1: 2014/07/03(木) 22:11:00.49
昔々、人間の王が治める「人ノ国」がありました。
その国の民は皆、幸せでした。
決して豊かではありませんでしたが、
皆苦しさや辛さを感じるとはありませんでした。
民はみな、永遠の幸せが続くと思っていました。
その国の民は皆、幸せでした。
決して豊かではありませんでしたが、
皆苦しさや辛さを感じるとはありませんでした。
民はみな、永遠の幸せが続くと思っていました。
3: 2014/07/03(木) 22:15:16.33
しかし、ある日突然
獣人の王が治める「獣ノ国」が「人ノ国」に攻めてきました。
獣人たちの攻撃に、人間はなすすべなく
あっという間に国は支配されてしまいました。
獣人の王が治める「獣ノ国」が「人ノ国」に攻めてきました。
獣人たちの攻撃に、人間はなすすべなく
あっという間に国は支配されてしまいました。
7: 2014/07/03(木) 22:18:50.06
国王「私は処刑されてしまうのか」
獣王「怖いか?」
国王「ハッ、、、これでも一国を背負う身。いつでも覚悟はしておる…」
獣王「それにしては顔色が優れないが?」
国王「…あははは!!!!先ほどの発言を撤回する。怖いに決まっておるだろうが!」
国王「今まで気づきあげてきたものがすべて無に帰すのだ、こんな間抜けな話はない。
獣王「…」
国王「早く殺せ、これ以上恥を晒しとうない」
獣王「貴様を殺さない手もある。ただし条件があるがな」
獣王「怖いか?」
国王「ハッ、、、これでも一国を背負う身。いつでも覚悟はしておる…」
獣王「それにしては顔色が優れないが?」
国王「…あははは!!!!先ほどの発言を撤回する。怖いに決まっておるだろうが!」
国王「今まで気づきあげてきたものがすべて無に帰すのだ、こんな間抜けな話はない。
獣王「…」
国王「早く殺せ、これ以上恥を晒しとうない」
獣王「貴様を殺さない手もある。ただし条件があるがな」
9: 2014/07/03(木) 22:21:35.82
国王「なんだ」
獣王「貴様の娘を、我が嫁にしたい。それで貴様の命は助けてやろう」
国王「娘ごときで我が命が助かるのなら、何でもよい。最早王としてのプライドなど捨ててやる。」
国王「娘は白の東の塔にいる。好きにしろ」
獣王「貴様の娘を、我が嫁にしたい。それで貴様の命は助けてやろう」
国王「娘ごときで我が命が助かるのなら、何でもよい。最早王としてのプライドなど捨ててやる。」
国王「娘は白の東の塔にいる。好きにしろ」
10: 2014/07/03(木) 22:25:31.09
獣王は東の塔の扉を開けた
獣王「おい娘、お前は今、獣王の妃となった。私とともに獣ノ国へ来い。」
姫「お父様が、私を売ったというの?」
獣王「いかにも」
姫「毎日幸せだった…民がいて、家臣たちがいて、お父様がいて。毎日楽しかった」
姫「それをあなたが奪った。一生恨み続ける、あなたの隣で」
獣王「おい娘、お前は今、獣王の妃となった。私とともに獣ノ国へ来い。」
姫「お父様が、私を売ったというの?」
獣王「いかにも」
姫「毎日幸せだった…民がいて、家臣たちがいて、お父様がいて。毎日楽しかった」
姫「それをあなたが奪った。一生恨み続ける、あなたの隣で」
12: 2014/07/03(木) 22:29:10.12
こうして、人ノ国の姫は、獣ノ国の王に嫁いでいきました。
獣ノ国は、人ノ国とまるで様子が違いました。
民の瞳に、闇がありました。
町で、犯罪や、喧嘩がおきるのは日常茶飯事でした。
人ノ国では1度もなかったことが、この国では当たり前のことなのでした。
獣ノ国は、人ノ国とまるで様子が違いました。
民の瞳に、闇がありました。
町で、犯罪や、喧嘩がおきるのは日常茶飯事でした。
人ノ国では1度もなかったことが、この国では当たり前のことなのでした。
13: 2014/07/03(木) 22:34:17.00
姫「あなたの国は、ひどい有様ね」
獣王「ほう娘、これをひどいと申すか。面白いことを言う」
姫「これが面白いですって?流石侵略者の考えることね」
姫「民が幸せに暮らせない国が良いわけありません。私の国は皆幸せでした。
私はこの国の民が皆幸せだとは思えません」
獣王「…お前の見えている幸せは、一体どのようなものか?
姫「どのようなって…苦しみや悲しみから解放され、みな笑顔で過ごせることよ」
獣王「…まだ覚めておらんか」
姫「なんのこと?」
獣王「いや、よい。もう部屋へ戻れ」
獣王「ほう娘、これをひどいと申すか。面白いことを言う」
姫「これが面白いですって?流石侵略者の考えることね」
姫「民が幸せに暮らせない国が良いわけありません。私の国は皆幸せでした。
私はこの国の民が皆幸せだとは思えません」
獣王「…お前の見えている幸せは、一体どのようなものか?
姫「どのようなって…苦しみや悲しみから解放され、みな笑顔で過ごせることよ」
獣王「…まだ覚めておらんか」
姫「なんのこと?」
獣王「いや、よい。もう部屋へ戻れ」
14: 2014/07/03(木) 22:37:10.02
獣ノ王は、嫌がる姫を連れてよく国を巡りました。
その道中でも、民による犯罪や、トラブルを多く見かけました。
獣ノ王一行は、とある農村に立ち寄りました。
その道中でも、民による犯罪や、トラブルを多く見かけました。
獣ノ王一行は、とある農村に立ち寄りました。
16: 2014/07/03(木) 22:40:55.16
村人「これは王!よくぞお越しいただきました」
獣王「ふむ、今年も稲の具合を見に来たが、今年はどうなのだ?
