1: 2012/11/10(土) 06:39:43.59
???「そうです。その能力を手にした反動で765プロで働いていた時の記憶を失っています」

???「しばらくは隣町で忘れ屋でも開いてみてはいかがですか?客はこちらから斡旋しますよ」

P「忘れ屋...?」

???「知りませんか?辛い記憶や悲しい記憶を消してあげるんです」

???「そうすることによって人は過去にとらわれず前を向いて生きることが出来るんです」

P「前を向いて生きる...手助け...」

P「そうだな...今は何も思い出せないし、やってみるか...」

2: 2012/11/10(土) 06:41:47.91
――――――
――――


P「今日で治療は終わりだよ。いままでよくがんばったね」

幼女「お兄ちゃん、ありがとう」

幼女の母「先生、本当にありがとうございました」

P「先生なんてやめてくださいよ、恥ずかしい。僕は自分の仕事をやってるだけなんですから」

幼女の母「それでも幼女ちゃんを助けてくれたのは先生なんですから、やっぱり先生ですよ」ウフフ

P「まぁ、何はともあれ完治してよかったです」

幼女・母「はい。ありがとうございました」カランカラーン

3: 2012/11/10(土) 06:45:00.58
P「…ふぅ」

P(この町で忘れやを開業してから2週間か…)

P(以前の仕事の事については何も思い出せないままだ)

P(僕は一生忘れ屋をやっていく事になるのかな……)

カランカラーン

P(新しい客かな?しかし、なんでこんな店に客がくるのだろうか…僕だったら怪しくて絶対にはいらないのに)

P「いらっしゃいませ。忘れ屋Pへようこそ」

?「……」

P(高校生くらいかな…パッと見かなり重症だが……)

P「名前を教えてくれるかな?」

?「……み…」ボソ

P「ん?もう一回聞かせてもらえるかな?」

?「あま…み…はるか…」

6: 2012/11/10(土) 06:48:23.79
P「あまみはるか…天海春香さんか。こんにちは天海さん」

春香「…こんにちは」

P「天海さんの職業は…ってまだ高校生かな?」

春香「…アイドル…」

P「え?」

春香「765プロで…アイドルをやっています」

P(765プロって…765プロだよな……。僕が以前働いてたっていう……)

P「もしかして…天海さんは俺の事、知ってたりするのかな?」

春香「…」ウルウル

P(えっ、えっっ?いきなり泣き出しちゃったんだけど僕のせい?)

7: 2012/11/10(土) 06:51:49.00
春香「…プロデューサーさん……本当に何も覚えてないんですか…?」

P「ぷ、プロデューサー?…もしかして、俺が天海さんのプロデューサーだったのか?」

春香「…本当に、忘れちゃったんですね……」

P「ごめんな、天海さん…765プロで働いていたことは全く思い出せないんだ。君のことも、もちろん他の娘たちの事も」

春香「…プロデューサーさん」

P「あーちょっと待って。僕はもう765プロのプロデューサーじゃないんだ。君にも新しいプロデューサーがついたんだろ?
僕の事をプロデューサーって呼んだらその人が可哀想じゃないか」

春香「それじゃあ…先生?」

P「先生も勘弁してくれ。僕はそんなんじゃないんだ。そうだな……無難にPさん…でどうだ?」

春香「Pさん…ですか。初めての感覚でちょっと恥ずかしいです…」クスッ

P(笑える…か)

P「そのうち慣れるのを待つしかないさ」

8: 2012/11/10(土) 06:56:00.39
P「早速だけど治療をしていこうか。っといってもしばらくは一緒に暮らしてもらうだけなんだけどね」

P(天海さんの症状はやはり重症だ。先程の幼女程度なら通院でもかまわなかったが、
流石にこのレベルになると一緒に暮さざるを得ないだろう)

