1: 2010/09/20(月) 20:45:31.96
始まりは秋の終わりが近付く、ある日の昼休み
憂「そう言えば、もうすぐ梓ちゃんのお誕生日だね」
私の誕生日は11月11日
梓「えっと、再来週かな?」
純「ふーん、それじゃ梓、ドーナツ一口食べる?」
…ドーナツ一口
思わずお弁当を食べる箸を休めて、純の顔をジト目で見てしまう
梓「あんた、それで終わりにするつもりでしょ?」
私の視線を感じても一向に動じる様子もない純が真顔で一言
純「バレたか」
梓「おい!」
純「冗談じゃん!」
梓「純が言うと、冗談に聞こえないんだよ」
憂「そう言えば、もうすぐ梓ちゃんのお誕生日だね」
私の誕生日は11月11日
梓「えっと、再来週かな?」
純「ふーん、それじゃ梓、ドーナツ一口食べる?」
…ドーナツ一口
思わずお弁当を食べる箸を休めて、純の顔をジト目で見てしまう
梓「あんた、それで終わりにするつもりでしょ?」
私の視線を感じても一向に動じる様子もない純が真顔で一言
純「バレたか」
梓「おい!」
純「冗談じゃん!」
梓「純が言うと、冗談に聞こえないんだよ」
前回
梓「今の私の幸せは憂とのキス3回分」~秋想奏
2: 2010/09/20(月) 20:47:14.00
相変わらず私と純の息はピッタリだ
まるで漫才コンビだよ、まったく
そんな私達を、いつもの穏やかな微笑みで見守る憂
その微笑みを見るだけで、私も幸せになってくるよ
実は…私は憂と3回キスを交わした事があったりする
最初は夏の終わりのある日
ほんの些細な出来事から、壊れそうになった私を憂が救ってくれたあの日
あの時のキスは憂からの「素直になれるおまじない」
2回目は、まだほんの少し前の秋の日
小さな教会の礼拝堂で、続くはずの無い永遠を誓った私からの少し切ないキス
まるで漫才コンビだよ、まったく
そんな私達を、いつもの穏やかな微笑みで見守る憂
その微笑みを見るだけで、私も幸せになってくるよ
実は…私は憂と3回キスを交わした事があったりする
最初は夏の終わりのある日
ほんの些細な出来事から、壊れそうになった私を憂が救ってくれたあの日
あの時のキスは憂からの「素直になれるおまじない」
2回目は、まだほんの少し前の秋の日
小さな教会の礼拝堂で、続くはずの無い永遠を誓った私からの少し切ないキス
3: 2010/09/20(月) 20:48:14.00
3回目は同じ秋の日
「人の幸せの数え方」を聞いた私に「大好きな人と交わしたキスの回数」と答えた憂からの私の幸せを増やしてくれたキス
そんな素敵すぎる光景を思い出しながら、思わず憂に見とれてしまう私
純「ねぇ、梓?あんたさっきからなんで憂の顔をよだれを垂らしそうな勢いで見つめてる訳?」
梓「え?」
…思わず本当によだれが出てないか確かめてしまったじゃないか
純「まさかあんた、お弁当だけじゃ足りなくて憂を食べる気?」
…おい!
憂「私、梓ちゃんに食べられちゃうの?」
…こらこら、憂まで
「人の幸せの数え方」を聞いた私に「大好きな人と交わしたキスの回数」と答えた憂からの私の幸せを増やしてくれたキス
そんな素敵すぎる光景を思い出しながら、思わず憂に見とれてしまう私
純「ねぇ、梓?あんたさっきからなんで憂の顔をよだれを垂らしそうな勢いで見つめてる訳?」
梓「え?」
…思わず本当によだれが出てないか確かめてしまったじゃないか
純「まさかあんた、お弁当だけじゃ足りなくて憂を食べる気?」
…おい!
憂「私、梓ちゃんに食べられちゃうの?」
…こらこら、憂まで
4: 2010/09/20(月) 20:51:27.93
純「まっ、梓の気持ちも分かるけどね。憂って美味しそうだもんねぇ」
…ニヤニヤ笑いを浮かべながら、なんて事を言い出すのかな、純?
いやらしい意味で言ってるのなら、いくら親友でも容赦しないぞ!
憂「そうなの?でも、純ちゃんには食べさせてあげない」
それは…可愛すぎるよ、憂
純「フラれたっ!でも、梓になら食べられちゃってもいい訳?」
まだ言うか、この子は…
憂「梓ちゃんは私の事、食べたいの?」
瞳うるうるの儚い表情、切ない声音
って、なにその技?そんな技をいつの間に…
…ニヤニヤ笑いを浮かべながら、なんて事を言い出すのかな、純?
いやらしい意味で言ってるのなら、いくら親友でも容赦しないぞ!
憂「そうなの?でも、純ちゃんには食べさせてあげない」
それは…可愛すぎるよ、憂
純「フラれたっ!でも、梓になら食べられちゃってもいい訳?」
まだ言うか、この子は…
憂「梓ちゃんは私の事、食べたいの?」
瞳うるうるの儚い表情、切ない声音
って、なにその技?そんな技をいつの間に…
5: 2010/09/20(月) 20:53:02.26
あまりの憂の可愛さに思わず硬直
そんな私を見て、ちょっぴり満足げな雰囲気を称えた憂が、いつもの優しい微笑みに戻って告げる
憂「エヘヘ、冗談はこれくらいにしておいて」
…はい、もうこれ以上は限界
よだれどころか、鼻血が出て無いか心配だよ
憂「梓ちゃんは何か欲しいお誕生日プレゼントはあるかな?」
梓「そんなの考えるまでもないよ。私が欲しいのは憂だけ…今の私は他には何にもいらない」
なーんて乙女な願いが言えたら苦労はしないよ、まったく
そんな私を見て、ちょっぴり満足げな雰囲気を称えた憂が、いつもの優しい微笑みに戻って告げる
憂「エヘヘ、冗談はこれくらいにしておいて」
…はい、もうこれ以上は限界
よだれどころか、鼻血が出て無いか心配だよ
憂「梓ちゃんは何か欲しいお誕生日プレゼントはあるかな?」
梓「そんなの考えるまでもないよ。私が欲しいのは憂だけ…今の私は他には何にもいらない」
なーんて乙女な願いが言えたら苦労はしないよ、まったく
6: 2010/09/20(月) 20:54:38.07
ふむ、あまり高価な物をおねだりするのも悪いし、どうしようかな?
…おや?ドーナツをくわえた状態で純が固まってる
喉でも詰まったか、親友?
純「…梓、あんたって大胆」
梓「え?何が?」
そんな私の疑問は、ちょっぴり苦笑いを浮かべた憂の一言で解明する
憂「また声に出てたよ、梓ちゃん」
…まっ、またやってしまったのね、私っ!
この悪い癖だけはなんとかならないのかな、まったく
…おや?ドーナツをくわえた状態で純が固まってる
喉でも詰まったか、親友?
純「…梓、あんたって大胆」
梓「え?何が?」
そんな私の疑問は、ちょっぴり苦笑いを浮かべた憂の一言で解明する
憂「また声に出てたよ、梓ちゃん」
…まっ、またやってしまったのね、私っ!
この悪い癖だけはなんとかならないのかな、まったく
7: 2010/09/20(月) 20:56:57.95
取り敢えず…ごまかそう、私っ!
梓「じょ、冗談だよ、冗談。ほら、よく少女漫画なんかであるじゃん『お前が欲しいぜ、キリッ!』みたいな」
純「…なんか冗談には聞こえなかったんだけど」
うっ!純のジト目が痛い…
梓「あ、あるよね、憂?」
憂「え?」
流石の憂でも動揺を隠せないムチャ振り
…ごめん、憂
憂「そ、そうだね、あるよね。もう、梓ちゃんてば、冗談がすぎるよ」
手で軽く、いわゆる「なんでやねん!」な仕草をする憂
…そんな仕草すら可愛いなんて、どこまで可愛ければ気が済むんだろう
梓「じょ、冗談だよ、冗談。ほら、よく少女漫画なんかであるじゃん『お前が欲しいぜ、キリッ!』みたいな」
純「…なんか冗談には聞こえなかったんだけど」
うっ!純のジト目が痛い…
梓「あ、あるよね、憂?」
憂「え?」
流石の憂でも動揺を隠せないムチャ振り
…ごめん、憂
憂「そ、そうだね、あるよね。もう、梓ちゃんてば、冗談がすぎるよ」
手で軽く、いわゆる「なんでやねん!」な仕草をする憂
…そんな仕草すら可愛いなんて、どこまで可愛ければ気が済むんだろう
9: 2010/09/20(月) 20:59:14.45
純「…まぁ、そういう事にしといてあげるわ」
なんとかごまかせたような、ダメなような
覆水盆に返らず、忘れよう…
純「ホント、梓を見てると飽きないわ。さってと、そろそろ午後の授業の準備でもしますかね」
自分の席へと戻って行く純を見て、お弁当箱を片付け終わった憂が私にこっそり耳打ちする
憂「いいよ…梓ちゃんなら」
ちょっぴり頬を赤く染めて、はにかむ憂
かっ、可愛すぎるっ!
神様、あなたはなんて存在をこの世に遣わしてしまったんだっ!!
なんとかごまかせたような、ダメなような
覆水盆に返らず、忘れよう…
純「ホント、梓を見てると飽きないわ。さってと、そろそろ午後の授業の準備でもしますかね」
自分の席へと戻って行く純を見て、お弁当箱を片付け終わった憂が私にこっそり耳打ちする
憂「いいよ…梓ちゃんなら」
ちょっぴり頬を赤く染めて、はにかむ憂
かっ、可愛すぎるっ!
神様、あなたはなんて存在をこの世に遣わしてしまったんだっ!!
11: 2010/09/20(月) 21:00:25.03
もう気分はKnockin'on The Heaven's Door!!
私はノンストップ高速弾き状態
もし本当に弾いてたら、ワンコーラスでは無くワンフレーズ!でムスタングの弦を全て消耗しきる勢いです
乙女の妄想は天井知らずだ
秋と言えば温泉!
紅葉の綺麗な山間の、露天風呂のあるどこかひなびた感じの雰囲気のある温泉なんかいいんじゃないかな?
二人っきりのバースデー温泉旅行…うーっ、いいっ!いいよっ!
誕生日まではまだ少し時間はあるし、今夜から毎晩弾き語りに回ってお財布を元気にしてだね…
私はノンストップ高速弾き状態
もし本当に弾いてたら、ワンコーラスでは無くワンフレーズ!でムスタングの弦を全て消耗しきる勢いです
乙女の妄想は天井知らずだ
秋と言えば温泉!
紅葉の綺麗な山間の、露天風呂のあるどこかひなびた感じの雰囲気のある温泉なんかいいんじゃないかな?
二人っきりのバースデー温泉旅行…うーっ、いいっ!いいよっ!
誕生日まではまだ少し時間はあるし、今夜から毎晩弾き語りに回ってお財布を元気にしてだね…
12: 2010/09/20(月) 21:02:23.26
梓「やってやるですっ!」@青春の握り拳っ
…あ、あれ?今度は憂がさっきの純状態?ま、まさか
梓「マ、マタヤッチャッタノカナ、ワタシ?」
形の良い眉を少しハの字にして、苦笑しながら憂が告げる
憂「え、えっとね『やってやるです』だけ、かな」
取り敢えずバースデー温泉旅行計画はバレてないみたいだ
良かった…って、待て待て待てっ!
今の一連の流れの言葉だけを並べると…
「欲しいのは憂だけ」
「いいよ…梓ちゃんなら」
「やってやるです!」
…げっ、下品っ!下品だよ、私っ!?
…あ、あれ?今度は憂がさっきの純状態?ま、まさか
梓「マ、マタヤッチャッタノカナ、ワタシ?」
形の良い眉を少しハの字にして、苦笑しながら憂が告げる
憂「え、えっとね『やってやるです』だけ、かな」
取り敢えずバースデー温泉旅行計画はバレてないみたいだ
良かった…って、待て待て待てっ!
