1: 2010/08/21(土) 17:54:02.95
和「……」

唯「私、やるよ! やっちゃうよ!」

和「……そうなんだ。じゃあ私生徒会行くね」

唯「えっ、あっ、ちょっ!」

和「……」スタスタ

唯「……行っちゃった」

3: 2010/08/21(土) 17:58:55.02
唯「仕方ない。こうなったらHTTのみんなに知らしめることにしよう」

唯「……」テクテク

ガチャッ

唯「やーやー、みんな元気かい?」

梓「……どこの体操のお兄さんですか」

唯「あ。あずにゃん……ってそれは違うよ!」

梓「えっ?」

唯「私、体操のお兄さんなんかじゃない」

唯「アイ、アム、ア、ヒーロー!!」

梓「……はい?」

4: 2010/08/21(土) 18:01:22.57
唯「体操のお兄さんなんてちっぽけな存在じゃないよ」

唯「私は正義の味方。ヒーローなんだよ!」

梓「先輩女の子なんだからヒーローじゃなくてヒロインじゃないんですか?」

唯「あっ」

梓「なんのテレビ見たのか知りませんけど少しは落ち着きをもってくださいよ」

唯「私はヒーローです」

梓「落ち着いて宣言しろと言ったわけじゃありません」

7: 2010/08/21(土) 18:04:44.47
梓「もう。そんなくだらないこと言ってる隙があったら練習してください」

唯「くだらなくないよ! ヒーローだよ、大事だよ!」

梓「くだらなくなくないですよ。そういえば唯先輩、ここのリフまだ弾けてませんでしたよね?」

唯「うっ」

梓「さあさ、ギター出してください。律先輩たちが来る前に自主練習といきましょう」

唯「えー」

梓「ほら早く早く」

ガチャッ

8: 2010/08/21(土) 18:09:20.30
律「控えおろう、控えおろう。ここにいるのは誰と存じ上げるか!」

梓「頼りのない部長さんです」

律「な、なにぃ

澪「早く入れ」ペシッ

律「あいてっ」

紬「あらあら」

唯「りっちゃん、りっちゃん!」

律「どしたー?」

唯「この世界は私が守るよ!」

律「うん?」

9: 2010/08/21(土) 18:13:05.09
唯「私、ヒーローになったんだよ!」

律「へぇー。あ、ムギ私アイスティーがいい」

紬「はいはーい♪」

唯「それでね! スーパーパワーも使えるんだよ!」

律「ふーん」モグモグ

唯「特別に見せてあげようか?」

律「いや、いいよ」モグモグ

唯「……」

10: 2010/08/21(土) 18:17:28.61
唯「もう。そんな連れないこと言わずにさー」

律「あ、澪ー。帰る前に数学のノート貸して」モグモグ

澪「また寝てたのか」

律「次の授業に備えて力を蓄えてたのさ♪」

澪「はいはい」

唯「……いいもんね。実際に見ればあっと驚くに決まってるよ」

唯「右手と左手をこんな風にL字に組んだら

律「唯、あーん」

唯「あーん」パクッ

律「うまい?」

唯「おいひい」モグモグ

11: 2010/08/21(土) 18:20:33.88
律「今日のお菓子はまた一段とおいしいよなぁ」モグモグ

唯「ホントだねぇ」モグモグ

唯「……」モグモ…

唯「……はっ!」

唯「りっちゃんにうまいことはぐらかされた!」モグモグ

律「人聞きの悪いこと言わないでくださいます?」オホホ

唯「くぅ……」モグモグ

唯「うわーん! ムギちゃん、りっちゃんがいじめるよお!」

紬「あらら」

13: 2010/08/21(土) 18:26:20.07
唯「ムギちゃんは私の話ちゃんと聞いてくれるよね?」ウルウル

紬「もちろん」

