1: 2012/10/27(土) 00:36:28.15
12月17日

SOS団・部室

みくる「サイコ、パス?」

キョン「殺人鬼とかに多い精神異常者、イカレ野郎の事ですよ」

みくる「ふぇぇ・・・」プルプル

有希「・・・・」

古泉「んふ、何故・・・僕がサイコパスっぽいのか、お聞かせ願いますでしょうか」

キョン「息を吐くように嘘をつくし、第一芝居くさいのがな・・・」

古泉「確かに、サイコパスの特徴と合致していますが」

古泉「それだけで、僕をサイコパスと?」

キョン「だから、っぽいんだよ」

古泉「はぁ、そうですか」

キョン「いや、すまん。今のは忘れてくれ」

古泉「あなたがそう仰るのなら、忘れましょう」

古泉「さて、そろそろ帰りますか」ガタッ

キョン「そうだな、飾りの補充を頼まれてるし」

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1351265788/

2: 2012/10/27(土) 00:58:46.43
12月18日

通学路

キョン「よっ、谷口」

谷口「・・・よぅキョン」

キョン「なんだ、随分と暗い顔してるぜ」

キョン「イヴの予定が埋まらないんなら、うちのパーティに来るか?」

谷口「はぁ?」

キョン「ハルヒ主催の鍋パーティだそうだ、今ならまだ間に合うぞ」

谷口「お前がそんなに薄情者だったとはな、そう簡単に気持ちの切り替えなんてできねぇよ」

キョン「ん?」

谷口「・・・はぁ、忘れたくもなるよなそりゃ」

谷口「やっぱ、俺・・・まだ行けねぇわ」

キョン「あ、おい!どこ行くんだよ!?」

キョン「・・・なんなんだ、谷口の奴」

キョン「そうだ、国木田なら何か知ってるのかもしれねぇな」

朝倉「おはよう」

キョン「おう、朝倉、国木・・・」

キョン「ぶぇっ!?」

朝倉「わっ!ちょっと、驚きすぎよ」

キョン「な、なんでお前がここにいるんだよ」

朝倉「あら、いけない?」

朝倉「確かに、あの事件は悲しい事だけれど」

朝倉「下ばかり向いていても、国木田君だって望んでないわよ」

キョン「な、何を言っているんだ」

キョン「お前は!消滅したんじゃなかったのか!?」

朝倉「・・・大丈夫?」

朝倉「あんな事件の後だものね、まだ学校は休んでおいたら?」

キョン「さっきから事件事件って、何の話だ!」

朝倉「やっぱり無理よ、心が安定してから」

キョン「うるさい!近づくな!」

朝倉「・・・ねぇ、本当に大丈夫なの?」

キョン(一体なんなんだよ、これは)

キョン(ひとまず学校に行って、長門にでも事情を聞かないと)

キョン「それが一番だな」

朝倉「あ、ちょっと!」

4: 2012/10/27(土) 01:14:30.53
北高・正門

キョン「ふぅ・・・」

???「それじゃあたしが、みくるの分まで決めようか♪」

???「いいよぉ、そんな」

キョン「あ!朝比奈さん!」

みくる「ぇ?」

鶴屋「ん?」

キョン「たたた大変なんですよ!朝比奈さん!」ガシッ

みくる「ふぇっ!?」

キョン「朝倉が復活してるんですよ!長門が倒したはずなのに!」

みくる「ぁ、ぅぅ」ビクビク

キョン「今から長門の所に向かう所・・・朝比奈さん?」

みくる「あ、あの・・・誰、ですかぁ?」ビクビク

キョン「えっ」

鶴屋「ちょぉっと少年!」グイッ

キョン「いでっ!?」

鶴屋「みくるが怯えちゃったじゃないか~」

キョン「ちょっ、折れる折れる!折れますって!鶴屋さん!」

鶴屋「えっ?」

キョン「いててっ、いっつー・・・」

鶴屋「あたしを、知ってんの?」

キョン「し、知ってますって、そんなの」

鶴屋「え~と、どちらさんだっけ?みくるの知り合い?」

みくる「知りませんよぉ」

キョン「・・・へ?」

キョン「ええぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええ」

みくる「!?」ビクッ

キョン「あ、あ、あ、朝比奈さん!?」

みくる「ふぇぇ・・・」プルプル

キョン「ま、まさか・・・本当に」

みくる「あ・・・あの、すみません」

鶴屋「あ!?みくるー!待ちな~!」

キョン「・・・・」

キョン「何かが、起こっているのか?」

キョン(そう思わんと、やってられんな)

5: 2012/10/27(土) 01:36:21.77
教室

キョン(何故か暗い雰囲気の教室)

キョン(俺の後ろに座る朝倉)

キョン(谷口と国木田は欠席)

キョン(ったく、今度は何が始まるのやら)

キョン(そんなこんなで、お昼になった)

キョン(部室に行くか)ガタッ

長門はこの時間、部室にいる

またハルヒが何かしでかしやがった、そんな時は長門様の出番だ

ぱぱっと解決してくれる

これまでも、そうだったんだから

文芸部室

キョン(長門の代わりに朝倉がいるのだとしたら・・・)

キョン(いや、後ろ向きでは歩きにくいと言うし)

キョン(いてくれよな、長門!)ガチャ

長門「ぷしゅー、がしん!」

長門「うわー、敵襲・・・」

キョン(兵隊のおもちゃを握りしめながら、顔を赤くする長門が、そこにいた)

長門「・・・・」ガサガサ

キョン(静かに片づける長門であった)

長門「・・・何?」

キョン「えっと、長門だよな?」

長門「うん・・・」

キョン(目を潤ませながら、頷いた。顔を上げなかったが、耳が赤くなっていた)

キョン(俺の知っている長門じゃない)

キョン「なんでだよ・・・」ガタッ

長門「あ、あの・・・」

キョン(その場で崩れ落ちる俺に、モデルガンを差し出してきた)

キョン「・・・これは、なんだ」

長門「ガリルAR」

キョン「学校に持ち込んでいいのか」

長門「秘密だから、お願い」

キョン「分かった分かった、よいしょっと」

キョン(本当は何も分からなかったのだが、頭と心を整理したかった)

長門「ありがとう、こっちはМ16A1」

キョン「・・・悪い、ちょっと静かにしてもらえないか」

キョン(長門は下を向いたまま、パソコンの前に座った)

キョン(はぁ・・・色々とおかしいな、ってあれ?)

