1: 2015/09/03(木) 23:55:43.97
タイヘイ「……………」トボトボ


タイヘイ「………疲れた」


タイヘイ(今日は仕事でミスをしてしまった)


タイヘイ(ぼんばや叶。アレックス君にも迷惑をかけちゃったな……)
トボトボ


タイヘイ「はぁ……」


タイヘイ「……ただいま」


うまる「お~か~え~る~ぃ~」グデーン


ムシャムシャゴクゴクプハー


うまる「あ、コーラとポテイトがなくなっちゃった。お兄ちゃん買ってきといて~」ダルーン


タイヘイ「………」イラッ


うまる「というかうまるお腹すいたよ~」ゴロゴロ

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1441292143

2: 2015/09/03(木) 23:58:07.39
うまる「今日は久しぶりにジャンボハンバーグが食べたいなぁ」ジュルリ


タイヘイ「……ごめんうまる…….今日は疲れてるから簡単なので勘弁してくれ…」


うまる「えー?! この前作ってくれるって約束したじゃん!」ウガーン


タイヘイ「悪い、また今度で…」


うまる「やだやだ〜今日食べたい〜」ゴロゴロ


タイヘイ「うまる……」


うまる「食べたいのは食べたい時が食べどきなの〜」ゴロゴロ


タイヘイ「うまる!!」ドンッ


うまる「ひゃ?! お、お兄ちゃん……?」ビクッ


タイヘイ「あ…………」

3: 2015/09/04(金) 00:00:38.84
うまる「……………」グスッ


タイヘイ「う、うまる……ご、ごめ」


うまる「……お、お兄ちゃんの馬鹿!」ウワーン


うまる「もうお兄ちゃんのご飯なんていらない!」フトンガバッ


タイヘイ「お、おい。うまる……」


ふとんinうまる「………」グスッグスッ


タイヘイ(……だ、駄目だ。疲れて喧嘩する力もない……)フラッドサッ


ーーーーーーーー
ーーーー
ーー

チュンチュン


うまる「う………んん……」


うまる(…….朝…かな…)


うまる(そ、そうだ。お兄ちゃんは?!)ガバッ


うまる「……いない」キョロキョロ


――お兄ちゃんの馬鹿!


うまる(あ………ま、まさかうまるのせいで出ていっちゃったんじゃ…?!)



4: 2015/09/04(金) 00:04:13.80
うまる「あれ….いい匂いがする」スンスン


うまる「あ……朝ごはんだ。書き置き…?」


《うまるへ。会議があるから早めに出ます。ちゃんと朝ご飯食べて学校行けよ》


うまる「…….……」


うまる「よ、よかった……」ホッ


ーーーー
ーー


うまる「頂きます」


うまる「…….…….」パクパク


うまる(おいしい…)


――もうお兄ちゃんのご飯なんていらない!


うまる「…………っ」ズキッ


うまる(うまる……昨日、酷いこと言っちゃったな…)

5: 2015/09/04(金) 00:06:24.16
うまる(つい、いつもの調子で駄々こねちゃったけど….お兄ちゃん疲れてたんだよね)


うまる(それなのにうまる….酷いこと言っちゃった…)


うまる「……….」


うまる( よし、帰ってきたらお兄ちゃんに謝ろう…….)ウマルーン


ーーーーーーーー
ーーーー
ーー

ーー会社・昼休みーー


タイヘイ「………」パクパク


ぼんば「ぬあー。超疲れた……」モシャモシャ

アレックス「〜〜・」シャカシャカ


タイヘイ「………」パクパク


ぼんば「これで今日、残業とかあったらやべえなぁ」モシャモシャ


タイヘイ「……….」パクパク


ぼんば「……タイヘイ?」

6: 2015/09/04(金) 00:12:38.81
タイヘイ「………ん。何?」パクパク


ぼんば「どうしたんだよ。なんか元気ないな」


ぼんば「もしかして、昨日の事まだ気にしてんのか? あれくらい気にすんなって。俺なんてタイヘイの何倍もやらかしてるぜ!」


タイヘイ「いや……….」


ぼんば「何だよ違うのか。じゃあもしかして、たぬきちと喧嘩したとか?」モシャモシャ



タイヘイ「…………」


ぼんば「えっ……もしかして図星か」


タイヘイ(うまる……ちゃんとご飯食べて学校行ったかな)


