779: 2007/12/29(土) 05:37:25 

いつものリビングでこの時期特有の特編番組がテレビを賑わせながら、相変わらずの二人がくつろいでいた

「今年もあと少しだねぇ」
ティーカップに注がれた紅茶を香りながら、緩やかなアルトで傍らの人に語りかけている
『そぉねぇ~相変わらずっていやぁ変わらない一年だったは』
視線はテレビから逸らさず、時折煎餅を噛み砕く音を立てながら答える

「いや、でも今年は僕らの映画があったじゃない、十分変わると思うよ」
『あーそういやぁ随分懐かしい時代の話が始まってたわねぇ、ま、アタシ出て無いし』

『シンジ様と綾波レイ様にとっちゃ~いい年だったんじゃない』
「もーまたそうやって僻むんだから」

『はっ僻んじゃないわよ、ただアンタの心配してやってるだけよ』
「心配って何が?」

『だってアレってあの時の事でしょ』
「そうだよ」

『んじゃーアンタはまた皆様の期待通り思春期全開の自家発電をフルスクリーンで公表するわけじゃない』
「んっなっ!?」
『いやぁ~アンタ流石はエースよ、あのシーンのお陰で[映倫]の二文字が光って見えるって話よ』
「そ、そ、そ、そんな事いったらアスカだって胸を晒したじゃないか!」

『で、あんたは自家発電』
「・・・・」

780: 2007/12/29(土) 05:39:48 ID:???
昔の事だ、もう十分冷静に、いやむしろ少し笑いながら話せるようになった、でも時折ピンポイントで心に
重い圧力を感じるのはやはり時間でも治せない痛みのせいなのだろうか

パンッ
景気良く頭が叩かれる音が響きわたる
『下らない会話で一々落ち込んでんじゃないわよっ元はと言えばアンタが振った話でしょ!』
「だってアスカがそんな事言うから」
『まぁいいじゃないのアレだって十分前向きな介錯が出来るわよ』
「前向きって?」

『勇気を与えたは』
「勇気?」
『そう、矮小だと思う自分を曝け出しながらも全力で頑張るって中々出来ないわよ』
「そ、そうかなぁ」
彼女の一言がいつも彼を救う

『自家発電をね』

彼女の一言がいつも彼を突き落とす、でも負けない、今日は負けられないんだ!

「そっちかい!!大体そういう風に思わせ振りに言うのってタチ悪いよ!」
『あらそう、ごめんなさいねぇアタシってホラ、日本語苦手じゃない』
「ふんっそうだね、あっちなみにさっきの[介錯]ってのは[解釈]が正しいんだよっ」

『あら伝わらなかった?、アレ介錯よ、正確に、国語的に使ったのOK?』
「・・・・・こんな時どういう顔をすればいいのかな?」
『さばきなさい、腹』

781: 2007/12/29(土) 05:41:49 ID:???
昔の事だ、もう十分冷静に、いやむしろ少し笑いながら話せるようになった、、
た、
たぁ~
たったたぁ~意識を失いかけた彼の目には
(あっ見慣れたお腹だ・・・・)


「最近腹でた?」


『うっさいんじゃ!ボケシンジッ!!カスシンジ!!バカバカバカバカバカシンジッ!!!!』
62秒とか掛けられずLCLにもなれない彼は半分亡骸にハローな状態で


「おっぱぴぃー」


『62秒かけて頃してやろうか?』
彼は強くなり、彼女はモット強くなったんだろう

言葉通りインパクトされ、相変わらず繰り広げられる光景を肴にしながら妙齢の女性が溜息を吐く
(はぁーいつ振りなのかしらね、こうやって呆れる気持ちになるのは)
「あんた達ぃいい加減漫才やってないで呼び出した理由をおせーてもらえないかしら」

その一声で蘇った彼は決意を胸に「あっあのボ」
『復活が早いっ!』
再度しばかれた、シンジ沈黙

782: 2007/12/29(土) 05:44:04 ID:???
「相変わらずだな、シンジ君もアスカも」
いつも通りの喧騒を、両手にエビチュウの男がさらりと流していく
「まったく相変わらずの惚気見せられるために呼ばれたのって感じよね」
男の片手にあった方を「さんきゅ~」と奪った彼女はブルトップを開き再度目で訴える
この出来の悪く、愛しい弟と妹を

『別にアタシに聞かれても知らないわよっ呼んだのはこの遺骨だし』
そんな目には弱い彼女は、出来立ての遺骨を指差し強い口調とは裏腹に、そっと爪先でやさしく生存確認。
「だったらアスカ、シンジ君を苛めるのは少し控えてやれ」
「そうそう、そうしないと今に液っちゃうわよ~」

「・・・・葛城、もう少しビールは美味く飲ませてくれよ」

783: 2007/12/29(土) 05:46:58 ID:???
『あーもうっシンジ、すたんだっぷ!』
どんっと床を打ち鳴らす彼女の足に敏感に反応するかのように彼は立ち上がり、確固たる意思を宿した目を
彼等にとって家族というべき人たちに向ける