キョン「パソコン!?」

長門「!?」ビクッ

7: 2012/10/27(土) 01:53:02.90
そうして俺は

МIKURUフォルダ、SOS団公式サイト、長門からのヒントメッセージ

を探したが、どこにも存在していなかった

その間、長門が
「情報戦ですか!情報戦ですか!」
と、連呼していた

本当に、俺の知ってる長門じゃないんだな

キョン「はぁ、いや、すまなかったな」

長門「もう、いいの?」

キョン「ああ、目当てのものはなかったよ」

長門「そう」

キョン(はぁ・・・)

長門「ご飯、食べないの?」

キョン「食欲がないんだ、にしても変わった弁当だな」

長門「・・・レーション」

キョン「そ、そうか」

キョン(この世界の長門は、軍隊大好きっ娘なのか)

キョン「悪い、邪魔したな」ガタッ

長門「別に・・・ちょっと待って」

キョン「ん?」

長門「・・・これ」サッ

キョン(入隊届け、平和を作るのは君だ!)

キョン(ここ、文芸部室だろ・・・)

長門「・・・待ってる」

キョン「お、おう」

俺は文芸部室を後にした

五時限目も六時限目も、まったく集中できなかった

俺の後ろの席には、変わらず朝倉が座っている

古泉なんて、教室ごとなくなっていやがった

やれやれ、俺の精神は手榴弾でも爆発させたかのように、ボロボロだった

いや、本当にハルヒが投げたんだろう

そして、放課後になった

朝倉の心配そうな顔を素通りしつつ足が向くのは他でもない

SOS団改め、文芸部室だった

8: 2012/10/27(土) 02:04:40.16
文芸部室

キョン「よっ、また来ちまったぜ」ガチャ

長門「あ・・・・」

床に兵隊のおもちゃを並べ、その隣をほふく前進している長門がいた

長門「あ、あの・・・」

キョン「なに、やってるんだ」

長門「いや、これは、あの」バタバタ

片づけるスピードが尋常でない

長門「・・・何」

キョン(無口になるのは、こいつなりのキャラなのだろうか)

キョン「すまんな、他に行く所がないんだ」

長門「そう」

キョン「・・・・」

長門「・・・・」

キョン「なぁ、ここにある本、読まないのか?」

長門「少しだけなら・・・」

キョン「そうか」

キョン(よく見ると、軍事関連の本が端に置いてあった)

キョン「うん?ハイペリオン!?」

長門「!?」ガタッ

キョン(長門のしおりメッセージがあるかもしれない)

キョン「くっ」ガタガタ

長門「あの、それ・・・名前はかっこいいけど、中身は別物」

キョン「知ってるよ!」スポン

パラパラ カサッ

キョン「おっ、しおり・・・来たか!」カサッ

キョン「わっと、よっ」スカッ スカッ

キョン(風か、床に落ちるのを待って・・・)

長門「伏せろー!」ドン

キョン「ぬわぁぁーー!」バタン

9: 2012/10/27(土) 02:25:25.16
なんだったのだろう、いや、本当になんだったのだろう

俺に突進をかました長門、倒れる俺

俺を見下ろす長門、見上げる俺

顔を赤くして何事もなかったかのように、俺からどける長門

唖然としながらも、しおりを拾い上げる俺

この間、誰も何も言葉を発しなかったのである

キョン(本当になんだったんだ)

長門「・・・・」カチャカチャ

キョン(モデルガンに色々とパーツをつけている、何がしたいのかさっぱりだ)

キョン「それよりも今は・・・」サッ

プログラム起動条件
鍵をそろえよ
最終期限は二日後

キョン「長門・・・残してくれてたか、お前からのプレゼントでいいんだよな」

キョン(・・・期限が二日後ってことは、明後日か)

キョン(ふぅ、鍵ねぇ・・・)

キョン「くそっ!何にも分からねぇじゃねぇか!」

長門「!?」ガギッ

長門「あ」

キョン(鍵が何か分からない以上、どう動くかも分からないままじゃないか!)

キョン(長門、お前の精一杯だったのか)

キョン「はぁ・・・」

長門「・・・あの」

キョン「なんだ?」

長門「入隊、どう」

キョン「ああ、まだ考え中だ」

長門「軽機関銃もある、RPKとか」ガシャ

キョン「もしかして、ここは文芸部じゃないのか?」

長門「対テ口リスト用駐屯地」

キョン「・・・はぁ」

長門「文芸部は仮の姿、テ口リストが乗り込んでこないように」

キョン(んなもん、学校に作んなよ!)

キョン「でも、日本じゃテ口リストなんていないだろ」

長門「近頃起きている、通り魔殺人事件」

長門「テ口リストの仕業、きっと」

キョン(通り魔よ、お前の知らない所でテ口リストにされているぞ)

長門「学校からも、戦氏者が出た」

キョン「戦ったのか、英雄もんだな」

長門「国木田という名前だった、二階級特進もの」

キョン「あー、国木田か。あいつにそんな度胸があったとはな」

キョン「・・・うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいい」

11: 2012/10/27(土) 02:51:59.75
モデルガンを抱きしめ怯える長門から聞き出した

なんでも、通り魔事件は五月頃から発生しているらしい

次に七月、九月、十一月といった、二か月に一回ペースだったのだが

十二月に入り、18日の今日までに三回も起こった

先週、三回目の事件が発生

被害者は、国木田らしい

なるほど、謎がとけた

キョン「谷口が休んだのも朝倉の言う事件も、これのことだったのか」

しかしまぁ、かわいそうな国木田

キョン「世界を元に戻したら、ジュースの一杯ぐらいおごってやるか」

キョン「で、警察は犯人を捕まえれてないのか」

長門「手がかりを残さない、優秀」

キョン「感心してる場合じゃないがな」

長門「でも、それは警察の話」

キョン「うん?」

長門「独自に調査を進めている」

キョン(急に探偵になった、さすが長門・・・なんでもありだな)

長門「そして手がかりを掴んだ」

キョン(マジでなんでもありだった)

長門「しかし、向こうはナイフを持っている。かなりの腕前」

キョン「こっちはモデルガンだけか」

長門「・・・ごめん」

キョン「あやまる必要なんてないさ、むしろお礼を言わせてほしい」

長門「え?」

キョン「ありがとよ」

長門「・・・?」

キョン(俺のいた世界では、通り魔事件なんて起こっていなかった)

キョン(という事は、元の世界に戻る手がかりになるはずだ)

長門「コンバットナイフ、サバイバルナイフ、マチェーテ」ゴソゴソ

キョン「ってうぉい!?」

長門「全部モデル、切れない」

キョン「な、なんだ・・・驚かすなよ」

長門「危ないもの、お母さんから駄目って言われてる」

キョン「一人暮らしじゃないのか」

長門「何故?」

キョン「いや~、一人暮らししてそうだったからさ」

キョン(こっちの世界の長門は、実家暮らしなのか)