春香「えっ!?いっ、一緒に暮すんですか!?」カァァァァ

P「まぁ、そうなるな。見ず知らずの男と2人ってのはやっぱり抵抗あるか?っと見ず知らずではないのか」

春香「い、いえ!!プロデューサーさんと二人暮らしだなんて!!抵抗あるわけないじゃないですか」

P「天海さん、またプロデューサーさんっていったぞ。気をつけなさい」

春香「うぅ…すみません。…あの、Pさん」

P「ん?どうした?」

春香「わたしの事も、天海さんじゃなくて…春香って呼んでもらえますか?」

P「うっ…年頃の女の娘を呼び捨てだなんてハードル高くないか」

春香「わたしも呼び方変えたんだからPさんも呼び方変えてくださいね」

P「…わかったよ…春香」

9: 2012/11/10(土) 06:59:55.80
P(こうして春香との二人暮らしが始まった。1週間もすれば回復の兆候がみられると思ったが…見通しが甘かったようだ)

P(記憶とは迷路だ。目を会わせれば俺は人の迷路に飛び込むことができる)

P(その中にある辛い記憶や悲しい記憶を徐々に壊していくのが俺の仕事だ)

P(しかし春香の迷路は解ける気が一向にしない。全てが同じ景色。さっきまで壁だった所がいつの間にか道になっている)

P(…俺は本当に春香を治療することができるのか?)

10: 2012/11/10(土) 07:04:24.31
春香「Pさ~ん。朝ごはんできましたよー」

P「おー。いま行くー」

P(春香ははたから見ると元気な普通の女子高生なんだよな)

P「そういえば春香、お前アイドル活動はいつまで休みとってるんだ?」

春香「あー…いつまでなんでしょう。ちょっと聞いてみますね」プルルルル

P「春香もアイドルのはしくれなら自分のスケジュールくらい管理しとけよー」

春香「あ、もしもし小鳥さん?うん今Pさんの所。えへへ、うん。手加減なんかしませんよー」

12: 2012/11/10(土) 07:08:52.58
~30分後~

春香「あ、そうそう本題なんだけど、うん。了解しましたー」ガチャ

P「長い」

春香「えへへ、久しぶりに話したもんでついつい長話を」

P「それで?いつまでだって?」

春香「はい。夏休みが終わるまでだそうです!多少なら延長も可能だと」

P(夏休みが終わるまで…少なくともあと2週間はあるか)

P「おっけーわかった。それまでに治療を終えようか」

春香「はい。Pさんならできますよ!きっと」

P「きっとか。ふふ、がんばってみるよ」

13: 2012/11/10(土) 07:12:09.00
春香「あ、でも治療が終わったらPさんとの二人暮らしも終わりなんですよね…」

P「まぁそうなるな…寂しいか?」

春香「寂しくないの?…あ・な・た?」

P「寂しいさ…おまえ」

春香「!?///」

P「俺に口で勝とうなんざ100年はやい」

15: 2012/11/10(土) 07:17:33.20
~1週間後~

P(期限まで残り約1週間となった)

P(春香の辛い記憶を見つけたのは昨日のことだ。どす黒い大きな塊だった)

P(あれを壊すのに1週間で足りるかどうか…やってみないとわかんないか…)

P「春香。治療は後1週間で終わりそうだ」

ドンガラガッシャーン

P「だ、大丈夫か春香?」

春香「イテテテ……。それより本当ですか!?やっぱりPさんはすごいですね!」

P「春香が頑張ったからだよ。再来週の頭にはいままで通りの生活が出来るようになってるさ」

16: 2012/11/10(土) 07:22:35.69
春香「Pさんと離れるのは寂しいですけど…またちょくちょく会いにきますね」

P「ああ、そうしてくれると俺もうれしいぞ」

春香「ふふ、Pさん変わりましたね」

P「ん、そうか?」

春香「はい!一緒に暮らしてるわたしだからこそわかります」

P「春香がそういうんだったらそうなんだろうなー」

P(変わった…か。確かにそうなのかも知れない)

P(忘れ屋を始めた当初は、これしか仕事が出来ないから…と思っていたが、今では春香との生活を楽しんでいる)

P(治療をしながら楽しめるこの職業を、自分の天職でないかと思っている)

P(俺はきっと変われたんだろう)

17: 2012/11/10(土) 07:33:30.94
~期限まで残り3日~

P「治療は順調だ。もうそろそろで終わるぞ」

春香「…Pさん」

P「どうした?」

春香「やっぱり私さみしいです!Pさんとの思い出…もっといっぱい作りたいです!!」

P「思い出…か」

P(辛い記憶を消す際には楽しい記憶で埋め合わせをする必要がある)

P(辛い記憶を消したスペースに空白の記憶ができると、それは記憶喪失の元になる)

P(だから辛い記憶のあった場所に楽しい記憶をおかなければならない)

P(春香とはそれなりに楽しい記憶を作ってきたが……最後の仕事だな)

18: 2012/11/10(土) 07:43:03.31
春香「…Pさん?どうかしました?」

P「ああ、悪い。少し考え事をしてた」

P「よし、おでかけでもするか。春香、行きたいとこはあるか?」

春香「!!はい、おでかけですね!わたしPさんと遊園地に行きたいです!遊園地!」

P「ふむ遊園地か…それなら少し遠いけれどもネズミーランドにでもいくか」

春香「ネズミーランドって…つまり泊まりでってことですか?」

P「そうだ。…嫌か?」

春香「Pさん!わたし、とーってもうれしいです」

20: 2012/11/10(土) 07:51:47.86
~~in ネズミーランド~~

春香「Pさん!あれに乗りましょう!!」

春香「Pさん!次はあっちです!」

春香「Pさん!ここのご飯とってもおいしいです!」

春香「Pさん!パレードですよパレード!」

P「は、春香。ちょっとまってくれないか…老体はいたわるもんだぞ?」ハァハァ

春香「何言ってるんですか!!Pさんはまだ若いですよ!」

P(もう勘弁…)

21: 2012/11/10(土) 08:02:05.74
~~in hotel~~

春香「Pさん…同じ部屋で寝るの……初めてですね」

P「そうだな…普段は同じ屋根の下でも別々の部屋だもんな」

春香「…襲ったりします?」

P「何バカな事いってるんだ…ほら、さっさと寝るぞ」

春香「私…本気ですよ?」

P「……俺達は出会ってまだ一月もたっていないんだぞ?確かに密度のある付き合い方をしてきてはいたが…」

春香「…一月でも…人の心は簡単に変わってしまうんですよ?」

P「人の…心か……」

春香「はい。私、Pさんなら嫌じゃありません。むしろPさんがいいんです」

22: 2012/11/10(土) 08:12:58.54
P「ありがとう春香。そう言ってくれて俺は幸せだよ…」

P「でもね…春香はアイドルなんだろ?治療が終わった後はアイドルに戻るんだろ?」

P「俺はね、春香の一ファンとしてアイドルの春香をみたいんだ…だから、わかってくれないか?」

春香「一ファンとして…ですか」

23: 2012/11/10(土) 08:24:55.54
春香「Pさんは卑怯です。そんなこと言われたら、私もう何も言えないじゃないですか…」

P「はは、確かに卑怯かもな。でもな、俺は本音を言っただけなんだよ」

春香「だからそういうのが卑怯なんです。はぁ…私振られちゃった」

P「代わりといっちゃなんだが…何か一つ言う事を聞いてあげよう」

春香「一つ…何でもいいんですか?」

P「可能な範囲ならばね」

春香「それじゃ…」







春香「キス…してください」

25: 2012/11/10(土) 08:37:44.27
――――――
――――


P(朝、目が覚めると俺は一人だった。誰かと一緒にホテルに泊まった記憶はある)

P(それが誰かの記憶もない。そして不思議な事に、それが誰なのか興味すら湧かなかった)

P(俺はそのまま帰り、休みにしていた忘れ屋を再開した)

32: 2012/11/10(土) 10:30:57.91
P(月日が流れるのは早い。仕事に没頭している間に今年最後の日になっていた)

P「…こたつにはいって紅白でもみるか」

司会「それでは歌ってもらいましょうトップバッターは765エンジェルズのみなさんによるMUSIC♪です。どうぞ~」


~…ワターシーノmusic♪



P「へぇ~こんなアイドルがいたんだ…最後にアップになってた娘、なんて名前なんだろう」


P「…天海春香。天海さんっていうのか、ファンになっちゃったな俺」



一部完

35: 2012/11/10(土) 10:52:54.25
P「ここが765プロか…」

P(紅白を見てこの娘たちをプロデュースしたいって思って…来てみたはいいものの)

P (電話とかしておいたほうがよかったのかな…というか今日やってるのかな1/3だけど…)

?「えっ?ぷ、プロデューサー!!?」

P「えっ?」

P(プロデューサー?この娘、俺の事をみてプロデューサーって言ったよな?)

