1: 2010/12/05(日) 18:38:17.45
部室

ガチャ
律「よっ、梓」

梓「あれ?律先輩一人ですか?」

律「唯と澪は先生と話があるから遅れるってさ。ムギは家の用事だって」

梓「唯先輩はわかりますけど……澪先輩もですか?」

律「第二志望以下についての話し合いだとさ。第一志望受かりゃそりゃバンザイだけど、一応しっかり考えとかなきゃいけないしなー」

梓「なるほど…律先輩は考えてあるんですか?」

律「だはは~♪私にそれを聞くかね?」

梓「……まあそうですよね」

3: 2010/12/05(日) 18:42:07.96
梓「律先輩も話し合いしてきたほうが良かったんじゃないですか?」

律「私は一途な女なのだよ梓くん。そうと決めたらそれだけを目指すのさ!」

梓「はあ…」

律「それにいざとなったら三人と同じとこ受けりゃいいし!」

梓「(ダメだこの人)」

律「ま、とにかく気にせず練習してくれ」

梓「…そうですね、わかりました」

4: 2010/12/05(日) 18:45:14.44
ジャジャ ジャーン

梓「ふぅ……」

律「お疲れさん、はいお茶」

梓「律先輩がいれてくれたんですか?わざわざすいません」ズズズ

律「いいっていいって。どうだ、美味しいか?」

梓「……意外ですね、ムギ先輩には負けますけど」

律「ふふん、家では家事全般やらされてるからな!それと意外、は余計だこのやろー」

梓「まあ美味しいですよ。見直しました」

律「そうか?へへっ」

6: 2010/12/05(日) 18:50:02.52
梓「んー…」ズズズ

律「…」ジー

梓「…」ズズズ

律「…」ジー

梓「…律先輩?どうかしました?私の顔に何かついてますか?」

律「へっ?あ、いやなんでもない。なんでもないんだけど…」

梓「律先輩?」

7: 2010/12/05(日) 18:52:03.19
律「……梓」

梓「はい、どうしました?」

律「あのな、えっと……」

梓「?はい?」

律「……いや、なんでもない。気にしないでくれ」

梓「……?そうですか、わかりましたけど…」ズズズ

8: 2010/12/05(日) 18:56:36.49
梓「…それにしても唯先輩も澪先輩も遅いですね」

律「なんだよー私と二人っきりじゃ不満かー?」

梓「いや、そんなことはないですよ。ただ澪先輩達が来ないと、そろそろ律先輩が勉強に飽きて遊び始める頃なんじゃ、と」

律「…ほほう?なかなか言うようになったじゃないか中野くん?」

律「そんなこと言うやつは……こうしてくれるわ―!」バッ

梓「に゛ゃっ!」

9: 2010/12/05(日) 19:01:07.93
律「このやろこのやろー」グリグリ

梓「きゃーたすけてー♪」

律「まだまだこんなもんじゃ済まさないぞー!あんなことやこんなことも………ん?」


唯澪「」ジー

律梓「うわぁ!」ガタン

10: 2010/12/05(日) 19:07:24.86
澪「まったく…何やってんだか」

律「き、来てたなら言ってくれよー」

唯「だってりっちゃんもあずにゃんも楽しそうだったんだもん」

梓「いじられてた、の間違いなんじゃないでしょうか」

律「いじりじゃないぞ!愛のムチってやつさ!」

梓「違いがあるんですか?それ」

11: 2010/12/05(日) 19:13:20.05
唯「でもさ、やっぱりりっちゃんとあずにゃんてすっごい仲良いよね!」

梓「…へ?」

律「なんだそのさもありえないって目は」

澪「唯の方が梓と仲良いだろ。よく抱きついてるし」

梓「私の意思じゃないんですけどね…」

唯「もちろん私とあずにゃんも仲良いつもりだけど、それとは違って……うーん…
紬「その話、詳しく聞いてもよかとですか?!」バッ

唯澪律唯「「「「うわぁぁぁぁ!!!!」」」」ガタン