今の一連の流れの言葉だけを並べると…
「欲しいのは憂だけ」
「いいよ…梓ちゃんなら」
「やってやるです!」
…げっ、下品っ!下品だよ、私っ!?
13: 2010/09/20(月) 21:03:53.36
慌てて釈明しようとする私だけど…
梓「あ、あのね、憂?」
しかしながら、そんな私の心を知ってか知らずか
憂「わ、私もそろそろ授業の準備をしないと。まっ、また後でね、梓ちゃん」
そそくさと私の前から立ち去ろうとする憂
にゃあああああああっ、ひっ、一人にしないでぇ
…終わった、何もかも終わった
わがままなのに臆病な私が、それでもほんの少しの勇気を振り絞って積み上げてきた全てが…
机に突っ伏した私…しかし、すぐ側には小さく笑いを噛み頃す気配と、あの甘い香り…憂の香り
梓「あ、あのね、憂?」
しかしながら、そんな私の心を知ってか知らずか
憂「わ、私もそろそろ授業の準備をしないと。まっ、また後でね、梓ちゃん」
そそくさと私の前から立ち去ろうとする憂
にゃあああああああっ、ひっ、一人にしないでぇ
…終わった、何もかも終わった
わがままなのに臆病な私が、それでもほんの少しの勇気を振り絞って積み上げてきた全てが…
机に突っ伏した私…しかし、すぐ側には小さく笑いを噛み頃す気配と、あの甘い香り…憂の香り
14: 2010/09/20(月) 21:05:00.19
恐る恐る顔を上げると、そこには立ち去っていなかった憂が悪戯な微笑みを浮かべていたりする…イジワル
複雑な表情を浮かべる私を見て、いつもの柔らかい微笑みに戻った憂は
憂「温泉、楽しみだね」
そう囁いて、今度こそ本当に自分の席に戻って行った
予鈴が鳴る中で、大きな安堵感と、それ以上の疑問に駆られる私
梓「ホントはどこまで口に出してたの、私?」
もし憂に私の心の声が本当に聞こえるのなら…伝えたい言葉は一つだけ
「大好きだよ」
ねぇ、聞こえたかな…憂?
複雑な表情を浮かべる私を見て、いつもの柔らかい微笑みに戻った憂は
憂「温泉、楽しみだね」
そう囁いて、今度こそ本当に自分の席に戻って行った
予鈴が鳴る中で、大きな安堵感と、それ以上の疑問に駆られる私
梓「ホントはどこまで口に出してたの、私?」
もし憂に私の心の声が本当に聞こえるのなら…伝えたい言葉は一つだけ
「大好きだよ」
ねぇ、聞こえたかな…憂?
16: 2010/09/20(月) 21:09:09.62
『この一週間というもの、我が愛しの娘は忙しい』
学校から帰って食事を終えると、ギターを抱えて慌ただしくて家を飛び出して行く日々
今日も今日とて
梓「母さん、行ってくるよー」
娘が夜な夜な街の盛り場を流すのが、気にならないのかって?
特別心配はしてない、何故なら私も梓の年の頃には、同じようにギターを抱えて毎夜ジャズクラブを流していたものだ
それに娘大好き過保護な父親が、いつも一緒なのもお見通し
母「田楽クンも本望よね、うん」
梓「…田楽クンはやめてくれないかな。テンションが下がるよ」
学校から帰って食事を終えると、ギターを抱えて慌ただしくて家を飛び出して行く日々
今日も今日とて
梓「母さん、行ってくるよー」
娘が夜な夜な街の盛り場を流すのが、気にならないのかって?
特別心配はしてない、何故なら私も梓の年の頃には、同じようにギターを抱えて毎夜ジャズクラブを流していたものだ
それに娘大好き過保護な父親が、いつも一緒なのもお見通し
母「田楽クンも本望よね、うん」
梓「…田楽クンはやめてくれないかな。テンションが下がるよ」
17: 2010/09/20(月) 21:10:09.81
因みに田楽クンとは、梓の背負っているアコースティックギターの愛称
命名は私、元々は私の相棒だったものを、今は梓が受け継いでいる
なかなか筋の良い名器の部類に入る逸品
しかし、普通ジャズでギターと言えばウッドベースを除けば、歌い手が爪弾く程度に持つものだけど…
残念なから私の歌い手としての才能は、我が愛しの娘には伝わらなかったみたい
それでもストリングスのみでステージを保たせる腕は素直に感心したりもする
いや、我が愛しのハズにして、無類のジャズ馬鹿が黙って見てる訳がないか
命名は私、元々は私の相棒だったものを、今は梓が受け継いでいる
なかなか筋の良い名器の部類に入る逸品
しかし、普通ジャズでギターと言えばウッドベースを除けば、歌い手が爪弾く程度に持つものだけど…
残念なから私の歌い手としての才能は、我が愛しの娘には伝わらなかったみたい
それでもストリングスのみでステージを保たせる腕は素直に感心したりもする
いや、我が愛しのハズにして、無類のジャズ馬鹿が黙って見てる訳がないか
18: 2010/09/20(月) 21:11:25.12
母「で、我が愛しのハズは今日も勝手にトラかしら?」
トラとは助っ人の事ね
梓「うん、アルトサックスじゃなくて、トロンボーンだけどね」
…新境地開拓か、旦那様?
母「ボントロ?まともに吹けてるのかしら」
梓「素直に答えようか?」
母「そうね、少しだけ甘めに採点して上げて。武士の情けよ」
私の言葉に笑顔を浮かべる梓…いい顔をするようになったものだわ
梓「贔屓目抜きにしても、我が父ながら惚れ惚れする演奏振りだよ」
それは素晴らしい
梓「母さんのお目の高さには太鼓判を押してあげるよ」
トラとは助っ人の事ね
梓「うん、アルトサックスじゃなくて、トロンボーンだけどね」
…新境地開拓か、旦那様?
母「ボントロ?まともに吹けてるのかしら」
梓「素直に答えようか?」
母「そうね、少しだけ甘めに採点して上げて。武士の情けよ」
私の言葉に笑顔を浮かべる梓…いい顔をするようになったものだわ
梓「贔屓目抜きにしても、我が父ながら惚れ惚れする演奏振りだよ」
それは素晴らしい
梓「母さんのお目の高さには太鼓判を押してあげるよ」
19: 2010/09/20(月) 21:13:08.19
母「それは光栄の至りね。でも、それ程なら小さなジャズバーには勿体ないわね」
梓「それなら問題ないよ。今日はバ@ランドだし」
…キャパ100オーバーのこの辺りでは最大級のジャズクラブじゃない
私を除け者にしてこの父娘は…
梓「因みに今日は特別。私のツアー最終日というお題目で、ウッドベースとピアノとドラムのお供付きだからね」
母「…それってまさか?」
私の疑問に苦笑いを浮かべる梓
梓「想像通りかな?母さんのバンドメンバー勢揃い」
母「男共は年増女より、若い娘って訳か…」
梓「それなら問題ないよ。今日はバ@ランドだし」
…キャパ100オーバーのこの辺りでは最大級のジャズクラブじゃない
私を除け者にしてこの父娘は…
梓「因みに今日は特別。私のツアー最終日というお題目で、ウッドベースとピアノとドラムのお供付きだからね」
母「…それってまさか?」
私の疑問に苦笑いを浮かべる梓
梓「想像通りかな?母さんのバンドメンバー勢揃い」
母「男共は年増女より、若い娘って訳か…」
20: 2010/09/20(月) 21:14:36.42
梓「中野梓クインテットかな」
苦笑いもいい顔をするようになったわ
娘なんてほっといても勝手に大人になるのよね
母「…あなたも随分大人になったわね」
梓「そうかな?」
正に輝くような笑顔
ふむ、我が男共がメロメロになる訳だわ
母「もっとも、あまり成長してない部分もあるみたいだけどね」
主に胸の辺り、ね
梓「…夫婦揃って全く同じ事を言うなんて」
こうして膨れっ面をすると、まだまだあどけなさの残る女の子に戻ってしまうけど
因みにこの夜のステージは大成功だったらしい
あぁ悔しい
苦笑いもいい顔をするようになったわ
娘なんてほっといても勝手に大人になるのよね
母「…あなたも随分大人になったわね」
梓「そうかな?」
正に輝くような笑顔
ふむ、我が男共がメロメロになる訳だわ
母「もっとも、あまり成長してない部分もあるみたいだけどね」
主に胸の辺り、ね
梓「…夫婦揃って全く同じ事を言うなんて」
こうして膨れっ面をすると、まだまだあどけなさの残る女の子に戻ってしまうけど
因みにこの夜のステージは大成功だったらしい
あぁ悔しい
22: 2010/09/20(月) 21:16:01.55
『私には、特別な人が二人いる』
好きと言う言葉で表すなら、私は私に関わる全ての人が好き
だから、特別な人
一人はもちろんお姉ちゃん、私が生まれた時からずっと一緒の特別な人
そして今、私はいつもの待合わせ場所で、もう一人の特別な人を待っている
土曜の午後の幸せ時間
梓「ごめーん、お待たせ」
小さな身体にギターケースを背負って駆けてくる姿が愛しくて、思わず抱き締めたくなっちゃう
憂「今日は時間通りだよ、梓ちゃん」
梓「『今日は』の所に少し毒を感じるんだけど…」
好きと言う言葉で表すなら、私は私に関わる全ての人が好き
だから、特別な人
一人はもちろんお姉ちゃん、私が生まれた時からずっと一緒の特別な人
そして今、私はいつもの待合わせ場所で、もう一人の特別な人を待っている
土曜の午後の幸せ時間
梓「ごめーん、お待たせ」
小さな身体にギターケースを背負って駆けてくる姿が愛しくて、思わず抱き締めたくなっちゃう
憂「今日は時間通りだよ、梓ちゃん」
梓「『今日は』の所に少し毒を感じるんだけど…」
23: 2010/09/20(月) 21:17:10.35
このちょっぴりホッペを膨らませる表情が可愛くて、つい意地悪をしてしまう
もしかして、性格悪い子なのかな私って?
梓「えーっと」
いきなり挙動不信な梓ちゃん
周囲を見渡す姿が小動物みたいで…可愛すぎるよ
憂「どうしたの、梓ちゃん?」
梓「あ、何でもないの。気にしないで」
ふむ、どうやら誰にも知られたくないナイショのお話があるのかな?
憂「変な梓ちゃん」
ホントはもう大体梓ちゃんの考えてる事が分かっちゃったけど、ここは知らないフリをしてあげよう
もしかして、性格悪い子なのかな私って?
梓「えーっと」
いきなり挙動不信な梓ちゃん
周囲を見渡す姿が小動物みたいで…可愛すぎるよ
憂「どうしたの、梓ちゃん?」
梓「あ、何でもないの。気にしないで」
ふむ、どうやら誰にも知られたくないナイショのお話があるのかな?
