1: 2010/11/19(金) 21:53:24.12
律「入部希望者を待つ!!」

澪「…待つの?」

………………

律「…」

澪「…帰ろっか?」

ガラッ

紬「あの~」

律澪「!!」

2: 2010/11/19(金) 21:55:09.01
紬「見学したいんですけど~」

律「軽音部の!!?」

澪「…」

紬「い、いえ、合唱部の…」

澪(うわぁ~…、可愛い子だなぁ…)ポッ

律「軽音部に入りませんか!? 今部員少なくて…」

紬「え、え~と…」オロオロ

澪(がさつな私や律と大違い…ぽわぽわしてて、なんかまさに女の子って感じ…)

3: 2010/11/19(金) 21:58:12.90
紬「……」チラッ

澪「!」

紬「…」ニコッ

澪「!!」ドキン

律「お、お願いしますぅぅ!!」ガシッ

紬「へ!? いえ、あの~…」チラリ

澪「…は!」

澪「こ、こら!! そんな強引な勧誘したら迷惑だろ!」

律「うぅ~…」

4: 2010/11/19(金) 22:01:32.25
律「――あの時の約束は嘘だったのかーー!?」

澪「――捏造すんな!」ゴン

紬「ぷっ…くすくす…」

澪「!」

澪(笑われた……。でも、笑顔いいな……)

澪(なんかこの子、優しそうだし……可愛いし…///)

澪(この子と一緒に部活できたら……)

澪(でもなぁ…。どう考えても軽音部って感じじゃあないし、文芸部に誘ってみようかなぁ)

7: 2010/11/19(金) 22:07:12.73
紬「――なんだか楽しそうですね。私でよければ入部させてください」

律澪「えぇぇぇ!!」

澪(う、うそ……)

澪(本当にこの子と一緒に…3年間部活を…青春バイブレーションを……)ポー

律「やったぜーー! これであと2人揃えれば!」

澪「ほぇ!?」

紬「2人ですか?」

律「ああ…部として認められるには4人の部員が必要で…」

紬「え~と…」チラッ

律「ん、ああ。ここいる澪は他の部活入りたいんだってさ」

律「今だけちょっと勧誘手伝ってもらってるだけなんだ」

紬「そうなんですか…」ショボン

澪「うえぇ!?」

8: 2010/11/19(金) 22:09:57.14
澪「い、いやぁ、これであと『1人』で軽音部設立だな!!」

律「は…?」

澪「さあ! すぐに見つけよう! 『1人』ぐらいすぐだよ!」

紬「! それじゃあ!」

律「あの~、澪さん? アナタ確か文芸b…」

澪「ふん!」ドゴッ

律「ぐぇっ!」

澪「よろしく! え~と…」

紬「琴吹 紬と申します」

澪「よろしく! 琴吹さん」

律「…なんだっつーんだよ…」

10: 2010/11/19(金) 22:12:46.59
律「う~ん、それにしてもこれからは同じ部活の仲間! 苗字で呼び合うのもなんだかなあ」

紬「そうですか?」

律「琴吹さん、あだ名とかある?」

紬「……」

律「琴吹さん?」

紬「あ! い、いえ、特に何も…」

律「つむぎー、って呼ぶのもなんか長いしな」

澪「いや、長くはないけど……(ていうか、恥ずかしくて呼び捨てはムリだ…)」

律「そうだ! じゃあムギでいいや。呼びやすいし、ねぇ?」

紬「え? うふふ……」

澪(ムギ、かぁ……。律にしては良い仕事するじゃないか///)

12: 2010/11/19(金) 22:15:25.57
律「私のことは律って呼んでくれムギ! これ以上省略しようもないしな!」

紬「よろしくお願いします。りっちゃん♪」

律「オイオイ…長くなってるじゃあねーか」

律「…そんでコイツは秋山澪!」

澪(ムギ…うふふふふ…ムギ……)

紬「よろしくお願いします。澪ちゃん」

澪「へ、へぇぇ!!?」ドキーン

紬「あ、あの…?? ごめんなさい…」

律「ああ、ごめんなー、ムギ。こいつ凄い人見知りなんだよ」

澪「あ…いやいや。よよよよろしく!……ム……」

紬「!」パァァ

澪「…ム……琴吹さん…」

紬「…」シュン…

13: 2010/11/19(金) 22:17:25.81
律「おいおい澪ー。この子はムギだって言ったばっかだろーが」

紬「いいんです…こういうことは人それぞれですし…」

澪「あ、いや…その…」

律「ほ~ら、澪~。ムギって呼んでみ」

紬「…」

澪「うぅ……///」

澪「ム……」

紬「…」

澪「ム…」

15: 2010/11/19(金) 22:20:12.80
澪「ムギュ…ゥ…っ」

律「えぇ~…」

澪(か、噛んだ///)

紬「ぷっ」

紬「…くすくす」

澪「あ…///」

律「ふ、あはははは!」

澪「わ、笑うなよっ」

紬「ふふふ…ごめんなさい…くす」

澪「もう! よろしく、ムギ!!」

紬「よろしく、澪ちゃん♪」

16: 2010/11/19(金) 22:23:04.19
……………………………
…………………
………

唯「は~、もう疲れたよぉ~…」ドタリ

律「私も~」バタリ

澪「早っ!」

澪「まだ練習始めたばかりだろ! やる気だせよ!」

紬「…」ジー

澪(ムギの前だからな…いい所見せなければ)ドキドキ

律「だいたい澪はウチの部入るつもりなかったくせに、なんで一番はりきってんだよー」

澪「」ギクリ

澪「や、やるからには全力が私のモットーなんだよ!」

律「初めて聞いたぜ、そんなのー」

紬「…」ジー

澪(ムギが見てる…! ここは格好良くみんなを説得して……)

18: 2010/11/19(金) 22:25:46.15
紬「…お茶にしましょうか?」

澪「」ガーン

唯「わぁ~い! さすがムギちゃん」

紬「ね、澪ちゃん?」ニコッ

澪(うぅ…反則だその笑顔…///)

澪「で、でもっ…!」

紬「今日はガトーショコラ持ってきたの~」

澪「…少し、休もうか」

律「おい、とんだ全力野郎だな」

澪(あぁ…おいひぃ…むぎゅカワユス…)ニマニマ

律「な、なんてしまりの無い顔してるんだ…コイツ…」

19: 2010/11/19(金) 22:27:56.63
……………………………
…………………
………

澪「えーと…」カキカキ…

澪「はぁ…詩を先にすれば良かった…」

ヴヴヴヴヴ

澪「…メール」

澪「!!」

澪「ムギからだ…!」

澪「なんだろう///」ニヤニヤ

紬『―さわ子先生が顧問になって、なんだかドキドキしています―』

澪「? ドキドキ…?」

澪「ま、まさかな…」

20: 2010/11/19(金) 22:30:27.95

唯「――うぅ…ギター弾きながら歌えない…」

さわ子「――私が特訓してあげるわ! まずは歯ギターから…!!」

澪「…はぁ」

澪「…ん」チラリ

紬「…」

澪(ああ…ムギの横顔…かわひい…)デレ

澪(ムギを見てるといつもハートむぎゅむぎゅ…)ポー

紬「…」ポー

澪(…んん?)

澪(なんかムギもぼーっとしてるな)

澪(視線の先は……さわ子先生!?)

紬「ふぅ…」

澪(そういえば…この前もさわ子先生を見ると胸がドキドキするって言ってた…)

澪(まさか…ムギ…)

21: 2010/11/19(金) 22:33:19.29
澪「ね、ねぇ律…!」

律「ん~なんだよ」

澪「ムギってさ、もしかして、さわ子先生のこと…」

律「なに?」

澪「い、いや、だだだから…さわ子先生を…」

律「マジか! ムギ~! さわ子先生のこと好きなのか~?」

澪「ば、ちょっと…っ!!」

紬「…え?」

紬「ああ…いえ、女の子同士ってなんかいいな~って…」

律「はぁ?」

澪「なんだ…良かったぁ…」ホッ

律「えぇぇ?」

22: 2010/11/19(金) 22:35:46.93
律「いいのかよ…」

紬「本人たちがいいならいいんじゃあないでしょうか!」

律「おまえは何を言ってるんだ…」

澪(はぁ…びっくりした)

澪(でも、ムギ…女の子同士は有りなのか…)

澪(ムギ自身は女の子を好きになったりするのかな…)

澪(って、何を考えてるんだ…)

澪(おかしいよな私…)

23: 2010/11/19(金) 22:38:29.65
……………………………
…………………
………

唯「ムギちゃ~ん。お茶にしようよ~~」

澪「毎度毎度…、練習始めたばっかりじゃないか!」

梓「そうですよ! せっかく皆やる気出してるのに…」

律「あ~疲れた。休もうぜー」

澪「やはりお前もか…」

梓「…もう! 澪先輩! ここは一つ、ビシッと言ってやって下さい!」

澪「ああ、もちろんだ! 唯! 律! よく聞け!!」

紬「まぁまぁまぁ、落ち着いて澪ちゃん? ここはひとまずお茶にしない?」

梓「またそうやってムギ先輩は甘やかして……さあ、澪先輩!!」

澪「…ああ! 何してるんだ梓! お茶の準備だっ!!」

梓「ぇ」

26: 2010/11/19(金) 22:42:44.20
紬「ふんふんふ~ん♪ しゃらんら~♪」

澪「…」ジロリ

梓「ぇ……。て、手伝いますムギ先輩……」

紬「あら、ありがとう梓ちゃん」

梓(どうしてこうなった…)

澪(ああ…お茶を淹れるムギ…美しい……)ポー


紬「はい、今日はガトーショコラよ♪」

唯「うわ~い! 頂きます!」

澪(ああ…ガトーショコラを食べながらムギを見つめ…ムギの淹れたお茶を飲む…)

澪(これ以上の幸せって、この宇宙にあるのかな…)ドバドバ

梓「み、澪先輩…口に入れたもの全部漏れてますよ…」

律「な、なんてだらしない口してるんだ…コイツ……」

27: 2010/11/19(金) 22:45:06.78
……………………………
…………………
………

紬「今日はショートケーキよ~」

律「おお! やっぱりケーキの基本はショートケーキだよな!」

梓「すいません、頂きます」

澪(ムギが用意してくれたものならなんでもいいけどな///)

唯「…」

梓「? なんか今日唯先輩おとなしいですね」

律「確かに、お茶の時間になるといつも全身で喜びを表すのに」

唯「…」

紬「唯ちゃん…まさか……?」

29: 2010/11/19(金) 22:48:16.77
唯「…」ジー

澪「な、なんだよ唯。私のケーキずっと見て…」

唯「…」ジー

律「ふは! 澪のケーキにゴキブリでも付いてるのか?」

梓「ひえぇ!」

澪「ひ、ひぃぃぃ! 変なこと言うな!!」ゴチン

梓「どうしたんですか、本当に?」

唯「澪ちゃんのケーキ…」

澪「なんだよ…」

唯「みんなのよりイチゴおっきい…」

澪「」

30: 2010/11/19(金) 22:51:35.38
澪「なんだよ、そんなことか…」ホッ

唯「そんなことじゃないよ! ショートケーキのイチゴは重要なんだよ! ケーキ国の王様なんだよ!!!」フンスカ

澪「ひぃっ! わ、わかったよ…。でもそんなに大きさ違うかなぁ」

唯「全然違うよ!」

澪(言われてみれば確かに……だけど)

澪「気にするなって。同じ同じ。唯の方だって色ツヤ良いじゃないか」

唯「じゃあ交換して」

澪「え」

31: 2010/11/19(金) 22:54:03.78
唯「澪ちゃんは同じと思ってるんでしょ? それなら交換してよ~」

澪「なななんでだよ、ヤダよ…」

唯「じゃあやっぱり自分の方が大きいと思ってるんだ! あげるのが惜しいんでしょ!」

澪「ち、違うって! 同じだから交換するだけ労力のムダだろ!?」

唯「ぶー。澪ちゃんのケチー!」

律「おいおい、ケンカすんなよ」

梓「どうしたんですか唯先輩? なんかいつも以上にわがままですね…」

紬「ご、ごめんね唯ちゃん…次は唯ちゃんに大きそうなの渡すようにするから…」

澪「おいおいムギが謝ることじゃあないような…」

32: 2010/11/19(金) 22:56:17.47
唯「そうだ…そうだよ…ムギちゃんてさ…」

唯「なんか澪ちゃんばっかりヒイキしてない?」

紬「え…そんなことは…」

唯「嘘! だって澪ちゃんが『ガトーショコラ食べたい』って呟いた次の日は絶対に持ってくるし!」

唯「お茶だって澪ちゃんのカップにはいつも私より1cm多いし!」

律「なんつー言い掛かりを…」

梓「唯先輩…ちょっと本当にどうしたんですか……」

34: 2010/11/19(金) 22:59:21.44
紬「唯ちゃん…」

唯「ふ~んだ! どうせムギちゃんて澪ちゃんのこと好きなんでしょ!」

紬「え…?」

澪「え!!」ドキン

澪(ム、ムギが私のこと……!?)

