3: 2011/03/28(月) 00:04:05.41
唯「あーあ、あずにゃんってば自分ばっかり旅行行っちゃってズルイよ」

唯「その間どうやってあずにゃん分を補給しろってのさぁ」

「これこれ、そこのお嬢さん」

唯「はい?」

「お暇なら少しうちの商品を見ていかんかね」

唯「商品? おばあさんこんなところでお店開いてるの?」

「ほっほっ、色んな品があるからの。ゆっくり見ていくといい」

唯「ふーん……あ、これなんだろ」

「ほっほー! お嬢さんお目が高い。そいつは゛育つあずにゃん゛でございます」

唯「育つあずにゃん……?」

6: 2011/03/28(月) 00:07:04.10
唯「ただいま~」

憂「あ、いいタイミング。ちょうど夕飯が」

唯「憂~。うちに植木鉢あったよね? ほら、小学校のとき使ってたやつ!」

憂「植木鉢? あるにはあるけど……お花でも育てるの?」

唯「ちっちっちっ! お花かな~、お花じゃないよ」

唯「あずにゃんだよ!」

憂「……梓ちゃん?」

唯「じゃじゃーん! 憂、これ見て! なんとこれは育つあずにゃんなのです」

憂「どう見ても、なにかの植物の種みたいなんだけど」

唯「まぁまぁ、とにかく。さっそく育ててみよう!」

憂「その前にお姉ちゃんが育つために夕飯食べようね」

唯「はい!」

10: 2011/03/28(月) 00:10:07.50
・・・

唯「るんるん~♪」

憂「えっと……あれ、育て方は普通のお花と一緒だね? 水もあげるんだ~」

唯「水だけじゃなくてね~愛情もたぁっぷり注いであげるんだよ~」

憂「お花には注いであげてないの?」

唯「よーっし、これでOKかな。あとは芽が出てくれるのを待つだけだね!」

唯「そうだ! せっかくだし、観察日記つけよっと!」

憂「なんだか楽しそうだね」

唯「まぁね~。まだかな、まだかなぁ」

憂「ふふ、そんなにいきなりは生えてこないよ」

唯「生えたよ~!!」

憂「は!?」

11: 2011/03/28(月) 00:13:04.53
唯「ほ、ほらほら! もう芽が出てる!」

憂「うそ……だってまだ生めて少しお水あげただけなのに」

唯「可愛い双葉だね~」

憂「葉っぱが……黒い」

憂(気のせいかな、梓ちゃんのツインテールにそっくり)

唯「ほれほれ~、つんつん」ツンツン

育梓『』ビクン…ビクン…

唯「うははは! 見てみて! すんごい動いてる! ほら、ほらぁっ」

憂「か、可哀想だよお姉ちゃんっ。今日はこのままにして放っておこう?」

唯「ん……それもそだね。じゃあね、育つあずにゃん。また明日!」

育梓『』ペコペコ

唯「見て~!! お辞儀したぁ~!!」

憂「忙しいなぁ……」

16: 2011/03/28(月) 00:16:26.45
数日後

唯「うーーーーいーーーー!!」

憂「ん~……お姉ちゃん、うるさぁい……まだちょっと朝早い……」

唯「いいから来て! スゴイんだよっ、育つあずにゃんが!」

憂「?」

・・・

育梓『……』

憂「……」

憂(地面から頭が出てきてる……ッ!!)

唯「ねっ? こんなに大きくなった!」

育梓『ゴグッ…ケセ、ラ…キキッ』

憂(う、うう……なんか呻いてるよ……)

19: 2011/03/28(月) 00:19:44.08
唯「かっわいいねぇ~」

憂「そ、そうだね」

育梓『ミ…ミミミ…』

唯「せっかくだし名前を付けてあげよう。その方がよく育つよ~」

憂「梓ちゃんじゃダメなの?」

唯「これはただのあずにゃんじゃないからね! んー……」

育梓『バ、グ、ブブブ…』

唯「決めた! お花みたいなあずにゃんだから、花あずにゃん! 略して花あず!」

花あず『ブブブブー!』

唯「えへへ、気に入ってくれたみたい」

憂「そう、なの……?」

21: 2011/03/28(月) 00:22:15.89
花あず『ズニャーン、ズニャーン』

唯「さっきから何か伝えようとしてるみたいなんだけど」

憂「もしかして、お腹……ていうかお水欲しいのかな?」

唯「おお、なるほど。ほれ~、おいしいおいしいお水だよぉ~」ジャバー

花あず『ヲ、オオオ』

唯「喜んでる。かっわいいなぁ、もうっ」

憂「このまま大きくなったらどうなっちゃうんだろう」

唯「あ、日記つけなきゃね! ○月×日……」

花あず『ダイアリー』

24: 2011/03/28(月) 00:25:10.72
唯「ふふ~」

憂「お姉ちゃん、そんなに見られてたら花あずちゃんも緊張しちゃうよ」

花あず『ザナドゥ』

唯「そう? それもそっかぁ」

憂「それよりおねえ『ネ、エ…オネ…エ…』

唯・憂「え?」

花あず『オネ、エ…チャン…』

憂「……今、お姉ちゃんって言った」

唯「……うん」

花あず『オネエ…チャン』

唯・憂「!」

唯「すごい! すごいよ花あず! 言葉が喋れるんだね! すごーい!」キャッキャ

花あず『ファザナドゥ』

憂(お姉ちゃん、これ本当にどこで買ってきたんだろ)

26: 2011/03/28(月) 00:28:22.77
次の日

唯「今日は花あずに言葉を教えてあげようと思います!」

憂「まだ喋れるのお姉ちゃんってだけだからね」

唯「いい、花あず? 私は、ゆ・い。ゆ・い。で、こっちはう・い。う・い、だよ」

花あず『ユ…ウ……イイイ…』

唯「も、もうちょい! 頑張って!」

花あず『セ、パ…』

花あず『ユイ、センパ…イ……ウ、ウ……ウィー』

唯「おお……おおぉ!! いいっ、いいよ! お見事だよ~!」

憂(なんか教えたのとちょっぴり違うや)

31: 2011/03/28(月) 00:31:13.98
唯「お利巧な君にはご褒美をあげよう」サ

憂「バナナ……って、食べるの?」

唯「説明書にはバナナが好物だって書いてたよ」

憂「ふ、ふーん……そうなんだ」

花あず『ウ…マ、ウマ』モグモグ

唯「おいしー? ふふっ」

憂「不思議な生き物……でも愛着湧いてきちゃった、かな?」

唯「でしょ~? よしよし、この調子で色んなこと教えちゃおー」

花あず『ドントコイ』

36: 2011/03/28(月) 00:34:36.56
数日後

花あず『ユイセンパイ、ダラダラ、シテバカリ、ダメデス』

唯「うっ、本物のあずにゃんみたいなこと言うなぁ……」

憂「この短期間でよくこんなにペラペラ喋れるようになったね」

花あず『フタリノオカゲ。カンシャカンゲキ』

憂「ふふっ、そう言われると教えた甲斐があったかな」

唯「よーし、今度はカタコトじゃなくてもっとペラペラ喋れるように」

花あず『キョウハ、モウツカレチャイ、マシタ…』シナシナ

唯「あらら……じゃあしょうがな……ん?」

ポツ、ポツ…ザー

唯「あ、雨!」

憂「大変! 洗濯物取り込まなきゃっ」

花あず「~……」

39: 2011/03/28(月) 00:37:45.72
唯「ふぅ」

憂「お姉ちゃん手伝ってくれたから早く取り込めちゃった。ありがとう」

唯「いえいえ~」

憂「今日は降らないって天気予報言ってたのに……うそつきっ」

唯「そんな日もあるもんだよー。ねぇ、それより小腹空いちゃって」

憂「じゃあ、ちょっと早いけどおやつの時間にしちゃおっか」

唯「いっえーい!」

・・・

唯「うまうま、ビスケットうまうま~」モグモグ

憂「急いで食べて喉に詰まらせないでね」

唯「大丈夫だって~……あ!」

憂「どうしたの?」

唯「花あず外に出しっぱなしだったよぉっ!」

41: 2011/03/28(月) 00:40:41.49
唯「は、花あずっ」

花あず『ウボァ…』

憂「大変! 萎れてる……!」

唯「説明書に水は適度にあげてって書いてたからもしかして!」

憂「とりあえず中に入れようよ!」

・・・

花あず『モルスァ…』

唯「花あずぅー……元気出してぇ……」グスン

憂「大丈夫だよ。きっと良くなるよ」

花あず『シンパイ、シナイデ…クダ、サイ…』

唯「枯れちゃったらやだよぉ~!! あ~んっ!!」ポロポロ

憂「お、お姉ちゃん……」

43: 2011/03/28(月) 00:43:42.87
唯「んん、花あずぅ……」

花あず『ユイセンパイ、ネテル、デス』

憂「あ、花あずちゃん! 元気になったんだね」

花あず『ウイィ』

憂「お昼から付きっきりだったから疲れちゃったんだね」

憂「お姉ちゃんったら私以上にとっても心配してたんだよ。このまま枯れちゃったりしないかって」

花あず『ゴメン、チャイ』

憂「ううん、あやまるのはこっち。ごめんね……」

唯「ん~……ごめんね、ごめんね……くー……」

花あず『……』

花あず『ユイセンパイモウイモ、トッテモイイヒト、アタタカイ。ダイスキデス』

憂「そっか。お姉ちゃんが聞いてたらきっと喜ぶよ」

花あず『ユイセンパイガ、ヨロコンデ、クレタラ、ワタシモウレシイ。ダ、イスキデス、ユイセンパイ』

唯「ぐぅ、ぐぅ……」

46: 2011/03/28(月) 00:46:59.44
次の日

唯「ん~……あ、れ? 朝……」

唯「!」

唯「花あず! 花あずは!?」

花あず『ハイ、ココニイマスヨ』

唯「は、花あずぅー……よかったぁ」ギュゥッ

花あず『モウ、シンパイ、シナクテ、イイッテ、イッタ、デショウ』

唯「そんなの無理だよぉっ。よかったぁ……ほんとによかった」

花あず『トコロデ、ユイセンパイ。ワタシ、ソロソロ、セイチョウ、シソウデス。シンカ、デス』

唯「え! ほんと!?」

花あず『モ、モウスグ…ウイニモ、ミセテ、アゲタイ、カラ、ヨンデ、キテ…」グググ…

唯「まっ、待ってて~!」

花あず『ウヌヌゥ』グググ…

47: 2011/03/28(月) 00:49:24.05
唯・憂「……」ドキドキ

花あず『ングゥフッ』グググ…

唯「頑張って! 踏ん張りどころだよ! 花あずっ」

憂「見てるこっちも力が入っちゃうね……」グググ…

花あず『アズニャンニャーーーーン』グググ!

