1: 2021/10/31(日) 18:08:40.681
男「ふんっ!」ギュッ
被害者「ぐえっ!」
ドサッ…
男「はぁ、はぁ、はぁ……頃しちゃった」
頃し屋「……」
男「え」
男(いつの間に……。やばい、殺人を目撃されちゃった……!)
頃し屋(おいおいマジかよ。標的を先に殺られちまった……!)
被害者「ぐえっ!」
ドサッ…
男「はぁ、はぁ、はぁ……頃しちゃった」
頃し屋「……」
男「え」
男(いつの間に……。やばい、殺人を目撃されちゃった……!)
頃し屋(おいおいマジかよ。標的を先に殺られちまった……!)
3: 2021/10/31(日) 18:11:30.826
男(どうしよ、口封じするか……?)
男(いやだけどもう落ちついちゃって、とても二人目ってテンションじゃ……)
男「あ、あの……」
頃し屋「……」
男「できれば……通報とかはやめて欲しいっていうか……」
頃し屋「え。あ、いや……通報するつもりなんかねえよ」
男「え、どうしてですか」
頃し屋「だって俺、頃し屋だからさ……。倒れてるそいつを頃しに来てたんだ」
男「あ、そうだったんですか」
頃し屋「まあ、お前に先に殺られちゃったけど……」
男「なんかすみません……」
頃し屋「別にいいさ」
男(いやだけどもう落ちついちゃって、とても二人目ってテンションじゃ……)
男「あ、あの……」
頃し屋「……」
男「できれば……通報とかはやめて欲しいっていうか……」
頃し屋「え。あ、いや……通報するつもりなんかねえよ」
男「え、どうしてですか」
頃し屋「だって俺、頃し屋だからさ……。倒れてるそいつを頃しに来てたんだ」
男「あ、そうだったんですか」
頃し屋「まあ、お前に先に殺られちゃったけど……」
男「なんかすみません……」
頃し屋「別にいいさ」
5: 2021/10/31(日) 18:14:18.671
頃し屋「依頼人にどう話すかってのは悩むところだけどな。俺の手でやらなきゃ金もらえないだろうし」
男「あ、だったらあなたが頃したことにすれば……」
頃し屋「いや、そういうのってバレると一気に信頼失うからさ。金は惜しいがやめておくわ」
男「そういうものですか」
頃し屋「そういうもんさ」
男「ところで……なんでこの人はあなたに狙われることになったんでしょう?」
頃し屋「え、お前こいつ知らねえのか?」
男「す、すみません。勉強不足で……」
男「あ、だったらあなたが頃したことにすれば……」
頃し屋「いや、そういうのってバレると一気に信頼失うからさ。金は惜しいがやめておくわ」
男「そういうものですか」
頃し屋「そういうもんさ」
男「ところで……なんでこの人はあなたに狙われることになったんでしょう?」
頃し屋「え、お前こいつ知らねえのか?」
男「す、すみません。勉強不足で……」
6: 2021/10/31(日) 18:17:13.534
頃し屋「こいつは大物政治家だよ。テレビにもよく出てるだろ?」
男「僕、あまりテレビ見ないんで……」
頃し屋「見なくても知ってるレベルの大物だけど……まあいいか」
男「でも、そんな大物がどうして殺されなきゃならないんです?」
頃し屋「詳しくはいえねえが、防衛上の機密とかを某国に流してたらしい。大金をもらってな」
男「うわ、そんなことやってたんですか」
頃し屋「ああ、立派な売国奴だよ。ま、近いうち誰かに消される運命だったろうな」
男「それが今日になっちゃったわけですか……」
頃し屋「だから、とりあえず俺が通報することはねえ。安心しな」
男「どうも……助かります」
男「僕、あまりテレビ見ないんで……」
頃し屋「見なくても知ってるレベルの大物だけど……まあいいか」
男「でも、そんな大物がどうして殺されなきゃならないんです?」
頃し屋「詳しくはいえねえが、防衛上の機密とかを某国に流してたらしい。大金をもらってな」
男「うわ、そんなことやってたんですか」
頃し屋「ああ、立派な売国奴だよ。ま、近いうち誰かに消される運命だったろうな」
男「それが今日になっちゃったわけですか……」
