1: 2014/09/08(月) 00:02:13.02
俺きこり(以下、俺)「えーと・・・」


泉の精「では、この古臭い鉄の斧か?」


俺「そ、それです。その鉄の斧です!(古臭くて悪かったな!)」


泉の精「正直者でよろしい。褒美にこの金の斧を受け取るがよい」


俺「やったあ!」

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410102123

2: 2014/09/08(月) 00:03:33.48
次の日、森の中。

俺「よお、みんな聞いてくれ。昨日かくかくしかじかな事があってね」

若いきこり「へぇ、金の斧ッスか。すげーっすね」

中年のきこり「どれ、ちょっと見せてみ?」

俺「金ぴかできれいだろう」ドヤァ

中年のきこり「おいお前、これ金じゃねーよ。ただの金メッキだよ。
中身はただの鉄で」

俺「えっ」

中年のきこり「金の比重は19.3もあるんだ。そんな斧、軽々と持ち歩ける
わけねぇだろうが。少しは考えろよ、このゆとり」

若いきこり「俺さんって、一応大学出てんっすよね?ww そんなことも
知らなかったんスか?wwww」

俺「ぐぬぬぬぬぬ」


3: 2014/09/08(月) 00:04:41.00
翌日、森に通じる道。

俺「くっそ。昨日はとんだ恥をかいた。あの泉の精、俺を騙しやがって。
呼び出して抗議してやる」

泉の前。

俺「やっと着いた。腹が減ったな。まずは昼飯にしよう。あっ!」

ころころ~(昼飯用のおにぎりをうっかり落としてしまう)

ちゃぽん!

俺「あちゃー、唯一の昼飯が・・・」

泉の精「・・・・・・」ザバァ

俺「あ、てめぇ、昨日はよくパチモンを・・・」

泉の精「お前が落としたのはこの小さなお握りか? それともこっちの
特選デラックス牛肉弁当か?」

俺「え・・・・・・」


5: 2014/09/08(月) 00:05:35.17
泉の精「さぁ、どっちだ?」

俺「・・・・・・」(頭を働かせている)

泉の精「?」

俺「・・・小さなお握りの方です」

泉の精「お前は正直でよろしい。褒美にこちらの特選デラックス牛肉弁当をやろう」

俺「いやっほう!(要領が分かってきたぞ)」


6: 2014/09/08(月) 00:06:57.19
翌日、泉の前。

俺「今日は試しに、この安物の時計を入れてみるか。それっ」ポチャン

ザバァ

泉の精「お前が落としたのは、この得体の知れないメーカーの安時計か?
それとも、こちらの最新式ロレックスか?」

俺「安い方です! 怪しげな露天商から1000円で買ったショボイやつです!」

泉の精「お前は実に正直者だ。褒美にこのロレックスを受け取るが良い」

俺「ありがとうございますwwwwww」フヒヒ

泉の精「・・・・・・・・・」イラッ

俺はこの調子で家電や衣服も次々と新しいものに変えていった。
最新式のPC、スマートフォン、バイク、発売前の工口本、最高級ダッチワイフ
など。

7: 2014/09/08(月) 00:08:19.53
そして別の日、泉の前。

俺「今日はこの中古車を泉にぶち込んでやる。おりゃああああ!!」ドボーン!

ザバァ! 

泉の精「お、お前が落としたのはこの型落ち中古アルトか? それとも
こちらの日産スカイラインか?」

俺「は? レクサスじゃねぇの? もしくはベンツ」

泉の精「・・・・・・・・・」

俺「かーらーのー?」

泉の精「・・・お前が落としたのはこの型落ちした中古アルトか? それとも
こちらのレクサスNX200tか?」

俺「俺としては300hの方が好みなんだけど。まっ、いーや。もらっといて
やんよ」フヒヒ

俺(次は今のボロアパートの賃貸契約書でも放り込んでみるか。ハズレ馬券とか
も近々試してみよう)


8: 2014/09/08(月) 00:09:35.76
数日後。きこりが集う喫茶店。

若いきこり「俺さん、なんか最近マジで羽振りいいッスね」

俺「あん? まぁな。俺には金儲けの才能があんだよ」

中年のきこり「怪しげな商売には手を出すんじゃねぇぞ?」

俺「こう見えて慎重にやってますから大丈夫ですよ。いきなり古銭とか
ハズレクジとか放り込んだりしてませんから」

中年のきこり「古銭? クジ?」

俺「いやいや、こっちの話ww」

若いきこり「あ、ところで話変わるッスけど、俺、来月結婚するんッスよ!」

俺「おっ! マジかよ。おめでとう」

中年のきこり「相手は誰だ?」

若いきこり「商店街のたまこさんッス」///

俺(何ッ?!)汗

9: 2014/09/08(月) 00:10:53.68
中年のきこり「商店街のたまこって、あの餅屋の?! すっげぇ別嬪じゃねぇか!」

若いきこり「めっちゃ可愛いっすよ」///

俺「・・・・・・・・・・・・」ワナワナブルブル

若いきこり「あれ? 俺さんどーしたんスか? 急に黙りこんで」

中年のきこり「ははは。おめーもたまこを狙ってたのか? こいつに
先を越されちまったな!wwwwww」

俺「そ、そんなことないですよ?」ニコー(冷や汗)

若いきこり「俺さんは仕事が恋人なんッスよねww」

中年のきこり「もしくは現ナマが恋人」

俺「ははは。そう、俺は女より仕事をとるよ・・・・・・男は仕事だ!」冷や汗


10: 2014/09/08(月) 00:12:04.71
俺の内心(くっそおおおおおおおお!!!! 泉の精に夢中で、たまこへの
アプローチがおろそかになってしまった。こうなる前にデートに
誘っておけばよかった!)

俺の内心(いや、そんなにたまこが大好きだった訳じゃないよ? 
ちょっといいなって思う程度でさ! でもいざその子と他人が結婚するとか
聞かされたらめっちゃ微妙な気分じゃん? わかるかなぁ! この複雑な気持ち!)


俺はあることを思いついた。

夕方、森を下った商店街。

俺「ごめんください」

肉屋の主人「らっしゃい、きこりさん。今日は鶏肉が安いよ!」

俺「いえ、買い物じゃなくて。今、トンコさんいますか?」

11: 2014/09/08(月) 00:13:57.71
肉屋の主人「ああ、トンコ? ちょうど配達から帰ってきたところだ。出すよ」

トンコ(肉屋の一人娘)「冴えないきこりがこのアタシに何の用?」

俺(いつ見てもぶっさいくな奴だなぁ・・・。鼻の穴でかいし・・・)

トンコ「何黙ってんの?」

俺「久しぶりに今から森へ散歩しないか?」

トンコ「えっ!? 何で?」

俺「お前とデートしたいんだよ」

トンコ「ええぇっ! ///」

俺「幼馴染だと思って油断してたら、俺の方から惚れちまったぜ」

トンコ「ぶっ! キュ~。支度してくりゅうう」/// パタパタ

俺(ブスはチョロいな。あとはコイツを泉に放り込むだけだ。
とびっきりの美人と交換してやる)


12: 2014/09/08(月) 00:15:32.13
森の泉。

トンコ「こんなところにキレイな泉があるわ?」

俺(よーし。コイツが後ろを向いている今がチャンスだ!)

俺「とりゃあ!」ドン!

トンコ「きゃあ! 何突き飛ばそうとしてんのよ! 危ない!」

俺(踏ん張ってやがる! なんて脚力だ! こいつは相撲取りか?!)

トンコ「さてはアタシを泉に突き落として溺氏させるつもり?」

俺「ま、まさか・・・。ちょっと驚かせようとしただけで(マズいな・・・)」

トンコ「嘘おっしゃい。明らかな殺意を感じたわ?」

俺「大げさな」

トンコ「最初から怪しいと思ってた。きこりの分際で、このアタシにデートの
誘いを申し込むなんて」

13: 2014/09/08(月) 00:16:24.81
俺「ムカつく言い草だな。調子に乗るな、このブサイク」

トンコ「うっさい。糞きこり」

俺「きこり舐めんな!」

トンコ「ブサイク舐めんな! このぉ! えいっ!」(背負い投げ)

俺「うあああああああああああああああああああああ」ドッボーン!

トンコ「泉で溺れて頭を冷やすがいいわ! あら?」

ザバァ・・・

トンコ「きゃっ!」

泉の精「あなたが落としたのはこの人間のクズのきこりか? それとも
こちらの性格の良いイケメンか?」

14: 2014/09/08(月) 00:17:22.51
俺「助けてくれえええええええええええええええ」

イケメン「・・・・・・・・・」ニコニコキラキラ☆

トンコ「・・・・・・・・・」

泉の精「さぁ、どっちだ?」

俺「俺を助けてくれえええええええええええええ!!!」

トンコ「・・・もちろん、そっちのイケメンの方ですっ! きこりなんて大嫌いだし!」

俺(やった! 助かる! トンコグッジョブ!!)

泉の精「正直でよろしい。お望み通り、そちらのイケメンをやろう。
こちらのクズのきこりは適当に沈めておく」

トンコ「お願いします!」

俺「なぜだああああああああああああああああああああ!!!」ブクブクブク・・・


 その後、俺は二度と日の目を見ることは無かった。


15: 2014/09/08(月) 00:18:20.94
エピローグ。

きこりが集う喫茶店。

中年のきこり「昨日、俺君が肉屋のトンコに告白してたってな」

若いきこり「マジッスか」

中年のきこり「うん。意外だな。あんなブスを誘うなんて。
あいつって色物好きだったのか」

若いきこり「アレじゃないッスか? 見た目より内面が大事とか・・・そういう的な?」

中年のきこり「かもな。ところで、たまこちゃんとは上手くいってるの?」

若いきこり「超仲イイッスよ。毎日ヤりまくってるッス!wwwwww」

中年のきこり「いいなぁ。お、もうこんな時間だ。そろそろ仕事に戻るぞ」

若いきこり「そうッスね。俺さんも言ってたけど、男は仕事ッスよね!」


 そして二人は森へ戻った。


おわり。


16: 2014/09/08(月) 01:12:42.83
イイハナシダナー

17: 2014/09/08(月) 12:50:35.87


面白いし上手くまとまってるな

引用元: 泉の精「お前が落としたのはこの金の斧か?」 俺きこり「えっ?!」