村人「それが…あまりよくありません。雨が降らず、稲が育ちません。
人で不足もありまして。王には本当に申し訳ない限りです」
獣王「いや、良いのだ。必ずいつかは雨が降る。お前たちは今できることをしっかりとやっておればよい」
村人「ありがとうございます、王!」
獣王「ふむ、今年も稲の具合を見に来たが、今年はどうなのだ?
村人「それが…あまりよくありません。雨が降らず、稲が育ちません。
人で不足もありまして。王には本当に申し訳ない限りです」
獣王「いや、良いのだ。必ずいつかは雨が降る。お前たちは今できることをしっかりとやっておればよい」
村人「ありがとうございます、王!」
22: 2014/07/03(木) 22:44:41.05
姫「私の国では、こんなことはなかったわ。」
獣王「と、申すと」
姫「雨が降らなければ、みな力を合わせて湖から水を運んできたし
それに村人がたくさん協力したわ。人人手不足なんてなかった」
姫「民同士で協力もできないなんて」
獣王「今お前に、あの畑で土を耕す農民がみえるか?」
姫「見えるけど、それがどうしたというの」
獣王「と、申すと」
姫「雨が降らなければ、みな力を合わせて湖から水を運んできたし
それに村人がたくさん協力したわ。人人手不足なんてなかった」
姫「民同士で協力もできないなんて」
獣王「今お前に、あの畑で土を耕す農民がみえるか?」
姫「見えるけど、それがどうしたというの」
26: 2014/07/03(木) 22:47:59.87
獣王「姿形の問題ではない。あの農民が、本当の心を込めて土を耕している姿が見えるのかと聞いておるのだ」
姫「そんなこと、私にはわからないわ」
獣王「いつかお前にそれがわかるようになってくれれば、我はそれでよいのだ」
姫「…?」
28: 2014/07/03(木) 22:51:29.50
姫が獣ノ国に嫁いで半年が過ぎようとしていました。
相変わらず、獣王は嫌がる姫を隣に置きました。
毎日国の情勢を伝えられ、嫌気がさしていました。
ある日、姫は城を抜け出しました。
人ノ国に戻るためです。
しかし、一応ここは獣人の住む国。
人間の、しかも女が城下を出歩くとなれば目立たないわけがありません。
相変わらず、獣王は嫌がる姫を隣に置きました。
毎日国の情勢を伝えられ、嫌気がさしていました。
ある日、姫は城を抜け出しました。
人ノ国に戻るためです。
しかし、一応ここは獣人の住む国。
人間の、しかも女が城下を出歩くとなれば目立たないわけがありません。
31: 2014/07/03(木) 22:54:15.06
町人「これはもしや、我らの姫君ではないか!」
姫「そ、そうですが、」
町人「噂通りの美人じゃねぇか!食っちまいたいくらいになガハハ!」
町人「ちょっとアンタ!そんなことしたら国王に八つ裂きにされちまうよ!」
町人「そりゃそうだ、ガハハ!」
姫(野蛮ね…)
いつの間にか、姫の周りにはたくさんの町人が集まっていました。
姫「そ、そうですが、」
町人「噂通りの美人じゃねぇか!食っちまいたいくらいになガハハ!」
町人「ちょっとアンタ!そんなことしたら国王に八つ裂きにされちまうよ!」
町人「そりゃそうだ、ガハハ!」
姫(野蛮ね…)
いつの間にか、姫の周りにはたくさんの町人が集まっていました。
33: 2014/07/03(木) 22:56:29.09
町人はみな、姫を中心に笑っていました。
この国に来て、初めて見た笑顔でした。
姫は心底驚きました。獣人でも笑うことができるのだと。
町人「それにしても姫さま、どうしてこんな城下に?」
35: 2014/07/03(木) 22:58:21.68
姫は、答えることができませんでした。
人ノ国に帰るため、と言うのが怖かったのです。
姫「あなたたちは、幸せですか?」
姫は、自分でもこんな言葉を発したことに驚きました。
人ノ国に帰るため、と言うのが怖かったのです。
姫「あなたたちは、幸せですか?」
姫は、自分でもこんな言葉を発したことに驚きました。
38: 2014/07/03(木) 23:00:03.38
姫はずっと疑問に思っていました。
国内で争いが絶えず、民は協力しない。
こんな国で生きていて、幸せなのかと。
すると、町人たちは大きな声で笑い出しました。
国内で争いが絶えず、民は協力しない。
こんな国で生きていて、幸せなのかと。
すると、町人たちは大きな声で笑い出しました。
40: 2014/07/03(木) 23:03:02.34
町人「ガハハハ!!姫さま、そりゃーこの国はひでぇもんだぜ?」
町人「空気はまずいし、いい女はいねぇし…なによりロクなメシも食えねぇ!」
姫「やはり、幸せではないのですね」
町人「でもな、姫さま」
町人「空気はまずいし、いい女はいねぇし…なによりロクなメシも食えねぇ!」
姫「やはり、幸せではないのですね」
町人「でもな、姫さま」
43: 2014/07/03(木) 23:06:10.46
町人「毎日苦労して畑を耕して、売ってもロクな金にならねぇ時もある」
町人「苦労して耕した畑を、嵐で失ったこともよくあるはなしさ」
町人「でもな、そんな苦労して働いて、得た金で食うメシは最高に旨いんだ!
そういう時にああ、幸せだなぁって思うわけよ」
町人「苦労して耕した畑を、嵐で失ったこともよくあるはなしさ」
町人「でもな、そんな苦労して働いて、得た金で食うメシは最高に旨いんだ!
そういう時にああ、幸せだなぁって思うわけよ」
46: 2014/07/03(木) 23:09:06.95
姫は驚きました。
苦労したことが、幸せにつながるという概念がなかったからです。
人ノ国では、苦労せずとも幸せは得ることができたからです。
姫「苦労した分、幸せになるということ…?