頃し屋「だから、とりあえず俺が通報することはねえ。安心しな」
男「どうも……助かります」
8: 2021/10/31(日) 18:20:52.018
黒服「ボス、覚悟!」
男「うわっ!?」
頃し屋「誰だ!」サッ
黒服「ん……あれ、ボス? し、氏んでる……!」
男「ひ、ひいいい……!」
頃し屋「ひょっとしてお前……そこで倒れてる奴、頃しに来たのか?」
黒服「ああ、そうだが……」
頃し屋「そいつなら、今さっきこいつが殺っちゃったぜ」
男「僕です……」
黒服「そうだったのか」
男「うわっ!?」
頃し屋「誰だ!」サッ
黒服「ん……あれ、ボス? し、氏んでる……!」
男「ひ、ひいいい……!」
頃し屋「ひょっとしてお前……そこで倒れてる奴、頃しに来たのか?」
黒服「ああ、そうだが……」
頃し屋「そいつなら、今さっきこいつが殺っちゃったぜ」
男「僕です……」
黒服「そうだったのか」
10: 2021/10/31(日) 18:23:55.460
黒服「まあいい。なら手間がはぶけたというもの。礼をいう」
男「ど、どうも」
頃し屋「お前は何者だ? こいつをボスっていってたが……」
黒服「この男は我々の組織のボスだ」
男「組織のボス?」
黒服「犯罪組織≪エビル≫のな……」
頃し屋「エビル……! こいつ政治家でありながら、エビルのボスやってたのかよ!」
黒服「前ボスが亡くなったところで、金を積んで一気にボスになったんだ」
男(やばい、全然知らないんだけど……)
男「ど、どうも」
頃し屋「お前は何者だ? こいつをボスっていってたが……」
黒服「この男は我々の組織のボスだ」
男「組織のボス?」
黒服「犯罪組織≪エビル≫のな……」
頃し屋「エビル……! こいつ政治家でありながら、エビルのボスやってたのかよ!」
黒服「前ボスが亡くなったところで、金を積んで一気にボスになったんだ」
男(やばい、全然知らないんだけど……)
11: 2021/10/31(日) 18:26:35.261
頃し屋「しかし、なんでご法度のボス頃しなんかを?」
黒服「こいつがボスになってから組織はひどい有様でな。前ボスはやらなかったようなゲスな商売もやるようになってしまった」
黒服「このままでは組織は腐っていく一方……というわけで暗頃することが決まったわけだ」
黒服「といっても、先に殺されていたわけだが……」
頃し屋「エビルには世話になったこともあったし、これからは組織が立ち直るといいな」
黒服「ああ、そうしていくつもりだ」
男(犯罪組織が立ち直っていいのだろうか)
頃し屋「あ……ところで、○×さんって元気? たしかエビル所属だったよな?」
黒服「あの人は今では幹部をやってる」
頃し屋「へぇ~、幹部か! 甘党なのは相変わらず?」
黒服「女子高生にまじってクレープを食べるなどしょっちゅうだ」
頃し屋「出世しても変わらねえな」
男(なんか裏社会談議で盛り上がってる……)
黒服「こいつがボスになってから組織はひどい有様でな。前ボスはやらなかったようなゲスな商売もやるようになってしまった」
黒服「このままでは組織は腐っていく一方……というわけで暗頃することが決まったわけだ」
黒服「といっても、先に殺されていたわけだが……」
頃し屋「エビルには世話になったこともあったし、これからは組織が立ち直るといいな」
黒服「ああ、そうしていくつもりだ」
男(犯罪組織が立ち直っていいのだろうか)
頃し屋「あ……ところで、○×さんって元気? たしかエビル所属だったよな?」
黒服「あの人は今では幹部をやってる」
頃し屋「へぇ~、幹部か! 甘党なのは相変わらず?」
黒服「女子高生にまじってクレープを食べるなどしょっちゅうだ」
頃し屋「出世しても変わらねえな」
男(なんか裏社会談議で盛り上がってる……)
12: 2021/10/31(日) 18:29:34.212
会社員「社長ォォォォォ! もう我慢できません!」
頃し屋「!」バッ
黒服「!」バッ
男「うわぁっ!?」
会社員「あれ? わーっ、社長が倒れてる!」
男(普通っぽい人が来た! まずい、通報されたら……!)
