男「昔は帰ったら、すぐ背伸びして吠えてたよな」

幼馴染み「そう、そうなのよ！」

男「おまえ、なんかした？」

幼馴染み「いや、なにもしてないよ」

幼馴染み「この頃あまり遊べてなかったから......」

男「あっ......」

幼馴染み「なに？ なにか気づいた？」

男「構ってなかったからじゃないか？」

幼馴染み「えっ」

男「しばらく散歩しなかったらかも」

幼馴染み「だ、だって学校帰りは疲れてるし......」

男「ポチはそんなの知らんし」

幼馴染み「わたしかわるいのか......」

男「悪いかどうかは分からないが、原因はそれじゃない？」

幼馴染み「んー......分かった！ よしいまから散歩しよう！」

男「いってらー」ｽﾀｽﾀ

幼馴染み「まって」ｸﾞｲｯ

男「なに」

幼馴染「いっしょにいこ」ﾆｺｯ

男「俺は課題をやるから」ﾊﾞｯ

幼馴染み「あとで教えるから」

男「えーめんどくさい」

幼馴染み「いいから、散歩に来んかいっ！」ｶﾞｼｯ

男「わかった、わかったよ！」

幼馴染み「よし」

男「......はぁ」

幼馴染み「よーし、準備しますか」ｶﾞｻｺﾞｿ

幼馴染み「えーと、リードがここに......」

ポチ「！ わんわん！！！！」ｽｸｯ

男「うわっ！？ いきなりなんだ！」ﾋﾞｸｯ

幼馴染み「いざ散歩に連れていってくれると知るとこれだよ......」ﾊｧ

男「......現金」

幼馴染み「はぁ......なんか空しい」

ポチ「わんっわんっ！！！！」

幼馴染み「あーはいはい。ちょっと待ってなさい」ｶﾁｶﾁ

幼馴染み「首輪にリードをつないでから......鎖をはずすと」

幼馴染み「ってうわっ！？ い、いきなり引っ張んないで！！！！」ﾄﾞﾀﾄﾞﾀ

男「引きずられそう」

幼馴染み「みてないではやく来なさいっ！！」

幼馴染み「はぁ......はぁ......疲れた」

男「おまえ体力落ちた？」

幼馴染み「正月があったから仕方がない、わたしへ悪くない！」

男「......」

幼馴染み「......」

幼馴染み「......いまのは撤回する」

男「あぁ」

ポチ「へっ......へっ......」ｶﾞｻｶﾞｻ

幼馴染み「あまり茂みに入らないでよっ！」

男「うわー」

幼馴染み「いたいいたい！！！！服にくっつくあのトゲがいたいっ！！！！」ｶﾞｻｶﾞｻ

男「いたそう」

幼馴染み「見てないで助けてよ！」

男「えー」

ポチ「むしゃ......むしゃ......」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

男「草をすごい食べてる」

幼馴染み「うー......腕がチクチクして痛い」

男「がんばってください」

幼馴染み「あ？」

男「っ、ごめん！」

幼馴染み「じゃあ、あっちの家までついたら交代して」ﾋﾞｼｨ

男「わ、わかった」

幼馴染み「ほらっ、もういっぱいたべたでしょ！」ｸﾞｲｯ

ポチ「......」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

男「すごくいやそう」

幼馴染み「もう5分くらい食べたからもう行くよ！」ｸﾞｲｯ

ポチ「......」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

男「フッ」

幼馴染み「あああああああああ！！！！！！、！！？！！」

幼馴染み「あんたいま笑った？」ﾋﾞｷﾋﾞｷ

男「いや全然」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

幼馴染み「......ほんとかな」

ポチ「ハァ......ハァ......」ｽｸｯ

男「もう行くみたいだぞ」

幼馴染み「......わかった」

幼馴染み「......ふぅ」

ポチ「へっへっ......」ﾄｺﾄｺ

男「けっこう暗いな」

幼馴染み「冬だしねー......あっ......っやば！」

男「どうした？」

幼馴染み「あそこに女友のお父さんが犬と散歩してるでしょ」ﾋﾞｼｨ

男「あぁ、かわいい柴犬じゃん」

幼馴染み「うんそーだね。でもあそこの犬はね......アレだから」

男「アレ？」

幼馴染み「......ポチの......っ......ぁ......アソコを舐めるから」ｶｧｧ

男「......そ、それは大変だな......」

幼馴染み「うん、小さいころはウチの犬も少しの間だけ......影響されてたなぁ......」(遠い目)