ぼんば「お前…妹は大事にしなきゃだめだぞ。俺なんてなぁ――」


タイヘイ(….….今日の夕飯はジャンボハンバーグにするか。後、ポテイトとコーラも買っていこう)


アレックス「〜〜〜」シャカシャカ

8: 2015/09/04(金) 00:22:55.78
ーーーー
ーー


うまる「ただいま〜」ウマルーン


うまる「今日も学校疲れたなぁ〜。JK生活も楽じゃないよぅ」グデーン


うまる「さて、漫画とゲームしながらアイスでも食べ……….」


うまる「……….……」


うまる「……たまには部屋の掃除でもしようかな」


うまる「うん、よし!お兄ちゃんにうまるもやれば出来るって事を見せてあげよう!」ウマルーン


ーーーー
ーーーー


うまる「ふぅ。で、出来た」


ピカピカーン


うまる「うぅ、部屋が輝いて見える!うまるは自分の才能が恐ろしいよ!」


うまる「これは、お兄ちゃんもびっくりする事、間違いなしだね!」


うまる「ちょっとお腹すいたな…ポテイトでも買いに行くかな」


うまる「………….」


うまる「………お兄ちゃんのも何か買っといてあげよう」

10: 2015/09/04(金) 00:49:43.50
ーーーー
ーー


タイヘイ「ふぅ……」テクテク


タイヘイ (今日は残業がなくてよかった…)


タイヘイ「…………」


タイヘイ(うまる…家にいるよな)


タイヘイ(今日はジャンボハンバーグと……デザートも作ってやるか)


ウワナンダ!クルマガボウソウシテル!


タイヘイ「――――え?」







――――――キキー!!ドンッ!!






ーーーー
ーー


うまる「…….……」ソワソワ


うまる「お兄ちゃん……遅いな….」


うまる「今日も残業なのかなぁ」


うまる「…………」グウゥー


うまる「お腹すいたな。なんかピザでもとって先に食べて……」


うまる「……いや、今日はお兄ちゃんとたべよう」


うまる「…………」


うまる(メールも返ってこないし、電話も通じない。まさかお兄ちゃんは……うまるに愛想を尽かして…)


うまる(いや、そんなわけない。お兄ちゃんはうまるを置いて行ったりなんか…)ブンブン


prrrr、prrrr


うまる「あ、電話。お兄ちゃんかな…」


ガチャ


うまる「はい、土間です」


うまる「………」



うまる「――――え?! お、お兄ちゃんが交通事故…?!」

13: 2015/09/04(金) 00:57:13.89
ーー病院ーー


ナース「妹さんですか!では、こちらで待ってて下さいっ」


うまる「お兄ちゃんっ……お兄ちゃんっ…….…」


うまる(事故だなんて…お兄ちゃん…氏んじゃったりしないよね……)


うまる(もしお兄ちゃんがいなくなっちゃったら……うまるはっ…うまるはっ……)


医者「貴方が妹さんですか?」


うまる「あ。せ、先生!お兄ちゃんは、お兄ちゃんは無事なんですかっ?!」


医者「……お兄さんについてお話があります」


うまる「えっ………」


ーーーー
ーー


医者「手術は成功しました。命に別条はありません」


うまる「ほ、ほんとうですか?!よ、よかった…」ホッ


医者「ただ、頭部に強い衝撃が加わり、脳に大きなダメージを受けています」


うまる「え、どういう……」


医者「……意識が戻るか分からないのです」


うまる「な!?」


医者「経過を見る必要はありますが……脳のダメージからすると意識が戻るのは難しいでしょう。まだ断定は出来ませんが……覚悟はしておいて下さい」


うまる「そ、そんな………う、嘘……。うそ……だ………」


うまる(うまる…最後に何て言ったけ………馬鹿?それが……お兄ちゃんとの最後の会話…………)


