2: 2012/06/19(火) 22:00:38.12
女「…ただいま」

執事「お帰りなさいませ」

メイド「あっ、お帰りなさいませーー!」トテテ

メイド「お疲れでしょう、お風呂はもう沸かしてありますよ」

女「うん、ありがと」

執事「お荷物、お持ちします」サッ

女「お願い」

執事「では」ササッ

女「…そうだ」

メイド「どうかしましたか?」

女「私の背中、流してくれない?」ニヤ

メイド「その邪悪な笑みはなんですかっ!?」

女「あら、ご主人様を邪悪扱いするのね?」

メイド「前科をお持ちのくせに何を今更っ!!」

女「人聞き悪いこと言わないでよ? あれはただ貴方の体を洗ってあげただけじゃない」

メイド「程遠いですよっ!!」

3: 2012/06/19(火) 22:01:17.51
だがしかし、ご主人様の言いつけに反抗するわけにもいかなく…。

メイド「うううぅぅぅぅぅぅぅぅ………」ゴシゴシ

女「んーっ、メイドは力加減が上手ね」

メイド「それは…ありがたいですけど………」ゴシゴシ

女「お礼に、また私が洗ってあげようか?」ニヤリ

メイド「遠慮しときますっ!!!」

女「…ふふ、釣れないのね」

メイド「二度も同じ手には引っかかりませんからね…」

女「そうだったわね、優秀なメイドさん♪」

メイド「…馬鹿にされた気がします」ムー

4: 2012/06/19(火) 22:01:53.90
女「ねぇねぇ、まぁだあぁぁぁ??」クー

メイド「むぅ、まだお魚が焼けてませんっ!」

女「お腹すいたーーー!!」ガタンッガタンッ

メイド「子供じゃないんですから暴れないでくださいっ!」

女「なによ、私と同い年のくせにっ」

メイド「精神年齢がちがいますっ!」

女「ああ、私のほうが上か」

メイド「おばさんの方ですかね? わたしはだいたい二十代中半あたりでしょうか」

女「メイド、明日も背中流しお願いね♪」

メイド「いやーっ、お嬢様は大人びてて素敵ですっ! 女に生まれたわたしが後悔するぐらいですよ!!」

執事「騒がしい。 黙って料理を作れ」

5: 2012/06/19(火) 22:02:20.36
メイド「お待たせしました、お嬢様」コトリ

女「むぅ………氏ぬかと思ったわ………」グッタリ

メイド「お嬢様は和食好きですからね…お料理に、洋食より手間がかかりまして」

女「いただきますっ!」シャキッ

メイド「はい、どうぞ」ストン

女「はむっ…んーっ、この鮭の塩加減、最高ね!!」ガツガツ

メイド「ふふ、ありがとうございます」

女「はぐはぐっ…」ムッシャムッシャ

メイド「…ふふ」クスッ

6: 2012/06/19(火) 22:03:17.98
女「………ごちそうさまっ」パンッ

メイド「お粗末さまです。 今、あれ持ってきますね」

女「ありがとう、お願い」

メイド「はいはい」クスッ

7: 2012/06/19(火) 22:04:50.95
そう、わたしのご主人様、もといお嬢様────お嬢様のお父様は主様────は、お酒を高校生から嗜む。
なんでも、主様のご趣向らしく、小さいうちからお酒を嗜んでこそ我が家族、だそうです。
因みにお嬢様のご愛飲は梅酒になります。

女「んー」チロチロ

舐めるだけですけど。

女「…合うわね」

メイド「そうだと思いました」

女「メイドも飲む?」

メイド「いえ、わたしはお酒に弱いので」

女「あら、飲んだことがあるの?」クピ

メイド「いっ、いえ…その…舐めただけです」

女「…へえ、ご主人様のに手をつけたのね?」

メイド「もっ、申し訳ございませんっ!」

女「いいわ、大丈夫」

8: 2012/06/19(火) 22:05:47.11
女「なら尚更…飲んでもらおうかしら」クピ

メイド「お、お嬢様っ!? 酔っていらっしゃいますね!!?」

女「ほら…ん、ちゅ」クイッ

メイド「んんんっ!? んんぅっ…こくん」

女「ん、ちゅ…ちゅう」

メイド「んんっ…おじょうしゃまぁ…んむ…」

女「ぷはっ………ふふ、もう酔っちゃったのね…? 本当、酔いやすい…」

メイド「ふえ………」ポー

女「まったく…メイドは可愛いんだから…」ナデナデ

メイド「おじょうしゃま………にへへぇ………」ゴロゴロ

9: 2012/06/19(火) 22:06:14.90
メイド「もっと…もっと、くち、くださぁい………」トロン

女「」ブハッ

女(は、鼻…鼻血が…っ)

女「め、めいd………」

執事 ジー

女「………」

執事 ジトー

女「………何よ」

執事「いえ、自分の姉が犯される場面に遭遇してしまった時の最善策を行使していたのです」

女「それが覗きなのっ!?」

執事「いえ、アタタカク見守ろうと」

女「妙に棒読みね!? めちゃめちゃジト目だったじゃない!!」

執事「いえ、見守っていましたとも」

10: 2012/06/19(火) 22:07:27.92
メイド「んん………すぴー………」

執事「夜這いかけるんですか?」

女「うるさいっ!! 私は貴方ほど無粋じゃないわ!」

執事「無粋とは失礼ですね。 姉が襲われるところを目撃したら、誰もがとる行動のはずです」

女「絶対興奮の眼差しで覗くでしょう!?」

執事「姉の体に欲情などしません」

女「私のカラダは?」

執事「論外です」

女「ちょうどここに一升瓶があるの」

執事「おっとちょうど掃除中でしたのでこちらにはモップが」

女「………」ジリ…

執事「………」ジリ…

メイド「ふあ……おじょう、さ、ま……」ダキッ

女「えっ!? わああっ!?////」

執事「…厚かましいですが、あとは頼みます」ペコリ

女「えっ!? ちょおおおおっ!!」

11: 2012/06/19(火) 22:08:10.62
お嬢様のお部屋~

女「むむむむ…っと」トサ

メイド「んぅ…おじょうさまぁ………えへへぇ………」ニコー

女「っ」ゾクゾクッ

女(だ、だめよ私っ!! ここで襲っては主人としてのプライドがッ!!)

