1: 2010/12/18(土) 11:23:14.30
軽音部部室

律「あー誰か来ないかなー…」ウズウズ

澪「ただ待ってても誰も来ないぞ…?」

律「じゃあ、澪が勧誘するか?フリフリのメイド服とか着てさ…」

澪「そ、それは嫌だ!」

律「やっぱ廃部かなぁ…」

澪「そうだな。」

律「なんだよ!その言い方!」

澪「仕方ないだろ。先輩たち全員卒業しちゃったんだし…」

4: 2010/12/18(土) 11:25:14.39
ガチャ

紬「すいませーん、合唱部ってここですか?」

律「澪…あの時の約束は嘘だったのかよ!」

澪「はぁ?」

律「私がドラムで、澪がベース。そんでバンドを組んで私たちがバンドのリズム隊になるって!」

紬「(リズム隊…?)」

律「本当に…本当に忘れちまったのかよ!」

澪「…?」

5: 2010/12/18(土) 11:26:30.31
紬「あのー…」

律「へ?」

澪「…」

紬「ここ、合唱部ですか…?」

律「いや、軽音部だけど?」

紬「そうですか~」

澪「すいません、うちの律が…」

律「あたしゃ悪ガキかよっ!」

紬「うふふ…(なんだか面白そう!)」ニコッ

6: 2010/12/18(土) 11:27:51.98
紬「よろしければ、私も軽音部に入部してもいいですか?」

澪「えっ!?」

律「もちろん、大歓迎だよ!!」

紬「ありがとう。これからよろしくお願いしますね。」ペコリ

澪「あ…はい、こちらこそよろしく。」ペコリ

律「よーし!確保―!!」ダキッ

澪「おいおい…」

7: 2010/12/18(土) 11:29:04.05
紬「そういえば自己紹介がまだでしたね、私は一年の中野紬といいます。」

律「私はスーパー美少女にして最強のドラマー!その名も…」

澪「あ、私は一年の秋山澪。こちらは幼馴染の田井中律です。」

紬「はい、澪さんと律さんですね。」

律「おおい!!」

8: 2010/12/18(土) 11:30:21.61
律「よし、あと一人だな。」

律「ちなみにムギはなんの楽器できんの?」

紬「ムギ?」

澪「こら、律!」

律「紬だからムギ。なんか呼びやすいでしょ?」

紬「はい、ムギって呼んでもいいですよ。(こんなあだ名初めて…)」

紬「キーボードを少々…小学校の頃はピアノコンクールで賞も取りました…あっ、自慢なんかしてすいません。」

律「別に気にしてないよ。すごいじゃん。」

10: 2010/12/18(土) 11:32:32.52
ガチャ

唯「あの~…」オドオド

律「!」

紬「かくほ~!」ダキッ

唯「ふぇ!?」

澪「(意外とアグレッシブなんだなぁ…)」

11: 2010/12/18(土) 11:34:33.61
唯加入後

澪「それで平沢さんはギターをやることになったのか。」

律「でも買いに行かなきゃいけないんだろ?」

唯「まったくの初心者なので迷惑をかけるかもしれません…」シュン

紬「私も初心者なので気にしなくていいですよ。」

律「…なーなー、敬語やめにしない?私ら全員同い年なんだからさ…」

澪「それもそうだな…」

律「私はりっちゃんって呼んでほしいな!最近は澪がそう呼んでくれないし。」

澪「呼び捨てでいいって言ったのお前だろ…」

紬「わかったわ。りっちゃん、澪ちゃん、唯ちゃん!」

澪「それじゃあ、ムギ、唯。これからよろしくな。」

唯「私も…りっちゃん、澪ちゃん、ムギちゃん!よろしくね。」

13: 2010/12/18(土) 11:37:51.39
グウウ~

唯「?」

律「あ」

澪「わ、私じゃないぞ!」フルフル

紬「私でした~」

律「ムギか~!」

14: 2010/12/18(土) 11:40:23.88
澪「昼食控えめにでもしたのか?」

紬「ううん、私昔から大食いなの。お母さんにも『紬はよく食べるわね。』って言われたし。」

唯「あ、これ食べる?」ヒョイ

澪「ポテチ?」

紬「ありがとう唯ちゃん。でもこれはみんなで食べましょ?」

唯「うん。」

律「飲み物は私が持ってる。」

15: 2010/12/18(土) 11:43:02.31
紬「こうしてみると、なんだかティータイムみたいね。」

律「ポテチとペットのお茶だけどな。」

唯「でも、みんなと食べると一人の時よりもすごく楽しいよ!」

紬「そうだ、これからもこうやって…みんなでお菓子と飲み物を持ち寄って、お茶会しましょ?」

唯「いいねいいね!」

澪「いいけど、ちゃんと練習もするんだぞ?」

律「わかってますって!」

16: 2010/12/18(土) 11:46:33.11
紬「そう言えば、りっちゃんと澪ちゃんの約束って?」

唯「約束?」ハテナ

律「ああ!説明がまだだったな。」

律「あれは小学校の頃、私たちが家族と一緒に山にハイキングに出かけた時のことだった!」

律「私たちは親とはぐれ、山道で迷ってしまった。」

律「そこに大きなクマがこう…グォォォォォォォーーーッっと!」ガオーッ

澪「ひいいい!」

律「絶体絶命の危機に陥った私たち!そこに現れたのはドラマーとべーシストの二人組!」

唯「おおう!」

律「彼らはベースとドラムスティックを華麗に操り、見事クマを撃退した!」シャキーン

18: 2010/12/18(土) 11:50:08.82
律「その時私たちは誓ったんだ。彼らのような弱きを助け、強きを挫く正義のドラマーとべーシストになろうと!」

