1: 2013/06/25(火) 19:43:07.86
賑やかなワイドショーが過去の私を忘れさせてくれる

取り上げられる話題一つ一つに悪意を感じるが、向こうも数字を取るのに必氏なのだろう



『今話題のアイドル!熱愛発覚か!?』

『有名アイドルプロダクションが妨害工作!?』

『男の子?女の子?今話題の人物とは!?』



舞「あ~…暇ね…」



普段は役割を果たしていないソファーの背もたれに背を当て、私は腕を天井へ向けて伸びをした

あ…買い物行かなきゃ…

私は立ち上がる事をせずに、テーブルに置かれたスーパーのチラシを手に取った

上の項目からゆっくりと目を通していく

卵にお肉に野菜に魚

洗剤にトイレットペーパーにお酒

……ライムセールは三時からか

チラシから視線を壁掛け時計に移し、今の時刻を確認する

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1372156987

2: 2013/06/25(火) 19:46:02.93
今は一時

スーパーまでは歩いて十分

…まだまだ余裕があるわね

そのままソファーで横になる

目の前にはわざとらしい笑い声を響かせるテレビ

部屋の中にはその不快な音が広がっていく

私は寝転びながらリモコンを手に取り、テレビの電源を落とした

そうすると聞こえて来る自然の音と、人間が作り上げた不自然な音

私はこのハーモニーが好きだ

自然と不自然の狭間で生きている事を改めて確認できるから

鳥の囀りに、車のエンジンが吐き出す音

近所の奥様方の笑い声に、風が窓を叩く音

いいわね…

耳を通り脳に流れ込んだ音は、私に癒しをくれた

そのまま…私は眠ってしまった

3: 2013/06/25(火) 19:50:16.24
今は一時

スーパーまでは歩いて十分

…まだまだ余裕があるわね

そのままソファーで横になる

目の前にはわざとらしい笑い声を響かせるテレビ

部屋の中にはその不快な音が広がっていく

私は寝転びながらリモコンを手に取り、テレビの電源を落とした

そうすると聞こえて来る自然の音と、人間が作り上げた不自然な音

私はこのハーモニーが好きだ

自然と不自然の狭間で生きている事を改めて確認できるから

鳥の囀りに、車のエンジンが吐き出す音

近所の奥様方の笑い声に、風が窓を叩く音

いいわね…

耳を通り脳に流れ込んだ音は、私に癒しをくれた

そのまま…私は眠ってしまった

5: 2013/06/25(火) 19:54:37.67
.


舞「………はっ! 今何時!!?」



さっきまで窓から入り込んでいた陽気な陽射しは、何時の間にか赤みがかった日差しへと変わっていた

薄暗くなり始めた部屋の中

私は目を凝らしながら壁掛け時計を見る



「まずいわね……タイムセール始まってる……」



時計の針は四時を示していた

慌てて立ち上がり身支度を整える

わたわた動き回る私



ピンポーン



そんな私の動きを止めるインターフォンの音

焦りと思い通りにいかなかった自分にたいしてのイライラから、私は乱暴に玄関の扉を開けた

6: 2013/06/25(火) 19:59:10.23
.


舞「完璧ね!」

まなみ「…で、私は何をすれば?」

舞「下ごしらえはこっちでやるから適当に時間潰してて」

まなみ「ケーキとかはどうするんですか?」

舞「もう完成して冷蔵庫に入ってるわ」

まなみ「…じゃあプレゼントは?」

舞「クローゼットの中に入ってるわ」

まなみ「因みに何を買ったんですか?」

舞「特大アクアリウムセット」

まなみ「……値段は…聞かないでおきます」

舞「そんなに高くないわよ、たしか二十万くらい」

まなみ「………ちょっとテーブルとか拭いておきますね」

舞「お願いね~」



少し狂った予定を取り戻すために、素早く仕込みを終わらせていく

普段より手をかけて

普段より贅沢に

普段より美味しく仕上げるために

7: 2013/06/25(火) 20:04:21.88
気が付いたら時計の針は七時を指していた

テーブルに並べられたご馳走の数々

我ながらよくやったわ



ガチャ



テレビも消された薄暗い部屋に、誰かが玄関を開ける音だけが響いた

息を頃して隠れる私とまなみ



「ただいまでーす!!!!!!」

「お邪魔します…?」

「し、失礼します!」



賑やかな声がリビングに近付いて来るのが聞こえた

おかえりなさいと、返事をしそうになるのを必氏に耐える私



「あれ? なんかリビングの電気消えてる…」

「どうしたのかしら?」

「ふ、不思議だね~」



リビングと廊下を仕切る扉の前まで賑やかな声は近付いてきた

それにしても…一人演技が下手な娘がいるわね…大丈夫かしら…



ガチャ



ゆっくりと扉が開く

恐る恐る中を覗く小さな影

……そろそろね

8: 2013/06/25(火) 20:07:31.90
.


パーン!



「うわぁあああああああ!!!!」



鳴らされたクラッカーより大きな声がリビングに響く

そうしている間に点けられる部屋の明かり

その光に照らし出された女の子三人

絵理ちゃん

涼ちゃ…君

そして……私の娘…愛



舞「……せ~の!」





「「誕生日おめでとう!!!愛(ちゃん)!!」」

9: 2013/06/25(火) 20:11:54.94
――――――
―――
――







舞「……こんな感じかしら?」

愛「うん! ありがとうママ!」

舞「けど、こんな事まで書かなきゃならないの?」

愛「そうだよ! 自伝って細かく書かなきゃならないって社長が言ってたし!」

舞「う~ん……もっと深く書く別の事あると思うんだけど…」

愛「私嬉しかったんだよ! こんなサプライズパーティー開いてくれたのこの時だけだったし!」

舞「…けどなんで小説形式なの?」

愛「それはママが勝手に書いたんでしょ?」

舞「う…」

愛「ありがとねママ! じゃあ次は、明日結婚式が終わってからの事も書いてね!」

舞「え!? まだ書くの!!?」

愛「お願いねママ♪」

舞「自分で書きなさいよ…自分の自伝なんだから…」

愛「他のは私が書くから~」

舞「……分かったわよ……まったく…何時まで経っても手の掛かる娘なんだから…」

愛「えへっ♪」

舞「……あ、もう十二時過ぎたのね」

愛「もうこんな時間か~…眠い…」

舞「ほら、もう寝なさい。 明日の朝には旦那さんが迎えに来るんでしょ?」

愛「うん! それじゃお休み!」

舞「あ、ちょっと待って愛」

舞「ん? なに?」

舞「え~っと…あ、あったあった………ほら」

愛「これって…ママのエプロン?」

舞「えぇ、そろそろ立派なお母さんになるんだからこれを着なさい」

愛「…ありがとう! 大事にするね!」

舞「ふふ♪ …それと~…」

愛「ん? まだなにかあるの?」

舞「いえ、大事な事言ってなかったと思ってね」

愛「大事な事?」

舞「えぇ……誕生日おめでとう、愛」

愛「へへ……ありがとうママ…大好きだよ♪」






おわりおわり

10: 2013/06/25(火) 20:13:16.09
すっげぇ短いし山梨落ち無しだけど愛ちゃん祝いたかったの

キャラ的にもあまりやりこんでないからこんなので勘弁

じゃあの

11: 2013/06/25(火) 20:24:04.78
乙です
愛ちゃんうるさかわいい!!!!

12: 2013/06/25(火) 20:24:08.55
おつおつ

引用元: 日高舞「ひとつ屋根の下に君がいるだけで」