1: 2012/12/23(日) 03:26:08.34
憂(金曜日の部活はおやすみ)
憂(梓ちゃんに頼んでそうしてもらったんです)
憂(授業が終わったら、二人にさよならを告げて、駅に向かいます)
憂(切符を買って、改札を通って、電車に乗って)
憂(大きな駅で降りて)
憂(そこから新幹線にのって2時間15分……)
憂(遠距離恋愛って大変です)
憂(でも、新幹線に乗って紬さんに会いに行く時間)
憂(その時間が日々の中で一番楽しい時間かもしれないなって)
憂(最近そう思えるようになりました)
憂(お気に入りの曲を聞きながら紬さんのことだけ考えるこの時間のこと)
憂(私はいつの間にか大好きになっていたんです)
憂(梓ちゃんに頼んでそうしてもらったんです)
憂(授業が終わったら、二人にさよならを告げて、駅に向かいます)
憂(切符を買って、改札を通って、電車に乗って)
憂(大きな駅で降りて)
憂(そこから新幹線にのって2時間15分……)
憂(遠距離恋愛って大変です)
憂(でも、新幹線に乗って紬さんに会いに行く時間)
憂(その時間が日々の中で一番楽しい時間かもしれないなって)
憂(最近そう思えるようになりました)
憂(お気に入りの曲を聞きながら紬さんのことだけ考えるこの時間のこと)
憂(私はいつの間にか大好きになっていたんです)
2: 2012/12/23(日) 03:28:55.61
憂(寮につくのはだいたい夜7時半頃)
憂(この時間になっても紬さんは帰ってきていません)
憂(どうしてもとりたい講義が夜間にあったから、だそうです)
憂(30分ぐらいでパパっと料理を作っちゃいます)
憂(8時をちょっと過ぎた頃に紬さんが帰ってきます)
紬「あら」
紬「来てたんだ」
憂「おかえりなさい、紬さん」
紬「ただいま。憂ちゃん」
紬「ぎゅっとしてもいい?」
憂「もちろんです!」
紬「はぁ~。癒されるわ~」
3: 2012/12/23(日) 03:30:02.78
憂(私が来ると紬さんはこうして抱きしめてくれます)
憂(紬さんはとってもいい匂いがします)
憂(梓ちゃんみたいに倒れたりはしませんけど)
憂(ちょっとだけ顔が熱くなるのを感じちゃいます)
紬「ごめんね、遅くなってしまって……」
憂「講義ですよね」
紬「そうだけど、憂ちゃんが来るって知ってたら」
憂「休んだら駄目です」
紬「ううん。それはしないけど、走って帰ってくるぐらいは、ね」
憂「それくらいなら……」
4: 2012/12/23(日) 03:30:30.25
紬「憂ちゃんは厳しいね」
憂「そんなぁ……」
紬「うそうそ、冗談よ。今日も夜ご飯作ってくれたの?」
憂「はい。ソーメンチャンプルですよー」
紬「ソーメンチャンプル!」
憂「知ってるんですか?」
紬「うん。小学校の頃にね。国語の教科書に載ってたの」
憂「そんなのあったかな?」
紬「やどかりさんが出てくるお話なんだけど……」
憂「あっ、覚えてます」
紬「憂ちゃんも覚えてるんだ」
憂「なんとなくだけど……」
憂「そんなぁ……」
紬「うそうそ、冗談よ。今日も夜ご飯作ってくれたの?」
憂「はい。ソーメンチャンプルですよー」
紬「ソーメンチャンプル!」
憂「知ってるんですか?」
紬「うん。小学校の頃にね。国語の教科書に載ってたの」
憂「そんなのあったかな?」
紬「やどかりさんが出てくるお話なんだけど……」
憂「あっ、覚えてます」
紬「憂ちゃんも覚えてるんだ」
憂「なんとなくだけど……」
5: 2012/12/23(日) 03:31:04.87
紬「あのお話を読んでから、ソーメンチャンプルを食べるのが夢だったの」
憂「それなら良かったです」
紬「あ、唯ちゃんのところへは?」
憂「もう持っていきました」
紬「そう。なら……いただきますっ!」
憂「いただきます」
憂(紬さんは私が作った料理を楽しそうに食べてくれます)
憂(美味しそうにじゃなくて、楽しそうに)
憂(そういうところ、お姉ちゃんにちょっとだけ似ているかもしれません)
憂(あぁあぁそんなに頬張ったら)
紬「ごほっ……ごほっ……」
憂「それなら良かったです」
紬「あ、唯ちゃんのところへは?」
憂「もう持っていきました」
紬「そう。なら……いただきますっ!」
憂「いただきます」
憂(紬さんは私が作った料理を楽しそうに食べてくれます)
憂(美味しそうにじゃなくて、楽しそうに)
憂(そういうところ、お姉ちゃんにちょっとだけ似ているかもしれません)
憂(あぁあぁそんなに頬張ったら)
紬「ごほっ……ごほっ……」
6: 2012/12/23(日) 03:31:35.92
憂「おみずです!」
紬「…………ありがとう」
憂「どういたしまして」
憂「それで、ソーメンチャンプルはどうかな?」
紬「うんっ。すっごく美味しい!」
憂「良かったです……」
紬「憂ちゃんも食べよっ」
憂「はい」
紬「…………ありがとう」
憂「どういたしまして」
憂「それで、ソーメンチャンプルはどうかな?」
紬「うんっ。すっごく美味しい!」
憂「良かったです……」
紬「憂ちゃんも食べよっ」
憂「はい」
7: 2012/12/23(日) 03:32:20.38
憂(御飯を食べ終わった後は、ゲームをやります)
憂(紬さんの部屋にはTVゲームはないのでトランプを)
憂(たまに他の人が押しかけてきて麻雀などをやる日もありますが)
憂(大抵は私達に遠慮してくれてるみたいです)
紬「今日はトランプタワーをやらない?」
憂「トランプタワーですか?」
紬「うん。どちらが高い塔を作れるのか勝負するの」
憂「いいですよ」
―――
―――
―――
9: 2012/12/23(日) 03:33:01.30
紬「できた!」
憂「6段……すごいです。紬さん」
紬「ふふふ。練習したもの」
憂「それはズルいかも」
紬「だって普通にやったら憂ちゃんには勝てないから」
憂「そんなことありません」
憂(本当に、そんなことないんです)