メイド「んん……はなれちゃ、やあぁ……」ギュウウ

女「ひゃああっ!?/////」

メイド「んふー…むにゃ……」ムニュー

女「ちょっ、メイド…っ、むねっ、むねっ…」

メイド「んん~…Zzz…」

女「…はあ、まったく…」

17: 2012/06/20(水) 17:29:43.01
翌日

メイド「………………はっ!?」ガバッ

女「ふぎゃっ!?」ゴッチーン

メイド「ふぃぎゅっ!?」

女「くうぅうぅ…っ」

メイド「いたたた…そともなかもあいたたた……」

メイド「…? どうしてわたしはここに…?」

女「えぇと…その、貴方、寝ちゃって…」

メイド「うぅ…頭がガンガンします……体がだるいです……」

女「二日酔いね…水持ってくるから」

メイド「あっ、自分でできます、から…」フラッ

女「いいから寝てなさい、これは命令よ」

メイド「あ、うー………」

18: 2012/06/20(水) 17:30:21.55
女「お待たせ、はい」

メイド「すみません……んく、んく…ぷはっ」

女「うん」

メイド「ふぅっ…もう、大丈夫です」

女「大丈夫? 学校行けそう?」

メイド「はい、平気です」

女「そっか…ごめんね、私の所為で…」

メイド「いえ、その…拒まなかった私も、悪い、ですしっ…」サッ

女「あ…ぇと…///」

メイド「ハッ…わっ、わたしっ、朝食の用意をしてきますっ!!!!////」バタバタ

女「あ…ぅ…えへへ…////」

19: 2012/06/20(水) 17:31:34.88
少女朝食準備中…

メイド「うぅ…」

メイド(お嬢様のお気持ちには薄々…なんとなーく感じてましたが…)

メイド「…キス、しちゃったんですよね…」

メイド「…はっ、だめだめっ、わたしとお嬢様は主従関係で…」ブンブン

メイド「…」

メイド「…そう、ですよね…」

メイド(そうだ…わたしとお嬢様は……こういうことは、お嬢様のためにも…)

メイド「…はぁ」

20: 2012/06/20(水) 17:32:29.20
少女朝食中…

女「んー…ちょっと、味のりもういちまい」

メイド「これでもう七枚目ですよ…?」

女「これぐらい食べないと三時間目あたりから地獄なのよ」

メイド「それは、わかりますが…もっとお淑やかに」

女「あむっ、あむあむっ」パリパリ

メイド「ってお願いの方が、無駄ですよね……」ガックリ

21: 2012/06/20(水) 17:33:41.53
執事「行ってらっしゃいませ、お嬢様」

女「ん、行ってくる」

執事「気をつけて行けよ、姉さん」

メイド「はい、わかってますよ」

我が弟くん、執事は学校へ行っていない。
不登校って訳ではなく、主様と奥様のわがまま、館の仕事と大忙しなので学校へ行く暇がないのです。

女「さ、行くわよメイド」

メイド「あ、はいー」トテトテ

22: 2012/06/20(水) 17:34:46.26
女「うーんっ…今日もいい天気ね」

メイド「そうですね~」

女「…あ」

友「あ、女ーー!」

女「友! おはよう」

友「おはよう、メイドさんと女」

メイド「おはようございます、友お嬢様」ニコ

この子は友お嬢様。
我がご主人様が通う学校は、俗にいうお嬢様学校で、もちろんお淑やかな女性が九割を占めています。
その中で、おおらかというかアバウトというか…お嬢様と友お嬢様は、そういう点でウマが合うようです。

23: 2012/06/20(水) 17:36:43.75
友「とゆーわけで、今日は女の家に行くことになりましたっ!」

メイド「えええっ!?」

お昼休みに突然、友お嬢様がわたしに特攻をかけてきました。
たしかに友お嬢様の親御様と主様はたいへん仲がよろしいのですが…。

メイド「さすがに急には…」

女「お父様が許さないわけないわよ」

メイド「ですが…」

女「メイド、誠実すぎるのも良くないわよ?」

メイド「お嬢様…従者であるわたしは、常に誠実であらねばなりません」

女「まったく…メイドの鏡よ、貴方は」

友「メイドさんっ、あたしと契約してあたしの専属メイドになってよ!」

女「!! そんなの、ダメっ!」

友「いーーーーーーじゃん、また新しいの雇えばああぁぁ!」

女「だめったらだめーーー!!」

メイド「…お嬢様」クスッ

24: 2012/06/20(水) 17:37:29.71
友「ほら、特典としてあたしの夜這い権利があるよ!!」

メイド「えぇと、わたしそういうのは………」

女「そんなの特典じゃないわ! 拷問よ拷問!!」

友「失礼だね!? あたしは魅力的な女の子なんですぅぅぅぅ!?」

女「うわあ………」

友「えっ、ちょまっ、そんなに引かないで落ち込む」

メイド「うわあ………」

友「メイドさんにまで引かれた!?」

25: 2012/06/20(水) 17:38:31.36
放課後

友「お邪魔しまーす」

女「いらっしゃい」

メイド「では、わたしは着替えてくるのでそちらのお部屋でお待ちください」

友「えー? 着替えなくていいのにー」

メイド「わたしはお嬢様の従者ゆえ…お嬢様の大切なお友達と対等にお話することはできません」ニコ

友「ああ、だからいつも私たちから三歩ほど後ろの方にいたんだ」

女「そんなの、気にするほどのことでも無いじゃない」

メイド「ちゃんと弁えなければいけないのですっ」ムン

友「えええー…」ブーブー

女「はぁ…わかった、わかったわ」

メイド「はい、ではまた後ほど」

26: 2012/06/20(水) 17:39:47.68
応接間

友「ほえー、初めて来たけど、結構広いね~」

女「貴方の家と変わらないと思うけど」

友「さすがに応接間はここまで広くないよ~」

コンコン

女「入っていいわよ」

メイド「お茶をお持ちしました」ガチャリ

友「おおっ………」グッ

メイド「お茶菓子は苺大福ですよ」コトリ

女「ありがとう、メイド」

友「メイドさんっ、メイド服最高ですねっ!!!」ハァハァ

メイド「え? ああ、ありがとうございます」ニコ

女「私の自慢のメイドよ」ズズー

友「うぅ…羨ましい…あたしもメイドさんとにゃんにゃんしたいーーっ!!」ジタバタ

女「誰もにゃんにゃんなんてしてないわよっ!」

27: 2012/06/20(水) 17:40:52.35
数時間後

友「…あちゃ、もうこんな時間」

メイド「お帰りですか?」

友「ああ、うん」

メイド「そう思って、お屋敷の前に車を用意してありますよ」

女「さすが、気が利くわね」

友「すまないねぇ」

メイド「当然のことをしたまでです」ムン

コンコン

女「入っていいわよ」

執事「お車の準備ができました」ガチャ

友 キラーン

友「おっっっっっもちかえりいいぃぃぃぃ!!!」ガバッ

執事 サッ

ズザザザザザアアァァァァァァ ドンガラガッシャーン

女「ええ、そこのバカを車に放り込んで連れてって」

執事「了解しました」ペコリ

友「ぐ、ぐふっ………」ボロッ

28: 2012/06/20(水) 17:42:48.85

友「おいくつなんですかあたし専属の執事になりませんかっ!?」

執事「では、この子をお送りに行ってまいります」ペコリ

女「ええ、お願い」

執事「はい」ガシッ

友「えっ、そんな執事さんいきなりなんてまだ心の準備がいやんいやんっ/////」

執事 ポイッ

友「ふぎゃっ!?」ドスンッ

バタン

ブロロロロロロロ

メイド「賑やかでしたね」

女「今度は執事が取られそうね」

メイド「ええ、弟くんは優秀な執事ですし」

女「イヤじゃないの?」

メイド「多数のお方から必要とされることは、従者にとってとても喜ばしいことです」

女「完全に従者脳ね…最初はそうでもなかったのに」

29: 2012/06/20(水) 17:45:12.13
メイド「お気に、障ってしまいましたか…?」

女「大丈夫よ、そんな心配そうな顔しないで」

そう、最初は、わたしは普通の学生としてあの学校に入学しました。
因みにあの学校は小中高大すべて一貫式で、エレベーター方式で上がっていきます。
その中の初等部時代に、わたしはお嬢様に拾われました。