男「い、いまは違うんだよな？」

幼馴染み「当たり前！」

幼馴染み「だからイヤなの！」

男「でも、すぐそばに近づいてきてるけど」

幼馴染み「えっ」

「ﾊｧﾊｧ...... 」

幼馴染み「ひいいいいいいいいいい！！！！！！！！」

「ﾊｧﾊｧ......」

幼友父「二人とも久しぶりだね。こんばんわ」

男「こんばんわー」

幼馴染み「こ、こんばんわ......」ｱｾﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

幼友父「大きくなったねー。もう高校生かい？」

男「そうです」

幼馴染み(はやく終わってはやく終わって！)

「ﾊｧﾊｧ......」

ポチ「......」

幼馴染み(普通は吠えあって威嚇しあうのに、なんか見つめあってる！ 明らかにへん！)

幼友父「今度いっしょに鍋でも食べないか？」

男「いいんですか！？」

幼友父「たまにはいいだろう」

男「ありがとうごさいますっ！」

幼馴染み(いつまで話してるの......)ｲﾗｲﾗ

幼友父「――でな」

男「そうなんですか。――」

「ﾊｧﾊｧ......」

ポチ「......」ｼﾞｰ

幼馴染(はやくしろはやくしろ......)

幼馴染(......もういい)

幼馴染「あっ！！！！」

男「なんだ」

幼馴染「そういえば、男は用事なかったっけ？」

幼友父「そうだったのか」

男「えっ」

幼友父「これはすとをしたな。はやくしたほうがいいのではないか？」

幼馴染「ごめんなさい。ほらっ、いくよ」ﾆｷﾞｯ

男「えっ」


ドタドタ

幼馴染「はぁ......はぁ......」ｾﾞｪｾﾞｪ

男「いきなりどうしたんだ？」

幼馴染「もーっ、ほんと危なかったんだから！」

男「よくわからんがすまない」

幼馴染「もういいから。あー無駄に疲れた」

男「ポチがうんこしようとしてるぞ」

幼馴染「あーはいはい。とりますかと」ｶｶﾞﾐ

ポチ「......」ﾊﾞｻｯﾊﾞｻｯ

幼馴染「うっぷ、土といっしょに飛ばさないで！　かかる！かかる！」

男「......ﾌﾌｯ」

幼馴染「......」ｼﾞｰ

男「あっ」

幼馴染「......笑ってた」

男「はて」

幼馴染「糞を飛ばされて滑稽なわたしを見ながら、笑いをこらえながらも口元に微笑を携えていた」ｼﾞｰ

男「......」

幼馴染「ひどいよっ！　わたしはがんばって散歩しているのに！」ｹﾞｼｹﾞｼ

男「いたいいたいいたいいいいいいい！！！！w"！！！！」

幼馴染「反省して」ｹﾞｼｹﾞｼ

男「やめてくださいいいいいいいいい」

幼馴染「じゃあ、わたしの代わりに最後まで散歩してね」

男「......わかった」


・・・


男「......つかれた」ｹﾞｯｿﾘ

幼馴染「......けっこう遠くまでいったしね」

ポチ「ｺﾞｸｺﾞｸ」

幼馴染「すごい勢いで水を飲んでる......元気だなぁ」

男「ほんとにな」

幼馴染「あーそうだ、ごはんあげないと......」ｶﾞｻｺﾞｿ


パララッ


男「......またたくさん食べてる......うまそう」

幼馴染「まずいよ」

男「えっ」

幼馴染「パサパサしてる」

男「......そうか」

幼馴染「そうだよ」

男「んじゃ、またあした」

幼馴染「はいよー」

翌朝


ポチ「わんっ！わんっ！」

幼馴染「......」ｽﾔｽﾔ

ポチ「わんっ！わんっ！」

幼馴染「......」ｶﾞﾊﾞｯ

幼馴染「......また散歩いかなきゃ」

幼馴染「やだなぁ」

幼馴染「......あっ、そうだ......男も付き合わせよう......」


おわり

オチなしでごめん

乙。面白かった。