1: 2012/12/20(木) 00:09:21.35
男「……それじゃ、だ、ん、じょ、広場でお待ちしていますっと」カタカタ

男「え~っと、『遅れないように行きますね』か。くぅー、かわいい!」

男「よしよし! これでこんな世界ともおさらばだ」

男「何着ていこうかな~、冬場だし、びしっとしたのより、暖かくてシンプルなのでいいだろ」

男「あ、でも、クリスマスカラーっぽいのでまとめてみるか!」

男「緑と赤……緑と赤……」

兄「ウキウキだな、お前」

男「なんだよ、兄ちゃん」

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1355929761/

3: 2012/12/20(木) 00:10:40.85
兄「お前いい加減、目を覚ましたらどうだ?」

男「それはこっちの台詞だ! 昔は男女でクリスマスデートは当たり前だったんだぞ!」

兄「クリスマスは旧時代の文化だ。俺が調べた文献によれば、この日は男が女に貢ぎ物をする日だと言われている」

兄「その対価に女はを差し出したらしいが、実に低俗な、旧時代らしい風習だろ?」

男「お、俺はするために女ちゃんに会うわけじゃねぇし!」

兄「……現に、男女分離法が制定される直前には、クリスマスは男女が互いに罵り合う、ということさえあったようだ」

男「あーうっせうっせ」

弟「何? 兄ちゃんがいよいよぐれたの?」

男「ぐれたんじゃねぇの! ただのデート!」

弟「女とデートでしょ? どう考えても騙されてるよ」

男「なんでだよ!」

4: 2012/12/20(木) 00:11:06.76
弟「学校でも教えられてるじゃん、女は男を騙す性別なんだって」

男「だからな、それは個人の違いもあるし、社会の影響もあったろうし……」

弟「自分から騙されるなんて、バカじゃん?」

男「おー、女ちゃんを侮辱するならぶん殴るぞ!」ポカッ

弟「あいてっ」

兄「こら、やめないか」

男「兄としての威厳を見せつけただけやで!」

兄「そういう問題じゃない」

弟「俺みたいに、学校の先輩と過ごせばいいのに」

男「そんなホ〇ホ〇しいパーティーに参加できるかっ」

弟「ホ〇って……兄ちゃん頭おかしいよ?」

男「うがあっ!」

5: 2012/12/20(木) 00:11:35.87
父「……男はいるか」

男「ああ? なによ?」

兄「父さん、こいつが」

弟「兄ちゃんがおかしくなって……」

父「話は聞いている。男だけこっちへ来なさい」

男「なんだよ、父ちゃんは関係ないだろ」

父「……」

男「うっ……」

兄「行ってこい」

男「分かったよ……」

弟「ざまぁー」

男「うるせぇっ」コツン

弟「あいたっ」

6: 2012/12/20(木) 00:12:03.61
居間。

父「お前、女と会うんだってな」

男「そ、それがどうかしたのか」

父「そのまま男女広場に住むつもりだろう。書類が届いていた」

男「あっ、いや、この、それは」

父「『分離法附則、年に一回、クリスマスにのみ、男女はデートをすることができる』」

父「『合意に達した男女には、特別に男女広場に住むことが許される』」

男「そ、そうだ。俺はこんな男だらけの世界は嫌なんだ」

父「大方、旧時代の性産業の遺物に嵌まったんだろう」

男「な、なんのことかな」

父「端末の閲覧履歴は、そう簡単に消去できないんだ」

男「そうなの!? ……あっ」

父「……バカめ」

7: 2012/12/20(木) 00:12:46.19
男「だってさ、普通の生物はオスメスで生活場所を分けるなんてことはしてないんだぜ」

父「そんなことはどうでもいい」

男「いや、どうでもいいって……」

父「お前は昔の、女を必要としていた、古臭い時代の性欲に迷わされているんだ」

父「女は汚いし、嘘をつく。政治に関われば大概の国では破滅に陥り、感情で物事を言うから、論理で説いても納得しない」

父「現に、女の国では政局が大混乱しているそうじゃないか」