…ニョキ

花あず『カラダガハエマシタ』

憂「!?」

唯「おおおっ、おめでとぉ~!! おめでただよ花あずー!」

花あず『エヘヘ、デモモウコノオウチハ、チョットチイサイデスネ……』

唯「よし、引越しだ! お庭に植えてあげようよ!」

憂「そ、そうだね……」

花あず『アタラシイオウチ、ワクワクシマス』

51: 2011/03/28(月) 00:52:21.18
憂「これで、よしっと」

唯「花あず、どう? 新しいお家の居心地は」

花あず『マンゾクデス』

唯「今度雨が降ったときはこのパラソル立ててあげるから安心してねー」

花あず『アリガトウゴザイマス、ユイセンパイ』

憂「とにかく気に入ってもらえてよかった。でも」

唯「どうしたの、憂?」

憂(足まで生えたんだから、もう土に植える必要もないような気もするんだけれど……)

憂「ま、まぁいいよね。別に」

唯・花あず「?」

54: 2011/03/28(月) 00:55:29.83
数日後

唯「和ちゃんが遊びに来たよ~!」

和「えっと、これが唯が言ってた例のアレ?」

花あず『アレデハナク、ハナアズデス』

和「そう、花あずちゃん」

唯「可愛いでしょ~」

和「ええ、ほんと梓ちゃんそっくり(でもすっぽんぽんで恥ずかしくないのかしら)」

花あず『ハナアズハハナアズデス』

和「そうよね、ごめんなさい。そしてよろしくお願いね」

花あず『ユイセンパイノオトモダチハ、ワタシノオトモダチ。ナカヨクシマショウ』

和「ふふ、いい子じゃない。とても唯が育てたとは思えない」

唯「む、失敬な」

花あず『ウイノオカゲデス』

唯「花あずぅっ」

花あず『チョットシタハナアズジョークデス』

57: 2011/03/28(月) 00:58:23.46
唯「それでね~」

和「ねぇ、花あずちゃんなんだけど」

和「今日は日差しが強いけど、大丈夫なの? あの子」

唯「……」

唯「ちょ、ちょっと様子見てくる!」

和「私も」

・・・

唯「ぎゃ~~~!!」

和「唯! まさか枯れてたとか……?」

唯「花あずが真っ黒けになってるよ~!?」

コゲ花あず『マナツノビーナス』コゲコゲ

和(日焼け?)

58: 2011/03/28(月) 01:02:12.54
コゲ花あず『タブン、スコシジカンガタテバ、モトノイロニモドリマスヨ』

和「随分都合がいい生き物なのね」

唯「よかったぁ。でも一応パラソル立てといてあげるよ」

コゲ花あず『アリガトウゴザイマス』

コゲ花あず『サァサァ、ワタシノコトハキニシナイデ、アソンデテクダサイ』

唯「なんか悪いよぉ」

和「だったら3人で遊びましょう? そうだ、散歩にでも行かない? あ、でも」

唯「お散歩! いいねぇ~!」

コゲ花あず『ナイスアイディアデス。タノシミデス』グググ…スポンッ

和「え」

コゲ花あず『デハイキマショウ』

和(散歩とか言っておいてなんだけど、まさか地面から出てこられるとは……)

59: 2011/03/28(月) 01:05:11.97
・・・

唯「ただいま~!」

コゲ花あず『タダイマデス、ウイ』

憂「あれ!? 花あずちゃんどうしたの! コゲコゲだよっ」

コゲ花あず『カクカクシカジカ』

憂「へ、へー……」

唯「それよりお腹ペコペコだよー」

コゲ花あず『イッパイオサンポシマシタカラネ』

憂「それじゃあ、すぐにご飯にしちゃうからちょっと待っててね」

唯「はーい!」

コゲ花あず『ワタシモ、ウイノゴハンヲタベテミタイデス……』

唯「そっか、花あずはバナナ以外は食べられないんだもんね」

憂「お姉ちゃ~ん」

唯「はーい! じゃあね、花あず! 私ご飯食べてくるよ!」タタタ…

コゲ花あず『……イイナァ』トボトボ…

64: 2011/03/28(月) 01:08:07.14
虫「ペロペロ」ブーン

花あず『シッシッ、アッチニイッテ!』

虫「…ブ~ン」

花あず『マッタク』

花あず『……』

スタスタ…

花あず『?』

唯「……」

花あず『ユイセンパイ? ドウカシマシタ?』

唯「憂と、ケンカしちゃった」

花あず『エ……』

唯『……えへへ』

66: 2011/03/28(月) 01:11:16.16
花あず『ソンナ、ドウシテ……』

唯「今日のご飯に私の嫌いな野菜が入ってて、それでちょっと」

唯「好き嫌いはダメって言われても、ダメなもんはダメなんだもん……」

唯「それなのに憂ってば……!」

唯「もう……憂なんて知らないっ」

花あず『ソ、ソンナカナシイコトイワナイデ』

花あず『ユイセンパイトウイ、ナカヨクシテクレナキャ トッテモカナシイデス……』

唯「……だって」

花あず『ユイセンパイ、ダレニダッテニガテナモノハアリマスヨ。デモ』

花あず『ワタシハ、ユイセンパイガ キライナタベモノダッテ タベラレナイ』

花あず『デモ、アナタハ タベルコトガデキマス。ソレッテ、ワタシカラスレバ トテモシアワセナコト』

唯「花あず……」

68: 2011/03/28(月) 01:14:09.99
花あず『ウラヤマシイデス……ズルイデスヨ、ユイセンパイ』

唯「……ごめんなさい」

花あず『ソノコトバハ ウイニイッテアゲテ? ダイジョウブ。キットユルシテクレマスヨ』

花あず『デモ、スキキライハ ナクサナキャ! ワガママモ イワナイデ!』

唯「う、うん。頑張るよ! 私、頑張って食べられるようになる! わがままもなくす!」

花あず『ソノイキデス! ガンバッテ!』

唯「まずは憂に謝らなきゃだよね。ありがとう、花あず!」

唯「こんなバカなこと聞いてくれて!」タタタ…

花あず『フフッ……コレグライ オヤスイゴヨウデスヨ』

71: 2011/03/28(月) 01:17:04.89
スタスタ…

憂「花あずちゃん?」

花あず『コンドハ……ウイ?』

憂「花あずちゃんのお陰でお姉ちゃんとすぐ仲直りできたよ。ありがとう」

花あず『ウウン、ワタシハナニモシテナイヨ』

憂「そんなことないよ」

花あず『モトモト フタリハナカヨシナンダカラ、ケンカトハ ムエンダモン』

花あず『ネ?』

憂「えへへ……ありがとう」

憂「……私ね、花あずちゃんのこと変に誤解してたかな」

花あず『ウイィ?』

72: 2011/03/28(月) 01:20:14.78
憂「うん、とっても失礼なこと思ってたし、気味が悪いともちょっと思ってた……」

憂「でも違ったよ。花あずちゃんはとってもいい子だし、優しい」

憂「例え生まれ方は違っても、私たちとなにも変わりなかったよ」

憂「……だから、ごめんなさいっ」

花あず『ソンナ、ベツニ ソンナコト キニシナクテモ……』

花あず『デモヨカッタ。ウイノホンネガ チャントキケテ』

憂「もう私たちの間で隠し事はなしだよ……だって、家族なんだもん」

花あず『カ、ゾク?』

憂「うん! 私とお姉ちゃんと花あずちゃん! あ、お父さんとお母さんも」

花あず『……アリガトウ。トッテモ ウレシイナァ』

花あず『ソウイエバ、ミテ。モウ コゲコゲジャ ナインダヨ』

憂「あ! ほんと……ふふっ」

花あず『エヘヘ』

花あず(……モウスグ、オワカレナノニ カゾクッテ)

花あず(ツライヨ……)

75: 2011/03/28(月) 01:23:14.97
数日後

唯「う、憂!」

憂「お姉ちゃんっ」

唯「花あずが最後の成長するって!?」

憂「そ、そうみたい……」

花あず『』

唯「繭に包まれてる……」

憂「さっきこうなったばっかりなんだよ」

唯「ちゃ、ちゃんと見届けなきゃ……」

憂「……うん」

…ピキ

憂「繭にヒビが……!」

唯「が、頑張れ花あずっ!」

ピキピキ…ピキッ………パリーン

77: 2011/03/28(月) 01:26:07.19
花あず『……』ファサァ…

唯「花、あず……?」

憂「花あずちゃんに羽根が生えてるよ、お姉ちゃん……」

唯「うん……天使みたい……」

花あず『……唯先輩、憂』

花あず『ここまで成長できたのはあなた達二人のお陰』

花あず『二人の愛を命一杯受けて、私はこの姿になることができたの』

花あず『ありがとう』ニコ

唯「え、えへへ。なんか照れちゃうなぁ」

憂「でも無事成長できてよかったね」

花あず『……うん』

憂「なんだか浮かない顔……どうしたの?」

花あず『……お別れ、なの』

80: 2011/03/28(月) 01:29:03.96
唯・憂「え……」

花あず『これから私は、新たな命を紡ぐ為に旅立たなければいけません』

花あず『これは私たちにとって、とても重要なこと』

花あず『……この家には二度と戻っては来れません』

憂「そんなっ」

唯「い、嫌だよっ! そんなの嫌! こんなのって……っ」

花あず『どうか悲しまないで。私だって……悲しいです』

唯「だったら行かないでっ! ずっとここで暮らそうよぉっ」

花あず『……ごめんなさい』

唯「いやぁっ!! や、やだぁっ……あああぅっ……」

憂「ううっ……」

花あず『……』

81: 2011/03/28(月) 01:32:06.88
花あず『それじゃあ、こうしましょう』

唯「え……?」

花あず『これはお別れなんかじゃない』

憂「で、でも」

花あず『私はもうここから消える。けど』

花あず『今まで3人で過ごしてきたっていう思い出が私そのもの』

唯「どういう、ことっ」

花あず『この思い出を二人が忘れない限り、私はここに存在する』

花あず『新しい思い出はもうできないけどっ……思い出すことしかできないけどっ』

花あず『それが、私という存在なんです……!』

憂「……」

唯「いみっ、わかんないよおおぉっ……うっ、ひぐっ……」

85: 2011/03/28(月) 01:35:05.48
唯「ああぅぅ……!」

花あず『さよなら、なんて言わないっ。だから……』

花あず『唯先輩っ、憂っ』

ファサァ…バサッバサッ……

唯「や、やだっ……いかなっ」

唯「……」

憂「お姉ちゃん?」

唯「……約束したもんね、わがままはもう言わないって」

唯「だからっ、せめて元気な顔して見送ってあげなきゃ! ね、憂っ」

憂「……うん!」

唯「せーのっ」

唯・憂「いってらっしゃーーーい!!」

花あず『!』

花あず『……いってきます!』

86: 2011/03/28(月) 01:38:04.93
・・・

唯「お腹と背中がくっつきそうだよ~……」

憂「はーい、おまたせ」

唯「おほ~! きたきた……うっ」

唯(に、苦手な野菜が……!)

憂「どうしたの? お姉ちゃん」

唯「……」

唯「ううん、なんでもないよ。では、いっただきま~す!」

憂「ふふ、どうぞ召し上がれ」

唯(花あず! 私、頑張るよ~)

唯「だから、あなたも頑張って!」

憂「ん?」



育つあずにゃん編 おわり

92: 2011/03/28(月) 01:42:04.15
梓「旅行楽しかったなぁ。そうだ、先輩たちとクラスの子たちにお土産買って行かないと」

「ちょいと、そこのお嬢さん」

梓「ん? あ、もしかして私のことですか?」

「そうですとも。なにか見ていきませんかい?」

梓「なにかって……」

梓(おかしな物ばっかり)

「こんなものはどうでしょう。あなたにオススメです」

梓「これは?」

「゛覚めるあずにゃん゛でございます」

梓「覚めるあずにゃん……?」


覚めるあずにゃん編 続く

94: 2011/03/28(月) 01:45:03.52
澪「……」

「ちょいと、そこのお嬢さん」

澪「え?」

「なにか買っていきませんか。いい品ばかりですよ」

澪「は、はぁ……」

澪(怪しいお婆さんだなぁ、ちょっと怖いよ……)

澪「えっと、どんな物を扱ってるんですか」

「そうさね、例えばこんな物がある」

澪「これは?」

「゛増えるあずにゃん゛ですよ」

澪「増えるあずにゃん……?」

96: 2011/03/28(月) 01:48:05.02
澪(結局買ってしまった)

澪「ただいまー……あ、そうか。パパとママは旅行に行ったんだっけ」

澪「ていうことは、ウチには私一人……」

ヒュー…

澪「ひっ!」

澪「……寂しいなぁ、それに心細い」

ガサゴソ、ガサゴソ!

