23: 2012/05/12(土) 10:36:52.63
ヒュウゥゥゥゥ……

ほむら(幸せな結末、か……)

ほむら(………………)

ほむら(数えるのを諦めるほどの時間を繰り返し……)

ほむら(最後に彼女が選んだのは、その身を犠牲にした魔法少女の救済)

ほむら(私には、彼女を止めることができなかった……)

ほむら(………………)



ほむら(……本当に、この終わり方でよかったのかしら……?)

25: 2012/05/12(土) 10:42:08.02
ほむら(まどかを救う)

ほむら(それが、それだけが、私が求め続けた『幸せな結末』)

ほむら(……もう、二度と手に入ることのない)

ほむら(………………)



ほむら(……私は)

ほむら(……私は、これから何を求めて生きていけばいいのだろうか)

28: 2012/05/12(土) 10:49:13.43
ザッ

杏子「……よう、ほむら」

ほむら「……杏子」

杏子「……また考え事か」

ほむら「ええ」

ほむら「考えても仕方のないことだけど、どうしても頭から離れないことがあるの」

杏子「……そっか。ほむらもか」

ほむら「………………」

31: 2012/05/12(土) 10:56:37.09
ほむら「……貴女は、美樹さやかの事かしら?」

杏子「……まーね」

杏子「アタシは、ある日から魔法少女の力は自分の為だけに使うことを決めていた」

杏子「何の目的も持たず、自分の為に生き、自分の勝手に消えていく」

杏子「それでいいと思ってた」

ほむら「………………」

杏子「アイツに、さやかに会うまでは」

33: 2012/05/12(土) 11:03:45.45
杏子「……初めて会った時は、敵同士だったかな。本気で頃し合ったりもした」

杏子「……それでもいつからか、さやかの事が気になりだしてきた」

杏子「さやかがどう思っていたかは、今となっちゃあ知りようもないけどね」

ほむら「………………」

杏子「でも、少なくともアタシはさやかの事を友達だと思っていた」

杏子「魔法少女になってからそんな関係を築くことができるなんて、思っても見なかった」

ほむら「………………」

35: 2012/05/12(土) 11:12:39.41
杏子「さやかの願いは知ってるし、アイツにとってそれだけ大切な人がいるというのも知っていた」

杏子「……でもな」ポタッ

杏子「……まさか、自分が消えちまうまであの坊やの為に戦い続けるなんてよ……」ポロッポロッ

ほむら「……杏子」

杏子「……済まん」グシッ

杏子「たださ、さやかにとって、あの結末で本当に幸せだったのかなって……」

40: 2012/05/12(土) 11:19:32.74
ほむら「……私達にそれを確認する術はないわ」

ほむら(そう、まどかが選んだ答えがまどかを幸せにしたのかを知る術がないのと同じ……)

杏子「……分かってる。分かってるさ」

杏子「でもさ……さやかの本心が分からなかったことや、アタシ達もいるのにまるで生き急いだかのような最期」

杏子「……少し、寂しいんだ」

48: 2012/05/12(土) 11:26:59.93
杏子「魔法少女として、友達としてさやかと一緒に生きていけたら」

杏子「それがアタシの見つけた新しい幸せのカタチだった」

杏子「ははっ、まさかまた見失うことになるなんてな……」

ほむら「……杏子」

杏子「と言うわけで、アタシはこの街を離れるつもりだ」

ほむら「!?」

杏子「この辺りはほむら達に任せる」

52: 2012/05/12(土) 11:36:06.54
ほむら「……巴マミには?」

杏子 フルフル

杏子「暫く伏せてもらって、時期を見てほむらから話しといて」

杏子「マミに言ったら、また止められるだろうしな……」

ほむら(また……?)