男「はぁー、父ちゃんこそ、古臭い女像に騙されてるよ」

父「どこがだ、言ってみろ」

男「今の女性は……っていうか、女ちゃんは、そんなに感情で話したりしないし、嘘をついたりもしないよ」

父「個人を引き合いに一般論を言われても困る」

男「そんなこと言ったら父ちゃんの方が感情的だしー」

父「やかましい」

8: 2012/12/20(木) 00:13:14.74
男「とにかく、父ちゃんが何を言おうと、俺はこの国を出るんだ!」

父「……」

男「な、なんだよ」

父「なら、出て行け。我が家から女に迷ったバカが出たなどと、恥ずかしくて表を歩けん」

男「はあ!?」

父「言葉通りだ。男女が分離してから、この国はとても住みよくなった」

父「ある時期は、男が女に気を遣って生きなければならない、苦渋の時代さえあったんだ」

父「そんなことも分からんやつは、二度とこの家に入るな」

男「い……言われなくても出て行ってやるよ!」

男「言っとくけどな! 分離したから住みよくなったって言うけど、犯罪だって増えたし、腕っ節も頭もないやつは結局、強い男に気を遣ってんだよ!」

男「苦渋の時代つったら、俺が今、苦渋の時代だよっ!」

9: 2012/12/20(木) 00:13:48.27
男「女ちゃんはちげーし! 俺にも優しいし!」

父「バカがっ! それが騙されていると言うんだ!」

父「女は生産力の弱い性別なんだ! 本来的に男に頼らなければ生きていけない連中なんだ!」

父「優しくするのは、その自尊心をくすぐって、協力を得るために決まっている!」

男「ああん? 分離してるなら、女だって自立できてるじゃねーか」

男「お前の言ってることは矛盾しているんだよ!」

父「本来的に、と言っているだろうが! それに、父親に向かってお前とはなんだ!」

男「うるせぇーっ、家を追い出すつってるやつが、父親面するんじゃねぇーっ!」

父「この……馬鹿者が!」バキッ

男「うぐっ」

10: 2012/12/20(木) 00:14:20.29
一時間後。

男「おー、まだいふぇよ」

兄「また父さんを怒らせたのか」

男「あー、でも、これで最後だ。俺はこの家を追い出されるしな」

弟「えっ、兄ちゃん、出て行っちゃうの?」

男「おう」

兄「……売り言葉だろう、父さんの」

男「だとしても、俺が最安値で買ってやったからな」

兄「父さんも、急に振り切れるからな。落ち着いたら、考え直すように……」

男「いらねぇって。俺は女ちゃんと生きるんだ」

兄「そういう根拠も担保もない信頼で、やっていけるとおもっているのか?」

男「根拠や担保がある信頼ってなんだよ」

弟「いやぁ、うん。俺も、兄ちゃんが出て行っちゃうと寂しいよ?」

男「気持ち悪い」

弟「ひでぇ!?」

11: 2012/12/20(木) 00:14:56.02
男「とにかく、新天地だ。俺は行くぜ!」

兄「バカなやつだな。本当に騙されても知らないぞ」

弟「兄ちゃん、無理すんなよ」

男「うるせぇっ、盆も年末も帰らねぇからな!」ダダッ

兄「あー……スーツケース抱えて行っちまった」

弟「参っちゃうなー……」

兄「なんだ、なにかあるのか?」

弟「兄ちゃん、結構、みんなに好かれてたから、部活のOB会に連れてこいって言われてたんだよね」

兄「クリスマスパーティーか」

弟「そう。ま、しょうがないのかなぁ」

兄「やれやれ」

12: 2012/12/20(木) 00:15:34.53
広場前、コンビニ。

ウィーン。

店員「射精ー」

男「……」

男(どっかで一泊しないといけないし、金くらいは下ろしておかないとな)

男(ん、『月刊押忍 !』か)

男「……」パラパラ

男(けっ、「モテル男の身だしなみチェック」ね)

男(結局、男女に分離すると、誰かが男の中で女役をやらないといけないんだよな)

男(強要される方はたまったもんじゃねぇよ、好きでもないのに女装させられて)

男(その点、女ちゃんは俺の話をよく聞いてくれるしなぁ~)

男(あえて言うなら、男は話を聞かないからな、マジで)