会社員「なんてことだ……。せっかく頃しにきたのに……」
男「え」
頃し屋「!」バッ
黒服「!」バッ
男「うわぁっ!?」
会社員「あれ? わーっ、社長が倒れてる!」
男(普通っぽい人が来た! まずい、通報されたら……!)
会社員「なんてことだ……。せっかく頃しにきたのに……」
男「え」
13: 2021/10/31(日) 18:32:29.878
頃し屋「お前、こいつを頃しに来たのか?」
会社員「そうなんです」
男「“社長”っていってたけど、この人もしかして……」
会社員「はい、勤めてる会社の社長でした」
頃し屋「会社経営までしてたのかよ。忙しい野郎だ」
黒服「しかし、なぜ社長を頃しにきたんだ?」
会社員「ウチの会社がとてつもないブラック企業だったからですよ!」
会社員「月月火水木金金を地でいくような会社で、過労氏もバタバタ出てました」
会社員「待遇改善を訴えたら、奴はこう言い放ったんです」
会社員「『チェスの駒に待遇を考える必要があるか?』って……」
頃し屋「マジかよ」
黒服「過労氏隠蔽も、奴ならお手の物だったろうな」
男「なにしろ大物政治家で、悪の組織ボスですもんねえ」
会社員「そうなんです」
男「“社長”っていってたけど、この人もしかして……」
会社員「はい、勤めてる会社の社長でした」
頃し屋「会社経営までしてたのかよ。忙しい野郎だ」
黒服「しかし、なぜ社長を頃しにきたんだ?」
会社員「ウチの会社がとてつもないブラック企業だったからですよ!」
会社員「月月火水木金金を地でいくような会社で、過労氏もバタバタ出てました」
会社員「待遇改善を訴えたら、奴はこう言い放ったんです」
会社員「『チェスの駒に待遇を考える必要があるか?』って……」
頃し屋「マジかよ」
黒服「過労氏隠蔽も、奴ならお手の物だったろうな」
男「なにしろ大物政治家で、悪の組織ボスですもんねえ」
15: 2021/10/31(日) 18:35:26.403
会社員「ちなみに……誰が社長を?」
頃し屋「こいつだ」
会社員「この手で殺せなかったのは残念ですが、私だと失敗してたかもしれません。ありがとうございます!」ガシッ
男「はぁ……どういたしまして」
頃し屋「さて、あんまり長居してるのもまずい。そろそろ解散するか?」
黒服「うむ、そうだな」
男「くれぐれも僕が犯人だってのは内密に……」
アイドル「よくも私を捨てたわね!」
男「うわっ!?」
男(僕の大好きなアイドルちゃんが……なぜここに!?)
アイドル「許さない! ……ってあれ? 氏んでるじゃない!」
頃し屋「こいつだ」
会社員「この手で殺せなかったのは残念ですが、私だと失敗してたかもしれません。ありがとうございます!」ガシッ
男「はぁ……どういたしまして」
頃し屋「さて、あんまり長居してるのもまずい。そろそろ解散するか?」
黒服「うむ、そうだな」
男「くれぐれも僕が犯人だってのは内密に……」
アイドル「よくも私を捨てたわね!」
男「うわっ!?」
男(僕の大好きなアイドルちゃんが……なぜここに!?)
