1: 2013/09/29(日) 16:36:44.10
【ある日の夜、事務所】

P「はぁ……残業とかついてない……」

P「音無さんも帰ったし、一人って寂しいなぁ……」

P「これで終わりだし、さっさと――」

プルルルル……

P「電話?社長からか」

P「もしもし社長?どうしましたか?」

P「え?黒井社長と飲んでる?で、俺も来ないか……と」

P「はい、はい。分かりました。すぐそちらに向かいます」

ブツッ……

P「人が残業してる時に飲み会とは、いいご身分――いや、身分はいいけども」

P「まあ、黒井社長から経営の話を聞けるみたいだからいいか」

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1380440203

2: 2013/09/29(日) 16:37:12.14
【料亭】

P「社長、お待たせしました」

高木「いやいや。来てくれて嬉しいよ。ささ、中へ」

P「はい。それにしても、黒井社長と飲むなんて珍しいですね」

高木「まあ、旧知の仲だからね。飲み会もするさ」

P「そういえばそうですね。えーと、この部屋ですか?」

高木「うむ。ああっと、すまないが私は少しお手洗いに行ってくるよ」

高木「しばらく席を外すが、まあゆっくりしてくれたまえ」

P「はい、分かりました」

3: 2013/09/29(日) 16:38:29.82
ガラッ

P「黒井社長。本日はお招き頂き、ありがとうございま――って酒臭っ!」

黒井「……うん?高木の奴はどこだ?」

P「社長はお手洗いに行きましたが……」

黒井「チィ……逃げたか……まあいい」

黒井「貴様は確か、765のへっぽこプロデューサーだな?」

P「へっぽこは余計ですが、そうです」

黒井「私の業務内容が聞きたいか?」

P「ええ。叶うのならば、是非とも――」

黒井「私の業務内容が聞きたいか?」

P(あ、これスケープゴートだ)

P(社長め……月夜ばかりと思うなよ)

――――――――――――――――――――

高木「へっくしゅ!」

高木「誰かが噂しているな……彼だろうか?」

高木「まあ、お金は10万ばかり置いてきたし、楽しんでくれているだろう。あっはっは!」

――――――――――――――――――――

4: 2013/09/29(日) 16:38:56.68
黒井「私の業務内容が聞きたいか?」

P「黒井社長、それ三回目――」

黒井「馬鹿め!誰が喋っていいと言った!」

P(うぜぇ……)

P「す、すみませ――」

黒井「馬鹿め!同じ事を二度言わせるな!」

P「…………」

黒井「…………」

P「…………」

黒井「だんまりでは話が進まんではないか!」

P「どうしろって言うんですか!?」

5: 2013/09/29(日) 16:39:31.62
黒井「私の業務内容が聞きたいか?」

P「すみません黒井社長。私はこれで――」

黒井「私の朝は一杯のコーヒーから始まる」

P(勝手に語り始めた……)

黒井「一杯のコーヒーから始まる」

P「はぁ……」

黒井「一杯のコーヒーから――」

P「知りませんよ!」

6: 2013/09/29(日) 16:40:00.21
黒井「ここで貴様の小さな脳みそに質問だ。光栄に思え」

P「……何ですか?」

黒井「返事が小さい!」

P「何ですか!?」

黒井「やかましい!そんなに大声で言わなくても聞こえるわ!」

P(うぜええぇぇぇえええ!)