────────────────────

女『あなた…わたしのせんぞくメイドにならない?』

『ふえ………?』

女『…いまのあなたなんて、みてられないもの』

『………』

女『…たとえごりょうしんがなくなっても、たちなおらなきゃいけないとおもうの』

『………』

女『ね…? もちろん、わるいようにあつかったりとかはしないわ』

女『ただ、わたしのみのまわりのおせわとかをするだけよ』

『でも…』

女『おとうとさんは、わたしからおとうさまにちょくせつかけあってみるから』

『…どう、してですか』

『どうしてそんなに、きにかけてくれるのですか』

女『べ、べつにっ、せんぞくメイドがほしかっただけよっ』

30: 2012/06/20(水) 17:46:23.97
女「メイド…? どうかしたの?」

メイド「あ、いえ…少し昔を、思い出してました」

女「…そう」

メイド「本当に、感謝してますよ、お嬢様には」

女「…」ピンッ

メイド「痛ぁっ!?」

女「それは言わない約束でしょ」

メイド「で、でもでも、わざわざデコピンなんてひどいです…」ウルウル

女「私は別に、専属メイドが欲しかっただけだから」

メイド「…ふふっ、はい」

31: 2012/06/20(水) 17:47:13.74
コンコン

メイド「お夕食をお持ち致しました」

父『ん? 執事はおらんのか?』

メイド「友お嬢様をお送りになってから、まだ帰ってきておりません」

ガチャ

父「友嬢か…あの子は少し強引なところがあるから、今頃夕飯を馳走になっておるのだろう」

メイド「そうでしょうね」

父「では私とこれから甘い時間をひでぶっ!?」ゴスッ

母「氏になさい」

父「かっ、かあさん…私はメイドたんとにゃんにゃんおぶふっ」ゴスッ

母「しにたい? ねえしにたい?」ギリギリギリ

父「らめぇ! しんじゃう! くびがgggほんとにしんじゃうからああああぁ!!!」

メイド「おゆうしょくはここにおいときますね~」スタター

アアアアァアッァアァァァァァ!!!!

32: 2012/06/20(水) 17:47:50.00
メイド「お待たせしました」コトリ

女「…ねえ、なんかさっき断末魔の叫び声が聞こえたんだけど」

メイド「そうでしたか? 私には何も聞こえませんでした」

女「お父様の声に似てたわ」

メイド「空耳、というやつでしょう」

女「…ところで、執事は?」

メイド「まだ帰ってきておりませんよ」

女「まったく…友ったら」

メイド「ふふ、弟くんも大変です」

女「あなた…姉なんだから、心配ぐらいしないの?」

メイド「いいえ? 友お嬢様はとてもいい人ですよ」

女「…私にはとてもそうは見えないわ…」

33: 2012/06/20(水) 17:50:25.86
女「あら、どこへ行くの?」

メイド「執事がいないので、わたしがお掃除をしなければならないのです」

女「…そう」

メイド「どうかしましたか?」

女「…別に」

メイド「…? 味のりならそこにありますよ?」

女「ばっ…ち、違うわよっ!!」

メイド「??」

女「もう…わかったから早く行きなさい」

メイド「あ、はい。 失礼します」ペコリ

女「…はぁ」

女「…ほんっと、鈍感なんだから…」

女「従者なら、私の気持ちくらい気づきなさいよ…」

34: 2012/06/20(水) 17:51:16.28
メイド「玄関はこんなものでしょうか…」パタパタ

メイド(ここまで広いお屋敷を一人で掃除するのは大変ですね…)パタパタ

メイド(弟くんも苦労してるなぁ)

