1: 2015/09/19(土) 23:02:03.819
千夜「雑貨屋さんに売ってる1000円程度のものとはいえ……」

千夜「普段から生活に困ってるレベルの経済力のシャロちゃんがどうして指輪なんか……?」

千夜「……ま、まさか……」

千夜「シャロちゃん、ついにリゼちゃんにプロポーズを……!?」

4: 2015/09/19(土) 23:05:11.073
シャロ「あ、あの……リゼ先輩……」

シャロ「1000円程度の指輪で……ホントに申し訳ないんですが……」

シャロ「その……私と……」

リゼ「シャロ……」

 ぎゅっ

シャロ「ひゃっ!?」

リゼ「嬉しいよ……シャロ……」

リゼ「値段なんか関係ない……シャロのその気持ちだけで十分だ……」

シャロ「リ、リゼしぇんぱい……」




千夜「っていう展開になるの!?」

千夜「ついにあのシャロちゃんが行動を開始するの!?」

7: 2015/09/19(土) 23:09:56.940
千夜「……ここは親友として」

千夜「シャロちゃんを応援せざるを得ない……けど」

千夜「あんまりこういうのに深く介入しすぎるのもアレよね……」

千夜「とりあえず今はそっと影から見守ってあげるとして……」

千夜「そうね……今夜シャロちゃんちに少しお邪魔して」

千夜「さりげなく助言してあげるとか……その程度の方がいいのかしら」

8: 2015/09/19(土) 23:14:06.573
 夜

千夜「どうかしら? 新作の『淡い恋心』なんだけれど」

シャロ「この時期に桜餅ってのはどうなのよ……」

千夜「本格的な発売は来春の予定なんだけれど、名前だけ先に思い付いちゃって……」

シャロ「……恋心……かぁ……」

千夜(……シャロちゃんの憂いを帯びた表情……やっぱりリゼちゃんへのプロポーズで悩んでるのね)

千夜「そうね……もっと恋心を表現できるデザインの方がいいかしら」

シャロ「和菓子にそんなデザインを!?」

千夜「例えば、シャロちゃんは誰かに告白とかプロポーズするなら、どこが良いと思う?」

シャロ「ふぇっ!? な、何よ突然!?///」

千夜(あ……ちょっとドストレートすぎたかしら……?)

10: 2015/09/19(土) 23:19:25.760
シャロ「ど、どこって……夕焼けをバックに川辺……とか?」

千夜「あら素敵じゃない!」

シャロ「……ち……千夜だったら……どんな場所でどんな風に告白されたい?」

千夜(『する』じゃなくて『されたい』かを聞いてくる……やっぱりあくまで告白する側はシャロちゃん自身なのね!)

千夜(いいわシャロちゃん……受け身じゃないその姿勢とその勇気は今までに無いわ! 立派よ! 成長したわね!)

千夜(となると……ここは私の意見というよりリゼちゃんが好きそうな場所を答えてあげるべき……?)

千夜「うーん……そうね……銃撃戦の真っただ中とかどうかしら」

シャロ「ごめん意味がわからない」

12: 2015/09/19(土) 23:22:58.718
千夜「そう……シャロちゃんとその子は悲しい運命を背負って戦争に行くことになるの」

シャロ「あれ!? 私なの!? 千夜の意見を聞いてたのに登場人物私なの!?」

千夜「激しい銃撃戦……生きるか氏ぬかのその中で……」

千夜「ついに敵の弾丸がその子の体を貫いてしまう……」

シャロ「敵って何!? 何と戦ってるの私は!?」

千夜「ぐったりしたその子の体を抱え……涙ながらにシャロちゃんは呟くの」

千夜「ずっとあなたのことが好きでした……と」

シャロ「ごめん確かにシチュエーションはいいけど聞きたかった意見と大分違う」

千夜「そう?」

14: 2015/09/19(土) 23:27:25.493
シャロ「そうじゃなくて……普通にこう告白されたら嬉しいとか……そういうのって無いの?」

千夜「うーん……」

千夜(リゼちゃんならどんな風に告白されたら嬉しいのかしら……?)

千夜(リゼちゃんの性格から考えると……)

千夜「あれこれ場所とか考えるより……普段と変わらない場所でストレートに気持ちを伝えられたら嬉しいのかしら?」

シャロ「……何で疑問形?」

千夜「あっ、その……やっぱり難しいわね、こういう話って」

シャロ「もう……千夜から話振ってきた癖に」

千夜「ごめんねシャロちゃん。変な話しちゃったかしら?」

シャロ「そういうわけじゃないけど……あ、もうこんな時間……」

千夜「じゃあそろそろお暇するわね」

シャロ「うん……おやすみ」

16: 2015/09/19(土) 23:31:35.346
千夜(学校帰りに雑貨屋さん周辺を見回っていたら……)

千夜(案の定シャロちゃんが雑貨屋さんに!)