澪「ゆゆゆ唯…ちょっといい加減にしろよぉ///」ドキドキ

紬「ごめんね…唯ちゃん。私、出来る限り平等にするようにしてたんだけど…」

澪「…(平等か…。ま、そうだよね)」

唯「ぶー」

紬「じゃあ、明日は唯ちゃんの好きなケーキ持ってくるわ」

唯「…え」

35: 2010/11/19(金) 23:01:34.69
唯「じゃあ…もんぶらん!」

紬「うん、楽しみにしててね」ニコッ

澪(ふふ…やっぱりムギってこういう所が良いよな…)

澪(そりゃあ普通に考えてありえないことくらいわかってたけど…)

澪(でも…それでも、もしムギが私のこと……)

澪(うふふふふふ…ふひひひ……///)

澪(ちょっとだけど、いい夢見させてもらったよ…唯……)フッ

澪「唯、ほら」スッ

唯「え?」

澪「欲しいならやるよ、私のイチゴ…食べてくれよな?」

唯「澪ちゃん……」ウルウル

38: 2010/11/19(金) 23:04:01.02
梓「いいんですか…澪先輩?(私もちょっと欲しい…)」

澪「いいんだ。一瞬だけど、私はイチゴよりももっと大切な夢<モノ>を見れたから」フッ

唯「澪ちゃん///」

紬「ふふ…澪ちゃんてやっぱり優しいね」ニコッ

澪「…!!」ズキュゥゥゥン

澪「ほ、ほら唯! もうイチゴだけと言わず、丸ごとあげるよ! ほら!」ニヤニヤ

唯「澪ちゃん……愛してる///」ポー

紬「あらあら…うふふ」

律(……私以外が騒々しいって珍しいな)

40: 2010/11/19(金) 23:06:40.74
……………………………
…………………
………

ドア「ガチャ」

澪「さあ、今日も部活がんばるぞー!」

シーン…

澪「…って誰もいないのかよ///」

澪「ふぅ…」ストッ

澪「誰かこないかなぁ」

澪「ムギとか…ムギとか……ムギとか」

澪「しかし今日は体育でマラソンあったから疲れたなぁ…」

澪「…」

澪「良かったなぁ……走るムギ…体育着姿…揺れるカラダ……」ジュルリ

澪「…は!」

澪「なんか…私ただの変態になってるな……」

42: 2010/11/19(金) 23:09:11.86
澪「しかし疲れた……」

澪「ねむい…」コクリコクリ…

澪「むぎゅぅ……」

澪「」zzz

ドア「ガチャリ」

紬「遅くなってごめんね~」

紬「…って、あら?」

澪「」zzz

紬「…澪ちゃん?」

44: 2010/11/19(金) 23:12:14.78
澪「う~ん、むにゃむにゃ…」

紬「…」ジー

澪「ん?」パチリ

紬「おはよう澪ちゃん」

澪「ああ、ムギだ…ムギが見える…」

紬「うふふ」

澪「良い夢だ……」

紬「夢じゃないよ?」

澪「…え~……現実かぁ…そりゃ最高だぉ……」

45: 2010/11/19(金) 23:14:09.99
澪「!! って、え!!?」ガバッ

紬「おはよう♪」

澪「うぁああ! ムギ!! ななな何やってるんだよ!!」ズザザ

紬「澪ちゃん見てたの」

澪「び、びっくりした…」ドキドキ

紬「…あ、澪ちゃん。じっとしてて?」

澪「…?」

紬「ほら、涎」フキフキ

澪「…は///」

46: 2010/11/19(金) 23:16:48.28
澪「ご、ごめん! そのハンカチ洗って返すから!」

紬「あら、気にしないで」

澪「い、いいから!」

紬「いいから、いいから♪」

澪「……恥ずかしい///」

紬「…」クスッ

澪「ていうか、いるなら起こしてくれよ…」

紬「ふふ、あんまり気持ちよさそうに寝てたから」

48: 2010/11/19(金) 23:19:36.39
紬「部室って日差しが気持ちいいもんね」

紬「私も寝てるとこ梓ちゃんに見られちゃったことあるわ///」

澪「なん…だと…(中野め…なんて羨ましいイベントを…)」ギリギリ

紬「それに今日マラソン疲れたもんね」

澪「うん…(走るムギ、素敵だったよ! …とか気軽に言いたい)」

紬「走る澪ちゃん格好良かったわ」

澪「!」ドキンコ

紬「ふふ」ニコニコ

49: 2010/11/19(金) 23:22:52.55
澪「ム、ムギも素敵だったょ……」ボソボソ

紬「…ん?」

澪「い、いやいや! ム、ムギって本当いい娘だよな!」

澪「いつもニコニコしてるし…誰にでも優しいし…可愛いし…」

紬「う、嘘…。そ、そうかな///」

澪「!!(誤魔化しで結構大胆なこと言ってしまった…っ)」

紬「ど、どうしたの急に///」

澪(ああ…真っ赤になったムギたまらん……じゃあなくて! この反応っ…! く、口説けるのか!? このまま!?)

澪「ほ、本当だよ…! 素直だし裏表とかないしさー」

紬「…」

紬「そうかな」

50: 2010/11/19(金) 23:25:16.18
澪(あれ? なんか失敗かな…)

紬「ふふ…それは澪ちゃんの勘違い…かな?」

澪「え…」

紬「だって、私は人に言えない内緒だらけだもの」

澪「そ、そりゃあ一つ二つは誰にだって…」

紬「ううん…もっとたくさんよ」

紬「こうして澪ちゃんと話してる今だって…私、とんでもない隠し事してるかも」

澪「…?(なんだろう、このムギの表情……なんか、からかうような寂しいような感じ)」

澪「ム、ムギの秘密かぁ…知りたいなぁ~、なんて……ハハ」

51: 2010/11/19(金) 23:28:02.75
紬「そう…? …じゃあ、1つだけ聞いてくれる?」

澪「え…いいのか?(い、意外な展開…? でもムギの秘密って…)」

紬「ときどきね、誰かに無性に聞いて欲しくならない? 心の奥底にあるものって」

澪「まぁ…わかるような」

紬「聞いて……くれる?」

澪「…うん(なんか緊張してきた…)」

紬「私ね…実は」

澪「…」ドキドキ

紬「女の子を好きになっちゃったの」

澪「!!」

52: 2010/11/19(金) 23:31:26.99
澪「な、何を…じゃなくてだだ誰を…(やば…やばい…動揺してる…わたし)」

紬「ふふふ…これ以上はまた内緒!」

澪「そ、そんな…」

紬「ね? 私ってちょっとフツーじゃないし、隠し事だらけでしょ?」

澪「む、ムギ…(うぅ…なんかワケわかんない…なんでか…涙でそう……)」

紬「ごめんね…急に変なこと言って……」

澪「だ、誰なんだよ…軽音部の誰かなのか!?」

紬「…それは」

澪「…」ドキドキ

紬「…言えないわ」

53: 2010/11/19(金) 23:33:58.42
澪「そ、そんなぁ~…」

紬「今は…ごめんね。でも、いつか澪ちゃんには絶対に聞いてほしいな…なぁ~んて…」

澪「…!!(なんだよ…それ…)」

澪(少なくとも私じゃあないって言いたいのか!?)

紬「…みんな、遅いね~」

澪「……ん…だよ…」

紬「うん?」

澪「なんだよ! それ! 今じゃあダメなの!?」ガシッ

紬「み、澪ちゃん…?」

56: 2010/11/19(金) 23:38:17.14
澪「むむむムギ…! 教え…デ!、く」

紬「」

澪(ぐぉぉ…思い切り舌噛んだ///)

紬「だ、だいじょうぶ澪ちゃん?」

澪「ら、らひじょうぶ…」

紬「ちょっと舌見せて」グイッ

澪「うわっ…(ムギ…顔近いよ…)」

紬「あら…凄い血出てるわ…ちょっと拭いてあげる」

澪「!! い、いいって……!!」バッ!

紬「…え…き、きゃあっ」ガッ グラァ…

澪「あ! む、ムギッ!」ガシッ

ガッ

澪(!! あ、私まで躓いて…)グラァ

ドス! ドスン!

57: 2010/11/19(金) 23:41:33.90
澪「…(ソファに…お、押し倒してしまった…!)」

紬「…」

澪「ご、ごめんムギ…大丈夫…」

紬「う、うん…別に…」

澪「ほ、本当に大丈夫か…? 痛くない…?」

紬「ほ、本当よ…ソファの上だし…」

紬「それより…」

澪「…う、うん?」

紬「そのぉ…澪ちゃん…手が……///」

澪「ん? …あぁ!!(私の左手………ムギの…胸に…!)」

澪(あぁ…なんだこの感触…むぎゅむぎゅするぅ///)ムギュムギュ

紬「……え? …ん……み、みお…ちゃ…ん……?///」

澪「は!(し、しまったぁ!! 何やってるんだ私!!?)」

ドア「ガチャッ!」

澪紬「!!」

58: 2010/11/19(金) 23:44:34.74
律「おっくれたぜーー!!」

律「…ってあれ……お前ら…」

紬「!」

紬「ち、違うの!!」ドン

澪「!! う、うわ」ガタッ

紬「あ…ご、ごめん澪ちゃん…」アセアセ

紬「違うのよりっちゃん! 本当に違うの!」オロオロ

澪(…ムギ?)

律「あ、ああ…そなの……ていうか違うて何が…」

紬「だ、だから…へへへ変なこと…してたワケじゃあ…」

律「いや、当たり前だろ…たぶん、転んで覆いかぶさってただけだろ?」

紬「あ…………うん…///」

律「そんぐらい普通わかるし…」

紬「///」

59: 2010/11/19(金) 23:48:16.22
紬「でも…こんな姿見せたくなかった…」ボソリ

澪「!!」

律「ん…なんか言った?」

紬「ううん、何でもないの」ニコッ

律「おお、もういつも通りに! …でも慌ててるムギって珍しかったな」ニヤニヤ

紬「もぉ…りっちゃんたら」

律「ははは」

澪(…なんか)

澪(いろんなことがいっぺんにありすぎて、ワケわかんなくなってしまった…)クラクラ

澪(でも、確かにムギがあんなに取り乱すの初めて見たかも…)

澪(今のってつまり…)

61: 2010/11/19(金) 23:51:57.19
律「唯と梓はまだなのか?」

紬「そうみたい」

律「アイツらもまたどっかでイチャついてるのかな、ハハ」

紬「…あらあら、そうだといいわね♪」

律「おいおいジョーダンだよ」

紬「うふふ」

澪「…」

澪(なんだろう…このモヤモヤ感は)

澪(私…やっぱり…ムギのこと好き…なのかな)

65: 2010/11/20(土) 00:37:30.93
すんません細々と続きます


……………………………
…………………
………

その夜 秋山家!

テレビ『ぼくは氏にましぇーん! ぼくは氏にまっしぇーん!!』

テレビ『あなたが…あなたのことが! 好きだから!!』

澪「……っ」ジーン

澪「ふぅ…やっぱり恋愛ドラマはいいなぁ…」

澪「特にこの告白のシーンだけは、たとえどんなにつまらないドラマでも泣けるんだよな…」

澪「告白…か」

澪「ムギ…誰を好きになったんだろ…」

―――「ときどきね、誰かに無性に聞いて欲しくならない? 心の奥底にあるものって」

澪「確かに…」

澪「私の心、伝えたい…たとえムギが他の誰かを見ていたとしても」

66: 2010/11/20(土) 00:39:03.98
澪「この想いはきっと本物、だよな…」

澪「伝えよう…たとえ後悔するとしても」

澪「告白しよう!」

澪「でも…何て言おう?」

澪「どうせならちょっとは格好良いこと言って、少しでも気を惹きたいしな」

澪「何か良いセリフは…」

67: 2010/11/20(土) 00:42:19.71
澪「『私は氏にましぇ~ん! ムギが好きだから!』」

澪「……いやいや、状況設定が難しいな…」

澪「『ムギの瞳に乾杯…』」

澪「……お酒は20歳になってから!」

澪「『月が綺麗ですね』」

澪「……そう、綺麗な半月をムギの眉毛に例えて…って、余計わかりずらいわっ!」

澪「『む~ぎ! セッ○スしよ♪』」

澪「……アタマが壊れてきた…」

澪「…」

68: 2010/11/20(土) 00:45:03.63
澪「ダメだ」プシュー

澪「う、うん。最初から私にセリフは向かないよ!」

澪「口下手だし、どうせ噛むしどもるしな…」

澪「!!」

澪「そうだ! 私の得意分野! 文章にして気持ちを伝えよう!!」

澪「これならバッチリだ! ムギの心を掴んで離さない、素敵なラブレターを書くぞ!」

澪「まったく…自分の最大の武器を忘れるなんて…私ったら」テヘ☆

澪「よし」バッ

カキカキカキカキ…

69: 2010/11/20(土) 00:47:57.59
澪『どんなに空腹でも、私は幸せ。』

澪『黄色い眉毛弾ませて駆けてゆく君を見てると、切りそろえた大根がとても似合っている。』

澪『でも沢庵をはずした君の姿も見てみたい・・・。』

澪「…ふぅ、こんなもんかな」フッ

澪「…」

澪「……」

澪「バカか私はぁぁぁぁああああああ!!!」

ビリビリバリーン!

バカカアアァァアアアアア!

アアアアア…

…アア…ア…

………

70: 2010/11/20(土) 00:50:25.38
チュンチュン! ピーヨピーヨ

澪「…ふぅ」

澪「やっと書けた…最高の出来だ…」

澪「あとはこれを今日ムギに渡すだけ…」

澪「……ねむい」バタリ


がっこう!!

