1: 2012/07/04(水) 19:27:43.99
女剣士「え」

剣士「いや、あのさ。俺は人間が嫌いだからこんな山奥に引きこもって暮らしてるわけ」

女剣士「はぁ」

剣士「なのに、後から後からやってくるんだよ。『勝負しろ!』『手合わせ願おう!』って輩が」

剣士「何なの? 何が目的なの?」

女剣士「いや、それは……お前が強いと有名だから、腕試しにだな……」

剣士「ほら出た。出たよーもう、腕試しがしたかったら適当に魔獣とか熊とか倒せばいいだろ?」

剣士「なのに、わざわざ俺のところに来るの?」

剣士「そして負かしてやると、なぜか全員爽やかな顔で『ふっ、修行不足だったか』『次は必ず……!!』とか言って帰って行く!」

剣士「なんだよ、俺は『己の未熟さを思い知らせされる、今後の成長のバネ』みたいな存在か!? 心の師匠か? ピンチになったら助けに行くのか!?」

剣士「そして噛ませ犬的に氏んで、主人公の覚醒の糧に使い捨てられるのか!?」

女剣士「落ち着け!」

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341397663

2: 2012/07/04(水) 19:29:29.51
剣士「俺の時間返せよ! なんでタダで腕試しに付き合ってやる必要がある!?」

女剣士「そうは言うが、仕方あるまい。有名税だろうが」

剣士「で、出た―、有名税とか言って人のプライベートめちゃくちゃにする奴」

剣士「ばっかじゃねぇの!? せめて事前に連絡よこせよ! アポ取れよ! 社会人として当然だろ!?」

剣士「こないだなんか、一人でしてるときに髭のオッサンがドアぶち破って『俺と戦え!』とか出てきて!」

 豪傑『ぬははははは!! お前がこの変で最強の剣士か! 俺の斧のサビにしてy』
 豪傑『あ……ごめん』
 豪傑『ほんと、ごめんね? うん……あの、ドア直していくから。明日この時間にまた来るから』

剣士「こうなったんだぞ? 気まずいったらないわ!」

女剣士「し、知るか!!(お、おな……///)」

3: 2012/07/04(水) 19:30:57.23
剣士「あのオッサンはまだ良い奴だったよ! 酷いのは飯食ってても、ウンコしててもお構いなし! っていうかわざわざそこ狙いだよ!」