医者「………………」


うまる「あ、ああ………」





うまる「――う、うああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!」

14: 2015/09/04(金) 01:00:55.13








ーーーーーーーー
ーー半年後ーー
ーー




「うまる。朝だぞ!起きろ!」


うまる「えっ、お、お兄ちゃん……?!帰ってきたの……?」


「は、何言ってんだお前?そんな事言って誤魔化しても無駄だぞ!また夜更かし、してただろ!」


うまる「お、お兄ちゃん……。よかった…お兄ちゃんが帰ってきた!お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん!!」


「お、おいうまる。突然泣いてどうしたんだよ。うまる。うまるってば――――」













うまる「…………」ガバッ


チュンチュン


うまる「…………」キョロキョロ


シーン


うまる「夢……か………」


うまる「…………」


うまる「学校………行かなくちゃ……」

16: 2015/09/04(金) 01:10:11.67
うまる「いただきます……」


うまる「…………」モグモグ


シーン


うまる「…………」モグモグ


 一人で食べる静かな朝食にも慣れた。


 お兄ちゃんが事故にあってから遂に半年が経った。意識は戻らず、先月お兄ちゃんに遷延性意識障害――植物状態の診断が下された。お兄ちゃんは未だ病院のベッドで眠り続けている。


 私はといえば、このアパート。お兄ちゃんのいた部屋に一人で住み続けていた。………意識が戻るのが難しい事は分かっている。だけど諦めきれない。ここは、お兄ちゃんが帰って来る場所だ。だから、私はここで待っていてあげなくちゃいけないんだ……。