紬「カッコいい…」キラキラ

律「なのに澪は…その約束を破った!当時、恐怖のあまりにお漏らしをして、『ママー!怖かったよー!』なんて泣きじゃくっていたあの澪がだ!」

律「今はといえば胸ばかりではなく、すっかり態度まででかくなって…」ウルウル

澪「…捏造…すんなあっ!」

ゴン、ズガッ、バキッ

律「あいてー!」

20: 2010/12/18(土) 11:54:14.76
澪「…今の話、全部嘘だから。本気にしないで。」

唯「…そうなの?」

律「いやぁ、これくらいのストーリーがあった方が盛り上がるから…なんて。」ナハハ

澪「それでも最後らへんは余計だ!…もう一発殴っていいか?」

律「たのむ!私の天才的頭脳をこれ以上傷つける…それだけはやめてくれ!」

澪「…はぁ、まったく…」

21: 2010/12/18(土) 11:56:42.35

唯「でも、二人は幼馴染だからこういう漫才できるんだよね?」

律「漫才…?ああ、まあ。」

唯「私も和ちゃんとこういう関係になれたらよかったなぁ~…」

澪「その和って人が迷惑すると思うぞ…?」

紬「やっぱり幼馴染っていいわ~」キラキラ

22: 2010/12/18(土) 11:59:25.24
中野家

紬「ただいま。」

梓「おかえり、ムギお姉ちゃん。」

紬「お父さんとお母さんは?」

梓「演奏会。置き手紙に書いてあったでしょ?」

紬「そうなの?じゃあ一緒に夕飯作りましょ。」

梓「わかった。」

23: 2010/12/18(土) 12:03:22.08
夕食

紬「この肉じゃが味付けがいまいちね。」マズイ

梓「そっちの味噌汁こそ味薄いじゃん…」

紬「…」

紬「そうそう、私軽音部に入ったの。」

梓「話そらさないでよ…でなんの楽器?」

紬「キーボードよ。ピアノコンクールで賞をとった腕前を存分に発揮するわ!」

梓「小学校の頃の話じゃん…」ヤレヤレ

ちょっとサイクリング行ってくる

26: 2010/12/18(土) 12:40:03.32
楽器店

唯「うわ~どのギターもカッコいい!」

澪「レフティフェアーは…やってないか。」ガックリ

唯「これなんかいいかも。よしギ―太、君に決めた!」ビシッ

律「ギ―太ってなんだよ…値段いくらだ?」

唯「えっと…15…万!?」

紬「高いわ!」

27: 2010/12/18(土) 12:44:49.32
部室

律「おい、どうすんだよ…?」

唯「」

紬「そうだ、みんなでバイトしましょ?」

澪「…場所は?あんまり目立つのは嫌だな…」

紬「この、交通量調査なんてどうかしら?これなら澪ちゃんでも大丈夫そうよ?」

律「良さそうだな。」

唯「私のために…みんなありがとう!」

28: 2010/12/18(土) 12:50:10.30
バイト終了

澪「結局5万か…私のせいで…」

唯「気にしないで。」

律「(貯金を崩すかな…)」ハァ

紬「(どうすれば…)」

29: 2010/12/18(土) 12:56:13.45
中野家

梓父「どうしたんだい、紬?」

紬「お金が欲しいの!」

梓父「いくらだい?」

紬「10万…」

梓「高っ!いったいなにがあったの?」

紬「友達が困っているの!」

梓「それって、詐欺?」

紬「違う!!大事な友達が本当に困っているの!」キッ

梓「怖っ…」

梓父「…わかった。深い理由は聞かない。たしかあれがあったはず…ちょっと待ってなさい。」

30: 2010/12/18(土) 13:02:02.75
数分後

梓父「あった、これだ。これを売ってお金に換えなさい。」

梓「それって、昔使ってたギターでしょ!?本当にいいの!?」

梓父「いいんだ、取っておいてもどうせ使わないだろうしな。」

紬「お父さん…本当にありがとう!」

梓「…」

31: 2010/12/18(土) 13:21:08.23
再び楽器屋

唯「ただいまギ―太~!」

澪「金額はどれぐらいかな…」

店員「ざっと…10万円ですね。」

律「いやったぁぁぁぁ!」

紬「ありがとうございます。それでは、こちらのギターをください。」

店員「15万になりますが。」

紬「はい。こちらで。」

店員「どうも。(…こんな感じの眉毛、どっかで見た事あるような?)」

唯「これからよろしくね、ギ―太!」

33: 2010/12/18(土) 13:31:22.67
唯の家で勉強会

憂「妹の平沢憂です。姉がいつもお世話になってます。」ペコ

和「私は唯の幼馴染の真鍋和。よろしくね。」

律「よろしく~」

憂「お茶持ってきます。」トテテ

紬「わざわざありがとう。」

34: 2010/12/18(土) 13:38:18.51
律「しかし、よくできた妹だよな~生まれる順番間違えたんじゃないか?」

唯「ぶ~!りっちゃんひどい!」プンプン

和「みんなそんなふうに言うのよね…」

紬「ほんと、うちのあの子にも爪の垢を煎じて飲ませてあげたいくらいだわ。」

澪「あれ?ムギって妹いたのか?」

紬「うん。あんまり可愛くないけど。」キッパリ

律「酷い言いようだな…」

唯「だめだよムギちゃん、妹とは仲良くしなきゃ。」

紬「うん、そうしてみる。」

澪「一人っ子は私だけか…」

律「ちなみに私は弟がいるぜ!」

和「そうなんだ、じゃあ私トイレ行くね。」

35: 2010/12/18(土) 13:43:26.10
ある日

澪「合宿をします!」

唯「いいねいいね!」

澪「遊びに行くわけじゃないんだぞ…?」

律「場所はどうするんだ?」

紬「私に任せて!」

36: 2010/12/18(土) 13:48:28.22
合宿!

唯「と、いうわけでムギちゃんのお父さんの知り合いが経営する合宿場にやって来ました!」

紬「お世話になります。」ペコリ

管理人「いやいや、ムギちゃんとそのお友達ならいつでも大歓迎だよ。」ハハハ

律「じゃあ、遊ぶか~!おっ、アーケードのゲーム機!」

澪「おい!」

37: 2010/12/18(土) 13:53:16.73
日が暮れて…

律「は~遊んだ遊んだ!」

唯「夕食も最高でしたな~」

澪「この後はしっかり練習だからな。」

梓「(あのお姉さん、美人だな…)」コソコソ

唯「!あの子、可愛い!ねえねえ、そこのキミ。」

梓「へ?(気付かれた!)」ビクッ

紬「梓!?なんでここにいるの?」

梓「ただ普通についてきただけだよ?別にいいじゃん。」

38: 2010/12/18(土) 14:01:56.32
律「おお~ムギの妹さんか~」

梓「初めまして、中野梓です。愚姉がいつも迷惑を…」

紬「こんな感じの生意気な妹だけどよろしくね。」

律「(仲悪そう…)」

唯「まあまあ…キミ、すごく可愛いね!」キラッ

梓「はい?」

39: 2010/12/18(土) 14:06:22.46
スタジオ

ジャジャ~ン!