12: 2010/12/05(日) 19:20:18.86
澪「ムギ!?いつの間に?」

梓「というか家の用事はどうしたんですか?」

紬「ちょっと部室に忘れ物しちゃって。それで取りに来たのだけれど…」
紬「それより唯ちゃん!さっきの続きを!」

唯「う、うん…(本当にいつの間にきたんだろ?)」

14: 2010/12/05(日) 19:26:30.08
唯「あずにゃんがりっちゃんに対してちょっとキツイ事言って、それでりっちゃんが…てよくあるじゃん?」

澪「確かにそうだな」

梓「で、そこからどうやって仲が良いって話に?」

唯「えっとね…ほら!小学生の男の子が好きな子をわざとからかう、みたいな」

紬「なるほど!つまり梓ちゃんはりっちゃんが好きってことね!」

梓「え゛」

唯「そういうことなのであります!」フンス

梓「ちょ、ちょっと何言ってるんですか!ほら、律先輩も何か言ってください!」

律「えーと……ふつつかものですが…」モジモジ

梓「何のってるんですかー!?!?」ガーン

16: 2010/12/05(日) 19:32:51.48
紬「でもりっちゃんのこと、嫌いじゃないんでしょう?」

梓「そ、そりゃあ…好きか嫌いかで言えばそうですけど…」

唯「ほら!やっぱりそうだって!」

梓「だから、あの、その、えーと」

律「おー。困ってる困ってる」

澪「唯、ムギ、そろそろやめとけ。梓本気で困ってるぞ」

唯紬「はーい…」ショボン

梓「私は、その、律先輩のこと嫌いじゃないですし、ほんとごくたまには良いと思う所も無いわけじゃないですけど、あの、その」アタフタ

律「おーい梓ー、かえってこーい。何気にひどいこと言ってるぞお前」トントン
梓「はっ!私は一体何をっ」

18: 2010/12/05(日) 19:36:41.09
紬「ところでりっちゃんはどう思ってるの?」

律「へ?」

唯「前に澪ちゃんの家で、あずにゃんから呼び捨てにされた時も満更じゃない感じだったし!」

紬「唯ちゃんほどじゃないけど抱きついたりしてるし!」

梓「抱きつくというか、技をかけられてるというか……」


19: 2010/12/05(日) 19:40:03.17
律「そりゃあ…後輩から好かれるのは悪い気はしないけど…」

唯「で?!」
紬「で?!」

律「う…」

唯「どうなの!?」
紬「どうなの!?」

律「……だーーーー!!!その話は終わり終わり!皆勉強するぞー!」


唯「(勢いでごまかした…)」
澪「(ごまかしたな)」
梓「(ごまかした…)」
紬「(あわててごまかすりっちゃんかわいい♪)」

21: 2010/12/05(日) 19:43:28.68
翌日 教室

梓「…てことがあってさ」

純「へぇ…やっぱり仲良いんだね、軽音部」

梓「私自身はあまり気にしてなかったんだけどなぁ…」

憂「でも前にハンバーガー屋さんで律さんに会ったとき、梓ちゃんと律さん、すごい仲よさそうだったよ?」

純「へ?いつの話?それ」

梓「確か1年生の時の夏休みだったかな…」

純「なんで私も誘ってくれなかったのよー」ブー

憂「ご、ごめんね?純ちゃん」

梓「別に謝る事じゃないと思うけど…」

23: 2010/12/05(日) 19:47:14.22
憂「確か、軽音部の先輩でお姉さんにするならって感じの話してたんだよね」

梓「ああ、そういえば」

憂「律さんが後ろにいるのに、梓ちゃん『律さんはいいかげんで大ざっぱだから…』とか言っちゃって…」
純「ぷぷっ!」

梓「そこ、笑わない。だって、まさかあそこに律先輩がいるとは思わなかったんだもん」

24: 2010/12/05(日) 19:51:04.20
純「軽音部の先輩がお姉さんだったら、かあ。やっぱり澪先輩かな」

梓「だよね、やっぱり」

憂「わたしはお姉ちゃんのままがいいかな」キッパリ

純「うーん…私はパス1」