憂(私、カードゲームで他の人に負けることはほとんどないんですが)
憂(紬さんはそれなりに腕が立つ上、ずば抜けて運がいいので……)
憂(ポーカーやブラック・ジャックをやると五分五分の勝負になるんです)
憂(スピードで私を負かしたのは紬さんだけです)
憂(それはともかく……)
憂「私と遊ぶために練習してくれたんですか?」
10: 2012/12/23(日) 03:33:57.51
紬「ええ、そうだけど」
憂「嬉しいです」
紬「そう?」
憂(ゲームを楽しんだ後、シャワーを浴びて、歯を磨いて、ベッドに潜り込みます)
憂(同じベッドだけど、抱きついたりはしません。もちろんエOチなことも)
憂(だって私たちはキスさえしたことがないから)
憂(それ以前に、好きと言われたこともないのだから)
憂「嬉しいです」
紬「そう?」
憂(ゲームを楽しんだ後、シャワーを浴びて、歯を磨いて、ベッドに潜り込みます)
憂(同じベッドだけど、抱きついたりはしません。もちろんエOチなことも)
憂(だって私たちはキスさえしたことがないから)
憂(それ以前に、好きと言われたこともないのだから)
11: 2012/12/23(日) 03:34:22.76
紬「電気、消してもいいかな」
憂「はい」
紬「明日はどうしよっか」
憂「先約は?」
紬「うん。それは大丈夫。でも天気予報だと雨ねぇ」
憂「梅雨だから仕方ありませんよ」
紬「そうだけど……」
憂「それなら明日は家でゆっくりしませんか」
紬「いいの? せっかく来てくれたのに……」
憂「いいんです。私がそうしたいから」
紬「そう? それなら」
憂「決まり、ですね」
憂「はい」
紬「明日はどうしよっか」
憂「先約は?」
紬「うん。それは大丈夫。でも天気予報だと雨ねぇ」
憂「梅雨だから仕方ありませんよ」
紬「そうだけど……」
憂「それなら明日は家でゆっくりしませんか」
紬「いいの? せっかく来てくれたのに……」
憂「いいんです。私がそうしたいから」
紬「そう? それなら」
憂「決まり、ですね」
12: 2012/12/23(日) 03:35:15.88
紬「ええ。おやすみなさい。憂ちゃん」
憂「おやすみなさい。紬さん」
―――
―――
―――
憂(卒業式の日。紬さんのもとへ行きました)
憂(私は心臓に一番近いボタンをねだりました)
憂(紬さんは少し驚いた表情で、私と付き合いたいの、と聞きました)
憂(私がコクンと頷くと、紬さんは少し桜を見たあと、私でいいの、と言いました)
憂(こうして私達二人の交際がはじまりました)
憂(春休みの僅かな時間、私達はいろんなところにあそびに行きました)
憂(遊園地、ショッピング街、某テーマパーク、水族館、映画館、スケート場)
憂(梓ちゃん達とダブルデートもしました)
憂(あっ、梓ちゃんは澪さんと付き合ってます。もちろん現在進行形です)
憂(月日は流れ、紬さんとお姉ちゃん達は遠い街へ行ってしまいました)
憂「おやすみなさい。紬さん」
―――
―――
―――
憂(卒業式の日。紬さんのもとへ行きました)
憂(私は心臓に一番近いボタンをねだりました)
憂(紬さんは少し驚いた表情で、私と付き合いたいの、と聞きました)
憂(私がコクンと頷くと、紬さんは少し桜を見たあと、私でいいの、と言いました)
憂(こうして私達二人の交際がはじまりました)
憂(春休みの僅かな時間、私達はいろんなところにあそびに行きました)
憂(遊園地、ショッピング街、某テーマパーク、水族館、映画館、スケート場)
憂(梓ちゃん達とダブルデートもしました)
憂(あっ、梓ちゃんは澪さんと付き合ってます。もちろん現在進行形です)
憂(月日は流れ、紬さんとお姉ちゃん達は遠い街へ行ってしまいました)
13: 2012/12/23(日) 03:36:03.74
憂(離れ離れになってしばらくの間はメールだけでした)
憂(でも、メールだけじゃ全然足りなくて、紬さんの声が聞きたくなって、スカイプもするようになりました)
憂(それでも全然足りなくなって、切符を買って紬さんに会いにいきました)
憂(はじめて会いにいったとき、紬さんがすごく驚いていたのを覚えています)
憂(あのときも紬さんは遅くに帰ってきて、私は扉の前でずっと待っていたんです)
憂(お姉ちゃんと律さんと澪さん、そしてその友だちの方々に冷やかされました)
憂(やっと紬さんが帰ってきたとき、私はすっかり冷たくなっていました)
憂(紬さんは私の手を握り、足に触れ、ゆっくりと温めてくれました)
憂(それから合鍵をくれたんです)
憂(この合鍵はボタンと同じぐらい大切な宝物です)
14: 2012/12/23(日) 03:36:28.80
憂(もちろん楽しいことばかりじゃありません)
憂(新幹線はとにかくお金がかかります)
憂(片道1万以上。往復で2万円を超えます)
憂(だから平日の夜はバイトをやることにしています)
憂(夜のバイト、といっても怪しいものではなく、飲食店でのバイトです)
憂(部活が終わってから毎日4時間ほど)
憂(お姉ちゃんがいなくなって家事の量が減ったからこそできるバイトです)
憂(お姉ちゃんのいない寂しさを紛らわすと同時に、紬さんに会うためのお金を稼げる)
憂(私にとってバイトはある種の生命線なのかもしれません)
15: 2012/12/23(日) 03:37:03.39
憂(紬さんから、自分が会いに行こうか、と提案されたことがあります)
憂(その時、私はなんとか紬さんを思い留まらせました)
憂(私の家に招きたくないわけではありません)
憂(ただ、自分に紬さんの好意が向けられているという自信がないんです)
憂(だから、お金も時間も私のためには使ってほしくない)
憂(こうやって会いに来ている時点でどうかと思われるかもしれませんが)
憂(越えたくない一線、というのが私にもあるんです)
―――
―――
―――
16: 2012/12/23(日) 03:37:41.81