唯「あのね、私ヒーローになったんだ!」

紬「へぇー、ヒーローに?」

唯「そう。私は選ばれたんだよ!」

紬「選ばれたって……誰に?」

唯「誰に?」

紬「ええ」

唯「……」

紬「……」

唯「……ムギちゃん、私誰に選ばれたんだろ?」

紬「さあ?」

15: 2010/08/21(土) 18:30:19.18
唯「ムギちゃん、ホントに知らない?」

紬「ごめんなさい」

唯「むむむ」

唯「ねえ、澪ちゃん。私誰に選ばれたのかな?」

澪「さあ? あ、この間選挙あったしあの時に選ばれたんじゃないか?」モグモグ

唯「選挙で!?」

澪「そうそう。多分投票用紙に"平沢唯"って書いてあったんだよ」モグモグ

唯「!」ガーン!

唯「し、知らなかった……。私国民の皆様に選ばれたんだね……」

梓「そんな馬鹿な……」

16: 2010/08/21(土) 18:33:35.72
唯「それじゃあ!」

唯「日本国民様に選ばれしヒーロー平沢唯が、みんなをお助けし

律「へっくしょん!」

律「ムギ、そこの醤油取って」

紬「はいどうぞ」

律「サンキュー」

唯「……ヨウジャナイカー」

17: 2010/08/21(土) 18:37:11.75
唯「あ、あずにゃんは何か困ったことない? 私がぱぱっと解決しちゃうよ!」

梓「あ。このピクルスの瓶の蓋が開かないんですけど」

唯「貸してごらん!」

梓「はい」

唯「あっという間に開けちゃうからね。なんせ私はヒーローだもん!」

梓「わーい」

唯「……ぐぐぐぐぐ」

ツルッ

唯「あ」

ガシャン!

唯「あちゃ……」

梓「……」

唯「……い、一応中身は取り出せるよ」

梓「へぇー……」

19: 2010/08/21(土) 18:40:14.01
澪「つまんない話してないでそろそろ練習しようか」

律「そうだな。たまには気合い入れて練習するか!」

紬「新しい曲もできたことだしね」

唯「はい、先生!」

律「なんだね、平沢くん」

唯「ヒーローの私がヒーローにふさわしいクールでヒロイックな新曲を作ってきました!」

律「へぇー、見せてみ」

唯「はいこれ」

律「どれどれー」

20: 2010/08/21(土) 18:43:25.52
ウルトラユイの歌
作詞:ヒーロー平沢 作曲:ミラクル平沢

ユイー ユイー ユイー ユイー
ユイ! ユイ! ユイ! ユイ! ユイ! ユイ!

はーるかな星がー ふーるさーとーだー
ウルトラーユイ ファイターユイ
ウルトラーユイ ユイーユイー

進め銀河の果てまでもー
ウールトラアイでスパーク! 
 
 
 
梓「……」

紬「……」

澪「……」

唯「どうどう? まさにヒーローって感じでしょ?」

律「盗作じゃん!!」

唯「ええっ!?」

21: 2010/08/21(土) 18:46:49.66
晩ご飯
 
 
 
唯「って感じでね、誰も私がヒーローって信じてくれないんだよ」

憂「へぇー」モグモグ

唯「正義の味方をぞんざいに扱うなんてみんな不届き

憂「お姉ちゃん、あーん」

唯「あーん」パクッ

憂「今日のシュウマイ実は手作りなんだけど、どうかな?」

唯「すっごくおいひいよ!」モグモグ

憂「よかった。ご飯終わったらお風呂入ってね」

唯「うん」モグモグ

唯「……」モグモ…

唯「……はっ!」

23: 2010/08/21(土) 18:49:34.02
風呂
 
 
 
唯「……クスン」ゴシゴシ

唯「憂まで私の話を聞いてくれないや」ワシャワシャ

唯「私ホントにヒーローなのになぁ」ゴシゴシ

唯「……」

唯「……そりゃっ」ザブーン!