唯「どうだった?」

梓「あんまりうまくないですね!」キッパリ

律「バッサリだ~!」ガクッ

紬「もう、またそんなこと言う…」

澪「ギターを見たけど、梓ちゃんもギタリストなんだ?」

梓「はい、使ってるのはムスタングです。」

澪「ムスタングって…確か上級者向けの…」

唯「すごーい!なんか炎とか出せそう!こう、ボッ!て感じで。」

律「それはマスタングだ。」

40: 2010/12/18(土) 14:12:42.55
唯「いい湯だった~」サッパリ

律「苦しゅうない。余は大変満足じゃ。」パタパタ

澪「そろそろ寝るか。」

唯「あれ、布団が足りないよ?」

紬「梓、一緒に寝ましょ。」

梓「え~、なんでよ?」

紬「仕方ないでしょ。」

43: 2010/12/18(土) 14:34:55.51
律「それじゃ、おやすみなさい…と見せかけてどりゃあ!」バッ

澪「うわっ!?」

律「まくら投げ大会!夜はこれからだ!」

唯「よーし、やぁ!」ヒュン

紬「やったわね~えい!」ポイ

梓「ちょっと!どこ投げてんの!?」

律「更にもいっちょ…」

澪「いい加減にしろ!」ゴチン

律「あいだい!」

澪「ほら、唯もムギも寝るぞ。」

唯「はーい…」

44: 2010/12/18(土) 14:38:26.39
翌朝

澪「よく眠れなかった…律のせいだ…」ウトウト

澪「…今何時だ?」

紬「いいおやじ?」

澪「いや、無理にボケなくていい…ムギも目が覚めたのか。」

紬「うん。」

澪「梓ちゃんは…まだ寝てるか。…ムギはなんで梓ちゃんと仲が悪いんだ?」

紬「私でもよく分からないわ。でもついついケンカ腰になっちゃうのよね…」シュン

梓「…zzz…ムギお姉ちゃん…」

澪「寝言?梓ちゃんは本当はムギに甘えたいんじゃないか…?」

紬「そうかもね。でも素直になれないの、お互いにね。」

澪「いつか、ちゃんと仲直りするんだぞ?」

紬「うん、いつかきっとね。」

45: 2010/12/18(土) 14:43:09.95
帰りの電車

唯「…むにゃむにゃ…zzz」

梓「…離れてください。」

律「しかし、姉妹なのに全然似てないな…澪の方がまだ似てるくらいだ。」

紬「そうよね…」

律「あ、悪い意味は特にないぞ?」

澪「でも、梓ちゃんは唯にとっての憂ちゃんとは違う意味でムギにとってのいい妹だと思う。」

紬「そうかしら?ありがと、澪ちゃん。」ニコ

46: 2010/12/18(土) 14:47:20.53
中野家

梓母「あなた…」

梓父「ああ、わかってる。紬にはいつか話さないといけない。」

梓母「梓もきっとショックを受けるはずよ…」

梓父「それでも絶対に話さないといけないんだ。」

梓母「そうね…」

梓父「でももう少しだけ待とう…」

47: 2010/12/18(土) 14:52:05.81
部室

梓「こんにちは~」

唯「梓ちゃん!よく来たね~」

澪「最近は一緒に練習することも多いな。」

律「もうすっかり軽音部の一員だな~」

紬「あの子…何となくうれしそう。」

さわ子「お邪魔するわよ~あら、この子は?」

紬「妹の梓です。」

48: 2010/12/18(土) 14:56:28.15
梓「初めまして。」

さわ子「あら、可愛い。猫耳なんか合いそうね…ちょっと付けてみて?」ヒョイ

梓「へ?」

さわ子「すごい似合ってるじゃない!それで『にゃあ~』って言ってみて!?」ワクワク

梓「こうですか?…にゃあ~」ニャ

さわ子「……グゥレイトオッッ!!」

澪「MMQ!!」

律「かわええ…」

紬「なんか、こう…抱きしめたくなる可愛さだわ…」

唯「よし!今日からあだ名はあずにゃんだよ!」

梓「あずにゃん!?」

唯「あ~ずにゃん!」ギュッ

梓「や、やめてください!」

さわ子「やっぱり軽音部の顧問やってよかったわ~!」

澪「(最初はあんなに嫌そうにしてたのに…)」

49: 2010/12/18(土) 15:00:29.63
学祭ライブ!

唯「軽音部です!」

梓「(やっぱり素人くさい…)」

澪「キミを見てるといつもハートDOKI☆DOKI♪」~♪

梓「(でも、なんかこの前よりも上達したって感じがする…)」

律「(ドラム)」~♪

梓「(そして何よりも、みんな楽しそう。)」

紬「(キーボード)」~♪

梓「(お姉ちゃんのキーボードもすごい似合ってる。…何となくだけど。)」

50: 2010/12/18(土) 15:06:58.87
唯「どうもありがとうございました!」

澪「…あっ!」ツルッ

ドテッ

律「澪!?」

紬「澪ちゃん!?」

梓「あ」

澪「いてて…」

梓「縞パン…」

澪「い、いやぁぁぁぁぁぁ!!!」

こうして、縞パン事件の後も月日は流れていった。
クリスマスにお正月。
紬と梓は親友たちと楽しい時間を過ごした。
二人を待ち受けている運命など知らずに…

51: 2010/12/18(土) 15:13:02.12
二月
桜高合格発表

憂「あった!あったよ、お姉ちゃん!」ピョンピョン

唯「うい!おめでとう!」ギュッ

梓「私も…あった!」グッ

紬「おめでとう、梓。」

梓「…ありがと。」

律「これで梓も正式な軽音部員だな!」

澪「そうだな。」

52: 2010/12/18(土) 15:22:40.11
新学期!