澪「こ、今度はなに!?」

小梓「こんにちはー!」

澪「え……」

100: 2011/03/28(月) 01:51:04.51
小梓「にゃん」

澪「このちっちゃい梓は……」

澪「あ、思ってたとうりだ! 増えるあずにゃんの箱が開いてる!」

澪「てことはお前、勝手に出てきちゃったんだな」

小梓「えへへ」

澪「……それにしても小さいなぁ。それで、これは増えるのかな」

小梓「~♪」

澪「箱には何も書いてないし、どうしたら増えるのかわからない……」

小梓「遊びましょ、遊びましょ」ピョンピョン

澪「……ふふっ、可愛いな。なんだかお前のお蔭で寂しさが紛れたよ」

小梓「ねぇってばー」

106: 2011/03/28(月) 01:56:24.74
澪「しかし見れば見るほど梓そっくり。一体どういう作りしてるんだ? このおもちゃ」ツンツン

小梓「きゃっきゃっ」

澪「あはは」

グー…

澪「……お腹減ったなぁ」

小梓「!」

小梓「私に任せてください!」

澪「え? 任せるって……」

小梓「ちょっと待っててっ」トテチテトテチテ

澪「?」

107: 2011/03/28(月) 01:59:04.73
澪「こ、これはっ」

小梓「食べてください、澪先輩!」

澪「これ……全部お前が作ったのか? 一人で?」

小梓「はい! 自信作です」

澪(全部目玉焼きだ……)

澪「それじゃあ遠慮なく……あむっ」

澪「ん、悪くない」

小梓「おいしい!? おいしい!?」

澪「ああ、美味しいよ。ありがとう小梓」

小梓「えへへ……」テレ

澪(でも、せめて醤油かソースかケチャップがかかっていたらありがたかったなぁ)モグモグ

108: 2011/03/28(月) 02:02:03.70
澪「ふぅ、お腹一杯だよ」

澪(目玉焼きしか食べてないけどな……)

小梓「じゃあ遊びましょう! 澪先輩といっぱい遊びたいです!」

澪「た、食べてすぐに? しかたがないなぁ」

小梓「これして遊ぶ」ス

澪「あ、おもちゃのもぐら叩きじゃないか。懐かしいなぁ……こんなのどこから見つけてきたんだか」

小梓「遊びましょう~」

澪「わかった、わかった。でもこのハンマー、小梓が持つには少し大きいんじゃ」

小梓「違いますよ。ハンマーを持って叩くのは澪先輩です」

澪「私? じゃあ小梓は何をするの?」

小梓「私はもぐら役です。私が穴の中から出てきたらすかさずそれで叩いてください!」

澪「え、えぇっ!?」

109: 2011/03/28(月) 02:05:05.78
小梓「それじゃ、始めますよ~」

澪(なんだか知らないうちに始める流れになってしまった……いいのかな、これで)

小梓「よーい、どん!」ヒョコ

澪「……」

小梓「わぁ~もぐらですよ~! 叩いて~!」

澪「た、叩けるわけないだろ……」

小梓「そんな、遠慮せずに」

澪「無理だよぉ……」

小梓「叩けェッ!!」

澪「ひっ!?」

小梓「早く叩けッ! さぁ、叩けッ! 今すぐ叩けッ!!」

澪「あわわわわっ!!」

110: 2011/03/28(月) 02:08:06.11
澪(な、なんだ!? なんなんだ!)

小梓「叩けェ~~~ッッッ!!」

澪「ひぃーーっ!!」

バゴンッ

澪「……あ、あああ……やっちゃった……」

澪「梓……? 小梓? へ、返事して……ね、ねぇ……っ」

ヒョコ

小梓「はい!」

澪「あ、無事だったんだ! ご、ごめんな……私っ」

小梓2「はい!」

澪「え……」

小梓「どうしました? 何かありましたか?」

小梓2「ねぇ、澪先輩?」

澪(どういうことなの……)

114: 2011/03/28(月) 02:11:10.00
・・・

澪「も、もうやめよう? なっ?」

小梓4「何を言っているんですか! やっと楽しくなってきたところなのに」

小梓7「そうですよー」

澪「で、でもっ!」

小梓「ぐだぐだ言わずに叩けッ!!」

澪「きゃああっ!!」バゴンッ、プチッ

小梓8「わぁい」

小梓3「8人目だね!」

澪「許してください! 許してくださいっ!」

小梓「許すも何も、澪先輩はなにも悪いことしてませんよ」

小梓5「そうですよ。それよりご飯作って上げたんだからもっと遊んでください!」

澪「やめてくれっ……やめてくれぇ……頭がおかしくなりそうなんだ……」

小梓6「むぅ、仕方がありませんね。なら今日はこの辺でやめておきましょう」

澪「あ、ああ……」

117: 2011/03/28(月) 02:14:20.01
小梓s「きゃっきゃっ」

澪(なんなんだこいつら……)

澪(……わけがわからないよっ)

小梓2「澪先輩!」

澪「な、なに!?」

小梓2「そろそろお風呂はどうです? 湯船にお湯も溜まりましたし」

澪「入れてくれてたの……?」

小梓2「はい! きっとお疲れになるだろうと思っていましたからあらかじめ」

澪「あ、ありがとう」

小梓4「お背中流しますよ。ゴシゴシしちゃいます!」

澪「そう? 助かるよ」

小梓4「えへへっ」

118: 2011/03/28(月) 02:17:07.67
カポーン…

澪「ふぅ……いい湯加減」

小梓4「気持ちいいですか? 肩、おもみしますよ」

澪「あ、ありがと」

小梓2「あ、ズルイ! だったら私は……胸を」

澪「お、おいおい……バカ言うなよ」

小梓2「胸をもんでもっと大きくなってもらえればと」

澪「これ以上は不要だよ……はぁ」

澪「……ん?」モゾモゾ

小梓8「ふぅ……!」ヒョコ

澪「ちょっ!? お前どこから出てきてるんだっ!?」

小梓8「胸の谷間からです」

澪「もぉっ!」

120: 2011/03/28(月) 02:20:07.35
澪「……」ホカホカ

小梓7「お疲れ様です。お風呂上りの牛乳はいかがですか」

澪「用意してくれてたのか。ありがとう、いただくよ」

グビグビ…

小梓7「いい飲みっぷりです」

小梓8「これでまた大きくなれますね」

澪「うるさい……」

小梓「テレビ見ませんか? テレビ」

澪「あ、そうだな」

『緊急ニュースです。海上に巨大な未確認生物が……』

小梓5「すごいですねぇ」

澪(パパたちが帰ってきたらこの子たちのことどう説明すればいいのやら……)

123: 2011/03/28(月) 02:23:06.67
澪「私、そろそろ寝るよ。今日はなんだか色々疲れちゃって」

小梓6「もうですか? でしたらすぐにベッドに」

澪「うん……」

プチッ…

澪「……プチッ?」

小梓2「ああぁ、6が踏まれちゃった」

澪「わ、わあぁーー!? ど、どうしよう!?」

小梓「足を、足をどけて下さい」

澪「うっ……」サ

小梓9「生まれました」

小梓6「わーい」

澪「ふ、増えた……」

124: 2011/03/28(月) 02:26:12.73
小梓8「この調子でどんどん増えていくかなぁ」

小梓5「澪先輩の働き次第だよ」

澪(こいつら……潰すと増えるんだ……)

小梓2「あ、寝る前にもう一度遊びましょうよ!」

澪「え……何をして」

小梓「決まっているでしょう? もぐら叩きですよ」

澪「ひっ――――――」

・・・

小梓21「わーい!」

小梓17「もっと、もっと!」

澪「や、やめてくれ! やめてくれぇー!!」バゴンッ、バゴンッ

小梓「ほら、お風呂も牛乳も用意したし、マッサージもした! その分遊びましょう! 叩きましょう!」

澪「うわあああああ!!!」

126: 2011/03/28(月) 02:29:16.49
澪「はぁ、やっと開放された……」

澪「さっきのであいつらもう30匹近くは増えたぞ……どうなるの」

澪「そしてあいつらはどこまで増え続けるんだ、増えてどうする気なんだ」

澪「……怖い、怖いよ」

小梓25「澪先輩、添い寝しに来ましたよ。寂しいでしょう?」

澪「ひっ!」

小梓25「そんな、驚かなくたって」

澪「ご、ごめん……でも」

小梓25「お父さんとお母さんがいなくて心細いんですね。でも安心して」

小梓25「私たちが着いています。ね? 澪先輩」ニコ

澪「小梓……うん、そうだな。今日はもう寝よう……きっとこれは悪い夢なんだよ」

小梓25「はい! お休みなさい。澪先輩」

129: 2011/03/28(月) 02:32:26.21
次の日

澪「ん、んー……もう、朝?」

小梓s「おはようございます。澪先輩!」ドッ

澪「ひいぃっ」

澪「何だよこの数は!? 夢じゃなかったの!?」

小梓25「澪先輩ってば中々寝相が悪いんですね。私、潰されまくっちゃって」

小梓s「こんなに増えちゃいましたー」

澪「あわわわわ……」

澪「これは夢だっ、これは夢これは夢これは夢これは夢……」

小梓25「澪先輩」

澪「これは夢これは夢これは夢これは夢これは夢これは夢これは夢これは夢ぇっ!!」

小梓25「もぐら叩きの時間ですよ」

澪「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

130: 2011/03/28(月) 02:35:18.88
小梓68「仲間がいっぱいで嬉しいです」

小梓52「ほんとだよね」

澪「……」ゲソ…

小梓「澪先輩、朝食ができています。どうぞお召し上がりください」ニコニコ

澪「……全部、目玉焼きじゃないか」

小梓11「私たちこれぐらいしか作れませんから」

小梓4「でも愛情込めて一生懸命作りました」

小梓77「食べて、食べて~」

澪「……いただきます」

澪「あ、お醤油取って来て……」

131: 2011/03/28(月) 02:38:09.70
小梓s「わーわー」

澪(こいつら、どうしたらウチから追い出せるかな)

澪(これ以上関わっていたら壊れる自信があるよ……)

小梓41「澪先輩、なにか私にできることありませんか?」

小梓41「澪先輩のためなら私、なんでもしてあげたいんです!」

澪「お前……」

小梓27「私も! 私もです!」

小梓s「私たちもー!」

澪「え……」

小梓「みんな、澪先輩が大好きなんですよ。あなたは私たちのご主人様」

小梓2「だから私たちをどうか見捨てないで……澪先輩」

澪(うっ、そんなこと言われたら……どうにもできないじゃないか)

132: 2011/03/28(月) 02:41:10.27
次の日

澪「みんなおいで」

小梓s「はーい!」

澪「3日でこの数……よく増えたな」

小梓135「お陰様で」

小梓58「みんな合わせて305匹もいますよ」

ゾロゾロ…

澪「これだけ集まると壮観だな、あはは……」

澪(床が一面黒一色だ……)

小梓「それで、澪先輩。なにかご用ですか?」

澪「ああ、今日は友達の律が来るんだ。一応教えておこうかと思って」

小梓「……」

135: 2011/03/28(月) 02:44:05.51
律「おいーすっ! 澪ー」

シーン…

律「あれ、澪? いないのか?」

律(でも玄関に鍵かかってなかったし……心配だなぁ)

バゴンッ、バゴンッ、バゴンッ…

律「音がする……リビングか?」

ガチャリ

律「み――――!?」

澪「……」バゴンッ

小梓689「きゃー」

小梓「叩けッ! もっと叩いて増やせッ!」

律「なに、これ……」

137: 2011/03/28(月) 02:47:10.24
澪「あ、律。来てたんだ……」

小梓「ほらほら、手を休めないで!」

澪「ああ……」バゴンッ

律「お、おい! これ、一体どういう事なんだよ!?」

澪「どうって、見ればわかるだろ……」バゴンッ

律「わかんないよ! なんだよ!?」

小梓217「澪先輩の邪魔をしてはダメですよ。しっしっ」

律「小さい梓……?」

澪「ふふ、可愛いだろ……みんな私の梓たちなんだ……」バゴンッ

律(なんかやばいよ、意味わかんない! と、とにかく澪……)

律「なぁ……一度外に出よう? 澪」ス

小梓183「澪先輩に触らないで!」ガブッ

律「痛っ! こ、こいつ……!!」

139: 2011/03/28(月) 02:50:06.23
律「このやろー!」バシッ

小梓183「ギャッ」

律「お、お前が……悪いんだからな」

小梓183「」ムニー……プツッ

律「え!?」

小梓3「あ、また増えた」

律(私が叩いた梓が……分裂した……)

小梓s「澪先輩の邪魔をしないで! 連れて行かないで!」ワーワー!