ウィーン。

店員「射精ー」

後輩「……ん?」

13: 2012/12/20(木) 00:16:01.70
後輩「あー! 先輩!」

男「ああ? なんだよ」

後輩「なんすかー、こんなところで荷物抱えちゃってー」

男「ふん、どうでもいいだろ」

後輩「どうでもよくないっすよー、今度のクリスマスパーティー、来るんでしょ?」

男「行くわけねーだろ!」

後輩「ええー? 先輩のこと、みんな楽しみにしてたのに」

男「そりゃ笑い物にするやつがいないとパーティーはつまらねぇだろうがよ」

後輩「そんなんじゃないっすけど……」

14: 2012/12/20(木) 00:16:32.41
男「……悪いが、俺は明日のクリスマスに人生をかけているんだ。邪魔しないでくれ」

後輩「はあ?」

男「いいから失せろ、しっし」

後輩「……先輩、もしかして、何年か前に女装させたの、怒ってます?」

男「怒ってねぇよ、別に」

後輩「や、やだなー、もう。アレはその、先輩をいじめたいわけじゃなくってすねー」

男「だから、怒ってねぇっていってんだろ」

後輩「……そうっすか?」

男「そーだよ」

後輩「……」

15: 2012/12/20(木) 00:17:01.35

後輩「あのー、先輩」

男「なんだよ」

後輩「なんだったら、二人でやりませんか? パーティー」

男「はぁ?」

後輩「先輩、割と人気高いから、その……」

男「何いってんだ」

後輩「こ、ここで言うのもアレなんすけど、俺、先輩のこと……」がしっ

男「うおおっ!? 寄るんじゃねぇ!」

後輩「だ、大事にしますから」

男「だったら触るな!」

後輩「ええー!?」

16: 2012/12/20(木) 00:17:35.46

男「ふざけるな! バカにするな!」

後輩「少しもバカにしてないっすよー!」

男「うるせええ! 俺を大事にされる側に当てはめるんじゃねぇええ!」げしっ、げしっ

後輩「あ、痛い! 痛いけど、かわいい!」

男「氏ねや、ぼけなす!」

店員「んせーん、しぅかにしてもらえっすかー」

店員「ほかのキャクさまにゴめーくになるんでー」

男「ちっ、おら、帰れ!」

後輩「は、はぁ……」

17: 2012/12/20(木) 00:18:17.97
ホテル。

男「あー、くそっ、くそっ」

男(これだからむかつくんだよ、あいつらは)

男(どうせ順位をつけて、優位に立てるやつにしか好きだの何だの言わないくせに!)

男(……はぁ、女ちゃんとチャットしよ)

男「……こんにちは、今、大丈夫ですかっと」

男「……」

男「反応がないな」

男「うーん、まあ、明日に備えて、彼女もいろいろプレゼント用意しているのかもしれないし……」

男「しかし、いきなり出て行ったのはまずかったかなぁ……」

男「いやいや! ここは踏ん切りをつけるべきだったし……」

ぽーん。>女さんが、ログインしました。

男「おっ、きたきた!」

18: 2012/12/20(木) 00:18:44.24
女>ごめんね、遅くなって

男>気にしてないよ(*^-^*)

男>明日はどうします?

女>えっと、噴水前だとちょっと寒いかな

男>いいよー、地図見ていくわ

女>うん、大事な話があるから

男>うん。よろしくね

19: 2012/12/20(木) 00:19:11.29
男「……うん、えっと、照れるなーっと」カタカタ

男「えへへ」

男「なんか、会うのが近づいてくると、何話していいかわかんないな」

男「会ったらもっと無言になりそうだ」

男「……それじゃ、ま、た、ね」カタカタ

男「ふはー」

男「よし! 今日はとっとと寝ちゃおう!」

男「……」

男(寝れねぇえええ)

20: 2012/12/20(木) 00:19:37.54
男女広場、受付。

男「とか思ってたけど、よく眠れたわ」

受付「はい、はい。クリスマスの申請ね」

男「お願いしまーす」

受付「はい、申請には問題ないね。警備員さんの話を受けてから広場に入ってね」

男「警備員?」

受付「ケンカしちゃう男女とかいちゃうからね。その講習だね」

男「あはは、俺にはそんなのは必要ないっすよ」

受付「……次の方~」

男「まあ、行くか」

21: 2012/12/20(木) 00:20:03.91
講習室。

警備員「……というわけでして、相手から攻撃を受けた時は、この通報ベルのボタンを鳴らしてください」

警備員「男女のどちらの警備室にも、連絡が行きますので、安心です」

男「くぁ……」

警備員「ただ、連続してベルが鳴った場合、すぐには対応できないことも……」

男(早く終わらないかなー)

警備員「では、これがベルになります」

男「あ、はい」

男(まあ、使わんだろ)

男(女ちゃん、女ちゃん♪)

