1: 2021/10/29(金) 18:14:04.594
とある高校。
その少女はいつも右目に眼帯をしていた。
眼帯少女「……」
「厨二病なんじゃねーの?」ヒソヒソ
「もしかしたら何か凄い能力持ってたり……」ヒソヒソ
「いつも一人だし、話しかけにくいよな」ヒソヒソ
いつしか彼女は学園七不思議の一つとして認識されるようになった。
(なお、残り六つは未定である)
その少女はいつも右目に眼帯をしていた。
眼帯少女「……」
「厨二病なんじゃねーの?」ヒソヒソ
「もしかしたら何か凄い能力持ってたり……」ヒソヒソ
「いつも一人だし、話しかけにくいよな」ヒソヒソ
いつしか彼女は学園七不思議の一つとして認識されるようになった。
(なお、残り六つは未定である)
2: 2021/10/29(金) 18:17:08.130
男「あのー……」
眼帯少女「はい」
「あいついったぞ!」
「マジ!?」
「すげえ! 頑張れ!」
男「なんでいつも眼帯してるの?」
眼帯少女「愚地独歩に憧れてて……」
男「オロチドッポ?」
眼帯少女「はい」
「あいついったぞ!」
「マジ!?」
「すげえ! 頑張れ!」
男「なんでいつも眼帯してるの?」
眼帯少女「愚地独歩に憧れてて……」
男「オロチドッポ?」
3: 2021/10/29(金) 18:20:16.154
男「なにそれ?」
眼帯少女「格闘漫画≪グラップラー刃牙シリーズ≫に出てくる空手家です」
男「聞いたことあるような……」
眼帯少女「とってもかっこいいんですよ、独歩! だから私もつい眼帯にしちゃって……」
男「は、はぁ(ようするにコスプレみたいなもんか)」
眼帯少女「あ、ひょっとして興味あります?」
男「いや、あまり……」
眼帯少女「もし、よかったら読んでみませんか? バキシリーズ」
男「うん、どうしようかな……」
眼帯少女「ぜひ読みましょう!」
男「よ、読もうかな」
男(なんだこの子……後退のネジがないのか……)
眼帯少女「格闘漫画≪グラップラー刃牙シリーズ≫に出てくる空手家です」
男「聞いたことあるような……」
眼帯少女「とってもかっこいいんですよ、独歩! だから私もつい眼帯にしちゃって……」
男「は、はぁ(ようするにコスプレみたいなもんか)」
眼帯少女「あ、ひょっとして興味あります?」
男「いや、あまり……」
眼帯少女「もし、よかったら読んでみませんか? バキシリーズ」
男「うん、どうしようかな……」
眼帯少女「ぜひ読みましょう!」
男「よ、読もうかな」
男(なんだこの子……後退のネジがないのか……)
4: 2021/10/29(金) 18:23:24.347
放課後――
眼帯少女「バキにはいくつかシリーズがありましてね」
男「うん」
眼帯少女「グラップラー刃牙、バキ、範馬刃牙、刃牙道、今やってるバキ道……。他にも外伝や小説も……」
男(そんなにあるのかよ)
眼帯少女「全部貸しますから、とりあえずグラップラー刃牙から読むのをオススメします」
男「はぁ……」
眼帯少女「少しずつ読んでいって下さい」
男「うん……分かった」
眼帯少女「バキにはいくつかシリーズがありましてね」
男「うん」
眼帯少女「グラップラー刃牙、バキ、範馬刃牙、刃牙道、今やってるバキ道……。他にも外伝や小説も……」
男(そんなにあるのかよ)
眼帯少女「全部貸しますから、とりあえずグラップラー刃牙から読むのをオススメします」
男「はぁ……」
眼帯少女「少しずつ読んでいって下さい」
男「うん……分かった」
5: 2021/10/29(金) 18:27:23.373
しばらくして――
男「読み終わったよ」
眼帯少女「どうでした?」
男「面白かったよ。夢中になって読んじゃった」
眼帯少女「ホントですか! よかった! 愚地独歩はどうでしたか?」
男「かっこよかったよ。最初から眼帯だったわけじゃないんだね」
眼帯少女「そうなんです。範馬勇次郎に目を潰されてしまって」
男「渋川との戦いはどっちが勝つか最後のページまで分からなかったし」
男「ドリアン戦で催眠術にかかりながら戦うところは惚れ惚れしたよ」