律「う、わっ!? く、くっついてくるな!! 集まるな!!」ブンブンッ

ボトッ、ムニー…プツッ

小梓s「わーわー! 澪先輩は私たちだけの物だー!」

律(だ、ダメだ! 少し叩いたり踏んづけたりするだけで……!)

小梓s「「「「「「「「「「「わー!」」」」」」」」」」」」

律「ふ、増えるっ!! う、うわああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ―――――」

140: 2011/03/28(月) 02:53:11.02
澪「……あれ、律?」

澪「律は? どこへ行ったの……?」

小梓24「あの人は帰りましたよ」

澪「そんな、帰るなら声をかけていってくれればいいのに……」バゴンッ

小梓「今日は一杯遊んでくれますね。澪先輩!」

澪「うん……小梓たちのためだからね……」バゴンッ

ガチャリ

澪母「ただいま、澪ちゃ……きゃああああああ!!」

澪父「ど、どうしたんだい? ……!?」

澪「パパ、ママ……おかえりなさい」ニコ

澪母「り、律ちゃん!? あなたっ、律ちゃんが!!」

澪父「そ、それよりなんなんだ……この大量の黒いやつらは……」

小梓「増えるあずにゃんと申します」

142: 2011/03/28(月) 02:56:10.10
澪「律? ママ、律がどうしたの?」

澪母「み、澪ちゃん……あなた……っ」

澪父「お前たちっ! うちの娘から離れろ!」

小梓5「なにを言っているんですか」

小梓804「離れるのはお前たちです! 来るな、来るな!」

小梓526「澪先輩は私たちだけのものですよ!」

澪父「ふざけるなっ、この、このっ!」ブチッ、ブチッ

小梓「無駄ですよ」

澪父「ふ、増えた……ああああああああああぁぁぁぁ!?」

澪母「ぱ、パパ! 澪ちゃんっ、澪ちゃあんっ!!」

澪「パパ、ママ……見て、私一人でも寂しくなかったんだよ。ちゃんとお留守番してたんだよ」

澪父「がっぎfどgふぁkfがsfbんhjm……ぎ、ぐうぇ……」

澪「偉いでしょ……えへへ……」



バゴンッ

144: 2011/03/28(月) 03:00:05.19
澪「……」バゴンッ、バゴンッ

小梓s「きゃっきゃっ」

小梓「澪先輩、なにかしてほしいことはありませんか?」

澪「そうだなぁ……みんなにずっと私の傍にいてもらいたい、かな……」

小梓「ふふ、お安いご用です」

小梓「私たちは永遠に澪先輩の私たちです。そして……」

澪「えへへ……」

・・・

「゛増えるあずにゃん゛はとても人気な品でしてな」

「購買者からもよく絶賛されますし、お礼も言われる」

「ただし、そのお客様方のその後は一切謎となっていましてなぁ。ほっほっ」



増えるあずにゃん編 おわり

146: 2011/03/28(月) 03:06:41.13
梓「――――は」

梓「……ここは」

梓「私の部屋……? てことはさっきのは……」

梓「なんだかいろんな夢を見てた気がする」

梓「楽しかったり、悲しかったり、怖かったり、不思議だったり」

梓「あれは全部夢だったっていうの……?」

梓「……疲れてたのかな、変なの」

147: 2011/03/28(月) 03:09:48.22
梓母「ちょっと御使い頼まれてくれない?」

梓「いいよー」

・・・

梓「お醤油、お醤油」

「そこのお嬢さん」

梓「え、私ですか?」

「なにか見ていきませんかね。様々な品が揃っておりますよ」

梓(わぁ、変てこなのばっかり)

「なにか、お気に召すものはありましたか?」

梓「え……あ、これなんかいいかな」

「それは゛覚めるあずにゃん゛でございます」

梓「覚めるあずにゃん……?」


覚めるあずにゃん編 続く

149: 2011/03/28(月) 03:13:20.26
律「あー、もう真っ暗だよ。早く帰らないと」

「ちょいと、そこのお嬢さん」

律「え、私のこと?」

「はい。少し、見ていきませんか?」

律「婆さん、こんなところで物売ってたって誰も見てくれないだろ。……どれどれ」

「どれも素晴らしい品ばかり。是非、なにか買われてみては?」

律「んー……」

律(なんか可哀想だし、一つ安いの買ってやるか)

律「じゃあこれ。これくださいな」

「それは゛大きくなるあずにゃん゛ですな。お目が高い」

律「大きくなるあずにゃん……?」

150: 2011/03/28(月) 03:16:03.90
律「ただいまー」

聡「あ、おかえり。……なにそれ?」

律「これ? 買ったんだよ、変な婆さんから」

聡「よりにもよって人形かよ。変なのー」

律「まぁ、ねぇ……なんかさ、これお湯につけると大きくなるんだって」

聡「昔の夜店とかで売ってたやつみたいだね」

律「そういやそうだなぁ。聡、欲しい?」

聡「いらねぇよ。それより夕飯だってさ」

律「はいよ~」

律(湯船の中に沈めとくか、これ)ス

152: 2011/03/28(月) 03:19:05.12
律母「律ー。お風呂は入っちゃいなさいよ」

律「え~、まだご飯食べたばっかじゃん!」

律母「あんたいつも入るの遅いんだからいいの。ほら、さっさと」

律「ちぇー、はいはい……」

・・・

律「ったく、お風呂ぐらいいつ入ってもいいだろっての」ヌギヌギ

律「……」

ガチャリ

大梓「……」プカ…プカ…

律「……」

154: 2011/03/28(月) 03:22:04.80
律「……」

大梓「……」プカプカ

律「どういうことだよ……」

大梓「こういうことですね」プカプカ

律「とりあえず風呂の中から出て」

大梓「律先輩が出してください。私、力入らなくて」

律(なんなんだよこれ、梓じゃないかよ)

律(ていうかでかくなり過ぎだろ……本物の梓の大きさじゃんか)

律「仕方がない、よいしょ……ってお前、なんかふにゃふにゃしてるぞっ」

大梓「長い時間お湯に浸かってたからですかね……」

律「なんつーもん掴まされたんだ私……インチキ婆さんめ」

158: 2011/03/28(月) 03:25:07.39
律「で? お前これからどうするんだよ」

大梓「どうするもなにも、律先輩次第ですよ」

大梓「飼い主はあなたなんですから責任を持ってください」

律「うるさいやい! 私だってこんなのだってわかってたら買わなかったよ!」

大梓「はっ、責任放棄ですか! なんて人!」

律「じゃあどうすりゃいいんだよ……」

大梓「とりあえず言っておくと、私は大きくなります。お湯に浸かると」

律「だから?」

大梓「いや、別にそれだけですけど……」

律「~……」

160: 2011/03/28(月) 03:28:05.43
律「ったく、お前がお湯吸ったせいで湯船に全然お湯ないぞ」

大梓「それは申し訳ないです。お詫びに」

律「ん?」

大梓「大したことはできませんが、肩をおもみしましょう」モミモミ

律「いいよ! べちゃべちゃするし、ふにゃふにゃだし!」

大梓「むー……」

律「お前、一体何なんだ。梓なのか?」

大梓「違いないですね、はい」

律「わっけわかんねぇよ……」

大梓「そう言われましてもね」

163: 2011/03/28(月) 03:31:07.38
律「……」ゴシゴシ

大梓「お背中流しましょうか」

律「いいよ。黙ってろ」

大梓「黙ってあなたの貧相な体を見ていてもちょっと……」

律「なんだ!? お前ケンカ売ってんのか!? 自分の体見てからそういうこと言えよ!」

大梓「ふふんっ」ボイン

律「あ……!?」

大梓「胸の部分だけお湯に浸してみました」

律「お湯が減るっつってんだろー!!」

164: 2011/03/28(月) 04:00:04.26
律「だいたい寸胴体系が胸だけでかくたっておかしいだけだよ」

大梓「嫉妬ですか? ええ、ええ、嫉妬するのはタダですからどうぞどうぞ」

律「この……やろっ……」

律「奇乳!」

大梓「貧乳!」

律「だぁーっ、こらぁー!」

大梓「やってやるです!!」

ガチャリ

聡「姉ちゃんなに騒いで……」

律・大梓「!」

聡「失礼しました……!」ガチャリ

大梓「ほーら! 私の胸に興奮してましたよ!」

律「ちげぇよバカたれ!!」

165: 2011/03/28(月) 04:05:04.64
律「とりあえずお前、小さくなれないの……?」

大梓「水に浸れば縮むこともできますが」

大梓「あまり浸りすぎると消滅しちゃいます」

律「思う存分水風呂を堪能してくれ」

大梓「そ、それはあんまりですよ! 律先輩!」

律「だまらっしゃい! ……とりあえず少し縮めてから私の部屋行くぞ」

大梓「不本意ですが……仕方がないですね」

律「なーにが不本意ですがだよ。ったく」

――これが律の最後の言葉になるとは誰が予測できただろうか

大梓「そして、この後待ち受ける怒涛の展開に……」

律「本気で水風呂に沈めんぞコラ」

166: 2011/03/28(月) 04:10:17.97
・・・

大梓「律先輩のベッドふかふか」ポフポフ

律「埃立つからあんま暴れるな!」

律(にしてもアイツどうすればいいんだ……)

律「クーリングオフってあの店効くかな」

大梓「洒落た言葉使わずに返品と言えばいいでしょう」

律「……お前はどうされたいのさ」

大梓「……律先輩と、一緒にいたい……」

大梓「離れたくないです……」

律「お前……」

大梓「って言ってみるテスト」

律「……くたばれ」

198: 2011/03/28(月) 10:25:11.01
大梓「まぁ、なんだかんだで律先輩次第ですよ」

大梓「私ってばこういう品ですし、自分じゃどうすることもできません」

律「まいったなぁ……」

大梓「律先輩は私のことどうしてくれる考えなんです?」

律「いや、どうもこうも」

律(唯にあげたら喜ばれそうだな……)

律「よし、決めた! 明日出かけるぞ」

大梓「はぁ?」

202: 2011/03/28(月) 10:29:26.94
コンコン

律「ん?」

「姉ちゃん、あの……さっきのことなんだけど。ちょっと入っていい?」

律「げ、聡! お、おい! 早く隠れろ!」

大梓「こそこそ」

律「い、いいよー」

ガチャリ

聡「姉ちゃん……」

律「お、おお~、聡ぃ。どうしたの?」

聡「どうもこうもないよ」

聡「さっき姉ちゃんが風呂の中で持ってたやつ……」

律「うん……」ゴクリ

聡「ラブドールってやつだろ……?」

律「……うん?」

203: 2011/03/28(月) 10:34:08.17
聡「ダッチワイフとも言うよね、俺知ってんだよ……」

律「なっ、このっ! なにバカなこと言ってんの!?」

聡「いい! もういいんだよ姉ちゃん……」

律(なに悟ったような顔してんだよ……っ)

聡「姉ちゃんは昔からさ、ああ……普通とは違うんだなぁって思ってた」

聡「でもだからってあんな物を……高かっただろう?」

律「バカ! バカバカバカバカぁっ!! お前そんな目で姉ちゃんのこと見てきたのか!?」

聡「姉ちゃんっ」

律「ふざけんなっ! もうあっち行けよ! 出てけ!」

聡「ああ……」ガチャリ

大梓「とんでも展開ですね。家族会議が起きますか?」

律「うわあああああっ、お前のせいでだよっ、ちくしょう!!」

204: 2011/03/28(月) 10:39:06.52
律「……」シクシク

大梓「……」

律「慰めも、しないのかよっ」

大梓「してほしいですか」

律「うるさぁい……!」

大梓「困りましたね」

大梓「そうだ! ちょっと見ててください」

律「ぐすっ……なんだよぉ」

大梓「ほら、このツインテール。だんだん何かに見えてきませんか?」ブンブン

律「はぁ……なんだよ?」

大梓「これがオチを用意してないんですよねー。いや、参った参った」ブンブン

律「寝るよちくしょうがっ!!」

208: 2011/03/28(月) 10:44:31.28
次の日

大梓「黙って連れて来られましたけど、ここは?」

律「お前が大好きな先輩のウチだよ」

大梓「律先輩の第二のおウチですか?」

律「はぁ? って……お前」

大梓「……ぷひっ」プゲラ

律「少しでも期待しちゃった自分が恥ずかしいよ……ごめんくーださい」ピンポーン

ガチャリ

憂「あ、律さん。お姉ちゃんに用ですか?」

律「うん。まぁ」

唯「あ、りっちゃーん!」

律「おっす。今日はお前にプレゼント持ってきたんだ」

唯「え~! プレゼントー? なにかな、なにかなぁ~」

律(押し付けるようで悪いなぁ、唯。でもこれしか手はないんだ)

212: 2011/03/28(月) 10:52:17.11
律「ほら、これがプレゼ……あれ?」

唯「どしたの?」

律「あ、いや! ちょっ、ちょっと待ってて!」

律(おいおい、なんでさっき後ろにいたのにいなくなってるんだ!)