杏子「マミは何だかんだ言って寂しがり屋だからさ。ほむらが居なかったらアタシの決心が鈍っただろうな」

ほむら「……悪いけど、期待には応えられないわ」

杏子「あん?」



ほむら「私は、この街を出る」

杏子「はあっ!?」

60: 2012/05/12(土) 11:47:49.09
ほむら「聞こえなかったのかしら? この街を出ると言ったのよ」

杏子「い、いや聞こえちゃいるが……そんな勝手な話あるかよ!?」

ほむら「勝手な話というのは誰の話かしら?」

ほむら「詳しくは知らないけど、貴女は過去にマミと一緒に過ごし、そして別れた」

杏子「――っ!」

ほむら「貴女の言う『寂しがり屋の巴マミ』は、その時どんな思いを抱いていたのかしら?」

ほむら「それは私なんかより再会した貴女の方が十二分に理解しているはず。それをまた繰り返すの?」

杏子「………………」

61: 2012/05/12(土) 11:57:09.84
ほむら「それにもう一人、貴女が街を出たら悲しむ人がいるわ」

杏子「ほむらっ!? アイツにこの場所を――」



「キョーコ」



杏子「……ゆま……」

ほむら「私は詳しくは聞いてないけど、彼女は貴女の為に魔法少女として生きることを選んだ」

ほむら「彼女の思いに囚われろとは言わないわ、でも少しくらいは彼女の言葉を聞いてあげてもいいのでは?」

63: 2012/05/12(土) 12:04:36.22
ゆま「キョーコ……」

杏子「………………」

ゆま「キョーコがこの街を出るなら、ゆまは止めないよ」

ほむら(えっ)