唯「私たちのクラスは…」

律「お、おんなじだ。」

紬「私も~」

澪「私だけ…違う。」ガックリ

唯「ドンマイ!」

和「私も澪と同じクラスね。これからよろしく。」

澪「うん、よろしく。(よかった~)」

53: 2010/12/18(土) 15:29:38.92
憂「私たちもおんなじクラスだね。」

梓「そうだね。」

純「お~っす、憂!」

梓「?」

憂「紹介するね。こちら中学の同級生の鈴木純ちゃん。それでこちらが中野梓ちゃん。」

純「どうも!よろしくね。」ビシッ

梓「こちらこそよろしく。」コク

54: 2010/12/18(土) 15:37:40.29
部室

律「では改めまして…軽音部にようこそ~!」パチパチパチ

梓「どうも、中野梓です。」ペコリ

唯「あずにゃんが来てくれてほんとにうれしいよ!」

澪「これからは梓も軽音部の仲間だな。」

紬「これから一緒に頑張ろ?」

梓「…うん。」

さわ子「(あの子にはどんなコスプレさせようかしら…)」

55: 2010/12/18(土) 15:47:58.14
ある日

梓「もう!ちゃんと練習してください!」プンプン

紬「まあまあ…これ、あの店のプリンよ?」

梓「お姉ちゃんもすぐそうやって甘やかす!」

唯「あずにゃんも食べてみなよ~」

梓「仕方ないですね…ちょっとだけなら…」パク

梓「お、おいしい!」

律「だろ~まだまだあるぜ?」ニヤニヤ

梓「いただきます。ってそうじゃなくて!」

澪「食べてからでも遅くはないぞ?」

梓「澪さんまで…」

56: 2010/12/18(土) 15:52:22.36
唯「ギ―太も休みたいって言ってるよ?」

梓「ギ―太って何ですか…?」

唯「ギ―太とは楽器店で運命的な出会いをしたんだ!今こうして私のそばにいるのもムギちゃんのお陰だよ。」

梓「(あの時、10万欲しいって言ってたのはそのために…)」

梓「(それであのお父さんのギターを売り払ってまで…)」

梓「でもそのギ―太はご主人様がサボってばっかだから練習したいって言ってますよ?」

澪「梓?」

梓「そうじゃないとせっかく10万で売り払われたギターが報われないって。」

律「おいおい…」

梓「使い古されて大事にされたギターに取って代わったのに主人がやる気ないせいでこのザマだと、嘆いていますよ?おまけにギ―太なんて変な名前までつけられて…」クドクド

唯「そんな、あずにゃん…」ウルウル

58: 2010/12/18(土) 15:58:08.41
紬「…」ワナワナ

梓「どうしたの?」

紬「梓…謝りなさい、唯ちゃんとギ―太に。」

梓「なんでよ!?私はただギターの事を考えて…」

パンッ!

梓「いたっ!!」

紬「謝りなさい!!」

62: 2010/12/18(土) 16:06:34.71
紬「確かにみんなで練習することは大事よ。でも唯ちゃんは今練習しなかった分だけ、家でちゃんと練習しているのよ。そうでなければ去年の学祭ライブのようなあんなすばらしい演奏はできないでしょ?」

梓「!」

紬「ギ―太もちゃんと使ってもらえて喜んでいると思うわ。お父さんのギターだってきっと、自分に取って代わったギ―太が大事にされてることを喜んでるはずよ。それに唯ちゃんはただサボってるわけじゃないわ。」

梓「え…?」

紬「みんなとコミュニケーションを図るためにこうやってお茶会をしているのよ。提案したのは私だけど、おやつをみんなと食べると一人の時よりもすごく楽しいって言ってくれたのは唯ちゃんなのよ?だからこうしてみんなでティータイムをしているの。」

梓「…」

63: 2010/12/18(土) 16:08:02.34
唯「ごめんねあずにゃん…これからは練習ももっとするよ。」ペコ

梓「いえ、私の方こそごめんなさい…唯さん、ギ―太、そしてムギおねぇちゃん…」グスッ

紬「私も手を出したり怒鳴ったりしてごめんね、梓。」

梓「うん…」

澪「収まったみたいだな。」

律「そんじゃ練習と行きますか!」

皆「おー!」

64: 2010/12/18(土) 16:17:26.15
マックスバーガー

憂「それで、お姉ちゃんがね~!」カクカクシカジカ

梓「憂はほんとに唯さんが大好きなんだね…」

憂「梓ちゃんも紬さんっていうすてきなお姉ちゃんがいるじゃない。」

梓「うん、まあ。悪くはないんだけど、もう一人お姉ちゃんがいるとすれば澪さんがいいかな…」

憂「そうなの?澪さん美人だからねぇ…」

65: 2010/12/18(土) 16:24:47.06
憂「お姉ちゃんは渡さないとして、律さんは?」

梓「あの人はいい加減で大雑把だからパス。」キッパリ

律「…ほほう。誰がいい加減で大雑把だって…?」ピキピキ

梓「え、ええっ!?」ビクッ

律「憂ちゃん、こんにちは。」ギリギリ

梓「ギギギ…苦しい…」

憂「こ、こんにちは律さん。」

68: 2010/12/18(土) 16:32:35.15
律「追加でデザートでもたのもうか。」

憂「はい!」

紬「いらっしゃいませ~!」キラリン

梓「お姉ちゃん!?」

紬「ここでバイト始めたの~」

律「おおう、しっかりやっとるかね!?」

紬「まいどおおきに~」

憂「このカップデザートを三つお願いします。」

紬「ありがとうございま~す、一緒にポテトはいかがですか~?」

梓「いらない。」

69: 2010/12/18(土) 16:35:17.75
また合宿!

唯「どうも、また来ました!」

律「今回こそゲーム完全制覇だ!」

澪「練習はどうした!?」

管理人「こんにちは。ムギちゃんと梓ちゃん、また背が伸びた気がするなぁ…」シミジミ

梓「そうですか…?」

紬「お世話になります。」ペコリ

72: 2010/12/18(土) 16:42:54.94
管理人「そうだ、近くに自然公園があるからそこで遊んでくるといいよ。育ちざかりの君たちにはゲームよりずっと健康的だよ?」