千夜(しかもこのお店ならこの間のお店より安く指輪が買えるわ!)

シャロ「う……ぐぐぐ……」

千夜(それでも出費が気になるのね……)

千夜(……でもここで私がお金を出してあげちゃうのは……それはプロポーズの指輪としてはちょっと……)

シャロ「……っ!」

シャロ「こ、これください! 二つ!」

千夜(! シャロちゃん……!)

シャロ「ぐ……ま、まだ私にはもやしという心強い味方が……」ブツブツ

千夜(シャ、シャロちゃん……!!)

17: 2015/09/19(土) 23:33:34.487
千夜(そしてその後ラビットハウスへ……)

千夜(カフェインで酔っぱらっちゃうシャロちゃんが……しかも大きな出費をした後なのにわざわざコーヒーを飲みにいくはずがない……)

千夜(……窓の外からそっと覗いてみましょう……)



シャロ「……」

リゼ「……」



千夜(!!)

19: 2015/09/19(土) 23:36:53.996
千夜(私の助言通り普段と変わらない……ラビットハウスの店内で!)

千夜(リゼちゃんにプロポーズしちゃのね!?)

千夜(で、でもいいのシャロちゃん!? 思いっきりココアちゃんもチノちゃんもいるわよ!?)

千夜(確かに普段と変わらない状況だけど……そういうときぐらい二人に席を外して貰うとか、店の奥で話させても貰うとか……)

千夜(うーん……それにしても窓の外からじゃ声は聞こえないわね……)


シャロ「……」

ココア「……? ……!」

チノ「……」



千夜(あら? ココアちゃんやチノちゃんとも話してる?)

千夜(やっぱり場所を変えさせて貰うのかしら?)

20: 2015/09/19(土) 23:39:35.933
シャロ「……」

リゼ「……」

ココア「……」

チノ「……」



千夜(何だか……プロポーズっていうより……)

千夜(みんなで相談しているような……)

千夜(何だか雰囲気が……違う……)


シャロ「……」


千夜(い、いけない! シャロちゃんがお店から出て来るわ! 隠れないと……)

 カランカラン

千夜「……もう行っちゃったかしら」

千夜(……結局……プロポーズはしてない感じだったわね……)

23: 2015/09/19(土) 23:42:49.111
チノ「……千夜さん?」

千夜「ひぃっ!?」

ココア「あ、ホントだ千夜ちゃんだー!」

リゼ「店の前で何してるんだ?」

千夜「い、いえ……ちょっと……」

リゼ「……早く家に帰った方がいいんじゃないか?」

千夜「え?」

リゼ「いや、その……何だ……ほら、あんまり遅いと家の人も心配するだろ?」

ココア「そ、そうだよ! それにシャロちゃんだって心配しちゃうよ?」

チノ「ちょ、ちょっとココアさん……」

ココア「あ、ごめんチノちゃん……」

千夜「?」

24: 2015/09/19(土) 23:46:57.784
千夜(何だか変な雰囲気だったわね……みんなして……)

千夜(でも確かにちょっと外を出歩き過ぎたきもするし……)

千夜(とりあえずこのまま真っ直ぐ家に……あら?)

シャロ「……」

千夜「シャロちゃん? 家の前で立ち止まってどうしたの?」

シャロ「ち、千夜!? どこ行ってたのよ! 心配したのよ!?」

千夜「えっ」

シャロ「おばさんに聞いてもまだ帰って来てないっていうし……」

千夜「あ、いや……ちょっとお散歩してたら長引いて……」

シャロ「まったくもう……それで……その……」

シャロ「……お店……今日はお手伝い無いんでしょ? おばさんから聞いたけど……」

千夜「え? ええ……」

シャロ「じゃあ……荷物まとめたら、ちょっとウチに来て」

千夜「?」

25: 2015/09/19(土) 23:50:04.983
千夜「お邪魔しまーす」

シャロ「い、いらっしゃい……と、とりあえず適当に座って」

千夜(……何だかシャロちゃん、緊張してる?)

千夜(どうしたのかしら……?)

シャロ「……ち、千夜……」

千夜「何? シャロちゃん」

シャロ「えっと……その……こ、これ……」

千夜「え?」

千夜(この包みって……あの指輪を買った雑貨屋さんの……)

シャロ「あの……ホント、安物で悪いんだけど……」

シャロ「誕生日……プレゼント……」

千夜「……」

千夜「え……?」

29: 2015/09/19(土) 23:55:11.016
千夜「わ……私への、プレゼント?」

シャロ「ほ、他に誰がいるのよ……」

千夜「そ……そうよね……」

千夜「……あ、開けてみてもいい?」

シャロ「ぅえっ、え、あ……う、うん……」

千夜「……」ガサガサ

千夜(シャロちゃんが買ってた……あの指輪……)

シャロ「ホ、ホントはもう少しちゃんとしたお店でちゃんとしたの買いたかったのよ!?」

シャロ「で、でも指輪って安いのでも高くって……いや、千夜へのプレゼントなんだからもっと高いの選んでも良かったんだけど……」

シャロ「でもでも今月の生活費が……いや千夜より生活が大事なわけじゃなくて……」

千夜「……ふふっ」

シャロ「ふぇ?」

千夜「ううん……ちょっと……」

千夜「私、すごい勘違いしてたわ」

シャロ「?」

31: 2015/09/19(土) 23:59:44.026
シャロ「あ、あと……その……変に思われるかもだけど」

千夜「? 何?」

シャロ「同じデザインの指輪……私も買ったから……」

シャロ「一緒に付けてたら……何か、ずっと友達でいられるかなって……」

千夜「あら……フフフ、シャロちゃんってばロマンチックなこと考えるのが得意なのね」

シャロ「へ、変なこと言うなぁ!」

千夜「シャロちゃんらしくていいわ。じゃ、一緒に付けましょう?」

シャロ「う、うん……」

 くっ

シャロ「……に、似合う?」

千夜「うん……シャロちゃんは似合うんだけど……」

シャロ「え? 私……は……?」




千夜「何か……この指輪ちょっとキツい……」

シャロ「えっ」

32: 2015/09/20(日) 00:01:08.693
シャロ「う、嘘っ、サイズ間違えて小さいの買っちゃった!?」

千夜「ううん……多分ちょっと私指の間接が変に出っ張ってて……」

千夜「あ……でも……」



千夜「薬指なら……入りそう……」



シャロ「!?」

35: 2015/09/20(日) 00:04:56.689
シャロ「ちょ、ちょっと薬指って……しかも何で左手に付けようとしてるの!」///

千夜「エンゲージリングになっちゃうわね」

シャロ「わかってるならやめてよ!」///

千夜「ダメ?」

シャロ「ダメっていうか……その……変じゃない!」

千夜「でもさっきシャロちゃん……私より生活が大事なわけじゃないとか言ってたし……」

千夜「あれって自分の生活より私の方が大事ってことよね?」

シャロ「ふぇぁっ!?」///

千夜「……遠回しなプロポーズって受け取ってもいい?」

シャロ「やっ……違っ……えっ、あっ……」///

シャロ「ち、千夜のバカぁあ!///」ペシーン!

千夜「ぁてっ」

37: 2015/09/20(日) 00:08:34.124
ココア「お邪魔しまーす」

千夜「いらっしゃーい」

ココア「千夜ちゃんお誕生日おめでとー!」

リゼ「一日遅れだけどな」

チノ「ごめんなさい千夜さん、ちょっと都合が合わなくなってしまって……」

千夜「ううん、いいのよ」

千夜(昨日……ラビットハウスで相談してたのは)

千夜(ひょっとして一日待って貰ってたとか?)

千夜(それとも買った後に誰かとプレゼント被ってないか気になり出して確認してたとか?)

千夜(……シャロちゃん的には後者かしら? それで皆が察して……って方が自然?)

千夜(……あんまり考えるとまた考えが暴走しちゃうわね)

41: 2015/09/20(日) 00:11:49.108
ココア「はい誕生日プレゼント!」

チノ「私からもどうぞ」

リゼ「私も」

千夜「みんなありがとう。そうそう……よかったら新作の和菓子があるから試食して行かない?」

ココア「いいの? わーい!」

千夜「実は自分で試食してみようかと思ってたところだからすぐ出せるわ」



千夜「はい、『気付かなかった想い』よ」

リゼ「この時期に桜餅か?」



 おわり

46: 2015/09/20(日) 00:20:26.161
乙!!

引用元: 千夜「シャロちゃんが指輪を眺めてる!?」