男「最近も猛剣に勝ったしね」
眼帯少女「そうでしょう、そうでしょう」
男(アライJrにリベンジするところはえげつなくて引いたけど、いわないでおこう)
男「読み終わったよ」
眼帯少女「どうでした?」
男「面白かったよ。夢中になって読んじゃった」
眼帯少女「ホントですか! よかった! 愚地独歩はどうでしたか?」
男「かっこよかったよ。最初から眼帯だったわけじゃないんだね」
眼帯少女「そうなんです。範馬勇次郎に目を潰されてしまって」
男「渋川との戦いはどっちが勝つか最後のページまで分からなかったし」
男「ドリアン戦で催眠術にかかりながら戦うところは惚れ惚れしたよ」
男「最近も猛剣に勝ったしね」
眼帯少女「そうでしょう、そうでしょう」
男(アライJrにリベンジするところはえげつなくて引いたけど、いわないでおこう)
6: 2021/10/29(金) 18:30:28.873
眼帯少女「一番好きなキャラは?」
男「花山薫かなぁ」
眼帯少女「おお、そうきましたか」
男「これといった格闘技をやらず、拳と握力で戦っていく生き様が熱いよね」
眼帯少女「分かります。特にスペック戦はベストバウトですよね」
男「こんな面白い漫画を読めて楽しかったよ。どうもありがとう」
眼帯少女「いえいえ」
男「ただ……」
眼帯少女「ただ?」
男「バキ以降、結構ストーリーが行きあたりばったりなような……」
眼帯少女「そ、そんなことありませんっ!」
男(図星か……)
男「花山薫かなぁ」
眼帯少女「おお、そうきましたか」
男「これといった格闘技をやらず、拳と握力で戦っていく生き様が熱いよね」
眼帯少女「分かります。特にスペック戦はベストバウトですよね」
男「こんな面白い漫画を読めて楽しかったよ。どうもありがとう」
眼帯少女「いえいえ」
男「ただ……」
眼帯少女「ただ?」
男「バキ以降、結構ストーリーが行きあたりばったりなような……」
眼帯少女「そ、そんなことありませんっ!」
男(図星か……)
7: 2021/10/29(金) 18:33:17.046
眼帯少女「嬉しいです。同じ趣味の仲間ができて」
男「そうかい?」
眼帯少女「はい、中学でも友達の女子にグラップラー刃牙読んでる子はいなくて」
男(まあ、格闘漫画を読む女子中学生なんてレアだろう)
眼帯少女「よかったら私たち、お友達になりませんか?」
男「うん、いいよ」
眼帯少女「ありがとうございます!」
眼帯少女「さっそく今度の日曜日、私に付き合ってもらえないでしょうか」
男「もちろんだよ」
男(この子に話しかけたのは興味本位だったけど、あれよあれよと仲良くなってしまった)
男「そうかい?」
眼帯少女「はい、中学でも友達の女子にグラップラー刃牙読んでる子はいなくて」
男(まあ、格闘漫画を読む女子中学生なんてレアだろう)
眼帯少女「よかったら私たち、お友達になりませんか?」
男「うん、いいよ」
眼帯少女「ありがとうございます!」
眼帯少女「さっそく今度の日曜日、私に付き合ってもらえないでしょうか」
男「もちろんだよ」
男(この子に話しかけたのは興味本位だったけど、あれよあれよと仲良くなってしまった)
8: 2021/10/29(金) 18:36:43.836
―家―
男「ただいまー」
父「おう、お帰り」
母「あら? なんだかご機嫌ね」
男「え、そうかな?」
母「うん、親子なんだもの。分かるわよ」
男「お母さんには参ったな」
父「よし、ご機嫌ついでに店手伝え!」
男「はーい」
男「ただいまー」
父「おう、お帰り」
母「あら? なんだかご機嫌ね」
男「え、そうかな?」
母「うん、親子なんだもの。分かるわよ」
男「お母さんには参ったな」
父「よし、ご機嫌ついでに店手伝え!」
男「はーい」
10: 2021/10/29(金) 18:40:13.538
日曜日――
眼帯少女「お待たせしました」
男「お、私服も可愛いね」
眼帯少女「ありがとうございます!」
男「さすがに服は愚地独歩じゃないんだね」
眼帯少女「ホントは虎頃しスタイルにしたかったんですけどね」
男(虎頃しスタイルってパンツ一丁じゃねーか!)
