言うと私達の持つ感情というものはキュゥべぇ達には無いもので、
それを宇宙のエネルギーに充てることによって宇宙の寿命を延命させることが出来るみたいです』
ほどか『グリーフシードってありますよね。あれをキュゥべぇ達が回収する理由はそういうことみたいですよ』
さやか『え……?』
ほどか『あれはもともとソウルジェムなんですけど、穢れが溜まりすぎるとグリーフシードに変化するんです。
その時に発生するエネルギーを回収することがキュゥべぇ達の目的みたいですね』
さやか『そ、そんな』
ほどか『ソウルジェムの穢れは絶望することで溜りやすくなるみたいですから、彼等は基本的に絶望をエネルギーとしているんでしょうかね』
さやか『……だから、あんたは魔法少女を消そうってわけ? これ以上そんな馬鹿みたいなことをさせないために』
ほどか『少し、違いますね。私はこの方法を決していい方法だとは思っていませんが、仕方のないことだとは考えています』
さやか『それってどういう!? こんなの許されるわけないじゃない!』
ほどか『そうですね。当事者の私達からすれば納得のいくものじゃないですし……。
でも、仮に明日、明後日に宇宙の寿命が来るとして私達が魔法少女になることでしか救われないとしたらどうします?』
さやか『そ、それは……』
ほどか『そうなったら私は迷うことなく魔法少女になりますよ。少ない犠牲でみんなが救われるのなら。
……。まぁ、極論ではありますけどね、でも決して先送りにはできない問題です。』
ほどか『私がこの時代に来た本当の理由は、魔法少女をこの先の未来から消し去ることです』
さやか『!? そ、それってどういう……』
ほどか『さやかさんは、まだ知らないので先に教えておきますね?
魔女の正体は魔法少女です』
さやか『は!? う、嘘でしょ!!?』
ほどか『本当です。ソウルジェムが穢れきった時、魔法少女は魔女になります』
さやか『そ、そんなの信じられるわけ……』
ほどか『ですが、これは事実です』
さやか『い、いやちょっと待ってよ! 魔法少女が魔女になって誰が得をするっていうの!?
メリットがないじゃん!』
ほどか『メリットならありますよ? キュゥべぇが宇宙人だということはお話ししましたよね』
さやか『え、うん。そうだけど、それがなんの関係が……』
ほどか『キュゥべぇの星は私達の文明よりずっと進んでいるんです。そして、その文明の力により、ある発見をした』
さやか『発見?』
ほどか『今、この宇宙は深刻なエネルギー不足に陥っているらしいんです。
地球でも石油がいつなくなるかわからないっていう話は聞きますよね? それと同じ感じですかね』
さやか『……』
ほどか『ただ、違うのはことの重大さです。この一件を放っておくと、この宇宙自体が成り立たなくなる。
そう結論づけたキュゥべぇ達はその問題を解決しようとする』
さやか『解決……?』
ほどか『はい。試行錯誤を繰り返し、キュゥべぇ達はある星において重大な発見をします』
さやか『それって……』
ほどか『察しの通り、地球の人類ですね。彼等は私達人類の持つ感情に目を付けました』
さやか『感情……? そんなものになにが……』
ほどか『簡単に言うと私達の持つ感情というものはキュゥべぇ達には無いもので、
それを宇宙のエネルギーに充てることによって宇宙の寿命を延命させることが出来るみたいです』
ほどか『グリーフシードってありますよね。あれをキュゥべぇ達が回収する理由はそういうことみたいですよ』
さやか『え……?』
ほどか『あれはもともとソウルジェムなんですけど、穢れが溜まりすぎるとグリーフシードに変化するんです。
その時に発生するエネルギーを回収することがキュゥべぇ達の目的みたいですね』
さやか『そ、そんな』
ほどか『ソウルジェムの穢れは絶望することで溜りやすくなるみたいですから、彼等は基本的に絶望をエネルギーとしているんでしょうかね』
さやか『……だから、あんたは魔法少女を消そうってわけ? これ以上そんな馬鹿みたいなことをさせないために』
ほどか『少し、違いますね。私はこの方法を決していい方法だとは思っていませんが、仕方のないことだとは考えています』
さやか『それってどういう!? こんなの許されるわけないじゃない!』
ほどか『そうですね。当事者の私達からすれば納得のいくものじゃないですし……。
でも、仮に明日、明後日に宇宙の寿命が来るとして私達が魔法少女になることでしか救われないとしたらどうします?』
さやか『そ、それは……』
ほどか『そうなったら私は迷うことなく魔法少女になりますよ。少ない犠牲でみんなが救われるのなら。
……。まぁ、極論ではありますけどね、でも決して先送りにはできない問題です。』
337: 2012/07/25(水) 07:35:39.69
さやか『確かに、そうだけどさ! なら、あんたはなんで魔法少女を消そうとしてるのさ! 矛盾してるじゃん!』
ほどか『あくまで、それしか方法がないのならですよ。このシステムがよくない方法なのはわかってますから』
さやか『それってどういう……』
ほどか『私の魔法少女としての才能はお父さんよりも上みたいです』
さやか『は?』
ほどか『私の時代のキュゥべぇがそういってました。なぜかはわからないみたいですけど』
さやか『……』
ほどか『お父さんでさえ、神になれる程の才能を持っているのに私はそれよりも上なんです。
なら、なんでも出来ちゃう。そう思いませんか?』
さやか『あんた、何を考えて……』
ほどか『それを知った私はキュゥべぇに質問しました。
私が宇宙のエネルギー不足を解消するように願えばそれは解決するんじゃないかって、もう魔法少女を生み出さなくてもいいんじゃないかって』
ほどか『答えはイエスでしたよ。私程の力を持つなら出来るだろうって』
さやか『じゃ、じゃあ……』
ほどか『はい、だから私は魔法少女になったんです』
さやか『でも、それならなんでこの時代にくる必要があったのさ? 別にその願いならほどかのいた時代でも』
ほどか『それじゃダメなんです』
さやか『え?』
ほどか『私の第一目標はあくまでお母さんを救うこと。それには変わりありません』
さやか『あ……』
ほどか『でも、私の時代ではもうお母さんはいませんから……』
さやか『……』
ほどか『私としては本当は最初に魔法少女が生まれる前に解決したかったんですが、
それだと未来そのものに影響が出てお母さん達の存在自体がなかったことになるかもしれないってことで断念しました』
さやか『そう、なんだ……』
ほどか『ここが重要なんですが、私の願いはまだ達成されていません』
さやか『え? どういうこと?』
ほどか『私の願いは複数の因子が絡んでいますから、少し複雑なんですよ。キュゥべぇは願いは一つしか叶えてくれませんし。
宇宙のエネルギー問題とお母さんを救うことは関係ありませんから』
さやか『まぁ、確かに』
ほどか『それにお母さんを救うということは魔法少女の運命から解き放つことでお母さんを普通の人間に戻さないといけません。
でないと、いずれ魔女になってしまいますし』
ほどか『そこで考えたのが因果を集結させることです』
さやか『?』
ほどか『ほら、よくゲームとかでラスボスを倒せば今までの問題は全て解決。
主人公達は幸せに暮らせるっていうご都合展開がありますよね?』
さやか『あ、あぁまぁ』
ほどか『それでですね、私はワルプルギスを倒すことにより、
宇宙のエネルギー不足を解消それプラス、私達は魔法少女の運命から解き放たれるっていうふうなシナリオ考えたわけです』
ほどか『あくまで、それしか方法がないのならですよ。このシステムがよくない方法なのはわかってますから』
さやか『それってどういう……』
ほどか『私の魔法少女としての才能はお父さんよりも上みたいです』
さやか『は?』
ほどか『私の時代のキュゥべぇがそういってました。なぜかはわからないみたいですけど』
さやか『……』
ほどか『お父さんでさえ、神になれる程の才能を持っているのに私はそれよりも上なんです。
なら、なんでも出来ちゃう。そう思いませんか?』
さやか『あんた、何を考えて……』
ほどか『それを知った私はキュゥべぇに質問しました。
私が宇宙のエネルギー不足を解消するように願えばそれは解決するんじゃないかって、もう魔法少女を生み出さなくてもいいんじゃないかって』
ほどか『答えはイエスでしたよ。私程の力を持つなら出来るだろうって』
さやか『じゃ、じゃあ……』
ほどか『はい、だから私は魔法少女になったんです』
さやか『でも、それならなんでこの時代にくる必要があったのさ? 別にその願いならほどかのいた時代でも』
ほどか『それじゃダメなんです』
さやか『え?』
ほどか『私の第一目標はあくまでお母さんを救うこと。それには変わりありません』
さやか『あ……』
ほどか『でも、私の時代ではもうお母さんはいませんから……』
さやか『……』
ほどか『私としては本当は最初に魔法少女が生まれる前に解決したかったんですが、
それだと未来そのものに影響が出てお母さん達の存在自体がなかったことになるかもしれないってことで断念しました』
さやか『そう、なんだ……』
ほどか『ここが重要なんですが、私の願いはまだ達成されていません』
さやか『え? どういうこと?』
ほどか『私の願いは複数の因子が絡んでいますから、少し複雑なんですよ。キュゥべぇは願いは一つしか叶えてくれませんし。
宇宙のエネルギー問題とお母さんを救うことは関係ありませんから』
さやか『まぁ、確かに』
ほどか『それにお母さんを救うということは魔法少女の運命から解き放つことでお母さんを普通の人間に戻さないといけません。
でないと、いずれ魔女になってしまいますし』
ほどか『そこで考えたのが因果を集結させることです』
さやか『?』
ほどか『ほら、よくゲームとかでラスボスを倒せば今までの問題は全て解決。
主人公達は幸せに暮らせるっていうご都合展開がありますよね?』
さやか『あ、あぁまぁ』
ほどか『それでですね、私はワルプルギスを倒すことにより、
宇宙のエネルギー不足を解消それプラス、私達は魔法少女の運命から解き放たれるっていうふうなシナリオ考えたわけです』
338: 2012/07/25(水) 07:36:21.95
ほどか『キュゥべぇには呆れられましたよ。
そんな面倒な願いをするのは君が初めてだって』
さやか『そりゃ、そうだろうね……』
ほどか『でも、おかげで問題は解決。ワルプルギスさえ倒せばみんなが幸せに暮らせる世界が訪れるってわけです』
さやか『成程ね……。でもなんでワルプルギスなの? その辺の魔女じゃダメだったの?』
ほどか『それは私も考えたんですけど、なんでも私の願いは色んな要素が混じりすぎていて普通の魔女だと受けきれないみたいです
でも、ワルプルギスだと、それにも耐えうるとか。ワルプルギスって色んな魔女の複合体みたいですからその辺も関係あるんですかね』
さやか『へー。なんかヤバそうだね。そんな奴に勝てんの?』
ほどか『それは大丈夫です。私の力は凄いですから』
さやか『それは頼もしいや』
ほどか『まぁ、私の目的っていうのはそういうことです』
さやか『一つ質問いい?』
ほどか『なんですか?』
さやか『ワルプルギスを倒した後、ほどかはどうなるの?』
ほどか『……。未来に帰りますよ』
さやか『嘘だろ』
ほどか『どうしてそう思うんですか?』
さやか『どうしてかなぁ……。ただ、なんとなくわかっちゃうんだよね。あんたが嘘つきだってこと』
ほどか『……』
さやか『あんた自分の命を諦めた目をしている。自分のことに関してはどうでもいいって思ってる』
ほどか『……そんなこと』
さやか『ねぇ、本当のことを言ってよ。私が言うのもなんだけどさ、私達仲間でしょ?』
ほどか『……ふぅ。さやかさんには叶いませんね。わかりました。言いますよ』
さやか『……』
ほどか『だいたいわかってるみたいですから簡潔に言いますね』
ほどか『ワルプルギスを倒せば私の存在は消えます』
さやか『!!』
ほどか『っと言っても完全に消えるわけじゃありませんよ? お母さんがお父さんと結婚して私を生んでくれれば、私はまた復活します。
私がお母さんに黙ってほしかったのはそういう理由もあるんですよ?
お父さんはまぁ大丈夫でしょうけど、お母さんはそんなこと知ったら照れて気まずくなりそうですから』
さやか『でも、それは!』
ほどか『はい。今の私ではありません。でも、大丈夫です。記憶は引き継がれますから』
さやか『え?』
ほどか『ほらご都合展開ですから』
さやか『でも……』
ほどか『大丈夫ですって。なんとかなります』
ほどか『以上で私の話は終わりです。他の人には黙っててくださいね?』
さやか『……』
~~ 回想 終 ~~
そんな面倒な願いをするのは君が初めてだって』
さやか『そりゃ、そうだろうね……』
ほどか『でも、おかげで問題は解決。ワルプルギスさえ倒せばみんなが幸せに暮らせる世界が訪れるってわけです』
さやか『成程ね……。でもなんでワルプルギスなの? その辺の魔女じゃダメだったの?』
ほどか『それは私も考えたんですけど、なんでも私の願いは色んな要素が混じりすぎていて普通の魔女だと受けきれないみたいです
でも、ワルプルギスだと、それにも耐えうるとか。ワルプルギスって色んな魔女の複合体みたいですからその辺も関係あるんですかね』
さやか『へー。なんかヤバそうだね。そんな奴に勝てんの?』
ほどか『それは大丈夫です。私の力は凄いですから』
さやか『それは頼もしいや』
ほどか『まぁ、私の目的っていうのはそういうことです』
さやか『一つ質問いい?』
ほどか『なんですか?』
さやか『ワルプルギスを倒した後、ほどかはどうなるの?』
ほどか『……。未来に帰りますよ』
さやか『嘘だろ』
ほどか『どうしてそう思うんですか?』
さやか『どうしてかなぁ……。ただ、なんとなくわかっちゃうんだよね。あんたが嘘つきだってこと』
ほどか『……』
さやか『あんた自分の命を諦めた目をしている。自分のことに関してはどうでもいいって思ってる』
ほどか『……そんなこと』
さやか『ねぇ、本当のことを言ってよ。私が言うのもなんだけどさ、私達仲間でしょ?』
ほどか『……ふぅ。さやかさんには叶いませんね。わかりました。言いますよ』
さやか『……』
ほどか『だいたいわかってるみたいですから簡潔に言いますね』
ほどか『ワルプルギスを倒せば私の存在は消えます』
さやか『!!』
ほどか『っと言っても完全に消えるわけじゃありませんよ? お母さんがお父さんと結婚して私を生んでくれれば、私はまた復活します。
私がお母さんに黙ってほしかったのはそういう理由もあるんですよ?
お父さんはまぁ大丈夫でしょうけど、お母さんはそんなこと知ったら照れて気まずくなりそうですから』
さやか『でも、それは!』
ほどか『はい。今の私ではありません。でも、大丈夫です。記憶は引き継がれますから』
さやか『え?』
ほどか『ほらご都合展開ですから』
さやか『でも……』
ほどか『大丈夫ですって。なんとかなります』
ほどか『以上で私の話は終わりです。他の人には黙っててくださいね?』
さやか『……』
~~ 回想 終 ~~
339: 2012/07/25(水) 07:37:24.86
―― ほむホーム ――
さやか「ってわけ」
マミ「そんな、ことって……」
ほむら「……」
さやかが話したことはとても信じられない内容だった。
あの子は私だけでなく、この世界まで救おうと考えていたのだ。
杏子「……」
マミ「でも、それならあの子の行動にも納得がいくわね」
さやか「あのさ、ほむら。ほどかは本当にあんたの為を思って動いてるんだ。
だからさ、少しはあの子のことを気にかけてやってよ」
もう少しでいなくなっちゃうんだからさ……。
その言葉が胸に刺さる。
あの子は一人でそんなにも辛い使命を背負っていたのか……。そしてそれを一切出さずにいたのか。
ほむら「バカな子……」
きっと辛かっただろうに、苦しかっただろうに……。
一人でいなくなるのは怖いに決まっているのに……。
さやか「ほむら……」
マミ「暁美さん……」
杏子「ちょっと、いいか」
さやかの話を黙って聞いていた杏子が声をあげる。
さやか「なに?」
杏子「本当にそれだけか?」
マミ「どういう意味?」
杏子「あいつは本当に真実を全部語ったかってこと」
さやか「なに? まだなんかあるわけ?」
杏子「よく考えて見ろよ。宇宙のエネルギー問題ってところをさ。
確かにあいつが凄い力の持ち主でその才能を使えば解決できるっていうのはわかる」
けど、っと続け。
杏子「いくらなんでもずっとっていうわけにはいかないんじゃないか?」
さやか「ってわけ」
マミ「そんな、ことって……」
ほむら「……」
さやかが話したことはとても信じられない内容だった。
あの子は私だけでなく、この世界まで救おうと考えていたのだ。
杏子「……」
マミ「でも、それならあの子の行動にも納得がいくわね」
さやか「あのさ、ほむら。ほどかは本当にあんたの為を思って動いてるんだ。
だからさ、少しはあの子のことを気にかけてやってよ」
もう少しでいなくなっちゃうんだからさ……。
その言葉が胸に刺さる。
あの子は一人でそんなにも辛い使命を背負っていたのか……。そしてそれを一切出さずにいたのか。
ほむら「バカな子……」
きっと辛かっただろうに、苦しかっただろうに……。
一人でいなくなるのは怖いに決まっているのに……。
さやか「ほむら……」
マミ「暁美さん……」
杏子「ちょっと、いいか」
さやかの話を黙って聞いていた杏子が声をあげる。
さやか「なに?」
杏子「本当にそれだけか?」
マミ「どういう意味?」
杏子「あいつは本当に真実を全部語ったかってこと」
さやか「なに? まだなんかあるわけ?」
杏子「よく考えて見ろよ。宇宙のエネルギー問題ってところをさ。
確かにあいつが凄い力の持ち主でその才能を使えば解決できるっていうのはわかる」
けど、っと続け。
杏子「いくらなんでもずっとっていうわけにはいかないんじゃないか?」
340: 2012/07/25(水) 07:37:53.78
さやか「どういうこと?」
杏子「つまりだ、一応のところの解決は出来るだろうけど、将来的にまたエネルギーの不足はやってくるんじゃないかってこと。
いくらほどかでも、エネルギーってやつを無限にすることは無理だろ?」
確かに、言われてみればそうだ。
あの子の能力を見ていても、あくまで有限のモノを使ってそれを消費して戦っている。
力を押さえているといえばいいかもしれないが、それならば魔力の消費まで抑える必要はないだろう。
杏子「見たところ、あいつもグリーフシードは使ってるみたいだし、あいつ自身の能力は無限じゃないんだろ?
願いが永遠に関係することにも関わらず」
さやか「で、でもそれがなんだっていうのさ、結果的にほどかの願いのおかげで、
エネルギーの問題は解決するし、魔法少女の問題だって……」
杏子「それだよ。魔法少女が今後生まれないようにする。そこがおかしいんだって」
マミ「……。確かにおかしいわね」
マミもなにかに気づいたのか杏子の意見に賛同する。
マミ「考えても見て? そもそも魔法少女が存在する経緯は宇宙のエネルギー問題の解消の為」
さやか「だ、だからほどかはそのシステムを止めるために」
マミ「そのシステムを作ったのは誰?」
さやか「え? そ、それは……」
ほむら「インキュベーター……」
マミ「そう。そのキュゥべぇ達が魔法少女のシステムを破棄するなんてありえるかしら?
だって、ほどかさんの願いだけじゃあいずれまた、宇宙のエネルギー問題は起こるのよ?」
さやか「え……」
杏子「なのに、ほどかの話じゃキュゥべぇは納得してるんだろう?
おかしいよな。あいつは嘘はつかないはずだ」
インキュベーターは嘘はつかない。
感情がないゆえに聞かれたことに対しては全てとは言わずにも答えるはずだ。
マミ「だけど、キュゥべぇは魔法少女をこの先生み出さないことに了承した」
杏子「あいつの願いにキュゥべぇ達が契約をしないなんて入ってなかったよな?」
あの子の願いはあくまで、私達が魔法少女の運命から解き放たれること。そして宇宙のエネルギー不足の解消。
この先、魔法少女が生まれないのは、必要なくなるからできる、副次的な要素にすぎない。
マミ「どうしてだと思う? ほどかさんが願いにそれをいれなかった理由と、キュゥべぇが納得した理由」
さやか「う……」
ほどかならばその問題に気づいたはずだ、自分の願いが永遠のものではないと。
にも関わらず、魔法少女のことを願いにいれなかった理由は……。
ほむら「その必要がないから」
杏子「だろうな」
マミ「それしかないわね」
杏子「つまりだ、一応のところの解決は出来るだろうけど、将来的にまたエネルギーの不足はやってくるんじゃないかってこと。
いくらほどかでも、エネルギーってやつを無限にすることは無理だろ?」
確かに、言われてみればそうだ。
あの子の能力を見ていても、あくまで有限のモノを使ってそれを消費して戦っている。
力を押さえているといえばいいかもしれないが、それならば魔力の消費まで抑える必要はないだろう。
杏子「見たところ、あいつもグリーフシードは使ってるみたいだし、あいつ自身の能力は無限じゃないんだろ?
願いが永遠に関係することにも関わらず」
さやか「で、でもそれがなんだっていうのさ、結果的にほどかの願いのおかげで、
エネルギーの問題は解決するし、魔法少女の問題だって……」
杏子「それだよ。魔法少女が今後生まれないようにする。そこがおかしいんだって」
マミ「……。確かにおかしいわね」
マミもなにかに気づいたのか杏子の意見に賛同する。
マミ「考えても見て? そもそも魔法少女が存在する経緯は宇宙のエネルギー問題の解消の為」
さやか「だ、だからほどかはそのシステムを止めるために」
マミ「そのシステムを作ったのは誰?」
さやか「え? そ、それは……」
ほむら「インキュベーター……」
マミ「そう。そのキュゥべぇ達が魔法少女のシステムを破棄するなんてありえるかしら?
だって、ほどかさんの願いだけじゃあいずれまた、宇宙のエネルギー問題は起こるのよ?」
さやか「え……」
杏子「なのに、ほどかの話じゃキュゥべぇは納得してるんだろう?
おかしいよな。あいつは嘘はつかないはずだ」
インキュベーターは嘘はつかない。
感情がないゆえに聞かれたことに対しては全てとは言わずにも答えるはずだ。
マミ「だけど、キュゥべぇは魔法少女をこの先生み出さないことに了承した」
杏子「あいつの願いにキュゥべぇ達が契約をしないなんて入ってなかったよな?」
あの子の願いはあくまで、私達が魔法少女の運命から解き放たれること。そして宇宙のエネルギー不足の解消。
この先、魔法少女が生まれないのは、必要なくなるからできる、副次的な要素にすぎない。
マミ「どうしてだと思う? ほどかさんが願いにそれをいれなかった理由と、キュゥべぇが納得した理由」
さやか「う……」
ほどかならばその問題に気づいたはずだ、自分の願いが永遠のものではないと。
にも関わらず、魔法少女のことを願いにいれなかった理由は……。
ほむら「その必要がないから」
杏子「だろうな」
マミ「それしかないわね」
341: 2012/07/25(水) 07:38:24.89
さやか「え? どういう意味? まさかほどかが嘘をついてて魔法少女を救うのは目的じゃないってこと?」
杏子「それはないだろう。あいつはその事に関しては嘘は言わないだろ」
さやか「じゃあ、なんだっていうのよ!」
杏子「さぁ? さすがにそこまでは……」
マミ「まぁ真相は知っている人に聞くのが一番じゃないかしら?」
ねぇ? マミはそういうと、部屋の隅に目を向ける。
さっきまではなにもなかったそこには、あるモノがいた。
QB「やれやれ。気づいていたんだね」
マミ「当たり前よ。何年の付き合いだと思ってるの」
マミ「あなたなら知っているはずよね?」
QB「そうだね。知っているよ。今の僕もほどかから直接聞いたからね」
マミ「話してちょうだい。包み隠さずにあなたの知っているほどかさんのことを全て」
今までの経験からか、マミはそう強く念押しをしする。
QB「それはできないね。このことについてはほどかからきつく口止めをされている」
君達には絶対に話すな、とね。
インキュベーターの口ぶりから察するに彼が知っていることこそほどかの本心であり、真実なのだろう。
そして、絶対にばれるわけにはいかない真実。
さやか「ちょっと待ちなよ! あんたのせいでこんなことになってるのに今更そんなの許されるわけないでしょ!?」
QB「許される許されないの問題じゃないんだよ。これは契約だ。
ほどかは僕達の目的に協力する代わりに君達に話す口を封じた。なら僕はその契約を厳守しなくてはいけない」
そうだろう。彼等はそういう生き物だ。
契約やルールというものに関しては彼等は、どのような形にしろ守り続ける。
マミ「そう、なら仕方ないわね」
さやか「マミさん!?」
マミ「ねぇキュゥべぇ。あなたがほどかさんと交わした約束は確か、私達に自分の目的を言わないことよね?」
QB「そうだね」
マミ「なら、ほどかさんの隠していることを確認の為に暗唱するのは契約違反にはならないわよね?」
さやほむ杏「!」
QB「……」
杏子「それはないだろう。あいつはその事に関しては嘘は言わないだろ」
さやか「じゃあ、なんだっていうのよ!」
杏子「さぁ? さすがにそこまでは……」
マミ「まぁ真相は知っている人に聞くのが一番じゃないかしら?」
ねぇ? マミはそういうと、部屋の隅に目を向ける。
さっきまではなにもなかったそこには、あるモノがいた。
QB「やれやれ。気づいていたんだね」
マミ「当たり前よ。何年の付き合いだと思ってるの」
マミ「あなたなら知っているはずよね?」
QB「そうだね。知っているよ。今の僕もほどかから直接聞いたからね」
マミ「話してちょうだい。包み隠さずにあなたの知っているほどかさんのことを全て」
今までの経験からか、マミはそう強く念押しをしする。
QB「それはできないね。このことについてはほどかからきつく口止めをされている」
君達には絶対に話すな、とね。
インキュベーターの口ぶりから察するに彼が知っていることこそほどかの本心であり、真実なのだろう。
そして、絶対にばれるわけにはいかない真実。
さやか「ちょっと待ちなよ! あんたのせいでこんなことになってるのに今更そんなの許されるわけないでしょ!?」
QB「許される許されないの問題じゃないんだよ。これは契約だ。
ほどかは僕達の目的に協力する代わりに君達に話す口を封じた。なら僕はその契約を厳守しなくてはいけない」
そうだろう。彼等はそういう生き物だ。
契約やルールというものに関しては彼等は、どのような形にしろ守り続ける。
マミ「そう、なら仕方ないわね」
さやか「マミさん!?」
マミ「ねぇキュゥべぇ。あなたがほどかさんと交わした約束は確か、私達に自分の目的を言わないことよね?」
QB「そうだね」
マミ「なら、ほどかさんの隠していることを確認の為に暗唱するのは契約違反にはならないわよね?」
さやほむ杏「!」
QB「……」
342: 2012/07/25(水) 07:38:51.27
マミ「だって、契約の内容を忘れない為に暗唱するな、なんてことは言われてないでしょ?」
QB「確かに、そうなるね」
マミ「それを偶然私達が聞いてもそれはあなたの過失にはならないんじゃないかしら?」
少し、苦しいような気もするけど……。
QB「どうだろうね……。まぁ、そうとも取れるのかもね」
マミ「そうよ。あなたは私達に話す意図はなかった。
だけど、忘れない為に確認したところ、それをうっかり聞かれた。なら仕方ないわ」
ほむら(詭弁ね)
実際に聞かれたのなら、経緯はどうあれまずはその罪を問われる。
ほむら(だけど……)
それはあの子も同じ。
嘘はつかないと言っておきながらその言葉には嘘だらけ。
ならば、最初に約束を破ったあの子が悪い。
ほむら(社会的に信用度の低い人とは重要な契約は結べないものだし)
マミ「どうかしら?」
QB「……」
マミ「そういえば、あなたの為にケーキを用意したあるのだけれど……。
それは私の機嫌次第であなたの胃袋に入るかどうかは怪しいわね」
QB「はぁ、マミには叶わないね」
さやか「じゃ、じゃあ!」
QB「……。そういえば、ほどかの言っていた内容はなんだっけな。
忘れてしまわない内にもう一回覚えなおそうかな」
さやか「なに言って……」
杏子「し!」
キュゥべぇの言葉に口を挟もうとするさやかの口を杏子が押さえる。
この子は……。今の流れでわからないのかしら……。
QB「えーっと。そうだ。あれは確か――」
QB「確かに、そうなるね」
マミ「それを偶然私達が聞いてもそれはあなたの過失にはならないんじゃないかしら?」
少し、苦しいような気もするけど……。
QB「どうだろうね……。まぁ、そうとも取れるのかもね」
マミ「そうよ。あなたは私達に話す意図はなかった。
だけど、忘れない為に確認したところ、それをうっかり聞かれた。なら仕方ないわ」
ほむら(詭弁ね)
実際に聞かれたのなら、経緯はどうあれまずはその罪を問われる。
ほむら(だけど……)
それはあの子も同じ。
嘘はつかないと言っておきながらその言葉には嘘だらけ。
ならば、最初に約束を破ったあの子が悪い。
ほむら(社会的に信用度の低い人とは重要な契約は結べないものだし)
マミ「どうかしら?」
QB「……」
マミ「そういえば、あなたの為にケーキを用意したあるのだけれど……。
それは私の機嫌次第であなたの胃袋に入るかどうかは怪しいわね」
QB「はぁ、マミには叶わないね」
さやか「じゃ、じゃあ!」
QB「……。そういえば、ほどかの言っていた内容はなんだっけな。
忘れてしまわない内にもう一回覚えなおそうかな」
さやか「なに言って……」
杏子「し!」
キュゥべぇの言葉に口を挟もうとするさやかの口を杏子が押さえる。
この子は……。今の流れでわからないのかしら……。
QB「えーっと。そうだ。あれは確か――」
343: 2012/07/25(水) 07:40:36.93
~~ 回想 ~~
QB『成程ね。君の願いが暁美ほむらや他の魔法少女の救出、そしてエネルギー問題の解決というのはわかったよ』
ほどか『そっか、じゃあパパにはもう契約を迫らないでもらえる?』
QB『それは無理だね』
ほどか『……どうして?』
QB『確かに君の願いで一応の解決は見られるかもしれない。
だけど、それはあくまで一時の問題だ』
ほどか『……』
QB『いくら君の力が強大とはいえ、膨大であるエネルギー量をこの先ずっと賄えることは無理だよ。
力は無限じゃないからね』
QB『それは君も気づいてるんだろう?』
QB『確かに鹿目まどかとの契約を止めることはできるよ。一応、現段階ではエネルギーの問題は解決する』
QB『だけど、未来においても契約をストップするのは無理だ。いづれ再噴出する問題に対して僕達は行動せざる負えないだろう』
ほどか『だろうね』
QB『だから、君の願いが完璧に叶うのは無理だろうね』
QB『でもまぁ、鹿目まどかとの契約は止めることにするよ。君の願いにそれが含まれている以上、契約するのはルール違反だろうからね』
ほどか『そっか、ありがと』
QB『でも、未来においてまでは保障できないよ』
QB『じゃあ僕は行くよ。君の願い、叶うといいね』
ほどか『待って、あなたには全部話すよ』
QB『まだなにかあるのかい?』
ほどか『うん。これを聞けばあなた達も魔法少女のシステムがいらなくなるのに納得がいくと思う』
QB『へぇ、興味深いね』
ほどか『実はね、私の願いはママ達を救う、エネルギーの問題を解決する。その他にもう一つあるの』
QB『……』
ほどか『あなた達は絶望の感情をエネルギーに変えてこの宇宙の寿命を延命するために使ってるんだよね?』
QB『そうだね。その通りだ』
ほどか『それは別に魔法少女のものじゃなくてもいいよね』
QB『ん……。そうだね。魔法少女が魔女になる時に発生する力をエネルギーに変えているわけだけど……。
もとは人の感情だからね、魔法少女のものじゃなくてもいいと言えばそうなるね』
QB『それがどうしたんだい?』
ほどか『つまり、今を生きている人が持つ負の感情をそのままエネルギーに変えることもできるわけだよね』
QB『まぁ、そうなるね。ただ、そんなシステムは今のところないけど』
そもそも、そんなシステム。作ろうにも膨大な時間と膨大な力が……。
そこまで言いかけて彼女の言いたいことに気づく。
QB「君はまさか……」
ほどか『うん。私のもう一つの願いは――』
――人の負の感情を永遠にエネルギーに変え続ける存在になることだよ。
ほどか『それならこの先、魔法少女は必要ないし、エネルギーも減り続けることはなくなるよね?』
~~ 回想 終 ~~
QB『成程ね。君の願いが暁美ほむらや他の魔法少女の救出、そしてエネルギー問題の解決というのはわかったよ』
ほどか『そっか、じゃあパパにはもう契約を迫らないでもらえる?』
QB『それは無理だね』
ほどか『……どうして?』
QB『確かに君の願いで一応の解決は見られるかもしれない。
だけど、それはあくまで一時の問題だ』
ほどか『……』
QB『いくら君の力が強大とはいえ、膨大であるエネルギー量をこの先ずっと賄えることは無理だよ。
力は無限じゃないからね』
QB『それは君も気づいてるんだろう?』
QB『確かに鹿目まどかとの契約を止めることはできるよ。一応、現段階ではエネルギーの問題は解決する』
QB『だけど、未来においても契約をストップするのは無理だ。いづれ再噴出する問題に対して僕達は行動せざる負えないだろう』
ほどか『だろうね』
QB『だから、君の願いが完璧に叶うのは無理だろうね』
QB『でもまぁ、鹿目まどかとの契約は止めることにするよ。君の願いにそれが含まれている以上、契約するのはルール違反だろうからね』
ほどか『そっか、ありがと』
QB『でも、未来においてまでは保障できないよ』
QB『じゃあ僕は行くよ。君の願い、叶うといいね』
ほどか『待って、あなたには全部話すよ』
QB『まだなにかあるのかい?』
ほどか『うん。これを聞けばあなた達も魔法少女のシステムがいらなくなるのに納得がいくと思う』
QB『へぇ、興味深いね』
ほどか『実はね、私の願いはママ達を救う、エネルギーの問題を解決する。その他にもう一つあるの』
QB『……』
ほどか『あなた達は絶望の感情をエネルギーに変えてこの宇宙の寿命を延命するために使ってるんだよね?』
QB『そうだね。その通りだ』
ほどか『それは別に魔法少女のものじゃなくてもいいよね』
QB『ん……。そうだね。魔法少女が魔女になる時に発生する力をエネルギーに変えているわけだけど……。
もとは人の感情だからね、魔法少女のものじゃなくてもいいと言えばそうなるね』
QB『それがどうしたんだい?』
ほどか『つまり、今を生きている人が持つ負の感情をそのままエネルギーに変えることもできるわけだよね』
QB『まぁ、そうなるね。ただ、そんなシステムは今のところないけど』
そもそも、そんなシステム。作ろうにも膨大な時間と膨大な力が……。
そこまで言いかけて彼女の言いたいことに気づく。
QB「君はまさか……」
ほどか『うん。私のもう一つの願いは――』
――人の負の感情を永遠にエネルギーに変え続ける存在になることだよ。
ほどか『それならこの先、魔法少女は必要ないし、エネルギーも減り続けることはなくなるよね?』
~~ 回想 終 ~~
344: 2012/07/25(水) 07:41:02.71
―― ほむホーム ――
QB「だったかな」
マミ「っ!」
杏子「うそ、だろ……」
さやか「そ、それって……」
ほむら「そんな……」
永遠にって、そんな……。それじゃあ、あの子は……。
杏子「ふざけんなよ!!」
マミ「!」
さやか「杏子……」
ダンッ!! っという大きな音が部屋中に響き渡る。
音の出どころを探ると杏子が目の前にあったテーブルに思いきり拳を叩きつけていた。
杏子「それじゃあなにか!?
あいつは一生、人の不幸を自分に取り込んでバカみたいにそれをエネルギーに変え続けるっていうのかよ!!」
QB[……」
そうなるのだろう。
彼女は永遠に絶望の連鎖に捉われたまま、それを受け止め、只々、エネルギーを吐きだし続ける。
そんな機械になる。
杏子「なんだよそれ! いくらなんでもそんなの酷過ぎるだろう!」
酷過ぎる。その通りだと思う。
なぜならあの子がそのようなシステムになってしまう瞬間。
金輪際あの子に救いは訪れない。
あの子はこれから、人の苦しみや悲しみ、嘆き、痛み、絶望。
そういったものしか見れずに感じられずにただ存在するしかないのだから。
杏子「あいつが覚悟して決めたことなら仕方ない。そう考えてたけどこれじゃあ……」
ただの馬鹿な自己犠牲じゃねーか……。
杏子はそう呟きそのまま、うなだれる。
馬鹿な自己犠牲。
本当にそう思う。
自分の身を犠牲にして、滅びゆく世界を生かす。
ヒーローのように高潔で清廉な心だと思う。
だけど、それは同時に自分の身を使い世界を好きなように作り替えることにも繋がるのではないか。
QB「だったかな」
マミ「っ!」
杏子「うそ、だろ……」
さやか「そ、それって……」
ほむら「そんな……」
永遠にって、そんな……。それじゃあ、あの子は……。
杏子「ふざけんなよ!!」
マミ「!」
さやか「杏子……」
ダンッ!! っという大きな音が部屋中に響き渡る。
音の出どころを探ると杏子が目の前にあったテーブルに思いきり拳を叩きつけていた。
杏子「それじゃあなにか!?
あいつは一生、人の不幸を自分に取り込んでバカみたいにそれをエネルギーに変え続けるっていうのかよ!!」
QB[……」
そうなるのだろう。
彼女は永遠に絶望の連鎖に捉われたまま、それを受け止め、只々、エネルギーを吐きだし続ける。
そんな機械になる。
杏子「なんだよそれ! いくらなんでもそんなの酷過ぎるだろう!」
酷過ぎる。その通りだと思う。
なぜならあの子がそのようなシステムになってしまう瞬間。
金輪際あの子に救いは訪れない。
あの子はこれから、人の苦しみや悲しみ、嘆き、痛み、絶望。
そういったものしか見れずに感じられずにただ存在するしかないのだから。
杏子「あいつが覚悟して決めたことなら仕方ない。そう考えてたけどこれじゃあ……」
ただの馬鹿な自己犠牲じゃねーか……。
杏子はそう呟きそのまま、うなだれる。
馬鹿な自己犠牲。
本当にそう思う。
自分の身を犠牲にして、滅びゆく世界を生かす。
ヒーローのように高潔で清廉な心だと思う。
だけど、それは同時に自分の身を使い世界を好きなように作り替えることにも繋がるのではないか。
345: 2012/07/25(水) 07:41:59.65
ほむら(なんだ、私の考えは間違いじゃなかったのね)
鹿目ほどか、あなたはやっぱり世界を自分の思う通りにしたかったんじゃない――。
ほむら(でも、その結果あなたが不幸になるんじゃ、意味ないでしょうに……)
本当にバカな子――。
いつしか誰も話さなくなっていた。
頬が濡れる感触があったので手で触れる。
すると、なにか水のようなものに当たる。
これはなんだろうか……?
私の部屋は雨漏りなどしていないはず……?
そもそも今日は雨なんて降って……。
ほむら(あ――)
そうか、私は泣いているんだ。
なぜ? あの子が愚かだから――。
なぜ? あの子が無理をするから――・
なぜ? あの子が哀れだから――。
なぜ? あの子と別れることになるのが――。
ほむら(あ、あぁ――)
涙が止まらない。
止めようとしても、全然おさまってくれない。
ほむら「あ、あ……。ほど、か……」
ほどか、つい最近まで憎んでいた女の子の名前を口に出す。
頃したいとさえ思っていた子だ。
ほむら「あ、私は、なんてことを……」
なんてことをあの子にしてしまったのだろう……。
なんてことをあの子に言ってしまったのだろう……。
ほむら「あ、謝らないと……」
謝らないといけない。
あの子は何も悪くないのに、私が勝手に勘違いして敵視していただけなのに。
鹿目ほどか、あなたはやっぱり世界を自分の思う通りにしたかったんじゃない――。
ほむら(でも、その結果あなたが不幸になるんじゃ、意味ないでしょうに……)
本当にバカな子――。
いつしか誰も話さなくなっていた。
頬が濡れる感触があったので手で触れる。
すると、なにか水のようなものに当たる。
これはなんだろうか……?
私の部屋は雨漏りなどしていないはず……?
そもそも今日は雨なんて降って……。
ほむら(あ――)
そうか、私は泣いているんだ。
なぜ? あの子が愚かだから――。
なぜ? あの子が無理をするから――・
なぜ? あの子が哀れだから――。
なぜ? あの子と別れることになるのが――。
ほむら(あ、あぁ――)
涙が止まらない。
止めようとしても、全然おさまってくれない。
ほむら「あ、あ……。ほど、か……」
ほどか、つい最近まで憎んでいた女の子の名前を口に出す。
頃したいとさえ思っていた子だ。
ほむら「あ、私は、なんてことを……」
なんてことをあの子にしてしまったのだろう……。
なんてことをあの子に言ってしまったのだろう……。
ほむら「あ、謝らないと……」
謝らないといけない。
あの子は何も悪くないのに、私が勝手に勘違いして敵視していただけなのに。
346: 2012/07/25(水) 07:43:17.60
ほむら「ほどか……。ごめんなさい……」
さやか「ほむら!」
ふらふらと立ち上がる私にさやかが抱き着く。
邪魔をしないでほしい。私はあの子のところにいかないといけない。
ほむら「はな、して……。私あの子に謝らないと……」
酷いことを言ってごめんなさい。
酷いことをしてごめんなさい。
そう謝らないといけない。
さやか「だめだよ! 今のあんたが言っても傷つけるだけだ!」
ほむら「どうしてよ! 私はただあの子にしたことを謝ろうと!」
さやか「それで、どうするの!? 今のあんたはそれだけじゃすまないでしょ!?」
それだけでって……。
いったいなんのことを……。
さやか「冷静じゃないあんたが言ったら絶対に今聞いたことを言うでしょ!?
ほどかのところにはまどかもいるんだよ!?」
さやか「まどかにこんな残酷なこと教えるつもり!?」
ほむら「あ――」
まどか、私の大切な人で私の全てを変えてくれた人。
今、まどかはほどかの傍にいる。
まどかにとってほどかは自分の命よりも大切な存在なのだろう。
マミの攻撃から身を挺して庇った時も、その後で自分のことよりもあの子の心配をしたことからも、
そのことは容易に想像がつく。
その、まどかにこんなことを言えるのだろうか……。
ほむら「そんなこと、出来るわけ……」
さやかに抱き着かれながらずるずると床にへたりこむ。
身体に力が入らない。
どうすればいいのかわからない。
私はあの子になにをしてやれば……。
さやか「謝るのはまどかのいない時にしな。ううん、それももうだめかもしれない。
勘のいいほどかはきっと今のあんたが謝ったりしたら不審に思うかもしれない。
そして、すぐに自分の目的がばれたことに気づいて……」
さやか「あんたを追い詰めた自分を恨むだろうね」
さやかが悔しそうな顔でそう呟くのが視界の端に写る。
あぁ、そうか。あの子はそういう子だものね。
どこまで言ってもお人よしで……。そんなところはまどかにそっくり。
ほむら(どうして、私に似なかったのかしら――)
あぁ、ダメね。私に似たら似たできっと今以上に無茶をしていたでしょうから。
ほむら(私に謝る権利すら与えてくれないなんて……)
なんて親不孝な子なのあの子は――。
いつの間にか涙は止まっていた。
ただ、左手にあるソウルジェムの輝きが少し濁った。
そんな気がした――。
さやか「ほむら!」
ふらふらと立ち上がる私にさやかが抱き着く。
邪魔をしないでほしい。私はあの子のところにいかないといけない。
ほむら「はな、して……。私あの子に謝らないと……」
酷いことを言ってごめんなさい。
酷いことをしてごめんなさい。
そう謝らないといけない。
さやか「だめだよ! 今のあんたが言っても傷つけるだけだ!」
ほむら「どうしてよ! 私はただあの子にしたことを謝ろうと!」
さやか「それで、どうするの!? 今のあんたはそれだけじゃすまないでしょ!?」
それだけでって……。
いったいなんのことを……。
さやか「冷静じゃないあんたが言ったら絶対に今聞いたことを言うでしょ!?
ほどかのところにはまどかもいるんだよ!?」
さやか「まどかにこんな残酷なこと教えるつもり!?」
ほむら「あ――」
まどか、私の大切な人で私の全てを変えてくれた人。
今、まどかはほどかの傍にいる。
まどかにとってほどかは自分の命よりも大切な存在なのだろう。
マミの攻撃から身を挺して庇った時も、その後で自分のことよりもあの子の心配をしたことからも、
そのことは容易に想像がつく。
その、まどかにこんなことを言えるのだろうか……。
ほむら「そんなこと、出来るわけ……」
さやかに抱き着かれながらずるずると床にへたりこむ。
身体に力が入らない。
どうすればいいのかわからない。
私はあの子になにをしてやれば……。
さやか「謝るのはまどかのいない時にしな。ううん、それももうだめかもしれない。
勘のいいほどかはきっと今のあんたが謝ったりしたら不審に思うかもしれない。
そして、すぐに自分の目的がばれたことに気づいて……」
さやか「あんたを追い詰めた自分を恨むだろうね」
さやかが悔しそうな顔でそう呟くのが視界の端に写る。
あぁ、そうか。あの子はそういう子だものね。
どこまで言ってもお人よしで……。そんなところはまどかにそっくり。
ほむら(どうして、私に似なかったのかしら――)
あぁ、ダメね。私に似たら似たできっと今以上に無茶をしていたでしょうから。
ほむら(私に謝る権利すら与えてくれないなんて……)
なんて親不孝な子なのあの子は――。
いつの間にか涙は止まっていた。
ただ、左手にあるソウルジェムの輝きが少し濁った。
そんな気がした――。
347: 2012/07/25(水) 07:43:44.27
―― 学校 ――
ほむら「……」
昨日の夜のことを思い出し、相変わらずボーっと黒板を眺める。
黒板に書かれたほどかの回答はすでに消されていて、
せっかくあの子が考えて出したその答えをあっさり消してしまった先生に、
少しの怒りを感じながらも、それは理不尽なことだと思い直し、首を振りその感情を振り払う。
怒り……。
これもあの子は受けとめなくてはならないのだろうか……。
基本的に怒りという感情はマイナスの面を持つ。
義憤という言葉もあるが、それはマイナスに属するのか、
だが、誰かの為に怒るというのならそれはプラスではないのか……。
意味のないことだと思い今度は強めに首を振り、また沸き上る嫌な感情を振り払う。
そんなわたしの様子を不審に思ったのか先生が声をかけてくれる。
「暁美。大丈夫か? かなり気分が悪そうだぞ」
確かに気分は悪い。
だけど、こんな感情もこの先あの子が受け持つことになるのだと思うと……。
ほむら「すいません。少し体調が悪いようですので、保健室で休ませてもらいます」
駄目だ、こんな状態では授業なんて受けられない。
さっきから、同じようなことをグルグルと考え続けている。
「そうか、あんまり無理はするなよ。このクラスの保健委員は鹿目まどか、だったな……。
鹿目! 暁美を保健室に連れて行ってやれ」
まどか「あ、はい!」
まどかが私に近寄り心配そうに声をかける。
ほむら「……」
昨日の夜のことを思い出し、相変わらずボーっと黒板を眺める。
黒板に書かれたほどかの回答はすでに消されていて、
せっかくあの子が考えて出したその答えをあっさり消してしまった先生に、
少しの怒りを感じながらも、それは理不尽なことだと思い直し、首を振りその感情を振り払う。
怒り……。
これもあの子は受けとめなくてはならないのだろうか……。
基本的に怒りという感情はマイナスの面を持つ。
義憤という言葉もあるが、それはマイナスに属するのか、
だが、誰かの為に怒るというのならそれはプラスではないのか……。
意味のないことだと思い今度は強めに首を振り、また沸き上る嫌な感情を振り払う。
そんなわたしの様子を不審に思ったのか先生が声をかけてくれる。
「暁美。大丈夫か? かなり気分が悪そうだぞ」
確かに気分は悪い。
だけど、こんな感情もこの先あの子が受け持つことになるのだと思うと……。
ほむら「すいません。少し体調が悪いようですので、保健室で休ませてもらいます」
駄目だ、こんな状態では授業なんて受けられない。
さっきから、同じようなことをグルグルと考え続けている。
「そうか、あんまり無理はするなよ。このクラスの保健委員は鹿目まどか、だったな……。
鹿目! 暁美を保健室に連れて行ってやれ」
まどか「あ、はい!」
まどかが私に近寄り心配そうに声をかける。
348: 2012/07/25(水) 07:44:11.00
まどか「大丈夫ほむらちゃん? うわ、顔真っ青だよ、一人で立てる?」
ほむら「大丈夫よ、ありがとう」
そうは言ったものの少し足がふらつく。
そんな私を慌ててまどかが支える。
ほどか「あ、あの! 私も付き添ってもいいでしょうか?」
そんな私の状態を見たほどかが挙手をして先生にそう訴える。
その表情は心配そうで、そんな顔をさせてしまったことに対して、
罪悪感を感じてしまう。
「うーん、そうだな。かなり辛そうだし保健室までなら……」
ほむら「いえ、結構です。まどかさんだけで十分ですから」
今、あの子の顔を見るのは無理だ。
見たら嫌でも辛くなる。それではあの子に不振がられてしまう。
ほどか「あ……、そう、ですか……」
その私の言葉に少し落ち込んだ顔で座るあの子。
駄目ね……。私はあの子をまた傷つけてしまった。
まどか「え、えと。じゃあいこっか……」
落ち込むほどかが気になるのかちらりと一目見て、
それでも保健委員としての役割を果たすために私を支えながら教室を出るまどか。
ほむら「大丈夫よ、ありがとう」
そうは言ったものの少し足がふらつく。
そんな私を慌ててまどかが支える。
ほどか「あ、あの! 私も付き添ってもいいでしょうか?」
そんな私の状態を見たほどかが挙手をして先生にそう訴える。
その表情は心配そうで、そんな顔をさせてしまったことに対して、
罪悪感を感じてしまう。
「うーん、そうだな。かなり辛そうだし保健室までなら……」
ほむら「いえ、結構です。まどかさんだけで十分ですから」
今、あの子の顔を見るのは無理だ。
見たら嫌でも辛くなる。それではあの子に不振がられてしまう。
ほどか「あ……、そう、ですか……」
その私の言葉に少し落ち込んだ顔で座るあの子。
駄目ね……。私はあの子をまた傷つけてしまった。
まどか「え、えと。じゃあいこっか……」
落ち込むほどかが気になるのかちらりと一目見て、
それでも保健委員としての役割を果たすために私を支えながら教室を出るまどか。
349: 2012/07/25(水) 07:44:45.57
まどか「大丈夫? 本当に辛そうだよ?」
ほむら「大丈夫よ、少し休めば治るわ」
治るのだろうか? いや、きっと無理だろう。
休んで治るくらいなら、ここまで苦労はしない。
ほむら「……私は駄目ね……」
まどか「え?」
私の突然の言葉の意味が理解できなかったのだろう。
まどかは疑問の声をあげる。
ほむら「また、あの子を傷つけてしまった」
まどか「さっきのこと?」
ほむら「えぇ……」
まどか「うーん。確かに傷ついただろうけど……。でも大丈夫だよ。
ほむらちゃんがそれを後悔するんなら、これからはほどかちゃんを喜ばせる為に行動すればさ」
そうすればきっと、ほどかちゃんの心も楽しさや喜びで埋まるんじゃないかな?
まどか「だって、ほどかちゃんはほむらちゃんのことが大好きだからね!」
そう笑顔で語りかけてくれるまどか。
その笑顔で私は何回も救われた。
その笑顔があったから私は今まで絶望しないでここまで進んでこれた。
でも、今はその笑顔に救われることはなかった。
まどか「聞いてよー。ほどかちゃんったらさ、昨日は私と一緒に寝る約束してたのにさー」
ほどか『あれはお母さんも一緒の約束だったはずです。お母さんがいないいんだから契約は無効です』
まどか「なんて言うんだよ!? 酷いよね! 私だってほどかちゃんのこと好きなのにさー。
いつもいつもお母さんお母さんって」
私の愛にも少しは答えてほしいよ! 全く!
そう言って怒りを露わにするまどかだが、その表情は笑顔だ。
きっと、そんなことも彼女にしてしまえば嬉しいことであり楽しいことなのだろう。
ほむら「大丈夫よ、少し休めば治るわ」
治るのだろうか? いや、きっと無理だろう。
休んで治るくらいなら、ここまで苦労はしない。
ほむら「……私は駄目ね……」
まどか「え?」
私の突然の言葉の意味が理解できなかったのだろう。
まどかは疑問の声をあげる。
ほむら「また、あの子を傷つけてしまった」
まどか「さっきのこと?」
ほむら「えぇ……」
まどか「うーん。確かに傷ついただろうけど……。でも大丈夫だよ。
ほむらちゃんがそれを後悔するんなら、これからはほどかちゃんを喜ばせる為に行動すればさ」
そうすればきっと、ほどかちゃんの心も楽しさや喜びで埋まるんじゃないかな?
まどか「だって、ほどかちゃんはほむらちゃんのことが大好きだからね!」
そう笑顔で語りかけてくれるまどか。
その笑顔で私は何回も救われた。
その笑顔があったから私は今まで絶望しないでここまで進んでこれた。
でも、今はその笑顔に救われることはなかった。
まどか「聞いてよー。ほどかちゃんったらさ、昨日は私と一緒に寝る約束してたのにさー」
ほどか『あれはお母さんも一緒の約束だったはずです。お母さんがいないいんだから契約は無効です』
まどか「なんて言うんだよ!? 酷いよね! 私だってほどかちゃんのこと好きなのにさー。
いつもいつもお母さんお母さんって」
私の愛にも少しは答えてほしいよ! 全く!
そう言って怒りを露わにするまどかだが、その表情は笑顔だ。
きっと、そんなことも彼女にしてしまえば嬉しいことであり楽しいことなのだろう。
350: 2012/07/25(水) 07:45:13.04
まどか「あ、そうだ! ほむらちゃんがほどかちゃんの為になにかしてあげたいんだったらさ」
こういうのはどう? っと提案をするまどか。
まどか「今日さ、ほむらちゃんの家にほどかちゃんと私でお泊りするの! ちょうど明日は学校もお休みだしさ
家族水入らずってことで」
どうかな? そう言って首を傾げるまどかを見て少し思案する。
その提案を受けてもいいものか、まどかは家族水入らずだと言ったが今更私にそんな権利があるのか。
私は散々あの子を傷つけ苦しめてきたんだ。
そんな私に今更、母親面する権利など……。
まどか「……。ほむらちゃんはさ、少し気にし過ぎだと思うな」
ほむら「え……?」
まどか「今、ほむらちゃんが考えてること当ててみよっか」
ほむら「……」
まどか「今更私にあの子の母親である権利なんかない。
私にはあの子の家族でいることなんて許されない」
そう考えてるでしょ。
そういうまどかの顔は凄く真面目で、そして確信に満ちていた。
まどか「ほむらちゃんからすれば、今までのことがあるのに今更なんて思うかもしれないけどさ……」
でも……。そう言って話を続ける顔は相変わらず真面目なもので、でもどこか寂しそうでもあった。
まどか「ほどかちゃんの母親はほむらちゃんにしか出来ないいんだよ?
ほどかちゃんが抱えている大きな苦しみはほむらちゃんにしか癒せないんだよ?」
ほむら「!」
まどか「だから、せめて最後の時まではあの子には幸せでいてほしいの」
私だけじゃあの子を幸せにすることは無理だから。
少し俯いたまどか。私にはその顔は見えなくて、でも、なんとなくだけど、まどかは泣いている。
そう感じずにはいられなかった。
ほむら「まどか、あなたまさか」
知っているの? あの子が隠していることを全て……?
だけど、そんなはずはない。
あの子がまどかに言うはずないし、さやか達もあんなことは黙っているはずだ。
こういうのはどう? っと提案をするまどか。
まどか「今日さ、ほむらちゃんの家にほどかちゃんと私でお泊りするの! ちょうど明日は学校もお休みだしさ
家族水入らずってことで」
どうかな? そう言って首を傾げるまどかを見て少し思案する。
その提案を受けてもいいものか、まどかは家族水入らずだと言ったが今更私にそんな権利があるのか。
私は散々あの子を傷つけ苦しめてきたんだ。
そんな私に今更、母親面する権利など……。
まどか「……。ほむらちゃんはさ、少し気にし過ぎだと思うな」
ほむら「え……?」
まどか「今、ほむらちゃんが考えてること当ててみよっか」
ほむら「……」
まどか「今更私にあの子の母親である権利なんかない。
私にはあの子の家族でいることなんて許されない」
そう考えてるでしょ。
そういうまどかの顔は凄く真面目で、そして確信に満ちていた。
まどか「ほむらちゃんからすれば、今までのことがあるのに今更なんて思うかもしれないけどさ……」
でも……。そう言って話を続ける顔は相変わらず真面目なもので、でもどこか寂しそうでもあった。
まどか「ほどかちゃんの母親はほむらちゃんにしか出来ないいんだよ?
ほどかちゃんが抱えている大きな苦しみはほむらちゃんにしか癒せないんだよ?」
ほむら「!」
まどか「だから、せめて最後の時まではあの子には幸せでいてほしいの」
私だけじゃあの子を幸せにすることは無理だから。
少し俯いたまどか。私にはその顔は見えなくて、でも、なんとなくだけど、まどかは泣いている。
そう感じずにはいられなかった。
ほむら「まどか、あなたまさか」
知っているの? あの子が隠していることを全て……?
だけど、そんなはずはない。
あの子がまどかに言うはずないし、さやか達もあんなことは黙っているはずだ。
351: 2012/07/25(水) 07:45:53.18
まどか「……。ね! お泊り、どうかな?」
ほむら「え……?」
急に顔を上げ、笑顔のまま、私にそう質問する。
しかし、私は突然のことに理解できず思わず聞き返してしまう。
まどか「ほどかちゃんの為にも、そしてほむらちゃんの為にもこのままじゃよくないしさ」
まどか「だからお願い。今日だけでも一緒にいてあげられないかな」
そう言って頭を下げるまどか。
まどかは私の為にもと言った。
私の為。それはどういう意味だろうか……。
私自身、あの子には申し訳ない気持ちでいっぱいでなにかしてあげられないかと考えてはいる。
だけど、それは私の罪を滅ぼす為で、哀れなあの子の行く末を案じているからで……。
それに、私はあの子があまりにも可哀想で……。あの子のこれからを思うと身を切られるように痛くて……。
ほむら(あぁ、そうか……)
私はあの子を愛しているんだ。
娘として――。我が子として――。
ほむら(おかしな話ね)
私が生んだわけではないのに。あんなに憎んでいたのに。
ほむら(こんなことに今更気づくなんて)
思えばその兆候は以前からあった。
あの子が悲しそうな顔をするたびに、私は自分の感情が揺り動かされていた。
ほむら(思えばあの時も)
あの子が腕を失った時、私はあまりにも冷静すぎた。
いくら敵だとは考えていたとはいえ、仮にも仲間として行動していた人間がああなってしまえば取り乱すはずだ。
ほむら(だって、私はそこまで強くはないもの)
でも、私はただただ冷静に無感情に対処しようとした。
まるで、自分の心に渦巻く感情を押さえつけるかのように。
ほむら「え……?」
急に顔を上げ、笑顔のまま、私にそう質問する。
しかし、私は突然のことに理解できず思わず聞き返してしまう。
まどか「ほどかちゃんの為にも、そしてほむらちゃんの為にもこのままじゃよくないしさ」
まどか「だからお願い。今日だけでも一緒にいてあげられないかな」
そう言って頭を下げるまどか。
まどかは私の為にもと言った。
私の為。それはどういう意味だろうか……。
私自身、あの子には申し訳ない気持ちでいっぱいでなにかしてあげられないかと考えてはいる。
だけど、それは私の罪を滅ぼす為で、哀れなあの子の行く末を案じているからで……。
それに、私はあの子があまりにも可哀想で……。あの子のこれからを思うと身を切られるように痛くて……。
ほむら(あぁ、そうか……)
私はあの子を愛しているんだ。
娘として――。我が子として――。
ほむら(おかしな話ね)
私が生んだわけではないのに。あんなに憎んでいたのに。
ほむら(こんなことに今更気づくなんて)
思えばその兆候は以前からあった。
あの子が悲しそうな顔をするたびに、私は自分の感情が揺り動かされていた。
ほむら(思えばあの時も)
あの子が腕を失った時、私はあまりにも冷静すぎた。
いくら敵だとは考えていたとはいえ、仮にも仲間として行動していた人間がああなってしまえば取り乱すはずだ。
ほむら(だって、私はそこまで強くはないもの)
でも、私はただただ冷静に無感情に対処しようとした。
まるで、自分の心に渦巻く感情を押さえつけるかのように。
352: 2012/07/25(水) 07:46:24.83
さやかの言葉に激昂し、みんなの前で敵だと叫んだのも、
自分の本心を認めたくないから出た嘘だったんだろう。
以前のループでさやかに言われた言葉を思い出す。
ほむら(本当に私は嘘つきね。自分の心にさえ嘘をつき続けていたんだもの)
……。まどかが言った私の為とは、きっとそういうことなんだろう。
ほむら(もう自分に嘘をつくことはやめて、素直になるべき)
きっとそう言いたいのだろう。
ほむら「そうね……」
まどか「え?」
頭を下げ続けていたまどかが私の声に頭を上げこちらに顔を向ける。
ほむら「そういえば、あの子を私の家に呼んだことはなかったわね」
まどか「そ、それじゃあ」
ほむら「えぇ、たまには私達三人で過ごすのもいいわね」
だって私達は親子なんですもの――。
そう心の中で呟く。
まどか「ほむらちゃん!」
まどかが私に抱き着いてくる。
その顔には涙が流れていて、
でも今まで見てきた中で一番の笑顔で、その顔につられ私も泣きながら笑ってしまうでのあった。
ほむら(そうと決まれば、夕飯の買い出しにいかないとね)
せっかくの親子水入らずなんだから、外食は避けたい。
ほむら(あの子はなにが好きなのかしら……?)
まぁ、まどかに聞けばわかるか。
ほむら(なんだか、気分がよくなってきたわ)
さっきまで胸にあった嫌な気持ちはもうすっかりなくなっている。
ただ、今は早くあの子の喜ぶ顔が見たい。その気持ちでいっぱいだ。
ほむら(罪滅ぼしではなく、今、私達の幸せの為に)
それがあの子にしてあげられること。
そして――。
ほむら(私がやりたいこと――)
――――――――――――
――――――――――
――――――――
自分の本心を認めたくないから出た嘘だったんだろう。
以前のループでさやかに言われた言葉を思い出す。
ほむら(本当に私は嘘つきね。自分の心にさえ嘘をつき続けていたんだもの)
……。まどかが言った私の為とは、きっとそういうことなんだろう。
ほむら(もう自分に嘘をつくことはやめて、素直になるべき)
きっとそう言いたいのだろう。
ほむら「そうね……」
まどか「え?」
頭を下げ続けていたまどかが私の声に頭を上げこちらに顔を向ける。
ほむら「そういえば、あの子を私の家に呼んだことはなかったわね」
まどか「そ、それじゃあ」
ほむら「えぇ、たまには私達三人で過ごすのもいいわね」
だって私達は親子なんですもの――。
そう心の中で呟く。
まどか「ほむらちゃん!」
まどかが私に抱き着いてくる。
その顔には涙が流れていて、
でも今まで見てきた中で一番の笑顔で、その顔につられ私も泣きながら笑ってしまうでのあった。
ほむら(そうと決まれば、夕飯の買い出しにいかないとね)
せっかくの親子水入らずなんだから、外食は避けたい。
ほむら(あの子はなにが好きなのかしら……?)
まぁ、まどかに聞けばわかるか。
ほむら(なんだか、気分がよくなってきたわ)
さっきまで胸にあった嫌な気持ちはもうすっかりなくなっている。
ただ、今は早くあの子の喜ぶ顔が見たい。その気持ちでいっぱいだ。
ほむら(罪滅ぼしではなく、今、私達の幸せの為に)
それがあの子にしてあげられること。
そして――。
ほむら(私がやりたいこと――)
――――――――――――
――――――――――
――――――――
353: 2012/07/25(水) 07:47:08.70
―ほどか―
―― ほむホーム ――
ほどか「あ、あの本当にお邪魔してもいいんですか……?」
ママの家の玄関の前で本当に家に入っていいものか、尻込みをしてしまう私。
今日、体調の優れないママを保健室に連れて行った後、
戻ってきたパパは休み時間になると私に開口一番こう言った。
まどか『今日はほむらちゃんの家にお泊りだから!』
ほどか『え? なんですか急に?』
まどか『だから、ほむらちゃんの家にお泊り! 家に帰ったらすぐに用意するからね!』
ほどか『え、ちょ、ちょっと』
用件だけを告げるとパパはすぐに自分の考えに集中し私の言葉には耳も傾けなくなった。
まどか『明日はどこにお出かけしようか……。晴れるのかな? 天気予報は……』
ほどか『話を、聞いてよ……』
ほむら「なにを遠慮しているの。私がいいと言ったんだから素直に受け取りなさい」
ほどか「は、はい……」
まどか「うぇひひ」
なんなんだろう……。
ママはいつも通りだけど、パパはなんか浮かれているというかなんというか……。
ほどか(なんか、ウザいんだよね……)
さっきも、テンションが上がりすぎたのか急に私に抱き着いてきたり、かと思えば真面目な顔でじっと私の目を見つめてきたり。
そしたら、次はだらしなく笑ってみたりとなんだか表情だけでも忙しい。
ほどか(まぁ、でもママと一緒にいられるのは嬉しいけど……)
でも、なんで急に? 今までそんな気配はなかったのに……。
ほどか(パパはやっとママにも思いが通じたとか言ってたけどさ)
いくらなんでもいきなりすぎるような……?
ほむら「どうしたのそんなところでボーっとして。こっちに来なさい」
玄関でそんなことを考える私にママが手招きをする。
あぅ……。ママが呼んでくれてる。どうしよう……。すっごく嬉しいよ……。
ほどか「は、はい!」
急いでママの言う通り家にお邪魔する。
まどか(おぉ、なんだかほどかちゃんに猫耳と尻尾が見えるようだよ……)
ほどか(まぁ、ママが一緒ならなんでもいっか♪)
……。ママに抱き着いたりしたらダメかな?
さすがに怒られるよね。
―― ほむホーム ――
ほどか「あ、あの本当にお邪魔してもいいんですか……?」
ママの家の玄関の前で本当に家に入っていいものか、尻込みをしてしまう私。
今日、体調の優れないママを保健室に連れて行った後、
戻ってきたパパは休み時間になると私に開口一番こう言った。
まどか『今日はほむらちゃんの家にお泊りだから!』
ほどか『え? なんですか急に?』
まどか『だから、ほむらちゃんの家にお泊り! 家に帰ったらすぐに用意するからね!』
ほどか『え、ちょ、ちょっと』
用件だけを告げるとパパはすぐに自分の考えに集中し私の言葉には耳も傾けなくなった。
まどか『明日はどこにお出かけしようか……。晴れるのかな? 天気予報は……』
ほどか『話を、聞いてよ……』
ほむら「なにを遠慮しているの。私がいいと言ったんだから素直に受け取りなさい」
ほどか「は、はい……」
まどか「うぇひひ」
なんなんだろう……。
ママはいつも通りだけど、パパはなんか浮かれているというかなんというか……。
ほどか(なんか、ウザいんだよね……)
さっきも、テンションが上がりすぎたのか急に私に抱き着いてきたり、かと思えば真面目な顔でじっと私の目を見つめてきたり。
そしたら、次はだらしなく笑ってみたりとなんだか表情だけでも忙しい。
ほどか(まぁ、でもママと一緒にいられるのは嬉しいけど……)
でも、なんで急に? 今までそんな気配はなかったのに……。
ほどか(パパはやっとママにも思いが通じたとか言ってたけどさ)
いくらなんでもいきなりすぎるような……?
ほむら「どうしたのそんなところでボーっとして。こっちに来なさい」
玄関でそんなことを考える私にママが手招きをする。
あぅ……。ママが呼んでくれてる。どうしよう……。すっごく嬉しいよ……。
ほどか「は、はい!」
急いでママの言う通り家にお邪魔する。
まどか(おぉ、なんだかほどかちゃんに猫耳と尻尾が見えるようだよ……)
ほどか(まぁ、ママが一緒ならなんでもいっか♪)
……。ママに抱き着いたりしたらダメかな?
さすがに怒られるよね。
354: 2012/07/25(水) 07:47:37.50
ほどか「わぁー、凄い……」
目の前に並べられた料理に驚く。
まどか「す、っごい豪華……」
豪華、その一言で済ますにはなんだか失礼な気もするけれど、それしか出てこない。
それ程にママが用意した料理はどれも素晴らしく、キラキラと輝いているように見えた。
ほむら「そんなに驚かれるとなんだか照れるわね///」
自分の料理を見て驚かれることに照れるママ。
照れる姿も可愛いなー。
ほどか(うん。私のママはやっぱり完璧だ)
改めてそう思う。
ほむら「さぁ、食べましょう? 料理は見て楽しむだけのものではないわよ」
そう言ってママは手を合わせる。
まどか「そうだね! ほらほどかちゃんも手を合わせて!」
そしてそれにパパも続く。
ほどか「そうですね」
パパに促され私も二人と同じように手を合わせる。
まどか「それでは……」
「「「いただきます!」」」
三人の声が重なり、部屋に響く。
まどか「うわ! これすっごくおいしいよ!」
ほどか「これも凄くおいしいです!」
まどか「ちょ、ちょっとほどかちゃんそれは私の肉団子だよ!」
ほどか「早い者勝ちです!」
ほむら「まだたくさんあるのだからケンカしないの」
ほどか「そうですよ。パパは食い意地が張りすぎです」
ほむら「あなたもよ」
ほどか「う、ごめんなさい……」
ほむら「全く、ほら口元にソースがついてるわよ。女の子がはしたない」
ほどか「ごめんなふぁい」
目の前に並べられた料理に驚く。
まどか「す、っごい豪華……」
豪華、その一言で済ますにはなんだか失礼な気もするけれど、それしか出てこない。
それ程にママが用意した料理はどれも素晴らしく、キラキラと輝いているように見えた。
ほむら「そんなに驚かれるとなんだか照れるわね///」
自分の料理を見て驚かれることに照れるママ。
照れる姿も可愛いなー。
ほどか(うん。私のママはやっぱり完璧だ)
改めてそう思う。
ほむら「さぁ、食べましょう? 料理は見て楽しむだけのものではないわよ」
そう言ってママは手を合わせる。
まどか「そうだね! ほらほどかちゃんも手を合わせて!」
そしてそれにパパも続く。
ほどか「そうですね」
パパに促され私も二人と同じように手を合わせる。
まどか「それでは……」
「「「いただきます!」」」
三人の声が重なり、部屋に響く。
まどか「うわ! これすっごくおいしいよ!」
ほどか「これも凄くおいしいです!」
まどか「ちょ、ちょっとほどかちゃんそれは私の肉団子だよ!」
ほどか「早い者勝ちです!」
ほむら「まだたくさんあるのだからケンカしないの」
ほどか「そうですよ。パパは食い意地が張りすぎです」
ほむら「あなたもよ」
ほどか「う、ごめんなさい……」
ほむら「全く、ほら口元にソースがついてるわよ。女の子がはしたない」
ほどか「ごめんなふぁい」
355: 2012/07/25(水) 07:48:03.49
まどか「てぃひひ」
ほどか「なにがおかしいんですか?」
まどか「ほどかちゃんって子供だなーって」
ほどか「なに言ってるんですか、お父さんと年は変わりませんよ」
まどか「いや、そういう意味じゃ……。
っていうかほどかちゃんは私の子供だから間違ってないよね!?」
ほどか「まぁ戸籍上では」
まどか「それ以外では違うの!?」
ほどか「可能性はありますね」
まどか「なにそれ!? うぅ、ほむらちゃーん。ほどかちゃんがいじめるよー」
ほむら「はいはい。そういえば、クリームシチューはどうかしら?」
まどか「流された!?」
ほどか「すっごくおいしいです!」
ほむら「そう。まだまだたくさんあるから」
ほどか「ありがとうございます!」
まどか「あの、私も会話に参加したいかなって」
ほどか「えー……」
まどか「なんでそんなに嫌そうなの!?」
ほどか「だって……」
まどか「うぅ、ほむらちゃーん!」
ほむら「はいはい、もう……。あまりまどかをいじめないの」
ほどか「お父さんごめんなさい」
まどか「ホントほむらちゃんには素直だね……」
ほどか「シチューおかわりもらってもいいですか?」
ほむら「えぇ、器をかしなさい。よそってくるわ」
ほどか「いいんですか……?」
ほむら「遠慮しないの」
ほどか「ありがとうございます!」
ほどか「なにがおかしいんですか?」
まどか「ほどかちゃんって子供だなーって」
ほどか「なに言ってるんですか、お父さんと年は変わりませんよ」
まどか「いや、そういう意味じゃ……。
っていうかほどかちゃんは私の子供だから間違ってないよね!?」
ほどか「まぁ戸籍上では」
まどか「それ以外では違うの!?」
ほどか「可能性はありますね」
まどか「なにそれ!? うぅ、ほむらちゃーん。ほどかちゃんがいじめるよー」
ほむら「はいはい。そういえば、クリームシチューはどうかしら?」
まどか「流された!?」
ほどか「すっごくおいしいです!」
ほむら「そう。まだまだたくさんあるから」
ほどか「ありがとうございます!」
まどか「あの、私も会話に参加したいかなって」
ほどか「えー……」
まどか「なんでそんなに嫌そうなの!?」
ほどか「だって……」
まどか「うぅ、ほむらちゃーん!」
ほむら「はいはい、もう……。あまりまどかをいじめないの」
ほどか「お父さんごめんなさい」
まどか「ホントほむらちゃんには素直だね……」
ほどか「シチューおかわりもらってもいいですか?」
ほむら「えぇ、器をかしなさい。よそってくるわ」
ほどか「いいんですか……?」
ほむら「遠慮しないの」
ほどか「ありがとうございます!」
356: 2012/07/25(水) 07:48:47.59
ほむら「はい。このくらいでよかったかしら」
ほどか「はい! ちょうどいいです! ありがとうございます!」
ほむら「そう」
まどか(……。ほどかちゃんもほむらちゃんも楽しそうだな。
てぃひひ、やっぱりお泊りしてよかった)
ほどか「隙ありです!」
まどか「あぁ! 今度は私の卵焼きを!」
ほどか「戦場では弱い兵士からやられるんですよ……」
まどか「いや、意味わかんないよ!?」
ほむら「だからケンカしないの……」
ほどか「うぅ……。もぅ食べられないです……」
まどか「わ、私も……」
ほむら「あんなに食べるからよ……。まさか完食するなんて思わなかったわ」
ほどか「だって、残すわけには……」
ママがせっかく作ってくれた料理。それを残すなんて考えられない。
神様にだって許されない禁忌だよ。
ほむら「明日のお弁当のことも考えて多めに作ったから残しても大丈夫だったのよ?
残ったら詰めるつもりだったのだし……」
ほどか「え、そうなんですか? もしかしてマズイことしちゃいました?」
確かに三人分にしては多いとは思ってたけど……。
ほむら「大丈夫よ、食材はあるのだしまた作り直すわ」
ほどか「あぅ、ごめんなさい」
これじゃあママの負担がかかっちゃう……。
ほどか「明日のお弁当作り手伝いますね?」
ほむら「別に大丈夫……。いえ、そうね。
手伝ってもらえるかしら」
ほどか「はい!」
ママのお手伝い……。
頑張らないと。
ほどか「はい! ちょうどいいです! ありがとうございます!」
ほむら「そう」
まどか(……。ほどかちゃんもほむらちゃんも楽しそうだな。
てぃひひ、やっぱりお泊りしてよかった)
ほどか「隙ありです!」
まどか「あぁ! 今度は私の卵焼きを!」
ほどか「戦場では弱い兵士からやられるんですよ……」
まどか「いや、意味わかんないよ!?」
ほむら「だからケンカしないの……」
ほどか「うぅ……。もぅ食べられないです……」
まどか「わ、私も……」
ほむら「あんなに食べるからよ……。まさか完食するなんて思わなかったわ」
ほどか「だって、残すわけには……」
ママがせっかく作ってくれた料理。それを残すなんて考えられない。
神様にだって許されない禁忌だよ。
ほむら「明日のお弁当のことも考えて多めに作ったから残しても大丈夫だったのよ?
残ったら詰めるつもりだったのだし……」
ほどか「え、そうなんですか? もしかしてマズイことしちゃいました?」
確かに三人分にしては多いとは思ってたけど……。
ほむら「大丈夫よ、食材はあるのだしまた作り直すわ」
ほどか「あぅ、ごめんなさい」
これじゃあママの負担がかかっちゃう……。
ほどか「明日のお弁当作り手伝いますね?」
ほむら「別に大丈夫……。いえ、そうね。
手伝ってもらえるかしら」
ほどか「はい!」
ママのお手伝い……。
頑張らないと。
357: 2012/07/25(水) 07:50:33.91
まどか(うんうん。母娘っぽくなってきたね)
ほむら「さて、お風呂も湧いたみたいだし、先に入ってらっしゃい」
ほどか「先にいいんですか?」
ほむら「えぇ、片づけもあるし」
ほどか「手伝いますよ? この量を一人では大変じゃ……」
結構あるよね。
食べてばかりで、そのままだと悪いし。
ほむら「気にする必要はないわ。えっと、あなたは……」
ほどか「?」
まどか「!」
なんだかママの様子がおかしい。なにやら口をもごもごさせてる……?
ほむら「えっと、その……。私の……」
ほどか「私の……?」
なんだろう……。
まどか「……」ドキドキ
ほむら「私の……。お客様なのだし」
まどか「ありゃー……」
ほどか「あ、はい」
まぁ、確かにお客様に片づけをさせるのは家主としては考えるところか。
ママはそういうことを気にしそうだし。
ほどか「うーん。そういうことでしたら先にお風呂頂いちゃいますね」
ほむら「え、えぇ」
申し訳ないけど仕方ないか。
ちょっと手伝いたかったけど。
ほむら「さて、お風呂も湧いたみたいだし、先に入ってらっしゃい」
ほどか「先にいいんですか?」
ほむら「えぇ、片づけもあるし」
ほどか「手伝いますよ? この量を一人では大変じゃ……」
結構あるよね。
食べてばかりで、そのままだと悪いし。
ほむら「気にする必要はないわ。えっと、あなたは……」
ほどか「?」
まどか「!」
なんだかママの様子がおかしい。なにやら口をもごもごさせてる……?
ほむら「えっと、その……。私の……」
ほどか「私の……?」
なんだろう……。
まどか「……」ドキドキ
ほむら「私の……。お客様なのだし」
まどか「ありゃー……」
ほどか「あ、はい」
まぁ、確かにお客様に片づけをさせるのは家主としては考えるところか。
ママはそういうことを気にしそうだし。
ほどか「うーん。そういうことでしたら先にお風呂頂いちゃいますね」
ほむら「え、えぇ」
申し訳ないけど仕方ないか。
ちょっと手伝いたかったけど。
358: 2012/07/25(水) 07:55:12.05
まどか「待って!」
私がお風呂に入る準備をして、さぁお風呂場に向かおうとするとパパが私の肩を掴み待ったをかける。
ほどか「どうしたの?」
まどか「お風呂なんだけどさ、せっかくだからみんなで入らない?」
ほどか「え」
ほむら「さすがにそれは……。三人で入るのは狭いし、片づけもしないと」
まどか「大丈夫だよ! 片づけなら私達も手伝うし、お風呂もうまくやれば三人で入れるよ!」
必氏で自分の論を主張するパパ。
……。ママとお風呂に入れるのは嬉しいけど……。でもパパとも……?
ほどか(それはちょっと……)
いくら女の子の姿とはいえ、パパはパパだし……。
それに、ママもあんまり乗り気じゃないように見えるし。
ほどか「私も別々の方がいいと思いますけど……」
まどか「駄目だよ! ありえないよ!」
ほどか「ひぃ!?」
私の言葉を聞いたパパが私の顔に自分の顔をかなり近づけ、今度は私の両肩を強く掴む。
その形相はまさに必氏だ。
まどか「せっかくのおとまりなんだよ!? なのにそんな大事なイベントをスルーするなんて許されると思う!?
ううん! 絶対ダメだよね!!」
ほどか「なんの話ですかー!!」
ほむら「ちょ、ちょっとまどか……。ほどかが凄いことになってるわ」
まどか「いーい!? これは絶対に避けちゃダメなことなの!! 必ず通らないといけないことなの!!」
ほどか「あうあうあうあう」
ほむら「わかった! わかったから離してあげて! 首が取れるわ!」
まどか「え、ほんとに? 入ってくれるの?」
ママの言葉のおかげで揺さぶるのをやめてくれたパパ。
ほむら「え、えぇ。大丈夫?」
ほどか「だ、だいじょぶれふ」
でも、若干手遅れで私はふらふらだ。
ほむら「ダメじゃない。乱暴しちゃ。ほどかは女の子なのよ?」
まどか「う、ごめんなさい」
パパの狼藉をママが叱る。
しょんぼりするパパに少し同情するけど、さすがにあれはやりすぎだよね。
ほどか(首とれるかと思った)
ソウルジェムさえ無事なら氏なないだろうけど、首のない魔法少女なんて嫌だよ。
ホラーだよ。
私がお風呂に入る準備をして、さぁお風呂場に向かおうとするとパパが私の肩を掴み待ったをかける。
ほどか「どうしたの?」
まどか「お風呂なんだけどさ、せっかくだからみんなで入らない?」
ほどか「え」
ほむら「さすがにそれは……。三人で入るのは狭いし、片づけもしないと」
まどか「大丈夫だよ! 片づけなら私達も手伝うし、お風呂もうまくやれば三人で入れるよ!」
必氏で自分の論を主張するパパ。
……。ママとお風呂に入れるのは嬉しいけど……。でもパパとも……?
ほどか(それはちょっと……)
いくら女の子の姿とはいえ、パパはパパだし……。
それに、ママもあんまり乗り気じゃないように見えるし。
ほどか「私も別々の方がいいと思いますけど……」
まどか「駄目だよ! ありえないよ!」
ほどか「ひぃ!?」
私の言葉を聞いたパパが私の顔に自分の顔をかなり近づけ、今度は私の両肩を強く掴む。
その形相はまさに必氏だ。
まどか「せっかくのおとまりなんだよ!? なのにそんな大事なイベントをスルーするなんて許されると思う!?
ううん! 絶対ダメだよね!!」
ほどか「なんの話ですかー!!」
ほむら「ちょ、ちょっとまどか……。ほどかが凄いことになってるわ」
まどか「いーい!? これは絶対に避けちゃダメなことなの!! 必ず通らないといけないことなの!!」
ほどか「あうあうあうあう」
ほむら「わかった! わかったから離してあげて! 首が取れるわ!」
まどか「え、ほんとに? 入ってくれるの?」
ママの言葉のおかげで揺さぶるのをやめてくれたパパ。
ほむら「え、えぇ。大丈夫?」
ほどか「だ、だいじょぶれふ」
でも、若干手遅れで私はふらふらだ。
ほむら「ダメじゃない。乱暴しちゃ。ほどかは女の子なのよ?」
まどか「う、ごめんなさい」
パパの狼藉をママが叱る。
しょんぼりするパパに少し同情するけど、さすがにあれはやりすぎだよね。
ほどか(首とれるかと思った)
ソウルジェムさえ無事なら氏なないだろうけど、首のない魔法少女なんて嫌だよ。
ホラーだよ。
359: 2012/07/25(水) 07:56:04.40
ほどか「……」
ほむら「……」
まどか(ぐふふ。ぐふふふふ)
はい! こんばんは! 久しぶりにまどかちゃんだよ!
いやー、主人公なのに最近影が薄くて困るよねー。
なんか、置いてきぼりっていうの?
話の流れについていけてないっていうのかさー。
まどか(みんな好き勝手動きすぎだよね)
まぁそれはおいといて。
今! 私は! お風呂場に! います!
まどか(正確には湯船の中ね)
みなさん聞いてくださいよ! 私の目の前には今、エデンがあります。
ほどか「あの、痛くないですか?」
ほむら「え、えぇ。ちょうどいいわよ」
まどか(きたよきましたきましたわ)
なんと! あのほむらちゃんとほどかちゃんが一緒にお風呂に入ってるんですよ!?
全裸で!
全裸で!
まどか(しかも、二人で洗いっことかね、しちゃったりしてね)
まぁ、そういうふうに私が仕向けたわけだけど。
まどか(いやー、でもまさかやってくれるとは)
ダメ元だったんだけどね。
でも、お風呂に入ってから二人ともなんか妙に緊張しちゃっててね、
冷静に判断できないのか、自分を見失ってるのか結構なんでも聞いてくれるんだよね。
まどか(二人に冗談でおっOい揉んでいい? って聞いたら殺されそうになったけど)
まさか、二人で時を止めてラッシュをかけてくるとはね。
時が動き出した時のあの激痛といったら凄かったね。
ほむら「……」
まどか(ぐふふ。ぐふふふふ)
はい! こんばんは! 久しぶりにまどかちゃんだよ!
いやー、主人公なのに最近影が薄くて困るよねー。
なんか、置いてきぼりっていうの?
話の流れについていけてないっていうのかさー。
まどか(みんな好き勝手動きすぎだよね)
まぁそれはおいといて。
今! 私は! お風呂場に! います!
まどか(正確には湯船の中ね)
みなさん聞いてくださいよ! 私の目の前には今、エデンがあります。
ほどか「あの、痛くないですか?」
ほむら「え、えぇ。ちょうどいいわよ」
まどか(きたよきましたきましたわ)
なんと! あのほむらちゃんとほどかちゃんが一緒にお風呂に入ってるんですよ!?
全裸で!
全裸で!
まどか(しかも、二人で洗いっことかね、しちゃったりしてね)
まぁ、そういうふうに私が仕向けたわけだけど。
まどか(いやー、でもまさかやってくれるとは)
ダメ元だったんだけどね。
でも、お風呂に入ってから二人ともなんか妙に緊張しちゃっててね、
冷静に判断できないのか、自分を見失ってるのか結構なんでも聞いてくれるんだよね。
まどか(二人に冗談でおっOい揉んでいい? って聞いたら殺されそうになったけど)
まさか、二人で時を止めてラッシュをかけてくるとはね。
時が動き出した時のあの激痛といったら凄かったね。
360: 2012/07/25(水) 07:56:58.38
まどか(まぁ、目覚めつつある私にはそれすらも快感なんだけどね)
おっと、いけないいけない。私まで自分を見失うところだったよ。
まどか(いや、でも本当に言い眺めだね)
照れながらお互いの体を洗いあう二人。
その初々しさといったらもう……。
まどか(初めて制服の袖を通した中学一年生に匹敵するね)
ほむら「……。あなた、結構胸あるのね」
ほどか「え、は、はい。まぁマミさんやさやかさんよりはないですけど……」
ほむら「……」
まどか(ふおおおおおお!!)
いい! いいよ! ほむらちゃんその表情! ぺたぺたと胸を押さえる仕草もグッドだね!
まどか(わかる。わかるよ。
きっと、どうして娘のこの子はこんなに成長してるのに私は……。っとか考えてるんだよね!)
多分、私のママの血だろうね! ほどかちゃんのプロポーションはママに似てるところあるからね。
見事に隔世遺伝しちゃったわけだ。
まどか(顔はほむらちゃんそっくりなのになー)
まぁ、でもそのおかげでほむらちゃんのこの表情を見れたわけだし……。
まどか(ナイス遺伝!)
おっと、いけないいけない。私まで自分を見失うところだったよ。
まどか(いや、でも本当に言い眺めだね)
照れながらお互いの体を洗いあう二人。
その初々しさといったらもう……。
まどか(初めて制服の袖を通した中学一年生に匹敵するね)
ほむら「……。あなた、結構胸あるのね」
ほどか「え、は、はい。まぁマミさんやさやかさんよりはないですけど……」
ほむら「……」
まどか(ふおおおおおお!!)
いい! いいよ! ほむらちゃんその表情! ぺたぺたと胸を押さえる仕草もグッドだね!
まどか(わかる。わかるよ。
きっと、どうして娘のこの子はこんなに成長してるのに私は……。っとか考えてるんだよね!)
多分、私のママの血だろうね! ほどかちゃんのプロポーションはママに似てるところあるからね。
見事に隔世遺伝しちゃったわけだ。
まどか(顔はほむらちゃんそっくりなのになー)
まぁ、でもそのおかげでほむらちゃんのこの表情を見れたわけだし……。
まどか(ナイス遺伝!)
361: 2012/07/25(水) 07:57:27.46
ほどか「あ、あの……。未来のお母さんは今よりも、その。おっきいですから……
だから、あまり気にしなくてもいいかと……」
ほむら「え!? そうなの!!?」
まどか(え!? そうなの!!?)
マジで!? なんで!?
まどか(ま、まさか私が揉んで大きく……)
よく聞くよね。それ。
ほどか「え!? あ、はい……」
ほむら「そ、そう……。そうなの、ふふ」
まどか(あ、すっごい嬉しそう)
やっぱり気にしてたんだなー。
まぁ、年頃の女の子としてはね。
まどか(私も頑張らないと)
ほむらちゃんの為に。ティヒヒ。
ほどか(うぅ……。どうしよう、確かにおっきくはなるんだけど……。
それでも私より小さいとはいえない……)
だから、あまり気にしなくてもいいかと……」
ほむら「え!? そうなの!!?」
まどか(え!? そうなの!!?)
マジで!? なんで!?
まどか(ま、まさか私が揉んで大きく……)
よく聞くよね。それ。
ほどか「え!? あ、はい……」
ほむら「そ、そう……。そうなの、ふふ」
まどか(あ、すっごい嬉しそう)
やっぱり気にしてたんだなー。
まぁ、年頃の女の子としてはね。
まどか(私も頑張らないと)
ほむらちゃんの為に。ティヒヒ。
ほどか(うぅ……。どうしよう、確かにおっきくはなるんだけど……。
それでも私より小さいとはいえない……)
362: 2012/07/25(水) 07:58:25.68
まどか「さてと、じゃあ私はあがるね」
色々と堪能したしね。
この辺が頃合いかな。
ほむら「え、もう?」
ほどか「早くないですか?」
まどか「でももう体も洗っちゃたしね。少しのぼせたから涼んでるよ」
嘘ではない。
実際、興奮しすぎてちょっとのぼせた。
まどか(ハッスルしすぎたかな)
まぁ、本当の目的は二人っきりにさせたいから。
まどか(なんだよね)
なんだかんだでこの二人がゆっくり話してる所は見たことない。
和解したとはいえ、まだまだ距離のある二人だし。
まどか(だから、二人っきりでゆっくり話せる時間がいると思うんだよね)
かといって放っておいてもこの二人じゃそんなことできないだろうし。
少し強引だけど、まぁいい機会かな。
まどか「あ、二人はゆっくり浸かっててね? 私なら大丈夫だから」
そう言い残してお風呂場から出る。
さてさて、うまくいってくれればいいけど。
まどか(まぁ、今の二人なら問題ないかな)
さてと、牛乳でも飲もうかな。
お風呂上がりの牛乳っておいしいよね
まどか「~♪」
色々と堪能したしね。
この辺が頃合いかな。
ほむら「え、もう?」
ほどか「早くないですか?」
まどか「でももう体も洗っちゃたしね。少しのぼせたから涼んでるよ」
嘘ではない。
実際、興奮しすぎてちょっとのぼせた。
まどか(ハッスルしすぎたかな)
まぁ、本当の目的は二人っきりにさせたいから。
まどか(なんだよね)
なんだかんだでこの二人がゆっくり話してる所は見たことない。
和解したとはいえ、まだまだ距離のある二人だし。
まどか(だから、二人っきりでゆっくり話せる時間がいると思うんだよね)
かといって放っておいてもこの二人じゃそんなことできないだろうし。
少し強引だけど、まぁいい機会かな。
まどか「あ、二人はゆっくり浸かっててね? 私なら大丈夫だから」
そう言い残してお風呂場から出る。
さてさて、うまくいってくれればいいけど。
まどか(まぁ、今の二人なら問題ないかな)
さてと、牛乳でも飲もうかな。
お風呂上がりの牛乳っておいしいよね
まどか「~♪」
363: 2012/07/25(水) 07:58:54.59
―ほむら―
ほどか「いっちゃいましたね……」
ほむら「えぇ」
どうしよう……。まさかまどかがこんなに早くお風呂場から出ていくとは思っていなかった。
ほむら(二人っきりで一体なにを話せばいいの!?)
私はそんなにコミュニケーション能力は高くないわよ!?
コンビニでも声を出すのが恥ずかしいから定員に、肉まん下さい。とか言えないんだから!
ほむら(ど、どうすれば……)
困ったわ。どうしよう……。
ほどか「……」ソワソワ
あ、この子もなにかいずらそうにそわそわしてる。
ほむら(ごめんなさい。コミュ障な親でごめんなさい)
な、なにか打開策を……。
駄目だわ! 何も浮かばない!
ほむら(く、まさかこんなところで最大の難関にぶちあたるとは……)
やはり、このループも一筋縄ではいかないようね……。
ほどか「あの」
ほむら「ひゃい!?」
あ、なんか変な声が出たわ……。この子も少し驚いてるわね。
いけないいけない。いつも通りに……。
ほむら「ごほん。なにかしら」
よし、大丈夫。
ほどか「今日はありがとうございました」
ほむら「え?」
ありがとう? なにに対してかしら……。
ほどか「私、元の時代ではお母さんが幼い頃に亡くなってて、だからこういうのに憧れてたんです」
ほむら「……」
そういえば、この子のいた時間軸では私は病氏してるのよね。
ほどか「お母さんと一緒にご飯を食べたりとか、一緒にお風呂に入ったりとか。
それで、お父さんとバカなことをやって、それを叱られたりとか……。
友達がそういうことをやってるのを見てて、私にもお母さんがいればあんなのだったのかな。とか考えてて……」
ほどか「いっちゃいましたね……」
ほむら「えぇ」
どうしよう……。まさかまどかがこんなに早くお風呂場から出ていくとは思っていなかった。
ほむら(二人っきりで一体なにを話せばいいの!?)
私はそんなにコミュニケーション能力は高くないわよ!?
コンビニでも声を出すのが恥ずかしいから定員に、肉まん下さい。とか言えないんだから!
ほむら(ど、どうすれば……)
困ったわ。どうしよう……。
ほどか「……」ソワソワ
あ、この子もなにかいずらそうにそわそわしてる。
ほむら(ごめんなさい。コミュ障な親でごめんなさい)
な、なにか打開策を……。
駄目だわ! 何も浮かばない!
ほむら(く、まさかこんなところで最大の難関にぶちあたるとは……)
やはり、このループも一筋縄ではいかないようね……。
ほどか「あの」
ほむら「ひゃい!?」
あ、なんか変な声が出たわ……。この子も少し驚いてるわね。
いけないいけない。いつも通りに……。
ほむら「ごほん。なにかしら」
よし、大丈夫。
ほどか「今日はありがとうございました」
ほむら「え?」
ありがとう? なにに対してかしら……。
ほどか「私、元の時代ではお母さんが幼い頃に亡くなってて、だからこういうのに憧れてたんです」
ほむら「……」
そういえば、この子のいた時間軸では私は病氏してるのよね。
ほどか「お母さんと一緒にご飯を食べたりとか、一緒にお風呂に入ったりとか。
それで、お父さんとバカなことをやって、それを叱られたりとか……。
友達がそういうことをやってるのを見てて、私にもお母さんがいればあんなのだったのかな。とか考えてて……」
364: 2012/07/25(水) 07:59:24.34
……。ふと、私の母親のことを思い出す。
母親とはもう何年も会ってはいない。
時間的には一ヶ月しか経っていないが、私の体感時間では何年も経っていることになる。
私の母親も、私の体のせいでよく心配してくれた。
体の弱い私を気遣って、少しでも栄養のいい食材で料理をしてくれたり、高熱で寝込んだりした時は一晩中看病をしてくれたり。
私のせいで凄く迷惑をかけたものだ。
ほどか「だから、お母さんとこうしていられる時間がとても嬉しくて……。
あなたが私を生んだわけではないことはわかってますけど、それでも……」
幸せで……。
そう呟くこの子。
あぁ、そうか。
この子は寂しかったのか。
そして、怖かったんだ。
ほむら(この子が私に対しては一歩引いた態度を取っていたのはそういうことね)
私に拒絶されることが怖かったから。
だから、いつもあまり踏み込まずにいた。
そうすれば、もし突き放されたとしても傷は浅くすむから。
そう考えていたのだろう。
ほむら(馬鹿ね……。自分の大切な人に拒絶されれば傷つかないはずがないのに)
何度も経験してきたから言えることだ。
そして、何度も経験しても学習することも出来ず、毎回失敗してきたことだ。
ほどか「だから、今日お母さんの家にお泊り出来て本当に嬉しかった。
これで、私は心残りなくワルプルギスの夜を倒すことができます」
ほむら「……」
ワルプルギスの夜。
奴が具現する時がこの子の……。
ほどか「ありがとうございます」
また、お礼を言う彼女。
お礼を言うのはこちらの方だというのに……。
この子のおかげで、私はまどかを魔法少女にすることもなく、誰を氏なせることもなく、ループを終わらせることができる。
しかも、魔法少女の運命から解き放たれ、普通の暮らしも出来るようになるという豪華なおまけ付きだ。
母親とはもう何年も会ってはいない。
時間的には一ヶ月しか経っていないが、私の体感時間では何年も経っていることになる。
私の母親も、私の体のせいでよく心配してくれた。
体の弱い私を気遣って、少しでも栄養のいい食材で料理をしてくれたり、高熱で寝込んだりした時は一晩中看病をしてくれたり。
私のせいで凄く迷惑をかけたものだ。
ほどか「だから、お母さんとこうしていられる時間がとても嬉しくて……。
あなたが私を生んだわけではないことはわかってますけど、それでも……」
幸せで……。
そう呟くこの子。
あぁ、そうか。
この子は寂しかったのか。
そして、怖かったんだ。
ほむら(この子が私に対しては一歩引いた態度を取っていたのはそういうことね)
私に拒絶されることが怖かったから。
だから、いつもあまり踏み込まずにいた。
そうすれば、もし突き放されたとしても傷は浅くすむから。
そう考えていたのだろう。
ほむら(馬鹿ね……。自分の大切な人に拒絶されれば傷つかないはずがないのに)
何度も経験してきたから言えることだ。
そして、何度も経験しても学習することも出来ず、毎回失敗してきたことだ。
ほどか「だから、今日お母さんの家にお泊り出来て本当に嬉しかった。
これで、私は心残りなくワルプルギスの夜を倒すことができます」
ほむら「……」
ワルプルギスの夜。
奴が具現する時がこの子の……。
ほどか「ありがとうございます」
また、お礼を言う彼女。
お礼を言うのはこちらの方だというのに……。
この子のおかげで、私はまどかを魔法少女にすることもなく、誰を氏なせることもなく、ループを終わらせることができる。
しかも、魔法少女の運命から解き放たれ、普通の暮らしも出来るようになるという豪華なおまけ付きだ。
365: 2012/07/25(水) 08:00:12.10
それに比べれば私がこの子にしたことといえば……。
ほむら(ただ、母親面をしただけじゃない)
でも、この子にはそれがとても嬉しいことで、なによりも幸せなことだという。
ほむら(なら、私は……)
せめてこの子の最後の時まで母親であり続けなければいけない。
ほむら「お礼を言う必要はないわ」
ほどか「え……?」
ほむら「私もあなたと過ごせて楽しかったし、こうしていられてとても幸せよ」
ほどか「お母さん……」
だから、伝えなくてはいけない。
私には言わなければいけない言葉がある。
ほむら「だって、あなたは……」
私は母親で、この子は私の子供なのだから……。
だから、私は言わなければいけない。
この子に、私はあなたの母親だと。
ほむら「あなたは私の大事な……」
そう、私の大事な――。
ほむら「むす『ちょっとほむらにほどか! いる!?』」
ほどか「え、あ、さやかさん?」
ほむら「」
ほむら(ただ、母親面をしただけじゃない)
でも、この子にはそれがとても嬉しいことで、なによりも幸せなことだという。
ほむら(なら、私は……)
せめてこの子の最後の時まで母親であり続けなければいけない。
ほむら「お礼を言う必要はないわ」
ほどか「え……?」
ほむら「私もあなたと過ごせて楽しかったし、こうしていられてとても幸せよ」
ほどか「お母さん……」
だから、伝えなくてはいけない。
私には言わなければいけない言葉がある。
ほむら「だって、あなたは……」
私は母親で、この子は私の子供なのだから……。
だから、私は言わなければいけない。
この子に、私はあなたの母親だと。
ほむら「あなたは私の大事な……」
そう、私の大事な――。
ほむら「むす『ちょっとほむらにほどか! いる!?』」
ほどか「え、あ、さやかさん?」
ほむら「」
366: 2012/07/25(水) 08:00:38.39
さやか『あんたら、お泊りパーティしてるってホント!? どうして私も誘わないかな!』
ほどか『え、えっとすいません』
さやか『すいませんじゃないよ! 今から私も行く……』
杏子『さやかー!!!』
さやか『げぇ! 杏子!?』
杏子『お前なにしてんだよ!』
さやか『なにって、ほどか達がほむらの家に泊まりに行ってるみたいだから私も行こうかと……』
杏子『おま! お前ホントバカだな! ちょっとは考えて行動しろ!』
さやか『な、なによ! なんであんたにそんなこと言われなきゃ!』
杏子『あーもういい! ほどかにほむらすまん! このバカはアタシがきっちりシメとくから許してくれ!
ほどか! 思う存分ほむらに甘えろよ! ほむらも素直になれよ! じゃあな!』
さやか『あ、何勝手に! ちょ、あんたそれはマズイって! その太くて長いのは仕舞って! ちょ、あ、アーッ!』
ほどか「あ、テレパシー切れた。さやかさん大丈夫かな……」
ほむら「」
ほどか「お母さん?」
ほむら「」
ほどか「おーい」
ほむら「はっ!」
な、なんなの!? いま、なにが起こったの!?
ほどか『え、えっとすいません』
さやか『すいませんじゃないよ! 今から私も行く……』
杏子『さやかー!!!』
さやか『げぇ! 杏子!?』
杏子『お前なにしてんだよ!』
さやか『なにって、ほどか達がほむらの家に泊まりに行ってるみたいだから私も行こうかと……』
杏子『おま! お前ホントバカだな! ちょっとは考えて行動しろ!』
さやか『な、なによ! なんであんたにそんなこと言われなきゃ!』
杏子『あーもういい! ほどかにほむらすまん! このバカはアタシがきっちりシメとくから許してくれ!
ほどか! 思う存分ほむらに甘えろよ! ほむらも素直になれよ! じゃあな!』
さやか『あ、何勝手に! ちょ、あんたそれはマズイって! その太くて長いのは仕舞って! ちょ、あ、アーッ!』
ほどか「あ、テレパシー切れた。さやかさん大丈夫かな……」
ほむら「」
ほどか「お母さん?」
ほむら「」
ほどか「おーい」
ほむら「はっ!」
な、なんなの!? いま、なにが起こったの!?
367: 2012/07/25(水) 08:01:26.50
ほむら(え、なに今の? なんでさやか、……え?)
今の必要? そんな流れじゃなかったじゃない。
絶対おかしいでしょ今のは。
ほどか「あのー」
ほむら「え、な、なにかしら」
ちょっと待ってまだなにが起きたのか整理がついてないのよ。
ほどか「さっき、なにかいいかけてませんでした?」
ほむら「ほむ!?」
え、えーっと。ど、どうしよう……。
この空気の中言えるわけないじゃない……。
ほむら(完璧にタイミングを逃したわ)
ほどか「……」ジー
うぅ、見てる、見てるわ。
でも、こんな空気だし……。
ほむら「え、えーっと。そろそろあがらない? って言おうとしたのよ。
もう大分浸かっているし……」
ほどか「あぁ、そうですね。さすがにのぼせそうです」
ほむら「そ、そうでしょう? 明日もあるのだし。今日はこのくらいにしときましょう」
ほどか「はい!」
いい返事ね……。やっぱりこの子は素直でいい子なのね。
ほむら(こういう所はまどかに似たのね……)
そんなことを思いながら湯船からあがる。
ほむら(っていうか、さやか。あの子は許さないわ)
必ず復讐してやる。
そう心に誓いほどかと一緒にお風呂場から出る。
まぁ、またチャンスはあるわよね。
ほむら(きっと……)
今の必要? そんな流れじゃなかったじゃない。
絶対おかしいでしょ今のは。
ほどか「あのー」
ほむら「え、な、なにかしら」
ちょっと待ってまだなにが起きたのか整理がついてないのよ。
ほどか「さっき、なにかいいかけてませんでした?」
ほむら「ほむ!?」
え、えーっと。ど、どうしよう……。
この空気の中言えるわけないじゃない……。
ほむら(完璧にタイミングを逃したわ)
ほどか「……」ジー
うぅ、見てる、見てるわ。
でも、こんな空気だし……。
ほむら「え、えーっと。そろそろあがらない? って言おうとしたのよ。
もう大分浸かっているし……」
ほどか「あぁ、そうですね。さすがにのぼせそうです」
ほむら「そ、そうでしょう? 明日もあるのだし。今日はこのくらいにしときましょう」
ほどか「はい!」
いい返事ね……。やっぱりこの子は素直でいい子なのね。
ほむら(こういう所はまどかに似たのね……)
そんなことを思いながら湯船からあがる。
ほむら(っていうか、さやか。あの子は許さないわ)
必ず復讐してやる。
そう心に誓いほどかと一緒にお風呂場から出る。
まぁ、またチャンスはあるわよね。
ほむら(きっと……)
368: 2012/07/25(水) 08:03:16.67
―まどか―
まどか「ねぇねぇ。私だけ遠くない?」
ほどか「そうでしょうか? そんなことないと思いますが」
まどか「いやいや! 明らかに大きい隙間があるよね!」
ほどか「隙間があるのが普通ですだと思いますけど……」
まどか「じゃあなんでほどかちゃんはそんなにほむらちゃんにべったりくっついてるの!?」
ほどか「狭いですから」
ほむら「もぅケンカしないの……」
場面は変わってまどかです!
お風呂にも入って、三人でのんびりと談笑でもしながら過ごして気づけば日付も変わって12時半!
明日のこともあるのでもう寝ようということになり、またまた私の提案でお布団をくっつけて川の字に一緒に寝ようということに!
さっきとは違い、その提案はあっさり受諾されたのですが、ほどかちゃんがほむらちゃんにべったりで私に構ってくれません!
ちなみに順番はほどかちゃんを真ん中に左側がほむらちゃん。右側が私です!
まどか「こんなの絶対おかしいよ! いいよ! ほどかちゃんがこっちに来てくれないなら私から行くから!」
ほどか「ちょ、ちょっとお父さん! 狭いですって! きゃ! どこ触って!?」
まどか「てぃひひひ! よいではないかよいではないか!」
ほどか「ちょっと怒るよ! ひゃん! やめて!」
まどか「おぉ温かい……」
ほどか「うぅ、お母さーん」
ほむら「まどか、セクハラはやめなさい」
まどか「セクハラじゃないよ。スキンシップだよ」
親子のちょっとした交流だよ。
ほどか「違います! 明確なセクハラです!」
まどか「またまたぁw 嬉しいくせにww」
ほどか「うわ、ウザい……」
ウザいはないよ! 酷いよ!
まどか「ねぇねぇ。私だけ遠くない?」
ほどか「そうでしょうか? そんなことないと思いますが」
まどか「いやいや! 明らかに大きい隙間があるよね!」
ほどか「隙間があるのが普通ですだと思いますけど……」
まどか「じゃあなんでほどかちゃんはそんなにほむらちゃんにべったりくっついてるの!?」
ほどか「狭いですから」
ほむら「もぅケンカしないの……」
場面は変わってまどかです!
お風呂にも入って、三人でのんびりと談笑でもしながら過ごして気づけば日付も変わって12時半!
明日のこともあるのでもう寝ようということになり、またまた私の提案でお布団をくっつけて川の字に一緒に寝ようということに!
さっきとは違い、その提案はあっさり受諾されたのですが、ほどかちゃんがほむらちゃんにべったりで私に構ってくれません!
ちなみに順番はほどかちゃんを真ん中に左側がほむらちゃん。右側が私です!
まどか「こんなの絶対おかしいよ! いいよ! ほどかちゃんがこっちに来てくれないなら私から行くから!」
ほどか「ちょ、ちょっとお父さん! 狭いですって! きゃ! どこ触って!?」
まどか「てぃひひひ! よいではないかよいではないか!」
ほどか「ちょっと怒るよ! ひゃん! やめて!」
まどか「おぉ温かい……」
ほどか「うぅ、お母さーん」
ほむら「まどか、セクハラはやめなさい」
まどか「セクハラじゃないよ。スキンシップだよ」
親子のちょっとした交流だよ。
ほどか「違います! 明確なセクハラです!」
まどか「またまたぁw 嬉しいくせにww」
ほどか「うわ、ウザい……」
ウザいはないよ! 酷いよ!
369: 2012/07/25(水) 08:03:49.37
まどか「ほどかちゃんが不良に!? た、大変だよほむらちゃん!」
ほどか「誰のせいですか!」
ほむら「もう寝ましょうよ……」
まどか「くぅー。このままじゃほどかちゃんが髪を金髪に染めて服装も派手にして、携帯とかもデコっちゃう女の子に……」
あれ、想像すると可愛い?