長門「一人暮らし」

キョン「どっちだ」

長門「一人暮らし」

12: 2012/10/27(土) 03:15:40.33
長門なりの冗談だったのかなんなのか

こっちの世界でも、何考えてんのか分からないやつだ

長門「このМ14は、セミオート」

キョン「お、おう」

長門「それで、こっちのAUGはバレルが」

キョン「長門」

長門「・・・な、何」

キョン「今日は、帰るわ」

長門「そう」

キョン「邪魔したな」ガチャ

キョン「ふぅ・・・」バタン

キョン「と、見せかけて」キィ

キョン(こんな長門は希少価値があるからな、目に焼き付けておこう)コソコソ

長門「ぬくもりが・・・」スリスリ

キョン(見なかった事にしよう)スタスタ

自宅

キョン妹「シャミーシャミシャミシャミシャベロバ」

キョン「なにやっとる」

キョン妹「あ、キョン君おかえりー」

キョン「ちょっとシャミと話があるんだ、二人きりでな」

キョン妹「にゃー」

キョン妹「ひゃん!冷たーい」トタトタ

キョン妹「もーう」スタスタ

キョン妹「お母さーん、キョン君が」トタトタ

キョン「ふぅ、シャミ」

キョン妹「伏せろー!」ドタドタ

キョン「・・・何やってるんだ、あいつは」

キョン「なぁ、シャミ・・・以前俺はお前に、絶対に喋るなって言ったがな」

キョン「その禁止令をとく、なんでもいいんだ、何か喋ってくれ」

シャミ「にゃー」

キョン「だよなー」ガチヤ

キョン「妹よ、さっきの伏せろって」

キョン妹「シャミー、ご飯だよ~」

キョン「・・・なんだったんだ」

13: 2012/10/27(土) 03:40:24.76
12月19日

通学路

キョン「ふわぁ~あ」

キョン「寝ても覚めても、このままか」

キョン「はぁ、鍵か・・・」

キョン「それにしても、ハルヒと古泉はどこに行ったんだか」

北高・教室

朝倉「あら?昨日と比べて、だいぶ顔色が良くなったわね」

キョン「まあな」

朝倉「でも、無理は禁物よ?」

キョン「分かってるって、なぁ朝倉」

朝倉「なぁに?」

キョン「涼宮ハルヒって知ってるか?」

キョン「古泉一樹でも構わん、何か知らないか?」

朝倉「・・・ごめんなさい、知らないわ」

キョン「そうか、いやいいんだ」

キョン(はぁ、早く朝比奈さんの入れてくれるお茶が飲みたいぜ)

そして、授業が始まろうしていた

俺は今後の事を考えようと、窓に目を向けたその瞬間

俺の視線は、担任の方へ引き戻される

単刀直入に言おう

谷口が刺されたのだ、通り魔に

幸いなことに、息はあったらしい

現在は病院に搬送され、緊急手術だそうだ

国木田に続いて谷口までもとは、物騒な世界に来ちまったみたいだ

長門が手がかりを掴んだと言っていたな、お昼休みにでも文芸部室に行くか

キーンコーンカーンコーン

キョン(期限は明日、早めに行動しておこう)ガタッ

朝倉「ねぇ、大丈夫?」

キョン「ああ、問題ない」スタスタ

朝倉「心配だわ・・・」

文芸部室

キョン「また来たぜ」ガチャ

長門「隊長ー!」ドタドタ

長門「あ・・・」

キョン「今日も元気だな」

長門「・・・・」ガサガサ

顔を赤くするくらいなら、家でやればいいのに

キョン「飯、ここで食っていいか?」ガタッ

長門「・・・構わない」

15: 2012/10/27(土) 04:02:36.14
書くのが遅くてすみません、今回はここまでです

再開時の時間は指定しておいた方が良いのでしょうか

一応指定しておきます、10月27日のPМ11:50頃です




キョン「レーションだっけ?美味いのか、それ」

長門「・・・中身は冷凍食品、本物は食べた事がない」

キョン「それもモデルなのか、よっぽど好きなんだな」

長門「大好き、かっこいい」

キョン「かっこいいと感じるのは、男だけじゃないんだな」

長門「一番好きなのが、これ」ガシャ

キョン「確か、最初に見せてくれたモデルガンだよな」

長門「そう、ガリルAR」

キョン「でも、こんなにたくさんのモデルガン、買えるのか?」

長門「お誕生日プレゼントで買ってもらった」

キョン「なるほどな」

キョン「さて、長門」

長門「な、何・・・」

キョン「通り魔事件の手がかり、掴んだって言ってたよな」

長門「・・・うん」

キョン「それは犯人に関する手がかりなのか?」

長門「まだはっきりとしていない」

キョン「はっきりと?」

長門「解析に時間がかかる」

キョン(時間がかかるって、どんな手がかりを掴んだのだろう)

長門「私からも一つ、聞きたい」

キョン「なんだ?」

長門「今日、予定はある?」

キョン「いや、ないが?」

長門「・・・わ、私の家に・・・良かったら、遊びに来てほしい」ガシャ

キョン「・・・・」

キョン(そのガリルARとやらを俺に向けながら言うセリフじゃないだろう)

キョン「それじゃ、放課後にな」

長門「い、いえす!」ピョン

キョン(何故跳んだ)

18: 2012/10/27(土) 23:59:37.11
放課後

キョン(よし、部室に直行だな)ガタッ

朝倉「ねぇ」

キョン「なんだよ」

朝倉「・・・気をつけて、それじゃあね」ガタッ

キョン「お、おう、じゃあな」

キョン(案外、朝倉が犯人かもしれねぇな)

キョン(凶器がナイフだもんな、可能性は大、か)

キョン(だがしかし、世界を変えたのがハルヒだとして)

キョン(そのハルヒはどこに行ったんだ、世界の中心であるハルヒが消えるとは思えんが)

文芸部室

キョン(今度は何して遊んでいるのだろう)

キョン「よっ!」ガチャ

モデルガンを振り回しているのか、兵隊のおもちゃでなりきっているのか

胸を躍らせていたのだ、部室の扉をあけるまでは・・・

キョン「長門?」

文芸部室には、誰もいなかった

キョン「期待しちまったじゃねぇか」

長門は、まだ来ていない

ここには暖房器具がひとつもなく、あまり長い間留まるのは避けたい

しおりを確かめる、期限は明日だ

キョン「やばいよな、どうするか」

長門のお気に入りモデルガン、ガリルARを眺める

キョン「こんな長門がいる世界も、悪くないのかもしれねぇな」

文芸部室の扉が、ゆっくりと開いた

19: 2012/10/28(日) 00:25:23.72
長門「フフ・・・あ」ガチャ

にやけていたと思ったら、俺を見るなり驚きの表情へと変わる

キョン「よっ、先に待たせてもらってるぜ」

長門「・・・うん、ごめん」ガタッ

長門は、パソコンの前に腰を下ろした

キョン「・・・・」

長門「・・・・」

沈黙が二人を包みこんだ

家に誘ってくれたのはありがたいが、何故、腰を下ろしたんだか

長門「・・・・」チラッ

どうやら、俺の様子をうかがっているようだ

キョン「寒いのは苦手でな、行こうぜ」ガタッ

長門「そう」ガタッ

俺が言い出すのを、待っていたのだろうか

照れ屋なのか積極的なのか、分からんやつだな

人間らしい長門っていうのは、どうも違和感を嫌でも覚えてしまう

このまま大した問題もなく、長門の家に行く

いや、行きたかったという言うべきか

問題は、靴箱で起こった

キョン(通り魔事件の手がかりを確認しないとな、朝倉であるという確証を)