22: 2012/12/20(木) 00:20:29.70
広場、噴水前。

男「ふぅーっ、やっぱり、寒いかな」

男「……」

女「……男君」

男「あ、女ちゃん!」

女「待った?」

男「いやいや、マジでさっき来たばっかり」

女「……そっか」

男「……? 寒いの?」

女「ううん、違うの」

女「あのね……」

23: 2012/12/20(木) 00:20:55.90
女「私、別に好きな人ができたの」

男「……は?」

24: 2012/12/20(木) 00:21:21.56
男「え、ちょ、は!?」

女「ごめんね、ずっと、ずっと謝ろうと思ってたんだけど……」

男「いや、あの、え!?」

女「でも、どうしても、会って伝えないと、と思って……」

男「ど、どういうことだよ!」

女「だから、その、つ……付き合えないし……一緒には住めません」


『女は……』


男「」


『裏切る』


男「」

ガシッ

女「お、男くん?」

25: 2012/12/20(木) 00:21:47.41
男「お前ぇえええええ!」

女「きゃあああああっ!」ポチ

ヴィーッ、ヴィーッ

男「いい加減にしろよ、俺が、俺がなーっ!」

女「やめてーっ、助けてーっ!」

女警備員「こらー! そこの男、今すぐ、女性から離れなさい!」

26: 2012/12/20(木) 00:22:18.20
男「うわああああ!!!」

女警備員「離れろって言ってるだろうが」バチッ

男「おぎゃああああああああああっ!!」

女警備員「はい、逃げて、早く!」

女「は、はいっ」タタタッ

27: 2012/12/20(木) 00:22:44.77
女警備員「ったく、このケダモノが……」

男「う、うぐ」

女警備員「……男側の警備員が来ないわね」

男「う、うう……うぅぅー……」

女警備員「なんなのよ、暴れたと思ったら今度は泣き出して……」

男「ひでぇよ……あんまりだよ……」

女警備員「……」

男「住む家の話だってしたじゃんかよ……チャットだって頑張ったのに……」

女警備員「生々しいからやめてくれる?」

男「二人でがんばろうねって言ってたのに……俺に、もう行く場所なんてねぇのに……」

女警備員「……」

警備員「……こちらですか!」

28: 2012/12/20(木) 00:23:12.52
男「……」

警備員「すみません、男側の方でご迷惑をお掛けしたようで」

女警備員「いえ……」

警備員「ほら、来るんだ! まったく、こういうことがあるから、イメージが悪くなるんだ」ブツブツ…

男「……」

女警備員「あ、あー、その、連れていく前に、少し調書の関係というか」

警備員「は?」

女警備員「把握しておきたいことがあるので、お話させてもらえませんか?」

警備員「は、はぁ……」

女警備員「ご協力感謝します! ほら、こっち来なさい」

男「……」フラフラ

29: 2012/12/20(木) 00:23:59.40
柱の陰。

女警備員「君、行く場所がないとかどうとか言わなかった?」

男「親父に……追い出された」

女警備員「ああ、そう。それはいいけど、なんだってあの子を襲ったわけ?」

男「知らない……デート、するはずだったのに、振られた……」

男「女なんか、最低だよ……ありえねぇよ……」

女警備員「……そう」

30: 2012/12/20(木) 00:24:34.19
女警備員「でも、あの子だって、年に一回しかない、男性に会うチャンスを、わざわざ君に謝るために会いに来たのよ」

女警備員「本当は、もっともっと、言いたいことがいっぱいあったでしょうに」

男「そんなこと、言われたって……」

女警備員「会って、話したかったのよ、多分」

女警備員「君だってそうなんでしょ? 実際に会ってみて、確かめたくて……」

男「……」

31: 2012/12/20(木) 00:25:11.72
女警備員「もう、一度や二度、失敗したからって、そんなに落ち込まない!」

男「でも、行く場所、ないんすよ……」

女警備員「追い出されたってやつ? 別に、土下座なりなんなりすればいいじゃない」

男「もう、男しかいないところには行きたくないんすよ……」

男「うっ……」ボロボロ

女警備員「……泣くほど嫌なわけ?」

男「うっ、うっ……女ちゃん……」

女警備員「……」

女警備員「あーもう、だったら、女性にも会える場所を教えるから」

男「え……?」

32: 2012/12/20(木) 00:25:50.44
数週間後。

夫「なんだ、このやろう!」

妻「なによう、バカにして!」

女警備員「あーはいはい、破壊行動はやめてください」

夫「なんだ、てめぇ」

妻「二人の問題に口出ししないでよ!」

女警備員「……はぁー」

女警備員「犬も食わないケンカを喜んで食べる、政府の犬ですよー……」

33: 2012/12/20(木) 00:26:38.76
女警備員「クリスマスをすぎれば、また夫婦喧嘩の仲裁なのよねぇ」

女警備員「なんだかんだで別れたりはしないんだけど、男と女って常にケンカしてんのよね」

女警備員「ったく、好き合って一緒になったんだから、ケンカなんかするんじゃないってのに」

女警備員「……まったく」

女警備員「……ん? 男性側警備局の方から連絡?」

女警備員「えー、新しい職員を迎えたので、紹介をと」

女警備員「あー、肩凝るわ」

34: 2012/12/20(木) 00:27:04.35
女警備員「……」

警備員「どうも、こんにちは」

女警備員「こんにちは」

警備員「新規採用の方を紹介しますんで」

男「あ、姐サン! お久しぶりです! 新しく警備員に配属されました男です!」

女警備員「……はい、よろしく」

男「氏ぬ気で勉強したんで! 今後共よろしくお願いしまっす!」

女警備員「……はいはい、よろしく」

35: 2012/12/20(木) 00:27:35.02

男「女性のことも、やっぱり身近で勉強しないとわからないと思いますんで!」

女警備員「とりあえずうるさいから、静かにしてくれる?」

男「押忍! わかりました!」

女警備員(分かってねぇ)