憂「変な梓ちゃん」
ホントはもう大体梓ちゃんの考えてる事が分かっちゃったけど、ここは知らないフリをしてあげよう
24: 2010/09/20(月) 21:18:37.31
梓「あのさ、この間ちょっと素敵な喫茶店を見つけたんだよ。良かったら行ってみない?」
憂「うん、いいよ」
いつものファーストフード店では無く、少し離れた喫茶店に移動
いつものお店じゃ、誰が来るか分からないから落ち着かないんだね
…でも、いくら要件が分かっちゃってるとはいえ、そこまで緊張されるとなんだか私もドキドキだよ
梓「ここだよ」
憂「へぇー、この辺りにこんな素敵なお店があったんだ」
…実は知ってたりするのはナイショ
憂「うん、いいよ」
いつものファーストフード店では無く、少し離れた喫茶店に移動
いつものお店じゃ、誰が来るか分からないから落ち着かないんだね
…でも、いくら要件が分かっちゃってるとはいえ、そこまで緊張されるとなんだか私もドキドキだよ
梓「ここだよ」
憂「へぇー、この辺りにこんな素敵なお店があったんだ」
…実は知ってたりするのはナイショ
25: 2010/09/20(月) 21:19:42.35
お店に入ると梓ちゃんは迷わず一番奥のテーブルへ一直線
そこまで警戒しなくても、大丈夫じゃないかな?少し苦笑い
梓「ここって珍しいコーヒー豆も取り揃えてるから、良かったらおススメを教えようか?」
テーブルに着いた梓ちゃんは、メニューを手にしてやっと落ち着いた雰囲気
ふふっ、そんな梓ちゃんを見てるとなんだか悪戯心が沸いてきちゃうから不思議
やっぱり私はちょっぴり悪い子だね
憂「ねぇ、梓ちゃん。良かったら私に注文させてもらえないかな?」
梓「え?別にいいけど…」
そこまで警戒しなくても、大丈夫じゃないかな?少し苦笑い
梓「ここって珍しいコーヒー豆も取り揃えてるから、良かったらおススメを教えようか?」
テーブルに着いた梓ちゃんは、メニューを手にしてやっと落ち着いた雰囲気
ふふっ、そんな梓ちゃんを見てるとなんだか悪戯心が沸いてきちゃうから不思議
やっぱり私はちょっぴり悪い子だね
憂「ねぇ、梓ちゃん。良かったら私に注文させてもらえないかな?」
梓「え?別にいいけど…」
26: 2010/09/20(月) 21:22:38.57
では「女の子の魔法」を披露しましょう
憂「すいません。グァテマラ・ジェニュイン・アンティグアを二つお願いします」
カウンターの中のマスターが了解を告げて、コーヒーを抽出する作業に入る
そして梓ちゃんは、いつもの唖然とした表情
正解でしょ?
梓「…ねぇ、憂?」
憂「ん?なにかな」
唖然とした表情から一転して、真剣なまなざしの梓ちゃん
うん、そんな表情も凛々しくて素敵だよ
憂「すいません。グァテマラ・ジェニュイン・アンティグアを二つお願いします」
カウンターの中のマスターが了解を告げて、コーヒーを抽出する作業に入る
そして梓ちゃんは、いつもの唖然とした表情
正解でしょ?
梓「…ねぇ、憂?」
憂「ん?なにかな」
唖然とした表情から一転して、真剣なまなざしの梓ちゃん
うん、そんな表情も凛々しくて素敵だよ
27: 2010/09/20(月) 21:24:10.80
梓「前から思ってたんだけど…もしかして、憂には私の心の声が聞こえるの?」
憂「そうだね、それは半分正解で半分ハズレ、かな」
今度は驚きと困惑が入り交じった表情
梓「えっと、つまりどういう事なのかな?」
憂「ナ・イ・シ・ョ」
梓「…憂のイジワル」
憂「エヘヘ、いつか教えてあげるよ。でも今はまだダメ」
梓「いつならいいの?」
憂「…梓ちゃんが私を本当の特別に想ってくれた日、かな」
憂「そうだね、それは半分正解で半分ハズレ、かな」
今度は驚きと困惑が入り交じった表情
梓「えっと、つまりどういう事なのかな?」
憂「ナ・イ・シ・ョ」
梓「…憂のイジワル」
憂「エヘヘ、いつか教えてあげるよ。でも今はまだダメ」
梓「いつならいいの?」
憂「…梓ちゃんが私を本当の特別に想ってくれた日、かな」
29: 2010/09/20(月) 21:33:01.55
『本当の特別』
憂のその言葉の重さは、以前の私には分からなかった、と思う
でも、今の私になら理解出来る気がする
私の「大好き」では、憂には足りないんだね…
もちろん私にだって反論したい気持ちはある
それでも、その言葉に憂の私への想いが込められている気がして…安い反駁はしたくない
だから、私に言える言葉は一つだけ
梓「…ごめん、憂」
少し情けないけど、他にこの想いを表す言葉が見つからないから
ねぇ、憂。半分でもいいから、今の私の心の声が聞こえてるかな?
憂のその言葉の重さは、以前の私には分からなかった、と思う
でも、今の私になら理解出来る気がする
私の「大好き」では、憂には足りないんだね…
もちろん私にだって反論したい気持ちはある
それでも、その言葉に憂の私への想いが込められている気がして…安い反駁はしたくない
だから、私に言える言葉は一つだけ
梓「…ごめん、憂」
少し情けないけど、他にこの想いを表す言葉が見つからないから
ねぇ、憂。半分でもいいから、今の私の心の声が聞こえてるかな?
30: 2010/09/20(月) 21:35:09.93
『それは正直予想してなかった言葉』
反論でも反駁でも無い、それは不器用だけどまっすぐな想いが伝わる言葉
梓ちゃんが本当の私を見ていない悔しさは消えていないけど…それは私にも責任がある
だから、今はその言葉だけで充分
いいよ、私を梓ちゃんにあげる
そんな想いを隠して、私はいつものように微笑む
ちょうどタイミングよくマスターが運んでくれた二つのコーヒーカップから立ち上ぼるほろ苦い焙煎の香りが、自然に私達の間の空気を変えてくれた
憂「それで、今日のご用は何かな?梓ちゃん」
反論でも反駁でも無い、それは不器用だけどまっすぐな想いが伝わる言葉
梓ちゃんが本当の私を見ていない悔しさは消えていないけど…それは私にも責任がある
だから、今はその言葉だけで充分
いいよ、私を梓ちゃんにあげる
そんな想いを隠して、私はいつものように微笑む
ちょうどタイミングよくマスターが運んでくれた二つのコーヒーカップから立ち上ぼるほろ苦い焙煎の香りが、自然に私達の間の空気を変えてくれた
憂「それで、今日のご用は何かな?梓ちゃん」
31: 2010/09/20(月) 21:36:22.04
梓「えっと、ら、来週なんだけど」
憂「来週?梓ちゃんのお誕生日のことかな」
梓「それとは別と言うか、別じゃないと言うか…」
自分を落ち着けるように、コーヒーを一口喫んだ梓ちゃんが意を決したように告げる
梓「来週の土日なんだけど、憂は何か予定ある?」
予想はしてたけど、いざとなるとちょっぴり照れるね
憂「んー、特別予定はないかな」
梓「そ、そっか…そ、そう言えば、そろそろ、こっ、紅葉が綺麗な季節だよねっ、うん」
棒読み…なんだか、面白すぎるよ、梓ちゃん
憂「来週?梓ちゃんのお誕生日のことかな」
梓「それとは別と言うか、別じゃないと言うか…」
自分を落ち着けるように、コーヒーを一口喫んだ梓ちゃんが意を決したように告げる
梓「来週の土日なんだけど、憂は何か予定ある?」
予想はしてたけど、いざとなるとちょっぴり照れるね
憂「んー、特別予定はないかな」
梓「そ、そっか…そ、そう言えば、そろそろ、こっ、紅葉が綺麗な季節だよねっ、うん」
棒読み…なんだか、面白すぎるよ、梓ちゃん
32: 2010/09/20(月) 21:38:30.95
憂「そうだね、いい季節だよね」
梓「だ、だよね!」
あせあせ梓ちゃんも見てて飽きないけど、少し助け船を出してあげようかな
憂「一緒に見に行けたらきっと素敵だよね」
梓「ほっ、本当に?」
憂「うん」
梓「それじゃ一緒に行こっか?」
憂「いいけど、土日ということは泊まりがけでって事かな?」
梓「…やっぱりマズいよね」
おやおや、今度はがっかり梓ちゃん
今日は色んな梓ちゃんが見れる素敵な日だね
梓「だ、だよね!」
あせあせ梓ちゃんも見てて飽きないけど、少し助け船を出してあげようかな
憂「一緒に見に行けたらきっと素敵だよね」
梓「ほっ、本当に?」
憂「うん」
梓「それじゃ一緒に行こっか?」
憂「いいけど、土日ということは泊まりがけでって事かな?」
梓「…やっぱりマズいよね」
おやおや、今度はがっかり梓ちゃん
今日は色んな梓ちゃんが見れる素敵な日だね
33: 2010/09/20(月) 21:39:32.66
憂「いいよ」
梓「…ほ、本当にいいの?」
憂「うん。もしかして前に話した温泉?」
梓「実はちょうどいい山間の宿があってさ、憂さえ良ければどうかな?」
最初の一歩さえ踏み出せば、後はアグレッシブ梓ちゃん
話はとんとん拍子で進む
憂「因みにみんなにはナイショかな?」
一瞬の逡巡を経て、それでも迷いの無い答え
梓「ううん、別にコソコソしなきゃいけない話でも無いし」
ここに来るまではかなりコソコソしてたような…ちょっぴり苦笑い
梓「それに唯先輩に内緒で、憂が出かけるのは無理でしょ」
梓「…ほ、本当にいいの?」
憂「うん。もしかして前に話した温泉?」
梓「実はちょうどいい山間の宿があってさ、憂さえ良ければどうかな?」
最初の一歩さえ踏み出せば、後はアグレッシブ梓ちゃん
話はとんとん拍子で進む
憂「因みにみんなにはナイショかな?」
一瞬の逡巡を経て、それでも迷いの無い答え
梓「ううん、別にコソコソしなきゃいけない話でも無いし」
ここに来るまではかなりコソコソしてたような…ちょっぴり苦笑い
梓「それに唯先輩に内緒で、憂が出かけるのは無理でしょ」
34: 2010/09/20(月) 21:40:59.16
さっきの一瞬の逡巡はこれか…でもね、今の私は梓ちゃんのためにここにいるんだよ
それでも気遣いには感謝だよ
憂「たまにはお姉ちゃんにもお留守番してもらうよ」
梓「だね」
なぜか二人笑ってしまう。お姉ちゃんは私達の笑顔の素
梓「純には私が今夜にでも電話しておくよ」
憂「むくれないかな、純ちゃん?」
梓「お土産に温泉たまごでも買ってくれば大丈夫だよ」
また笑ってしまう。純ちゃんも私達の笑顔の素だ
話も決まったし、そろそろ帰ってお姉ちゃんのご飯の準備かな
うん、今夜は少し豪勢にしてあげよう
それでも気遣いには感謝だよ
憂「たまにはお姉ちゃんにもお留守番してもらうよ」
梓「だね」
なぜか二人笑ってしまう。お姉ちゃんは私達の笑顔の素
梓「純には私が今夜にでも電話しておくよ」
憂「むくれないかな、純ちゃん?」
梓「お土産に温泉たまごでも買ってくれば大丈夫だよ」
また笑ってしまう。純ちゃんも私達の笑顔の素だ
話も決まったし、そろそろ帰ってお姉ちゃんのご飯の準備かな
うん、今夜は少し豪勢にしてあげよう
35: 2010/09/20(月) 21:44:07.29
『私はなーんにもする事がない』
だから、ベットで芋虫ゴーロゴロ
帰りに本屋にでも寄ってくれば良かった、なんて考えてたら携帯がお馴染みのコルトレーンのテナーサックスの音色を奏でる
梓を示す着メロだ
梓「私の着信はこれにしとこう」
純「…あんたギターじゃん」
梓「私は…ま、いいや。取り敢えず純に足りないのは聴く事だよ」
純「聴く事?」
梓「そっ。心臓が4ビートを奏でるまで聴いて聴いて聴きまくる!」
純「それって氏ぬんじゃない?」
梓「それで氏んだら本望、それがジャズマンよ」
だから、ベットで芋虫ゴーロゴロ
帰りに本屋にでも寄ってくれば良かった、なんて考えてたら携帯がお馴染みのコルトレーンのテナーサックスの音色を奏でる
梓を示す着メロだ
梓「私の着信はこれにしとこう」
純「…あんたギターじゃん」
梓「私は…ま、いいや。取り敢えず純に足りないのは聴く事だよ」
純「聴く事?」
梓「そっ。心臓が4ビートを奏でるまで聴いて聴いて聴きまくる!」