梓「パス2で」

憂「えっ」ガーン

梓純「冗談、冗談」

26: 2010/12/05(日) 19:55:32.80
純「でもさ、さっきの梓の話聞く限りじゃ、律先輩と梓って姉妹みたいな関係だよね」

梓「へっ?姉妹みたい?」

純「てゆうか兄弟?みたいな。兄に生意気言う弟的なさ」

憂「でもうちはそんなことないよ?」

梓「あはは…そりゃ唯先輩と憂だしね」

純「それに律先輩って澪先輩とは違った『姉御肌!』って感じがするし」

梓「どういう感じよ、それ」

憂「でも、なんとなくわかる気がするなー。前にうちに来たときとか、お姉ちゃんがもう一人いるみたいだったし」

純「…平沢家の場合、褒め言葉になるのかな?それ」

憂「純ちゃんひどい!」ガーン

梓「あはは……」


梓「(しかしまさか)」
梓「私と律先輩が……姉妹…かあ」

27: 2010/12/05(日) 19:58:46.03
放課後 部室 練習終了後

(私と律先輩が姉妹みたい、か)

(あの時はありえないって思ってたな……いや、今でもか)

(……確かに、律先輩相手だとちょっかいかけたくなるんだよね…)

(………体型的にも似てるし……)ズーン

(そういうところをはたから見ると、姉妹みたいに見えるのかな…)

28: 2010/12/05(日) 20:00:52.82
(……もし私と律先輩が本当の姉妹だったとしたらなんて呼ぶんだろ?)

(律姉……いやないか。律……りっちゃん……名前はつけないかな?)


梓「……お姉ちゃん? ガチャリ 律「どうした?梓」
梓「わああぁぁぁ!!!」ドッタンバッコン

30: 2010/12/05(日) 20:05:13.70
梓「い、いつからいたんですか?」

律「いや、今来たばっかだけど……どうかしたのか?」

梓「イヤ、ナンデモナイデスヨ?ハイ」

梓「それよりどうしたんですか?皆さんとっくに帰ったんじゃ?」

律「いやーそれが部室に荷物置きっぱなの忘れててさー。仕方ないから取りきたってわけ」

梓「そ、そうですか」

33: 2010/12/05(日) 20:08:36.10
律「梓はまだ帰らないのか?」

梓「いや、今から帰ろうかと」

律「そっか……」
律「…じゃあ、たまには一緒に帰るか!」

梓「へっ?」

律「なんだよーそんなに嫌かー?」ブー

梓「い、いえ!そんな訳じゃ」

律「よし!なら問題ないな!レッツ・ゴーだ!」ダダッ

梓「ちょ、ちょっと待って下さいー!」

35: 2010/12/05(日) 20:12:02.44
(……そーいえば)

(律先輩と二人きりで帰る、なんて初めてだよね)

(なんて言うか……新鮮というか)

律「~~~でさー澪ったら慌てて……梓、聞いてるかー?」

梓「はっ!はいもちろんキイテマスヨ?」

律「本当かー?……まあいいけどさ」

梓「ほっ…」

律「あ、そーだ。ちょっとよっていきたいトコがあるんだけど、付き合ってくれるか?」

梓「あ、はい。別に良いですよ」


梓「(参考書か何か買うのかな?)」

37: 2010/12/05(日) 20:15:23.60
ゲームセンター前

梓「……律先輩?」

律「いやーやっぱ受験勉強はつかれるなー。息抜き息抜きっと」

梓「私、帰りますね」スタスタ

律「ちょ、ちょっとストップ、ストーップ!」

梓「まったく……何考えてるんですか」

律「う…そりゃあマズイとは思ったけどさ……」

律「息抜きってのもあるけど……梓と二人きり、なんてめったにない訳だし」
律「せっかくの記念としてパーッと遊びたいな―、なんて………あはは…」

38: 2010/12/05(日) 20:16:48.97
梓「はあ、まったく……」

(でも、まあ)
梓「……仕方ないですね、少しなら付き合いますよ」

律「ホントか!よかったよかった!」

(たまには、いいかな?)