剣士「もう腕試しでもなんでもねぇよ!」

女剣士「それは『最強の剣士を負かした名声』狙いの輩だろう。手段はどうあれ、倒せばハクが着くしな」

女剣士「まぁ、卑怯な手段で倒して、どれほどの価値があるかは疑問だが」

剣士「その疑問のある価値のために、おちおちウンコもできねーよ!」

剣士「そうでなくても忙しいんだよ! 畑の世話とか、動物用の罠仕掛けたりとか!」

剣士「世捨て人が暇だとおもった!? 残念、結構働いてました!」

女剣士「だから落ち着け!」

4: 2012/07/04(水) 19:34:27.41
剣士「そりゃ、最初は楽しかったよ? 人間嫌いとは言え、客が来て立ち会いをするのはいいことだ」

剣士「適度な運動になるし、他の流派は見てて勉強になるし」

剣士「だが、限度ってもんがあるだろうよ」

剣士「何回も何回も来やがって! まだアレだよ?『稽古を付けて下さい』とかなら解るよ?」

剣士「『戦え!』だの『手合わせ願おうか!』だの、なんで初対面なのに上から目線なの?」

剣士「おまけに断ると『怖気づいたか』とか『剣士としての誇りも失ったか』とかドヤ顔勝利宣言ですよ!」

女剣士「いや、それは……」

剣士「というわけで、俺は考えました」

女剣士「?」

剣士「見返りがないのに、こんなのやってられません。なので、俺が勝ったら代償をお支払い下さい」

女剣士「な、金か? 立ち会いに金を求めるとは……」

剣士「男はね。女は身体で」

女剣士「は?」

剣士「身体」

女剣士「か……身体……///」

5: 2012/07/04(水) 19:36:17.92
剣士「あー、もう。ずばり言うか? 犯すっつてんだよ」

女剣士「い、言うな、馬鹿!」

女剣士「金だけでもアレだというのに、貴様、自分の剣が穢れると思わないのか!」

剣士「そんな気持ちあったら城にでも仕えて近衛騎士でもやっとるわ!」

剣士「とにかく、俺とやるんだった、ヤられる覚悟をして来なさい」

女剣士「げ、ゲスが。こんな奴とは思わなかった……」

剣士「なんとでも言え。つーかもっと言え。ゲスって噂が広まれば、挑戦者も少しは減るだろ」

剣士「大体甘いんだよ、なんのリスクもなく腕試しなんざ」

剣士「腕試しのつもりで盗賊の討伐に行って、ルール無用の勝負に裏をかかれて負けた挙げ句、速攻マワされて性奴隷なんて山ほど居るんだ」

剣士「それよか大分マシじゃね? 俺は一晩ヤったらそれで解放するし」

女剣士「ぐっ……良いだろう、やってやる」

剣士「お、いいの?」

女剣士「お前のようなゲスに怖じ気づいたとなれば、名折れだからな。それに、勝てば問題ないのだろう?」

剣士「そうね。そんじゃ、相手が降参するか、戦闘不能にしたら勝ちな」

女剣士「貴様は降参しても許さん。剣を汚す不埒者め。その腐った性根をたたき直してやる!」ジャキッ

剣士「はいはいっと……」チャキッ

女剣士「行くぞ!!」

6: 2012/07/04(水) 19:39:14.06
――10分後


剣士「さて、俺の勝ちだな」

女剣士「ひ、卑怯だぞ、こんな……////」

剣士「なにが? まぁ、『降参』か『戦闘不能』で勝ちってことだけど、降参はしてないし、怪我もないんだから、正確にはまだ目はあるよ」

剣士「ほら、かかってきなさいよ」

剣士「そのおっOいと股間を隠してる手をどけて。内股じゃ構えられないだろ? ほらー、しっかりー」

女剣士「た、戦えるわけないだろうが! こ、こんな格好////」

剣士「じゃぁ、降参?」

女剣士「誰が……っ!」

剣士「埒があかないな。俺、夕飯食ってくるから、その間に決めてよ」スタスタ

女剣士「え、ちょ……待」

 パタン

女剣士「くっ、何を考えているんだ。お、女を素っ裸に剥いて外に放置し、自分は家の中で食事だと……?」

女剣士「(……しかし悔しいが、剣の腕は確かだ。いや、確かどころか恐ろしいほどだ……)」

女剣士「(私の肌には傷一つ付けず、鎧も服も、全部剣だけではぎ取った……)」

女剣士「(しかも、私は全力で戦っていたのに……なんという様だ、情けない……うぅ)」ウルッ