キョン「うー、足が冷えすぎて感覚がないぜ・・・」トントン

キョン「よし、待たせたな長・・・門?」

長門「大丈夫、彼女と話してたから」

長門の隣にいたのは、通り魔候補NO.1である

朝倉涼子だった

朝倉「あら?長門さんのお友達って、あなただったの」

長門「・・・知り合い?」

朝倉「そうよ、同じクラスだもの」

キョン「・・・は、なんで朝倉が」

朝倉「長門さんとは、同じマンションなのよ」

長門「は、話が早くて助かる・・・行こう」

朝倉「そうね」

キョン「一緒に、帰るのか?」

朝倉「だから、同じマンションだって言ってるじゃない」

キョン「そ、そうだよな・・・」

キョン(おいおい冗談きついぜ、俺は長門の家に行って、お前が通り魔かどうかの確認をしないといけないんだよ!)

朝倉「そういえば、長門さんに似合いそうなマフラーを」

長門の家に着けば、朝倉ともおさらばできるんだ

耐えろ!俺!

20: 2012/10/28(日) 00:48:24.94
マンション・708号室

キョン「・・・・」

朝倉「それでね、その先生が」

こいつまで来るのかよ

しかし、長門の部屋は、レイアウトに多少の違いはあるとはいえ

俺が知っている長門の部屋だった、てっきり重武装されたどこぞの基地かと思っていたのだがな

長門「ご飯、用意する」

朝倉「私も手伝うわ」

長門「昨日のカレーライスが残っているから、大丈夫」

朝倉「そう、楽しみね」

朝倉「作りたてよりも、置いておいたほうが美味しいって言うものね」

キョン「あ、そうだな」

朝倉「ふふ」ニコッ

キョン(なんだその笑みは、お前が笑うと怖いんだよ)

朝倉「どうして、あなたが長門さんの部屋に?」

キョン「知らん、呼ばれたから来たまでだ」

朝倉「長門さんが、ねぇ」

キョン「変な目で見るな。文芸部に入部しようとしたら、入隊を勧められたんだ」

朝倉「長門さんらしいわね」

キョン(文芸部を対テ口リスト用の基地にするのがか・・・)

朝倉「でも、あなたが文芸部?」

キョン「悪いか」

朝倉「失礼だけど、柄じゃないわよ」

キョン「うるせぇ」

長門「・・・おまたせ」トタトタ

朝倉「うふふ、美味しそうな香り♪」

キョン「これ、レトルトか?」

長門「ううん、作った」

キョン「えっと、作った?」

朝倉「長門さんは料理が得意なのよ」

キョン「・・・スパイスから全部作ったてのか」

長門「うん・・・体に良いものを摂らないと」

朝倉「素敵な心がけね、いただきます」

長門「いただきます」

キョン「い、いただきます」

キョン(こっちの長門の方が分からないな)

朝倉「美味しい♪」

キョン「・・・どれどれ」モグモグ

キョン(な!?こ、これは!?)

キョン「とてつもなく美味い!」

21: 2012/10/28(日) 01:09:31.96
長門「・・・良かった、味は士気に影響を与える」

そして

激旨カレーにがっつく俺に、嬉々として士気について語る長門、ニコニコとほほ笑みながら眺める朝倉

カレーに夢中で気付かなかったが、冷静に考えると

長門が少年のようで、可愛かった気がする

気がするだけで、思いだそうにもカレーの味しか鮮明に覚えていないのだった

キョン「ふー、美味かったよ、ごちそうさま」

朝倉「美味しかったわ、ごちそうさま、長門さん」

長門「ありがとう」カチャカチャ

キョン「食器持っていくの、手伝うよ」

長門「いい、くつろいでて」スタスタ

キョン「そうか、それじゃ遠慮なく」

朝倉「・・・ねぇ?」

キョン「ん?」

朝倉「いえ、なんでもないわ」

キョン「なんだよ」

朝倉「気にしないで、ごめんなさい」

キョン「・・・・」

何を言おうとしていたのだろうか、気になる

だが、あんまり気にすると怖いので、やめておこう

長門「・・・んしょ」ペタン

長門「それでは、さ、作戦会議を始めます」

キョン「えっ」

朝倉「えっ」

キョン「だよな朝倉」

朝倉「えっ」

キョン「えっ」

長門「あ、あの」ワタワタ

長門「通り魔事件について、協力してくれてる朝倉さん」

長門「そして、通り魔事件を追っているのが彼」

キョン「お前がか?」

朝倉「あなたが?」

キョン「協力って、お前が犯人じゃないのか!?」

朝倉「どうしてそうなるのよ!」

長門「北高から初めて戦氏者が出た時の、第一発見者が私と彼女」

長門「ずっと一緒だった、彼女には不可能」

キョン「え?あ、そう、なのか」

朝倉「あなた、ショックがまだ抜けていないのかしら」

キョン「・・・すまない、だが俺は大丈夫だ」

朝倉「案外、あなたが犯人なのかもね?」

22: 2012/10/28(日) 01:43:00.81
キョン「俺が?」

朝倉「最近、変じゃない?」

長門「彼の可能性は極めて低い」

キョン「長門・・・」

朝倉「あら、そうなの?」

長門「彼は、事件の事を知らなかった」

朝倉「知らないって、こんなにも世間を賑わせているのに?」

長門「だから、知らないふりはできない」

長門「なのに、彼は知らなかった」

長門「犯人だとしたら、とても選択できない行動」

長門「それが、彼が犯人でない理由」

朝倉「・・・それもそうね、ごめんなさい」

キョン「いや、いいんだ・・・こっちこそ、すまなかった」

キョン(こっちの朝倉は、本当に普通の優等生か)

長門「本題に戻る」

キョン「ああ、頼む」

長門「まず、通り魔事件の犯人は、学生と見て間違いない」

キョン「学生だと?」

朝倉「事件を起こす時間と、現場に上履きの跡が残されていたの」

キョン「自分たちで調べたのか!?」

朝倉「そんなの無理よ、テレビで報道されていたわ」

キョン「・・・そう、だよな」

朝倉「本当に何も知らないのね」

長門「警察は、北高と光陽園学院の生徒に調査の手を伸ばした」

長門「しかし、何も手がかりを見つける事はできなかった」

キョン「まじか」

朝倉「上履きだけじゃあね、洗ってしまえば何も出てこないわよ」

長門「しかし、朝倉さんと一緒に出かけ、第一発見者となった際」

長門「光陽園学院の生徒を、見かけた」

朝倉「私は見てなかったんだけどね」

長門「後ろ姿だったから、はっきりとは分からない」

長門「けど、制服のズボンを履いていたから、男子生徒のはず」

長門「ちょうど、あなたぐらいの大きさだった」

キョン「俺?」

朝倉「中肉中背、平均的な男子生徒ってことね」

キョン「普通が一番だ」

キョン「で、光陽園学院の男子生徒ってとこまでは分かったんだな」

長門「そこからさらに調査を進めて、犯人を特定した」

キョン「すごっ!?」

朝倉「それは初耳ね」

23: 2012/10/28(日) 02:08:47.09
キョン「警察に連絡したのか?」

長門「していない」

キョン「えっ」

朝倉「えっ」

長門「平和を作るのは、私たち」

キョン(警察の仕事を奪いやがった)