町人「まーそういうこっちゃな!それより姫さま、こんな場所に長居して大丈夫なのかい?」
姫は、獣王にこの町人たちの気持ちは本当なのかと聞きにいくことにしました。
姫「そうね、そろそろ帰りますわ」
苦労したことが、幸せにつながるという概念がなかったからです。
人ノ国では、苦労せずとも幸せは得ることができたからです。
姫「苦労した分、幸せになるということ…?
町人「まーそういうこっちゃな!それより姫さま、こんな場所に長居して大丈夫なのかい?」
姫は、獣王にこの町人たちの気持ちは本当なのかと聞きにいくことにしました。
姫「そうね、そろそろ帰りますわ」
47: 2014/07/03(木) 23:11:30.22
その帰り道。
姫は城までの道のりをあるいていました。
頭の中では、先ほどの町人の言葉がぐるぐると巡っていました。
(苦労が幸せに繋がる…?)
?「あんたが姫か」
その時、背後から声がしました。
姫は城までの道のりをあるいていました。
頭の中では、先ほどの町人の言葉がぐるぐると巡っていました。
(苦労が幸せに繋がる…?)
?「あんたが姫か」
その時、背後から声がしました。
49: 2014/07/03(木) 23:13:59.93
姫「誰ですの」
山賊「んー、俗世間でいう山賊っていうやつかな」
姫「山賊さんが私に何の用」
山賊「まぁ簡単に言うとだな、町で噂を聞きつけてアンタをさらいに来た。
アンタを人質にして、国から金をぶんどるためにな」
山賊「んー、俗世間でいう山賊っていうやつかな」
姫「山賊さんが私に何の用」
山賊「まぁ簡単に言うとだな、町で噂を聞きつけてアンタをさらいに来た。
アンタを人質にして、国から金をぶんどるためにな」
50: 2014/07/03(木) 23:16:55.10
姫「残念ながら、そんなことをしても無駄だと思うわ」
姫は、この国に来て以来、獣王の隣に置かれることがあったとしても
大切にされたことはありませんでした。
獣王のすることといえば、姫を寝るとき以外隣に置くことだけでした。
姫「あの人は私のことを大切になんかしていないわ、
きっと人質となれば真っ先に切り捨てるでしょう」
山賊「ほぅ、夫婦円満というわけではないのか。つまんねぇな」
姫は、この国に来て以来、獣王の隣に置かれることがあったとしても
大切にされたことはありませんでした。
獣王のすることといえば、姫を寝るとき以外隣に置くことだけでした。
姫「あの人は私のことを大切になんかしていないわ、
きっと人質となれば真っ先に切り捨てるでしょう」
山賊「ほぅ、夫婦円満というわけではないのか。つまんねぇな」
51: 2014/07/03(木) 23:19:21.17
姫は、木陰から除く無数の目を見つけました。
どうやら山賊は1人ではなかったようです。
山賊「でもまぁ、人間の女としては上物だ。高値で売れる」
姫「わ、私を売り飛ばすというの!?」
山賊「そういうこった」
山賊は、姫に飛びかかってきました。
姫が目を閉じた、その瞬間。
どうやら山賊は1人ではなかったようです。
山賊「でもまぁ、人間の女としては上物だ。高値で売れる」
姫「わ、私を売り飛ばすというの!?」
山賊「そういうこった」
山賊は、姫に飛びかかってきました。
姫が目を閉じた、その瞬間。
52: 2014/07/03(木) 23:21:49.06
ガキンッッ!!
金属のはじけ飛ぶ音がしました。
と、その次には山賊の絶叫と、肉を絶つ音。
姫はゆっくりと目をあけました。
そこに立っていたのは、黄金のの毛を靡かせる獣王の姿でした。
姫「どうして…」
金属のはじけ飛ぶ音がしました。
と、その次には山賊の絶叫と、肉を絶つ音。
姫はゆっくりと目をあけました。
そこに立っていたのは、黄金のの毛を靡かせる獣王の姿でした。
姫「どうして…」
53: 2014/07/03(木) 23:24:06.34
獣王は、山賊を一発で仕留めたようでした。
目の前で横たわる山賊は、もうピクリとも動きません。
獣王が振り向きました。
返り血を浴びたのか、鬣が血で染まっています。
獣王「どうして、と言ったか」
目の前で横たわる山賊は、もうピクリとも動きません。
獣王が振り向きました。
返り血を浴びたのか、鬣が血で染まっています。
獣王「どうして、と言ったか」
55: 2014/07/03(木) 23:27:32.06
獣王「妃を助けない王がどこにおるか」
姫「私なんかを助けても得することがありません。あなたの手を汚すだけ…」
獣王「我はとっくに汚れている。得することは…ないかもしれんが」
姫「ではなぜ!私など、どうでもよい存在なのではないのですか!」
獣王「愚問」
姫「私なんかを助けても得することがありません。あなたの手を汚すだけ…」
獣王「我はとっくに汚れている。得することは…ないかもしれんが」
姫「ではなぜ!私など、どうでもよい存在なのではないのですか!」
獣王「愚問」
59: 2014/07/03(木) 23:30:39.83
獣王「お前が、大切なものだからだ。我は大切なものを失いたくはない。
そして大切なものを守れたとき、安堵し、幸せを感じるのだ」
獣王「それにお前は覚えていないのかもしれんが、我は誓ったのだ。お前を必ず救い出すと」
姫は言葉を失いました。
そして大切なものを守れたとき、安堵し、幸せを感じるのだ」
獣王「それにお前は覚えていないのかもしれんが、我は誓ったのだ。お前を必ず救い出すと」
姫は言葉を失いました。
61: 2014/07/03(木) 23:33:07.47
そのような言葉は、獣王から一度も獣王から聞いたことはありませんでした。
突然大切だ、と言われても理解することができませんでした。
獣王の誓いも、全く聞いた覚えはありません。
しかし、獣王の瞳からは、闇を感じることはありませんでした。
突然大切だ、と言われても理解することができませんでした。
獣王の誓いも、全く聞いた覚えはありません。
しかし、獣王の瞳からは、闇を感じることはありませんでした。
