1: 2013/03/12(火) 21:59:32.28

――赤座家のリビング


あかり「……あ、あかりにお兄ちゃんが?」

あかね「ええ、そうよ。正確には私の双子の弟であかりとは6歳差になるわね」

あかり「そ、そうなんだ……って、ええええええええええ!?」

あかね「……あら?」

2: 2013/03/12(火) 22:11:52.10

あかり「そ、そんな話、初めて聞いたよ!? というより、今まで会ったことないよ!?」

あかね「そう、まだ、思い出してなかったのね……」

あかり「お、思い出してない? お、思い出してないってどいうことなの?」

あかね「そう、あれはあかりが中学生になって一週間ぐらいのことかしら」

――――
――

 その日、あの子は急に海外留学が決まったとかで飛び出すように家を出て行ったわ。
 お兄ちゃんっ子でもあった、あかりはそれは毎日のように泣いていたわね。
 そんな日が続いたある日、あの悲劇のような出来事が起きたのよ……。

――――
――

あかね「その時ばかりは神様なんていないのね……そう思えたほど、悲惨な出来事だったわ……」

あかり「……ひ、悲劇のような出来事って?」

3: 2013/03/12(火) 22:29:04.74

あかね「そ、それは……」

あかり「そ、それは?」

あかね「……」

あかり「……」

あかね「……あ、あかりが階段から落ちて、記憶を失ったのよ!!」

あかり「!?」

あかね「あ、あの時のことは今、思い出しても生きた心地がしないわ……」


――――
――

 目を覚ました、あかりは私を見て「誰ですか?」なんて言うのよ!
 その時の……そのときの……。
 ……私はあかりの記憶を取り戻す為に海外に居るあの子に電話をしたの。
 そして、あの子の紹介で海外の名医ナモーリ先生を日本に呼び記憶復元の治療をしてもらったわ……。

――――
――

あかり「そ、そんな……あかりにそんなことがあったなんて……」

4: 2013/03/12(火) 23:37:31.58

あかね「続きを話すわね――」

――――
――

 日本へやってきたナモーリ先生はある方法であかりの記憶を取り戻すことにしたの。
 その方法は漫画……過去の出来事を漫画としてあかりに追体験させることで記憶を取り戻す方法。
 その為にナモーリ先生はナモーリ先生の友達の漫画であるなもり先生と私達関係者を集めたわ。
 あ、この場合の関係者は私と京子ちゃん達のことね。
 出来事としてはちなつちゃんがあかり達と出会う前で入学式の後、お母さん達は旅行中で居なかったわ。
 ……話を戻すわね。
 ナモーリ先生は私達、関係者から過去の出来事を聞いて、その情報を元になもり先生は漫画を書いたの。
 そして、完成した漫画をあかりが読み、過去を追体験することで無事、記憶を取り戻したように見えたけど……。

――――
――

あかり「……けど?」

あかね「……」

あかり「お、お姉ちゃん……いったい、何があったの?」

あかね「それはね……」

あかり「そ、それは?」

あかね「それは……」

あかり「……」ごくり

あかね「私達、みんな……」

あかり「お姉ちゃん達が?」

あかね「あかりのお兄ちゃんの話をナモーリ先生たちにするのを忘れていたのよ」


5: 2013/03/12(火) 23:54:32.24

あかり「……へ?」


あかね「『置いておくと不味いから』という理由であの子はすべての荷物を留学先に持っていたわ」

あかね「そして、あの子が使わないからという理由で私がその部屋を使うこととなり……」

あかね「その後、あかりが記憶喪失になったから……つい、あの子のことを……」


あかり「そう、だったんだ……だから、家に一つもお兄ちゃんの物が無かったんだね……」

あかね「ええ、そうよ」

あかり「でも、それなら、お姉ちゃん達があかりに話してくれたら……」

あかね「それが出来なかったのよ……」

あかり「出来なかった? どうして?」


あかね「それは……なもり先生の漫画はあかり以外にも効果があったからなの」

あかね「完成した漫画をあかりの前に私達が読んでみたけど……それで私達の記憶も見事に影響されてしまったの」

あかね「だから、京子ちゃん達は当然、あかりにお兄ちゃんが居ることは覚えてないの」

あかね「……私もついこの間、あの子から電話が掛かってくるまで見事に忘れてしまっていたわ」


6: 2013/03/13(水) 00:15:18.32

あかり「……」

あかね「それでね、この話をしたのは……」

あかり「したのは?」

あかね「あの子が今日、日本に帰ってくるのよ」

あかり「え、ええええええ!?」

あかね「ええ、そうよ。それで、あの子の帰国パーティーを開こうと思って、今日話したの」

あかり「突然すぎるよ! え、えと、パーティーだろ? えっと、えーと……」

あかね「大丈夫よ、あかり。大げさなことはいいってあの子も言ってたから、身内だけで少し豪勢な夕飯にするだけよ」

あかり「そ、そうなんだ……」


あかね「ただ、あの子にも説明してるのだけど、面と向ってあかりに『誰?』なんて言われたら……」

あかね「あの子、ショックで倒れかねないから、前もって説明だけしておいたのよ」

 プルルルルルル

あかね「だから……あら、電話ね。何かしら? 出てくるわね」

あかり「うん」

あかり「……」       あかね「はい……うん、どうしたの?」ガチャ


あかり(うぅ、どうしよ……突然、お兄ちゃんがいるって言われても心の準備が出来ないよ~)

あかり(でも、なるようにしか、ならないよね?)

あかり「……よし!」    あかね「ええ、そうなの……わかったわ、ええ」ガチャ

あかね「あかり、あの子のことなんだけど……」

あかり「うん、大丈夫だよ! あかり、ちょっと不安だけどお兄ちゃんと仲良くなるよ!」


あかね「そのことだけど、あの子、どうしても解決しないといけない用事で……」

あかね「……やっぱり、しばらく帰国しないことになったわ」

あかり「え?」


7: 2013/03/13(水) 00:24:02.41

――結衣の家


京子「ぐー、すぴー」

結衣「よ、ほっと」ピコピコ←ゲーム中

京子「う~ん……はっ!」がばっ

結衣「?」

京子「実はあかりには忘れられたお兄さんが居たという新展開!」

結衣「……」

京子「……という夢をみました!」

結衣「ねーよ」



――おわり

8: 2013/03/13(水) 00:26:41.10
これで終わりです。
ホントは短編SSスレで書こうかと思ったのですが、いつの間にか無くなりました?

9: 2013/03/13(水) 06:51:59.03
あの大人の事情で消された兄か……

10: 2013/03/13(水) 10:57:03.00
まあよかった
実際のところゆるゆりに男はいらないけど

引用元: 【ゆるゆり】あかね「実はあかりにはお兄ちゃんが居るの」 あかり「!?」【短編SS】