澪「結局寝坊して遅刻してしまった…」

澪「まあそれはとにかく! 重要なことは、これをどうやってムギに渡すかだけど…」

澪「放課後…直接かな……」

澪「でもムギと2人きりになれるチャンスなんてそうそう無いよな…」

澪「…」ブルル…

澪「もう緊張してきた…トイレいこ」

71: 2010/11/20(土) 00:53:32.14
澪「うぅ…改めて鏡見ると酷いカオしてるなぁ私…」

澪「目赤いし…ガチャピンみたいな半目だし…髪なんてボサボサ…」

澪「今日はやめといた方がいいかな…」

紬「あら、澪ちゃん?」

澪「!!」ドキン!

紬「澪ちゃん…なんか寝不足みたいだけど大丈夫?」

澪「いいいいやいやいや! だいじょぶだよ! はっはっは!」ドキドキ

73: 2010/11/20(土) 00:55:54.49
紬「そう…?」

澪「ははは…(ん? あれ、もしかして今って2人きり?)」

澪(ここで渡すか…)

澪(いやいやトイレてロマンの欠片もないし…しかもこんな身なりで)

紬「?」

澪(いや、でも引き伸ばすと私の性格上どんどんハードル上がるし…)

澪(チャンスだし! もう行くか!)

澪(問題なのは気持ちだ! ムギは良い子だから場所とか外見とか気にしないって!!)

紬「? ?」

澪「ムギ…突然だけど、これ読んで欲しいんだ…」スッ

75: 2010/11/20(土) 00:58:11.00
紬「…え? な、何」

澪「読めば…わかるから…」

紬「いま、ここで?」

澪「で、出来ることなら…(部室で読まれでもしたら厄介だしなぁ…)」

紬「…わかったわ」カサカサ

澪「…っ!(渡した…渡してしまった!)」

紬「…」

澪「…」ドキドキ

76: 2010/11/20(土) 01:00:28.79
紬「…」

紬「…」グスン

澪「!! む、ムギ…?」

紬「…ごめ…ごめんなさい……」グスングスン

澪「え……?」

紬「凄い…凄いの…澪ちゃんの想いが……とても伝わってきて……」

澪「……!(伝わったっ……!)」

紬「…でも、無理よ……私は…」

澪「え」

紬「こんなの無理……私と澪ちゃんじゃあつり合わない……」

澪「そ、そんな……」ジワッ

紬「ごめんなさい…」

77: 2010/11/20(土) 01:03:10.10
澪「つ、つり合うとか合わないとか、そんなの関係ないだろ…!!」

紬「!!」

澪「私の気持ちわかってくれたんだろ!?」

澪「だったら応えてくれよっ……!!」

澪「これが…私の全力なんだ……」グスン

紬「でも…でも……」

澪「お願いだっ! ムギ!!」

紬「でも…私…」

紬「こんな素敵な歌詞に見合う曲、作る自信ないわ……」

澪「だから! そんなことな…」

澪「…」

澪「ほぇ?」

78: 2010/11/20(土) 01:06:26.94
澪「えっと…そこには私の想いとか…全力とか……って、あれれ??」

紬「…」

紬「澪ちゃんの全力の歌詞…なのね……」

澪「え、歌詞っていうかえと…」

紬「…そうね…澪ちゃんの折角の力作をムダには出来ないしね…」

澪「あ、ああ…」

紬「…そうよね。やる前から諦めちゃあダメだよね」

澪「お、おお…」

紬「澪ちゃんを見習わなきゃ! 弱音吐いてごめんなさい! やっぱり私やってみる!」

澪「え、ええ…」

紬「つり合うかわからないけど…私も全力で曲作るわ!」

澪「う、うん…」


律「おいおい…お前らなに便所で騒いでるんだよ…」

79: 2010/11/20(土) 01:08:56.94
紬「あら、りっちゃん♪」

律「どーしたんだ?」

紬「うふふ、まだ何でもないの」

律「まだ?」

紬「楽しみにしてて、ね!」

律「……???」

澪「…(残念なような安心したような)」

澪「…(ま、いっか…なんか疲れた……)」

澪(きっと、今のままが一番幸せなんだって、神様が言ってくれてるのかもしれない…)

81: 2010/11/20(土) 01:13:12.65
……………………………
…………………
………


澪「よし、日直の仕事終わり!」

澪「…ふふふ」ニヤニヤ

澪「今日は唯と律は掃除当番っ…」

澪「ムギは先に部室に行ってるっ…!」

澪「…うふふふふふ…今部室に行けば…でへへ///」

澪「」ニヤニヤ

スタスタ…

ドア「ガチャ」

澪「おまたせ…、ムギ…///」

澪「…あれ?」

83: 2010/11/20(土) 01:15:20.26
澪「誰もいないし…」ガックリ


澪「…あれ…戸棚の陰から…何かが出ている」

澪「な!」

澪「あの世界が嫉妬する黄金の輝きは!」

澪「ムギの髪………?」ソォ~

澪「!」

澪「ム、ムギ!? どうしt…」

紬「…」スー スー

澪「寝てる…」

84: 2010/11/20(土) 01:17:51.50
澪「こ、これが中野梓が見たという幻の! 『部室で眠る女神』か…」

紬「…ん」

澪「!」

紬「…」ムニャムニャ…

澪「!!」ドキュゥゥゥン

澪(なんだろうこの可愛い生き物は///)

紬「…みおちゃん……」

澪「え…」

紬「…みおちゃん……すき…」

澪「!!」

紬「…すきまに入っちゃダメよ……ふふふ…」ムニャ

澪(……なんの夢だよ…私は梓かっつーの)

85: 2010/11/20(土) 01:20:10.15
澪「し、しかし…こんなにじっくりゆっくりムギを近くで見れるなんて…」

澪「肌真っ白だし…髪ツヤツヤ……唇もキレイなピンク……」ハァハァ

澪「む! ダメだダメだ!」ブンブン

澪「私…完全に変態だ……」

澪「…くちびる…?」

澪「…」ドキドキ

澪「ちゅ、ちゅーしちゃおうかな…///」

澪「いやいや、やめろ私! 最低過ぎるぞ!!」

澪「でも…何も減るもんじゃあないし…」

澪「…このまま、ムギさえ気付かなければ…誰も何も傷つかない…」

紬「…」ムニャ

澪「」ドキッ

87: 2010/11/20(土) 01:23:09.86
澪「これは『チャンス』だ……ムギにちゅーしろという『チャンス』と私は受け取った………」

澪「私の成長は……未熟な恋愛経験に打ち勝つことだとな……」ゴゴゴ…

澪「ムギ……」

澪「…ごめんっ……!」スッ

紬「…ん……」zzz

澪「…………っ(あと…1mm……!)」ドキドキ

ドア「ガチャコン」

澪「」

梓「こんにちわー!」

澪「    」

88: 2010/11/20(土) 01:26:13.35
梓「って、えええええ!!! 先輩たちなななナニをッ!!?」

澪「」ビクーン!

梓「い、いま…キキキ、キス……あ…あ…わ……」

澪「ち、違うぞ! 違うんだ梓!!」アセアセ

梓「なんだ、違うんですか」ホッ

澪(あれ? ちょろい)

紬「……ん~~?」パチリ

澪「ぬふぅ!!?」ビクリ

紬「ふぁ……。あら…澪ちゃん、梓ちゃん…どうしたの~?」

89: 2010/11/20(土) 01:29:05.79
梓「いや、今澪先輩がムギ先輩にキスしてるように見えt」

澪「う、うわー! わー、わー、わー!!」

紬「…えぇ?」

澪「あうあう…」

紬「……澪ちゃん…本当…なの…?」ジッ

澪「ちちち違うよ! 神に、女神に誓ってしてない! そんなこと(まだ)してない!!」カグブル

梓「じゃあ、あんなに顔近づけてナニしてたんですか、澪先輩」

紬「……っ!!」

澪「そそそそれれれはは……(黙れぇぇええ中野ぉぉぉおおおお!)」

90: 2010/11/20(土) 01:32:24.95
澪「む、ムギがこんなところで、ねね寝てるから、ぐぐ具合でも、わ悪いのかと、思て!」

澪「おデコで熱測ってただけだよ!!」

…シーン

澪(あわわ…さ、さすがに苦しいか!?)

梓「なんだ、そうだったんですか」

澪(あ、やっぱりちょろい)

紬「…そう…なの……?」ジッ

澪「う」

紬「…ごめんね、心配かけちゃって…西日が気持ちよくて寝ちゃってただけなの」

澪「あ、ああ…別に…元気なら…(信じて…くれたのかな?)」

梓「もしかしてまた誰か驚かそうと隠れてたんですか?」

紬「えへへ」ニコッ

澪(あ、いつもの笑顔///)ホッ

91: 2010/11/20(土) 01:35:16.07
紬「…ありがとう、澪ちゃん」

澪「? いや…それほどでも…」

紬「…」

澪(なんだろう…今一瞬見せた表情は)

紬「りっちゃん、いないわよね?」キョロキョロ

梓「? まだみたいですけど?」

紬「…」ホッ

澪(ハァ……とにかく反省しよ…)

澪(バレて、嫌われなかったのが最大のラッキーだったと考えとこう…)

102: 2010/11/20(土) 08:34:16.41

……………………………
…………………
………

ジャ~ン♪

唯「いぇ~~い!」

澪「ふぅ…なかなかだな」

紬「いい感じだったね!」

澪「今の調子でもう一回演ってみよう!」

律「…」

梓「? 律先輩どうしたんですか?」

律「まだ…何かが足りないな」キリッ

梓「そうですかね…ホントに良かったと思いますが…」

律「何ていうかな…そう! 一体感が足らんな!」キリリッ

澪「は…?」

103: 2010/11/20(土) 08:36:17.74
唯「私たちは一心同体っす、りっちゃん部長!」

紬「私もそう思いまっす!」

律「そうだな…でも、もっともっと私たちは一つにならなければならない!」

澪「律…何が言いたいんだ……ていうか何を企んでいる」

律「私が言いたいのはだな、もっと軽音部で絆を深めないといけないってことさ」

梓「えっと、つまり…??」

律「そのために! これからポッキーゲームを行う!」

澪梓「な ん で だーーーッ!!」

梓「遊びたいだけじゃあないですか!!」

澪「話の持って行き方が無理やりすぎる!」ゴチン

律「あいたーー!」

104: 2010/11/20(土) 08:38:41.82
澪「…ったく! なんだかんだと練習をサボることばっかり!」プンプン

唯「わぁ~い! げーむげーむ!」

梓「乗らないでくださいよ!」

澪「くだらない提案は放っておいてもう一回演奏するぞ!」

澪「さあ、準備しよう、梓!」

梓「もちろんです! 澪先輩」

紬「…私、一度ポッキーゲームやってみたかったの~」

梓「ム、ムギ先輩まで!?」

唯「やろうやろう~!」

梓「んな! み、澪先輩~……」チラリ

澪「ああ! 何してるんだ梓! 早くポッキーを準備しろと言っただろ!!」

梓「ぇ」

105: 2010/11/20(土) 08:41:08.50
梓「…ポッキー…買ってきましたぁ……」

律「うむ、ご苦労」

梓(どうしてこうなった)

律「よし、対戦相手を決めるぞ。このくじを引いてくれ」

唯「よぉ~し」サッ

澪「…(ていうか、ポッキーゲームてよく考えたら…色々マズイだろ///)」サッ

紬「♪」サッ

梓「…(どうしてこうなった)」サッ

一同「……!!」

106: 2010/11/20(土) 08:43:37.71
律「組み合わせが決まったようだなっ…!」

律「第一試合! 唯VS梓!!」

律「第二試合! 澪VSムギ!!」

澪「なん…だと…?」

紬「あらあら…」

唯「あ~ずにゃんだ~~! むちゅぅ~」

梓「ひぃッ! なんでゲーム始める前から!?」

107: 2010/11/20(土) 08:46:02.31
ポッキーゲームっ…! 唯VS梓……!

唯「ふふふ…子猫ちゃん…今夜は寝かさないぞ☆」

梓「な、何をワケのわからないことを…。でも、やるからには負けないです!」

律「両者! 咥えて!!」

唯「よ~さ~こい!!」パクッ

梓「…(どうしてこうなった)」パク

律「勝負っ…スタートっ……!!」

唯「」カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ…ブチュゥゥゥゥ!!

梓「ブフォォッ!」

唯「…ふぅ」チュパン

梓「よ、避ける暇も与えぬとは……」ヨロッ

梓「は、迅い…」ガクリ

108: 2010/11/20(土) 08:49:01.24
唯「ごちです! いい勝負だったよ、あずにゃん!!」

梓「」グッタリ

律「まあ、勝負的には引き分けだけどな」

澪「」

紬「」

澪「や、やりよった…あいつら…本当に……」

紬「これが…これがッ! 『ポッキーゲーム』…ッ!!」

109: 2010/11/20(土) 08:52:08.10
ポッキーゲームっ…! 澪VSムギっ……!