朝倉「危ないわよ、向こうは狂人なのに」

長門「こっちには銃がある」

キョン「ただのモデルガンだろうが!?」

朝倉「そうよ、ただのおもちゃよ」

朝倉「目には目を、歯には歯を、刃には刃を、よ」シャキン

キョン「うぉっ!?」ビクッ

長門「М9タイプのコンバットナイフ!」

朝倉「ちなみに本物よ」ザクッ

キョン「ま・・・まじですか」

長門「うわぁ♪」キラキラ

朝倉「持ってみる?うふふ」

長門「・・・・」フルフル

長門は頭を上下に激しく、髪の毛が追いつかないぐらいにふっていた

長門「へへ♪」ブンブン

キョン「・・・どういうつもりだ、朝倉」

朝倉「何が?」

キョン「そんなもん、常備してるとは・・・どういうつもりだって、聞いてんだ」

朝倉「・・・・」チラッ

長門「やー、とー」ブンブン

朝倉「長門さん、たくあんが冷蔵庫に入ってたわよね」

長門「え、うん」

朝倉「切れ味、試してきたらどうかしら?」

長門「いいの?」

朝倉「駄目だったら薦めないわよ」

長門「ありがとー♪」ドタドタ

キョン「・・・・」グッ

キョン(二人きりにして、何をするつもりなんだこいつは)

朝倉「・・・私ね」

キョン「お、おう」

朝倉「長門さんが好きなの」

キョン「おう」

キョン「ってえぇ!?」

朝倉「放っておけないタイプじゃない?彼女って」

25: 2012/10/28(日) 02:41:50.14
朝倉「同性愛なんて、日本じゃ受け入れられてないのは承知してるわ」

朝倉「でも、人を好きになるって・・・」

キョン「いいんじゃないのか、別に」

朝倉「え?」

キョン「驚きはしたが、好きなったもんはしょうがないさ」

キョン「受け入れられてなくとも、止められないんだろ?」

朝倉「う、うん」

キョン「だったらなと俺は言いたい」

キョン「世間体とか、気にしたってろくなことにならん」

キョン「自分の気持ちに、正直に生きろ」

キョン「そういうやつが一番、魅力的なんだ」

朝倉「魅力的、かしら?」

キョン「少なくとも一人、そんなやつを知っているからな」

朝倉「・・・その人のこと、好きなの?」

キョン「さあな、分からん」

キョン「だが、今一番会いたいやつだ」

朝倉「・・・・」

朝倉は下を向き、顔を隠した

長門同様、耳が赤くなるのは見えた

赤くなったのは、朝倉だけではなかった

そして、長門が泣きながら戻ってきた

長門「指、切っちゃった・・・」

朝倉「あら、使い方には気をつけなきゃ」

朝倉「救急箱、ここだったわよね」ガタガタ

長門「でも、カッコ良かった」ニコニコ

朝倉「ふふ、良かったわ」

朝倉「はい、絆創膏」ペタッ

長門「ありがとう」

そう言って、長門は朝倉にナイフを返した

あれ?常備してる理由、聞いてなくね?

くそっ、なんてやつだ

長門「ふぅ、本題に戻る」

キョン(二回目だぞ、本題に戻るのは)

長門「すでに果たし状は渡してある」

キョン(長門の中だけで、ものすごく話が進んでいた)

朝倉「どうやって渡したの?」

長門「靴箱に置いておいた、ラブレター風にして」

キョン(嫌過ぎる、ラブレターかと思ったら犯人はお前だ、ってか)

朝倉「なんて書いたの?」

長門「要約すると、明日の放課後、北高の文芸部室に来い、と」

26: 2012/10/28(日) 03:03:05.47
すみません、AV見ながらの同時進行なので・・・

キョン「おいおい、まじかよ!」

朝倉「そんなことして、暴れ出したら皆が!」

長門「暴れない」

長門「今までの犯行を見る限り、そんな頭の悪い事はしない」

キョン「向こうはイカレ野郎だろ?頭の良し悪しじゃ」

長門「信じて」

キョン「え」

長門「私を信じて」

キョン「長門・・・」

長門「いざとなったら、狙撃する」

キョン(やっぱり信じられないぞ、こっちの長門は)

長門「明日は、戦争になる」

朝倉「長門さん、犯人が分かっているのなら警察に行くべきよ!」

長門「嫌、平和を作るのはわた」

朝倉「長門さん!」ガタン

長門「!?」ビクッ

キョン「あ、朝倉・・・」

朝倉「長門さんに何かあったら私」

長門「朝倉さん・・・」

朝倉「犯人の四肢を切り刻んでピーーー」

キョン「・・・・」

長門「・・・・」

耳鳴りのような音が響いてから、二十分が経過した

朝倉「・・・してやるわよ」

キョン「やっと終わったか」

長門「それじゃ、作戦を説明する」

キョン「作戦?」

長門「犯人を迎え撃つ作戦」

キョン(まいった、通り魔事件は元の世界に戻る手がかりのはずだが)

キョン(最悪の場合・・・元の世界はおろか、この世界にもいられなくなってしまうな)

朝倉「長門さん、ナイフの腕前なら勝つわ!」

キョン(なんて前向きなんだ、だがそっちは前じゃないぞ)

長門「あなたの力も貸してほしい、一緒に平和を作って、お願い」

キョン(長門からのお願いじゃ、断るわけにはいかないな)

キョン「いいぜ、作戦を教えてくれ」

長門「うん!」ニコッ

キョン(やれやれ、こっちの世界でも平凡な日常は送れそうにないな)

28: 2012/10/28(日) 03:28:58.12
ありがとうございます



日付が変わって翌日の12月20日

長門の残したヒントメッセージに記してあった、最終期限日

今日を逃せば、恐らく一生この世界はこのままだろう

だが、プログラム起動条件である『鍵』

この鍵ってのは多分、施錠などに使う鍵の事だろう

うん、きっとそうだ

通り魔が持っているに違いない、待ってろよ通り魔!