警備員「お知り合いでしたら、せっかくなんで、一緒に説明してもらってもいいですかね」

女警備員「嫌です」

36: 2012/12/20(木) 00:28:00.48
女警備員「……君、いくらアドバイスしたからって早すぎでしょう、来るの」

男「居場所ないんで、詰所に住んでますから」

女警備員「ああ、そう」

男「クリスマスの時はご迷惑をお掛けしました」

女警備員「殊勝なのは感心するけど、本当に反省してる?」

男「もちろんですよ! 女にも姐サンみたいな人がいるんだなって知りましたし」ニコニコ

女警備員(どういう意味じゃい)

37: 2012/12/20(木) 00:28:26.27
男「それで、遅くなりましたが、姐サンにぜひ、これを……」

女警備員「うん?」

男「クリスマスプレゼントです」

女警備員「……スタンロッド?」

男「クリスマスは、男が女に貢ぎ物をする日だって聞いていたんで」

女警備員「私はこんな貢物はいやだよ」

男「これから、よろしくお願いしまーす!」

女警備員「なんか、根本的に勘違いしているよね、君」

終わり。

39: 2012/12/20(木) 00:40:47.72
おつ

42: 2012/12/21(金) 22:03:13.70
幼馴染みA「えー、年末恒例幼馴染み会議を始めます」


幼馴染みA「司会は世話焼き系幼馴染みの私、Aが行います」

幼馴染みB「よろしく~」

幼馴染みC「いいんだけど、私たちって、それぞれ幼馴染みの人が違うわよね? べ、別に取り合いがしたいってわけじゃないけど」

幼馴染みD「当然です、そうなってしまったら、あなたたちに勝ち目はありませんもの」

幼C「……なんなの?」

幼D「当たり前のことを言っているだけです」

幼馴染みE「まあまあ! そうカリカリしないでさ~」

幼馴染みF「……うん」

43: 2012/12/21(金) 22:03:40.26
幼A「今年もあとわずかですが、みんなはそれぞれの幼馴染みと進展はありました?」

幼B「……え~」

幼C「……」

幼D「お、男が悪いんです! 私の家の格に気兼ねして近づいてこないから」

幼F「進展ってなに……?」

幼A「えーと、あまり良くないみたいね……」

幼E「私は進展あったよ!」

全員『えっ』

44: 2012/12/21(金) 22:04:06.54
幼E「こないだも、お使いでおやつ買ってきていいからって多めにお金を渡されてさぁ」テレテレ

幼D「質問ですが、それはどんな時に?」

幼E「友達が来てたとき。きっと照れてるんだよね!」

幼C「それ、体よく隔離されてるんじゃ」

幼B「ないわ~」

幼F「バカにされてるよね……?」

幼E「そんなことないってばぁ!」

幼E「この間も、『お前って便利だよな』とか褒めてもらったし」

全員(アカン)

45: 2012/12/21(金) 22:04:33.04
幼A「ま、まあ、Eちゃんのことは置いといて。今後、幼馴染みキャラがどう生き残るのかについて考えようよ」