46: 2010/12/05(日) 20:42:40.68
律「梓!そっちゾンビ来てるぞ!」

梓「わっ!うわわ!」

律「梓、危ない!」

梓「あっ!」
ギャー
GAME OVER

律「あちゃー…」

梓「む…もう一回やりましょう!もう一回!」

律「いいけどあんまり熱くなりすぎるなよー?」

梓「わかってます!」

律「いや、わかってないだろそれ」

47: 2010/12/05(日) 20:45:49.24
梓「てい!や!はぁ!」

ギャー
GAME OVER

梓「せい!てやっ!」

ギャー
GAME OVER

梓「くう!もう一回!」

律「あのー梓さん?」

52: 2010/12/05(日) 20:50:29.90
律「結局何回やってもダメだったなー」

梓「ううう…」

律「ま、頭冷やすってことで。次、あれやろうぜ!」

梓「……プリクラ、ですか?」

律「そ、せっかくだし記念にな」

梓「律先輩と、かあ…」

律「なんだその含みのある発言は」

梓「いえいえ。けっして澪先輩とかムギ先輩のほうが良かった、なんて考えてませんよ?」

律「ぜってー考えてるじゃん!私の扱いひどくね!?」

梓「ホントに考えてませんって。ほら、撮りましょうよ?」

律「なんかうやむやにされた気がする…」

54: 2010/12/05(日) 20:53:53.01
(とは言ったものの)

律「撮影モードはこれで……と、よしOK!」

(なんか、プリクラって苦手なんだよね…)ソワソワ

律「梓ー顔がこわばってるぞー?」

梓「そ、そうですか?」ソワソワ

律「別に命とられる訳じゃないんだし、もちっと気楽にしろって」

梓「そりゃあそうですけど……」ソワソワ

57: 2010/12/05(日) 20:57:32.89
>>56 kwsk

梓「うーん………」ソワソワ

律「…えい♪」ツネリ

梓「ふぁ?!」

律「ぎゅーっと」

梓「ひょ、りふへんはいなにすふんでふか!?(ちょ、律先輩何するんですか!?)」ギュー

58: 2010/12/05(日) 21:01:31.57
律「よし、いい顔になったな!」

梓「ふぁひ?」

律「澪と初めて撮った時もこうやったもんだよ。あいつも表情かたいからなー」プニー

律「どうだ、少しは気がほぐれたか?」グニー

梓「ああ、はひ…ありがほうございま「はい、チーズ」パシャ

律梓「あ」

59: 2010/12/05(日) 21:05:54.01
律「……ぷっ」

梓「くく……ふふ………」

律「あはは!なにやってんだ梓、ぷくく…」

梓「律先輩が、ふふっ、こんなことするからじゃ、くくっ、ないですか、ぷふっ」

律「すっげー顔だぞこれ、……ぷくく」

梓「ホントですよ。どうすんですか、これ?」

律「まあ撮り直しがあるし。……個人的にはこのままでも」

梓「絶対いやですよ?」

律「ちぇー、つまんねーのー」

61: 2010/12/05(日) 21:09:59.07
―――――――――

律「もうちょっと右か…いや、大丈夫か?」ウィーン
(いつもだらしなくていいかげんな律先輩)


律「よしドンピシャ!このまま…」ウィーン パンパカパーン
(その印象は今も変わってない―――けど)


律「よっしゃー!見ろ梓!見事ぬいぐるみゲットしたぜー!」
(今なら、律先輩みたいな姉っていうのも)


律「ほら、次はあれやろうぜ!あれ!」
(それも結構、楽しいのかもしれないな―――)
(そう、思えてきた)