アイドル「許さない! ……ってあれ? 氏んでるじゃない!」
19: 2021/10/31(日) 18:40:18.976
頃し屋「もしかして、あの男を頃しに?」
アイドル「そうよ」
会社員「国民的アイドルであるあなたがなぜ……?」
アイドル「絶対オフレコだけど、私この男の愛人だったの」
男(なんだってぇ!?)
アイドル「私、あの人にアイドルとして見出され、あの人に惚れて、あの人のために頑張ったのに……」
アイドル「『金になりそうだから親しくしただけだ。もう女として興味はない』って……」
黒服「奴のやりそうなことだ。奴の妖しい魅力にとりつかれ、捨てられた女はいくらでもいた」
会社員「アイドルさんもその一人というわけですか。ひどい話です」
男(最悪なんだけど……知りたくなかった。もうファンやめよう)
アイドル「そうよ」
会社員「国民的アイドルであるあなたがなぜ……?」
アイドル「絶対オフレコだけど、私この男の愛人だったの」
男(なんだってぇ!?)
アイドル「私、あの人にアイドルとして見出され、あの人に惚れて、あの人のために頑張ったのに……」
アイドル「『金になりそうだから親しくしただけだ。もう女として興味はない』って……」
黒服「奴のやりそうなことだ。奴の妖しい魅力にとりつかれ、捨てられた女はいくらでもいた」
会社員「アイドルさんもその一人というわけですか。ひどい話です」
男(最悪なんだけど……知りたくなかった。もうファンやめよう)
20: 2021/10/31(日) 18:42:29.960
頃し屋「今でも愛してるのか?」
アイドル「まさか。もしそうなら頃しになんか来ない。あるのは憎しみだけ」
アイドル「あ、そういえば、あいつを頃したのは誰?」
男「ぼ、僕です……」
アイドル「ふーん。そうだったんだ」
男(やばい、やっぱり愛してて、『よくもあの人を!』みたいなことに……)
アイドル「ありがと」チュッ
男「……!」
男(やっぱファンやめるのやめよう! これからもあなたを応援します!)
アイドル「まさか。もしそうなら頃しになんか来ない。あるのは憎しみだけ」
アイドル「あ、そういえば、あいつを頃したのは誰?」
男「ぼ、僕です……」
アイドル「ふーん。そうだったんだ」
男(やばい、やっぱり愛してて、『よくもあの人を!』みたいなことに……)
アイドル「ありがと」チュッ
男「……!」
男(やっぱファンやめるのやめよう! これからもあなたを応援します!)
22: 2021/10/31(日) 18:45:10.663
実験体「博士ぇ! よくもおでをこんな体にしたなぁ!」ズシンッ
男「うわあああっ!」
頃し屋「うおっ!?」
黒服「なんだこの化け物は!?」
会社員「ひいいっ!」
アイドル「きゃああああっ!」
実験体「怖がらせてごめん。おで、おで……」
男「……」
男「まさか、この男を頃しにきたんじゃ……」
実験体「そう、博士! あっ、博士、氏んでる!」
頃し屋「博士? 博士ってのはどういうことだよ」
黒服「ボスにまた新しい肩書きが増えるのか」
男「うわあああっ!」
頃し屋「うおっ!?」
黒服「なんだこの化け物は!?」
会社員「ひいいっ!」
アイドル「きゃああああっ!」
実験体「怖がらせてごめん。おで、おで……」
男「……」
男「まさか、この男を頃しにきたんじゃ……」
実験体「そう、博士! あっ、博士、氏んでる!」
頃し屋「博士? 博士ってのはどういうことだよ」
黒服「ボスにまた新しい肩書きが増えるのか」
24: 2021/10/31(日) 18:48:33.585
男「そうか……実験台にさせられて……」