純「それって氏ぬんじゃない?」
梓「それで氏んだら本望、それがジャズマンよ」
36: 2010/09/20(月) 21:45:16.05
なんで私がジャズ研で、梓が軽音部なのやら
おっと、電話取るのを忘れてた
ついでに軽く前回のリベンジでもしてみるか
純「もっしもーし、寝てるよ」
梓「あっそ」
…切れたよ、おい
唖然としてると再度液晶が点灯、着メロが鳴る前に通話ON
純「なんで切るのよ」
梓「寝てるんなら邪魔しちゃ悪いじゃん」
純「じゃあ、なんでまたかけてくんのよ」
梓「やっぱりお話したい乙女心だよ。言わせないでよ、恥ずかしい」
…梓って自分が可愛いって自覚があんまり無いから、余計に質が悪い
おっと、電話取るのを忘れてた
ついでに軽く前回のリベンジでもしてみるか
純「もっしもーし、寝てるよ」
梓「あっそ」
…切れたよ、おい
唖然としてると再度液晶が点灯、着メロが鳴る前に通話ON
純「なんで切るのよ」
梓「寝てるんなら邪魔しちゃ悪いじゃん」
純「じゃあ、なんでまたかけてくんのよ」
梓「やっぱりお話したい乙女心だよ。言わせないでよ、恥ずかしい」
…梓って自分が可愛いって自覚があんまり無いから、余計に質が悪い
37: 2010/09/20(月) 21:47:05.21
純「…あんたって、絶対敵の多い人生歩むわ」
梓「そう?あんまり気にしないから、別にどうでもいいかな」
純「…冗談でしょ?」
梓「割と本気だったりするけど?」
…あんたって子は
梓「純は私の側にいてくれるんでしょ?」
純「はぁ?何を今更。だいたい、私がいないとあんたダメダメじゃん」
梓「だよね。だったらそれで充分だよ、親友」
純「…あんたの欠けっぷりは、私には刺激的すぎるわ」
梓「私の欠けてる部分を補うのが、純の役目だよ」
純「どんだけ重たい荷物を背負わすつもりよ?」
梓「そう?あんまり気にしないから、別にどうでもいいかな」
純「…冗談でしょ?」
梓「割と本気だったりするけど?」
…あんたって子は
梓「純は私の側にいてくれるんでしょ?」
純「はぁ?何を今更。だいたい、私がいないとあんたダメダメじゃん」
梓「だよね。だったらそれで充分だよ、親友」
純「…あんたの欠けっぷりは、私には刺激的すぎるわ」
梓「私の欠けてる部分を補うのが、純の役目だよ」
純「どんだけ重たい荷物を背負わすつもりよ?」
38: 2010/09/20(月) 21:48:40.25
梓「子泣きジジイになって、純を押し潰してやるですぅ」
純「はいはい。ちょっとは憂にも頼みなさいよね」
梓「大きなお世話ですぅ」
純「はいはい。まっ、私は簡単に潰れる程ヤワじゃないけどね」
梓「頼りにしてるよ、親友」
結局、梓の要件は週末に憂と温泉に行くから、お土産は温泉たまごでいいか、だって
純「まぁのんびりしてきなよ」
梓「あれ?恒例の『羨ましーい』は無し?」
純「私ってそんなに野暮なキャラだと思ってる訳?」
純「はいはい。ちょっとは憂にも頼みなさいよね」
梓「大きなお世話ですぅ」
純「はいはい。まっ、私は簡単に潰れる程ヤワじゃないけどね」
梓「頼りにしてるよ、親友」
結局、梓の要件は週末に憂と温泉に行くから、お土産は温泉たまごでいいか、だって
純「まぁのんびりしてきなよ」
梓「あれ?恒例の『羨ましーい』は無し?」
純「私ってそんなに野暮なキャラだと思ってる訳?」
39: 2010/09/20(月) 21:49:38.18
梓「そういうつもりじゃないよ、親友」
純「なら、許す!だいたいお茶飲み部と違ってジャズ研は日曜日も部活なのよ」
梓「ふっふっふ、来年には純にも、お茶飲み部の洗礼を浴びせたげるよ」
純「うーん、堕落した青春も悪くないか」
梓「あはは♪堕ちて行くのも幸せだよと、てね」
純「それもジャズ?」
梓「ハァ、やっぱ純に必要なのは聴くことだわ」
純「うっ!努力はしてるんだけど…」
梓「頑張れ、ジャズマン。あ、もうこんな時間か、夜中に長々とゴメンね、純」
純「なら、許す!だいたいお茶飲み部と違ってジャズ研は日曜日も部活なのよ」
梓「ふっふっふ、来年には純にも、お茶飲み部の洗礼を浴びせたげるよ」
純「うーん、堕落した青春も悪くないか」
梓「あはは♪堕ちて行くのも幸せだよと、てね」
純「それもジャズ?」
梓「ハァ、やっぱ純に必要なのは聴くことだわ」
純「うっ!努力はしてるんだけど…」
梓「頑張れ、ジャズマン。あ、もうこんな時間か、夜中に長々とゴメンね、純」
40: 2010/09/20(月) 21:50:55.85
純「暇してたから、ちょうど良かったよ。そんじゃオヤスミー」
梓「うん、おやすみ。今夜は私の夢を見てもいいよ」
純「…遠慮しとくわ」
梓「…寝るもん!」
…そんな電話の切り方するのは、あんたくらいだよ、梓
まっ、それが出来るのも親友なればこそだけどさ
それにしても、あんたが私に背負われる様なタマとは思えないけどねぇ
それでもいざって時は、背負ってあげるさ、親友
因みに後日、梓が歌ったのは沢田研二の歌だと判明
…やっぱり可愛くない!
梓「うん、おやすみ。今夜は私の夢を見てもいいよ」
純「…遠慮しとくわ」
梓「…寝るもん!」
…そんな電話の切り方するのは、あんたくらいだよ、梓
まっ、それが出来るのも親友なればこそだけどさ
それにしても、あんたが私に背負われる様なタマとは思えないけどねぇ
それでもいざって時は、背負ってあげるさ、親友
因みに後日、梓が歌ったのは沢田研二の歌だと判明
…やっぱり可愛くない!
41: 2010/09/20(月) 22:00:56.38
『11月11日』
いつもと変わらない放課後の軽音部
少し違うのは、憂と純の存在
お茶はムギ先輩のとっておきのフレーバー
お菓子は憂の手作りケーキ
今日ばかりは先輩方も受験勉強の手を休めて、賑やかなひととき
「誕生日おめでとう!」
因みにプレゼントは事前に辞退しておいた
代わりに用意されていたのは、HAPPY BIRTHDAYの生演奏
不器用な私には勿体ないくらいの17年間で最も幸せな誕生日だよ、うん
梓「ありがとう」
心からの感謝を込めて
いつもと変わらない放課後の軽音部
少し違うのは、憂と純の存在
お茶はムギ先輩のとっておきのフレーバー
お菓子は憂の手作りケーキ
今日ばかりは先輩方も受験勉強の手を休めて、賑やかなひととき
「誕生日おめでとう!」
因みにプレゼントは事前に辞退しておいた
代わりに用意されていたのは、HAPPY BIRTHDAYの生演奏
不器用な私には勿体ないくらいの17年間で最も幸せな誕生日だよ、うん
梓「ありがとう」
心からの感謝を込めて
42: 2010/09/20(月) 22:01:56.16
『僕は幸せを噛みしめている』
秋も深まる夜長、隣りには麗しの妻と愛しの娘
レコードプレイヤーが奏でるのは、トレーンのA LOVE SUPREME
グラスを満たすフォアローゼス
人生で他に何か必要なものがあるのだろうか
僕の知る限りでは、ちょっと見当もつかない
つまり、僕の人生は la vie en rose
それを証明する幸せな光景が今、僕の目の前では繰り広げられている
母「折角の誕生日なのに、本当にプレゼントはいらなかったの?」
梓「うん。私もいつまでも子供じゃないしね」
秋も深まる夜長、隣りには麗しの妻と愛しの娘
レコードプレイヤーが奏でるのは、トレーンのA LOVE SUPREME
グラスを満たすフォアローゼス
人生で他に何か必要なものがあるのだろうか
僕の知る限りでは、ちょっと見当もつかない
つまり、僕の人生は la vie en rose
それを証明する幸せな光景が今、僕の目の前では繰り広げられている
母「折角の誕生日なのに、本当にプレゼントはいらなかったの?」
梓「うん。私もいつまでも子供じゃないしね」
43: 2010/09/20(月) 22:02:58.52
…それは少し複雑だね
僕としてはまだまだ愛しの娘でいて欲しい
母「しかもバースデーケーキも私達の分まで頂き物だし」
梓「気が利くでしょ?」
母「憂ちゃんが、でしょ」
梓「細かいことは気にしない」
母「ふーん、随分余裕ね。愛しの憂姫との温泉旅行で気分は上々てところか」
梓「もしかして妬いてる?」
今夜は愛しの娘も負けてはいないね
さて、麗しの妻はどうするかな
母「幸せ娘には敵わないわ。私の負け」
意外と簡単に勝負がついた…なんて、甘く見てはいけないよ、我が愛しの娘よ
僕としてはまだまだ愛しの娘でいて欲しい
母「しかもバースデーケーキも私達の分まで頂き物だし」
梓「気が利くでしょ?」
母「憂ちゃんが、でしょ」
梓「細かいことは気にしない」
母「ふーん、随分余裕ね。愛しの憂姫との温泉旅行で気分は上々てところか」
梓「もしかして妬いてる?」
今夜は愛しの娘も負けてはいないね
さて、麗しの妻はどうするかな
母「幸せ娘には敵わないわ。私の負け」
意外と簡単に勝負がついた…なんて、甘く見てはいけないよ、我が愛しの娘よ
44: 2010/09/20(月) 22:04:00.04
母「でもね、梓。母親として、一つだけ忠告させてもらっていいかしら」
梓「…なに?」
母「いくら相手が憂姫でも、避妊はちゃんとしなさいよ」
梓「・・・は?」
唖然とする愛しの娘、実は僕も唖然としていたりする
我が麗しの妻よ、君は無敵だ
梓「…そろそろ寝ようかな」
母「あら、ほんの軽いジョークじゃない」
梓「笑えない、笑えない」
確かに笑えないだろうね…色々な意味で
梓「温泉にでもつかって、少し頭をほぐして来たら?もう少し面白いジョークが浮かぶかもしれないよ」
梓「…なに?」
母「いくら相手が憂姫でも、避妊はちゃんとしなさいよ」
梓「・・・は?」
唖然とする愛しの娘、実は僕も唖然としていたりする
我が麗しの妻よ、君は無敵だ
梓「…そろそろ寝ようかな」
母「あら、ほんの軽いジョークじゃない」
梓「笑えない、笑えない」
確かに笑えないだろうね…色々な意味で
梓「温泉にでもつかって、少し頭をほぐして来たら?もう少し面白いジョークが浮かぶかもしれないよ」
45: 2010/09/20(月) 22:06:45.34
母「いいわね。でも私は誰かさんと違って、温泉に招待してくれるような素敵な人がいないのよねぇ」
梓「素敵な人じゃなくても良かったら、招待してあげるよ、はい」
母「え?」
我が愛しの娘が手渡したのは可愛い封筒
中身が二名様分の往復交通券と温泉旅館の宿泊案内なのは、僕は先刻承知している
梓「旅の相手は隣りに座ってる素敵な殿方にお願いしてね。それじゃおやすみなさい」
立ち去る後ろ姿も実に素敵だ
梓「あ痛っ!」
…フォアローゼスと言う名の麦茶の影響で、よろけて壁にぶつからなければ完璧だったね
梓「素敵な人じゃなくても良かったら、招待してあげるよ、はい」
母「え?」
我が愛しの娘が手渡したのは可愛い封筒
中身が二名様分の往復交通券と温泉旅館の宿泊案内なのは、僕は先刻承知している
梓「旅の相手は隣りに座ってる素敵な殿方にお願いしてね。それじゃおやすみなさい」
立ち去る後ろ姿も実に素敵だ
梓「あ痛っ!」
…フォアローゼスと言う名の麦茶の影響で、よろけて壁にぶつからなければ完璧だったね
46: 2010/09/20(月) 22:07:43.16
『し、失敗した』
梓「…まさか最後の最後に壁に激突するなんて」
実に決まらないのが、逆に私らしくておかしくてたまらない
梓「だけど、誕生日に自分を産んでくれた両親にお礼をするのって当然じゃないかな?」
ベットに寝転がりながら、そんな事を考えられるようになった自分にちょっぴり不思議な感慨を抱いたりする
梓「17歳の私は、どんな私なのかな」
なんて乙女な想いに浸ろうとするのを邪魔するかのように、部屋のドアがノック音を奏でる
梓「はいはい」
はい、は一回!