杏子「ゆま……」

ゆま「でも……キョーコが幸せを見つける旅に出るのなら……」



ゆま「……ゆまにもそれを手伝わせて」

杏子「ゆま……!」

64: 2012/05/12(土) 12:12:21.37
杏子「ゆま……アタシなんかに着いてっても、ゆまは幸せにはなれないぞ?」

ゆま「それを決めるのはキョーコじゃなくてわたしだよ」

杏子「はは……そうか、そうかも知れねぇな」

ゆま「かもしれないじゃないよ、そうなんだよ」

杏子「分かった分かった。なら一緒に行くか、ゆま?」

ゆま「うんっ!」

ほむら「ちょっと、この街を出るのは――」



「三人とも、勝手に話を進めないでくれるかしら?」

66: 2012/05/12(土) 12:24:20.78
三人「(巴)マミ(おねえちゃん)……」

ほむら『ゆま、貴女は杏子の話をマミに知らせたの?』

ゆま『うん、念のため……』

マミ「一緒に戦ってきた仲なのに冷たいわね、黙って街を出ようなんて」

マミ「特に佐倉さん」

杏子「ひいっ!?」

マミ「言えば私が止めると思っていたの?」

杏子「えっ……」

67: 2012/05/12(土) 12:42:37.06
マミ「勿論、寂しいのは事実」

マミ「孤独な戦いを続けていたあの頃を考えると辛くないと言えば嘘になるわ」

杏子「………………」

マミ「でもね、あの時とは違うわ。私も、あなたもね」

杏子「マミ……」

マミ「今の佐倉さんなら、新しい生き方を見つけるのを応援したい」

マミ「……それに、美樹さんの事を考えると、佐倉さんがこの街に残るのはまだ少し辛いのでしょう?」

ゆま「キョーコ……」

杏子「はっ、流石はマミだ。やっぱりアタシじゃまだまだ敵わないや」

マミ「当たり前じゃない。どれだけ佐倉さんの師匠をやったと思っているのよ」

マミ「……幸せになりなさい、絶対に。約束よ」

杏子「……ああ!」

74: 2012/05/12(土) 12:52:07.85
マミ「……さて、暁美さん」

ほむら「……感謝するわ、巴マミ。安心してこの街を離れられるわ」

マミ「何を言っているの?」

ほむら「?」

マミ「誰が暁美さんの話をしたのかしら? あなたの話はこれからよ」



ほむら「……え?」

83: 2012/05/12(土) 13:32:19.21
マミ「暁美さんは、何故この街を離れようと思ったのかしら?」

ほむら「……私はこの世界を生きてきた存在ではないの」

マミ「そう言うのは私も嫌いではないわ」

ほむら「……私は真面目に答えているのよ」

マミ「………………」

ほむら「………………」

マミ「……その場しのぎの嘘を吐いているわけではないようね」

85: 2012/05/12(土) 13:41:55.88
マミ「それでも、簡単に信じられるような話ではないというのも率直な感想ね」

ほむら「……別に信じてもらう必要はないわ」

マミ「そう、それならそうね……私と戦いなさい」

ほむら「……え?」

マミ「拳で殴り合えば理解できるというじゃない。もっとも私も暁美さんも殴り合うような魔法少女ではないけれど」

ほむら「……バカバカしい。失礼させて貰うわ」

シュルル ガシッ

ほむら「なっ……バカ、こんな事を……」

マミ「私はあなたを止めるわ、暁美さん。この街を去りたければ、全力で抵抗することね」

86: 2012/05/12(土) 13:55:24.31
ほむら「そっちがそのつもりなら……」

バサアァッ!ズバアッ!

マミ「……驚いたわ。便利な翼を持っていたのね」

ほむら「悪いけど、本気で行かせて貰うわ」

マミ「そうこなくちゃ。でも、これが躱せるかしら?」

ジャキキキキキンッ!

ほむら(無数の銃口が……巴マミの十八番ね)

マミ「少し痛い目に遭ってもらうわね? はっ!」



ズガガガガガァン!!

87: 2012/05/12(土) 14:02:41.26
マミ「……驚いたわ。翼からの射撃で全て相頃するなんて」

ほむら「………………」

マミ「仕方ないわ。ケガは後で治してあげるからね」



ジャキン!

ほむら「!?」

マミ「いくわよ!ティロ――」

ほむら「っ!? 全開!フィニトラ――」



――――――
――――
――

93: 2012/05/12(土) 14:10:20.16
マミ「……全く、今日は驚きの連続ね」

ほむら「………………」

マミ「弾幕を捌かれたのもそうだし、必殺の一撃も……暁美さん、どこであんな戦いを身に付けたのかしら?」

ほむら「……私に戦いを教えてくれた先生が、二人とも射撃系の魔法を得意としていたのよ」

マミ「へぇ……その先生は今どうしているのかしら?」

ほむら「……こことは別の世界の話と言ったはずよ」

マミ「ふふっ。そう言えばそうだったわね」

95: 2012/05/12(土) 14:14:17.76
ほむら「やはり、信じてもらえそうにないわね……」

マミ「そうでもないわよ」

ほむら「!?」

マミ「さっきの戦いで、暁美さんの意志の力、しかと受け取ったわ」

ほむら「……そう言う言い回ししか出来ないのかしら貴女は」

マミ「もう、いいじゃない」

96: 2012/05/12(土) 14:21:12.98
マミ「……暁美さんも、行ってしまうのよね」

ほむら「……ごめんなさい」

マミ「謝る必要はないわ。けれど、一つだけ約束して」

マミ「あなたも必ず、幸せな未来を見つけ出すこと!」

ほむら「――分かったわ」

マミ「みんながそれを望んでいるはず。あなたの先生も、もちろん私もね」



「そうだよほむらちゃん

          ――がんばって」






97: 2012/05/12(土) 14:22:22.20
乙乙

98: 2012/05/12(土) 14:22:56.70
乙!

101: 2012/05/12(土) 14:25:50.52
おわったー

改編後の世界を映画版で扱ってくれるのはムリかな

読んでくれた方々に感謝
ありがとうございました

129: 2012/05/12(土) 16:05:26.87
かなり絶望的なシーンなはずなのに不覚にも

引用元: ほむら「幸せな結末を求めて―――。」