1: 2011/01/31(月) 20:09:50.80
二階・金田一の部屋
四日目、18時過ぎ
金田一「……」
美雪「どうしたのよはじめちゃん。浮かない顔して……あと二時間もすれば剣持警部が迎えに来てくれるんでしょ?」
佐木「……もしかして、さっきの推理の事ですか?」
金田一「……」
美雪「紬ちゃんが…」
四日目、18時過ぎ
金田一「……」
美雪「どうしたのよはじめちゃん。浮かない顔して……あと二時間もすれば剣持警部が迎えに来てくれるんでしょ?」
佐木「……もしかして、さっきの推理の事ですか?」
金田一「……」
美雪「紬ちゃんが…」
事件編:金田一「犯人は、この中にいる」唯「え……」
3: 2011/01/31(月) 20:16:41.88
美雪「紬ちゃんが最後の事件を自白してから……なんか様子が変よ?」
佐木「彼女自身が罪を認めたんですから、それでいいじゃないですか」
金田一「……」
佐木「てっきり、推理で犯人を追い詰めるのかと思いましたけど……彼女から罪を告白し出しましたから、ね」
金田一(そう、それで全ては終わったはずなんだ)
金田一(でも、何なんだ……この違和感は……クソッ)
佐木「彼女自身が罪を認めたんですから、それでいいじゃないですか」
金田一「……」
佐木「てっきり、推理で犯人を追い詰めるのかと思いましたけど……彼女から罪を告白し出しましたから、ね」
金田一(そう、それで全ては終わったはずなんだ)
金田一(でも、何なんだ……この違和感は……クソッ)
9: 2011/01/31(月) 20:24:07.16
美雪「……そう言えば、みんな大丈夫かしら? 一階に残してきちゃったけど」
佐木「今は、そっとしておいてあげましょうよ。その……迎えが来たらみんなは……」
美雪「……」
金田一「……」
金田一「喉が、渇いたな」
美雪「あ、お水持ってこようか?」
金田一「いやいいよ。自分で行く」
美雪「……はじめちゃん」
金田一「ん~?」
美雪「あんまり、悩みすぎないで、ね」
金田一「……」
ガチャッ。
佐木「今は、そっとしておいてあげましょうよ。その……迎えが来たらみんなは……」
美雪「……」
金田一「……」
金田一「喉が、渇いたな」
美雪「あ、お水持ってこようか?」
金田一「いやいいよ。自分で行く」
美雪「……はじめちゃん」
金田一「ん~?」
美雪「あんまり、悩みすぎないで、ね」
金田一「……」
ガチャッ。
11: 2011/01/31(月) 20:30:08.38
佐木「先輩、元気無いですね」
美雪「……」
美雪「はじめちゃん……」
佐木「もう解決していない事は無いはずなのに」
美雪「……でもね、私も何かが引っ掛かっている気がするの」
佐木「え、どういう事ですか?」
美雪「うまく言えないけど……何か、変な感じ」
佐木「僕には、よくわかりませんけど」
美雪「はじめちゃん、大丈夫かな……」
美雪「……」
美雪「はじめちゃん……」
佐木「もう解決していない事は無いはずなのに」
美雪「……でもね、私も何かが引っ掛かっている気がするの」
佐木「え、どういう事ですか?」
美雪「うまく言えないけど……何か、変な感じ」
佐木「僕には、よくわかりませんけど」
美雪「はじめちゃん、大丈夫かな……」
13: 2011/01/31(月) 20:37:52.94
一階・団欒室
唯「……」
澪「……」
紬「……」
律「なあ、ムギ。その……」
律「……ん」
「……」
紬「ねえ、みんな」
「!」
紬「どうして……私と同じテーブルに座ってくれているの?」
唯「……」
澪「……」
紬「……」
律「なあ、ムギ。その……」
律「……ん」
「……」
紬「ねえ、みんな」
「!」
紬「どうして……私と同じテーブルに座ってくれているの?」
14: 2011/01/31(月) 20:43:32.84
紬「私、その……人を……」
紬「だから、みんなとこうやって一緒にいる資格なんて……」
律「……なに言ってんだよ。そんな事関係無いっての」
紬「……」
律「あ~……いや、関係無いと言うかなんと言うか」
澪「みんな、ムギと一緒にいたいんだよ」
紬「だって……」
唯「ムギちゃん」
紬「!」
唯「私、ムギちゃんのいれたお茶が飲みたいな」
澪「唯……」
唯「一緒に、お茶を飲もうよ。ね?」
紬「……私がお茶を入れていいの?」
紬「だから、みんなとこうやって一緒にいる資格なんて……」
律「……なに言ってんだよ。そんな事関係無いっての」
紬「……」
律「あ~……いや、関係無いと言うかなんと言うか」
澪「みんな、ムギと一緒にいたいんだよ」
紬「だって……」
唯「ムギちゃん」
紬「!」
唯「私、ムギちゃんのいれたお茶が飲みたいな」
澪「唯……」
唯「一緒に、お茶を飲もうよ。ね?」
紬「……私がお茶を入れていいの?」
16: 2011/01/31(月) 20:49:05.82
律「わ、私は飲むぞ」
澪「……」
律「澪は?」
紬「……」
澪「私も、いただこうかな。うん」
紬「澪ちゃん……!」
唯「久しぶりの、お茶会だね」
紬「じゃあ……あ、悪いんだけど誰か手伝ってくれないかしら? お茶とケーキを運びたいの」
律「お~し、じゃあここは珍しく部長の私がっ……!」
唯「私が手伝うよっ」
律「ぬおっ、唯~?」
澪「……」
律「澪は?」
紬「……」
澪「私も、いただこうかな。うん」
紬「澪ちゃん……!」
唯「久しぶりの、お茶会だね」
紬「じゃあ……あ、悪いんだけど誰か手伝ってくれないかしら? お茶とケーキを運びたいの」
律「お~し、じゃあここは珍しく部長の私がっ……!」
唯「私が手伝うよっ」
律「ぬおっ、唯~?」
18: 2011/01/31(月) 20:53:10.10
紬「……じゃあ唯ちゃん。お願いできるかしら?」
律「むあっ、ムギ~……」
唯「うん、わかったよ」
澪「じゃあ、私たちは待ってるよ」
律「仕方ないな~今回は唯隊員に譲ってやるよ!」
紬「……ありがとう、澪ちゃん。りっちゃん」
紬「ありがとう、唯ちゃん……」
律「むあっ、ムギ~……」
唯「うん、わかったよ」
澪「じゃあ、私たちは待ってるよ」
律「仕方ないな~今回は唯隊員に譲ってやるよ!」
紬「……ありがとう、澪ちゃん。りっちゃん」
紬「ありがとう、唯ちゃん……」
19: 2011/01/31(月) 21:00:39.94
……。
律「……何て言うかさ、やっぱ信じらんねえよな」
澪「ん?」
律「ムギが、人を頃したなんてさ……それも……二人も」
澪「鈴木さんと、憂ちゃん……」
律「何か理由があったんだろうけどさ、事故を隠してこんな事になるなんてさ……なんでかな」
澪「……やっぱり、時間が欲しかったんだろうな。話を聞いてると」
律「私には、やっぱりわかんねーや……バレたら全部終わりじゃないかよっ……」
澪「律……」
律「……何て言うかさ、やっぱ信じらんねえよな」
澪「ん?」
律「ムギが、人を頃したなんてさ……それも……二人も」
澪「鈴木さんと、憂ちゃん……」
律「何か理由があったんだろうけどさ、事故を隠してこんな事になるなんてさ……なんでかな」
澪「……やっぱり、時間が欲しかったんだろうな。話を聞いてると」
律「私には、やっぱりわかんねーや……バレたら全部終わりじゃないかよっ……」
澪「律……」
20: 2011/01/31(月) 21:04:43.24
律「……」
澪「……」
金田一「……っと、お二人さん」タタッ
澪「あ……」
金田一「あれ、唯ちゃんと……紬ちゃんは?」
律「あ、ああ。お茶とお菓子を持ってきてくれるんだってさ」
金田一「……」
律「そんな顔すんなよ……私たちが頼んだ事なんだからさ」
