1: 2021/09/03(金) 18:15:05.835
社長「諸君、本日緊急会議を開いたのは他でもない」

社長「我が社の主力商品である≪メチャうまんじゅう≫……」

社長「経営悪化により、この内容量を10個から9個に減らさねばならなくなった」

社長「生産部の部長君に、より安くまんじゅうを作る方法を検討させてるが、難しいだろう」

ザワッ…

「そんな……!」 「くっ……!」 「なんてことだ!」

社長「しかし、ただ内容量を減らしたのでは、企業イメージの悪化に繋がる」

社長「そこで≪メチャうまんじゅう≫を10個から9個にする上手い理由を考えねばならん!」

社長「どうか意見を聞かせてもらいたい」

2: 2021/09/03(金) 18:15:42.053
値下げ

3: 2021/09/03(金) 18:16:01.297
「9月…てのは何か使えませんかね…?」

4: 2021/09/03(金) 18:16:52.506
役員総出で頑張りましたが値上げさせてくださいってCMつくる

5: 2021/09/03(金) 18:16:57.238
箱を正方形にして陳列しやすくしました

6: 2021/09/03(金) 18:18:19.896
お値段据え置きで内容量だけ減るって…コト!?

9: 2021/09/03(金) 18:19:37.557
老社員「はい、社長」

社長「おお、君は嘱託で働いてくれている老社員君。なにか意見はあるかね?」

老社員「私が年を取って感じたことは、筋肉の衰えです」

社長「いきなり何を言い出すのかね?」

老社員「筋肉が衰えると、当然重い物が持てなくなります」

社長「それはそうだろうな」

老社員「そこで思いつきました。10個から9個に減らしたことで、重量が減ることをアピールすれば……」

社長「なるほど! 軽くなって持ちやすくなったと宣伝するわけか!」

10: 2021/09/03(金) 18:22:04.306
メチャうまんじゅうは10個から9個になった。

ワイワイ…

「へぇ~、“軽くなって持ち運びが便利!”か」

「あー、たしかに10個じゃ重たかったかもしれないな。9個の方がいいかも」

「ありがたいねえ。さっそくひと箱買っていこうかねえ」





社長「よしよし、上手くいったぞ……」

12: 2021/09/03(金) 18:25:17.434
社長「諸君、再び緊急会議だ」

社長「経営事情から、再び≪メチャうまんじゅう≫の内容量を減らさねばならなくなった」

社長「つまり、9個から8個に……なにかいい理由はないだろうか?」

女社員「よろしいですか」

社長「どうぞ。我が社は女性社員にも平等にチャンスを与えるのがモットーだ」

女社員「まんじゅうを食べる上で気になるのは、カ口リーです」

社長「たしかに」

女社員「つまり、8個に減らすことで摂取カ口リーが8/9になるとアピールすれば……」

社長「なるほど、カ口リーが気になるお客さんにウケる!」

13: 2021/09/03(金) 18:28:10.307
メチャうまんじゅうは9個から8個になった。

ワイワイ…

「え~、8個になっちゃったのか」

「だけど、これならカ口リーをあまり取らずに済む!」

「ダイエットしてる女子でも安心して食べられるわね!」





社長「そもそもダイエットしてるならまんじゅう食うなよって思うが、まあよしとしよう」

14: 2021/09/03(金) 18:32:18.734
社長「諸君……たびたびすまない。またも緊急会議だ」

社長「≪メチャうまんじゅう≫を8個から7個にしなければならない」

社長「どうか知恵を絞って、いい理由を考えてくれ!」

チャラ社員「自分、意見いいっスか?」

社長「我が社にこんなチャラい社員がいるとは。どうぞ」

チャラ社員「自分、外回り中よくスロットするんスけど、7が三つ揃うと最高なんスよね!」

チャラ社員「だから、ラッキーセブンってのをウリにすればいいんじゃないスか?」

社長「実にいいアイディアだ! だが、外回り中スロットやってたから減給ね」

チャラ社員「アンラッキー!」

16: 2021/09/03(金) 18:35:03.422
メチャうまんじゅうは8個から7個になった。

ワイワイ…

「お、ついに7個になったのか!」

「7個になったから食べると幸運が訪れます、だって!」

「よっしゃ買っていくか! まんじゅう食べて幸運ゲット!」





社長「幸運は手に入るけど、食べたまんじゅうはお尻からウン……おっと、失礼」

17: 2021/09/03(金) 18:38:16.130
社長「諸君、緊急会議を行う」