「僕は、エヴァンゲリオン初号機のパイロット、碇シンジです!」
『何年前だっ!』
再度沈黙、しかし復活
「ご、ごめん、アスカ、」
『はぁ分かればいい』
「膨張してしまった…はずかし」
『更に逆行かっ?冒頭思春期ネタも重複でおいしぃねぇ~って感じで逆行かっ!おまえツメンぞっ!」
『ってアタシのセリフは『』で締めるのに『」になったわっ!!!」
[っ]と[!]の数だけフルボッコ

未だに蹴り続けるアスカに危機を覚え加持が捕縛
それを乗り越え復活するシンジに、リツコは喜ぶんじゃないかしらと考えながらもミサトは再度話しを元に戻し
「もー分かったからシンジ君、いい加減話を進めて頂戴」

784: 2007/12/29(土) 05:51:35 ID:???
そして肝心のシンジは、
今までの喧騒で痛む節々を確認しながらアスカ、ミサトさん、加持さん、ここに集まってもらった三人を
見ながらユックリと自分の考えを言葉する

「ミサトさん、加持さん」
彼の真摯な言葉は二人に十分注意を向かせ、
「アスカ」
彼のその一言だけで彼女は大人しくなり、皆は彼が発する次のセリフに固唾をのみながら待った

「あれから十年経ちました、今改めて僕らの記録を皆さんに見ていただいてます
あの時僕らは14歳で幼かったんです、そして未熟でした」

少年だった彼の言葉に3人は黙ったまま耳を傾けた

「そんな僕等を、いえ、僕を見られるのはツライ部分もあります、何より僕はアスカの悲しい顔を
また見るのが辛いです」

少女だった彼女の顔に浮かんだのは痛み以上に、その言葉を続けようとする彼への労わり

「でも僕は14じゃありません、あの時より、あの時より少しだけ強くなったと思います」

過去追い詰めた女は、その言葉を静かに聞くしかなかった
その女を愛した男は利己的かと責めながらも女を支えようと望んだ

785: 2007/12/29(土) 05:53:04 ID:???
「ミサトさん、加持さん」
そんな二人を少年だった彼は精一杯の自分を認めてもらおうと、
そして大事な他人に伝えるための決意を胸に秘め、伝えた

いままで貰った勇気のお陰で

「僕は、僕じゃない俺はアスカと結婚します」

その言葉に偽ることの出来ない彼女は告げようと
「シンちゃん、」
そんな女を愛していた男は、あえて恨まれる覚悟を胸にしながら
「シンジ君、実はな」


『あっシンジ、ちょっと』
誰よりも彼の中心の人の声が響き、今更に驚いた彼が慌てて弁解しだすのには少し懐かしさを覚えてしまうが
「あっあっあのごっゴメンえっと、アスカは怒るかもしれないかなって思ったんだけど、でも二人に居て
欲しかったんだ」
「ボク、いや、俺のプロポーズに」

786: 2007/12/29(土) 05:55:14 ID:???
『あんたバカァ?』

「へ?」
『出来るわけ無いじゃないまた結婚なんて!』
「はい?」
『ちょっとミサトッ日本ってそういうパターン可能なの?』
「あー・・・っと、うん、出来ないかぁって、、」
「シンジ君、いや、シンジだな、もうそう呼ばせてもらうよ、
シンジ、えっとそれ無理」

「え・・・え・・・」

『あんたアタシと何回結婚したいのよ?』
「え?いっや、一回だよ」
『じゃあムリ』
「なんで」
『してるから』
「なにを?」
『けっこん』
「けっこん?」
『うん』
「いつ?」
『まえ』
「だれと?」
『あんたと』
「いつ?」
『まえ』
「だ・・・」

787: 2007/12/29(土) 05:56:17 ID:???
だーーーーーーーもっう、絶叫と共に懐かしく自分の立場を思い出した保護者は叫び
「えっとシンジ、知らなかったのかな?」
珍しくうろたえた元スパイは成す術も無く
「シンちゃん、あんたトーーーーックに結婚してるわよ!」
片手のエビチュウを潰しながらミサトは叫び、この状況がどれだけ無意味か説明しようとした
その役を、アスカが変わった

『シンジ、あんた何歳?』
「いや、24だよ」
『じゃあ、今日で12月29日だからアタシも24よね』
「うん、この前祝ったもん」
『そう、あの時のお祝いも嬉しかったわぁ♪』
チュッとアスカにキスをされたシンジは気勢をそがれる形になってしまい
『じゃあアンタいい加減アタシの性格しってるわよね?』
「えっと、うん、そこ・・いや、結構」
そこそこと言おうとしたシンジを一睨みで沈黙させながら、目的に解答を得られたアスカは仕上げに