黒服「人間を改造して兵器にしようとするなど、恐ろしいことを考える……」
アイドル「可哀想……」
実験体「うん、だけど博士、もういない。やっつけてくれてありがとう」
男「あ、うん……。とりあえず、よかったね」
実験体「でもおで、これからどうすれば……」
アイドル「あ、だったら私の家来れば?」
実験体「え、いいのか」
アイドル「うん、よく見たら可愛いし、頼もしいボディガードになってくれそうだし!」
実験体「おで、頑張る!」
男(いいなぁ、羨ましい。俺も実験台にされてればよかった……)
黒服「人間を改造して兵器にしようとするなど、恐ろしいことを考える……」
アイドル「可哀想……」
実験体「うん、だけど博士、もういない。やっつけてくれてありがとう」
男「あ、うん……。とりあえず、よかったね」
実験体「でもおで、これからどうすれば……」
アイドル「あ、だったら私の家来れば?」
実験体「え、いいのか」
アイドル「うん、よく見たら可愛いし、頼もしいボディガードになってくれそうだし!」
実験体「おで、頑張る!」
男(いいなぁ、羨ましい。俺も実験台にされてればよかった……)
26: 2021/10/31(日) 18:51:21.279
武術家「たのもう!」
男「また来た!」
武術家「いざ勝負! ……む、氏んでいる」
頃し屋「ああ、そいつならもう殺されたぜ。こいつに」
男「犯人です」ペコッ
武術家「そうだったのか……。先を越されたのならば仕方あるまい。私が未熟だった」
会社員「道着を着てらっしゃいますが、武道かなにかを?」
武術家「うむ、道場を営んでいる」
アイドル「ふーん。どういう因縁があったか教えてよ!」
武術家「よかろう。かつて、こいつは我が道場に現れ、父と大勢の弟子を頃したのだ」
男(なんかカンフー映画にありそうな話だな)
男「また来た!」
武術家「いざ勝負! ……む、氏んでいる」
頃し屋「ああ、そいつならもう殺されたぜ。こいつに」
男「犯人です」ペコッ
武術家「そうだったのか……。先を越されたのならば仕方あるまい。私が未熟だった」
会社員「道着を着てらっしゃいますが、武道かなにかを?」
武術家「うむ、道場を営んでいる」
アイドル「ふーん。どういう因縁があったか教えてよ!」
武術家「よかろう。かつて、こいつは我が道場に現れ、父と大勢の弟子を頃したのだ」
男(なんかカンフー映画にありそうな話だな)
27: 2021/10/31(日) 18:54:21.638
黒服「厳しいことを言うようだが、道場破りにやられたのならば、それは勝負の結果ではないのか?」
武術家「うむ、真っ当な試合ならばな。しかし、奴は毒針を使っていた」
会社員「毒!?」
武術家「拳に針を握り込んで、こっそりと刺していたのだ」
頃し屋「武道というより、俺らの手口じゃねえか。とんでもねえな」
武術家「だから私はこいつを許せず、修行を重ね、今日リベンジに参ったのだが……」
男「なんかすみません、本当に」
武術家「いや、気にすることはない。奴は殺されて当然の男だったのだ」
黒服「まったくどれだけ悪行を重ねれば気が済むんだ、こいつは」
アイドル「ホントよね、信じらんない!」
会社員「氏者に鞭打つことに全く罪悪感を覚えませんよ」
武術家「うむ、真っ当な試合ならばな。しかし、奴は毒針を使っていた」
会社員「毒!?」
武術家「拳に針を握り込んで、こっそりと刺していたのだ」
頃し屋「武道というより、俺らの手口じゃねえか。とんでもねえな」
武術家「だから私はこいつを許せず、修行を重ね、今日リベンジに参ったのだが……」