そういえば、犯人って誰か聞いていなかったな

聞いた所で、光陽園学院の生徒なんて全然分からないか

俺と同じくらいの背丈、体格の男子生徒

うん?あそこはお嬢様学校じゃかったっけ

こっちの世界じゃ共学なのかね、古泉のクラス分やハルヒが通ってたりしてな

んなわけないか

そんな考え事していたら、いつのまにやら学校だ

北高・教室

キョン「ふぅ、うぃっす」

朝倉「おはよ」

キョン「昨日はあんまり眠れなかったぜ」ガタッ

朝倉「大丈夫?」

キョン「ああ、一応はな」

朝倉「ドキがムネムネするわね」

キョン「・・・・」

朝倉「・・・・」

キョン「昨日のクレしんか?」

朝倉「あなたも見たの?」

キョン「妹が好きでな」

朝倉「うふふ、面白いものね」

キョン(もしかして、こいつなりの励ましだったのだろうか)

キョン(朝倉も、緊張しているんだな)

キョン「長門は、メガネを外しても良いぞ」

朝倉「知っているわよ」

キョン「だったら顔を赤くするな」

朝倉「・・・うるさい」プイ

キョン「今日の作戦、うまくいってもいかなくても」

キョン「お前らとは、お別れなんだ」

朝倉「・・・え?」

キョン「こっちの話だ」

29: 2012/10/28(日) 03:49:41.69
さて、今日はお昼休みがない

短縮授業だからだ、北高も光陽園学院も午前で授業が終わる

朝倉「いよいよね、光陽園学院からここまで来るのに時間がかかるはずだわ」

キョン「今のうちに、準備か」

そう言って、俺と朝倉は文芸部室に向かった

朝倉と一緒に向かうことになるとはな、予想だにしていなかったよ

文芸部室

キョン「着いたな」

俺がドアノブに手をかけようとしたその時

朝倉「待って」ガシッ

朝倉が、ドアノブに伸ばしていた俺の手を掴んだ

朝倉「誰か、いる」

キョン「え、それってまさか・・・」

朝倉「あなたは横にいて、音を立てないで」

キョン「お・・・おう」ササッ

朝倉「・・・・」カチャ

朝倉は屈んだ状態で、左手でゆっくりと扉を開けた

右手には、長門に見せたナイフを持っていた

朝倉「・・・見て」

キョン「ごくり・・・」チラッ

少し開いた扉の隙間から、中をのぞいた

カウボーイハットをかぶり、マグナムと呼ばれる拳銃を握り締めた

長門がいた

キョン「おい、何やってんだ」ガチャ

朝倉「あ、ちょっと」

長門「え・・・」

キョン「遊んでいる場合じゃないだろ」

長門「ご、ごめんなさい」

朝倉「いいじゃない別に、ねぇ?」

キョン「これから殺人鬼とご対面だぜ?」

朝倉「クリント・イーストウッドよね?」

長門「え?栗?」

キョン「・・・とっとと準備するぞ」

長門「あ、うん」

朝倉「その前に、長門さんじっとして」

長門「へ・・・」カチャ

朝倉「・・・本当ね」

長門「め、メガネ・・・」

朝倉「ごめんなさい、はい」

長門「うん」カチャ

30: 2012/10/28(日) 04:19:54.45
そして、長門発案の作戦に向けた準備が始まった

といっても、簡単な準備である

朝倉は自前のナイフを持ち、入口横のロッカーの中へ

俺と長門はハンドガンを持って、窓際で待機

入口から窓際までの道のりには、兵隊のおもちゃが散らばっている

この兵隊のおもちゃ、銃の突起部分が見事に凶器と化している

全体重をかければ、ガラスほどではないがある程度は刺さる

準備は整った、来い!サイコパス野郎!

キョン「・・・・」

長門「・・・・」

コンコン

文芸部室の扉が叩かれる、殺人鬼が来たのだ

長門「あ・・・」

キョン(小刻みに震えている、ここに来てか)

キョン「どうぞ!」

ガチャ

キョン(やっとイカレ野郎のサイコパ・・・)