メイド「っと、次は…お洗濯とお皿洗い…」

メイド「先にお皿洗いを済ませてから洗濯にしましょう」タタタ

35: 2012/06/20(水) 17:53:00.94
キッチン

メイド「…ん?」

女「あら、メイド」

メイド「な、何してるんですか!?」

女「何って…食器洗いだけど」ゴシゴシ

メイド「わたしの仕事ですから! だめです、お嬢様はっ」

女「? なんでよ」

メイド「お手が荒れてしまいますっ!」

女「それなら、貴方もじゃない」

メイド「わたしはこれが仕事なんですっ!」

女「少しは自分の気遣いもなさい。 自己管理も従者の務めよ」ピシ

メイド「あ、う……ですがっ…」

女「たまには主人の好意に甘えなさい、ね?」ニコ

メイド「…むぅ」

36: 2012/06/20(水) 17:53:47.79
メイド「…」ソワソワ

女「~~♪」

メイド「……」ソワソワ

メイド(あ~~~、職業柄、黙って座ってるのは身に合いません…っ)ソワソワ

メイド(しかし、お嬢様のご好意を蔑ろにするわけには…)ソワソワ

女「…ふう、これで全部ね」カタン

メイド「! お嬢様っ!!」タタタッ

メイド「大丈夫ですかっ!?」ガシッ

女「きゃあっ!? な、なに!?////」ドキッ

メイド「あぁ、こんなにお手を冷たくさせて…はあー、はあー…」フーフー

女「えOちょっちょ、めめめめめいどっ!?/////」

37: 2012/06/20(水) 17:55:58.79
メイド「すみません、わたしの行動が遅いばかりにお手を煩わせてしまって…」

女「…だから、私がやりたかっただけよ」

メイド「いえっ、ご主人様にお仕事をさせるなど…」

女「…そうだ」

メイド「え?」

女「メイド、たまには私も家事を手伝うわ」

メイド「なっ!?」

女「メイド一人じゃ大変でしょうし…私の気が向いたら、だけどね」

メイド「あっ、あのっ! お言葉ですがお嬢様っ、先ほどまでのわたしの話を聞いて…」

女「私言ったわよね、好意に甘えなさいって」

メイド「で、ですがっ……」

女「メ ・ イ ・ ド」

メイド「…………あううぅ…………ご無理、なさらないでくださいね…」

女「ふふっ、それでいいのよメイド」クスッ

38: 2012/06/20(水) 17:56:33.29
メイド「お、お洗濯はわたしがやりますから~っ!」アセアセ

女「だから、今晩は私が洗濯するし、お風呂も自分で沸かすわ」

メイド「うー、うー……」

女「あ、メイドはお夕飯まだだったわよね」

メイド「は、はい、そうですが…」

女「私が、作ってあげる」ニコッ

メイド「ええぇえぇぇぇぇっ!?」

女「あら、私じゃ不満って言うの?」

メイド「いっ、いえっ! その、とても嬉しいのですが…その、そこまでお世話になるわけには……」

女「私がやりたいって言ってるんだから、気にしないでいいのよ」

メイド「うぅ……はい…」

女「それでよし」ニコ

39: 2012/06/20(水) 18:06:02.30
メイドの部屋

女「予想通り…というより、予想以上に手入れが行き届いてるわね……」

メイド「借り物の部屋ですから」

女「貴方のものだと思って使っていいって言ったじゃない」

メイド「で、ですからっ」

女「テレビも無い、ラジオも無い」キョロキョロ

メイド「ひ、必要ないですっ」

女「元あった通りのまんまじゃない」

メイド「ですから…っ」

女「貴方はこれで暮らし易い? 過ごし易い?」

メイド「不自由なく、住まわせていただいてますっ」

女「そう……娯楽も、必要よ?」

メイド「わ、わたしはそんな身分にございませんっ」

メイド「常にご主人様のお側に付き、お守りすることがわたしの使命ですっ」

女「はぁ…」

40: 2012/06/20(水) 18:07:13.97
女「…あのね、私は貴方が心配なのよ」

メイド「何故、ですか?」

女「気、遣い過ぎ」

メイド「それは従者として……」

女「従者従者…私は貴方を扱き使うために専属メイドにしたわけじゃないわ」

メイド「え…」

女「……貴方に、元気が戻ってくるように…笑顔になってもらう為に、私は貴方を雇ったのよ?」

メイド「お嬢様…」

女「そんなに、私に気を使わなくていいの。 無理をしなくていいの」

メイド「…それが、わたしの性分…そして、恩返しなんです」

女「恩返し?」

メイド「両親を亡くした姉弟に、手を差し伸べてくれた、救ってくれた、その恩返しなんですよ?」

女「…あのね、私はそんなの望んでない」

メイド「望んでなくても! わたしは、お嬢様のお役に立ちたいんです! 恩を、返さねばならないのです!」

女「………」

メイド「………」

41: 2012/06/20(水) 18:18:49.14
女「…見上げた精神ね」

メイド「褒め言葉として、受け取っておきますね」

女「分かったわ、貴方には何を言っても無理みたい」

メイド「…すみません、わがまま言って」

女「なら…こっちも、行動で出るしかないわね」フフ

メイド「…え?」

女「とりあえず、お夕飯作ってくるから」タタタ

メイド「あ…」

女「…ちょっと」

女「冷蔵庫すら、無いんだけど」

メイド「えぇと…」

女「貴方普段、何食べてるのよ」

メイド「えっと、ほら、あれです! お嬢様がお残しになったものを…」

女「貴方、いつも私が食べる分ピッタリしか作らないじゃない」

メイド「あ、うー……」

42: 2012/06/20(水) 18:19:33.40
メイド「…その、インスタント系です」

女「…ばかっ」ピンッ

メイド「あいたっ!」

女「自己管理も大切でしょ? どうして自分のことを蔑ろにするの!」

メイド「その、面倒で…」

女「…わかった、もういい」

メイド「え」

女「私が毎晩夕食を作りに来るから」

メイド「えええっ!?」

女「これは命令よ、メイド」

メイド「そ、そんなっ、恐れ多いですよ!!」

43: 2012/06/20(水) 18:26:37.06
───それから数日、毎日お嬢様はわたしのお夕飯を作ってくれました。

女「貴方は洋食が好みなのね」ガサガサ

メイド「いえ、そういうわけではないのですが…」

今はお嬢様と買出し中。
どうしても付いていく、と言って聞かないので…。

女「ああ、お父様か」

メイド「いえ…弟くんです」

女「…へえ、見た目通りね」

メイド「ええ、和食はあまり好まないみたいなんです」

女「それは日本人として許せないわ、許さないわ!」

メイド「ちなみにお酒はワイン派です」

女「家に帰ったら部屋に爆竹投げ込んであげる……」フフフ

メイド「やめてあげてくださいっ!!」

44: 2012/06/20(水) 18:32:09.85
パパンガパン!!

女「きゃっほーう♪」ドタドタ

執事「お嬢様…氏にたいようですね」スック

メイド「な、なんの音ですか!?」バタバタ

執事「お嬢様が僕の部屋に爆竹を投げ入れてきただけだ」

メイド「ほ、ほんとにやったんですか……」

執事「ちょっとこr…躾けをしてくる」

メイド「今何を言いかけたんですか!? お手やわらかにですよ!?」

執事「焦りすぎだ。 意味が分からない」

45: 2012/06/20(水) 18:32:43.42
女 ショボーン

メイド「何をしたんですか?」

執事「主様に言いつけた」

メイド「なんて外道な!?」

執事「こっちもやり返さないと気が済まない質だからな」ニヤリ

メイド(弟くんが外道だ!)

女「…」カーナーシーミノームーコーオーヘトー

メイド「氏亡フラグの曲が!?」

46: 2012/06/20(水) 18:33:52.66
メイドの部屋

女「~♪」ジュージュー

メイド「…あの、お嬢様」

女「何?」

メイド「毎日毎日、お夕飯を作らなくてもいいんですよ?」

女「いいのよ、別に大変じゃないし」

メイド「ですが……」

女「…ふうん」

メイド「え?」

女「良いわ、わかった」

メイド「え?」

女「もう作りに来るのはやめにする」

メイド「え…は、はい…」

女「かわりに、一緒にお夕飯を作る」

メイド「えっ!!」

47: 2012/06/20(水) 18:36:42.18
翌日

メイド(どうしてこうなった……)