紬「……」パチッ
紬「朝……」
憂「……zzz」
紬「よくねてるわ……」
紬「かわいい寝顔」
憂「……うーん……zzz」
紬「ふぅ……このままでいいのかしら……」
憂「……つむぎさん?」
紬「おはよう憂ちゃん」
憂「おはようございます、紬さん」
紬「よく眠れたかしら」
憂「ばっちりです」
17: 2012/12/23(日) 03:38:34.56
紬「そう。じゃあ朝ごはん、一緒に作りましょ」
憂「はい!」
紬「なににしよっか……」
憂「パンケーキはどうです?」
紬「パンケーキ……いいわね」
憂「それじゃ私ホットプレートの用意しますね」
―――
――
―
紬「もういいかしら」
憂「いいと思います。じゃあ、皿によそいます」
紬「ねぇ、半分こしない」
憂「私は次に焼けるので大丈夫です。紬さん、先に食べてて」
紬「そう? じゃあいただきます」
憂「はい!」
紬「なににしよっか……」
憂「パンケーキはどうです?」
紬「パンケーキ……いいわね」
憂「それじゃ私ホットプレートの用意しますね」
―――
――
―
紬「もういいかしら」
憂「いいと思います。じゃあ、皿によそいます」
紬「ねぇ、半分こしない」
憂「私は次に焼けるので大丈夫です。紬さん、先に食べてて」
紬「そう? じゃあいただきます」
18: 2012/12/23(日) 03:38:55.38
紬「うん。美味しい。やっぱりパンケーキにはバターねぇ」
憂「私もバターかな。メープルも好きだけど」
紬「ねぇ、憂ちゃん」
憂「?」
紬「あ~ん」
憂「……あ~ん//」パクッ
紬「どう?」
憂「とっても美味しいです」
紬「なんで憂ちゃんってこんなにかわいいのかしら」
憂「つ、紬さん//」
紬「うふふふ」
憂「もうっ……」
憂「私もバターかな。メープルも好きだけど」
紬「ねぇ、憂ちゃん」
憂「?」
紬「あ~ん」
憂「……あ~ん//」パクッ
紬「どう?」
憂「とっても美味しいです」
紬「なんで憂ちゃんってこんなにかわいいのかしら」
憂「つ、紬さん//」
紬「うふふふ」
憂「もうっ……」
19: 2012/12/23(日) 03:39:19.46
――
―
紬「憂ちゃんの分も焼けたわね」
憂「紬さん」
紬「うん?」
憂「あ~ん」
紬「さっきの仕返し?」
憂「仕返しなんかじゃないです」
紬「あ~ん」パクッ
憂「どうですか?」
紬「うん。憂ちゃんに食べさせてもらうともっと美味しく感じるわ」
憂「//」
―
紬「憂ちゃんの分も焼けたわね」
憂「紬さん」
紬「うん?」
憂「あ~ん」
紬「さっきの仕返し?」
憂「仕返しなんかじゃないです」
紬「あ~ん」パクッ
憂「どうですか?」
紬「うん。憂ちゃんに食べさせてもらうともっと美味しく感じるわ」
憂「//」
20: 2012/12/23(日) 03:39:44.73
紬「本当に憂ちゃんってかわいいんだから」
憂「そんなの……ずるいです」
紬「えっ」
憂「私ばっかり照れてます。紬さんも少しは……」
紬「私が照れたってかわいくないよ」
憂「そんなことないですよ」
紬「じゃあ頑張って照れてみるね!」
憂「どう頑張るんですか?」
紬「あれっ?」
憂「くすくす」
紬「もうっ……」
憂「そんなの……ずるいです」
紬「えっ」
憂「私ばっかり照れてます。紬さんも少しは……」
紬「私が照れたってかわいくないよ」
憂「そんなことないですよ」
紬「じゃあ頑張って照れてみるね!」
憂「どう頑張るんですか?」
紬「あれっ?」
憂「くすくす」
紬「もうっ……」
21: 2012/12/23(日) 03:40:28.38
憂(楽しい朝食の時間は終わり、私たちはお話を始めました)
憂(こうやって一緒にお話するとき、紬さんは私のために紅茶をいれてくれます)
憂(菫ちゃんのお茶も美味しいけど、紬さんのお茶はもっと美味しい)
憂(……と感じてしまうのは私の贔屓目だけではないと思います)
紬「最近そっちはどう?」
憂「菫ちゃんのことですか?」
紬「うん。それもあるけど」
憂「良い感じです。直ちゃんとも仲良くなってるみたいだし」
紬「直ちゃんかぁ。一度あってみたいわね」
憂「大学のほうはどうですか?」
憂(こうやって一緒にお話するとき、紬さんは私のために紅茶をいれてくれます)
憂(菫ちゃんのお茶も美味しいけど、紬さんのお茶はもっと美味しい)
憂(……と感じてしまうのは私の贔屓目だけではないと思います)
紬「最近そっちはどう?」
憂「菫ちゃんのことですか?」
紬「うん。それもあるけど」
憂「良い感じです。直ちゃんとも仲良くなってるみたいだし」
紬「直ちゃんかぁ。一度あってみたいわね」
憂「大学のほうはどうですか?」
22: 2012/12/23(日) 03:40:55.53
紬「みんな相変わらずよ~」
憂「お姉ちゃんはやっぱり」
紬「うん。抱きつく対象が晶ちゃんに変わっただけであんまり変わらないわ」
憂「そうですか」
紬「ええ。りっちゃんと澪ちゃんも相変わらず、すっごく仲良しさん」
紬「澪ちゃんに恋人ができてもそれは変わらないみたい」
憂「そっかぁ」
紬「あっ、それとね。最近りっちゃんにアタックをかけてる子がいるみたいなの」
憂「そうなんですか?」
憂「お姉ちゃんはやっぱり」
紬「うん。抱きつく対象が晶ちゃんに変わっただけであんまり変わらないわ」
憂「そうですか」
紬「ええ。りっちゃんと澪ちゃんも相変わらず、すっごく仲良しさん」
紬「澪ちゃんに恋人ができてもそれは変わらないみたい」
憂「そっかぁ」
紬「あっ、それとね。最近りっちゃんにアタックをかけてる子がいるみたいなの」
憂「そうなんですか?」
24: 2012/12/23(日) 03:41:38.72
紬「ええ。うまくいくといいわ~」
憂「ですねぇ」
紬「ところで憂ちゃん、志望校は決まったの?」
憂「やっぱりN女子大にしようと思います」
紬「それは、私がいるから?」
憂「それもあります」