キョン「あん!?」

長門「えっ・・・」

ハルヒ「・・・なに、これ」

ハルヒ「わざと散らかしてるわけ?これ」

ハルヒ「それに何、それ本物じゃないでしょ?」

キョン「は・・・ハルヒ!?」

ハルヒ「なによ、呼び捨てにされる覚えはないんだけど」

長門「お、男の人が来るはずじゃ・・・」

ハルヒ「男の人?もしかして、古泉君の事かしら」

キョン「な!?古泉までいるのか!」

ハルヒ「だ、だからあんたなんなのよ!」

古泉「呼びましたか」ガチャ

ハルヒ「あ、どこに行ってたのよ」

古泉「これは失敬、昔の友達がいたものでつい」

キョン「お前ら、光陽園学院に行ってたのか・・・」

良かった、二人がいた

なによりハルヒの、敵のいない格闘家みたいな目を見ることになるとはな

久しぶりだな、ハルヒ

ハルヒ「で、肝心の事件はどうなったのよ」

キョン「事件?」

ハルヒ「例の通り魔事件よ、次はここで起こったって聞いたけど」

長門「・・・そんなの、起きてない」

ハルヒ「えぇ?だってこ」

31: 2012/10/28(日) 04:49:39.46
バタン

みくる「あ、あの!生徒会情報室室長の朝比奈みくるです!」

キョン「朝比奈さん!?」

ハルヒ「あら、可愛い子ね」

みくる「あなたたちですね、他校の生徒が校内でうろつきまわっているというのは」

ハルヒ「げっ、見つかってたのね・・・」

ハルヒ「逃げるわよ、古泉君!」

古泉「証拠を握られたままでは、帰れませんよ!」ドン

ハルヒ「きゃっ!?」ドサッ

キョン「ハルヒ!」

みくる「あわわわ、暴力反対ですぅ!」

古泉「可愛らしいお方ですね」クルッ

みくる「ひっ!?」

長門「あ・・・あの時の、後ろ姿・・・・」

キョン「まさか!?」

ハルヒ「こ、古泉君!?」

古泉「・・・なんでしょう?」クルッ

古泉はそう言いながら、朝比奈さんの髪の毛を掴んだままこちらを向いた

みくる「痛いぃ!痛いですぅ!」

そう、通り魔事件の犯人は古泉だった

キョン「くそっ、朝比奈さんを離せ!」

古泉「嫌ですよ、僕の唯一の防具なのですから」グイッ

みくる「ひぐっ!?」

ハルヒ「こ、古泉君・・・?」

古泉「全員で四人ですか、素敵な女性も一緒なら楽しめそうですね」

長門「あ、ああ・・・」ガクッ

古泉「その反応、やはり銃は偽物・・・当然ですが」

キョン「くっ!」

キョン「サイコパスっぽいとは思っていたが、ここまでとはな!」

古泉「んふ、楽しいですよ?」

キョン「お前みたいなイカレ野郎にだけはなりたくねぇよ」

古泉「イカレ野郎、ですか」

古泉「所詮、少数派は異常とされるのですね」

キョン「・・・何をいってやがる」

古泉「もし、世界の人間のほとんどがサイコパスになったとしたら」

古泉「異常なのは、あなただと言っているのです」

キョン「ムチャクチャな事を言ってんじゃねぇ!」

古泉「僕だって!」

キョン「!?」

古泉「好きでこうなったわけじゃ・・・ないんです!」

32: 2012/10/28(日) 05:15:13.49
書き溜めをしていなくて、ごめんなさい

今回は、ここで終了です

次回は、10月28日のPМ11:50頃に再開する予定です




キョン「なんだと?」

古泉「・・・好きで、こんな狂人になってわけではないのです」

古泉「僕は、幼いころからずっと・・・虐待を受けていたのです」

キョン「虐待・・・?」

古泉「ものごころついた時から、ずっとです」

古泉「あなたに分かりますか?大好きな親から、暴力を振るわれるのが!」

古泉「保育園児を、自分の子供を!ストレスのはけ口にするんですよ!」

ハルヒ「こ、古泉君・・・」

キョン「古泉、そんなことが」

ハルヒ「あなた、幼稚園じゃなかった?」

キョン「なに?」

古泉「そうですよ♪」ニコッ

古泉がほほ笑んだかと思ったら、ナイフを取り出してきた

みくる「ひっ!?」

キョン「こ、古泉!」

古泉「あーあ、せっかく同情を誘おうと思っていたのですが」チャキ

古泉「まったく、涼宮さんのせい、ですよ!」ドカッ

ハルヒ「うぐっ!?」

キョン「ハルヒ!」

古泉「動くな!」グッ

みくる「うぅ・・・」

古泉「変な動きをみせれば麗しい女性が一人、この世界から旅立ちます」

みくる「ひっく、うぅ」

キョン「この野郎・・・」

古泉「そう睨まないでください。苛立って、彼女の喉元に穴をつくりたくな」

ピコーーン

キョン「!?」

長門「!?」

ハルヒ「!?」

みくる「!?」

古泉「・・・パソコンでしたか、この状況で・・・・・」

キョン(誰もパソコンには触れちゃいない、もしかすると)

キョン「悪い、自動的にパソコンがつくようにしたんだ」

古泉「面白いことをなさるのですね」

キョン「・・・消していいか?」

古泉「んふ、手短にしなければ氏人が出ますからね?」

34: 2012/10/28(日) 23:59:21.18
キョン「分かってる・・・」

突如電源が入ったパソコンの画面を覗き込む

キョン「これは・・・」

背景が真っ黒のパソコンに、見覚えのある文字が浮かび上がっていた

キョン(長門、久しぶりだな)

長門が用意してくれた緊急脱出プログラム

ready?

キョン「やっと、戻れるんだな」

古泉「・・・・」

みくる「ひぐっ・・・うぅ」

ハルヒ「はぁはぁ」

長門「・・・?」

キョン「悪い、入隊はできない」

長門「え・・・」

古泉「・・・んふ、何を考えて、いるのでしょう!」ダッ

みくる「きゃぁっ!?」ドサッ

長門「あ!」

キョン「な!?」

古泉「まずはあなたからです!」シュッ

一直線に迫る古泉から、逃げる術はなかった

キョン(まずい!?)

バタン

入口横の掃除用具入れであるロッカーが、勢いよく開かれる

朝倉「うふふ、私の出番ね!」シュッ

キョン「朝倉!」

古泉「くっ!」クルッ

35: 2012/10/29(月) 00:23:28.19
ガキィィィン

金属音が、文芸部室に響き渡る

朝倉「ちぃっ!」

古泉「これはこれは・・・」

キョン「はぁぁ・・・・さ、サンキュ・・・」ガクッ

古泉「大本命が隠れていたとは、危ない所でした」

朝倉「不意打ちは失敗に終わっちゃったわ、正面から勝てるかしら」

キョン「な、なんとかできるだろう!?」

長門「朝、倉さん・・・」

朝倉「初めてだもの、分からないわ」

古泉「んふ、好きですよ。あなたのような女性は」

朝倉「あら、ごめんなさい」

朝倉「嫌いなのよね、あなたのような男性は!」シュッ

古泉「残念です」ガキィン

キョン(あ、朝倉・・・いざ味方になると、心強いぜ)

キョン(だがまいったな、腰がぬけて力がまったく入らん)

キョン(こんなに臆病だったっけ、俺は)

朝倉「ふん!」ブン

古泉「んふ」サッ

朝倉「あ」スカッ

古泉「さようなら」シュッ

朝倉「ッ・・・!」

長門「あぁ!?朝倉さん!」

キョン(え?)

俺が顔をあげた時には、朝倉の喉が真っ赤に染まっていた

朝倉「かはっ・・・」ドサッ

長門「あ、朝倉、さん・・・」

ハルヒ「い、いや・・・」

みくる「ひゅぅぅ・・・」バタッ

古泉「んふ、素敵でしたよ。朝倉さん」

キョン「ば、ばかな!?」

キョン「朝倉のナイフさばきは・・・はっ!」

キョン「あれは・・・宇宙人だからなのか」

古泉「さて、もうじき教師や警察がやってくるでしょう」

古泉「最後のお楽しみは、じっくりと、ね?」

ハルヒ「いや、来ないで・・・」

古泉「普段は、強気な態度だというのに」

古泉「随分と弱気ですね、んふ」

古泉「涼宮さん、僕はあなたが好きなんですよ」

キョン(なに!?)

36: 2012/10/29(月) 00:36:05.32
ハルヒ「・・・え?」

古泉「ずっと好きでした、強気なあなたの事が」

キョン(こいつは、こんな時に何を言ってるんだ・・・)

古泉「どんな声で、表情で、泣くのか」

古泉「氏に逝くあなたを想像すると、胸が苦しくなるのです」

古泉「ギャップ、と言うのでしょうか」

古泉「とにかく魅力的なのですよ、涼宮さんは」

ハルヒ「こ、来ないで」

古泉「あなたの氏に逝く姿、僕に見せてください」

そう言って、古泉はナイフをゆっくりと振り上げた

長門「あ・・・はぁあぁ・・・・」ガクガク

キョン(やばい!このままじゃハルヒが!)