紬「お手柔らかにね…澪ちゃん…」

澪「あ、ああ…(唯と梓め…なんてものを見せてくれたんだよぉ…)」ドキドキ

律「両者! 咥えて!!」

紬「よぉ~し、負けないぞぉ~」パクリ

澪「よよよよ~し…!」パクリ

澪(うわぁ…ムギが咥えてるポッキーを私も咥えて…この時点でもう…倒れそうだ)クラクラ

律「勝負っ…スタートっ……!!」

紬「…」カリカリカリカリ

澪(な…! は、速いぞムギ…)ポリ…ポリ…

紬「…」カリカリカリカリ

澪(ム、ムギの顔が…もうこんなに近くまで///)ポリ…

紬「…」カリカリ…カリ…

澪(な、何考えてるんだよぉ…ムギぃ……このままだと…)

110: 2010/11/20(土) 08:55:18.50
紬「…」カリ…カリカリカリカリ

澪(うぁあ! 勝負をかけに来たっ……!)ポリポリ…

澪(ムギの顔が…目の前に……)

澪(もう…ダメだ……)クラッ

紬「…」カリカリ

澪(……いや、いいの、かな? このまま、事故って、ことに、して)

澪(ムギ、と…)

澪(そう)

澪(しちゃおー)

111: 2010/11/20(土) 08:58:27.78
澪(…って、いやいや!)

澪(ムリに決まってんだろぉぉぉおおおお!!)

ポキン! グルン!

律(…! 顔を横に背けたっ…! これは澪の負けっ…!)

…チュ

澪(え)

紬「あ…」

澪(いま…)

澪(ムギのくちびるが…)

澪(たしかに…)

澪(ほっぺに…)クラァッ

バターン!

112: 2010/11/20(土) 09:02:02.42
紬「……!!」

律「お、おいおい澪!」

紬「み、澪ちゃん!!」

律「おい、澪! 大丈夫か! 澪! みおーーー!!」

紬「澪ちゃん! しっかりして! 澪ちゃーん!!」

澪「…」

……………………………
…………………
………

114: 2010/11/20(土) 09:18:25.26
澪「…はっ」ガバッ

澪「あれ…確か私…ムギと…」

澪「…」

澪「なぁんだ…ただの夢か」

澪「…なぁんだ……ハハ」

紬「澪ちゃん…」

澪「!!!」ビクゥ

116: 2010/11/20(土) 09:20:34.68
紬「良かった…本当に良かった…」グスン

澪「ム、ムギ!?? あ、あれ? ここは…」

紬「…保健室のベッドよ」

紬「澪ちゃん…倒れちゃったの…」

澪「ムギ…?(ゆ、夢じゃあなかったのか! 私あのまま倒れて…)」

紬「私が…私が、あんなことしたから……」ポロポロ

澪「!!」

紬「ごめんな…さい…。本当にごめんなさい…!」ガバッ

117: 2010/11/20(土) 09:22:35.14
紬「キモチ…悪いよね……よりによって私なんかが澪ちゃんに……ひっく」

澪「なんで…泣くの? 泣かないで…ムギ」

紬「だって…だってっ……!」

澪「ムギ…私の方こそごめん…倒れたりなんかして」

紬「どうして…? 悪いのは私だけよ…」

澪「ムギは何も悪くないよ…私ちょっと緊張しすぎてただけだから」

紬「澪ちゃん…優しすぎるよぉ……」ポロポロ

澪「…」

澪(優しい? 私が?)

澪(そんなことない)

澪(私は…最低の人間だ)

澪(こんなに泣いているムギを目にしても、キスされて良かった、としか思ってない)

澪(ムギの泣き顔は可愛いな……とか思ってる)

118: 2010/11/20(土) 09:24:20.70
澪「大げさだよ…そんなに泣くなってば…」

澪「それとも、本当はムギの方が嫌だったんじゃあないの?」

澪「『よりによって私なんか』に…キ、キス…しちゃってさ」

紬「…え?」

澪「そうなんだろ? ムギ…」

紬「そんなことないっ!!!」

澪「!!?」ビク

紬「あ…ごめん…私は…」

澪「…」

紬「…」

121: 2010/11/20(土) 09:27:45.51
澪「なぁ、ムギ」

紬「…うん?」

澪「ムギってさ、キスしたことあるの…?」

紬「…どうして…急に…」

澪「…ちょっと気になっただけ。…ムギのこと…知りたいだけ」

紬「澪ちゃん…?」

澪「正直に答えてよ…それともまた内緒?」

紬「…」

澪「答えてくれたら…さっきのこと忘れるから…ムギも自分を責めなくていいから…」

紬「……。わかったわ」

澪「………あるの?」

紬「…」コクリ

澪「……っ!!」

160: 2010/11/21(日) 00:18:14.56

澪「…それって、こないだ言ってた『好きな人』と?」

紬「…うん」

澪「…ほっぺた? それとも…く、くち?」

紬「…え、と……」

澪「りょ…両方とも……?」

紬「///」コクリ

澪「…」

澪「…そっ、かぁ……」ジワッ…

澪「…そう、なんだぁ……」ポロポロ

161: 2010/11/21(日) 00:22:00.17
紬「澪ちゃん、なんで澪ちゃんが泣くの?」

澪(なんでだろうな。涙が止まらない)

紬「もしかして、全部わかってて聞いたの?」

澪(知らないよ。もしわかってたら、そいつに飛び掛かってしまいそうだ)

紬「ごめんね、澪ちゃん。私は最低の人間なの」

澪(何を言ってるかわからない。最低なのは私だってば)

紬「澪ちゃんに優しくされる資格なんて全然ない」

澪(優しくなんてしてないってば。ただの私の下心とムギの勘違いだ)

162: 2010/11/21(日) 00:24:23.36
澪「ねぇ、ムギ」

紬「…なあに」

澪「もういいよ。変なこと聞いて悪かったよ。今日のことはお互い全部忘れよ?」

紬「…そんなこと」

澪「忘れようよ…そしてまた元の仲に戻ろう」

澪「別に何も無かったんだよ…」

紬「ごめんなさい」

澪「謝る必要なんてないんだ。何も無かったんだから」

紬「ごめんなさい…りっちゃん」ボソリ

澪(最後に何か聞こえた気がする)

澪(ううん、聞こえてない。ムギは今、何も言ってない)

……………………………
…………………
………

163: 2010/11/21(日) 00:27:42.43
澪「ムギ、おはよう」

紬「おはよう、澪ちゃん」

澪「古文の宿題やってきた?」

紬「うん、ちょっといつもより難しかったね」

唯「ムギちゃん澪ちゃん~~! 写させて~~!!」バタバタ

澪「やれやれ、またかよ…」

紬「はい、唯ちゃん」クス

唯「ありがとう~。ムギちゃんは天使さんだよっ」カキカキ

澪「ハァ…まったくムギはぁ…自分でやらせないと為にならないぞ?…ふふ」

律「そうだぞぉ~唯。まったくお前はいつまでたっても成長しないな!」カキカキ

澪「お前が一番最悪だっ!」ゴチン

律「ぐぇ」

紬「…」

165: 2010/11/21(日) 00:30:13.28
澪(あれから…私たちは不思議なくらいいつも通りに戻れた)

澪(いや、正確に言うとちょっと変化はあった)

澪(気付くと、ムギが律のことばっかり見てる…気がする)

澪(私が過敏に意識しすぎるようになったのか。それとも本当にムギが変わったのか)

澪(どっちの変化かはわからない)

紬「…ねぇ、りっちゃん」ボソボソ

律「ん~? なんだよムギ! 小さい声で?」

紬「!! …ごめん、なんでもない。…あとで」

澪(…)

澪(別に…私が気にしなければいつも通りなのかもしれない)

澪(それならもうやめよう)

澪(前と同じようにムギと友達でいられるならば、やっぱりそれ以上の幸せは無いのかもしれない)

166: 2010/11/21(日) 00:33:41.14
……………………………
…………………
………

澪「もしもしー、律?」

澪「今から買い物でも行かない? 私駅にいるんだけどさ」

律『ごめんなー澪。これから用事なんだよ』

澪「そ、そうか…」

律『また今度な!』

澪「うん、じゃあな」

澪「…」

澪「これから、どうしよ…」

澪「ム、ムギでも誘ってみるか///」

168: 2010/11/21(日) 00:35:43.39
澪「って、あ! あそこにいるのはムギじゃないか」

澪「なんという運命…」デヘヘ

澪「よし」フンス!

澪「む~ぎ!」ノシ

紬「あら、澪ちゃん♪ こんなところで会うなんて」

澪「ムギ、良かったらこれから一緒に買い物でも行かないか?」

紬「あらあら、澪ちゃんと買い物だなんて嬉しいわ。うふふ」

澪「え!」ドキン

169: 2010/11/21(日) 00:37:14.49
紬「…でもごめんね、今日はムリなの」

澪「…え……何か用事でもあるの?」

紬「うん」

澪「もしかして誰か待ってるの?」

紬「うん」

澪「だ、だ誰を!?」

紬「私これから、りっちゃんとデートなの~」

澪「」

170: 2010/11/21(日) 00:39:26.71
澪「へ、へへへぇ~~…これから律とああ遊ぶのかぁ~~…」

紬「デートなの~♪」

澪「そ、それって私がいちゃマズイのか…な…?」

紬「…」ギロリ

澪「ひっ!!」ビクゥ

紬「澪ちゃん、『デート』の意味もわからないの?」

澪「え、え、え、だ、だって…遊ぶってことじゃあないの!? 別にここ恋人ってワケじゃあないんだし…」

紬「私とりっちゃんは恋人同士よ。何度もキスしてるって言ったじゃない」

澪「」

律「お~い! むっぎ~、おまたせ!」

律「…って、あれ? 澪じゃねーか」

172: 2010/11/21(日) 00:43:14.27
紬「あら、りっちゃん♪ …なんかね澪ちゃんが邪魔するの」

澪「じゃ、じゃま…」ガーン

律「おいおい、澪~。私達の都合くらいわかってくれよな」

律「お前とはまた今度遊んでやるからさ、ハハ」

澪「……っ!!」ジワッ

律「おい~、まだ何かあるのか?」

紬「…澪ちゃん、もしかして悔しがってるの?」

澪「な!?」

律「ん?? どういうことだ」

紬「なんかね、澪ちゃんて私のこと好きみたいなの」

澪「!!」

律「ま、マジかよ…」

紬「だって…澪ちゃんていっつも私のこと、イヤラシイ目で見てるんだもん。わかってるわよ?」

澪「そ、そんなこと…な…」ブルブル

181: 2010/11/21(日) 01:19:55.39
紬「体育の時間なんて、私のカラダばっかり見てくるし」

紬「事故のフリして胸さわってくるし」

紬「ちょっとほっぺに唇が当たったくらいで興奮して倒れるし」

紬「言い難かったけど、正直キモチ悪かったんだから」

澪「……~~~っ」ポロポロ

律「澪……」

紬「りっちゃん、丁度いい機会だから、澪ちゃんにわからせてあげよ?」

紬「ここで…いつもみたいに激しくキスをして…」クス

澪「…!!」

律「ムギ…そうだな。その方が澪のため、かな?」クス

澪「り、律……お前……!」

182: 2010/11/21(日) 01:23:20.84
紬「さ、りっちゃん…来て」

律「ああ、よ~く見とけよ、澪?」

澪「や…やだ……」

紬「ん~~~」

律「ふふふ…」スッ

澪「やめろぉぉぉおおおおおおッ!!」

183: 2010/11/21(日) 01:25:11.86
澪「や、やめっ!」ガバッ

澪「…あれ?」

澪「ここ…私の部屋…」

澪「あ…私、勉強しながら寝ちゃって…」

澪「…夢かよ///」

澪「な、なんていう夢を…私なんか溜まってるのかな…」

ヴィーン ヴィーン

澪「!」ビクン!

185: 2010/11/21(日) 01:27:31.20
澪「電話……。り、律から!?」

澪「…もしもし」

律『お~、澪~。何してたんだ?』

澪「別に…ずっと勉強だよ…」

律『私の方はさ~。ずっとムギと遊んでたんだよ』

澪「…な…ん…だ…と…?」

律『駄菓子屋とかゲーセンとか連れてってやったらさ~、すっごく喜んじゃってさ!』

律『楽しかったぜ~。ムギのやつ、唯より天然かもしれないぜ!』

澪「…」

律『…ん? 澪? ごめん、勉強の邪魔しちゃったか?』

澪「なん…で…」

188: 2010/11/21(日) 01:30:29.37
澪「なんで私も誘ってくれなかったんだよ!!」

澪「私もムギと! ムギと一緒に……!」

律『は? いやいや、朝誘ったじゃんか…』

澪「…あ」

律『おいおい…』

澪「…ごめん律…なんでもない…」

律『…………澪~』

澪「なに?」

189: 2010/11/21(日) 01:32:50.25
律『おまえさ、ムギのことどう思う?』

澪「え…!?」

律『アイツさ…すごくいい娘だよな。今時いるのかってくらい素直で感動屋だし』

澪「な、何を言ってるんだ…律?」

律『澪もそう思わないか?』

澪「お、思うよ! 律よりもずっと! ずぅ~っと! 思ってる!!」

律『お、おお…そっかそっか…』

澪「なんだよっ…なんなんだよ急にっ!」

律『いや…私今日ムギに…』

192: 2010/11/21(日) 01:35:11.70
律『…ううん、悪い。なんでもない』

澪「なんだよ! はっきり言えよ!!」

律『さ、さっきから何怒ってるんだよぉ~…』

澪「…は! い、いや…ごめん……勉強しててカリカリしててさ…はは」

律『そっか、悪かったな。じゃあ取り合えず切るわ』

澪「ごめん…律…」

律『まあ気にすんな! じゃあな~』プチ

澪「うん…」

澪(…)

澪(もう…認めるしかないのかな)

澪(きっとムギと律はお互いを……)

……………………………
…………………
………

193: 2010/11/21(日) 01:39:11.09
ぶかつ後!