紬「梓ちゃんと純ちゃんもN女子なんだ?」
憂「はい。やっぱりみんなと一緒にやりたいので」
憂「ですねぇ」
紬「ところで憂ちゃん、志望校は決まったの?」
憂「やっぱりN女子大にしようと思います」
紬「それは、私がいるから?」
憂「それもあります」
紬「梓ちゃんと純ちゃんもN女子なんだ?」
憂「はい。やっぱりみんなと一緒にやりたいので」
25: 2012/12/23(日) 03:42:40.13
紬「憂ちゃんと純ちゃんがHTTに入ったら七人編成だね」
憂「今から楽しみ……」
紬「でも、そっかぁ」
憂「どうしました?」
紬「うん。やっぱり憂ちゃんもN女子大に来るんだなって」
憂「……?」
紬「うん……うん……」
憂「紬さん?」
紬「なんでもないの、気にしないで」
憂「……はい」
憂「今から楽しみ……」
紬「でも、そっかぁ」
憂「どうしました?」
紬「うん。やっぱり憂ちゃんもN女子大に来るんだなって」
憂「……?」
紬「うん……うん……」
憂「紬さん?」
紬「なんでもないの、気にしないで」
憂「……はい」
26: 2012/12/23(日) 03:43:28.16
―――
――
―
憂「そろそろお昼ごはんにしませんか?」
紬「ねぇ、憂ちゃん。ちょっとこっちに来てくれる?」
憂「……? はい……」
紬「横に座って」
憂「はい」
紬「……」
憂「……?」
紬「……憂ちゃん。キスしない?」
憂「キス……」
紬「うん……」
憂「いいの?」
紬「うん」
――
―
憂「そろそろお昼ごはんにしませんか?」
紬「ねぇ、憂ちゃん。ちょっとこっちに来てくれる?」
憂「……? はい……」
紬「横に座って」
憂「はい」
紬「……」
憂「……?」
紬「……憂ちゃん。キスしない?」
憂「キス……」
紬「うん……」
憂「いいの?」
紬「うん」
27: 2012/12/23(日) 03:44:16.46
憂(突然の申し出でした)
憂(紬さんの青い二つの瞳が痛いぐらいに私を強く見つめています)
憂(私は意を決して顔を近づけます)
憂(すると紬さんもこちらに顔を寄せてくれました)
憂(唇と唇が触れる瞬間、ふたり一緒に目を閉じて……そのままキス)
憂(紬さんの唇は柔らかくて暖かくて……少しでも長く触れていたくて)
憂(ずっとずっと動かないでいました)
憂(たっぷり10分ぐらいした後、紬さんが離れていきました)
紬「キス、しちゃったね」
憂(頬を赤く染め、悪戯っ子みたいな笑みを浮かべながら、そうささやく紬さんはとてもかわいくて)
憂(私たちはやっと恋人になれたんだなって思いました)
28: 2012/12/23(日) 03:45:00.13
憂(キスをした後、二人でお昼ごはんを作りました)
憂(あまり会話はなかったけど、幸せな時間でした)
憂(私は何度も唇に指をあて、キスの感触を思いだしました)
憂(それを紬さんに見られて顔を赤らめることも何度か)
憂(お昼ごはんを食べた後は、お菓子を食べながらティータイム)
憂(午前中とやってることも話すこともそんなに変わらなかったけど)
憂(午前中とは比べ物にならないぐらい幸せな時間を過ごせました)
憂(でも、幸せは長続きしないんです)
29: 2012/12/23(日) 03:45:23.97
__
_
紬「ねぇ、憂ちゃん」
憂「どうしました?」
紬「あと2ヶ月もすると夏休みよねぇ」
憂「はい」
紬「それに半年とちょっとすれば憂ちゃんもこの大学に来るのよねぇ」
紬「そしたらいくらでも会えるんだから、しばらくは会うのをやめない?」
憂「……」
憂「……」
憂「……」
憂「……」
憂「……」
憂「……………………えっ?」
_
紬「ねぇ、憂ちゃん」
憂「どうしました?」
紬「あと2ヶ月もすると夏休みよねぇ」
憂「はい」
紬「それに半年とちょっとすれば憂ちゃんもこの大学に来るのよねぇ」
紬「そしたらいくらでも会えるんだから、しばらくは会うのをやめない?」
憂「……」
憂「……」
憂「……」
憂「……」
憂「……」
憂「……………………えっ?」
30: 2012/12/23(日) 03:46:02.98
紬「やっぱり高校生が毎日夜にバイトするのはよくないと思うの」
憂「そんなこと……」
紬「憂ちゃんもN女子大にくるなら半年の辛抱じゃない」
紬「そしたらいくらでも会えるし……。夏休みだって実家に帰るからたくさん会える」
憂「だからって……」
紬「ね。澪ちゃんと梓ちゃん達だってほとんど会ってないけど、ちゃんと続いてるじゃない」
紬「だから……」
憂「そんなの関係ない!!」
紬「う、憂ちゃん?」
憂「後から会えるとか、梓ちゃんがどうだとか関係ない!!」
憂「私が紬さんに会いたいんです!!」
憂「それとも紬さんは……やっぱりお姉ちゃんのほうが」
憂「あっ……」
憂「そんなこと……」
紬「憂ちゃんもN女子大にくるなら半年の辛抱じゃない」
紬「そしたらいくらでも会えるし……。夏休みだって実家に帰るからたくさん会える」
憂「だからって……」
紬「ね。澪ちゃんと梓ちゃん達だってほとんど会ってないけど、ちゃんと続いてるじゃない」
紬「だから……」
憂「そんなの関係ない!!」
紬「う、憂ちゃん?」
憂「後から会えるとか、梓ちゃんがどうだとか関係ない!!」
憂「私が紬さんに会いたいんです!!」
憂「それとも紬さんは……やっぱりお姉ちゃんのほうが」
憂「あっ……」
31: 2012/12/23(日) 03:46:31.30
―――
―――
―――
―――
―――
―――
―――
―――
―――
32: 2012/12/23(日) 03:47:17.47
紬(憂ちゃんはなにか考えるような仕草をした後、急に泣きだしてしまいました)
紬(慰めようと近寄ると拒絶され、そのまま走って部屋から出て行きました)
紬(走って追いかけたけど、すぐに引き離され、見失ってしまいました)
紬(息を切らせながらたどり着いた駅のホームに、憂ちゃんはいませんでした)