澪「唯も手伝ってくれてるから、大丈夫だよ」
律「……はじめちゃんは、どうして?」
金田一「あ、ああ。俺はちょっと喉が渇いて……」
澪「ああ、厨房に二人ともいるはずだよ」
律「……」
澪「……」
金田一「……っと、お二人さん」タタッ
澪「あ……」
金田一「あれ、唯ちゃんと……紬ちゃんは?」
律「あ、ああ。お茶とお菓子を持ってきてくれるんだってさ」
金田一「……」
律「そんな顔すんなよ……私たちが頼んだ事なんだからさ」
澪「唯も手伝ってくれてるから、大丈夫だよ」
律「……はじめちゃんは、どうして?」
金田一「あ、ああ。俺はちょっと喉が渇いて……」
澪「ああ、厨房に二人ともいるはずだよ」
律「……」
28: 2011/01/31(月) 21:33:43.49
律「あのさ、はじめちゃん」
金田一「んっ?」
律「よかったらさ……ムギの事、ちょっと元気付けてやってくれないかな……」
律「その……犯人なムギに何か言ってやってくれってのもアレだと思うけど」
金田一「……」
澪「私も……正直、ムギの事聞いて最初は怖かったけど……」
澪「やっぱり、ムギは放課後ティータイムの一員だしさ。それに……やっぱり友達だから」
律「よろしくなっ、はじめちゃん」
金田一「……ああ」
金田一「んっ?」
律「よかったらさ……ムギの事、ちょっと元気付けてやってくれないかな……」
律「その……犯人なムギに何か言ってやってくれってのもアレだと思うけど」
金田一「……」
澪「私も……正直、ムギの事聞いて最初は怖かったけど……」
澪「やっぱり、ムギは放課後ティータイムの一員だしさ。それに……やっぱり友達だから」
律「よろしくなっ、はじめちゃん」
金田一「……ああ」
30: 2011/01/31(月) 21:49:36.92
一階・厨房
紬「……」
唯「こっちをお皿に盛って……と」
紬「……」
紬「唯ちゃん。ありが……」
唯「……ありがとうね、ムギちゃん」
紬「えっ? な、何の事かしら?」
唯「話を合わせて……憂を共犯者にしてくれてさ」
紬「……」
唯「びっくりしたよ。いきなり嘘っぱちな事言い出すんだもん」
紬「それは……」
唯「ねえ、どうしてそんな事してくれたの?」
唯「私を助けてくれたの?」
紬「……」
唯「こっちをお皿に盛って……と」
紬「……」
紬「唯ちゃん。ありが……」
唯「……ありがとうね、ムギちゃん」
紬「えっ? な、何の事かしら?」
唯「話を合わせて……憂を共犯者にしてくれてさ」
紬「……」
唯「びっくりしたよ。いきなり嘘っぱちな事言い出すんだもん」
紬「それは……」
唯「ねえ、どうしてそんな事してくれたの?」
唯「私を助けてくれたの?」
33: 2011/01/31(月) 21:58:42.44
紬「……」
唯「私は、憂に助けてもらった。憂が部屋を変わってくれてなかったら……私はきっと殺されちゃってたんだよね」
紬「唯ちゃん……」
唯「でもね、私はムギちゃんを憎んでなんかいないよ。私に罪が及ばないように……」
唯「私を助けるように、自分から告白してくれたんだから」
紬「……私は」
紬「やっぱり唯ちゃんを、大切な友達だと思っているから……」
唯「私は、憂に助けてもらった。憂が部屋を変わってくれてなかったら……私はきっと殺されちゃってたんだよね」
紬「唯ちゃん……」
唯「でもね、私はムギちゃんを憎んでなんかいないよ。私に罪が及ばないように……」
唯「私を助けるように、自分から告白してくれたんだから」
紬「……私は」
紬「やっぱり唯ちゃんを、大切な友達だと思っているから……」
35: 2011/01/31(月) 22:05:53.37
唯「……うん、ありがとう」
唯「私ね、正直ちょっと怖かったんだ。もしかしたら……」
唯「ムギちゃんに嫌われちゃって、何か言われるんじゃないかって」
唯「でも、ムギちゃんは私を守ってくれた」
紬「唯ちゃん……」
紬「あ、あのね唯ちゃん!」
唯「ん~?」
紬「わ、私ね! みんなとお別れしちゃう前に……ううん、唯ちゃんとお別れする前にもう一度!」
紬「もう一度だけ、言ってほしい言葉があるの……」
唯「ん~?」
唯「私ね、正直ちょっと怖かったんだ。もしかしたら……」
唯「ムギちゃんに嫌われちゃって、何か言われるんじゃないかって」
唯「でも、ムギちゃんは私を守ってくれた」
紬「唯ちゃん……」
紬「あ、あのね唯ちゃん!」
唯「ん~?」
紬「わ、私ね! みんなとお別れしちゃう前に……ううん、唯ちゃんとお別れする前にもう一度!」
紬「もう一度だけ、言ってほしい言葉があるの……」
唯「ん~?」
36: 2011/01/31(月) 22:12:22.28
唯「……」
紬「ほ、ほら。覚えてない? いつの日か、部室で私に言ってくれた……」
唯「……」
唯「なんの、話だっけ?」
紬「え、えっとね、お友達の……」
唯「……」オロオロ
紬「……」
紬「ううん……ごめんね。何でもないわ」
唯「……えっ、えっ?」
紬「変な事言って、困らせちゃって。ごめん」
唯「……いいの?」
紬「うん、大丈夫よ。ごめんね本当に」
唯「……んっ」
紬「ほ、ほら。覚えてない? いつの日か、部室で私に言ってくれた……」
唯「……」
唯「なんの、話だっけ?」
紬「え、えっとね、お友達の……」
唯「……」オロオロ
紬「……」
紬「ううん……ごめんね。何でもないわ」
唯「……えっ、えっ?」
紬「変な事言って、困らせちゃって。ごめん」
唯「……いいの?」
紬「うん、大丈夫よ。ごめんね本当に」
唯「……んっ」
38: 2011/01/31(月) 22:18:43.92
唯「……私、先にお菓子運んでるね」
紬「う、うん」
紬「……」
……。
唯「~♪」カチャカチャ
金田一「……っと、唯ちゃん、か」
唯「あっ。どうしたの~?」
金田一「ああ。ちょっと、水が飲みたくて」
唯「そっか~」
金田一「……ん、紬ちゃんは?」
唯「まだ厨房に残ってるよ。私、みんなのところに行ってるからねっ」スタスタ
金田一「……」
紬「う、うん」
紬「……」
……。
唯「~♪」カチャカチャ
金田一「……っと、唯ちゃん、か」
唯「あっ。どうしたの~?」
金田一「ああ。ちょっと、水が飲みたくて」
唯「そっか~」
金田一「……ん、紬ちゃんは?」
唯「まだ厨房に残ってるよ。私、みんなのところに行ってるからねっ」スタスタ
金田一「……」
39: 2011/01/31(月) 22:24:30.72
紬「……覚えてなくて、当然よね」
紬「私にとってはすごく感じた事でも、唯ちゃんにとっては……ある意味当たり前で、日常的な事だったんだもんね」
紬「……」
紬(それでも、友達だから……)
金田一「……ムギちゃん?」
紬「きやっ! き、金田一さん?」
金田一「驚かせちゃったかな、ごめん」
紬「う、ううん。大丈夫、大丈夫……」
金田一「……」
紬「……」
金田一「あのさ……その」
紬「はい?」
金田一「りっちゃんが、元気を出してってさ。心配していたよ」
紬「私にとってはすごく感じた事でも、唯ちゃんにとっては……ある意味当たり前で、日常的な事だったんだもんね」
紬「……」
紬(それでも、友達だから……)
金田一「……ムギちゃん?」
紬「きやっ! き、金田一さん?」
金田一「驚かせちゃったかな、ごめん」
紬「う、ううん。大丈夫、大丈夫……」
金田一「……」
紬「……」
金田一「あのさ……その」
紬「はい?」
金田一「りっちゃんが、元気を出してってさ。心配していたよ」
40: 2011/01/31(月) 22:29:07.91
紬「りっちゃんが……?」
金田一「ああ。澪ちゃんもさ、君の事を心配していたよ。ムギちゃんとは、ずっと友達なんだって」