24: 2010/08/21(土) 18:52:09.71
In the bed!
 
 
 
唯「……むむむ」

唯「どうして誰もヒーローな私を信じてくれないのか……」

唯「私に何が足りないのかな……」

唯「……考えちゃって眠れないや」モゾモゾ

憂「きっと認知度が足りないんだよ、お姉ちゃん」

唯「憂?」

憂「口先ばっかりでヒーロー、ヒーローって」

憂「今のままじゃお姉ちゃんはただの電波さんだもん」

唯「電波さん!?」ガーン

25: 2010/08/21(土) 18:54:08.54
憂「認知度もなしに口ばっかりじゃお姉ちゃんは電波さんだよ」

憂「私だって今のお姉ちゃんは電波さんだと思うな」

唯「や、やだ……。電波さんなんかやってたら友達いなくなっちゃうよ」

憂「だからお姉ちゃんはヒーローとしての自分を見せつけて自分の認知度が必要があるんだよ」

唯「そ、そっか。認知度があれば電波さんじゃなくなるもんね」

唯「……よーし。私やるよ、やっちゃうよ!」

憂「頑張ってお姉ちゃん!」

26: 2010/08/21(土) 18:57:04.58
唯「そういえばさ」

憂「なに?」

唯「今私ベットの中で眠れないってことになってるんだけど」

唯「どうして憂がいるの?」

憂「やだなあ、お姉ちゃん。私も同じベットに入ってるからに決まってるじゃない」

唯「なーんだ」

唯「おやすみ、憂」

憂「おやすみ、お姉ちゃん」

27: 2010/08/21(土) 19:02:00.62
翌朝
 
 
 
唯「……」

ピンポーン

唯「……出ないや」

ピンポピンポピンポピンポピンポーン

唯「……」

ドタバタドタバタ

ガララッ!

梓「人んちのチャイムで遊ぶなーっ! ……って唯先輩!?」

唯「おっはー、あずにゃん」

28: 2010/08/21(土) 19:05:14.94
梓「……朝っぱらからなんなんですか?」

唯「ふっふっふっ」

梓「?」

唯「私は悟ったんだよ」

唯「私が電波さんだと思われないためには、私がヒーローだってみんなに教えてあげなくちゃいけないってね」

梓「……」

唯「だから手始めにまず、私がいかにヒーローかをあずにゃんに見せてあげようと思っ

ピシャッ!

唯「ああっ! 待って! ドア開けて!!」ドンドンドン

29: 2010/08/21(土) 19:08:08.88
押し問答の末、あずにゃんの家に上がらせてもらいました
 
 
 