「きゃー!!」

律「!?」

唯「う、憂! どうしたの!?」

律「どうした!?」

憂「お、お風呂の中に溺氏体が……!」

大梓「……」プカ…プカ…

律「 」

213: 2011/03/28(月) 10:55:17.07
律「うちのバカがご迷惑をかけて申し訳ない」

大梓「つい出来心でやりました。だが私は謝らない」

唯「ほんとにあずにゃんそっくりだねー」

憂「う、うん」

唯「それで、りっちゃんはその大あずにゃんを私にプレゼントしてくれるって?」

律「引き取ってくれるか!?」

唯「くれるってならもちろんだよー。だって、あずにゃんだし!」

律「よ、よかったぁ……おい! お前もお礼言わなきゃダメだぞ!」

大梓「むすー」

律「……なんだよ?」

大梓「いえー、別にー」

214: 2011/03/28(月) 10:59:05.13
律「じゃ、じゃあ。そいつのこと頼んだよ」

唯「うん、まっかしといて~! ほれほれ、大あずにゃん」ギュウッ

大梓「わーくすぐったいですよー唯せんぱーい」

律(よかったよかった。これで一件落着だよ)

律「大梓。唯にあんまり迷惑かけるなよ」

大梓「けっ、了解しかねます」

律「……ふん。じゃあな」

唯「りっちゃんばいばーい!」

大梓「……」

唯「あれ……大あずにゃん、泣いてるの?」

大梓「汗ですよ……」

唯「汗かー」

大梓「違いないです」ホロリ

216: 2011/03/28(月) 11:04:08.16
律「うー、あいつがいなくなって清々しい気分だよ!」

律母「あいつ?」

律「あ、なんでもないっす……」

聡「……」

律「……おい、そんな目でこっち見んなよ」

聡「ごめんよ……気が利かない弟でさ……」

律「うぅ……だからそういう哀れみを私に向けんなよぉ……」

律母「そんなことより、あんた今日もさっさとお風呂入っちゃいなさいよ」

律「ま、またかよっ。まだいいでしょ別に」

律母「さっさと!」

律「はーい……ちぇ」

217: 2011/03/28(月) 11:09:29.08
律「……」ヌギヌギ

律(あいつ、唯と上手くやってるかなぁ)

律(きっと大丈夫だよな。なんたって唯と梓なんだし)

律「って、なんで私があいつの心配しなきゃいけないんだか!」

律「それもこれも、あいつのせいだよ」

ガチャリ

律「……」

大梓「……」プカ…プカ…

律「……夢であってくれ」

220: 2011/03/28(月) 11:14:17.42
律「……なぁ」

大梓「お帰りなさい」

律「なぁっ!」

大梓「……はい?」

律「なに白々しい顔してんだよ! お前なんでここにいる!?」

大梓「なんでって、ここが私のウチですからね」

律「違うだろ! お前の家は唯のところだっ」

律「どうして戻ってきてんだよ……っ」

大梓「ダメですか」

律「ダメも何も、なんのために今日お前のこと連れて行ったんだよ」

大梓「……てへっ」

律「こんにゃろー!」

222: 2011/03/28(月) 11:20:11.63
大梓「いや、やっぱりここが一番居心地がいいかなと」

律「そりゃどうも……って、あれ。お前一回り大きくなってない?」

大梓「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」

律「お湯がすんごい減ってる……お前ぇ」

大梓「あ! 待ってください!」

律「は?」

大梓「また……また大きくなりそうですぅ!」

律「お、おい……?」

大梓「じ、自分を止める事ができない! ふああぁああああああ」

律「なんだよ!? なにが始まるんだよ!?」

大梓「ふぁああああああぁああああああああああああぁぁあぁぁあんっ」

ゴゴゴゴゴ…

律(大梓が……どんどん大きくなっていく……!)

225: 2011/03/28(月) 11:25:09.56
大梓「むむむむっ」ゴゴゴ

律「で、でかい! ていうか大きくなりすぎだよ! このままじゃ」

ミシッ、ミシミシミシミシィッ…

大梓「まだまだァーーーーー」

律「なに限界に挑戦みたいなノリしてんだ!? うわあああああぁぁっ、風呂がああああ!」

ベキッ、ベキベキィッ

律母「ちょ、ちょっと! なに!? あんたなにしてんの!?」

律「し、知らないっ! わかんない!」

律「止まってくれぇ! このままだと家が壊れるよぉっ!」

大梓「カメェーーーーーーーッ」ゴゴゴ

聡「……ダッチワイフが……大きくなっている……」

律「み、水だ! 水をかけるんだ!」

大梓「手遅れですよーーーーーッ」ゴゴゴゴッ

律「ひっ―――――」


…ドカーン!

226: 2011/03/28(月) 11:30:11.40
ヒュー…

律「……」

律母「ま、マイホームが……」

聡「すげぇ……」

律「私の家が、崩れて消えた……」

大梓「だーーーーいじょーーーーぶですかぁーーーーーーー?」

グワングワン

律「大丈夫……?」

律「大丈夫なわけないだろ!? ふざけるのもいい加減にしろおぉぉっ!!」

大梓「ですよねーーーー律先輩全裸で外にでてますもんねーーーーーー」

律「家だよ!! その前に家がなくなっちゃったんだよぉっ!!!」

227: 2011/03/28(月) 11:35:06.15
律「どうしてくれんだよ!? お前のせいだぞ!?」

大梓「そんなことーーーー言われてもーーーーー」

律母「律っ!! あんた、あんな怪獣どこで拾ってきたの!」

聡「違うんだよ、母ちゃんっ。あれは……」

律「お前そろそろ張り倒すぞ!?」

律母「ともかく、あんなのすぐにどこかに捨ててきなさいっ!」

大梓「す、すてる……?」

大梓「T川クリステ」

律「……言われなくても捨てるよ」

大梓「え……」

律「いいやっ、捨てるとかじゃなく出ていけ!! お前なんかどっか行っちまえぇっ!!」

大梓「り、律せんぱ」

律「うるさぁいっっ!! 消えろよっ!!」

大梓「え……」

228: 2011/03/28(月) 11:40:14.03
大梓「……短い間でしたけど」

律「……」

大梓「お世話になりました……」ス

ズシン…ズシン…ズシン…ズシン……

聡「自立稼動型だと!?」

律母「まったく……これからどうやって暮らしていけばいいのよ……」

律「……」

律母「とにかくお父さんに電話しないと、家がなくなったって」ピッ

聡「姉ちゃん、気を落とすな。こんなこともあるさ」

律「あって、たまるかよ……」

229: 2011/03/28(月) 11:45:05.46
・・・

律「ごめんね、急に押しかけたりしちゃってさ」

澪「気にするなよ。困ったときはお互い様でしょ」

澪「それにしても、どうして急に家が崩れたりしたんだ?」

律「あ、それには深い訳が……」

澪「まぁ、とりあえずゆっくり休め。私のことは気にしなくていいから」

律「澪ぉ……」

澪「そうだ。気分展開にテレビつけよっか。今の時間なら律の好きなバラエティーが」

ピッ

『緊急速報です。 桜ヶ丘市内に巨大な未確認生物が突如現れました』

律「ぶっ!!」

澪「り、律?」

律(もう、やだぁ……)

230: 2011/03/28(月) 11:50:16.05
澪「なんかすごい事になってるな……自衛隊も動いてるみたいだ。避難しなくても大丈夫なのかな」

律「さぁ、な……」

『今、映像を現場に映します。現場のかきふらいさん?」

かき『はい、現場のかきふらいです。怪獣はゆっくりと移動しているようです』

澪「梓そっくりな怪獣だ……」

律「そうだな……」

かき『あ、待ってください! 怪獣がなにか言っているようです!』

大梓『いえーーーい 見てるーーー?』

『カメラに向かってなにかアピールしているようですが……専門家の○さん?』

○『ええ。これは我々に向けてメッセージのようなものを送っているのでしょう。察するに……あず、にゃん……ペロ……ペロ……(^ω^)……』

澪「怖いな……」

律「頭痛くなってきたから寝てていいかな……」

233: 2011/03/28(月) 12:03:07.11
かき『今判明しました。怪獣は海へ向かって動いているようです』

かき『町が……町がまるで特撮のセットの様に蹴散らされています! 恐ろしい……あ、悪魔的可愛さだ』

『か、かきふらいさん?』

かき『あずにゃんにゃ――――――ブツッ!』

ザァーーーー……

『……えー、現場との通信が絶たれてしまったようです。桜ヶ丘は、桜ヶ丘はどうなってしまうのでしょうか……』

澪「これが世界の終わりなのかな、律ぅ……」

律(くだらねぇー……)

Prrr、Prrrr…

澪「律? 携帯が鳴ってるよ」

律「あ、ああうん……もしもし?」

唯『りっちゃん!』

唯「唯?」

234: 2011/03/28(月) 12:08:04.37
唯『テレビ見てる!? 大あずにゃんが……』

律「見てるよ、最悪だ」

律「唯、ていうかどうして大梓のことウチに返しちゃったんだ?」

唯『あ、その、えっとね……大あずにゃんが可哀想だったからついつい……』

律「可哀想って」

唯『大あずにゃん、あれでもりっちゃんのこと大好きなんだよ』

唯『だからウチに居ても寂しがってたし、えんえん泣いてたりもしてたんだよ?』

律「え……」

唯『そんな大あずにゃんのこと、私見てられなくて。だからそっちに帰しちゃった』

唯『ごめんね、勝手なことしちゃって』

律「……いや、いいよ。気にしてない」

律(あ、あいつぅ……バカやろっ)

235: 2011/03/28(月) 12:12:07.07
律「ううん、バカなのは私だ! あいつの気持ちなんて一つも考えたりしてなかった!」

澪「律? いきなりどうし」

律「澪! ちょっと私出かけてくるよ」

澪「で、出かけるって……外は危ないんだぞ! 怪獣が」

律「怪獣? ははっ、ちげーよ、あいつは私の」

律「大事な大事な、大梓だ!」ダッ、タタタ…

澪「ちょっ、律!?」

律(大梓。みんながお前の事忌み嫌ったって、何か言ったりしたって)

律(私だけはお前の味方だから!)