律「わかりました!よし、いっくぞー!」ダッシュ

澪「おい、待てったら!」タタタ

梓「やれやれ、結局この流れに…」ハァ

紬「梓は行かないの?」

梓「う…やってやるです!」

73: 2010/12/18(土) 16:45:22.61
日も暮れて…

律「しっかし、梓はよく焼けたな~」

梓「昔から日焼けしやすい体質のようで…お姉ちゃんは何ともないのに…」ジトッ

紬「しゃらんら~」

唯「あずにゃんが焦げた…こげにゃんだ!」

梓「…あーはいはい。」

澪「この後はしっかり練習だぞ?」チラッ

律「わかってるよん。」

74: 2010/12/18(土) 16:48:31.50
エントランス

紬「ただいま戻りました。」

管理人「お帰り。スタジオの方、準備できてるよ。梓ちゃんはすごく焼けたねぇ…」

梓「体質なんです!仕方ないです…」ウルウル

澪「ソファーに座ってるあの人はもしや…」

さわ子「あなたたち~よくも置いてけぼりにしてくれたわね~!」ヒック

唯「いや、予定があると思ってたのであえて呼びませんでした。(キリッ」

さわ子「ドタキャンされたのよ!ちくしょう!!」ガーッ

律「そんでずっと飲んだくれてたのかよ…」

76: 2010/12/18(土) 17:07:05.63
練習

律「よしっ、終わりっ!」

唯「お疲れ様、ギ―太。」

澪「梓のギターもすっかり馴染んできたな。」

梓「あ、はい。澪さんのベースもとってもうまかったです…///」

紬「梓、顔赤いわよ…?」

梓「うるさいな…///」

77: 2010/12/18(土) 17:10:23.45
浴場

律「よし、風呂だ風呂!」ザパーン

さわ子「あ~クラクラする…」フラフラ

澪「飲みすぎるからですよ…?」

律「ほら、唯!海坊主!」ブクブク

唯「わっ!」

紬「梓、背中洗うわね。」

梓「別にいいって。」

紬「遠慮しないの。」シャアア

梓「う、うん。」

紬「梓の背中…ちっちゃくて可愛い。」ゴシゴシ

梓「うるさいって…(気持ちいい…)」

78: 2010/12/18(土) 17:13:53.68


梓『ひっく…ひっく…ぐすっ…』

紬『どうしたの?』

梓『ムギおねぇちゃん…いぬ、こわいよ…』ウルウル

紬『よしよし、いいこいいこ。もうなかないで。』ナデナデ

梓『うん…』

紬『わたしがあずさをまもってあげるから。だって、わたしはあずさの「おねえちゃん」だからね!』フンス

梓『おねえちゃん、おねえちゃん…!』

紬『うふふ…』

79: 2010/12/18(土) 17:16:47.46




梓「はっ…」

梓「夢…?」

梓「目が覚めちゃったな…」

梓「トイレでも行こうかな…?」ウトウト

~♪~♪

梓「ん、こんな時間に何の音だろ…?」

唯「ふんふんふーん…」~♪

梓「唯さん…?(練習してたんだ…)」コソリ

81: 2010/12/18(土) 17:20:37.45
唯「あ、あずにゃん?」

梓「す、すいません!邪魔でしたか?」

唯「ううん全然。あずにゃんも一緒にやろうよ!」

梓「その…この間はすいません。酷いこと言ってしまって。こうやって陰で努力してることなんて全然知らないで…」シュン

唯「ううん、気にしてないよ。私も悪かったし。」

梓「よかった…今ギター持ってきますから、一緒にセッションしましょう!」

唯「うん!今夜は寝かさないぞ~子猫ちゃん!」ダキッ

梓「にゃっ!?」

84: 2010/12/18(土) 17:23:29.50

夏休み半ば

憂「梓ちゃん、焼けたね…」

梓「うん、体質でさ…」

純「おはよ~!って誰?」

梓「ひどっ!」

純「冗談冗談。」

憂「軽音部の合宿に行ってきたんだって。」

純「にしちゃあすんごい焼けてるけど、もしかして楽しく遊んだりもしたの…?」

梓「うん、お父さんの知り合いの人の合宿場でね。」

86: 2010/12/18(土) 17:28:36.04
純「あ~うらやましいうらやましい!」キーッ

憂「純ちゃんもジャズ研の合宿に行ったんでしょ?」

純「行ったよ!?行ったんだけどさ!厳しい先輩のせいで練習ばっかになって、ほとんど観光できなかったんだよ!」

憂「お疲れ様…」

梓「たしかジャズ研って競争率高いんでしょ?」

純「大人数だからね。ゆるゆるな軽音部がうらやましいよ…」ハァ

憂「純ちゃんもいつかは軽音部に入ってみない?ジャズ研と兼部でも構わないから…」

純「考えとく。」

87: 2010/12/18(土) 17:31:35.89
学祭二度目!

律「いよいよだな…」

澪「怖くない、怖くない…」ブルブル

紬「今度は梓もステージの上にいるのね。」

梓「なんか不思議だね…」

唯「何とか間に合ったよ…」ゼェゼェ

さわ子「お疲れ様。」

89: 2010/12/18(土) 17:36:59.44
ステージ

和「次は軽音部、放課後ティータイムによるバンド演奏です。」

唯「私たちは、放課後ティータイムです!ギターとボーカルの平沢唯です!」

澪「ベースの秋山澪です…」

律「部長でドラムの田井中律でっす!」

紬「キーボードの中野紬です。」

梓「サイドギターの中野梓です。」

唯「一曲目、行きまーす!」

律「1,2,3,4!」ジャジャーン

90: 2010/12/18(土) 17:41:42.42
彼女たちの演奏は聴く者達の心を魅了した。
決して上手とは言えないが、彼女たちの心がこもったその演奏は人々を楽しませるには十分すぎるものだった。
彼女たちは一生懸命、そして心から楽しそうに自らの楽器を目いっぱい演奏した。


?「実に生き生きとしているな…」

?「む、あのキーボードの人…」

?「あの眉毛…間違いない。」

?「あのお方は…」

92: 2010/12/18(土) 17:45:27.23
アメリカ某所

プルルル…

?『ん、電話か。』

斎藤『旦那さま、斎藤でございます。』

?『斎藤か。確か日本に出張中だったな。で、どうしたというのだ?』

斎藤『実は…』

94: 2010/12/18(土) 17:53:06.09
中野家

紬「ごちそうさま~」

梓「お腹いっぱい!」

梓父「紬、梓。ちょっといいかな?」

梓「いいけど?」

梓父「大事な話があるんだ。」

梓母「落ち着いて聞いてちょうだい…」

紬「うん…」

96: 2010/12/18(土) 17:58:16.88



梓「お姉ちゃんが…ほんとの子供じゃない…?」

紬「…」アゼン

梓「そんなまさか~エイプリルフールにはまだ早いよ?」ハハハ

梓父「いや、本当だ。」

梓母「ショックかもしれないけど、事実よ。」

梓「そんな、そんなことって…」

梓父「いつかは話さなければいけないと思っていた。そして、その時が来たんだ。」

97: 2010/12/18(土) 18:02:38.00
17年前、とある山中

『日本に逃げればさすがにあいつらは追ってこないだろ?』ハアハア

『ああ、これで寿吹グループもおしまいだ。』ニヤリ

『ざまあみろ、俺たちをコケにした罰があたったんだよ!』ギャハハ

紬『あ~ん、あ~ん!』

『こいつ、どうする?』

『身代金も存分にふんだくったことだし、さっさと始末するか。』

『えっと、ナイフは…っと』ガサゴソ

98: 2010/12/18(土) 18:06:28.59
『何をしている?』

『誰だ!』

『警察、とでも言っておこうか。』スッ

『聞かれたか!?生きて返すな!』

バキッ

『ぐえっ!』

『この子を貴様らの好きにはさせん!』

紬『えーん!!』

99: 2010/12/18(土) 18:10:16.95
『くそっ、これでも食らえ!』スチャ

ダン!