幼B「そりゃあなんと言っても、おっOいよね~」

幼B「男は誰だって性欲の塊なんだからぁ~、性的な魅力がないとダメよね~」

C・D「……」 カチン

幼D「それは違います。胸に惹かれて、その、い、いたしたとしても、それではただの……」

幼C「フレンド?」

幼D「そうそれ!」

幼B「触れてももらえないよりマシじゃないの~?」

幼A「えーっと、Bちゃん、もしかして……」

幼B「だ、大丈夫よ。ボディタッチとラッキースケベくらいだけだから」

幼F「それはそれで問題じゃ……」

46: 2012/12/21(金) 22:04:59.52
幼A「ダメだよ! 最近は個別ルートに入ると即妊娠エンドとか多いんだから」

幼A「学生の時分に出来婚とかしたら、白い目で見られちゃう」

幼B「むしろ出来婚すらなくて何の幼馴染みなのかと」

幼E「デキコンってなに? ゲームの話?」

幼C「あんたは黙ってなさいよ」

幼C「……いい? 幼馴染みに工口さは求められてないのよ」

幼C「あるとしたら、全体的に工口メインの時だけに決まっているじゃない!」

幼B「異議あり! 身近な幼馴染みが工口い方がうれしいに決まってるでしょ?」

幼D「見慣れていて反応しにくい、に一票です」

幼F「二票……」

幼B「どうしてよぅ!」

47: 2012/12/21(金) 22:05:25.29
幼A「だいたい、身近な工口要員って言ったら、姉キャラ、妹キャラじゃないかなって思います」

幼B「そ、それは……」

幼C「あー、うちもお姉ちゃんがいるけど、家ではパンツ丸出しだわ」

幼A「最近は実姉、実妹への規制も妙に弱まっているし、幼馴染みより家族でいいじゃん傾向が強いんじゃないかと」

幼B「そ、そんなこと言ったら、Aちゃんなんかどうするのよ」

幼A「えっ」

幼B「世話焼き系幼馴染みなんか化石&化石でしょ~? それこそ、世話焼きお姉さん、世話焼き妹の方がまだリアリティがあるし」

幼A「そそそ、そんなことないよ。お弁当だって、一緒に食べてくれるし」

幼C「重いわね」

幼D「ええ、重いです」

幼A「重くないよ!」

48: 2012/12/21(金) 22:05:51.70
幼A「それを言ったら、Cちゃんなんか……!」

幼C「わ、私がなんだっていうの」

幼A「暴力系ツンデレなんか、幼馴染み要素いらないでしょ!?」

幼C「わ、私のどこが暴力系ツンデレなのよ! ちょっと口と一緒に手が出るけど……」

幼B「暴力はないわよね」

幼D「ええ」

幼F「引く……」

幼C「なんなのよ、むしろよく知らない相手を攻撃する暴力女なんか、精神異常者じゃない!」

幼C「幼馴染みだから、言いたいこと言えて、手足のやりとりも出来るってもんでしょ!?」

幼B「素直になれないのと、わがままは違うのよ?」

幼C「ちがっ、わがままじゃないし!」

49: 2012/12/21(金) 22:06:19.41
幼B「まあ、暴力系はいいわよね~、不良捨て猫理論が通じるから」

幼E「フリョーステネコ?」

幼D「おそらく、いつも悪いことをしている人が、ちょっと良いことをすると、そのギャップですごく良い人に見えるということでしょう」

幼E「あー、ギャップねー」

幼B「ちゃんと分かってる~?」

幼E「分かるよ! 男ちゃん、いつもはウザイだのボケだの言ってくるんだけど、時々優しくしてくれるんだー」

幼F「……どんな時に?」

幼E「えーと、麻雀の負けを立て替えた時とかー、駐禁を払った時とかー」

全員(ドン引き)

50: 2012/12/21(金) 22:06:55.72
幼D「まあ、ツンデレの全盛期は終わりましたから、暴力要素を付け加えたのかもしれませんけど」

幼C「そ、そうじゃないってば!」

幼A「いくら幼馴染みだからって、礼儀は必要だと思うよ?」

幼C「だったら、勝手にお弁当作ったり、起こしに行ったりする方が礼儀知らずじゃない!」

幼A「お、男君のお母さんが、お忙しい方だから……放っておくとすぐ部屋を汚くするし」

幼D「まあ、そんなこと……他家の娘さんを家政婦のように扱うご家庭がまともだとは思えません」

幼B「分かるわ~、嫁キープ&介護者キープの魂胆が見え見えよね~」

幼A「そ、そんなんじゃないって!」

幼D「その方も、されて当然、と思っていらっしゃるのではありませんか?」

幼A「……感謝は、されてないかもだけど」

51: 2012/12/21(金) 22:07:22.60
幼C「こういうのがヤンデレになったりするのよね」

幼A「わ、私は、男君の邪魔をしたりしないもん!」

幼B「そうそう、ツンデレに言われたくないわよね~」

幼C「何よ!」

幼D「まあまあ、幼馴染みとヤンデレは近しい間柄にあると言いますし」

幼B「そうよね~、自分がいないとダメなんだーとか、この人じゃないとダメなんだーとか、傍にいすぎて思い込みが激しくなっちゃうって感じ」

幼B「適度な距離感は大事だと思うわよ? いくら幼馴染みでも」

幼A「そ、そんなこと!」

幼F「Aさん、司会……」

幼A「はっ」

52: 2012/12/21(金) 22:07:48.58
幼A「コホン。いずれにせよ、近くて便利な幼馴染みのキャラも、他の属性を追加することで生き残りを図ろうというのは良いなって思うけど」