紬「……うん」
金田一「……それで、唯ちゃんの事なんだけどさ」
紬「さっきまではここにいたけど……」
金田一「そこの廊下で会ったよ。お菓子を持って、みんなのところに向かっていたよ」
紬「そう……」
金田一「ああ。澪ちゃんもさ、君の事を心配していたよ。ムギちゃんとは、ずっと友達なんだって」
紬「……うん」
金田一「……それで、唯ちゃんの事なんだけどさ」
紬「さっきまではここにいたけど……」
金田一「そこの廊下で会ったよ。お菓子を持って、みんなのところに向かっていたよ」
紬「そう……」
43: 2011/01/31(月) 22:33:52.61
紬「さっき、唯ちゃんにね」
金田一「?」
紬「あの時……昔部室であった出来事の話をしてもらおうと思ったの」
金田一「……ああ、あのお金の問題の時の」
紬「うん。みんなと離れる前にもう一回だけ……親友の言葉を聞いて元気になりたかった」
紬「殺人犯が、甘えちゃうのも変な話だと思うけど」
紬「私は、唯ちゃんに……もう一回だけ。私を受け入れて欲しかったな……」
紬「……ぐすっ」
金田一「ムギちゃん……」
金田一「?」
紬「あの時……昔部室であった出来事の話をしてもらおうと思ったの」
金田一「……ああ、あのお金の問題の時の」
紬「うん。みんなと離れる前にもう一回だけ……親友の言葉を聞いて元気になりたかった」
紬「殺人犯が、甘えちゃうのも変な話だと思うけど」
紬「私は、唯ちゃんに……もう一回だけ。私を受け入れて欲しかったな……」
紬「……ぐすっ」
金田一「ムギちゃん……」
48: 2011/01/31(月) 22:47:25.50
金田一「唯ちゃんは、その話を覚えていなかった?」
紬「……」
紬「何て事ない普通の会話ですもの、覚えて無いで当たり前」
紬「私にとっては特別でも、彼女にとっては……忘れちゃうくらいの、何でもない会話」
金田一「……」
紬「彼女が私の考えている事がわからなくても、私は……満足だから」
金田一(覚えていない。覚えて……)
紬「……」
紬「何て事ない普通の会話ですもの、覚えて無いで当たり前」
紬「私にとっては特別でも、彼女にとっては……忘れちゃうくらいの、何でもない会話」
金田一「……」
紬「彼女が私の考えている事がわからなくても、私は……満足だから」
金田一(覚えていない。覚えて……)
49: 2011/01/31(月) 22:53:32.38
金田一(なんだ……また違和感が。どうしてこんなに、胸がざわつくんだ……)
紬「……いけない。すっかり長くなっちゃった。お茶を運ばないと」
紬「金田一さんも一緒に飲むかしら~?」
金田一「……」
金田一(待てよ。もしも……もしもだ)
金田一(俺の考えが正しいとしたら……)
紬「金田一、さん?」
紬「……いけない。すっかり長くなっちゃった。お茶を運ばないと」
紬「金田一さんも一緒に飲むかしら~?」
金田一「……」
金田一(待てよ。もしも……もしもだ)
金田一(俺の考えが正しいとしたら……)
紬「金田一、さん?」
51: 2011/01/31(月) 23:00:35.35
二階・金田一の部屋
四日目、午後17時40分
金田一「佐木っ!」
佐木「うわっ、ど、どうしたんですかいきなり?」
金田一「頼みがあるんだ、もう一度ビデオテープを貸してくれ」
佐木「テープ……ですか?」
金田一「ああ、おっさんが来るまで時間が無い。急いでくれ」
美雪「ど、どうしたのよはじめちゃん……急に」
佐木「わ、わかりましたよ。とにかくテープを持ってきますから」
金田一「あ、それと佐木。もう一つ……頼まれ欲しい事があるんだ」
佐木「えっ、なんです? それは」
金田一「それは……」
四日目、午後17時40分
金田一「佐木っ!」
佐木「うわっ、ど、どうしたんですかいきなり?」
金田一「頼みがあるんだ、もう一度ビデオテープを貸してくれ」
佐木「テープ……ですか?」
金田一「ああ、おっさんが来るまで時間が無い。急いでくれ」
美雪「ど、どうしたのよはじめちゃん……急に」
佐木「わ、わかりましたよ。とにかくテープを持ってきますから」
金田一「あ、それと佐木。もう一つ……頼まれ欲しい事があるんだ」
佐木「えっ、なんです? それは」
金田一「それは……」
53: 2011/01/31(月) 23:05:55.14
紬「えっ? 私のカメラの分のテープ?」
佐木「ええ、出来れば録画した分を全部……」
紬「えっと……カメラは憂ちゃんに渡したままだから。きっと憂ちゃんの部屋にあると思う、けど」
唯「私が寝ている部屋だね、確かにカメラもテープもあったよ~」
佐木「……じゃあ唯さん。テープの方をお願いできますかね?」
唯「うん、いいよ~。部屋まで行くから、ついてきて」スタスタ
佐木「ええ、出来れば録画した分を全部……」
紬「えっと……カメラは憂ちゃんに渡したままだから。きっと憂ちゃんの部屋にあると思う、けど」
唯「私が寝ている部屋だね、確かにカメラもテープもあったよ~」
佐木「……じゃあ唯さん。テープの方をお願いできますかね?」
唯「うん、いいよ~。部屋まで行くから、ついてきて」スタスタ
54: 2011/01/31(月) 23:11:12.81
二階・金田一の部屋
金田一「……」
佐木「先輩っ。お待たせしました!」
美雪「あ、佐木君」
佐木「言われた通り、借りてきましたよ。憂ちゃんが記録していたテープを全部」
美雪「憂ちゃんの? ああ、そう言えば……佐木君に負けず、よくカメラをまわしていたみたいだけど……」
金田一「時間が無い。早速用意してくれ」
佐木「はいっ」
美雪「はじめちゃん……一体どういうつもりなの?」
金田一「……」
佐木「先輩っ。お待たせしました!」
美雪「あ、佐木君」
佐木「言われた通り、借りてきましたよ。憂ちゃんが記録していたテープを全部」
美雪「憂ちゃんの? ああ、そう言えば……佐木君に負けず、よくカメラをまわしていたみたいだけど……」
金田一「時間が無い。早速用意してくれ」
佐木「はいっ」
美雪「はじめちゃん……一体どういうつもりなの?」
56: 2011/01/31(月) 23:15:30.76
一階・団欒室
律「一体どういうつもりなんだろうな。はじめちゃんは」
紬「今さらビデオテープだなんて……」
澪「もう……事件は終わったじゃないか」
唯「きっと何か考えがあるんだよ~。あ、このお菓子おいしい」モグモグ
律「……唯は、いつでも平和だな」
澪「本当、よく落ち着いてられる。まあその方が……ムギにとってもいいんだろうけど、な」
紬「……ええ」
紬(唯ちゃんが美味しそうにお菓子を食べてくれるだけで……)
唯「……うん、美味し」
律「一体どういうつもりなんだろうな。はじめちゃんは」
紬「今さらビデオテープだなんて……」
澪「もう……事件は終わったじゃないか」
唯「きっと何か考えがあるんだよ~。あ、このお菓子おいしい」モグモグ
律「……唯は、いつでも平和だな」
澪「本当、よく落ち着いてられる。まあその方が……ムギにとってもいいんだろうけど、な」
紬「……ええ」
紬(唯ちゃんが美味しそうにお菓子を食べてくれるだけで……)
唯「……うん、美味し」
58: 2011/01/31(月) 23:20:49.19
……。
(もう一度ビデオを見たところで、何になるんだろう)
(犯人はわかっていて、犯行の様子だってある程度は推理された通りだった)
(まったく、面倒な探偵だったよ)
(でも、この空間もあと一時間程で終わるんだ)
(これだけの事件の後だ。帰ってからは何かと大変だとは思うけれど……)
(今は、のんびりとお茶を飲んで警察の到着を待っていればいい)
(それで全ては終わるのだから)
(もう一度ビデオを見たところで、何になるんだろう)
(犯人はわかっていて、犯行の様子だってある程度は推理された通りだった)
(まったく、面倒な探偵だったよ)
(でも、この空間もあと一時間程で終わるんだ)
(これだけの事件の後だ。帰ってからは何かと大変だとは思うけれど……)
(今は、のんびりとお茶を飲んで警察の到着を待っていればいい)
(それで全ては終わるのだから)
62: 2011/01/31(月) 23:34:24.18
金田一「……」
唯『き~みが~いな~いと~』
美雪「……ねえ、はじめちゃん。どうしてテープのチェックを? しかも紬ちゃんのカメラの方まで……」
金田一「犯人の、手がかりを探してるのさ」
美雪「え、でも犯人は紬ちゃんで……共犯者は憂ちゃんて、さっきの推理で……」
金田一「確かに、それで全ての犯行は説明できる。おそらくムギちゃんは嘘はついてないだろう」
金田一「……でも、何かが変なんだ。あの供述の仕方じゃあ、まるで犯人にして欲しい、だ……」
金田一「そして、嘘の電話をして逃げようとしたにも関わらず……一番殺人の要素が強かった第三の事件の犯行をあっさり認めた事」
金田一「……疑問をあげりゃあキリが無いぜ」
唯『き~みが~いな~いと~』
美雪「……ねえ、はじめちゃん。どうしてテープのチェックを? しかも紬ちゃんのカメラの方まで……」
金田一「犯人の、手がかりを探してるのさ」
美雪「え、でも犯人は紬ちゃんで……共犯者は憂ちゃんて、さっきの推理で……」
金田一「確かに、それで全ての犯行は説明できる。おそらくムギちゃんは嘘はついてないだろう」
金田一「……でも、何かが変なんだ。あの供述の仕方じゃあ、まるで犯人にして欲しい、だ……」
金田一「そして、嘘の電話をして逃げようとしたにも関わらず……一番殺人の要素が強かった第三の事件の犯行をあっさり認めた事」
金田一「……疑問をあげりゃあキリが無いぜ」
63: 2011/01/31(月) 23:40:17.17
金田一「この事件には、まだ何かがある気がする……それを今から探すんだ」
美雪「はじめちゃん……」
唯『おも~いよ~と~どけ~』
憂『……』ジーッ
美雪「……って、なんで演奏してる唯ちゃんじゃなくて撮影をしてる憂ちゃんを撮ってるのよ!?」
金田一「……カメラに見とれてたんだとさ」
佐木「いやあ、おかげでいい絵がとれましたよ~」
金田一「……佐木、お前もなんか気付いたら頼むぞ。事件に関係ありそうなっ! 内容でな」
佐木「いやだなあ、わかってますよ金田一先輩」
金田一「ふぅ……じゃあ、次のテープを頼む」
美雪「はじめちゃん……」
唯『おも~いよ~と~どけ~』
憂『……』ジーッ
美雪「……って、なんで演奏してる唯ちゃんじゃなくて撮影をしてる憂ちゃんを撮ってるのよ!?」
金田一「……カメラに見とれてたんだとさ」
佐木「いやあ、おかげでいい絵がとれましたよ~」
金田一「……佐木、お前もなんか気付いたら頼むぞ。事件に関係ありそうなっ! 内容でな」
佐木「いやだなあ、わかってますよ金田一先輩」
金田一「ふぅ……じゃあ、次のテープを頼む」
64: 2011/01/31(月) 23:47:21.47
唯『わ~い、久しぶりだな~ムギちゃんのお茶』
律『……昼時に飲んだばっかだろ~』
澪『でも、ムギが出すお茶は本当に美味しいからな』
金田一『……へえ。お嬢様かと思ったらそんな事まで』
佐木『先輩も何度か飲んでるじゃありませんか。何をいまさら』ジー
金田一『いやあ、あんまそういうのは気にしない質で……』
美雪『……もう、はじめちゃんたら』
憂『くすっ』ジー
美雪「……そっか。二人で同じ場所を撮ってるんだから、どちらかのカメラマンがテープに映るのよね」
佐木「撮ってる人間を撮るのは、家族で慣れてますからね!」
金田一「……」
律『……昼時に飲んだばっかだろ~』
澪『でも、ムギが出すお茶は本当に美味しいからな』
金田一『……へえ。お嬢様かと思ったらそんな事まで』
佐木『先輩も何度か飲んでるじゃありませんか。何をいまさら』ジー
金田一『いやあ、あんまそういうのは気にしない質で……』
美雪『……もう、はじめちゃんたら』
憂『くすっ』ジー
美雪「……そっか。二人で同じ場所を撮ってるんだから、どちらかのカメラマンがテープに映るのよね」
佐木「撮ってる人間を撮るのは、家族で慣れてますからね!」
金田一「……」
68: 2011/01/31(月) 23:57:20.15
金田一「……」
佐木「はい、あと少しですね。これは……三日目のテープになります」
唯『あ』
美雪『あら、みんな』
紬『ふふっ』
唯『じゃあみんなで行こう行こう~』
憂『……あれ? 澪先輩と律先輩は?』
金田一『ああ、あの二人は大浴場に行くって言ってたから……多分もう下にいるんじゃないかな』
美雪『……』ジロッ
金田一「……ああ、美雪に睨まれておっかけられた時のか」
佐木「はい、あと少しですね。これは……三日目のテープになります」
唯『あ』
美雪『あら、みんな』
紬『ふふっ』
唯『じゃあみんなで行こう行こう~』
憂『……あれ? 澪先輩と律先輩は?』
金田一『ああ、あの二人は大浴場に行くって言ってたから……多分もう下にいるんじゃないかな』
美雪『……』ジロッ
金田一「……ああ、美雪に睨まれておっかけられた時のか」
71: 2011/02/01(火) 00:02:11.98
金田一『……とと。早くご飯ご飯~と』ダダダッ
美雪『こら、待ちなさ~い!』ダダダッ
紬『あらあら、私も~』タタタッ
唯『えへへ~、ご飯~』スタスタ~
憂『もう。お姉ちゃんたら』テクテク~
金田一「……」
美雪「あれ?」
金田一「ん、どうかしたか?」
美雪「……ううん。なんか、変な感覚が。気のせいかしら?」
佐木「ふふっ、僕は気付きましたよ」
金田一「! 本当か、佐木!?」
佐木「ええ……七瀬先輩が気付いた変な感覚。それは……」
佐木「珍しく憂ちゃんがビデオカメラを構えていない、という事です!」
美雪「……」
金田一「佐木……お前なっ!」
美雪『こら、待ちなさ~い!』ダダダッ
紬『あらあら、私も~』タタタッ
唯『えへへ~、ご飯~』スタスタ~
憂『もう。お姉ちゃんたら』テクテク~
金田一「……」
美雪「あれ?」
金田一「ん、どうかしたか?」
美雪「……ううん。なんか、変な感覚が。気のせいかしら?」
佐木「ふふっ、僕は気付きましたよ」
金田一「! 本当か、佐木!?」
佐木「ええ……七瀬先輩が気付いた変な感覚。それは……」
佐木「珍しく憂ちゃんがビデオカメラを構えていない、という事です!」
美雪「……」
金田一「佐木……お前なっ!」
73: 2011/02/01(火) 00:08:15.85
佐木「そろそろ終わりの方になりますね。最後に先輩が推理する辺りのテープになります」
澪『遅いぞ二人とも~』
唯『えへへ、ごめんごめん』
律『休んで、ちょっとは元気になったみたいだな~唯』
唯『うん。おかげさまで! もう大丈夫だよ!』フンス
美雪『……ねえ唯ちゃん。本当に体調悪くない? 無理しないで大丈夫なのよ?』
唯『ふぇ? 私は大丈夫だよ?』
美雪『……でも、何だか辛そうに見えちゃって。気のせいかしら?』
唯『そうだよ気のせいだよ~。私は大丈夫だから、気にしないでね?』
美雪『そう……ね。それならいいんだけど』
美雪「憂ちゃんが殺された後……ね」
澪『遅いぞ二人とも~』
唯『えへへ、ごめんごめん』
律『休んで、ちょっとは元気になったみたいだな~唯』
唯『うん。おかげさまで! もう大丈夫だよ!』フンス
美雪『……ねえ唯ちゃん。本当に体調悪くない? 無理しないで大丈夫なのよ?』
唯『ふぇ? 私は大丈夫だよ?』
美雪『……でも、何だか辛そうに見えちゃって。気のせいかしら?』
唯『そうだよ気のせいだよ~。私は大丈夫だから、気にしないでね?』
美雪『そう……ね。それならいいんだけど』
美雪「憂ちゃんが殺された後……ね」
74: 2011/02/01(火) 00:14:40.39
金田一『彼女があの格好で、現場にいたのはなんでだろうか?』
律『だって、階段から落ちちゃったんだろ? だったら別に現場まで行かなくても……ほら』
律『そこの地下室の扉を開けて、一歩だけ踏み出して落ちちゃった可能性もあるんだろ?』
律『別に変な事は……』
金田一『想像してみなよ。風呂上がりの水分を纏ったような体でさ、明らかに冷たい空気が流れている場所に入りたいと思うかい?』
律『ん……あんまり』
澪『まあ、確かに……一歩踏み出してみようとは思わないかな』
金田一「……」
律『だって、階段から落ちちゃったんだろ? だったら別に現場まで行かなくても……ほら』
律『そこの地下室の扉を開けて、一歩だけ踏み出して落ちちゃった可能性もあるんだろ?』
律『別に変な事は……』
金田一『想像してみなよ。風呂上がりの水分を纏ったような体でさ、明らかに冷たい空気が流れている場所に入りたいと思うかい?』
律『ん……あんまり』
澪『まあ、確かに……一歩踏み出してみようとは思わないかな』
金田一「……」
75: 2011/02/01(火) 00:16:05.89
金田一『……地下室の存在を知っていた人物。それが第一の事件の犯人さ』
金田一『それは……あんただよ』
金田一『琴吹紬!』
紬『……』
金田一『あんたが鈴木純を殺害した……犯人だ』
澪『そ、そんな……』
律『ムギが……犯人』
唯『……』
ムギ『言い逃れは、しないわ』
金田一『それは……あんただよ』
金田一『琴吹紬!』
紬『……』
金田一『あんたが鈴木純を殺害した……犯人だ』
澪『そ、そんな……』
律『ムギが……犯人』
唯『……』
ムギ『言い逃れは、しないわ』
78: 2011/02/01(火) 00:18:53.86
佐木「……そして第二の事件の部分です」
唯『何にもないのに、廊下ばっか出ていたら不審者だよ~?』
律『い、いいんだよ! そこは犯人なんだからっ!』
金田一『おまけに、頃しに使える時間が15分以下だ。よほどいいタイミングで地下に向かわないと、この犯行は成立しない』
金田一『……要するにあの時間。犯人が情報無しに、中野梓を地下室で殺害するのは不可能なんだ』
美雪「メールをもらった、憂ちゃんが犯行を……ね」
金田一「……」
唯『何にもないのに、廊下ばっか出ていたら不審者だよ~?』
律『い、いいんだよ! そこは犯人なんだからっ!』
金田一『おまけに、頃しに使える時間が15分以下だ。よほどいいタイミングで地下に向かわないと、この犯行は成立しない』
金田一『……要するにあの時間。犯人が情報無しに、中野梓を地下室で殺害するのは不可能なんだ』
美雪「メールをもらった、憂ちゃんが犯行を……ね」
金田一「……」
79: 2011/02/01(火) 00:26:05.43
紬『……第三の事件は、完全に私一人の犯行です』
紬『鍵はここの……団欒室の引き出しにしまってある、マスターキーを使いました』
佐木「そして、犯人の独白……で僕のテープは終わりです」
紬『……』
紬『私は、共犯者の憂ちゃんを殺そうとしてました』
紬『まず最初に、私は憂ちゃんの部屋に向かって……中に入るとそこには唯ちゃんがいて……』
紬『ああ、唯ちゃんの部屋だ、と私はすぐに思いました』
紬『返り血を浴びないよう、体の上にシーツを何重かでかけて……そのまま……何度も、何度も』
紬『……』
金田一「……」
佐木「……これで、全部になります」
紬『鍵はここの……団欒室の引き出しにしまってある、マスターキーを使いました』
佐木「そして、犯人の独白……で僕のテープは終わりです」
紬『……』
紬『私は、共犯者の憂ちゃんを殺そうとしてました』
紬『まず最初に、私は憂ちゃんの部屋に向かって……中に入るとそこには唯ちゃんがいて……』
紬『ああ、唯ちゃんの部屋だ、と私はすぐに思いました』
紬『返り血を浴びないよう、体の上にシーツを何重かでかけて……そのまま……何度も、何度も』
紬『……』
金田一「……」
佐木「……これで、全部になります」
83: 2011/02/01(火) 00:35:31.02
唯『……笑わないで、どうか聞いて』
金田一「……」
佐木「いやあ、憂ちゃんカメラの才能ありますよ。おそらく無意識でしょうけど、ちゃんと構図を考えて撮ってますもん」
美雪「……確かに、見易いっていうか。無駄がない感じの映像よね」
佐木「まあ、撮り方に関しちゃあ僕のが上でしょうけどね!」
金田一「へいへいわかったから……早く次のテープ入れてくれい」
金田一「……」
佐木「いやあ、憂ちゃんカメラの才能ありますよ。おそらく無意識でしょうけど、ちゃんと構図を考えて撮ってますもん」
美雪「……確かに、見易いっていうか。無駄がない感じの映像よね」
佐木「まあ、撮り方に関しちゃあ僕のが上でしょうけどね!」
金田一「へいへいわかったから……早く次のテープ入れてくれい」
86: 2011/02/01(火) 00:42:28.40
佐木「おなじく、一日目の夜です」
美雪『でも本当にいいの? いきなり三人も泊まっちゃうなんて……なんだか悪いわ』
紬『気にしないで、部屋なら余っているから』
金田一『よかった~、フカフカベッドで寝られるぜ!』
美雪『もう……少しは遠慮しなさい』
金田一「なあ、これ本当に憂ちゃんのテープか? 撮り方とかそっくりって言うか……あんま違いわっかんね~んだけど」
佐木「視点が全然違いますよ? でも……やっぱり撮る技術があるんでしょう。先輩が自然にそれを受け入れてるのが証拠です」
美雪『でも本当にいいの? いきなり三人も泊まっちゃうなんて……なんだか悪いわ』
紬『気にしないで、部屋なら余っているから』
金田一『よかった~、フカフカベッドで寝られるぜ!』
美雪『もう……少しは遠慮しなさい』
金田一「なあ、これ本当に憂ちゃんのテープか? 撮り方とかそっくりって言うか……あんま違いわっかんね~んだけど」
佐木「視点が全然違いますよ? でも……やっぱり撮る技術があるんでしょう。先輩が自然にそれを受け入れてるのが証拠です」
87: 2011/02/01(火) 00:47:49.94
律『まま、気にしない気にしない。賑やかなのはいい事だ』
紬『ええ。それに……雨もまだ止んでないみたいですし。外を歩くのは危険よ』
美雪「でも、本当にどっちが撮った映像かわかりにくいわね……」
佐木「それは大丈夫ですよ……確か、もうすぐ僕が、ほら」
佐木『僕もそう思います』ジー
佐木「こうやって、カメラを構えてる姿が映れば一発です」
美雪「ははあ、なるほどね」
金田一「……お。佐木、そろそろ終わるみたいだぞ」
佐木「あ、はい。じゃあ次は……えっと」
ガタンッ!
佐木「わっ! わっ!」
ガシャーン!
紬『ええ。それに……雨もまだ止んでないみたいですし。外を歩くのは危険よ』
美雪「でも、本当にどっちが撮った映像かわかりにくいわね……」
佐木「それは大丈夫ですよ……確か、もうすぐ僕が、ほら」
佐木『僕もそう思います』ジー
佐木「こうやって、カメラを構えてる姿が映れば一発です」
美雪「ははあ、なるほどね」
金田一「……お。佐木、そろそろ終わるみたいだぞ」
佐木「あ、はい。じゃあ次は……えっと」
ガタンッ!
佐木「わっ! わっ!」
ガシャーン!
91: 2011/02/01(火) 00:54:47.20
佐木「い、いててて……」
金田一「おいおい、平気かよお。あ~あ、テープがごちゃ混ぜ……」
美雪「だ、大丈夫佐木君?」
佐木「は、はい……で、でもテープが」
美雪「見事に混ざっちゃったわね……」
金田一「時間が無いってのに……しゃーねえ。確認して整理していくしかないな」
佐木「ううっ、すいません先輩」
金田一「じゃあ、早速このテープから……ほいっと」
カチッ。
金田一「……」
美雪「……」
佐木「……」
紬『でも、どうして冷蔵室に……』
金田一「おいおい、平気かよお。あ~あ、テープがごちゃ混ぜ……」
美雪「だ、大丈夫佐木君?」
佐木「は、はい……で、でもテープが」
美雪「見事に混ざっちゃったわね……」
金田一「時間が無いってのに……しゃーねえ。確認して整理していくしかないな」
佐木「ううっ、すいません先輩」
金田一「じゃあ、早速このテープから……ほいっと」
カチッ。
金田一「……」
美雪「……」
佐木「……」
紬『でも、どうして冷蔵室に……』
94: 2011/02/01(火) 01:00:43.78
金田一「……ん?」
紬『でも、地下の冷蔵庫内には冷凍されたお肉とかしか……お菓子類は何もないはずよ~』
美雪「……あら?」
紬『あ、所有している別荘全てに似たようなお部屋があるの。中身も大体同じだって聞いたから……多分そうかなって』
佐木「……?」
金田一「これは……」
美雪「ねえはじめちゃん、これって……」
金田一「……ああ」
金田一(これはおそらく他のテープにも……同じモノが映っているはず)
金田一(でも……まだだ。これは映っていてもおかしくない。何だ……何が足りないんだ……)
紬『でも、地下の冷蔵庫内には冷凍されたお肉とかしか……お菓子類は何もないはずよ~』
美雪「……あら?」
紬『あ、所有している別荘全てに似たようなお部屋があるの。中身も大体同じだって聞いたから……多分そうかなって』
佐木「……?」
金田一「これは……」
美雪「ねえはじめちゃん、これって……」
金田一「……ああ」
金田一(これはおそらく他のテープにも……同じモノが映っているはず)
金田一(でも……まだだ。これは映っていてもおかしくない。何だ……何が足りないんだ……)
95: 2011/02/01(火) 01:05:11.96
……。
佐木「両方のテープが、終わりました」
金田一「……」
美雪「はじめちゃんの言った通り……だったね」
金田一「ああ、でも……」
金田一(思い出せ、思い出すんだ金田一一……この違和感の正体を)
金田一(俺はそれを見ているはずだ。どこかで、どこかで、聞いているはずだ……)
金田一「う~ん……」
美雪「……はじめちゃん、具合大丈夫? 少し休憩したら……」
金田一「……!」
金田一「それだ、それだよ美雪!」
佐木「両方のテープが、終わりました」
金田一「……」
美雪「はじめちゃんの言った通り……だったね」
金田一「ああ、でも……」
金田一(思い出せ、思い出すんだ金田一一……この違和感の正体を)
金田一(俺はそれを見ているはずだ。どこかで、どこかで、聞いているはずだ……)
金田一「う~ん……」
美雪「……はじめちゃん、具合大丈夫? 少し休憩したら……」
金田一「……!」
金田一「それだ、それだよ美雪!」
98: 2011/02/01(火) 01:13:01.35
美雪「えっ、えっ? な……何の事よ?」
金田一「美雪、教えてくれ。どうしてあの時……唯ちゃんに体調を尋ねたんだ?」
美雪「あの時って?」
金田一「さっきだよ。俺が推理の話を始める前……お前、唯ちゃんに同じような質問してただろ?」
美雪「え……ええ。したわよ」
金田一「それはどうして!?」
美雪「だ、だって。彼女具合が悪そうだったから……それでつい聞いちゃっただけよ」
金田一「……」
金田一「佐木は気付いたか? 彼女のその様子に?」
金田一「美雪、教えてくれ。どうしてあの時……唯ちゃんに体調を尋ねたんだ?」
美雪「あの時って?」
金田一「さっきだよ。俺が推理の話を始める前……お前、唯ちゃんに同じような質問してただろ?」
美雪「え……ええ。したわよ」
金田一「それはどうして!?」
美雪「だ、だって。彼女具合が悪そうだったから……それでつい聞いちゃっただけよ」
金田一「……」
金田一「佐木は気付いたか? 彼女のその様子に?」
99: 2011/02/01(火) 01:20:06.45
佐木「いいえ。現にその後、彼女自身で言ってたじゃないですか」
美雪『……でも、何だか辛そうに見えちゃって。気のせいかしら?』
唯『そうだよ気のせいだよ~。私は大丈夫だから、気にしないでね?』
美雪「……フンだ。はじめちゃんにはわからなくて当然ね」
金田一「? 何怒ってんだよ」
美雪「知らないわよっ!」
金田一「……大事な事なんだ、頼むよ美雪教えてくれ。今はどんな小さな事でも知りたいんだ」
美雪「もう……わかったわよ」
美雪「実はね……」
美雪『……でも、何だか辛そうに見えちゃって。気のせいかしら?』
唯『そうだよ気のせいだよ~。私は大丈夫だから、気にしないでね?』
美雪「……フンだ。はじめちゃんにはわからなくて当然ね」
金田一「? 何怒ってんだよ」
美雪「知らないわよっ!」
金田一「……大事な事なんだ、頼むよ美雪教えてくれ。今はどんな小さな事でも知りたいんだ」
美雪「もう……わかったわよ」
美雪「実はね……」
100: 2011/02/01(火) 01:30:13.36
美雪「私が思ったのは、その……」
美雪「お、女の子のデリケートな日だと……思ったから」
金田一「……はい?」
美雪「だ、だって! そう思えちゃったんだから仕方ないでしょ!」
金田一「……まあ、確かにな。あんまり男には気付かない事で……」
美雪「……もうっ!」
美雪「お、女の子のデリケートな日だと……思ったから」
金田一「……はい?」
美雪「だ、だって! そう思えちゃったんだから仕方ないでしょ!」
金田一「……まあ、確かにな。あんまり男には気付かない事で……」
美雪「……もうっ!」
101: 2011/02/01(火) 01:34:29.04
美雪「私は、あんなに様子だったから心配で声をかけちゃったの。それだけなんだから……」
金田一(ふ~ん……ん? その理由は?)
金田一「なあ、美雪。お前が声をかけたのってさ……」
美雪「言ったでしょ。具合が悪そうだったからって」
金田一「具体的には!?」
美雪「具体的って、それは……」
美雪「……」
美雪「……って思って」
!?
金田一「……そうか、そういう事か! 佐木、もう一度テープを確認するぞ!」
美雪「ちょっとはじめちゃん?!」
佐木「え、えっと。どのテープですか?」
金田一「決まってるだよ、お前が録画したテープを。もう一度全部をだ」
金田一(ふ~ん……ん? その理由は?)
金田一「なあ、美雪。お前が声をかけたのってさ……」
美雪「言ったでしょ。具合が悪そうだったからって」
金田一「具体的には!?」
美雪「具体的って、それは……」
美雪「……」
美雪「……って思って」
!?
金田一「……そうか、そういう事か! 佐木、もう一度テープを確認するぞ!」
美雪「ちょっとはじめちゃん?!」
佐木「え、えっと。どのテープですか?」
金田一「決まってるだよ、お前が録画したテープを。もう一度全部をだ」
103: 2011/02/01(火) 01:43:18.82
一階・団欒室
19時27分
ピンポーン。
全員「!」
「あ~、警視庁から来た剣持だ。ここを開けてくれないか」
紬「……来ちゃったわね」
……ガチャッ。
剣持「君たちか、この別荘に来ていたという女子高生たちは。代表者は?」
律「……はい」
剣持「ん。早速だが……琴吹紬、俺と一緒に来てもらおう。外にパトカーが待機している」
紬「……」
澪「ムギ……」
律「ムギ……っ!」
剣持「あ~、君たちは別に救助の者が来る。それまではここを動かないように」
19時27分
ピンポーン。
全員「!」
「あ~、警視庁から来た剣持だ。ここを開けてくれないか」
紬「……来ちゃったわね」
……ガチャッ。
剣持「君たちか、この別荘に来ていたという女子高生たちは。代表者は?」
律「……はい」
剣持「ん。早速だが……琴吹紬、俺と一緒に来てもらおう。外にパトカーが待機している」
紬「……」
澪「ムギ……」
律「ムギ……っ!」
剣持「あ~、君たちは別に救助の者が来る。それまではここを動かないように」
104: 2011/02/01(火) 01:48:38.99
剣持「……ん、金田一たちはどうした? 姿が見えないようだが」
紬「二階にあがったままよ。刑事さん、行くなら早く行きましょう」
剣持「……俺は警部なんだがな。まあいい、じゃあ……行くか」
紬「はい」
律「ムギ!」
紬「さよなら、りっちゃん。部活、私のせいでバラバラにしちゃってごめんなさい」
澪「ムギ……」
紬「澪ちゃん。あなたの歌詞に曲をつけるの……とても楽しかったよ。ありがとう」
紬「二階にあがったままよ。刑事さん、行くなら早く行きましょう」
剣持「……俺は警部なんだがな。まあいい、じゃあ……行くか」
紬「はい」
律「ムギ!」
紬「さよなら、りっちゃん。部活、私のせいでバラバラにしちゃってごめんなさい」
澪「ムギ……」
紬「澪ちゃん。あなたの歌詞に曲をつけるの……とても楽しかったよ。ありがとう」
105: 2011/02/01(火) 01:54:21.40
唯「ムギちゃん……」
紬(最後に……もう一度だけ)
紬「唯ちゃん。あなたはお金なんかよりずっと大切なお友達。私の中で、あの日からずっとそう。これからも……変わらない」
唯「……ぁ!」
紬(さよなら、みんな……)
剣持「……おほん。手錠はしないでおく。さ、行くぞ」
紬「……はい」
(琴吹紬の背中が、一歩一歩と遠ざかる)
(時計の鐘が、静かに一回だけ鳴った)
(これで。私は……勝ったんだ)
(玄関の扉が閉まれば、この事件は本当に終わり)
金田一「……ちょっと待ちなよおっさん」
(!?)
金田一「またこの事件は終わっちゃいないぜ」
剣持「お、おお。金田一! 無事だったか!」
紬(最後に……もう一度だけ)
紬「唯ちゃん。あなたはお金なんかよりずっと大切なお友達。私の中で、あの日からずっとそう。これからも……変わらない」
唯「……ぁ!」
紬(さよなら、みんな……)
剣持「……おほん。手錠はしないでおく。さ、行くぞ」
紬「……はい」
(琴吹紬の背中が、一歩一歩と遠ざかる)
(時計の鐘が、静かに一回だけ鳴った)
(これで。私は……勝ったんだ)
(玄関の扉が閉まれば、この事件は本当に終わり)
金田一「……ちょっと待ちなよおっさん」
(!?)
金田一「またこの事件は終わっちゃいないぜ」
剣持「お、おお。金田一! 無事だったか!」
107: 2011/02/01(火) 02:00:04.43
紬「金田一……さん」
剣持「しかし金田一よ。事件が終わってないって……そりゃあ一体どういう事だ!」
金田一「決まってるだろ。この事件を陰で操っていた……真犯人を暴くのさ!」
律「なっ!?」
唯「真犯人って……」
澪「も、もう事件は解決したんじゃないのかよ」
金田一「表面上は、ね。しかし……それは大きな思い違いだった。今からそれをみんなの前で証明する」
剣持「じゃあ……やったんだな、金田一!」
金田一「ああ」
金田一「謎はすべて解けた!」
剣持「しかし金田一よ。事件が終わってないって……そりゃあ一体どういう事だ!」
金田一「決まってるだろ。この事件を陰で操っていた……真犯人を暴くのさ!」
律「なっ!?」
唯「真犯人って……」
澪「も、もう事件は解決したんじゃないのかよ」
金田一「表面上は、ね。しかし……それは大きな思い違いだった。今からそれをみんなの前で証明する」
剣持「じゃあ……やったんだな、金田一!」
金田一「ああ」
金田一「謎はすべて解けた!」
113: 2011/02/01(火) 02:07:21.18
唯「え……」
澪「解決してない謎が……」
律「一体どういう事なんだよ、はじめちゃんよ~!」
佐木「まあまあ」ジー
金田一「これから一つずつ説明していくよ。みんな席に座ってくれ。おっさん、それにムギちゃんも」
美雪「……」カタッ
紬「……」カタッ
律「ん」ガタッ
剣持「よっ、と。それで、何がどうなっているんだ。お前から聞いた話で……犯人、共犯者。この二人の判明で事件は解決したんじゃないのか?」
金田一「もう一度、順を追って話すところから始めようか」
澪「解決してない謎が……」
律「一体どういう事なんだよ、はじめちゃんよ~!」
佐木「まあまあ」ジー
金田一「これから一つずつ説明していくよ。みんな席に座ってくれ。おっさん、それにムギちゃんも」
美雪「……」カタッ
紬「……」カタッ
律「ん」ガタッ
剣持「よっ、と。それで、何がどうなっているんだ。お前から聞いた話で……犯人、共犯者。この二人の判明で事件は解決したんじゃないのか?」
金田一「もう一度、順を追って話すところから始めようか」
114: 2011/02/01(火) 02:08:37.88
今度こそ本当の解決編か
熱い
熱い
117: 2011/02/01(火) 02:18:02.99
金田一「まず第一の事件だ。被害者は鈴木純。階段から落ちて……いや、落とされてか。どちらにしろ、事故のような事件だ」
金田一「犯人は、被害者を誤って階段から突き落としてしまい、彼女を殺害してしまう」
紬「……」
金田一「そしてその現場を……平沢憂に目撃されてしまった」
唯「……」
剣持「金田一、共犯者はその……平沢憂で確定なのか?」
金田一「ああ、第二の事件での犯行がそれを証明している。まあ、それは少し後回しにして……今は犯行を見つかった後の話だ」
金田一「犯人は、被害者を誤って階段から突き落としてしまい、彼女を殺害してしまう」
紬「……」
金田一「そしてその現場を……平沢憂に目撃されてしまった」
唯「……」
剣持「金田一、共犯者はその……平沢憂で確定なのか?」
金田一「ああ、第二の事件での犯行がそれを証明している。まあ、それは少し後回しにして……今は犯行を見つかった後の話だ」
119: 2011/02/01(火) 02:28:59.86
金田一「犯人は焦ったはずさ。間違ってとは言え、人を頃した現場を見られてしまったのだから」
金田一「犯人か、共犯者か。どちらが促したかまではわからないが、二人は遺体を地下室まで運んだ……」
金田一「次の日、被害者がいなくなった事に気付き俺たちが彼女を探す事になる」
金田一「地下室で遺体を見つけ、事件が発覚」
金田一「助けを呼ぼうとするが……俺たちは嘘の電話にまんまと騙されてしまう」
紬「……ごめんなさい」
美雪「紬ちゃん……」
金田一「犯人か、共犯者か。どちらが促したかまではわからないが、二人は遺体を地下室まで運んだ……」
金田一「次の日、被害者がいなくなった事に気付き俺たちが彼女を探す事になる」
金田一「地下室で遺体を見つけ、事件が発覚」
金田一「助けを呼ぼうとするが……俺たちは嘘の電話にまんまと騙されてしまう」
紬「……ごめんなさい」
美雪「紬ちゃん……」
120: 2011/02/01(火) 02:37:16.30
……。
金田一「そして、第二の被害者中野梓。彼女は、平沢憂によって殺害されたんだ!」
剣持「共犯者、か……」