63: 2010/12/05(日) 21:12:24.70
――――――――――――

律「いやー遊んだ遊んだ!」

梓「よかったんですか?受験生なのに」

律「いいんだよ、梓だってかなり楽しかったろ?」

梓「まあ…そう言われるとそうですけど」

律「それにさっきも言ったろ?たまには息抜きしないとプレッシャーにやられちゃうんだって」

梓「律先輩がプレッシャー……ぷっ」

律「中野ォー!」

66: 2010/12/05(日) 21:19:20.36
律「この生意気な後輩めー」ギュー

梓「プレッシャー……ぷっ」

律「まだいうかこのこのー」ギューッ

梓「ああごめんなさいくるしいくるしいです」キュー

律「…」ギュッ

梓「ホントに苦しいですって律せんぱ……」

律「…」ギュ

梓「……律先輩?」

68: 2010/12/05(日) 21:23:57.99
梓「……どうか、しました?」

律「梓」

梓「はい」

律「……悪かった」

梓「へっ?」



律「ホントは忘れ物なんてなかったんだけどな。どーしても言いたいことがあって、それで、嘘、ついた」

梓「律先輩…?」

律「あ、て言っても愛の告白とかじゃないからな?勘違いするなよー?」ハハッ

70: 2010/12/05(日) 21:30:26.30
律「本当はもっとはやく言うべきだったんだけどなー」

律「だけどいっつも言うのが怖くて、先延ばしにしてた。情けないよなー」タハハ

律「……けど、やっぱり言わないとな」



律「―――梓。私、いままで頼りない部長だったな、ごめん」
(―――――――ああ)

73: 2010/12/05(日) 21:33:04.99
律「なんだかんだで結局、新入部員も獲得できなかったし」
(ああ、この人は)


律「練習だって、部長の私がしっかりしないといけないのに、澪とか梓に怒られてばっかだった」
(いいかげんで、大ざっぱで、お調子者で)


律「部長らしいことなんか、何一つ出来なかった」
(なんも考えてないようにふるまって、みんなに甘えてるようで)


律「いっつも、いっつも。みんなに迷惑かけてた」
(でも、こんなにも優しくて、こんなに人を思いやれて)

74: 2010/12/05(日) 21:36:18.38
律「もうすぐ卒業して、言う機会が無くなっちゃうと思ったんだ。だから今、言わせてくれ」
(私の事、軽音部の事。しっかり考えてくれてた、しっかり引っ張ってってくれてた)




律「――――すまん、梓。 私のせいで、いろいろ迷惑かけたよ」
(ほんとに、姉のような人だ――――)

77: 2010/12/05(日) 21:41:06.87
梓「ほんと、律先輩はズルイです」ボソッ

律「…梓?」

梓「……そうですね。ならせっかくですから、私からも言いたいこと言わせてもらいます」

律「な、何だ?」ゴクリ

78: 2010/12/05(日) 21:43:11.07
梓「………律先輩はだらしなさすぎです!」

律「う」

梓「いっつもドラムは走り気味で、結局直らなかったですし!」

律「うっ」

梓「講堂の使用申請書は出し忘れるし!」

律「ううっ」

梓「調子に乗って変なことばっかりするし!」

律「うううっ…」

80: 2010/12/05(日) 21:48:28.27
梓「―――でも」

梓「律先輩も、私の大切な軽音部の先輩なんです」

梓「たまーにですけど、見直すとこもあったりしますし」

梓「軽音部がこんなにまとまれたのも、きっと律先輩が部長だったからです」


梓「私の方こそ今まで言えませんでしたけど、今言わせてもらいます」



梓「律先輩、今までありがとうございました」




梓「――――律先輩以上の部長として、来年もがんばりますから!」

82: 2010/12/05(日) 21:54:50.50
律「………くぅぅっ…………」グスッ

梓「律先輩?」

律「べ、別に泣いてなんかね―し!これはあれだ、ココロの汗だ!!」

梓「………そうですか、律先輩が言うならそうですよね」

律「グスッ……それと!『今までありがとうございました』、だけじゃないだろ?」

梓「え?」




律「…『これからもよろしくお願いします』、だろ?」

律「私らが卒業したって、放課後ティータイムは不滅だからな!嫌でも付き合ってもらうぞ!」

84: 2010/12/05(日) 21:59:43.50
梓「…はい、そうですよね。わかってますよ」

梓「それまで部長の座は預かっておきますから。そっちに行くまでに、今度こそ立派な部長になれるようになっててください」

梓「じゃないと、私がそのままやっちゃいますからね?」

律「ふっふっふ、私を甘く見るなよ!このりっちゃん、大学で華麗な変身を遂げてくれるわ!」



梓「まあその前に受からないとお話にならないんですけどね」
律「ぐはっ」

85: 2010/12/05(日) 22:03:05.59
梓「というか大丈夫なんですよね?受験勉強のほうは」

律「ふふふ、日々りっちゃんは進化するのさ!この前の模試では見事C判定だったぜ!」ババーン!

梓「それって……安心できないような……」


梓「……本当に大丈夫なんですよね?シャレになりませんよ?」

律「だーいじょうぶ!ワタクシ田井中律は本番に強い女!出来る女!」ドーン

梓「まったく……これだからお姉ちゃんは…」







律「へっ?」
梓「え?………はっ!」

86: 2010/12/05(日) 22:05:35.14
律「梓?今なんて?」

梓「な、なんでもないです!なんでも!」

律「いやーなんて言ったのか気になるな―。もう一回言ってくれよ、梓?」ニヤニヤ

梓「ううう……」ダラダラ

律「梓ー?」ニヤニヤ

88: 2010/12/05(日) 22:08:37.45
律「梓ちゅわーん?なんて言ったかもう一回聞きたいなー?」ニヤニヤ


梓「うううううう……」
梓「う、う、うるさい!バカ律!」

律「んなっ!先輩に向かって『バカ律』なんて言うとは!」

梓「うるさいです!律先輩なんてバカ律で十分です!」

律「また言ったなー!このやろー!」

梓「に゛ゃーーーーー!」

ワーワーギャーギャー……………

93: 2010/12/05(日) 22:14:17.67
後日

唯「りっちゃーん、一緒に帰ろー?」

紬「新しいアイスクリーム屋さんが近くに出来たらしいの♪」

澪「まったく……受験生なのに」

唯「といいつつも一番ノリノリな澪ちゃんであった」

澪「うっ。そ、そりゃあ私だって少しは興味あるし…」


律「あー悪いなみんな。ちょっと先約がな」

唯「えーそうなのー?」

紬「それは残念ねー……」

澪「も、もしかして彼氏が…」

律「バカ、そんなんじゃないって」

94: 2010/12/05(日) 22:16:28.27
律「とにかくすまん、またこんd 梓「律先輩、まだですかー?」


澪「ん?」
唯「おやおや?」
紬「まあまあまあまあまあ!」

律「と、とにかくそういうことだから!じゃ!また明日!」ダダダッ





唯「ほえー……まさかあずにゃんだったとは」

紬「やっぱり梓ちゃんはりっちゃんのことを…」

澪「いや、違うだろ」

95: 2010/12/05(日) 22:18:03.97
唯「ぼーっとしてていいの澪ちゃん!りっちゃんがとられちゃうよ?!」

澪「わ、私と律はそんな関係じゃない!」

紬「………と見せかけて実は~?」

澪「見せかけない!」

唯「からの~?」

澪「からもない!」






梓「律先輩ー?」
律「今行くー!」

97: 2010/12/05(日) 22:19:20.10
一応これで終わりです。本格的な律梓を書くつもりだったのですが……微妙?
ただ、律梓の仲の良さってのは唯憂とは違ってこんな感じなのかなー、と