うまる「………….」モグモグ


うまる「ごちそう…さま」


ゴソゴソ


うまる「行ってくるね……お兄ちゃん…」ガチャ

17: 2015/09/04(金) 01:13:51.01
海老名「あ。う、うまるちゃん。おはよう」


うまる「おはよう海老名ちゃん。ごめんね。待たしちゃった?」


海老名「ううん…今来たばっかだよ」


うまる「そっか。じゃ、行こっか」ニコッ


ーーーー
ーー


海老名「う、うまるちゃん。今日お昼はどうするの?」


うまる「ん?購買で買うつもりだったけど」


海老名「今日、うまるちゃんの分もお弁当作って来たんだ。もしよかったら…」


うまる「本当?ありがとう。海老名ちゃん」


ーーーー
ーー学校ーー


きりえ「う、う、うまるさん。お、お、お、おはようございます」


シルフィン「おはようございますわ!うまるさん!」シュバーン


うまる「おはよう、きりえちゃん。シルフィンさん」ニコッ

18: 2015/09/04(金) 01:22:49.89
ーーーー
ーー昼休みーー


シルフィン「今度皆さんでこの、スイートパラダイスに行きましょう!」シュバーン


うまる「あ、いいね」


海老名「す、すいぱら…」グウゥゥ


シルフィン「ケーキが幾らでも食べ放題らしいですわ!!」シュババーン


きりえ「…………」モグモグ


きりえ「…?う、うまるさん。今日はお弁当作って来たんですか?」


うまる「ん?あ、今日は海老名ちゃんが作ってくれたんだ」


きりえ「え…」


海老名「あ。お、おいしい?味付け大丈夫かな…?」


うまる「うん。凄くおいしいよ」ニコッ

20: 2015/09/04(金) 01:30:01.06
きりえ「………」


きりえ「う、う、うまるさん。明日お弁当作って来てい、いいですか?」


うまる「え?ほ、ほんとに?」


きりえ「い、いや、ご迷惑じゃなければ……」


シルフィン「私も明日うまるさんにお弁当作りますわー!」シュバババーン


海老名「あはは……」


うまる「そ、そんなに食べれないかな…。でも二人ともありがとう…」



 うまるは恵まれている。お兄ちゃんが事故にあって塞ぎ込んでいたけど、皆のおかげで随分とマシになった。

 もし、海老名ちゃんやきりえちゃん。シルフィンさんやクラスの皆がいなければ、学校には…いや、まともに生活さえできていなかったと思う。

 でも……。



22: 2015/09/04(金) 01:36:04.26
うまる「ん、海老名ちゃん。このハンバーグおいしいね!」


海老名「ほ、本当?よ、良かった…」


うまる「うん、味が染み……」


――――ジャンボハンバーグ。


うまる「?!」


うまる「ご、ごめん。ちょっとトイレ行ってくるね」ガタッ


海老名「う、うん」


ーーーー
ーー


うまる「う……………おえぇぇ……」ビチャビチャ


うまる「はぁっ…….はぁっ……」


うまる「うっ……はぁっ………ごめんね……海老名ちゃん……」


 日常が戻って来たように見えても所詮上辺だけだ。ふとした事でほころびが見えてしまう。うまるはあの日から何も立ち直れてなんかいない……。


うまる「うっ……おえぇぇ」ビチャビチャ

うまる「はぁっ………はぁっ……」


うまる「うっ、……うっうっ……うああ……」グスッグスッ

24: 2015/09/04(金) 01:40:01.71
ーーーー
ーー放課後ーー


うまる「ごめんね海老名ちゃん。今日は用事があるから先に帰るね」


海老名「今日は…………うん、分かった。また明日ね、うまるちゃん」


うまる「うん、ばいばい」


うまる「………」


うまる(今日は………お兄ちゃんに会いに行く日)


うまる(この日になると、胸の奥が苦しくなる。行きたいけど………行きたくない……)


ーーーー
ーー病院ーー


うまる「すいません…こんにちは」


ナース「あ、こんにちは土間さん。お見舞いですか」


うまる「はい」


ナース「分かりました。ではこのままお進み下さい」


うまる「…………」スタスタ




ナース1「あの子、毎週の様に来てるわね…」

ナース2「健気な子よ……お兄さんの為にずっと通ってるなんて……」




うまる「……….あ」スタスタ


叶「…………こんにちは」ペコリ


うまる「こんにちは。いつもありがとうございます」ペコリ


叶「いえ…………じゃあ…」スタスタ


うまる「はい………また…」


うまる(叶さん……お兄ちゃんの会社の上司。あの人も毎週のように来てるね…….…)


26: 2015/09/04(金) 02:08:26.67
うまる「………」


うまる(お兄ちゃんの病室に入る前、いつも期待する)


うまる(開けたら、お兄ちゃんは目を覚ましていて………前みたいに……うまるの頭を撫でてくれるんじゃないかって……)