62: 2014/07/03(木) 23:35:53.92
姫「信じていいのですか、侵略者の、獣ノ王のあなたを」
獣王「無論だ」
そういって獣王は微笑みました。
姫は初めて獣王が笑ったところを見ました。
その時、姫は気づいたのです。
獣王が常に姫をそばに置いていたのは、姫を守るためだと。
そして姫は、苦労して得る幸せも、少しだけわかったような気がしました。
獣王「無論だ」
そういって獣王は微笑みました。
姫は初めて獣王が笑ったところを見ました。
その時、姫は気づいたのです。
獣王が常に姫をそばに置いていたのは、姫を守るためだと。
そして姫は、苦労して得る幸せも、少しだけわかったような気がしました。
63: 2014/07/03(木) 23:37:22.61
それから姫と獣王は、少しずつ距離を縮めていきました。
お互いのことを知ろうという努力を始めました。
お互いのことを知ろうという努力を始めました。
65: 2014/07/03(木) 23:39:55.96
あるとき、姫と獣王に民から届け物がありました。
中を開けると、何かの種が入っていました。
姫「これは…?」
獣王「これは、トマトの種だ。手紙には、このような種からトマトを作る、と書いてある」
姫「獣王、私、これを育ててみたいのですが」
中を開けると、何かの種が入っていました。
姫「これは…?」
獣王「これは、トマトの種だ。手紙には、このような種からトマトを作る、と書いてある」
姫「獣王、私、これを育ててみたいのですが」
68: 2014/07/03(木) 23:42:24.91
獣王は少し驚いたような表情を見せました。
獣王「ほう、作物を育てたいと申すか。しかし、何故」
姫「私は、苦労して得る幸せ、というものがいまいち理解できません。
人ノ国では、苦労という概念がありませんでしたから」
獣王「…」
姫「理解したいのです。だめですか?」
獣王「いや、大いに結構。育て方は家臣に尋ねるとよい」
獣王「ほう、作物を育てたいと申すか。しかし、何故」
姫「私は、苦労して得る幸せ、というものがいまいち理解できません。
人ノ国では、苦労という概念がありませんでしたから」
獣王「…」
姫「理解したいのです。だめですか?」
獣王「いや、大いに結構。育て方は家臣に尋ねるとよい」
69: 2014/07/03(木) 23:45:11.18
それから姫はトマトを育て始めました。
農業に詳しい家臣から育て方を学びました。
手伝おうとする家臣たちの申し出を断り、1人で畑を耕しました。
といっても、小さな畑ですが。
農作業をしたことのない姫ですから、すぐに意気があがってしまいました。
(こんなつらいことが幸せになるというの?)
姫らしからぬ、汗を流しながら姫は鍬をふるいました。
農業に詳しい家臣から育て方を学びました。
手伝おうとする家臣たちの申し出を断り、1人で畑を耕しました。
といっても、小さな畑ですが。
農作業をしたことのない姫ですから、すぐに意気があがってしまいました。
(こんなつらいことが幸せになるというの?)
姫らしからぬ、汗を流しながら姫は鍬をふるいました。
71: 2014/07/03(木) 23:47:41.32
獣王はその姿を眺めていました。
獣王「姫が、呪から解き放たれようとしている…
これは、我が国の魔術師たちですら解けない呪い。
姫自身の力で解かなければならない…」
獣王「姫が、呪から解き放たれようとしている…
これは、我が国の魔術師たちですら解けない呪い。
姫自身の力で解かなければならない…」
72: 2014/07/03(木) 23:50:24.80
姫は、順調にトマトを育てていきました。
そんなある日のこと、国に嵐がやってきました。
風が吹き荒れ、雨は滝のようにふりました。
姫「こんな大雨では畑が流れてしまうわ…残念ね」
いや、違う。姫の心の中に、いつもとは違う感情が浮かびました。
そんなある日のこと、国に嵐がやってきました。
風が吹き荒れ、雨は滝のようにふりました。
姫「こんな大雨では畑が流れてしまうわ…残念ね」
いや、違う。姫の心の中に、いつもとは違う感情が浮かびました。
73: 2014/07/03(木) 23:52:43.50
姫(今まで必氏でなれない農作業をし、育ててきた作物。こんな嵐のせいで無駄になんてさせたくない)
姫は、外に飛び出していきました。
家臣「姫!お戻りください!!風邪をひいてしまいます!」
獣王「放っておけ」
家臣「しかし…!」
獣王「呪いが、解かれる瞬間なのだ」
家臣「なんと、呪いが…!かしこまりました」
姫は、外に飛び出していきました。
家臣「姫!お戻りください!!風邪をひいてしまいます!」
獣王「放っておけ」
家臣「しかし…!」
獣王「呪いが、解かれる瞬間なのだ」
家臣「なんと、呪いが…!かしこまりました」
75: 2014/07/03(木) 23:54:56.25
大嵐のなか、姫は必氏にトマトの苗を抑えていました。
少しでも気を緩めると、飛ばされそうになってしまいます。
姫の小さな体では、嵐に耐えるのに限界がありました。
姫(嵐よ、早く過ぎて、早く!)
少しでも気を緩めると、飛ばされそうになってしまいます。
姫の小さな体では、嵐に耐えるのに限界がありました。
姫(嵐よ、早く過ぎて、早く!)
76: 2014/07/03(木) 23:57:32.56
獣王「我が妃はひ弱だな」
姫「獣王!」
いつのまにか、トマトの苗を抑える手が増えていました。
姫「帰ってください!これは私が1人で守ります!」
獣王「意外と頑固者なのだな。だが、獣ノ国の住人が手伝うという行為をしているのだぞ?
良いことではないのか?」
そういって獣王は笑いました。
姫「それはっ…!その通りですが」
姫「獣王!」
いつのまにか、トマトの苗を抑える手が増えていました。
姫「帰ってください!これは私が1人で守ります!」
獣王「意外と頑固者なのだな。だが、獣ノ国の住人が手伝うという行為をしているのだぞ?