男「なんかすみません、本当に」
武術家「いや、気にすることはない。奴は殺されて当然の男だったのだ」
黒服「まったくどれだけ悪行を重ねれば気が済むんだ、こいつは」
アイドル「ホントよね、信じらんない!」
会社員「氏者に鞭打つことに全く罪悪感を覚えませんよ」
29: 2021/10/31(日) 18:57:26.708
武術家「しかし、この鍛えた体、どうすべきか……」
頃し屋「まさか、頃し屋にスカウトってわけにもいかねえしな」
実験体「なら、時々おでが相手になる!」
武術家「! いいのか」
実験体「おで強いし、きっといい稽古できる!」
武術家「ありがとう。こんなところで戦友(とも)に出会えるとは思わなんだ」
アイドル「やったね!」
男「えーと……もういいですよね? そろそろ解散ってことで……。早くしないと……」
狐娘「妖術師、ついに見つけたぞ!」
男「ほら、また来たァ!」
頃し屋「まさか、頃し屋にスカウトってわけにもいかねえしな」
実験体「なら、時々おでが相手になる!」
武術家「! いいのか」
実験体「おで強いし、きっといい稽古できる!」
武術家「ありがとう。こんなところで戦友(とも)に出会えるとは思わなんだ」
アイドル「やったね!」
男「えーと……もういいですよね? そろそろ解散ってことで……。早くしないと……」
狐娘「妖術師、ついに見つけたぞ!」
男「ほら、また来たァ!」
31: 2021/10/31(日) 19:00:35.506
黒服「ん?」
会社員「女の子……?」
男「えぇと、君は?」
狐娘「ワシは狐娘じゃ」
アイドル「かわいい~!」
狐娘「な、なんじゃ。馴れ馴れしいぞ」
武術家「ひょっとして、この男を頃しに?」
狐娘「その通りじゃ。もう殺られてしまったようじゃがのう」
男「しかし、君みたいな子供がなぜ、この男を?」
狐娘「子供!? 失敬な、ワシは800歳じゃ!」
男「は、800歳!?(8歳にしか見えない……)」
頃し屋「ここにいるのはみんな、こいつに恨みがあった奴らだ。あんたも話を聞かせてくれよ」
狐娘「うむ、仕方ないのう。耳かっぽじってようく聞け」
会社員「女の子……?」
男「えぇと、君は?」
狐娘「ワシは狐娘じゃ」
アイドル「かわいい~!」
狐娘「な、なんじゃ。馴れ馴れしいぞ」
武術家「ひょっとして、この男を頃しに?」
狐娘「その通りじゃ。もう殺られてしまったようじゃがのう」
男「しかし、君みたいな子供がなぜ、この男を?」
狐娘「子供!? 失敬な、ワシは800歳じゃ!」
男「は、800歳!?(8歳にしか見えない……)」
頃し屋「ここにいるのはみんな、こいつに恨みがあった奴らだ。あんたも話を聞かせてくれよ」
狐娘「うむ、仕方ないのう。耳かっぽじってようく聞け」
32: 2021/10/31(日) 19:03:44.038
狐娘「こやつは妖術師じゃ。様々な摩訶不思議な術を会得し、悪さをしておった」
狐娘「やがて妖怪の力を欲したこやつはワシらの村にやってきて、仲間を大勢頃し、力を奪ったのじゃ」
狐娘「以来、ワシはこやつを追っていたのじゃが……」
男「ホントごめんなさい」
狐娘「かまわぬ。ワシが戦っても、勝つのは難しかったじゃろう。これでよかったんじゃ」
頃し屋「妖術師かよ……ホント忙しい奴だったんだな」
黒服「うむ、だがこいつは更に隠された正体を持ってる気がするぞ」
実験体「おでもそう思う」コクッ
アイドル「私もー!」
男「いや、そんなことないでしょ……(これ以上なにかあってたまるか)」
狐娘「やがて妖怪の力を欲したこやつはワシらの村にやってきて、仲間を大勢頃し、力を奪ったのじゃ」