女「いいじゃない、手間が省けるでしょ?」

メイド「そんな、お嬢様のお食事にお供するなんて……」

女「いいの。 私が許可する」

メイド「うー…」

女「…それとも、迷惑だった?」

メイド「嬉しいに決まってるじゃないですか!!」

女「そ、そう…よかった」

メイド「………ハッ!? あ、あのあのあの、いいまのはですねあのえっとその…」

女「…」ジー

メイド「…う」

女「…」ジー

メイド「うわあああああああっ!!/////」ズダダダダダ

女「あっ」

48: 2012/06/20(水) 18:37:34.18
メイド「…すみませんでした」

女「だから、気にしなくていいってば」

メイド「結局お嬢様に二人分も作らせてしまうなんて……メイドとして大失敗です恥です」イジイジ

執事「クズだな」

メイド「」グサッ

執事「(^3^)~♪」

女「ちょっとアンタ! 言いすぎでしょ!? せめてゴミにしなさいよ!!」

メイド「」

執事「どっちも変わらないじゃないですか」

女「まだゴミの方が原型が分かるわ」

執事「ああなるほど」

メイド「」

49: 2012/06/20(水) 18:38:20.46
父「~~♪ ~♪ ~……?」スキップスキップ

父「のわあっ!? なんかこのへんが暗い!! 物理的にじゃなくてなにか非科学的に暗いよ!!!」コノヘン

メイド「……主様」ズゥーン

父「おおっ、どうしたメイド。 いつになく暗いぞ」

メイド「わたし…メイドとしてやっていけるのでしょうか……」ズーン

父「何を今更」

メイド「なんだか最近、失敗ばっかりなんです……」

父「失敗? お前が?」

メイド「お嬢様にお洗濯させてしまったりとか…」

メイド「お嬢様にお風呂沸かせてしまったりとか…」

メイド「お嬢様にお夕飯を作らせてしまったりとか…」

父「あれ?」

メイド「なんですか、せっかく悩みを打ち明けてるんですから真剣に聞いてくださいこの工口オヤジ」

父「それなんてふあれなんか最後!?」

母「もっと言ってあげて」

メイド「いえ、仮にも主様なので」

50: 2012/06/20(水) 18:40:47.32
母「メイドに言ってもらえれば節操なしも治ると思ったのに…」

メイド「主様が大好きなんですね」

父「えっそうなの?」

母「だっばっだだだ誰がこんな節操なしで甲斐性なしのクズ男を好きだっていうのよっ!?/////」

父「(´;ω;`)ブワッ」

メイド「主様…節操なしで甲斐性なしだったんですか…」ウワア

父「引かないで!! 違うよ一応!!」

51: 2012/06/20(水) 21:18:58.70
少女登校中

女「…」

メイド「…」

女「ねえ」

メイド「…はい」

女「この距離感、どうにかなんないの」

メイド「あ…もっと離れたほうがよろしいですか?」

女「そうじゃなくて…普通に、並んで歩いてもいいじゃない」

メイド「だめです」

女「…私は、並んで歩きたいのに…」

友「おっはー! 二人ともーー!」

メイド「おはようございます、友お嬢様」ペコリ

友「おはようメイドちゃん! 今日も可愛いね!」ハァハァ

メイド「は、はあ…?」

52: 2012/06/20(水) 21:19:32.94
友「と、いうわけで」

メイド「どうしました、休み時間に急に」

女「どうせまた下らない事でしょ」

友「失礼なっ!?」

女「じゃあ何よ」

友「女の家に遊びに行きたい」

メイド「いきなりですか!?」

友「執事さんに会いたい!」

メイド「大丈夫ですかね」

女「別に問題無いわよ」

友「ぃよっし、けって

先生「授業はじめるわよ~~」ガラガラ

友「やべえ!」タタタ

女「相変わらず慌ただしいわね…」

53: 2012/06/20(水) 21:37:28.39
放課後

友「やっほー執事さんっ!!」ガバッ

玄関を開けた瞬間に弟くんに飛びつく友お嬢様。

執事「げ」サッ

友「ぎゃーーーーっ!!」ドンガラガッシャーン

女「人の家で何してんのよ…」

友「アイタタ……」

メイド「大丈夫ですか、友お嬢様」

友「お、おう…」ボロッ

執事「また連れてきたのですか」

女「ええ、どうしても貴方に会いたいと言っていたから」フフ

執事「そうですか、ではこうしてお会いいたしましたので今日のところはこれでさようなら」

女「そうね、楽しかったわ友」

友「ええっ!? これあれじゃん!? 骨折り損の草臥れ儲けってやつじゃない!?」

54: 2012/06/20(水) 21:38:16.19
数時間後

メイド「…弟くんが再び帰ってこないのですが」

女「どうせまた友の家でご馳走になってるのよ」

メイド「そうですか…」

女「今日は帰らせてくれないかもね」

メイド「それは無いと思いますが…」

ピロリロリン♪

メイド「あっと、弟くんから…」カチカチ

『帰らせてくれない。 どうすればいい』

メイド「…ふむ」カチカチ

女「なんだって?」

メイド「帰らせてくれなくて、弟くんが困ってます」

女「泊まればいいじゃない」

メイド「ですが…それは、弟くんにとって酷です」

女「まあ、そうね…私が伝えてみる」

メイド「すみません、お手数をおかけして」

55: 2012/06/20(水) 21:38:54.74
ピロリロリン♪

『解放された。 今からもどる。 お嬢様にお礼を言っといてくれ』

メイド「だ、そうです」

女「良かったじゃない」

メイド「友お嬢様が折れるとは考えていませんでしたが…」

女「そうね、私も驚いてる」

メイド「何とおっしゃったのですか?」

女「強引すぎると嫌われるぞって言ったのよ」

メイド「それは……効果てきめんでしょうね」

56: 2012/06/20(水) 21:40:11.47
メイド「……お夕飯も終わった、お掃除も終わった、お洗濯もお風呂も終わった…」

女「それがどうかしたの?」

メイド「…やることが無くなってしまいました」

女「二人でやってるからよね」

メイド「こ、こういう場合…何をして過ごせばいいのでしょうか」