律「待ってろよ……!」

238: 2011/03/28(月) 12:18:21.26


大梓「……」ズシーン、ズシーン

A「なんてデカさの化けモンだッ。イカレてやがる」

B「海の中へ入って行く……どこへ行こうってんだ?」

隊長「警戒は怠るな! 目標は町を破壊しているんだッ! 凶暴なことに変わりはない」

C「ちっ、あのツインテール……誰かグドンを呼んできてくれ……」

タタタ…

A「き、君! なに入って来てるんだ! ここは危険なんだぞっ」

律「は、離してっ、離してくれよ! あいつに話したいんだ!」

隊長「なんだ君は。おい、さっさと摘み出せ」

律「やめろ! やめろぉっ!! あ、あずさ……大梓ぁーーーーーっ!!!」

ズシン、ズシン、ズシ……

大梓「律、先輩……?」

240: 2011/03/28(月) 12:22:39.82
B「怪獣の動きが止まっただと。まさか、この少女に反応しているのか」

律「大梓……!」

大梓「いえーい」

律「……お前なぁっ」

律「心配かけさせんなよな……いや、そんなこと私に言う資格ない、か」

律「ごめん……出て行けなんて言って。私、あんたのこと何にもわかってなかったよ」

大梓「つーん、今さらそんなことと言われたって」

律「……だよね。都合が良いことはわかってる」

大梓「意味不明です!」

隊長「全くだ。何だというんだ一体」

律「あんたらなんかにわかってたまるもんか」

隊長「ふん、わかっているさ。奴は町を滅茶苦茶にした最悪の化身だ」

律「それは……!」

大梓「ムシャクシャしてやった。今は反省している」

243: 2011/03/28(月) 12:27:22.18
隊長「だそうだ」

大梓「イライラするんだよ……!」

律「そのムシャクシャした原因は私にあるんだよ! だかた私が悪いんだ!」

隊長「と、言われてもな」

大梓「なに今さら飼い主顔してるんですか。図々しい」

大梓「散々言っておいて、ちょっと謝れば許されると思ってるの?」

大梓「ふーんっだ」

律「お前ぇ……」

隊長「上からの命令が下った。奴は殺害することになった」

律「ちょ、ちょっと待ってよ!! なにもそこまで……」

隊長「そこまでのことをした! それだけだ」

律「う、ウソだろっ」

大梓「頃す必要なんてありませんよー。もうすぐ自然消滅しちゃいますし」

245: 2011/03/28(月) 12:32:14.85
律「はぁ!?」

大梓「よく見てくださいよ。私いま水に浸ってるんですよ」

大梓「言ったでしょう。水に浸れば縮んで、最終的には消滅するって」

隊長「ほぉ……」

律「なんでそんなことするんだよ!? 意味わかんないっ」

大梓「少し考えればわかるでしょう? 私はこの世には不要な存在なんですよ」

大梓「できることと言えばお湯を吸って大きくなったり、へらず口を叩くだけ」

大梓「ね? 居るだけどうしようもないです。迷惑かかるだけです」

律「おいおいおいおい!」

律「やめろよぉ……そんなことされても嬉しくねぇよぉ……」

律「消えないでよっ、やだよぉっ!!」

大梓「つーん」

247: 2011/03/28(月) 12:37:40.83
大梓「……これでいいんですよ、律先輩」

大梓「これが正しい選択なんです。私にとっても、あなたにとっても」

大梓「おウチ、壊してしまってごめんなさい」

律「謝るぐらいならウチ直せよおぉっ!」

律「……直さなくたって、いいから」

律「戻ってきてよぅ……」グスン

大梓「……そろそろですね。ほら、こんなに縮んじゃった」

大梓「ちゃんと声きこエテマスカ」

律「聞こえてるよバカやろぉ……」

大梓「ミジカイアイダデシタケド、タノシカッタデス……トテモ」

律「私もだよ……」

大梓「……アイルビーバック―――――――」シュウゥゥゥ…

A「目標、消滅……」

隊長「撤退だ、野郎ども」

律「あぅっ……あああああ、っ……ぐうぅうう……っ」

249: 2011/03/28(月) 12:42:21.00
あれから数ヶ月の時が経った。

私の家は色々あって元通りに直って、今までどおりの日常へ戻ることができた。
変わったことといえば、゛あいつ゛がいない。

それだけなのかな……。

律母「律ー、さきお風呂入っちゃいなさい」

律「いつも私先だよね。なんなの……」

・・・

律「……」ヌギヌギ

律(……ははっ、なんだかちょっと寂しいや)

律「ほんの短い間だったけれど、あいつのこと今でも忘れられないよ……な、大梓」

ガチャリ

大梓「……」プカ…プカ…

律「……」

大梓「……ふぅ」チャプン

250: 2011/03/28(月) 12:47:22.39
律「……な、なんでだよ」

大梓「言ったでしょう。戻ってくるって」

大梓「り、律先輩がどうしても戻って来いって言うから、仕方がなくなんだからね!」

律「お前消滅しちゃったんじゃないのかよ!? 何なんだよ!?」

大梓「はは、不思議なこともあるもんですよねーいや、びっくり」

律「びっくりなのは私のほうだ!! ちくしょおおおお!!」

律「あのときの悲しみを返せ! 詐欺だ! うわあああああぁぁんっ」ポカポカ

大梓「あいたたた、なんですか! 泣きながら叩かないでくださいよっ」

律「汗だよちくしょおぉっ!! あっちぃんだよぉっ!!」

大梓「じゃあ、私のこれも汗ですね。違いないです!」

律「わあああああぁぁぁあああああんっ!! 大嫌いだバカああぁっ」

大梓「なら私も律先輩なんか大っ嫌いです!!」

こうしてまた、私とこいつの話は続くんだとさ。
ほんとどうしようもない話だよ。


大きくなるあずにゃん編 おわり

256: 2011/03/28(月) 13:00:05.19
梓「――――は」

梓「ここは、私の部屋?」

梓「じゃあ……さっきまでのは全部夢?」

梓「いろんな夢を見てた気がする」

梓「楽しかったり、悲しかったり、怖かったり、不思議だったり」

梓「疲れてるのかなぁ、なんかちょっとだるい……」

梓「んー……」

「ちょいとそこのお嬢さん」

259: 2011/03/28(月) 13:05:08.96
「何か見ていきませんか」

梓「お、お婆さん!? ていうかここ私の部屋ですよ!」

「どれも良い品ばかり揃っております」

梓「な、なんなのよ……」

梓「ていうか、良い品って……変なのばっかりです」

「ほっ、ほっ」

梓「ん、あのっ、これってなんですか?」

「それは゛覚めるあずにゃん゛でございます」

梓「覚めるあずにゃん……?」


覚めるあずにゃん編 続く

262: 2011/03/28(月) 13:10:04.16
紬「うふふ、いっぱい買っちゃったぁ」←一人お忍びでお買い物に

紬「でもそろそろ帰らないと斉藤たちが心配しちゃう。急がないと」

紬「でもまだおウチに帰りたくないなぁ……」

「そこのお嬢さん」

紬「はい? 私ですか?」

「珍しい物ばかりだよ、ちょっと見ていきませんか」

紬「え、珍しいもの!? わぁ、変な物がいっぱぁい! ……はっ、ご、ごめんなさい!」

「ほっほっ、正直でいいお嬢さん。どうです? 何か気に入ったものは?」

紬「そうね、なにか最後に買っておきたいし。あら、これは」

「ふむ、それは゛メカあずにゃん゛ですな。お買い上げに?」

紬「メカあずにゃん……?」

265: 2011/03/28(月) 13:15:04.52
紬「えっと、やっぱりこれはなんか違うから……」ポイ

「なんと」

紬「ん~、いっぱいあって迷っちゃう」

「じっくり見ていってくださいな」

紬「そんなに時間があるわけじゃ……あ」

「なにか、目につきましたか?」

紬「お婆さん! 私、これ買います! これで!」

「ほほう、それは゛駆けるあずにゃん゛」

紬「駆けるあずにゃん……?」

268: 2011/03/28(月) 13:20:16.30
紬「駆けるって、走るってことですか?」

「ええ、ええ。どこまでも駆けるあずにゃんでございます」

「ラスト一個。今ならお安くしておきますよ」

紬「まぁ! ね、値切ってもよろしいですか!?」

「それは困ります」

紬「とりあえず買います! 3000円ですね」

「お買い上げありがとうございます」

駆梓「……」

紬「それで、この子はどう扱えばいいのかしら……」

「乗ればよろしいのでございます」

紬「こう、かしら。よいしょ」ノリ

駆梓「ふんぐっ……!」

紬「お、重たい? ごめんね……」

駆梓「い、いえっ! そんなことは……!」

273: 2011/03/28(月) 13:25:05.38
駆梓「それじゃあ、出発しますよ。ムギ先輩」

紬「出発ってどこへ?」

駆梓「行き先は不明です。どこまでも走り続けます」

紬「まぁ! 素敵っ、それじゃあさっそくお願いしまーす!」

駆梓「お安いご用です! ふんすっ……!」キューーー…ン

ドドドドドッ

紬「わくわく♪」

駆梓「はっしん!!」

START UP…ビュウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥンッッッッッッ

「よい旅を」

274: 2011/03/28(月) 13:30:13.59
ドドドドドドドドドドドド…

紬「きゃー! はやいはやい~♪ もっともっとぉ~!」

駆梓「さらに加速ですか? お安いご用ですよ」

ギュギュギュギュッ、ギャギャギャアァーーンッッッ!

紬「すごいわぁ! うちの自家用ジェットよりはやーい!」

駆梓「そんなもの、屁でもありませんよ。私は世界一速いんですから」

ドドドドドドドドドドドド…

紬(でも、これじゃあおウチに帰れないのかなぁ)

紬「ねぇ、駆梓ちゃん。これはどこに向かっているの?」

駆梓「東です。とにかく東へ向かっています」

紬「どうして?」

駆梓「東には楽園-エデン-があるんです」

紬「あらぁ、そうなの」

ビュウウウウウウウオオオオオオォォォォオオオオオオオオンッッッ

275: 2011/03/28(月) 13:35:05.78
ドガガガガッ、ドカァーーーーン

紬「今なにか爆発したよ?」

駆梓「私にぶつかったトラックか何かが吹っ飛んで爆発しちゃったんですね、きっと」

駆梓「でもそのおかげで救われた命があるはずです」

紬「素敵ねぇ」

・・・

唯「およよ……」

「わーわー! 女の子がトラックに轢かれそうになったと思ったらトラックが爆発したぞー」

「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ」

唯「ハリウッドもびっくりだよぉ」

277: 2011/03/28(月) 13:40:06.70
紬「ねぇねぇ、駆梓ちゃん。駆梓ちゃんはどうしてそんなに速いの?」

駆梓「私は駆ける為に生まれてきましたから。それも速く」

駆梓「私にとって速さとは文化の真髄」

駆梓「そして私自身が速さそのものなんです」

紬「私にはよくわからない世界があるのねー」

駆梓「あ、見てください! 今、海の上を走っていますよ」

紬「あら、ほんと! すごーい!」

紬「駆梓ちゃん、喉は渇かない? よかったらお茶にしましょう」

駆梓「ナイスアイディアだと思います」

紬「ちょっと待っててね。こんなときのために電気ポットを用意しておいてよかったぁ」

紬「あ!」

駆梓「どうしました?」

紬「電気がないからお湯が沸かせないの……がっかり」

ビュウウウウウウウオオオオオオォォォォオオオオオオオオンンンッッ

279: 2011/03/28(月) 13:45:11.50
駆梓「もうすぐ太平洋を抜けますよー」

紬「あら、もうなの? 驚いたぁ」

駆梓「見てください! 外国ですよ! 外国!」

紬「アメリカに到着するのね♪」

駆梓「パスポートいらずで外国旅行なんてちょっとした悪の気分です」

紬「あこがれてたのよね~」

紬「あ、ここはカルフォルニアね!」

駆梓「ちょっと思ったんですけど、アイダホって何が有名ですかね」

紬「えーっと……」

紬「ジャガイモかしら」

ギュオンギュオンッ、ビュビュウウウウゥゥゥゥーーーーーンッ

280: 2011/03/28(月) 13:50:04.51
紬「あれ? なんだかちょっと浮いてないかしら?」

駆梓「速さを極めれば空を駆けます。常識ですよ」

紬「し、知らなかった!」

紬「ああ、もう地面があんなに遠い! どんどん地上から離れていってるのね」

駆梓「しっかり掴まっていてくださいね。振り落とされたら危険ですから」

紬「はーい。えへへ、ぎゅーっ」ムギュウッ

駆梓「はうっ……!」

駆梓「そ、そんなに抱きしめられちゃったら……! ああぅっ……」

紬「減速しちゃった! 減速してるわ、駆梓ちゃん!」

トロトロトロトロ~トットコトットコ…

281: 2011/03/28(月) 13:54:39.99
紬「少し休憩しない?」

駆梓「そんなことしたら氏んじゃいます! 私、走り出したら走り続けなきゃ氏んじゃうんです!」

紬「困ったわねぇ……」

駆梓「そうこう言っているうちに大気圏を突破しちゃいましたよ」

ゴウン、ゴウン、ゴウン…

紬「わぁ……」

駆梓「見てください、ムギ先輩。あれが地球ですよ」

紬「大きい、それにとっても青いし、きれい……ガガーリンが言ったことは正しかったのね」

紬「見回したって神様もいない。宇宙って、なにもないの……」

駆梓「なのに不思議な場所ですよ。ここからはスペースデブリに気をつけて走りましょう」

紬「地球が遠く、ううん、小さくなっていく……」

コーホー、コーホー…ドタタタタタタタタタタッッッ

283: 2011/03/28(月) 14:01:12.00
紬「宇宙に端はないのかしら」

駆梓「永遠と闇が続きますね。とっても暗いです」

紬「地球から見えていた星が、今私のすぐ前にあるわぁ」

紬「手を伸ばせば掴めそうなくらい小さく見えた星も、こんなに近ければ私の手には収まらないの」

紬「これが……宇宙」

駆梓「気に入りましたか?」

紬「……ぐすんっ」

駆梓「ムギ先輩?」

紬「寂しいわ。とっても寂しい……おウチが恋しい」

紬「帰りたい……」

駆梓「ああっ、どうか泣かないで……」

ブブブオオォォォォォォォンッッッズギュギュババーンッッッ

285: 2011/03/28(月) 14:06:11.30
紬「ううっ……」

駆梓「……行き先を変えましょう」

紬「え?」

駆梓「目的地は、ムギ先輩のおウチです!」

紬「で、でも東の楽園を目指しているんじゃなかったの?」

駆梓「宇宙に東もなにもないです。それに、ムギ先輩を悲しませてまで向かう場所が楽園な筈ないんです」

駆梓「大きくターンしますよ。しっかり掴まっていて!」

グイィーーーーーーーーーーーーン

駆梓「さぁ、帰りましょう。お父さんとお母さんがいる場所へ。私たちの地球へ」

紬「うんっ」

ボボボバババババッババババァァァァァァァンッ!!!

286: 2011/03/28(月) 14:11:07.44
駆梓「大気圏を無事突破できましたよ」

紬「ああ、ただいま! 私たちの星!」

紬「この空気ですら懐かしく感じちゃう……空も、海も、地上も」

紬「なにもかもがきれいで美しいわぁ。全てが新鮮に感じられるの。感謝したいほどに」

駆梓「住めば都ってよく言ったものですよね」

駆梓「このまま一気に日本まで突っ走ります。もうちょっとですよー」

紬「お父様、お母様、斉藤……みんなっ」

宇宙に、さようなら

地球に、ただいま

そして、全てにありがとう―――――


ギュギュッギイイイィィィィィィァァァァァァァァァァンンンンッッッッ!!!

287: 2011/03/28(月) 14:16:12.49
琴吹家

ギュウウウウウオオオオォォオォオオオオオオオンッッッ…3、2、1

ピタッ……TIME OUT

駆梓「うっ!」

ドサァ…

紬「駆梓ちゃん!?」

駆梓「ぶ、じ、もくてき……ちに……到着、ですね」

紬「そんなことより駆梓ちゃんがっ」

駆梓「わたしは……走ることを、やめてしまえ、ば……氏ぬんです……」

駆梓「いった、でしょ、う?」

紬「ああっ……!」

紬「どうか氏なないで! 氏んじゃいやぁーっ!」

駆梓「ふ、ふふ……みつけ、ました……ここ、が」

駆梓「ここが、楽園だったんです、ね……わたし、の……―――――――」

紬「ううっ……ごくろう、さまっ。駆梓ちゃん……っ」

288: 2011/03/28(月) 14:21:04.06
・・・

紬「ふぅ、これでよしっと」

斉藤「……? お嬢様、それは?」

紬「お墓よ。この世で最も速く走る子の」

紬「あの子は最後に、幸せそうな顔をして逝ったわ……」

紬「後悔はないんだって、そんな顔をして」

斉藤「ふむぅ」

紬「ねぇ、斉藤」

斉藤「はい」

紬「ここから東に向かえば、そこに楽園はあるのかな」

斉藤「……わかりませんな」

斉藤「しかし、そう信じているのであれば、それはあるのかもしれません」

紬「……そうなの」

紬「さぁ、お茶にしましょう? 斉藤」


駆けるあずにゃん編 おわり

290: 2011/03/28(月) 14:26:05.88
梓「――――は」

梓「ここは、私の部屋……じゃない」

梓「こんな場所、私知らないよ」

梓「なにか、とってもへんてこな夢を見てた気がする……」

さわ子「そう、あなたは夢の中にいたのよ」

梓「さわ子先生」

和「いいえ、あなたは夢の中にいるのよ」

梓「和さん」

トンちゃん「プクプク」

梓「トンちゃん」

291: 2011/03/28(月) 14:31:06.43
ヤッテヤルデス『ヤッテヤルデス』

梓「あなたは知らない」

唯?「あずにゃん」

梓「唯先輩……じゃない。あなたは唯先輩じゃありませんね!」

唯?「あずにゃん。もう寝ちゃおうよ」

唯?「眠たいでしょ。我慢は体に毒なんだよ」

梓「意味不明です」

「そこのお嬢さん。なにか見ていきませんか」

「ですが、そろそろお時間も少なくなってきました。ゆっくりと見ている暇ではありませんか」

梓「あ、いえ……得にすることがないので、なにか見せてくださいよ」

「冷やかしはごめんですよ。ほっほっ」

292: 2011/03/28(月) 14:36:23.59
梓「やっぱり変なものばっかり」

梓「もっと普通のものはここには置いてはないんですか?」

「……」

梓「全部が全部、あずにゃん、あずにゃん……気味が悪い」

「左様でございますか」

「なにか気に入られたものはありましたか?」

梓「これは?」

「゛覚めるあずにゃん゛でございます」

梓「覚めるあずにゃん……?」


覚めるあずにゃん編 続く

295: 2011/03/28(月) 14:41:09.53
純「お婆さんこんなところでお店開いてんの?」

「なにか見ていかれませんか」

純「あ、じゃあせっかくだから」

純「へ~、色々あるなぁー」

「どれもとてもいい品ばかりですよ」

純「ほうほう、それじゃあお婆さんのオススメ教えてくださいな!」

「オススメですか。では、これはいかがでしょう?」

純「なにこれ? 植物の種みたいだけど」

「゛育つあずにゃん゛でございます。ほっ、ほっ」

純「育つあずにゃん……?」

296: 2011/03/28(月) 14:46:05.42
純「結局一つ買っちゃったぁ。でも面白そうだしいいよね~」

純「おかーさぁーん! 植木鉢どこー」

純「え、物置ー? とってきてー」

純「自分で持ってこいー? やだよ~、めんどっちいなぁ」

純「むぅ……」スタスタ

・・・

純「えっと、土を入れて、種入れて、土かぶせて」

純「あとは水を軽くあげといて……これでよしっと!」

純「いやぁ、どんな花が咲くのかなぁ。あずにゃんってどんな花なんだろ?」

純「なんか聞いたことあるような気がしなくもないけど。うーん」

…ピョコ

299: 2011/03/28(月) 15:00:05.82
純「うむ? おぉっ!?」

純「も、もう芽が生えちゃったよ……うっそー……」

純「おかーさぁーん! もう芽がでたよー!」

純「寝言は寝てから言え? もう、お母さんってばひどいっ」

純「本当に芽が出てるのに……ねぇ?」

育梓『……』オジギ

純「動いたあぁっ! おかーさぁーん!? 芽が動いたよー!」

純「目じゃないよ芽だよ! 植物の芽!」

純「ウソじゃないもーん! ほんとだよー!」

300: 2011/03/28(月) 15:05:05.10
純「しっかし」

育梓『……』

純「なんだ、このどこかで見たことがあるような芽は」

純「……よく見ると、ツインテール?」

純「ああ、梓のツインテールそっくりなんだよ! これ!」

育梓『……』ピョコピョコ

純「だから、育つあずにゃんなのかな。んー」

純「むーん、謎は深まるばかり。そんなときは寝てしまおう」

純「おやすみ、育梓」

育梓『……』オジギ

純「うはっ、かっわいー!」

301: 2011/03/28(月) 15:10:04.69
数日後

純「どれどれ、育梓は元気してるかな~?」

育梓『ウゴ、ギ…ミキッ』

純「ぎゃあー!! 生首が生えてるよー!!」

純「おかーさぁーん!? 植物の種植えたら生首が生えたよー!」

純「え、病院行こう? やめてよそういうのー!」

育梓『ギギギ』

純「ううっ、なんか呻いてる……ていうかこれ梓の頭だ!」

純「マジで育つあずにゃんなんだ、これ」

純「とりあえず写メとっとこう……」キラリン

育梓『ミ゛ミミミ…』

302: 2011/03/28(月) 15:15:29.13
純「えっと、水は適度にあげて……あ、バナナが好物なんだ」

育梓『タイ…ヤ、キ…』

純「たい焼き? たい焼きも食べれるの?」

純「たしか冷蔵庫に。ちょっと待っててー」

・・・

純「ほれ、たーんとお食べ」ス

育梓『キキィーッア』パクパクムシャムシャ

純「ほうほう、いい食べっぷりじゃないの」

純「可愛いからもっとあげちゃおう! ほーれ」

育梓『キシャーッ』パクパクモグモグ

純「たくさん食べて大きくなるんだよ~」

303: 2011/03/28(月) 15:20:04.71
次の日

育梓『…ジュ、ジェ…ジュジュン』

純「じゅんだよー。私の名前はじゅん」

育梓『モップ』

純「だから違うって言ってるでしょ! もぉー」

純「それにしても喋れるだなんてびっくりだなぁ。色々教え込んじゃおう」

育梓『モップ…モップ…』

純「もしかしてご飯欲しいのかな? だったらバナナをあげちゃう」

育梓『ガッグギギギ』ムシャムシャ

純「そういえばお前のことブログにつけてみたんだよ~、成長日記~」

純「毎日頑張ってつけてるから見てくれる人もいっぱいだよ」

育梓『ププー』

304: 2011/03/28(月) 15:25:07.64
ピチャ、ピチャ…ザー

純「うわわ、雨だ雨! 大降りだよー!」

純「おかーさぁーん! 雨降ってきたよー!」

タタタ…

育梓『ウ、ムグ…』

・・・

純「いやぁ、土砂降りだった。通り雨かな」

純「あ、そういや育梓! 忘れてた!」

タタタ…

育梓『メ…ソ…』シナシナ

純「し、萎れてる! どうしようっ」

純「……ま、まぁ。明日になれば元気になるかな。じゃあね」

育梓『イ゛イイィィ…』

305: 2011/03/28(月) 15:30:11.46
次の日

純「お、萎びてないな~。元気になってくれたんだ」

育梓『ホム』

純「……ん?」

純「なんかあんた、ツインテール伸びてない?」

育梓『ゲババ』

純「気のせいかな。ま、いっか」

純「私これから友達と遊んでくるから、いまのうちにエサをたっぷりあげよう」ス

育梓『キャプー』ムシャモグ

純「そいじゃーねー」

育梓『ホムホム…』

306: 2011/03/28(月) 15:35:12.95
数日後

純「どしたの、お母さん?」

純「え、育梓にエサあげないのかって? 後でやるよー、ちゃんとやるって」

純「あー、そういや昨日もあげてなかったんだっけ。めんどくさいなぁ」

純「お母さん適当にあげといてよー」

純「気持ち悪いー? 大丈夫だよー、別に襲ったりしないんだから」

純「ほんと大人しいもんだって! だいじょぶだいじょぶ!」

純「あ、ブログもしばらく更新してなかったなぁ」

純「後ででいいや、後でで」

308: 2011/03/28(月) 15:40:13.72
さらに数日後

育梓『ハルランマン』

純「あんた、しばらく見ない内に大きくなったねー! 頭大きくなっちゃってるよ」

純「いやぁ、すごいすごい」

育梓『ヤ、ヤルデ、ススス』

純「にしてもなんか他に喋れるようにはならんかなー」

育梓『タ、タ、タタ、キ』

純「ん? ご飯? 後であげるよー。待ってなさーい」

育梓『キヒー…』

純「さて、と。今日はジャズ研はりきらないとね!」

純「じゃあ行ってくるねー」スタスタ…

育梓『ペペペペペ……』

310: 2011/03/28(月) 15:45:09.43
さらにさらに数日後

憂「これが純ちゃんが言ってたペット?」

純「そうだよー、面白いでしょ」

育梓『ラリルレロ、ラリルレロ』

憂「最近、ブログ更新してないよね? どうしたの?」

純「いやぁ、始めてみたはいいんだけど、少しサボっちゃったら飽きちゃってさー……」

憂「そうなんだ……?」

純「どったの?」

憂「この子のツインテールの先っぽ、手みたいになってる」

純「手ぇ? どれどれー……そうかぁ?」

育梓『デデデ』

純「気のせいでしょ」

憂「そうかも。私が気にしすぎただけだよね」

育梓『モップ』

憂(でもなんだか元気なさそう……)

313: 2011/03/28(月) 16:00:05.56
さらにさらにさらに数日後

純「育梓ー、久しぶりのご飯だよ……ってありゃ?」

純「あんた、随分顔色悪くなってない?」

育梓『…デス』

純「なんか真っ白だよ。ていうかツインテール伸びすぎ!」

純「おかーさぁーん! 育梓がなんか変ー」

純「今に始まったことじゃない? 中々酷いこと言うな……」

純「ま、いっか。じゃ、ご飯あげたからまた明日ねー」

育梓『モッ、トトト…ゴハ、ンンンンン』

純「はぁ? ダメダメ~! いっぱい食べたらぶくぶくになるよー」

純「じゃあね」スタスタ…

育梓『……デ、ス』

育梓『ア、ッテ………』

315: 2011/03/28(月) 16:05:25.06
次の日

育梓『ギギギッ…』シナシナ

純「う、うわっ! なにこれキモっ!」

純「すんごい萎びてる……ていうか枯れかかってるよ」

純「おかーさぁーん! なんか枯れそうなんだけどー!」

純「知ったこっちゃない? まぁ、実際そうなんだけど……」

育梓『ヒィ…ヒィ…タ、スケ、オタ、スケ』

純「うう、そんな目で見られても困るよぉ……」

317: 2011/03/28(月) 16:10:08.60
さらに次の日

育梓『』チーン

純「お、おーい……生きてる?」

育梓『』

純「反応ないし……うそ、氏んじゃった?」

純「うわぁ、なんだか可哀想なことしちゃったかな……」

純「おかぁーさーん! 育梓氏んじゃったよー! どうしたらいいかなー?」

純「ゴミにだす? ってそれはあんまりじゃ」

純「……面倒だけど庭に埋めてあげよっか」

・・・

純「これでよしっと」

純「あー、一仕事終えたらお腹減ったよ~。おかーさぁーん、ごはーん」

タタタ…

321: 2011/03/28(月) 16:15:04.83
ザー、ザー…

純「うわぁ、こりゃ一嵐来てるねー……」

純「でも明日になったら晴れてるよね、きっと」

純「ふあぁぁぁ……ねむっ」

純「今日はもうおやふみぃ……」

コンコン

純「ん?」

純(今、何か音しなかった?)

コンコン

純(ほら、やっぱり)

コンコン

純「窓叩いてるおと――――――!!」

育梓『ゴゴゴバゴッギギッ……ゴー、ハッ、ンヨコ…スデ…ス…』

純「ひっ!?」

324: 2011/03/28(月) 16:20:13.77
コンコンコン

純(窓を叩いていたのは、あいつのツインテールの先!?)

育梓『フォハァンァ』グリグリ…

純「や、やめて! 窓が割れちゃうよ!」

純「それよりあんたのその体なんなのよーっ!! なんで生きてのぉっ!?」

育梓『アヴァアァァアアァ』

純(ツインテールがまるで二本の腕! 生首が腕二本だけで窓にははは、張り付いてるっ!)

純「おかーさぁーんっっっ!! おかーさぁーんっっっ!!」

育梓『ブ、ブブブブ……』…ミシッ

ミシミシミシ…パリーン!

純「ひゃああぁっー!?」

純「たっ、たたっ……たすけてぇ……こっち来ないでぇ……!」

育梓『ウボァ…ウボァ…』ヒタ…ヒタ…ヒタ…

325: 2011/03/28(月) 16:25:06.50
純「おかぁあーーーさぁんっっ!? なんで、どうして!? あああっ!?」

育梓『ボアー…』キョロ、キョロ…

…グリンッ

育梓『ヨこセ』

純「い、いやぁ……」

育梓『ゥばぁなナ、たあイやキ、よ、こォスデス』

純「ダメ! ダメぇっ!! これ以上こっち来ないでよぉーっ!!」

純「ああぁぁーっ!? おかぁーさんってばあぁっ!! おかぁーさあぁんっ!!」ドンドンッ

純「うっ、ううぅう……なんで、なんで、返事ないのよぉ……なんで……」

育梓『ァバァアア……」クパァ…ネチャ、ピチャ…

…ボトッ、ゴロン……

純「へ…………?」

育梓『ゥオイ、シカッタアァデ、ス。ヲ、にク…』ゲプッ

純「あ、お母さんの頭だ……おかーさぁん、おかーさぁん……あああ……」

326: 2011/03/28(月) 16:30:28.01
純「おかーさぁん、おかーさぁん……ねぇ、おかーさんってば……」

育梓『モット、モォット……デス』

ヒタ、ヒタ、ヒタ、ヒタヒタヒタヒタ

ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ

ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ

純「おかぁーさーん……おかぁーさぁーん……」

ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ

ヒタヒタヒタヒタヒタヒタグチャア

育梓『ウマ、ウゥ、マァッ……モグモグ……デス』モグモグ

純「ひゅー、ひゅー、ひゅー……」ブシュゥゥゥゥ…

育梓『モォッ、プ、ププ、ビミデ……ス!』モグモグ

純(どうして、こうなっちゃっ――――)

グジュッ、ブジュル、ピチャ……

育梓『ミ゛ミミ…キ、ピ……オオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォン』

332: 2011/03/28(月) 16:35:37.92
「昨日未明、桜ヶ丘市内に住む。主婦の鈴木○○さん ○歳」

「高校生の鈴木純さん 17歳。二名の遺体が近所の隣人によって発見されました」

「外傷は酷く、野犬か何かに襲われたのではないかと、警視庁は報告しています」

「詳しい事は現時点では未だわからず、現在も捜査中だという模様です。続いては……」

・・・

「ほっほっ、どんな生き物でも皆、愛情に飢えています」

「最近ではペットを飼うということをとても軽く思っている方も多いようですが」

「それって、いけませんよねぇ。ペットだってあなたと同じ命を持っているのですよ」

「いけませんね、大事に大事に愛情込めて育ててあげなきゃ……食われてしまいますよ」

育梓『ヤッテヤルデス』


育つあずにゃん2編 おわり

334: 2011/03/28(月) 16:40:11.47
梓「――――あ」

梓「……」

「ちょいと、そこのお嬢さん」

梓「私ですか?」

「ええ、ええ。その通りでございます。お時間がありましたら、少し見ていきませんか?」

梓「わぁ、いろんな物がある」

梓(どれもおかしい感じの物ばっかりだけど)

梓「ふーん……」

梓「お婆さん。なにかオススメを」

「はい、あなたに相応しい品はこれかと」

梓「それは?」

「゛覚めないあずにゃん゛でございます」

梓「覚めないあずにゃん……?」

336: 2011/03/28(月) 16:45:32.98
「お買い上げになられますか」

梓「……いえ、これはいらないです」

「ですが」

「そろそろお疲れになられたのでは?」

梓「……」

「疲れたでしょう? 疲れたでしょう? もういいのですよ」

紬?「ゆっくり、休みましょう。梓ちゃん」

唯?「そうだよ、あずにゃん」

律?「梓、無理すんなよ」

澪?「そうだぞ。さぁ、梓」

梓「ああ、皆さん……」

338: 2011/03/28(月) 16:50:05.41
梓「……」

梓「だめ、それはだめ」

梓「こんなところで終わっちゃうなんてないですよ」

「なぜ?」

梓「私には、たくさんの待っていてくれる人たちがいるんです」

梓「そんな人たちを置いて、無視して、休むなんてないです」

「ほっほっ」

梓「だから゛覚めない゛なんて選択ありえないんです」

梓「私は、この選択をし続けますよ」

「それは゛覚めるあずにゃん゛ですね」

梓「買います。これをください」

「お買い上げ、ありがとうございました」

「またのご来店をお待ちしております」

梓「二度と来ません」

339: 2011/03/28(月) 16:55:20.69
気がつけば私は、ベッドの上に横たわっていた。
体のあちらこちらにチューブを取り付けられている状態で。

目だけを動かして辺りを見回してみると、ここは私の知らない場所だった。

知らない天井。知らない窓からの知らない風景。知らない花瓶。

知ってる顔。

唯「あず、にゃん?」

澪「ああ……!」

紬「うそ……っ」

律「梓!!」

知っている顔だ。みんなみんな。
私の大好きな人たちだ。

梓「……私、長い長い夢を見ていたみたいなんです」

梓「あんまりにも居心地がよくて、ずっと夢の中だったみたい」

梓「でも、やっぱり。皆さんのもとに居る方が心地がいいみたいですね」

340: 2011/03/28(月) 17:00:12.39
ああ、唯先輩。

そんなに強く抱きしめないで。苦しいですよ。

ああ、澪先輩。

そんなに情けない声で私を呼ばないで下さいよ。もっと優しい声でお願いします。

ああ、律先輩。

そんなに喜ばなくても。他の患者さんに迷惑がかかっちゃいますってば。

ああ、ムギ先輩

そんなに泣かないでください。私、笑顔の唯先輩が大好きですから。

そうか、私は帰ってくることができたんだ。目を覚ますことができたんだ。

よかった。本当によかった。

「「「「おかえりなさい」」」」
4人が揃ってそう言った。

なら、私はこう返すべきなんだね。

梓「ただいまです」



覚めるあずにゃん編  おわり

343: 2011/03/28(月) 17:04:17.27
これで本当に終わりです
話の中身は深く考えない方がいい
とにかく読んでくれた方、保守してくれた方ありがとう

ついでに、話に出てきたお婆さんはストーリーランドの婆さんとは全く関係ない

345: 2011/03/28(月) 17:05:31.18
乙!
面白すぎて仕事やめた

348: 2011/03/28(月) 17:06:32.29
うわ
最後ちょっぴりミスっちゃったよ!

>>340のあれは脳内で直しておいておくれ

引用元: 唯「魅惑のあずにゃんシリーズ!」