良いことではないのか?」
そういって獣王は笑いました。
姫「それはっ…!その通りですが」
77: 2014/07/03(木) 23:59:18.19
こうして二人は、大嵐が過ぎるまで苗を守り抜きました。
安心しきった姫は、その場に倒れこんでしまいました。
薄れゆく意識の中、姫はぬくもりに包まれるのを感じました。
安心しきった姫は、その場に倒れこんでしまいました。
薄れゆく意識の中、姫はぬくもりに包まれるのを感じました。
80: 2014/07/04(金) 00:04:26.24
姫が目をさましたのは、それから2日あとでした。
ベットから隣を見ると、そこに獣王が座っていました。
姫「私は…」
獣王「起きたか。お前はあの後高熱をだし、丸2日もうなされていたのだぞ」
姫「お恥ずかしい限りです」
獣王「我が妃もかなり泥臭くなったものよ」
そういって獣王は笑いました。
獣王「これを食え」
獣王はそういうと、真っ赤なトマトを差し出しました。
姫「これは、もしや」
獣王「そうだ、お前が育てたトマトだ。ちょうど熟れたのでな。
これを食って栄養をつけるがよい」
姫はまじまじとトマトを眺めると、勢いよくトマトにかじりつきました。
ベットから隣を見ると、そこに獣王が座っていました。
姫「私は…」
獣王「起きたか。お前はあの後高熱をだし、丸2日もうなされていたのだぞ」
姫「お恥ずかしい限りです」
獣王「我が妃もかなり泥臭くなったものよ」
そういって獣王は笑いました。
獣王「これを食え」
獣王はそういうと、真っ赤なトマトを差し出しました。
姫「これは、もしや」
獣王「そうだ、お前が育てたトマトだ。ちょうど熟れたのでな。
これを食って栄養をつけるがよい」
姫はまじまじとトマトを眺めると、勢いよくトマトにかじりつきました。
81: 2014/07/04(金) 00:06:33.39
>>79 ちょっともれた
姫「もぐもぐ」
獣王「どうだ、自分で育てたトマトは」
姫「はい、すごくおいしいです、すごく…うっ…グスッ…」
姫は泣きだしてしまいました。
姫「もぐもぐ」
獣王「どうだ、自分で育てたトマトは」
姫「はい、すごくおいしいです、すごく…うっ…グスッ…」
姫は泣きだしてしまいました。
82: 2014/07/04(金) 00:09:15.90
獣王「な、何故泣く」
姫「わかりません、でも、なぜか涙があふれてきて…
今までの努力が報われたからなのでしょうか…」
姫「これが、苦労して得る幸せなのですね」
獣王「ようやく理解したようだな」
そのとき、姫の額から黒い靄が抜けていきました。
獣王「解けたか」
姫「?」
獣王「いや、なんでもない。しばらく休め」
姫「わかりません、でも、なぜか涙があふれてきて…
今までの努力が報われたからなのでしょうか…」
姫「これが、苦労して得る幸せなのですね」
獣王「ようやく理解したようだな」
そのとき、姫の額から黒い靄が抜けていきました。
獣王「解けたか」
姫「?」
獣王「いや、なんでもない。しばらく休め」
83: 2014/07/04(金) 00:11:38.30
__その日も1日中、熱が下がるまで姫はベットの中にいました。
あのトマトを食べてから、なんだかすっきりした気分になっていました。
(不思議)
姫がそう思いながら瞼を閉じようとすると、廊下から家臣の話し声が聞こえてきました。
あのトマトを食べてから、なんだかすっきりした気分になっていました。
(不思議)
姫がそう思いながら瞼を閉じようとすると、廊下から家臣の話し声が聞こえてきました。
84: 2014/07/04(金) 00:13:54.24
(姫の呪いが解けたと)
(それは真か、なんと喜ばしい)
(この時のために王はどれだけ力を尽くしたか)
(わざわざ人ノ国にまで攻め込んで、…本当に長かったな)
(あぁ、王は姫を妃にできてたいそうよろこんでいらっしゃる)
姫「どういうこと…?」
(それは真か、なんと喜ばしい)
(この時のために王はどれだけ力を尽くしたか)
(わざわざ人ノ国にまで攻め込んで、…本当に長かったな)
(あぁ、王は姫を妃にできてたいそうよろこんでいらっしゃる)
姫「どういうこと…?」
85: 2014/07/04(金) 00:17:20.10
姫「私を妃にするために、人ノ国に攻め込んだってこと…?
でも、私はあの日以前に獣王と面識もあったわけではないし…今の話、本当だったら…」
姫の心の中で、何かが崩れる音がしました。
姫はベットから飛び起き、部屋を出ました。
姫「その話、詳しくきかせてくださる?」
家臣「ひ、姫!?」
でも、私はあの日以前に獣王と面識もあったわけではないし…今の話、本当だったら…」
姫の心の中で、何かが崩れる音がしました。
姫はベットから飛び起き、部屋を出ました。
姫「その話、詳しくきかせてくださる?」
家臣「ひ、姫!?」
87: 2014/07/04(金) 00:18:55.62
家臣「起きていらしたのですか、、、
今お聞きになった話はどうかお忘れください。お願いします」
家臣の慌てようを見て、姫は今の話は本当なのだと思いました。
姫「いいわ、直接獣王に問いただします」
今お聞きになった話はどうかお忘れください。お願いします」
家臣の慌てようを見て、姫は今の話は本当なのだと思いました。
姫「いいわ、直接獣王に問いただします」
90: 2014/07/04(金) 00:21:28.01
姫「獣王!」
獣王「どうした、我が妃よ」
姫「あなたは私を妃にするために、人ノ国に攻め入った。これは本当?」
姫は、ものすごい剣幕で獣王を問いただしました。
獣王「…いかにも」
獣王「どうした、我が妃よ」
姫「あなたは私を妃にするために、人ノ国に攻め入った。これは本当?」
姫は、ものすごい剣幕で獣王を問いただしました。
獣王「…いかにも」
94: 2014/07/04(金) 00:24:34.97
姫「何故…!!民の幸せを奪ってまで私などを妃にしようとするのですか!
