1: 2012/12/10(月) 21:32:53.90
-教会-

ほむら「久しぶりね、佐倉杏子」

杏子「よう、ほむら。久しぶり。
   アンタから連絡があるなんて、めずらしいじゃんか」

ほむら「ふふ、実はちょっとお願いがあってね……」

杏子「お願い?」

ほむら「教会を貸して欲しいのよ。その……挙式を上げるために」

杏子「マジか!」

3: 2012/12/10(月) 21:34:16.33
杏子「あ~、でもアンタら、ワルプルギスの夜の後から、ずっと同棲してただろ?
   もう15年か?
   今更結婚なんてしてもしなくても同じじゃないのか?」

ほむら「同棲って……。鹿目家に居候していただけよ。
    まあ私も今更形にこだわるつもりはないのだけど、ひとつの節目というか」

ほむら「私たちの場合は、日本の法律上どうしても無理だったから。
    それが今度、やっと結婚できるようになったからね」

4: 2012/12/10(月) 21:35:23.63
杏子「ふーん、なるほどねー」

杏子「ただ前にも言ったけど、この教会はもう私のものじゃない。別の人間が所有してる。
   今の私は、この教会に住み込みで働いている掃除のおばさんさ」

ほむら「ええ、分かっているわ。
    それでも<ここ>は、私たちにとっては、<あなたの教会>なのよ。
    もちろん後で、所有者の方にも話をするけど、まずはあなたに許可を取っておこうと思って」

杏子「まあ好きにすればいいさ。
   こんな寂しいところじゃなくて、ちゃんとした教会なりホテルなりの方が良いんじゃねーの?」

ほむら「いえ、私たちはやっぱり。あなたの教会で式を挙げたいわ。
    思い入れがあるところの方がやっぱり良いのよ」

杏子「まあ、そう言うことなら、分かったよ。
   所有者にも私から言っておくよ。そのくらいの融通は利くさ」

8: 2012/12/10(月) 21:37:27.66
ほむら「魔法少女のお仕事はどう?」

杏子「最近はソウルジェムの濁りが少なくてな。
   グリーフシードもあまり必要なくなってきてるから、なるべく若手にやらせるようにしてるよ」

ほむら「年齢を重ねるごとにソウルジェムの濁りが鈍くなってる。
    おそらく、感情が高ぶったり絶望することがなくなってきたから。
    私たちは色々なことを経験して、諦めも妥協も覚えた。
    希望を捨てることがイコール絶望ではないことも知った。
    感情をコントロールする術も身につけた。
    少女から大人の女になることで、魔法少女のシステムから外れかけているのかもしれない」

杏子「……なあ、ほむら。
   大人の女って響き、工口くないか」

ほむら「なんでこの流れで中学生みたいなことが言えるのかしら?」

杏子「まあ後は、経験の差だな。
   同じように魔力を使っているようでも、昔より効率良くコントロール出来ているんだろう。
   たぶん、魔力の消費が少ないから、濁りも少ないんだ」