7: 2012/07/04(水) 19:40:31.54
 ガサガサッ

女剣士「だ、誰だ!」

山賊1「おうおう、なんだい姉ちゃん。露出プレイかぁ?」ニヤニヤ

山賊2「へへ、マブい女ですぜ、兄貴!」

女剣士「あ……くっ、来るな、見るな! どっかに行ってろ!!」

山賊1「気が強いようだが、その格好じゃなぁ」

山賊2「そんなに動くと、見えちゃうぜぇ?」

女剣士「く、くぅ……見るなぁ///」

山賊1「それじゃ、頂くとするか、ぐへへへ」

女剣士「や、やだ……いやぁ……」



 ガチャ

9: 2012/07/04(水) 19:43:10.65
剣士「おい。そいつは俺のだ」

山賊1「げ、て、てめぇ!」

山賊2「やばいですぜ、兄貴!」

剣士「なんだ、またお前らか。また案山子のバイトがしたいのか?」

山賊1「う、く……引くぞ」

山賊2「へい!」

剣士「……ったく、人を避けて山奥に来たってのになぁ。同じく人目を避けたがる奴が吹き溜まる」

剣士「あぁ、イヤだイヤだ」

剣士「じゃ」

女剣士「こら! また放置するのか!」

剣士「だって降参する気ないんでしょ?」

女剣士「いや、それはだって……だ、大体『俺のだ』とは何だ! 私はお前のものになんか……」

剣士「……おい」ガシッ

10: 2012/07/04(水) 19:45:25.66
女剣士「きゃっ……!?」

剣士「お互いに納得の上で勝負しただろ? 少なくとも、勝負すると決めたのはお前だ、そうだな?」

女剣士「うっ……」

剣士「お前が決めた勝負で負けたんだ。だったら、結果は受け入れろ」

女剣士「…………」

剣士「受け入れる暇すら与えられないまま、破滅していく奴だっているんだぞ」

女剣士「解った……」

剣士「ん? 聞こえんなぁ~」

女剣士「」イラッ

女剣士「こ、降参だ、降参!」

女剣士「す、好きにしろ……///」

剣士「そうじゃなくて」

女剣士「は?」

11: 2012/07/04(水) 19:46:49.23
剣士「『私、女剣士は、剣士様に負けたので、明日の朝まで剣士様の所有物です』だろ?」

女剣士「(こ、こいつ……!)」ムカッ

剣士「ほら、早く」

女剣士「ぐっ……」

女剣士「『私、女剣士は、剣士様に負けたので、明日の朝まで剣士様の所有物です』」

女剣士「こ、これで満足か!? ゲスめ!!///」

剣士「よし、じゃあ、家に入って」

女剣士「……お邪魔します」

剣士「飯は? 腹減っただろ」

女剣士「いらn(グー」

女剣士「///」

剣士「お約束だな。まぁ、食いなよ。明日の朝までは長いからな」

女剣士「……解った。頂く」

女剣士「そ、それと、何か着るものを貸してくれないか。その、いますぐ……アレというわけではないのだろう?///」

剣士「ダメ。明日の朝になったら、破いた分俺の服をあげるけど、それまでは裸で」

女剣士「」

12: 2012/07/04(水) 19:49:07.27
剣士「ごちそうさま」

女剣士「ごちそうさま」

剣士「うむ、思った通りだ」

女剣士「な、何がだ」

剣士「おっOいでかい」

女剣士「い、言うな! こんなもの邪魔なだけだ。食事中もじろじろ見おって……」

剣士「俺の所有物を俺がどれだけ見ようが勝手だろ?」

女剣士「くぅ……そ、それより、その……するのか?」

剣士「あぁ、そうだな。その前に水浴びでもするか。用意してくる」

女剣士「う、うむ……世話をかける」

剣士「え?」

女剣士「な、なんでもないっ!///」

女剣士「(何を言ってるんだ、私は……/////)」

剣士「ふむ……ま、ちょっと待ってろ」ガチャ、パタン

14: 2012/07/04(水) 19:54:19.66
女剣士「(しかし……本当に飾り気のない部屋というか……)」

女剣士「(ベッドと机、タンス、いくらかの食器……目立つものはそのくらいか?)」

女剣士「(あとは、剣か。手入れはしているようだが……)」

女剣士「(はぁ、私は何をやってるんだ。諸国を歩いて剣の腕を磨くのではなかったか)」

