2: 2017/08/15(火) 00:01:25
マスター「お待たせしました」
マスター「いつものお持ち帰りのお品です」つ(寸胴)
赤の女王「うむ」つ(寸胴)
赤の女王「では、また来る」
マスター「はい。 またのご来店を」
キィ… カララン♪ パタン
マスター「ふう……」
アレッタ「お疲れ様です、マスター」
マスター「ああ、お疲れ様……と言いたいが」
マスター「今日はもう一人来る予定なんだ」
マスター「『少し困ったお客さん』がね」
1: 2017/08/15(火) 00:00:13
異世界食堂×ぐらぶるっ!になります。
原作未読ですので異世界食堂で
ちゃんとした理由付けがあるのかもしれませんが
ここはひとつ「こまけぇことはいいんだよ!」の精神で
お読みいただけると嬉しいです。
3: 2017/08/15(火) 00:02:09
アレッタ「ああ……あの娘ですか」
マスター「ああ。 その娘だよ」 クスッ
このお店……ねこやでお出しするお料理は
私から見ても少々……いえ
かなり高めのお値段ですけど
それには、ちゃんとした理由があったんです。
それは……
―――――――――――
キィ… カララン♪
???「ほわわー!」
???「こ、ここは、いったいどこなんですか!?」
4: 2017/08/15(火) 00:03:13
マスター「いらっしゃい」
マスター「ここは洋食のねこやという飯屋だよ、お嬢さん」
???「飯屋……というと、ご飯屋さんですか?」
マスター「はい」
???「でも、グランサイファー号のルリアの部屋に現れたドアから来たんですけど」
マスター「う~ん……それは説明のしようが無くて」
マスター「7日に一度、どこか、特定の場所に現れるドアをくぐると」
マスター「ここに来てしまうんだ」
ルリア「ほわぁ~そうなんですか」
マスター「まあ、せっかくここへ来たのだから」
マスター「何か食べて行きなよ、お嬢さん」
5: 2017/08/15(火) 00:03:57
ルリア「……せっかくですけど」
ルリア「ルリア、お金を持ってなくて……」
マスター「それならツケでいいから」
ルリア「ツケ?」
マスター「また今度、来た時に払ってくれたらいいから」
ルリア「い、いいんですか!?」
マスター「ああ、構わないよ」
ルリア「分かりました!」
ルリア「今度来た時に払いますね!」
マスター「うんうん」
マスター「アレッタさん。 レモン水とお品書きをお持ちして」
アレッタ「はーい」
6: 2017/08/15(火) 00:04:45
ルリア「はわわ~!」
ルリア「どれも美味しそうですぅ」
アレッタ「どれも美味しいですよ」 クスッ
ルリア「オススメとかありますか?」
アレッタ「う~ん……」
アレッタ「よく頼まれるのは、メンチカツやエビフライ、ロースカツですかねぇ」
ルリア「じゃあ、それ全部ください!」
アレッタ「え……3つともですか?」
ルリア「はい!」
アレッタ「分かりました」
7: 2017/08/15(火) 00:05:50
アレッタ「お待たせしました」
ルリア「はわわ~美味しそうですぅ」
アレッタ「あと、パンやライスはお代わり自由ですので」
ルリア「え!?」
ルリア「いくらお代わりしてもいいんですか!?」
アレッタ「はい。お腹いっぱいになるまでどうぞ」 クスッ
ルリア「きゃあ~☆☆☆」
この時
この何気ない一言が
あの恐ろしい光景へ繋がるなんて
思いもしませんでした……
ルリア「いただきまぁす!」
ルリア「はむはむ……」
ルリア「美味しい~♪♪」
8: 2017/08/15(火) 00:06:44
ルリア「パンとライス、お代わりお願いします!」
アレッタ「は~い」
―――――――――――
ルリア「パンとライス、お代わりお願いします!」
アレッタ「は~い」
―――――――――――
ルリア「パンとライス、お代わりお願いします!」
アレッタ「は~い」
―――――――――――
ルリア「パンとライス、お代わりお願いします!」
アレッタ「……はい」
―――――――――――
―――――――――――
―――――――――――
9: 2017/08/15(火) 00:07:21
ルリア「パンとライス、お代わりお願いします!」
アレッタ「は、はい……」
アレッタ「あ、あの、マスター」
マスター「……こいつは困ったぞ」
マスター「ライスはまた炊くとしても、パンはヤバイ」
マスター「ちょっと時間が掛かっちまう」
マスター「アレッタさん、あの娘に少し待ってもらう様、言って来てくれ」
アレッタ「わ、分かりました」
―――――――――――
ルリア「パンとライス、お代わりお願いします!」
アレッタ「ひ、ひいっ」
10: 2017/08/15(火) 00:08:19
ルリア「どうかしたんですか?」
アレッタ「い、いえ……その」
アレッタ「そろそろお腹いっぱいになったんじゃないのかな?と思いまして……」
ルリア「大丈夫です!」
ルリア「まだ半分くらいですから!」
アレッタ「」
アレッタ(は、半分!?)
ルリア「パンとライス、お代わりお願いします!」
アレッタ「は、はい……」
―――――――――――
アレッタ「あの……マスター」
アレッタ「またお代わりだそうです……」
11: 2017/08/15(火) 00:09:25
マスター「……信じられんな」
マスター「こういうのを俗に痩せの大食いと言うんだが」
マスター「正直、ここまで凄いのは初体験だ」
アレッタ「あんな小柄な女の子の体のどこに食べ物は消えているんでしょう……」
マスター「軽く20人前くらいは食べているが……」
マスター「いくら何でもそろそろ終りだろう」
アレッタ「それが……」
アレッタ「まだ半分くらいだそうです……」
マスター「」
アレッタ「ここは正直にお話になって」
アレッタ「帰ってもらう、というのはどうでしょうか?」
アレッタ「このままだと他のお客さんの分が……」
12: 2017/08/15(火) 00:10:38
マスター「……倉庫に行って有りったけの小麦粉とお米を取ってくる」
アレッタ「マ、マスター!」
マスター「なぁに、何とかなるさ(震え声)」
……結局
各種揚げ物数点と、実に約40人分のパンとライスを平らげた
このルリアという名前のお客さんは
ようやく満腹になって満足げに帰られました。
その日はライスがまったく無くなってしまい
パンもお代わりは出来なくるという有様で
カツ丼好きのライオネルさんが悲しそうに
カツサンドをもそもそと食べられるのを見て
胸を締め付けられました……
13: 2017/08/15(火) 00:11:32
しかし
問題はこれで終わった訳では無かったんです。
このルリアというお客さんは
お仕事の都合で毎週必ず来る、という訳ではなく
そのため、せっかく用意した食材が
来なかった時はダメになったり、古くなって味が落ちたりと
困った事態が起きました……
14: 2017/08/15(火) 00:12:59
マスターは、こういった事も考えて
普段、料理のお値段を高めにしているのですが……
それでも彼女一人が来る来ないで
実に40人分の食材が無駄になるか、ならないか
という事になってしまうので
これは値上げもやむを得ないかな……と
さすがのマスターも弱音を吐くようになってしまいました……
.
15: 2017/08/15(火) 00:14:44
でも
そんな時、一人の英雄が現れて
この問題を解決してくれたんです!
.
16: 2017/08/15(火) 00:16:02
―――――――――――
キィ… カララン♪
ルリア「おはようございまぁーす♪」
アレッタ「ひっ……い、いらっしゃいませ」
ルリア「はい! 来ちゃいましたぁ」
ルリア「今日は、ねこやさんを紹介したくて」
ルリア「グランも連れてきたんです♪」
アレッタ「グラン?」
グラン「ど、どうも……」
アレッタ「あ、初めまして」
アレッタ「えと……もしかしたら彼氏さんですか?」
17: 2017/08/15(火) 00:17:06
グラン「あはは……僕はある騎空団の団長をしてて」
グラン「う~ん、形としては……ルリアの上司?という感じですかね」
アレッタ「そうなんですか」
アレッタ「それはともかく、ようこそ洋食のねこやへ」
アレッタ「どうぞ、空いているお席へお着きください」
ルリア「グラン、早く早く♪」
グラン「うん、分かってるよルリア」
グラン「でもその前に……ここの店主さんとお話がしたくて」
グラン「構わないでしょうか?」
アレッタ「あ、はい」
アレッタ「マスター。 こちらの……ルリアさんの上司?という方が」
アレッタ「お話をしたいそうです」
マスター「俺に?……分かりました」
18: 2017/08/15(火) 00:18:18
マスター「それで、ご用件は何でしょう?」
グラン「…………」
グラン「その……もしかしたら」
グラン「ルリア、このお店にご迷惑をおかけしているんじゃないでしょうか?」
マスター「…………」
マスター「い、いえ、お勘定もきちんと払って頂いてますし」
マスター「大丈夫ですよ」
グラン「……最近、ルリアの食事量がたまに落ちる時があって」
グラン「事情を聞いたら、7日に一度、ここで食べ放題?のパンとライスを」
グラン「たくさん食べているから、と言ってました」
マスター「…………」
グラン「彼女は……その、もの凄く食べるので」
グラン「お店、大変なんじゃないでしょうか?」
19: 2017/08/15(火) 00:19:10
マスター「…………」
グラン「ここだけのお話ですので」
グラン「どうぞ、正直に話してください」
マスター「……う、うん」
グラン「…………」
マスター「ま……正直を言えば…………少々厳しい……ですね」
グラン「やはりそうでしたか……」
マスター「…………」
マスター「でもね、グランさん」
グラン「はい」
20: 2017/08/15(火) 00:19:59
マスター「確かに少々厳しいですけど」
マスター「あのお嬢さん、うちの料理を本当に旨そうに食ってくれててね」
マスター「作った方としては、それは素直に嬉しいんだよ」
グラン「…………」
マスター「なので、出来れば怒るとか、咎めるとか」
マスター「ここへ来ない様に言うとかは、やめてあげてくれないかな……」
グラン「マスターさん……」
グラン「…………」
グラン「分かりました、マスターさん」
マスター「せっかく気を使ってくれたのにすまないね……」
グラン「いえ……」
グラン「…………」
21: 2017/08/15(火) 00:20:46
グラン「!」
グラン「そうだ……それなら、こういうのはどうでしょう?」
マスター「というと?」
―――――――――――
グラン「お待たせ、ルリア」
ルリア「遅いですよ、グラン」
グラン「ごめん」
ルリア「ルリア、先に注文しちゃいますよー?」
グラン「ルリアのオススメはあるかい?」
ルリア「はい!」
ルリア「エビフライ、メンチカツ、トンカツ、カキフライ、ロースカツ……」
グラン「こ、このあと、仕事があるから、どれか一つにしような?」
22: 2017/08/15(火) 00:21:56
ルリア「えー!?」
ルリア「どれか一つなんて、あんまりですぅ……」
グラン「また来ようよ」
グラン「二人で」
ルリア「え……」
グラン「みんなにはちょっと悪いけど……」
グラン「僕は……ルリアと二人だけの時間が欲しいんだ」
ルリア「ルリアと……二人だけ……」
グラン「ダメ……かな?」
ルリア「!」
ルリア「ううん! そんな事ないです! グラン!」///
ルリア「ルリア、嬉しいですっ!」///
グラン「良かった」 ニコッ
23: 2017/08/15(火) 00:22:55
―――――――――――
アレッタ「今日は早々に帰って行かれましたね」
マスター「ああ」
アレッタ「それでグランさんと、どんなお話をされたんですか?」
マスター「ある事を三つ提案された」
アレッタ「ある事?」
マスター「一つは閉店間際の時間に来ること」
マスター「一つは来店した際、次週に来るかどうか、必ず予定を伝えるという事」
マスター「最後は、その日に残った食材で」
マスター「スペシャルメニューを考えて、あのお嬢さんに振舞って欲しいとさ」
アレッタ「まあ! ステキな提案ですね!」
24: 2017/08/15(火) 00:23:46
マスター「おいおい、簡単に喜ばれると困るんだが」
マスター「最後の提案なんて、残る食材でまったく違うものを考えないといけないし」
マスター「これは骨だぞ」
アレッタ「うふふ」
アレッタ「それにしては嬉しそうです」
マスター「まあ……料理人の血が騒ぐからね」
キィ… カララン♪
マスター「お、お客さんが来たみたいだぞ」
アレッタ「あ、はい」
アレッタ「いらっしゃいませー♪」
25: 2017/08/15(火) 00:25:03
こうして
一人の英雄が、ねこやで起きた騒動を静め
再び、平穏が訪れたのでした。
その後
ルリアさんは少し物足りなそうな顔をなさいますが
先に食事を終えたグランさんが居る事で暴食は無くなり
持ち帰りでそれを満たす様になりました。
……ただ
その量がもの凄いので、マスターの負担は少し重くなった気がします。
でも、以前の様に弱音は吐かなくなったので
たぶん楽しく料理をなさっているのでしょうね。 ふふふ♪
26: 2017/08/15(火) 00:26:15
マスター「お待たせしました」
ドンッ!
マスター「ふう……ねこや特製スペシャル丼(どんぶり)」
マスター「ロース・メンチカツ・エビフライ盛り、親子丼風になります」
ルリア「ほわわぁ~☆」
グラン「タ、タライみたいなどんぶりだね……」
アレッタ「はい、こっちがグランさん、ご注文のミートスパゲティになります」
コトッ
グラン「どうも」
ルリア「いただきまぁ~す♪」
マスター「お代わりもあるからね」
ルリア「はい♪」
27: 2017/08/15(火) 00:27:10
……いっぽうその頃
グランサイファー号では
ラカム(…………)
ラカム(グランの奴、今週もルリアちゃんの部屋へ入ったか)
ラカム(とうとう……ひとりの娘に心を決めた様だな)
ラカム(…………)
ラカム(何があっても俺は、お前のこと応援するぜぇ……ふふふ)
ちょっと勘違いされていた。
おしまい
28: 2017/08/15(火) 00:28:10
グラブルはアニメしか知りませんので
こっちも違和感あると思いますが、どうか御容赦を……
るっ!の世界のルリアも可愛いです!
29: 2017/08/15(火) 00:30:50
引用元: アレッタ「少し困ったお客さん」
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