獣王、あなたとはあの日以前に出会ったことなどなかったのに!!」
獣王「出会ったことはある」
獣王、あなたとはあの日以前に出会ったことなどなかったのに!!」
獣王「出会ったことはある」
95: 2014/07/04(金) 00:27:00.64
姫「そんな覚え、私にはないわ」
獣王「お前もあの頃は幼かったから覚えていないのも無理はない。
それか、呪いのせいか(ボソッ 」
獣王「長くなるが、これを聞かせねばお前はなっとくしまい。
勝手にはなさせてもらうぞ?」
姫「ええ、どうぞ」
獣王「お前もあの頃は幼かったから覚えていないのも無理はない。
それか、呪いのせいか(ボソッ 」
獣王「長くなるが、これを聞かせねばお前はなっとくしまい。
勝手にはなさせてもらうぞ?」
姫「ええ、どうぞ」
99: 2014/07/04(金) 00:31:45.71
獣王「昔、成人する前の話だ…我は一人で旅をしていた。行くあても特にきめておらず、
大陸中をめぐっていた」
獣王「人ノ国にいた時だ、我は空腹に耐えられず、近くの畑から作物を盗み取って食べてしまった」
姫「あなたが!?」
獣王「今思い出すと恥ずかしい話だ。当然我は捕えられ、獣人ということもあってか王宮で裁かれることとなった」
大陸中をめぐっていた」
獣王「人ノ国にいた時だ、我は空腹に耐えられず、近くの畑から作物を盗み取って食べてしまった」
姫「あなたが!?」
獣王「今思い出すと恥ずかしい話だ。当然我は捕えられ、獣人ということもあってか王宮で裁かれることとなった」
100: 2014/07/04(金) 00:35:51.08
ちょっと補足書くね
獣ノ国では、成人する際「成人の儀」というものを受ける
獣人は生まれたときは普通の獣(ライオンとかイメージしてね)なんだけど、
成人の儀をで特別な魔術を受けることによって、獣の姿か、2足歩行できる獣人の姿か
どちらかを選ぶことができる。
獣のままを選んだ者は、たいていは獣兵となる。
この王は、まだ成人の儀を受けてないから獣のままの姿。
獣ノ国では、成人する際「成人の儀」というものを受ける
獣人は生まれたときは普通の獣(ライオンとかイメージしてね)なんだけど、
成人の儀をで特別な魔術を受けることによって、獣の姿か、2足歩行できる獣人の姿か
どちらかを選ぶことができる。
獣のままを選んだ者は、たいていは獣兵となる。
この王は、まだ成人の儀を受けてないから獣のままの姿。
107: 2014/07/04(金) 00:38:43.43
獣王「我も、悪事を働いたのだから裁かれるのは当然だと思っていた。
しかしその時、まだ幼いお前が我の前に現れた」
獣王「そして、我にパンを一切れ与えこう言った。
この国で、不幸を生みたくない、と…」
しかしその時、まだ幼いお前が我の前に現れた」
獣王「そして、我にパンを一切れ与えこう言った。
この国で、不幸を生みたくない、と…」
109: 2014/07/04(金) 00:42:46.44
獣王「そうして私は釈放された。罪を背負いながら生きていくことを許された。」
獣王「その時、私は恋をした。獣人にも関わらず、優しくしてくれたお前に。
それと同時に、守らねばならないと思った、お前をあの国から…」
姫は心底驚きました。
姫「そんな記憶全くなかった…ということは、そんな昔から私のことを思ってくれてたってこと?」
獣王「その時、私は恋をした。獣人にも関わらず、優しくしてくれたお前に。
それと同時に、守らねばならないと思った、お前をあの国から…」
姫は心底驚きました。
姫「そんな記憶全くなかった…ということは、そんな昔から私のことを思ってくれてたってこと?」
111: 2014/07/04(金) 00:45:47.32
獣王「そういうことになるな。お前を守るため、必氏に己を鍛えた。
お前を守る力をつけるために」
補足2
獣ノ国では、王族がない。力が強いものが頂点に立つ世界。
王になるには、現職の王を決闘で倒さねばならない。
ちなみにこの獣王も前王を頃して王の職についている。
お前を守る力をつけるために」
補足2
獣ノ国では、王族がない。力が強いものが頂点に立つ世界。
王になるには、現職の王を決闘で倒さねばならない。
ちなみにこの獣王も前王を頃して王の職についている。
113: 2014/07/04(金) 00:49:15.77
姫「ごめんなさい、あなたのこと全く覚えていなくて。
でもちょっと待って?私を守ろうとしてくれたっていうけど、
それならなぜ私の国を攻めたの?」
姫「あの国からお前を守るって、むしろ私は人ノ国に守られていたわ。
それを、どうして」
獣王の表情が曇りました。
その瞳には、少し闇が戻ったような気がしました。
獣王「それをお前に伝えるべきではないと思っている…
おまえが『大切』だからだ」
でもちょっと待って?私を守ろうとしてくれたっていうけど、
それならなぜ私の国を攻めたの?」
姫「あの国からお前を守るって、むしろ私は人ノ国に守られていたわ。
それを、どうして」
獣王の表情が曇りました。
その瞳には、少し闇が戻ったような気がしました。
獣王「それをお前に伝えるべきではないと思っている…
おまえが『大切』だからだ」
115: 2014/07/04(金) 00:52:15.37
姫「私はこの7か月間、あなたのそばにいて大切なものを学んだわ。
あなたのおかげで得られたこともある。やっとあなたを好きになれそうなの」
姫「だから、あなたが私の国を攻めたことに理由があるなら話してください。
一応これでも夫婦なのでしょう?」
獣王「お前が壊れてしまうかもしれない」
姫「この国に来てから、そんな覚悟はしていました」
あなたのおかげで得られたこともある。やっとあなたを好きになれそうなの」
姫「だから、あなたが私の国を攻めたことに理由があるなら話してください。
一応これでも夫婦なのでしょう?」
獣王「お前が壊れてしまうかもしれない」
姫「この国に来てから、そんな覚悟はしていました」
116: 2014/07/04(金) 00:53:39.82
獣王「以前お前の国では苦労がない、辛いことはないと言ったな」
姫「ええ、ありませんでした」
獣王「それはすべてまやかしだ」
姫「ええ、ありませんでした」
獣王「それはすべてまやかしだ」
118: 2014/07/04(金) 00:55:09.13
姫「ま、まやかし…??」
獣王「そうだ。お前たちは騙されているのだ。卑劣な王の手によって」
姫「ちょ、ちょっと待ってください、意味が分かりません、
お父様が何をしたというの!?」
獣王「そうだ。お前たちは騙されているのだ。卑劣な王の手によって」
姫「ちょ、ちょっと待ってください、意味が分かりません、
お父様が何をしたというの!?」
120: 2014/07/04(金) 01:01:57.15
獣王「お前は知らない…いや、気づかないようにされていたのだ。
人ノ国の民はみな、王の邪悪な魔術によって『苦労』と『不幸』を感じないようにされていた」
獣王「以前言ったな、雨が降らなければ民は湖から水を運ぶと。その仕事が、どれだけ辛いか想像できるか?