幼A「やっぱり幼馴染みの王道は外しちゃダメかな、とも思うの」

幼D「王道と言うと……?」

幼C「け、結婚式ごっこ、とか」

幼B「あはははっ」

幼C「笑うな!」

幼E「お医者さんごっこは?」

幼A「Eちゃん、もしかして、すでに……」

幼E「え?」

53: 2012/12/21(金) 22:08:15.07
幼D「ふふっ、つまり、幼馴染みでありながら、お嬢様として憧れも受けている私が、一番すばらしいというわけです」

幼D「け、結婚式ごっこなら……したことありますし」

幼B「え~? 最近の男の子は、身近で気軽につきあえる子が一番好きなのよ」

幼B「今時、身分が違うとか言ってそうなのが好かれるわけないじゃない?」

幼C「確かに。爆発力はあるけど、男のやつ、普段はやれやれして取り柄がないし」

幼B「そうそう」

幼D「そ、それは、貴女たちの思い人がだらしのない人だからではないですか!」

幼B「大体、身近な女の子が売りなのに、手に届かないキャラって矛盾してない?」

幼C「言えてる。学校とかも違いそうなのに」

幼D「ち、ちょっと今は会いにくいだけです!」

幼F「昔の幼馴染みより、今のクラスの同級生……」

幼D「ヤメテ!」

54: 2012/12/21(金) 22:08:40.85
幼A「でも、私の男君は格好良いよ? 将来は消防士になるって言ってたし」

幼B「あー、私のところは甲斐性でがありそうでなさそうなのよねー」

幼C「私も。まあ、なんていうか、男はどっちかっていうと、家事スキルがある人だから……」

幼D「家事の出来ない女性は嫌われますよ」

幼C「で、できないとは言ってないでしょ!」

幼A「確かに、近くて好きだと、お互い基準が甘くなりそうなんだけどね……」

幼B「言えてる! こないだなんか、風邪引いて一人だからって言って、看病&家事してあげたのよ~」

幼D「そしたら?」

幼B「そうしたら、『Bって、家事も出来るんだな、意外』だって~。私をなんだと思ってるの~っていう」

幼F「……セフレ?」

幼B「し、してないわよ」

55: 2012/12/21(金) 22:09:08.55
幼A「私は違って、いくらおかずのレパートリー増やしても、あまり反応が変わらなくて……」

幼C「ああ~……」

幼E「フリョーステネコか!」

幼B「そうかもね~、Cちゃんが作ったら泣いて喜ぶんじゃない?」

幼C「……どういう意味よ」

幼D「いえ、不審がられるのでは?」

幼C「あのねぇ、いくら私でも怒るわよ!?」

幼B「常に怒ってそうな人が言うセリフじゃないわよね」

幼C「なによ!」

56: 2012/12/21(金) 22:09:36.38
幼E「こっちの男ちゃんは、家事も仕事もできるよっ!」

幼A「え、は、うん」

幼E「あまり振る舞われたことはないんだけど、偶に毒味役をさせてもらってるんだ!」

幼D「リアル毒味なんじゃ……」ヒソヒソ

幼C「あまり突っ込んでやるとコクじゃないかしら」ヒソヒソ

幼B「それで、おいしいの?」

幼E「おいしいよ! でも、『女の子はあんまり料理がうまい男は好きじゃないみたいなんだよな』って言ってる」

幼E「私はそんなことないんだけどなー」

幼F「……絶対、他に女いるよね、それ」

幼B「しーっ!」

57: 2012/12/21(金) 22:10:02.88
幼A「……でも、なんていうか、あって当たり前って態度されてるとね」

幼B「うん、あれよね」

幼C「ああ、最近流行のね」

幼D「NTRですか……」

幼A「なんだかなぁ、幼馴染みのキャラ性が、そういうところに手っ取り早く回収されちゃうのがきついよね……」

幼E「ネトラレってなに? オンゲー用語?」

幼F「……好きな人が、で別の人を好きになっちゃう言葉だよ」

ABCD『説明すんなー!』

58: 2012/12/21(金) 22:10:29.41
幼E「だったら、男ちゃんはネトラレてたのかなー……」

幼A「え、えー」

幼E「一時期、あまりしてくれなかったし、他の人とよくいたし」

幼C「……え? 何これ何これ」

幼E「今も機嫌がよくないと、お使いとか遊んでくれたりしてくれないしー」

幼D「……あの、Eさん」

幼E「んえ?」

幼B「正直、その男には嵌まっちゃダメよ?」

幼E「えーなんでー?」

59: 2012/12/21(金) 22:10:58.21
幼A「……ま、まあ、いずれにしても、NTRの流行を受けて幼馴染みキャラが再流行するっていうのは、ある意味最悪な展開なので」