7: 2013/09/29(日) 16:40:27.16
黒井「では質問だが、私はコーヒーに何を入れると思う?」

P「どうせブラック――」

黒井「馬鹿め!ブラックに決まっているだろう!」

P「今そう言いましたよ!」

黒井「私の朝は一杯のブラックコーヒーから始まる」

P「話を聞いてください!」

黒井「では話を聞いてやろう。何だ?」

黒井「ポーン。タイムアップです。私の朝は――」

P「だから話を聞けと言うに!」

8: 2013/09/29(日) 16:40:56.56
黒井「羽虫のようにうるさい奴だ……聞いてやるから早く言え」

黒井「ポーン。タイムアップです。私の朝は――」

黒井「おい。言おうとする気概ぐらい見せろへっぽこが」

P「あなたがタイムアップ宣言したんでしょう!?」

黒井「ピーチクパーチクうるさい奴だな……タイムアップが嫌なのか?」

P「嫌ですよ!」

黒井「分かった分かった。タイムアップは言わないから話してみろ」

P「その――」

黒井「ポーン。時間切れです。私の朝は一杯の――」

P「そうなると思いましたよ!」

9: 2013/09/29(日) 16:41:22.44
黒井「ふむ……展開を予想する程度の脳みそはあると見える」

P「人間ですからね」

黒井「人間だったのか!?」

P「人間ですよ!」

黒井「見れば分かるわ!馬鹿にしているのか!」

P「馬鹿にしているのはそっちです!」

黒井「私の朝は――」

P「どうせ一杯のコーヒーでしょう?」

黒井「たまに一杯の泥水から始まる……」

P「それ苛められてますよ!」

10: 2013/09/29(日) 16:42:26.72
黒井「冗談はさておき」

P「冗談しか言ってないじゃないですか」

黒井「私の朝は――」

P「もうコーヒーでお腹タプタプなんですけど」

黒井「何時に始まると思う?偶数で答えろ」

P「え?偶数?じゃあ……6時?」

黒井「馬鹿め!正解は7時だ!」

P「ちょっ!?それずるくないですか!?」

黒井「答えが偶数であると言った覚えはない」

P「うぜぇ……」

11: 2013/09/29(日) 16:42:56.77
黒井「ところで765の三流プロデューサーよ」

P「三流は余計ですが、何ですか?」

黒井「貴様の好きな数字は何だ?1から12の中から答えろ」

P「やっぱり1――」

黒井「ちなみに私の好きな数字は7だ」

黒井「7と言えば、私の朝は7時から始まる」

P「どうでもいい!」

12: 2013/09/29(日) 16:43:24.44
黒井「そもそも貴様は何をしに来たのだ?」

P「俺は黒井社長の話を――」

黒井「そうか。私の使っているワックスは――」

P「そういう話じゃありません!」

黒井「さっきから騒々しい奴だな。私の朝は一杯のコーヒーから始まる」

P「無理やり会話にねじ込むのやめてくれません!?」

13: 2013/09/29(日) 16:43:56.26
黒井「ああ、思い出した。私の業務内容の話だったな」

P「ええ、そうです」

黒井「聞きたいか?」

P「いえ特に――」

黒井「聞きたいか?」

P「別に――」

黒井「聞きたいか?」

P「分かりました聞かせてください!」

黒井「そこまで言うのなら仕方ないな」

P「うっぜぇ……」

黒井「私の業務は朝7時のコーヒーから始まる」

P「何でそこからなんですか!」

14: 2013/09/29(日) 16:44:22.93
黒井「面倒臭い奴だ。黙って聞け」

P「はいはい分かりましたよ」

黒井「『はい』は一回!」

P「はい!」

黒井「『はい』と言えば、私は先日ハイキングに――」

P「業務の話をしてください!」

黒井「馬鹿め!誰が業務以外の話をしていると言った!」

P「ハイキングの話じゃないですか!」

黒井「馬鹿め!これはハイキングに見せかけたスカウトだ!」

P「カモフラージュの意味は!?」

15: 2013/09/29(日) 16:45:03.36
黒井「『カモフラージュ』言えば、私は出先で鴨南蛮そばを――」

P「昼食の話はどうでもいいですってば!」

黒井「馬鹿め!これは昼食ではなく夕食だ!」

P「心底どうでもいい!」

黒井「ところで質問だが、私は夕食に何を飲んだと思う?」

ツイツイッ

P「ちょっ……鼻先に箸を持ってくるのやめてください」

黒井「ほら、早く答えろ」

ツイツイッ

P「ですから、箸をどけてください!」

ツイツイ……ツンッ

黒井「チッ……箸が汚れたではないか」

P「あなたの所為でしょうが!」

16: 2013/09/29(日) 16:45:33.20
黒井「まあいい。それで、私が夕食に飲んだ飲み物は何だと思う?」

P「どうせコーヒーなんでしょう?」

黒井「馬鹿め!黒ウーロン茶に決まっているだろう!」

P「黒ければ何でもいいんですか!?」

黒井「雑巾の絞り汁は嫌だ……」

P「反応に困ります」

17: 2013/09/29(日) 16:46:03.81
P「話が進まないので、俺から質問しますけど」

黒井「会話も満足にできんとは……のろまな奴も居たものだな」

P「あなたですよあなた!」

黒井「貴様、担当アイドルの芸をパクッて恥ずかしくないのか?」

P「芸って程でもないでしょうが!」