嵐の中トマトの苗を抑えることの何倍も辛い労働だ」
121: 2014/07/04(金) 01:05:17.62
獣王「私が国を旅しているとき、昼夜問わず村人が働いている姿を何度も見た。
あれは異様な光景だった。近くで仲間が過労で倒れても、誰も言わない。
労働が辛い、しんどいと」
姫「もしかして、そんな、」
姫の額に汗がにじみました
獣王「そうだ、お前の父は、国民を過剰に働かせる機械に変えていたのだ」
あれは異様な光景だった。近くで仲間が過労で倒れても、誰も言わない。
労働が辛い、しんどいと」
姫「もしかして、そんな、」
姫の額に汗がにじみました
獣王「そうだ、お前の父は、国民を過剰に働かせる機械に変えていたのだ」
122: 2014/07/04(金) 01:08:15.91
獣王「姫、お前の気づかないところで民は異常に労働させられ、しかも感情を制限され…
もはやあの国に人権はなかった」
姫「そんなの、うそ、お父様がそんなこと、、、」
獣王「嘘と申すか?では思い返してみるがよい。
初めてトマトを育てた時に感じた苦労を。あれを人ノ国で味わったことはないのだろう?」
もはやあの国に人権はなかった」
姫「そんなの、うそ、お父様がそんなこと、、、」
獣王「嘘と申すか?では思い返してみるがよい。
初めてトマトを育てた時に感じた苦労を。あれを人ノ国で味わったことはないのだろう?」
124: 2014/07/04(金) 01:11:32.53
獣王「我は、そんな国からお前を救いたかった。
そして、そんな国は滅ぼしてしまえばいいと思った。
…だから攻め入った」
獣王「しかし、いざ人ノ国で戦を起こしてみると…この国を心から愛していたお前の姿が頭に浮かんだ。
この国を滅ぼしたら、お前を失ってしまうのではないかと思った。
…大切な時に、情が移ったのだ。情けないことに」
そして、そんな国は滅ぼしてしまえばいいと思った。
…だから攻め入った」
獣王「しかし、いざ人ノ国で戦を起こしてみると…この国を心から愛していたお前の姿が頭に浮かんだ。
この国を滅ぼしたら、お前を失ってしまうのではないかと思った。
…大切な時に、情が移ったのだ。情けないことに」
126: 2014/07/04(金) 01:15:04.85
獣王「だから私は、お前をこの国に連れてきた。
せめてお前だけでも、あの異常な世界から救いたかった。理解できるか?」
姫は今にも倒れてしまいそうだった。
自分の命を守るために、娘を侵略者へ売った父。
信じたくはないが、今の話をきくとすべてつじつまが合ってしまう。
せめてお前だけでも、あの異常な世界から救いたかった。理解できるか?」
姫は今にも倒れてしまいそうだった。
自分の命を守るために、娘を侵略者へ売った父。
信じたくはないが、今の話をきくとすべてつじつまが合ってしまう。
129: 2014/07/04(金) 01:18:21.04
姫「わかった…今まで私がすごしてきたのは、すべて偽りの幸せで…
私の知らないところで民が苦しめられ…いや、その感情すら消されて」
姫の頬を涙が伝いました。
姫「そして私は!そんな民の姿を知ろうともしないで、一人でのうのうと過ごして…!
私は姫失格です、ぐずっ…」
私の知らないところで民が苦しめられ…いや、その感情すら消されて」
姫の頬を涙が伝いました。
姫「そして私は!そんな民の姿を知ろうともしないで、一人でのうのうと過ごして…!