うまる「………」


うまる「……お兄ちゃん来たよ」ガララッ
















タイヘイ「ーーーーーーーー」



うまる「…………」


うまる「お兄ちゃん……うまるが会いに来たよ…」


 返事はない。薄暗い病室に響くのはメーターの電子音だけ。チューブに繋がれたお兄ちゃんはベッドで眠り続けている。

29: 2015/09/04(金) 02:15:09.42
うまる「あ、花瓶の花が新しくなってる……」


うまる「きっと叶さんが替えてくれたんだね。今度お礼を言わなくちゃね、お兄ちゃん…」


タイヘイ「――――――――」


うまる「……今度、海老名ちゃん達とスイートパラダイスに行くんだ」


うまる「……うまるは、お兄ちゃんとも行きたいな。今度…一緒に行こうね……」


タイヘイ「――――――」


うまる「お兄ちゃん、うまるね。また百点取ったんだ。難しかったけど、一生懸命勉強したんだよ」


うまる「それで、また今度表彰されるんだ……」


うまる「だから……前みたいにご褒美が欲しいな…」


タイヘイ「――――――――」


うまる「…………」


うまる「………うっ…ぐすっ……うう……お兄……ちゃん…」グスッ


うまる「うっ……うっ……」





うまる「うああっ………ああああ……」

30: 2015/09/04(金) 02:17:33.96
ーーーー
ーー家ーー


うまる「……ただいま」ガチャ


うまる「…………」


うまる「あ……ゴミ出すの忘れてた…」


うまる「洗濯物も溜まっちゃったなあ……」


うまる「まあいいや…………今日はもう寝よう…」ドサッ


うまる「…………」


うまる「お兄ちゃん……うまるはもうどうすれば良いのか分からないよ……」


うまる「ずっとこのままなら…….うまるは…….うまるは…….」


うまる「…………」


うまる「おやすみ……お兄ちゃん…」


ーーーー
ーーーー


「うまるっ。掃除をしといてくれっていっただろ!」


うまる「えー、お兄ちゃんがやってよ〜。うまるは今忙しいのー」


「食べたものも食べっ放しだし…….もういい!さよなら、うまる」


うまる「え……お、お兄ちゃん。ど、どこに行くの?」


「じゃあね、うまる」


うまる「ま、待って!ちゃんと、ちゃんとするから!!」


うまる「うまるを置いていかないで!お兄ちゃん!お兄ちゃん――――」

31: 2015/09/04(金) 02:20:27.04
ーーーー
ーー


うまる「うああああああああああああああああああああっ!!………はあっ!あぐっ………はあっ……… はあっ……」ガバッ


うまる「はぁっ………はぁっ…….ゆ、夢………」


うまる「ううっ…………ま、まずい……」ダッ


うまる「…………おえぇぇ」ビチャビチャ


うまる「はぁっ……うぐっ……はぁっはぁっ………」





うまる(…………………罰……なのかな……)


うまる(うまるがお兄ちゃんに頼りきりで迷惑ばっかりかけていた罰なのかな………)


うまる(だから……お兄ちゃんはうまるの所からいなくなっちゃったの………)


うまる(……………)


うまる(じゃあ、もし……うまるがいい子になれば、お兄ちゃん帰って来てくれるのかな……)


うまる(お兄ちゃん……)

51: 2015/09/04(金) 17:03:38.07
ーーーー
ーー


うまる「……えーと、次はこれを切って…」


サクサクトントン


うまる「うーん…うまく切れな……痛っ!」


うまる「っ……また指切っちゃった……」


うまる(お兄ちゃんは簡単そうに料理をしてたけど……実際は難しいね…)


うまる(でも……頑張らなくちゃ…)


うまる「あ、材料がないや….買いに行こう…」


ーーーー
ーー
スーパー


ガヤガヤ


うまる「………」テクテク


うまる(そういえば、このスーパー良くお兄ちゃんと来たな)


うまる(あの時はうまるが無理やりポテイトやコーラをカゴに入れたりして…)


うまる(ポテイトやコーラ……最近食べてないな。でもきっと食べたら吐いちゃうね…….)