狐娘「以来、ワシはこやつを追っていたのじゃが……」
男「ホントごめんなさい」
狐娘「かまわぬ。ワシが戦っても、勝つのは難しかったじゃろう。これでよかったんじゃ」
頃し屋「妖術師かよ……ホント忙しい奴だったんだな」
黒服「うむ、だがこいつは更に隠された正体を持ってる気がするぞ」
実験体「おでもそう思う」コクッ
アイドル「私もー!」
男「いや、そんなことないでしょ……(これ以上なにかあってたまるか)」
33: 2021/10/31(日) 19:06:51.264
勇者「年貢の納め時だ!」
男「なにかあった!」
頃し屋「なんだ、この鎧をつけた男は」
アイドル「かっこいい~! 若手の俳優さん?」
会社員「ゲームかなにかの勇者が、そのまま現実に飛び出してきたような風貌ですね」
勇者「その通り、私は勇者! 魔王を倒す使命を担っている!」
男「は……?」
勇者「と思ったが……どうやらもう氏んでいるようだ」
頃し屋「ちょっと待てよ。こいつの正体ってまさか……」
勇者「ああ、倒れてるこの男の正体は……魔王だったのだ!」
他全員「なんだってぇ!?」
男「なにかあった!」
頃し屋「なんだ、この鎧をつけた男は」
アイドル「かっこいい~! 若手の俳優さん?」
会社員「ゲームかなにかの勇者が、そのまま現実に飛び出してきたような風貌ですね」
勇者「その通り、私は勇者! 魔王を倒す使命を担っている!」
男「は……?」
勇者「と思ったが……どうやらもう氏んでいるようだ」
頃し屋「ちょっと待てよ。こいつの正体ってまさか……」
勇者「ああ、倒れてるこの男の正体は……魔王だったのだ!」
他全員「なんだってぇ!?」
35: 2021/10/31(日) 19:09:39.126
勇者「私はかつて、この世界とは違う世界で、魔王を追い詰めた……」
勇者「だが、魔王は秘術を使って、どこぞの世界へ転生してしまったのだ」
黒服「前世から見苦しいことをする輩だったんだな」
勇者「私はようやく魔王のいる世界を突き止め、やってきたというわけだ」
会社員「だけど先に倒されていた、と」
狐娘「わざわざご苦労じゃのう」
男「いや、なんかもう……ホントすみません。謝ることしかできません」
勇者「かまわない。奴は本当に邪悪だから、誰が倒したって問題ないんだ」
勇者「よくやってくれた! 君こそ真の勇者だ!」
男「どうも……」
勇者「だが、魔王は秘術を使って、どこぞの世界へ転生してしまったのだ」
黒服「前世から見苦しいことをする輩だったんだな」
勇者「私はようやく魔王のいる世界を突き止め、やってきたというわけだ」
会社員「だけど先に倒されていた、と」
狐娘「わざわざご苦労じゃのう」
男「いや、なんかもう……ホントすみません。謝ることしかできません」
勇者「かまわない。奴は本当に邪悪だから、誰が倒したって問題ないんだ」
勇者「よくやってくれた! 君こそ真の勇者だ!」
男「どうも……」
37: 2021/10/31(日) 19:12:13.362
被害者「……」グジュグジュ…
頃し屋「あっ!」
黒服「ボスの体が溶けていく……」
勇者「魔族が氏ねば例外なくこうなる。魔王の……最期だ」
男(あいつ、ホントに魔王だったのか……)
頃し屋「さてと、こうして被害者の会が集まったわけだし、ここらで宴でもしねえか!?」
狐娘「ええのう!」
会社員「賛成です!」
アイドル「やろうやろう!」
男「あ、僕はこれで……」
頃し屋「主役が来なくてどうすんだよ! さ、行くぜ!」
男「は、はい……」
頃し屋「あっ!」
黒服「ボスの体が溶けていく……」
勇者「魔族が氏ねば例外なくこうなる。魔王の……最期だ」
男(あいつ、ホントに魔王だったのか……)
頃し屋「さてと、こうして被害者の会が集まったわけだし、ここらで宴でもしねえか!?」
狐娘「ええのう!」
会社員「賛成です!」
アイドル「やろうやろう!」
男「あ、僕はこれで……」
頃し屋「主役が来なくてどうすんだよ! さ、行くぜ!」
男「は、はい……」
38: 2021/10/31(日) 19:14:28.379
ワイワイ…
黒服「よかったら、エビル専属の頃し屋にならんか?」
頃し屋「ん~、どうしようかな。フリーのが気楽だし……」
アイドル「今夜は飲むぞぉ~!」
実験体「おでも!」
会社員「どんどん飲みましょう!」
狐娘「ワシの村の酒はどうじゃ? うまいぞ!」
武術家「おお、これはイケる!」
勇者「この世界の料理と酒も美味だな。来てよかった」
ガヤガヤ…
男「……」
黒服「よかったら、エビル専属の頃し屋にならんか?」
頃し屋「ん~、どうしようかな。フリーのが気楽だし……」
アイドル「今夜は飲むぞぉ~!」
実験体「おでも!」
会社員「どんどん飲みましょう!」
狐娘「ワシの村の酒はどうじゃ? うまいぞ!」
武術家「おお、これはイケる!」
勇者「この世界の料理と酒も美味だな。来てよかった」
ガヤガヤ…
男「……」
40: 2021/10/31(日) 19:18:01.761
アイドル「じゃ、そろそろ……宴には華が必要でしょ?」
頃し屋「おっ?」
アイドル「歌いまーす!」
イェ~イ!
~♪ ~♪ ~♪
会社員「いいぞーっ!」
武術家「ヒューヒュー!」
狐娘「ふむ、なかなかいい歌声じゃ。妖怪であるワシの心にも響いてきよる」
実験体「おで、楽しい! みんなと出会えて、よかった!」
黒服「今まで酷い目にあった分、幸せを掴めよ」
男「……」
頃し屋「おっ?」
アイドル「歌いまーす!」
イェ~イ!
~♪ ~♪ ~♪
会社員「いいぞーっ!」
武術家「ヒューヒュー!」
狐娘「ふむ、なかなかいい歌声じゃ。妖怪であるワシの心にも響いてきよる」
実験体「おで、楽しい! みんなと出会えて、よかった!」
黒服「今まで酷い目にあった分、幸せを掴めよ」
男「……」
41: 2021/10/31(日) 19:21:37.760
アイドル「あなたの~、ハートに~、恋の弾丸スナイプしちゃうぞ~♪」
ヒューヒュー! ピーピー!
アイドル「みんなも一緒に歌おう!」
オーッ!!!
男(よかった……みんな宴に夢中になってくれてる……)
男(このままいけば、俺が“奴を頃した理由”は聞かれずに済みそうだな)
ヒューヒュー! ピーピー!
アイドル「みんなも一緒に歌おう!」
オーッ!!!
男(よかった……みんな宴に夢中になってくれてる……)
男(このままいけば、俺が“奴を頃した理由”は聞かれずに済みそうだな)
44: 2021/10/31(日) 19:23:16.771
男(だって俺があいつを頃した理由が――)
男(道端で肩がぶつかって謝られなかったからムカッときて、後をつけてロープで首絞めて頃したなんて知ったら)
男(みんなガッカリするに決まってるもん)
END
男(道端で肩がぶつかって謝られなかったからムカッときて、後をつけてロープで首絞めて頃したなんて知ったら)
男(みんなガッカリするに決まってるもん)
END
47: 2021/10/31(日) 19:31:04.990
乙
魔王の断末魔「ぐえっ!」かよw
魔王の断末魔「ぐえっ!」かよw
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