私は姫失格です、ぐずっ…」
130: 2014/07/04(金) 01:21:41.40
獣王「仕方あるまい、お前も国王の魔術の虜だったのだから。
こうしてお前だけでも救えてよかった」
獣王は、姫を抱きしめた。
姫は、獣王の胸に顔を埋めた。
黄金の毛並みが、姫の涙をぬぐう。
姫「だめです」
獣王「なんと」
姫「私だけが、ここでのうのうと暮らしているのは民に申し訳ありません」
こうしてお前だけでも救えてよかった」
獣王は、姫を抱きしめた。
姫は、獣王の胸に顔を埋めた。
黄金の毛並みが、姫の涙をぬぐう。
姫「だめです」
獣王「なんと」
姫「私だけが、ここでのうのうと暮らしているのは民に申し訳ありません」
132: 2014/07/04(金) 01:24:42.97
姫「民を救わねば。私はあの国を愛しています。
それは、真実を聞かされても変わりはありません」
獣王「しかしそれは」
姫「危険なことは重々わかっています。しかし。
私はこの国で、大切なことを学びました。
苦労して、努力して得た成果は、本当に幸せなのだと」
それは、真実を聞かされても変わりはありません」
獣王「しかしそれは」
姫「危険なことは重々わかっています。しかし。
私はこの国で、大切なことを学びました。
苦労して、努力して得た成果は、本当に幸せなのだと」
133: 2014/07/04(金) 01:28:20.97
姫「あなたに教えてもらったこの感情を。
あなたがくれた幸せを。
私は民に伝えなければならない。
それが私の、本当のしあわせ」
獣王「…お前なら、そう言うと思った。だから言いたくなかったのだ。
お前を危険にさらしたくなかった…」
獣王「だが、もう決心は揺らがないのだな?」
姫はしっかり獣王を見据え、うなずいた。
その瞳には、決意の炎がゆらいでいた。
あなたがくれた幸せを。
私は民に伝えなければならない。
それが私の、本当のしあわせ」
獣王「…お前なら、そう言うと思った。だから言いたくなかったのだ。
お前を危険にさらしたくなかった…」
獣王「だが、もう決心は揺らがないのだな?」
姫はしっかり獣王を見据え、うなずいた。
その瞳には、決意の炎がゆらいでいた。
135: 2014/07/04(金) 01:31:46.64
獣王は少し困ったような表情になった。
獣王「我が妃は頑固者よのぅ…」
姫「嫌気がさしましたか?」
獣王「そんなわけがなかろう。お前は私の大切な人。
お前の幸せは、我の幸せ」
獣王「お前のためなら、なんにでもなろう。それこそ外道にでも。
我が牙は、すべてお前のものだ。この力、お前のためだけに使う」
姫「獣王…!」
獣王「我が妃は頑固者よのぅ…」
姫「嫌気がさしましたか?」
獣王「そんなわけがなかろう。お前は私の大切な人。
お前の幸せは、我の幸せ」
獣王「お前のためなら、なんにでもなろう。それこそ外道にでも。
我が牙は、すべてお前のものだ。この力、お前のためだけに使う」
姫「獣王…!」
137: 2014/07/04(金) 01:35:20.50
獣王はその場にひざまずき、剣を姫の前に置いた。
獣王「我が剣にかけて誓おう。たとえこの剣が折れようとも、
この命が尽きるまでお前のために戦う」
獣王は、姫の手の甲にキスをしました。
姫「その契約は、お断りしますわ」
獣王「なんだと!?」
獣王「我が剣にかけて誓おう。たとえこの剣が折れようとも、
この命が尽きるまでお前のために戦う」
獣王は、姫の手の甲にキスをしました。
姫「その契約は、お断りしますわ」
獣王「なんだと!?」
138: 2014/07/04(金) 01:37:21.70
姫「必ず、生きるのです。生きて、本当の幸せを掴むのです。
これを飲んでくださるなら、契約成立よ」
獣王「本当に頑固な妃だ…」
獣王は笑いました。
姫も、穏やかな表情で獣王を見つめています
これを飲んでくださるなら、契約成立よ」
獣王「本当に頑固な妃だ…」
獣王は笑いました。
姫も、穏やかな表情で獣王を見つめています
140: 2014/07/04(金) 01:40:39.49
獣王「おそらく、国王は処刑する際に我を殺そうと機会を伺っていたに違いない。
あれほどの魔術を使う男だ、そう簡単に殺せるわけがない。
厳しい戦いになる。それに…お前の父を頃すことになる」
姫「あんなやつ、もうお父様とは呼びませんわ!手加減は不要ですよ」
獣王「おぉ、言うようになったではないか。それでこそ我が妃」
あれほどの魔術を使う男だ、そう簡単に殺せるわけがない。
厳しい戦いになる。それに…お前の父を頃すことになる」
姫「あんなやつ、もうお父様とは呼びませんわ!手加減は不要ですよ」
獣王「おぉ、言うようになったではないか。それでこそ我が妃」
143: 2014/07/04(金) 01:44:42.58
獣王「そういえば、まだ結婚の儀を執り行っていなかったな」
姫「そういえば、そうでしたね。あなた、ずっとぶっきらぼうでしたから」
獣王「それは申し訳なかった、恥ずかしかっ…じ、時間がなかったのだ!
よ、よし、今執り行おう!」
姫「い、今ですか!無理ですよ!」
獣王の顔が真っ赤に染まりました。
獣王「なに、簡単なことだ。
我が姫君よ、生涯をかけて愛し、守りぬくとここに誓おう」
姫「そういえば、そうでしたね。あなた、ずっとぶっきらぼうでしたから」
獣王「それは申し訳なかった、恥ずかしかっ…じ、時間がなかったのだ!
よ、よし、今執り行おう!」
姫「い、今ですか!無理ですよ!」
獣王の顔が真っ赤に染まりました。
獣王「なに、簡単なことだ。
我が姫君よ、生涯をかけて愛し、守りぬくとここに誓おう」
145: 2014/07/04(金) 01:48:12.21
姫のために、すべてをかけると誓った、一人の騎士の姿がそこにはありました。
金色の毛並みが夕日を浴び、美しい色に染まっています。
それはまるで、天からの籠を受けたようでした。
姫頬を赤くそめ、うっすらと瞳に涙を浮かべながらこう言いました。
姫「信じています、ともに歩みましょう。愛すべき侵略者さん」
FIN
金色の毛並みが夕日を浴び、美しい色に染まっています。
それはまるで、天からの籠を受けたようでした。
姫頬を赤くそめ、うっすらと瞳に涙を浮かべながらこう言いました。
姫「信じています、ともに歩みましょう。愛すべき侵略者さん」
FIN
146: 2014/07/04(金) 01:48:50.43
駄文でごめん
書き方もコロコロかわって申し訳ない
書き方もコロコロかわって申し訳ない
147: 2014/07/04(金) 01:48:53.19
おつ
面白かった
続編頼む
面白かった
続編頼む
153: 2014/07/04(金) 01:51:24.97
私ももう寝るわ明日水泳の授業あるし
みんな支援ありがとうおやすみなさい
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