海老名「あ……う、うまるちゃん!」


うまる「海老名ちゃん…。海老名ちゃんもお買い物?」


海老名「うん。うまるちゃんは……って、ど、どうしたの?!その手……」


うまる「え、あ…な、何でもないよ!ちょっと料理してたら指きっちゃって」


海老名「で、でもそんなにボロボロになるまで……」


うまる「うん……でも、大丈夫だから…」


海老名「……分かった。だけど、私に出来る事があったら何でも言ってね」


うまる「うん……ありがとう、海老名ちゃん」


52: 2015/09/04(金) 17:04:58.91
ーー数日後ーー


うまる「海老名ちゃん、はい」


海老名「え?」


うまる「この前のお礼にお弁当を作って来たんだ」


海老名「あ、ありがとう。うまるちゃん」


シルフィン「わたしも今日はお弁当を作ってきましたわ!!」シュバーン


きりえ「え?!…….わ、わたしも実は……」スッ


うまる「えっ…じ、じゃあ、今日は皆でおかずを交換しようよ」


シルフィン「それは楽しくそうですわぁー!」シュバババーン


きりえ「う、う、う、うまるさんの手料理をた、た、食べれる…」


うまる「あはは…」


海老名「じ、じゃあうまるちゃん頂きます……ん……んめなぁ〜」


きりえ「ん、んめなぁ?」


海老名「……え?あ、す、凄くおいしいよ!」


うまる「ほ、本当?良かった……」


ーーーー
ーー


うまる「……ただいま」ガチャ


うまる「ふぅ……」


うまる「お弁当…上手く出来て良かった」


うまる「……これならきっとお兄ちゃんも美味しいって言ってくれるかな…」

53: 2015/09/04(金) 17:06:07.12

ーー病院ーー


うまる「こんにちは」


ナース1「あ、こんにちは土間さん。どうぞ、お進み下さい」


うまる「はい…」テクテク



ナース2「…健気な子ね」

ナース1「あの子…お兄さんにずっとマッサージをしてるのよ。……目覚めることを信じて」

ナース2「でも先生は…」

ナース1「………」フルフル

ナース2「………」



ーーーー
ーー病室ーー


うまる「お兄ちゃん……来たよ…」


タイヘイ「ーーーー」


うまる「……じゃあ、今日もマッサージするね…」


タイヘイ「ーーーー」


うまる「よいしょっ……よいしょっ……」ギュッギュッ


うまる「……お兄ちゃん……気持ちい?」ギュッギュッ


タイヘイ「ーーーー」


うまる「……ずっと、寝てばっかだと……体が硬くなっちゃうもんね……」ギュッギュッ


うまる「あんまり寝てると……うまるに喧嘩で勝てなくなっちゃうよ…」ギュッギュッ

54: 2015/09/04(金) 17:07:04.15
うまる「………」ギュッギュッ


うまる「……うまるね…….今日、お弁当持って来たんだ」


うまる「ほら、へたっぴだから手を切っちゃったよ」


うまる「でも味は大丈夫だよ。海老名ちゃんも美味しいって言ってくれたから……」


タイヘイ「ーーーー」


うまる「これからいつでも作ってくるから……食べたくなったら言ってね…」


うまる「………」ギュッギュッ


うまる「うまるね……お弁当の練習やお兄ちゃんの世話をしてて、少しだけ分かったんだ」


うまる「誰かの為に、何かをするのは大変だって……。うまるは今まで自分だけの事しか考えてなかったって……」


うまる「お兄ちゃんはずっと、うまるの為に色々してくれてたんだよね….…」


タイヘイ「ーーーー」


うまる「それがどんなに大変な事なのか、うまるは分かってなかったよ……ごめんね、お兄ちゃん…」


うまる「………」


うまる「……だから、うまるは諦めないよ。お兄ちゃんに恩返しをするんだ」


うまる「皆が諦めても…うまるは諦めないからね…」

55: 2015/09/04(金) 17:08:32.30
ーーーー
ーー


医者「土間さん…今後の延命治療についてですが…」


うまる「はい…」


医者「……正直な所、もうお兄さんが目を覚ます確率は限りなく低いです」

うまる「……….」


医者「如何なさいますか」


うまる「…続行をお願いします」


医者「………」


うまる「私は兄を信じます……だから、続行をお願いします…」


ーーーー
ーー

 うまるはお兄ちゃんの所に通い続けた。今までの分、お兄ちゃんに恩返しがしたい。うまるはマッサージや声かけなど、効果があるかもしれない事を、必氏にやり続けた。


 そして――。

 