紬(寮に戻るとドアの前に唯ちゃんが立っていました)
唯「……壁が薄いというのは難儀なものだね紬くん」
紬「唯ちゃん……聞いてたの?」
唯「うん。聞こえちゃったんだ」
紬「そう……」
唯「ちょっとお話しよっか」
紬「えぇ」
34: 2012/12/23(日) 03:48:12.43
―――
――
―
紬「紅茶よ……」
唯「ムギちゃんの紅茶久し振りだね―」
紬「そうね……」
唯「ムギちゃんも飲んでよ」
紬「うん……」
唯「落ち着いた?」
紬「うん」
唯「何があったのか聞かせてくれる?」
紬「私ね、実は唯ちゃんのことが好きだったの」
――
―
紬「紅茶よ……」
唯「ムギちゃんの紅茶久し振りだね―」
紬「そうね……」
唯「ムギちゃんも飲んでよ」
紬「うん……」
唯「落ち着いた?」
紬「うん」
唯「何があったのか聞かせてくれる?」
紬「私ね、実は唯ちゃんのことが好きだったの」
35: 2012/12/23(日) 03:49:04.89
唯「本当?」
紬「うん。でも昔のこと」
紬「1年の時にね、唯ちゃんのことを好きになったの」
紬「でもね、1年のうちに好きじゃなくなったの」
唯「……随分短いね」
紬「うん。あの気持を抱えてたら軽音部での楽しい時間が終わってしまいそうで」
紬「頑張って諦めたの」
唯「……そうだったんだ」
紬「とは言っても2年の夏休み前ぐらいまで、ちょっとは引きずってたんだけど……」
唯「……」
紬「憂ちゃんはそれに気づいてたのかな……」
紬「必氏に隠してたつもりだったんだけど」
紬「うん。でも昔のこと」
紬「1年の時にね、唯ちゃんのことを好きになったの」
紬「でもね、1年のうちに好きじゃなくなったの」
唯「……随分短いね」
紬「うん。あの気持を抱えてたら軽音部での楽しい時間が終わってしまいそうで」
紬「頑張って諦めたの」
唯「……そうだったんだ」
紬「とは言っても2年の夏休み前ぐらいまで、ちょっとは引きずってたんだけど……」
唯「……」
紬「憂ちゃんはそれに気づいてたのかな……」
紬「必氏に隠してたつもりだったんだけど」
36: 2012/12/23(日) 03:49:37.28
紬「とにかく、唯ちゃんのことは好きだったけど、今好きなのは憂ちゃんなの」
唯「ねぇ、ムギちゃん」
紬「なぁに」
唯「どうして憂のことを好きになったの?」
紬「憂ちゃんはああいう子だもの。好きにならないほうが無理よ」
唯「……そっか」
紬「ねぇ唯ちゃん。私はどうすればよかったと思う?」
唯「そうだねぇ……」
紬「……」
唯「憂はムギちゃんが思ってる以上にしっかりした子なんだよ」
唯「学生生活を大事にしながらバイトするぐらいへっちゃらだよ」
唯「ねぇ、ムギちゃん」
紬「なぁに」
唯「どうして憂のことを好きになったの?」
紬「憂ちゃんはああいう子だもの。好きにならないほうが無理よ」
唯「……そっか」
紬「ねぇ唯ちゃん。私はどうすればよかったと思う?」
唯「そうだねぇ……」
紬「……」
唯「憂はムギちゃんが思ってる以上にしっかりした子なんだよ」
唯「学生生活を大事にしながらバイトするぐらいへっちゃらだよ」
37: 2012/12/23(日) 03:50:09.30
紬「……そうかしら」
唯「うん。そうだよ」
唯「……それにね。2万円で会いにいけるなら安いものだよ」
唯「私も頑張ってお金貯めてるんだけどね。全然足りないし…‥」
紬「唯ちゃん。もしかして……」
唯「えへへ~。そういうこと」
唯「自分の気持ちに気づいたの最近なんだ~」
唯「こんなことなら卒業する前に気持ちを伝えればよかったよ」
紬「そう。唯ちゃんは……」
唯「うん。そうだよ」
唯「……それにね。2万円で会いにいけるなら安いものだよ」
唯「私も頑張ってお金貯めてるんだけどね。全然足りないし…‥」
紬「唯ちゃん。もしかして……」
唯「えへへ~。そういうこと」
唯「自分の気持ちに気づいたの最近なんだ~」
唯「こんなことなら卒業する前に気持ちを伝えればよかったよ」
紬「そう。唯ちゃんは……」
38: 2012/12/23(日) 03:50:41.30
唯「それにね、澪ちゃんたちとムギちゃんたちはちょっと違うと思うんだ」
唯「澪ちゃんとあずにゃんは軽音部で積み重ねてきた時間があるけど、憂とムギちゃんにはそれがないでしょ」
唯「憂が二人の時間を必要だと思ってるなら、本当に必要なんだ」
唯「それともムギちゃんは憂と一緒にいたいと思わないの?」
紬「……唯ちゃん、ありがとう」
唯「憂を、よろしくね」
紬「ええ」
―――
―――
―――
―――
―――
―――
―――
―――
―――
唯「澪ちゃんとあずにゃんは軽音部で積み重ねてきた時間があるけど、憂とムギちゃんにはそれがないでしょ」
唯「憂が二人の時間を必要だと思ってるなら、本当に必要なんだ」
唯「それともムギちゃんは憂と一緒にいたいと思わないの?」
紬「……唯ちゃん、ありがとう」
唯「憂を、よろしくね」
紬「ええ」
―――
―――
―――
―――
―――
―――
―――
―――
―――
39: 2012/12/23(日) 03:51:12.42
憂(紬さんのところを飛び出して、私は電車に乗りました)
憂(東京駅で新幹線に乗り換え)
憂(紬さんのところから帰るときの新幹線は前から好きじゃなかったけど)
憂(今日のそれは今までと比べ物にならないぐらい最悪でした)
憂(……)
憂(紬さんが私のバイトのことで悩んでるのは知ってました)
憂(だから、会いに来て欲しくないというのが本音なのも知ってました)
憂(私が、本当に許せなかったのは)
憂(あのキスが――)
―――
―――
―――
40: 2012/12/23(日) 03:52:29.27
憂「……」
憂「……あさ」
憂(あの後なんとか家に帰って……)
憂(泣いてたら寝ちゃったんだ)
憂「……紬さん」
憂「私……私……」
紬「起きたんだ」
憂「えっ」
紬「おはよう、憂ちゃん」
憂「ここ私の家」
紬「そうだね」
41: 2012/12/23(日) 03:52:52.44
憂「どうして紬さんが」
紬「追いかけてきたから」
憂「でも鍵とか」
紬「唯ちゃんに借りちゃった」
憂「そう……ですか」
紬「憂ちゃん。ごめんなさい」
紬「一方的過ぎたよね」
憂「……」
紬「憂ちゃん。お話しましょう」
紬「きっと私たちには時間が足りていなかったの」
紬「お互いのことをよく知るための時間が」
紬「だから、ね」
憂「……はい」
紬「追いかけてきたから」
憂「でも鍵とか」
紬「唯ちゃんに借りちゃった」
憂「そう……ですか」
紬「憂ちゃん。ごめんなさい」
紬「一方的過ぎたよね」
憂「……」
紬「憂ちゃん。お話しましょう」
紬「きっと私たちには時間が足りていなかったの」
紬「お互いのことをよく知るための時間が」
紬「だから、ね」
憂「……はい」
42: 2012/12/23(日) 03:53:58.30
―――
―――
―――
紬「憂ちゃんは、私が唯ちゃんのこと好きだったって、知ってたんだね」
憂「はい。ずっと知ってました」
憂「まだ中学生だった頃、入学前に軽音部の見学にいったんです」
紬「純ちゃんと一緒のときね」
憂「はい。その時、紬さんを見てわかりました」
憂「この人はお姉ちゃんのことが好きだったんだな、って」
紬「見ただけでわかったの?」
憂「お姉ちゃんと手が触れたときの紬さんの表情」
憂「お姉ちゃんとお喋りしてるときの紬さんの笑顔」
憂「そういうのを見てると自然にわかっちゃったんです」
紬「そう……」
―――
―――
紬「憂ちゃんは、私が唯ちゃんのこと好きだったって、知ってたんだね」
憂「はい。ずっと知ってました」
憂「まだ中学生だった頃、入学前に軽音部の見学にいったんです」
紬「純ちゃんと一緒のときね」
憂「はい。その時、紬さんを見てわかりました」
憂「この人はお姉ちゃんのことが好きだったんだな、って」
紬「見ただけでわかったの?」
憂「お姉ちゃんと手が触れたときの紬さんの表情」
憂「お姉ちゃんとお喋りしてるときの紬さんの笑顔」
憂「そういうのを見てると自然にわかっちゃったんです」
紬「そう……」
43: 2012/12/23(日) 03:55:07.94
憂「この人は、必氏にお姉ちゃんを諦めようとしてるんだってわかって」
憂「紬さんのことを見るたび考えるようになったんです」
憂「どういうことを考えながらお姉ちゃんに紅茶をいれてるんだろう、とか」
憂「抱きつかれたときに何を想ってるんだろう、とか」
憂「そうしているうちに、いつの間にか、紬さんから目が離せなくなって」
紬「好きになってくれたの?」
憂「私、好きなんです」
憂「紬さんみたいに何かを諦めて、何かを選べる人のこと」
紬「ただ勇気がないだけだと思うけど」
憂「諦めるのだって勇気です。簡単にできることじゃありません。だって……私も」
紬「もしかして……」
憂「私もお姉ちゃんのことが好きだったんです」
憂「紬さんのことを見るたび考えるようになったんです」
憂「どういうことを考えながらお姉ちゃんに紅茶をいれてるんだろう、とか」
憂「抱きつかれたときに何を想ってるんだろう、とか」
憂「そうしているうちに、いつの間にか、紬さんから目が離せなくなって」
紬「好きになってくれたの?」
憂「私、好きなんです」
憂「紬さんみたいに何かを諦めて、何かを選べる人のこと」
紬「ただ勇気がないだけだと思うけど」
憂「諦めるのだって勇気です。簡単にできることじゃありません。だって……私も」
紬「もしかして……」
憂「私もお姉ちゃんのことが好きだったんです」
44: 2012/12/23(日) 03:55:46.70
憂「まだ小学生の頃の話だけど」
憂「あの頃のお姉ちゃんは今みたいに楽しそうにしてなかったけど」
憂「私にとってはとてもステキなお姉ちゃんだったから」
紬「そう…‥」
憂「でも女同士だし、姉妹だったから、諦めたんです」
紬「それで良かったの?」
憂「その答えは多分ありません」
憂「紬さんも一緒じゃないですか?」
紬「……うん」
憂「それでその……ごめんなさい!!」
紬「どうして憂ちゃんが謝るの?」
憂「お姉ちゃんのほうが、なんて言っちゃって」
紬「……いいのに」
憂「あの頃のお姉ちゃんは今みたいに楽しそうにしてなかったけど」
憂「私にとってはとてもステキなお姉ちゃんだったから」
紬「そう…‥」
憂「でも女同士だし、姉妹だったから、諦めたんです」
紬「それで良かったの?」
憂「その答えは多分ありません」
憂「紬さんも一緒じゃないですか?」
紬「……うん」
憂「それでその……ごめんなさい!!」
紬「どうして憂ちゃんが謝るの?」
憂「お姉ちゃんのほうが、なんて言っちゃって」
紬「……いいのに」
45: 2012/12/23(日) 03:56:15.89
憂「よくありません。酷いこと言ってしまいました」
紬「でも、怒らせることをした私が悪いから」
憂「そんな……」
紬「私、ここに来るまでの間、ずっと考えてたんだ」
紬「憂ちゃんがなんであんなに怒ったんだろ、って」
紬「よーく考えて一つの結論に達したの」
紬「ねぇ、憂ちゃん。私はどうしてキスしたと思ってる?」
憂「それは……」
紬「教えて」
憂「……会うのをやめたくないって反発する私を説得するための予防線……」
紬「やっぱり、そう思ってたんだ……ごめんね」
憂「……」
紬「でもね、本当は違うの」
紬「でも、怒らせることをした私が悪いから」
憂「そんな……」
紬「私、ここに来るまでの間、ずっと考えてたんだ」
紬「憂ちゃんがなんであんなに怒ったんだろ、って」
紬「よーく考えて一つの結論に達したの」
紬「ねぇ、憂ちゃん。私はどうしてキスしたと思ってる?」
憂「それは……」
紬「教えて」
憂「……会うのをやめたくないって反発する私を説得するための予防線……」