唯「ふう~。もお疲れたよぉ~…あいすぅ~~」

梓「今日は珍しく唯先輩頑張ってましたね!」

澪「そうだな…じゃあ、帰ろっか」

律「…」

紬「…」

スタスタスタ…

唯「あずにゃ~ん、お腹すいたよ~」ギュッ

梓「ひゃぁ! …だから抱きつかないでくださいよぉ~…」

… …

澪「…」チラリ

澪(なんだろう…律とムギ…急に大人しくなって)

196: 2010/11/21(日) 01:41:51.94
律「…」

紬「…」

律「う!」

律「あいたたた…お腹いたいな~…」

澪「! おい、大丈夫か…?」

律「わ、私ちょっとトイレ寄ってから帰るわ」

律「みんなは先帰ってて!」ダッ

澪「おいおい…」

197: 2010/11/21(日) 01:44:03.37
唯「りっちゃん、人がアイス食べようと思ってるのになんてお下品な!」

梓「別にいいじゃあないですか…カレーよりマシですよ…」

唯「! あずにゃん、今日の晩御飯カレーなんだ!」

梓「!! うぅ~…」

紬「…あ、あの~、私も実は…」

唯「ムギちゃん家もカレー!!?」

紬「そ、そうじゃあなくて、トイレ行ってくる! 先帰っててね!」ダッ

澪「あ…!」

唯「ムギちゃん家はカレーじゃあないけど、ムギちゃんもカレーなんだ…」

梓「ややこしい言い方しないでくださいよ…」

澪(な、なんだよ…アイツら……)

199: 2010/11/21(日) 02:00:53.96
澪(今思えばなんか2人ともウソ臭かったな…)

澪(ま、まさか今頃2人で!!)

澪「…!」

澪「わ、悪い! 私もカレー…じゃあなくて! トイレ!!」

梓「み、澪先輩まで!」ガーン

唯「あずにゃん…晩御飯ウチ来る…?」

梓「そうしようかな…」

201: 2010/11/21(日) 02:03:11.21
澪「くっ…はぁはぁ」ダッ

澪「…なんでもっと早く気付かなかったんだっ…!」

澪「どこだ! 2人ともどこに…」

澪「!!」

澪「部室の明かりがついてる…!」

澪「…」ソォ~

澪「いる…確かに部屋の中に2人とも…」

澪「声きこえる……。 何を話してるんだ…?」

204: 2010/11/21(日) 02:07:15.01
律「メール見たよ…こないだ言ってたアレ…本気だったんだな…」

紬「うん…」

律「冗談か…違う意味かと思ってたよ…まさかムギが…」

紬「冗談なんかじゃあないの…本当に…好き…なの」

澪「!!」

澪(やっぱりか…そうなんだ…)

澪(わかってはいたつもりだけど…今、完全に現実を突きつけられた…)

澪「…」グスン

律「そうか…ムギの気持ちはわかったよ…」

紬「りっちゃん…私、どうしたらいいか本当にわからないの」

紬「もう…どんどんキモチが抑えられなくなって…」

澪(私の出る幕はもう無いな…これ以上聞いても仕方ない…帰ろう……)

206: 2010/11/21(日) 02:12:05.38
律「ごめんムギ…私にはどうしてやることも出来ないよ」

澪(…な!?)

紬「いいの…こっちこそごめん…ただ聞いて欲しかっただけなの…」

律「冷たいと思われるかもしれないけど、はっきり言うよ…」

律「ムギがどうするか…ムギ自身の問題だよ…」

紬「そう…よね…」

澪(り、律のヤツっ……! ムギとキスまで済ませといてっ、なんて無責任なことを!!)

ドア「バターン!」

律紬「!!」

澪「ふざけるなっ! 律!!」

律「澪…?」

紬「み、澪ちゃん!!?」

207: 2010/11/21(日) 02:16:24.20
澪「ムギはなぁ! 本気で悩んでたんだよ!! 本気でお前を…!」

澪「それをっ……! なんだよ弄ぶだけ弄んどいて! 他人事みたいにっ!!」

律「おいおい…澪? どうしたんだよ急に…」

紬「えっと…澪ちゃん…落ち着いて…」アセアセ

澪「何こんなヤツ庇ってるんだよムギ!」

澪「私なら…私なら絶対にムギに冷たくなんてしないっ…何よりも大切にするのに…!!」

紬「!!」

律「…」

209: 2010/11/21(日) 02:19:41.11
律「ふ…ふはは」

澪「何が可笑しいッ!!?」

律「ふふ…丁度良いじゃんムギ!」

紬「…!」

律「そんじゃ、私帰るわー。トイレにでも寄ってからな」クス

澪「ふ、ふざけるなッ!! 律!!!」ガシッ

律「…」

澪「勝手な真似ばっかり!! 何とか言えよ!!」

律「ナントカ」

澪「お前~~っ!!」

律「…アタマを冷やせ」

澪「…なっ!」

210: 2010/11/21(日) 02:23:26.54
律「さっき言った言葉を忘れるな」

澪「何を偉そうに!」

律「ムギの言葉をしっかりと聞けよ…」

紬「…りっちゃん」

律「じゃあな、ムギ。あとはお前自身の問題だ…」

澪「またッ!! お前は……!!」

紬「澪ちゃん!!!」

澪「!!」ビク!


紬「すぅ~~~……」

紬「…………ふぅ…」

澪「…?」

紬「……ありがとう、りっちゃん。やっぱりりっちゃんに話して正解だったわ」ニコッ

律「はは…私は何もしてないって」スタスタ

ドア「ガチャン」

澪「………! くっ…」

212: 2010/11/21(日) 02:28:34.72
澪「ムギ…」

紬「澪ちゃん……」

紬「聞いて? 澪ちゃんに告白したいことがあるの」

澪「いいよ…今更私が聞いたって…」

紬「…お願い……」

澪「そっか…いつだか言ってたな……秘密は私にも話さなければ気が済まないのか?」

澪「……ムギは誰にでも平等で優しいから」

紬「平等…」

紬「そうね…私…出来る限りみんなと仲良くしたいから…出来る限り平等に接してきたわ…」

澪「わかってるよ…」

紬「でも、好きな人にはどうしても…他の娘たちと同じになんて…出来なかった」

澪「…律のことか」

紬「??……違うわ」

澪「!? え!!」

214: 2010/11/21(日) 02:31:14.06
紬「大好きな人には、どうしてもイチゴの大きいケーキをあげちゃう…」

紬「大好きな人には、少しでも多く、私の淹れたお茶を飲んで欲しい…」

紬「大好きな人が、大好物のガトーショコラを食べてる…その顔を見るのが何よりの幸せ…」

澪「む、ムギ…?」

紬「ふふ…みんなに内緒にしてたつもりだったけど、随分前に唯ちゃんだけにはバレてたね…」


紬「私…ずっと澪ちゃんを見てた」

紬「出会ったときから澪ちゃんが好き」

澪「…え」

澪「そんな…」ジワッ

218: 2010/11/21(日) 02:34:35.79
澪(ムギも私と同じキモチだったなんて…)

澪(でも…だったら…なんで)

澪「…律を気にしてたのは…何なんだよ…」

澪「私が覆いかぶさったとき…律に見られて慌ててた」

澪「律ばっかり見てたり、ポッキーゲームのあと律にあやまってた」

紬「…だって、澪ちゃんの好きな人はりっちゃんでしょ?」

澪「…へ? な、なんだって!?」

澪(そんなわけないだろ! 私だってムギが…)

紬「だから…私…りっちゃんの前で…誤解されちゃうようなことばかりしてたから…」

紬「申し訳ないなぁ、って…」

221: 2010/11/21(日) 02:38:02.90
―――「ち、違うの!!、違うのよりっちゃん! 本当に違うの!」

―――「りっちゃん、いないわよね?」

―――「ごめんなさい…りっちゃん」

澪「………。あれは…全部、私と律に気を使ってたのか…」

澪(ムギ…自分のことよりも私たちのことを…)

澪「あ! …でも、律と2人だけで出かけたり、今日だって律と2人きりで…!」

紬「うん…きっと澪ちゃんとりっちゃんは好き合ってると思ったから…まずはりっちゃんに私の気持ちを打ち明けてみたの」

紬「澪ちゃんのこと…相談に乗ってもらってたの…」

澪「そうなんだ……」

澪(私はバカだ…ただ嫉妬したり、自分の事しか考えてないし…ムギはこんなにも優しいのに)


澪(でも…腑に落ちない)

澪(ムギは、私が律のことを好きだって思い込んでる?)

澪(それなら、何故このタイミングで告白を?)

澪(なんか…焦ってるみたいだ)

222: 2010/11/21(日) 02:41:37.62
紬「話ズレてきちゃったけど…」

紬「もう全部スッキリさせたいから、続けるね?」

澪「な、何を…」

紬「あと二つ。澪ちゃんに大きな隠し事があるの」

澪「!!」

澪「キ、キスのことだな!」

澪「そうだよ! ムギはあのとき『好きな人の口にキスした』って言ったよな!?」

澪「誰なんだよ! 一体何がウソで何が本当なんだよっ…!」

紬「…ウソなんてついてないわ…」

澪「…え? だって、私はムギとなんてした覚えは…」

澪「…あ」

229: 2010/11/21(日) 03:01:46.15
紬「…ごめんなさ…本当にごめんなさい…」ブルブル

紬「私一度……部室で寝ていた澪ちゃんに……勝手に…」グスン

澪「…!!」

澪「そう…だったのか…」

紬「ごめ…なさ……ごめん…なさい…」ポロポロ

澪(なんだよ、そんなことで……私は未遂だけど…ほとんどおあいこだし///)

澪(ていうか、起きてるときにやってくれよ…勿体無い…)ガクリ


澪(いやいや! そうじゃあない!)

澪(寝ていた私に…キ、キス!?)

澪(いくらなんでも強引すぎる…ムギらしくない…?)

澪(まぁ、私が言うのもなんだけど///)

230: 2010/11/21(日) 03:05:31.24
澪「…ムギ」

紬「…許されるわけ…ないよね」グスングスン

澪「私は別に怒ってないよ、ムギ」

澪「ただ気になるんだ。どうしてムギがそんな強引な行動に…?」

澪「理由が知りたいだけ…」

紬「…」

紬「…初めては、どうしても澪ちゃんが良かったから……」

澪「!? ど、どういうこと…?」


紬「私が自分の欲望に忠実な人間ってことよ…」

澪「ウソだよ…私はムギがどんなに他人想いかを知ってるぞ!」

紬「私は澪ちゃんが思ってるほど立派な人間じゃあないよ?」

紬「貪欲で…我慢が足りなくて…心の奥では贔屓ばかり…」

澪「そんな…ムギはいい子だよ…そんなフウに自分を言うなよ…」

234: 2010/11/21(日) 03:09:14.93
紬「じゃあ…私が…澪ちゃん見ながら、いつも何考えていたかわかる…?」

澪「…え?」

紬「…私は澪ちゃんの全てが欲しいの」

紬「その真っ黒でサラサラな髪も…ちょっとつり上がった目も…」

紬「スタイルの良いカラダも…白くてキレイな脚も…」

紬「誰よりも真面目で頑張り屋の性格も…怖がりで繊細な心も…」

紬「全部…全部…」

澪「ムギぃ…」グスン

澪(そんなの私だって…同じだ…ムギの全て…手に入れられたらって、ずっと…)

235: 2010/11/21(日) 03:12:03.29
澪「…なら、最後の秘密ってなんだよ……」

澪「全部それだろ!? キスも告白も! それが引き金なんだろ!?」

紬「…」

澪「話して」

紬「…」

澪「聞くから」

紬「…」

澪「ムギの全てを受け止めるから!」

紬「私…」

238: 2010/11/21(日) 03:14:36.82
紬「……ねぇ、澪ちゃん? 『みんなで同じ大学行こう』って言ってくれたよね」

澪「…あ、ああ?」

紬「嬉しかったよ。澪ちゃんなんて推薦蹴ってまで、私の志望校に合わせてくれた」

澪「それくらい大したことじゃあない…(それだって、正直下心半分だ……)」

紬「幸せだった…その日のうちに氏んじゃおうかって、思った」

澪「氏…!? ム、ムギ!!?」ドキリ

紬「ごめんね澪ちゃん、実は私…みんなと大学へは行けない」

澪「―――!」

紬「みんなと…澪ちゃんと、もうお別れなの」

239: 2010/11/21(日) 03:18:10.96
澪「な なにを―――」

澪(何を言ってるんだ? ワケがわからない)

紬「私ね、もうすぐ結婚することになったの」

澪(ケッコン?)

紬「最後の秘密――私には将来を誓い合った殿方がいるの」

澪(イイナズケってヤツか? ハハ、サスガおじょうサマ)

紬「まだ、直接顔も合わせたこと無いんだけどね…」クス…

澪(あったコトもないようなヤツと…?)

紬「本当は…大学卒業まで待ってもらう予定だったんだけど…」

紬「急にその人がね、来年から会社のロサンゼルス支社を任せられることになってね」

紬「だから、結婚を早めて、一緒に向こうで暮らすことになったの」

澪(ハハ…ロスどすか…。なんか急にハナシがブットビすぎてて…)

240: 2010/11/21(日) 03:21:39.39
澪(ていうか何の話だっけ?これ)

澪(ムギが好きな人は秋山澪さん、ムギは会ったこともない男と結婚して海外へ、律は…どうでもいいか)

澪(アタマがおかしくなりそうだ…最初はただムギと律がイチャつくのを止めにきただけなのに)

紬「ふぅ……これでお終い」

紬「じゃあね、澪ちゃん」

紬「…って、お別れを言うのはちょっぴり早いわね」クスッ

紬「…りっちゃんとお幸せにね」

澪「…!!」

紬「…実はりっちゃんにも聞いちゃったんだ。『澪ちゃんのこと好き?』って」

紬「りっちゃん…『澪はただの親友だ』って言ってたけど…うふふ」

紬「本当はまんざらでも無さそうだったよ?」

241: 2010/11/21(日) 03:25:07.62
澪(違う…! 私が好きなのはムギなのに……)

澪(て、ていうか、何でそれを言わないんだ私!?)

澪「む、むぎ…」

紬「なあに、澪ちゃん?」

澪(言え! 早く言ってしまえ!!)

澪「私も……私の好きな人も……」ゴニョゴニョ

紬「うん?」

澪「む…」

澪(いや!!)

澪(言ってどうなる…ムギの運命を変えられるのか? 私が?)

澪(相手の男はきっと会社ぐるみの付き合い…海外…支社長…)

澪(言ったら…ますます無念なだけだ……ムギをより悲しませるだけ…)

243: 2010/11/21(日) 03:27:24.04
澪「む…無理せず…頑張れよ…」

紬「………うん、ありがと」

澪「あ、あとさー、ムギは一つ誤解してるよ」

紬「え?」

澪「私にとっても律はただの親友だよ」

澪「れ、恋愛感情なんてあるわけないさ、ははは」

紬「…そう」

澪「うん、そう」

紬「…うらやましいな」

……………………………
…………………
………

244: 2010/11/21(日) 03:31:59.27
澪(それから…ムギはさらっとロスへ旅立つ日を告げた)

澪(それは丁度、私たちのN女子大の合格発表日の次の日)

澪(卒業すら待たせてくれない、ムギの家と相手の男を心底憎んだ)

澪(そして…ムギはみんなにもお別れの話しをし、みんなは想い想いの感情を露にした)

澪(唯は泣いてばっかりだし、梓は泣きながら怒ってた)

澪(律はこういうときは人一倍大人びていた)

澪(私も…出来る限り泣かないようにした)

澪(ムギを不安にさせたくないから…笑顔で見送りたいから)

澪(そんな私に…まず訪れたのは…この世で最も見たくなかったもの…)

澪(ムギの結婚式)

250: 2010/11/21(日) 03:48:40.86
澪(有り得ないほど盛大なパーティ)

澪(見たこともない程たくさんの人間と豪華な演出…全てがおぞましく見えた)

澪(そして…)

澪(皆の前で、ムギが相手の男とキスをした)

澪(私の心は例えようのないドス黒い気持ちでいっぱいだった)

澪(ムギは…これを恐れていたんだ…)

澪(これが怖くて怖くて…助けを求めるかのように…部室で寝ていた私にキスを…)

澪(幸せそうな会場が、私には地獄にしか見えなかった)

澪(でも当然、欠席するわけにも、途中で逃げるわけにもいかなかった)

澪(キスのあと、ムギが私を見た気がした)

澪(私は目を逸らした)


澪(ちなみに…)

澪(その後のブーケトスの場が…さわ子先生無双となったのは言うまでもない)

……………………………
…………………
………

252: 2010/11/21(日) 03:50:25.78
N女子大合格発表日!!

唯「うっわぁ~~い!!」

澪「う、受かってる…!」

律「私たち『全員』!!」

澪「…バ、律!!」

紬「…」

律「…あ」

紬「え、え? どうしたの? みんなおめでとう~~!」パチパチ

律「お、おお! サンキュームギ!!」

唯「ムギちゃん~! 勉強教えてくれてありがとう~~!!」ダキッ

紬「あらあら、うふふ」

澪「…」

256: 2010/11/21(日) 03:53:56.35
澪「ごめんな…ムギ。明日旅立つっていうのに発表につき合わせちゃって…」

紬「いいのよ~。それに今日までは私だって軽音部の一員だよ? 仲間ハズレだけは絶対にイヤだもん!」

澪「…」

唯「…」

律「…」

紬「あ、あれ…? 今のは『合格してないから結局仲間ハズレじゃん』ていう冗談のつもりだったんだけど~…」テヘ

律「…笑えねーよ」

紬「あら///」

257: 2010/11/21(日) 03:55:36.73
斉藤「お嬢様…そろそろお時間の方が」

紬「あ…。じゃあね、私そろそろ行かなきゃ…」

澪「あ、ムギ…」

唯「ムギちゃん、明日は見送り行くからね!」

紬「いいのよ…無理しなくて」

律「まあ、空港までは難しいけど…家の前までは行くからさ?」

紬「ありがとう…。じゃあ、みんな、本当におめでとう」ニコッ

澪「あ…う……」

258: 2010/11/21(日) 04:00:54.99
唯「はぁ…明日でお別れかぁ~」グスン

澪「うん……」ボー

律「…」

律「いいのか? 澪」

澪「は?」

律「『は』じゃねーよ」ポカッ

澪「痛…」

澪「別にどうしようもないだろ」

律「…ま、そうだけどさ」

澪「…」

277: 2010/11/21(日) 08:50:41.40
ぶしつ!!

唯「あ~ず~にゃぁ~~~ん!」ノシ

梓「あ! 先輩たち! おめでとうございます!!」

さわ子「みんな合格おめでどぉ~~~~」ウルウル

澪(? 泣くほど嬉しいのかこの人は…??)

律「いや~、まったくよく受かったよな~。はっはっは」

ワイワイ… ギャーギャー…

澪「――ん? なんだここに置いてある封筒は」

梓「あ、それムギ先輩が朝来て置いていったんですよ」

澪「え!?」

梓「みんなが揃ったら開けてみて、って」

澪「…!」ビリビリバリーン

278: 2010/11/21(日) 08:53:33.20
澪「こ、これは…?」

梓「楽譜…ですね」

唯「あれ~? ここに手紙も入ってるよ!」スッ

律「ムギからか! 読んでくれ唯!」

唯「うん! なになに…えーと」

唯「『軽音部のみんな、さわ子先生、おはようございます。琴武器紬です』」

唯「『この手紙をみんなが読んでいるということは、既に私は日本にいないのでしょうね』」

澪「いや、まだいるし!」

梓「なぜここでミステリーチックに…」

律「っていうか、どっちにしても笑えねーってばよ…」

唯「『もう何ヶ月も前だけど、実は澪ちゃんから素敵な素敵な歌詞を頂いていて、みんなには内緒にしてたのです』」

澪「あ…(いつぞやのラブレター…じゃん…///)」

279: 2010/11/21(日) 08:56:20.86
唯「『時間が掛かってしまったけれど、やっとその歌詞に合う曲ができました』」

唯「『本当はもう少し早く作って、皆の前で披露して驚かせようと思ったんだけど…』」

唯「『とにかく私の想いが詰まった全力の曲です!』」

唯「『演奏してくれたら幸いです。でわ、みなさんごきげんよう』」

澪「ムギ…」

梓「ムギ先輩…」

唯「う、う~ん…ぴーえす…? 続きがあるよ!」

律「お、なんだなんだ~」

唯「『P.S. 澪ちゃん、遅くなって本当にごめんね』」

280: 2010/11/21(日) 08:59:34.73
唯「『そして、もらった歌詞に曲名が無かったので、勝手につけちゃいました』」

唯「『タイトルは…』」

唯「『ほかほかごはんにたくあんのせて』」

唯「『じゃあね、澪ちゃん。愛してます』」

唯「…ええ!?」バッ

梓「!」バッ

澪「///」

律「…」フッ

……………………………
…………………
………

281: 2010/11/21(日) 09:02:12.83
つぎのひ!!

さわ子「さようなら…ムギちゃん…まさか教え子に先を越されるとは…」ガックリ

紬「お、お世話になりました~…さわ子先生もお幸せに…」

唯「ムギちゃ~~ん! 絶対に絶対に遊びに行くからね!」ウワーン

紬「ありがとう唯ちゃん…私も日本に来たときには絶対にみんなに会いにいくから…」

梓「また…一緒にギター練習してくださいね…」グスン

紬「うん! 次に会うときには梓ちゃんに負けないくらい弾けるようになるわ!」

律「ムギ…なんか上手なこと言えないけど…お前がいたから楽しい軽音部だったよ」

紬「ふふ…こっちのセリフよ…。りっちゃんが部長だから、私たちの軽音部があったのよ?」

澪「ムギ…」

紬「澪ちゃん…」

283: 2010/11/21(日) 09:06:26.28
澪(最期だってのに…なんで私は気の利いたこと言えないんだっ……)

澪(本当に不器用な自分に腹が立つ…)

紬「…」

澪「ム、ムギぃ……」

澪(だ、だからあ~! もう私なんてハゲてしまえ!!)

斉藤「お嬢様…そろそろ…」ガチャリ

紬「…! う、うん…」

紬「…」チラリ

澪「ム!」

澪「…むぎゅぅ……」

澪(あぁぁああ~~! もう私なんて氏んでしまえ!!)グスン

紬「じゃあね…みんな。またね!!」

284: 2010/11/21(日) 09:10:22.44
ブロロロロロ…

梓「行っちゃいましたね…」

唯「うん…ムギちゃんのお茶おいしかったな~」

澪「…」ズーン…

律「…」

律「おい」ポカッ

澪「いたっ」

律「いいのかよ」

澪「だからっ! どうしようもないだろっ!!」ボカッ

律「いでっ!!

285: 2010/11/21(日) 09:13:23.38
律「こ、の、…ヘタレが!!」ボカッ

澪「ふげ!?…うるさいバカ律!」ゴチン!

律「~~~…!! この意気地無し野郎がっ!!」バチン!

梓「え……? ちょ」

さわ子「こ、こらこらどうしたの?」

澪「野郎じゃないだろ!!」ボカッ

律「そ、そこっ!?」

梓「や、やめてくださいよ先輩たち!」

澪「ふんむ~~~!」グイィィ

律「へも~~!」グイグイ

さわ子「ちょ、ちょっと離れなさい、あなたたち!」グイー

梓「あ~もう、どうしたんですか急に!? ゆ、唯先輩! 見てないで止めましょうよっ!」

唯「………ほぇ?」

梓「もうちょっと関心もってください!」ガビーン

286: 2010/11/21(日) 09:19:37.87
律「悔しくないのかよっ! 澪!!」バシン!

澪「……~~~! 悔しいよ!!」ボカッ

澪「どうせヘタレだよっ!!」ドゴッ

澪「意気地なんてもの、私の何処にもないよ!!」ゲシッ

律「いた、た、ちょ、ちょっとタンマ!」

澪「私だってこんな自分大嫌いだ! 私なんて馬に蹴られて氏んでしまえ!!」ゲシゲシッ!

律「いたいいたい、蹴られてるのは私だってば」

さわ子「み、澪ちゃんやりすぎよ!」ガシッ

澪「うぅ~~~…」

澪「ムギが好ぎだよ~~~! でぼ、どうじだらい゛い゛が~~~!」ウワーン

律「……やっと本音が出たか…」

288: 2010/11/21(日) 09:24:23.37
律「どうしたらいいかなんて、もう決まってるだろ!」

澪「何がだよ~~!! ひっく、ひっく…」

律「今の本音を直接ムギに言ってやれ!」

澪「そんなこと…そんなこと出来るか!」

澪「ムギは…ムギは私のこと好きって言ってくれたんだ!」

澪「自分の運命を知ってたのに、どうしようもないのに…言ってくれたんだっ…」

澪「これ以上ムギを苦しめられるか!!」

律「だからだってば! ムギはそれでも、告白したんだろ!?」

律「どうしようも出来ないのは今のおまえも一緒だろ!? だったらせめて気持ちを伝えてやれよ!!」

律「ムギが…澪を好きだったってことを無意味にさせるな!!」

澪「……っ!」

290: 2010/11/21(日) 09:28:40.80
律「逆の立場だったらどうだよ…」

律「ムギが気を使って告白しなかったら、お前はなんて思うんだ!?」

澪「…」

律「どっちが…苦しいと思う…」

澪「…言ってほしい……」

澪「たとえ、どうしようもなくても……好きって言ってほしい」

律「はぁ~~~……やっとわかったか。まったくめんどくさかったぜ…」

澪「でも…私、どうすれば…」

律「ああ、もう!! どうすればいいとか、どうしようもないとか!」

律「考えてるヒマあったら! 行動あるのみだ!!」

292: 2010/11/21(日) 09:32:12.51
澪「で、でも…もう空港向かっちゃったし…」

律「知るか! さわちゃん!!」

さわ子「は、ハイ!?」

律「車を出せ!! 150km/hで行くぞ!!」

さわ子「何言ってるのよ…私の車見ればわかるでしょ? 無理に決まってるじゃない…」

律「いいから~…メガネをはずせ!!」パッ

さわ子「ちょ、あ…」

さわ子「…」

澪「せ、先生…?」

さわ子「ククク…てめぇら!乗りやがれ! 200km/hで飛ばすぜ!!」

澪「」

梓「そ、そんなキャラ設定だったっけ…?」

さわ子「イニシャルSと呼ばれたこの私をナメるんじゃあねぇ!!」

梓「ひぃぃ! メガネくらいかけて運転してくださいよ!」

ドギュゥゥゥン!!