眼帯少女「お待たせしました」
男「お、私服も可愛いね」
眼帯少女「ありがとうございます!」
男「さすがに服は愚地独歩じゃないんだね」
眼帯少女「ホントは虎頃しスタイルにしたかったんですけどね」
男(虎頃しスタイルってパンツ一丁じゃねーか!)
11: 2021/10/29(金) 18:43:09.905
ガタンゴトン… ガタンゴトン…
男「あー……座れそうにないね」
眼帯少女「大丈夫です!」
男「え?」
眼帯少女「呼ッ!」
男「これは……三戦(サンチン)!」
眼帯少女「これをやってれば、電車でも揺れることはありません」
男(微動だにしない、すげえ)
男「よーし、俺も……」サッ
男「ダメだ! 揺れちゃう!」グラグラ
眼帯少女「まだジェットコースターで立つのはよした方がいいですね」クスッ
男「ちゃんと出来るようになっても立たないけどね」
男「あー……座れそうにないね」
眼帯少女「大丈夫です!」
男「え?」
眼帯少女「呼ッ!」
男「これは……三戦(サンチン)!」
眼帯少女「これをやってれば、電車でも揺れることはありません」
男(微動だにしない、すげえ)
男「よーし、俺も……」サッ
男「ダメだ! 揺れちゃう!」グラグラ
眼帯少女「まだジェットコースターで立つのはよした方がいいですね」クスッ
男「ちゃんと出来るようになっても立たないけどね」
14: 2021/10/29(金) 18:46:17.450
―道場―
男「ここは……空手の道場?」
眼帯少女「はい、通ってるんです」
男「愚地独歩に憧れて?」
眼帯少女「もちろん!」
男「すげえ!」
師範「やあ、来たかね」
眼帯少女「オス!」
師範「そっちの君は?」
男「あ、付き添いで……僕は見学でもさせてもらおうかと」
師範「そうかね。小さな道場だが、どうぞどうぞ」
男「ここは……空手の道場?」
眼帯少女「はい、通ってるんです」
男「愚地独歩に憧れて?」
眼帯少女「もちろん!」
男「すげえ!」
師範「やあ、来たかね」
眼帯少女「オス!」
師範「そっちの君は?」
男「あ、付き添いで……僕は見学でもさせてもらおうかと」
師範「そうかね。小さな道場だが、どうぞどうぞ」
15: 2021/10/29(金) 18:49:25.535
少女「えいっ! えいっ!」
男(さすがに稽古の時は眼帯外すんだな。そりゃそうか)
男「あのー」
師範「なんだい?」
男「彼女、強いんですか?」
師範「ああ、強いよ。練習熱心だし、いくつか大会に出て入賞したこともある」
男「へぇ~」
男(独歩ファンはそれなりにいるだろうけど、マジで空手始めたって人はそういないだろうな)
男(さすがに稽古の時は眼帯外すんだな。そりゃそうか)
男「あのー」
師範「なんだい?」
男「彼女、強いんですか?」
師範「ああ、強いよ。練習熱心だし、いくつか大会に出て入賞したこともある」
男「へぇ~」
男(独歩ファンはそれなりにいるだろうけど、マジで空手始めたって人はそういないだろうな)
16: 2021/10/29(金) 18:52:09.564
眼帯少女「すみません、退屈だったでしょう?」
男「いや、空手の稽古なんて初めて見るから楽しかったよ」
眼帯少女「それならいいのですが……あ」グゥゥ…
男「お腹すいちゃった?」
眼帯少女「は、はい……」
男「じゃあ、どこか食べに行こうか」
眼帯少女「そうしましょう!」
男「いや、空手の稽古なんて初めて見るから楽しかったよ」
眼帯少女「それならいいのですが……あ」グゥゥ…
男「お腹すいちゃった?」
眼帯少女「は、はい……」
男「じゃあ、どこか食べに行こうか」
眼帯少女「そうしましょう!」
17: 2021/10/29(金) 18:56:13.532
眼帯少女「わっ、おいしそう!」
男(イカスミパスタ山盛り……独歩だ)