『か…はっ!だが赤ん坊には手を出させん!』ダッ

『おい、飛び降りやがったぞ…?』

『追いかけるか?』

『いや、逃げた方がいい。どうせあいつもガキものたれ氏ぬだろう。騒ぎを大きくしたらこっちがヤバいことになる。』

『そうだな…』スタスタ

100: 2010/12/18(土) 18:14:28.09
梓父『そろそろ、子供が欲しいな…』

梓母『そうね…でもなかなかできないのよね…あ、あれ!』

『ううう…』

梓父『すごい血だ!』

『どうかこの子を…』バタッ

梓母『赤ん坊…?』

紬『うぇぇぇぇ!』

『』

梓父『大丈夫ですか!?…駄目だ。もう氏んでいる。』

梓母『この子は私たちが育てましょう…』

102: 2010/12/18(土) 18:18:36.34



梓父「そして私たちは紬、お前を育てることにしたんだ。」

梓父「今思えばちゃんと親を探すべきだったかもしれない。でも子どもができなかった私たちはそのままお前を育ててしまった。」

梓母「今まで騙していて本当にごめんなさい。私たちはあなたの親なんかじゃないの。」

紬「そんなことない!!お父さんとお母さんは私の立派な両親よ!」

梓父「紬…」

103: 2010/12/18(土) 18:21:04.98

紬「なんとなくだけど、わかってた。私はお父さんとお母さん、それに梓とはどこか違うんだって。」

梓「そんな、嘘でしょ、嘘なんでしょ!?」ポロポロ

梓母「それから一年たって梓が生まれたわね…」

梓父「お前は紬に本当に懐いていたね。まるで本当の姉妹のように…」

梓「違う!違う!ムギお姉ちゃんは私の本当のお姉ちゃんなんだよ!?」

梓母「梓…」

104: 2010/12/18(土) 18:24:53.98
ブロロロ…

紬「車…?」

梓母「何で家の前に…?」

梓父「外に出てみよう。」

中野家の前には大きな一台のリムジンが止まっていた

梓母「…大きなリムジンね。」

梓父「あ、ドアが開いた。」

105: 2010/12/18(土) 18:26:55.29
ガチャ

斎藤「失礼します。私は寿吹家の執事の斎藤というものでございます。」ペコリ

梓父「あ、はい。」

斎藤「紬様ですね?」

紬「はい?」

斎藤「私どもの主人が是非あなたにお会いしたいそうです。よろしければ、ご同行願えますか?」

梓「そんな…」

紬「きっとその人は私を生んでくれた人たち…わかりました、行きます。」

梓「え…!?」

107: 2010/12/18(土) 18:31:29.17
梓父「後…私たちから頼みがあります。」

斎藤「頼み…ですか?」

梓父「紬をあなた方の家で育ててやってください。」

紬「へ?」

梓母「お願いします。どうかあの子を本来の居場所に帰してあげてください。」

梓「なんで!?」

斎藤「わかりました。旦那様や紬様とご相談して決めましょう…」

斎藤「では紬様、どうぞこちらに。」

紬「はい。」

ガチャ、ブロロロ…

108: 2010/12/18(土) 18:34:21.24

梓父「…これでいいんだよ。」

梓母「…そうね。寿吹家があの子の本来の居場所ですもの。」

梓「…ううっ…」グスッ

梓「やだあっ!ムギお姉ちゃん、行っちゃやだぁ…!」ポロポロ

梓母「梓…」

梓「だって、だって!」

梓父「紬は本来の家庭に戻るべきだよ…」

梓「こんなの…私は認めない!」

109: 2010/12/18(土) 18:36:58.30
憂「あの~お邪魔します。ってどうしたんですか?」ハテナ

梓「お姉ちゃんが…ムギお姉ちゃんがぁ…!!」

憂「梓ちゃん!?(もしかして、誘拐!?)」

憂「急いで知らせないと!」

プルルル…

憂「もしもし…お姉ちゃん!?」

唯「うい?」

憂「紬さんが…!」

110: 2010/12/18(土) 18:39:10.72
寿吹家別荘

紬「すごい豪華なお屋敷…」

斎藤「これはつい最近購入なされた別荘です。旦那様が他でもないあなた様をお迎えするために。」

紬「私のために…?」

斎藤「そうですとも。」

紬「あの絵…男の人と女の人、それに赤ん坊…」

斎藤「これは、旦那様と奥方様ですな。」

紬「それじゃあ、この赤ん坊は…私?」

斎藤「その通りです。」

113: 2010/12/18(土) 18:43:14.83
律「さわちゃん!もっとスピード出ないのかよ!?」

さわ子「もう十分出してるわよ!」

澪「ムギが乗ったのはどんな車なんだ?」

梓「黒の…リムジンです…」

澪「黒のリムジンらしい!」

律「あの前方のやつか…待ってろムギ!」

唯「どうしてムギちゃんはリムジンに乗って行っちゃったの?」

梓「…お姉ちゃん…お姉ちゃん…!」グスッ

唯「わかった。深くは聞かないよ。」

114: 2010/12/18(土) 18:47:18.74

斎藤「こちらです。旦那様と奥方様がお待ちですよ。」

コンコン

斎藤「斎藤です。紬様をお連れいたしました。」

?「よし、入れ。」

ガチャ

ドアの向こうには優しそうな女性と、立派な眉毛の男性が席に腰かけていた。
紬は確信した。この人たちこそが私を産んでくれた正真正銘の本当の両親なのだと。

115: 2010/12/18(土) 18:51:16.84
紬父「紬、か…」

紬母「本当に素晴らしい名前をもらったのね…」

紬「あ、あ…」

紬父「会いたかったぞ…わが娘よ!」

紬母「こっちにいらっしゃい。」

紬「お父さん、お母さん!」ギュッ

紬父「おーよしよし。」

紬母「本当に立派になって…」ウルウル

斎藤「(感動の再会…ですな。)」

116: 2010/12/18(土) 18:54:16.66
澪「お願いします!中に入れてください!」

守衛「許可がないと、ちょっと難しいねぇ…」

律「こうなったら強行突破しかないか…」

さわ子「あまり騒ぎを大きくしないで…」

唯「私たち、怪しい者じゃありません!別に危険なものも持っていませんよ!」