ほむら「そうね。戦闘に関しては、そう言うことだと思うわ」

9: 2012/12/10(月) 21:38:44.11
ほむら「マミとは会ってる?」

杏子「いや……最近は全然だな。さやかとは良く会うんだけどな。」

ほむら「たまには会いに行ってあげなさいよ。寂しがってるわよ?」

杏子「いやー。マミに子供産まれてから行きづらいんだよ。
   旦那とも顔合わせづらいし」

ほむら「あなたがそんな事を気にするとわね。
    昔はそれこそ同棲しているようなもんだったのに」

杏子「いやいや。昔は確かに飯をたかりにいったけどな。悪かったと思ってるよ。
   今思えば旦那とのデートの邪魔したことも何度かあったしな……」

ほむら「ふふ。マミは気にしてないと思うわよ」

杏子「それなら良いんだけど。
   まあでも、……そうだな。今度、連絡とってみるか」

10: 2012/12/10(月) 21:40:31.11
ほむら「あなたはどうなの?」

杏子「あん?」

ほむら「恋人はいないのかしら?」

杏子「残念ながら、独り身さ。でも私は別に、このままでも良いと思ってる」

ほむら「そんなこと言ってると手遅れになるわよ」

杏子「良いんだよ別に。まあ、なるようになるさ。
   私のことよりさやかだよ。
   この前も一人失恋旅行に行ってたみたいだけど、悲しすぎるだろアレ」

ほむら「……あれ時々明るい文面で写メが来るのが怖すぎるのよね。
    すっごく明るい写真のはずなのに、全体から悲しみのオーラが半端なく出てるのよ」

13: 2012/12/10(月) 21:41:35.76
ほむら「じゃあ、そろそろ失礼するわ。
    今は色々あって無理だけど、落ち着いたら遊びに来て欲しいわ。
    まどかも喜ぶと思うし」

杏子「ああ、わかった。
   まどかによろしく言っといてくれ」

杏子「教会の件は、まかせときな」

18: 2012/12/10(月) 21:44:43.63
-マミ家-

ほむら「こんにちは、マミさん」

マミ「いらっしゃい、暁美さん。
   良く来てくれたわね。まあ、上がって?」

ほむら「今日は旦那さんは?」

マミ「子供を連れて、公園に行ってもらっているわ」

ほむら「わざわざすみません。迷惑でした?」

マミ「全然! 私も久しぶりに会えて嬉しいわ!」

19: 2012/12/10(月) 21:46:12.12
マミ「魔法少女の活動を休止してから、あなたたちとはあんまり会う機会がなくて。
   ちょっと寂しかったのよ。
   佐倉さんもちっとも来なくなっちゃったし」

ほむら「実は午前中に杏子の所に行ってたんですけど、あの子なりに遠慮している風でしたよ」

マミ「そんなこと気にしなくても良いのにな。
   もちろん、あなたもよ、暁美さん」

ほむら「はい」

21: 2012/12/10(月) 21:47:02.59
ほむら「魔法少女の活動は、やっぱり休止してるんですね」

マミ「ええ。流石に子育てをしながら出来るほど、魔法少女は甘くないわ」

ほむら「グリーフシードは足りてます?」

マミ「それは大丈夫。もともと貯めていた分があるし、それに慕ってくれる後輩がね、ときどき届けてくれるの。
   口は悪いんだけど、良い子よ。佐倉さんみたいな感じかな?」

23: 2012/12/10(月) 21:48:59.56
ほむら「お仕事は、まだ続けてらっしゃるんですか?」

マミ「もちろん。
   魔法少女として活動できない分、こっちは頑張らないとね」

ほむら「そういえば、ずっと聞きそびれていたんですけど、マミさんはなんで保育士になったんですか?」

マミ「そうね……。暁美さんには話したことなかったか。
   私が保育士になったのはね。魔法少女として魔女退治をしていても、それだけでは解決にならないと思ったからなの」

マミ「前に佐倉さんが言っていたけど、魔女に魅入られるような人は、遅かれ早かれ氏んでしまうことが多いの。
   口づけは、きっかけにしか過ぎないのね。
   当時の私は、そのことに気づくことは無かった。
   正義の魔法少女は、悪の魔女を倒せばハッピーエンドだと思っていたから……」

マミ「実際には、使い魔や魔女を倒しても、その後で自頃してしまったりすることがある。
   もちろん例外はあるわよ。あなたのクラスメイトの仁美さんとかね。
   あのときはたまたま弱っていた心につけ込まれただけで、その後は自殺なんてすることはなかった。
   だけど、くり返し氏のうとする人もいる……」

マミ「保育士になったのはね。
   精神が幼い子供は、魔女に魅入られやすいでしょ。それは、魔女を倒せば救われるんだけど。
   だけど、やっぱり強い心を持って、魔女に魅入られないようになって欲しい。
   大人になっても、強い心を持ち続けて欲しい。
   そんな願いを込めて、私は保育士として、できることをやっているつもりよ」