眼帯少女「……」モニュ…
眼帯少女「……」ソボ…
眼帯少女「……」ナポ…
男(どことなく食べ方までバキっぽい)
男「じゃあ、俺はオムライスで」
眼帯少女「花山薫の好物じゃないですか!」
男「あ、いや……偶然だけどね」
男「ところで、君って麺類好きなの?」
眼帯少女「はい、大好きです!」
男「……」ホッ
眼帯少女「?」
男(イカスミパスタ山盛り……独歩だ)
眼帯少女「……」モニュ…
眼帯少女「……」ソボ…
眼帯少女「……」ナポ…
男(どことなく食べ方までバキっぽい)
男「じゃあ、俺はオムライスで」
眼帯少女「花山薫の好物じゃないですか!」
男「あ、いや……偶然だけどね」
男「ところで、君って麺類好きなの?」
眼帯少女「はい、大好きです!」
男「……」ホッ
眼帯少女「?」
18: 2021/10/29(金) 19:00:20.151
男「君の愚地独歩の好きっぷりはすごいね。空手の道場まで通うんだから」
眼帯少女「ありがとうございます」
男「俺も花山好きだし、何か始めようかな……」
眼帯少女「顔に傷をつけるとか?」
男「俺が泣いちゃうよ」
眼帯少女「だったらどこか組に入るとか?」
男「親が泣いちゃうよ」
眼帯少女「ありがとうございます」
男「俺も花山好きだし、何か始めようかな……」
眼帯少女「顔に傷をつけるとか?」
男「俺が泣いちゃうよ」
眼帯少女「だったらどこか組に入るとか?」
男「親が泣いちゃうよ」
19: 2021/10/29(金) 19:03:33.647
男「独歩の技で一番好きなやつはなに?」
眼帯少女「やっぱり菩薩の拳ですかね」
男「あー、0.99999999999……が1になったやつね」
眼帯少女「はい、空手に全てを注いだ独歩だから会得できた技です」
男「他には?」
眼帯少女「天内戦でやったコンビネーションもいいですね」
男「あれか。手首から先の使用法が違うやつ」
眼帯少女「はい、虎口拳、足先蹴り、風摩殺、六波返し!」
男「ああ、よかったね。本部の解説も冴え渡ってたし」
眼帯少女「よかったらやりましょうか?」
男「いや、まだ血の涙は流したくないので」
眼帯少女「冗談です」クスッ
眼帯少女「やっぱり菩薩の拳ですかね」
男「あー、0.99999999999……が1になったやつね」
眼帯少女「はい、空手に全てを注いだ独歩だから会得できた技です」
男「他には?」
眼帯少女「天内戦でやったコンビネーションもいいですね」
男「あれか。手首から先の使用法が違うやつ」
眼帯少女「はい、虎口拳、足先蹴り、風摩殺、六波返し!」
男「ああ、よかったね。本部の解説も冴え渡ってたし」
眼帯少女「よかったらやりましょうか?」
男「いや、まだ血の涙は流したくないので」
眼帯少女「冗談です」クスッ
20: 2021/10/29(金) 19:06:41.745
男「今日は楽しかったよ」
眼帯少女「私もです」
男「また君と一緒に遊びたいな」
眼帯少女「ぜひそうしましょう! お友達として!」
男「うん」
男(お友達として、か……)
――――
――
眼帯少女「私もです」
男「また君と一緒に遊びたいな」
眼帯少女「ぜひそうしましょう! お友達として!」
男「うん」
男(お友達として、か……)
――――
――
22: 2021/10/29(金) 19:10:47.768
その後も……
男「これは?」
眼帯少女「等身大、愚地独歩人形です!」
男「自分で作ったの?」
眼帯少女「はい!」
男「すごいなぁ……」ナデナデ
男(ん、ちょっと揺れるな)グラグラ
眼帯少女「あ、倒さないように気をつけて下さいね。山本選手ほどバランスはよくないです」
男「ああ、壊したら大変だもんね」
眼帯少女「というより、体重も再現してるので……」
男(178cm110kgが倒れてきたら、俺氏ぬ!)