梓「…まさか最後の最後に壁に激突するなんて」
実に決まらないのが、逆に私らしくておかしくてたまらない
梓「だけど、誕生日に自分を産んでくれた両親にお礼をするのって当然じゃないかな?」
ベットに寝転がりながら、そんな事を考えられるようになった自分にちょっぴり不思議な感慨を抱いたりする
梓「17歳の私は、どんな私なのかな」
なんて乙女な想いに浸ろうとするのを邪魔するかのように、部屋のドアがノック音を奏でる
梓「はいはい」
はい、は一回!
47: 2010/09/20(月) 22:08:43.28
母「あーずさっ!」
ドアを開けるなり母さんのハグ
挙げ句にベットに押し倒されてしまった
梓「…娘をどうするつもりよ?」
母「ん?ただのスキンシップじゃない」
…ちょっと待って!み、耳!耳をはむはむするのは行き過ぎだよー
母「あら、昔はあんなに喜んでたのに」
梓「いっ、いつの話!?もう、そんな子供じゃないもんっ!」
母「あら、あなたはまだまだ可愛い我が娘よ」
梓「にゃー!いい事言ってごまかそうとしても無駄だもん!」
母「そう?それは残念」
ドアを開けるなり母さんのハグ
挙げ句にベットに押し倒されてしまった
梓「…娘をどうするつもりよ?」
母「ん?ただのスキンシップじゃない」
…ちょっと待って!み、耳!耳をはむはむするのは行き過ぎだよー
母「あら、昔はあんなに喜んでたのに」
梓「いっ、いつの話!?もう、そんな子供じゃないもんっ!」
母「あら、あなたはまだまだ可愛い我が娘よ」
梓「にゃー!いい事言ってごまかそうとしても無駄だもん!」
母「そう?それは残念」
48: 2010/09/20(月) 22:09:51.74
少し私から離れた(と言ってもキスまで5秒の距離だよ、これ)母さんの顔は、紛れもなく優しい母親の表情
母「ねぇ、梓」
梓「…なに?」
母「急がないでいいのよ」
不思議…母さんの言おうとしてる事が分かる
梓「…うん。それでも私はもっと大人になりたいよ」
少しだけ驚いた母の顔を見なくても分かる
心の声が聞こえるっていうのは、この感じなのかな…憂
母「そうね。あなたは間違ってないわ」
梓「うん」
間違ってない…でも、それは正しくないとでも言いたそうだね、母さん
母「ねぇ、梓」
梓「…なに?」
母「急がないでいいのよ」
不思議…母さんの言おうとしてる事が分かる
梓「…うん。それでも私はもっと大人になりたいよ」
少しだけ驚いた母の顔を見なくても分かる
心の声が聞こえるっていうのは、この感じなのかな…憂
母「そうね。あなたは間違ってないわ」
梓「うん」
間違ってない…でも、それは正しくないとでも言いたそうだね、母さん
49: 2010/09/20(月) 22:10:54.05
母「先を急ぐのもいいけど、今も大切だと思わない?」
梓「…それが続くはずのない永遠でも?」
何を言ってるんだろう、私
いくら母さんでも、こんな想い…分かる訳ないよ
母「それでも、よ」
私から離れる母…そのぬくもりが消える感覚は、何かを失う自分を予見させているかのように薄ら寒い
母「ゆっくり行きなさい、梓」
そんな母さんと私をドアの側で見ていた父さんが私を促すように、少し両腕を広げている
…父よ、いくら娘は永遠の恋人とはいえ、17歳の娘にそれは無理だよ
梓「…それが続くはずのない永遠でも?」
何を言ってるんだろう、私
いくら母さんでも、こんな想い…分かる訳ないよ
母「それでも、よ」
私から離れる母…そのぬくもりが消える感覚は、何かを失う自分を予見させているかのように薄ら寒い
母「ゆっくり行きなさい、梓」
そんな母さんと私をドアの側で見ていた父さんが私を促すように、少し両腕を広げている
…父よ、いくら娘は永遠の恋人とはいえ、17歳の娘にそれは無理だよ
50: 2010/09/20(月) 22:12:09.81
父「…父親とは寂しいものだね」
母「…温泉でも治らない病だわ、あなたは」
お医者様でも草津の湯でも…か
演奏者ってやっぱり壊れてるよ、まったく
はぁ…仕方ない。特別、今日だけ特別だよ
…前にもこんな事言ったな、私
照れ隠しに体当たりする勢いで、父さんの胸に飛び込んでみる
簡単に受け止められたよ。手加減したつもりは無いのに…多分
しかし、こんな凹凸の欠片も無い娘を抱き締めて、そこまで幸せな顔の出来るあなたは…やっぱり病気だわ、父よ
母「…温泉でも治らない病だわ、あなたは」
お医者様でも草津の湯でも…か
演奏者ってやっぱり壊れてるよ、まったく
はぁ…仕方ない。特別、今日だけ特別だよ
…前にもこんな事言ったな、私
照れ隠しに体当たりする勢いで、父さんの胸に飛び込んでみる
簡単に受け止められたよ。手加減したつもりは無いのに…多分
しかし、こんな凹凸の欠片も無い娘を抱き締めて、そこまで幸せな顔の出来るあなたは…やっぱり病気だわ、父よ
51: 2010/09/20(月) 22:13:13.30
父「梓、キミはさっき続くはずのない永遠と言ってたね」
梓「…うん」
父「ならば、僕とキミはどうなのかな」
ふむ、不本意ながら父さんの心の声も聞こえるみたいだ
梓「決まってるじゃない。永遠に父と娘、だよ」
父「氏が二人を分かってもかい?」
梓「当然でしょ。それでも父娘だよ」
父「なら、それは終わらない永遠かい?それとも、続かない永遠かな」
梓「…分かんない」
そんな複雑な想いを浮かべた私を見る父さんの顔はあくまで優しい
父「うん。今はそれでいいんじゃないかな、梓」
梓「…うん」
父「ならば、僕とキミはどうなのかな」
ふむ、不本意ながら父さんの心の声も聞こえるみたいだ
梓「決まってるじゃない。永遠に父と娘、だよ」
父「氏が二人を分かってもかい?」
梓「当然でしょ。それでも父娘だよ」
父「なら、それは終わらない永遠かい?それとも、続かない永遠かな」
梓「…分かんない」
そんな複雑な想いを浮かべた私を見る父さんの顔はあくまで優しい
父「うん。今はそれでいいんじゃないかな、梓」
52: 2010/09/20(月) 22:14:11.15
父さんといい、母さんといい…やっぱりかなわないよ、まったく
父「…梓」
梓「…なに、かな?」
父「結婚しよう」
梓「う…て、ちょっと待った!」
危うく「うん」と言いそうになったじゃないか!
折角ちょっぴり見直してたのに…父よ、やっぱりあなたはアレだよ、アレ!
そんな私の心の声を代弁するように、呆れ顔の母さんが一言
母「真性のアホだわ、あなたって」
間違っても、演奏者とは結婚しない!と心に誓う17歳の誕生日の夜
これはきっと、幸せな中野家の終わらない永遠
父「…梓」
梓「…なに、かな?」
父「結婚しよう」
梓「う…て、ちょっと待った!」
危うく「うん」と言いそうになったじゃないか!
折角ちょっぴり見直してたのに…父よ、やっぱりあなたはアレだよ、アレ!
そんな私の心の声を代弁するように、呆れ顔の母さんが一言
母「真性のアホだわ、あなたって」
間違っても、演奏者とは結婚しない!と心に誓う17歳の誕生日の夜
これはきっと、幸せな中野家の終わらない永遠
53: 2010/09/20(月) 22:15:18.79
『私は今夜もする事がまーったくない』
だから今夜も芋虫ゴーロゴロ
ん?これってデジャヴ?
と言う事は、携帯が鳴る予感!
純「…鳴らないし」
仕方ないから、芋虫ゴーロゴロ続行
純「明日の今頃は、梓と憂は温泉かぁ」
そんな野暮じゃない、なんて梓には言ったけどさぁ…
純「やっぱり羨ましいっ!」
だから今夜も芋虫ゴーロゴロ
ん?これってデジャヴ?
と言う事は、携帯が鳴る予感!
純「…鳴らないし」
仕方ないから、芋虫ゴーロゴロ続行
純「明日の今頃は、梓と憂は温泉かぁ」
そんな野暮じゃない、なんて梓には言ったけどさぁ…
純「やっぱり羨ましいっ!」
54: 2010/09/20(月) 22:21:38.55
『それは見渡す限りの紅の乱舞』
憂「雰囲気出てるね、梓ちゃん」
梓「…また声に出してたのね、私」
憂「うん、出てたよ」
まるで冬の訪れを拒むように、暖色の紅葉に染まる山間の道
ちょうど暮れ始めた少し早い秋の夕暮れの茜色も相俟って、まるで見知らぬ世界に迷い込んだ旅人の気分
でも、憂と二人なら彷徨い人になるのも悪くないかも
「例えそれが続くはずのない永遠でも?」
梓「それでも、だよ」
憂「え?」
梓「なんでもないよ、なんでも」
憂「雰囲気出てるね、梓ちゃん」
梓「…また声に出してたのね、私」
憂「うん、出てたよ」
まるで冬の訪れを拒むように、暖色の紅葉に染まる山間の道
ちょうど暮れ始めた少し早い秋の夕暮れの茜色も相俟って、まるで見知らぬ世界に迷い込んだ旅人の気分
でも、憂と二人なら彷徨い人になるのも悪くないかも
「例えそれが続くはずのない永遠でも?」
梓「それでも、だよ」
憂「え?」
梓「なんでもないよ、なんでも」
55: 2010/09/20(月) 22:22:51.26
憂「ふふっ、変な梓ちゃん」
こんな楽しそうな憂の笑顔が見られるなら、くだらない杞憂なんて吹っ飛ぶよね、私
憂「今度は何を考えてるのかな、梓ちゃん」
梓「うん、幸せだなって」
憂「…そうだね」
なんでだろう、これまでは伝わってこなかった、憂の心の声が聞こえる気がする
梓「…憂」
寄り添い歩く憂の手にそっと触れてみる
つないだ手はいつだって温かくて柔らかい憂の手だ
憂「…もしかして、分かっちゃったのかな?」
梓「どうかな?ただなんとなく、だよ」
こんな楽しそうな憂の笑顔が見られるなら、くだらない杞憂なんて吹っ飛ぶよね、私
憂「今度は何を考えてるのかな、梓ちゃん」
梓「うん、幸せだなって」
憂「…そうだね」
なんでだろう、これまでは伝わってこなかった、憂の心の声が聞こえる気がする
梓「…憂」
寄り添い歩く憂の手にそっと触れてみる
つないだ手はいつだって温かくて柔らかい憂の手だ
憂「…もしかして、分かっちゃったのかな?」
梓「どうかな?ただなんとなく、だよ」
56: 2010/09/20(月) 22:24:19.76
そんな私を見て、いつもと同じようでいて、ちょっぴり違う微笑みを浮かべる憂
憂「そっか。梓ちゃんも分かっちゃったんだね、女の子の魔法」
梓「女の子の魔法…なるほど」
概念として捉えるなら、以心伝心って感じかな?
梓「でも、これってMagicでもTrickでもなく、Logicだよね」
憂「そうだね。相手の事を知り理解すれば、自ずと考えている事が分かる、これが答えかな」
梓「でもなんで今更なんだろう?これまでだって私は憂の事…」
憂「そっか。梓ちゃんも分かっちゃったんだね、女の子の魔法」
梓「女の子の魔法…なるほど」
概念として捉えるなら、以心伝心って感じかな?