?「もう病気は大丈夫なんですか!?仕事今日から復帰するんですか!?」

P(病気?復帰?この娘は一体何を言ってるんだ?)

?「ああもう、聞きたい事・話したい事がありすぎるよ!!プロデューサー、とりあえず中入りましょう」

37: 2012/11/10(土) 11:02:38.87
P(少女に言われるがまま事務所にはいったはいいが…状況が全く把握できていない)

P(俺は隣町の忘れ屋だよな?765プロのアイドルが何で俺の事をプロデューサーって??)




ガチャ

??「あけましておめでとうございますーってあら真じゃない、はやいのね」

真「あけましておめでとう伊織!聞いてよ!!サプライズだよ!!」

伊織「?どうしたのよ。何か良い事でもあった?」

真「プロデューサーだよ!!プロデューサーが戻ってきたんだよ!!」

伊織「…え?プロデューサーが?って、あのプロデューサー?…本当に!?」

真「今応接室にいるよ!!って、ちょっと!伊織!?」

伊織(プロデューサーが帰ってきた!!プロデューサーが!!)

ガチャ

41: 2012/11/10(土) 11:15:00.04
伊織「プロデューサー!!」

P(!さっきとは違う娘が俺の事をまたプロデューサーと呼んでる…)

伊織「あんたってば…人を心配させてばっかで…ほんとバカなんだから…」

P「ば、バカか…ひどい言われようだな」

伊織「あんたなんてバカで十分よ!……」

伊織「……私のせいで…私があんたの居場所を無くしちゃったんじゃないかって思って…」

伊織「…なかなか戻ってこないから……私怖くて…」

伊織「……」

伊織「…ごめんなさい気が動転してるんだわ。ちょっと頭をひやしてくる」バタン

44: 2012/11/10(土) 11:28:45.89
P(良くは分からないけどわかった事が少しあるぞ)

P(まず俺はここ765プロでプロデューサーをしていたらしい)

P(そして何らかの事情があり仕事をやめた)

P(仕事をやめてから今までは忘れ屋で仕事をしていた…ということか)

P(しかし、765プロでプロデューサーをしていた記憶なんて全くないぞ?不思議な事もあるもんだ)

45: 2012/11/10(土) 11:35:25.87
――――――
――――


社長「――ということで今日からここで働いてもらうPくんだ。みんな、Pくんの事をしっかりみてあげるんだぞ」

律子「社長、それじゃプロデューサーとみんなの立場が逆じゃないですか」

社長「おぉ、そうだったかね。まぁ細かいことはいい。律子君、Pくんの事頼んだよ」

律子「はい、頼まれました」

律子「―ということなんだけど…」

P「秋月さん、よろしくお願いします」

律子「一応確認しとくけど…本当に記憶ないのよね?」

P「残念ながら…」

47: 2012/11/10(土) 11:44:11.90
律子「そう、わかったわ。それと私の事は律子って呼んでくださいねプロデューサー殿」

P「うぅ…また呼び捨てか…ハードルが高いんだから」

律子「…また?」

P「え?俺またなんていいました?」

律子「え、えぇ。今そう言ったように聞こえましたけど」

P「…?」

50: 2012/11/10(土) 11:56:24.79
律子「また確認になるけど所属アイドルの名前は全員覚えました?」

P「はい12人全員覚えました!」

律子「12人?うちには11人しかいませんよ?」

P「あれ?確かに覚えたときは12人いたんですけど…」

律子「…よろしければ全員の名前を一度言ってもらってもかまいませんか?」

P「いいですよ。えーっと、天海春香,水瀬伊織,三浦あずさ,如月千早,高槻やよい,菊地真,萩原雪歩,双海亜美,双海真美,星井美希,我那覇響,四条貴音」

P「以上で12人。これが765プロに所属しているアイドルたちですよね?」

53: 2012/11/10(土) 12:08:03.76
律子「……」

P「あk…律子?」

律子「本当に記憶がないんですよね?プロデューサー」

P「??どうしたんだ?そんなに疑って」

律子「……今名前をあげてもらったうちの一人、美希はね…」

律子「っ!!ごめんなさい、今はそんな事はなしてる暇はないわ。さっさと仕事を終わらせてしましましょ」

P「?はい。わかりました」

56: 2012/11/10(土) 12:17:47.57
P(765プロでの仕事はそんなに難しいものではなかった)

P(慣れない事をしているはずなのに…体が、口が勝手に動く。長年の経験を体が覚えているのだろうか)

P(しかし、その体が俺に訴えてくる)

P(足りない。重大なものが何か抜け落ちてる)

59: 2012/11/10(土) 12:22:17.47
P(俺は帰宅してすぐにパソコンの前に座った)

検索「星井 美希」

P(俺の頭の中には彼女が765プロのアイドルとしてインプットされている)

P(しかし、実際に765プロで働いてみたら星井美希はいなかった)

P(星井美希の名前を出しても誰も反応しない。星井美希、一体何者だ?)

P「っとあった星井美希―Wikipedia」カチ

62: 2012/11/10(土) 12:30:17.21
記事

星井美希
19XX年11月23日~20XX年7月20日 故15歳

765プロダクション所属

デビュー曲「オーバーマスター」がミリオンを達成
その後も彼女が歌った曲はオリコンチャートの上位を独占した。

20XX 年7月20日,プロダクション内で起きた不運な事故に巻き込まれてその人生に幕を下ろした。

P(不運な…事故…氏んでる?なんだこれは)カチ

P(っ!?頭が…っ!痛い……割れそうだ…!!?)

64: 2012/11/10(土) 12:35:47.35
???「だめですよプロデューサーさん。思い出そうとしちゃ」

P「!?…は、るか?」

春香「その『はるか』はどっちの春香ですか?」

春香「アイドルとしての春香。それとも患者としての春香?」

P「…何をいって?…っ!」

春香「ほら、思い出そうとするから頭が痛くなるんですよ」

春香「記憶を探っても何もありませんよ?」

春香「『わたし』が消しちゃったんですから」

66: 2012/11/10(土) 12:42:24.07
P「記憶を…消した?」

春香「はい」

P「春香が…?」

春香「はい」

春香「でもビックリです。完全に記憶を無くしたと思ったのにまだ美希のこと覚えてるなんて」

P「状況の整理がつかん…どういうことだ?」

67: 2012/11/10(土) 12:46:14.45
春香「プロデューサーさんは自分が忘れ屋をしていたことは覚えていますか?」

P「あぁ…つい先日まで忘れ屋で仕事をしていたよ」

春香「8月中の患者を覚えていますか?」

P「8月…たしか……ダメだ。思い出せない」

春香「思い出せないとはちょっと違います。プロデューサーさんの記憶には『無い』んです」

P「記憶が無い?」

春香「一から話していきますね」

69: 2012/11/10(土) 12:52:20.02
春香「まず去年の7月20日に事故がおこっちゃったんです。本当に不運な事故でした」

春香「プロデューサーさんが美希を頃したんです」

P「!?」

春香「あの頃のプロデューサーさんはすっごく疲れていました」

春香「私たちがプロデューサーさんに無理をさせたんです」

春香「一人で12人分のスケジュールを捌いてたんですから。すごい手腕でした」

春香「そんな疲れ切ってるプロデューサーさんに、美希のあの態度はまずかったんです」

春香「プロデューサーさんはもう限界でした」

春香「いつ壊れてもおかしくない状態だったんです」

春香「だから…後ろから抱きついてきた美希を振り払おうとして…」

春香「階段を転がり落ちて頭部を強打」

71: 2012/11/10(土) 12:54:13.98
春香「これは事故です。ですがプロデューサーさんは自分が殺人をした。しかも事務所のアイドルを頃した。と責任を感じました」

春香「そして壊れてしまったんです」

春香「廃人というものを初めて目の当たりにしました」

春香「私はそんなプロデューサーさんの事を見てられませんでした」

春香「だから、プロデューサーさんの『美希に関する記憶』を無くしたんです」

73: 2012/11/10(土) 12:57:40.73
春香「でも消し方がまずかったんですよね。私もてんぱっていましたから」

春香「一度に大量の記憶を消してしまったんです。その結果が…わかりますか?記憶喪失です」

春香「プロデューサーさんは『765プロに関する記憶』を無くしてしまいました」

春香「それに加え人格も少し変わってしまったようです」

春香「そして、これについては私も理由がわからないんですが、プロデューサーさんも記憶を無くす能力を手に入れたんです」

74: 2012/11/10(土) 13:02:55.61
春香「このままではプロデューサーさんはプロデューサーとして765プロにいられません」

春香「だから私はプロデューサーさんを病気ということにして隣町に隔離したんです。応急処置ってやつですね」

春香「そして、私が患者としてプロデューサーさんのところへ行ったんです」

春香「どちらかというと患者はプロデューサーさんの方なんですけどね」

春香「そこからが大変でした」

春香「自分の記憶を消されないようにしながらプロデューサーの空白の記憶を埋め、人格の修正もしていかなきゃだったんですから」

76: 2012/11/10(土) 13:06:47.35
春香「プロデューサーさんはとても優秀でした。私の記憶をどんどんと洗い出していくんですから、ビックリしましたよ」

春香「だから私は対策をしたんです」

春香「仮想の記憶を作ることによって、それを私の辛い記憶だと勘違いさせようって」

春香「結果は、うまくいきました。プロデューサーさんは上手に私の仮想の記憶を無くし、私はプロデューサーさんの空白の記憶を埋める事ができました」

春香「更に言えば、プロデューサーさんが765プロに戻って来たくなるように種も植え付けておきました」

春香「もちろんプロデューサーさんが765プロに戻って来た時に私の事を知ってるといろいろと面倒なので、私が患者としていた期間の記憶も無くしました」

春香「とまあ、こういった所です。残念ながら美希に関する記憶を消しきる事はできていなかったようですが」

77: 2012/11/10(土) 13:07:38.09
はるるん何者や

78: 2012/11/10(土) 13:09:33.95
P「……」

春香「ちなみに事務所のみんなに美希について聞かないで下さいね?」

春香「みんなも辛い思いをしたんです。だからみんなの『美希に関する記憶』も消しました」

P「……」

春香「あ、律子さんは例外ですね。記憶を消さないでって…あんな顔で泣きつかれたら流石の私でも消せませんよ」

P「…春香は……」

79: 2012/11/10(土) 13:13:45.16
P「…春香は美希のことを覚えているのか?」

春香「……」

P「教えてくれ…美希はもう、誰の中にもいないのか?」

春香「…覚えてるに決まってるじゃないですか!」

春香「私が、美希を忘れたら…誰が美希の存在を証明するんですか!!誰が765プロで輝いていた美希を…っ!!!」

P「…そうか」

P「…辛い思いをさせてごめんな、春香」

春香「プロデューサーさん…」

P「一人でしょいこませて、ごめんな。気づいてやれなくてすまなかった」

春香「…」

81: 2012/11/10(土) 13:15:38.76
なんなのなの…なんなのなの…

83: 2012/11/10(土) 13:19:45.49
P「もっと早くにお前の気持ちに気づいてやるべきだったんだ。俺はプロデューサー失格だよ」

P「俺はもう美希って娘のことは知る事ができない。けれど、これからの…この765プロのみんなのことは絶対に忘れたくない」

P「だから…もう記憶を消そうだなんて悲しいことを言わないでくれ」

P「そうすればするほど…春香の負担が大きくなっていくじゃないか」

春香「……」



P「一人で負わないでくれ、俺がいるんだから…2人でこれからずっと背負っていこうじゃないか」

春香「…それってプロポーズですか?」

P「…そんな冗談が言えればまだ大丈夫だな。美希のためにもてっぺんでもとりにいくか」

春香「…はいっ!プロデューサーさん!!」



~fin~

86: 2012/11/10(土) 13:25:18.76
ふむふむ

89: 2012/11/10(土) 13:27:02.45
な ぜ 殺 た し

90: 2012/11/10(土) 13:31:35.76
流石メインヒロインは格が違った

引用元: P「記憶を無くす能力?」