男「これは?」
眼帯少女「等身大、愚地独歩人形です!」
男「自分で作ったの?」
眼帯少女「はい!」
男「すごいなぁ……」ナデナデ
男(ん、ちょっと揺れるな)グラグラ
眼帯少女「あ、倒さないように気をつけて下さいね。山本選手ほどバランスはよくないです」
男「ああ、壊したら大変だもんね」
眼帯少女「というより、体重も再現してるので……」
男(178cm110kgが倒れてきたら、俺氏ぬ!)
25: 2021/10/29(金) 19:14:24.896
時には……
男「独歩vsドリアンってどっちの勝ちだと思う?」
眼帯少女「もちろん独歩ですよ!」
男「なんで?」
眼帯少女「だって、あれだけ圧倒しましたし、加藤に恐怖して私の敗けだって叫んでたじゃないですか」
男「でもあれは演技で、その後独歩は爆弾でやられちゃったよね。俺はドリアンの勝ちだと思う」
眼帯少女「あんなの不意打ちじゃないですか!」
男「不意打ちなんて言い訳にならなくない? 独歩だって、えげつないことするタイプの人間だし」
男「武道ってのは勝たなきゃお話にならないっていってたし」
眼帯少女「ぐ……」
男「まだやるかい」
眼帯少女「げ、元気いっぱいです!」
男「独歩vsドリアンってどっちの勝ちだと思う?」
眼帯少女「もちろん独歩ですよ!」
男「なんで?」
眼帯少女「だって、あれだけ圧倒しましたし、加藤に恐怖して私の敗けだって叫んでたじゃないですか」
男「でもあれは演技で、その後独歩は爆弾でやられちゃったよね。俺はドリアンの勝ちだと思う」
眼帯少女「あんなの不意打ちじゃないですか!」
男「不意打ちなんて言い訳にならなくない? 独歩だって、えげつないことするタイプの人間だし」
男「武道ってのは勝たなきゃお話にならないっていってたし」
眼帯少女「ぐ……」
男「まだやるかい」
眼帯少女「げ、元気いっぱいです!」
26: 2021/10/29(金) 19:16:48.829
……
男「将来の夢ってあるの?」
眼帯少女「はい……あります」
男「やっぱり空手家?」
眼帯少女「といいたいところですが、それは難しいと思いますので……」
眼帯少女「スポーツインストラクターとか、体育教師とか。そういう方面の職業を目指したいです」
男「ふーん、すごいな」
眼帯少女「どうしてです?」
男「俺は多分実家を継ぐんだけど……目的意識とかなくて“ただなんとなく”って感じだからさ」
眼帯少女「そうなんですか」
男「将来の夢ってあるの?」
眼帯少女「はい……あります」
男「やっぱり空手家?」
眼帯少女「といいたいところですが、それは難しいと思いますので……」
眼帯少女「スポーツインストラクターとか、体育教師とか。そういう方面の職業を目指したいです」
男「ふーん、すごいな」
眼帯少女「どうしてです?」
男「俺は多分実家を継ぐんだけど……目的意識とかなくて“ただなんとなく”って感じだからさ」
眼帯少女「そうなんですか」
27: 2021/10/29(金) 19:19:04.054
眼帯少女「あ、そうだ。よかったら遊びに行ってもいいですか?」
男「俺の家に?」
眼帯少女「はい!」
男「別にいいけど」
眼帯少女「やった! ありがとうございます!」
男(こんな風に家に女の子を連れていくなんて、初めてのことだな)
男「俺の家に?」
眼帯少女「はい!」
男「別にいいけど」
眼帯少女「やった! ありがとうございます!」
男(こんな風に家に女の子を連れていくなんて、初めてのことだな)
30: 2021/10/29(金) 19:22:39.693
眼帯少女「これは……!」
男「ご覧の通り、そば屋なんだ」
眼帯少女「すごいすごい! 最高じゃないですか!」
男「やけにテンション高いね……嬉しいけど」
眼帯少女「私、おそば大好きなんです!」
男「あ、そうだったんだ」
眼帯少女「それに独歩の奥さんの夏恵さんは、おそば作りが得意じゃないですか!」
男「そういえば……(おそば茹でたげる、なんていってたっけ)」
男「ご覧の通り、そば屋なんだ」
眼帯少女「すごいすごい! 最高じゃないですか!」
男「やけにテンション高いね……嬉しいけど」
眼帯少女「私、おそば大好きなんです!」
男「あ、そうだったんだ」
眼帯少女「それに独歩の奥さんの夏恵さんは、おそば作りが得意じゃないですか!」
男「そういえば……(おそば茹でたげる、なんていってたっけ)」
31: 2021/10/29(金) 19:25:17.189
父「お前が女の子を連れてくるなんて、やるなぁ! 見直したぞ!」
男「父さん」
父「ん、どうした?」
男「今日、俺がそば作ってもいいかな?」
父「……いいだろ! やってみろ!」
男「ありがとう、父さん!」
男「よし、やるぞ!」
父(うちの店を継ぐのかどうか、はっきりしない部分があったが……)
父(こんなにギラギラしてるこいつを見るのは久しぶりだな)
男「父さん」
父「ん、どうした?」
男「今日、俺がそば作ってもいいかな?」
父「……いいだろ! やってみろ!」
男「ありがとう、父さん!」
男「よし、やるぞ!」
父(うちの店を継ぐのかどうか、はっきりしない部分があったが……)
父(こんなにギラギラしてるこいつを見るのは久しぶりだな)
32: 2021/10/29(金) 19:28:18.435
男「どうぞ」
眼帯少女「いただきます」
ズゾゾッ ズゾゾゾッ
男(豪快なすすりっぷりだ……)
男「どうかな?」
眼帯少女「……おいしいです!」
男「よかった……!」
眼帯少女「よかった?」
男「あ、このそば……俺が作ったからさ。口に合うか心配だったんだ」
眼帯少女「そうなんですか! お世辞じゃなく、本当においしかったですよ!」
眼帯少女「いただきます」
ズゾゾッ ズゾゾゾッ
男(豪快なすすりっぷりだ……)
男「どうかな?」
眼帯少女「……おいしいです!」
男「よかった……!」
眼帯少女「よかった?」
男「あ、このそば……俺が作ったからさ。口に合うか心配だったんだ」
眼帯少女「そうなんですか! お世辞じゃなく、本当においしかったですよ!」
33: 2021/10/29(金) 19:31:22.235
父「ワッハッハ、息子が褒められると嬉しいもんだ」
眼帯少女「こんにちは」
父「ついでに、俺が作ったのも食ってみてくれ!」
眼帯少女「いただきます!」ズゾゾッ
眼帯少女「あ……こっちの方がおいしいです」
男「うぐ……。まだまだ親父越えは無理か……」
眼帯少女「でも……なんだろ。将来的には本当にお父さんを越えられる気がしますよ」
男「え、そう?」
父「さすがだね。よく分かってる」
眼帯少女「こんにちは」
父「ついでに、俺が作ったのも食ってみてくれ!」
眼帯少女「いただきます!」ズゾゾッ
眼帯少女「あ……こっちの方がおいしいです」
男「うぐ……。まだまだ親父越えは無理か……」
眼帯少女「でも……なんだろ。将来的には本当にお父さんを越えられる気がしますよ」
男「え、そう?」
父「さすがだね。よく分かってる」
35: 2021/10/29(金) 19:35:56.013
父「こいつはそば打ちのセンスは俺より上だ。だが……鍛え方が足りねえ。こねる力が」
男「あー……」
眼帯少女(こねる力……)
眼帯少女「だったら握力をつけましょうよ! 握力!」
男「あ、そうか。俺の好きなキャラは……」
眼帯少女「花山薫ですもん!」
男「うん、やってみる!」
父(才能はあるが、なかなか火がつかなかった息子に……ついに火がついちまったな)ニヤッ
男「あー……」
眼帯少女(こねる力……)
眼帯少女「だったら握力をつけましょうよ! 握力!」
男「あ、そうか。俺の好きなキャラは……」
眼帯少女「花山薫ですもん!」
男「うん、やってみる!」
父(才能はあるが、なかなか火がつかなかった息子に……ついに火がついちまったな)ニヤッ
37: 2021/10/29(金) 19:38:47.247
男「俺、本格的に修行するよ!」
男「そして、いつか……君に極上のそばを作ってみせる!」
眼帯少女「あなたならできます。そしたら……私の夏恵さんになって下さい!」
男「え」
眼帯少女「結婚しましょう!」
男「えええ!?」
眼帯少女「克巳みたいな子供に恵まれたら幸せですよね!」
男「えええええ!?」
男「そして、いつか……君に極上のそばを作ってみせる!」
眼帯少女「あなたならできます。そしたら……私の夏恵さんになって下さい!」
男「え」
眼帯少女「結婚しましょう!」
男「えええ!?」
眼帯少女「克巳みたいな子供に恵まれたら幸せですよね!」
男「えええええ!?」
39: 2021/10/29(金) 19:41:22.687
眼帯少女「あ、ちょっと気が早かったですかね……」
男「うん、ちょっと早いかな……」
男(マジで後退のネジがないな、この子……)
男「だけど……嬉しいよ。俺、頑張る」
眼帯少女「はいっ!」
父「息子にもやっと彼女ができたか」
母「ちょっと変わってますけどね」クスッ
――――
――
男「うん、ちょっと早いかな……」
男(マジで後退のネジがないな、この子……)
男「だけど……嬉しいよ。俺、頑張る」
眼帯少女「はいっ!」
父「息子にもやっと彼女ができたか」
母「ちょっと変わってますけどね」クスッ
――――
――
40: 2021/10/29(金) 19:45:32.963
それ以来――
眼帯少女「おはようございます」
男「おはよう」ギュッギュッ
眼帯少女「あ、今日もやってますね」
男「うん、グリッパーで徹底的に握力を鍛えてる」ギュッギュッ
男「こないだ、そば打ったらね。ついに父さんから褒められたんだ。コシがあるって」ギュッギュッ
眼帯少女「やったじゃないですか!」
眼帯少女「おはようございます」
男「おはよう」ギュッギュッ
眼帯少女「あ、今日もやってますね」
男「うん、グリッパーで徹底的に握力を鍛えてる」ギュッギュッ
男「こないだ、そば打ったらね。ついに父さんから褒められたんだ。コシがあるって」ギュッギュッ
眼帯少女「やったじゃないですか!」
41: 2021/10/29(金) 19:48:10.499
男「今度また家に来てよ。そしたら……」バキッ
男「あ、壊しちゃった。もっと丈夫なのにしないと」
眼帯少女「そのうち握撃もできるかもしれませんね」
「いつも眼帯をつけてる女子と、いつも握力を鍛えてる男子か……」ヒソヒソ
「いったいどんな会話してるんだろ」ヒソヒソ
「とにかく今後も目が離せないな……」ヒソヒソ
こうして学園七不思議が二つに増えた。(なお残り五つは未定である)
完
男「あ、壊しちゃった。もっと丈夫なのにしないと」
眼帯少女「そのうち握撃もできるかもしれませんね」
「いつも眼帯をつけてる女子と、いつも握力を鍛えてる男子か……」ヒソヒソ
「いったいどんな会話してるんだろ」ヒソヒソ
「とにかく今後も目が離せないな……」ヒソヒソ
こうして学園七不思議が二つに増えた。(なお残り五つは未定である)
完
42: 2021/10/29(金) 19:48:38.777
乙イイハナシダー
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります