1: 2021/09/23(木) 22:48:12.35
1年振りの有馬記念二臨むトウカイテイオー。本気で勝利を掴み取るための秘策を懸命に考える。
ターボのオールカマーでの勝利がフロックではなく、巧妙な作戦勝ちだった。それがストーリーの背景にあるのではないか…と考えたSS。
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1632404891
ターボのオールカマーでの勝利がフロックではなく、巧妙な作戦勝ちだった。それがストーリーの背景にあるのではないか…と考えたSS。
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2: 2021/09/23(木) 22:51:40.11
何としても勝つ!
トウカイテイオーの心は冷静に燃えていた。
これは単なる勝利ではない。怪我をしたメジロマックイーンの希望の光となるのだ。もはや、三冠だの無敗だの最強だの、自分一人に与えられる栄誉では終わらない目標なのだ。
しかし、自分とて怪我明けの身。思い一つで勝利をつかみ取ることができるほどレースの世界は甘くない。
それについては重々理解していたテイオーは、トレーナーとの作戦会議をひたすら重ねていた。
トレーナー「2500mなら、距離的には問題ない。それまでにスタミナも万全に戻してやる」
しかし、それだけでは、十分ではない。
ダービーの頃のような走り方は望むべくもない。
トレーニング、コースの分析、対戦相手の分析を行い、何度もシミュレーションを重ねた。おそらく、善戦はできるだろう。うまくいけばライブでフロントに立つことができるかもしれない。ただ、どんなに都合よくレースが展開したとしても…
トウカイテイオーの心は冷静に燃えていた。
これは単なる勝利ではない。怪我をしたメジロマックイーンの希望の光となるのだ。もはや、三冠だの無敗だの最強だの、自分一人に与えられる栄誉では終わらない目標なのだ。
しかし、自分とて怪我明けの身。思い一つで勝利をつかみ取ることができるほどレースの世界は甘くない。
それについては重々理解していたテイオーは、トレーナーとの作戦会議をひたすら重ねていた。
トレーナー「2500mなら、距離的には問題ない。それまでにスタミナも万全に戻してやる」
しかし、それだけでは、十分ではない。
ダービーの頃のような走り方は望むべくもない。
トレーニング、コースの分析、対戦相手の分析を行い、何度もシミュレーションを重ねた。おそらく、善戦はできるだろう。うまくいけばライブでフロントに立つことができるかもしれない。ただ、どんなに都合よくレースが展開したとしても…
3: 2021/09/23(木) 22:52:15.51
テイオー「うーん。パーマーが逃げると調子狂っちゃうんだよな。でも、有馬じゃみんなそこまで逃げは許されないし…」
テイオー「ライスはみんな警戒するだろうな。ただ有馬だとライスの距離には足りないかもしれないし…」
テイオー「ネイチャはいつも通りしつこいだろうな。タンホイザもこの距離は得意そうだし…」
テイオー「チケゾーは調子次第かな。有馬記念は初挑戦だから緊張してくれるかもしれないな…」
テイオー「さて、ビワハヤヒデ…いったいどうすればいいんだか…」
ビワハヤヒデに勝てるイメージが全く浮かばなかった。
奇策でもなんでもよい。有馬記念で勝つための方策をあれこれ思案していたが、これと言ったアイディアには至っていなかった。
そんなとき、トレーニング場で不意に声を掛けられた。
テイオー「ライスはみんな警戒するだろうな。ただ有馬だとライスの距離には足りないかもしれないし…」
テイオー「ネイチャはいつも通りしつこいだろうな。タンホイザもこの距離は得意そうだし…」
テイオー「チケゾーは調子次第かな。有馬記念は初挑戦だから緊張してくれるかもしれないな…」
テイオー「さて、ビワハヤヒデ…いったいどうすればいいんだか…」