梓「でも、これってMagicでもTrickでもなく、Logicだよね」
憂「そうだね。相手の事を知り理解すれば、自ずと考えている事が分かる、これが答えかな」
梓「でもなんで今更なんだろう?これまでだって私は憂の事…」
57: 2010/09/20(月) 22:25:21.34
『それは、本当の私を見てくれるようになったからだよ』
聞こえたかな、梓ちゃん?
梓「…そうか」
何かな?期待しちゃうね
梓「今なら分かるよ。憂の言ってた『本当の特別』の意味が」
うん、あなたはやっぱり特別だよ、梓ちゃん
憂「もしかしたら、それはこの紅葉の魔法かも知れないね」
梓「紅葉の?」
憂「落葉樹の名前でしょ、梓は」
梓「なるほど…考えた事もなかったよ」
幸せだよ、私
聞こえたかな、梓ちゃん?
梓「…そうか」
何かな?期待しちゃうね
梓「今なら分かるよ。憂の言ってた『本当の特別』の意味が」
うん、あなたはやっぱり特別だよ、梓ちゃん
憂「もしかしたら、それはこの紅葉の魔法かも知れないね」
梓「紅葉の?」
憂「落葉樹の名前でしょ、梓は」
梓「なるほど…考えた事もなかったよ」
幸せだよ、私
58: 2010/09/20(月) 22:27:26.56
『やっと旅館が見えたよ』
梓「送迎車があんな手前で降ろすから、結構歩いたよね」
かれこれ10分くらいは歩いて、やっと旅館の前に到着
でも、あそこが乗降場所になってたのは納得
お陰で紅葉に染まる山をたっぷり堪能出来たし
憂「なかなか味なお出迎えだよね」
梓「うん、旅館の前まで車だったら、あんな綺麗な景色をゆっくり見れなかったよね」
憂「旅館の建物も雰囲気あるよね」
実は父さんのおススメの宿なので、見るのは初めてだったりする
梓「送迎車があんな手前で降ろすから、結構歩いたよね」
かれこれ10分くらいは歩いて、やっと旅館の前に到着
でも、あそこが乗降場所になってたのは納得
お陰で紅葉に染まる山をたっぷり堪能出来たし
憂「なかなか味なお出迎えだよね」
梓「うん、旅館の前まで車だったら、あんな綺麗な景色をゆっくり見れなかったよね」
憂「旅館の建物も雰囲気あるよね」
実は父さんのおススメの宿なので、見るのは初めてだったりする
59: 2010/09/20(月) 22:28:46.10
木造のどこかひなびた雰囲気を醸し出す、旅館のたたずまいも実に素敵
しかし父よ、こんな素敵な所に一体誰と来てるんだ?
少なくとも、家族旅行では来てないぞ
そんな事を考えながら、旅館に入ると実に大人な美人女将が出迎えてくれた
…まさか、これが目当てじゃないだろうな、父よ
憂「さっきからどうしたの、梓ちゃん?」
梓「え?」
憂「ほら、早くお部屋に行こうよ。女将さんも待ってるよ」
…思わず考えに耽ってしまってたよ
まさか…私が幸薄いのは父よ、あなたも原因なのか?
しかし父よ、こんな素敵な所に一体誰と来てるんだ?
少なくとも、家族旅行では来てないぞ
そんな事を考えながら、旅館に入ると実に大人な美人女将が出迎えてくれた
…まさか、これが目当てじゃないだろうな、父よ
憂「さっきからどうしたの、梓ちゃん?」
梓「え?」
憂「ほら、早くお部屋に行こうよ。女将さんも待ってるよ」
…思わず考えに耽ってしまってたよ
まさか…私が幸薄いのは父よ、あなたも原因なのか?
60: 2010/09/20(月) 22:29:47.99
通された部屋もまた渋い
木造畳敷きの和室ってなんでこんなに落ち着くのかな
憂「ねぇ、梓ちゃん!露天風呂があるよ」
各間毎の露天風呂まであるのか
なんていい宿なんだろ、やっぱり父に少し感謝だね、うん
憂「でも先に食事かな?」
梓「だね。正直おなかペコペコだよ」
憂「あはは、実は私もだよ」
いくら土曜日でも、学校が終わってから出かけると結局夕方過ぎになるから、これは仕方ない
腹が減っては戦は出来ぬ、だよ
別に戦はしないけどね
木造畳敷きの和室ってなんでこんなに落ち着くのかな
憂「ねぇ、梓ちゃん!露天風呂があるよ」
各間毎の露天風呂まであるのか
なんていい宿なんだろ、やっぱり父に少し感謝だね、うん
憂「でも先に食事かな?」
梓「だね。正直おなかペコペコだよ」
憂「あはは、実は私もだよ」
いくら土曜日でも、学校が終わってから出かけると結局夕方過ぎになるから、これは仕方ない
腹が減っては戦は出来ぬ、だよ
別に戦はしないけどね
61: 2010/09/20(月) 22:30:53.43
食事も充分期待に応える美味しさで満足
憂「これ美味しい。帰ったらお姉ちゃんに作ってあげようかな」
…妬いてないもん
梓「そう言えば、唯先輩の晩ご飯は大丈夫なの?」
ほらね、妬いてない証拠に私から言ってやったよ
…負け惜しみじゃないもん
憂「大丈夫だよ、ちゃんとレンジでチンするだけにしてあるから」
梓「…それが出来るのかすら、若干怪しいんだけど」
憂「…メールしてみようかな」
梓憂「…ふふっ」
何故か顔を見合わせた途端に笑ってしまったよ、まったく
憂「これ美味しい。帰ったらお姉ちゃんに作ってあげようかな」
…妬いてないもん
梓「そう言えば、唯先輩の晩ご飯は大丈夫なの?」
ほらね、妬いてない証拠に私から言ってやったよ
…負け惜しみじゃないもん
憂「大丈夫だよ、ちゃんとレンジでチンするだけにしてあるから」
梓「…それが出来るのかすら、若干怪しいんだけど」
憂「…メールしてみようかな」
梓憂「…ふふっ」
何故か顔を見合わせた途端に笑ってしまったよ、まったく
62: 2010/09/20(月) 22:31:56.18
梓「ふう、ご馳走さま」
憂「美味しかったね」
うん、確かに美味しかったよ
お陰で食べ過ぎて、女の子としてはちょぴりピンチかも…
憂「ねぇ、梓ちゃん。お風呂!お風呂入ろうよ」
梓「あ、うん。ちょっと待って…もらえると嬉しいかも」
憂「ん?」
…だって、今おなか出てる気がするし
恥ずかしいもん
憂「もしかして、梓ちゃん…」
うっ、その瞳に踊る色は間違なく、悪戯っ娘憂!
憂「えいっ!」
梓「にゃーっ!」
憂「美味しかったね」
うん、確かに美味しかったよ
お陰で食べ過ぎて、女の子としてはちょぴりピンチかも…
憂「ねぇ、梓ちゃん。お風呂!お風呂入ろうよ」
梓「あ、うん。ちょっと待って…もらえると嬉しいかも」
憂「ん?」
…だって、今おなか出てる気がするし
恥ずかしいもん
憂「もしかして、梓ちゃん…」
うっ、その瞳に踊る色は間違なく、悪戯っ娘憂!
憂「えいっ!」
梓「にゃーっ!」
63: 2010/09/20(月) 22:33:36.75
いきなり押し倒されてしまった…
憂「にひひ、やっぱりだね。梓ちゃんおなかぷにぷに」
梓「だ、だって美味しかったからつい…って、ぷにぷにしないでーっ」
憂「…やだ!」
ううっ、屈辱…幼児体型の自分が怨めしい
憂「ふふっ、嘘だよ。許してあげよう」
梓「はぁ、なんか最近押し倒されキャラだよ、私」
憂「…誰にそんな事をされてるのかな?」
…墓穴を掘った予感
下手にごまかしが通じる憂じゃないし、ここは正直に言おう、私
憂「にひひ、やっぱりだね。梓ちゃんおなかぷにぷに」
梓「だ、だって美味しかったからつい…って、ぷにぷにしないでーっ」
憂「…やだ!」
ううっ、屈辱…幼児体型の自分が怨めしい
憂「ふふっ、嘘だよ。許してあげよう」
梓「はぁ、なんか最近押し倒されキャラだよ、私」
憂「…誰にそんな事をされてるのかな?」
…墓穴を掘った予感
下手にごまかしが通じる憂じゃないし、ここは正直に言おう、私
64: 2010/09/20(月) 22:34:41.50
梓「あの、誕生日の夜に母さんにね…」
素直にあの日の件を説明
…少しだけ話せない事は省いたけどね
憂「仲良しだもんね、梓ちゃん家は」
梓「うん、でもさぁ、いつまでも子供扱いするんだよ。この年齢になって、まさか耳をはむはむされるな…ん…て…」
…マズい…最悪の墓穴掘りモードじゃない、これって
憂「…はむはむ」
梓「…えーっとね、お、お風呂!お風呂行こう、ね?」
慌てて憂を私の上から起き上がらせようとしたけど…遅かりしだったりする
素直にあの日の件を説明
…少しだけ話せない事は省いたけどね
憂「仲良しだもんね、梓ちゃん家は」
梓「うん、でもさぁ、いつまでも子供扱いするんだよ。この年齢になって、まさか耳をはむはむされるな…ん…て…」
…マズい…最悪の墓穴掘りモードじゃない、これって
憂「…はむはむ」
梓「…えーっとね、お、お風呂!お風呂行こう、ね?」
慌てて憂を私の上から起き上がらせようとしたけど…遅かりしだったりする
65: 2010/09/20(月) 22:35:46.30
憂「因みにお母さんはどっちの耳をはむはむするのかな?」
梓「…そっ、それを聞いてどうしようと?」
憂「それだけ教えてくれたら、許してあげる」
穏やかな微笑み、いつもの憂だ…助かる予感
梓「左…かな」
憂「そっか」
梓「え、えっと、取り敢えずちょっとだけ離れようか、憂?」
憂「そうだね。約束通り、左だけは許してあげよう」
梓「…え?」
いつの間にか、また悪戯っ子憂な瞳に戻ってるよ…大ピンチ、私!
梓「…そっ、それを聞いてどうしようと?」
憂「それだけ教えてくれたら、許してあげる」
穏やかな微笑み、いつもの憂だ…助かる予感
梓「左…かな」
憂「そっか」
梓「え、えっと、取り敢えずちょっとだけ離れようか、憂?」
憂「そうだね。約束通り、左だけは許してあげよう」
梓「…え?」
いつの間にか、また悪戯っ子憂な瞳に戻ってるよ…大ピンチ、私!
66: 2010/09/20(月) 22:36:45.41
憂「では、私は右の耳を…はむはむ」
梓「にゃー!ダッ、ダメー、はむはむしないでー」
ジタバタしても、何故か逃げられない不思議
…なんて余裕はないぞっ、私!
梓「にゃーっ!はむはむ禁止ー!」
憂「…ぷっ、あはははは、あっ、梓ちゃん、可愛すぎるよぉ」
…そんなおなかを抱えて転げ回らなくても…グスン、いいもん!拗ねてやるもん!
梓「…憂のイジワル」
憂「ごっ、ごめんね、梓ちゃん。でも…ぷっ」
梓「もう、いいもん!お風呂入るっ」
梓「にゃー!ダッ、ダメー、はむはむしないでー」
ジタバタしても、何故か逃げられない不思議
…なんて余裕はないぞっ、私!
梓「にゃーっ!はむはむ禁止ー!」
憂「…ぷっ、あはははは、あっ、梓ちゃん、可愛すぎるよぉ」
…そんなおなかを抱えて転げ回らなくても…グスン、いいもん!拗ねてやるもん!
梓「…憂のイジワル」
憂「ごっ、ごめんね、梓ちゃん。でも…ぷっ」
梓「もう、いいもん!お風呂入るっ」
67: 2010/09/20(月) 22:38:43.93
憂「あ、待って、梓ちゃん。せっかくだから大浴場に行こうよ」
梓「…うん」
浴衣に着替えて、大浴場に向かう間も拗ねてやるモードの振りをする私
憂「梓ちゃん、まだ怒ってる?」
梓「…怒ってないけど拗ねてる」
憂「ごめんね」
梓「…もうはむはむしないって約束してくれたら許す」
憂「うん。もうしないから、許してくれるかな?」
梓「なら、許す!」
はぁ、取り敢えずはむはむの脅威から逃れたよ
…実は残念、なんて思ってないもん!