307: 2010/11/21(日) 12:30:09.69

ブオォォォン!

澪「ムギ…頼む…間に合ってくれっ…」

梓「国際線は2時間前に空港に行くのが一般的なので…たぶん平気だと思います」

律「なんだ…」ホッ

梓「ただ…荷物預け入れが早く終わってしまって、手荷物検査に行ってしまってたら、そこはもう私たちは入れません…」

澪「!!」

律「マジかよ…さ、さわちゃん!」

さわ子「わかってるぜ! だけど…こう中途半端に道が混んでるとな…」

さわ子「ち、もうめんどくせぇ! おまえら掴まってろよぉ~~!!」

ギュイィィン! キキキ…! ギュワァァァン!

律「うおお…車と車の間を縫うように…!」

梓「危ないので、良い子は絶対に真似しちゃダメですぅ…」

308: 2010/11/21(日) 12:33:37.75
唯「狭いよぉ…あずにゃ~ん」ギュゥギュゥ

梓「だからなんで私に抱きつくんですか…うう、しかたないですけど…」


律「…?」

澪「…」ブルブル

律「…どうしたんだ澪?」

澪「…なんか勢いで来ちゃったけど、やっぱり…何て言ったらいいかわからないよ…」

澪「私、口下手だし気の利いたセリフも言えないし…すぐ噛むし…」

律「また…おまえってやつはここまで来といて…」

澪「…うぅ…はわわわ…」

律「いいんだよ! 格好良いセリフなんてものは!」

律「今はどんな手段でもいいから、キモチを伝えることが最重要…だろ?」

澪「キモチを伝える…か」

310: 2010/11/21(日) 12:36:56.52
唯「あ! 空港だ~~!」

律「よっしゃ! 止めろ! さわちゃん!!」

キキキィーーー!

律「あとは私たちの出番だ! いっくぜ~~」バッ

唯「うん! たん!」バッ

梓「ここまできたら…やってやるです!」バッ

澪「先生…ありがとうございましたっ!」ペコリ

さわ子「ククク…礼には及ばねぇよ…派手に逝ってきな!」

澪「…はい」バタン

ダッダッダッダッ…

さわ子「ふぅ…」

ピーポーピーポー…

さわ子「んん!? …何の音か…」スチャ

さわ子「…聞こえない…わね……」

さわ子「…」

312: 2010/11/21(日) 12:40:42.72
ザワザワ…ザワ…

唯「うわぁ~~、人だらけだよぉ…」

律「…くっ…どこだ!? ムギーーー!」

唯「ムギちゃ~~ん!」

梓「ムギせんぱぁ~~い!!」

澪「ムギ…ムギ……」

律「お、おい澪! やる気あるのかよ! もっと声出せよ!!」

澪「だ、だって……ハズカシィ……」

律「あああ! もう! 意気地なしヘタレ野郎がぁぁぁああ!!」

唯「ど、どこにもいないよぉ…」

梓「もう荷物検査の方に進んじゃったんですかね…」

313: 2010/11/21(日) 12:43:10.44
男「紬さん…結婚式後はゴタゴタしてあまり一緒にいられなかったけど、ロスに着いたらずっと一緒ですね」ニコリ

紬「は、はい…」

男「…不安、ですか?」

紬「い、いえ! ちょっと日本が名残惜しいだけです…」

男「名残惜しい…か。もしかして前の彼氏のことでも思い出しているのかな?」

紬「いえ…! そんな人…いません」

男「ははっ。冗談ですよ。あなたみたいな素朴で純情そうな人がまさか」

男「僕とするまでキスすら知らなかったでしょう、あなたは」ニヤリ

紬「…っ!」

男「…冗談ですってば。かえって怒らせてしまったかな? ハハ」

紬「…いえ……」

斉藤「………」

314: 2010/11/21(日) 12:48:25.31
SP「…」ジー…

紬「…はぁ」

紬(なんか、息苦しい…)

紬(澪ちゃん…みんな…会いたいよ)

紬(あんなに居心地のいい場所…なかった…)

紬(ずっとみんなで楽しくいたかった…)

唯「うんたん♪ うんたん♪」

紬(そう…うんたん♪って…)

紬(って、えぇぇ!?)

紬「」バッ

紬(下のフロア…み、みんないる!!?)

315: 2010/11/21(日) 12:51:15.85
澪「う、うん…たん……うんた…ん…」カン…カン…

唯「澪ちゃん! もっと楽しそうに大きな声で! うんたん♪ うんたん♪」パン!パン!

梓「な、何が始まったんですかね…」

律「さっぱりだ」

唯「ほら! もっと声出さないとムギちゃんに会えないよ!」

澪「う、うん、たん! うんっ…!たんっ……!」カン!カン!

梓「?? おまじない??? …何の根拠があって……」

律「信じる澪も澪だ…」

梓「いや、もう焦りと諦めの境地なのでは…」

316: 2010/11/21(日) 12:54:19.99
男「な、なんだあの下品な集団は…」

紬「…みんな……」

男「ん?」

紬「みんなぁああああーーーー!!」

男「つ、紬さん…?」ビク

唯澪律梓「!!?」バッ


唯「あ! ほらほら! ね、ね!?」

律「マジかよ、恐るべし…」

梓「上のフロアにいたんですね!」

澪「…」

澪「…ムギ」

澪「むぎぃぃぃいいいいいいーーーーー!!!」

317: 2010/11/21(日) 12:56:51.36
紬「!」

澪「…いま、行くから!!」

律「よし! やれ澪!」

唯「うん、たん、だよ!!」

梓「澪先輩! 頑張ってください!」

澪「ありがとう…みんな!」

澪「…」クルッ

ダッダッダッ

318: 2010/11/21(日) 12:59:24.70
澪「………ッ」ダッダッ…

紬「みおちゃん…澪ちゃん…!」タタタッ…

澪「はぁっ…はぁっ……」

紬「……来て…くれたんだ…」

澪「っ……ムギ……!」ガシッ

紬「どうした…の…?///」ドキドキ

澪「…っ!!」グイ

…チュッ!

紬「…むぐ!? …………!!?」

斉藤「!!?」

男「!!?」

319: 2010/11/21(日) 13:02:15.11
男「な、な、何が起きてるんだ…?」

澪「………っ」チュクチュク

紬「………ん………ちゅ…」トロ~ン

男「お、おい! 何してるんだSP! あの女の子を離せ!!」

SP「は、は!!」

澪「んまっ…んむっ…」チュクチュク

紬「…んふ……んんっ……」チュルチュル

320: 2010/11/21(日) 13:04:13.85
SP「お、おい! キミ!! 離れろ!!」グイイー

澪「…んぐ~~!!」チュッチュッ

紬「……ん…ん…」チュプチュプ

SP「離れなさい!!」バッ!

澪「…ぷはぁッ!!」ドタッ

紬「んはぁ!! …はぁ、…はぁ……///」

男「…な…なんなんだキミは!! 何のつもりなんだ!?」

紬「はぁ…はぁ…みおちゃん…///」

男「お、おい…紬さん…?」

澪「……~~~~!!!」ギロリ

322: 2010/11/21(日) 13:11:21.00
澪「ムギが好き!!」

紬「!!」

澪「好き!!!」

男「早く…早くッ! この変態女をここから追い出せェェエエエッ!!」

SP「は、はい!!」

SP「ほら、キミぃ!!」ガシッ ズルズル

澪「ム、ムギは私のだ!!」ジタバタ

紬「みお…ちゃん……」ジワッ

澪「ずっとずっと見てたぁーーッ!!」

SP「…(なんなんだコイツ…)」ズルズル

澪「毎日! 毎日毎日! ムギのことばっかり考えてたぁーーッ!!」

紬「―――っ!」グスン

324: 2010/11/21(日) 13:14:33.30
SP「……ふんっ」ズルズル

澪「好……だ…ッ………」

SP「ぬぉぉおお!」ズルズル

澪「………ァー…」

ズルズル……ズル……

………………


男「ふぅ…ったく! やっと消えたか」

…\スキダァーーーッ!/………

男「」ビク!

325: 2010/11/21(日) 13:20:53.21
男「くっ…オイそこの! 斉藤とかいったな! 二度とあの女を紬に近づけるな!!」

斉藤「は、はい…かしこまりました…」

紬「み…お…ちゃ゛……」ポロポロ


男「さ、さあ行こう、紬さん…ぼ、僕は何も気にしてないよ…はは…あはは…」

紬「…」

紬「……ありがとう、みんな」

紬「……さよなら、大好きな澪ちゃん…!」ニコッ


おしまい

327: 2010/11/21(日) 13:23:50.49
支援ありがとうございました
今日明日と書いてる時間が取れるかわからんので、とりあえず書きたかったここまでで終わります
最初はポッキーゲームらへん書きたかっただけなのに、全体的にダラダラと長くなってしまって申し訳ないす。。

ムギちゃんのキャラソンが売れることを願って!

364: 2010/11/21(日) 23:34:34.04
お待たせしますた。ちょろっと>>325その後のお話を投下。。。


澪(ムギと別れてから少し経ったころか)

澪(またしても意地を張っていた私は、またしても律に殴られて、ケータイに海外対応サービスを追加した)

澪(でも、もう遅かった)

澪(メールも電話も繋がらない)

澪(もう…ムギが世界の何処にいるのかもわからない)

澪(ムギの声を聞くことも、もうないかのもしれない)

澪(…どんどん時間だけが過ぎていった)

澪(私たちは大学へ入学した)

365: 2010/11/21(日) 23:36:39.18
唯「なんか大学って難しいよね~。たんいとか良くわからないよ~~」

律「確かになぁ。高校のときはただ黙って同じ教室に座ってるだけだったしな」

澪「律が黙って座ってたことなんてないだろ」

律「そういう意味じゃあないっつーの」

唯「うぅ…次の授業の教室どこだったっけ?? もう頭がいっぱいだよぉ…憂~~」

律「一人暮らし始めたとはいえ、唯は相変わらずだな…」

ピッピッピ プルルルル…

唯「もしもし憂? 今休み時間~~?? 次の授業どこだったっけ?」

澪「うぉおおい!!」ビシッ

憂『教養棟307号室だよ、お姉ちゃん』

律「うぉおおい!!」バシッ

366: 2010/11/21(日) 23:39:24.27
澪「私もなんだかんだで一人暮らしは不安だなぁ…寂しいし」

律「そうか~? 私は気楽で気に入ってるぜ。聡もいないし」

澪「…確かに律って生活力ありそうだしな」

唯「うふふ~これから毎日、憂が時間割をメールしてくれるって~~」

澪「いい加減にしろ!」ビシィッ!

律「よく今まで高校生活やってこれたな…ってレベルだな……」

澪(…)

澪(高校生活か…)

―――「うふふ、唯ちゃんらしいわね」

澪(なんか…変わらないな…私たちは…)

―――「それじゃあ、お茶にしましょ?」

澪(何も変わらない…な……)

367: 2010/11/21(日) 23:42:31.66
律「なーなー、もうすぐゴールデンウィークだけどさ、どうするー?」

唯「どっか行きたいね~」

澪(そっか…もうそんな時期か…)

澪(もう…2ヶ月もムギに会ってない…)

律「本当だったら、ムギのとこにでも遊びに行きたいんだけどな…」

唯「…うん、お金ないしね……」

律「つーか、そもそも住所聞いてないし連絡とれないし…」

澪(ムギのトコか…ムギに会いたいなぁ…)

律「おい! 澪! みーおー! おまえはどこ行きたいんだ?」

澪「え? あ、ああ…私は…」

368: 2010/11/21(日) 23:46:35.07
澪「私は実家に帰るよ。マ…お母さんとお父さんに会いたいし」

律「…いいのかよ」

澪「何が」

律「しらばっくれるなよ」

澪「…どうしようもないだろ」

律「またそれかよ~!」

律「…まぁ、実際今回ばっかしはお手上げだけどさ」

唯「! そうだ!! みんなでロサンゼルスの真ん中でうんたんすればいいんだよ!」

律「却下」

唯「ぶー…。空港のときはそれで見つかったのに…」

澪「空港と広さのレベルが違うぞ」

律「…私もおとなしく実家に帰るか。聡からかいたくなってきたし」

澪「うん、帰ろう…」

369: 2010/11/21(日) 23:50:13.27
……………………………
…………………
………

澪「…ただいま」

澪「…この町は変わらないな……」

澪「…って、まだここ離れて1ヶ月だから、当たり前か///」

澪「駅のホーム…河原の道…」

澪「なんか、何処に行っても、みんなといた記憶しかないな…」

澪「ノスタルジィってやつを感じる…」フッ

澪「…って、だからまだここ離れて1ヶ月だっての」

澪「どうしようかな…取り合えず桜高でも行ってみようかな」

372: 2010/11/21(日) 23:54:43.84
澪「…うわぁ、学校なつかしいなぁ~」

澪「つい、この間まで制服着て、ここに通ってたんだよなぁ…」

澪「律と…唯と……ムギと…」

澪「…」

澪「…?」

澪「キレイなブロンド髪の女の人が、校庭に立ってる…」

澪「見覚えあるなんてレベルじゃあない…」

澪「あれはまるで…」

澪「ムギ………なのか…?」

ブロンド女性「…」チラッ

374: 2010/11/21(日) 23:57:12.51
澪「!」

紬「澪ちゃん…」

澪「ああ、ムギだ…ムギが見える…」

紬「うふふ」

澪「良い夢だ……」

紬「夢じゃないよ?」

澪「…げん…じつ…?」

375: 2010/11/21(日) 23:59:08.30
紬「日本だと連休中だし、もしかしたらって思って」

澪「すごい…偶然だ…夢みたいだ」

紬「夢じゃないし…偶然じゃない…」

紬「運命だよ」

澪「運命…」

紬「澪ちゃん」クルリ

紬「ちょっと大人っぽくなったね?」

澪「そ、そうかな…」

澪「そういうムギの方こそ…ちょっと…」

澪「ちょっと……」

澪(ん? 太った?)