24: 2012/12/10(月) 21:50:00.72
ほむら「そんな考えがあったんですね……」

マミ「ふふ。でもね。これも私のワガママなのかもね。
   どうあがいても、救えない人たちはいる。私はそれを切り捨てて、助けられる人だけを助けている。
   いえ、助けている気持ちになっているだけかもしれない」

ほむら「そんな!
    ……そんなこと、ないですよ」

ほむら「すごく、立派、だと思います」

26: 2012/12/10(月) 21:51:35.80
マミ「しかしあなた。プライベートで会うと大人しいわね……」

ほむら「はい」 ///

マミ「魔法少女の時はあんなに気が強いのにね。
   私のことも呼び捨てだし?」

ほむら「そ、それは……」 ///

マミ「ふふ。攻めてる訳じゃないけどね。もっと心を許してくれてもいいのに」

ほむら「いえ、そう言うわけではないんですけど……。
    マミさんは……魔法少女のイロハを教えてくれた師匠ですし、私の尊敬する魔法少女ですから」

ほむら「ただその、……戦闘のときは、やっぱりあんな感じになってしまって……すみません」

マミ「良いのよ。気にしてないわ」

28: 2012/12/10(月) 21:53:31.91
マミ「ところで、何か用があって来たんじゃないのかしら?」

ほむら「あ、そうでした」

マミ「私は別にお茶会だけしてても良いのだけどね?」

ほむら「ええ、私も、半分くらいは、お茶会目的です」

ほむら「もう半分はですね、実は結婚することになりまして」

マミ「あら。おめでとう! 相手は鹿目さんかしら?」

ほむら「はい」 ///

29: 2012/12/10(月) 21:54:54.90
マミ「でも私の次は美樹さんだと思ってたけど……意外だったわね」

ほむら「あの……さやかはこの前、別れたらしいですよ」

マミ「えええっ! あれだけ仲よさそうだったのにっ!」

ほむら「はい……。一人で失恋旅行に行ってました」

マミ「それは……悲しすぎるわね……」

ほむら「ええ……」

31: 2012/12/10(月) 21:55:59.13
ほむら「それじゃ、今日はこの辺りで失礼します」

マミ「あらそう? もっとゆっくりしていっても良いのに」

ほむら「いえ、あまり長居をしてしまうと……旦那さんやお子さんにも悪いですし」

マミ「そんなに気にしなくても良いのに……。
   今度は鹿目さんも連れてきてね。
   美樹さんも、佐倉さんも呼んで、お祝いしたいわ」

ほむら「そうですね。久しぶりにみんなでお茶会、したいですね」

33: 2012/12/10(月) 21:58:57.77
-さやか家-

ほむら「こんばんは、美樹さやか」

さやか「おー、転校生。どしたー?」

ほむら「……連絡したわよね? 今日行くって」

さやか「あー、今日だったか。悪い悪い。忘れてた」

ほむら「相変わらずね……」

34: 2012/12/10(月) 22:00:11.84
さやか「そんで、何用じゃ?」

ほむら「あなた、だらしなさそうな雰囲気なのに、部屋はしっかり片付いているのよね。
    自炊もするし、意外と女子力(笑)高いのかしら」

さやか「その『女子力(笑)』に悪意を感じる……」

ほむら「いえ、あなたは美人だし、スタイルも良いし、女子力(笑)も高いのに、
    なぜ彼と別れたのかと思って……」

さやか「いやー。あれはさー。まあ細かいすれ違いってのもあったんだけど。
    一番の決め手は、結婚したら仕事を辞めるかどうかってとこなのよ。
    私は看護師の仕事を辞める気はないんだけど、ヤツは仕事を辞めて家に居て欲しいわけね」

35: 2012/12/10(月) 22:01:29.07
さやか「色々話し合ったんだけど駄目だね。一回こじれちゃったら、もう無理。泥沼。
    あとはお互いただの悪口の言い合いになってね」

さやか「旅行先で別れちゃった」

ほむら「あの失恋旅行ってまさか!」

さやか「そ。その旅行」

ほむら「まさに失恋ほやほやだったわけね」

さやか「どっかにいい男は転がってないかな」

ほむら「失恋したてでその発言はどうかと思うわよ」

さやか「ほむらの会社にいい人いない?」

ほむら「いても紹介しないわよ」

さやか「残念っ」

36: 2012/12/10(月) 22:04:20.88
さやか「ゲスい言い方だけど、恭介ってかなりの優良物件だったよね。
    幼馴染みだったから気づかなかったけど割とイケメンだし、金持ちで優秀なバイオリニストでさ。
    何か惜しいことをしたなあとか思っちゃうわけよ」

ほむら「急にどうしたのよ」

さやか「中学生の頃さ、確かに恭介のことは好きだったし、恭介のために願いを使ったりしたけどさ。
    後になって考えると、もしかしたら思春期で男の子を意識し始めたときに、一番近い位置にいただけかもしれないなあ、って。
    初恋ってそんなもんじゃない?」

ほむら「……」

さやか「実際のところ、何年かしたら未練もなくなったし、仁美のことも素直に祝福できるようになったしね。
    仁美は本気で恭介のことを好きになってたからね……」

ほむら「仁美の献身は見ていて分かるけど、あなたも結構なものだったと思うわよ」

37: 2012/12/10(月) 22:07:06.44
さやか「でも今になるとねえ、ほら……。もう色々妥協するんだよ。分かるでしょ?
    そうすると『ああ、恭介惜しかったなあ……』とかね。たまーに思っちゃうわけよ……」

ほむら「まあ……分からないでもないわ」

さやか「でも恭介と結婚ていうのは無理だよねえ……
    恭介はアレで結構メンタル弱いから、常に支えてくれる人が隣に居ないと駄目なんだよ」

ほむら「知ってるわ。ある意味では、あなた以上に彼のことを知っているわ」

さやか「仁美は凄いよね。お稽古事とかレッスンとかずっとやっててさ、それまで積み上げてきたものとか、
    そういうの全部捨てて恭介と一緒になろうとしててさ」

さやか「私は無理だね。やっぱり今の仕事に誇りを持っているし。
    魔法少女としての活動も止められないしね」

38: 2012/12/10(月) 22:08:50.97
ほむら「あなたその割には仕事の愚痴が多いじゃないの」

さやか「いやー。それはもう仕方ないよ……。
    仕事が大変なのはまあ我慢できるんだけど、人間関係がね……」

さやか「患者さんに感謝されるとさ、嬉しいし、それで癒されるんだけど。
    中には看護師を奴隷みたいに扱うヤツもいるしさあ。
    自分のミスじゃないのに怒られるなんて日常茶飯事だし、
    その割に可愛いだけの甘えた新人がちやほやされたりしてさ」

ほむら「ストップ。それ以上は止めましょう」

さやか「そうだね……。うん。止めよう」

39: 2012/12/10(月) 22:10:16.46
さやか「でさー。最近、出会いがなくてちょっとね……。アラサー女子としては、危機感を感じているわけですよ。
    このままいつまでも独り身なんじゃないかと思うとね……」

ほむら「職場に出会いは……まあ、無理かしらね」

さやか「うん……ちょっとね……もう医者とか看護士はいいや。
    それよりさぁ、合コン設定してよ」

ほむら「いやよ! 前に開催したとき、とんでもないことになったじゃない!
    もう二度とあなたと合コンはしないわ!」

さやか「えー。親友を助けると思ってさー」

ほむら「残念だけど他を当たって頂戴」

さやか「けちー」

41: 2012/12/10(月) 22:11:26.48
ほむら「……こうやってさやかと話していると、ちょっと安心するわ」

さやか「お、さやかちゃんの母性に目覚めちゃった?」

ほむら「それはないわ」

さやか「否定するのが早いよ!」

42: 2012/12/10(月) 22:13:09.02
ほむら「正直言って私の周りは特殊な人が多いのよ。
    杏子は聖女、マミは聖母、まどかは天使、といったところかしら」