梓「…うん」
浴衣に着替えて、大浴場に向かう間も拗ねてやるモードの振りをする私
憂「梓ちゃん、まだ怒ってる?」
梓「…怒ってないけど拗ねてる」
憂「ごめんね」
梓「…もうはむはむしないって約束してくれたら許す」
憂「うん。もうしないから、許してくれるかな?」
梓「なら、許す!」
はぁ、取り敢えずはむはむの脅威から逃れたよ
…実は残念、なんて思ってないもん!
68: 2010/09/20(月) 22:40:00.74
『私は今夜もやっぱりする事がない』
だから芋虫ゴーロゴロ
純「…なんか私こればっかりだし」
なんて思ってたら携帯がメールの着信を告げる
純「部活の連絡メールだし」
内容は…明日の部活はおやすみ、だってさ
純「…むー、梓ぁ、憂ぃ、暇ぁー」
と、叫んだところでなーんにもならないし
仕方ないから、芋虫ゴーロゴロ続行
純「…幸薄いのって、実は私じゃない、梓?」
だから芋虫ゴーロゴロ
純「…なんか私こればっかりだし」
なんて思ってたら携帯がメールの着信を告げる
純「部活の連絡メールだし」
内容は…明日の部活はおやすみ、だってさ
純「…むー、梓ぁ、憂ぃ、暇ぁー」
と、叫んだところでなーんにもならないし
仕方ないから、芋虫ゴーロゴロ続行
純「…幸薄いのって、実は私じゃない、梓?」
69: 2010/09/20(月) 22:44:51.55
『仰ぎ見るは満天の星空』
梓「昼は紅葉、夜は星空、もう文句なしだよ」
憂「うん、今のも雰囲気出てたね」
梓「…因みに今のは普通に言ってみたんだからね」
露天風呂につかりながら、二人で見上げる夜空は綺麗すぎて
幸せすぎるのも、ちょっぴり怖かったりする
わがままで臆病な私は相変わらずなのかも知れないね…
憂「ねぇ、梓ちゃん」
梓「なに?」
憂「さっきのお詫びに髪洗ってあげようか」
梓「でも、結構大変だよ?」
梓「昼は紅葉、夜は星空、もう文句なしだよ」
憂「うん、今のも雰囲気出てたね」
梓「…因みに今のは普通に言ってみたんだからね」
露天風呂につかりながら、二人で見上げる夜空は綺麗すぎて
幸せすぎるのも、ちょっぴり怖かったりする
わがままで臆病な私は相変わらずなのかも知れないね…
憂「ねぇ、梓ちゃん」
梓「なに?」
憂「さっきのお詫びに髪洗ってあげようか」
梓「でも、結構大変だよ?」
71: 2010/09/20(月) 22:46:28.32
憂「平気だよ。それにね」
梓「それに?」
憂「今度の旅行の楽しみの一つだったんだ。梓ちゃんの髪を洗うの」
梓「…じゃあ、お願いしよう、かな」
洗い場で髪を纏めていたタオルを外すと、少し冴えた外気をはらんで気持ちいい
憂「相変わらずツヤツヤだね、梓ちゃんの髪」
梓「結構手入れも大変なんだけどね」
憂「だよね。えっと、普通に洗って大丈夫なのかな?」
梓「あ、これ使って」
使いつけの洗髪ブラシを渡すと、憂は興味津々で見ている
梓「それに?」
憂「今度の旅行の楽しみの一つだったんだ。梓ちゃんの髪を洗うの」
梓「…じゃあ、お願いしよう、かな」
洗い場で髪を纏めていたタオルを外すと、少し冴えた外気をはらんで気持ちいい
憂「相変わらずツヤツヤだね、梓ちゃんの髪」
梓「結構手入れも大変なんだけどね」
憂「だよね。えっと、普通に洗って大丈夫なのかな?」
梓「あ、これ使って」
使いつけの洗髪ブラシを渡すと、憂は興味津々で見ている
72: 2010/09/20(月) 22:47:26.14
梓「あのね、柄の部分のタンクにシャンプーをお湯で少し薄めて入れるんだよ」
憂「へぇ、これでいいのかな?」
梓「うん。それで、柄の背中の部分のボタンを押すと…」
憂「うわぁ、泡々になったよ」
梓「うん。後はそれで普通に櫛削るようにしてくれればいいよ」
憂「うーん、これは便利だね」
梓「これだけ長いと普通に手で洗うと、もつれたりして大変だからね」
それにしても、髪を洗ってもらうのって、凄く幸せな気分だよ…
憂「へぇ、これでいいのかな?」
梓「うん。それで、柄の背中の部分のボタンを押すと…」
憂「うわぁ、泡々になったよ」
梓「うん。後はそれで普通に櫛削るようにしてくれればいいよ」
憂「うーん、これは便利だね」
梓「これだけ長いと普通に手で洗うと、もつれたりして大変だからね」
それにしても、髪を洗ってもらうのって、凄く幸せな気分だよ…
73: 2010/09/20(月) 22:48:26.27
憂「…くしゅん」
梓「あ、ごめん。すっかり冷えちゃったね」
憂「ちょっぴりね」
秋の夜の露天で髪を洗うのは少し無謀だったかな
梓「お湯につかろう、憂」
憂「うん」
二人寄り添い入る温泉は、心も身体も温かくて…
梓「ねぇ、憂。幸せ…なんだよね、私達」
そう呟いた私を、いつもの優しい微笑みを浮かべて見つめる憂
憂「そうだね…幸せだよ」
その言葉は幸せと同時に、消えたはずの不安を揺り動かす…
梓「あ、ごめん。すっかり冷えちゃったね」
憂「ちょっぴりね」
秋の夜の露天で髪を洗うのは少し無謀だったかな
梓「お湯につかろう、憂」
憂「うん」
二人寄り添い入る温泉は、心も身体も温かくて…
梓「ねぇ、憂。幸せ…なんだよね、私達」
そう呟いた私を、いつもの優しい微笑みを浮かべて見つめる憂
憂「そうだね…幸せだよ」
その言葉は幸せと同時に、消えたはずの不安を揺り動かす…
74: 2010/09/20(月) 22:49:41.38
梓「憂は本当にこれでいいの…」
私の問い掛けに答えずに、ただ満天の星空を仰ぎ見る憂
月明りが写し出すその姿が滲んで見えるのは…なんでだろうね
梓「続くはずの無い永遠でも…いいの?」
口にした途端に激しく湧き上がる後悔…
こんなの…憂にだって答えが出せる訳ないよ
私自信が欲しい答えすら見出だせないのに…「今だけあればいい」なんて、安い台詞も聞きたくない
これじゃ、まるで駄々をこねる子供だよ…最悪だ、私
私の問い掛けに答えずに、ただ満天の星空を仰ぎ見る憂
月明りが写し出すその姿が滲んで見えるのは…なんでだろうね
梓「続くはずの無い永遠でも…いいの?」
口にした途端に激しく湧き上がる後悔…
こんなの…憂にだって答えが出せる訳ないよ
私自信が欲しい答えすら見出だせないのに…「今だけあればいい」なんて、安い台詞も聞きたくない
これじゃ、まるで駄々をこねる子供だよ…最悪だ、私
75: 2010/09/20(月) 22:50:54.56
憂「…それは難しい問題だね、梓ちゃん」
それはいつか聞いた言葉
ただあの時とは違う戸惑いを隠さずに、憂はただ一言だけ
憂「少しだけ…時間をもらえるかな」
憂は本当に優しいね
こんな愚かな私に、まだ真剣に向かいあおうとしてくれるんだね…
ずっと、大好きだよ
でも…この先に待っているのは、きっと少女時代の幻想の終わる時だけ
絶望しかない永遠の終わる世界
それでも…
それはいつか聞いた言葉
ただあの時とは違う戸惑いを隠さずに、憂はただ一言だけ
憂「少しだけ…時間をもらえるかな」
憂は本当に優しいね
こんな愚かな私に、まだ真剣に向かいあおうとしてくれるんだね…
ずっと、大好きだよ
でも…この先に待っているのは、きっと少女時代の幻想の終わる時だけ
絶望しかない永遠の終わる世界
それでも…
76: 2010/09/20(月) 22:52:30.21
部屋に戻ってからも、互いに視線を交わす事もなく、ただ時間だけが虚しく過ぎていく
当然だよね…ごめん、憂
私のせいで楽しかったはずの旅行も台無しになってしまった
それだけじゃない
きっと私は憂を傷つけてしまった
こんなの許される訳がない…
後悔に押し潰されそうになる私の背中を、憂が突然優しく抱きしめてくれる
梓「…憂」
どうして…どうしてそんなに優しいの…
熱い雫が頬を伝って落ちた
当然だよね…ごめん、憂
私のせいで楽しかったはずの旅行も台無しになってしまった
それだけじゃない
きっと私は憂を傷つけてしまった
こんなの許される訳がない…
後悔に押し潰されそうになる私の背中を、憂が突然優しく抱きしめてくれる
梓「…憂」
どうして…どうしてそんなに優しいの…
熱い雫が頬を伝って落ちた
77: 2010/09/20(月) 22:53:29.85
憂「…梓ちゃん」
抱きしめてくれる憂が、私の頬を伝う涙を優しく口づけで拭う
そのぬくもりをもっと感じたくて…憂の腕の中で身をよじるようにして、正面に向き合う私
…まただよ…また私は憂の優しさに甘えようとしている
17歳の私なんて、ちっとも大人なんかじゃないよ…
憂「えいっ!」
梓「…え!?」
そんな私の悲しい感慨を振り払うように、力強く畳の上に押し倒されてしまった
憂「エヘヘ、梓ちゃんはむはむ!」
抱きしめてくれる憂が、私の頬を伝う涙を優しく口づけで拭う
そのぬくもりをもっと感じたくて…憂の腕の中で身をよじるようにして、正面に向き合う私
…まただよ…また私は憂の優しさに甘えようとしている
17歳の私なんて、ちっとも大人なんかじゃないよ…
憂「えいっ!」
梓「…え!?」
そんな私の悲しい感慨を振り払うように、力強く畳の上に押し倒されてしまった
憂「エヘヘ、梓ちゃんはむはむ!」
78: 2010/09/20(月) 22:56:25.62
…え!…え!?…えーっ!!
ちっ、違う!これはぜったい絶対ぜーったい違うよー!
梓「に、にゃー!う、憂!ダッ、ダメーッ!はむはむしないでーっ!!」
憂「ぜーったいにヤダ!はむはむするっ!」
な、なんなの、この展開!?
こんなのまーったく想定外だよぉー!
梓「ふぁ、やっ、やめてっ、お願いー」
憂「…断るっ!はむはむっ!」
にゃーっ!も、もう…はぅぅ
憂「…ふぅ」
はぁ、や、やっと…ううっ
ちっ、違う!これはぜったい絶対ぜーったい違うよー!
梓「に、にゃー!う、憂!ダッ、ダメーッ!はむはむしないでーっ!!」
憂「ぜーったいにヤダ!はむはむするっ!」
な、なんなの、この展開!?
こんなのまーったく想定外だよぉー!
梓「ふぁ、やっ、やめてっ、お願いー」
憂「…断るっ!はむはむっ!」
にゃーっ!も、もう…はぅぅ
憂「…ふぅ」
はぁ、や、やっと…ううっ
79: 2010/09/20(月) 22:58:02.29
梓「…ううっ、こんなの酷いよ」
混乱して泣きベソをかく私を、穏やかな微笑みに戻った憂が見つめている
憂「うん、そうだね。私は酷い女の子だよ」
…なにを言い出すの、憂?
憂「あのね、私は我が侭で、意地悪で、性格の悪い嫌な女の子なの」
…そんな訳ないよ
憂がそんな女の子だったら、世界にまともな人間なんていなくなっちゃうよ
憂「嫌いになったかな…梓ちゃん?」
…そうか、これが憂の答えなの
わざと嫌われて終わりにするんだね
混乱して泣きベソをかく私を、穏やかな微笑みに戻った憂が見つめている
憂「うん、そうだね。私は酷い女の子だよ」
…なにを言い出すの、憂?