ビワハヤヒデに勝てるイメージが全く浮かばなかった。
奇策でもなんでもよい。有馬記念で勝つための方策をあれこれ思案していたが、これと言ったアイディアには至っていなかった。
そんなとき、トレーニング場で不意に声を掛けられた。
4: 2021/09/23(木) 22:54:19.35
ツインターボ「テイオー、ターボと有馬記念で勝負だぁ!」
イクノディクタス「ターボさん、テイオーさんの練習の邪魔をしてはいけません。それにターボさんは有馬記念には出走できませんよ」
ターボ「ええー!? そうだっけ? 出たら絶対逃げ勝ってやるのに!」
テイオー「はは…」
イクノ「すみません、テイオーさん。私たちはちょうど上がるところですので、存分に練習なさってください」
テイオー「ありがとう。ネイチャたちは?」
イクノ「有馬記念に向けて特訓中です」
テイオー「そうか」
ターボ「ターボも有馬記念に出たい!」地団駄。
イクノ「次はAJCCですよ。そこで勝ったら、テイオーさんと同じレースを走れるかもしれません」
ターボ「そうか! じゃあ、AJCCに勝つ! そしたら勝負だぞテイオー!」
イクノ「でも、しっかり調整しましょう。でないと、天皇賞のときみたいに惨敗しちゃいますよ」
ターボ「あ、あのときはちょっとゴール前500mで逃げが壊滅しちゃっただけだもん。次は、また逃げ切ってやるもん」
テイオー「そういえば…ちょっと師匠に聞きたいことがあるんだけど」
ターボ「お? いいぞ。何でも教えてやるぞ」
イクノディクタス「ターボさん、テイオーさんの練習の邪魔をしてはいけません。それにターボさんは有馬記念には出走できませんよ」
ターボ「ええー!? そうだっけ? 出たら絶対逃げ勝ってやるのに!」
テイオー「はは…」
イクノ「すみません、テイオーさん。私たちはちょうど上がるところですので、存分に練習なさってください」
テイオー「ありがとう。ネイチャたちは?」
イクノ「有馬記念に向けて特訓中です」
テイオー「そうか」
ターボ「ターボも有馬記念に出たい!」地団駄。
イクノ「次はAJCCですよ。そこで勝ったら、テイオーさんと同じレースを走れるかもしれません」
ターボ「そうか! じゃあ、AJCCに勝つ! そしたら勝負だぞテイオー!」
イクノ「でも、しっかり調整しましょう。でないと、天皇賞のときみたいに惨敗しちゃいますよ」
ターボ「あ、あのときはちょっとゴール前500mで逃げが壊滅しちゃっただけだもん。次は、また逃げ切ってやるもん」
テイオー「そういえば…ちょっと師匠に聞きたいことがあるんだけど」
ターボ「お? いいぞ。何でも教えてやるぞ」
5: 2021/09/23(木) 22:56:42.38
テイオー「師匠、天皇賞ひどい負けかたしたけど、あれが普通の師匠だったよね」
ターボ「なんだとテイオー、喧嘩売ってんのか! 普通じゃないぞ!」
イクノ「テイオーさん、正しいですが、ターボがかわいそうです」
テイオー「ごめん、ごめん。いや、聞きたかったのは、いつもうまくいかなかったのに、なんでオールカマーのときにあんなすごいレースができたんだろうなってこと。あのメンバーを抑えて、あんなに大差で勝つなんて、ボク、びっくりしちゃった。師匠、すごいなあ」
ターボ「すごいだろう! あれがターボの実力だ!」
イクノ「まあ、テイオーさんに勝つところを見せつけるって、見たことがないくらい気合が入っていましたからね。私も追いつけませんでした」
テイオー「そうか。師匠、ありがとうね。でも、何か作戦とかあったら聞いてみたいと思ってたんだけど」
ターボ「さくせん?」
テイオー「うん。ボク、次の有馬記念で絶対に勝たなくちゃならないんだ。「勝ったよ」って友達に伝えないといけないんだ」
イクノ「……」
テイオー「そのためには今まで通りの走りじゃダメなんだ。今まで見たいな速さはなくても強さがなくても、何なら、肺がつぶれても足が折れても、今回は勝ちさえすればそれでいい。それで、ずっとジタバタしながらトレーナーと考え続けているんだけど、まあ、絶対に勝つための作戦なんてそうそうあるもんじゃないよね。ごめんね、変なこと聞いて」