とにかく保守・支援ありがとうございました


101: 2010/12/05(日) 22:21:43.07
続いてもいいよ

108: 2010/12/05(日) 22:47:13.36
うむ良かった。
乙。

121: 2010/12/05(日) 23:51:28.30
もうすぐ完成する予定です。

ただ、即興なのと律梓分すくなめで、かなりシリアスになっているのはご容赦を

126: 2010/12/06(月) 00:19:45.67
―――――――――――
3月1日、先輩達は無事卒業した。

4人とも第一志望の大学に合格し、今では立派に大学生である。
この前先輩方に会ったときなど、

「どう?あずにゃん!大学生オーラ出てるでしょ!」

などと、一年前と何も変わらない唯先輩から言われ、思わず笑ってしまったものだ。

127: 2010/12/06(月) 00:22:43.07
さて、軽音部の事だが―――――


結論から言うと、廃部することなく今も続いている。

あの後、憂と純が軽音部に入ってくれたからだ。
この二人には感謝してもしきれない。


そして次の新入生歓迎会ライブは完ぺきとはいえないながらも無事成功。新入部員も無事獲得できたというわけだ。

128: 2010/12/06(月) 00:25:15.74
―――今は2月。もう私たちは引退し、受験シーズンへとはいっていた。



…つぎは私の番か。そう考えると、すこし緊張する。


憂からは、
「梓ちゃんあんなに頑張ってたし、絶対受かるよ!」
と言われてしまったし、純など

「だーいじょうぶ!本番になるとできるようになるんだって!」
などと、どこかで聞いたことのあるようなことを言っていた。


ちなみに言うと、この二人もN女子大を受けるのである。


憂はともかく純は意外だったが、なんでも
「大学でこそ澪先輩の下でベースを教えてもらうんだ!」
などとすっかりその気になっていた。


まったく、面白い縁だな―――――――素直にそう思ったものである。

129: 2010/12/06(月) 00:30:21.73
そして――――――今日がその試験の合格発表日。


―――正直に言うと、合格発表を見ずに途中で帰ってしまおうかとさえ考えていた。
まあそれは憂と純に止められてしまったのだが。




駅から降り、大学に向かって歩き出す。

憂と純と三人で他愛もない話をしながら、私はいろいろな事を思い浮かべていた。



例えば、私によく抱きついてきた唯先輩の事。
例えば、クールなようでおちゃめな所のある澪先輩の事。
例えば、いつもぽわぽわしていて、かわいい一面のあるムギ先輩の事。


そして―――――――――――――

いいかげんで、大ざっぱな、われらが部長のことを。

130: 2010/12/06(月) 00:33:39.80
番号の書いてある板の前に立つ。



―――――あるのだろうか、受かっているのだろうか

―――――――――――また、あの頃のように、みんな一緒に居られるようになるのだろうか


脈動が速まる。口から心臓が出てきそうだ。緊張して動く事が出来ない。



「―――――――――あった!」
隣りから声が聞こえる。純だ。
「私もだよ!やったね純ちゃん!」
憂からも歓喜の声が漏れる。


その中で私は―――――



緊張のあまり、うつむいたまま、番号を探す事すら出来ていなかった。

131: 2010/12/06(月) 00:36:36.61
「だ、大丈夫?梓?」
心配する親友の声が聞こえる

「だいじょうぶだよ!梓ちゃん!頑張って!」
耳に声はとどく。だがまるで右から左へと流れ出ていっているようだ



―――――――もし、受かっていなかったら。
―――――――もし、落ちていたら。
―――――――もし、もう彼女たちと共に居られないのだとしたら―――――



だめだ、だめだ、だめだ

だめだだめだだめだだめだだめだ
だめだだめだだめだだめだだめだ
だめだだめだだめだだめだだめだだめだ――――――――――

132: 2010/12/06(月) 00:39:33.05



ひょい、と私の手から受験票が取られる




「へ?――――――」
思わず顔を上げる。そしてそこには―――――――



「○○番、○○番っと……」




「――――――なんだ、あるじゃん。なーにやってんだよ、梓」
いままでと変わらない、律先輩の顔があった。

133: 2010/12/06(月) 00:43:12.95
「え?律先ぱ、なにして、ていうか、番号、あった――――?」

「まーったく、相変わらず表情の硬い奴だな―。そうだよ、受かってるよ」
思わず呆然とする。


「やったねあずにゃん!」
いきなり、後ろから抱きつかれる。
「唯先輩!?」


「おめでとう、梓」
「おめでとう、梓ちゃん」

「澪先輩にムギ先輩まで!?」
一体、どうしてここに―――――?