梓「ムギお姉ちゃん…行かないで…」ポロポロ

律「友達が中にいるんです!」

守衛「仕方ないねぇ…その代わり、できるだけ大人しくしてね?」

唯「やったあ!」

117: 2010/12/18(土) 18:57:33.18
斎藤「旦那様、お取り込み中すみません。紬様のご両親方からこのようなお話が…」カクカク

紬父「ふむ…」シカジカ

紬父「紬。」

紬「はい。」

紬父「お前のご両親方から頼まれた話がある。」

紬「お父さんお母さんの、頼み…ですか?(さっきの話かしら?)」

119: 2010/12/18(土) 19:01:28.70
紬父「私たちの家、琴吹家に戻らないか?」

紬「え…?(やっぱり…!)」

斎藤「あなた様のご両親方は、あなたに本来の家庭で育ってほしいとのことです。」

紬父「そうなれば、高校は今までどおりに通えるが、大学はアメリカに留学することになる。」

紬「留学…?」

紬父「琴吹家の教育方針だからな。将来の琴吹家の後継ぎにふさわしい教育を受けてもらわねばならん。」

紬「私は、『琴吹紬』になるの…?」

121: 2010/12/18(土) 19:03:52.83
紬母「もちろん、強制はしないわ。」

紬父「お前の人生だ。じっくり考えて決めるといい…」

紬「お断りします。」

紬父「紬?」

122: 2010/12/18(土) 19:06:30.34
紬「私は本来、『琴吹紬』として生きるべきなのかもしれません。」

紬「でも、私はこれまで通り『中野紬』として生きていきます…いえ、『中野紬』として生きたいんです!」

紬母「…」

紬「例え、その結果として産みの親と育ての親の両方を裏切ることになったとしても。」

斎藤「紬様…」

紬「私は、『放課後ティータイム』の一員で、あの子…梓の」

紬「『お姉ちゃん』ですから」

紬父「そうか…」

紬「愚かな娘の、最初で最後の我儘をお許しください。」

紬は心の中のありったけの思いを、自らの実の両親に伝えた。

123: 2010/12/18(土) 19:08:47.67
紬父「…そう言うと思っていたよ。」

紬「え?」

紬父「私たちは一目お前の顔を見れただけ、それで満足だ。第一私たちはお前の人生に干渉する権利なんて持っていない。」

紬母「だからあなたは私たちの事なんて気にしないで、これまでどおりに自由に生きていってちょうだい。」

紬「でも、それじゃあ後継ぎの方は…?」

紬父「養子のものにでも継がせればよい。実を言うと、お前にはあの穢れた世界に入って欲しくなかったんだ。」

紬「お父さん、お母さん…!」

124: 2010/12/18(土) 19:13:30.21
ガチャ

斎藤「何ですか!?」

律「ムギ!!」

澪「何があったかは知らないけど、私たちはずっとお前の友達だ!」

使用人「ちょっと、君たち!大人しくしてって…」オロオロ

紬「みんな…?」

唯「ムギちゃん…お金の事なら私たちに任せてよ!ギ―太の件で恩返しをしたいし!」キッパリ

梓「だから、ムギお姉ちゃんを返して!!」

紬父「おおう…」

紬母「うふふ、素敵なお友達ね。」

紬「…///」カァーッ

これから夕食なのですみませんが保守お願いします。

125: 2010/12/18(土) 19:17:49.52
七時半から夕食なのでできるだけ投下します

紬、事情を説明

唯「すいませんでした!」ペコリ

澪「お騒がせして申し訳ありませんでした!ほら、律も…」

律「私たち、てっきりムギが借金のカタに誘拐されたとばかり…」ショボン

紬「みんな、心配してくれてありがとう。梓!だめじゃない、ちゃんと説明しなきゃ。」

梓「だって…お姉ちゃんがもう帰ってこなくなるかもしれないって思って…」グスッ

紬「はいはい、もう泣かないの。梓もみんなに謝らないとだめでしょ?」ギュッ

梓「うん…みなさん、迷惑をかけてどうもすいませんでした…」ペコ

126: 2010/12/18(土) 19:20:14.73
紬母「紬、私たちからも最初で最後のお願い、いいかしら?」

紬「はい?」

紬母「お友達や梓ちゃんとこれからも仲良くしてね。」

紬「はい!」

紬父「こんなに素晴らしい友達と姉思いの妹がいて、本当に幸せそうだな…私は今とても嬉しいぞー!!」ブワッ

紬「お、お父さん!?」

斎藤「ほっほっほ、子供の幸せを願わない親がこの世のどこにいましょうか。」

紬父「我々がもし日本に立ち寄った際にはまた遊びに来てくれ。もちろん、お友達も連れてな。」

紬「わかりました!」



さわ子「遅いわねぇ…」

さわ子「(あ、よく見たらこの人私のタイプかも。)」チラッ

守衛「…どうかしましたか?」

127: 2010/12/18(土) 19:22:07.84
後日、琴吹家別荘

梓「スゴイ!ほんとにこれ全部食べていいの!?」

紬「もちろん♪おかわりも自由だからね。」

澪「高級料理ばかりのバイキング…なんかすごく申し訳ない気分だ。」

唯「りっちゃん隊員!あれもこれもおいしそうですな!」ワクワク

律「おう!当然全部いただくまでよ!」ビシッ

さわ子「実は私たち、付き合うことにしたの♪」

守衛「どうも…」ペコリ

和「憂…話の流れがさっぱり理解できないんだけど。」

憂「私も…」

純「梓に誘われてついてきてしまったが…庶民の私が口にするのもおこがましい料理の数々…」ガクブル

128: 2010/12/18(土) 19:23:11.35
梓母「…あなた方には大変申し訳ないことをしました…」

梓父「人様の子供を勝手に育てて…」

紬父「とんでもない!むしろ、私達が礼をしたいくらいですよ!」

紬母「紬が行方不明になった時には、『あの子はもう助からない』と思っていました。でもあの子は無事で、しかもこんなに立派に育っているじゃないですか!」

梓父「はい…でも、紬を助けたのは私たちではありません。私たちではなくマフィアからあの子を守って氏んだあの人に感謝するべきです。」