社長「≪メチャうまんじゅう≫を7個から6個にせねばならないほど、経営が苦しくなった」

社長「消費者を納得させるうまい理由を考えて欲しい!」

ギター社員「へい、社長!」

社長「ギターを持参してるとは、とんでもない社員がいたものだ。なんだね」

ギター社員「6といえばロック! 食えばロックになれるって歌えばいいのさ!」ギュィィィィン

社長「なるほど、ふざけた社員のくせにいい意見を出す」

ギター社員「センキュー!」ワァァァァァ…

18: 2021/09/03(金) 18:41:15.932
メチャうまんじゅうは7個から6個になった。

ワイワイ…

「なぁなぁ、このまんじゅう食うとロックになれるらしいぜ!」

「マジかよ! ぜってー食うぜ!」

「よーし、これ食ったら盗んだバイクで走り出すぜ!」





社長「よしよし好評だ。しかし、ロックにかぶれた若者達が暴走しなければいいが」

19: 2021/09/03(金) 18:44:08.825
社長「えー……もはや定例会議になってきた緊急会議を始める」

社長「≪メチャうまんじゅう≫を6個から5個にする時が来てしまった」

社長「なにか理由を……」

アメリカ社員「Go!」

社長「君はアメリカ生まれの社員だね。意見を述べてくれたまえ」

アメリカ社員「Go!」

社長「ゴーじゃなくて意見を……」

アメリカ社員「Go!」

社長「分かった、採用しよう」

21: 2021/09/03(金) 18:47:13.127
メチャうまんじゅうは6個から5個になった。

ワイワイ…

「パッケージにでかでかと『Go!』って書いてあるぞ」

「どういう意味だ?」

「よく分からんけど、これ食べると『Go!』って気分になるんだよな」





社長「勢いって大事だなってことがよく分かりました」

22: 2021/09/03(金) 18:50:44.530
社長「毎度お馴染み緊急会議を行う」

社長「≪メチャうまんじゅう≫を5個から4個にするあたり、それっぽい理由を考えてくれ」

祈祷社員「キエエエエエエエッ!」

社長「うわあっ!? なんだ、この祈祷師みたいな女性社員は……。呪術とか使いそう」

祈祷社員「ヒヒヒ……社長、4という数字から連想されるものはなんですか?」

社長「それはやっぱり……“氏”ではなかろうか」

祈祷社員「その通り。つまり、このまんじゅうを喰らうことで氏を克服する!」

祈祷社員「不老不氏のまんじゅう、と売り出すのです! キエエエエエッ!」

社長「なるほど、だけど不老不氏は絶対怒られるから、長寿ぐらいにしとこう」

24: 2021/09/03(金) 18:53:09.545
メチャうまんじゅうは5個から4個になった。

ワイワイ…

「これを食べると、氏を食べるから長生きできるって」

「甘くておいしいし、ホントに長生きできるかも!」

「ウチのおばあちゃんもこのまんじゅう食べるようになってから、すっかり元気になって……」





社長「なんか健康食品みたいなノリになってきたな」

26: 2021/09/03(金) 18:56:25.133
社長「えー、緊急会議を開く」

社長「ついに≪メチャうまんじゅう≫を4個から3個に減らさねばならなくなった」

社長「消費者どもに文句をいわれないよう、理由を考えてくれ」

社員「はい」

社長「ん、実に普通そうな社員が来たな。どうぞ」

社員「4は縁起が悪いですし3に変えました、でいいのでは」

社長「実に普通だ」

27: 2021/09/03(金) 18:59:05.074
メチャうまんじゅうは4個から3個になった。

ワイワイ…

「4個だと縁起悪いからあえて減らしたんだって」

「よく考えてくれてるな」

「3個なら安心して食べられるよ。やっぱり4って不吉なイメージあるし……」





社長「縁起を担ぐ人って多いんだな。うん、普通の感想しか出ない」

28: 2021/09/03(金) 19:02:33.906
社長「緊急会議! ≪メチャうまんじゅう≫! 3個から2個! 理由!」

新婚社員「社長、意見よろしいですか」

社長「君は新婚ホヤホヤ、新婚旅行は生意気にもグアムに行ったという社員君だね。どうぞ」

新婚社員「2個だと恋人同士、一人一個ずつ食べられるというところをアピールするのです」

新婚社員「そうすればラブラブカップルが買っていくこと間違いなしです!」

社長「なるほど」

新婚社員「ああ……早く帰って妻の全身を抱き締めたい……」

社長「私は君を単身赴任させたくなったよ」

30: 2021/09/03(金) 19:05:42.582
メチャうまんじゅうは3個から2個になった。