「合格発表が今日だって知ってたからなー。憂ちゃんから何時頃見に来るのか、こっそり聞いてたんだよ」
ごめんね梓ちゃん?と憂の声がする。なるほど、そういうことだったのか

いや、いまはそれどころじゃない、そうじゃなくて。
わ、わたし、が、受かって、る―――――――――?


「まあとにかく―――――――」
「合格おめでとう、梓」

135: 2010/12/06(月) 00:46:40.83
その瞬間。
ピシリ、と、何かが崩れる音がした。

もはや、私の意志では止められない――――


「う、う」
「うあ、あ、――――――」



「―――うわあああああああああああああん!!!」
「あああああああああああ!!!」
「あああああああああああ!!!」

…ダムの決壊とでも表せばわかりやすいだろうか
周りにたくさんの人がいるなか、私は、泣いた。ただ、ただ、泣いた。


「おーよしよし、ホント甘えんぼさんだな、梓は」
「いくらでも泣いていいからね?あずにゃん」


二人の先輩から抱きつかれ、二人の先輩が見守り、そして、ふたりの親友からの拍手を受け、


――――――私、中野梓は、
――――――今日をもって。無事、大学生になりました――――――

136: 2010/12/06(月) 00:49:16.16
それから十数分たって、ようやく落ち着くことができた。
―――恥ずかしい姿を、見せてしまったものだ。
すこし、反省する。


でも後悔は、しない。


ただ、後で律先輩と純から、そのことをよく茶化されるようになった。

――――――やっぱり、少し、後悔した。

137: 2010/12/06(月) 00:51:33.98
その後、私たちは唯先輩が一人暮らしをしている場所へと行った。

なんでも、私たち三人の合格祝いを用意していたそうだ。
なんとも気が早いというか、なんというか。


部屋に入ったとき、唯先輩から

「へっへーん。どう?意外にキレイでしょ?」

と言われた。そうですね、と相槌をうつ



――――――――実は憂から、受験前にも関わらず、唯先輩の家の掃除を手伝った話を聞いているのは内緒である。

138: 2010/12/06(月) 00:55:10.05
その夜、私たちは大いに盛り上がった。


あれこれ質問してくる純に慌てて答える澪先輩とか。

憂が唯先輩に抱きついたかと思ったらいきなり泣き出したりだとか。

それらをいつもの微笑で眺めるムギ先輩だとか。

そして―――――いつも通り調子のいい律先輩だとか。





――――今ここは、まさしく。





軽音部で、軽音部だった――――――――

139: 2010/12/06(月) 00:59:36.86
そろそろ、と澪先輩が言って会はお開きになった。
とても遅い時間になっているのだと、その時気づく。


憂は唯先輩の家に泊まっていくそうだ。
まあ、憂らしいといえば憂らしい。


純のほうは、心配した親御さんが迎えに来るらしい。
良い親御さんだね、というと純は

「過保護すぎるのよ」、と文句を言っていた。

まあ、これも純らしい。




そして今私は―――――――律先輩と共に、駅へ向かっている。

「夜は危ないし、一応駅まで送ってくよ」

「いやいや、私一人で十分だよ。私に任せとけって」

と律先輩は、私の見送りをすると言ったのだった。

140: 2010/12/06(月) 01:03:12.39



さて、今の私には言うべき言葉がある。
それは、あの時の約束だ。



―――――彼女は立派な人になったのだろうか。
見たところ、あまり変化はない。多分、内側も変わってはいないのだろう。




――――――でも、
――――――その方が、律先輩らしいよね――――――


そう思って、律先輩の方へ顔を向ける。
去年のような愚はしない。言えることは、思ったときに言うものだ――――

141: 2010/12/06(月) 01:04:58.90


「律先輩」


「『これからもよろしくお願いします』」

142: 2010/12/06(月) 01:06:43.64
蛇足終了。なんかスレタイ何処行ったんだ?って感じになってしまった……
まあ反省はするけど、後悔はしてないです。

それではいままで付き合ってくれた人ありがと、おやすみなさい。

144: 2010/12/06(月) 01:08:20.09
やるじゃん

おやすみ

引用元: 梓「律先輩はおねえちゃん」