憂「あのね、私は我が侭で、意地悪で、性格の悪い嫌な女の子なの」
…そんな訳ないよ
憂がそんな女の子だったら、世界にまともな人間なんていなくなっちゃうよ
憂「嫌いになったかな…梓ちゃん?」
…そうか、これが憂の答えなの
わざと嫌われて終わりにするんだね
80: 2010/09/20(月) 22:59:19.54
こんなの…優しすぎるよ
でも、それが憂の答えなら、受け入れよう
例えそれが憂を更に傷つけてしまう事になっても…
梓「…憂なんて…大キライ」
その言葉は、例えようの無い絶望と喪失感
止めどなく溢れる悔恨の涙…愚かすぎる最悪の終わり
涙で滲んで息が触れ合う距離の憂の顔すら見えないのが、今は救いに思えるほどの暗い世界
憂「そっか。嫌い…なんだね、梓ちゃん?」
梓「…キライ」
もうやめてなんて言えない…悪いのは全部私だから…
でも、それが憂の答えなら、受け入れよう
例えそれが憂を更に傷つけてしまう事になっても…
梓「…憂なんて…大キライ」
その言葉は、例えようの無い絶望と喪失感
止めどなく溢れる悔恨の涙…愚かすぎる最悪の終わり
涙で滲んで息が触れ合う距離の憂の顔すら見えないのが、今は救いに思えるほどの暗い世界
憂「そっか。嫌い…なんだね、梓ちゃん?」
梓「…キライ」
もうやめてなんて言えない…悪いのは全部私だから…
81: 2010/09/20(月) 23:01:10.81
憂「うん、わかった…それじゃ、はむはむするっ!」
…な、なに!?なんでっ!!
憂「はむはむーっ!」
今までの絶望や悔恨が吹き飛ぶほどの更なる混乱
も、もう、なにもわからないよ!?
梓「やっ!なっ、なんでっ?なんで、こ…って、やっ、やだぁー!」
もう完全にタダの子供だよ、これじゃ…でも、もうなにがなんだか…取り敢えずやめてーっ!
憂「やめて欲しいの?」
梓「だ、だって、こんなの訳がわかんないもん!やめて、お願い」
…な、なに!?なんでっ!!
憂「はむはむーっ!」
今までの絶望や悔恨が吹き飛ぶほどの更なる混乱
も、もう、なにもわからないよ!?
梓「やっ!なっ、なんでっ?なんで、こ…って、やっ、やだぁー!」
もう完全にタダの子供だよ、これじゃ…でも、もうなにがなんだか…取り敢えずやめてーっ!
憂「やめて欲しいの?」
梓「だ、だって、こんなの訳がわかんないもん!やめて、お願い」
82: 2010/09/20(月) 23:02:22.43
憂「じゃあ『憂が大好き』って言って」
梓「ふ、ふぇ?」
憂「そうしたら、やめてあげる」
梓「で、でも、そんなのって…え、あ、ま、またっ!?」
憂「言ってくれるまではむはむするもん!はむはむっ!」
もう混乱に次ぐ、混乱の嵐
気付いた時にはもう…
梓「す、好きっ!大好きっ!憂が大好きっ!」
憂「…やっと言ってくれたね、梓ちゃん」
梓「はぁ、はぁ…な、なに…が?」
もうただただ憂を見つめるだけ、他になんにも思いつかないよ…
梓「ふ、ふぇ?」
憂「そうしたら、やめてあげる」
梓「で、でも、そんなのって…え、あ、ま、またっ!?」
憂「言ってくれるまではむはむするもん!はむはむっ!」
もう混乱に次ぐ、混乱の嵐
気付いた時にはもう…
梓「す、好きっ!大好きっ!憂が大好きっ!」
憂「…やっと言ってくれたね、梓ちゃん」
梓「はぁ、はぁ…な、なに…が?」
もうただただ憂を見つめるだけ、他になんにも思いつかないよ…
83: 2010/09/20(月) 23:03:50.10
そこにいたのは、透明感溢れるいつもの穏やかで優しい…私の大好きな憂
憂「これが私の答え、だよ、梓ちゃん」
梓「…え?」
憂「続くはずのない永遠ならそれでもいいよ。終わる度にもう一度、私が始めさせてあげる」
梓「何度…で…も?」
憂「うん。梓ちゃんが私の事を嫌いになったら、また好きにさせてみせるよ」
梓「…憂」
憂「永遠に変わらないなんて、つまんないよ。だから、変わってもいいよ。ううん、変わろうよ」
憂「これが私の答え、だよ、梓ちゃん」
梓「…え?」
憂「続くはずのない永遠ならそれでもいいよ。終わる度にもう一度、私が始めさせてあげる」
梓「何度…で…も?」
憂「うん。梓ちゃんが私の事を嫌いになったら、また好きにさせてみせるよ」
梓「…憂」
憂「永遠に変わらないなんて、つまんないよ。だから、変わってもいいよ。ううん、変わろうよ」
84: 2010/09/20(月) 23:05:17.96
梓「それが憂の答え…なの?」
優しい微笑みを称えたまま、それでも凛とした強さを持って憂が答える
憂「そうだよ、これが私の答え」
「続くはずのない永遠」と「終わらない永遠」
そして憂の選んだ答えは
「変わり続ける永遠じゃない永遠」
…やっぱり憂にはかなわないよ、まったく
優しい微笑みを称えたまま、それでも凛とした強さを持って憂が答える
憂「そうだよ、これが私の答え」
「続くはずのない永遠」と「終わらない永遠」
そして憂の選んだ答えは
「変わり続ける永遠じゃない永遠」
…やっぱり憂にはかなわないよ、まったく
85: 2010/09/20(月) 23:07:39.71
訳の分からないまま大混乱に過ぎた時間も、終わってみれば幸せ時間
今は落ち着いて、二人並んだお布団でおやすみモード
憂「ねぇ、梓ちゃん」
梓「ん、なに?」
憂「私がなにを考えてるか分かるかな?」
…分かるよ、そんなの。だって私の考えてる事ときっと一緒
梓「えっと…お邪魔します」
憂のお布団に潜り込んでみたりする
ハズレてたら…恥ずかしすぎるぞ、私!
憂「エヘヘ、はぐはぐ」
…やめて、一瞬ドキッとしちゃったよ
今は落ち着いて、二人並んだお布団でおやすみモード
憂「ねぇ、梓ちゃん」
梓「ん、なに?」
憂「私がなにを考えてるか分かるかな?」
…分かるよ、そんなの。だって私の考えてる事ときっと一緒
梓「えっと…お邪魔します」
憂のお布団に潜り込んでみたりする
ハズレてたら…恥ずかしすぎるぞ、私!
憂「エヘヘ、はぐはぐ」
…やめて、一瞬ドキッとしちゃったよ
86: 2010/09/20(月) 23:09:13.37
それでも抱きしめてくれる憂のぬくもりには逆らえないよ
でも、はむはむはもうやめてね…
憂「そうだ、幸せの数え方だけどね」
梓「う、うん」
…期待しちゃうよ、今度こそ
憂「はむはむの回数なんてのも、ありじゃないかな?」
梓「…絶対に嫌」
今の私の幸せは憂のはむはむ〇回分
なんて、私は毎回カウントするの?
梓「ぜったい絶対ぜーったいヤダッ!」
でも、はむはむはもうやめてね…
憂「そうだ、幸せの数え方だけどね」
梓「う、うん」
…期待しちゃうよ、今度こそ
憂「はむはむの回数なんてのも、ありじゃないかな?」
梓「…絶対に嫌」
今の私の幸せは憂のはむはむ〇回分
なんて、私は毎回カウントするの?
梓「ぜったい絶対ぜーったいヤダッ!」
87: 2010/09/20(月) 23:10:45.24
憂「全力で否定されちゃった」
梓「もう、はむはむは禁止ですぅ」
憂「それは私が断固拒否します」
梓「…憂のイジワル」
憂「あははっ、梓ちゃん可愛い」
梓「…拗ねるもん」
憂「ふーん、それじゃそんな梓ちゃんは私が嫌いになっちゃおうかなぁ」
え!そっ、それは困る!困っちゃうよ?
梓「そ、そんなの絶対ダメッ!」
憂「なんで?」
梓「だって…私が憂に嫌われたら、どうしていいかわかんないもん」
梓「もう、はむはむは禁止ですぅ」
憂「それは私が断固拒否します」
梓「…憂のイジワル」
憂「あははっ、梓ちゃん可愛い」
梓「…拗ねるもん」
憂「ふーん、それじゃそんな梓ちゃんは私が嫌いになっちゃおうかなぁ」
え!そっ、それは困る!困っちゃうよ?
梓「そ、そんなの絶対ダメッ!」
憂「なんで?」
梓「だって…私が憂に嫌われたら、どうしていいかわかんないもん」
88: 2010/09/20(月) 23:12:02.45
いつもの穏やかな…ううん、いつも以上に優しく穏やかな微笑みを浮かべた憂が、そっと囁く
憂「そんなの簡単だよ。梓ちゃんが何度でも、私を好きにさせてくれればいいだけだよ」
梓「それってハードルが高すぎるよ、私には…」
憂「大丈夫だよ…だって私はきっと何度でも梓ちゃんの事を好きになると思うから」
梓「…そうだといいけど」
憂「エヘヘ、ちょっぴり我が侭かな、私?」
…そんな可愛いのは、世間では「わがまま」なんて言わないよ、まったく
憂「そんなの簡単だよ。梓ちゃんが何度でも、私を好きにさせてくれればいいだけだよ」
梓「それってハードルが高すぎるよ、私には…」
憂「大丈夫だよ…だって私はきっと何度でも梓ちゃんの事を好きになると思うから」
梓「…そうだといいけど」
憂「エヘヘ、ちょっぴり我が侭かな、私?」
…そんな可愛いのは、世間では「わがまま」なんて言わないよ、まったく
90: 2010/09/20(月) 23:13:57.45
憂「こんな我が侭な子は嫌いになっちゃったかな?」
…やめて、瞳をキラキラさせながら、そんな危険な罠を張るのは
梓「分かったよ。全力で頑張るから、ね」
憂「約束?」
梓「うん。あの日教会で誓ったよね。平沢憂に永遠の愛をって」
憂「だったら、今度は私が誓う番だね」
元々ほんの少しだった距離を縮めて、憂の唇が私の唇に優しく重なる
憂との4度目のキスは「変わり続ける永遠じゃない永遠」を誓うキス
つまり今の私の幸せは憂とのキス4回分
私は…私達は幸せです
お し ま い
…やめて、瞳をキラキラさせながら、そんな危険な罠を張るのは
梓「分かったよ。全力で頑張るから、ね」
憂「約束?」
梓「うん。あの日教会で誓ったよね。平沢憂に永遠の愛をって」
憂「だったら、今度は私が誓う番だね」
元々ほんの少しだった距離を縮めて、憂の唇が私の唇に優しく重なる
憂との4度目のキスは「変わり続ける永遠じゃない永遠」を誓うキス
つまり今の私の幸せは憂とのキス4回分
私は…私達は幸せです
お し ま い
93: 2010/09/20(月) 23:41:58.63
>>1です
今回も読んで下さる皆さんに感謝です
~夏時間~秋想奏から続くお話なので、訳が分からなかった人はごめんなさいです
梓「…優しくしないで…お願い」~夏時間
梓「今の私の幸せは憂とのキス3回分」~秋想奏
それではまた見掛けたら読んで下さいね
今回も読んで下さる皆さんに感謝です
~夏時間~秋想奏から続くお話なので、訳が分からなかった人はごめんなさいです
梓「…優しくしないで…お願い」~夏時間
梓「今の私の幸せは憂とのキス3回分」~秋想奏
それではまた見掛けたら読んで下さいね
95: 2010/09/20(月) 23:57:49.88
おつ!!
引用元: 梓「それが憂の答えなら」~秋追奏
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