イクノ「テイオーさん……」
ターボ「なんだとテイオー、喧嘩売ってんのか! 普通じゃないぞ!」
イクノ「テイオーさん、正しいですが、ターボがかわいそうです」
テイオー「ごめん、ごめん。いや、聞きたかったのは、いつもうまくいかなかったのに、なんでオールカマーのときにあんなすごいレースができたんだろうなってこと。あのメンバーを抑えて、あんなに大差で勝つなんて、ボク、びっくりしちゃった。師匠、すごいなあ」
ターボ「すごいだろう! あれがターボの実力だ!」
イクノ「まあ、テイオーさんに勝つところを見せつけるって、見たことがないくらい気合が入っていましたからね。私も追いつけませんでした」
テイオー「そうか。師匠、ありがとうね。でも、何か作戦とかあったら聞いてみたいと思ってたんだけど」
ターボ「さくせん?」
テイオー「うん。ボク、次の有馬記念で絶対に勝たなくちゃならないんだ。「勝ったよ」って友達に伝えないといけないんだ」
イクノ「……」
テイオー「そのためには今まで通りの走りじゃダメなんだ。今まで見たいな速さはなくても強さがなくても、何なら、肺がつぶれても足が折れても、今回は勝ちさえすればそれでいい。それで、ずっとジタバタしながらトレーナーと考え続けているんだけど、まあ、絶対に勝つための作戦なんてそうそうあるもんじゃないよね。ごめんね、変なこと聞いて」
イクノ「テイオーさん……」
6: 2021/09/23(木) 22:57:41.85
ターボ「……あ! そういえば……」
テイオー「何?」
ターボ「オールカマーの前にトレーナーに教えてもらった! 絶対に勝てる方法!」
テイオー「ええっ? ほんとに?」
イクノ「うちのトレーナーはあまりそういうことを言うようには思えませんが…」
ターボ「ターボ、トレーナーに相談したんだ。『テイオーが見ているから絶対に勝ちたい。絶対に勝つためにはどうしたらいい?』って」
イクノ「無茶なお願いですね」
テイオー「それで、どんな作戦だったの?」
ターボ「一生に一度しか使えない作戦だった」
テイオー「一生に一度?」
ターボ「うん。一度しか使えない作戦だから、本当に勝ちたいなら使いなさいって言われた。んで、ターボ、勝ちたかったから使った」
テイオー「一生に一度を……ボクに見せつけるために?」
ターボ「うん!」
テイオー「……そうなんだ。うん、それで、その作戦って?」
テイオー「何?」
ターボ「オールカマーの前にトレーナーに教えてもらった! 絶対に勝てる方法!」
テイオー「ええっ? ほんとに?」
イクノ「うちのトレーナーはあまりそういうことを言うようには思えませんが…」
ターボ「ターボ、トレーナーに相談したんだ。『テイオーが見ているから絶対に勝ちたい。絶対に勝つためにはどうしたらいい?』って」
イクノ「無茶なお願いですね」
テイオー「それで、どんな作戦だったの?」
ターボ「一生に一度しか使えない作戦だった」
テイオー「一生に一度?」
ターボ「うん。一度しか使えない作戦だから、本当に勝ちたいなら使いなさいって言われた。んで、ターボ、勝ちたかったから使った」
テイオー「一生に一度を……ボクに見せつけるために?」
ターボ「うん!」
テイオー「……そうなんだ。うん、それで、その作戦って?」
7: 2021/09/23(木) 22:58:15.39
ターボ「それは、『ゆっくり逃げる』作戦だ」
イクノ・テイオー「?」
ターボ「『いつもよりちょっとだけゆっくり逃げてください。そうすれば、オールカマーは絶対に勝てます』って言われた。あっ! この作戦は誰にも話しちゃダメだって言われてたんだった……」
テイオー「ああ、そうだったんだ。聞いてごめん。でも、なんで『ゆっくり逃げる』が一生に一度の作戦なの?」
ターボ「うん。それは……なんで?」
テイオー「なんで、って…ボクが聞いているんだけど…」
イクノ「ああっ! そうか! ぐぬぅ…」
イクノ・テイオー「?」
ターボ「『いつもよりちょっとだけゆっくり逃げてください。そうすれば、オールカマーは絶対に勝てます』って言われた。あっ! この作戦は誰にも話しちゃダメだって言われてたんだった……」
テイオー「ああ、そうだったんだ。聞いてごめん。でも、なんで『ゆっくり逃げる』が一生に一度の作戦なの?」
ターボ「うん。それは……なんで?」
テイオー「なんで、って…ボクが聞いているんだけど…」
イクノ「ああっ! そうか! ぐぬぅ…」
8: 2021/09/23(木) 22:58:59.61
テイオー「どうしたの? 大丈夫?」
イクノ「いや、思い出して急に悔しくなってきただけす。オールカマーの前送、ターボさんは七夕賞を逃げ切って勝っています。逃げウマ娘5人で前半1000mが57秒台のすさまじいペースのレースでした」
テイオー「なにそれ怖い。スズカ並みじゃん」
イクノ「ええ。ペース配分無視の大逃げで、ターボさんは最終直線でヘロヘロでした。しかし、その逃げについていった他のウマ娘も全員ヘロヘロ。ウイニングライブは無残なものでしたよ。そのレースの印象が強くて、ターボさんの逃げについていったら潰される、どうせバテるから放っておこう、って、おそらくみんな思っていたんです。何しろ、それよりマークしないといけない相手もいましたからね」
テイオー「ライスだね」
イクノ「ええ。それで、オールカマーでターボさんが逃げてもみんな気にしていなかったんですけど、大逃げの道中すこし速度を控えめにして体力を温存していたんですね」
テイオー「そうか。それで『ゆっくり逃げる』なんだ」
イクノ「気が付いたときには、ターボさんだけが最終コーナーを回っていて、みんな慌て始めましたがとどく距離ではありませんでした。私はターボさんが気合で勝利をもぎ取ったものとばかり思っていたのですが、そんな作戦にしてやられていたとは…あのときはターボさんが勝ってうれしかったですが、頭脳戦で負けていたとなると悔しいですね。よりによってターボさんの頭脳にですよ」
ターボ「どうした、イクノ? 怒ってるのか?」
テイオー「いや、イクノは師匠のことを褒めているんだよ」
ターボ「そうか。ならいい」
イクノ「いや、思い出して急に悔しくなってきただけす。オールカマーの前送、ターボさんは七夕賞を逃げ切って勝っています。逃げウマ娘5人で前半1000mが57秒台のすさまじいペースのレースでした」
テイオー「なにそれ怖い。スズカ並みじゃん」
イクノ「ええ。ペース配分無視の大逃げで、ターボさんは最終直線でヘロヘロでした。しかし、その逃げについていった他のウマ娘も全員ヘロヘロ。ウイニングライブは無残なものでしたよ。そのレースの印象が強くて、ターボさんの逃げについていったら潰される、どうせバテるから放っておこう、って、おそらくみんな思っていたんです。何しろ、それよりマークしないといけない相手もいましたからね」
テイオー「ライスだね」
イクノ「ええ。それで、オールカマーでターボさんが逃げてもみんな気にしていなかったんですけど、大逃げの道中すこし速度を控えめにして体力を温存していたんですね」
テイオー「そうか。それで『ゆっくり逃げる』なんだ」
イクノ「気が付いたときには、ターボさんだけが最終コーナーを回っていて、みんな慌て始めましたがとどく距離ではありませんでした。私はターボさんが気合で勝利をもぎ取ったものとばかり思っていたのですが、そんな作戦にしてやられていたとは…あのときはターボさんが勝ってうれしかったですが、頭脳戦で負けていたとなると悔しいですね。よりによってターボさんの頭脳にですよ」
ターボ「どうした、イクノ? 怒ってるのか?」
テイオー「いや、イクノは師匠のことを褒めているんだよ」
ターボ「そうか。ならいい」
9: 2021/09/23(木) 22:59:55.60
イクノ「そういえば、レース前、トレーナーに『ターボさんのペースに惑わされないでください』って言われたのを思い出しました。ターボさんの逃げっぷりをよく知るチームメイトの私が惑わされるわけがないんですが、よりによってターボさんに惑わされてしまっていたとは、ぐぬぬ…」
テイオー「まあまあ…でも、それは確かに一生に一度、あのレースでしか使えない作戦だね。みんながびっくりするのも当然だ。やっぱり師匠はすごいね。ボクなんかのために、一生に一度を使ってくれて、ありがとうね、師匠」
ターボ「おう。なんだかよくわからないが、褒めているならそれでいい」
テイオー「一生に一度か…ボクにもそんな作戦があればいいけど」
イクノ「何を言っているんですか。必ずありますよ」
テイオー「そうかな?」
イクノ「1年ぶりの復帰戦がG1有馬記念なんて、そうそう誰にでも体験できることではありません。一生に一度があるとすれば、こういうときではないでしょうか」
テイオー「そうか…そうだね…ありがとう、イクノ、師匠。あ、それから、今日、ボクと話したことは、ネイチャたちには秘密にしておいて」
ターボ「え? なんで?」
テイオー「いや、作戦を考えているってバレたくないからね。少しでも油断してもらいたいんだ」
イクノ「それは無理だと思いますよ。でも、秘密にしておきます」
テイオー「ありがとう。じゃあまた」
テイオー「まあまあ…でも、それは確かに一生に一度、あのレースでしか使えない作戦だね。みんながびっくりするのも当然だ。やっぱり師匠はすごいね。ボクなんかのために、一生に一度を使ってくれて、ありがとうね、師匠」
ターボ「おう。なんだかよくわからないが、褒めているならそれでいい」
テイオー「一生に一度か…ボクにもそんな作戦があればいいけど」
イクノ「何を言っているんですか。必ずありますよ」
テイオー「そうかな?」
イクノ「1年ぶりの復帰戦がG1有馬記念なんて、そうそう誰にでも体験できることではありません。一生に一度があるとすれば、こういうときではないでしょうか」
テイオー「そうか…そうだね…ありがとう、イクノ、師匠。あ、それから、今日、ボクと話したことは、ネイチャたちには秘密にしておいて」
ターボ「え? なんで?」
テイオー「いや、作戦を考えているってバレたくないからね。少しでも油断してもらいたいんだ」
イクノ「それは無理だと思いますよ。でも、秘密にしておきます」
テイオー「ありがとう。じゃあまた」
10: 2021/09/23(木) 23:03:21.69
その後、トレーナー室
テイオー「トレーナー、有馬記念の作戦、決めたよ」
トレーナー「え? 何か思いついたのか」
テイオー「一生に一度の作戦を使う。一生に一度、過去でも未来でもない、今のボクにしか使えない作戦をとる」
トレーナー「今のテイオーにしか使えない? どういう作戦だ」
テイオー「うん。有馬記念の本命は?」
トレーナー「ビワハヤヒデだ。体力も技術も今一番充実している」
テイオー「油断してくれそう?」
トレーナー「それは期待できない。もともと精神的な安定感と知性は抜きんでている」
テイオー「なら、ビワハヤヒデに王者の走りをしてもらう。それがボクの作戦だ」
トレーナー「どういうことだ?」
テイオー「ボクは走るとき、いつもボクが主役だった。二冠を取ったときも、マックイーンに天皇賞で負けたときもそうだった。レースの中心にはボクがいて、それをボクも当然だと思っていた。でも、今度の有馬記念は違う。復帰戦だからみんな気にしてくれるかもしれないし、ファンのみんなも応援してくれるけど、でも、ボクがレースの中心になると思っている人は誰もいないと思う。だからこそ、そこに勝機があると思うんだ」
テイオー「トレーナー、有馬記念の作戦、決めたよ」
トレーナー「え? 何か思いついたのか」
テイオー「一生に一度の作戦を使う。一生に一度、過去でも未来でもない、今のボクにしか使えない作戦をとる」
トレーナー「今のテイオーにしか使えない? どういう作戦だ」
テイオー「うん。有馬記念の本命は?」
トレーナー「ビワハヤヒデだ。体力も技術も今一番充実している」
テイオー「油断してくれそう?」
トレーナー「それは期待できない。もともと精神的な安定感と知性は抜きんでている」
テイオー「なら、ビワハヤヒデに王者の走りをしてもらう。それがボクの作戦だ」
トレーナー「どういうことだ?」
テイオー「ボクは走るとき、いつもボクが主役だった。二冠を取ったときも、マックイーンに天皇賞で負けたときもそうだった。レースの中心にはボクがいて、それをボクも当然だと思っていた。でも、今度の有馬記念は違う。復帰戦だからみんな気にしてくれるかもしれないし、ファンのみんなも応援してくれるけど、でも、ボクがレースの中心になると思っている人は誰もいないと思う。だからこそ、そこに勝機があると思うんだ」
11: 2021/09/23(木) 23:03:57.99
トレーナー「マークされずに出し抜こうってわけか。でも、そんなに甘い相手ばかりじゃないぞ」
テイオー「だから、ハヤヒデに頑張ってもらうんだよ。ハヤヒデが万全なら、みんな逃げきれないし追いつけない。ハヤヒデに王者の走りをしてもらって、みんなを屈服させる。そうすれば、ボクはハヤヒデだけに勝てばいいだけじゃないか」
トレーナー「そうは言っても。そのハヤヒデに勝つのは簡単じゃないぞ」
テイオー「トレーナー、今のボクが、ハヤヒデを上回っているところは?」
トレーナー「ステップワークと短い距離の加速力。そうか…よく考えたな」
テイオー「うん。ハヤヒデを最後にちょっとだけ交わす。ゴール板のところでハヤヒデより少しだけ前にいればいい。誰にも気が付かれないうちにハヤヒデに迫る。たぶんみんな驚く。そして、抜き返す余裕がないタイミングで差す」
トレーナー「主役じゃないからこそできる作戦だな。確かに、勝つためにはその方法しかない。そのためのトレーニング、厳しくなるが大丈夫か」
テイオー「まかせて。有馬に勝てたら、またボクは主役だ。主役同士でマックイーンと勝負する。だから、主役じゃないウマ娘としての一生に一度の作戦で勝つ!」
テイオー「だから、ハヤヒデに頑張ってもらうんだよ。ハヤヒデが万全なら、みんな逃げきれないし追いつけない。ハヤヒデに王者の走りをしてもらって、みんなを屈服させる。そうすれば、ボクはハヤヒデだけに勝てばいいだけじゃないか」
トレーナー「そうは言っても。そのハヤヒデに勝つのは簡単じゃないぞ」
テイオー「トレーナー、今のボクが、ハヤヒデを上回っているところは?」
トレーナー「ステップワークと短い距離の加速力。そうか…よく考えたな」
テイオー「うん。ハヤヒデを最後にちょっとだけ交わす。ゴール板のところでハヤヒデより少しだけ前にいればいい。誰にも気が付かれないうちにハヤヒデに迫る。たぶんみんな驚く。そして、抜き返す余裕がないタイミングで差す」
トレーナー「主役じゃないからこそできる作戦だな。確かに、勝つためにはその方法しかない。そのためのトレーニング、厳しくなるが大丈夫か」
テイオー「まかせて。有馬に勝てたら、またボクは主役だ。主役同士でマックイーンと勝負する。だから、主役じゃないウマ娘としての一生に一度の作戦で勝つ!」
12: 2021/09/23(木) 23:07:02.44
有馬記念、最後の直線
アナ「トウカイテイオーが来た…トウカイテイオーが来た!?」
あの「奇跡」は偶然ではなく、自分とライバルのありのままを受け止めて、真摯に考え抜いた作戦があったからこそなのではないかと…
そのようなお話でした。おそまつさまでした。
アナ「トウカイテイオーが来た…トウカイテイオーが来た!?」
あの「奇跡」は偶然ではなく、自分とライバルのありのままを受け止めて、真摯に考え抜いた作戦があったからこそなのではないかと…
そのようなお話でした。おそまつさまでした。
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