黒井「そうか。天海春香にそう伝えておく」

P「すみませんでした!」

18: 2013/09/29(日) 16:46:29.42
黒井「謝るのだけは一人前だな。いや、コメツキバッタみたいだから人ではないか」

P「誰がコメツキバッタですか」

黒井「ちなみに私はパン派だ」

P「誰も米の話なんてしてませんよ!」

黒井「ふむ?では貴様のスーツについているそれは何だ?」

P「え?あっ!何で米がこんな所に!?」

黒井「馬鹿め!私がつけたに決まっているだろう!」

P「なら謝ってくださいよ!」

黒井「嫌だ。私はコメツキバッタではないのでな」

P「何でこんなのが社長やってられるんだろう……」

19: 2013/09/29(日) 16:47:03.47
黒井「グズでマヌケなプロデューサーよ。私に質問があるのではなかったのか?」

P「あなたはいちいち人を貶さないと会話できないんですか……」

黒井「では聡明で敏腕なプロデューサーと――」

P「やめてください気持ち悪い」

黒井「身勝手な奴め……」

P「あなたにだけは言われたくないですよ!」

20: 2013/09/29(日) 16:47:32.93
黒井「喉が渇いたな。貴様、何が飲みたい?」

P「あ、俺はビールでお願いします」

黒井「馬鹿め!貴様に選択の自由などない!」

P「じゃあなんで選ばせたんですか!?」

黒井「私の朝は一杯のコーヒーから始まる」

P「返事に困ったら誤魔化すのやめてくれません?」

黒井「ええいうるさい!さっさとビールでも飲め!」

P「お、黒井社長も意外と――って、これ麦茶じゃないですか!」

黒井「さっきペットボトルで振っておいた」

P「小学生みたいな事を……」

黒井「私は少年の心を失わない男だった」

黒井「そんな私の朝は一杯のコーヒーから始まる」

P「少年関係ないじゃないですか!」

21: 2013/09/29(日) 16:53:26.52
黒井「ところで、私の休日は一杯の――」

P「コーヒー」

黒井「ではない特別なものから始まります。一体なんでしょう?」

P「クイズの引っ掛け問題みたいに話さないでくださいよ!」

黒井「馬鹿め!引っ掛かったのは貴様の責任だ」

黒井「それよりもさっさと答えろ」

P「一杯だけにイカから始まるとか下らない事を――」

黒井「成程。貴様の笑いのセンスの低さはよく分かった」

黒井「事務所で如月千早に慰めて貰うといい。大爆笑だぞ」

P「それ傷抉ってますよね!?」

22: 2013/09/29(日) 16:54:02.42
P「ああもう……それで、質問を聞いてくれるんですか?聞いてくれないんですか?」

黒井「ふん……話してみろ」

P「実は、仕事に身が入らない時があるんです。黒井社長はどうしてるんですか?」

黒井「私か?私の朝は一杯の――」

P「コーヒーでしょう!?もういいですよ!」

黒井「黙って聞け!今は真面目な話だ」

P「す、すみません……」

黒井「いいか?私の朝は一杯のコーヒーから始まる」

P「はぁ……」

黒井「そして、私の午後はアフタヌーンティーにて始まる」

P「……どうせ夜は酒でも飲むんでしょう?ただのおっさんじゃないですか」

黒井「馬鹿め!夜は歯を磨くに決まっているだろう!臭い奴だな!」

P「俺だって歯ぐらい磨きますよ!」

黒井「その割には臭うが」

P「それはあなたの加齢臭です」

黒井「貴様、どんどん発言が辛辣になっているぞ……」

23: 2013/09/29(日) 16:54:42.74
黒井「そうだ。仕事が辛いなら我が961プロに来るといい」

P「……何を企んでいるんですか?」

黒井「企むとは人聞きの悪い。ただ、条件がいくつかあるだけだ」

P「それは?」

黒井「我が社で働くにあたって、守って貰いたい961の項目がある」

P「中途半端ですねぇ!」

黒井「特に765番目の、私の5時間に及ぶコーヒーの試飲会には是非参加して貰いたい」

黒井「以上だ」

P「以上って言うか異常な量ですね」

黒井「何なら項目数の好きな位を四捨五入しても構わんぞ」

P「どこでやっても大して変わらないじゃないですか……」

24: 2013/09/29(日) 16:55:11.92
P「はぁ……もう帰ってもいいですか?」

黒井「好きにしろ。私も帰る」

P「ここは黒井社長が持つんですか?」

黒井「見くびるなよ。この程度の会計、セレブにとっては――あ」

P「『あ』って何ですか、『あ』って」

黒井「財布忘れた。てへぺろ☆」

P「うっぜぇぇぇぇえええ!」


――END――

25: 2013/09/29(日) 16:58:05.88
以上で完結となります。お楽しみ頂ければ幸いです。

タイトルで分かる方もいらっしゃるかと思いますが、元ネタは『ソウルイーター』のエクスカリバーからです。
中の人が一緒です。

クロスとも言えないクロスもどきみたいな作品ですが、読んで頂けたのならば感謝を。
クオリティ低くてすみません。

26: 2013/09/29(日) 17:30:51.35
おもしろかった

28: 2013/09/29(日) 18:41:44.92
7あたりからエクスカリバーじゃねーかと思ったらやっぱりエクスカリバーだった

引用元: 黒井「私の業務内容が聞きたいか?」