女「…」

メイド「お、お嬢様ぁ…」

女「…趣味とか、無いの?」

メイド「…お掃除、とか」

女「…」

メイド「…うぅ」

女「…いいわ、何か探してみる」

メイド「あ、ありがとうございます!」

57: 2012/06/20(水) 21:41:38.66
女「トランプしましょう、トランプ」

メイド「とらんぷ…?」

女「そう、トランプ」

メイド「は、はぁ…?」

女「……ねぇ」

メイド「…」

女「信じたくないんだけど…トランプ知らないの?」

メイド「………」

女「こっち見なさいよ」

58: 2012/06/20(水) 21:42:23.19
メイド「ああ、見たことありますこれ」

女「でしょ?」

メイド「へー、とらんぷっていうんですか、これ」パラパラ

女「それを知らなかったことにびっくりなんだけど…」

メイド「マジックに使うヤツですよね?」

女「それだけじゃないわよ?」

メイド「え? ほかに何に使うんですか?」キョトン

女「それ、冗談で言ってるのよね?」

メイド「え?」

女「え?」

59: 2012/06/20(水) 21:43:09.01
メイド「…なるほど、この数字の大小を利用したゲームがあるんですね」

女「そうよ」

メイド「どんな遊びなんですか?」

女「いろいろあるわよ。 ババ抜き、神経衰弱、スピードとかその他いろいろ」

メイド「…なんですか、その悪印象だらけの名前は…」

女「とりあえず神経衰弱からやりましょうか」

メイド「ええ!? 名前を聞く限り一番やりたくないのですが!!」

60: 2012/06/20(水) 21:43:43.88
メイド「つまり、同じ数字を二つ揃えれば良いのですね」

女「そういうこと」

メイド「先攻、後攻はどうやって決めるんですか?」

女「そうね…コイントスで決めましょう」

メイド「じゃあ、わたしがやりますね」ゴソゴソ

女「ちゃんとできる?」

メイド「ふふ、行きますよ」ピーンッ

メイド「裏表、どっちですか?」パシッ

女「うーん……裏!」

メイド「どれどれ…裏、ですね…」_| ̄|○

女「勝負はこれからよ、メイド」ポンポン

62: 2012/06/21(木) 16:17:20.01
先攻、メイド 後攻、女

メイド「最初って何選んでもほとんど外れますよね」

女「まあ、そうね」

メイド「じゃあ近場から…」ヒョイッ

メイド「5ですね」

メイド「…んー」キョロキョロ

メイド「ほいっ」ヒョイッ

女「残念、7ね」

メイド「最初ですし…」

63: 2012/06/21(木) 16:17:57.35
女「じゃあ私は…」ヒョイッ

メイド「7ぁ!?」ガビーン

女「確かここだったかな~♪」ヒョイッ

メイド「わああっ!!」

女「早速揃っちゃったわね」

メイド「うぅ~……」

女「じゃあ次は…」ホイッ

女「…J」

女「ここねっ!」ヒョイッ

メイド「Qです」m9(^Д^)プギャー

女「ぐぬっ…」

64: 2012/06/21(木) 16:21:42.07
二十分後

メイド「じゃあ後はこれとこれですね」

女「終わりね、ペアの数を数えて」

メイド「ひーふーみーよー…」

女「…八ペア」

メイド「え? お嬢様、八ペアですか?」

女「…そうよ」

メイド「わたし十九ペアです」

女「…知ってるわよ」

メイド「わたし十九ペアですよ!」

女「あーもー!! 知ってるわよ!!! 私の負けよ!!!!」

メイド「ふふふっ」

女「ぐぎぎぎ…っ、メイドっ、いつものっ!!」

メイド「え? は、はいっ」バタバタ

65: 2012/06/21(木) 16:25:10.27
女「んくっ、んくっ、ぷはぁ~っ」ダンッ

メイド「お、お嬢様、一気に飲みすぎですよっ」

女「うるさいっ、これが飲まずにいられるかぁっ!!」

女「ぐぬぬっ、まさか素人に負けるなんて…恥だわ! 恥でしかないわよ!!」ヤイノヤイノ

メイド(もう酔ってるーーーー!!)

女「ほら、メイドも飲みなさい!」

メイド「わ、わたしはお酒ダメなのでっ」アセアセ

女「…私の酒が飲めないっていうの?」

メイド(出たっ、お酒の席で一番言ってはいけないフレーズ!!)

女「んーっ」グイーッ

女「ん!」チュッ

メイド「んんんーーーっ!?」

66: 2012/06/21(木) 16:26:39.51
メイド「やぁっ……んむっ…」

女「んんっ…ちゅるっ…」

メイド「ぷはぁっ、お、おじょうさま…っ」

女「はぁっ…メイド…」ギュ

メイド「…お嬢様?」

女「…好きよ、メイド…」

メイド「…え?」

女「…メイド、貴方が好き」

メイド「…な」

女「…好きなの、好きだったの、ずっと、ずっと…」ギュ

メイド「お、お嬢、さま……」

女「ねえ…好きよ、メイド…」

メイド「…っ」

メイド「……だめ、です」

女「…え?」

67: 2012/06/21(木) 16:27:07.48
メイド「わたし、は…」

メイド「わたしは、お嬢様の従者です」

メイド「ですから…」

女「………そう、わかった」スタスタ

メイド「お嬢様…」

女「もう寝るわ、おやすみ」カチャ

メイド「…おやすみなさいませ」

女「………ごめんね」

パタン

メイド「お嬢、様…」

メイド(これで…いいんだ)

メイド(わたしは従者、お嬢様はわたしのご主人様)

メイド(身分の違い、同性……わたし一人のワガママを押し通すわけにはいかない)

メイド(しょうがないんだ……)

68: 2012/06/21(木) 16:27:42.85
それから数日、お嬢様は何かとわたしを避けるようになりました。

女「今日は早めに学校に行くわ」

メイド「今日はって、最近ずっとじゃないですか」

女「…ん、そうね」

メイド「…お気をつけて、行ってらっしゃいませ」

女「…うん」

メイド(これが普通…今までが異常だったんだよ、きっと)

メイド(お嬢様には迷惑をかけたくない…幸せに、生きて欲しいから)

母「だから?」

メイド「うわあっ!?」ビクーリ!!