378: 2010/11/22(月) 00:02:18.21
紬「澪ちゃん…気付いちゃった?///」サッ

澪「え! い、いやいやいや、それはアメリカじゃあ食も違うしな! し、仕方ないよ!!」

澪「そ、それにどんな体形だって私はムギのことを…」

紬「え? 違うよ~…澪ちゃん…」

澪「え?」

紬「実は私、妊娠したの~~」

澪「ニンシン?」

紬「私もとうとうお母さんになるの~」

澪「ヘー、ソリャ、メデタイ」

379: 2010/11/22(月) 00:04:26.95
澪「けけけk結婚して、にににに二ヶ月だろ!!?」

澪「早すぎる!そんなバカな…!」

紬「だってあの人…毎晩元気なんだもの…」ポッ

澪「う、ウソだ…そんなぁ…そん…」ウルウル

紬「ウソじゃあないわ」

澪「夢だ夢だ夢だ…」ブンブン

紬「夢じゃないよ」ズン

澪「ひぃぃぃ~~!!」

紬「現実よ」ズン

澪「はわわわわ~~」ブルブル

紬「これが…私たちの運命よ」ズーン

澪「や、やめろぉぉぉおおおお!」


381: 2010/11/22(月) 00:07:13.09
澪「ひえええ!」ガバッ

澪「はぁ…はぁ……あれ?」

澪「…って、やっぱり夢だよっ!」

澪ママ「澪ちゃ~ん、どうかした~~?」

澪「」ビク!

澪(あ、そっか…私今ゴールデンウィークで実家に帰ってるんだった…)

澪ママ「起きたの~~? ごはん用意しようか~?」

澪「あ、うん!お願いママ」

澪(はぁ…実家まで来てなんていう夢を…)

澪「っていうか、もう昼過ぎだ……」

382: 2010/11/22(月) 00:10:33.21
澪「いってきま~す」

澪ママ「あら、どこ行くの?」

澪「うん、その辺ぷらぷらしてくる」

澪ママ「気をつけてね」

澪「うん」

澪(………)

澪(どこ、行こうかな?)

澪(河原通って、アーケード街いって…)

澪(そんで最後に桜高も行きたいな…色んな意味で…)

……………………………
…………………
………

383: 2010/11/22(月) 00:15:30.63
がっこう!!

澪「…うわぁ、学校なつかしいなぁ~」

澪「つい、この間まで制服着て、ここに通ってたんだよなぁ…」

澪「律と…唯と……ムギと…」

澪(ムギ…)キョロキョロ

澪(いるわけ…ないか…)


澪(…)トボトボ

澪(ムギ…もう会えないのかな、私たち)

澪(どうしてっ…どうしてだよ…)

澪(こんなに好きなのに……好きって言ってもらえたのに…)

澪「…会い…たいよ…」グスン

390: 2010/11/22(月) 00:19:15.75
―――「運命だよ」

澪「これが運命なのか…?」

澪「ムギに会えるならなんだってするぞっ…」

澪「ロスのど真ん中でうんたんだってするからっ…」

澪「神様お願い! 一度だけの奇跡をください…」

澪「本当に一度でいい…妊娠しててもいいから……」グスン

澪「…」

澪「…なんてな」

澪「もう……認めるしかないな」

澪(私は――もうムギには会えない)

391: 2010/11/22(月) 00:22:16.68
澪「…」トボトボ

澪「あ、MAXバーガー…」

澪「ここで…よく皆と食べたなぁ…」

澪「…ムギが…バイトしてた……ここで…」

澪「…!」グゥゥ~

澪「お腹…減ったな///」

澪「入るか…」グスン

グイーン

393: 2010/11/22(月) 00:26:15.55
紬「いらっしゃいませ~」ペコリ

澪「」ズコーッ!

紬「あら、澪ちゃん」

澪「くぁw背drftgyつむぎlp;@:「」」

紬「み、澪ちゃん…だよね……??」


紬「あ、私今日は6時あがりだから、良かったら待っててくれない?」

澪「・ソ譁・ュ怜喧縺代→縺ッ縲∵悽譚・陦ィ遉コ縺輔l繧九∋縺肴枚蟄励」

紬「ありがと~、もうすぐだからね」

澪「ュフ佻 シtヌセクtヌXチ 」

394: 2010/11/22(月) 00:29:09.05
澪「ごめん…私混乱しすぎてよくわからないから…順を追って頼むぞ…?」

紬「わかったわ~。そうね…あのあと澪ちゃんたちと空港で別れてから…」

澪「うんうん」

紬「私、離婚したの」

澪「順を追ってぇぇえええーーーーッ!!??」

紬「これもいわゆる成田離婚ていうのかな?」

澪「え…あのあと本当に直ぐ……?」

紬「うん…一度は本当に諦めてロスに行こうとしたんだけど…」

紬「あの人、あまりに澪ちゃんとのことしつこく聞いてくるから」

紬「私、本当は男の人になんて興味は無いのよ、って言って、ついでに引っ叩いて来ちゃった」クス

澪「」

397: 2010/11/22(月) 00:32:41.35
紬「それで…あの人も向こうの家もカンカンで…」

紬「…それでお父様ともケンカして、勘当みたいにされちゃって…」

澪「え…?」

紬「家も追い出されて…お金もほとんどないまま…」

澪「ム、ムギ…」

紬「そしてアルバイトでなんとか生活してるの……ここ、店長も先輩も知り合いだから特別に入れてもらって」

澪「に、二ヶ月以上も……? 家は!? どこに住んでるの!?」

紬「公園と…3日に一回くらいマンガ喫茶に…」

澪「そ、そんな…」ウルウル

紬「私、一度マンガ喫茶で生活してみたかった…の~~……」

399: 2010/11/22(月) 00:35:37.26
紬「でもね、駅前のマンガ喫茶って凄いのよ! 一晩で980円だし、シャワーもあるの!」

澪「い、いや、そんな情報はいいから…」

紬「価格破壊ってこういうことね」フムフム

澪「違うと思う…」

紬「…」

澪「あ、その、ムギ…ごめん…! ……私のせいで……」

紬「そうよ…」

澪「…え?」

紬「全部澪ちゃんのせいよ!!」

澪「うぅ…」ガーン

紬「私がこんなに辛い想いしてるのも全部…全部!」

紬「この年でバツイチ…家なき子……上野公園のハトの方が私よりご飯食べてる……」

澪「あ…ああ……」ガクブル

401: 2010/11/22(月) 00:38:37.16
紬「おまけに最近ムダ毛処理も出来てないのも、水虫になっちゃったのも、澪ちゃんが悪いんだから!」

澪「ごめんムギ…ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」

紬「………みおちゃん」

澪「ひ、ひぃぃ…」ブルブル

紬「そこは…『そろそろ私関係ないだろ! ポカッ!』ってするところじゃないのぉ……」

澪「」

紬「澪ちゃんに叩かれるいいチャンスだと思ったんだけどなぁ…」ガッカリ

澪「? ……」

澪(ボケのつもりだったのか…。ていうか、まだ…そんな願望あったのか…)

402: 2010/11/22(月) 00:41:50.55
澪「はぁ…でも、少しでも元気そうで良かったよ」

紬「ご、ごめんね…澪ちゃんがそこまで思いつめるなんて思わなかったから…調子に乗ってみました~」

澪「…ちょ、調子にのるなっ」ポカッ

紬「…いたっ」

澪「あ、ごめ、ちょっと強すぎた……かな?」

紬「……えへ、…」ジワッ

紬「うふふ……ふふ……ひっぐ……」グスングスン

澪「む、ムギぃ~…!?」オロオロ

紬「うわぁ~~ん! ひっく! ぇぐ……」ポロポロ

澪「ちょ、ちょっとムギ! ごめんてば……」アセアセ

405: 2010/11/22(月) 00:44:18.61
紬「…違うの! 澪ちゃんに会えたの! 叩かれたの! 嬉しいの!! うぇ~~ん…」

澪「ムギ…」

紬「もう…私の人生何もないと思ってた…ひっく…でも、今日はいったい何の日なの~~…? こんなに急に幸せが訪れて~……」

紬「すごく…凄く、会いたかったの~……ひぐ…」

澪「なんだよ…それなら、この町にいたなら私たちに連絡してくれれば良かったのに…」

紬「それは…」

紬「…さすがに…みんなに顔向けできないっておもってたから……」

紬「さっき再会したときだって…、本当は不安で足…震えてた…」

紬「こんなにみすぼらしくなった私を見て…澪ちゃん目も合わせてくれないんじゃあないかって…」

澪「そんなわけないだろ…」

406: 2010/11/22(月) 00:48:05.54
澪「く、空港で、わ私が言ったこと忘れたのかよ!!」

紬「!」

澪「家がなくても、お金がなくても、水虫でも…人の気持ちなんてそう簡単に変わるものじゃあないだろ!」

紬「澪ちゃん……」

澪「…ムギだって…そうだろ?」

紬「…」

澪「む、ムギ!?」

紬「…忘れちゃった~…」

澪「な、何が?」

紬「空港で、澪ちゃんが何て言ったか忘れちゃったの~!」

澪「」ガーン

409: 2010/11/22(月) 01:02:17.05
紬「だから…もう一回、言って?」

澪「あ! む、ムギおまえ!!」

紬「ぷりーず、りぴーとあげいん♪」

澪「も、もう! また叩くぞ!」

紬「叩いて、澪ちゃん」ニコッ

澪「…はぁ…ムギには敵わないよ…」

紬「うふふ」

澪「ふふ…」

410: 2010/11/22(月) 01:06:07.19
澪「ムギ…これからどうするんだ?」

紬「うん…お金ためて、なんとか家見つけて…もう少しアルバイト増やして……」

澪「…その」

澪「……私さ、今N女子大のそばにアパート借りてるんだ」

紬「うん?」

澪「大家さん…凄いいい人でさ。きっと事情話せば…わかってくれるかも…」

紬「…え~と??」

澪「…だ、だからぁ……。よよ良かったら、そ、その…一緒に…どうかな」

紬「!!」

澪「8畳ワンルームだから…ちょっと2人では狭すぎるかもしれないけど…」

澪「そ、それに近くには唯も律も住んでるし……だから…その///」

紬「…いいの?」

412: 2010/11/22(月) 01:12:33.85
澪「! も、もちろん」

紬「…でも、悪いわ」

澪「~~っ!」

澪「わ、わかった! もうはっきり言うよ! お願いだ! 一緒に住んでくれ!」

澪「もう…ムギと離れたくないんだ!」

澪「…もうあんな想いはしたくないから……」

紬「…ありがとう」


紬「私いっぱい働いて澪ちゃんを養ってあげるね!」

澪「い、いやそこまではいいし…」

415: 2010/11/22(月) 01:18:54.17
紬「……ねぇ。澪ちゃん」

澪「ん?」

紬「空港で私たち、大勢の前で長い長いキスしたよね」

澪「なななな何だよっ、急に!」

紬「…思い返すと恥ずかしかった、よね///」

澪「うぅ…確かに……///」

紬「これからは人目を気にせず、好きなだけ出来るね」ニコッ

澪「…」

澪「…ママに電話しとかなきゃ」ボソッ

紬「うん?」

澪「…ううん、こっちの話」

澪「…それじゃあ早く帰ろっか。私のアパートに…」

416: 2010/11/22(月) 01:23:22.10
……………………………
…………………
………

律「はぁ…ゴールデンウィーク終わっちまったなぁ…早くも鬱だ…」

唯「私…授業の課題…全部わすれてたよぉ~」

律「ハァ…」

唯「ハァ…」

澪「…」ニコニコ

律「…な~んか澪、機嫌よさそうだなあ…」

唯「澪ちゃ~ん…課題…写させて~……」

澪「ふふ、しょうがないな~唯は」

律「ぬ? 本当に怪しい…」

418: 2010/11/22(月) 01:26:51.19
澪「そうだ、唯、律。今日授業終わったら、ウチに来てくれないか?」

唯「いいとも~」

律「おお、澪から誘うのって珍しいな。いつも私たちが押しかける形なのに」

澪「…みんなに会わせたい人がいるんだ」

律「む~、彼氏か? お母さんは許さないザマスよ!」

澪「何のキャラだよ…」

唯「ね、ね? 誰だれ~??」

澪「私の…私たちの最愛の人」


本当におしまい

419: 2010/11/22(月) 01:27:36.83
お付き合いいただきありがとうございました
色々勉強になりました。精進します

421: 2010/11/22(月) 01:31:00.03

引用元: 唯「ほかほかごはんにたくあんのせて」