梓母「結局身元不明ということでそのままあの子を預かって…」

紬母「過ぎた事は仕方がありません。それにあなたたちも紬の命の恩人じゃないですか。」

紬父「そうだな。私たちも今度、わが娘の命の恩人の墓参りに行くとしよう。」

129: 2010/12/18(土) 19:24:31.27
紬母「これからもあの子をよろしくお願いしますね。」

梓父「はい、わかりました。」

紬父「さあ、堅苦しい話はここまで!今日は同じ娘の親同士、飲み明かそうじゃありませんか!おい、斎藤!あれを持ってきてくれ。」

斎藤「はっ、了解しました。」

梓母「それでは、お言葉に甘えさせていただきます。」

紬母「あの人はこう見えても大酒飲みですから、気を付けてくださいね…」

梓父「はい…?」





こうして彼女はこれからも「中野紬」として生きていくことを決めた。
産みの親と育ての親の両方に、大切な友達、そして最愛の妹に応援されて。
この先にどんな困難が待ち受けているかは分からない。
だがしかし、彼女なら何があってもきっと乗り越えていけるだろう。
知り合った人々の思いを「紬」ぎながら。

おしまい!

夕食後、おまけを投下します
すみませんが保守をお願いします

130: 2010/12/18(土) 19:25:49.47

いい話だった

133: 2010/12/18(土) 20:15:01.52
おまけ!

三年ニ組

三花「ね~ね~、ムギちゃんってたしか妹いたよね?」

紬「うん、あんまり可愛くないけど。」

慶子「またまた~!素直じゃないな~!」

春子「あたし、一人っ子だからほんとにうらやましいよ。」

姫子「梓ちゃん…だっけ?」

唯「うん、あずにゃん!すっごく可愛いんだよ!」

いちご「唯に気に入られてるのね…」ハァ

134: 2010/12/18(土) 20:19:26.25
二年一組

純「いいな~梓も憂もお姉ちゃんがいて、うらやましいな~」

梓「別にうらやましくないよ、すんごく厚かましいし…」

憂「でもほんとは紬さんの事、すっごく大切な存在って思ってるでしょ?」

梓「うん…」

純「素直じゃないな~」ウリウリ

梓「こら~撫でるな~!」

135: 2010/12/18(土) 20:25:16.72
憂「ところで、その風呂敷は?」

梓「ああ、これ?お姉ちゃんが最近お菓子を作ってくれるから、それを見習って私も作ってみたの。」

憂「紬さんのお菓子、美味しいもんね。」

梓「ちょっとだけなら食べてみてもいいよ。」

純「過度な期待はしないでいただきます。」

梓「失礼な!ちゃんとお姉ちゃんに味見してもらったんだから!」

純「お姉ちゃんは今生きてるよね…?」

梓「…殴るよ?」

136: 2010/12/18(土) 20:30:45.61
放課後

ガチャ

梓「こんにちは~」

梓「…あれ、誰もいない。」

梓「と思ったら何か出ている…」

紬「」zzz

梓「お姉ちゃん…風邪引くよ…?」

137: 2010/12/18(土) 20:34:26.83
紬「ん…梓、おはよう。今何時?」ムニャムニャ

梓「おはようじゃないでしょ。三時半だよ?」

紬「ここ、西日が差しこんで気持ちいいのよね…知らないうちに寝ちゃってた。」

梓「で、なんでそんな所にいたの?」

紬「それはね…誰かが来たら驚かせようと思ってたの!」キリッ

梓「寝てどうすんの…」

紬「わーっ!おーっ!」

梓「もう遅いって…」

138: 2010/12/18(土) 20:38:22.12
紬「そう言えば、私は弾いたことないけどギターってやっぱり難しいんでしょ?お父さんも最初は悪戦苦闘してたし…」

梓「まぁね。ちょっと弾いてみる?」

紬「いいの?」

梓「でも壊さないでね?」

紬「わかってるって。」

梓「ストラップを首にかけて…なんか似合ってる?」

紬「そう?えへへ…///」

紬「なんか満足…はい、ありがと。」

梓「弾かないの…?」

139: 2010/12/18(土) 20:46:42.15
梓「Fのコードは人差し指で全部の弦を押さえて…」

紬「…」ペロン、ペコペコン

梓「必氏だなぁ…なんか可愛いかも。」

紬「可愛い?」

梓「あ、なんでもないなんでもない!」

紬「指が痛い…」

梓「大丈夫!?」

紬「ありがとう。やっぱり難しいのね。お父さん、お母さんの苦労がわかった気がするわ。」

梓「私の苦労は?」

紬「あっ、もちろん梓もスゴイわよ!」

紬「いつもいつも指の痛みに耐えて演奏してるんだもの。」

梓「ちょっと違う気が…」

140: 2010/12/18(土) 20:56:00.99
紬「はい、お茶とお菓子。」

梓「ありがと。私の作ったお菓子はみんな来た時に渡すね。」

紬「うん、楽しみね。」

梓「お姉ちゃん、つまみ食いした?」

紬「な、なんでわかるの!?」

梓「ほっぺにクリームついてるじゃん…ほんと、昔っから変わんないよね…子どもの頃はしょっちゅうお母さんに怒られておやつ抜きにされてたし…」ハァ

紬「ムッ…そういう梓だって小学校五年生ぐらいまでおねしょしてたじゃない!」

141: 2010/12/18(土) 21:03:31.95
梓「それは関係ないでしょ!?…はっ!?」

唯・律・澪「…」ジーッ

梓「そこ!何コソコソしてるんですかーっ!!」ガラッ

唯・律・澪「わーっ!!」

ドサドサッ

梓「全くもう…」

律「いや、姉妹の仲むつまじい触れ合いを観賞しようと。」

唯「それよりあずにゃん、小学校五年生ぐらいまでおねしょしてたってほんと?」

梓「わーっ、わーっ!!?」

142: 2010/12/18(土) 21:10:26.02
唯「別にバカにしたりしないよ?」

梓「もうその話はナシ!練習ですよ!」

紬「お菓子は?」

梓「そんなのあとあと!お姉ちゃんも始めるよ!」

澪「やれやれ…それじゃあ始めるか。」

律「よし、1,2,3,4!」チッチッチッチッ




今度こそおしまい!

引用元: 紬「『お姉ちゃん』ですから」