母「それで?」

メイド「な、何がですか」

母「迷惑をかけたくないから、幸せになって欲しいから断ったの?」

メイド「勝手に人の思考を覗かないでください!!」ワーン

69: 2012/06/21(木) 16:28:12.62
母「そんな顔してたのよ」

メイド「どんな顔ですか…」

母「ほら、鏡」

メイド「…普通なんですけど」

母「雰囲気よふいんき」

メイド「ああ……もうどうでもいいや……」

母「で、どうなの?」

メイド「…そうです、迷惑をかけたくないんです」

母「ふぅん…」

メイド「わたしの判断は…間違ってませんよね?」

母「どうかしらね…善し悪しを決めるのは、私じゃないし」

母「そういうのは、自分で決めなさいな…ふふっ」スタスタ

メイド「…」

70: 2012/06/21(木) 16:29:36.02
────────────────────

執事 キョロキョロ

執事 コンコン

執事「入るぞ、姉さん」カチャ

執事「…姉さん?」

メイド「…」

執事「…どうしたんだ?」

メイド「…あ、弟くん、どうしたの?」

執事「それはこっちのセリフだ。 何をしている」

メイド「…なんにも、してません」

執事「姉さんらしくない。 何か悩みか?」

メイド「…うん」

執事「…お嬢様の事か」

メイド「…うん」

71: 2012/06/21(木) 16:30:34.08
執事「ふーん…お嬢様が会話してくれない、と」

メイド「…どうしたら、いいのでしょうか」

執事「アレの所為だろうな」

メイド「弟くんも知ってるんですか!?」

執事「ああ、話は聴いてる」

メイド「…うわああぁぁ」

執事「…姉さんはバカだな」

メイド「不躾にひどくない!?」

執事「バカにバカと言って何が悪い」

メイド「もっとオブラートに包むとかあるじゃないですか!!」

執事「オブバカラート」

メイド「包んでるよ!? 包んでるけども!!」

72: 2012/06/21(木) 16:32:17.21
メイド「…で、どのへんがバカだって言うのさ」ブスー

執事「あんな理由で断るバカを初めて見た」

メイド「…」

執事「確かに姉さんの言い分は分からないでもない…が」

執事「姉さんはお嬢様の思いを聞いたとき、どう感じた?」

メイド「…嬉しかった」

執事「障害は大きい。 まず同性である事、身分の違いである事」

メイド「だから…」

執事「だが、お嬢様がそのことを考えないわけがない、だろう?」

メイド「…」

執事「考えに考え、酔った勢いであるとはいえ、姉さんに告白した訳だ」

執事「それを、お嬢様の気持ちを踏みにじったも同然の断り方…」

メイド「だ、だって! わたしだって、わたしだって、気づいてた…お嬢様の、気持ちに…」

メイド「でも、だめなの。 わたしは、お嬢様と同性だし、身分も違うもん」

73: 2012/06/21(木) 16:35:09.55
執事「…」

メイド「…わたしだって、悩んだよ」

メイド「でも、これが最善の方法だって、思った」

メイド「…こうなることも、わかってた」

メイド「わかってた、のに」

執事「…姉さん」

メイド「わかってた、のに……」ポロポロ

メイド「どうして…こんなに、かなしいかなぁ…」ポロポロ

メイド「お嬢様も、こんな気持ちだったのかなぁ…ぐすっ…」ポロポロ

執事 ポン

メイド「ふぇ…」

執事「善し悪しを決めるのは姉さん自身だ」

執事「誰かに迷惑がかかろうとも、自分で良いと思ったことをしなよ」

メイド「弟くん…」

執事「僕に兎や角言う筋合いは無いしな」

執事「まあ、過度な迷惑はかけるなよ。 対処に困るからな」

メイド「…うん」

執事「それじゃ、僕は仕事に戻る」スタスタ

メイド「…それを伝えに来たの?」

執事「…いや、何時間たっても部屋から出ないから様子を見に来ただけだ」パタン

メイド「…ありがとう、弟くん」

74: 2012/06/21(木) 16:36:09.95

翌日

メイド「お嬢様、起きてくださーーい! 朝ですよ~~!」バーン

女「んん……なによ、あさからそうぞうしい……」

メイド「朝ですよー! もう朝食の準備は出来てますから、着替えが済んだら早く来てくださいね~」パタン

女「…」

女「…?」

女(突然明るくなったけど…何かあったのかな…)

女(そういえば…最近なんとなく暗いな、って感じはしてたけど…)

女 ハッ

女「べっ、別にもういいのよあんなヤツっ」

女「わ、私の気持ちも考えもしないでっ」

女「あーあっ、なーんで好きになっちゃったのかなっ」バフッ

女「…なんで、好きになったのかな……」

75: 2012/06/21(木) 16:36:55.22
メイド「あ、おはようございます!」

女「…ん」

メイド「今日は朝食に御一緒させていただきますね?」

女「…うん」

メイド「今お持ちしますから、少し待っててください」タタタ

女(…なんか、前より明るいというか、積極性が出たというか…)