ワイワイ…

「メチャうまんじゅう、二人で一つずつ食べようか」

「うん……」

「これならカップルで買っても喧嘩せずに済むね! メチャうまんじゅう最高!」





社長「まさに狙い通り……だが、イライラするのはなぜだろう」

36: 2021/09/03(金) 19:09:15.768
社長「ついにこの時が来た……」

社長「≪メチャうまんじゅう≫を2個から1個にしなければならなくなった」

社長「消費者を怒らせない理由を考えてもらいたい」

副社長「よろしいですか」

社長「おお、我が右腕である副社長君」

副社長「やはり世の中、No.2よりNo.1です。2個より1個のがいい、という風に売り出すのです」

社長「なるほど」

副社長「そう……2より1の方がいいんです。2より1の方が……2じゃダメなんだ……2じゃ……1じゃなきゃ……」

社長「意見は採用するから、野心を剥き出しにするのをやめてくれないか」

37: 2021/09/03(金) 19:12:25.585
メチャうまんじゅうは2個から1個になった。

ワイワイ…

「メチャうまんじゅう、1個になっちゃったよ」

「だけど、2より1の方がいいよなぁ。金メダルと銀メダルじゃ全然違うし」

「メチャうまんじゅう食ってトップ取るぞーっ!」





社長「好評のようだ。私も副社長に足をすくわれぬよう気をつけねば……」

41: 2021/09/03(金) 19:15:30.010
社長「……諸君」

社長「≪メチャうまんじゅう≫が1個でも、経営が厳しくなってきた」

社長「こうなったら1個から0個にするしかない。なにかよい理由はないか!?」

社長「メチャクチャなのは分かってる! しかし、もう方法がないのだ!」

虚無社員「我から意見を申し上げる」

社長「おわっ! なんだこのラスボスにでもなりそうな社員は」

虚無社員「今の世は無駄が多すぎる。無駄な生命、無駄な空間、無駄な概念……」

虚無社員「全てを無に帰するべきなのだ」

虚無社員「ゆえにメチャうまんじゅうも0個になるのが道理なのだ!」

社長「今の話のどこに道理があるのかという気もするが、それもまた虚無か」

44: 2021/09/03(金) 19:18:12.080
メチャうまんじゅうは1個から0個になった。

ワイワイ…

「メチャうまんじゅう、ついに0個になったぞ!」

「なんでもこの世は無に帰するべきだから、こうなったらしいな」

「意味不明だけどつい買っちゃうよな!」





社長「……」

45: 2021/09/03(金) 19:21:31.790
専務「社長、よかったですな」

専務「≪メチャうまんじゅう≫、今では中身のない箱だけなのにたくさん売れてるようで」

社長「……」

専務「このままいけば、我が社の業績は回復……」

社長「本当にこれでいいと思ってるのかね?」

専務「えっ?」

社長「私は≪メチャうまんじゅう≫が好きだった。皆に食べて欲しくてこの商売をやってきた」

社長「なのに、箱だけ売って満足するなど、こんなことあっていいのか!?」

社長「私は……まんじゅうメーカーとして情けない!」

専務「おっしゃることはもっともですが、経営を考えると仕方ないかと……」

47: 2021/09/03(金) 19:24:31.692
社長「いや、私はきちんと≪メチャうまんじゅう≫を売りたい! たくさん売りまくりたい!」

専務「し、しかし……」

部長「ご安心下さい、社長」

社長「君は……生産部門の部長君!」

部長「ようやく長年の試行錯誤が実りました」

社長「というと?」

部長「まんじゅうを低コストで量産する画期的方法を……ついに編み出せたのです!」

社長「なんだと!? よくやってくれた!」

部長「これも社長らが粘ってくれたおかげですよ」

社長「よぉし……≪メチャうまんじゅう≫……増量だ!」

48: 2021/09/03(金) 19:27:36.087
専務「≪メチャうまんじゅう≫がかつてないほど売れています!」

副社長「どうやら、30個に増量したことで、さらに購買欲をかきたててるようで……」

副社長「我が社の業績が上がりに上がりまくってます!」

社長「ふふふ、そうか……」

社長「ならば次は50個に増やーす!」

副社長「おおっ、まだ増やすんですか!?」

社長「ああ、目指すはまんじゅう界の鶴瓶だ!」

社長「やはり、商品の内容量というものは増やすに限るな!」







おわり

49: 2021/09/03(金) 19:34:01.667

頑張ったな社長

引用元: 社長「商品の内容量を減らさねば……消費者の納得する理由を考えるぞ!」