1: 2013/06/10(月) 19:18:25.70
魔王「なんという田植え日和!かんかん照りだ!」
魔王「今年は三区画に植えるぞ!」
2: 2013/06/10(月) 19:19:54.49
魔王「エリザベスカラーっぽいお婆ちゃん帽子オッケー!」
魔王「首巻きタオルオッケー!」
魔王「袖が落ちないカバーオッケー!」
魔王「もんぺよーし!」
魔王「地下足袋…うーん…どうせ私有地だからなぁ」
魔王「大して石も落ちてないだろうし…」
魔王「よし!裸足で行こう!」ポイポ-イ
魔王「今日は暑いからな!水田であるし気持ち良さそうだ!」
3: 2013/06/10(月) 19:21:26.46
魔王「それでは失礼して…」ソロォ
魔王「おふぅ!土もいい感じに水を吸ってねちょねちょだ!」グチョグチョ
魔王「これは期待できる!」
魔王「まずは紐と棒を繋いで…」
魔王「できた!これを田んぼの端と端に立てて…」
魔王「どうだ!これで植える目安ができたぞ!」
魔王「ちゃんと苗を植える間隔の目印つきだ!」
4: 2013/06/10(月) 19:22:29.35
魔王「苗を適当に一束ずつ取って…」
魔王「印に沿ってズブリ!」
魔王「おおぅ、この感じ…懐かしい!一年振りだ!」
魔王「おや?苗が倒れてしまった…感覚を忘れているのだな」
魔王「まあ一年振りだしな…仕方ないだろう」
魔王「まだまだ苗はたくさんあるのだからそのうち思い出すだろう!」
5: 2013/06/10(月) 19:23:18.09
魔王「とりあえず植え直して…っと、よし!」
魔王「カニ歩きで横に移動して…歩き辛い…」
魔王「また印に沿ってズブリ!」
魔王「おお!今度はうまく行ったぞ!」
魔王「この調子でいけば日暮れまでには終わるだろう!」
魔王「フハハハハ、待っていろ苗ども!すぐにお水たっぷりの天国へ送ってやるからな!」
6: 2013/06/10(月) 19:23:55.72
魔王「とりあえず一列終わったか…」
魔王「棒を刺し直すところからだが…」
魔王「反対側の端がなぁ…」
魔王「遠いなぁ…」
魔王「側近たちがいてくれれば…ハッ!」
魔王「いかんいかん!今はいない者たちのことを考えてどうする!」ブンブンッ
7: 2013/06/10(月) 19:24:29.17
魔王「さぁ、こちら側の棒を動かしたら反対側に行き、また植えるぞ!」
魔王「よいっしょっと」
魔王「待ってろ反対側の棒よ!すぐに場所を移動させてやる」バシャバシャバシャバシャ
8: 2013/06/10(月) 19:25:53.22
魔王「おう、走りにくいがこれはなかなか楽しいぞ!」バシャバシャバシャバシャ
魔王「人間たちが田植え前の水田でスポーツするのも頷けるわ!」バシャバシャバシャバシャ
魔王「はーっはっはっはっはっ!」バシャバシャバシャバシャ
にゅるんっ
魔王「!」
べちょんっ
魔王「」ドロドロ
9: 2013/06/10(月) 19:26:36.84
魔王「…こけた…」グスン
魔王「泥とは…随分滑りやすいのだな…」グスン
魔王「さらに適度な固さもある…」グスン
魔王「腹からこけたから、腹がジンジンする…」グスン
魔王「もう走らない…」グスン
10: 2013/06/10(月) 19:27:49.34
魔王「さあ、気を取り直して棒を移動させるぞ!」シャキン!