56: 2015/09/04(金) 17:09:28.35
ーー2ヶ月後ーー


うまる「お兄ちゃん、今日はお兄ちゃんの好きな曲を聞かせてあげるね」


タイヘイ「ーーーー」


うまる「うまるも一緒に聞くね……イヤホンを片っぽもらうよ」


タイヘイ「ーーーー」シャカシャカ


うまる「手、握るね……」ギュッ


うまる「えへへ……昔みたい…」シャカシャカ


うまる「………」シャカシャカ


タイヘイ「ーーーー」


タイヘイ「ーーーーー」





























タイヘイ「…….……」ギュッ


うまる「………え」

58: 2015/09/04(金) 17:12:41.37
タイヘイ「……………」


うまる「お、お兄ちゃん……目が………開いて……」


うまる「……………………」


タイヘイ「…………………」


うまる「……お、お兄ちゃん」ブワッ


うまる「……………………お、お兄ちゃあああああああああああああああん!!」


うまる「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん!!お兄ちゃんが帰って来た!!お兄ちゃんが帰ってきたよ!」


うまる「うあああああ……お兄ぢゃんが……がえっできだ……お兄ぢゃん…」


ナース「ど、土間さんどうしまし…………えっ、目が?!せ、先生を呼んできて!!」


うまる「よがっだよおおおおおおおおおお……お兄ぢゃん……」


ーーーー
ーー


 奇跡が起こった。お兄ちゃんの意識が回復した!お兄ちゃんが帰ってきた!

 ――だけど全てが終わりじゃなかった。ずっと眠っていたのだ。お兄ちゃんは目を開けてるだけで、表情も今はない。辛いリハビリが必要になる。お医者さんはそう言っていた。


 でもうまるは頑張る。だってお兄ちゃんがそこにいるんだから!

59: 2015/09/04(金) 17:14:14.25
ーーーー
ーー3ヶ月後ーー


うまる「じゃあ、顔のマッサージをするね」


タイヘイ「………」


うまる「よいしょっ…よいしょっ」グニグニ


タイヘイ「…………」


うまる「えへへ…なんだがお兄ちゃんにお仕置きでほっぺグニグニされたの思い出すなあ」グニグニ


タイヘイ「…………」


タイヘイ「…………」


タイヘイ「……………」ニコッ


うまる「あ………わ、笑った……お兄ちゃんが笑った!!」


タイヘイ「…………」ニコッ


うまる「うんっ……うんっ……うまるも嬉しいよおおぉ……」グスッグスッ

ーーーーーーーー
ーーーー
ーー

 お兄ちゃんの顔に笑顔が戻ってきた!うまるの顔を見て、お兄ちゃんが笑ったんだ!久し振りの笑顔なのにうまるは目の前が滲んでしまってよく見えなかった。


 これがきっかけにお兄ちゃんはどんどん回復していった。そして――――ついに。










タイヘイ「………う………まる……」


うまる「え?!お、お兄ちゃん……声が………」


タイヘイ「…うま……る……」


うまる「お、お兄ぢゃん……」


タイヘイ「う…まる……」


うまる「…うん……うまるだよ……お兄ちゃんの妹の…うまるだよ…」グス


タイヘイ「う…ま…る…」


うまる「お兄ちゃん……お兄ちゃん…」グスグス

60: 2015/09/04(金) 17:16:22.83
ーーーー
ーー

――そして、数ヶ月後。



「….…凄く久し振りだな」


「えへへ…でも、前のままだから大丈夫だよ」


「本当か?凄く散らかってたりして」


「むぅ。失礼な。ピカピカで驚いて目を回さないでね!」


「ごめんごめん。冗談だよ」


「あ、入る前にちょっと待ってて」タタッガチャッ


「ん?分かった」


「………いいよー」


「…………」ガチャッ



































うまる「おかえり!お兄ちゃん!」


タイヘイ「……ただいま。うまる」



ーー完ーー

61: 2015/09/04(金) 17:18:21.11
後日談はよ

79: 2015/09/10(木) 22:28:30.06
イイハナシダッタナー

引用元: うまる「え……お兄ちゃんが交通事故に……?」