あ、そう言えば魔法少女の衣装の時もミニだったよね
まどか「ってダメだよミニスカートは! 危険が危ないよ!」
ほどか「なんの話ですか……。っていうか私の時代のお父さんと一緒のこと言わないでください」
ほむら「あら、未来のまどかもあなたにそんなことを?」
ほどか「はい、一度私がミニを穿いて出かけようとしたら、怒り狂って止められました」
ほむら「酷いわね……」
ほどか「えぇ、ですから私の服ってズボンとかデニムとかが多いんですよ?
ショートパンツも禁止されてて……」
まどか「そりゃするよ! そんなのダメだよ!」
ショートパンツにハイニーとか絶対似合うよね!?
だからダメ! どうしても穿きたいなら私の目の前だけでだね!
まどか(写真に収めないと!!)
ほむら「あなたも苦労したのね……」
ほどか「はい……」
まどか「ほどかちゃんは露出の多い服装は禁止だからね!?」
じゃないとどんな虫が寄ってくるか!!
ほむほど「はぁ……」
ほどか「誰のせいですか!」
ほむら「もう寝ましょうよ……」
まどか「くぅー。このままじゃほどかちゃんが髪を金髪に染めて服装も派手にして、携帯とかもデコっちゃう女の子に……」
あれ、想像すると可愛い?
あ、そう言えば魔法少女の衣装の時もミニだったよね
まどか「ってダメだよミニスカートは! 危険が危ないよ!」
ほどか「なんの話ですか……。っていうか私の時代のお父さんと一緒のこと言わないでください」
ほむら「あら、未来のまどかもあなたにそんなことを?」
ほどか「はい、一度私がミニを穿いて出かけようとしたら、怒り狂って止められました」
ほむら「酷いわね……」
ほどか「えぇ、ですから私の服ってズボンとかデニムとかが多いんですよ?
ショートパンツも禁止されてて……」
まどか「そりゃするよ! そんなのダメだよ!」
ショートパンツにハイニーとか絶対似合うよね!?
だからダメ! どうしても穿きたいなら私の目の前だけでだね!
まどか(写真に収めないと!!)
ほむら「あなたも苦労したのね……」
ほどか「はい……」
まどか「ほどかちゃんは露出の多い服装は禁止だからね!?」
じゃないとどんな虫が寄ってくるか!!
ほむほど「はぁ……」
370: 2012/07/25(水) 08:04:16.49
まどか「……寝た?」
あれからしばらく、話題も尽きて本格的に寝ることになった私達。
ほどか「寝ました」
ほむら「寝たわ」
ほんとにこの母娘は。そっくりなんだから……。
まどか「そっか、まぁ、じゃあこれから話すことは私の一人言ね」
ほどか「はい」
ほむら「ええ」
まどか「今日は本当に楽しかったよ。
なんかさ、やっと本当の親子になれたって感じで。バカやったりね」
ほどか「バカなのはお父さんだけです」
まどか「寝たんじゃなかったの?」
ほどか「寝言です」
まどか「ふふ。そっか。……。私はこんな日がずっと続けばいいのになって思うんだ」
まどか「私がバカやってほどかちゃんに怒られて、そんな私達をほむらちゃんが優しく見守ってくれる。
とっても平凡でなんてこともない日常だけど、とっても幸せで尊いもの」
そして、私達が一番望んでること。
まどか「だから、私はこんな日々をずっと送りたい。
誰がいなくなることもなく、三人で一緒にこれからを過ごしていきたい」
ほどか「……」
まどか「ねぇ、約束してくれるかな? 私達はこれからもずっと一緒だって」
ほどか「……」
ほむら「……」
まどか「どんなことが起きてもそれを無事に乗り切って三人で暮らせるって」
約束してくれないかな?
そう呟く私の声に誰も答えてはくれなかった。
でも、しばらくして……。
あれからしばらく、話題も尽きて本格的に寝ることになった私達。
ほどか「寝ました」
ほむら「寝たわ」
ほんとにこの母娘は。そっくりなんだから……。
まどか「そっか、まぁ、じゃあこれから話すことは私の一人言ね」
ほどか「はい」
ほむら「ええ」
まどか「今日は本当に楽しかったよ。
なんかさ、やっと本当の親子になれたって感じで。バカやったりね」
ほどか「バカなのはお父さんだけです」
まどか「寝たんじゃなかったの?」
ほどか「寝言です」
まどか「ふふ。そっか。……。私はこんな日がずっと続けばいいのになって思うんだ」
まどか「私がバカやってほどかちゃんに怒られて、そんな私達をほむらちゃんが優しく見守ってくれる。
とっても平凡でなんてこともない日常だけど、とっても幸せで尊いもの」
そして、私達が一番望んでること。
まどか「だから、私はこんな日々をずっと送りたい。
誰がいなくなることもなく、三人で一緒にこれからを過ごしていきたい」
ほどか「……」
まどか「ねぇ、約束してくれるかな? 私達はこれからもずっと一緒だって」
ほどか「……」
ほむら「……」
まどか「どんなことが起きてもそれを無事に乗り切って三人で暮らせるって」
約束してくれないかな?
そう呟く私の声に誰も答えてはくれなかった。
でも、しばらくして……。
371: 2012/07/25(水) 08:05:00.87
ほどか「これは寝言ですけど……」
ほどかちゃんがぽつり、ぽつりと話し始める。
ほどか「私も今のこの日々がかけがえのないもので、とても幸せです」
まどか「……」
ほどか「お母さんがいて、お父さんがいる。
それにさやかさんやマミさん。杏子さんに仁美さん、おじいちゃんにおばあちゃん。タツヤおじちゃんもいる。
こんなに大好きな人に囲まれて私はとても幸せです」
ほどかちゃんはそう言うと、私の布団に入ってくる。
ほどか「だから、約束です。私達はこれからずっと一緒です」
そして、私にそっと抱き着く。
まどか「ありがとう……」
ほむら「私も約束するわ」
ほむらちゃんも私の布団に入り、ほどかちゃんを抱きしめる。
ほむら「私達はいつまでも一緒。そして三人で暮らす。
私だってこの日々を失いたくないもの」
まどか「うん……」
いつの間にか誰も話さなくなっていた。
でも、通じ合うものは確かにあって。それがあるから言葉はもういらないんだって思えた。
まどか(約束だよ)
――約束。
三人で暮らす。こんな些細な願いすらも叶うことはない。
この時の私はすでにそれを知っていて、
でもそんな脆くも儚い誓いに頼ることでしか自分の感情の置き場をどうすればいいのかわからないのでした。
――――――――――――
――――――――――
――――――――
ほどかちゃんがぽつり、ぽつりと話し始める。
ほどか「私も今のこの日々がかけがえのないもので、とても幸せです」
まどか「……」
ほどか「お母さんがいて、お父さんがいる。
それにさやかさんやマミさん。杏子さんに仁美さん、おじいちゃんにおばあちゃん。タツヤおじちゃんもいる。
こんなに大好きな人に囲まれて私はとても幸せです」
ほどかちゃんはそう言うと、私の布団に入ってくる。
ほどか「だから、約束です。私達はこれからずっと一緒です」
そして、私にそっと抱き着く。
まどか「ありがとう……」
ほむら「私も約束するわ」
ほむらちゃんも私の布団に入り、ほどかちゃんを抱きしめる。
ほむら「私達はいつまでも一緒。そして三人で暮らす。
私だってこの日々を失いたくないもの」
まどか「うん……」
いつの間にか誰も話さなくなっていた。
でも、通じ合うものは確かにあって。それがあるから言葉はもういらないんだって思えた。
まどか(約束だよ)
――約束。
三人で暮らす。こんな些細な願いすらも叶うことはない。
この時の私はすでにそれを知っていて、
でもそんな脆くも儚い誓いに頼ることでしか自分の感情の置き場をどうすればいいのかわからないのでした。
――――――――――――
――――――――――
――――――――
442: 2012/07/31(火) 23:31:43.79
まどか「ここが仁美ちゃんの家が建てたタワーかー」
ほむら「すごいわね、なんでもスカイ○リーより高いらしいわよ」
ほどか「凄いです……」
まどか「実は今も伸びてるらしいよ。仁美ちゃんが言ってた」
ほどか「伸びてるってなんですか?」
ほむら「表現としてはおかしいわね」
まどか「わかんないけど、なんか女の子同士の仲がーっとか、百合の花がーっとか、そのパワーで伸びるらしいよ」
ほどか「難しいです」
ほむら「要領を得ないわね」
まどか「うん。私も説明されたけどわかんなかった]
ほどか「まぁ、難しいことはいいじゃないですか! それよりすごく眺めがいいですよ!」
まどか「あっ、走っちゃ危ないよ!」
ほむら「全く……。どうしたというのかしら、いつものあの子らしくなくはしゃいで」
まどか(ま、理由はわかるけどね。ふふ。ほどかちゃん嬉しそうだなー)
今日は三人で仁美ちゃんの家が建てたっていうタワーにお出かけ!
で、今はショッピングエリアにやってきたというわけです。
ほむらちゃんとお出かけできるのが嬉しいのかほどかちゃんは朝から浮かれっぱなし。
そんな彼女を見て私も来てよかったと幸せな気持ちになるのでした。
まどか「へへへー」
ほむら「まどかも嬉しそうね。そんなに楽しみだったの?」
まどか「そりゃねー」
そういうほむらちゃんもなにやら楽しそうで、私達みんなでニコニコ。
なんだかすっごくいい感じです。
まどか「ほら! ほむらちゃんもいこ! ほどかちゃんが呼んでるよ?」
ほむら「え、ええ。わかったから引っ張らないで」
ほむら「すごいわね、なんでもスカイ○リーより高いらしいわよ」
ほどか「凄いです……」
まどか「実は今も伸びてるらしいよ。仁美ちゃんが言ってた」
ほどか「伸びてるってなんですか?」
ほむら「表現としてはおかしいわね」
まどか「わかんないけど、なんか女の子同士の仲がーっとか、百合の花がーっとか、そのパワーで伸びるらしいよ」
ほどか「難しいです」
ほむら「要領を得ないわね」
まどか「うん。私も説明されたけどわかんなかった]
ほどか「まぁ、難しいことはいいじゃないですか! それよりすごく眺めがいいですよ!」
まどか「あっ、走っちゃ危ないよ!」
ほむら「全く……。どうしたというのかしら、いつものあの子らしくなくはしゃいで」
まどか(ま、理由はわかるけどね。ふふ。ほどかちゃん嬉しそうだなー)
今日は三人で仁美ちゃんの家が建てたっていうタワーにお出かけ!
で、今はショッピングエリアにやってきたというわけです。
ほむらちゃんとお出かけできるのが嬉しいのかほどかちゃんは朝から浮かれっぱなし。
そんな彼女を見て私も来てよかったと幸せな気持ちになるのでした。
まどか「へへへー」
ほむら「まどかも嬉しそうね。そんなに楽しみだったの?」
まどか「そりゃねー」
そういうほむらちゃんもなにやら楽しそうで、私達みんなでニコニコ。
なんだかすっごくいい感じです。
まどか「ほら! ほむらちゃんもいこ! ほどかちゃんが呼んでるよ?」
ほむら「え、ええ。わかったから引っ張らないで」
443: 2012/07/31(火) 23:32:20.72
まどか「わー綺麗だねー」
ほどか「はい! 見滝原が一望できますね」
ほむら「正直ここまでとは思っていなかったわ」
景色に見惚れるほむらちゃんとほどかちゃん。
その距離は出会った頃に比べとても近く、徐々に二人が母娘になっていってるんだと思わせます。
まどか(むー)
でも、二人が仲がいいのはいいのですが、このままだと私が空気です。
私だって二人の事は大好きなのですからそれは嫌です。
まどか「えい!」
ほむほど「きゃ!」
ほむら「ちょ、ちょっとまどか?」
ほどか「お父さん。急に手を引っ張ったら危ないよ」
二人の間に入り右手でほむらちゃんを左手でほどかちゃんの手を掴み、強引に自分のほうに引き寄せる。
まどか「えへへー」
ほむら「もう……。まどかまではしゃいで、少し落ち着いたほうがいいわよ」
ほむらちゃんが私を叱ります。
でも、その顔は優しい笑顔で、きっと本気では怒ってないんだろうなって思います。
まどか「ごめんごめん。でもさ、こうやって三人で手を繋いでると、私達家族って感じでしょ?」
そんな言葉に少し驚くほむらちゃんとほどかちゃん。
そして二人でお互いの顔を見つめ合う。
すると二人はなにがおかしいのか、くすくす笑ってしまいました。
まどか「え、えー、二人とも笑うなんてひどいよー!」
ほむら「ご、ごめんなさい、でも、まどかが」クスクス
ねぇ? と言いた気にほどかちゃんの方を見るほむらちゃん。
ほどか「は、はい。今のはお父さんがちょっと……」クスクス
まどか「えー。いいこと言ったと思ったのになー」
そう言って拗ねるふりをする私。
ほむら「ごめんなさい。謝るから機嫌をなおして?」
ほどか「ね、謝るから拗ねないで?」
そんな私を慌てて宥める二人。
でも、私は怒ってなんかいません。
だって、まだ手は繋いだままだし、三人はくっついたまま。
こんな状況で怒る方が無理があります。
でも、こんなやり取りもなんだかとっても幸せで、かけがえのないものに思えたので私はしばらく拗ねたふりを続けるのでした。
まどか(てぃひひ)
ほどか「はい! 見滝原が一望できますね」
ほむら「正直ここまでとは思っていなかったわ」
景色に見惚れるほむらちゃんとほどかちゃん。
その距離は出会った頃に比べとても近く、徐々に二人が母娘になっていってるんだと思わせます。
まどか(むー)
でも、二人が仲がいいのはいいのですが、このままだと私が空気です。
私だって二人の事は大好きなのですからそれは嫌です。
まどか「えい!」
ほむほど「きゃ!」
ほむら「ちょ、ちょっとまどか?」
ほどか「お父さん。急に手を引っ張ったら危ないよ」
二人の間に入り右手でほむらちゃんを左手でほどかちゃんの手を掴み、強引に自分のほうに引き寄せる。
まどか「えへへー」
ほむら「もう……。まどかまではしゃいで、少し落ち着いたほうがいいわよ」
ほむらちゃんが私を叱ります。
でも、その顔は優しい笑顔で、きっと本気では怒ってないんだろうなって思います。
まどか「ごめんごめん。でもさ、こうやって三人で手を繋いでると、私達家族って感じでしょ?」
そんな言葉に少し驚くほむらちゃんとほどかちゃん。
そして二人でお互いの顔を見つめ合う。
すると二人はなにがおかしいのか、くすくす笑ってしまいました。
まどか「え、えー、二人とも笑うなんてひどいよー!」
ほむら「ご、ごめんなさい、でも、まどかが」クスクス
ねぇ? と言いた気にほどかちゃんの方を見るほむらちゃん。
ほどか「は、はい。今のはお父さんがちょっと……」クスクス
まどか「えー。いいこと言ったと思ったのになー」
そう言って拗ねるふりをする私。
ほむら「ごめんなさい。謝るから機嫌をなおして?」
ほどか「ね、謝るから拗ねないで?」
そんな私を慌てて宥める二人。
でも、私は怒ってなんかいません。
だって、まだ手は繋いだままだし、三人はくっついたまま。
こんな状況で怒る方が無理があります。
でも、こんなやり取りもなんだかとっても幸せで、かけがえのないものに思えたので私はしばらく拗ねたふりを続けるのでした。
まどか(てぃひひ)
444: 2012/07/31(火) 23:32:56.70
まどか「あーこのリボン可愛い」
ほむら「そうね」
あれからしばらくして、せっかくショッピングエリアにいるのだから何か買おうと品物を物色することにしました。
ほどか「お父さんに似合いそうだね」
ピンクパープルの鮮やかな色をしたリボンを見て私達はそう話します。
まどか「うーん。ちょっと派手すぎないかな?」
ほどか「そうでもないよ。このくらいがちょうどいいと思うよ」
まどか「うーん」
ほむら「まどかにも似合いそうだけど、あなたにも合いそうだと思うわよ」
ほどか「え?」
急にそんなことを言うほむらちゃんに驚くほどかちゃん。
まさか、自分にふられるとは思っていなかったのでしょう。
ほどか「そ、そうでしょうか。少し派手すぎる気も……」
私と似たようなことをいうほどかちゃん。でも、その顔は少し赤く、きっと照れているんだなって思います。
ほむら「あら、あなたが言ったのよ? それくらいがちょうどいいって」
ほどか「あぅ……」
まどか(おっと、これはチャンスかな)
名案が浮かんだ私はある提案をすることに。
まどか「そうだ! せっかくだからさ、みんなでプレゼントしあいっこしよ?」
ほむほど「え?」
まどか「みんなで遊んだ記念に! ってことでさ、どうかな?」
そう言って二人を見る。
二人は少し考える素振りを見せ、こう言いました。
ほむら「そうね」
あれからしばらくして、せっかくショッピングエリアにいるのだから何か買おうと品物を物色することにしました。
ほどか「お父さんに似合いそうだね」
ピンクパープルの鮮やかな色をしたリボンを見て私達はそう話します。
まどか「うーん。ちょっと派手すぎないかな?」
ほどか「そうでもないよ。このくらいがちょうどいいと思うよ」
まどか「うーん」
ほむら「まどかにも似合いそうだけど、あなたにも合いそうだと思うわよ」
ほどか「え?」
急にそんなことを言うほむらちゃんに驚くほどかちゃん。
まさか、自分にふられるとは思っていなかったのでしょう。
ほどか「そ、そうでしょうか。少し派手すぎる気も……」
私と似たようなことをいうほどかちゃん。でも、その顔は少し赤く、きっと照れているんだなって思います。
ほむら「あら、あなたが言ったのよ? それくらいがちょうどいいって」
ほどか「あぅ……」
まどか(おっと、これはチャンスかな)
名案が浮かんだ私はある提案をすることに。
まどか「そうだ! せっかくだからさ、みんなでプレゼントしあいっこしよ?」
ほむほど「え?」
まどか「みんなで遊んだ記念に! ってことでさ、どうかな?」
そう言って二人を見る。
二人は少し考える素振りを見せ、こう言いました。
445: 2012/07/31(火) 23:33:31.03
ほむら「そうね。いいわよ」
ほどか「せっかくですしね」
まどか(よしよし)
まどか「じゃあ、今から30分間お店を見てまわってプレゼントを決めるってことで!」
ほむら「えぇ、わかったわ」
ほどか「では、また後で」
そう言ってほどかちゃんは近くのお店に入っていく。
ほむら「じゃあ、私も……」
そういって移動しようとするほむらちゃんの手を掴む。
ほむらちゃんに手伝ってもらわないと計画が成り立たないのです。
まどか「まって!」
ほむら「どうしたの? なにか言い忘れたことでもあったのかしら」
まどか「ううん。ほむらちゃんはこのリボンを買ってあげて」
そういってさっきまで見ていたリボンを指差す。
ほむら「え?」
まどか「ほどかちゃん、このリボン凄く気に入ってたみたいだからさ」
ほむら「別にかまわないけど……。まどかがプレゼントした方があの子は喜ぶんじゃないのかしら」
まぁ、喜んではくれるだろうね。でも、
まどか「実は私はほどかちゃんに渡すものは決めてるんだ。だから、こっちはほむらちゃんがお願い」
これはほむらちゃんが渡さなきゃ意味がないよね。
まどか(似合うって言われた時のほどかちゃんすっごく嬉しそうだったし、ね)
ほむら「まどかがそこまでいうなら……」
わかったわ。
そう言ってリボンを手に取り会計を済ませるほむらちゃんでした。
ほどか「せっかくですしね」
まどか(よしよし)
まどか「じゃあ、今から30分間お店を見てまわってプレゼントを決めるってことで!」
ほむら「えぇ、わかったわ」
ほどか「では、また後で」
そう言ってほどかちゃんは近くのお店に入っていく。
ほむら「じゃあ、私も……」
そういって移動しようとするほむらちゃんの手を掴む。
ほむらちゃんに手伝ってもらわないと計画が成り立たないのです。
まどか「まって!」
ほむら「どうしたの? なにか言い忘れたことでもあったのかしら」
まどか「ううん。ほむらちゃんはこのリボンを買ってあげて」
そういってさっきまで見ていたリボンを指差す。
ほむら「え?」
まどか「ほどかちゃん、このリボン凄く気に入ってたみたいだからさ」
ほむら「別にかまわないけど……。まどかがプレゼントした方があの子は喜ぶんじゃないのかしら」
まぁ、喜んではくれるだろうね。でも、
まどか「実は私はほどかちゃんに渡すものは決めてるんだ。だから、こっちはほむらちゃんがお願い」
これはほむらちゃんが渡さなきゃ意味がないよね。
まどか(似合うって言われた時のほどかちゃんすっごく嬉しそうだったし、ね)
ほむら「まどかがそこまでいうなら……」
わかったわ。
そう言ってリボンを手に取り会計を済ませるほむらちゃんでした。
446: 2012/07/31(火) 23:34:11.23
まどか「ほむらちゃん」
プレゼントを選ぶために別行動をしてから三十分が経過。
そして、また集まった私達。まずは私から二人に選んだ物を渡して、次にほどかちゃんが私達に。
最後にほむらちゃんの番となったわけだけど……。
まどか「あれ」
渡さないとっと小声でいい、ほむらちゃんに渡すように促す。
ほむら「え、ええ……」
ほむらちゃんが緊張気味にほどかちゃんに対して、リボンの入っているであろう袋を渡す。
ほどか「あ、私にですか……?」
おずおずとほむらちゃんを見、そう尋ねるほどかちゃん。
ほむら「あなた以外にいないでしょう」
ほどか「あ、ありがとうございます! 開けてもいいですか?」
ほむら「どうぞ」
嬉しそうにそう言うとほどかちゃんは丁寧に袋を開ける。
うんうん。なんかいいね。こういうのって。
ほどか「これって……」
中にあるリボンを大切そうに手に取りそれを見つめる彼女。
ほむら「それが気にっていたみたいだから」
まどか「よかったねー。欲しかったんでしょ?」
にやにやしながらほどかちゃんにそう言うと、なにか気づいたのか私の顔をじっと見てきます。
ほどか「んー」ジー
まどか「どうしたの?」
なにか用でもあるの? っと見つめ返す。
少し白々しいか。
ほどか「……とう……」
まどか「え? なになに? よく聞こえなかったよ」
ほどか「なんでもありません!」
まどか「もー。なにを怒ってるの?」
ま、本当はばっちり、ありがとう。って聞こえてたんだけどね。
照れちゃってかわいいなー。
まどか(てぃひひ)
プレゼントを選ぶために別行動をしてから三十分が経過。
そして、また集まった私達。まずは私から二人に選んだ物を渡して、次にほどかちゃんが私達に。
最後にほむらちゃんの番となったわけだけど……。
まどか「あれ」
渡さないとっと小声でいい、ほむらちゃんに渡すように促す。
ほむら「え、ええ……」
ほむらちゃんが緊張気味にほどかちゃんに対して、リボンの入っているであろう袋を渡す。
ほどか「あ、私にですか……?」
おずおずとほむらちゃんを見、そう尋ねるほどかちゃん。
ほむら「あなた以外にいないでしょう」
ほどか「あ、ありがとうございます! 開けてもいいですか?」
ほむら「どうぞ」
嬉しそうにそう言うとほどかちゃんは丁寧に袋を開ける。
うんうん。なんかいいね。こういうのって。
ほどか「これって……」
中にあるリボンを大切そうに手に取りそれを見つめる彼女。
ほむら「それが気にっていたみたいだから」
まどか「よかったねー。欲しかったんでしょ?」
にやにやしながらほどかちゃんにそう言うと、なにか気づいたのか私の顔をじっと見てきます。
ほどか「んー」ジー
まどか「どうしたの?」
なにか用でもあるの? っと見つめ返す。
少し白々しいか。
ほどか「……とう……」
まどか「え? なになに? よく聞こえなかったよ」
ほどか「なんでもありません!」
まどか「もー。なにを怒ってるの?」
ま、本当はばっちり、ありがとう。って聞こえてたんだけどね。
照れちゃってかわいいなー。
まどか(てぃひひ)
447: 2012/07/31(火) 23:34:40.43
まどか「あ、そうだほむらちゃん」
いい考えが浮かんだ私はほむらちゃんを手招きし、耳元でこう提案する。
まどか「せっかくだからさ、ほどかちゃんにあのリボンで髪を結ってあげてよ」
ほむら「私が?」
まどか「ほむらちゃんがプレゼントしたんだから当然でしょ?
ほら早く早く」
ほむら「そうね、わかったわ。ほどか。少しいらっしゃい」
私に急かされ、少し緊張気味にほどかちゃんを呼ぶ。
でもその呼び方はちょっと怖いよ。
ほどか「な、なんでしょうか」
ほらー、そんなふうに呼ぶからほどかちゃん怖がってる。
まぁ、ビクビクしながらもほむらちゃんの言うことには素直に従うんだけどね。
ほむら「えっと、せっかくだからつけてみたらどうかしら?
手伝うわよ」
ほどか「ほ、本当ですか!?」
ほむら「え、えぇ」
おぉ、かなり嬉しそうだね。
まさかここまで喜ばれるとは……。
まどか(ちょっとほむらちゃんが羨ましいかな)
私ならこうはいかないもん。
ほどか「えへへ」
ほむら「……」
今、目の前で母と娘の交流を見ているわけですけど……。
まどか(これはいい目の保養になるね)
携帯のムービーで撮っとこう。
ほむら「あなたの髪、綺麗ね。手入れが大変でしょう?」
ほどか「ありがとうございます。でも、お手入れはそんなにしてないんですよ?
多分、一般的な女の子の手入れと変わりないはずです」
ほむら「そう。そういえば昨日もシャンプーとリンスだけだったわね」
んー。確かにほどかちゃんってそこまで入念に手入れしてないよね。
トリートメントはしてるのって聞いたらめんどうなのでしてませんって答えてたし。
それで、あの髪って……。ほむらちゃんも似たような感じだし、
女の敵だよね。
いい考えが浮かんだ私はほむらちゃんを手招きし、耳元でこう提案する。
まどか「せっかくだからさ、ほどかちゃんにあのリボンで髪を結ってあげてよ」
ほむら「私が?」
まどか「ほむらちゃんがプレゼントしたんだから当然でしょ?
ほら早く早く」
ほむら「そうね、わかったわ。ほどか。少しいらっしゃい」
私に急かされ、少し緊張気味にほどかちゃんを呼ぶ。
でもその呼び方はちょっと怖いよ。
ほどか「な、なんでしょうか」
ほらー、そんなふうに呼ぶからほどかちゃん怖がってる。
まぁ、ビクビクしながらもほむらちゃんの言うことには素直に従うんだけどね。
ほむら「えっと、せっかくだからつけてみたらどうかしら?
手伝うわよ」
ほどか「ほ、本当ですか!?」
ほむら「え、えぇ」
おぉ、かなり嬉しそうだね。
まさかここまで喜ばれるとは……。
まどか(ちょっとほむらちゃんが羨ましいかな)
私ならこうはいかないもん。
ほどか「えへへ」
ほむら「……」
今、目の前で母と娘の交流を見ているわけですけど……。
まどか(これはいい目の保養になるね)
携帯のムービーで撮っとこう。
ほむら「あなたの髪、綺麗ね。手入れが大変でしょう?」
ほどか「ありがとうございます。でも、お手入れはそんなにしてないんですよ?
多分、一般的な女の子の手入れと変わりないはずです」
ほむら「そう。そういえば昨日もシャンプーとリンスだけだったわね」
んー。確かにほどかちゃんってそこまで入念に手入れしてないよね。
トリートメントはしてるのって聞いたらめんどうなのでしてませんって答えてたし。
それで、あの髪って……。ほむらちゃんも似たような感じだし、
女の敵だよね。
448: 2012/07/31(火) 23:35:17.23
まどか(しかし、この光景は癒されるね)
まさかここまでの威力があるとは甘く見てたよ。
この母娘恐るべし……。
ほむら「できたわ」
ほどか「ど、どうですか?」
まどか「うん! すっごく可愛いよ!」
ほむら「似合ってるわよ」
ほどか「ほ、ほんとうですか? 私、ちょっとあそこの鏡で見てきます!」
てててー。っと小走りに鏡の方に行く彼女。
その顔はいまだかつてない程に笑顔だ。
まどか(いやー。よかったよかった)
思惑通りだね。
ほむら「あんなに浮かれて……。転んで怪我でもしたらどうするのかしら」
そんなふうに言いつつも口元がにやけてるよほむらちゃん。
まっ、あんなに喜ばれたら嬉しいよね。
まどか「てぃひひ」
ほむら「どうしたの?」
まどか「えー? なんだか幸せだなーって」
幸せ。口についてでた言葉がこれほどまでにしっくりくることがあったでしょうか。
とても曖昧で不確かな言葉だけど、私は今とても幸せなのだと胸を張って言えます。
まどか(ずっとこんな日が続けばいいのに)
ふと、昨日の約束を思い出す。
ほどかちゃんは私にこういった。
――私達はこれからずっと一緒です。
ずっと一緒。あの子は確かにそう言ってくれたんだ。
まどか(……ばれてないって思ってるんだろうね)
あの子がなにかを隠していることは気づいている。
その内容がどんなものかはわからないけど、きっとそれはあの子の存在に関わることなのだろう。
でも、それを私に言えば必ず止められるとわかってるからあの子は嘘をついているんだ。
きっとあの子は私達を傷つけない為に嘘をついたんだろう。
それが結局、傷つけることに繋がることもわかってて。
まさかここまでの威力があるとは甘く見てたよ。
この母娘恐るべし……。
ほむら「できたわ」
ほどか「ど、どうですか?」
まどか「うん! すっごく可愛いよ!」
ほむら「似合ってるわよ」
ほどか「ほ、ほんとうですか? 私、ちょっとあそこの鏡で見てきます!」
てててー。っと小走りに鏡の方に行く彼女。
その顔はいまだかつてない程に笑顔だ。
まどか(いやー。よかったよかった)
思惑通りだね。
ほむら「あんなに浮かれて……。転んで怪我でもしたらどうするのかしら」
そんなふうに言いつつも口元がにやけてるよほむらちゃん。
まっ、あんなに喜ばれたら嬉しいよね。
まどか「てぃひひ」
ほむら「どうしたの?」
まどか「えー? なんだか幸せだなーって」
幸せ。口についてでた言葉がこれほどまでにしっくりくることがあったでしょうか。
とても曖昧で不確かな言葉だけど、私は今とても幸せなのだと胸を張って言えます。
まどか(ずっとこんな日が続けばいいのに)
ふと、昨日の約束を思い出す。
ほどかちゃんは私にこういった。
――私達はこれからずっと一緒です。
ずっと一緒。あの子は確かにそう言ってくれたんだ。
まどか(……ばれてないって思ってるんだろうね)
あの子がなにかを隠していることは気づいている。
その内容がどんなものかはわからないけど、きっとそれはあの子の存在に関わることなのだろう。
でも、それを私に言えば必ず止められるとわかってるからあの子は嘘をついているんだ。
きっとあの子は私達を傷つけない為に嘘をついたんだろう。
それが結局、傷つけることに繋がることもわかってて。
449: 2012/07/31(火) 23:35:44.70
ほむら「まどか?」
私が険しい顔をしているのを不審に思ったのだろう。
ほむらちゃんが心配そうに話しかけてくれる。
まどか「ねぇ、ほむらちゃん。
ほむらちゃんはほどかちゃんがやろうとしていることを知ってるよね?」
ほむら「!」
当たり。
まぁ、あれだけほどかちゃんに対する態度が変わればなにかあるとは思うよね。
まどか「教えて。私だけ知らないのはおかしいよ」
だって、私はあの子のパパなんだから。
ほむら「で、でも……」
言い難いことなんだね。
たぶん、私が想像しているよりも残酷なことなんだろうな。
なら、なおさら聞かないと。
まどか「ほむらちゃんが一人で苦しむ必要はないよ。
私だってあの子の親なんだから、なら私だって一緒に苦しみたい」
ほむら「!」
まどか「まぁでも、さすがにここではマズイよね。ほどかちゃんもいるし」
あの子が必氏に隠していることだ。
ばれたとわかれば姿を消すかもしれない。
まどか「今日の夜。
ほどかちゃんにばれないように家から抜け出して、ほむらちゃんの家にいくからその時にお願い」
ほむらちゃんの目を見てほぼ一方的にそう告げる。
無理だと言われても無理やりにでも聞き出す。
ほむら「……わかったわ」
私の覚悟が伝わったのか、ほむらちゃんは少し息を吐き諦めたように首を二、三振り了承する。
まどか「ごめんね。無理言っちゃって」
ほむら「悪いとは思ってないくせに」
まどか「てぃひひ……」
ばれてるか。さすがほむらちゃん。私の事はよくわかってるね。
まどか「だって、私だけなにも知らないままとか酷いよね?」
たぶん、さやかちゃん達もこのことは知ってるんだろう。
昨日の学校での態度は少し変だったから。
まどか(ほどかちゃんの顔を見ずらそうにしてたもん)
全く、みんなわかりやすすぎるよ。
下手な嘘なんて、つかないほうがいいのに……。
私が険しい顔をしているのを不審に思ったのだろう。
ほむらちゃんが心配そうに話しかけてくれる。
まどか「ねぇ、ほむらちゃん。
ほむらちゃんはほどかちゃんがやろうとしていることを知ってるよね?」
ほむら「!」
当たり。
まぁ、あれだけほどかちゃんに対する態度が変わればなにかあるとは思うよね。
まどか「教えて。私だけ知らないのはおかしいよ」
だって、私はあの子のパパなんだから。
ほむら「で、でも……」
言い難いことなんだね。
たぶん、私が想像しているよりも残酷なことなんだろうな。
なら、なおさら聞かないと。
まどか「ほむらちゃんが一人で苦しむ必要はないよ。
私だってあの子の親なんだから、なら私だって一緒に苦しみたい」
ほむら「!」
まどか「まぁでも、さすがにここではマズイよね。ほどかちゃんもいるし」
あの子が必氏に隠していることだ。
ばれたとわかれば姿を消すかもしれない。
まどか「今日の夜。
ほどかちゃんにばれないように家から抜け出して、ほむらちゃんの家にいくからその時にお願い」
ほむらちゃんの目を見てほぼ一方的にそう告げる。
無理だと言われても無理やりにでも聞き出す。
ほむら「……わかったわ」
私の覚悟が伝わったのか、ほむらちゃんは少し息を吐き諦めたように首を二、三振り了承する。
まどか「ごめんね。無理言っちゃって」
ほむら「悪いとは思ってないくせに」
まどか「てぃひひ……」
ばれてるか。さすがほむらちゃん。私の事はよくわかってるね。
まどか「だって、私だけなにも知らないままとか酷いよね?」
たぶん、さやかちゃん達もこのことは知ってるんだろう。
昨日の学校での態度は少し変だったから。
まどか(ほどかちゃんの顔を見ずらそうにしてたもん)
全く、みんなわかりやすすぎるよ。
下手な嘘なんて、つかないほうがいいのに……。
450: 2012/07/31(火) 23:36:32.86
まどか「お願い……。覚悟は出来てるから……」
ほむら「……えぇ」
少し嘘。本当はちょっと怖い。
まどか(でも、本当に怖いのはきっと……)
鏡の前でほむらちゃんにセットしてもらった髪を嬉しそうに眺め、色々とポーズをとるほどかちゃんを見る。
その姿は普通の女の子のようで、とてもなにか悲壮な決意をした人には見えなかった。
まどか(本当に、あの子は……)
幸せそうなあの子を見ていると胸に温かいものが流れるようだ。
でも、今はそれが悲しい。
ほむら「……」
ちらりとほむらちゃんを見る。
ほむらちゃんもほどかちゃんの方をじっと見つめている。
その顔は微笑んでいるがとても悲しそうであの子を憐れんでいるようにも見える。
まどか(ほむらちゃんも同じ気持ちか……)
色々あったけど、ほむらちゃんもようやくあの子を娘として認めて、不器用ながらも母として接している。
まどか(おかしい話だよね、私達まだ中学生なのに)
しかも私に至っては女の子だ。
まどか(でも、今は……)
今は、あの子の親でないと言われた方が違和感がある。
いや、違和感どころではない。
まどか(絶対に私は、私達はあの子のパパとママだから)
隣にいるほむらちゃんの手を握る。
突然のことに驚くほむらちゃんだっだが、すぐにそれを受け入れ私の手を握り返してくれる。
そして、二人で笑いあい、頷く。
きっと、今の私達の気持ちは同じで繋がっている。
だから、私にはもう怖いものなどない。
だから、私はもう悩まない。
だから、私はもう挫けない。
だから、私は絶対にあの子を守ってみせる――。
――そして、ついに運命の日が訪れた――
ほむら「……えぇ」
少し嘘。本当はちょっと怖い。
まどか(でも、本当に怖いのはきっと……)
鏡の前でほむらちゃんにセットしてもらった髪を嬉しそうに眺め、色々とポーズをとるほどかちゃんを見る。
その姿は普通の女の子のようで、とてもなにか悲壮な決意をした人には見えなかった。
まどか(本当に、あの子は……)
幸せそうなあの子を見ていると胸に温かいものが流れるようだ。
でも、今はそれが悲しい。
ほむら「……」
ちらりとほむらちゃんを見る。
ほむらちゃんもほどかちゃんの方をじっと見つめている。
その顔は微笑んでいるがとても悲しそうであの子を憐れんでいるようにも見える。
まどか(ほむらちゃんも同じ気持ちか……)
色々あったけど、ほむらちゃんもようやくあの子を娘として認めて、不器用ながらも母として接している。
まどか(おかしい話だよね、私達まだ中学生なのに)
しかも私に至っては女の子だ。
まどか(でも、今は……)
今は、あの子の親でないと言われた方が違和感がある。
いや、違和感どころではない。
まどか(絶対に私は、私達はあの子のパパとママだから)
隣にいるほむらちゃんの手を握る。
突然のことに驚くほむらちゃんだっだが、すぐにそれを受け入れ私の手を握り返してくれる。
そして、二人で笑いあい、頷く。
きっと、今の私達の気持ちは同じで繋がっている。
だから、私にはもう怖いものなどない。
だから、私はもう悩まない。
だから、私はもう挫けない。
だから、私は絶対にあの子を守ってみせる――。
――そして、ついに運命の日が訪れた――
451: 2012/07/31(火) 23:37:21.14
―三人称―
―― ??? ――
???「みなさんお揃いでこんなところに来て――。一体、どうしたんですか?」
さやか「どうしたもこうしたもないよ」
マミ「そんなこと聞かれるまでもないでしょ?」
杏子「バカな仲間が暴走して、わけのわからないことを仕出かそうとしてる。だからそれを止めに来た。それだけだ」
???「そうですか。そんなお仲間がいるんですね。心中お察しします」
広い、とても暗く、なにやら異音が聞こえる空間に五つの存在が対峙する。
その空間はとても暗く、しかし何も見えないというわけではなく、ただ、暗い。
視覚的な意味での暗さではなく、精神的な意味での暗さを心に残す異様な空間だった。
その空間には、天井などは存在せず、材質はわからぬが赤茶に焦げた地面がその球形の形を現し、不自然に宙に浮かぶだけで他にはなにもない。
ただ、存在するとすれば、その部屋の主であろうか、一つの異形だけであった。
いや、よく見ればその異形の背後に大きな白い物が見える。
あまりにも巨大すぎてそれを見る者は壁としか認知できないであろう。
しかし、はるか上空からそれを見れば、ある物質であることがわかる。
それは大きな、あまりにも巨大な繭であった。
ドクンドクンと脈動し、今にも孵化しそうなそれはただ、自らの誕生を待っているように見える。
そして、異形はその繭を守るように、母が子を庇うようにその前に立ちふさがる。
その異形は、人の姿に似てはいるが、真っ黒の翼を背に二枚持ち、頭部に黒の兜。体には薄いアーマーを着込み、
下部には黒のスカートを穿き、衛兵が装備するような長いブーツを履いている。
その姿はまるで神話に存在する戦乙女を彷彿とさせ、崇高な存在であるのではないかと見る者を魅了する程美しかった。
その異形の瞳は左目は紫に輝き、右目は桃色に輝いている。
そして、周囲には数多くの三角錐に形どる飛行物が浮いておりその異形を守るよう、もしくはその意志に従うように飛行している。
一つ普通の人としての形があるとするならば、
髪を結わうのに使っているものが、ピンクパープルに彩られた人の手で作られたであろうリボンを使用していることか。
ほむら「ほどか、愚かなことは止めなさい」
一人の魔法少女が一歩、異形の前に歩を進める。
―― ??? ――
???「みなさんお揃いでこんなところに来て――。一体、どうしたんですか?」
さやか「どうしたもこうしたもないよ」
マミ「そんなこと聞かれるまでもないでしょ?」
杏子「バカな仲間が暴走して、わけのわからないことを仕出かそうとしてる。だからそれを止めに来た。それだけだ」
???「そうですか。そんなお仲間がいるんですね。心中お察しします」
広い、とても暗く、なにやら異音が聞こえる空間に五つの存在が対峙する。
その空間はとても暗く、しかし何も見えないというわけではなく、ただ、暗い。
視覚的な意味での暗さではなく、精神的な意味での暗さを心に残す異様な空間だった。
その空間には、天井などは存在せず、材質はわからぬが赤茶に焦げた地面がその球形の形を現し、不自然に宙に浮かぶだけで他にはなにもない。
ただ、存在するとすれば、その部屋の主であろうか、一つの異形だけであった。
いや、よく見ればその異形の背後に大きな白い物が見える。
あまりにも巨大すぎてそれを見る者は壁としか認知できないであろう。
しかし、はるか上空からそれを見れば、ある物質であることがわかる。
それは大きな、あまりにも巨大な繭であった。
ドクンドクンと脈動し、今にも孵化しそうなそれはただ、自らの誕生を待っているように見える。
そして、異形はその繭を守るように、母が子を庇うようにその前に立ちふさがる。
その異形は、人の姿に似てはいるが、真っ黒の翼を背に二枚持ち、頭部に黒の兜。体には薄いアーマーを着込み、
下部には黒のスカートを穿き、衛兵が装備するような長いブーツを履いている。
その姿はまるで神話に存在する戦乙女を彷彿とさせ、崇高な存在であるのではないかと見る者を魅了する程美しかった。
その異形の瞳は左目は紫に輝き、右目は桃色に輝いている。
そして、周囲には数多くの三角錐に形どる飛行物が浮いておりその異形を守るよう、もしくはその意志に従うように飛行している。
一つ普通の人としての形があるとするならば、
髪を結わうのに使っているものが、ピンクパープルに彩られた人の手で作られたであろうリボンを使用していることか。
ほむら「ほどか、愚かなことは止めなさい」
一人の魔法少女が一歩、異形の前に歩を進める。
452: 2012/07/31(火) 23:38:48.31
ほどかと呼ばれたその異形はその少女を慈しむように見る。
ほどか「愚かなこととはなんでしょう」
そして微笑みながら、問う。
ほむら「あなたの馬鹿な自己犠牲のことよ」
じっとほどかの瞳を見つめ、ほむらはそう言い放つ。
ほむら「あなたが犠牲になることはないでしょう」
ほどか「ですが、誰かがやらなくてはいけないことです。このまま放っておけば無駄に悲しむ人が出てくるだけ」
ほむらの言葉にそう反論する。
その言葉を聞いてまた一人魔法少女が前に進みである。
さやか「じゃああんたは、あんたがいなくなることで出る悲しむ人はどうなってもいいっていうの?」
ほどか「それについては申し訳ないと思います。ですが、なにか重大な事を成し遂げる時、犠牲は必ず出るものです」
マミ「その犠牲があなたの守りたいものなのに?」
杏子「それって、矛盾してないか? お前はお前が守りたいものの為にこの時代にきたんだろう?」
新たに二人の魔法少女が前に進み、そう問いかける。
ほどか「論点のすり替えですね。私は私の守りたいものの為に今、こうしているんですよ?
それに、犠牲とは私一人のことだけを言います。他の誰も犠牲にはなりませんよ」
四人の魔法少女を順番に見やりそう答える。
さやか「それじゃあ私の質問には答えてないね。
あんたのその自己犠牲のせいで悲しんで辛い思いをする人の気持ちはどうするっていうのさ」
ほどか「それについては、さっきも言ったように謝るしかありません。時が解決してくれるとしか言えませんね」
さやか「そんなことで納得できると!?」
ほどか「納得してもらうしかありません。全員が納得して、幸せな道を歩める方法なんて馬鹿な私には思いつきませんでしたから」
杏子「じゃあ、なんだよ。お前はこれを自分の独りよがりな考えでやらかしたってことになるな。誰も頼んでねーのに」
杏子が挑発気味にケラケラ笑いながらそう告げる。
杏子「つまりこれはお前のわがままってことだ」
ほどか「そうですね。そう捉えてくれても構いません。誰に頼まれたわけではありませんので」
マミ「そう。じゃあ、私達があなたを止めるのも私達のわがままってことでいいかしら」
マミが多量のマスケット銃を召喚しその内の一つをほどかに構える。
ほどか「そうですね。それはマミさん達の意志です。なら私にそれをどうこう言う権利はありませんね」
さやか「そっか。じゃあ、あんたへの説教はあんたをボッコボコにしてからたっぷりとしてやるよ」
さやかも自身の手に持つ剣を構え、ほどかに向き直る。
ほどか「お説教も痛いのも嫌なので反抗しますよ?」
杏子「構わないさ、どうせそれは無駄に終わる」
槍を構えいつでも戦闘を始められように臨戦態勢を取る。
ほどか「愚かなこととはなんでしょう」
そして微笑みながら、問う。
ほむら「あなたの馬鹿な自己犠牲のことよ」
じっとほどかの瞳を見つめ、ほむらはそう言い放つ。
ほむら「あなたが犠牲になることはないでしょう」
ほどか「ですが、誰かがやらなくてはいけないことです。このまま放っておけば無駄に悲しむ人が出てくるだけ」
ほむらの言葉にそう反論する。
その言葉を聞いてまた一人魔法少女が前に進みである。
さやか「じゃああんたは、あんたがいなくなることで出る悲しむ人はどうなってもいいっていうの?」
ほどか「それについては申し訳ないと思います。ですが、なにか重大な事を成し遂げる時、犠牲は必ず出るものです」
マミ「その犠牲があなたの守りたいものなのに?」
杏子「それって、矛盾してないか? お前はお前が守りたいものの為にこの時代にきたんだろう?」
新たに二人の魔法少女が前に進み、そう問いかける。
ほどか「論点のすり替えですね。私は私の守りたいものの為に今、こうしているんですよ?
それに、犠牲とは私一人のことだけを言います。他の誰も犠牲にはなりませんよ」
四人の魔法少女を順番に見やりそう答える。
さやか「それじゃあ私の質問には答えてないね。
あんたのその自己犠牲のせいで悲しんで辛い思いをする人の気持ちはどうするっていうのさ」
ほどか「それについては、さっきも言ったように謝るしかありません。時が解決してくれるとしか言えませんね」
さやか「そんなことで納得できると!?」
ほどか「納得してもらうしかありません。全員が納得して、幸せな道を歩める方法なんて馬鹿な私には思いつきませんでしたから」
杏子「じゃあ、なんだよ。お前はこれを自分の独りよがりな考えでやらかしたってことになるな。誰も頼んでねーのに」
杏子が挑発気味にケラケラ笑いながらそう告げる。
杏子「つまりこれはお前のわがままってことだ」
ほどか「そうですね。そう捉えてくれても構いません。誰に頼まれたわけではありませんので」
マミ「そう。じゃあ、私達があなたを止めるのも私達のわがままってことでいいかしら」
マミが多量のマスケット銃を召喚しその内の一つをほどかに構える。
ほどか「そうですね。それはマミさん達の意志です。なら私にそれをどうこう言う権利はありませんね」
さやか「そっか。じゃあ、あんたへの説教はあんたをボッコボコにしてからたっぷりとしてやるよ」
さやかも自身の手に持つ剣を構え、ほどかに向き直る。
ほどか「お説教も痛いのも嫌なので反抗しますよ?」
杏子「構わないさ、どうせそれは無駄に終わる」
槍を構えいつでも戦闘を始められように臨戦態勢を取る。
453: 2012/07/31(火) 23:39:50.91
ほどか「まだ始まってもいないのに凄い自身ですね。言っときますけど私、強いですよ?」
ほむら「知ってるわ。あなたはとっても強い子。なぜならこんなことを一人で成し遂げようとしているんだもの」
ほむらがまた一歩二歩とほどかに近寄る。
ほむら「でもね、それは同時に弱さよ。誰に頼ることもなく。誰に相談するでもなく。一人で成し遂げようとすることは弱さ」
きっとほどかを睨み付け、彼女の行いが弱さからくるものだと断言する。
ほどか「一人でなんでも出来るならその人は強いと思いますが」
ほどかの視線はほむらにだけ注がれている。
その表情からはこの人にだけはわかってほしかった。
そう感じられた。
ほむら「いいえ、弱さよ。なぜなら人は一人では生きられない」
銃を盾から取り出すほむら。
ほむら「人の持つ本当の強さっていうのわね。互いに支え合うことで弱さを補うところにあるの」
そして銃を構える。
ほむら「喜びも悲しみも分け合って、そして想いを強くする。
あなたのように一人で全てを背負い込んで一人で成し遂げようとする。それは――」
銃口をほどかに向け言い放つ。
弱さよ――!!
止める為に。戦う。
大切な人だから、失いたくない人だから。
だから、戦う。
たとえ、そのせいで傷つけようとも傷つこうとも。
矛盾しているようで正しい行いを、ただ決意をもって先へ進む為に歩んでいく。
あの子と共に歩む為に。約束を果たす為に。
なぜなら――。
あなたは私の――。
大切な――。
ほむら「止めてみせるわ! あなたを必ず!!」
ほどか「止められるなら止めてみて下さい! あなた達が、あなたが何と言おうと私は止まりません!!」
そう言うと、ほどかは目の前に手をかざす。
すると、今までなにもないはずだった場所に魔法陣が浮かび、その中心から生えるように、大きな剣が具現される。
その、彼女には大き過ぎる大剣を両手で持ち構える。
自分の邪魔をするならば、容赦はしないという意思を込めて。
ほどか「この歩みを止めるわけにはいかないんです!!!」
――今、この場所で彼女達の運命を決める、最後の戦いが始まろうとしていた。
ほむら「知ってるわ。あなたはとっても強い子。なぜならこんなことを一人で成し遂げようとしているんだもの」
ほむらがまた一歩二歩とほどかに近寄る。
ほむら「でもね、それは同時に弱さよ。誰に頼ることもなく。誰に相談するでもなく。一人で成し遂げようとすることは弱さ」
きっとほどかを睨み付け、彼女の行いが弱さからくるものだと断言する。
ほどか「一人でなんでも出来るならその人は強いと思いますが」
ほどかの視線はほむらにだけ注がれている。
その表情からはこの人にだけはわかってほしかった。
そう感じられた。
ほむら「いいえ、弱さよ。なぜなら人は一人では生きられない」
銃を盾から取り出すほむら。
ほむら「人の持つ本当の強さっていうのわね。互いに支え合うことで弱さを補うところにあるの」
そして銃を構える。
ほむら「喜びも悲しみも分け合って、そして想いを強くする。
あなたのように一人で全てを背負い込んで一人で成し遂げようとする。それは――」
銃口をほどかに向け言い放つ。
弱さよ――!!
止める為に。戦う。
大切な人だから、失いたくない人だから。
だから、戦う。
たとえ、そのせいで傷つけようとも傷つこうとも。
矛盾しているようで正しい行いを、ただ決意をもって先へ進む為に歩んでいく。
あの子と共に歩む為に。約束を果たす為に。
なぜなら――。
あなたは私の――。
大切な――。
ほむら「止めてみせるわ! あなたを必ず!!」
ほどか「止められるなら止めてみて下さい! あなた達が、あなたが何と言おうと私は止まりません!!」
そう言うと、ほどかは目の前に手をかざす。
すると、今までなにもないはずだった場所に魔法陣が浮かび、その中心から生えるように、大きな剣が具現される。
その、彼女には大き過ぎる大剣を両手で持ち構える。
自分の邪魔をするならば、容赦はしないという意思を込めて。
ほどか「この歩みを止めるわけにはいかないんです!!!」
――今、この場所で彼女達の運命を決める、最後の戦いが始まろうとしていた。
454: 2012/07/31(火) 23:40:28.79
―― 少し前 ――
――直ちに避難指示の発令を!!
雷雲が轟音を轟かせる中、見滝原の市役所では職員が慌ただしく動いていた。
鹿目まどかが鹿目ほどかと出会い一ヶ月が経ったその日。
彼女の言葉通りに今日この日、大きな災いがこの街を襲おうとしていた。
――本日午前七時。突発的異常気象に伴い、避難指示が発令されました。付近にお住いの皆様は速やかに最寄りの避難場所への移動をお願いします。
ほむら「……くる……!」
マミ「……」
さやか「ついにこの日が……」
杏子「あぁ」
ほどか(これで全てが……)
5人の魔法少女はその災厄を迎え撃つ為にここにいた。
それぞれの想いを秘めながら――。
――直ちに避難指示の発令を!!
雷雲が轟音を轟かせる中、見滝原の市役所では職員が慌ただしく動いていた。
鹿目まどかが鹿目ほどかと出会い一ヶ月が経ったその日。
彼女の言葉通りに今日この日、大きな災いがこの街を襲おうとしていた。
――本日午前七時。突発的異常気象に伴い、避難指示が発令されました。付近にお住いの皆様は速やかに最寄りの避難場所への移動をお願いします。
ほむら「……くる……!」
マミ「……」
さやか「ついにこの日が……」
杏子「あぁ」
ほどか(これで全てが……)
5人の魔法少女はその災厄を迎え撃つ為にここにいた。
それぞれの想いを秘めながら――。
455: 2012/07/31(火) 23:41:46.67
―― 避難場所 ――
避難場所に選ばれた公民館では、避難指示に従った人々がひしめいていた。
不安そうな顔をする者。珍しい事態に浮かれる者。ただ、ボーっと警報が解かれる事を待つもの。
色々な人が様々な考えの中、思い思いに過ごす。
この人々に共通する考えといえば、氏ぬことはないだろう。
それだけか。
タツヤ「きょーはおとまりー? きゃんぷなのー?」
知久「あぁー。そうだよ。今日はみんなで一緒にキャンプだー!」
知久が息子であるタツヤの問いにそう答え、その幼い体を抱き上げる。
その行為に無邪気に喜ぶタツヤ。そしてその笑顔を見て優しく微笑む母である詢子と知久。
まどか「……」
ただ、娘であるまどかだけが浮かない表情をしていた。
まどか(みんな……)
何かを祈るように、ただただ、想い続ける。
みんなの無事を。そして、未来を。
避難場所に選ばれた公民館では、避難指示に従った人々がひしめいていた。
不安そうな顔をする者。珍しい事態に浮かれる者。ただ、ボーっと警報が解かれる事を待つもの。
色々な人が様々な考えの中、思い思いに過ごす。
この人々に共通する考えといえば、氏ぬことはないだろう。
それだけか。
タツヤ「きょーはおとまりー? きゃんぷなのー?」
知久「あぁー。そうだよ。今日はみんなで一緒にキャンプだー!」
知久が息子であるタツヤの問いにそう答え、その幼い体を抱き上げる。
その行為に無邪気に喜ぶタツヤ。そしてその笑顔を見て優しく微笑む母である詢子と知久。
まどか「……」
ただ、娘であるまどかだけが浮かない表情をしていた。
まどか(みんな……)
何かを祈るように、ただただ、想い続ける。
みんなの無事を。そして、未来を。
456: 2012/07/31(火) 23:42:26.71
ほむら「……」
荒れ狂う気象の中、5人の少女は歩いていく。
その途上、5人は変身を済ませる。
マミ「あれがワルプルギスの夜……」
マミは雷雲の中にある影を見つけ、そう呟く。
さやか「でかいね」
その影は巨大で、見る者に恐怖を与えるかのように空中に静止していた。
杏子「ま、アタシ達ならラクショーだろ」
普段通りの調子で杏子そう言い放つ。
だが、その表情は至って真面目だ。
ほどか「これで、終わりです。みなさん油断しないでください」
ほどかが気を引き締めるように4人に伝える。
その言葉に皆は頷き、あるいは笑顔で了承の意を伝える。
ほむら「今度こそ。決着をつけてやる……!」
眼前に聳える魔女に向かいそう吐き捨てるように呟き、ほむらは盾に収納してあったランチャーを取り出す。
杏子「じゃあ、予定通り私とさやかは前線に斬りこんでくる。援護は任せたからな」
マミ「任せて」
杏子とさやかが自身の武器を携える。
そして、マミは大量のマスケット銃を取り出し、隣でランチャーを構えるほむらと同じようにワルプルギスに向けて銃口を構える。
ほどか「使い魔は任せて下さい。あと、これを」
ほどかがワルプルギスのもとへ向かおうとする二人に小型の箱のようなものを手渡す。
さやか「なにこれ?」
ほどか「ステルスです。これを所持している限りお二人の位置がワルプルギスと使い魔にバレることはありません」
杏子「は、そいつは頼りになるね」
そう言ってステルス機能のついた装置を受け取る二人。
荒れ狂う気象の中、5人の少女は歩いていく。
その途上、5人は変身を済ませる。
マミ「あれがワルプルギスの夜……」
マミは雷雲の中にある影を見つけ、そう呟く。
さやか「でかいね」
その影は巨大で、見る者に恐怖を与えるかのように空中に静止していた。
杏子「ま、アタシ達ならラクショーだろ」
普段通りの調子で杏子そう言い放つ。
だが、その表情は至って真面目だ。
ほどか「これで、終わりです。みなさん油断しないでください」
ほどかが気を引き締めるように4人に伝える。
その言葉に皆は頷き、あるいは笑顔で了承の意を伝える。
ほむら「今度こそ。決着をつけてやる……!」
眼前に聳える魔女に向かいそう吐き捨てるように呟き、ほむらは盾に収納してあったランチャーを取り出す。
杏子「じゃあ、予定通り私とさやかは前線に斬りこんでくる。援護は任せたからな」
マミ「任せて」
杏子とさやかが自身の武器を携える。
そして、マミは大量のマスケット銃を取り出し、隣でランチャーを構えるほむらと同じようにワルプルギスに向けて銃口を構える。
ほどか「使い魔は任せて下さい。あと、これを」
ほどかがワルプルギスのもとへ向かおうとする二人に小型の箱のようなものを手渡す。
さやか「なにこれ?」
ほどか「ステルスです。これを所持している限りお二人の位置がワルプルギスと使い魔にバレることはありません」
杏子「は、そいつは頼りになるね」
そう言ってステルス機能のついた装置を受け取る二人。
457: 2012/07/31(火) 23:43:07.28
ほどか「ですが、本当に消えたわけではありませんので攻撃は受けます。その点にはよく注意をして下さいね」
その言葉に了解。とだけ返し、ワルプルギスのもとへ向かう。
マミ「ねぇ、二人が見えなくなるのなら私達も攻撃しづらくなるんじゃ……」
マミが銃口の先から目を離し疑問をぶつける。
ほどか「大丈夫です。私達にはお二人の姿が見えるようにちゃんと設定してますから」
マミ「そう」
なら安心ね。そう言って、再び銃口の先へと目を向ける。
そして――。
多量の発射音が辺りに響く。
ほむらとマミの攻撃が始まり、その砲撃はワルプルギスに直撃する。
そして、ワルプルギスは爆煙に飲まれる。
マミ「一応直撃だけど……」
ほむら「まだ終わりじゃないわ!」
砲撃による煙が晴れる。しかし、そこには先ほどと変わらない姿のワルプルギスが存在していた。
マミ「あれだけの攻撃を喰らって無傷!?」
ワルプルギスの夜「アーハハハハハハハ」
不気味な笑いを発しながら空中を舞うように動くワルプルギス。
その姿はまるで、無力な少女達の無謀を憐れんでいるかのようにも感じた。
マミ「く、バカにして!」
マミが改めてマスケット銃を召喚する。
そして、改めて発砲しようとした時、ワルプルギスの動きが止まった。
その言葉に了解。とだけ返し、ワルプルギスのもとへ向かう。
マミ「ねぇ、二人が見えなくなるのなら私達も攻撃しづらくなるんじゃ……」
マミが銃口の先から目を離し疑問をぶつける。
ほどか「大丈夫です。私達にはお二人の姿が見えるようにちゃんと設定してますから」
マミ「そう」
なら安心ね。そう言って、再び銃口の先へと目を向ける。
そして――。
多量の発射音が辺りに響く。
ほむらとマミの攻撃が始まり、その砲撃はワルプルギスに直撃する。
そして、ワルプルギスは爆煙に飲まれる。
マミ「一応直撃だけど……」
ほむら「まだ終わりじゃないわ!」
砲撃による煙が晴れる。しかし、そこには先ほどと変わらない姿のワルプルギスが存在していた。
マミ「あれだけの攻撃を喰らって無傷!?」
ワルプルギスの夜「アーハハハハハハハ」
不気味な笑いを発しながら空中を舞うように動くワルプルギス。
その姿はまるで、無力な少女達の無謀を憐れんでいるかのようにも感じた。
マミ「く、バカにして!」
マミが改めてマスケット銃を召喚する。
そして、改めて発砲しようとした時、ワルプルギスの動きが止まった。
458: 2012/07/31(火) 23:43:39.14
杏子「へらへら笑ってんじゃねーよ! ちょこまか動きやがって! じっとしてろ!」
杏子がビルの上に立ち、多量の槍を召喚。そしてその伸縮自在の槍を鎖のようにしワルプルギスの夜を縛り付ける。
杏子「さやか!」
さやか「任せて!」
縛り付けられ身動きできないワルプルギスにさやかがその眼前にまで飛び上がり、空を斬る。
そして、それによって生み出された無数の鎌鼬を浴びせかける。
さやか「でやあああああああああああ!!!!」
だが、ワルプルギスはそんな攻撃にも動じずに相変わらず笑い続ける。
ワルプルギスの夜「キャーハハハハハハハ」
さやか「ちっ、傍でゲラゲラと! うるさいっての!!」
もう一度斬撃を浴びせようと剣を構えるさやか、しかしそれは杏子の静止により中断された。
杏子「! さやか一度退け! 様子が変だ!」
杏子の言葉にワルプルギスの夜を縛りつけていた鎖に着地するさやか。
その姿を確認した杏子はすぐさま縛りを解き、さやかをワルプルギスのもとから引きはがそうと鎖を自身の方へ引き付ける。
さやかが杏子のもとへ辿り着いた瞬間。
それまで笑うことだけにしか使われていなかったワルプルギスの口から炎が吐き出された。
さやか「嘘でしょ……。あいつ火まで噴けるの」
杏子「ふざけた野郎だな。全く……」
これでは至近距離からの攻撃は危険すぎる。
相手に姿が見られていないことを考慮すれば少しづつならば攻撃を仕掛けられるだろうがそれでは効果は薄いだろう。
杏子(こりゃどうもまいったね……)
堅過ぎる。こいつを倒すためには超強力な一撃をお見舞いするしかないのだろう……。
杏子(と、なると頼りになるのは……)
鹿目ほどか。
現最強の魔法少女である彼女に任せるしかないのだろう。
杏子(あいつは頑なに力を隠してきた)
だが、この状況下ではそれも、もう無理だろう。
杏子(まぁ、キュゥべぇが言っていた通りなら、それも納得か)
杏子がビルの上に立ち、多量の槍を召喚。そしてその伸縮自在の槍を鎖のようにしワルプルギスの夜を縛り付ける。
杏子「さやか!」
さやか「任せて!」
縛り付けられ身動きできないワルプルギスにさやかがその眼前にまで飛び上がり、空を斬る。
そして、それによって生み出された無数の鎌鼬を浴びせかける。
さやか「でやあああああああああああ!!!!」
だが、ワルプルギスはそんな攻撃にも動じずに相変わらず笑い続ける。
ワルプルギスの夜「キャーハハハハハハハ」
さやか「ちっ、傍でゲラゲラと! うるさいっての!!」
もう一度斬撃を浴びせようと剣を構えるさやか、しかしそれは杏子の静止により中断された。
杏子「! さやか一度退け! 様子が変だ!」
杏子の言葉にワルプルギスの夜を縛りつけていた鎖に着地するさやか。
その姿を確認した杏子はすぐさま縛りを解き、さやかをワルプルギスのもとから引きはがそうと鎖を自身の方へ引き付ける。
さやかが杏子のもとへ辿り着いた瞬間。
それまで笑うことだけにしか使われていなかったワルプルギスの口から炎が吐き出された。
さやか「嘘でしょ……。あいつ火まで噴けるの」
杏子「ふざけた野郎だな。全く……」
これでは至近距離からの攻撃は危険すぎる。
相手に姿が見られていないことを考慮すれば少しづつならば攻撃を仕掛けられるだろうがそれでは効果は薄いだろう。
杏子(こりゃどうもまいったね……)
堅過ぎる。こいつを倒すためには超強力な一撃をお見舞いするしかないのだろう……。
杏子(と、なると頼りになるのは……)
鹿目ほどか。
現最強の魔法少女である彼女に任せるしかないのだろう。
杏子(あいつは頑なに力を隠してきた)
だが、この状況下ではそれも、もう無理だろう。
杏子(まぁ、キュゥべぇが言っていた通りなら、それも納得か)
460: 2012/07/31(火) 23:44:37.73
―― 数日前 ほむホーム ――
ほむら「これが、あの子がこの時代にきた本当の理由。そしてあの子がやろうとしていることよ」
まどか「……」
ほむらちゃんとほどかちゃんとのお出かけも終えて、約束通りほむらちゃんの家に真実を教えてもらいにきた私。
その話はとても残酷なもので私はその衝撃にしばらく沈黙していた。
マミ「あの子の覚悟は本物よ。これは誰にも止められない」
私の頼みで集まってもらったマミさんが口を開く。
覚悟は本物。
そうだろうか。ほどかちゃんは本心からそう願っているのだろうか。
さやか「出来るならやめてほしいけどさ。でも、それじゃあほどかの頑張りを無駄にするわけだし……」
さやかちゃんが自分を納得させる為だろうか。
仕方がないよね。
そう呟く。
仕方がない? ほどかちゃんの犠牲は仕方がないこと……?
杏子「アタシもあいつの願いはバカだと思う。だけど、アイツが考えて出した結論なら文句は言えないだろ」
なら、好きにさせるしかない。
バカな願い。本当にそうだ。
自分の身を犠牲にして、みんなを救う。
そう言えば聞こえはいいだろう。だけど、そんなことは自分の思い通りにしようと企む独裁者と変わらない。
自分が望まない、嫌な未来を変える為に自分を犠牲にして世界を好きなように変えようなんて――。
まどか「ねぇ、ほむらちゃんはそれでいいと思う?」
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃんはそれで納得いく? あの子がやろうとしていることは正しいことだって、自信を持って言える?」
ほむら「それ、は……」
そうは思ってないんだね。なら――。
まどか「止めないとダメだよね。自分の娘が間違った道に進もうとしているのなら」
親である私達が――。
そう伝えるとほむらちゃんは俯くだけでなにも話さなくなった。
ほむら「これが、あの子がこの時代にきた本当の理由。そしてあの子がやろうとしていることよ」
まどか「……」
ほむらちゃんとほどかちゃんとのお出かけも終えて、約束通りほむらちゃんの家に真実を教えてもらいにきた私。
その話はとても残酷なもので私はその衝撃にしばらく沈黙していた。
マミ「あの子の覚悟は本物よ。これは誰にも止められない」
私の頼みで集まってもらったマミさんが口を開く。
覚悟は本物。
そうだろうか。ほどかちゃんは本心からそう願っているのだろうか。
さやか「出来るならやめてほしいけどさ。でも、それじゃあほどかの頑張りを無駄にするわけだし……」
さやかちゃんが自分を納得させる為だろうか。
仕方がないよね。
そう呟く。
仕方がない? ほどかちゃんの犠牲は仕方がないこと……?
杏子「アタシもあいつの願いはバカだと思う。だけど、アイツが考えて出した結論なら文句は言えないだろ」
なら、好きにさせるしかない。
バカな願い。本当にそうだ。
自分の身を犠牲にして、みんなを救う。
そう言えば聞こえはいいだろう。だけど、そんなことは自分の思い通りにしようと企む独裁者と変わらない。
自分が望まない、嫌な未来を変える為に自分を犠牲にして世界を好きなように変えようなんて――。
まどか「ねぇ、ほむらちゃんはそれでいいと思う?」
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃんはそれで納得いく? あの子がやろうとしていることは正しいことだって、自信を持って言える?」
ほむら「それ、は……」
そうは思ってないんだね。なら――。
まどか「止めないとダメだよね。自分の娘が間違った道に進もうとしているのなら」
親である私達が――。
そう伝えるとほむらちゃんは俯くだけでなにも話さなくなった。
461: 2012/07/31(火) 23:45:09.21
まどか「……。ほむらちゃんは何を迷ってるの? 何を悩んでるの?」
俯くほむらちゃんに問いを重ねる。
ほむら「私には、あの子を止める資格なんて、ないから……」
資格。ほむらちゃんはそう言った。
まどか「資格って?」
ほむら「私が未来から来たことは知ってるわよね?」
それならばほどかちゃんから聞いたことだ。
当然知っている。
まどか「確か、私を魔法少女にしない為だっけ」
未来で魔法少女になって氏んでしまった私を助けるためにほむらちゃんはキュゥべえと契約した。
ほむら「えぇ、願いの内容は少し違うけど。その通りよ。
じゃあ、このことは知っているかしら?」
まどか「このことって……?」
ほむら「私はこの1ヶ月をループしている。もう何度も何度も」
さやマミ杏「!!」
まどか「……」
ほむら「知らなかったようね」
まどか「成程ね、だから色んなことを知ってたんだ」
知りすぎている。そのことはずっと前から思っていたことだ。
ほむらちゃんはあらゆる場面を想定して動いている気がしていた。
まどか「だから、ほどかちゃんに対してあんなに警戒してたんだね」
ほむら「そうよ、今までのループではいなかった存在だもの。なにか異常なことが起こってるんじゃないかと思うに決まってるわ」
ほむらちゃんのほどかちゃんに対する態度はおかし過ぎると思っていた。
だけど、それなら納得がいく。
俯くほむらちゃんに問いを重ねる。
ほむら「私には、あの子を止める資格なんて、ないから……」
資格。ほむらちゃんはそう言った。
まどか「資格って?」
ほむら「私が未来から来たことは知ってるわよね?」
それならばほどかちゃんから聞いたことだ。
当然知っている。
まどか「確か、私を魔法少女にしない為だっけ」
未来で魔法少女になって氏んでしまった私を助けるためにほむらちゃんはキュゥべえと契約した。
ほむら「えぇ、願いの内容は少し違うけど。その通りよ。
じゃあ、このことは知っているかしら?」
まどか「このことって……?」
ほむら「私はこの1ヶ月をループしている。もう何度も何度も」
さやマミ杏「!!」
まどか「……」
ほむら「知らなかったようね」
まどか「成程ね、だから色んなことを知ってたんだ」
知りすぎている。そのことはずっと前から思っていたことだ。
ほむらちゃんはあらゆる場面を想定して動いている気がしていた。
まどか「だから、ほどかちゃんに対してあんなに警戒してたんだね」
ほむら「そうよ、今までのループではいなかった存在だもの。なにか異常なことが起こってるんじゃないかと思うに決まってるわ」
ほむらちゃんのほどかちゃんに対する態度はおかし過ぎると思っていた。
だけど、それなら納得がいく。
462: 2012/07/31(火) 23:45:37.67
まどか「でも、わかったでしょ? ほどかちゃんには敵意なんかないって」
ほむら「そうね。あの子は本当に優しい子。あの時の私が愚かだったのよ」
まどか「じゃあどうして? ループのこととほむらちゃんにほどかちゃんを止める資格がないのは関係ないよね?」
ほむら「私だって未来を変えようとしてるのよ? なのに関係ないなんて言えるかしら?」
……。確かにそうだ。
そうだけど、ほむらちゃんは……。
まどか「だけど、ほむらちゃんは自分を犠牲にしようとはしてないよね?」
無事にワルプルギスを倒せば普通に生活するつもりじゃ。
ほむら「いいえ。私は自分の目的を果たせば氏のうと考えていたわ」
さやマミ杏「!!」
まどか「どうして……?」
ほむら「私は魔法少女としては才能が無さすぎるの。時を止める能力のおかげで戦えてはいるけど……。
だけど、自分専用の魔法武器すら作れず、戦い方も現代兵器に頼ったもの」
まどか「……」
ほむら「でも、時を止める能力はワルプルギスの夜を倒しその日を越えれば失ってしまう。
私は魔法少女としては戦えなくなるのよ」
そう言ってほむらちゃんは自嘲気味に笑う。
何を言っているのだろうか。時を止める能力がなくなるから戦えない?
そんなことあるわけないのに……。
まどか「言ってる意味がわからないよ。能力がなくなるのと戦えなくなるのになんの関係が……」
ほむら「わからない? 魔法少女にはグリーフシードが必要なのよ?
そしてそれを取るには力がいる。力のない私には魔法少女として生きていくことは不可能なの」
成程ね……。こういうところもほむらちゃんに似たんだな。
勝手に一人で考えて勝手に一人で答えを出して。
結果自分一人が犠牲になれば済むとか考えちゃう。
まどか「ほむらちゃんのバカ」
ほむら「え?」
まどか「なに言ってるの? 力が無いから氏ぬ? 才能が無いから氏ぬ?」
ほむら「そうよ。それのなにがおかしいの……」
私の言葉にむっときたのか、ほむらちゃんは少し拗ね気味に反論する。
ほむら「そうね。あの子は本当に優しい子。あの時の私が愚かだったのよ」
まどか「じゃあどうして? ループのこととほむらちゃんにほどかちゃんを止める資格がないのは関係ないよね?」
ほむら「私だって未来を変えようとしてるのよ? なのに関係ないなんて言えるかしら?」
……。確かにそうだ。
そうだけど、ほむらちゃんは……。
まどか「だけど、ほむらちゃんは自分を犠牲にしようとはしてないよね?」
無事にワルプルギスを倒せば普通に生活するつもりじゃ。
ほむら「いいえ。私は自分の目的を果たせば氏のうと考えていたわ」
さやマミ杏「!!」
まどか「どうして……?」
ほむら「私は魔法少女としては才能が無さすぎるの。時を止める能力のおかげで戦えてはいるけど……。
だけど、自分専用の魔法武器すら作れず、戦い方も現代兵器に頼ったもの」
まどか「……」
ほむら「でも、時を止める能力はワルプルギスの夜を倒しその日を越えれば失ってしまう。
私は魔法少女としては戦えなくなるのよ」
そう言ってほむらちゃんは自嘲気味に笑う。
何を言っているのだろうか。時を止める能力がなくなるから戦えない?
そんなことあるわけないのに……。
まどか「言ってる意味がわからないよ。能力がなくなるのと戦えなくなるのになんの関係が……」
ほむら「わからない? 魔法少女にはグリーフシードが必要なのよ?
そしてそれを取るには力がいる。力のない私には魔法少女として生きていくことは不可能なの」
成程ね……。こういうところもほむらちゃんに似たんだな。
勝手に一人で考えて勝手に一人で答えを出して。
結果自分一人が犠牲になれば済むとか考えちゃう。
まどか「ほむらちゃんのバカ」
ほむら「え?」
まどか「なに言ってるの? 力が無いから氏ぬ? 才能が無いから氏ぬ?」
ほむら「そうよ。それのなにがおかしいの……」
私の言葉にむっときたのか、ほむらちゃんは少し拗ね気味に反論する。
464: 2012/07/31(火) 23:46:05.42
まどか「おかしいよ。そんなの絶対おかしい。だってさ、それってさ」
――私達のことを全然信頼してないってことだよね?
そう言ってさやかちゃん達の方を見る。
さやかちゃん達の顔は呆れや怒りが浮かんでいて、私と同じことを思っているんだなって感じさせた。
ほむら「……」
まどか「ねぇ、ほむらちゃん。ほむらちゃんには私達がいるんだよ?」
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃんには一緒に戦ってくれる仲間がいるんだよ?」
いつも一人で戦ってきたほむらちゃんは、いつしか後ろを見ることを忘れてしまった。
前を向いてただ、歩を進める。止まることもせずにただ、未来の為に。
振り返れば仲間がいることも忘れ。優しく見守ってくれていることにも気づかずに。
ただ最初の約束を信じ、祈り……。
でもそれは依存だ。
その約束に固執し、結局ほむらちゃんは進むことはできなかった。
彼女は歩んでいるつもりでも、結局前へ進むことはできなかった。
迷子の子供のように、ただ同じところを彷徨って……。
いや、子供ならばまだマシだ。
泣いて自分が困っていることを周囲に伝えることが出来る。
だけど、ほむらちゃんは泣くことも禁じて誰かに頼ることもせずに進んだから、自分が袋小路に閉じ込められていることにも気づかずにいた。
まどか「ほむらちゃんはもっと私達を頼っていいんだよ?
ううん。何度も私達を助けようとしたほむらちゃんは私達に頼らなきゃダメ」
ほむら「でも、力がない私がいたら、足手まといに……」
――私達のことを全然信頼してないってことだよね?
そう言ってさやかちゃん達の方を見る。
さやかちゃん達の顔は呆れや怒りが浮かんでいて、私と同じことを思っているんだなって感じさせた。
ほむら「……」
まどか「ねぇ、ほむらちゃん。ほむらちゃんには私達がいるんだよ?」
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃんには一緒に戦ってくれる仲間がいるんだよ?」
いつも一人で戦ってきたほむらちゃんは、いつしか後ろを見ることを忘れてしまった。
前を向いてただ、歩を進める。止まることもせずにただ、未来の為に。
振り返れば仲間がいることも忘れ。優しく見守ってくれていることにも気づかずに。
ただ最初の約束を信じ、祈り……。
でもそれは依存だ。
その約束に固執し、結局ほむらちゃんは進むことはできなかった。
彼女は歩んでいるつもりでも、結局前へ進むことはできなかった。
迷子の子供のように、ただ同じところを彷徨って……。
いや、子供ならばまだマシだ。
泣いて自分が困っていることを周囲に伝えることが出来る。
だけど、ほむらちゃんは泣くことも禁じて誰かに頼ることもせずに進んだから、自分が袋小路に閉じ込められていることにも気づかずにいた。
まどか「ほむらちゃんはもっと私達を頼っていいんだよ?
ううん。何度も私達を助けようとしたほむらちゃんは私達に頼らなきゃダメ」
ほむら「でも、力がない私がいたら、足手まといに……」
465: 2012/07/31(火) 23:46:31.97
杏子「ばーか、なに言ってんだよ」
ほむらちゃんの言葉に杏子ちゃんが呆れ顔で文句をいう。
杏子「お前一人の足手まといがいたところで、このアタシが魔女に負けると思うか?」
マミ「そうね。私も同意見だわ」
マミさんが杏子ちゃんの言葉に続く。
マミ「暁美さん。あなたは考え過ぎよ? そして私達を甘く見過ぎ。
あまり侮らないでもらいたいわね」
さやか「そうだよ! ほむらのことくらいこのさやかちゃんが守ってやるって!」
さやかちゃんが任せなって。といいながら自分の胸を叩く。
杏子「なに言ってんだよ、現状足手まといの奴が」
さやか「ぐ! 杏子あんたねー! ここは空気を読むとこでしょうが!」
マミ「あら、まさか美樹さんから空気を読むなんて言葉が聞けるなんて……」
さやか「マミさんまで!」
ほむら「……」
みんなの言葉を呆然としながら聞くほむらちゃん。
これで、わかってもらえただろうか。
まどか「どう? ほむらちゃん」
ほむら「え……?」
まどか「みんなほむらちゃんのことが大好きなんだよ。ほむらちゃんがいなくなるなんて嫌だって思ってる」
ほむら「……」
まどか「だから、いなくなるなんて言わないで。一人で氏ぬなんて絶対言わないで。もし、ほむらちゃんがいなくなったら……」
――私は地の果てまででも追いかけてそれを止めるよ?
ほむらちゃんの言葉に杏子ちゃんが呆れ顔で文句をいう。
杏子「お前一人の足手まといがいたところで、このアタシが魔女に負けると思うか?」
マミ「そうね。私も同意見だわ」
マミさんが杏子ちゃんの言葉に続く。
マミ「暁美さん。あなたは考え過ぎよ? そして私達を甘く見過ぎ。
あまり侮らないでもらいたいわね」
さやか「そうだよ! ほむらのことくらいこのさやかちゃんが守ってやるって!」
さやかちゃんが任せなって。といいながら自分の胸を叩く。
杏子「なに言ってんだよ、現状足手まといの奴が」
さやか「ぐ! 杏子あんたねー! ここは空気を読むとこでしょうが!」
マミ「あら、まさか美樹さんから空気を読むなんて言葉が聞けるなんて……」
さやか「マミさんまで!」
ほむら「……」
みんなの言葉を呆然としながら聞くほむらちゃん。
これで、わかってもらえただろうか。
まどか「どう? ほむらちゃん」
ほむら「え……?」
まどか「みんなほむらちゃんのことが大好きなんだよ。ほむらちゃんがいなくなるなんて嫌だって思ってる」
ほむら「……」
まどか「だから、いなくなるなんて言わないで。一人で氏ぬなんて絶対言わないで。もし、ほむらちゃんがいなくなったら……」
――私は地の果てまででも追いかけてそれを止めるよ?
466: 2012/07/31(火) 23:46:59.46
ほむら「あ……」
そう告げるとほむらちゃんはボロボロと涙を零す。
ほむら「わた、し……。もう誰にも頼ったら駄目だって……。弱いところを見せたら駄目だって……」
今まで抑えてきた感情が溢れだしたのか、涙を拭おうともせずに話し続ける。
まどか「うんうん。辛かったね、苦しかったね。ごめんね? 私のせいで」
ほむら「まどかのせいじゃ、ない……。私が弱かったから……」
泣き続けるほむらちゃんを抱きしめ、よしよしと頭を撫でる。
きっと苦しかったんだろうな。誰にも悩みを言えずに一人で戦うなんて辛かったんだろうな。
まどか(一人ぼっちなんて、寂しいに決まってるもん)
さやか「……」
杏子「どうしたんだ?」
さやか「いや、ほどかはやっぱりまどかとほむらの子供なんだなって思ってさ」
マミ「……。そうね、そっくりだわ。優しいところも一人で抱え込む所も」
杏子「そうだな……」
さやか「ねぇ、マミさん。杏子」
杏子「なんだ?」
マミ「なにかしら」
さやか「私、ほどかが自分で決めたことなら仕方がないって、そう思ってた。
だけどさ、まどかの今の話を聞いてそれは間違いだって思った」
マミ「……」
さやか「あの子も迷子なんだ。一人で自分の進む道を決めて、それが正しくないことにも気づかずに進んで……。
だからさ、私達が気づかせないと。そっちの道は間違いだって」
杏子「そうだな」
マミ「そうね」
さやか「私は止めるよ。あの子の好きにはさせない。だってあの子は私達の大切な」
さやマミ杏「仲間だから」
さやか「へへへ」
マミ「ふふふ」
杏子「ははっ」
――――――――――――
――――――――――
――――――――
そう告げるとほむらちゃんはボロボロと涙を零す。
ほむら「わた、し……。もう誰にも頼ったら駄目だって……。弱いところを見せたら駄目だって……」
今まで抑えてきた感情が溢れだしたのか、涙を拭おうともせずに話し続ける。
まどか「うんうん。辛かったね、苦しかったね。ごめんね? 私のせいで」
ほむら「まどかのせいじゃ、ない……。私が弱かったから……」
泣き続けるほむらちゃんを抱きしめ、よしよしと頭を撫でる。
きっと苦しかったんだろうな。誰にも悩みを言えずに一人で戦うなんて辛かったんだろうな。
まどか(一人ぼっちなんて、寂しいに決まってるもん)
さやか「……」
杏子「どうしたんだ?」
さやか「いや、ほどかはやっぱりまどかとほむらの子供なんだなって思ってさ」
マミ「……。そうね、そっくりだわ。優しいところも一人で抱え込む所も」
杏子「そうだな……」
さやか「ねぇ、マミさん。杏子」
杏子「なんだ?」
マミ「なにかしら」
さやか「私、ほどかが自分で決めたことなら仕方がないって、そう思ってた。
だけどさ、まどかの今の話を聞いてそれは間違いだって思った」
マミ「……」
さやか「あの子も迷子なんだ。一人で自分の進む道を決めて、それが正しくないことにも気づかずに進んで……。
だからさ、私達が気づかせないと。そっちの道は間違いだって」
杏子「そうだな」
マミ「そうね」
さやか「私は止めるよ。あの子の好きにはさせない。だってあの子は私達の大切な」
さやマミ杏「仲間だから」
さやか「へへへ」
マミ「ふふふ」
杏子「ははっ」
――――――――――――
――――――――――
――――――――
467: 2012/07/31(火) 23:47:32.24
杏子「さて、あいつはどう動くか……」
眼前で飛び回るワルプルギスを睨み、いつの間にやらどこかに消えたほどかの姿を探す。
さやか「キュゥべぇの話通りなら、まずはワルプルギスを倒すんだよね」
アタシ達がほどかを止める。
その決意した後、キュゥべぇをマミに呼んでもらい聞いた話によると、
ほどかはワルプルギスに集約した因果を自分に取り込む為に必ず自身の手でワルプルギスを滅すると言っていた。
杏子「なら、ワルプルギスの近くにいるはずなんだけどな……」
目を凝らし探す。
あいつの姿を見つけておかないと厄介なことになる。
眼前で飛び回るワルプルギスを睨み、いつの間にやらどこかに消えたほどかの姿を探す。
さやか「キュゥべぇの話通りなら、まずはワルプルギスを倒すんだよね」
アタシ達がほどかを止める。
その決意した後、キュゥべぇをマミに呼んでもらい聞いた話によると、
ほどかはワルプルギスに集約した因果を自分に取り込む為に必ず自身の手でワルプルギスを滅すると言っていた。
杏子「なら、ワルプルギスの近くにいるはずなんだけどな……」
目を凝らし探す。
あいつの姿を見つけておかないと厄介なことになる。
469: 2012/07/31(火) 23:48:02.62
~~ 回想 ~~
杏子『因果を自分に取り込む? そんなことが本当に出来るのか?』
QB『彼女の願いは特殊だからね。複数の願いを叶える為にはそうするしかない』
さやか『じゃあ、私達の内の誰かがワルプルギスを倒せばほどかは願いを叶えられないんじゃないの?』
QB『それは不可能だ。
普通のワルプルギスならその可能性もあっただろうけど、この時間軸のワルプルギスはほどかの願いの影響のせいでかなり強力になっている。
並の魔法少女の攻撃ではいくら攻撃してもダメージ一つ与えられないよ』
杏子『なぁ、一つ気になってたんだけどさ、ほどかはなんで力を使わないんだ? あいつは最強の魔法少女なんだろう?』
マミ『それは私も気になっていたわ。今までもあの子が力を思う存分に振るえばすぐに解決できたことはたくさんあったはずなのに』
QB『使いたくても使えないのさ』
ほむら『どういうこと?』
QB『魔法少女の力は自分の因果の深さに依っているからね。そして願いもその因果の力を利用している。
でも、ほどかの場合はそれをワルプルギスに貸しているようなものだからね。だから、本来の力は今はないのさ。
まぁ、それでも彼女が君たちよりも強力な魔法少女であることは間違いないけど』
まどか『ちょっと待ってよ、それじゃあほどかちゃんもワルプルギスには勝てないんじゃ』
QB『その点は大丈夫だ。ワルプルギスの夜はほどかの攻撃には耐えられない。そういうふうになっているはずだからね』
さやか『なんで?』
QB『そもそもがほどかの力だからね。同じ力のほどかの攻撃は全て通してしまうのさ。
いや、通すというかほどかがワルプルギスの力を吸収するといった方が正しいかな』
マミ『つまり、ワルプルギスを触媒にして因果を集約。そしてそれを自分に取り込むことで複数の願いを叶えようとしてるってこと?』
QB『そうだね、だからほどかにとってワルプルギスは魔女ではなく自分の分身みたいなものじゃないのかな』
さやか『そんな……。じゃあ、ほどかがワルプルギスを倒せばその時点で終わりってことじゃん!』
QB『正確にはワルプルギスを倒して1日後だね』
杏子『どういうことだ?』
QB『ほどかの願いは自分を永遠の存在にしてこの世の負の感情をエネルギーに変換することだからね。
それは普通の体では無理だよ。だから自分をそれに対応できる存在に作り替えるんじゃないかな』
マミ『概念になるってこと?』
QB『まぁ、最終的にはそうなるんだろうけどね。でもそれになる前に前段階がある』
さやか『それって……?』
QB『魔女になるってことさ』
まどほむさやマミ杏『!!?』
杏子『因果を自分に取り込む? そんなことが本当に出来るのか?』
QB『彼女の願いは特殊だからね。複数の願いを叶える為にはそうするしかない』
さやか『じゃあ、私達の内の誰かがワルプルギスを倒せばほどかは願いを叶えられないんじゃないの?』
QB『それは不可能だ。
普通のワルプルギスならその可能性もあっただろうけど、この時間軸のワルプルギスはほどかの願いの影響のせいでかなり強力になっている。
並の魔法少女の攻撃ではいくら攻撃してもダメージ一つ与えられないよ』
杏子『なぁ、一つ気になってたんだけどさ、ほどかはなんで力を使わないんだ? あいつは最強の魔法少女なんだろう?』
マミ『それは私も気になっていたわ。今までもあの子が力を思う存分に振るえばすぐに解決できたことはたくさんあったはずなのに』
QB『使いたくても使えないのさ』
ほむら『どういうこと?』
QB『魔法少女の力は自分の因果の深さに依っているからね。そして願いもその因果の力を利用している。
でも、ほどかの場合はそれをワルプルギスに貸しているようなものだからね。だから、本来の力は今はないのさ。
まぁ、それでも彼女が君たちよりも強力な魔法少女であることは間違いないけど』
まどか『ちょっと待ってよ、それじゃあほどかちゃんもワルプルギスには勝てないんじゃ』
QB『その点は大丈夫だ。ワルプルギスの夜はほどかの攻撃には耐えられない。そういうふうになっているはずだからね』
さやか『なんで?』
QB『そもそもがほどかの力だからね。同じ力のほどかの攻撃は全て通してしまうのさ。
いや、通すというかほどかがワルプルギスの力を吸収するといった方が正しいかな』
マミ『つまり、ワルプルギスを触媒にして因果を集約。そしてそれを自分に取り込むことで複数の願いを叶えようとしてるってこと?』
QB『そうだね、だからほどかにとってワルプルギスは魔女ではなく自分の分身みたいなものじゃないのかな』
さやか『そんな……。じゃあ、ほどかがワルプルギスを倒せばその時点で終わりってことじゃん!』
QB『正確にはワルプルギスを倒して1日後だね』
杏子『どういうことだ?』
QB『ほどかの願いは自分を永遠の存在にしてこの世の負の感情をエネルギーに変換することだからね。
それは普通の体では無理だよ。だから自分をそれに対応できる存在に作り替えるんじゃないかな』
マミ『概念になるってこと?』
QB『まぁ、最終的にはそうなるんだろうけどね。でもそれになる前に前段階がある』
さやか『それって……?』
QB『魔女になるってことさ』
まどほむさやマミ杏『!!?』
470: 2012/07/31(火) 23:48:29.74
QB『といっても君たちが見てきたような魔女じゃないよ。あれは魔法少女が絶望して変化したものだからね。
だから、人々にとって絶望を振りまく存在でしかない』
ほむら(随分他人事じゃない)
QB『だけど、ほどかは自分自信で望んでそうなる。だから根本的なところで違うのさ』
杏子『……。止める手立てはあるのか?』
QB『それを僕に聞くのかい?』
マミ『答えなさいキュゥべぇ。頭を撃ち抜かれたくなければ』
QB『やれやれ、まぁこのことは契約外のことだからね。ほどかを止める方法なんて約束させられてないしね』
さやか『どういう方法なの?』
QB『簡単なことさ、ほどかが魔女になる前に殺せばいい』
ほむら『!! あなた!!』
杏子『止めろほむら! 今こいつを頃しても問題は解決しないだろう!』
ほむら『ッ!』
QB『やれやれ、僕はただ聞かれたから答えただけなのに酷いね』
マミ『あなたは質問されたことに答えればいいの。それ以外の余計なことは喋らなくていいわ』
QB『……』
さやか(マミさん本気だ……)
まどか『……。ねぇキュゥべぇ、どうしてほどかちゃんを殺せばほどかちゃんを止められるの?』
QB『ほどかの意志がなくなるからね。そうなったら願いもなにもないだろう?』
まどか『つまり、ほどかちゃんの願いはほどかちゃんの意思で叶えてるってことだね?』
QB『そうだね。僕等はあくまで、ほどかが願いを叶えられるようにその材料を集めただけだからね。
それをどうするかは、ほどか次第だよ』
まどか『……』
さやか『まどか?』
まどか『みんな聞いて――』
~~ 回想 終 ~~
だから、人々にとって絶望を振りまく存在でしかない』
ほむら(随分他人事じゃない)
QB『だけど、ほどかは自分自信で望んでそうなる。だから根本的なところで違うのさ』
杏子『……。止める手立てはあるのか?』
QB『それを僕に聞くのかい?』
マミ『答えなさいキュゥべぇ。頭を撃ち抜かれたくなければ』
QB『やれやれ、まぁこのことは契約外のことだからね。ほどかを止める方法なんて約束させられてないしね』
さやか『どういう方法なの?』
QB『簡単なことさ、ほどかが魔女になる前に殺せばいい』
ほむら『!! あなた!!』
杏子『止めろほむら! 今こいつを頃しても問題は解決しないだろう!』
ほむら『ッ!』
QB『やれやれ、僕はただ聞かれたから答えただけなのに酷いね』
マミ『あなたは質問されたことに答えればいいの。それ以外の余計なことは喋らなくていいわ』
QB『……』
さやか(マミさん本気だ……)
まどか『……。ねぇキュゥべぇ、どうしてほどかちゃんを殺せばほどかちゃんを止められるの?』
QB『ほどかの意志がなくなるからね。そうなったら願いもなにもないだろう?』
まどか『つまり、ほどかちゃんの願いはほどかちゃんの意思で叶えてるってことだね?』
QB『そうだね。僕等はあくまで、ほどかが願いを叶えられるようにその材料を集めただけだからね。
それをどうするかは、ほどか次第だよ』
まどか『……』
さやか『まどか?』
まどか『みんな聞いて――』
~~ 回想 終 ~~
471: 2012/07/31(火) 23:49:00.97
―さやか―
さやか「しっかしまどかも無茶なこと言うよね」
杏子と同じようにさっきから姿が見えないほどかの姿を探す。
杏子「あぁ……。まさか、一度ほどかにワルプルギスを倒させて力を吸収させた後に、ほどかを説得しようなんてな」
杏子がキョロキョロと辺りを窺う。相変わらずほどかの姿は見えない。
さやか「キュゥべぇが言うにはほどかは魔女になる準備の為に魔女結界を出して、そこに引きこもるんだっけ?」
杏子「そこにアタシ等が乗り込んでほどかに止めるように説得という名の鉄拳制裁。
ボロボロになったほどかを結界内から連れ出すだったな」
さやか「無茶苦茶だよね。ってか鉄拳制裁とか言ってないでしょ」
なにを勝手に付け足してんのこいつ。
杏子「結果的にそうなるだろ? どうせ話し合いで終わるわけないんだ」
相変わらずほどかを探し続ける杏子。
口ではああいっているけど、本音では話し合いで済めばいいと思ってるな。
さやか「成功するといいけど」
杏子「成功させるんだ」
そう力強く言う杏子。
私はその強い意志を感じさせる横顔を見て少しドキッとするのであった。
さやか「しっかしまどかも無茶なこと言うよね」
杏子と同じようにさっきから姿が見えないほどかの姿を探す。
杏子「あぁ……。まさか、一度ほどかにワルプルギスを倒させて力を吸収させた後に、ほどかを説得しようなんてな」
杏子がキョロキョロと辺りを窺う。相変わらずほどかの姿は見えない。
さやか「キュゥべぇが言うにはほどかは魔女になる準備の為に魔女結界を出して、そこに引きこもるんだっけ?」
杏子「そこにアタシ等が乗り込んでほどかに止めるように説得という名の鉄拳制裁。
ボロボロになったほどかを結界内から連れ出すだったな」
さやか「無茶苦茶だよね。ってか鉄拳制裁とか言ってないでしょ」
なにを勝手に付け足してんのこいつ。
杏子「結果的にそうなるだろ? どうせ話し合いで終わるわけないんだ」
相変わらずほどかを探し続ける杏子。
口ではああいっているけど、本音では話し合いで済めばいいと思ってるな。
さやか「成功するといいけど」
杏子「成功させるんだ」
そう力強く言う杏子。
私はその強い意志を感じさせる横顔を見て少しドキッとするのであった。
472: 2012/07/31(火) 23:49:34.41
―マミ―
マミ「さてと、やることはやったわね」
マスケット銃を撃ちながら隣にいる暁美さんに話しかける。
ほむら「えぇ、後はあの子の行動を待つだけ」
同じくランチャーを撃ちながら暁美さんは私に返事をする。
マミ「うまくいくと思う?」
ほむら「どうかしらね。あの子は頑固だから」
マミ「あなたに似たのね」
ほむら「まどかによ」
そう返す暁美さん。その表情は真面目で本気でそう思っているんだな。っと思わせる。
マミ(全く。この親子は……)
どうしてこうまで似てしまったのか、しかもダメなところばかり。
マミ(まぁ、そんなところも可愛いのだけど)
ほどかさんの顔を思い浮かべ、そういえば約束していたパーティーをしていないことを思い出す。
マミ(このまま反故にするなんて許さないわよ。あなたには私の作った料理をいっぱい食べてもらうんですから)
そう決意しワルプルギスと周囲の使い魔に向けて発砲を繰り返す。
マミ「暁美さん。絶対にみんなで帰りましょう」
ほむら「当然よ」
誰かが欠けるなんて嫌だ、
私はもう誰も失いたくない。
マミ(あんな思いもう味わいたくないもの)
昔、助けることが出来なかった両親の顔を思い出す。
今度は助けてみせる。
今度こそ後悔なんてするもんか。
マミ(待ってなさいほどかさん。私はしつこいわよ?)
マミ「さてと、やることはやったわね」
マスケット銃を撃ちながら隣にいる暁美さんに話しかける。
ほむら「えぇ、後はあの子の行動を待つだけ」
同じくランチャーを撃ちながら暁美さんは私に返事をする。
マミ「うまくいくと思う?」
ほむら「どうかしらね。あの子は頑固だから」
マミ「あなたに似たのね」
ほむら「まどかによ」
そう返す暁美さん。その表情は真面目で本気でそう思っているんだな。っと思わせる。
マミ(全く。この親子は……)
どうしてこうまで似てしまったのか、しかもダメなところばかり。
マミ(まぁ、そんなところも可愛いのだけど)
ほどかさんの顔を思い浮かべ、そういえば約束していたパーティーをしていないことを思い出す。
マミ(このまま反故にするなんて許さないわよ。あなたには私の作った料理をいっぱい食べてもらうんですから)
そう決意しワルプルギスと周囲の使い魔に向けて発砲を繰り返す。
マミ「暁美さん。絶対にみんなで帰りましょう」
ほむら「当然よ」
誰かが欠けるなんて嫌だ、
私はもう誰も失いたくない。
マミ(あんな思いもう味わいたくないもの)
昔、助けることが出来なかった両親の顔を思い出す。
今度は助けてみせる。
今度こそ後悔なんてするもんか。
マミ(待ってなさいほどかさん。私はしつこいわよ?)
473: 2012/07/31(火) 23:50:14.14
―ほどか―
ほどか「……」
ステルスを使い、ワルプルギスの夜のすぐ傍で佇む。
ほどか「これで終わる」
いや、始まるんだ。
ほどか「楽しかったなぁ」
この時代に来て過ごした日々を思い出す。
ほどか「パパって意外と可愛かったんだ」
女の子の姿のパパはとても愛らしく、まさかこんな人が男の人になるなんて。と最初見た時は驚いたものだ。
ほどか「パパったら私が娘だー。なんて言ったらビックリして……」
その時の光景を思い出し、くすくすと笑う。
ほどか「さやかさんもあんなに可愛くていい人なのになんでふられちゃったんだろ?」
未来のさやかさんは杏子さんと結婚している。
子供も二人いて、その子達は私の幼馴染だ。
ほどか「まぁ相手が悪いか」
仁美さんが相手だもんね。
でも、杏子さんと結ばれたさやかさんは幸せそうで、フラれても結果的によかったんじゃないかと私は思った。
ほどか「この時代でもさやかさんと杏子さんはケンカばかりだったね」
まぁ、結局さやかさんの方が弱いんだけど。
ほどか「ふふ……。杏子さんこれから苦労するんだろうなー」
暴走するさやかさんを止めるのはいつも杏子さんの役目だ。
ほどか「ママ……」
暁美ほむら。ママの顔を思い出す。
ほどか「やっぱりママは世界で一番綺麗だったなー」
ママの顔を見たときは嬉しかった。
初めてママの手料理を食べた時は嬉しかった。
ほどか「クリームシチュー、おいしかったなぁ……」
本当はもっと食べたかった。
でも、あんまりおかわりしすぎるのもどうかと思い一回だけでやめておいたのだ。
ほどか「屋上でみんなでお弁当も食べたっけ」
まさか、ママと学校で昼食を食べれるなんて思わなかったから、あの時ははしゃいだものだ。
ほどか「前の日は楽しみすぎて寝れなかったよ」
憧れ、だったもんなぁ……。
ほどか「……」
ステルスを使い、ワルプルギスの夜のすぐ傍で佇む。
ほどか「これで終わる」
いや、始まるんだ。
ほどか「楽しかったなぁ」
この時代に来て過ごした日々を思い出す。
ほどか「パパって意外と可愛かったんだ」
女の子の姿のパパはとても愛らしく、まさかこんな人が男の人になるなんて。と最初見た時は驚いたものだ。
ほどか「パパったら私が娘だー。なんて言ったらビックリして……」
その時の光景を思い出し、くすくすと笑う。
ほどか「さやかさんもあんなに可愛くていい人なのになんでふられちゃったんだろ?」
未来のさやかさんは杏子さんと結婚している。
子供も二人いて、その子達は私の幼馴染だ。
ほどか「まぁ相手が悪いか」
仁美さんが相手だもんね。
でも、杏子さんと結ばれたさやかさんは幸せそうで、フラれても結果的によかったんじゃないかと私は思った。
ほどか「この時代でもさやかさんと杏子さんはケンカばかりだったね」
まぁ、結局さやかさんの方が弱いんだけど。
ほどか「ふふ……。杏子さんこれから苦労するんだろうなー」
暴走するさやかさんを止めるのはいつも杏子さんの役目だ。
ほどか「ママ……」
暁美ほむら。ママの顔を思い出す。
ほどか「やっぱりママは世界で一番綺麗だったなー」
ママの顔を見たときは嬉しかった。
初めてママの手料理を食べた時は嬉しかった。
ほどか「クリームシチュー、おいしかったなぁ……」
本当はもっと食べたかった。
でも、あんまりおかわりしすぎるのもどうかと思い一回だけでやめておいたのだ。
ほどか「屋上でみんなでお弁当も食べたっけ」
まさか、ママと学校で昼食を食べれるなんて思わなかったから、あの時ははしゃいだものだ。
ほどか「前の日は楽しみすぎて寝れなかったよ」
憧れ、だったもんなぁ……。
474: 2012/07/31(火) 23:50:55.95
学校の運動会なんかで、友達はママと一緒に食べてるけれど自分は一人で食べてたから。
パパは仕事でこれなかったし。
いや、私が黙っていたんだ。私のせいで迷惑をかけたくなかったから。
ほどか「まぁ、杏子さん達が一緒に食べてくれたけどね」
あの後、杏子さんからそのことを聞いたパパに泣きながら怒られたっけ。
なんで言わなかったの。とか、知ってたら行ってた。とか。
ほどか「だから言わなかったんだよ?」
パパは私が寂しい思いをしていたら困っていたら必ず飛んでくるから……。
ほどか「あの時、教えてたら、何日も徹夜して仕事を終わらせてから来るのはわかってたもん……」
いつもいつも、私のことばかり考えて、自分のことなんて考えずに無茶ばっかりするんだから……。
私はパパにいつまでも元気でいてほしいのにさ……。
髪を結う為に使っているリボンに触れる。
ほどか「ママのプレゼント……」
パパが気遣ってくれてママが私の為に買ってくれたリボン。
ほどか「えへへ」
ママとパパが似合うって言ってくれた。
こんな経験なかったから、凄く嬉しかった。
これさえあれば私はどんなことでもやり遂げることが出来るって思った。
ほどか「ありがとう。ママ。パパ。私頑張るからね」
そう呟いて、前方に手をかざす。
するとそこには小さな魔法陣が浮かび光輝き、収束する。
光が収まるとそこには弓が浮かんでいた。
ほどか「あなたもゴメンね? 利用するようなことをして……」
眼前で笑い続けるワルプルギスに向けて謝罪する。
本当ならこの子も救いたかった。
でも、私に力がないからそれは無理で……。
ほどか「ゴメン。せめてあなたの苦しみは私が引き受けるから」
ふわふわと浮かぶ弓を手に取りワルプルギスに向ける。
ほどか「だから、ごめんなさい」
もう一度謝り弦を引き絞る。
パパは仕事でこれなかったし。
いや、私が黙っていたんだ。私のせいで迷惑をかけたくなかったから。
ほどか「まぁ、杏子さん達が一緒に食べてくれたけどね」
あの後、杏子さんからそのことを聞いたパパに泣きながら怒られたっけ。
なんで言わなかったの。とか、知ってたら行ってた。とか。
ほどか「だから言わなかったんだよ?」
パパは私が寂しい思いをしていたら困っていたら必ず飛んでくるから……。
ほどか「あの時、教えてたら、何日も徹夜して仕事を終わらせてから来るのはわかってたもん……」
いつもいつも、私のことばかり考えて、自分のことなんて考えずに無茶ばっかりするんだから……。
私はパパにいつまでも元気でいてほしいのにさ……。
髪を結う為に使っているリボンに触れる。
ほどか「ママのプレゼント……」
パパが気遣ってくれてママが私の為に買ってくれたリボン。
ほどか「えへへ」
ママとパパが似合うって言ってくれた。
こんな経験なかったから、凄く嬉しかった。
これさえあれば私はどんなことでもやり遂げることが出来るって思った。
ほどか「ありがとう。ママ。パパ。私頑張るからね」
そう呟いて、前方に手をかざす。
するとそこには小さな魔法陣が浮かび光輝き、収束する。
光が収まるとそこには弓が浮かんでいた。
ほどか「あなたもゴメンね? 利用するようなことをして……」
眼前で笑い続けるワルプルギスに向けて謝罪する。
本当ならこの子も救いたかった。
でも、私に力がないからそれは無理で……。
ほどか「ゴメン。せめてあなたの苦しみは私が引き受けるから」
ふわふわと浮かぶ弓を手に取りワルプルギスに向ける。
ほどか「だから、ごめんなさい」
もう一度謝り弦を引き絞る。
475: 2012/07/31(火) 23:51:31.49
そして――。
杏子「いたぞ! ワルプルギスのすぐ近くだ!」
さやか「あんなところに!」
マミ「見て! 光がワルプルギスの夜に!」
ほむら「あの色は!」
――ピンクパープルに輝く鮮やかな光がワルプルギスを貫いた。
杏子「いたぞ! ワルプルギスのすぐ近くだ!」
さやか「あんなところに!」
マミ「見て! 光がワルプルギスの夜に!」
ほむら「あの色は!」
――ピンクパープルに輝く鮮やかな光がワルプルギスを貫いた。
476: 2012/07/31(火) 23:52:38.37
―― 避難所 ――
まどか「……」
詢子「ん? どうした、まどか」
まどか「え? ちょっとトイレ」
詢子「……」
知久「詢子……」
詢子「わかってる」
まどか「……」
詢子「どこ行こうってんだい、おい」
ママが私の手を掴みどこに行くのかと問う。
まどか「ママ。私、助けにいかないと」
詢子「……。他の奴らに任せろ」
ママは真剣な表情で私を行かせないように私を掴む手に力を込める。
まどか「私でなきゃダメなの!」
そんなママの手を払い意志を告げる。
私にしかできないことがあるから、それを果たさいといけないから。
詢子「……」
パンっという音が響く。
詢子「てめぇ一人だけの命じゃねぇんだ! そういう勝手やらかして! あれがどれだけ……」
ママの言葉を遮る。
まどか「わかってる。私にもよくわかる」
ママの顔をじっと見つめる。
まどか「私だって、ママのことパパのこと大好きだから、どんなに大切にしてもらってるか知ってるから。
自分を粗末にしちゃいけないの、わかる……」
少し俯き、そして、また顔を見つめる。
まどか「……」
詢子「ん? どうした、まどか」
まどか「え? ちょっとトイレ」
詢子「……」
知久「詢子……」
詢子「わかってる」
まどか「……」
詢子「どこ行こうってんだい、おい」
ママが私の手を掴みどこに行くのかと問う。
まどか「ママ。私、助けにいかないと」
詢子「……。他の奴らに任せろ」
ママは真剣な表情で私を行かせないように私を掴む手に力を込める。
まどか「私でなきゃダメなの!」
そんなママの手を払い意志を告げる。
私にしかできないことがあるから、それを果たさいといけないから。
詢子「……」
パンっという音が響く。
詢子「てめぇ一人だけの命じゃねぇんだ! そういう勝手やらかして! あれがどれだけ……」
ママの言葉を遮る。
まどか「わかってる。私にもよくわかる」
ママの顔をじっと見つめる。
まどか「私だって、ママのことパパのこと大好きだから、どんなに大切にしてもらってるか知ってるから。
自分を粗末にしちゃいけないの、わかる……」
少し俯き、そして、また顔を見つめる。
477: 2012/07/31(火) 23:53:08.70
まどか「だから違うの! みんな大事で絶対に守らなきゃいけないから……。
その為にも私いますぐいかなきゃいけないところがあるの!」
詢子「なにをするかは説明できねぇってか」
頷き肯定する。
詢子「なら、私もつれてけ」
首をふり否定。
まどか「ダメ。ママはパパやタツヤの傍にいて。二人を安心させてあげて」
まどか「ママはさ、私がいい子に育ってくれたって言ったよね。嘘もつかない。悪いこともしないって。
今でもそう信じてくれる? 私を正しいって思ってくれる?」
その言葉に目を細め、私の覚悟を図る様にママはじっと顔を見つめてくる。
詢子「……。絶対にへたうったりしねーな? なにがあっても後悔はしねーな?」
まどか「うん」
詢子「なら、いけ」
まどか「ありがとう。ママ」
詢子「絶対に連れ帰ってこいよ。そんであのバカ孫の顔を、もう一度私達に見せろ」
まどか「うん。引っ叩いてでも連れてくるよ」
詢子「はは……」
まどか「いってきます」
詢子「いってらっしゃい」
笑顔で私を見送るママ。
その顔は普段通りの顔で私のことを信じてくれてるんだと心から思えた。
その為にも私いますぐいかなきゃいけないところがあるの!」
詢子「なにをするかは説明できねぇってか」
頷き肯定する。
詢子「なら、私もつれてけ」
首をふり否定。
まどか「ダメ。ママはパパやタツヤの傍にいて。二人を安心させてあげて」
まどか「ママはさ、私がいい子に育ってくれたって言ったよね。嘘もつかない。悪いこともしないって。
今でもそう信じてくれる? 私を正しいって思ってくれる?」
その言葉に目を細め、私の覚悟を図る様にママはじっと顔を見つめてくる。
詢子「……。絶対にへたうったりしねーな? なにがあっても後悔はしねーな?」
まどか「うん」
詢子「なら、いけ」
まどか「ありがとう。ママ」
詢子「絶対に連れ帰ってこいよ。そんであのバカ孫の顔を、もう一度私達に見せろ」
まどか「うん。引っ叩いてでも連れてくるよ」
詢子「はは……」
まどか「いってきます」
詢子「いってらっしゃい」
笑顔で私を見送るママ。
その顔は普段通りの顔で私のことを信じてくれてるんだと心から思えた。
478: 2012/07/31(火) 23:53:39.51
―ほむら―
マミ「これがあの子の魔女結界……」
さやか「隠しているつもりなんだろうね」
杏子「御大層に封印までしやがって」
ほむら「……」
あの子が作り出した魔女結界の前で私達は佇む。
時間もないので早速入ろうとするが侵入出来ないように入口には網目状の封印が施されている。
マミ「私達が入ってくることも想定していたってことかしら」
さやか「どうする? 入れそうにないよ」
さやかが剣で封印を斬るがびくともしない。
マミ「ちょっとどいて」
私達を下がらせマミが自分のリボンを取る。
マミ「ティロ・フィナーレ!」
そして必殺である技を封印に向けて発砲。
マミ「……。ダメね、傷一つつかないわ」
杏子「くそ。こんなところでモタモタしてる暇はないってのに」
ほむら「……」
この封印はあの子が作り出した物……。ならば……。
ほむら「……」
さやか「ちょっとほむら、ソウルジェムを取ってどうしたのさ」
ほむら「こうするわ」
さやかの問いに実践することで答える。
杏子「お、おい!」
マミ「ソウルジェムを投げ入れて!?」
ほむら「……」
網の隙間から自分のソウルジェムを勢いよく投げ入れる。
勢いよく飛び、徐々に私から離れていく私の本体。
そして100メートルを越すであろう距離まで離れると私の意識は無くなった。
マミ「ちょ、ちょっと! どうするのよ!」
杏子「待て! 封印が!」
さやか「開いて……」
マミ「これがあの子の魔女結界……」
さやか「隠しているつもりなんだろうね」
杏子「御大層に封印までしやがって」
ほむら「……」
あの子が作り出した魔女結界の前で私達は佇む。
時間もないので早速入ろうとするが侵入出来ないように入口には網目状の封印が施されている。
マミ「私達が入ってくることも想定していたってことかしら」
さやか「どうする? 入れそうにないよ」
さやかが剣で封印を斬るがびくともしない。
マミ「ちょっとどいて」
私達を下がらせマミが自分のリボンを取る。
マミ「ティロ・フィナーレ!」
そして必殺である技を封印に向けて発砲。
マミ「……。ダメね、傷一つつかないわ」
杏子「くそ。こんなところでモタモタしてる暇はないってのに」
ほむら「……」
この封印はあの子が作り出した物……。ならば……。
ほむら「……」
さやか「ちょっとほむら、ソウルジェムを取ってどうしたのさ」
ほむら「こうするわ」
さやかの問いに実践することで答える。
杏子「お、おい!」
マミ「ソウルジェムを投げ入れて!?」
ほむら「……」
網の隙間から自分のソウルジェムを勢いよく投げ入れる。
勢いよく飛び、徐々に私から離れていく私の本体。
そして100メートルを越すであろう距離まで離れると私の意識は無くなった。
マミ「ちょ、ちょっと! どうするのよ!」
杏子「待て! 封印が!」
さやか「開いて……」
479: 2012/07/31(火) 23:54:07.70
ほむら「う……」
さやか「あ、気づいた!」
意識を取り戻すと目の前にはさやかの顔があった。
ほむら「……どうやらうまくいったようね」
辺りを窺うとそこはさっきいた場所とは違う。
どうやら結界の中に入れたようだ。
マミ「無茶し過ぎよ! ソウルジェムを結界の中に投げ入れるなんて」
ほむら「でも、封印は解けたでしょう?」
杏子「そうだけど……」
あの子が施した封印なら人に危害を加えるような真似はしないだろう。
ならば、私のソウルジェムを投げ入れればソウルジェムを拾えるように封印は解ける。と踏んだんだけどどうやら正解ね。
さやか「全く、解けなかったらどうする気だったの?」
ほむら「大丈夫よ。絶対に解けると思っていたから」
確信はあった。
ほむら「封印があの形でよかったわ。隙間なく張り巡らされていたらどうしようもなかったもの」
杏子「そりゃ、まさかあんな手にでるなんてほどかも思わなかっただろうよ」
でしょうね。そう心の中で呟き自分のやったことの愚かさに苦笑する。
ほむら「行くわよ。あまり時間もないわ」
マミ「そうね」
さやか「この扉を開けばほどかがいるんだね」
杏子「だろうな」
必ず連れ出す。私達4人はそう決意し、扉を開け、中に入っていった。
さやか「あ、気づいた!」
意識を取り戻すと目の前にはさやかの顔があった。
ほむら「……どうやらうまくいったようね」
辺りを窺うとそこはさっきいた場所とは違う。
どうやら結界の中に入れたようだ。
マミ「無茶し過ぎよ! ソウルジェムを結界の中に投げ入れるなんて」
ほむら「でも、封印は解けたでしょう?」
杏子「そうだけど……」
あの子が施した封印なら人に危害を加えるような真似はしないだろう。
ならば、私のソウルジェムを投げ入れればソウルジェムを拾えるように封印は解ける。と踏んだんだけどどうやら正解ね。
さやか「全く、解けなかったらどうする気だったの?」
ほむら「大丈夫よ。絶対に解けると思っていたから」
確信はあった。
ほむら「封印があの形でよかったわ。隙間なく張り巡らされていたらどうしようもなかったもの」
杏子「そりゃ、まさかあんな手にでるなんてほどかも思わなかっただろうよ」
でしょうね。そう心の中で呟き自分のやったことの愚かさに苦笑する。
ほむら「行くわよ。あまり時間もないわ」
マミ「そうね」
さやか「この扉を開けばほどかがいるんだね」
杏子「だろうな」
必ず連れ出す。私達4人はそう決意し、扉を開け、中に入っていった。
480: 2012/07/31(火) 23:54:36.44
―まどか―
まどか「はっはっ」
街中を走る。
さっきまで吹き荒れていた風はもう嘘のように止んでいて、いつの間にか青い空まで見えていた。
まどか「急がないと……」
これはつまり、ほどかちゃんがワルプルギスを倒し、自分を魔女にするための準備をしているということだ。
まどか「……見つけた!」
ほむらちゃんが見せてくれたワルプルギスの出現予測ポイントまで辿り着く。
するとそこには数多くの戦いの残骸が残されていた。
まどか「みんなはどこかな」
辺りを見回すがみんなの姿はない。
QB「ほむら達ならもうほどかの結界の中だよ」
まどか「そうなんだ……」
急に現れたキュゥべぇがみんなの居所を教えてくれる。
少し遅かった。
まどか「……」
QB「どこにいくんだい」
まどか「ほどかちゃんのところだよ」
QB「君が行っても邪魔になるだけだよ」
まどか「だろうね」
QB「ならなんで」
まどか「私がほどかちゃんのパパだからだよ」
それ以外に理由はない。
QB「やれやれ。訳がわからないよ」
わかってもらえなくてもいい。
これは、私自身の勝手なけじめだから。
まどか(待っててすぐに行くから)
まどか「はっはっ」
街中を走る。
さっきまで吹き荒れていた風はもう嘘のように止んでいて、いつの間にか青い空まで見えていた。
まどか「急がないと……」
これはつまり、ほどかちゃんがワルプルギスを倒し、自分を魔女にするための準備をしているということだ。
まどか「……見つけた!」
ほむらちゃんが見せてくれたワルプルギスの出現予測ポイントまで辿り着く。
するとそこには数多くの戦いの残骸が残されていた。
まどか「みんなはどこかな」
辺りを見回すがみんなの姿はない。
QB「ほむら達ならもうほどかの結界の中だよ」
まどか「そうなんだ……」
急に現れたキュゥべぇがみんなの居所を教えてくれる。
少し遅かった。
まどか「……」
QB「どこにいくんだい」
まどか「ほどかちゃんのところだよ」
QB「君が行っても邪魔になるだけだよ」
まどか「だろうね」
QB「ならなんで」
まどか「私がほどかちゃんのパパだからだよ」
それ以外に理由はない。
QB「やれやれ。訳がわからないよ」
わかってもらえなくてもいい。
これは、私自身の勝手なけじめだから。
まどか(待っててすぐに行くから)
481: 2012/07/31(火) 23:55:10.12
―ほむら―
―― ??? ――
ほむら「っ!!」
ほどかの結界内に入った私は思わず耳を塞ぐ。
この空間には地面というものがなく。
無重力なのか宇宙に出たように私達は自身に感じるはずの重量を感じずただ、空中に浮かんでいた。
あるとすれば音だけであり、その音は私達を苦しめる。
だが耳を塞いでも、音は聞こえ、聞きたくない声が私の頭に響く。
ほむら「もうやめて! 聞きたくない!」
さやか「なん……なの! これ!」
杏子「くそ! こんなの!!」
マミ「嫌! 私は……!」
さやか達も私と同じように耳を塞ぎ音を消そうとするが無駄であるようだった。
ほむら「く! こんなの、こんなのって!」
この何もない空間に響き渡る声それは――。
「痛い痛いよ……」「苦しい、助けて……」「ああああああああああああああああ」「殺さないで! やめてくれ!!」
「ママ! 助けてよママ!」「くそ! あいつのせいで俺は!」「頃す頃す頃す頃す頃す」「ああああ! 足が! 俺の足が!」
「いやだ、こんな世界で生きていくのはもういやだ」「氏ぬしかない。俺はもう氏ぬしかないんだ」「氏ね! 人間は全部氏ぬべきだ!」
「どうして俺がこんな目に……」「ごめんなさいパパ、ママ……。あの時私がしっかり考えて願えば今頃パパとママは……」
「ぐああああ! 痛い!! 痛いよ!!」「あいつらは楽しそうなのに俺は……」「私の赤ちゃん、どうしてこんなことに……」
「ひひひひひひ」「恭介……。あの時仁美を助けなかったら……」「あいつを殺せば俺があの子と……」「もう駄目だ……」
「許さない。絶対に許さない」「うわあああ!! 何も見えない! なんで!? どうして!!」「ふふふふふ」
「あの人が悪いんだ。私をないがしろにするから」「私の願いのせいで、家族は……。妹は……」「氏ねー!! みんな氏んでしまえ!!」
「あははははは、やってやった俺が!!」「僕はなんてことを……」「なぜだ! どうして私がリストラなんて!」
「まどか……。また救えなかった……」「あぁ、生きるのにもう疲れた」「氏のう……」「どうして私ばかりが辛い思いを……」
「ふふふ。今すぐ頃してあげるから」「ああああああ!! 私の子供が! 子供が!!!」「焼ける……。私の家が……」
「お腹が減ったよ……」「みんな消えろ」「氏氏氏氏氏氏氏氏氏氏」「全部僕が悪いんだ……」「俺は氏ぬべきだ……」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」「つかれた」「ああああああああついあついあついあつい!!!!」
「助けて!!」「いやだ! 氏にたくない!!」「どうして……父が……」「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」「ころす」
「はははははははは」「血が、血がとまらないーーー!!!」「きえろきえろきえろきえろ」「みんなで氏ねば怖くないよね……」
「あー……。苦しい、痛い……」「呪ってやる」「もう駄目だ……」「ママー! パパー! 助けてよー!!」「暗い暗い暗い」
ほむら「やめて!! 嫌よ! こんなのもう!!」
聞きたくない――!
やめて!!
そう叫び、絶望に飲まれようとした時、
――大丈夫。もう苦しまなくてもいいんだよ。
ほむら「え――」
声が聞こえた。
その声は慈愛に満ちていて、その声を聞いた私は今感じていた苦しみから解放され、なにかに包まれるような安心を感じていた。
―― ??? ――
ほむら「っ!!」
ほどかの結界内に入った私は思わず耳を塞ぐ。
この空間には地面というものがなく。
無重力なのか宇宙に出たように私達は自身に感じるはずの重量を感じずただ、空中に浮かんでいた。
あるとすれば音だけであり、その音は私達を苦しめる。
だが耳を塞いでも、音は聞こえ、聞きたくない声が私の頭に響く。
ほむら「もうやめて! 聞きたくない!」
さやか「なん……なの! これ!」
杏子「くそ! こんなの!!」
マミ「嫌! 私は……!」
さやか達も私と同じように耳を塞ぎ音を消そうとするが無駄であるようだった。
ほむら「く! こんなの、こんなのって!」
この何もない空間に響き渡る声それは――。
「痛い痛いよ……」「苦しい、助けて……」「ああああああああああああああああ」「殺さないで! やめてくれ!!」
「ママ! 助けてよママ!」「くそ! あいつのせいで俺は!」「頃す頃す頃す頃す頃す」「ああああ! 足が! 俺の足が!」
「いやだ、こんな世界で生きていくのはもういやだ」「氏ぬしかない。俺はもう氏ぬしかないんだ」「氏ね! 人間は全部氏ぬべきだ!」
「どうして俺がこんな目に……」「ごめんなさいパパ、ママ……。あの時私がしっかり考えて願えば今頃パパとママは……」
「ぐああああ! 痛い!! 痛いよ!!」「あいつらは楽しそうなのに俺は……」「私の赤ちゃん、どうしてこんなことに……」
「ひひひひひひ」「恭介……。あの時仁美を助けなかったら……」「あいつを殺せば俺があの子と……」「もう駄目だ……」
「許さない。絶対に許さない」「うわあああ!! 何も見えない! なんで!? どうして!!」「ふふふふふ」
「あの人が悪いんだ。私をないがしろにするから」「私の願いのせいで、家族は……。妹は……」「氏ねー!! みんな氏んでしまえ!!」
「あははははは、やってやった俺が!!」「僕はなんてことを……」「なぜだ! どうして私がリストラなんて!」
「まどか……。また救えなかった……」「あぁ、生きるのにもう疲れた」「氏のう……」「どうして私ばかりが辛い思いを……」
「ふふふ。今すぐ頃してあげるから」「ああああああ!! 私の子供が! 子供が!!!」「焼ける……。私の家が……」
「お腹が減ったよ……」「みんな消えろ」「氏氏氏氏氏氏氏氏氏氏」「全部僕が悪いんだ……」「俺は氏ぬべきだ……」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」「つかれた」「ああああああああついあついあついあつい!!!!」
「助けて!!」「いやだ! 氏にたくない!!」「どうして……父が……」「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」「ころす」
「はははははははは」「血が、血がとまらないーーー!!!」「きえろきえろきえろきえろ」「みんなで氏ねば怖くないよね……」
「あー……。苦しい、痛い……」「呪ってやる」「もう駄目だ……」「ママー! パパー! 助けてよー!!」「暗い暗い暗い」
ほむら「やめて!! 嫌よ! こんなのもう!!」
聞きたくない――!
やめて!!
そう叫び、絶望に飲まれようとした時、
――大丈夫。もう苦しまなくてもいいんだよ。
ほむら「え――」
声が聞こえた。
その声は慈愛に満ちていて、その声を聞いた私は今感じていた苦しみから解放され、なにかに包まれるような安心を感じていた。
482: 2012/07/31(火) 23:55:36.50
さやか「声が聞こえなくなった……」
さやかが辺りを見回しそう呟く。
杏子「今の声って……」
マミ「ほどかさんの声よね……」
ほむら「……」
ほどかの声が聞こえてから、あの嫌な音は聞こえなくなっていた。
だが、また徐々に音は広がり始めこの空間を支配しようとしていた。
さやか「あっちから聞こえた! いこう!」
さやかが泳ぐように声のした方へと向かう。
杏子「またあの嫌な声が聞こえ始めたしな」
杏子もそれに続く。
マミ「暁美さん!」
マミがわたしの手を取り先へ進むように促す。
ほむら「え、えぇ」
それに引っ張られるようにしてついていく。
ほむら(こんなところで……)
あの子はこんな場所でこれからずっと過ごすのだろうか?
無限の時間をこの負の感情に溢れる空間で。
ただ、エネルギーを生み出すために……。
ほむら(ッ!)
それを想像し吐き出しそうになる。
この先、ずっと終わりなく、この声を聞き続けなければいけない。
それがどれだけ苦しいか辛いか……。
ほむら(バカ! こんなの絶対に!)
許せない……。許せるものか!
ほむら(必ず連れ出すから! こんな場所にあなたを一人きりになんて……)
させるものか――
さやかが辺りを見回しそう呟く。
杏子「今の声って……」
マミ「ほどかさんの声よね……」
ほむら「……」
ほどかの声が聞こえてから、あの嫌な音は聞こえなくなっていた。
だが、また徐々に音は広がり始めこの空間を支配しようとしていた。
さやか「あっちから聞こえた! いこう!」
さやかが泳ぐように声のした方へと向かう。
杏子「またあの嫌な声が聞こえ始めたしな」
杏子もそれに続く。
マミ「暁美さん!」
マミがわたしの手を取り先へ進むように促す。
ほむら「え、えぇ」
それに引っ張られるようにしてついていく。
ほむら(こんなところで……)
あの子はこんな場所でこれからずっと過ごすのだろうか?
無限の時間をこの負の感情に溢れる空間で。
ただ、エネルギーを生み出すために……。
ほむら(ッ!)
それを想像し吐き出しそうになる。
この先、ずっと終わりなく、この声を聞き続けなければいけない。
それがどれだけ苦しいか辛いか……。
ほむら(バカ! こんなの絶対に!)
許せない……。許せるものか!
ほむら(必ず連れ出すから! こんな場所にあなたを一人きりになんて……)
させるものか――
484: 2012/07/31(火) 23:58:38.82
―ほどか―
―― ??? ――
ほどか「立ち向かうというのなら容赦はしません!
こうなればあなた達を無事に外に送り返し、今度は入ってこれないよう封印を強固にするだけです!」
どうやって入ってきたのかはわからない。
だけど、私の封印が甘かったからママ達はこの場所に来てしまった。
なら、今度はより強力な封印を施すまでだ。
杏子「は、そんな心配いらねーよ! だってお前はアタシ達と一緒にこの場所から出るんだからな!」
杏子さんが槍を伸ばし私を絡め取ろうとする。
ほどか「そうは、いきません!」
翼を羽ばたかせ空中に退避。
だけど、槍はそのまま矛先を空中に向けて私を追ってくる。
杏子「逃げても無駄だ! そいつはどこまでもお前を追うぜ!」
ほどか「なら操っているあなたを狙うまで!!」
空中から急降下し、杏子さんのもとに向かう。
そしてそのまま剣を振りおろし杏子さんの握っている槍の柄を叩き落そうと試みる。
だが、
さやか「杏子だと思った!? 残念さやかちゃんでした!」
さやかさんが杏子さんの前に躍り出て私の剣を受ける。
ほどか「邪魔をして!」
そのまま鍔迫り合いの形になり、押し合いが続く。
さやか「そりゃ邪魔するでしょ! 仲間がバカやろうとしてるんだから、さ!」
しかしその鍔迫り合いはさやかさんの方から一歩的に終わらせられる。
なぜなら、さやかさんは急に力を抜いて後ろに体制を崩したのだ。
ほどか「く!」
さやかさんという支えを失った私はそのまま前によろける。
そして、今までさやかさんの体のせいで見えなかった眼前の光景が写し出される。
ほどか「!!」
―― ??? ――
ほどか「立ち向かうというのなら容赦はしません!
こうなればあなた達を無事に外に送り返し、今度は入ってこれないよう封印を強固にするだけです!」
どうやって入ってきたのかはわからない。
だけど、私の封印が甘かったからママ達はこの場所に来てしまった。
なら、今度はより強力な封印を施すまでだ。
杏子「は、そんな心配いらねーよ! だってお前はアタシ達と一緒にこの場所から出るんだからな!」
杏子さんが槍を伸ばし私を絡め取ろうとする。
ほどか「そうは、いきません!」
翼を羽ばたかせ空中に退避。
だけど、槍はそのまま矛先を空中に向けて私を追ってくる。
杏子「逃げても無駄だ! そいつはどこまでもお前を追うぜ!」
ほどか「なら操っているあなたを狙うまで!!」
空中から急降下し、杏子さんのもとに向かう。
そしてそのまま剣を振りおろし杏子さんの握っている槍の柄を叩き落そうと試みる。
だが、
さやか「杏子だと思った!? 残念さやかちゃんでした!」
さやかさんが杏子さんの前に躍り出て私の剣を受ける。
ほどか「邪魔をして!」
そのまま鍔迫り合いの形になり、押し合いが続く。
さやか「そりゃ邪魔するでしょ! 仲間がバカやろうとしてるんだから、さ!」
しかしその鍔迫り合いはさやかさんの方から一歩的に終わらせられる。
なぜなら、さやかさんは急に力を抜いて後ろに体制を崩したのだ。
ほどか「く!」
さやかさんという支えを失った私はそのまま前によろける。
そして、今までさやかさんの体のせいで見えなかった眼前の光景が写し出される。
ほどか「!!」
485: 2012/07/31(火) 23:59:10.57
マミ「悪いわね! 今日の私は本気モードよ! だから容赦なくいかせてもらうわ!!」
マミさんが巨大な砲口を私に向けて立っていた。
そして、そのまま私に向けて
マミ「ティロ・フィナーレ!!」
砲撃の音が空間に響く。
そして私を光が飲み込んだ。
さやか「やった!?」
杏子「やりすぎだバカ!」
マミ「バカってなによ! あれくらしないと止められるわけないでしょ!!」
ほむら「……まだよ!」
ほどか「……」
マミ「うそ……でしょ?」
杏子「バリアーってやつか……」
さやか「はは、さっすがほどか。なんでもありだね」
ほどか「みなさん本気みたいですね」
驚いた。まさか本気で止めにきているとは。
ほどか(認識が甘かったか)
バリアーを解き、空中へと飛翔する。
ほどか「みなさんのお気持ちはわかりました。どうやら本気で私をここから連れ出したいみたいですね」
さやか「だから、そういってんじゃん。バカ」
私を見上げながら、さやかさんが悪態をつく。
ほどか「ありがとうございます。そのお気持ちは嬉しいです」
マミ「なら、言う通りにしてもらいたいものだわ」
マミさんがマスケット銃を構えながら、そう告げる。
ほどか「それはできません。これは必要なことですから」
意識を私の周囲を飛行している三角錐の物体に向ける。
すると、無軌道に飛行していたそれらは私の指示に従うようにその先端をママ達に向ける。
マミさんが巨大な砲口を私に向けて立っていた。
そして、そのまま私に向けて
マミ「ティロ・フィナーレ!!」
砲撃の音が空間に響く。
そして私を光が飲み込んだ。
さやか「やった!?」
杏子「やりすぎだバカ!」
マミ「バカってなによ! あれくらしないと止められるわけないでしょ!!」
ほむら「……まだよ!」
ほどか「……」
マミ「うそ……でしょ?」
杏子「バリアーってやつか……」
さやか「はは、さっすがほどか。なんでもありだね」
ほどか「みなさん本気みたいですね」
驚いた。まさか本気で止めにきているとは。
ほどか(認識が甘かったか)
バリアーを解き、空中へと飛翔する。
ほどか「みなさんのお気持ちはわかりました。どうやら本気で私をここから連れ出したいみたいですね」
さやか「だから、そういってんじゃん。バカ」
私を見上げながら、さやかさんが悪態をつく。
ほどか「ありがとうございます。そのお気持ちは嬉しいです」
マミ「なら、言う通りにしてもらいたいものだわ」
マミさんがマスケット銃を構えながら、そう告げる。
ほどか「それはできません。これは必要なことですから」
意識を私の周囲を飛行している三角錐の物体に向ける。
すると、無軌道に飛行していたそれらは私の指示に従うようにその先端をママ達に向ける。
486: 2012/07/31(火) 23:59:44.34
杏子「気をつけろ! なにかするつもりだ!!」
杏子さんのその声に迎撃態勢を取るママ達。
だけど、無駄だ。
ほどか「安心してください。動きを止めるだけですから」
出来れば傷つけたくはなかった。
でも、それももう叶わない。
ならば、私も覚悟を決める。
ほどか「行って――」
――ファンネル!
私の言葉に呼応し多数のファンネルがママ達に襲いかかる。
さやか「ちょ、ちょっとどうすんのさ!」
杏子「どうって! 迎え討つしかないだろう!」
マミ「そんなこと言っても数が多すぎるわ!!」
ほむら「ッ!」
迎撃しようとするママ達だがもう遅い。
既にファンネル達はママ達を四方八方取り囲み、その切っ先を向けている。
ほどか「降参してくれませんか? 出来れば傷つけたくはないんです」
懇願する。このまま帰ってくれれば誰も傷つかずに済む。
マミ「バカ言わないで! 誰がそんなこと!」
杏子「むしろ降参するのはお前だろ?」
さやか「杏子の言う通りだね。じゃないと泣く羽目になるよ?」
ほむら「……」
ほどか「そうですか。なら仕方ありません」
はぁ、っと溜息を吐く。
この状況下でまだ諦めないなんて……。
ほどか「本当にみなさんはお人よしがすぎます」
まぁ、こんなみんなだからこそ、私はこの人達の未来を守りたいんだ。
ほどか「さっきも言ったように動きを止めるだけですから安心してください」
剣を天にかざす。そして、ママ達の方向へ斬るように振り下ろす。
その瞬間。多量のファンネルがその先から閃光を放つ。
はずだった。
杏子さんのその声に迎撃態勢を取るママ達。
だけど、無駄だ。
ほどか「安心してください。動きを止めるだけですから」
出来れば傷つけたくはなかった。
でも、それももう叶わない。
ならば、私も覚悟を決める。
ほどか「行って――」
――ファンネル!
私の言葉に呼応し多数のファンネルがママ達に襲いかかる。
さやか「ちょ、ちょっとどうすんのさ!」
杏子「どうって! 迎え討つしかないだろう!」
マミ「そんなこと言っても数が多すぎるわ!!」
ほむら「ッ!」
迎撃しようとするママ達だがもう遅い。
既にファンネル達はママ達を四方八方取り囲み、その切っ先を向けている。
ほどか「降参してくれませんか? 出来れば傷つけたくはないんです」
懇願する。このまま帰ってくれれば誰も傷つかずに済む。
マミ「バカ言わないで! 誰がそんなこと!」
杏子「むしろ降参するのはお前だろ?」
さやか「杏子の言う通りだね。じゃないと泣く羽目になるよ?」
ほむら「……」
ほどか「そうですか。なら仕方ありません」
はぁ、っと溜息を吐く。
この状況下でまだ諦めないなんて……。
ほどか「本当にみなさんはお人よしがすぎます」
まぁ、こんなみんなだからこそ、私はこの人達の未来を守りたいんだ。
ほどか「さっきも言ったように動きを止めるだけですから安心してください」
剣を天にかざす。そして、ママ達の方向へ斬るように振り下ろす。
その瞬間。多量のファンネルがその先から閃光を放つ。
はずだった。
487: 2012/08/01(水) 00:00:39.11
ほどか「!!」
さやか「あれ、無事……?」
杏子「なんともないよな……」
マミ「どう、して……?」
目を瞑っていたさやかさん達が何も起こらない事を不審がり目を開き辺りを見回す。
さやか「え? あれなくなってる?」
マミ「いえ、残骸があるわ」
杏子「……ほむらか!」
マミさん達の周囲に散らばるファンネルの残骸。
そしてその残骸を踏みしめるように立つママ。
ほむら「……」
髪をたなびかせ、煙を噴き出す銃口を地面に向けたまま無言で私を見つめるママ。
その目の迫力に思わず私はたじろいでしまう。
ほどか「時を止めて、ファンネルを無力化したんですね……」
ほむら「えぇ。まだ使えるようでよかったわ」
忘れていた……。ママの能力は時を止められるんだ。
なら、ビームを撃つ前にファンネルを全て撃ち落とすことは容易いか……。
ほどか「ッ!」
自分の愚かさに後悔しているといつの間にかママが目の前にいた。
ほむら「戦いの最中に考え事をするものではないわ」
そしてそのまま空中で体を捻り、私を叩き落とすように回し蹴りを放つ。
ほどか「ぐっ!」
まともに蹴りを受けた私はそのまま地面に急降下。
しかし、地面にぶつかるその前に羽ばたき、態勢を整えようと試みる。
ほむら「甘いわ。あれで終わりだと?」
だが、態勢を整える前に、同じく急降下してきたママの膝蹴りをモロに腹部に受ける。
ほどか「がはっ!」
そして腹部に痛みを受けたまま地面に激突。
ほどか「う……。ぐ……」
ママは激突の反動を利用して後方にジャンプ、そしてそのままくるりと1回転して着地。
そして首元に引っかかる髪を手でかきあげるのであった。
ほむら「痛みもあるのね。よかったわ、まだ人間のままのようね」
相変わらず私の瞳を見据えながら、冷静に観察するママ。
さやか「あれ、無事……?」
杏子「なんともないよな……」
マミ「どう、して……?」
目を瞑っていたさやかさん達が何も起こらない事を不審がり目を開き辺りを見回す。
さやか「え? あれなくなってる?」
マミ「いえ、残骸があるわ」
杏子「……ほむらか!」
マミさん達の周囲に散らばるファンネルの残骸。
そしてその残骸を踏みしめるように立つママ。
ほむら「……」
髪をたなびかせ、煙を噴き出す銃口を地面に向けたまま無言で私を見つめるママ。
その目の迫力に思わず私はたじろいでしまう。
ほどか「時を止めて、ファンネルを無力化したんですね……」
ほむら「えぇ。まだ使えるようでよかったわ」
忘れていた……。ママの能力は時を止められるんだ。
なら、ビームを撃つ前にファンネルを全て撃ち落とすことは容易いか……。
ほどか「ッ!」
自分の愚かさに後悔しているといつの間にかママが目の前にいた。
ほむら「戦いの最中に考え事をするものではないわ」
そしてそのまま空中で体を捻り、私を叩き落とすように回し蹴りを放つ。
ほどか「ぐっ!」
まともに蹴りを受けた私はそのまま地面に急降下。
しかし、地面にぶつかるその前に羽ばたき、態勢を整えようと試みる。
ほむら「甘いわ。あれで終わりだと?」
だが、態勢を整える前に、同じく急降下してきたママの膝蹴りをモロに腹部に受ける。
ほどか「がはっ!」
そして腹部に痛みを受けたまま地面に激突。
ほどか「う……。ぐ……」
ママは激突の反動を利用して後方にジャンプ、そしてそのままくるりと1回転して着地。
そして首元に引っかかる髪を手でかきあげるのであった。
ほむら「痛みもあるのね。よかったわ、まだ人間のままのようね」
相変わらず私の瞳を見据えながら、冷静に観察するママ。
488: 2012/08/01(水) 00:01:21.22
ほどか「私は……。もう人間じゃ……」
今の私は後ろの繭を守護する使い魔のようなもの。
だから人間などでは……。
ほむら「いいえ、あなたは人間よ」
そう言い放ち、また私に近寄る。
ほどか「!」
慌てて立ち上がり、ママに向けて剣を向ける。
さっき受けたダメージはもうない。
ほどか「私が人間? ふざけないでください! 人間ならあれだけのダメージを受けてこの速さで回復するわけが」
普通なら氏んでいてもおかしくない程の衝撃だ。
だが、私は骨を折ることもなく、血を流すこともなく、ただ痛みを感じただけで澄んだ。
そして、その痛みももうない。
ほむら「何度も言わせないで。あなたは人間よ」
――その証拠にあなたは苦しんでいるじゃない。
そう言って、私の目の前にまで来たママの顔は凄く怒っているように見えた。
ほどか「……!」
慌ててママの傍から離れる。
ほむら「あなたは私達を傷つけることを恐れて本気を出せないでいる。
なぜなら、私達を傷つけたくないから」
また私に近づく為に歩を進める。
ほむら「あなたはさっき私達が止めようとしていることが嬉しい。そういったわね?」
ほどか「それが、なんだっていうんですか……」
みんなが私を想ってくれている。それを嬉しく感じることの何がおかしいというのか……。
ほむら「つまりあなたは、私達と一緒にこの先の未来を歩んでいきたい。そう思っているんじゃないの?」
ほどか「! 違いますよ、私が嬉しく思ったのはあなた達の好意に対して……」
ほむら「嘘ね」
ほどか「……なぜそういえるんですか」
ほむら「今思えばあの封印からしておかしいのよ。何故あんな先が見えるような構造にしたのか」
一歩。また一歩と私に近寄る。
その度に私は後退する。
ほむら「あんな封印じゃあ、私達がなんとかしようと考えるに決まってる。あなたならそれくらいわかるはずよね?
なのに、あなたはあんな気を引くような封印を施した」
ほどか「……」
ほむら「そもそも、結界を隠すこともあなたなら出来たわよね? あなたは最強の魔法少女なんだから」
ほどか「それは、時間がなくて……」
思ったより早く発見されてしまったから隠すことも出来なかったんだ。
だから……。
ほむら「それも嘘。時間を自由に操ることが出来るあなたが時間が足りないですって?
笑わせないで」
ほどか「ッ!」
今の私は後ろの繭を守護する使い魔のようなもの。
だから人間などでは……。
ほむら「いいえ、あなたは人間よ」
そう言い放ち、また私に近寄る。
ほどか「!」
慌てて立ち上がり、ママに向けて剣を向ける。
さっき受けたダメージはもうない。
ほどか「私が人間? ふざけないでください! 人間ならあれだけのダメージを受けてこの速さで回復するわけが」
普通なら氏んでいてもおかしくない程の衝撃だ。
だが、私は骨を折ることもなく、血を流すこともなく、ただ痛みを感じただけで澄んだ。
そして、その痛みももうない。
ほむら「何度も言わせないで。あなたは人間よ」
――その証拠にあなたは苦しんでいるじゃない。
そう言って、私の目の前にまで来たママの顔は凄く怒っているように見えた。
ほどか「……!」
慌ててママの傍から離れる。
ほむら「あなたは私達を傷つけることを恐れて本気を出せないでいる。
なぜなら、私達を傷つけたくないから」
また私に近づく為に歩を進める。
ほむら「あなたはさっき私達が止めようとしていることが嬉しい。そういったわね?」
ほどか「それが、なんだっていうんですか……」
みんなが私を想ってくれている。それを嬉しく感じることの何がおかしいというのか……。
ほむら「つまりあなたは、私達と一緒にこの先の未来を歩んでいきたい。そう思っているんじゃないの?」
ほどか「! 違いますよ、私が嬉しく思ったのはあなた達の好意に対して……」
ほむら「嘘ね」
ほどか「……なぜそういえるんですか」
ほむら「今思えばあの封印からしておかしいのよ。何故あんな先が見えるような構造にしたのか」
一歩。また一歩と私に近寄る。
その度に私は後退する。
ほむら「あんな封印じゃあ、私達がなんとかしようと考えるに決まってる。あなたならそれくらいわかるはずよね?
なのに、あなたはあんな気を引くような封印を施した」
ほどか「……」
ほむら「そもそも、結界を隠すこともあなたなら出来たわよね? あなたは最強の魔法少女なんだから」
ほどか「それは、時間がなくて……」
思ったより早く発見されてしまったから隠すことも出来なかったんだ。
だから……。
ほむら「それも嘘。時間を自由に操ることが出来るあなたが時間が足りないですって?
笑わせないで」
ほどか「ッ!」
489: 2012/08/01(水) 00:02:10.14
ほむら「あなたは私達に止めて欲しかったんでしょう?
だから1か月前にまどかとコンタクトを取った」
ほどか「……」
ほむら「あなたにしかワルプルギスの夜を倒せない。
いえ、違うわね。そもそもあなたの願いを考えれば私達の協力なんているかしら?」
ほどか「……れ」
ほむら「いらないわよね?
あなたは黙って自分の身を隠し、危なければ私達に気づかれずに少し力を貸し、目的の日までずっと姿を消せばよかった」
ほどか「……まれ」
ほむら「それをしなかったのは何故か。あなたは怖かったのよ。一人ぼっちで誰にも知られずに消えるのが。
だから、まどかと会い協力を仰いだ。何故なら、あなたは私達と一緒にいたかったから。つまり――」
――あなたは私達と共に生きていきたいのよ。
ほどか「黙れーーーッ!!!!!」
ほどか「違う違う違う!!! 私は一人は怖くない! 恐れてなんかいない!!」
私が恐れているのはママ達の未来がなくなること!
ママ達が魔法少女の運命を背負わされ続けること!
ほむら「違わないわ。あなたは恐れている。一人でいることを。そして」
――このまま消えてしまうことを。
ほどか「ッこの! 黙れッ!!」
ほむら「一人ぼっちが怖いくせに強がって! 勝手に諦めて!! 一人が嫌ならそう言えばいい!
周りに助けてもらえばいい!!」
ほどか「黙れと言った! 二度言った!!」
ママに向かい勢いをつけまっすぐ飛翔。
そしてその勢いのまま剣で斬りかかる。
すでに無傷で済ませようなんてことは考えていない。
その口を閉ざすために、私の心を乱す言葉を止めるためにただ剣を振り降ろす。
ほむら「まどかの言った通りだったわ」
その剣を盾で受け止めるママ。
ほむら「あなたはやっぱり迷っている。本気で覚悟しているわけではないわ」
ほどか「自分勝手な解釈を!!」
ほむら「あら。私は喜んでいるのよ。もしあなたが本気なら止められないと考えていたんだから。
でも、あなたが迷っているっていうのなら――」
――私も全力を出せる!!
だから1か月前にまどかとコンタクトを取った」
ほどか「……」
ほむら「あなたにしかワルプルギスの夜を倒せない。
いえ、違うわね。そもそもあなたの願いを考えれば私達の協力なんているかしら?」
ほどか「……れ」
ほむら「いらないわよね?
あなたは黙って自分の身を隠し、危なければ私達に気づかれずに少し力を貸し、目的の日までずっと姿を消せばよかった」
ほどか「……まれ」
ほむら「それをしなかったのは何故か。あなたは怖かったのよ。一人ぼっちで誰にも知られずに消えるのが。
だから、まどかと会い協力を仰いだ。何故なら、あなたは私達と一緒にいたかったから。つまり――」
――あなたは私達と共に生きていきたいのよ。
ほどか「黙れーーーッ!!!!!」
ほどか「違う違う違う!!! 私は一人は怖くない! 恐れてなんかいない!!」
私が恐れているのはママ達の未来がなくなること!
ママ達が魔法少女の運命を背負わされ続けること!
ほむら「違わないわ。あなたは恐れている。一人でいることを。そして」
――このまま消えてしまうことを。
ほどか「ッこの! 黙れッ!!」
ほむら「一人ぼっちが怖いくせに強がって! 勝手に諦めて!! 一人が嫌ならそう言えばいい!
周りに助けてもらえばいい!!」
ほどか「黙れと言った! 二度言った!!」
ママに向かい勢いをつけまっすぐ飛翔。
そしてその勢いのまま剣で斬りかかる。
すでに無傷で済ませようなんてことは考えていない。
その口を閉ざすために、私の心を乱す言葉を止めるためにただ剣を振り降ろす。
ほむら「まどかの言った通りだったわ」
その剣を盾で受け止めるママ。
ほむら「あなたはやっぱり迷っている。本気で覚悟しているわけではないわ」
ほどか「自分勝手な解釈を!!」
ほむら「あら。私は喜んでいるのよ。もしあなたが本気なら止められないと考えていたんだから。
でも、あなたが迷っているっていうのなら――」
――私も全力を出せる!!
490: 2012/08/01(水) 00:03:21.03
そう言うとママは盾から手榴弾を取り出す。
そしてそのまま口でピンを引き抜き地面へと落とす。
ほどか「!?」
そんなことをすればママまで爆発に巻き込まれてしまう。
そう考えた私は、慌ててママを守るべく周りに結界を張る。
だが、手榴弾が爆発することはなかった。
ほむら「ごめんなさい。それはダミーよ」
ほどか「ぐ!?」
突如、私の体が拘束される。
鎖のようなものが私の動きを封じたのだ。
杏子「は、これでちょろちょろ動きまわれねーだろ!!」
ほどか「こんなもの……!」
杏子さんによる拘束を解こうともがく。
こんなものは少し力を入れればすぐに破って……。
さやか「させるわけないじゃん!」
その隙をついて、いつの間にか近づいてきていたさやかさんが私に斬撃を浴びせる。
ほどか「つ!?」
さやか「痛い? ゴメンね。でもあんたを止めるにはこれしか方法がないの」
体に斬り傷が増えていく。
あまりの痛みに苦痛の表情をあげてしまう。
マミ「さて、今度は決めるわよ」
ほどか「!!」
マミさんが再び召喚した、巨大な砲銃が私にその砲口を向けていた。
ほどか(馬鹿な! まださやかさんが近くにいるのに!)
このままじゃ二人とも!!。
マミ「ティロ・フィナーレ――!!」
だがマミさんは迷うことなく砲撃を開始。
そして巨大な光が私達を包もうとしていた。
ほどか(くっ! バリアー……。駄目! 間に合わな――)
光はもう目の前。
このままではさやかさんが……。
だが、さやかさんを光が飲み込むことはなかった。
さやか「ナイスほむら!」
ほむら「少し危なかったわ……」
ほどか(いつのまに!)
時を止めて救出した!?
そんな素振りは……。
ママの能力は厄介だ。
二度同じ手を食わないように注意していたというのに。
ほどか(私が一瞬マミさんに気を取られた隙に……!)
なんてギリギリなことを……。一秒でも遅ければそのままみんなまとめて飲み込まれたというのに……。
眼前に迫りくる光を視界に捉えその無謀さに驚く。
自分も脱出しようとするが杏子さんの鎖が邪魔をして身動きがとれない。
そしてもがく私を光が包み込んだ――。
そしてそのまま口でピンを引き抜き地面へと落とす。
ほどか「!?」
そんなことをすればママまで爆発に巻き込まれてしまう。
そう考えた私は、慌ててママを守るべく周りに結界を張る。
だが、手榴弾が爆発することはなかった。
ほむら「ごめんなさい。それはダミーよ」
ほどか「ぐ!?」
突如、私の体が拘束される。
鎖のようなものが私の動きを封じたのだ。
杏子「は、これでちょろちょろ動きまわれねーだろ!!」
ほどか「こんなもの……!」
杏子さんによる拘束を解こうともがく。
こんなものは少し力を入れればすぐに破って……。
さやか「させるわけないじゃん!」
その隙をついて、いつの間にか近づいてきていたさやかさんが私に斬撃を浴びせる。
ほどか「つ!?」
さやか「痛い? ゴメンね。でもあんたを止めるにはこれしか方法がないの」
体に斬り傷が増えていく。
あまりの痛みに苦痛の表情をあげてしまう。
マミ「さて、今度は決めるわよ」
ほどか「!!」
マミさんが再び召喚した、巨大な砲銃が私にその砲口を向けていた。
ほどか(馬鹿な! まださやかさんが近くにいるのに!)
このままじゃ二人とも!!。
マミ「ティロ・フィナーレ――!!」
だがマミさんは迷うことなく砲撃を開始。
そして巨大な光が私達を包もうとしていた。
ほどか(くっ! バリアー……。駄目! 間に合わな――)
光はもう目の前。
このままではさやかさんが……。
だが、さやかさんを光が飲み込むことはなかった。
さやか「ナイスほむら!」
ほむら「少し危なかったわ……」
ほどか(いつのまに!)
時を止めて救出した!?
そんな素振りは……。
ママの能力は厄介だ。
二度同じ手を食わないように注意していたというのに。
ほどか(私が一瞬マミさんに気を取られた隙に……!)
なんてギリギリなことを……。一秒でも遅ければそのままみんなまとめて飲み込まれたというのに……。
眼前に迫りくる光を視界に捉えその無謀さに驚く。
自分も脱出しようとするが杏子さんの鎖が邪魔をして身動きがとれない。
そしてもがく私を光が包み込んだ――。
491: 2012/08/01(水) 00:05:09.91
マミ「……」
さやか「今度こそ……」
杏子「まともに喰らったはずだからな……」
ほむら「ほどか……」
マミ「煙が、晴れるわ」
さやか「……ちぇ」
杏子「は、そう簡単にはいかねーか……」
ほむら「諦めるものですか……」
ほどか「……」
自身の体を見る。外傷は多数ある、がもはやそれもどうでもいい。
ほどか「……」
この傷は私の甘さが招いたものだ。ならば甘んじて受けよう。
ほどか「……」
ママの言う通り確かに私は迷っていた。
ママ達を傷つけることも、世界を救うことも。
そして、
一人になることも――。
ほどか「……」
だが、覚悟が足りないといのなら、それに足る覚悟を注ぎ足せばいいことだ。
ほどか「……」
剣を上空に構える。
杏子「なにを、する気だ……?」
さやか「上! 見て!!」
マミ「なによあれ!?」
ほむら「巨大な魔法陣……」
ほどか「……」
私の力により上空にて魔法陣が形成される。
その大きさはこの空間の空を覆い尽くすほどであり、見る者を圧倒する。
上空に燦然と輝く魔法陣は自身の形を崩壊させ、数多の粒子を生み出す。
そしてその粒子を中心に集約させる。
さやか「どうする、つもり……?」
ほどか「……」
光が集約を終えたのを確認する。
そして球形に集まる巨大な光のもとへと飛翔する。
杏子「な! あの中へ突っ込むつもりか!?」
光の中に入る。
すると数多の光の粒子が私の体を包み私の中に入り込む。
マミ「光を吸収しているの……?」
そして、光が消える――。
杏子「!!」
さやか「なによ、あれ!」
マミ「そんな……」
ほむら「く……!」
さやか「今度こそ……」
杏子「まともに喰らったはずだからな……」
ほむら「ほどか……」
マミ「煙が、晴れるわ」
さやか「……ちぇ」
杏子「は、そう簡単にはいかねーか……」
ほむら「諦めるものですか……」
ほどか「……」
自身の体を見る。外傷は多数ある、がもはやそれもどうでもいい。
ほどか「……」
この傷は私の甘さが招いたものだ。ならば甘んじて受けよう。
ほどか「……」
ママの言う通り確かに私は迷っていた。
ママ達を傷つけることも、世界を救うことも。
そして、
一人になることも――。
ほどか「……」
だが、覚悟が足りないといのなら、それに足る覚悟を注ぎ足せばいいことだ。
ほどか「……」
剣を上空に構える。
杏子「なにを、する気だ……?」
さやか「上! 見て!!」
マミ「なによあれ!?」
ほむら「巨大な魔法陣……」
ほどか「……」
私の力により上空にて魔法陣が形成される。
その大きさはこの空間の空を覆い尽くすほどであり、見る者を圧倒する。
上空に燦然と輝く魔法陣は自身の形を崩壊させ、数多の粒子を生み出す。
そしてその粒子を中心に集約させる。
さやか「どうする、つもり……?」
ほどか「……」
光が集約を終えたのを確認する。
そして球形に集まる巨大な光のもとへと飛翔する。
杏子「な! あの中へ突っ込むつもりか!?」
光の中に入る。
すると数多の光の粒子が私の体を包み私の中に入り込む。
マミ「光を吸収しているの……?」
そして、光が消える――。
杏子「!!」
さやか「なによ、あれ!」
マミ「そんな……」
ほむら「く……!」
492: 2012/08/01(水) 00:05:37.01
変化した。
光の全てを吸収したほどかはその体をさらに異形へと変える。
さっきまで二枚であった黒翼は六枚にまで数を増やし、さらにその大きさまでも肥大させている。
そして体には無数の魔法陣が帯状に纏わりつき彼女の体を包んでいる。
彼女が所持していた剣はその姿を巨大化させており、持ち主の手を離れ、彼女の右方にて敵を切刻む時を待つかのように空中で静止。
左方には彼女の体全てを覆い隠せるかのような盾が彼女に迫る脅威を取り払うかのように存在し、その威容を見せつける。
体を覆う鎧は上部は龍の鱗のようなものに変化しており彼女の胸部、腕、背を守る様に張り巡らされている。
下部には漆黒に彩られた短いスカートを着用し、彼女の足部には以前よりも重厚さを増した物に変化している。
さらに彼女の周囲には先程ほむらが破壊したはずのファンネルがその外装をより強固にし、飛来。
先程の彼女と同じ箇所といえば、身に着けているリボンのみであろうか。
それほどまでに彼女の姿は変化している。
493: 2012/08/01(水) 00:07:17.06
さやか「はは、なんかやばそうな雰囲気?」
マミ「驚いたわ……。まさかここまでとはね」
杏子「でも、諦めるつもりはないんだろ?」
ほむら「当然よ」
ほどか「――」
ほどかはそのピンクパープルに輝く両目をほむら達に向ける。
そして、彼女達のいる方向へと手をかざす。
その瞬間、ほむら達を囲むように魔法陣が現れ――。
ほむら「!!」
さやか「!?」
杏子「ぐ!?」
マミ「きゃあ!!」
魔法陣から彼女達を撃ち抜く光線が吹き荒れた。
ほむら「う……」
さやか「あ、ぐ……」
杏子「く、そ……」
マミ「くぅ……」
地面に倒れ伏すほむら達。
その姿は満身創痍と言え、もはや立って戦うことは不可能だと感じさせる。
ほどか「……」
そんなほむら達の前にほどかは降り立つ。
そして。
ほどか「覚悟は、出来ました――」
そう告げる。
ほむら「どういう、ことよ……」
ボロボロの体に鞭打ち立ち上がろうと試みるほむら。
だが膝を立てることが精一杯のようで、立ち上がることは出来ないでいるようだった。
マミ「驚いたわ……。まさかここまでとはね」
杏子「でも、諦めるつもりはないんだろ?」
ほむら「当然よ」
ほどか「――」
ほどかはそのピンクパープルに輝く両目をほむら達に向ける。
そして、彼女達のいる方向へと手をかざす。
その瞬間、ほむら達を囲むように魔法陣が現れ――。
ほむら「!!」
さやか「!?」
杏子「ぐ!?」
マミ「きゃあ!!」
魔法陣から彼女達を撃ち抜く光線が吹き荒れた。
ほむら「う……」
さやか「あ、ぐ……」
杏子「く、そ……」
マミ「くぅ……」
地面に倒れ伏すほむら達。
その姿は満身創痍と言え、もはや立って戦うことは不可能だと感じさせる。
ほどか「……」
そんなほむら達の前にほどかは降り立つ。
そして。
ほどか「覚悟は、出来ました――」
そう告げる。
ほむら「どういう、ことよ……」
ボロボロの体に鞭打ち立ち上がろうと試みるほむら。
だが膝を立てることが精一杯のようで、立ち上がることは出来ないでいるようだった。
495: 2012/08/01(水) 00:08:23.48
ほどか「私には一人でいる覚悟がなかった。それは認めます――」
ほむら「なら、大人しく、私達と一緒に……」
ほどかを睨み付け、ほむらはそう懇願するように口を開く。
ほどか「それは出来ません。やはりこれは必要なことですから――」
――誰かがやらなければいけないことですから。
そう答え、拒絶を示す。
ほむら「この、わからずや……」
相当辛いのか、ほむらは今にも倒れそうに片膝を着きフラフラと体を揺する。
そんなボロボロのほむらにほどかは近づく。
ほどか「あなた達を傷つけてしまったのは私の甘さが原因です。
そして、あなた達が私がいなくなることで悲しむことも――」
だから――。
そう話、ほむらの頭に手をかざす。
ほどか「あなた方の記憶から私を消します――」
ほむら「!!」
ほどかの手の平から優しい淡い光が溢れる。
さやか「ば! やめ!!」
杏子「お前なに言ってるんだよ!」
マミ「やめて! ほどかさん!!」
ほどか「あなたの言った通り、私はあなた達の前に姿を現すべきではなかった――」
ほむら「やめ、なさい!」
ほむらは必氏にその光から逃れようと体を引きずり後ろに下がる。
ほむら「なら、大人しく、私達と一緒に……」
ほどかを睨み付け、ほむらはそう懇願するように口を開く。
ほどか「それは出来ません。やはりこれは必要なことですから――」
――誰かがやらなければいけないことですから。
そう答え、拒絶を示す。
ほむら「この、わからずや……」
相当辛いのか、ほむらは今にも倒れそうに片膝を着きフラフラと体を揺する。
そんなボロボロのほむらにほどかは近づく。
ほどか「あなた達を傷つけてしまったのは私の甘さが原因です。
そして、あなた達が私がいなくなることで悲しむことも――」
だから――。
そう話、ほむらの頭に手をかざす。
ほどか「あなた方の記憶から私を消します――」
ほむら「!!」
ほどかの手の平から優しい淡い光が溢れる。
さやか「ば! やめ!!」
杏子「お前なに言ってるんだよ!」
マミ「やめて! ほどかさん!!」
ほどか「あなたの言った通り、私はあなた達の前に姿を現すべきではなかった――」
ほむら「やめ、なさい!」
ほむらは必氏にその光から逃れようと体を引きずり後ろに下がる。
496: 2012/08/01(水) 00:09:15.52
ほどか「そうすれば、あなた達を、あなたを傷つけずにすんだ――」
だが、光はその輝きを広げ、既にほむら達全員を包むまでに達していた。
ほどか「ごめんなさい。私には謝ることしかできません。傷つけておきながら、私はそれしか言えないんです――」
ですから、せめて私のことは忘れてこれからの日々を幸せに暮らしてください――。
ほどか「さようなら――」
ほむら「やめてーーーーーーッ!!!!!!!!!」
ほむらの絶叫が響く。
だがその叫びは無駄で。
そして、光が彼女達の記憶からある少女のことを消そうとしていた――。
――その時、上空から一本の矢が降り注いだ。
だが、光はその輝きを広げ、既にほむら達全員を包むまでに達していた。
ほどか「ごめんなさい。私には謝ることしかできません。傷つけておきながら、私はそれしか言えないんです――」
ですから、せめて私のことは忘れてこれからの日々を幸せに暮らしてください――。
ほどか「さようなら――」
ほむら「やめてーーーーーーッ!!!!!!!!!」
ほむらの絶叫が響く。
だがその叫びは無駄で。
そして、光が彼女達の記憶からある少女のことを消そうとしていた――。
――その時、上空から一本の矢が降り注いだ。
497: 2012/08/01(水) 00:09:47.76
ほどか「――!!」
ほむら達から記憶を奪おうとした光はその矢により霧散し、その役目を果たすことなく消滅した。
ほむら「あ……」
さやか「な、に?」
マミ「……?」
杏子「覚えてるよな、アタシ達……」
自分達の記憶から少女の存在が消えていないことを確認するほむら達。
さやか「覚えてるよ、うん。覚えてる」
マミ「一体なにが……」
杏子「なんでだ……」
ほむら「あの矢は……。まさか」
ほむらが地面に突き刺さる矢を見、呆然と呟く。
さやか「矢……?」
杏子「あそこに突き刺さってる桃色のあれか……?」
マミ「一体どこから飛んできて……?」
マミ達もほむらにつられ、どこかからか飛来してきた矢を見つめる。
ほどか「ッ!」
ほどかだけが矢の飛んできた位置を視認出来たのか、その方向を睨み付ける。
彼女が睨み付けるその先には――。
「てぃっひっひ。間に合ったみたいだね」
ほむら達から記憶を奪おうとした光はその矢により霧散し、その役目を果たすことなく消滅した。
ほむら「あ……」
さやか「な、に?」
マミ「……?」
杏子「覚えてるよな、アタシ達……」
自分達の記憶から少女の存在が消えていないことを確認するほむら達。
さやか「覚えてるよ、うん。覚えてる」
マミ「一体なにが……」
杏子「なんでだ……」
ほむら「あの矢は……。まさか」
ほむらが地面に突き刺さる矢を見、呆然と呟く。
さやか「矢……?」
杏子「あそこに突き刺さってる桃色のあれか……?」
マミ「一体どこから飛んできて……?」
マミ達もほむらにつられ、どこかからか飛来してきた矢を見つめる。
ほどか「ッ!」
ほどかだけが矢の飛んできた位置を視認出来たのか、その方向を睨み付ける。
彼女が睨み付けるその先には――。
「てぃっひっひ。間に合ったみたいだね」
498: 2012/08/01(水) 00:10:33.35
さやマミ杏「!!」
ほむら「その声は、やっぱり……」
ほどか「パパ……」
まどか「やっほー。パパだよー」
鹿目まどか。彼女が魔法少女の衣装を身に纏い空中に浮かんでいた。
まどか「よっと。魔法少女って空も飛べるんだねー」
地面に足をつけ開口一番、誰に言うでもなくまどかは驚きを伝える。
まどか「これなら学校にもすぐ着けちゃうね!」
そして、地面に倒れる仲間達に手を伸ばす。
ほむら「まどか、どうして魔法少女に……」
まどかの手を借り、立ち上がるほむら。
そして当然の疑問を口にする。
まどか「えー? キュゥべぇに頼んだからだよ?」
杏子「そうじゃないだろ!」
杏子が納得のいかない答えに食って掛かる。
が、まどかはそんな声も軽く流し、傷だらけの仲間達の体を眺める。
まどか「まぁそんなことより、みんな傷だらけだからね、パパっと治しちゃうね。パパだけに」
そう伝え、手から光を放ち、ほむら達の傷を治す。
マミ「傷が引いていく……」
まどか「ウェヒヒ。凄いでしょ」
ほむら「その声は、やっぱり……」
ほどか「パパ……」
まどか「やっほー。パパだよー」
鹿目まどか。彼女が魔法少女の衣装を身に纏い空中に浮かんでいた。
まどか「よっと。魔法少女って空も飛べるんだねー」
地面に足をつけ開口一番、誰に言うでもなくまどかは驚きを伝える。
まどか「これなら学校にもすぐ着けちゃうね!」
そして、地面に倒れる仲間達に手を伸ばす。
ほむら「まどか、どうして魔法少女に……」
まどかの手を借り、立ち上がるほむら。
そして当然の疑問を口にする。
まどか「えー? キュゥべぇに頼んだからだよ?」
杏子「そうじゃないだろ!」
杏子が納得のいかない答えに食って掛かる。
が、まどかはそんな声も軽く流し、傷だらけの仲間達の体を眺める。
まどか「まぁそんなことより、みんな傷だらけだからね、パパっと治しちゃうね。パパだけに」
そう伝え、手から光を放ち、ほむら達の傷を治す。
マミ「傷が引いていく……」
まどか「ウェヒヒ。凄いでしょ」
499: 2012/08/01(水) 00:11:09.84
まどか「え、っていうかあれなに!? ほどかちゃんあんなになっちゃったの!!?」
ほどかの姿を見つけ、驚き慌てるまどか。
まどか「……」
そして真剣な表情でじーっと見つめる。
ほどか「なんですか、あなたもなにか言いたいことが――」
まどかの言葉を待つ。
今更なにを言われても、もう動じないと目で意志を伝え。
まどか「いいね! すっごい可愛い!!」
ほどか「え」
まどか「なにその翼! いいね天使みたいだね! あ、もとからほどかちゃんは天使みたいに可愛いよ?
でもその可愛さに磨きがかかったっていうの? 今の可愛さは神様すらも恐れ慄いて土下座する的な?
それになんか、この魔法陣もいいよね。神秘的っていうかさ、神々しいっていうのかな!
あと、この剣と盾もいい味出してるね! 不釣り合いに大きいところがギャップで可愛いっていうのかな。
小柄なほどかちゃんがこんなの持って戦ってたら私いっちゃうよ!
え!? っていうか目どうしたの!!? なんか宝石みたいだよ! きゃー! もっとよく見せて!!」
ほどか「え、ちょ」
まどか「あーん。可愛い可愛い!! 羽もぴこぴこ動いてさ! 触るね!?」
ほどか「きゃん! や、やめて!」
まどか「きゃん! だって! 可愛すぎるよもう!
あ、そうだ写真撮らなきゃ写真!!」
そう言ってどこからともなくカメラを取り出す。
まどか「はーい、いくよー! 1-1はー?」
ほどか「え、ゼ、ゼロ?」
まどか「正解! じゃあ、1+1はー?」
ほどか「にー」
まどか「はいどうも! いい笑顔頂きましたー!」
ほどか「はっ! しまった!」
まどか「うーん。いいねー。これは永久保存しないとね」
ほどかの姿を見つけ、驚き慌てるまどか。
まどか「……」
そして真剣な表情でじーっと見つめる。
ほどか「なんですか、あなたもなにか言いたいことが――」
まどかの言葉を待つ。
今更なにを言われても、もう動じないと目で意志を伝え。
まどか「いいね! すっごい可愛い!!」
ほどか「え」
まどか「なにその翼! いいね天使みたいだね! あ、もとからほどかちゃんは天使みたいに可愛いよ?
でもその可愛さに磨きがかかったっていうの? 今の可愛さは神様すらも恐れ慄いて土下座する的な?
それになんか、この魔法陣もいいよね。神秘的っていうかさ、神々しいっていうのかな!
あと、この剣と盾もいい味出してるね! 不釣り合いに大きいところがギャップで可愛いっていうのかな。
小柄なほどかちゃんがこんなの持って戦ってたら私いっちゃうよ!
え!? っていうか目どうしたの!!? なんか宝石みたいだよ! きゃー! もっとよく見せて!!」
ほどか「え、ちょ」
まどか「あーん。可愛い可愛い!! 羽もぴこぴこ動いてさ! 触るね!?」
ほどか「きゃん! や、やめて!」
まどか「きゃん! だって! 可愛すぎるよもう!
あ、そうだ写真撮らなきゃ写真!!」
そう言ってどこからともなくカメラを取り出す。
まどか「はーい、いくよー! 1-1はー?」
ほどか「え、ゼ、ゼロ?」
まどか「正解! じゃあ、1+1はー?」
ほどか「にー」
まどか「はいどうも! いい笑顔頂きましたー!」
ほどか「はっ! しまった!」
まどか「うーん。いいねー。これは永久保存しないとね」
500: 2012/08/01(水) 00:11:39.84
さやか「……」
杏子「おい、あれ止めろよ」
マミ「いやよ、私まで同類になるじゃない」
さやか「ここはやっぱりほむらの出番だね」
ほむら「私!?」
マミ「頑張って暁美さん!」
杏子「さすが、ほむらは頼りになる!」
さやか「ママ頑張って!」
ほむら「あなた達……。覚えてなさい! 特にさやか!」
まどか「あ、ほどかちゃんなにそのスカート! 短すぎない!?」
ほどか「仕方ないでしょう! そういう衣装なんだから!」
まどか「禁止っていったよね!? ちょっとめくらせて!」
ほどか「きゃー!! エOチー!!」
まどか「おぉ、意外と過激な……」
ほどか「頃す! あなたは許さない!! いって! ファンネル!」
まどか「ウェヒヒ! 当たらなければどうということはない!!」
ほどか「この! 待て!!」
まどか「まったないよー!」
ほむら「あの……。まどか?」
まどか「何? ほむらちゃんもほどかちゃんのパンツの色知りたい? あのねー」
ほどか「ぎゃー!! ママには言わないでー!!」
まどか「うぇひひひひ」
ほどか「この! セクハラ親父!!」
ほむら「はぁ……。いい加減にしなさい!」
まどか「いた!!」
ほどか「きゃん!」
杏子「おい、あれ止めろよ」
マミ「いやよ、私まで同類になるじゃない」
さやか「ここはやっぱりほむらの出番だね」
ほむら「私!?」
マミ「頑張って暁美さん!」
杏子「さすが、ほむらは頼りになる!」
さやか「ママ頑張って!」
ほむら「あなた達……。覚えてなさい! 特にさやか!」
まどか「あ、ほどかちゃんなにそのスカート! 短すぎない!?」
ほどか「仕方ないでしょう! そういう衣装なんだから!」
まどか「禁止っていったよね!? ちょっとめくらせて!」
ほどか「きゃー!! エOチー!!」
まどか「おぉ、意外と過激な……」
ほどか「頃す! あなたは許さない!! いって! ファンネル!」
まどか「ウェヒヒ! 当たらなければどうということはない!!」
ほどか「この! 待て!!」
まどか「まったないよー!」
ほむら「あの……。まどか?」
まどか「何? ほむらちゃんもほどかちゃんのパンツの色知りたい? あのねー」
ほどか「ぎゃー!! ママには言わないでー!!」
まどか「うぇひひひひ」
ほどか「この! セクハラ親父!!」
ほむら「はぁ……。いい加減にしなさい!」
まどか「いた!!」
ほどか「きゃん!」
501: 2012/08/01(水) 00:12:11.03
ほむら「あなた達はどうしてそう! すぐにケンカするの! ちょっとそこに正座しなさい!」
まどか「あちゃー」
ほどか「あぅ……」
ほむら「全く! 少しは落ち着きを持たないと駄目じゃない!」
まどか「怒られた……」
ほどか「お父さんのせいですよ……」
ほむら「ちゃんと聞きなさい!!」
まどほど「はい!!」
さやか「なにあれ」
杏子「さぁ?」
マミ「ミイラ取りがミイラになってるじゃない」
ほむら「はぁ、……。は! ち、違うわ、こういうことじゃなくて……」
まどか「どうしたの?」
ほどか「体調悪いの?」
ほむら「この子達は……」
こほん。と咳をし、態度を改めるほむら。
ほむら「……。まどか、どうしてあなたはここに来たの?」
ほどか「ハッ!」
その言葉に我を取り戻したのかほどかは慌てて正座を解いて距離を取る。
そして何もなかったかのように空中にて静止。
まどか「あちゃー」
ほどか「あぅ……」
ほむら「全く! 少しは落ち着きを持たないと駄目じゃない!」
まどか「怒られた……」
ほどか「お父さんのせいですよ……」
ほむら「ちゃんと聞きなさい!!」
まどほど「はい!!」
さやか「なにあれ」
杏子「さぁ?」
マミ「ミイラ取りがミイラになってるじゃない」
ほむら「はぁ、……。は! ち、違うわ、こういうことじゃなくて……」
まどか「どうしたの?」
ほどか「体調悪いの?」
ほむら「この子達は……」
こほん。と咳をし、態度を改めるほむら。
ほむら「……。まどか、どうしてあなたはここに来たの?」
ほどか「ハッ!」
その言葉に我を取り戻したのかほどかは慌てて正座を解いて距離を取る。
そして何もなかったかのように空中にて静止。
502: 2012/08/01(水) 00:12:41.49
まどか「えー? ほどかちゃんを連れ戻しにだよ?」
なにを分かり切ったことをと言いたげにその質問に答える。
そして、まどかも正座を解いて立ち上がる。
まどか「いたた、足が痺れてるよ」
そして、離れて空中に佇むほどかに目を向ける。
まどか「ねぇ、ほどかちゃん一緒に帰ろ?」
ほどか「あなたもそういうのですね。ですが私は戻るつもりはありません――」
まどか「もー。なんなのその喋り方、――こんなのさっきはつけてなかったでしょ?
なに、雰囲気作り? っていうか体中傷だらけだよ。嫁入り前なのに……。って誰が嫁にやるか!!」
ほどか「ぐ! い、今はその話はいいでしょう! とにかく私は帰るつもりはありませんから!」
まどか「あちゃー。娘がぐれちゃったよ。どうしようか? ママ?」
ほむら「マ、ママ!?」
まどか「ほむらちゃんはママでしょ? で、私がパパ」
ほむら「そ、そうだけど……」
まどか「娘の非行は親が止めないと駄目だよね?」
真面目な顔でほむらにそう告げる。
そして、ほどかをじっと見据える。
ほむら「! そうね」
ほむらもその表情から何かを察したのか、まどかと同じようにほどかを見つめる。
まどか「……。ゴメンねほむらちゃん。私、結局魔法少女になっちゃった」
ほむら「全く、あなたは私が何を言っても聞かないんだから……」
まどか「てぃひひ。ごめん」
ほむら「いいわ、その代わりあの子を絶対止めるわよ」
まどか「うん。絶対に」
そして、ほどかを見据えたまま二人は居並び、
まどかは弓を、ほむらは銃を構える。
まどか「さぁ、ほどかちゃん。悪い子にはお説教だよ!!」
覚悟してね――!
なにを分かり切ったことをと言いたげにその質問に答える。
そして、まどかも正座を解いて立ち上がる。
まどか「いたた、足が痺れてるよ」
そして、離れて空中に佇むほどかに目を向ける。
まどか「ねぇ、ほどかちゃん一緒に帰ろ?」
ほどか「あなたもそういうのですね。ですが私は戻るつもりはありません――」
まどか「もー。なんなのその喋り方、――こんなのさっきはつけてなかったでしょ?
なに、雰囲気作り? っていうか体中傷だらけだよ。嫁入り前なのに……。って誰が嫁にやるか!!」
ほどか「ぐ! い、今はその話はいいでしょう! とにかく私は帰るつもりはありませんから!」
まどか「あちゃー。娘がぐれちゃったよ。どうしようか? ママ?」
ほむら「マ、ママ!?」
まどか「ほむらちゃんはママでしょ? で、私がパパ」
ほむら「そ、そうだけど……」
まどか「娘の非行は親が止めないと駄目だよね?」
真面目な顔でほむらにそう告げる。
そして、ほどかをじっと見据える。
ほむら「! そうね」
ほむらもその表情から何かを察したのか、まどかと同じようにほどかを見つめる。
まどか「……。ゴメンねほむらちゃん。私、結局魔法少女になっちゃった」
ほむら「全く、あなたは私が何を言っても聞かないんだから……」
まどか「てぃひひ。ごめん」
ほむら「いいわ、その代わりあの子を絶対止めるわよ」
まどか「うん。絶対に」
そして、ほどかを見据えたまま二人は居並び、
まどかは弓を、ほむらは銃を構える。
まどか「さぁ、ほどかちゃん。悪い子にはお説教だよ!!」
覚悟してね――!
503: 2012/08/01(水) 00:13:16.06
―まどか―
―― 少し前 魔女結界前 ――
まどか「……これがそうだね」
あれから辺りを少し探索。そしてほどなくして大きな結界を見つけることが出来た。
まどか「待っててほどかちゃん。みんな」
中に入ろうと一歩。
すると私を呼び止める声がした。
QB「待ちなよまどか」
まどか「キュゥべぇ。まだなにか用があるの?」
私は急いでいるんだ。一刻も早くみんなの所へ……。
QB「今の君が行ってもなにも出来ないよ」
またそれか。
まどか「さっきも言ったでしょ? そんなのは関係……」
ない。そう言おうとするがキュゥべぇはそれを待たずに続けて話し続ける。
QB「今のほどかを止めるにはそれに対抗する力が必要だ」
そんなことはわかっている。
だけど、私にはその力はない。
まどか「それもわかってる。だけど、私は普通の人間でそんな力は……」
QB「忘れたのかい?」
やれやれ、君は記憶力が悪いんだね。そう言いたげにキュゥべぇは首をふる。
失礼な。
まどか「何? 私をバカにしにきたの?」
QB「違うよ。君にいい話を持ってきたんだ」
まどか「いい話……」
QB「まどか、君には魔法少女の才能がある。
そしてそれは、ほどかに及ばないにしてもかなり近い力だ」
まどか「!」
そういえばそうだった……。
っていうか、私は女の子だった。
まどか(父親として行動し過ぎて忘れてた)
QB「つまり、君が魔法少女になれば、もしかしたらほどかを止めることができるかもしれない」
あくまで君次第だけどね。
そう言い添える。
―― 少し前 魔女結界前 ――
まどか「……これがそうだね」
あれから辺りを少し探索。そしてほどなくして大きな結界を見つけることが出来た。
まどか「待っててほどかちゃん。みんな」
中に入ろうと一歩。
すると私を呼び止める声がした。
QB「待ちなよまどか」
まどか「キュゥべぇ。まだなにか用があるの?」
私は急いでいるんだ。一刻も早くみんなの所へ……。
QB「今の君が行ってもなにも出来ないよ」
またそれか。
まどか「さっきも言ったでしょ? そんなのは関係……」
ない。そう言おうとするがキュゥべぇはそれを待たずに続けて話し続ける。
QB「今のほどかを止めるにはそれに対抗する力が必要だ」
そんなことはわかっている。
だけど、私にはその力はない。
まどか「それもわかってる。だけど、私は普通の人間でそんな力は……」
QB「忘れたのかい?」
やれやれ、君は記憶力が悪いんだね。そう言いたげにキュゥべぇは首をふる。
失礼な。
まどか「何? 私をバカにしにきたの?」
QB「違うよ。君にいい話を持ってきたんだ」
まどか「いい話……」
QB「まどか、君には魔法少女の才能がある。
そしてそれは、ほどかに及ばないにしてもかなり近い力だ」
まどか「!」
そういえばそうだった……。
っていうか、私は女の子だった。
まどか(父親として行動し過ぎて忘れてた)
QB「つまり、君が魔法少女になれば、もしかしたらほどかを止めることができるかもしれない」
あくまで君次第だけどね。
そう言い添える。
504: 2012/08/01(水) 00:13:45.00
まどか「でも、いいの? キュゥべぇの目的は……」
この宇宙のエネルギー不足の解消。
それならほどかちゃんの邪魔をする私達は……。
QB「見てみたいのさ」
まどか「え?」
QB「こんな絶望的な状況下にも関わらず、君達はほどかを止めようとする。
まどかに至っては生身の体で止めようとしている」
まどか「……」
QB「ほどか一人の犠牲で、自分達は幸せな毎日を送れるのにも関わらず、だ」
まどか「……それは」
QB「君達の行動は不可解で非合理的だ。種の本能に逆らっているとも思えるね。
でも、そんな君達を見て、それに惹かれている僕達もいるんだ。……全くわけがわからないよ」
でも、だからこそ……。
キュゥべぇはそう言葉を続ける。
QB「見てみたいんだ。君達がその不可解で非合理的な行動の先に何を得るのか。
本能に逆らってまで得る物とは何か」
まどか「キュゥべぇ……」
QB「だから――」
――僕と契約して魔法少女になってよ!!
この宇宙のエネルギー不足の解消。
それならほどかちゃんの邪魔をする私達は……。
QB「見てみたいのさ」
まどか「え?」
QB「こんな絶望的な状況下にも関わらず、君達はほどかを止めようとする。
まどかに至っては生身の体で止めようとしている」
まどか「……」
QB「ほどか一人の犠牲で、自分達は幸せな毎日を送れるのにも関わらず、だ」
まどか「……それは」
QB「君達の行動は不可解で非合理的だ。種の本能に逆らっているとも思えるね。
でも、そんな君達を見て、それに惹かれている僕達もいるんだ。……全くわけがわからないよ」
でも、だからこそ……。
キュゥべぇはそう言葉を続ける。
QB「見てみたいんだ。君達がその不可解で非合理的な行動の先に何を得るのか。
本能に逆らってまで得る物とは何か」
まどか「キュゥべぇ……」
QB「だから――」
――僕と契約して魔法少女になってよ!!
505: 2012/08/01(水) 00:14:23.16
―まどか―
―― ??? ――
ほどか「驚きました。まさかあなたが魔法少女になるなんて――」
本当に驚いた。
こんなことは考えもしなかった。
まどか「ごめんね。約束破っちゃったね」
頭を掻き、笑いながらパパは謝る。
ほどか「全くですよ、嘘つきな父親なんて最低です――」
出来る限りの悪意を込めて、そう告げる。
まどか「嘘つきな娘はどうなの?」
ほどか「……」
まどか「まぁ、可愛い娘の嘘だからね。父親としては許してあげたいんだけど」
パパは真剣な表情で一歩前に進み出る。
まどか「でも、その嘘がほどかちゃん自信も傷つけている嘘だっていうんなら話は違うよね」
そして弓を私に構える。
ほどか「なんの話ですか――」
まどか「ほどかちゃんはこんな所にいたくないって話だよ。
私達と一緒にいたいってこと」
また、その話か。
ほどか「その話ならもう済みましたよ。私は納得してここにいるし、覚悟もしました」
まどか「どうかな」
弦を引き、そのままの態勢で静止。
まどか「確かに、ほどかちゃんはこのことについて納得しているのかもしれない。
覚悟しているのかもしれない。でも――」
――本当に願っているのはそれじゃない。
ブン っという音が鳴る。
パパが弦を引く指を離し、形を変えられた弦が本来の自分の形に戻る際に奏でた音だ。
矢は飛んでこなかった。
もとより、パパは矢など装着していなかったのだ。
しかし、私には確かに見えた。
私のもとへ飛んでくる矢が。
一直線に私の胸へと飛来する矢が。
パパの想いが。
―― ??? ――
ほどか「驚きました。まさかあなたが魔法少女になるなんて――」
本当に驚いた。
こんなことは考えもしなかった。
まどか「ごめんね。約束破っちゃったね」
頭を掻き、笑いながらパパは謝る。
ほどか「全くですよ、嘘つきな父親なんて最低です――」
出来る限りの悪意を込めて、そう告げる。
まどか「嘘つきな娘はどうなの?」
ほどか「……」
まどか「まぁ、可愛い娘の嘘だからね。父親としては許してあげたいんだけど」
パパは真剣な表情で一歩前に進み出る。
まどか「でも、その嘘がほどかちゃん自信も傷つけている嘘だっていうんなら話は違うよね」
そして弓を私に構える。
ほどか「なんの話ですか――」
まどか「ほどかちゃんはこんな所にいたくないって話だよ。
私達と一緒にいたいってこと」
また、その話か。
ほどか「その話ならもう済みましたよ。私は納得してここにいるし、覚悟もしました」
まどか「どうかな」
弦を引き、そのままの態勢で静止。
まどか「確かに、ほどかちゃんはこのことについて納得しているのかもしれない。
覚悟しているのかもしれない。でも――」
――本当に願っているのはそれじゃない。
ブン っという音が鳴る。
パパが弦を引く指を離し、形を変えられた弦が本来の自分の形に戻る際に奏でた音だ。
矢は飛んでこなかった。
もとより、パパは矢など装着していなかったのだ。
しかし、私には確かに見えた。
私のもとへ飛んでくる矢が。
一直線に私の胸へと飛来する矢が。
パパの想いが。
507: 2012/08/01(水) 00:15:41.79
訂正。
―ほどか―
―― ??? ――
ほどか「驚きました。まさかあなたが魔法少女になるなんて――」
本当に驚いた。
こんなことは考えもしなかった。
まどか「ごめんね。約束破っちゃったね」
頭を掻き、笑いながらパパは謝る。
ほどか「全くですよ、嘘つきな父親なんて最低です――」
出来る限りの悪意を込めて、そう告げる。
まどか「嘘つきな娘はどうなの?」
ほどか「……」
まどか「まぁ、可愛い娘の嘘だからね。父親としては許してあげたいんだけど」
パパは真剣な表情で一歩前に進み出る。
まどか「でも、その嘘がほどかちゃん自信も傷つけている嘘だっていうんなら話は違うよね」
そして弓を私に構える。
ほどか「なんの話ですか――」
まどか「ほどかちゃんはこんな所にいたくないって話だよ。
私達と一緒にいたいってこと」
また、その話か。
ほどか「その話ならもう済みましたよ。私は納得してここにいるし、覚悟もしました」
まどか「どうかな」
弦を引き、そのままの態勢で静止。
まどか「確かに、ほどかちゃんはこのことについて納得しているのかもしれない。
覚悟しているのかもしれない。でも――」
――本当に願っているのはそれじゃない。
ブン っという音が鳴る。
パパが弦を引く指を離し、形を変えられた弦が本来の自分の形に戻る際に奏でた音だ。
矢は飛んでこなかった。
もとより、パパは矢など装着していなかったのだ。
しかし、私には確かに見えた。
私のもとへ飛んでくる矢が。
一直線に私の胸へと飛来する矢が。
パパの想いが。
―ほどか―
―― ??? ――
ほどか「驚きました。まさかあなたが魔法少女になるなんて――」
本当に驚いた。
こんなことは考えもしなかった。
まどか「ごめんね。約束破っちゃったね」
頭を掻き、笑いながらパパは謝る。
ほどか「全くですよ、嘘つきな父親なんて最低です――」
出来る限りの悪意を込めて、そう告げる。
まどか「嘘つきな娘はどうなの?」
ほどか「……」
まどか「まぁ、可愛い娘の嘘だからね。父親としては許してあげたいんだけど」
パパは真剣な表情で一歩前に進み出る。
まどか「でも、その嘘がほどかちゃん自信も傷つけている嘘だっていうんなら話は違うよね」
そして弓を私に構える。
ほどか「なんの話ですか――」
まどか「ほどかちゃんはこんな所にいたくないって話だよ。
私達と一緒にいたいってこと」
また、その話か。
ほどか「その話ならもう済みましたよ。私は納得してここにいるし、覚悟もしました」
まどか「どうかな」
弦を引き、そのままの態勢で静止。
まどか「確かに、ほどかちゃんはこのことについて納得しているのかもしれない。
覚悟しているのかもしれない。でも――」
――本当に願っているのはそれじゃない。
ブン っという音が鳴る。
パパが弦を引く指を離し、形を変えられた弦が本来の自分の形に戻る際に奏でた音だ。
矢は飛んでこなかった。
もとより、パパは矢など装着していなかったのだ。
しかし、私には確かに見えた。
私のもとへ飛んでくる矢が。
一直線に私の胸へと飛来する矢が。
パパの想いが。
508: 2012/08/01(水) 00:16:17.94
―まどか―
まどか「ここは……」
キュゥべぇと契約し、魔法少女になった私は急いで結界内に侵入した。
そして、結界内を進み、少しすると見つけた扉を開けその中に入る。
まどか「なんだか不思議な場所だねー」
ふわふわと浮かぶ自分の体を眺め、そうひとりごちる。
まどか「声……」
声が聞こえる。
まどか「――!」
その声はとても嫌なものだった。
まどか「っ!」
怨嗟嫉妬怒り悲しみ苦しみ妬み嫉み痛み哀しみ恐れ懐疑恨み憎しみ忌悔やみ怖れ憤り嫌悪
軽蔑困惑悲痛苦悩苦痛苦悶慟哭憂悶煩悶沈痛疑心寂寥蟠り暗鬱陰鬱暗然沈鬱不快憂鬱疑心
そんな負の感情、絶望が私に襲いかかる。
まどか「こんなの……」
それはとても苦しく、悲しいものだった。
頭がどうにかなりそうで、ここにいるだけで気が狂いそのまま絶望の中で氏んでしまうそう思えた。
まどか「……けて」
助けてほしい。
誰でもいいから私をここから連れ出してほしい。
そう私が強く願ったその時、聞き覚えのある声が、蜷局巻く負の螺旋から聞こえた。
まどか「ここは……」
キュゥべぇと契約し、魔法少女になった私は急いで結界内に侵入した。
そして、結界内を進み、少しすると見つけた扉を開けその中に入る。
まどか「なんだか不思議な場所だねー」
ふわふわと浮かぶ自分の体を眺め、そうひとりごちる。
まどか「声……」
声が聞こえる。
まどか「――!」
その声はとても嫌なものだった。
まどか「っ!」
怨嗟嫉妬怒り悲しみ苦しみ妬み嫉み痛み哀しみ恐れ懐疑恨み憎しみ忌悔やみ怖れ憤り嫌悪
軽蔑困惑悲痛苦悩苦痛苦悶慟哭憂悶煩悶沈痛疑心寂寥蟠り暗鬱陰鬱暗然沈鬱不快憂鬱疑心
そんな負の感情、絶望が私に襲いかかる。
まどか「こんなの……」
それはとても苦しく、悲しいものだった。
頭がどうにかなりそうで、ここにいるだけで気が狂いそのまま絶望の中で氏んでしまうそう思えた。
まどか「……けて」
助けてほしい。
誰でもいいから私をここから連れ出してほしい。
そう私が強く願ったその時、聞き覚えのある声が、蜷局巻く負の螺旋から聞こえた。
509: 2012/08/01(水) 00:16:43.43
パパとママと一緒にいたい。離れたくないよ――。
まどか「!」
その声は私が今求めている人の物で、私が失いたくない人の声で、
一人は嫌、寂しいよ、みんなと一緒がいいよ――。
まどか「ほどか、ちゃん……」
パパ、ママ――。
助けて――。
まどか「!!!」
急いで奥へと進む。
まだ私を蝕む声は聞こえるがもはやそんなことはどうだっていい。
まどか「ほどかちゃん! ほどかちゃん!!」
娘の名前を呼ぶ。愛する娘の名前を。
まどか「いま、行くから! パパが助けるから!!」
娘が呼んでいるんだ。
私に助けを求めているんだ。
なら――。
こんなところで絶望に付き合っている暇はない。
まどか「!」
その声は私が今求めている人の物で、私が失いたくない人の声で、
一人は嫌、寂しいよ、みんなと一緒がいいよ――。
まどか「ほどか、ちゃん……」
パパ、ママ――。
助けて――。
まどか「!!!」
急いで奥へと進む。
まだ私を蝕む声は聞こえるがもはやそんなことはどうだっていい。
まどか「ほどかちゃん! ほどかちゃん!!」
娘の名前を呼ぶ。愛する娘の名前を。
まどか「いま、行くから! パパが助けるから!!」
娘が呼んでいるんだ。
私に助けを求めているんだ。
なら――。
こんなところで絶望に付き合っている暇はない。
510: 2012/08/01(水) 00:17:22.11
―ほどか―
―― ??? ――
まどか「聞いたんだ。ほどかちゃんの声を」
ほどか「……」
まどか「あなたは助けを求めていた。あなたは救われたいと願っていた」
ほどか「……」
まどか「だから、私が助ける。ううん、私達が」
ほむら「えぇ、そうね」
ほどか「……。百歩譲ってそうだとしても、私は止まるわけにはいかない。
私が諦めれば多くの人が悲しむことになる――」
それは許されないことだ。
それは許してはいけないことだ。
ほどか「だから、私は――!!」
ファンネルを全面展開。
ほどか「あなた達を打ち倒し、先へと進む――!!」
いって! ファンネル――!!
その声に従い、ファンネルはパパ達へと襲いかかる。
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら「わかってるわ!」
ママが先程と同じようにファンネルを撃墜しようと時を止める。
ほむら「いまの内に!!」
ほどか「させません――!」
ほむら「! どうして!」
ほどか「忘れたんですか! 私にも時を操る能力はある――!」
そしてそれはあなたと同じ。ママだけが時を支配できるわけじゃない。
ほどか「さらに、今の私の能力は――!」
以前の私とは比べ物にならない。だから――。
ほどか「いって! ファンネル――!」
ほむら「そんな!? 対象に触れずに!!?」
それくらいの芸当、出来ないで世界を救おうとは考えない。
絶対の力がある私だからこそ、その身を捨ててでもあなた達を守ろうと考えたんだ。
―― ??? ――
まどか「聞いたんだ。ほどかちゃんの声を」
ほどか「……」
まどか「あなたは助けを求めていた。あなたは救われたいと願っていた」
ほどか「……」
まどか「だから、私が助ける。ううん、私達が」
ほむら「えぇ、そうね」
ほどか「……。百歩譲ってそうだとしても、私は止まるわけにはいかない。
私が諦めれば多くの人が悲しむことになる――」
それは許されないことだ。
それは許してはいけないことだ。
ほどか「だから、私は――!!」
ファンネルを全面展開。
ほどか「あなた達を打ち倒し、先へと進む――!!」
いって! ファンネル――!!
その声に従い、ファンネルはパパ達へと襲いかかる。
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら「わかってるわ!」
ママが先程と同じようにファンネルを撃墜しようと時を止める。
ほむら「いまの内に!!」
ほどか「させません――!」
ほむら「! どうして!」
ほどか「忘れたんですか! 私にも時を操る能力はある――!」
そしてそれはあなたと同じ。ママだけが時を支配できるわけじゃない。
ほどか「さらに、今の私の能力は――!」
以前の私とは比べ物にならない。だから――。
ほどか「いって! ファンネル――!」
ほむら「そんな!? 対象に触れずに!!?」
それくらいの芸当、出来ないで世界を救おうとは考えない。
絶対の力がある私だからこそ、その身を捨ててでもあなた達を守ろうと考えたんだ。
511: 2012/08/01(水) 00:17:52.18
ほどか「防げるものなら防いでください――!」
ほむら「く!!」
ママだけならば、避けることは出来るだろう。
だけど、他のみんなは無理だ。
そもそも、時を無制限に操ることが出来る私に対して勝利を得ようなどということが間違いだったんだ。
ほむら「終わりです――!」
ほむら「みんな!!」
ファンネルのビームがパパ達を捉えようとしたその時。
まどか「勝手に終わりにしてもらったら困るな!」
動けないはずのパパが手をかざし、みんなを守るべく結界を張った。
ほどか「そんな! どうして――!」
時は止めているはず! なのにどうして!!
ほどか「まさか、パパも時間に関連した願いを――!?」
まどか「それは、どうだろうね!」
驚き思わず時を止めるのを忘れてしまう。
そして私の驚きの隙をついたパパが一気に私に距離を詰め、私の懐にまで迫り至近距離で弓を放とうと構える。
ほどか「近づいたところで――!」
私には盾がある、自動で私を守護する鉄壁の守りが。
まどか「! 父親と娘の間に割って入るなんて悪い子だね!!」
パパの放った弓は私を貫くことはなく、盾に拒まれる。
そして、右側に浮かぶ剣を操り目の前にいるパパに向け振り下ろす。
ほどか「頃しはしません――!」
まどか「殺されるつもりもないよ――!」
その攻撃は身を捻って避けられる。
だが、それも予想済みだ。
ほむら「く!!」
ママだけならば、避けることは出来るだろう。
だけど、他のみんなは無理だ。
そもそも、時を無制限に操ることが出来る私に対して勝利を得ようなどということが間違いだったんだ。
ほむら「終わりです――!」
ほむら「みんな!!」
ファンネルのビームがパパ達を捉えようとしたその時。
まどか「勝手に終わりにしてもらったら困るな!」
動けないはずのパパが手をかざし、みんなを守るべく結界を張った。
ほどか「そんな! どうして――!」
時は止めているはず! なのにどうして!!
ほどか「まさか、パパも時間に関連した願いを――!?」
まどか「それは、どうだろうね!」
驚き思わず時を止めるのを忘れてしまう。
そして私の驚きの隙をついたパパが一気に私に距離を詰め、私の懐にまで迫り至近距離で弓を放とうと構える。
ほどか「近づいたところで――!」
私には盾がある、自動で私を守護する鉄壁の守りが。
まどか「! 父親と娘の間に割って入るなんて悪い子だね!!」
パパの放った弓は私を貫くことはなく、盾に拒まれる。
そして、右側に浮かぶ剣を操り目の前にいるパパに向け振り下ろす。
ほどか「頃しはしません――!」
まどか「殺されるつもりもないよ――!」
その攻撃は身を捻って避けられる。
だが、それも予想済みだ。
512: 2012/08/01(水) 00:18:23.42
まどか「!!」
地面を叩き、砕く。
その際に発生した飛礫がパパに襲いかかる。
顔に襲いかかる飛礫をガードしようとパパは腕を顔の前でクロスさせる。
そう、それが狙いだ。
ほどか「ボディーががら空きですよ――!」
鳩尾に向けて拳を放つ。
これで意識を飛ばすことが出来るはずだ。
ほむら「させない!」
そうはさせないとママがパパの前に立ち、私の拳を両手で受け止める。
ほむら「親を殴るのは倫理的にどうかしら」
ほどか「子供に銃口を向けておきながら今更なにを――!」
すぐさま反対の手でママを突き飛ばそうとする。
だがママは一気に後ろに跳躍することでそれを避け、私と距離を取る。
さやか「親子だけで盛り上がってるんじゃないっつうの!」
杏子「アタシ等も忘れんなよな!!」
さやかさんと杏子さんが私の背後に回り込み近接攻撃をしかけようと自身の得物を振りかぶる。
ほどか「そんな攻撃が――!」
さやか「な!」
杏子「くそ!」
翼を羽ばたかせ、その風圧により後ろの二人を吹き飛ばす。
そして、態勢を崩した二人に追撃を喰らわせようと数基のファンネルを操る。
ほどか「撃ち抜く――!」
マミ「撃ち落とす――!」
四散するファンネル。
マミさんが空中に飛び上がり、さやかさん達を狙い撃とうとするファンネルを全て撃ち落としたのだ。
ほどか「邪魔を――!」
マミ「するに決まってるわよ!!」
依然、空中に浮かぶマミさんに向け、取り囲むようにファンネルを操る。
地面を叩き、砕く。
その際に発生した飛礫がパパに襲いかかる。
顔に襲いかかる飛礫をガードしようとパパは腕を顔の前でクロスさせる。
そう、それが狙いだ。
ほどか「ボディーががら空きですよ――!」
鳩尾に向けて拳を放つ。
これで意識を飛ばすことが出来るはずだ。
ほむら「させない!」
そうはさせないとママがパパの前に立ち、私の拳を両手で受け止める。
ほむら「親を殴るのは倫理的にどうかしら」
ほどか「子供に銃口を向けておきながら今更なにを――!」
すぐさま反対の手でママを突き飛ばそうとする。
だがママは一気に後ろに跳躍することでそれを避け、私と距離を取る。
さやか「親子だけで盛り上がってるんじゃないっつうの!」
杏子「アタシ等も忘れんなよな!!」
さやかさんと杏子さんが私の背後に回り込み近接攻撃をしかけようと自身の得物を振りかぶる。
ほどか「そんな攻撃が――!」
さやか「な!」
杏子「くそ!」
翼を羽ばたかせ、その風圧により後ろの二人を吹き飛ばす。
そして、態勢を崩した二人に追撃を喰らわせようと数基のファンネルを操る。
ほどか「撃ち抜く――!」
マミ「撃ち落とす――!」
四散するファンネル。
マミさんが空中に飛び上がり、さやかさん達を狙い撃とうとするファンネルを全て撃ち落としたのだ。
ほどか「邪魔を――!」
マミ「するに決まってるわよ!!」
依然、空中に浮かぶマミさんに向け、取り囲むようにファンネルを操る。
513: 2012/08/01(水) 00:18:51.25
ほどか「避けられますか――!」
まどか「その必要はないよ!」
パパが一本の矢を放つ。
桃色の軌道を描きながら、その弓はまっすぐマミさんのほうに向かい、このままではマミさんを貫ぬいてしまう。
そう思ったが、矢は途中で光となり分散、マミさんを囲むファンネルに向け、それぞれがその軌道を修正した。
ファンネルの爆散の煙に飲まれその姿を隠すマミさん。
煙が晴れようやくマミさんの姿が現れたその時には。
マミ「ティロ・フィナーレ――!」
巨大な砲口を私に向けていた。
そして、ゆっくりと近づいてくる光の塊。
ほどか「そう何度も同じ手が――」
さやか「通用しないのはわかってる!!」
マミさんの砲撃と同時。
さやかさんが空中に浮かぶマミさんの背を踏み台に高く飛び上がり、そしてそのまま上空に飛翔。
そして砲撃を避けようとする私の行動を制限するように空中から剣を大量に投下。
私の周囲に大量の剣が突き刺さる。
ほどか「こんなもの時間を止めれば――!」
時間を止めすぐさま回避行動に出る。
目の前には巨大な光。そして周りには大量の剣。
ならば逃げる先は――。
まどか「その必要はないよ!」
パパが一本の矢を放つ。
桃色の軌道を描きながら、その弓はまっすぐマミさんのほうに向かい、このままではマミさんを貫ぬいてしまう。
そう思ったが、矢は途中で光となり分散、マミさんを囲むファンネルに向け、それぞれがその軌道を修正した。
ファンネルの爆散の煙に飲まれその姿を隠すマミさん。
煙が晴れようやくマミさんの姿が現れたその時には。
マミ「ティロ・フィナーレ――!」
巨大な砲口を私に向けていた。
そして、ゆっくりと近づいてくる光の塊。
ほどか「そう何度も同じ手が――」
さやか「通用しないのはわかってる!!」
マミさんの砲撃と同時。
さやかさんが空中に浮かぶマミさんの背を踏み台に高く飛び上がり、そしてそのまま上空に飛翔。
そして砲撃を避けようとする私の行動を制限するように空中から剣を大量に投下。
私の周囲に大量の剣が突き刺さる。
ほどか「こんなもの時間を止めれば――!」
時間を止めすぐさま回避行動に出る。
目の前には巨大な光。そして周りには大量の剣。
ならば逃げる先は――。
514: 2012/08/01(水) 00:19:20.54
まどか「上に行くよね!!」
ほむら「思考が煤けてるわよ!」
ほどか「――!!」
上空には待ってましたとばかりにママとパパが。
そしていつの間にか杏子さんの仕業であろう大量の鎖が張り巡らされていた。
ほどか「いつの間に――!」
まどか「さやかちゃんの剣に目を向けている間にだよ!」
ほむら「観察力が足りなさ過ぎるわ!」
鎖により高く飛ぶことが叶わなくなった私に対して、ママはランチャーを構え発射。
そして、眼前に迫りくる砲弾。
ほどか「そんな武器で私に傷をつけられると――!」
避けるまでもない攻撃。ならば盾で受けきってそのまま反撃に出ればいいだけだ。
ほむら「観察力が足りないと今言ったはず!!」
ほどか「な――!」
砲弾が私の目の前に来た瞬間、理解した。
ほどか(砲弾の影に隠れて矢が――!!)
私の氏角を突くように砲弾を隠れ蓑にし直進する桃色の矢。
その軌道はちょうど砲弾を防ぐべく移動した盾の防御範囲スレスレを通るように描き、私の胸に向け発射されていた。
ほどか(避け――)
胸部は鱗の鎧で守られているとはいえ、パパ程の力を持った魔法少女の攻撃には耐えられない。
なら、致命傷を避ける為に回避しなければ。
――だが、私がそう考えた時には間に合わず、そして、その矢は私の体を貫いた。
ほむら「思考が煤けてるわよ!」
ほどか「――!!」
上空には待ってましたとばかりにママとパパが。
そしていつの間にか杏子さんの仕業であろう大量の鎖が張り巡らされていた。
ほどか「いつの間に――!」
まどか「さやかちゃんの剣に目を向けている間にだよ!」
ほむら「観察力が足りなさ過ぎるわ!」
鎖により高く飛ぶことが叶わなくなった私に対して、ママはランチャーを構え発射。
そして、眼前に迫りくる砲弾。
ほどか「そんな武器で私に傷をつけられると――!」
避けるまでもない攻撃。ならば盾で受けきってそのまま反撃に出ればいいだけだ。
ほむら「観察力が足りないと今言ったはず!!」
ほどか「な――!」
砲弾が私の目の前に来た瞬間、理解した。
ほどか(砲弾の影に隠れて矢が――!!)
私の氏角を突くように砲弾を隠れ蓑にし直進する桃色の矢。
その軌道はちょうど砲弾を防ぐべく移動した盾の防御範囲スレスレを通るように描き、私の胸に向け発射されていた。
ほどか(避け――)
胸部は鱗の鎧で守られているとはいえ、パパ程の力を持った魔法少女の攻撃には耐えられない。
なら、致命傷を避ける為に回避しなければ。
――だが、私がそう考えた時には間に合わず、そして、その矢は私の体を貫いた。
515: 2012/08/01(水) 00:20:13.02
ほどか「――」
お腹をさする。あの瞬間、身を逸らしなんとか胸部へのダメージは避けた。
だけど、その行為は位置をずらすに留まり、腹部へと矢を受けてしまったのだ。
だが、そこに傷はない。
ほどか(どうして――?)
確かに矢は私を貫いたはず。
だけど、痛みもなく血も流れてはいない。
ほどか「――」
なにが起きたのか理解できず、空中に静止したまま地面に降り立つパパとママを見る。
まどか「……」
ほむら「……」
二人はなにも言わずにただ私を見つめる。
ほどか「――。確かに矢は私を貫いたはず。なのにどうして、私にダメージがないんですか?」
不可解な出来事に対して答えを求める為にそう質問する。
まどか「そりゃ傷つくはずないよ。だってほどかちゃんを貫いたのは癒しの矢だもん」
ほどか「――?」
癒しの矢? それはどういう――。
ほむら「まだ気づかない? はぁ……。本当にあなたは自分のことに関しては無関心なのね」
ママは呆れるように溜息を吐く。
自分のこと?
ほむら「体をよくみなさい。変化は確かにあるわ」
変化……。変わったところなんてない。
傷ひとつついていないんだ。
傷ひとつ……?
ほどか「――!」
おかしい。私はさっきまで傷だらけのはずで……。
自分への戒めとして残しておいた傷が消えているなんて……。
ほむら「気づいた? あなたがさっきまでの戦いでついた傷は元通りのはずよ」
お腹をさする。あの瞬間、身を逸らしなんとか胸部へのダメージは避けた。
だけど、その行為は位置をずらすに留まり、腹部へと矢を受けてしまったのだ。
だが、そこに傷はない。
ほどか(どうして――?)
確かに矢は私を貫いたはず。
だけど、痛みもなく血も流れてはいない。
ほどか「――」
なにが起きたのか理解できず、空中に静止したまま地面に降り立つパパとママを見る。
まどか「……」
ほむら「……」
二人はなにも言わずにただ私を見つめる。
ほどか「――。確かに矢は私を貫いたはず。なのにどうして、私にダメージがないんですか?」
不可解な出来事に対して答えを求める為にそう質問する。
まどか「そりゃ傷つくはずないよ。だってほどかちゃんを貫いたのは癒しの矢だもん」
ほどか「――?」
癒しの矢? それはどういう――。
ほむら「まだ気づかない? はぁ……。本当にあなたは自分のことに関しては無関心なのね」
ママは呆れるように溜息を吐く。
自分のこと?
ほむら「体をよくみなさい。変化は確かにあるわ」
変化……。変わったところなんてない。
傷ひとつついていないんだ。
傷ひとつ……?
ほどか「――!」
おかしい。私はさっきまで傷だらけのはずで……。
自分への戒めとして残しておいた傷が消えているなんて……。
ほむら「気づいた? あなたがさっきまでの戦いでついた傷は元通りのはずよ」
516: 2012/08/01(水) 00:20:43.42
ほどか「なぜ、そんなことを――」
意味がわからない。
敵である私の傷を癒してなんの得が……。
杏子「ホント。わけわかんねーよな」
さやか「まぁ、そこがまどかのいいところなんだけどね」
マミ「テレパシーを送られた時はびっくりしたわ」
ほどか「テレパシー――?」
意味がわからない。
敵である私の傷を癒してなんの得が……。
杏子「ホント。わけわかんねーよな」
さやか「まぁ、そこがまどかのいいところなんだけどね」
マミ「テレパシーを送られた時はびっくりしたわ」
ほどか「テレパシー――?」
517: 2012/08/01(水) 00:21:24.76
~~ 回想 ~~
ほどか「驚きました。まさかあなたが魔法少女になるなんて――」
まどか「ごめんね。約束破っちゃったね」
まどか『みんな聞いて』
ほむら『テレパシー? どうしたのまどか』
まどか『ここに来る前にあった空間で聞いた声のことを話すね』
さやか『あぁ、あれね』
マミ『まどかさんもあれを聞いたのね』
まどか『うん。そしてほどかちゃんの声も』
杏子『ほどかの声?』
ほむら『聞かせて』
まどか『あそこで私は――』
ほむら『そう……。あの子はやっぱり……』
杏子『あのバカ……。自分にまで嘘つきやがって』
さやか『絶対止める。そんな話を聞いたらなおさらだよ』
マミ『えぇ、目の前の苦しんでいる人を救えないで、なにが正義の魔法少女よ』
まどか『みんなありがとう。それでね――』
杏子『ほどかの傷を治す!? なんでそんなこと』
まどか『だって傷だらけのほどかちゃんなんて見てたくないもん』
さやか『いやいや、そんなこと気にしている場合じゃ……』
マミ『そうよ。そんな甘い考えが通用する相手じゃ』
ほむら『わかったわ』
さや杏『ほむら!?』
ほむら『自分でやっておいてなんだけど、私もあの子のあんな姿を見ているのは正直辛い。
だから、まどかの言う通りにするわ』
杏子『ああもう! このバカ親共は!』
マミ『甘さは親ゆずりね……』
まどか『てぃひひ///』
さやか『いや、褒めてないって』
ほむら『でも、手はあるの? いくらまどかがいるといってもあの子の力は強力よ。
私達のことを考えて全力は出していないようだけど……』
さやか『嘘……。今でもあんなに強いのに?』
まどか『あんまり強い力を出し過ぎたら私達を頃しちゃうからね。たぶん一割も力を使ってないんじゃないかな』
杏子『は、冗談きついって……』
マミ『じゃあどうするの? そんな相手に傷つけずに戦うなんて……』
まどか『それなんだけど、確認してみたいことがあるの』
ほむら『確認したいこと?』
まどか『うん。それは――』
~~ 回想 終 ~~
ほどか「驚きました。まさかあなたが魔法少女になるなんて――」
まどか「ごめんね。約束破っちゃったね」
まどか『みんな聞いて』
ほむら『テレパシー? どうしたのまどか』
まどか『ここに来る前にあった空間で聞いた声のことを話すね』
さやか『あぁ、あれね』
マミ『まどかさんもあれを聞いたのね』
まどか『うん。そしてほどかちゃんの声も』
杏子『ほどかの声?』
ほむら『聞かせて』
まどか『あそこで私は――』
ほむら『そう……。あの子はやっぱり……』
杏子『あのバカ……。自分にまで嘘つきやがって』
さやか『絶対止める。そんな話を聞いたらなおさらだよ』
マミ『えぇ、目の前の苦しんでいる人を救えないで、なにが正義の魔法少女よ』
まどか『みんなありがとう。それでね――』
杏子『ほどかの傷を治す!? なんでそんなこと』
まどか『だって傷だらけのほどかちゃんなんて見てたくないもん』
さやか『いやいや、そんなこと気にしている場合じゃ……』
マミ『そうよ。そんな甘い考えが通用する相手じゃ』
ほむら『わかったわ』
さや杏『ほむら!?』
ほむら『自分でやっておいてなんだけど、私もあの子のあんな姿を見ているのは正直辛い。
だから、まどかの言う通りにするわ』
杏子『ああもう! このバカ親共は!』
マミ『甘さは親ゆずりね……』
まどか『てぃひひ///』
さやか『いや、褒めてないって』
ほむら『でも、手はあるの? いくらまどかがいるといってもあの子の力は強力よ。
私達のことを考えて全力は出していないようだけど……』
さやか『嘘……。今でもあんなに強いのに?』
まどか『あんまり強い力を出し過ぎたら私達を頃しちゃうからね。たぶん一割も力を使ってないんじゃないかな』
杏子『は、冗談きついって……』
マミ『じゃあどうするの? そんな相手に傷つけずに戦うなんて……』
まどか『それなんだけど、確認してみたいことがあるの』
ほむら『確認したいこと?』
まどか『うん。それは――』
~~ 回想 終 ~~
518: 2012/08/01(水) 00:21:51.27
さやか「でもこれで決まりだね」
杏子「あぁ」
ほどか「なんのことです――」
話が読めない。一体なにが決まったというのか。
マミ「あなたの弱点は胸にあるということよ」
ほどか「――!」
ほむら「正確には胸部にあるソウルジェムかしら」
ほどか「なぜそうといえるんですか――」
そんな素振りは一切見せていない。
そもそも鎧のせいで見ようとしても見えないはずだ。
まどか「さっき、私がほどかちゃんの体を色々触った時だよ?
でも、確認したけど、そんな物はなかったからね。だから唯一見てない胸の部分にあるのかなって」
ほどか「あの時に――?」
確かに色々と触られはしたが胸部には一切触れられていないはず。
じろじろと見つめられはしたが……。
さやか「だから、まどかはそれを確認するために矢を放ったってわけ。
あんたの胸に向けてね」
杏子「そしたら案の定、お前は胸を庇うように必氏で避けたってわけだ」
ほどか「成程……。ですがそれならなぜ、私の傷を癒す必要があったんです?
あのまま普通の矢を放っていたら私を倒せたかもしれませんよ――」
現に危なかった。
杏子「あぁ」
ほどか「なんのことです――」
話が読めない。一体なにが決まったというのか。
マミ「あなたの弱点は胸にあるということよ」
ほどか「――!」
ほむら「正確には胸部にあるソウルジェムかしら」
ほどか「なぜそうといえるんですか――」
そんな素振りは一切見せていない。
そもそも鎧のせいで見ようとしても見えないはずだ。
まどか「さっき、私がほどかちゃんの体を色々触った時だよ?
でも、確認したけど、そんな物はなかったからね。だから唯一見てない胸の部分にあるのかなって」
ほどか「あの時に――?」
確かに色々と触られはしたが胸部には一切触れられていないはず。
じろじろと見つめられはしたが……。
さやか「だから、まどかはそれを確認するために矢を放ったってわけ。
あんたの胸に向けてね」
杏子「そしたら案の定、お前は胸を庇うように必氏で避けたってわけだ」
ほどか「成程……。ですがそれならなぜ、私の傷を癒す必要があったんです?
あのまま普通の矢を放っていたら私を倒せたかもしれませんよ――」
現に危なかった。
519: 2012/08/01(水) 00:22:25.26
まどか「それは単純にほどかちゃんの傷ついている姿を私が見たくなかったから。
自分の娘の傷だらけの体なんて見てて心に悪いよ」
ほどか「それだけの理由で――?」
まどか「私にとっては大事な理由なの」
最初見たときショックで氏ぬかと思ったんだから。
プリプリ怒りながらそう言うとパパは頬を膨らませる。
ほどか「……。仮に私の胸にソウルジェムがあるとして、それをどうするつもりです?
ソウルジェムは魔法少女の本体といえるもの。それを破壊すれば私は氏にますよ――?」
「それは嘘だね。ほどか」
ほどか「――!」
この声は……。
マミ「キュゥべぇ!」
さやか「どうしてここに!?」
QB「なに、ちょっとね。今はそんなことどうでもいいだろう?」
杏子「まぁ、確かに。で、嘘ってどういうことだ?」
QB「ほどかの胸にあるソウルジェムを壊してもほどかは氏ぬことはない。
そういうことさ」
さやか「どういうこと?」
QB「そもそも、今君たちが戦っているほどかは本当のほどかではない。
本当のほどかは」
あれさ。
そう言ってキュゥべぇは奥にある白い壁を指す。
マミ「あの壁が……?」
さやか「あれってただの壁じゃないの?」
杏子「……? 待てよく見たらあれ動いてるぞ!」
QB「それはそうさ、それは壁じゃない。
魔女の繭だからね。正確に言えばほどかの繭かな」
さやか「!」
マミ「この白いの全てがそうだっていうの……?」
杏子「でかすぎんだろ……」
QB「つまり、今君たちが戦っているのは、その繭から生まれるほどかを守る為に繭から分離した使い魔みたいなものさ。
まぁ、意志は繋がってるからほどかに変わりはないんだけどね。でも、彼女を倒してもほどかは氏なない」
ほむら「本体であるあの繭さえ無事なら、今戦っているあのほどかはいくらでも蘇るってこと?」
QB「そういうことだよ」
自分の娘の傷だらけの体なんて見てて心に悪いよ」
ほどか「それだけの理由で――?」
まどか「私にとっては大事な理由なの」
最初見たときショックで氏ぬかと思ったんだから。
プリプリ怒りながらそう言うとパパは頬を膨らませる。
ほどか「……。仮に私の胸にソウルジェムがあるとして、それをどうするつもりです?
ソウルジェムは魔法少女の本体といえるもの。それを破壊すれば私は氏にますよ――?」
「それは嘘だね。ほどか」
ほどか「――!」
この声は……。
マミ「キュゥべぇ!」
さやか「どうしてここに!?」
QB「なに、ちょっとね。今はそんなことどうでもいいだろう?」
杏子「まぁ、確かに。で、嘘ってどういうことだ?」
QB「ほどかの胸にあるソウルジェムを壊してもほどかは氏ぬことはない。
そういうことさ」
さやか「どういうこと?」
QB「そもそも、今君たちが戦っているほどかは本当のほどかではない。
本当のほどかは」
あれさ。
そう言ってキュゥべぇは奥にある白い壁を指す。
マミ「あの壁が……?」
さやか「あれってただの壁じゃないの?」
杏子「……? 待てよく見たらあれ動いてるぞ!」
QB「それはそうさ、それは壁じゃない。
魔女の繭だからね。正確に言えばほどかの繭かな」
さやか「!」
マミ「この白いの全てがそうだっていうの……?」
杏子「でかすぎんだろ……」
QB「つまり、今君たちが戦っているのは、その繭から生まれるほどかを守る為に繭から分離した使い魔みたいなものさ。
まぁ、意志は繋がってるからほどかに変わりはないんだけどね。でも、彼女を倒してもほどかは氏なない」
ほむら「本体であるあの繭さえ無事なら、今戦っているあのほどかはいくらでも蘇るってこと?」
QB「そういうことだよ」
520: 2012/08/01(水) 00:22:56.87
さやか「ちょっと待ってよ! じゃあほどかを止めるにはどうすればいいのさ!」
QB「それは簡単だよ。あの繭が孵化するまえにほどかを説得できればいい。
その為に君達はここにいるんだろう?」
マミ「えーっと。つまりやることは変わらないってこと?」
QB「そうだね。そして一つ教えておこう。
ほどかの胸にあるソウルジェム、あれは本体である繭から力を送られるためのもの。
つまり胸にあるそれを壊せば、あのほどかは無力化できるよ」
ほどか「――!!」
余計なことを……。
杏子「へぇ、それはいいことを聞いたな」
マミ「本当に。しかもそれを壊してもほどかさんは氏なないんでしょ?」
QB「そうだね、あくまで力を受容するための装置にすぎないからね」
ほどか「それがわかったからと言って、なんですか?
結局のところ、この私を倒しても私が帰りたいと本気で望まない限りあなた達の願いは叶いません。
そして、それを私が望むことはありません――」
大きく飛翔し、後ろにいるマミさん達を越して繭の前に降り立つ。
ほどか「つまり、あなた方のやっていることは全て無駄です――」
そして、マミさん達のいる方へと手をかざす。
杏子「あれは!」
さやか「まさか!」
マミ「二人とも後ろに下がって!」
ほどか「遅い――!!」
私のやろうとしたことがわかったのか、すぐに後ろへ下がろうと試みるマミさん達。
だけど、その行為は無駄で、すでにマミさん達は魔法陣に囲まれそこから噴き出す光の柱に飲み込まれた。
QB「それは簡単だよ。あの繭が孵化するまえにほどかを説得できればいい。
その為に君達はここにいるんだろう?」
マミ「えーっと。つまりやることは変わらないってこと?」
QB「そうだね。そして一つ教えておこう。
ほどかの胸にあるソウルジェム、あれは本体である繭から力を送られるためのもの。
つまり胸にあるそれを壊せば、あのほどかは無力化できるよ」
ほどか「――!!」
余計なことを……。
杏子「へぇ、それはいいことを聞いたな」
マミ「本当に。しかもそれを壊してもほどかさんは氏なないんでしょ?」
QB「そうだね、あくまで力を受容するための装置にすぎないからね」
ほどか「それがわかったからと言って、なんですか?
結局のところ、この私を倒しても私が帰りたいと本気で望まない限りあなた達の願いは叶いません。
そして、それを私が望むことはありません――」
大きく飛翔し、後ろにいるマミさん達を越して繭の前に降り立つ。
ほどか「つまり、あなた方のやっていることは全て無駄です――」
そして、マミさん達のいる方へと手をかざす。
杏子「あれは!」
さやか「まさか!」
マミ「二人とも後ろに下がって!」
ほどか「遅い――!!」
私のやろうとしたことがわかったのか、すぐに後ろへ下がろうと試みるマミさん達。
だけど、その行為は無駄で、すでにマミさん達は魔法陣に囲まれそこから噴き出す光の柱に飲み込まれた。
521: 2012/08/01(水) 00:25:10.56
まどか「みんな!」
ほむら「っく!」
パパ達がマミさん達のもとへと走る。
マミ「う……」
さやか「相変わらず……。それは反則でしょ……」
杏子「くそったれ……」
まどか「待っててすぐに治すから!」
パパがボロボロのマミさん達の傷を癒そうとする。
ほどか「させない――!」
だが、それを許す私ではない。
もう一度魔法陣を召喚するために手をかざす。
ほどか「もう、こんなことは終わりにしたいんです――!」
ほむら「それはこっちのセリフよ!」
ママが私の攻撃を妨害しようと私のもとへとまっすぐ跳躍する。
ほどか「あなた程度の力一つでなにが出来ると――!」
迎え討つようにファンネルをママの前に展開。
そしてビームを放つ。
ほむら「そんなもの――!」
発射されたビームを避けるために地を蹴り空中へと一気にジャンプ。
寸でのところでそれを躱す。
だけど
ほどか「甘い――!」
ほむら「な!? きゃあああ!」
ママの足を絡め取るように鎖を召喚し、そのままパパ達のいる方へと引き落とす。
まどか「ほむらちゃん!」
落下するママを受けとめようとするパパ。
ほどか「人の心配をしている場合じゃありませんよ――!」
そのパパに向け巨大な砲銃を召喚し、狙いを定める。
さやか「そんな!」
杏子「あれはマミの!!」
マミ「どうして!」
ほどか「ティロ・フィナーレ――!!」
まどか「!!?」
ママを受け止めることに成功したパパを巨大な閃光が包み込む。
そして辺りに轟く爆音。
ほむら「っく!」
パパ達がマミさん達のもとへと走る。
マミ「う……」
さやか「相変わらず……。それは反則でしょ……」
杏子「くそったれ……」
まどか「待っててすぐに治すから!」
パパがボロボロのマミさん達の傷を癒そうとする。
ほどか「させない――!」
だが、それを許す私ではない。
もう一度魔法陣を召喚するために手をかざす。
ほどか「もう、こんなことは終わりにしたいんです――!」
ほむら「それはこっちのセリフよ!」
ママが私の攻撃を妨害しようと私のもとへとまっすぐ跳躍する。
ほどか「あなた程度の力一つでなにが出来ると――!」
迎え討つようにファンネルをママの前に展開。
そしてビームを放つ。
ほむら「そんなもの――!」
発射されたビームを避けるために地を蹴り空中へと一気にジャンプ。
寸でのところでそれを躱す。
だけど
ほどか「甘い――!」
ほむら「な!? きゃあああ!」
ママの足を絡め取るように鎖を召喚し、そのままパパ達のいる方へと引き落とす。
まどか「ほむらちゃん!」
落下するママを受けとめようとするパパ。
ほどか「人の心配をしている場合じゃありませんよ――!」
そのパパに向け巨大な砲銃を召喚し、狙いを定める。
さやか「そんな!」
杏子「あれはマミの!!」
マミ「どうして!」
ほどか「ティロ・フィナーレ――!!」
まどか「!!?」
ママを受け止めることに成功したパパを巨大な閃光が包み込む。
そして辺りに轟く爆音。
522: 2012/08/01(水) 00:26:20.95
まどか「あ、う……」
ほむら「ぐ、うぅ……」
さやか「まどか! ほむら!!」
マミ「しっかりして!」
杏子「くそ!」
必氏に立ち上がりパパとママのもとへとよろよろと向かうマミさん達。
ほどか「これでわかりましたか? 私は全ての魔法少女を消す存在。
つまり、過去、現在、未来に存在する全ての魔法少女の能力が使えるんです。
そして、これが私とあなた方の力の差……。覚悟の差です――」
さやか「あんた!」
その言葉を聞いて、私を睨み付けるさやかさん。
その顔は憎しみに彩られていた。
そうだ、これでいい。
どうあっても諦めてくれないというのなら、いっそ。
ほどか(憎まれたほうがいい――)
そうすれば私のことなんて見捨てて帰ってくれるだろう。
まどか「やめて、さやかちゃん。ほどかちゃんは悪くないよ」
睨み付けるさやかさんの肩を掴み、パパは立ち上がる。
だけど、ふらふらで無理矢理立っているであろうことがすぐに理解できた。
ほどか「悪くない? なにを馬鹿なことを。今、私はあなた達を殺そうとしているんですよ?
それのどこが悪くないと――?」
ほむら「それを悪いことだと理解しているのなら、あなたは悪くないわ」
パパと同じようにふらふらの状態でママも立ち上がる。
マミ「暁美さん! 私の肩に掴まって!」
マミさんが慌ててママを助け起こす。
そして、その肩につかまる。
ほどか「意味がわかりませんね。悪いことだとわかっているから悪いことをしても許される?
そんな考えが通用するわけないでしょう――?」
罪は罪だ。わかっていてそれを行うなら余計タチが悪い。
ほむら「ぐ、うぅ……」
さやか「まどか! ほむら!!」
マミ「しっかりして!」
杏子「くそ!」
必氏に立ち上がりパパとママのもとへとよろよろと向かうマミさん達。
ほどか「これでわかりましたか? 私は全ての魔法少女を消す存在。
つまり、過去、現在、未来に存在する全ての魔法少女の能力が使えるんです。
そして、これが私とあなた方の力の差……。覚悟の差です――」
さやか「あんた!」
その言葉を聞いて、私を睨み付けるさやかさん。
その顔は憎しみに彩られていた。
そうだ、これでいい。
どうあっても諦めてくれないというのなら、いっそ。
ほどか(憎まれたほうがいい――)
そうすれば私のことなんて見捨てて帰ってくれるだろう。
まどか「やめて、さやかちゃん。ほどかちゃんは悪くないよ」
睨み付けるさやかさんの肩を掴み、パパは立ち上がる。
だけど、ふらふらで無理矢理立っているであろうことがすぐに理解できた。
ほどか「悪くない? なにを馬鹿なことを。今、私はあなた達を殺そうとしているんですよ?
それのどこが悪くないと――?」
ほむら「それを悪いことだと理解しているのなら、あなたは悪くないわ」
パパと同じようにふらふらの状態でママも立ち上がる。
マミ「暁美さん! 私の肩に掴まって!」
マミさんが慌ててママを助け起こす。
そして、その肩につかまる。
ほどか「意味がわかりませんね。悪いことだとわかっているから悪いことをしても許される?
そんな考えが通用するわけないでしょう――?」
罪は罪だ。わかっていてそれを行うなら余計タチが悪い。
524: 2012/08/01(水) 00:26:55.66
杏子「よくいうよ、アタシ達を殺せてないくせに」
杏子さんがそう悪態をつく。
ほどか「ですが、あなた達を傷つけたのは事実。そんな私の行いを悪くないなんて。
あなた方の甘さにはほとほと呆れますね――」
そうだ、私はパパ達を傷つけている。
頃すつもりはないが、傷つけている、その事実に変わりはない。
ほどか「さぁ、どうします? 傷を治してまだ続けますか?
私はいいですよ。まぁ、今度は無駄話も出来ないくらいに痛めつけますが――」
悪意を持って、笑いながらそう言い捨てる。
これで、帰ってくれればいい。
そうすれば、もう誰も……。
まどか「帰る? 冗談言わないでよ」
パパがまっすぐ私の瞳を見つめる。
まどか「帰られるわけないじゃん」
ほどか「どうして、ですか――」
なぜそこまでして……。
そんなボロボロになりながら……。
まどか「だってほどかちゃん泣いてるもん。
泣いてる娘を一人残して親が帰るなんてありえないでしょ」
ほどか「は? 私が泣いてるわけ――」
ポ口リと頬をなにかが伝う。
その冷たいものがなにかを理解するのに時間はそれほど必要なかった。
ほどか「あ――」
まどか「無理して悪ぶらなくてもいいよ。
ほどかちゃんがそんな子じゃないことくらいわかってる」
ほどか「で、でも私は――」
まどか「傷つけたからなに? 人が生きていく上で、誰も傷つけることがないなんて本気で思ってるの?」
ほどか「――っ」
まどか「私達のは体の傷なだけまだマシだよ。こんなのそのうち治るし」
そう言い捨てるパパ。
その瞳からはもはや甘さは消えていた。
杏子さんがそう悪態をつく。
ほどか「ですが、あなた達を傷つけたのは事実。そんな私の行いを悪くないなんて。
あなた方の甘さにはほとほと呆れますね――」
そうだ、私はパパ達を傷つけている。
頃すつもりはないが、傷つけている、その事実に変わりはない。
ほどか「さぁ、どうします? 傷を治してまだ続けますか?
私はいいですよ。まぁ、今度は無駄話も出来ないくらいに痛めつけますが――」
悪意を持って、笑いながらそう言い捨てる。
これで、帰ってくれればいい。
そうすれば、もう誰も……。
まどか「帰る? 冗談言わないでよ」
パパがまっすぐ私の瞳を見つめる。
まどか「帰られるわけないじゃん」
ほどか「どうして、ですか――」
なぜそこまでして……。
そんなボロボロになりながら……。
まどか「だってほどかちゃん泣いてるもん。
泣いてる娘を一人残して親が帰るなんてありえないでしょ」
ほどか「は? 私が泣いてるわけ――」
ポ口リと頬をなにかが伝う。
その冷たいものがなにかを理解するのに時間はそれほど必要なかった。
ほどか「あ――」
まどか「無理して悪ぶらなくてもいいよ。
ほどかちゃんがそんな子じゃないことくらいわかってる」
ほどか「で、でも私は――」
まどか「傷つけたからなに? 人が生きていく上で、誰も傷つけることがないなんて本気で思ってるの?」
ほどか「――っ」
まどか「私達のは体の傷なだけまだマシだよ。こんなのそのうち治るし」
そう言い捨てるパパ。
その瞳からはもはや甘さは消えていた。
525: 2012/08/01(水) 00:27:33.79
まどか「ねぇ、ほどかちゃんは私が魔法少女にどうやってなったと思う?」
ほどか「――?」
どうやって?
願いの内容を聞いているのか……。
でもそんなの……。
ほどか「わかるわけないですよ。時を操っているんだから時間に関係したお願いじゃないんですか――?」
でもそれだと、癒しの力を持つ理由がわからない。
まどか「違うよ。時間なんか関係ない」
ほどか「じゃあ、わかりませんね。あなたが何を願ったのかなんて――」
そもそも知る必要もない。
QB「やれやれ、はっきり教えてあげればいいじゃないか。まどか」
キュゥべぇが回りくどいことを。とい言いたげに呆れた声を出す。
QB「ほどか、まどかはなにも願っちゃいないよ」
ほどか「は――?」
さやか「え、それってどういう……?」
杏子「願っていないってどういう意味だよ」
QB「そのままの意味さ。まどかは自分の望みを言わなかった。
なにも願わずに、魔法少女になったのさ」
マミ「そんなことが可能なの?」
QB「僕も驚いたよまさかこんなことが起こるなんてね――」
ほどか「――?」
どうやって?
願いの内容を聞いているのか……。
でもそんなの……。
ほどか「わかるわけないですよ。時を操っているんだから時間に関係したお願いじゃないんですか――?」
でもそれだと、癒しの力を持つ理由がわからない。
まどか「違うよ。時間なんか関係ない」
ほどか「じゃあ、わかりませんね。あなたが何を願ったのかなんて――」
そもそも知る必要もない。
QB「やれやれ、はっきり教えてあげればいいじゃないか。まどか」
キュゥべぇが回りくどいことを。とい言いたげに呆れた声を出す。
QB「ほどか、まどかはなにも願っちゃいないよ」
ほどか「は――?」
さやか「え、それってどういう……?」
杏子「願っていないってどういう意味だよ」
QB「そのままの意味さ。まどかは自分の望みを言わなかった。
なにも願わずに、魔法少女になったのさ」
マミ「そんなことが可能なの?」
QB「僕も驚いたよまさかこんなことが起こるなんてね――」
526: 2012/08/01(水) 00:28:27.45
―QB―
――少し前 結界前にて ――
QB「まどか、願いはどうするんだい?
君ほどの才能ならどんな途方もない望みだろうと叶えられるだろう」
数多の時を束ね因果の特異点となった彼女ならばどんな願いも叶えられる。
まどか「……」
QB「さぁ、鹿目まどか。その魂を対価にして君は何を願う」
まどか「私……」
一つ深呼吸をするまどか。そして、落ち着いた目で語る。
まどか「願いは望まない」
QB「な――!」
どういう意味だ。
まさか、魔法少女にはならないということじゃ。
まどか「勘違いはしないで。魔法少女にはなるよ。
ほどかちゃんを止めるためには力が必要だから」
QB「なら、どういう……」
まどか「そして、私が願うのはほどかちゃんを止めること。
それは私自身の意思で、私自身の想いで」
QB「……」
まどか「奇跡なんかに頼るんじゃなくて、私が自らの意思でほどかちゃんを止める」
私の想いであの子を止めてみせる――。
私の意思であの子を連れ戻して見せる――。
まどか「これが私の想い、私の祈り」
人の想いの力が引き起こす。絶対の理。
QB「そんな、馬鹿な!」
エントロピーが――!!
まさか、願いも言わずに彼女は――!
まどか「さぁ、キュゥべぇ! 私にほどかちゃんを止める為の力を――」
あの子に私の想いを伝える為の力を――!
QB「――!!」
――少し前 結界前にて ――
QB「まどか、願いはどうするんだい?
君ほどの才能ならどんな途方もない望みだろうと叶えられるだろう」
数多の時を束ね因果の特異点となった彼女ならばどんな願いも叶えられる。
まどか「……」
QB「さぁ、鹿目まどか。その魂を対価にして君は何を願う」
まどか「私……」
一つ深呼吸をするまどか。そして、落ち着いた目で語る。
まどか「願いは望まない」
QB「な――!」
どういう意味だ。
まさか、魔法少女にはならないということじゃ。
まどか「勘違いはしないで。魔法少女にはなるよ。
ほどかちゃんを止めるためには力が必要だから」
QB「なら、どういう……」
まどか「そして、私が願うのはほどかちゃんを止めること。
それは私自身の意思で、私自身の想いで」
QB「……」
まどか「奇跡なんかに頼るんじゃなくて、私が自らの意思でほどかちゃんを止める」
私の想いであの子を止めてみせる――。
私の意思であの子を連れ戻して見せる――。
まどか「これが私の想い、私の祈り」
人の想いの力が引き起こす。絶対の理。
QB「そんな、馬鹿な!」
エントロピーが――!!
まさか、願いも言わずに彼女は――!
まどか「さぁ、キュゥべぇ! 私にほどかちゃんを止める為の力を――」
あの子に私の想いを伝える為の力を――!
QB「――!!」
527: 2012/08/01(水) 00:29:09.29
―ほどか―
QB「まさか、願いを言わずに想いだけで魔法少女になるなんて、そんなの聞いたことがないよ」
マミ「じゃ、じゃあまどかさんはなにも望まずに願わずに魔法少女になったっていうの?」
QB「その通りさ。だからかな、まどかは魂を犠牲にしてはいない」
さやか「それって……」
QB「魂を対価に願いを叶え、魔法少女にするのが僕達のシステムだからね。
その願いがないのに魂をとれるわけがないよ」
杏子「じゃあなんでまどかは魔法少女になってるんだ?」
QB「さあね。まどか流に言えば想いの力が引き起こしたんじゃないかな」
まどか「てぃひひ///」
QB「全くメチャクチャだよ。想うだけでこんなことを起こすなんて」
ほどか「つまりお父さんは根本的に私達と違う魔法少女ということ――?」
キュゥべぇにそう質問する。
QB「そうだね。僕達の力を借りて魔法少女になったことは事実だけど。
代価は支払っていない。だから、根本的には君達とは違うといえる」
いや、代価は払っているのかな。
そう自分の言葉を否定する。
QB「まどかが支払った代価は自らの想い。それはほどか、君を止めたいという強い意志だ」
ほどか「――!」
QB「そしてそれは今も強くなり続けている」
じっと私のことを見据え、キュゥべぇは語り続ける。
QB「だからまどかの力に制限はないよ。
想い続ける限り、まどかは決して倒れない。決して諦めない」
だから、絶望しない――。
QB「まさか、願いを言わずに想いだけで魔法少女になるなんて、そんなの聞いたことがないよ」
マミ「じゃ、じゃあまどかさんはなにも望まずに願わずに魔法少女になったっていうの?」
QB「その通りさ。だからかな、まどかは魂を犠牲にしてはいない」
さやか「それって……」
QB「魂を対価に願いを叶え、魔法少女にするのが僕達のシステムだからね。
その願いがないのに魂をとれるわけがないよ」
杏子「じゃあなんでまどかは魔法少女になってるんだ?」
QB「さあね。まどか流に言えば想いの力が引き起こしたんじゃないかな」
まどか「てぃひひ///」
QB「全くメチャクチャだよ。想うだけでこんなことを起こすなんて」
ほどか「つまりお父さんは根本的に私達と違う魔法少女ということ――?」
キュゥべぇにそう質問する。
QB「そうだね。僕達の力を借りて魔法少女になったことは事実だけど。
代価は支払っていない。だから、根本的には君達とは違うといえる」
いや、代価は払っているのかな。
そう自分の言葉を否定する。
QB「まどかが支払った代価は自らの想い。それはほどか、君を止めたいという強い意志だ」
ほどか「――!」
QB「そしてそれは今も強くなり続けている」
じっと私のことを見据え、キュゥべぇは語り続ける。
QB「だからまどかの力に制限はないよ。
想い続ける限り、まどかは決して倒れない。決して諦めない」
だから、絶望しない――。
528: 2012/08/01(水) 00:29:36.83
QB「ある意味でまどかは正真正銘の魔法少女になったと言えるね」
ほどか「っ――!」
そんな、馬鹿なことが……。
まどか「ほどかちゃん。世界を救おうとするあなたの行為は立派だよ?
だけどね」
――その為にあなたが命を犠牲にすることは間違ってる。
ほどか「そんな、こと――!」
綺麗事だ。
それが間違っているというのなら、人が今も生きながらえていることすらも許されないことになる。
ほどか「人は大勢の人を生かすために少数の犠牲を容認してきました!
それは種を残す為に! 未来に生きる人達の為に! 明日の為に!」
だから、私も過去に習って自分の命を投げ出してでも遂行する。
みんなの生きる場所を守る為に、大好きな人達の笑顔の為に……。
まどか「そうだね。確かにそう。でもね、本当に人がそれを望んでいると思う?」
ほどか「なにを――!」
まどか「人が歴史を、悲しい記録を残すのは、その過ちを繰り返さない為。
次、同じことが起こった時の為に対策を講じる為」
ほどか「それが、どうした! それでも犠牲が出るのは止むをえない場合もある――!」
今がそうだ。私が止めないと宇宙のエネルギー問題は解決できない。
そして、それを解決しないと、苦しむ魔法少女は今も生み出され続けるんだ。
ほどか「それを間違っているというのなら! あなたが誰も犠牲にせずに済む方法を今出して見ろ――!」
出来るはずがない。そんなこと。
ほどか「出来るはずないよね! だっていくら想いの力が強くても、永遠の存在にはなれないあなたが!
未来永劫ずっとこの宇宙を守れるわけではない! だって氏ねばあなたの想いは無くなるんだから――!!」
人の想いなんてその程度だ。氏ねばその人の想いはなくなる。
だから、絶対の存在が必要なんだ。
永遠の存在がこの世界を見守り続けなければならないんだ。
ほどか「なにも出来ない無力の分際で! わかったふうな口をきくな――!!」
そう叫び、パパに一気に近寄る。
そして剣を振り降ろす。
ほどか「っ――!」
そんな、馬鹿なことが……。
まどか「ほどかちゃん。世界を救おうとするあなたの行為は立派だよ?
だけどね」
――その為にあなたが命を犠牲にすることは間違ってる。
ほどか「そんな、こと――!」
綺麗事だ。
それが間違っているというのなら、人が今も生きながらえていることすらも許されないことになる。
ほどか「人は大勢の人を生かすために少数の犠牲を容認してきました!
それは種を残す為に! 未来に生きる人達の為に! 明日の為に!」
だから、私も過去に習って自分の命を投げ出してでも遂行する。
みんなの生きる場所を守る為に、大好きな人達の笑顔の為に……。
まどか「そうだね。確かにそう。でもね、本当に人がそれを望んでいると思う?」
ほどか「なにを――!」
まどか「人が歴史を、悲しい記録を残すのは、その過ちを繰り返さない為。
次、同じことが起こった時の為に対策を講じる為」
ほどか「それが、どうした! それでも犠牲が出るのは止むをえない場合もある――!」
今がそうだ。私が止めないと宇宙のエネルギー問題は解決できない。
そして、それを解決しないと、苦しむ魔法少女は今も生み出され続けるんだ。
ほどか「それを間違っているというのなら! あなたが誰も犠牲にせずに済む方法を今出して見ろ――!」
出来るはずがない。そんなこと。
ほどか「出来るはずないよね! だっていくら想いの力が強くても、永遠の存在にはなれないあなたが!
未来永劫ずっとこの宇宙を守れるわけではない! だって氏ねばあなたの想いは無くなるんだから――!!」
人の想いなんてその程度だ。氏ねばその人の想いはなくなる。
だから、絶対の存在が必要なんだ。
永遠の存在がこの世界を見守り続けなければならないんだ。
ほどか「なにも出来ない無力の分際で! わかったふうな口をきくな――!!」
そう叫び、パパに一気に近寄る。
そして剣を振り降ろす。
529: 2012/08/01(水) 00:30:09.59
さやか「まどか!」
ほどか「邪魔だ――!」
パパを助けようとするさやかさんの動きを止める為に地中から鎖を召喚し足を絡め取る。
その動きを封じる。
そして剣を避ける為に後ろにバックステップしたパパに追撃。
振り降ろした剣を地面に突き刺す。そしてそれを軸にして、円を描くようにくるりと横に一回転。
同時に足蹴りを放つ。
まどか「う!!」
ほむら「まどか!」
私の蹴りをモロに受け吹き飛ぶパパを抱き留めようとママが飛び出す。
ママがパパを受け止めたと同時に用意しておいた砲銃を構える。
ほどか「喰らえ!!」
マミ「させない!!」
そうはさせないとマミさんも砲銃を構える。
「「ティロ・フィナーレ――!!!」」
そして、同時に発射。
巨大な光の塊が二つ大きな轟音をたてぶつかり合う。
マミ「こっちは本家よ! 偽物が適うわけ!!」
徐々に私に迫る光の塊。
ほどか「勘違いを! 狙いはこれだ――!!」
マミ「な――!?」
光の壁に隠れていたファンネルがマミさんの前に現れる。
それらはすでに発射体制を取っておりマミさんを狙い撃とうとしている。
マミ「しまっ――!!」
ほどか「邪魔だ――!」
パパを助けようとするさやかさんの動きを止める為に地中から鎖を召喚し足を絡め取る。
その動きを封じる。
そして剣を避ける為に後ろにバックステップしたパパに追撃。
振り降ろした剣を地面に突き刺す。そしてそれを軸にして、円を描くようにくるりと横に一回転。
同時に足蹴りを放つ。
まどか「う!!」
ほむら「まどか!」
私の蹴りをモロに受け吹き飛ぶパパを抱き留めようとママが飛び出す。
ママがパパを受け止めたと同時に用意しておいた砲銃を構える。
ほどか「喰らえ!!」
マミ「させない!!」
そうはさせないとマミさんも砲銃を構える。
「「ティロ・フィナーレ――!!!」」
そして、同時に発射。
巨大な光の塊が二つ大きな轟音をたてぶつかり合う。
マミ「こっちは本家よ! 偽物が適うわけ!!」
徐々に私に迫る光の塊。
ほどか「勘違いを! 狙いはこれだ――!!」
マミ「な――!?」
光の壁に隠れていたファンネルがマミさんの前に現れる。
それらはすでに発射体制を取っておりマミさんを狙い撃とうとしている。
マミ「しまっ――!!」
530: 2012/08/01(水) 00:30:40.49
杏子「マミ――!!」
杏子さんが、避けきれないと判断し、マミさんに発射口を向けるファンネルを叩き落とす。
ほどか「それも予測済みだ――!」
マミ「佐倉さん!」
杏子「な!?」
ファンネルを撃墜した杏子さんのさらに上空、そこには魔法陣がその姿を広げている。
そしてその中心部から雷音。
ほどか「痺れるだけじゃすませない――!!」
杏子「が!!?」
そのまま上空に浮かぶ杏子さんを雷撃が貫いた。
さやか「杏子!! あんたって奴はーー!!」
マミ「駄目よ美樹さん! 迂闊に近づいちゃ!!」
頭に血が昇ったさやかさんが戒めを断ち切り、私の胸を貫こうと剣を突くように構え突進。
ほどか「そんな蛮行が――!!」
だがそれは盾によって塞がれさやかさんは衝撃の反動によりよろける。
さやか「つ!」
その隙を逃さないように剣を振るう。
さやか「頃す覚悟もないあんたの剣なんて――!!」
ほどか「それはあなたも一緒のことだ――!!!」
うまく態勢を整え、かろうじてさやかさんは私の剣を受け止めることに成功した。
鍔迫り合いの状態になり、じりじりと押し合いが続く。
さやか「ふ――」
さやかさんの力が緩む。
そして一気に後ろにのけぞり私の態勢を崩そうとする。
だが、それを予想していた私は同じように力を緩め後ろに半歩下がる。
ほどか「芸のない!!」
さやか「どう、かな!」
だが、ただのけぞっただけではなかった。
さやかさんはのけぞったまま地面に手を伸ばしそのままバク転。
そして、足を曲げたまま地面に着地した瞬間、足を伸ばし、地を蹴る。その勢いを利用しそのまま私にもう一度突進を喰らわせる。
だが、当然そのような攻撃は盾に阻まれることになる。
杏子さんが、避けきれないと判断し、マミさんに発射口を向けるファンネルを叩き落とす。
ほどか「それも予測済みだ――!」
マミ「佐倉さん!」
杏子「な!?」
ファンネルを撃墜した杏子さんのさらに上空、そこには魔法陣がその姿を広げている。
そしてその中心部から雷音。
ほどか「痺れるだけじゃすませない――!!」
杏子「が!!?」
そのまま上空に浮かぶ杏子さんを雷撃が貫いた。
さやか「杏子!! あんたって奴はーー!!」
マミ「駄目よ美樹さん! 迂闊に近づいちゃ!!」
頭に血が昇ったさやかさんが戒めを断ち切り、私の胸を貫こうと剣を突くように構え突進。
ほどか「そんな蛮行が――!!」
だがそれは盾によって塞がれさやかさんは衝撃の反動によりよろける。
さやか「つ!」
その隙を逃さないように剣を振るう。
さやか「頃す覚悟もないあんたの剣なんて――!!」
ほどか「それはあなたも一緒のことだ――!!!」
うまく態勢を整え、かろうじてさやかさんは私の剣を受け止めることに成功した。
鍔迫り合いの状態になり、じりじりと押し合いが続く。
さやか「ふ――」
さやかさんの力が緩む。
そして一気に後ろにのけぞり私の態勢を崩そうとする。
だが、それを予想していた私は同じように力を緩め後ろに半歩下がる。
ほどか「芸のない!!」
さやか「どう、かな!」
だが、ただのけぞっただけではなかった。
さやかさんはのけぞったまま地面に手を伸ばしそのままバク転。
そして、足を曲げたまま地面に着地した瞬間、足を伸ばし、地を蹴る。その勢いを利用しそのまま私にもう一度突進を喰らわせる。
だが、当然そのような攻撃は盾に阻まれることになる。
531: 2012/08/01(水) 00:31:06.58
ほどか「同じことを繰り返す――!!」
さやか「さっきとは違う!」
マミ「その通りよ!!」
背後からマミさんの放つ銃撃の音が聞こえる。
どうやら私とさやかさんが争っている間に後ろに回り込んでいたみたいだ。
マミ「当たった! ッ――!?」
だが結果的にその銃撃が私に当たることはなかった。
マミ「そんな消え――!?」
ほどか「残像ですよ――!」
マミ「く――!」
超スピードを持ってマミさんの背後を取り、そして蹴りを浴びせかける。
マミ「きゃあ!!」
咄嗟に振り向きガードを試みるマミさんだが間に合わず、そのまま吹き飛ばされる。
マミ「っ!」
吹き飛ばされたマミさんはなんとか態勢を整えようと空中で身をひねり、そのまま縦に回転してなんとか着地する。
そして膝を着きながらも私の方を向き直るが
マミ「な――!」
その眼前にはファンネルの銃口。
そして閃光がマミさんの体を貫く。
マミ「が、は……」
マミさんは血を吐きその場に倒れ伏す。
さやか「マミさん!」
マミさんの放った銃弾を避ける為に空中に飛び上がっていたさやかさん。
そして、そのまま着地。
さやか「ぐう!!?」
着地と同時にさやかさんが苦痛の声をあげる。
それもそのはず、さやかさんの体には私によって生み出された、地面から生えた刀身が突き刺さっていた。
ほむら「さやか! マミ! 杏子!」
血を流し倒れる仲間の名前を叫ぶママ。
その表情には苦悶が広がっていてみんなの安否を気遣っているように見える。
さやか「さっきとは違う!」
マミ「その通りよ!!」
背後からマミさんの放つ銃撃の音が聞こえる。
どうやら私とさやかさんが争っている間に後ろに回り込んでいたみたいだ。
マミ「当たった! ッ――!?」
だが結果的にその銃撃が私に当たることはなかった。
マミ「そんな消え――!?」
ほどか「残像ですよ――!」
マミ「く――!」
超スピードを持ってマミさんの背後を取り、そして蹴りを浴びせかける。
マミ「きゃあ!!」
咄嗟に振り向きガードを試みるマミさんだが間に合わず、そのまま吹き飛ばされる。
マミ「っ!」
吹き飛ばされたマミさんはなんとか態勢を整えようと空中で身をひねり、そのまま縦に回転してなんとか着地する。
そして膝を着きながらも私の方を向き直るが
マミ「な――!」
その眼前にはファンネルの銃口。
そして閃光がマミさんの体を貫く。
マミ「が、は……」
マミさんは血を吐きその場に倒れ伏す。
さやか「マミさん!」
マミさんの放った銃弾を避ける為に空中に飛び上がっていたさやかさん。
そして、そのまま着地。
さやか「ぐう!!?」
着地と同時にさやかさんが苦痛の声をあげる。
それもそのはず、さやかさんの体には私によって生み出された、地面から生えた刀身が突き刺さっていた。
ほむら「さやか! マミ! 杏子!」
血を流し倒れる仲間の名前を叫ぶママ。
その表情には苦悶が広がっていてみんなの安否を気遣っているように見える。
532: 2012/08/01(水) 00:31:37.73
ほどか「大丈夫、頃してはいません」
頃すもんか。
ぼやける視界を手で拭うことではっきりさせる。
ほどか(なぜ、涙なんて――)
涙が止まらない。
なぜだ。どうして私は泣いて……。
ほどか(くそ! 止まれ! 止まれ!)
強引に目をこする。
泣くなんて傲慢だ。偽善だ。
ほどか(あの人達を止めるにはこうするしかないのに――!)
それを悲しむなんて間違ってる。
だが、涙が止まることはなかった。
まどか「もう無理はしないで」
ほどか「――!」
パパがママに支えられながら立ち上がる。
ほどか「まだやるっていうの――!?」
もうやめてほしい。これ以上こんなことしたくない。
ほどか「もう、もうわかったでしょ!? あなた達が私に敵うわけない!
力の差がありすぎるの――!」
だから諦めて。これ以上はもう……。
まどか「諦めない」
ほどか「――!!」
どう、して……。
ほどか「もう、いやだよ。もうやめてよ……」
膝が折れる。
なんでこんなことしなくちゃいけないのか。
どうして私は大好きな人達を傷つけないといけないのか。
ほどか「こうなったら時を止めて……」
そうだ、無理矢理追い出してしまえばいい。
それから、記憶を消せばママ達がここに来ることもない……。
そして、結界を隠して時間が来るまで待てば……。
ほどか「そうすれば、私の勝ち……」
諦めて帰ってもらおうなんて考えが甘いんだ。
わかってもらおうとしたのが悪いんだ。
頃すもんか。
ぼやける視界を手で拭うことではっきりさせる。
ほどか(なぜ、涙なんて――)
涙が止まらない。
なぜだ。どうして私は泣いて……。
ほどか(くそ! 止まれ! 止まれ!)
強引に目をこする。
泣くなんて傲慢だ。偽善だ。
ほどか(あの人達を止めるにはこうするしかないのに――!)
それを悲しむなんて間違ってる。
だが、涙が止まることはなかった。
まどか「もう無理はしないで」
ほどか「――!」
パパがママに支えられながら立ち上がる。
ほどか「まだやるっていうの――!?」
もうやめてほしい。これ以上こんなことしたくない。
ほどか「もう、もうわかったでしょ!? あなた達が私に敵うわけない!
力の差がありすぎるの――!」
だから諦めて。これ以上はもう……。
まどか「諦めない」
ほどか「――!!」
どう、して……。
ほどか「もう、いやだよ。もうやめてよ……」
膝が折れる。
なんでこんなことしなくちゃいけないのか。
どうして私は大好きな人達を傷つけないといけないのか。
ほどか「こうなったら時を止めて……」
そうだ、無理矢理追い出してしまえばいい。
それから、記憶を消せばママ達がここに来ることもない……。
そして、結界を隠して時間が来るまで待てば……。
ほどか「そうすれば、私の勝ち……」
諦めて帰ってもらおうなんて考えが甘いんだ。
わかってもらおうとしたのが悪いんだ。
533: 2012/08/01(水) 00:32:06.75
ほどか「そうだ、そうすればいい――」
震える足を無理矢理立たせて時を止めようとする。
まどか「ねぇ、ほどかちゃん。あなたはさっき氏んだら想いはなくなる。そう言ったよね?」
そんな私をパパが話しかけることで静止する。
ほどか「? それがどうしましたか――?」
確かに言った、その人の持つ意志はその人が滅べば無くなる。
当然のことじゃないか。
まどか「それは間違いだよ」
ほどか「なにが間違いだって――」
まどか「人の想いは伝えることができる。人から人へと渡すことが出来るんだよ」
ほどか「なにを言って――」
パパがなにを言っているのかわからない。
でも、その言葉は真に迫る感じがした。
まどか「人の想いは人に伝えることで、繋げることができるんだよ」
祈る様にパパは両手を合わせる。
すると、パパの周囲に白く輝く光が沸き上ってきた。
まどか「そして繋がった想いは人を強くする――」
目を瞑り、パパは賛歌を歌うように言葉を紡ぐ。
その言葉に影響されてか光はその輝きを一層強め、広げていく。
ほどか(なに、この光――)
まどか「ほどかちゃんに見せてあげる。人の想いが生み出す力を」
目をゆっくりと開き、そう宣言するパパ。
その瞳は黄金色に輝いているように見えた。
震える足を無理矢理立たせて時を止めようとする。
まどか「ねぇ、ほどかちゃん。あなたはさっき氏んだら想いはなくなる。そう言ったよね?」
そんな私をパパが話しかけることで静止する。
ほどか「? それがどうしましたか――?」
確かに言った、その人の持つ意志はその人が滅べば無くなる。
当然のことじゃないか。
まどか「それは間違いだよ」
ほどか「なにが間違いだって――」
まどか「人の想いは伝えることができる。人から人へと渡すことが出来るんだよ」
ほどか「なにを言って――」
パパがなにを言っているのかわからない。
でも、その言葉は真に迫る感じがした。
まどか「人の想いは人に伝えることで、繋げることができるんだよ」
祈る様にパパは両手を合わせる。
すると、パパの周囲に白く輝く光が沸き上ってきた。
まどか「そして繋がった想いは人を強くする――」
目を瞑り、パパは賛歌を歌うように言葉を紡ぐ。
その言葉に影響されてか光はその輝きを一層強め、広げていく。
ほどか(なに、この光――)
まどか「ほどかちゃんに見せてあげる。人の想いが生み出す力を」
目をゆっくりと開き、そう宣言するパパ。
その瞳は黄金色に輝いているように見えた。
534: 2012/08/01(水) 00:32:42.00
さやか「う、あれ……」
まどか「その力があれば人はどんな困難でも乗り越えることが出来る」
光が満身創痍のママ達を包み込む。
杏子「傷が……」
まどか「どれだけ傷つこうとも、人は自分の手で未来を掴んで見せる」
その傷を癒すように、彼女達の助けになるように。
マミ「治って……」
完全に傷が癒えたのか、立ち上がり、自身を包み込む光を眺めるママ達。
ほむら「これは、この心に流れてくるのは、まどかの想い……?」
さやか「いや、違う。まどかだけじゃない」
杏子「さやかやマミ、ほむらの想いも……?」
マミ「ううん。私達だけじゃない。ほどかさんを想うみんなの想いが……」
まどか「ほどかちゃん。あなたを一人ぼっちになんて絶対させない」
その言葉に白く輝く光が破裂したように辺りに広がる。
そしてパパの姿が高密度の光の粒子に包みこまれる。
その瞬間、一気に収束。
まどか「ほどかちゃんを一人苦しませたりなんかしない」
光の中から姿を変えたパパが現れる。
さやか「まどか……」
杏子「お前……」
マミ「その姿は……」
白と桃色の衣により形作られたドレスを着、そして薄桃色のブーツを穿き
足に届くまで髪が伸びたパパ。
その背中には二枚の翼をはためかせ、黄金に輝く瞳を私に向ける。
まどか「あなたを一人、絶望の底に沈めたりなんて、しない――!!」
手を上空にかざす、するとそこには弓が現れ、その弓を掴むとパパは一気にその弦を引き絞り天に向けて矢を放った。
上空にて光となって四散する桃色に輝く矢。
その光はそれを呆然と眺めていたマミさん達に降り注いだ。
マミ「――!!」
さやか「これは――!」
杏子「力が湧いてくる――!」
光に包まれたマミさん達もその姿を変化させる。
まどか「その力があれば人はどんな困難でも乗り越えることが出来る」
光が満身創痍のママ達を包み込む。
杏子「傷が……」
まどか「どれだけ傷つこうとも、人は自分の手で未来を掴んで見せる」
その傷を癒すように、彼女達の助けになるように。
マミ「治って……」
完全に傷が癒えたのか、立ち上がり、自身を包み込む光を眺めるママ達。
ほむら「これは、この心に流れてくるのは、まどかの想い……?」
さやか「いや、違う。まどかだけじゃない」
杏子「さやかやマミ、ほむらの想いも……?」
マミ「ううん。私達だけじゃない。ほどかさんを想うみんなの想いが……」
まどか「ほどかちゃん。あなたを一人ぼっちになんて絶対させない」
その言葉に白く輝く光が破裂したように辺りに広がる。
そしてパパの姿が高密度の光の粒子に包みこまれる。
その瞬間、一気に収束。
まどか「ほどかちゃんを一人苦しませたりなんかしない」
光の中から姿を変えたパパが現れる。
さやか「まどか……」
杏子「お前……」
マミ「その姿は……」
白と桃色の衣により形作られたドレスを着、そして薄桃色のブーツを穿き
足に届くまで髪が伸びたパパ。
その背中には二枚の翼をはためかせ、黄金に輝く瞳を私に向ける。
まどか「あなたを一人、絶望の底に沈めたりなんて、しない――!!」
手を上空にかざす、するとそこには弓が現れ、その弓を掴むとパパは一気にその弦を引き絞り天に向けて矢を放った。
上空にて光となって四散する桃色に輝く矢。
その光はそれを呆然と眺めていたマミさん達に降り注いだ。
マミ「――!!」
さやか「これは――!」
杏子「力が湧いてくる――!」
光に包まれたマミさん達もその姿を変化させる。
535: 2012/08/01(水) 00:33:11.15
マミ「凄い……」
さやか「これならいける……」
杏子「あぁ!」
それぞれ、その姿を変えたマミさん達が私を睨み付ける。
ほどか「――ッ」
その凄まじい気迫に押され後ずさる私。
だがすぐに思い直し、戦闘態勢をとる。
ほどか「姿を変えたからといって、なんですか――!」
そうだ、どれだけ力を増幅させても私に勝てるわけがないんだ。
想いの力なんかに私の覚悟が負けるはずはないんだ。
さやか「本当にそう――?」
ほどか(速い――!)
さっきまで離れていた場所にいたと思っていたさやかさんがいつの間にか私の目の前に現れる。
その姿は、侍が着る藍色に染められた袴のようなものを着用し、背には蒼く清廉に輝く翼。
そして、腰には日本刀が携えられていた。
鞘に手を置き刀を抜きはらおうとするさやかさん。
だけど、黙ってそれを許すほど今の私は甘くない。
ほどか「不用意に近づくから――!」
隙だらけのさやかさんに先に攻撃しようと大剣を操る。
そして、さやかさんの体を風圧で吹き飛ばすように縦に下ろす。
だが、
ほどか「――!?」
大剣はその役目を果たすことなく私の前で砕け散った。
ほどか「そ、そんな――」
さやか「あんたの覚悟は誰かを傷つけてまで成し遂げられる程、強くはないよ」
一閃。
さやかさんが刀に触れた瞬間、青の閃光が奔ったかと思うと、さやかさんの姿は私の後ろへと移動していた。
そして、刀を鞘に納める音が聞こえると同時。
私の覚悟を示す剣はその姿を瓦解させ、真っ二つに斬り離されてしまった。
ほどか「あ、ありえない――。こんなことは――」
ありえない。ありえるはずがない。
私の力は、最強のはずなんだ。全てを成し遂げる為に私は無敵の力を、強さを得たはずなんだ。
なのに、どうして――。
さやか「これならいける……」
杏子「あぁ!」
それぞれ、その姿を変えたマミさん達が私を睨み付ける。
ほどか「――ッ」
その凄まじい気迫に押され後ずさる私。
だがすぐに思い直し、戦闘態勢をとる。
ほどか「姿を変えたからといって、なんですか――!」
そうだ、どれだけ力を増幅させても私に勝てるわけがないんだ。
想いの力なんかに私の覚悟が負けるはずはないんだ。
さやか「本当にそう――?」
ほどか(速い――!)
さっきまで離れていた場所にいたと思っていたさやかさんがいつの間にか私の目の前に現れる。
その姿は、侍が着る藍色に染められた袴のようなものを着用し、背には蒼く清廉に輝く翼。
そして、腰には日本刀が携えられていた。
鞘に手を置き刀を抜きはらおうとするさやかさん。
だけど、黙ってそれを許すほど今の私は甘くない。
ほどか「不用意に近づくから――!」
隙だらけのさやかさんに先に攻撃しようと大剣を操る。
そして、さやかさんの体を風圧で吹き飛ばすように縦に下ろす。
だが、
ほどか「――!?」
大剣はその役目を果たすことなく私の前で砕け散った。
ほどか「そ、そんな――」
さやか「あんたの覚悟は誰かを傷つけてまで成し遂げられる程、強くはないよ」
一閃。
さやかさんが刀に触れた瞬間、青の閃光が奔ったかと思うと、さやかさんの姿は私の後ろへと移動していた。
そして、刀を鞘に納める音が聞こえると同時。
私の覚悟を示す剣はその姿を瓦解させ、真っ二つに斬り離されてしまった。
ほどか「あ、ありえない――。こんなことは――」
ありえない。ありえるはずがない。
私の力は、最強のはずなんだ。全てを成し遂げる為に私は無敵の力を、強さを得たはずなんだ。
なのに、どうして――。
536: 2012/08/01(水) 00:33:56.16
杏子「独り善がりの力なんて最強のわけねーだろ」
ほどか「ッ!!」
空中へ跳躍した杏子さんが赤い色の矛を構える。
西洋の騎士を思わせる朱に塗られた甲冑に全身を包み、フルフェイスの兜から目だけを露出させ、私をきっと睨み付ける杏子さん。
自身の燃えるような長い髪をなびかせて、そして、紅に燃え盛る翼を持って宙を舞う。
杏子「人の強さっていうもんはな、誰かと支え合って弱さを補い合ってそして、認め合って高めるもんだ」
杏子さんの矛の周りを火焔が螺旋状に渦巻く。
その様は全てを喰らい尽くし燃やし尽くす、龍の姿を彷彿とさせる。
杏子「お前みたいに自分の強さに依存して、そっから前へ進もうともしない奴に最強はついてこねーよ」
そう言い捨てた直後、杏子さんは赤き龍を解放つ。
杏子さんのもとから解放された龍は彼女の意思を受け取ったように、
まっすぐに私のもとへと咆哮をあげ向かってくる。
ほどか「こんな、もの――!!!」
今にも私を食い尽くさんと迫る炎龍の火焔を防ぐ為、
絶対防衛の名を冠するに相応しい鉄壁の盾を全面に展開。
ほどか(この盾を破ることは不可能――!)
あらゆる物理攻撃もその堅牢さを持って跳ね返す。
それが、私を守護するこの盾の役割。
だから、杏子さんの矛がどれだけ強力だろうと必ず私が勝つに決まっている。
杏子「よく、最強の盾と最強の矛のどっちが強いかっていうよな。あれ結局どっちのが強いと思う?」
ほどか「あの話に答えはありませんよ。強いていうならどちらも強く、弱いんじゃないですか」
答えが反発しあっているから矛盾。
あれはその意味をわかりやすく説明する為の故事だ。
杏子「いーや、答えはちゃんとあるさ」
そう言って、少し笑う杏子さん。
その笑みは優しい笑みでこの時代の杏子さんからは見たこともない慈愛に満ちた微笑みだった。
杏子「想いの強い方が勝つんだ――」
矛と盾のぶつかり合う爆音が響く。
守護者である盾はその身を焦がし、炎に包まれようとも私の身を守ろうと堅守する。
対して、炎龍にその姿を変えた矛は、守護者の腸を食い破ろうと咆哮をあげる。
ピシリ――。
なにかに亀裂が入る音が聞こえた。
ほどか「――!?」
刹那。鉄壁の守護者であるはずの盾が崩壊。
ガシャガシャと音を立て、それを断末魔の悲鳴とするかのように崩れゆく守護者。
そして、炎龍はその身を一片たりとも残さぬと、その破片にまで喰らい付く。
ほどか「う、そ――」
目の前から私の体を護る守護者が消え、視界が開ける。
眼前には燃え盛る炎。
しかし、その炎は真っ暗だった私の道を照らす灯にも見えた。
ほどか「ッ!!」
空中へ跳躍した杏子さんが赤い色の矛を構える。
西洋の騎士を思わせる朱に塗られた甲冑に全身を包み、フルフェイスの兜から目だけを露出させ、私をきっと睨み付ける杏子さん。
自身の燃えるような長い髪をなびかせて、そして、紅に燃え盛る翼を持って宙を舞う。
杏子「人の強さっていうもんはな、誰かと支え合って弱さを補い合ってそして、認め合って高めるもんだ」
杏子さんの矛の周りを火焔が螺旋状に渦巻く。
その様は全てを喰らい尽くし燃やし尽くす、龍の姿を彷彿とさせる。
杏子「お前みたいに自分の強さに依存して、そっから前へ進もうともしない奴に最強はついてこねーよ」
そう言い捨てた直後、杏子さんは赤き龍を解放つ。
杏子さんのもとから解放された龍は彼女の意思を受け取ったように、
まっすぐに私のもとへと咆哮をあげ向かってくる。
ほどか「こんな、もの――!!!」
今にも私を食い尽くさんと迫る炎龍の火焔を防ぐ為、
絶対防衛の名を冠するに相応しい鉄壁の盾を全面に展開。
ほどか(この盾を破ることは不可能――!)
あらゆる物理攻撃もその堅牢さを持って跳ね返す。
それが、私を守護するこの盾の役割。
だから、杏子さんの矛がどれだけ強力だろうと必ず私が勝つに決まっている。
杏子「よく、最強の盾と最強の矛のどっちが強いかっていうよな。あれ結局どっちのが強いと思う?」
ほどか「あの話に答えはありませんよ。強いていうならどちらも強く、弱いんじゃないですか」
答えが反発しあっているから矛盾。
あれはその意味をわかりやすく説明する為の故事だ。
杏子「いーや、答えはちゃんとあるさ」
そう言って、少し笑う杏子さん。
その笑みは優しい笑みでこの時代の杏子さんからは見たこともない慈愛に満ちた微笑みだった。
杏子「想いの強い方が勝つんだ――」
矛と盾のぶつかり合う爆音が響く。
守護者である盾はその身を焦がし、炎に包まれようとも私の身を守ろうと堅守する。
対して、炎龍にその姿を変えた矛は、守護者の腸を食い破ろうと咆哮をあげる。
ピシリ――。
なにかに亀裂が入る音が聞こえた。
ほどか「――!?」
刹那。鉄壁の守護者であるはずの盾が崩壊。
ガシャガシャと音を立て、それを断末魔の悲鳴とするかのように崩れゆく守護者。
そして、炎龍はその身を一片たりとも残さぬと、その破片にまで喰らい付く。
ほどか「う、そ――」
目の前から私の体を護る守護者が消え、視界が開ける。
眼前には燃え盛る炎。
しかし、その炎は真っ暗だった私の道を照らす灯にも見えた。
537: 2012/08/01(水) 00:34:27.81
マミ「ほどかさん、あなたは私にこういってくれたわよね」
ファンタジーに出てくる魔導師を思わせるマミさんの衣装。
檸檬色に彩られたローブを纏い、頭には縁の長い魔法使いが使うような三角の帽子を目深に被り、
片目だけを覗かせ超超巨大な砲のスコープにその目を当てる。
背から生えた燦然と光を放つ黄金色の翼を大きく羽ばたかせ、巨大な砲撃への反動を抑制しようとする。
いや、マミさんの持つ砲は、もはや砲と呼ぶには相応しくなく、超巨大な柱と呼ぶべきだろう。
地面にその巨体を横たえるその柱は、その砲口にあたる箇所に、無数の光の粒子を集約させ、束ね極太の線とする。
ほどか(あれはマズイ――)
眼前に聳える光の柱を見てそう思う。
全てを切り裂く剣は折られ、全てを跳ね返す盾は崩壊した。
今の私にあれを受け止める術は……。
マミ「私が怖い時は一緒にいるし、辛い時はその辛さをわかちあってくれる。泣きたい時は共に泣いてくれる。
だから、私は一人じゃない。あなたが、みんなが私を守るって」
ほどか「それが、どうしたんですか……」
マミ「あの言葉、そっくりそのままあなたに贈るわ」
スコープから目を離さずにそう宣言する。
マミ「あなたが怖い時は一緒にいるし、辛い時はその辛さを私にわけて。泣きたい時は共に泣く。
だから、あなたは一人じゃない。私が、みんながあなたを守る」
そして、一言付け添えて。
マミ「だから、自分の殻に閉じこもるのはもうやめなさい。
自分の殻を破って、一歩を踏み出す勇気を持つ」
それが、人の持つ強さよ――。
音が消えた。
マミさんの言葉を皮切りに、砲口に束ねられていた光が破裂。
柱からレーザーが発射され、空間を軋ませる程の威力を持った純粋な破壊の光が私を包み込もうとしていた。
ファンタジーに出てくる魔導師を思わせるマミさんの衣装。
檸檬色に彩られたローブを纏い、頭には縁の長い魔法使いが使うような三角の帽子を目深に被り、
片目だけを覗かせ超超巨大な砲のスコープにその目を当てる。
背から生えた燦然と光を放つ黄金色の翼を大きく羽ばたかせ、巨大な砲撃への反動を抑制しようとする。
いや、マミさんの持つ砲は、もはや砲と呼ぶには相応しくなく、超巨大な柱と呼ぶべきだろう。
地面にその巨体を横たえるその柱は、その砲口にあたる箇所に、無数の光の粒子を集約させ、束ね極太の線とする。
ほどか(あれはマズイ――)
眼前に聳える光の柱を見てそう思う。
全てを切り裂く剣は折られ、全てを跳ね返す盾は崩壊した。
今の私にあれを受け止める術は……。
マミ「私が怖い時は一緒にいるし、辛い時はその辛さをわかちあってくれる。泣きたい時は共に泣いてくれる。
だから、私は一人じゃない。あなたが、みんなが私を守るって」
ほどか「それが、どうしたんですか……」
マミ「あの言葉、そっくりそのままあなたに贈るわ」
スコープから目を離さずにそう宣言する。
マミ「あなたが怖い時は一緒にいるし、辛い時はその辛さを私にわけて。泣きたい時は共に泣く。
だから、あなたは一人じゃない。私が、みんながあなたを守る」
そして、一言付け添えて。
マミ「だから、自分の殻に閉じこもるのはもうやめなさい。
自分の殻を破って、一歩を踏み出す勇気を持つ」
それが、人の持つ強さよ――。
音が消えた。
マミさんの言葉を皮切りに、砲口に束ねられていた光が破裂。
柱からレーザーが発射され、空間を軋ませる程の威力を持った純粋な破壊の光が私を包み込もうとしていた。
538: 2012/08/01(水) 00:35:12.83
さやか「……」
杏子「……」
マミ「……」
ほどか「はぁ、はぁ――」
さやか「しぶといね」
杏子「もう諦めてくれれば話も早いんだけどな」
マミ「そうね。早く一緒に帰ってお茶でも飲みたいわ」
マミさんが放った光は私を飲み込み、その存在を消そうとしていた。
剣も無く盾もない私はバリアーを張ることで、その砲撃を耐え、なんとか難を逃れることに成功した。
さやか「しっかし、あのバリアー反則だよね」
杏子「まさか、あの攻撃を防ぐとはな」
マミ「でも、完全に防ぎきったわけじゃないみたいよ」
ほどか(バリアーが――)
ボロボロになったバリアーを見る。
完全に回復するには時間がかかるだろう。
杏子「もう一発いけるか?」
マミ「今すぐには無理ね。さすがにあんな力、連発は出来ないわ」
さやか「私も実はもう力は残ってないんだよね。さて、どうしよっか」
どうやらあの攻撃は当分こないみたいだ。
なら、
ほどか「その前に戦闘不能にする――!」
両手をかざし、前方に魔法陣を召喚。
ほどか(今のマミさん達には下手に手を抜けない――)
だけど、あまりに強すぎてもその存在ごと消してしまうだろう。
ほどか「半分の力なら――!!!」
半分の力なら直撃を避けても無力化できるはずだ。
ほどか「動かないでくださいね――!」
魔法陣から黒い粒子が溢れだす。
そして、束ねられた粒子が線となる。
ほどか「狙いがはずれますから――!」
よく狙い、マミさん達のソウルジェムには絶対に当てないように照準を合わせる。
さやか「ありゃまずくない?」
杏子「ヤバいな。しかも避けれる気がしねー」
マミ「まぁ、大丈夫でしょ」
ほどか「余裕を見せて――!」
一気に発射。
無数の光の帯がマミさん達を捉えようとする。
が
その光は桃色に輝く結界に阻まれた。
杏子「……」
マミ「……」
ほどか「はぁ、はぁ――」
さやか「しぶといね」
杏子「もう諦めてくれれば話も早いんだけどな」
マミ「そうね。早く一緒に帰ってお茶でも飲みたいわ」
マミさんが放った光は私を飲み込み、その存在を消そうとしていた。
剣も無く盾もない私はバリアーを張ることで、その砲撃を耐え、なんとか難を逃れることに成功した。
さやか「しっかし、あのバリアー反則だよね」
杏子「まさか、あの攻撃を防ぐとはな」
マミ「でも、完全に防ぎきったわけじゃないみたいよ」
ほどか(バリアーが――)
ボロボロになったバリアーを見る。
完全に回復するには時間がかかるだろう。
杏子「もう一発いけるか?」
マミ「今すぐには無理ね。さすがにあんな力、連発は出来ないわ」
さやか「私も実はもう力は残ってないんだよね。さて、どうしよっか」
どうやらあの攻撃は当分こないみたいだ。
なら、
ほどか「その前に戦闘不能にする――!」
両手をかざし、前方に魔法陣を召喚。
ほどか(今のマミさん達には下手に手を抜けない――)
だけど、あまりに強すぎてもその存在ごと消してしまうだろう。
ほどか「半分の力なら――!!!」
半分の力なら直撃を避けても無力化できるはずだ。
ほどか「動かないでくださいね――!」
魔法陣から黒い粒子が溢れだす。
そして、束ねられた粒子が線となる。
ほどか「狙いがはずれますから――!」
よく狙い、マミさん達のソウルジェムには絶対に当てないように照準を合わせる。
さやか「ありゃまずくない?」
杏子「ヤバいな。しかも避けれる気がしねー」
マミ「まぁ、大丈夫でしょ」
ほどか「余裕を見せて――!」
一気に発射。
無数の光の帯がマミさん達を捉えようとする。
が
その光は桃色に輝く結界に阻まれた。
539: 2012/08/01(水) 00:35:58.99
ほどか「っ――!」
まどか「ほどかちゃん。もういいんだよ」
ほどか「なにが――!」
まどか「私達に伝わった想いにはほどかちゃんのものもあるの。
そして、それはほどかちゃんの過去にも繋がった」
ほどか「な――!」
私の過去? そんな、じゃあまさか……。
脳裏に過る、嫌な記憶。
ある男性が、ある女性を撃ち頃す映像。
ほむら「辛い思いをしたのね。そのせいであなたは自分が全て悪いと思って過去を変える為にこの時代に来た」
ほどか「ち、ちが――」
違わない。
私が魔法少女をこの世から消し去りたいと思った原因はそれだ。
まどか「でも、もういいんだよ。あなたが悪いわけじゃない。あなたが苦しむ必要はもうない」
ほどか「で、でも私が――」
私のせいで、氏んだんだ。
私が産まれたせいでママは……。
ほむら「いいえ違うわ。あなたのせいじゃない。
私が氏んだのはあなたが産まれたせいなんかじゃ絶対ない」
ほどか「で、でも――」
それでも、私が頑張らないと世界は……。
まどか「一人で全部背負う必要はないんだよ……」
ほむら「あなたも見たでしょう? 人の想いが生み出す力を。
この力があればきっとこの宇宙が抱える問題なんて解決するわよ」
ほどか「そんなこと、それでもし無理だったら――」
世界は滅びるんだ。
それに、今も魔法少女は生み出され苦しむんだ。
ほどか「そんなこと許せない――! 誰かが傷つくのがわかっていてそれを見過ごすなんて!」
私にはできない。
だから――。
ほどか「もう迷わない――! 全力であなた達を迎え討ちます――!!」
今のパパになら全力を出しても氏にはしないはず。
手をかざし、力を集中させる。
眼前に浮かぶ魔法陣。
そしてその魔法陣は形を変え弓となる。
その、弓を取り構える。
ほどか「これで最後です――! この一撃に私の全てを捧げる――!!」
それでもあなた達が止めるというのなら止めてみろ――。
まどか「ほどかちゃん。もういいんだよ」
ほどか「なにが――!」
まどか「私達に伝わった想いにはほどかちゃんのものもあるの。
そして、それはほどかちゃんの過去にも繋がった」
ほどか「な――!」
私の過去? そんな、じゃあまさか……。
脳裏に過る、嫌な記憶。
ある男性が、ある女性を撃ち頃す映像。
ほむら「辛い思いをしたのね。そのせいであなたは自分が全て悪いと思って過去を変える為にこの時代に来た」
ほどか「ち、ちが――」
違わない。
私が魔法少女をこの世から消し去りたいと思った原因はそれだ。
まどか「でも、もういいんだよ。あなたが悪いわけじゃない。あなたが苦しむ必要はもうない」
ほどか「で、でも私が――」
私のせいで、氏んだんだ。
私が産まれたせいでママは……。
ほむら「いいえ違うわ。あなたのせいじゃない。
私が氏んだのはあなたが産まれたせいなんかじゃ絶対ない」
ほどか「で、でも――」
それでも、私が頑張らないと世界は……。
まどか「一人で全部背負う必要はないんだよ……」
ほむら「あなたも見たでしょう? 人の想いが生み出す力を。
この力があればきっとこの宇宙が抱える問題なんて解決するわよ」
ほどか「そんなこと、それでもし無理だったら――」
世界は滅びるんだ。
それに、今も魔法少女は生み出され苦しむんだ。
ほどか「そんなこと許せない――! 誰かが傷つくのがわかっていてそれを見過ごすなんて!」
私にはできない。
だから――。
ほどか「もう迷わない――! 全力であなた達を迎え討ちます――!!」
今のパパになら全力を出しても氏にはしないはず。
手をかざし、力を集中させる。
眼前に浮かぶ魔法陣。
そしてその魔法陣は形を変え弓となる。
その、弓を取り構える。
ほどか「これで最後です――! この一撃に私の全てを捧げる――!!」
それでもあなた達が止めるというのなら止めてみろ――。
540: 2012/08/01(水) 00:36:28.21
ほむら「本当に聞き分けのない子……」
まどか「ほむらちゃんにそっくり」
ほむら「まどかによ」
まどか「そんなことないよ、思い込みの激しいとことかほむらちゃんにそっくりだよ」
ほむら「あら、頑固な所はまどかにそっくりよ」
まどか「そんなこというなら、泣き虫な所はほむらちゃんそっくりだね」
ほむら「人の話を聞かない所はまどかにそっくりだわ」
まどか「髪が長くて綺麗な所はほむらちゃんそっくり」
ほむら「愛らしい所はまどかに似たわ」
まどか「頭のいいとこはほむらちゃん」
ほむら「優しい所はまどか」
まどか「なんなの!?」
ほむら「なによ!!」
さやマミ杏「ケンカすんな!!」
さやか「あんたらそんな場合じゃないのはわかってる!?」
杏子「もうほどかは準備できてるんだぞ!!」
マミ「後半に至ってはお互いを褒めてるだけだし!」
ほどか「……」
さやか「あぁごめん! ほどかを無視してるわけじゃないから!」
杏子「だからそんなに傷ついた顔すんなって!」
マミ「ごめんなさい! せっかくの決め台詞が台無しになって!!」
まどか「え、ほどかちゃん傷つけられたの? 誰に?」
ほむら「許せないわ」
さやマミ杏「お前等にだよ!」
まどか「まぁ、冗談はこのくらいにして」
ほむら「そろそろ終わりにしましょうか」
さやか(こいつら……)
杏子(マジうぜぇ……)
マミ(ティロ・フィナったらダメかしら……)
まどか「ほむらちゃんにそっくり」
ほむら「まどかによ」
まどか「そんなことないよ、思い込みの激しいとことかほむらちゃんにそっくりだよ」
ほむら「あら、頑固な所はまどかにそっくりよ」
まどか「そんなこというなら、泣き虫な所はほむらちゃんそっくりだね」
ほむら「人の話を聞かない所はまどかにそっくりだわ」
まどか「髪が長くて綺麗な所はほむらちゃんそっくり」
ほむら「愛らしい所はまどかに似たわ」
まどか「頭のいいとこはほむらちゃん」
ほむら「優しい所はまどか」
まどか「なんなの!?」
ほむら「なによ!!」
さやマミ杏「ケンカすんな!!」
さやか「あんたらそんな場合じゃないのはわかってる!?」
杏子「もうほどかは準備できてるんだぞ!!」
マミ「後半に至ってはお互いを褒めてるだけだし!」
ほどか「……」
さやか「あぁごめん! ほどかを無視してるわけじゃないから!」
杏子「だからそんなに傷ついた顔すんなって!」
マミ「ごめんなさい! せっかくの決め台詞が台無しになって!!」
まどか「え、ほどかちゃん傷つけられたの? 誰に?」
ほむら「許せないわ」
さやマミ杏「お前等にだよ!」
まどか「まぁ、冗談はこのくらいにして」
ほむら「そろそろ終わりにしましょうか」
さやか(こいつら……)
杏子(マジうぜぇ……)
マミ(ティロ・フィナったらダメかしら……)
541: 2012/08/01(水) 00:36:59.01
まどか「さて、と……。ほどかちゃん。私達が勝ったら一緒に帰るんだからね」
ほむら「お腹も空いたでしょ?」
ほどか「ふん。いいですよ、どうせ私が負けるわけないんです――」
まどか「言ったね。 約束だよ? 一緒にお風呂にも入るんだからね?」
ほむら「私と二人っきりでね」
まどか「ほむらちゃん!?」
ほむら「冗談よ」
ほどか「この、馬鹿にして――!」
まどか「じゃあ、ほむらちゃん。準備はいい?」
ほむら「えぇ、聞き分けのないあの子にお仕置きをしましょう」
そう言うとママとパパは二人並び立つ。
ママのもとに光が集まる。
すると、ママの手元に紫色の弓が現れ、そして――。
さやか「なにあの翼……」
杏子「凄いな……」
マミ「強力な力を感じるわ……」
パパとは違い黒と紫の衣により形作られたドレスを着、そして紫のブーツを穿き、
その背中には二枚の巨大な翼をはためかせ、銀色に輝く瞳を私に向ける。
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「えぇ、まどか」
二人の背後に桃と紫に光る二つの魔法陣が出現。
それと同時に弓を構える。
ほどか「その程度の力で――」
私も同じように魔法陣を出し、弓を構え弦を引き絞る。
まどか「見せてあげる。これが人の――」
ほむら「私達の」
「「想い――!!!」」
ほむら「お腹も空いたでしょ?」
ほどか「ふん。いいですよ、どうせ私が負けるわけないんです――」
まどか「言ったね。 約束だよ? 一緒にお風呂にも入るんだからね?」
ほむら「私と二人っきりでね」
まどか「ほむらちゃん!?」
ほむら「冗談よ」
ほどか「この、馬鹿にして――!」
まどか「じゃあ、ほむらちゃん。準備はいい?」
ほむら「えぇ、聞き分けのないあの子にお仕置きをしましょう」
そう言うとママとパパは二人並び立つ。
ママのもとに光が集まる。
すると、ママの手元に紫色の弓が現れ、そして――。
さやか「なにあの翼……」
杏子「凄いな……」
マミ「強力な力を感じるわ……」
パパとは違い黒と紫の衣により形作られたドレスを着、そして紫のブーツを穿き、
その背中には二枚の巨大な翼をはためかせ、銀色に輝く瞳を私に向ける。
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「えぇ、まどか」
二人の背後に桃と紫に光る二つの魔法陣が出現。
それと同時に弓を構える。
ほどか「その程度の力で――」
私も同じように魔法陣を出し、弓を構え弦を引き絞る。
まどか「見せてあげる。これが人の――」
ほむら「私達の」
「「想い――!!!」」
542: 2012/08/01(水) 00:37:25.49
二つの閃光がぶつかり合う。
一方はピンクパープルに輝く決意の閃光。
もう一方は想いを乗せた桃色と紫の閃光。
ほどか「そんな! 互角――!?」
互角のように見えた。
だが、実際には――。
さやか「いや、まどか達のほうが押してる!」
徐々に、徐々に桃と紫の二本の閃光が押していく。
マミ「いける! このままいけば――!」
杏子「いけ――!!」
桃と紫が混じり合う。
二つの想いを繋ぐように数多の想いを伝える為に。
彼女の歩みを止める為に、彼女を正しい道へと導く為に。
彼女を縛り付ける、その束縛を断ち切る為に。
そして――。
最愛の娘を救うために――。
さやマミ杏「いっけえええええええええええ!!!!!!!!!!」
一方はピンクパープルに輝く決意の閃光。
もう一方は想いを乗せた桃色と紫の閃光。
ほどか「そんな! 互角――!?」
互角のように見えた。
だが、実際には――。
さやか「いや、まどか達のほうが押してる!」
徐々に、徐々に桃と紫の二本の閃光が押していく。
マミ「いける! このままいけば――!」
杏子「いけ――!!」
桃と紫が混じり合う。
二つの想いを繋ぐように数多の想いを伝える為に。
彼女の歩みを止める為に、彼女を正しい道へと導く為に。
彼女を縛り付ける、その束縛を断ち切る為に。
そして――。
最愛の娘を救うために――。
さやマミ杏「いっけえええええええええええ!!!!!!!!!!」
543: 2012/08/01(水) 00:37:52.66
ほどか「あ――」
目前に迫る、綺麗な光。
桃色と紫の粒子をキラキラと撒きながら、その光は私を包み込むようにまっすぐ進む。
ほどか(私の大好きな、ママとパパの色――)
大好きなママ。そしてパパ。
そんな二人が放った光がもうすぐに私のもとへと来る。
ほどか(そっか。私、負け――)
そう考えを巡らせたその時、私のソウルジェムをピンクパープルに輝く矢が貫いた――。
目前に迫る、綺麗な光。
桃色と紫の粒子をキラキラと撒きながら、その光は私を包み込むようにまっすぐ進む。
ほどか(私の大好きな、ママとパパの色――)
大好きなママ。そしてパパ。
そんな二人が放った光がもうすぐに私のもとへと来る。
ほどか(そっか。私、負け――)
そう考えを巡らせたその時、私のソウルジェムをピンクパープルに輝く矢が貫いた――。
544: 2012/08/01(水) 00:38:19.20
ほどか「……」
空を見る。
この空間の空は暗く、なにも映さない闇の色だった。
そんな空を見上げ私は呟く。
ほどか「青い空が見たいなー……」
澄んだ青い空。
私は覚えてないけど、もとの時代で私がママとパパと一緒にピクニックに行った時、
三人で丘に寝転んで青い空を見たらしい。
その話をパパから聞いてから私は青い空が一番好きだ。
ほむら「見に行きましょう。一緒に」
ママが倒れる私の頭を抱え膝枕をしてくれる。
ほどか「ママ……」
ほむら「なにかしら?」
私の顔を笑顔で見つめてくれるママ。
その顔は母が子に向ける優しい笑みで、私がママに一番向けてほしかった表情だ。
ほどか「私、負けちゃった……」
負けた。私は負けたんだ。
ほむら「そうね。でも、あなたはよく頑張ったわ」
そう言ってママは私の顔につく汚れを拭う。
ほむら「全く、せっかくの可愛い顔が台無しよ? 制服もこんなに汚して……」
ほどか「ごめんなさい……」
自分の身体を見る。この世界の学校に通う為に魔法で作った制服がボロボロだった。
空を見る。
この空間の空は暗く、なにも映さない闇の色だった。
そんな空を見上げ私は呟く。
ほどか「青い空が見たいなー……」
澄んだ青い空。
私は覚えてないけど、もとの時代で私がママとパパと一緒にピクニックに行った時、
三人で丘に寝転んで青い空を見たらしい。
その話をパパから聞いてから私は青い空が一番好きだ。
ほむら「見に行きましょう。一緒に」
ママが倒れる私の頭を抱え膝枕をしてくれる。
ほどか「ママ……」
ほむら「なにかしら?」
私の顔を笑顔で見つめてくれるママ。
その顔は母が子に向ける優しい笑みで、私がママに一番向けてほしかった表情だ。
ほどか「私、負けちゃった……」
負けた。私は負けたんだ。
ほむら「そうね。でも、あなたはよく頑張ったわ」
そう言ってママは私の顔につく汚れを拭う。
ほむら「全く、せっかくの可愛い顔が台無しよ? 制服もこんなに汚して……」
ほどか「ごめんなさい……」
自分の身体を見る。この世界の学校に通う為に魔法で作った制服がボロボロだった。
545: 2012/08/01(水) 00:39:52.19
ほむら「帰ったらクリーニングに出さないと……。その前にお風呂ね。
今日はしっかり髪の手入れもするわよ?」
私の髪を触りながらママは今後の予定を述べる。
ほどか「一緒に入ってくれる?」
ほむら「当然よ」
ほどか「そっか、楽しみだなぁ」
楽しみ。ママとずっと一緒にいれるなんて夢みたい。
まどか「お風呂だけじゃないよ」
ママの肩越しにパパが顔を出す。
まどか「これからは一緒にご飯も食べるし、学校にも通う。それから休みの日はお出かけしないとね」
優しく微笑みながら、そう言うパパは本当に楽しそうだ。
さやか「当然、私達も一緒だからね」
杏子「ま、付き合ってやるよ」
マミ「佐倉さんったら! ほどかさんの為にケーキを作るから、食べに来てね?」
まどか「その時は私も一緒だけどね」
マミ「まどかさんは呼んでないわ」
まどか「ほどかちゃんと二人っきりは許さないよ!!」
マミ「別にそれくらい、いいじゃない!」
まどか「ダメだよ! 絶対に!」
さやか「あーはいはい。黙ろうね」
杏子「ケンカすんなよ」
今日はしっかり髪の手入れもするわよ?」
私の髪を触りながらママは今後の予定を述べる。
ほどか「一緒に入ってくれる?」
ほむら「当然よ」
ほどか「そっか、楽しみだなぁ」
楽しみ。ママとずっと一緒にいれるなんて夢みたい。
まどか「お風呂だけじゃないよ」
ママの肩越しにパパが顔を出す。
まどか「これからは一緒にご飯も食べるし、学校にも通う。それから休みの日はお出かけしないとね」
優しく微笑みながら、そう言うパパは本当に楽しそうだ。
さやか「当然、私達も一緒だからね」
杏子「ま、付き合ってやるよ」
マミ「佐倉さんったら! ほどかさんの為にケーキを作るから、食べに来てね?」
まどか「その時は私も一緒だけどね」
マミ「まどかさんは呼んでないわ」
まどか「ほどかちゃんと二人っきりは許さないよ!!」
マミ「別にそれくらい、いいじゃない!」
まどか「ダメだよ! 絶対に!」
さやか「あーはいはい。黙ろうね」
杏子「ケンカすんなよ」
546: 2012/08/01(水) 00:40:47.21
―ほむら―
ほどか「えへへ」
ほどかがまどか達を見て笑う。
全くあの子達はこんな時にも……。
ほむら「本当にどうしようもないわね……」
ほどか「ねぇ、ママ。私、みんなのこと大好きだよ」
ほどかが急にそんなことを言うから驚く。
ほむら「そう……」
ほどか「みんなと一緒に過ごせたらきっと幸せなんだろうなって思うんだ」
ほむら「そうね……。きっとそうだわ」
ほどか「きっと楽しいんだろうなー……。ママがいてパパがいて、みんながいて……」
ほむら「楽しいに決まってるわ。当然じゃない」
ほどか「そうだよね。うんきっとそう」
そうだ。あの言葉を言わなければ、色々と邪魔が入って結局言えなかったあの言葉。
今なら言える。ちゃんと伝えられる。だって今、ほどかは私の腕の中にいるんだもの。
ほむら「ねぇほどか、あなたは私の大切な――」
ほどかの顔を撫で優しく話しかける。
そして、いまこそ一番伝えたい言葉をこの子に――。
ゴメンね、ママ。
しかし、ほどかの謝罪が私の言葉を塞いだ。
ほどか「えへへ」
ほどかがまどか達を見て笑う。
全くあの子達はこんな時にも……。
ほむら「本当にどうしようもないわね……」
ほどか「ねぇ、ママ。私、みんなのこと大好きだよ」
ほどかが急にそんなことを言うから驚く。
ほむら「そう……」
ほどか「みんなと一緒に過ごせたらきっと幸せなんだろうなって思うんだ」
ほむら「そうね……。きっとそうだわ」
ほどか「きっと楽しいんだろうなー……。ママがいてパパがいて、みんながいて……」
ほむら「楽しいに決まってるわ。当然じゃない」
ほどか「そうだよね。うんきっとそう」
そうだ。あの言葉を言わなければ、色々と邪魔が入って結局言えなかったあの言葉。
今なら言える。ちゃんと伝えられる。だって今、ほどかは私の腕の中にいるんだもの。
ほむら「ねぇほどか、あなたは私の大切な――」
ほどかの顔を撫で優しく話しかける。
そして、いまこそ一番伝えたい言葉をこの子に――。
ゴメンね、ママ。
しかし、ほどかの謝罪が私の言葉を塞いだ。
547: 2012/08/01(水) 00:41:23.15
ほむら「え――?」
ほどかの体が透き通っていく。
確かにあったはずの彼女の温もりが私の腕から徐々に消えていく。
ほむら「え、なに、これ――?」
まどか「ほどかちゃん!!」
異変を察したまどかが近づいてくる。
まどか「ちょ、ちょっとこれどういう……!」
状況が理解できずに狼狽した声を出すまどか。
さやか「な、なにこれ! どうしてほどかが消えかかってんのさ!」
杏子「お、おいどういうことだよ!」
マミ「どうして!? ソウルジェムを壊しても消えはしないって!!」
マミ達もなぜほどかが消えようとしているのかわからずにただ慌てふためく。
消えようとしている? ほどかが? なぜ?
ほむら「ほ、ほどか! これはどういうことよ! いったいなにが――!」
起こってるの。
その言葉を待たずに答えを出す声がした。
QB「タイムオーバーさ」
まどか「キュゥべぇ! タイムオーバーってどういう意味!?」
QB「そのままの意味だよ。君達は間に合わなかったんだ」
ほむら「間に合わなかったってなにによ!!」
要領を得ない回答にイライラが募る。
QB「繭の孵化が始まった。もうすぐでほどかは魔女になる」
ほむら「!!?」
どういうことよ……。だってまだ時間は……。
ほどかの体が透き通っていく。
確かにあったはずの彼女の温もりが私の腕から徐々に消えていく。
ほむら「え、なに、これ――?」
まどか「ほどかちゃん!!」
異変を察したまどかが近づいてくる。
まどか「ちょ、ちょっとこれどういう……!」
状況が理解できずに狼狽した声を出すまどか。
さやか「な、なにこれ! どうしてほどかが消えかかってんのさ!」
杏子「お、おいどういうことだよ!」
マミ「どうして!? ソウルジェムを壊しても消えはしないって!!」
マミ達もなぜほどかが消えようとしているのかわからずにただ慌てふためく。
消えようとしている? ほどかが? なぜ?
ほむら「ほ、ほどか! これはどういうことよ! いったいなにが――!」
起こってるの。
その言葉を待たずに答えを出す声がした。
QB「タイムオーバーさ」
まどか「キュゥべぇ! タイムオーバーってどういう意味!?」
QB「そのままの意味だよ。君達は間に合わなかったんだ」
ほむら「間に合わなかったってなにによ!!」
要領を得ない回答にイライラが募る。
QB「繭の孵化が始まった。もうすぐでほどかは魔女になる」
ほむら「!!?」
どういうことよ……。だってまだ時間は……。
548: 2012/08/01(水) 00:42:10.76
杏子「おいおい、冗談だろ!? まだ三時間も経ってねーだろーが!!」
さやか「そうだよ! ワルプルギスを倒してから一日は大丈夫なんだよね!?」
マミ「嘘をついたのキュゥべぇ!!」
QB「嘘じゃないさ。一日は大丈夫。それに間違いはない」
マミ「ならどうして!」
ほどか「それは私が説明しますね」
まどか「ほどかちゃん!」
今にも消えてしまいそうなほどかがゆっくりと丁寧に話し出す。
ほどか「孵化には一日かかる。それは本当です」
さやか「で、でも現に今……」
ほどか「それはあの繭が孵化をするのに24時間という時の流れが必要ということです」
マミ「そ、そんなのわかってるわよ!」
杏子「今更そんなこと言われなくても理解してるに決まってるだろ!」
まどか「!!」
ほむら「あなたまさか!?」
この子の能力の一つは確か……。
ほどか「パパとママは気づいた? うん、そうだよ」
――早く孵化するようにあの繭の時間を早送りしたんだ。
さやか「そうだよ! ワルプルギスを倒してから一日は大丈夫なんだよね!?」
マミ「嘘をついたのキュゥべぇ!!」
QB「嘘じゃないさ。一日は大丈夫。それに間違いはない」
マミ「ならどうして!」
ほどか「それは私が説明しますね」
まどか「ほどかちゃん!」
今にも消えてしまいそうなほどかがゆっくりと丁寧に話し出す。
ほどか「孵化には一日かかる。それは本当です」
さやか「で、でも現に今……」
ほどか「それはあの繭が孵化をするのに24時間という時の流れが必要ということです」
マミ「そ、そんなのわかってるわよ!」
杏子「今更そんなこと言われなくても理解してるに決まってるだろ!」
まどか「!!」
ほむら「あなたまさか!?」
この子の能力の一つは確か……。
ほどか「パパとママは気づいた? うん、そうだよ」
――早く孵化するようにあの繭の時間を早送りしたんだ。
549: 2012/08/01(水) 00:43:41.65
―まどか―
さやマミ杏「!!?」
まどか「っ!」
やっぱり、でもいつから……。
ほどか「ちょうどパパが変化した辺りかなー。
あの辺りから、もしかしたら私は負けるかもしれないって思ったから保険にね」
賢いでしょ? そういって笑うほどかちゃん。
まどか「そ、そんな……」
足から力が抜ける。
まさか、そんなことって……。
ほむら「う、嘘よ……」
ほどか「ゴメンね。約束、また破っちゃった」
やめてよ、謝らないで。
そんな言葉聞きたくない……。
ほどか「もうそろそろ時間だね」
まどか「!」
ほどかちゃんの体がどんどん透き通っていく。
もはや、彼女の体を通り抜けて先の光景が見える程だった。
ほむら「いや! いかないで!!」
ほむらちゃんが叫びながらほどかちゃんの体を抱きしめる。
いかせないように、消えないようにと。
ほどか「ママ。ごめんなさい」
ほむら「言ったじゃない! みんなと暮らせるのが楽しみだって! なのになんで!」
ほどか「……」
ほむら「嘘だったの!? それも嘘だったっていうの!!?」
もはやほむらちゃんの叫びは悲鳴だ。
さやマミ杏「!!?」
まどか「っ!」
やっぱり、でもいつから……。
ほどか「ちょうどパパが変化した辺りかなー。
あの辺りから、もしかしたら私は負けるかもしれないって思ったから保険にね」
賢いでしょ? そういって笑うほどかちゃん。
まどか「そ、そんな……」
足から力が抜ける。
まさか、そんなことって……。
ほむら「う、嘘よ……」
ほどか「ゴメンね。約束、また破っちゃった」
やめてよ、謝らないで。
そんな言葉聞きたくない……。
ほどか「もうそろそろ時間だね」
まどか「!」
ほどかちゃんの体がどんどん透き通っていく。
もはや、彼女の体を通り抜けて先の光景が見える程だった。
ほむら「いや! いかないで!!」
ほむらちゃんが叫びながらほどかちゃんの体を抱きしめる。
いかせないように、消えないようにと。
ほどか「ママ。ごめんなさい」
ほむら「言ったじゃない! みんなと暮らせるのが楽しみだって! なのになんで!」
ほどか「……」
ほむら「嘘だったの!? それも嘘だったっていうの!!?」
もはやほむらちゃんの叫びは悲鳴だ。
550: 2012/08/01(水) 00:44:46.34
ほどか「嘘じゃないよ……。嘘なもんか……」
ほむら「だったらどうして!!」
ほどか「私だって一緒に暮らしたい! みんなと一緒がいい!!」
ほむら「!!」
ほどか「でも、それじゃ駄目なの! それじゃみんな不幸になるだけなの!!」
まどか「ほどかちゃん……」
ほどか「魔法少女が存在している限り、不幸な人は生まれる!!
それは絶対にそうなの! そして今もそんな人が出続けてるの!!」
ほむら「……でも!」
ほどか「私は、そんなの、嫌なの……。
いつかに任せて今を放っておくなんて無理なの……」
だから――。
涙で顔をぐしゃぐしゃにしたほどかちゃんは言葉を続ける。
ほどか「だから、せめてママ達だけは私が正しいって言ってよぉ……」
まどか「!!」
ほむら「っ!」
ほどか「私が間違ってるなんてわかってる……。
最低な自己犠牲なんだってわかってるよぉ……」
ほむら「あ……」
ほどか「でも、誰かが、誰かがやらなきゃ……」
まどか「ほどかちゃ……」
私は馬鹿だ。
この子は最初から全部わかってて、間違ってるってわかっててこんなことを……。
ほむら「ほどか……!!」
ほどかちゃんを抱きしめるほむらちゃん。
でも、すでにほどかちゃんの体は見えなくなるくらいまで消えかかっていて……。
ほむら「ごめんなさい! ごめんなさい!! 私、あなたのこと何もわかってなかった!
あなたは辛い思いをしてるのに、自分のことばかりであなたのことを何も――!!」
ほどか「う、うぅうう、ママ、ままあぁあ!!!」
ほどかちゃんもほむらちゃんに抱き着く。
ほむら「ほどか、あなたは正しいわ。あなたが間違ってるわけない……」
ボロボロと涙を零しながら、でも必氏に笑顔を作り、ほどかちゃんにそう語りかける。
そして、手を頭の方へと持っていき――。
ほむら「なぜなら、あなたは私の大切な――」
――娘なんだから。
ほむら「だったらどうして!!」
ほどか「私だって一緒に暮らしたい! みんなと一緒がいい!!」
ほむら「!!」
ほどか「でも、それじゃ駄目なの! それじゃみんな不幸になるだけなの!!」
まどか「ほどかちゃん……」
ほどか「魔法少女が存在している限り、不幸な人は生まれる!!
それは絶対にそうなの! そして今もそんな人が出続けてるの!!」
ほむら「……でも!」
ほどか「私は、そんなの、嫌なの……。
いつかに任せて今を放っておくなんて無理なの……」
だから――。
涙で顔をぐしゃぐしゃにしたほどかちゃんは言葉を続ける。
ほどか「だから、せめてママ達だけは私が正しいって言ってよぉ……」
まどか「!!」
ほむら「っ!」
ほどか「私が間違ってるなんてわかってる……。
最低な自己犠牲なんだってわかってるよぉ……」
ほむら「あ……」
ほどか「でも、誰かが、誰かがやらなきゃ……」
まどか「ほどかちゃ……」
私は馬鹿だ。
この子は最初から全部わかってて、間違ってるってわかっててこんなことを……。
ほむら「ほどか……!!」
ほどかちゃんを抱きしめるほむらちゃん。
でも、すでにほどかちゃんの体は見えなくなるくらいまで消えかかっていて……。
ほむら「ごめんなさい! ごめんなさい!! 私、あなたのこと何もわかってなかった!
あなたは辛い思いをしてるのに、自分のことばかりであなたのことを何も――!!」
ほどか「う、うぅうう、ママ、ままあぁあ!!!」
ほどかちゃんもほむらちゃんに抱き着く。
ほむら「ほどか、あなたは正しいわ。あなたが間違ってるわけない……」
ボロボロと涙を零しながら、でも必氏に笑顔を作り、ほどかちゃんにそう語りかける。
そして、手を頭の方へと持っていき――。
ほむら「なぜなら、あなたは私の大切な――」
――娘なんだから。
551: 2012/08/01(水) 00:45:39.29
ほどかちゃんの頭を撫でようと手を伸ばし、今まで自分が伝えられずにいた言葉を伝えようとする。
――でも、その時にはもうほどかちゃんの姿は消えていて、ほむらちゃんの手には彼女が身に着けていたピンクパープルのリボンだけが残されていた。
あ――
呆然とするほむらちゃん。
そして――。
あああああああああああっ――!!!!!!
辺りにほむらちゃんの叫び声が響いた。
553: 2012/08/01(水) 00:47:41.77
―― 未来 ――
「まま―、そのりぼんかわいいねー」
「そう?」
娘が私の足にしがみつき、私の頭のリボンについて話し出す。
「うん! すっごくかわいい! まま、にあってる!」
「ふふ。ありがとう、でもこのリボンはもともとあなたの為に買ったのよ?」
「えぇー。わたし、しらないよー」
「そうね。あなたは知らなくて当然だわ」
娘の頭を撫でる。
急に頭を撫でられて驚く娘だが、すぐに幸せそうな、くすぐったそうな顔をして気持ちよさそうに目を細める。
「あの人遅いわね……」
時計を見る。
時刻は八時を過ぎており、普段ならとっくに帰宅しているはずの主人について考える。
「ぱぱおそいー」
娘もいつもより遅い主人に不満なのか口を尖らせ、ブーブーと不平を言う。
「今日はあなたの大切な日なのに、仕方ないパパね」
今日は娘の五歳の誕生日だ。
すでに部屋には誕生日の為の準備が施されており、後はプレゼントを買ってくるであろう主人を待つだけだというのに……。
「はぁ、こんな日に遅刻なんて相変わらずね……」
そういえば、プロポーズの日も、結婚式の日も遅刻してきたっけ。
「さやか達と遅くまで飲んでいたからなんて言い訳してたけど」
さすがに結婚式の日にまで遅刻はないと思う。
私は慣れているからよかったけど父なんてカンカンに怒っていたっけ。
まぁ、それはいいのだけれど、さすがにこの子の出産の日にまで遅れた時にはどうしてくれようかと思った。
「あの時はお義母さんが傍にいてくれたからよかったけど……。」
正直初の出産で不安だったのだ。
「もし、お義母さんが天誅を下さなかったら私がやってたわね」
この子が産まれて落ち着いた後、近所のゴミ捨て場でボロボロになって発見されたあの人を思い出す。
帰ってきた後の土下座は凄かった。
人って覚悟を決めたらあそこまでの土下座ができるのね……。
「まま―、そのりぼんかわいいねー」
「そう?」
娘が私の足にしがみつき、私の頭のリボンについて話し出す。
「うん! すっごくかわいい! まま、にあってる!」
「ふふ。ありがとう、でもこのリボンはもともとあなたの為に買ったのよ?」
「えぇー。わたし、しらないよー」
「そうね。あなたは知らなくて当然だわ」
娘の頭を撫でる。
急に頭を撫でられて驚く娘だが、すぐに幸せそうな、くすぐったそうな顔をして気持ちよさそうに目を細める。
「あの人遅いわね……」
時計を見る。
時刻は八時を過ぎており、普段ならとっくに帰宅しているはずの主人について考える。
「ぱぱおそいー」
娘もいつもより遅い主人に不満なのか口を尖らせ、ブーブーと不平を言う。
「今日はあなたの大切な日なのに、仕方ないパパね」
今日は娘の五歳の誕生日だ。
すでに部屋には誕生日の為の準備が施されており、後はプレゼントを買ってくるであろう主人を待つだけだというのに……。
「はぁ、こんな日に遅刻なんて相変わらずね……」
そういえば、プロポーズの日も、結婚式の日も遅刻してきたっけ。
「さやか達と遅くまで飲んでいたからなんて言い訳してたけど」
さすがに結婚式の日にまで遅刻はないと思う。
私は慣れているからよかったけど父なんてカンカンに怒っていたっけ。
まぁ、それはいいのだけれど、さすがにこの子の出産の日にまで遅れた時にはどうしてくれようかと思った。
「あの時はお義母さんが傍にいてくれたからよかったけど……。」
正直初の出産で不安だったのだ。
「もし、お義母さんが天誅を下さなかったら私がやってたわね」
この子が産まれて落ち着いた後、近所のゴミ捨て場でボロボロになって発見されたあの人を思い出す。
帰ってきた後の土下座は凄かった。
人って覚悟を決めたらあそこまでの土下座ができるのね……。
554: 2012/08/01(水) 00:48:08.28
「んー……」
娘が眠そうに眼をこする。
「眠いの? だったら少しお休みする?」
「やー、ぱぱにおかえりなさいするの……」
しかし限界が近いのか、こっくりこっくりと船を漕ぐ。
「本当にあの人は……」
可愛い娘に無理をさせて……。
「今度は骨の二、三本じゃ済ませないわ」
そう固く決意する。
「そうだ、ちょっといらっしゃい」
「なに、ままー……」
相当辛いのか、ふらふらと私についてくる。
このままでは危ないので手を繋ぎ、娘が転ばないようにする。
「ここに座って」
「んー……」
化粧部屋に入り、備え付けている鏡台の前の椅子に座らせる。
そして、自分の髪からリボンを取り、娘の髪に結わう。
「あー。ままのりぼん」
それに気づいた娘がはしゃいだ声をあげる。
「似合うわよ」
もう一つのリボンも結って、娘の髪を整える。
ツインテールの完成だ。
「えへへー」
娘が嬉しそうに鏡に写る自分を見つめる。
その姿は昔の主人にそっくりだ。
(もう少し髪が長くなったら……)
そんなことを考えて首を振る。
この子はこの子だ。
あの子の面影を押し付けてはいけない。
娘が眠そうに眼をこする。
「眠いの? だったら少しお休みする?」
「やー、ぱぱにおかえりなさいするの……」
しかし限界が近いのか、こっくりこっくりと船を漕ぐ。
「本当にあの人は……」
可愛い娘に無理をさせて……。
「今度は骨の二、三本じゃ済ませないわ」
そう固く決意する。
「そうだ、ちょっといらっしゃい」
「なに、ままー……」
相当辛いのか、ふらふらと私についてくる。
このままでは危ないので手を繋ぎ、娘が転ばないようにする。
「ここに座って」
「んー……」
化粧部屋に入り、備え付けている鏡台の前の椅子に座らせる。
そして、自分の髪からリボンを取り、娘の髪に結わう。
「あー。ままのりぼん」
それに気づいた娘がはしゃいだ声をあげる。
「似合うわよ」
もう一つのリボンも結って、娘の髪を整える。
ツインテールの完成だ。
「えへへー」
娘が嬉しそうに鏡に写る自分を見つめる。
その姿は昔の主人にそっくりだ。
(もう少し髪が長くなったら……)
そんなことを考えて首を振る。
この子はこの子だ。
あの子の面影を押し付けてはいけない。
555: 2012/08/01(水) 00:48:46.11
「ただいまー!」
玄関から主人の声がする。
どうやら帰ってきたらしい。
「やっと帰ってきたわね」
出迎えようと玄関に向かう。
「ゴメン! 会社にプレゼント忘れちゃって取りに戻ってたらこんな時間に……」
「全く……。不注意すぎるのよあなたは」
「ホントゴメン! あの子怒ってる……?」
「さっきまでは眠いのもあって不機嫌そうにしてたけど、今は大丈夫よ」
「本当!? よかったー……。あれ、そういえばいつものリボンは?」
「ふふ、化粧室に行ってみて」
「?」
「あれ、そのリボン……」
主人はすぐに娘の姿を見つけ、その変化に気づく。
「へぇー。だからかー。」
納得し、もっと近くで見ようと娘に近づく。
「おぉー。よく似合ってるねー。うん。かわいいかわいい」
娘の体を抱き上げ笑顔でそういう主人。
「んー? どうしたの?」
いつもなら抱き上げれば無邪気に声をあげ、喜ぶ娘の反応がない。
それを不審に思った主人が首を傾げる。
「あら、まだ怒ってるのかしら」
「えぇー。ゴメンね? パパ悪いことしたよね? ゴメンナサイ!」
娘を降ろし、娘の目線にまで腰を落とし謝る。
玄関から主人の声がする。
どうやら帰ってきたらしい。
「やっと帰ってきたわね」
出迎えようと玄関に向かう。
「ゴメン! 会社にプレゼント忘れちゃって取りに戻ってたらこんな時間に……」
「全く……。不注意すぎるのよあなたは」
「ホントゴメン! あの子怒ってる……?」
「さっきまでは眠いのもあって不機嫌そうにしてたけど、今は大丈夫よ」
「本当!? よかったー……。あれ、そういえばいつものリボンは?」
「ふふ、化粧室に行ってみて」
「?」
「あれ、そのリボン……」
主人はすぐに娘の姿を見つけ、その変化に気づく。
「へぇー。だからかー。」
納得し、もっと近くで見ようと娘に近づく。
「おぉー。よく似合ってるねー。うん。かわいいかわいい」
娘の体を抱き上げ笑顔でそういう主人。
「んー? どうしたの?」
いつもなら抱き上げれば無邪気に声をあげ、喜ぶ娘の反応がない。
それを不審に思った主人が首を傾げる。
「あら、まだ怒ってるのかしら」
「えぇー。ゴメンね? パパ悪いことしたよね? ゴメンナサイ!」
娘を降ろし、娘の目線にまで腰を落とし謝る。
556: 2012/08/01(水) 00:49:16.34
「……」
だが、娘の反応はない。
「……?」
本当におかしい。
いつも、楽しげな娘の顔が無表情に塗り固められている。
「まさか、熱でもあるんじゃ」
そう思い、おでこに手を合わせる。
「ど、どう?」
主人が心配そうに娘の顔を覗き見る。
「いえ、熱はないようね」
「そ、そっか……」
安心したのかホッと息を吐く主人。だけど、私は安心できない。
明らかに異常な娘の様子に心がざわめく。
(本当にどうしたの……)
「おーい。どうしたのー? パパだよー」
主人が心配そうな声色で娘の顔に頬擦りする。
いつものこの子なら喜んで頬擦り仕返す。
が、今日は違った。
「やめてください」
だが、娘の反応はない。
「……?」
本当におかしい。
いつも、楽しげな娘の顔が無表情に塗り固められている。
「まさか、熱でもあるんじゃ」
そう思い、おでこに手を合わせる。
「ど、どう?」
主人が心配そうに娘の顔を覗き見る。
「いえ、熱はないようね」
「そ、そっか……」
安心したのかホッと息を吐く主人。だけど、私は安心できない。
明らかに異常な娘の様子に心がざわめく。
(本当にどうしたの……)
「おーい。どうしたのー? パパだよー」
主人が心配そうな声色で娘の顔に頬擦りする。
いつものこの子なら喜んで頬擦り仕返す。
が、今日は違った。
「やめてください」
557: 2012/08/01(水) 00:49:45.34
「へ?」
「え?」
主人の頬擦りを嫌がるように、顔を手で押し返す娘。
「もう、パパはベタベタしすぎですよ」
いつもの娘らしからぬ口調と雰囲気。
でも、この口調は。この雰囲気は……。
「お風呂もいつも私と入りますし……。寝る時も一緒。私はママと一緒の方がいいのに」
「へ、そ、そんな……」
娘の本音? にショックを受けorzこんな姿になる主人。
だけど今はそんなことはどうでもいい。
「あ、あなたまさか……」
「あ、ママ。いつもパパのお世話ご苦労様です」
そう言って娘はぺこりと頭を下げる。
私はこの話し方を知っている。
私はこの雰囲気を知っている。
「お腹が空きました。パパも帰ってきたことですし、ご飯にしませんか?」
お腹を押さえ自分が空腹であることを娘がアピールする。
「あ、そ、そうね」
目から涙が零れる。
そうか、そうなのね。
「ほらパパもいきますよ。今日は私の誕生日なんですよ?」
そう言って主人の手を引く娘。
「う、うん」
主人も気づいたのか、娘の手を握り、片方の手で涙を拭う素振りを見せる。
「あ、言い忘れていました」
そう言って主人の手を離し、娘は立ち止まる。
「どうしたの。ほどかちゃん」
ほどかちゃん。主人はそう言った。
いつも聞きなれたその言葉がなぜかすごく久しぶりに聞いたように思える。
「え?」
主人の頬擦りを嫌がるように、顔を手で押し返す娘。
「もう、パパはベタベタしすぎですよ」
いつもの娘らしからぬ口調と雰囲気。
でも、この口調は。この雰囲気は……。
「お風呂もいつも私と入りますし……。寝る時も一緒。私はママと一緒の方がいいのに」
「へ、そ、そんな……」
娘の本音? にショックを受けorzこんな姿になる主人。
だけど今はそんなことはどうでもいい。
「あ、あなたまさか……」
「あ、ママ。いつもパパのお世話ご苦労様です」
そう言って娘はぺこりと頭を下げる。
私はこの話し方を知っている。
私はこの雰囲気を知っている。
「お腹が空きました。パパも帰ってきたことですし、ご飯にしませんか?」
お腹を押さえ自分が空腹であることを娘がアピールする。
「あ、そ、そうね」
目から涙が零れる。
そうか、そうなのね。
「ほらパパもいきますよ。今日は私の誕生日なんですよ?」
そう言って主人の手を引く娘。
「う、うん」
主人も気づいたのか、娘の手を握り、片方の手で涙を拭う素振りを見せる。
「あ、言い忘れていました」
そう言って主人の手を離し、娘は立ち止まる。
「どうしたの。ほどかちゃん」
ほどかちゃん。主人はそう言った。
いつも聞きなれたその言葉がなぜかすごく久しぶりに聞いたように思える。
558: 2012/08/01(水) 00:50:40.74
「えっと、ですね。しばらく勝手な理由でいなくなりました。それについてはごめんなさい」
そう言って再びぺこりと頭を下げる。
「ですが、まぁこうして帰ってきたので許して下さい」
「あ……」
「……」
「ですから、パパ、ママ」
頭をあげた娘は微笑んでいた。
その五歳らしからぬ慈愛に満ちた表情に思わず見惚れてしまう。
そして、娘は続けて――。
――ただいま!
そう言って私達に抱き着いてくる。
その娘を抱きしめて私達はこういう。
――おかえり。
っと。
彼女の髪を結わう為に付けたリボンが、そのピンクパープルの輝きを増したような気がした。
――終わり――
そう言って再びぺこりと頭を下げる。
「ですが、まぁこうして帰ってきたので許して下さい」
「あ……」
「……」
「ですから、パパ、ママ」
頭をあげた娘は微笑んでいた。
その五歳らしからぬ慈愛に満ちた表情に思わず見惚れてしまう。
そして、娘は続けて――。
――ただいま!
そう言って私達に抱き着いてくる。
その娘を抱きしめて私達はこういう。
――おかえり。
っと。
彼女の髪を結わう為に付けたリボンが、そのピンクパープルの輝きを増したような気がした。
――終わり――
559: 2012/08/01(水) 00:56:32.29
乙
577: 2012/08/01(水) 16:31:16.30
乙乙、次回作も楽しみに待ってます。
引用元: まどか「未来から来た私の子供!?」
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