幼B「……ねえ、そもそもなんだけど、幼馴染みってさ、ある意味都合がいい女よね」

幼D「そりゃ、あなたのような工口要員は」

幼B「そうじゃなくて、最初から好意をきゅんきゅん示してくれる便利キャラっていうか~」

幼A「そう、ですね」

幼B「だからこそ、お手軽NTRで使われたりするわけで」

幼B「しかもそのくせ、NTRの良シナリオって呼ばれるのは、『安易な関係からではなく、出会いと相思相愛を経てから作られる信頼の崩壊――』とか言われちゃうわけで」

幼D「……まあ、かつての恋愛モノでも、幼馴染みは便利扱いですし」

幼B「そうよ、結局は便利&踏み台キャラなのよ」

幼A「う……」

60: 2012/12/21(金) 22:11:24.68
幼B「結局、最終的には脱幼馴染みをして、自分を否定しないと、恋人にもお嫁さんにもなれないわけじゃない?」

幼B「ツンデレは永久にツンデレでも許されるのに」チラッ

幼C「……なんでこっちを見るわけ?」

幼D「生涯ツンデレはある意味許されないです」チラッ

幼C「なんでこっちを見るわけ!?」

幼A「……幼馴染み属性は、お荷物、ということなのかな」

幼B「そう、それよ!」

幼D「確かに……近いだけなら、き、きき、近親者の方が心を許せてますし、かつ背徳的というか」

幼B「血縁は切っても切れないからね~」

幼D「NTRが流行るとしても、赤の他人よりも、事実として遺伝子がつながっていることが、背徳感にも最後の希望にもなりますし……」

幼F「……すごいこと、言ってるね」

幼D「は!? いえ、これは」

61: 2012/12/21(金) 22:11:50.33
幼A「で、でも、男君はそんなこと……」

幼B「そりゃあ、私も、自分のところはそうじゃないって思うけどね」

幼B「結局、幼馴染みを強調すればするほど、男にとっての添え物、重し、振られたときの保険みたいに思えるじゃない?」

幼C「……」

幼D「そ、それは……」

幼B「実際のところ、失敗した時の砦かなんかでしょう。万が一夢破れても、君だけはおっOい揉ませてくれる、みたいな」

幼A「そ、そんなことないよぉ」

幼E「へえー」

幼B「いや、Eちゃんが一番そういう立場だからね?」

62: 2012/12/21(金) 22:12:17.40
幼A「で、でも、もし幼馴染みじゃなかったら、何の接点もなくなっちゃう……」

幼B「そう、それよ! 私たちは、そこに安住しすぎていたんじゃないかしら」

幼C「つまり、その……」

幼B「お弁当作ってくるのも! うっかりおっOい触らせたげるのも!」

幼B「幼馴染みじゃなくて、恋人だったらいいじゃないの!」

幼F「……幼馴染み関係ないよね」

幼B「だからぁ~、幼馴染みをやめればいいのよ~」

幼D「……」

63: 2012/12/21(金) 22:12:46.40
幼B「あれあれ~? なんか、顔が真っ青な人がいるわね~」

幼D「そ、そんなことは」

幼B「幼馴染みなのに~、距離が遠い人は~、まさに属性お荷物でしかないかもしれないわね~」

幼D「……!」フルフル

幼C「まあ、相手側からすれば取っかかりかもしれないけど、幼馴染みをやめるとかなったら……」

幼B「昔の幼馴染みより~? 今のクラスの~?」

幼D「ヤメテー!」

64: 2012/12/21(金) 22:13:12.32
幼A「もう、意地悪しないの」

幼B「あはは、ごめんごめん」

幼D「だ、大丈夫、男とは結婚式ごっこもした仲だし」

幼C「過去にこだわっても、相手は結構忘れているものだし……」

幼D「ううっ……」

幼E「元気出しなよー」

幼D「あ、ありがとう」

幼A「でも、このままじゃ、幼馴染み会議は終了ということに……」

幼F「……終わるの?」

幼A「えーと、うん、はい。何かありますか?」

幼F「じゃあ、一つだけさ……」

65: 2012/12/21(金) 22:13:38.34
幼F「おれ、男なんだけど、なんで呼ばれたの?」

全員『幼馴染みだから』

幼F「ホ〇じゃないんだけどな……」

66: 2012/12/21(金) 22:14:16.72
結論:幼馴染に未来なし。

引用元: 男「明日はクリスマス! 彼女に唯一会える日だ」