唯「というわけで」

唯「私がいかにヒーローかをあずにゃんに知らしめてあげよう!」

梓「わー(りとどうでもい)い」

唯「じゃあまず私がどのようにしてヒーローになったかだけどね」

梓「あ、先輩。それ長くなります?」

唯「ヒーロー誕生編は全15章だよ」

梓「じゃあ私、朝ご飯食べながらでいいですか? まだ朝から何も食べてないんで」

唯「あ、うん」

30: 2010/08/21(土) 19:12:24.38
唯「それでね、夢の中で私は森の中をずんずん歩いていったんだよ」

梓「へぇー」モシャモシャ

唯「その森の奥には、こんな形のおかしな遺跡があってね」

梓「ほぉー」パクパク

唯「なんとある日の夢で私はその遺跡の中に入っちゃったんだよ!」

梓「ふーん」ムシャムシャ

唯「……」

梓「? 続けないんですか?」

唯「……」グー

唯「……私もお腹空いた。朝ご飯食べたい」

31: 2010/08/21(土) 19:15:04.24
梓「はい、どうぞ。ただのトーストですけど」

唯「ありがとう、いただきます!」ガツガツ

梓「ところで唯先輩、もう7時45分ですけど遅刻になっちゃいますよ」

唯「当然だよ! ヒーローは遅れてやって来るものだからね!」ガツガツ

梓「……」

梓「トーストは没収します」

唯「ああっ!?」

梓「さあ。パッパッと学校行きますよ、学校」

唯「えー!?」

32: 2010/08/21(土) 19:18:27.24
テクテク

唯「十字を組んで狙った敵は~必殺技の贈り物~♪」

梓「まさか唯先輩と一緒に登校する日が来るとは思ってませんでしたよ」

唯「あはは、私も」

梓「そういえば」

唯「なに?」

梓「なんでマントなんか着けてるんですか?」

唯「ヒーローだから」

梓「学校でも着けっぱなしでいくんですか」

唯「もっちろん!」

梓「ふーん」

33: 2010/08/21(土) 19:21:56.10
ガラララ

唯「おっはよー!」

律「おはよ」

澪「唯、そのマントは?」

唯「えっへっへ。ヒーローたるものマントは必需品なんだよ!」

澪「へぇー」

唯「どう? かっこいいでしょ?」

澪「そうでもないけど」

唯「赤のマフラーとも迷ったけど夏にマフラーは暑いしねー」

澪「訊いてもないけど」
 
 
紬「……」キラキラ

律「どしたムギ、ぼーっとして」

紬「……」キラキラ

律「ムギ?」

紬「……あっ、いや何でもないの」

35: 2010/08/21(土) 19:24:13.95
ガラララ

さわ子「みんなおはよう。それじゃあ出欠を……」

唯「……」バーン

さわ子「平沢さん? そ、そのマントはなに?」

唯「あ、私ヒーローなんでお構いなく」

さわ子「構います!」

36: 2010/08/21(土) 19:28:09.29
澪「それで、先生にマント取り上げられたのか」

唯「うん。でもさわちゃん新しいマントくれたんだよ!」

律「新しいマント?」

唯「なんでも馬鹿には見えないらしくて」

律「澪、見える?」

澪「ああ、私は賢いからな」

律「ふーん。私には見えないや」

紬(……わ、私も見えない)ズーン

39: 2010/08/21(土) 19:39:09.09
1時間目 数学
 
 
数学「sinθがcosθで微分積分イイ気分なほんにゃらぺんにゃらたりらりらん」

澪「……」カリカリ

律「zzz」スヤスヤ

唯「……」ボンヤリ

紬「……」カリカリ

数学「じゃあこの問題はー……平沢さん、解いてくれる?」

唯「はい! ……む」

数学「?」

唯「……先生!」

数学「なに?」

唯「心に愛がなければスーパーヒーローじゃあないんです!」

数学「それがその問題とどう関係が?」

唯「私はヒーローだから愛に溢れているので、この問題の解答権をムギちゃんに分け与えることにします!」

澪(……自己愛でいっぱいだ!)

40: 2010/08/21(土) 19:43:30.64
2時間目 体育
 
 
 
イッチニー サンシー ゴーロク シチハチ

律「はぁーあ、準備体操なんてめんどくさいなぁ。早くサッカーがしたい!」

紬「でもちゃんとしないと怪我しちゃうよ?」

澪「そうだそうだ。私は律が怪我するところなんて見たくないぞ」

律「澪……!」


しかし私はわかっていた
このセリフが私を思って発せられたものではないと。怪我による流血が見たくないだけなのだと
私のこの想いが届くことはないのだと
けれど私は諦めない
今日も今日とて、私の"君を想う力"で鮮やかなシュートを決め

律「……なんだこの地の文は」

唯「ヒーローたるもの人々の想いを見透かせなくてはなりませんから!」

律「……それは私のネタだろ!」

ポカッ!

唯「あいたっ」

42: 2010/08/21(土) 19:47:35.24
ピーッ

紬「唯ちゃん、パス!」

唯「オーライ! よーしいくよ!」

唯「ダッシュダーッシュダッシュ!」

タッタッタッタッ

唯「キックエーンドダッシュ!」

ダッダッダッダッ

唯「いつか決めるぜ稲妻シュートー。そうすりゃおーれもスーパヒ

マノーン!