紬「やっぱり、そう思ってたんだ……ごめんね」
憂「……」
紬「でもね、本当は違うの」
47: 2012/12/23(日) 03:57:29.82
紬「会わなくなる前に、憂ちゃんにもっと近づきたいと思ったから」
紬「だからキスをしたの」
憂「……ほんとう?」
紬「ええ、本当」
憂「……ほんとう?」
紬「ええ、本当に本当」
憂「ほんとう……」
紬「ええ、本当に本当に本当なんだから」
憂(紬さんの言葉を聞いて、私は泣きだしてしまいました)
憂(紬さんはしばらく慌てふためいてから、私の頭を撫でてくれました)
憂(その手から紬さんの優しさが伝わってくるような気がして)
憂(私はますます泣いてしまいました)
―――
―――
―――
紬「だからキスをしたの」
憂「……ほんとう?」
紬「ええ、本当」
憂「……ほんとう?」
紬「ええ、本当に本当」
憂「ほんとう……」
紬「ええ、本当に本当に本当なんだから」
憂(紬さんの言葉を聞いて、私は泣きだしてしまいました)
憂(紬さんはしばらく慌てふためいてから、私の頭を撫でてくれました)
憂(その手から紬さんの優しさが伝わってくるような気がして)
憂(私はますます泣いてしまいました)
―――
―――
―――
49: 2012/12/23(日) 03:58:13.46
憂「……ずっと、紬さんは私のこと好きじゃないと思ってました」
紬「そうなの?」
憂「はい。一度も好きだって言ってくれませんでしたし」
紬「そうだっけ?」
憂「そうです」
憂「だからキスしようって言ってくれたとき、凄く嬉しかったんです」
憂「紬さんが私のこと好きだったんだ、ってわかって」
紬「そうだったんだ……」
憂「だからそのキスが、私を説得するための口実だと思ったら悔しくなっちゃって」
憂「飛び出してしまったんです」
紬「でもあのキスは……」
憂「好きだからしてくれたんですよね」
紬「//」
紬「そうなの?」
憂「はい。一度も好きだって言ってくれませんでしたし」
紬「そうだっけ?」
憂「そうです」
憂「だからキスしようって言ってくれたとき、凄く嬉しかったんです」
憂「紬さんが私のこと好きだったんだ、ってわかって」
紬「そうだったんだ……」
憂「だからそのキスが、私を説得するための口実だと思ったら悔しくなっちゃって」
憂「飛び出してしまったんです」
紬「でもあのキスは……」
憂「好きだからしてくれたんですよね」
紬「//」
50: 2012/12/23(日) 03:59:32.05
憂「紬さん?」
紬「な、なんでもないよ」
憂「照れてます?」
紬「……うん//」
憂「紬さん、かわいいです」
紬「そ、そんなことない//」
憂「照れてる紬さんかわいいです」
紬「もうっ……」
紬「でも憂ちゃんがそんなこと考えてたなんて……」
憂「そんなこと?」
紬「私が憂ちゃんのこと好きじゃない、って」
憂「はい……」
紬「いつもかわいいって言ってるのに」
紬「な、なんでもないよ」
憂「照れてます?」
紬「……うん//」
憂「紬さん、かわいいです」
紬「そ、そんなことない//」
憂「照れてる紬さんかわいいです」
紬「もうっ……」
紬「でも憂ちゃんがそんなこと考えてたなんて……」
憂「そんなこと?」
紬「私が憂ちゃんのこと好きじゃない、って」
憂「はい……」
紬「いつもかわいいって言ってるのに」
51: 2012/12/23(日) 04:00:37.26
憂「紬さん誰にでもかわいいって言います」
紬「沢山かわいいって言うのは、憂ちゃんにだけよ」
憂「そうなんですか?」
紬「私には憂ちゃんが世界で一番かわいく見えるもの」
憂「世界で一番だなんて//」
紬「それにね、好きだって言ってないのは憂ちゃんもでしょ」
憂「えっ」
紬「憂ちゃんから好きだって言ってもらったこと、まだないよ」
憂「でもボタンもらいました」
紬「好きだとは言われてない」
憂「付き合いたいの? って聞かれた時、頷きました」
紬「好きだとは言われてない」
憂「……」
紬「……」
紬「沢山かわいいって言うのは、憂ちゃんにだけよ」
憂「そうなんですか?」
紬「私には憂ちゃんが世界で一番かわいく見えるもの」
憂「世界で一番だなんて//」
紬「それにね、好きだって言ってないのは憂ちゃんもでしょ」
憂「えっ」
紬「憂ちゃんから好きだって言ってもらったこと、まだないよ」
憂「でもボタンもらいました」
紬「好きだとは言われてない」
憂「付き合いたいの? って聞かれた時、頷きました」
紬「好きだとは言われてない」
憂「……」
紬「……」
52: 2012/12/23(日) 04:01:27.55
憂「紬さん……」
紬「……うん」
憂「好きです」
紬「私も憂ちゃんのことが好き」
憂「お姉ちゃんよりも?」
紬「もちろん」
憂「それじゃあキスしてください」
紬「ええ」
憂(私と紬さんは二度目のキスをしました)
憂(二人の気持ちを確かめた上でのキス)
憂(一度目とどちらが良かったか聞かれると困りますが……)
憂(どちらも私にとって大切な思い出になりました)
紬「……うん」
憂「好きです」
紬「私も憂ちゃんのことが好き」
憂「お姉ちゃんよりも?」
紬「もちろん」
憂「それじゃあキスしてください」
紬「ええ」
憂(私と紬さんは二度目のキスをしました)
憂(二人の気持ちを確かめた上でのキス)
憂(一度目とどちらが良かったか聞かれると困りますが……)
憂(どちらも私にとって大切な思い出になりました)
53: 2012/12/23(日) 04:02:21.54
紬「あっ、そうだ。憂ちゃんにプレゼントがあるの」
憂「プレゼント?」
紬「これ」
憂「JRの切符入れ?」
紬「開いてみて」
憂「ひかりの回数券?」
紬「ええ、バイト代で買ったの」
憂「そんな……こんな高価なもの」
紬「やっぱり私思うの。高校生の憂ちゃんがバイトをしすぎるのは良くないって」
紬「唯ちゃんは気にすること無いって言ってたけど、やっぱり私はそう思えない」