さやか「さやかちゃんは?」

ほむら「他人に対する愛とか、自己犠牲の精神が強すぎて。
    それはもちろん、素晴らしいことなのだけど……」

さやか「……さやかちゃんは?」

ほむら「マミは自分が氏にそうだったから仕方ないとしても、その後は他人を守ろうと闘っている。
    杏子もあなたも、他人のために願いを使っている」

さやか「さやかちゃんキタ!」

ほむら「まどかも契約するとしたら、他人のため……(とかネコとかマミのためとか……)」

さやか「でも転校生もまどかのために契約したんでしょ?」

44: 2012/12/10(月) 22:15:32.69
くぅ~疲れましたw これにて完結です!
実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、まどか達のみんなへのメッセジをどぞ

まどか「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」

さやか「いやーありがと!
私のかわいさは二十分に伝わったかな?」

マミ「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」

京子「見てくれありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」

ほむら「・・・ありがと」ファサ

では、

まどか、さやか、マミ、京子、ほむら、俺「皆さんありがとうございました!」



まどか、さやか、マミ、京子、ほむら「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」

本当の本当に終わり

45: 2012/12/10(月) 22:15:40.12
ほむら「私の願いは結構な自己満足なのよ」

ほむら「私は、自分を変えたかった。“まどかを守れる自分”になりたかったの。
    まどかを助けたかったわけではないのよ……」

ほむら「そこには、まどかを助けて感謝されたい、仲良くなりたいという独善的な想いがあった。
    更に言えば、願いの効果で助けるのではなく、私自身の力で助けることで、
    恩を売れるという打算的な考えもあったに違いないわ」

さやか「うーん。それは違うと思うよ。
    私バカだから上手く言えないけど、転校生はさ、そのとき本心からまどかを救いたいと思ったんだよ」

さやか「だけど、マミさんも氏んじゃってるし、ワルプルギスの夜は迫っていて街は崩壊している。その惨状を見て。
    きっと、みんなを救いたいと思ったんじゃないかな。そのためには、“やりなおす”必要があったんだよ。
    だから転校生はさ、まどかを守るための盾の他に、やり直すための砂時計があるんだよ」

ほむら「!!!」

46: 2012/12/10(月) 22:17:34.21
ほむら(そうか……、今まで考えたことはなかったけど、そうかもしれない)

ほむら(それが事実はどうかは分からない。インキュベーターの考えることは分からないから)

ほむら(だけど……)

ほむら「ありがとう、美樹さやか。
    今のあなたの言葉で、私は救われたわ」

ほむら「ありがとう……」

さやか「転校生……」

さやか(泣いてる……。どうしよう……。結構適当に喋ったんだけど……)

48: 2012/12/10(月) 22:18:52.12
ほむら「見苦しいところを見せてしまったわね」

さやか「あはは。気にしない気にしない」

ほむら「それじゃ、そろそろ失礼するわ」

さやか「あれ? 転校生って結局何しに来たの? 用事があったんじゃ……?」

ほむら「あ……。忘れていたわ……」

さやか「まあ私としては、ただお喋りするだけでも良かったけど」

ほむら「ふふ。私もそうよ。半分は、あなたとお喋りするのが目的」

さやか「おおう。転校生がデレとる……」

49: 2012/12/10(月) 22:20:32.99
ほむら「もう半分は、報告。
    実は、結婚することになって。鹿目ほむらになるわ」

さやか「おおー、ついにかー。おめでとう-。
    いやー、15年くらいかな? 長かったねー」

ほむら「違うわよ。そんなに昔からつきあってはいないわ」

さやか「でも出会ったのは中2のときでしょ?」

ほむら「そうね。出会いはそうよ」

ほむら「でも、意識するようになったのはずっと後。
    つきあい始めたのは、ここ1~2年のことなのよ」

さやか「そうかなぁ。
    てっきり、ワルプルギスの夜を倒して、まどかの家に住み始めてから、
    すぐにつきあい始めたものかと思ってたけど。
    イチャイチャが半端なかったよ?」

50: 2012/12/10(月) 22:21:39.53
ほむら「あ、あのねえ」

ほむら「まどかの家に住み始めたときは、まだ3歳よ? 私にショタコンの属性はないわよ。
    確かに可愛いな……とは思っていたけど」 ///

さやか「おお、惚気ですか?」

ほむら「茶化さないでよ」 ///

52: 2012/12/10(月) 22:23:33.61
ほむら「でも実際、たっくんのことは、まどかの弟としか見てなかったわ。
    たっくんの方も、姉の友達とか、もう一人のお姉ちゃんくらいの感じだったわよ」

ほむら「意識し始めたのは中学生の頃ね。
    つきあい始めたのは高校生になってからよ」

さやか「転校生……」

ほむら「なによ」

さやか「中学生(10代前半)に特別な感情を抱くのは立派なショタコンだと思う」

ほむら「違うのよ! 急に真面目な顔しないで!」

53: 2012/12/10(月) 22:25:06.49
ほむら「もういいわ。私はあくまで、鹿目タツヤのことが好きなのであって。
    ショタコンだったわけではないわ」

ほむら「言っておくけど、女装させたりもしてないわよ!」

さやか「わ、分かってるよ。落ち着け」

ほむら「もうっ……」


QB「11歳の差くらいなんてことないと思うけどね」

ほむら「キュゥべえ! あなたいったい」
さやか「あ、おかえりキュゥべえ」

QB「ただいま、さやか」

ほむら「え……」

57: 2012/12/10(月) 22:27:01.08
ほむら「どういうこと? まさか同棲?」

QB「せめて同居と言って欲しいな。暁美ほむら」

さやか「私はペットを飼ってるくらいのつもりだった」

QB「酷いなぁ」

ほむら「あなた、マミのところに住んでたんじゃなかったの?」

QB「マミが結婚したからね。
  流石に新婚夫婦を邪魔するのも申し訳ないと思って、しばらくは杏子の所に行ってたんだよ」

QB「ただ、あちらは別の個体の管理下だからね。
  僕も少々居心地が悪かったので、さやかのところに来たわけだ」

さやか「まどかのとこにも行ったみたいだけど、転校生が怖くて逃げ帰ってきたみたいよ」

QB「そ、そう言うことは言わないで欲しいなあ」

ほむら「私は昨日もキュゥべえに会ったけど、そんなこと言ってなかったわよ」

さやか「聞かれなかったからね」 キリッ

ほむら「あなた良くそう言う冗談言えるわね……」

59: 2012/12/10(月) 22:28:38.93
QB「ほむらの会っている個体は、僕とは別の個体だよ」

さやか「転校生は何か気づかない? まあ短時間じゃ気づかないか」

ほむら「何よ?」

QB「この僕はね。『極めてまれな精神障害』を負ってしまった個体なのさ。
  要は感情を持ってしまったということだね」

ほむら「なるほど。さっきから気になっていた違和感はそれだったのね。
   『申し訳ない』とか『居心地が悪い』とか『怖くて』とか。
   何か引っかかっていたのよ」

61: 2012/12/10(月) 22:30:13.18
ほむら「でもさやか。良くこんなのと一緒に生活できるわね」

さやか「いやー、まあね。
    正直言って、キュゥべえがやってきたことを許せるかというと、
    まあ完全には許せてはいないんだけどさ」

さやか「大人になって、価値観の違いで衝突する人たちを見てきたし。
    騙された私たちにも、問題がなかったとは言えないし」

さやか「それに感情を持ってしまったコイツを無下に出来るほど、私は冷酷にはなれないわ」

ほむら「さやか……」

ほむら「……ふん。どうやらさやかも特殊な人だったようね。
    さしずめ聖騎士といったところかしら」

さやか「さやかちゃんは、もうちょっと女の子っぽいのが良いな」

63: 2012/12/10(月) 22:31:13.04
ほむら「さて、それじゃあ用事も済んだし、失礼するわ」

さやか「うん。まあ、またね」

QB「僕は少し、ほむらについていくよ」

QB「ちょっと、話したいこともある」

66: 2012/12/10(月) 22:32:30.99
-帰り道-

ほむら「……何を企んでいるの? インキュベーター」

QB「うん。まあ、ちょっと聞いて欲しいことがあってね」

QB「さっきも言ったけど、この個体は、感情を持ってしまった。
  『極めてまれな精神障害』を負ってしまった。
  そのため、他の個体とはリンクを切られている。
  もし君にその気があれば、僕を頃すことも可能だ」

ほむら「どうせ他の個体が来るだけでしょう?」

QB「いや、この街の担当は別の個体さ。
  昨日、君が話した個体がそれだ。
  僕が氏んでも、もう代わりは来ない」

ほむら「……それで、何を言いたいのかしら」

69: 2012/12/10(月) 22:34:19.60
QB「……一言、謝りたくてね」

QB「もちろん、感情を持ったとしても、僕たちと君たちでは、
  価値観に対して大きな隔たりがある。
  僕たちがやってきたことが間違いだったとは思わないさ」

QB「ただそれでも……申し訳なかったとは、思った」

ほむら「……ふん」

QB「言いたかったのは、それだけだよ」

ほむら「……」

70: 2012/12/10(月) 22:36:37.84
ほむら「……私は、まどかさえ契約しなければ、まどかさえ幸せならば、後のことはどうでもいいわ。
    宇宙のエネルギーがどうなったって、他の誰かが魔法少女になったって、構わない」

ほむら「だから、さやかがあなたを許したのなら、私に謝罪する必要はないわ」

QB「……でも僕は、君を騙して契約を」

ほむら「私はあなたとは契約してないわ。
    私が契約したのは、別の時間軸の、別の個体よ」

ほむら「……だから、気にしないで、いいわ」

QB「……ありがとう。ほむら」

72: 2012/12/10(月) 22:38:44.19
QB「じゃあ、僕は帰るよ」

ほむら「あ、待って。
    あなた、他の個体と紛らわしいから、何か目印を付けなさい」

QB「目印?」

ほむら「本当は焼き印を入れてやりたいところだけど……。
    そうね、このリボンをあげるわ」

QB「これは……?」

ほむら「いつかの時間軸で。マミが付けていたリボンよ」

QB「……それは、君にとっても重要なものじゃないのかい?」

ほむら「いいの。今の私にとっては、必要ないものよ」

QB「……そう。分かった。もらっておくよ」

75: 2012/12/10(月) 22:39:44.21
QB「じゃあ、またね」

ほむら「ええ、また」

ほむら「……」

ほむら「これで、良かったのかしら……?」

ほむら「……」

ほむら「良かったのよね……」


終わり

76: 2012/12/10(月) 22:40:56.67
-おまけ-

QB「ところでさやかは、いつまで転校生って呼ぶんだい。
  下の名前で呼んであげればいいじゃないか」

さやか「これはねえ、まあ、私と転校生の間だけにしか通じないんだけど、
    親しい=名前を呼び合うとは限らないってことだね。
    転校生にとって、『転校生』って呼ばれることは、意味があることなんだよ」

QB「訳が分からないね」

さやか「いいんだよ。それで」


終わり

81: 2012/12/10(月) 22:50:36.06
乙乙ん

引用元: ほむら「鹿目ほむらになります」