唯「えっ?」

律「りっちゃん必殺スライディングアタッーク!!」ズザーッ!

唯「ああっ!?」

律「いくぞ、澪! すぐ立ち上がらなきゃチャンスは逃げていくんだ!」

澪「う、うん!」

唯「……」

43: 2010/08/21(土) 19:50:18.23
3時間目 国語
 
 
 
なんてなかった

44: 2010/08/21(土) 19:51:41.83
昼休み
 
 
 
唯「やったー! ようやくお昼の時間だね!」

律「テンション高いな」

唯「憂が作ってくれたヒーロー弁当をみんなに見せびらかせると思うと自然と心が躍るってものだよ」

紬「ヒーロー弁当?」

唯「うん。今朝憂が『ヒーローならこれを食べなきゃ』って」

澪「へぇー」

唯「いくよー、ご開帳ー!」

カパッ

45: 2010/08/21(土) 19:56:47.14
モワアアアア

澪「うっ……!」

律「こ、この匂いは……」

紬「カレー!?」

カレー弁当「……」デーン

唯「」ガーン

澪(憂ちゃんのヒーローのイメージってキレンジャー?)ポカーン

46: 2010/08/21(土) 19:59:05.70
律「とまあこんなことがあってな」

梓「だから沈んでるんですね、唯先輩」

唯「……アハハ ヒメコチャン ワタシ ノ コト キレンジャー ダッテ ハハハ」

梓「はぁ……」

梓「しっかりしてください。苦境を乗り越えてこそのヒーローでしょう?」

唯「ハハハ」

梓「……」

梓「……あー唯先輩助けてー。命が危険で危ないよー」

唯「ハハ…」ピクッ

48: 2010/08/21(土) 20:02:32.87
梓「早くしないと暴れ出したトンちゃんに私の上腕二頭筋がー」

唯「……」ピクピクッ

梓(もう一押しかな)

梓「わーもうだめだー助けて唯先ぱ

律「へっくしょん!」

澪「風邪?」

律「うーん……。午前中はそんなことなかったけどなぁ」

梓「……」

唯「ハハハ」

梓(あんちくしょう!)

50: 2010/08/21(土) 20:04:11.96
唯「ハハハ」

梓「どうしよ……」

紬「頑張って梓ちゃん。強大な敵を前に倒れ伏したヒーローを助けるのはいつだってただの人間よ」

梓「そう言われても……」

紬「大丈夫、梓ちゃんならできるわ」

梓「……」

紬「だって唯ちゃんとたくさん日々を過ごしてたくさんの絆を結んできたじゃない」

紬「一緒に戦ってなんぼなのよ。ヒーローも、人間もね」

梓「……ム、ムギ先輩」

唯「かっこいい―――!!」ガバッ

梓「は?」

紬「えっ?」

52: 2010/08/21(土) 20:06:05.87
唯「ムギちゃんかっこいいよ! 憂鬱なんて吹っ飛んだよ!!」

紬「そ、そんなに褒められても」テレテレ

梓「……」

澪「おーい、ちょっといい?」

紬「どうかしたの?」

澪「みんなごめん。律がなんか風邪っぽいから今日の部活は休みにしようと思うんだけど」

唯「りっちゃんが風邪?」

紬「雨が降ったりしてね」

梓「……」

澪「梓? やっぱり部活したい?」

梓「……休みましょう! さっさと帰っちゃいましょう、唯先輩を置いてけぼりにする勢いで!」

唯「あ、あずにゃん!?」

紬「雨が降るわね」

53: 2010/08/21(土) 20:08:05.00
帰り道
 
 
 