紬「だからね。会うためにかかるお金を私に出させて」
54: 2012/12/23(日) 04:03:04.41
憂「……」
紬「ね」
憂「紬さん」
紬「なぁに」
憂「心がいっぱいです」
紬「そう」
憂「抱きしめてもいいですか」
紬「いいけど、横になっていい?」
憂「……?」
紬「昨日から寝てないからもう限界なの」
憂(紬さんは私の布団に潜り込んできました)
憂(私が紬さんを抱きしめると、そのまま眠りはじめました)
紬「ね」
憂「紬さん」
紬「なぁに」
憂「心がいっぱいです」
紬「そう」
憂「抱きしめてもいいですか」
紬「いいけど、横になっていい?」
憂「……?」
紬「昨日から寝てないからもう限界なの」
憂(紬さんは私の布団に潜り込んできました)
憂(私が紬さんを抱きしめると、そのまま眠りはじめました)
55: 2012/12/23(日) 04:04:42.74
憂(紬さんの優しい匂いに包まれていると、眠くなってきて)
憂(いつの間にか私も眠ってしまいました)
憂(その時、とってもステキな夢を見ました)
憂(私は白いドレスを着ていて……)
憂(紬さんもお揃いの白いドレスを着ていて……)
憂(ふたりはとっても幸せそうで……)
憂(お姉ちゃんと和ちゃん、軽音部のみんなも祝福してくれて……)
憂(……とっても幸せな、いつまでも見ていたい夢でした)
憂(でも、夢は夢です)
憂(やがて二人は目を覚まし、紬さんは遠い街へ帰ってしまいました)
憂(いつの間にか私も眠ってしまいました)
憂(その時、とってもステキな夢を見ました)
憂(私は白いドレスを着ていて……)
憂(紬さんもお揃いの白いドレスを着ていて……)
憂(ふたりはとっても幸せそうで……)
憂(お姉ちゃんと和ちゃん、軽音部のみんなも祝福してくれて……)
憂(……とっても幸せな、いつまでも見ていたい夢でした)
憂(でも、夢は夢です)
憂(やがて二人は目を覚まし、紬さんは遠い街へ帰ってしまいました)
56: 2012/12/23(日) 04:05:09.43
―――
―――
―――
―――
―――
―――
―――
―――
―――
57: 2012/12/23(日) 04:06:52.36
憂(次の金曜日、私はいつものように新幹線に乗って紬さんに会いに行きました)
憂(2時間15分、私は紬さんのことだけ考えて過ごします)
憂(あの時のことを想い出したり、これからのことを考えたりしていたら、時間はあっという間に過ぎてしまいましたが)
憂(紬さんの下宿に着き、鍵を開けようとすると後ろから声をかけられました)
紬「憂ちゃん!」
憂「紬さん!」
憂「どうして……もしかして講義を」
紬「ううん。走ってきたの」
憂「走ってって……」
紬「憂ちゃんに早くあいたかったから、ね」
憂「//」
58: 2012/12/23(日) 04:07:59.99
―――
――
―
憂「紬さん、ひとつ聞きたいことがあるんです」
紬「なぁに?」
憂「紬さんはどうして私のことを好きになったんですか?」
紬「憂ちゃん!」
憂「はい」
紬「講義で疲れて帰ってくると御飯を用意してくれる子がいるのよ」
紬「しかもその子は良く気が効いて」
紬「ちょっとさみしがりやで」
紬「とっても優しくて」
紬「私のことを好きだって言ってくれるの」
紬「好きにならない理由なんて、あるわけないじゃない」
憂「//」
――
―
憂「紬さん、ひとつ聞きたいことがあるんです」
紬「なぁに?」
憂「紬さんはどうして私のことを好きになったんですか?」
紬「憂ちゃん!」
憂「はい」
紬「講義で疲れて帰ってくると御飯を用意してくれる子がいるのよ」
紬「しかもその子は良く気が効いて」
紬「ちょっとさみしがりやで」
紬「とっても優しくて」
紬「私のことを好きだって言ってくれるの」
紬「好きにならない理由なんて、あるわけないじゃない」
憂「//」
59: 2012/12/23(日) 04:09:02.76
紬「こんなにかわいいし」ギュ
憂「もうっ……//」
紬「あっ、ちょっと話は変わるんだけど、いいかな」
憂「なんですか」
紬「バイトはちゃんとやめた?」
憂「週一回に減らしました」
紬「う~ん。それくらいならいいかなぁー」
憂「はい。それくらいは多めにみてください」
紬「そうだね」
憂「そうです!」
憂「もうっ……//」
紬「あっ、ちょっと話は変わるんだけど、いいかな」
憂「なんですか」
紬「バイトはちゃんとやめた?」
憂「週一回に減らしました」
紬「う~ん。それくらいならいいかなぁー」
憂「はい。それくらいは多めにみてください」
紬「そうだね」
憂「そうです!」
60: 2012/12/23(日) 04:09:42.86
紬「でもバイトを続けるなんて、何か買いたいものでもあるの?」
憂「はい」
紬「なになに、教えてっ!」
憂「教えません」
紬「ねぇ、教えてって!」
憂「教えません」
紬「憂ちゃんのいじわる~」
憂「ふふふ」
憂(お金がたまったら教えてあげます)
憂(だって私達、もう結婚できる年齢だから)
おしまいっ!
憂「はい」
紬「なになに、教えてっ!」
憂「教えません」
紬「ねぇ、教えてって!」
憂「教えません」
紬「憂ちゃんのいじわる~」
憂「ふふふ」
憂(お金がたまったら教えてあげます)
憂(だって私達、もう結婚できる年齢だから)
おしまいっ!
62: 2012/12/23(日) 04:10:45.33
桜ヶ丘高校は滋賀、N女子大は東京という設定で書かせてもらった
読んでくれた人ありがとう
読んでくれた人ありがとう
61: 2012/12/23(日) 04:10:14.12
乙
99: 2012/12/23(日) 13:19:14.62
保守されても困る
引用元: 紬「ある梅雨の終わり」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります