1: 2013/10/07(月) 23:53:08.43



――――PM3時:スターライト学園:食堂にて



蘭「なん……だって……?」


あおい「どうしたの?蘭」キョトン


蘭「いや……穏やか――なのか?あおい」


あおい「……?だって、こうして午後の空いた時間に二人でお茶できるんだもの。穏やかでしょ?」


蘭「あ、ああ……そうだな……穏やかだな……」


あおい「もう、変な蘭。フフフ……」


蘭「ハハハ……」


蘭(これは……穏やかじゃないな……)





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2: 2013/10/07(月) 23:54:45.45



――――PM6時:学生寮:蘭の部屋にて



蘭「皆、よく集まってくれた……」


おとめ「あい!」


さくら「丁度お仕事もなく、スケジュールも空いておりましたから……」


しおん「ぽわプリの活動予定もなかったしね……」


ユリカ「ふん、このユリカ様を呼びつけるなんていい度胸ね、血を吸うわよ!」


かえで「それで、どうかしたの、蘭?」


蘭「ああ、実は皆に相談したいことがあってな……」



3: 2013/10/07(月) 23:56:41.39


さくら「相談……ですか?」


しおん「それは構わないけど……そういえば、あおいちゃんは呼んでないの?」


かえで「そういえば見かけないね……どして?」


蘭「ああ、実はそのあおいのことなんだが……」


ユリカ「何よ、もったいぶらずに早く言いなさいよ」


蘭「ああ、実は今日……あおいが『穏やかね……』って言っていてだな……」


ユリカ「そ、それは……」


しおん「お、穏やかじゃないわね……」


さくら「あおい様……」


おとめ「あおいたん、何かあったんでしょうか……心配ですぅ……」


4: 2013/10/07(月) 23:59:22.73


かえで「……?『穏やか』って、いいことなんじゃないの?」キョトン


蘭「いや、だってあのあおいが『穏やか』って言っているんだぞ!?かえでだって、スターアニスの時にあおいと一緒に居たんだからわかるだろう?」ガタッ


さくら「蘭様、落ち着いて……」


かえで「で、でもでも、本当に穏やかだって感じた時はあおいちゃんだって『穏やかね』って言うんじゃないの?」


蘭「穏やかな時ですら、『穏やかじゃないわね』と言う……そういう奴なんだよ、アイツは……」


かえで「う~ん、日本語って難しいんだね……」


しおん(つっこんだ方がいいのかな……というか、蘭にまでボケにまわられると、ツッコミが私しか居ないのか……)



5: 2013/10/08(火) 00:01:18.56


ユリカ「……でも、あおいちゃんの様子がおかしいのってやっぱり……」


さくら「いちご様がいないから……なのでしょうか?」


蘭「……だろうな」


しおん「いちごちゃんと美月さんが学園を去ってからもう三日か……」


おとめ「うぅ……おとめもいちごたんがいなくて寂しいですぅ……」


ユリカ「あれだけいつも一緒に居たんですもの……寂しくもなるわよね……」


かえで「ねぇ、ストロベリーから連絡は無いの?」


蘭「無い――らしい。私にも無かったし。……皆は?」


さくら「私にもまだ……」


おとめ「おとめにも……」


ユリカ「ユリカ様にも……」



6: 2013/10/08(火) 00:03:13.48


しおん「まあでも、三日くらいなら入国手続きやらむこうでの生活の準備で時間が無いだけかもしれないし……」


かえで「まさか、パラシュートが風で流されて、電波の届かない所に着地しちゃったとか……!?」


しおん「いや、それはないと思う……」


蘭「『便りがないのは良い便り』とは言うけれど、便りを待つ身としてはもどかしいものがあるしな……」


かえで「『たよりがない』……Non!ストロベリーは頼りなくなんかないよ!」


蘭「いや、そういう意味じゃなくてだな……」


しおん(良かった。蘭の調子が戻ってきた……)



7: 2013/10/08(火) 00:05:34.69


蘭「まぁというわけで、何かあおいを元気づける方法はないかと思って……」


さくら「私達に相談したということですね?そういうことでしたら……」


おとめ「おとめ達も協力させていただきます!」


しおん「アリスのオーディションの時は私が助けられたし、今度は私があおいちゃんの力になってあげないと……」


蘭「ああ。ありがとう……」


かえで「――で、具体的にはどうするの?」


ユリカ「そうねぇ……例えば――――」



8: 2013/10/08(火) 00:09:07.24


蘭(――やっぱり皆に相談して良かったな……皆真剣にあおいのことを考えてくれているし……)


蘭(そういえば、スターアニス時代も、こうして皆が話し合っているのをあおいと眺めていることが多かったな……まぁ、ツッコミはほぼ私とあおいで担当していたようなものだし……)


蘭(スターアニス結成前もそうか。皆でいる時は、二人でこうして皆を見守って――)


蘭「――何なんだろうな……この気持ちは……」ボソッ


蘭(あおいに元気になってほしい――この気持ちに嘘はない。ただ、ひとつの疑問が頭に浮かんで離れない……)



――私がトライスターに加入した時も、あおいは同じように寂しく思ってくれたのだろうか……?――



蘭(あの時も、状況は今と似ている。離れたのが私かいちごかの違いだけで。あの時も、あおいは今のように――そんなことを思ってしまう自分もどこかにいて……)



9: 2013/10/08(火) 00:11:42.67


蘭「――なんて、まるで嫉妬しているみたいだな……」


ユリカ「ちょっと蘭、聞いているの?」


蘭「えっ?……ああ、すまない。何だって?」


ユリカ「もうっ!ちゃんと聞いていなさいよね……」


蘭「悪かったって……で、どうなったんだ?」


さくら「六人で話していても話が中々まとまらないので、各自で『自分が同じような状況になった時にして欲しいことを実践してみよう』ということになりまして……」


かえで「まぁ一番はストロベリーが帰ってくることなんだろうけど、それは難しいだろうからね……」


おとめ「おとめは、皆でいちごたんのいるアメリカに行きましょうって提案したんですけれど……」


しおん「それは却下で……いちごちゃんにも学園の人たちにも迷惑かかっちゃうでしょう?」


おとめ「うぅ……残念です……」



10: 2013/10/08(火) 00:14:10.80


ユリカ「ま、貴方が考える方法が一番効果があるとは思うから、今日は貴方にお任せして、私達が実践するのは明日にしようかと思うのだけれどね……」


蘭「私の……?」


ユリカ「当然でしょう?伊達にこの中で一番付き合いが長いわけじゃないでしょう?……それに、蘭さんは面倒見が良いから……私も何度か助けられたし……あおいちゃんのことだってきっと――」


さくら「あの……ユリカ様、途中からキャラが……」オロオロ


ユリカ「~~////と、とにかく!貴方がきちんと支えてあげるのよ!同じユニットの仲間として、親友として!!このユリカ様が――」


蘭「応援してあげなくもないって?」ニヤニヤ


ユリカ「人のセリフをとらないの!!頼んだわよ、美しき刃!!」////


蘭「ああ、任せておけ……」


蘭(今はまず、あおいに元気になってもらわなきゃな……さて――)



11: 2013/10/08(火) 00:17:49.33



――――PM9時:再び蘭の部屋にて



ガチャッ


あおい「お邪魔しま~す」


蘭「ああ。よく来たな」


あおい「フフッ、まさか私がこうして蘭の部屋にお泊りに来る日が来ようとはね~」ニヤニヤ


蘭「な、なんだよ……」


あおい「いえいえ。ただ、こうして布団と枕を抱えてやって来るのは蘭の専売特許だと思っていましたから~」


蘭「別に専売特許じゃない!人を寂しがり屋みたいに言うな!!」


あおい「え~でも今日だって蘭からのお誘いだったわけですしぃ~」


蘭「そ、それはそうだけど……」



12: 2013/10/08(火) 00:21:03.00


あおい「あはは…………心配かけちゃったかな?」


蘭「……何のことだ?」


あおい「…………ありがと。そんなに変だったかな、私」


蘭「いや……いつも通り、あおいは穏やかだったよ」


あおい「フフフ……そっか、顔には出さないようにはしてたんだけどな……蘭には気づかれちゃったか」ニコッ


蘭「……とりあえず座ったらどうだ?」


あおい「ではお言葉に甘えて……」スッ


蘭「……」


あおい「……」



13: 2013/10/08(火) 00:22:46.00


あおい「……私から話したほうがいいのかな?」


蘭「いや、無理に話すことはない……」


あおい「でも――」


蘭「無理に話すことはない――が、今日だけは側に居させてくれ


あおい「側に……?」


蘭「……一人でいると、物事を悪い方考えちゃうだろ?」


あおい「それは蘭の経験談?」


蘭「さて――な……」



14: 2013/10/08(火) 00:26:25.56


あおい「そっか……でもま、やっぱり話すよ」


蘭「ああ……」


あおい「……まぁ、察しの通り、いちごが居ないことが我ながら随分堪えちゃったみたいで……」


蘭「ああ……」


あおい「思えばいちごと出会ってから、ここまで離れたことって無かったから……空になったいちごのベッドを見るたびに『ああ――もう気軽に会うことも出来ないんだな』って自覚させられて……」


蘭「ああ……」


あおい「それでいちごから全然連絡ないわけでしょ?いちごが心配なのもあるんだけど、『いちごは私が居なくても平気なんだ』って考えちゃって……私の身勝手な話だけどね……」

蘭「ああ……」


15: 2013/10/08(火) 00:27:39.22


あおい「……さっきから『ああ……』しか言わないね、蘭」


蘭「……私もいろいろ考えたんだが、どんなに言葉を尽くしても、私はいちごにはなれないし、いちごをここに連れてくることは出来ない……」


蘭(そう――私はいちごにはなれない。私じゃあおいをここまで寂しがらせることが出来なかったように……)


蘭「……でも、話を聞いてやるくらいは出来る。寂しい時にそばに居てやる事ができる――そんな親友が近くにいることを教えてやるくらいはできるかなって思ってさ……」


あおい「そっか……優しいんだね、蘭は」


蘭「そんなことはない……ま、強いて言うならば、『そこまでいっぱいいっぱいなら、あおいの方から電話でもかけてやればいいんじゃないか』とは思うがな」


あおい「さっすが『美しき刃』。アドバイスもストレート」パチパチ


蘭「うるさいっ////……で、どうなんだそこんところ」



16: 2013/10/08(火) 00:29:24.37


あおい「う~ん、もちろんそれも考えたんだけど……」


蘭「だけど?」


あおい「……私いちごがアメリカに行った後に決めてたんだ。『最初の電話は私からはかけない』って」


蘭「……?何でだ?」


あおい「……ほら、私、いちごのアメリカ行きの時は笑顔のままで送り出せたじゃない?」


蘭「空港から帰ってきてからは大泣きだったけどな……」


あおい「そ、その節はお世話をかけました……とにかく、いちごに気持ちよく旅立ってもらったのに、私からすぐ電話をかけちゃったらなんだか足を引っ張っちゃってるみたいで……」


蘭「いちごに後ろ髪引かれる思いをさせたくなくて、そんな自分ルールを作ったと?」


あおい「うん……まぁ、結局は自分で自分の首を絞めちゃったみたいだけどね、あはは……」


蘭「あおい……」



18: 2013/10/08(火) 00:31:27.40


ピ口リ口リン


あおい「あれ?着信……いちごから!?」


蘭「私とあおいにグループ通話!?」


ピッ


いちご『あ、もしも~し!あおい、蘭、聞こえる~?』


あおい「いちご!いちごなの!?」


いちご『うんっ。星宮いちご、in ∪SA!』


蘭「そっちは確か……朝8時くらいか?」


いちご『うん!でもすごいね、こっちに着いたら時間が巻き戻ってたからびっくりしちゃった』


蘭(時差も知らずによく外国に行こうと思ったな……)


あおい「経度が違うからね。緯度はそんなに違わないから、季節は日本と変わらないはずだけど……」


いちご『井戸……?私こっちでまだ井戸を見たことないよ?』



19: 2013/10/08(火) 00:32:43.90


蘭「ハハハ……にしても、何日も連絡なかったからびっくりしたぞ、どうしたんだ?」


いちご『ご、ごめん。アイカツフォンで国際電話をかける方法がわからなくって……今こっちのスタッフの人にかけ方を教えてもらったんだ~』


あおい「そっか……でも無事でよかった……私、私……」ウルウル


いちご『あおい……泣かないで……私は元気だよ?』


あおい「うんっ、そうだね……そうだよね……聞かせて、アメリカでのいちごのアイドル活動」


いちご『うん!まずはね……』


蘭「まったく……」



20: 2013/10/08(火) 00:34:21.10


蘭(私じゃあおいのこの笑顔を引き出すことは出来ない……あんな寂しい思いをさせることも出来ない……どっちのあおいも、作り出したのはいちご、お前なんだ――)


蘭(でもなんだろうな……二人の楽しそうに話している姿を見ていると、さっき感じた焦りや不安が無くなったな……)


蘭(さっきの感情が、単なる子どもじみた嫉妬なのか、はたまた別な感情なのかはわからない……でも、今はただ――)


蘭「へぇ~そうなのか。私もいつかそっちでモデルの仕事をしてみたいな」


いちご『あ……でもこっちだとあまりワカメが売ってる店ってないけど大丈夫……?』


蘭「いや、ワカメは別に売ってなくても……カバンに入れて持って行けば……」


あおい「結局必要なんだ!?」


蘭(久々に満喫するとしよう……私が見つけた、私の輝ける場所-ソレイユ-を……)



21: 2013/10/08(火) 00:35:46.23


いちご『あ……そろそろ出なくちゃ……それじゃぁあおい、蘭、また連絡するね!』


蘭「ああ……」


あおい「うん……頑張ってね、いちご」


いちご『うんっ、それじゃあ!』


ピッ


あおい「……」


蘭「……」


あおい「……なんだか、見計らったかのようなタイミングだったね」


蘭「ああ、嵐のように来て嵐のように去っていったがな……で、どうだ?いちごと話せて、少しは――」


あおい「……」


蘭「……あおい?」



22: 2013/10/08(火) 00:39:32.26


あおい「フフフ……アハハッ、いちごってば全然変わらない!」


蘭「あ、ああ……」


あおい「初めて外国に行って、これから一人でアイカツするっていうのに、ほんとにいつも通りなんだもの!小さい事で悩んでいた私がバカみたい……」


蘭「ああ……私達も負けてられないな」


あおい「ええ、頑張ってアイカツしなきゃ……そして、いつかまた再結成しなきゃね、私達のユニット『ソレイユ』を!」


蘭「ああ、アメリカ帰りのいちごに負けないようにしないとな……と、いうわけで」


あおい「夜だけど……行きますか、ランニング!」



23: 2013/10/08(火) 00:43:11.76


蘭「ああ……どうせなら皆にも声かけてみるか?あおいの完全復活の報告も兼ねて」


あおい「えぇっ!?蘭ってば、どこまで相談の輪を広げてたの~?」


蘭「さて――な、親友のためなら恥も外聞も捨てて、色んな人に相談しちゃったかもな~」


あおい「ちょっと、それは恥ずかしい~」


蘭「ははっ、冗談だよ」


あおい「もうっ、穏やかじゃないわね!」



おわり


24: 2013/10/08(火) 00:48:21.46
おつおつ
三人でいるのが一番輝いてるけど、いちごちゃん挟まない蘭ちゃんとあおいちゃんの関係もなかなか穏やかじゃないよね

引用元: あおい「穏やかね……」蘭「!?」