唯「あずにゃん」

梓「……」ツーン

唯「あーずにゃん」

梓「……」フーン

唯「……」

唯「ムギちゃん、あずにゃんが構ってくれないよう」クスン

紬「あ、あはは」

梓「……人の厚意を踏みにじったんだからそのくらい当然です!」

唯「えっ?」

54: 2010/08/21(土) 20:10:24.92
唯「ど、どういうこと?」

梓「ふんっ!」

唯「ムギちゃん?」

紬「えーっと、唯ちゃん部室で落ち込んでたでしょう」

唯「うん」

紬「だから梓ちゃん、唯ちゃんのためにあれやこれや頑張ってたの」

紬「でもあんな立ち直り方しちゃったから……ね?」

唯「!」ガーン!

唯「そ、そんな……私あずにゃんの心を傷つけちゃってたんだ……」

55: 2010/08/21(土) 20:13:07.68
紬「そ、そんなに思い込まなくても!」アタフタ

唯「いいんだよムギちゃん……。私、ヒーローどころか人間失格だよ……」

紬「そんなこと……!」

唯「……みんなを守らなくちゃいけないヒーローが、大事な後輩の心を踏みにじったんだ……」

唯「……最低だよ、私は」

紬「唯ちゃん……」

56: 2010/08/21(土) 20:15:46.24
スタスタ

梓(……唯先輩のばか)

梓(だいたいあれのどこがヒーローなんだか……)

梓(ヒーローっていうのはもっと強くて逞しくてかっこよくて)

梓(唯先輩とは全然別物だもん!)

梓(……唯先輩の、ばーか)

ガアアアアアア!

律「ん?」

澪「どした?……ってああっ!!」

ガアアアアアアアア!!!

律「お、おい梓! 前、前!!」

澪「ト、トラックが!!」

梓「えっ? ……きゃあああああああああ!!!?」

57: 2010/08/21(土) 20:17:12.01
キャアアアアア!

唯紬「?」

ガアアアアア!

唯紬「!?」

紬「あ、梓ちゃんがトラックに!」

唯「あずにゃん!」

唯(……私は今度こそ守ってみせる。それが私に与えられた使命なんだ!)

ダッ!

紬「唯ちゃん!?」
 
 
キキイイイイイイイイ!!!
 
――――ガシャーン!

58: 2010/08/21(土) 20:18:47.17
梓「……」ガタガタ

梓「し、氏んだ……絶対氏んだ……」ブルブル

唯「……あずにゃん」

梓「……」ガタガタ

唯「あーずにゃん」

梓「……えっ?」

唯「よかった、無事みたいだね」

梓「へっ?」

唯「えへへ。私、ヒーローだから」

唯「トラックを片手で止めるなんて、お茶の子さいさい朝飯前なんだよ?」

59: 2010/08/21(土) 20:19:36.64
あれから
唯先輩にたくさんのありがとうとたくさんのごめんなさいを贈りました
唯先輩もそれと同じだけの笑顔を返してくれました
 
 
2ヶ月経った、今
唯先輩にはもうスーパーパワーはないようです
先輩曰わく「私の番はもう終わったからね」とのことですがよくわかりません
 
 
でも
スーパーパワーはなくとも唯先輩は紛れもなくヒーローです
だって私は先輩に救われたことをこれからもずーっとずっと忘れることはないんですから

ちなみに
今でも唯先輩の趣味は、世界平和だそうです

60: 2010/08/21(土) 20:20:28.72
おしまい

61: 2010/08/21(土) 20:21:17.15
ほのぼのしてて良かった。
乙。

62: 2010/08/21(土) 20:52:00.35
マジで持ってたんだな
可愛かった、乙

けいおんSSで「トラック」って単語が出る度に吹くんだけど変じゃないよね?普通だよね?

63: 2010/08/21(土) 21:31:56.56
唯がヒーローってなんかしっくりきた

引用元: 唯「趣味? もちろん世界平和だよ!」