上司「あー天馬。ここがお前の部な」

ガヴリール「へ！？あ、あの、ここは営業部じゃ……」

上司「どうした？お前にはここで新規顧客獲得の営業をやってもらう」

ガヴリール「いえ、その、私一般事務として内定をいただいたのですが……」

上司「……。待ってろ」

ガヴリール「よかった……。きっと手違いだよな」

人事「天馬さんですね？」

ガヴリール「はい！」

人事「困りますよ。あなたが判をついた契約書です」ｽ

人事「ここにちゃんと配属部の規定について書いてるでしょ？他の部に移動する場合もあると」

ガヴリール「え……こんな小さな文字……」

人事「これはあなたが決めたことです。営業部で頑張ってくださいね？では」

ガヴリール「そんな……。ま、まあ営業部でも大企業なら大丈夫だろ」

部長「おいお前何だ。やる気あるのか？」

係長「すいません」

部長「すいませんじゃないだろ？やる気はあるのかって聞いてんだよ！なあ！？」

係長「あ、あります」

ガヴ（おいおい雰囲気最悪じゃん……）

部長「ありますじゃないだろうが！このひどい成績に対する具体的な対策を聞いてるんだ！」

係長「つ、次は必ず総合200万を突破します！」

部長「200？お前今何て言った？」

係長「も、申し訳ございません！250万は突破します！」

ガヴ（やばい帰りたい……）

係長「はあ……。あ！き、君はもしかして新入社員の天馬さん？」

ガヴ「は、はい！」

係長「部下にみっともないとこ見せてしまったね。はは。これから一緒に頑張ろうね」

ガヴ「はい！（優しそうな人が上司で良かった……）」

係長「おお！君仕事できるね！」

ガヴ「ありがとうございます（なんだ結構ちょろいじゃん）」

係長「正直言ってうちの部下たちはあまりよろしくなくてね」ﾋｿﾋｿ

ガヴ「は、はあ」

係長「さあ次はその分までガンガン顧客をとってくれ！」

女平社員「……」

ガヴ（よーし、結構気に入られたみたいだし頑張るか）

女平「ねえ？その髪の色何？」

ガヴ「え、すいません。これは地毛でして」

女平「ふーん、スカートも短いけどこれ何？」

ガヴ「すいません……もう少し長くします……」

女平「あとさー……」

ガヴ「くっそあのババア、時間とらせやがって」

ガヴ「早く取り返さないと帰れなくなる……」

女平「あ、これもやっといて」

ガヴ「（え、それは私の仕事じゃ……）は、はい」

ガヴ「まずいもう19時だ……」

係長「あの、天馬さん？間に合いそう？」

ガヴ「すいませんもう少し……」

係長「あまりに残業代かかると総務の連中がさ……ね？そろそろ帰らないと」

ガヴ「は、はい！すぐ終わらせます！」

部長「おい！」

係長「ひ！！な、何でしょうか」

部長「この資料どうなってんだ？これじゃ顧客への納品間に合わない……大損害だぞ！」

ガヴ（あれは係長が進めてた資料……忙しすぎてミスっちゃのか）

係長「そ、それは！……天馬さんがやってた。天馬さん困るよ。今日も残業しすぎだし……これは大損害だよ」

ガヴ「え……」

部長「お前新入社員だよな？平女がお前がサボってばっかで困るとも言ってたぞ？」

ガヴ「そんなことは……！」

部長「それに今回の大損害、お前仕事舐めてんのか？」

ガヴ「だ、だから私は！」

係長「すいませんでした！私の指導不足です……許してやってください」

部長「聞いた限りじゃこいつの甘えだと思うけどな……しっかり教えとけ。次はないぞ」

ガヴ「ぐ……」ｳﾙ

ガヴ「係長のやつ押し付けて即帰宅とか……いいやつと思ってたのに……くっそ……」ｸﾞｽ

ガヴ「ん？電話か。あ、ヴィーネか……久しぶり」

ヴィーネ「あーガヴ？調子どう？あ、違った。大企業勤めの天馬さん♪」

ガヴ「はは……」

ヴィーネ「どうしたの？もしかしてうまくいってないの？」

ガヴ「あ、いやそんなことないよ。上司にも一応気に入られて」

ヴィーネ「へーやるわね。あんた昔から根はいい子だったからね。素直になれば好かれそうよね」

ガヴ「なんだよ。根以外はダメなのかよ」

ヴィーネ「そ、そういう意味じゃないって。あはは」

ガヴ「お前はどうなんだ？お前もいいとこ就職したみたいじゃないか」

ヴィーネ「私も結構調子いいわよ！今度週末みんなで遊びに行くの！」

ガヴ「そ、そうか……（女の先輩にいじめられてるなんて言えないよな……）」

ガヴ「おはようございます……」

女平「……」

係長「お、おはよう天馬さん」

ガヴ「あ、あの係長！昨日のこと……」

係長「あ、そろそろ報告の時間だ！急がないと！」

ガヴ「くっ……！（結局私が大損害の犯人かよ……）」

ガヴ（こうなったらなんとかいっぱいの契約をとって見返してやる……！）

ガヴ（最初は誰だって大変だってよく言うじゃないか！生き残って課金のための金稼いでやる！）

男平「……」

ガヴ「よし！今月の成績は部内で４位だ！新入社員でこれなら皆も……！」

男平A「……。あの天馬さん、昼メシ一緒に行かない？」

ガヴ「へ！？（これは何だ。社内恋愛というやつの布石か？でも男なんてまだいらないし）」

ガヴ「え、えっと……（でも先輩とのご飯なんて断れないしな）……はい、行きましょう」

男平B「お、来たか。天馬、好きなの食っていいぞ」

ガヴ「いいんですか！？ありがとうございます」

ガヴ（なんだ他の人も一緒か。たまには楽しく雑談もいいよな）

男平A「天馬さ、今月4位とってたよね」

ガヴ「あ、そうですね！初めてこんな順位とれてとってもうれしいかったです」

男平B「ねえ？新入りがそういう順位とると俺らどうなるか分かってる？」

ガヴ「え……」

部長「お前さあ？この成績何？新人でももっととってるぞ？ほらこれ見ろ」

ガヴ（ま、まずい……私が上位に入ったせいで先輩たちが怒られてる……）

男平「ｯﾁ……」

女平「ねえ？その文字の書き方何？」

ガヴ「す、すいません……」

女平「あとさあ。最近ちょっと声大きすぎるよ？職場だよ？分かってる？」

ガヴ「ぐ……（お前の方が明らかにデカいだろ……）すいませんでした……」

ガヴ（次からは上位に入らないようにしよう……それが身のためだ……そうすれば生き残れる……）

ガヴ（今月は9位か……これならもういじめもなくな……）

部長「おい天馬！」

ガヴ「ひ……！は、はい何でしょう……」

部長「お前先月何位だった？」

ガヴ「……。4位です……」

部長「それが何だこれは！？明らかに甘えてるだろ！？」

ガヴ「す、すいません……」

部長「お前には教育が足りてない。あの出来損ないの係長の下だしな」

部長「この資料全部やれよ。これはお前のためだ」

女平「くすくす」

ガヴ「え……（こんなのしてたら仕事終わらない……成績とれなかったやつのいやがらせの見せしめだ……）」

ガヴ「は、はい……」

ガヴ「くそ……くそ……ストレスでお腹が痛い……」ｸﾞｽ

ガヴ「あ、電話きた……今度はサターニャか……」

サターニャ「あ！ガヴリール！？この日曜休みだって言ってたわよね！？遊びに行きましょ！」

ガヴ「ん？あ、ああ……ごめん、日曜は仕事が……」

サターニャ「はあ！？あんたただでさえ週１の休みでしょ！？」

ガヴ「うん……でも仕事が……」ｸﾞｽ

サターニャ「ど、どうしたのよ！？泣いてるの！？」

ガヴ「サターニャ……助けてくれ……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

サターニャ「私も何とかしてやりたいけど……！何とか頼んで休めないの？このままじゃやばいわよ

ガヴ「仕事が終わらなかったら……ひぐ……もっとやばいんだよ……もう寝る……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ガヴ「お腹が痛すぎる……でも今日も頑張らなきゃ……」ｶﾞｸｶﾞｸ

ガヴ「おはようございます……」

部長「おい天馬！お前はまずその資料からやれ！」

ガヴ「は、はひ！（また大声で……見せしめだ……）」

ガヴ（上位はダメ、下位もダメ……どうしろってんだ……！）ｲﾗｲﾗ

-17時-

ガヴ「……」

-18時-

ガヴ「……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

-19時-

部長「おい天馬！いつまで残ってるんだ！こんなの定時に終われて当然だろ！」

一同「くすくす」

ガヴ「……ろ」

部長「ん？何だ？」

ガヴ「いい加減にしろよ！！こんなの定時で終わるわけないでしょうが！！」

一同「……！？」

ガヴ「じゃあ部長これと同じものやってくださいよ！！終われますか！？」

部長「……あ？」

ガヴ「！！」ﾋﾞｸｳ！

ガヴ「す、すいませんでした！つい思ってもないことを……」

男平「あーあ……」

部長「お前、今日は帰っていいぞ」

ガヴ「え、あの、とにかくすいませんでした……」

ガヴ（やばい……どうしよう……眠れない……もう辞めたい……）

ガヴ（最近ぼーっとして仕事も手につかない……もしかして私鬱病とかじゃ……）

ガヴ（いやいや鬱なんか甘えだよ……私がそんなはずは……）


ガヴ「おはようございます……」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

係長「天馬さん……部長が呼んでるよ」

ガヴ「はい……」ｽﾀｽﾀ

部長「お前さ、人事の方に暴言吐いたって言っといたから」

ガヴ「……！」

部長「でだ。ここよりもっと大変な部署もあるわけ」

部長「これ他のやつの分の雑務な。お前でもできるような」

部長「やりたいならやらせてやってもいいぞ」

ガヴ「……。やらせてください」


-19時-

ガヴ「……」ぽー

係長「……先帰るね？」

ガヴ「……」ぽー

-21時-

ガヴ「……かえ…るか…」

ガヴ「電車が……走ってる……」ぽー

ガヴ「この電車の前に落ちれば……えへ……えへへ……」

ガヴ「……」ぽー

ガヴ「あ、今のが終電か……」

ガヴ「歩いて帰る……か……」

ガヴ「……」ふらふら

ガヴ「ネトゲ……もう何日できてないんだろう……」

ガヴ「私って会社で見せしめの家畜として生まれてきたんだもんな……」

ガヴ「自分が楽しむなんて許されないんだ……」

ガヴ「でもそこまで悪いことをしたか……？どうして私だけ……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ガヴ「誰にも相談できない……そもそも休みなんてない……そうだ」

ガヴ「訴えてやる……診断書をとって……でも証拠なんてない……」

ガヴ「私は誰にも好かれてない……いらないんだ……」ぽー





終

なんか臨場感あふれるSSだった
お疲れさんでした乙

ガヴちゃんメンタル弱すぎない？と思ってしまった俺はもうダメなのかもしれない

打ち切りENDかよ

見てて辛い