魔王「よいっしょっ…ととっ!」
魔王「泥が重たいが…これくらいどうということはない!」
魔王「さあ棒め!待っていろー!はーっはっはっはっはっ!」バシャバシャバシャバシャ
12: 2013/06/10(月) 19:33:42.08
魔王「……」サクサクサクサク
魔王「……」サクサクサクサク
魔王「……」サクサクサクサク
魔王「……」サクサクサクサク
魔王「…ふぅ」ゴシゴシ
13: 2013/06/10(月) 19:34:24.61
魔王「ん?もう太陽があんなところに…」
魔王「そろそろ昼だな」
魔王「半分はできたし、午前はこんなものだろう」
魔王「とりあえず用水路で手と足の泥を落として…」バシャバシャ
魔王「そうだ、ついでに顔も洗っておこう」バシャバシャ
魔王「泥だらけでは折角の男前が台無しだからなっ!」キリッ
14: 2013/06/10(月) 19:34:54.35
魔王「んむ…」フキフキ
魔王「さあ飯だ!」
魔王「今日のご飯はシンプルにおにぎり!」バ-ン
魔王「たくあん!」ババ-ン
魔王「冷やしすまし汁!」バババ-ン
魔王「極め付けは…」
魔王「よっく冷やした麦茶!」ド-ン
魔王「いただきまーす!」
15: 2013/06/10(月) 19:35:59.32
魔王「……」モグモグ
魔王「……」モグモグ
魔王「……」モグモグ
魔王「……」モグモグ
魔王「……っ」ゴクン
魔王「…ん、…ん」ゴクゴク
魔王「ぷっはー!労働の後の飯は美味い!」
16: 2013/06/10(月) 19:36:44.49
魔王「塩加減も完璧!さすがだ!自分で作ったからよく好みがわかってる!」
魔王「焼き海苔に醤油をつけて巻くのもいいが、個人的には味海苔に醤油派だ」ムシャムシャ
魔王「塩分濃度なんて気にしない」モグモグ
魔王「すまし汁も美味しいなぁ」ズルズルズルズル
魔王「たくあんは二切れしかないからな」モグモグ
魔王「最後まで取っておくんだ」ゴクゴク
17: 2013/06/10(月) 19:39:05.42
魔王「おにぎりとすまし汁完食!お待ちかねたくあんターイム!」
魔王「あーん…」ポリッ
魔王「………」ポリポリポリポリ
魔王「………」ポリポリポリポリ
魔王「………」ポリポリゴクン
魔王「はぁ…美味いなぁ…」
魔王「いつかたくあんもつけてみたいものだ…」ヒョイ
18: 2013/06/10(月) 19:39:54.95
魔王「あーん…」ポリッ
魔王「………」ポリポリポリポリ
魔王「………」ポリポリポリポリ
魔王「………」ポリポリゴクン
魔王「はぁ…たくあんがなくなってしまった…」
魔王「いつも思うのだが、なぜ大根を漬けたらあんなまっきっきになるのだろう…?」
魔王「世の中には不思議な術もあったものだなぁ」
19: 2013/06/10(月) 19:41:23.82
魔王「おっ、いい風…」ソヨソヨ
魔王「………」ソヨソヨ
魔王「あと数ヶ月もすれば、あの苗たちは背が伸び、稲となり、米となるのだな…」ソヨソヨ
魔王「…できることなら、側近たちと共に…」ウトウト
魔王「いかんいかん!田植えの続きだ!」
魔王「動かねば昼寝してしまう!」
魔王「はっ!そうだ!」パンッ
魔王「ごちそうさまでした!」
20: 2013/06/10(月) 19:45:35.77
魔王「半分終わったとはいえ、まだニ区画あると思うと少し気が重いな…」サクサクサクサク
魔王「まあ今日中にこの区画が終れば、一区画一日でできるということだ」サクサクサクサク
魔王「そう思えば、三日。たった三日頑張るだけでいいのだ」サクサクサクサク
魔王「完成した暁には縁側で昼寝をしてやろう…」サクサクサクサク
魔王「城の縁側は高台にあるからな、田んぼの様子もよく見えるし、なにより風が気持ちいい」サクサクサクサク
魔王「ああ、楽しみだな」サクサクサクサク
21: 2013/06/10(月) 19:46:13.00
魔王「……」サクサクサクサク
魔王「……」サクサクサクサク
魔王「……」サクサクサクサク
魔王「……」サクサクサクサク
魔王「…ふぅ」ゴシゴシ
魔王「そろそろ腰が限界だな…」セノビッ
魔王「だがあと4分の1といったところか…」ン-
魔王「あともう一踏ん張りだ!やるぞ!」
22: 2013/06/10(月) 19:47:01.86
魔王「……」サクサクサクサク
魔王「……」サクサクサクサク
魔王「……」サクサクサクサク
魔王「……」サクサクサクサク
魔王「…ふぅ」ゴシゴシ
魔王「終わった…」
魔王「むっ、すっかり夕方であるな」
魔王「とりあえず用水路で手足と顔を洗って…」
魔王「はぁ」バタン
23: 2013/06/10(月) 19:47:48.58
魔王「あー…草の匂い…」ソヨソヨ
魔王「夏だなぁ…」ソヨソヨ
魔王「………」ソヨソヨ
魔王「側近…どこへ行ったんだ…」ソヨソヨ
魔王「いなくなってどれほどの時が経ったと思ってる…」ソヨソヨ
魔王「このままだと、全部植えてしまうぞ…」ソヨソヨ
24: 2013/06/10(月) 19:48:34.71
魔王「他の魔族どももだ…」ソヨソヨ
魔王「連絡もなしに…みんな一斉にいなくなってしまった…」ソヨソヨ
ーーーーーッ
魔王「なにがいけなかったのだろう…」
ーーーードッ
魔王「人間の領土に頼らない、自給自足制の導入がいけなかったのだろうか…」
ーーーッドッ
魔王「いやそもそも人間との協定がいけなかったのかもしれぬ」
ーードッドッ
魔王「しかし、あのまま戦争を続けていても、ただいたずらに民たちを傷つけるだけであったしなぁ…」ウ-ム
25: 2013/06/10(月) 19:49:24.47
ードッドッドッ
ーーオ-ーー
魔王「それとも、…あれか?勝手に闘技場を田んぼにしたからか?」
ドッドッドッドッ
ーーオ-サー
魔王「だってもう闘技場いらなかったじゃん…ほとんどかくれんぼの会場扱いだったし…」
ドッドッドッドッ
ーーオ-サマ-
魔王「にしてもさっきからこの地鳴りはなんだ?」
ドッドッドッドッ
マオ-サマ-!
魔王「西の方…人間の領土から…なにか…?」
ドッドッドッドッ
マオ-サマ-!マオ-サマ-!
魔王「…逆光で見えぬ…」
魔王「いや…あれは…!」
26: 2013/06/10(月) 19:54:01.75
側近「まおーさまー!」ドッドッドッドッ!
魔王「…!側近…!側近ではないか!」
側近「まおーさまー!」ドッドッドッドッ!
魔王「側近ー!側近ー!」タッタッタッタッ
側近「まおーさまー!あっ」ドッドッドッガウンッ!
魔王「」チ-ン
27: 2013/06/10(月) 19:54:49.28
魔王「自分で自分に蘇生術かけるとか初めてだよ…」
側近「魔王さま自ら轢かれに来たんじゃないですか」
魔王「というかその馬はなんだ、鳴き声は可愛くないし、なんだか硬いんだが…」サスサス
側近「馬じゃありませんよ、ク○タ電機製ラク○ェルです」
魔王「」
28: 2013/06/10(月) 19:55:26.58
魔王「えっ…えっ?」
側近「いわゆる自動田植機です」
魔王「えっ?」
側近「あれ?魔王さま、田植えして下さってたんですか?」
魔王「そ、そうだぞ!側近がいないから一人でだな…!」
側近「今日自動田植機に乗って帰りますと、書状を一月ほど前にお送りしたはずですが」
魔王「」
29: 2013/06/10(月) 19:56:20.99
側近「読まれてなかったんですか…」
魔王「郵便受けに入ってるものはダイレクトメールだけだと思ったんだもん…」
側近「そんなわけないでしょう…」
魔王「だっ、大体お前らが勝手にいなくなるから…!」
側近「みんなそれぞれ農業を学びに人間の領土に留学してますよ」
魔王「」
30: 2013/06/10(月) 19:57:09.34
側近「お伝えしましたでしょう?」
魔王「…!それならそれで、みんな使い魔とかで連絡をしてくれれば」
側近「人間の領土では使い魔が出せるほどの瘴気がないのをご存知で?」
魔王「」
31: 2013/06/10(月) 19:58:19.97
側近「だからみんな手紙を送ってるはずですが?」
魔王「」
側近「はぁ…それでは、とりあえず城へ帰りましょう」
側近「ほら、魔王さま」
魔王「ん?」
側近「二人乗りくらいはできるので乗ってください」
魔王「お…おう!」
32: 2013/06/10(月) 19:58:51.49
魔王「はーはっはっはっ!これはなかなかどうして。良い乗り心地ではないか!」ドッドッドッドッ!
側近「はいはい」ドッドッドッドッ!
魔王「側近!運転してみたい!」ドッドッドッドッ!
側近「あー、じゃあ明日の田植えの時にお教えしますね」ドッドッドッドッ!
魔王「よし!楽しみにしてるぞ!」ドッドッドッドッ!
側近「はいはい」ドッドッドッドッ!
33: 2013/06/10(月) 19:59:32.53
魔王「…!側近、田んぼを見ろ!」ドッドッドッドッ!
側近「なんですか…、あ」ドッドッドッドッ!
魔王「夕日が…反射して綺麗だな…」ドッドッドッドッ!
側近「…そうですね」ドッドッドッドッ!
34: 2013/06/10(月) 20:00:52.34
魔王「…よしっ!帰るぞ我が城へ!」ドッドッドッドッ!
側近「それじゃあ発進しまーす」ドッドッドッドッ!
魔王「うわっ!」ズルッ
側近「えっ?」ドッドッドッガウンッ!
魔王「」チ-ン
側近「…まあ、帰ってからの蘇生でいいか…」ヨイセッ
側近「………」ドッドッドッドッ!
魔王「田植えの季節だ!」 おしまい
36: 2013/06/10(月) 20:13:37.79
初めてSSを投下しました。
ほのぼのと言っていただけて嬉しかったです。
書き出したきっかけはテレビで田植え体験をした小学生のニュースを見たから。
田植え自体は一度しかしたことありませんが、魔王のように一人でやるものではないと思っています。
それでは、また稲刈りの季節にでも。
ほのぼのと言っていただけて嬉しかったです。
書き出したきっかけはテレビで田植え体験をした小学生のニュースを見たから。
田植え自体は一度しかしたことありませんが、魔王のように一人でやるものではないと思っています。
それでは、また稲刈りの季節にでも。
37: 2013/06/10(月) 20:36:57.96
どうしてだろう、最近はこう「魔王が農作業」ってのに違和感が無くなってるw
魔王らしくない魔王の見過ぎかなぁ…w
魔王らしくない魔王の見過ぎかなぁ…w
38: 2013/06/10(月) 20:59:46.34
魔王が四輪作を実施する世の中だからな
最近はマックでバイトもするしな
最近はマックでバイトもするしな
39: 2013/06/10(月) 23:15:59.52
農業楽しいけど今はほとんど機械だからなぁ…
引用元: 魔王「田植えの季節だ!」
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