女剣士「(……父上、母上……いや! 私は故郷など捨てた身だ!!)」

女剣士「(だが……今日会ったばかりの男の部屋で、裸でいるなど……悪夢だ……)」

女剣士「(いや、悪夢はこれからか……)」

コンコン

15: 2012/07/04(水) 19:56:51.55

コンコン

女剣士「む? お、おい、客だぞ!!」

剣士「んー? 出てくれ」

女剣士「で、出られるわけ無いだろうが!」←全裸

剣士「ったくもう……隠れてろ」

女剣士「あ、あぁ……」ゴソゴソ

剣士「どなた?」

兵士「お前が剣士か!」

剣士「そうだけど?」

兵士「我らが領主様が、お前の剣の腕を聞いて、頼みたいことあるとの仰せだ! すぐに共に来て貰おう!」

剣士「断る」

兵士「え?」

剣士「なぜなら今からエOチするから」

兵士「」

剣士「また明日来て下さい」パタン

兵士「」

女剣士「何だったんだ?」

剣士「何でもない。ただの勧誘」

16: 2012/07/04(水) 20:00:20.45

――さらに20分ほど経過

剣士「さて、水浴びの準備できだぞ」

女剣士「あぁ、っておい!」

剣士「なに?」

女剣士「な、なんでお前まで裸なんだ!///」

剣士「一緒に水浴びした方がいいだろ。手間がかから無くて済む」

女剣士「い、一緒に……!!」

剣士「イヤとは言わせないぞ?」

女剣士「わ、解った! 解ったよ……どうせ、私はお前の所有物なんだからな」

剣士「よろしい」

女剣士「(うぅ……まともに見てしまった///)」




――剣士宅へ続く街道

??「やれやれ……ここまで長かったですね」
??「今度こそ……あの日の雪辱を……」
??「頃す]……必ず……」

 バッタリ

「「「おや?」」」

17: 2012/07/04(水) 20:02:05.99
女剣士「(しかし……こんな狭い桶で水浴びとは……)」

女剣士「(……流石に鍛えられているな。傷も多い)」

女剣士「(し、下はあまり見ないようにしよう……////)」

剣士「おい、背中を流してくれないか」

女剣士「……解った」

剣士「……」

女剣士「……」ゴシゴシ

剣士「……黙ってないで、何か話してくれ」

女剣士「……今まで、何人ほど毒牙にかけてきた?」ゴシゴシ

剣士「これは手厳しい話題だな。まぁ、女の剣士なんてそんなに多くないし、『見返り』を求めだしたのも最近だからな」

剣士「お前で4人目だ」

女剣士「……4人」ゴシゴシ

剣士「どうした? 『私が始めてじゃないなんて』ってか?」

女剣士「……半分当たりだ」

18: 2012/07/04(水) 20:04:53.04
剣士「へぇ」

女剣士「貴様自身は無頓着なようだが、その筋ではかなり有名なんだぞ?」

女剣士「人目を避けて技を磨く孤高の剣士、その腕比肩しうるものなき無双の剣なり……とな」

女剣士「『勝てば何でも願いが叶う』という噂まである」

剣士「なにそれこわい」

女剣士「まぁさすがにそれは冗談半分だが……それだけに、貴様が相手してきたのは、かなりの手練ればかりだ」

女剣士「貴様に挑戦する、ということ事態がすでにステータスとなっている。半端な腕では挑むことすらできないとされる」

女剣士「貴様には迷惑な話だろうがな」

女剣士「だから、女の身で貴様に挑戦してきた者がすでに3人もいたというのは……驚きだ」

剣士「そんなに大したもんじゃないけどな」

女剣士「世界は広いな……誰にも、男にも負けたことはなかったのに」

剣士「……どうして剣士なんかやってるんだ?」

女剣士「なに、大した理由じゃない」ゴシゴシ

女剣士「家系さ。うちは元々、剣術の宗家だった。代々長男がそれを継ぐことになっていたのだが、生憎両親には一人娘、つまり私しかいなかった」ゴシゴシ

女剣士「両親には反対されたが、物心ついた頃から稽古を見るのが好きだった。見様見真似で棒きれを振り回したのが、私の始まりだ」

19: 2012/07/04(水) 20:07:40.43
女剣士「……だが、やはり両親は不満だったようだ。そもそも、ある程度の階級の娘など、政略結婚の道具に過ぎん」

女剣士「親交のある他流派の男を婿養子に取って存続を図る。それには、娘本人が剣を修める必要などない。むしろ邪魔だ」

女剣士「反発して家を飛び出した。いずれは、宗家の名に頼らぬ、私自身の名だけで有名になって、見返したかった」

女剣士「そして、ようやく自分の腕に自信がつき、旅の総仕上げとして貴様に挑んだのだが……この様だ」

剣士「……」

女剣士「……話しすぎた。貴様こそどうして、こんな世捨て人みたいな生活をしている?」ゴシゴシ

女剣士「その腕なら、それこそ士官の道はどこでもあるだろうに」ゴシゴシ

剣士「……何のために剣を振ってんのか解らなくなった」

女剣士「……」

剣士「そう構えるなよ。今までの3人にも話したし、こっちだって良くある話だ」

剣士「俺の生い立ちや半生は関係ないから省く。ただ、結論として俺は強くなった」

剣士「才能とか努力とか色々な要素があったんだろうが、それは幸運だと思っているし、ありがたいことだとも思う」

剣士「だが、その強さを何に使えばいいのか解らなくなった」

20: 2012/07/04(水) 20:09:08.56
剣士「何かを守ればいいのか? だが、俺が守った者はいとも簡単に俺を裏切った」

剣士「金とか、権力とか、嫉妬とか、恐怖とか、その他諸々の理由で」

剣士「自分のために使えばいいのか? ところがどっこい、俺がそれをすると途端に『弱い者いじめ』になる」

剣士「弱い者から奪うってのは、なかなかストレスでね。性に合わなかった」

剣士「強ければ尊敬されるが、強すぎれば叩かれる」

剣士「ま、そんなわけで、俺は人間社会がイヤになったってワケ」

剣士「さて……と。次は俺が洗うよ」

女剣士「え、いや、それはいい! 自分で洗うt……んんっ……」

剣士「……」

女剣士「ん、くっ……むぐっ……」

剣士「……」

女剣士「ぷはっ……はぁ……」

剣士「……話は終わりだ」

女剣士「……わ、解った。だが、ひ、一つだけ……」

剣士「?」

女剣士「わ、私はその……経験が、なくて、だな……だからその……恥ずかしい話だが……んっ」モミモミ

剣士「……話は終わりと言ったぞ」

女剣士「/////」コク

21: 2012/07/04(水) 20:10:26.71
――剣士宅周辺の藪の中


山賊1「へへへ、あの野郎、お楽しみってやつだなぁ」

山賊2「さすが兄貴、一発こましてるときは、あの野郎も無防備ってわけですね」

山賊1「おうさ。もともと、あの小屋は俺らの隠れ家の一つだったんだ。それを後から来て奪いやがって……」

山賊2「畑に裸で縛り付けられて三日間も放置でしたからね……よく生きて帰れたもんで……」

山賊1「あの屈辱も含めてたっぷりお礼をしてやるぜぇ……へへ、それにあの乳でかい女もな」

山賊2「兄貴ぃ、俺らにもまわしてくだせぇよ?」

山賊1「あぁ、解ってるって。いいな、野郎共。まずはあの小屋を完全に囲むんだ」

山賊48「「「「「わかったぜ、兄貴いぃぃ!(小声)」」」」」

22: 2012/07/04(水) 20:12:06.31


剣士「……ふむ」ピクッ

女剣士「? どうした?」

剣士「囲まれてるな」モミモミ

女剣士「ふあぁ……か、囲まれてる……?」

剣士「……さっきの連中だ。おい、服を着ろ」ガバッ

女剣士「え……?」

剣士「そんな顔をしなくても、片付いたら後でたっぷり可愛がってやる。でも自分の身は自分で守れ」

女剣士「ば、馬鹿!! そんなんじゃない!///」

女剣士「(くっ、せっかく覚悟を決めたのに……!)」

23: 2012/07/04(水) 20:13:55.04
剣士「数が多いな。ほら、少しサイズが大きいが、これを着な」ゴソゴソ

女剣士「あ、あぁ」モゾモゾ

剣士「あと、お前の剣だ」

女剣士「うむ」パシッ

剣士「お前の武器は速さだな。だが、相手の視線をもう少し気にするとまだ強くなる」

女剣士「え?」

剣士「相手がどこを見ているか注目しろ。気がどこに向いているか、考えろ。そうすれば無駄なフェイントを入れずに済む」

剣士「お前はまだまだ、無駄な動きが多い」

女剣士「あ、あぁ……」

剣士「相手は山賊だ。練度は低いがとにかく数で押してくるタイプだな。1人ずつ各個撃破していけ。意地になって複数人を相手にすると面倒だぞ」

女剣士「了解……」

剣士「じゃぁ、行くか」

 ガチャ

24: 2012/07/04(水) 20:15:04.85
剣士「こんばんは」

山賊1「げっ、き、気付きやがった」

剣士「馬鹿みたいに殺気をまき散らしやがって。アホでも気付くぞ」

女剣士「(胸揉まれてて気付かなかった氏にたい)」

剣士「獲物を狩る獣の方がまだ上手い。あれに気付かないとなると剣士としては5流だな」

女剣士「(胸揉まれてて気付かなか(ry)」

剣士「本能のままに食う寝るヤるしかないからそうなるんだ。眠ってても飛び起きるぞ」

女剣士「もおおおおおぉぉぉぉっ!!」

剣士「どうした?」

女剣士「なんでもない! なんでもなあぁぁぁい!!」

女剣士「貴様ら絶対に許さん! 許さんからなぁっ!!」

山賊2「あの女、半端じゃなくキレてますぜ、兄貴ぃ!」

山賊1「くそっ、野郎共、やっちまえーー!!」

山賊48「「「「おおおおおおおお!!」」」」

25: 2012/07/04(水) 20:16:23.74
ザシュッ

山賊3「ぐえっ!」

ドシュッ

山賊4「ぐひぃっ!」

女剣士「まさに烏合の衆だな……他愛ない」

剣士「油断するなよ。アホだけど、数だけは居るから。アホだけど」

山賊1「アホって言うな! おら、野郎共! 囲め囲めえぇぇ!」

女剣士「(しかし……)」

女剣士「(相手の視線か……考えたことがなかったが、確かにやりやすい)」

女剣士「(……というか、こいつらの視線が胸に集中してるから凄く倒しやすい)」←ノーブラでシャツ一枚

女剣士「(男って奴は……#)」

26: 2012/07/04(水) 20:17:52.73
女剣士「ふん、貴様ら程度に遅れは取らん!」

山賊2「畜生……食らえ!」ボフッ

女剣士「ぐっ!? め、目つぶしかっ!?」

山賊2「へっへっへっ、ざまぁみろ。おらあ!」ガギーン!!

女剣士「くっ、卑怯な!」

山賊2「試合や稽古じゃねぇんだよ! ぼけぇ!!」ブンブン!

女剣士「くっ、うっ」ガキン、ギャリン!

山賊5「後ろ貰った!」ドゴォッ

女剣士「ぐああぁっ!?」

山賊5「へへへ、良い身体してるじゃねぇか、げぶっ!?」ドガァッ!!

剣士「だから油断するなって言っただろ?」

女剣士「う、うるさい……」

山賊1「女だ! 女を集中的に狙え!」

 「「「うおおぉぉぉぉ!」」」

27: 2012/07/04(水) 20:19:41.34
山賊6「うらぁ!」ザクッ

剣士「くっ、痛ぇな!!」ブンッ!

山賊6「へっ、ざまぁmぎゃあっ!」ズバッ!

女剣士「き、貴様、私を庇ったのか!?」

剣士「ま、その目じゃしばらくは無理だろうな」

女剣士「答えろ!!」

山賊7「おらぁ! 邪魔すんじゃねぇ『うるせぇよ』うぎゃああ!」ザシュッ!!

剣士「左肩をちょっとばかし抉られただけだ」

女剣士「で、でも!」

剣士「大丈夫だって」

女剣士「貴様は……もう守ったりするのはイヤだと……」

剣士「誰がんなこと言ったよ」

剣士「俺は自分で守り切れないものを『自分のモノ』だと言い張ることをやめただけだ」

剣士「身に余る金だ、中途半端な権力だ、名前も知らない部下だ、話したこともない王様だ……そんなもんに責任は持てねぇよ」

剣士「だが、俺のものだと宣言したものには、責任を持つ」

剣士「たとえ、明日の朝に手元を離れるとしてもな。これでも、一晩くらいは守れるさ」

女剣士「貴様……」

28: 2012/07/04(水) 20:21:07.62
山賊1「弓だ! 弓を持って来い! たっぷりと毒を塗るんだぞ!」

山賊1「ぐへへ、最初からこうすりゃ良かったんだ」

女剣士「くっ、もういい! 私は置いていけ!」

剣士「お断りだ」

女剣士「手負いでどうにかなるものか! それに私を守って氏ぬことはないだろう!」

女剣士「眼が潰されたのは私のヘマだ!」

剣士「ダメだね。まだお前のおっOい揉み足りねぇし、腰が抜けるまで犯してもいねぇ」

女剣士「こんなときに何言ってる!」

剣士「……でも、悪いと思うんなら、お前の剣借りるぞ」

女剣士「え?」

剣士「交換だ交換。しばらく休んでろ、ほい」

女剣士「!?」ズシッ

女剣士「(なんだ、この剣は!? 見た目は普通だったのに……も、持ち上がらない!?)」

女剣士「(一体なにで出来ているんだ!?)」

山賊1「うてぇ!!」

山賊41くらい「「「「うおおおおおぉぉぉぉっ!!」」」」

 ヒュンヒュンヒュン……ズドドド!!

29: 2012/07/04(水) 20:22:30.42
山賊1「な、なんだ!?」

山賊2「矢が、矢が全部勝手に落ちて……」

剣士「おぉ、軽い軽い……ったく久々だからな、普通の剣は」ヒュンヒュン

山賊2「け、剣の残像が……そんな、まさか全部叩き落としやがったのか!?」

山賊1「ありえねぇ! て、てめぇ!」

剣士「んだよ? 『まだ奥の手があるなんて卑怯だ!』とか言うのか?」

剣士「なにそれ、ははは、おもしろーい」ヒュン!!

山賊8「ぐあっ!」

山賊9「ぎゃあっ!?」

山10「ひでぶっ!?」

剣士「分身の術~」

山賊12「嘘だろひぎぃっ!?」

剣士「ブラボー、おぉ、ブラボー!!」ドヒュウウゥゥ

山賊13~48「「「「UGYAAAAAAAA!!」」」」

女剣士「(ははっ、何が『お前の武器は速さ』だ)」

女剣士「(そっちの方が無茶苦茶速いじゃないか……)

30: 2012/07/04(水) 20:23:56.69
山賊1「くそっ、野郎共! 逃げるぞ!!」ダッシュ

山賊2「ひ、ひいぃっ! 兄貴いぃ!!」ダッシュ

??「なにか、騒がしゅうございますが」

??「まったく、野卑な匂いがぷんぷんしますわ」

??「……面倒」

山賊1「お、おい!」ジャキッ!