メイド「はい、今日の朝食ですよ~」

76: 2012/06/21(木) 16:37:37.98
メイド「お嬢様、美味しいですか?」

女「…別に、普通よ」

メイド「ふふっ…」

女「…」モグモグ

メイド「…」ジー

女「…何よ」

メイド「…え?」

女「貴方は、食べないの?」

メイド「…? あっ、あぁっ、自分の朝食を持ってくるのを忘れてましたぁっ」バタバタ

女「…はぁ、まったく」

女「……仕様がない子ね」クス

77: 2012/06/21(木) 16:38:08.23
メイド「今日も早く行くのですか?」

女「…ん」

メイド「そうですか…」ショボン

女「…一緒に行きたいの?」

メイド「あっ、いえっ、あのっ」

女「…」

メイド「…はい」

女「…え?」

メイド「え?」

女「ちょ、ちょっと待って」

メイド「は、はい」

78: 2012/06/21(木) 16:39:05.90
女「一回、整理するわね?」

メイド「は、はい…?」

女「…私は今、貴方は私と一緒に学校に行きたいのって聞いたのよね?」

メイド「はい」

女「それで貴方はなんて答えたんだっけ?」

メイド「…? はい、と」

女「…えと、もう一回聞くわね」

メイド「ですから、はい、と」

女「………」

メイド「…?」

女「え、えっと……」ポリポリ

メイド「学校、一緒にいかないんですか?」

女「…~~~っ」

79: 2012/06/21(木) 16:41:32.54
少女登校中…

女「…」トコトコ

メイド「…」トテトテ

女「…ねえ」

メイド「なんですか?」

女「貴方、いつも私の後ろの方を歩いてなかった?」

メイド「ええ…そうですが、どうかしましたか?」

女「なんで今日は隣を歩いてるわけ?」

メイド「お嬢様の隣を歩きたいからですが…なにか変ですか?」

女「なっ…!?////」

メイド「お嬢様が嫌ならば、後ろを歩きますよ?」

女「い…いい、そのままで…お願い」

メイド「はい、元々ここから避ける気はありませんでしたから」ニコ

女「…もし私が後ろに行けって言ったら?」

メイド「無視します」ニコニコ

女「えぇ……」

80: 2012/06/21(木) 16:42:13.38
友「あれー?」タタタ

女「あら、おはよう」

メイド「おはようございます」

友「うん、おはようさんだけど……お二人さん、仲直りしたの?」

女「仲直り?」

友「なんか最近、余所余所しかったじゃん」

女「…あー」

メイド「…」ジトー

女「な、何よ」

友「その様子なら、仲直りしたってことだね? 喧嘩はダメだよお二人さん」

女「ええ、そうね」ジトー

メイド「な、なんですかその目は」

女「べっつにー」

81: 2012/06/21(木) 16:43:02.65
友「で、喧嘩の原因は?」

女「メイドよ」

メイド「…わたしです」

女「あら? 自覚があるのね」

メイド「…はい」

メイド「すみませんでした、お嬢様のお気持ちも考えず」ペコリ

女「…いや、メイドの気持ちもわかるわよ。 私も考えたもの」

友「事の発端はなんだったの?」

女「そんなの、言うわけないじゃない」

友「ええっ!? 個人的にはものすごく期待してたのに!!」Σ(゚д゚lll)ガーン

82: 2012/06/21(木) 16:43:34.22
────────────────────

メイド「はい、学校お疲れさまです」コト

女「ありがとう」

メイド「では、わたしは着替えてきますね」

女「…待って」

メイド「はい?」

女「…その、突然、どうしたのよ」

メイド「? 何がですか?」

女「…突然、明るくなったけど」

メイド「…あぁ」

女「…」

メイド「…反省、したんです」

83: 2012/06/21(木) 16:44:13.04
女「反省?」

メイド「はい」

女「…」

メイド「…昨日、お母様や弟くんに諭されたんですよ」

女「…執事に?」

メイド「はい」

女「アイツがねぇ…」

メイド「それで、自分の判断が間違っていたのかもって思い始めたんです」

女「…別に、間違ってないわよ」

メイド「お嬢様…」

女「貴方の言い分は正しかった」

女「…だけど、正し過ぎたのよ」

メイド「正し過ぎ…?」

女「そう、正し過ぎたから、反抗しちゃおうって気になったの」

84: 2012/06/21(木) 16:44:48.04
メイド「は、反抗って…」

女「ふふ、子供みたいでしょ?」

メイド「いっ、いえ…」

女「…でもね、自分でも分かってた事を言われると、反抗したくなっちゃうんだ」

メイド「…分かってたんなら、どうして」

女「言わない後悔より、言ってからの後悔の方がいいなって思ったのよ」

メイド「…それは、そうですが」

女「…それにね」ジー

メイド「な、なんですか」

女「…少し、自信があったの」ニヤリ

メイド「じし……っ!?////」カアッ

85: 2012/06/21(木) 16:45:36.22
メイド「なっ、ななっ、何を言って…っ!」

女「うん? 違う?」

メイド「ちっ、ちがいます! わたしはお嬢様をお慕いしているのであって決してそんなことはっ」アワアワ

女「好きよ、メイド」

メイド「っ!?/////」ボヒュ

女「あはははっ! 顔、真っ赤になってるわよ?」クスクス

メイド「~~~~っうわああぁぁぁん!!/////」ダダダダダダ

女「あっ、ちょっと!」

ガチャッ

母「あっ」

執事「お」

メイド「えっ」

母「や、やあ」

執事「盗み聞きをしてたわけじゃないからあしからず」

メイド「えええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?!!??//////」

86: 2012/06/21(木) 16:46:12.11
メイド「…もう、氏にたいです…」グスッ

女「何をそんなにへこたれてんのよ…」

メイド「うぅ…」

女「ちょっと、紅茶おかわり」カタ

メイド「はい…」

女「メンタル弱すぎよ…」

メイド「疲れました…もう休ませてください…」コトリ

女「ん? 別に構わないわよ」

メイド「では…」フラフラ

女「ちょっと、どこに行くの?」

メイド「どこって…部屋に、ですが」

女「ん」ポンポン

メイド「…はい?」

女「膝枕、してあげる」

87: 2012/06/21(木) 16:47:32.42
メイド「う、うー……///」モゾモゾ

女「やっ…ちょ、あんまり動かないでよ…」

メイド「お、落ち着きませんよ、こんなの…」モジモジ

女「あっ、やぁっ……」ピクッ

メイド「……お嬢様の太もも、すべすべですね」ツンツン

女「ひぅっ!? ばっ、ばかっ、どこ触ってんのよ!」ペチペチ

メイド「ふふー、これは中々いい場所かもしれません」スリスリ

女「ひゃあっ!? 頬ずり、しないでぇ…っ」

メイド「へえ……お嬢様、太もも弱いんですね」ムクリ

女「ちっ、ちがっ…」

メイド「んー、はむっ」カプッ

女「ひゃあぁっ!?」ビクッ

メイド「ちゅぅ…れろれろ」

女「ふあぁっ…みみ、だめぇ…っ」

88: 2012/06/21(木) 16:48:12.08
メイド「ちゅ、ちゅるるっ」ツツツー

女「あぁぅっ! やっ、あしっ、なでないでぇっ!」

メイド「んっ、ぷはぁっ…」

女「あ……はぁっ…はぁっ…」

メイド「ふふ、いい反応でしたよ、お嬢様」ニコ

女「ううぅぅぅぅぅぅ~~~~~…………っ//////」

メイド「お嬢様も、あんな可愛らしい声を出すんですね」

女「~~~うるさいっ!! うるさいうるさいうるさいっ!!!!」

女「罰として、今度は私を膝枕しなさいっ!!!」

メイド「えええっ!?」

89: 2012/06/21(木) 16:49:39.27
────────────────────────

女「ん~っ、なかなか寝心地いいじゃない」

メイド「そ、そうですかね」

女「ええ、ずっとこのままでいたいくらい」

メイド「…そうですか」

女「…ね、ちょっと寝てもいい?」

メイド「構いませんよ、お夕飯の用意の時に起こしますから」ナデナデ

女「ん…」

メイド「…お嬢様」ナデナデ

女「ん…なあに、メイド?」

メイド「好きですよ、お嬢様」

女「…え?」

90: 2012/06/21(木) 16:52:22.18
メイド「…」

女「…え?」

メイド「…////」プシュウゥウゥ

女「な、なんで貴方が照れてるのよ」

メイド「そ、その、急に恥ずかしくなってきて…////」

女「…おかげで、眠れなくなっちゃったじゃない」

メイド「ああっ、すみませんっ、もっとタイミングを考えるべきだったですっ」

女「別に、いいわよ…でも、もうちょっと、ここにいさせてね」

メイド「…はい」

女「…」

メイド「…お、お嬢様」

女「ん、なに?」

メイド「あ、あにょ、えとっ、その……」

女「何よ、はっきりしないさいよ」

メイド「え、えっと……きっ、キス、しても、いいですか…?////」

女「は、はぁっ!?/////」

91: 2012/06/21(木) 16:59:28.99
メイド「お、お嬢様…」

女「…っ、別に、好きにしなさいよ」プイッ

メイド「…む、そっち向いたらキスできませんっ」グイッ

女「はわあっ!?」

メイド「…お嬢様」ドキドキ

女「あ…………ん」チュ

メイド「…」

女「…」

メイド「……」

女「……」

メイド「………ん」

女「……~~~っ、ぷはあっ! あーもうっ、長いわよっ!!!/////」

メイド「はわわっ、すみませんっ、あまりにもお嬢様のお口がやわらかくて、その…っ」

女「ばかっ、ばかばかっ!!!」ポコポコ

メイド「す、すみません~~っ」

女「う~~~っ…全く、もう…」ムクリ

メイド「……キスって、気持ちいいですね」

女「…ええ、そうね」

92: 2012/06/21(木) 17:01:43.13
女「…ね、メイド」

メイド「はい?」

女「その敬語さ、無しに出来ない?」

メイド「え、と……長年使用していますから、お嬢様に対しては少し厳しいものが…」

女「私に対しては…?」

メイド「えぇと、弟くんにはたまに敬語じゃなかったりなんなりって感じでして」

女「…ふうん」

メイド「…うぅ、さすがにそれはちょっと…」

女「別に、無理にとは言ってないわよ」

メイド「…」

女「…」ワクテカ

メイド「すっごく期待してるじゃないですかああぁぁァァァ!!」

女「そう? そうでもないんだけどね?」

メイド「うぅぅぅっ………分かりました、使わなければいいんですね!?」

女「ええ、そうよ」

メイド「一度だけですからね!!」

女「はいはい」ワクワクテカテカ

メイド スーーーー……ハーーーー………

93: 2012/06/21(木) 17:04:12.93












メイド「好きだよ、女ちゃん」












女「ごはあっ!?」ブハッ

メイド「わあっ!? 鼻血がっ!? 弟くん!! 弟くんティッシュ持ってきてーーーー!!!!!」

94: 2012/06/21(木) 17:04:46.34

       _,..-――-:..、    ⌒⌒
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96: 2012/06/21(木) 17:31:37.12

引用元: メイド「好きだよ、女ちゃん」