788: 2007/12/29(土) 05:57:19 ID:???
『あたしは好きな物を?』
「残さない」
『そんで?』
「すぐ食べちゃう」
『シンジのも』
「食べられる」
『アンタがアタシに告白したのは?』
こんな大胆な事をハッキリ言うくせに、顔が赤いんだよな「十八の誕生日です・・・お・・・ボクの・・・」
『じゃあ、結論は?』
「え、、、え!?」
『け・つ・ろ・ん・は?』
微笑みを浮かべた女神に顔は正に般若で間違える余裕も無く、
「ぼ、ぼくは」
『ぼくは?』
「あ、アスカと」
『アスカとぉ?』
「結婚、、して」
『して?』
「た」
『はい♪』

ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

789: 2007/12/29(土) 06:13:21 ID:???
『何驚いてんのよっ!』
「い、、いやだって僕知らないよっ」
『ボケーっとしてるからでしょ』
「そ、そういう問題じゃないだろっ」
『あんっ?じゃあアンタッ別れるつもりだったの!?』
「いやっそんな事ないよっ、って、それだったら今日プロポーズしてないじゃないか!」
『あ~んそれ言われちゃうと辛いわねぇって、だったら問題ないじゃない!』
「も、問題ってそういう問題じゃないだろ!!」
『じゃあっどういう問題よっ!』
「どういうって、ほらっそれって未成年だと保護者の同意とかが必要・・・」
そこまで言ってやっと気がつく[保護者]の存在
一旦アスカから目を逸らし、その当事者を見ると
「いやぁ、そうっアタシはアスカ側の保証をしただけよ、ねぇ加持?」
で元スパイは
「あっああ、俺もアスカの保証人?、ってヤツをしただけなんだ」
もはや斬った張ったとは無縁の世界に過ごして長い二人にはウロタエルしかなく
そんな二人を一部諦めながら、それは納得した事なんだが、やはり釈然としない部分だけをぶつけるしかないく
「いやっアスカ側はいるけど、ボク側は誰だよ!」
そんな必氏な抵抗もアスカには面倒な問答に他ならず、でも少し嬉しそうに

790: 2007/12/29(土) 06:15:29 ID:???
『綾波レイ』
「ええええええええええええええええええええええ」
『あんど』
「あ、あんど!」
『MAGI』
「え?」
『だから、レイ&MAGIよ、あんたの保証』
「いやいや、いやいや、綾波もMAGIも何で保護者なんだよ!」
『レイはアンタのママでしょ』
「ママってそれってDNA的でしょ?」
『いいじゃない、犯罪者だってDNAで決まるんだから、十分な証拠よ』
「いや、犯罪者って・・、ってじゃあMAGIって何だよ!、MAGIってコンピュータじゃないか!」
『違うわよ、生体なんだし』
「生体なんだしって、アンタそれだけだったら明日からハムスターの子になるは!」
『いいけど、否決で終了、で他は?』
「いや、他って根本的に・・」

791: 2007/12/29(土) 06:16:04 ID:???
風向きは五分五分な空気をいち早く呼んだのはやはりアスカなわけで

『アンタッあたしと結婚するのイヤなの!』
「い、いやn」
『すきって言ったじゃない!』
「う、うん」
『捨てる気ありってこと?』
「そ、そんなの、言うなよっ」
本気で怒りだしたシンジに少しウレシク感じながら
『じゃ、いいわね』
「えーだってボク知らなかったんだよ?、既婚暦6年って・・・・」
『はんっそんなんはアンタがモジモジしてたんが悪よっ!』
「じゃあさ、一個だけ教えてよ」
『何よ?』


「結婚記念日は何時?、6年分、そしてこれからも祝いたいんだ」
この一言に撃沈した彼女は、しどろもどろに成りながらも、精一杯強がり
そんな妹にエールと弟に気合を送り二人は宴を後にした、

792: 2007/12/29(土) 06:16:55 ID:???
もうすぐ年を終えそうとする夜空のなか歩む男女の二人
ブチブチと文句を言いながらも、実は笑顔を隠せない女を、ただジットいつものように苦笑する男
「加持」
君は無い
「なんだよ、葛城」
「かーじ」
遠慮も無い
「はぁ、いまか?」
「そう」


「みさと」少し照れた男の声に
「泣いていい?、今、幸せなの」

793: 2007/12/29(土) 06:18:40 ID:???
=おまけ=
「そういえばミサト、何でアスカが怒ったか分かるか?」
答えを知ってるがいえの余裕を含ませながら意地悪く尋ねる男に
「アスカが怒ったってどの場面のトコよ、ずっと怒ってたじゃないよ」
そんな返答に彼はタネを明かすように言う
「明確に一個あっただろ、」
「明確?」
「そう、」
「勿体ぶらないでよっ、一体何?」
タネ明かしは完結に
「お腹が出たって言っただろ、あれは?」
「えっあれって何時ものじゃなくて・・・・」
タネはシンプルだがインパクトが大きすぎた女は、喜びと嫉妬を抱えながら最後は、諦めたように男に向かって言うはめになった
「先越されたわねっ!」

794: 2007/12/29(土) 06:21:31 ID:???
漫才みたいにしてみたいと思いましたら脱線しました・・

長いなぁ~とは思いますが、LASで有る所で勘弁してください

では良いお年を

引用元: 落ち着いてLAS小説を投下するスレ 14