古泉「一度きりの体験です、あなたも堪能してくださいね」シュッ

ハルヒ「くっ!」

キョン「・・・させるかぁ!」

古泉「!?」クルッ

カチッ

俺は、エンターキーを押した

37: 2012/10/29(月) 01:15:12.80
キョン「・・・暑っ!」

キョン「ってあれ、ここ・・・は、文芸部室なのか」

北高・正門

キョン「緊急脱出プログラムを起動したはいいが、何時にブッ飛ばされたんだ」

キョン「・・・にしても、古泉がサイコパスか」

キョン「こえぇ世界もあったもんだな」

そして、その後の俺はというと

近くのコンビニで、日付と時間を確認しに行った

そこで、全国一斉七夕デー、今日は三年前の7月7日であると確かめたのだ

なんやかんやがあって、朝比奈さん大人バーションと共に長門の家に行き

誰が世界を変えたのかを教えてもらい、驚きながらも再修正プログラム注射器を握りしめ

三年後の、12月18日へと向かった

北高・周辺

みくる(大)「・・・来ました」

長門から教えてもらった通りの人物だった

みくる(大)「す、すごい時空震だわ」

キョン(知らんがな)

みくる(大)「今、改変が終わりました」

キョン「分かりました」スタスタ

キョン「よっ」

キョン(お前だったんだな、長門)

長門「だ、誰・・・」

キョン「こんな所で、何してるんだ」

長門「え、あ、いや・・・偵察」

違う、そうじゃないんだ

とかなんとか言いつつ、色々とあって自分に踏まれたりした

聞いて、くるなぁー!とか言っちゃったり

キョン「そういう事なんだ」

長門「え・・・」

キョン「世界を元に戻してくれ、長門」

みくる(大)「無駄よ、キョン君」

みくる(大)「この長門さんは、私たちの知ってる長門さんじゃないの」

みくる(大)「ただの、軍オタの女の子だわ」

キョン「朝比奈さん・・・」

長門「何を、言っているの?」

キョン「すまない長門、俺は元の世界の方が好きなんだ」スッ

長門「あ、注射器・・・」

キョン「じっとしてくれ、長門」

長門「え・・・いや・・・・」

みくる(大)「キョン君危」「危ない!」

38: 2012/10/29(月) 01:50:42.67
ガキィィン

どこかで聞いたような金属音が、俺の頭の中を駆け回る

キョン「ひぃっ!?」

長門「あ、朝倉、さん?」

キョン「それに・・・古泉まで」

そう、朝倉のナイフが的確に俺の後ろから迫っていたのだが

なんと古泉が、朝倉のナイフから俺を守ってくれたのだ

古泉「んふ、いけませんね」

古泉「僕の陣地ですよ、ここ」

朝倉「あ、あなた・・・何者?」

キョン(そうだ、通り魔事件が発生している世界に改変されたから・・・)

古泉「僕はただの、通りすがりの悪魔です」ブン

朝倉「くっ!」ガキィン

キョン(朝倉同様、味方になると心強いな)

古泉「ところで、注射器を持って同じ学校の女子高生に歩み寄っているのを見たのですが」

古泉「あなたも、私と同類で?」

キョン「はぁ?お前と一緒にすんじゃねぇ」

古泉「ですよね、注射器なんて面白そうに見えませんし」ザシュッ

キョン「え?」

長門「ひぃ!?」ビクッ

みくる(大)「キョン君!」

朝倉「あら?」

古泉「おっと、うっかり」

キョン「がはっ・・・」ドサッ

長門「い、いや・・・」

キョン(なんだ、何が起こったんだ)

キョン「ッ・・・!」

みくる(大)「キョン君!ごめんなさい、私・・・知って」

みくる「キョン君しっかりしてくださいぃ!」

キョン(あれ?声が出ない、朝比奈さんがいっぱい見えるし)

キョン(走馬灯ってやつか、すげぇな)

「すまねぇな、わけあって助けることはできなかったんだ」

聞いたことのあるような、でも誰だか解らないような声だった

キョン(いや、もう無理)

俺の意識が、消失した

40: 2012/10/29(月) 02:17:49.05
総合病院

キョン「ん・・・ふわぁ」

古泉「ようやくお目覚めですか」ザクッザクッ

キョン「うぉっ!?」ビクッ

古泉「おや、どうされましたか?」

キョン「な、何がだ!」

古泉「いえ、驚かれていたので」

キョン「あ・・・」

キョン(元の、世界に戻ってきたんだ)

キョン「はぁ・・・」

古泉「忙しそうですね、驚かれたりため息をつかれたり」

キョン「うるせぇ」

キョン「・・・お前だけか」

古泉「ええ、交代制ですよ」チラッ

キョン「なんだその目は」

古泉「んふ、いえ」

古泉「我々団員は交代制ですが、団長ともなると」

古泉が指を示した方へ、体を向ける

キョン「ぁ・・・」

古泉「部下の身を案じるのも、仕事のうちだそうです」

俺の視線の先には、涼宮ハルヒがいた

髪の毛サラサラーってしたり、よだれ拭いたり、つねったり

まだまだいじくりまわしたがったが、ハルヒの眠りは浅かったようだ

ハルヒ「ふぁぁ・・・ん?」クルッ

キョン「よっ」

そして、朝比奈さんと再会し、罰金を課せられ

みんな帰って行った

お察しの通り、面倒くさいです

総合病院・屋上

キョン「すまねぇな、わけあって助けることはできなかったんだ」

キョン「あ、そこから先聞いてないな」

キョン(まぁ、長門ならなんとかしてくれるか)

長門「すべての責任は私にある」

キョン「うわさをすれば、だな」

長門「私の処分が検討されている」

キョン「誰が検討しているんだ」

長門「情報統合思念体」

キョン「じゃあ仕方がないな」

長門「そう」

キョン(もうちょっと粘るべきだったか)

42: 2012/10/29(月) 02:41:47.50
すみません




キョン「なぁ、長門」

長門「何」

キョン「ハルヒにサバゲーを提案しようと思うのだが、どうだ?」

長門「・・・・」

キョン「やめといたほうがいいか?」

長門「エアガンは、危険」

キョン「・・・だな」

キョン(こっちの長門も、似たようなもんか)

翌日

北高

キョン「ハルヒの特製鍋か、楽しみだな」

キョン「・・・・」

キョン「なんだなんだ、この血なまぐさい匂いは」

キョン「せめて、消化できるやつにしてくれよ・・・」

キョン「中から声が漏れてるな、盗み聞きしてやれ」コソコソ

「ふぇぇ、や、やめてくださいぃ」

キョン「朝比奈さんの声だな、ハルヒはどんな材料を用意したんだか」

「有希!有希!」

キョン「おうおう、ハルヒの声が聞こえるが」

キョン「長門も少しは心をほどいてるみたいだ」

「んふ、僕だってハメを外したいんですよ」

キョン「古泉の声だ、あいつもあいつなりに我慢してたんだな」

キョン「やれやれ、俺が最後みたいだ」

キョン「ま、世界を元に戻す選択肢は未だ俺にあるが」

キョン「鍋パーティが終わってからでも、遅くはないはずだ」

ガチャ

ドアノブを回す

キィ

扉をあける

スタスタ

ゆっくりと、だが着実に歩みを進める









グサッ

刺される

終わり

44: 2012/10/29(月) 03:01:07.83
乙。面白かったよ

引用元: キョン「なぁ、古泉。お前、サイコパスっぽいよな」 古泉「・・・突然ですね?」