山賊2「お、大人しくしやがれ!」

剣士「あ……」

山賊1「へへへ、形勢逆転だなぁ? この女達の命が惜しかったら」

剣士「いやぁ、それは止めた方が良いと思う」

山賊2「や、止めた方が良いと言われて、止めるわけ無いだろうが! 剣を捨てろ!」

??「おい」

31: 2012/07/04(水) 20:24:51.94
山賊1「あ? 姉ちゃんもその綺麗な顔に傷つけたくなかったら大人しくしてnあひぃっ!?」ドゴオォォォッ……キラーン

山賊2「あ、兄貴いいいぃぃぃ!!」

??「貴方もですわ」

山賊2「え? あっぴゃあぁぁぁぁぁっ!」ドゴオオォォォ……キラーン

剣士「だから止めた方がいいと言ったのに……」

女侍「ふふ、久しいですね」

女騎士「相変わらず、飄々としていらっしゃいますわ」

女暗殺者「……だらしない」

剣士「なんだよ全く。今日は客が多いな」

32: 2012/07/04(水) 20:25:48.00
女剣士「剣士! 大丈夫か?」

剣士「あぁ、お前さんこそ目は?」

女剣士「あぁ、もう問題ない……そちらは?」

女暗殺者「……新顔?」

女剣士「新顔……何の話……あ!」


 女剣士『……今まで、何人ほど毒牙にかけてきた?』

 剣士『お前で四人目だ』


女剣士「ま、まさか……」

女侍「剣士殿。雪辱を晴らしに参りました」

女騎士「わたくしの磨き上げた剣技、この間とはひと味違いましてよ?」

女暗殺者「今度こそ……命を……狩ってやる……」


剣士「えーと、遙か東方の国から刀一本持って武者修行、流れ流れて俺を訪ねたが負けてこまされた女侍さんに、

   俺をスカウトしろと隣の領主さんから言いつかって『わたくしに負けたら一緒に来て貰いますわ』→『こんなはずでは』ルートを辿った女騎士さん

   あと俺を怨んでる誰かさんから依頼を受けて俺を殺そうしたけど返り討ちにあって結局ベッドの上でも返り討ちの女暗殺者さんですね」


女剣士「雑な紹介だな!!」

33: 2012/07/04(水) 20:27:40.65
女侍「まぁ、よいではありませんか。事実は事実ですから。それでは、私からという約束でしたね?」

女騎士「やむを得ませんわ。くじの結果ですもの。まさか同じ目的で三人が鉢合わせるとか思いませんでしたわ」

女暗殺者「……ちっ」

女侍「しかし、この寝ている方々は邪魔ですね……」

剣士「あぁ、気にしないで。家の裏手に回ろう。そこには居ないはずだから」

女侍「それはよかった。折角勝っても『足場が悪かった』と言い訳されては興ざめですからね?」ニコッ



――家の裏手

女侍「……思い出しますね。あのとき、私は全く貴方に歯が立たなかった。あまつさえ、朝まで辱めを受けることに」

女騎士「わたくしも、あの日の屈辱は忘れたことがありませんわ。服を着ることも許されず……まるで家畜のように……」

女暗殺者「……依頼を遂行できないのは……信用に関わる。仮に負けても……今度は犯されながらでも……頃してあげる」

女剣士「(……やはり、剣士のしていることは酷いことだ。女の人生を歪めてしまう……)」

女剣士「(どうして、こんな非道なことを……こんなことさえなければ)」

女剣士「(いや、悪いのは剣士ばかりではないのだ。アイツの望む静かな生活を破壊してまで押しかけているのは、私達……)」

34: 2012/07/04(水) 20:29:45.48
女侍「……でも優しくしてくださいましたね。睦み事があんなに心地良いものだとは……」ボソッ

女騎士「わたくしをいぢめて、こんな身体にしたのですから、責任は取って貰いますわ」ボソッ

女暗殺者「…………………////」ポッ

女剣士「もう完堕ちしてるじゃないですか、やだー!!」

女侍「コホン。それはそうと、剣を変えたのですか? この間の者とは意匠が違うようですが」

女剣士「(あっ……)」

剣士「問題ない。負けても『いや~、いつもの剣じゃなかったから負けたわ~、いつものじゃなかったからな~』とか言わないから」

女剣士「あ、あの……」

女暗殺者「……大丈夫……必ず、勝つ……」

女剣士「いや、そうじゃなくて……」

剣士「あ、あと肩の傷も無視して良いよ。『あいつ庇ってケガしたから負けたわ~』とか言わないから」

剣士「どっからでもかかって来なさい。めんどくせぇけど」

女剣士「(リミッター外れてますよ~、言いたかったのだが……)」

35: 2012/07/04(水) 20:30:37.40
女侍「……ドキドキ」

女騎士「……ワクワク」

女暗殺者「……キュンキュン」


女剣士「……ま、いいか」ハァ


女侍「参 り ま す !!」

剣士「お う !!」

36: 2012/07/04(水) 20:31:27.35
――翌朝

チュンチュン

兵士「全く! なんだあの態度は! 思い出す程に腹が立つ!」

兵士「名の知れた剣豪だか何だか知らんが、領主様の命をなんだと思っておるのだ!」

兵士「今日という今日は! 首に縄付けてでも……ってうわぁぁ!!」

兵士「な、なんだこやつらは……家の周りにむさ苦しい男共が転がっておるぞ!」

兵士「……ぐ、と、とにかく、なんにせよあやつに聞かねばなるまい」

兵士「すぅ~……はぁ~……べ、別にビビってなんかないんだからな!!」

兵士「…………」

 コンコン

兵士「…………」

兵士「……」

兵士「出ない、まだ寝てるのか?」

37: 2012/07/04(水) 20:32:40.70
 ドンドン!!

  『ふぁ~~~い』

兵士「(なんとだらしのない声だ……本当に強いのか、こやつ……)」イライラ

  『あ、やべ……えぇと、ズボンは……』

兵士「(もしかしたら、俺でも倒せるんじゃ……)」

兵士「(試すだけだ……本当に使えるのか、実力を測るのも仕事の内ではないか……)」ソッ(剣に手を伸ばす)

 ドカッ!!

兵士「ひぃっ!?」

兵士「(ど、ドアを貫いて剣が! 俺の! 目の前に!!)」

38: 2012/07/04(水) 20:34:00.57
 ガチャ

剣士「あれ? なんか殺気がしたと思ったんだけど……」

剣士「? どうかした? そんなとこにへたり込んで」

兵士「!?」ガバッ

兵士「こ、こほん……き、昨日のことだ! 覚えておろうな! 繰り返すが、領主様の命である!!」

剣士「あぁ……俺の腕を借りたいとか……」

兵士「うむ! この辺りに出る山賊の討伐に手を貸して欲しいt――」



剣士「あ、それその辺に転がってる奴らです」



兵士「え、なんて?」

剣士「頭領はどっか打ち上げられてしまいましたけど……一味の9割くらいは転がってると思いますんで、持ってって下さい」

兵士「(馬鹿な! まさか、山賊の噂を聞いて、自ら進んで討伐しというのか?)」

兵士「(だとしたら、こやつ……ん?)」

兵士「(剣士の肩越しに部屋の中が見える……ベッドが妙に膨らんでいるようだが……)」

39: 2012/07/04(水) 20:34:53.24
女剣士「んあぁ……こんな……破廉恥な………」ZZzzzzz……

女侍「不埒ですぅ……あぁ……はしたない……でも、気持ちいぃのぉ……」ZZzzzzz……

女騎士「もっとぉ……家畜のようにぃ……いぢめてくださいましぃ……」ZZzzzzz……

女暗殺者「…………だめぇ……ボク……女の子になっちゃうよぉ……」ZZzzzzz……



兵士「」

剣士「あの?」

兵士「ま、参りました!!!」ドゲザ

剣士「?」

兵士「武人として! 男として! 完全敗北です!! 謝礼は後日お持ちいたしますので!!」

剣士「はぁ……」

兵士「失礼します!」


剣士「……わけわかんねぇな」


 ――山賊を壊滅させたという噂が広がり、剣士のところには、さらに挑戦者が増えた。
 ――だが、その8割程度は常に付き従っている女性4人に倒されたため、彼自身の負担はかなり減ったとか。


終わり

45: 2012/07/04(水) 20:43:00.23

引用元: 女剣士「勝負だ!」剣士「めんどくせぇ!!」