金田一「ああ。そして、平沢憂が共犯者だという証拠がもう一つ。それは唯ちゃんが遺体の情報を知っていたからさ」
律「……ああ、さっきの推理の」
金田一「話を聞いた時、俺は平沢姉妹が共犯者同士でないかと……そう考えた」
剣持「つまり、三人で殺人現場を作り上げていた、という考えか?」
金田一「ああ。少なくとも、三日目が終わるまでは俺はそう考えていた」
金田一「しかし……三日目の終わりに事件は起きた。平沢憂が包丁で殺害されてしまった」
金田一「そして、第二の被害者中野梓。彼女は、平沢憂によって殺害されたんだ!」
剣持「共犯者、か……」
金田一「ああ。そして、平沢憂が共犯者だという証拠がもう一つ。それは唯ちゃんが遺体の情報を知っていたからさ」
律「……ああ、さっきの推理の」
金田一「話を聞いた時、俺は平沢姉妹が共犯者同士でないかと……そう考えた」
剣持「つまり、三人で殺人現場を作り上げていた、という考えか?」
金田一「ああ。少なくとも、三日目が終わるまでは俺はそう考えていた」
金田一「しかし……三日目の終わりに事件は起きた。平沢憂が包丁で殺害されてしまった」
121: 2011/02/01(火) 02:46:38.15
金田一「今までの事件は、それこそ一見事故のような……いや、計画性のない事件だった」
金田一「しかし、最後の事件だけは犯人は……明らかな殺意があって犯人に及んだ」
金田一「そうだろう、ムギちゃん?」
紬「……」
紬「私は、犯行の発覚を恐れて。共犯者だった憂ちゃんを頃しました」
紬「秘密がバレるのが、怖かったんです」
金田一「……その秘密とは?」
唯「……」
紬「……事件の前日、私は憂ちゃんに言われたんです」
紬「もうこんな事はやめよう。私は明日全てを話して自主する、って……」
紬「憂ちゃんから、金田一さんが唯ちゃんの部屋を訪ねてきたのも聞いていました」
金田一「しかし、最後の事件だけは犯人は……明らかな殺意があって犯人に及んだ」
金田一「そうだろう、ムギちゃん?」
紬「……」
紬「私は、犯行の発覚を恐れて。共犯者だった憂ちゃんを頃しました」
紬「秘密がバレるのが、怖かったんです」
金田一「……その秘密とは?」
唯「……」
紬「……事件の前日、私は憂ちゃんに言われたんです」
紬「もうこんな事はやめよう。私は明日全てを話して自主する、って……」
紬「憂ちゃんから、金田一さんが唯ちゃんの部屋を訪ねてきたのも聞いていました」
125: 2011/02/01(火) 02:54:03.65
紬「私は、限界でした」
紬「……そこからは、さっき話した通りです。包丁を持って、部屋に忍び込んで……私は憂ちゃんを刺してしまいました」
紬「そして、この事件は終わりです。終わり……なんです……」
唯「ムギちゃん……」
金田一「……」
剣持「なあ、金田一よ。一つ気になった事があったんだが……いいか?」
剣持「どうしてその、共犯者は犯人に協力していたんだ?」
紬「……!?」
剣持「普通に考えて、遺体を隠すのを手伝ったり、殺人まで行うのは……何か理由があったんじゃないのか?」
金田一「そう、俺が感じた違和感の一つがそれだった」
紬「……そこからは、さっき話した通りです。包丁を持って、部屋に忍び込んで……私は憂ちゃんを刺してしまいました」
紬「そして、この事件は終わりです。終わり……なんです……」
唯「ムギちゃん……」
金田一「……」
剣持「なあ、金田一よ。一つ気になった事があったんだが……いいか?」
剣持「どうしてその、共犯者は犯人に協力していたんだ?」
紬「……!?」
剣持「普通に考えて、遺体を隠すのを手伝ったり、殺人まで行うのは……何か理由があったんじゃないのか?」
金田一「そう、俺が感じた違和感の一つがそれだった」
127: 2011/02/01(火) 03:01:45.85
金田一「共犯者、平沢憂はなぜ犯人に協力したのか」
金田一「それは……推理した中で二つの理由がある」
金田一「まず一つ目……佐木」
佐木「はいっ、わかりました」
カチッ。
剣持「ん、なんだビデオテープか?」
金田一「ああ。この合宿の様子が撮影されたテープさ、まあ、とにかく見ててくれ」
唯『き~みが~い~ないと~』
唯「あ、私が歌ってるよ~」
澪「これは、一番最初の日?」
剣持「ふむ。楽器の演奏にボーカル……まるでプロモーションビデオだな」
金田一「それは……推理した中で二つの理由がある」
金田一「まず一つ目……佐木」
佐木「はいっ、わかりました」
カチッ。
剣持「ん、なんだビデオテープか?」
金田一「ああ。この合宿の様子が撮影されたテープさ、まあ、とにかく見ててくれ」
唯『き~みが~い~ないと~』
唯「あ、私が歌ってるよ~」
澪「これは、一番最初の日?」
剣持「ふむ。楽器の演奏にボーカル……まるでプロモーションビデオだな」
130: 2011/02/01(火) 03:06:12.09
律「お~、よく撮れてんじゃん~。お、間奏だ」
澪「なんだか、アップにされると恥ずかしいな」
唯「私ももっと映してよ!」
律「お前は間奏終わったらバッチリ映るんだからいいだろ~」
剣持「……」
金田一「さて、ここからは二日目だ。こっちのテープを見てもらいたい」
カチッ
紬『でも、地下の冷蔵庫内には冷凍されたお肉とかしか……お菓子類は何もないはずよ~』
澪「あ、ムギだ」
紬『あ、所有している別荘全てに似たようなお部屋があるの。中身も大体同じだって聞いたから……多分そうかなって』
紬「……確かに、こんなお話してたわね」
律「ん……そうだけど、さ」
澪「なんだか、アップにされると恥ずかしいな」
唯「私ももっと映してよ!」
律「お前は間奏終わったらバッチリ映るんだからいいだろ~」
剣持「……」
金田一「さて、ここからは二日目だ。こっちのテープを見てもらいたい」
カチッ
紬『でも、地下の冷蔵庫内には冷凍されたお肉とかしか……お菓子類は何もないはずよ~』
澪「あ、ムギだ」
紬『あ、所有している別荘全てに似たようなお部屋があるの。中身も大体同じだって聞いたから……多分そうかなって』
紬「……確かに、こんなお話してたわね」
律「ん……そうだけど、さ」
134: 2011/02/01(火) 03:17:22.91
紬『……じゃあ、お皿片付けちゃうわね』
唯「……あれ~?」
紬『大丈夫よ。お片付けしたら美味しいお茶を用意するわね』
澪「な、なんだよこれ! さっきまでの上手な撮り方と違って……」
紬『ふふっ』
律「な、なんでムギばっかりがズームで映ってるんだよ……!」
紬「……!?」
金田一「第一の殺人があった後、このカメラで撮られた映像のほとんどがこれだ」
剣持「お、おい。どういう事だ金田一!」
金田一「悪趣味なもんだよ、おそらく殺人で憔悴していく様子でも残しておきたかったんだろう」
紬『あっ、ありがとう唯ちゃん』
澪「この撮り方は……異常すぎるよ……」
律「……」
唯「……あれ~?」
紬『大丈夫よ。お片付けしたら美味しいお茶を用意するわね』
澪「な、なんだよこれ! さっきまでの上手な撮り方と違って……」
紬『ふふっ』
律「な、なんでムギばっかりがズームで映ってるんだよ……!」
紬「……!?」
金田一「第一の殺人があった後、このカメラで撮られた映像のほとんどがこれだ」
剣持「お、おい。どういう事だ金田一!」
金田一「悪趣味なもんだよ、おそらく殺人で憔悴していく様子でも残しておきたかったんだろう」
紬『あっ、ありがとう唯ちゃん』
澪「この撮り方は……異常すぎるよ……」
律「……」
141: 2011/02/01(火) 03:24:26.24
金田一「……二つ目の理由は、そこにいるおっさんが教えてくれたよ」
剣持「んっ、俺か?」
金田一「ああ。平沢家の人間には、全員に多額の生命保険がかけてあるって話さ」
澪「多額の」
紬「生命保険……?」
律「ち、ちょい待ち。平沢家の事情だったらさ、ムギに協力する意味は無いと思うんだけど~……」
律「そ、それにさ。今回はもしかしたら憂ちゃん、この合宿には来れなかったのかもしれないんだぜ?」
律「いくら姉妹の片方が残ったからって……なんか行き当たりばったりな殺され方じゃな~い?」
剣持「んっ、俺か?」
金田一「ああ。平沢家の人間には、全員に多額の生命保険がかけてあるって話さ」
澪「多額の」
紬「生命保険……?」
律「ち、ちょい待ち。平沢家の事情だったらさ、ムギに協力する意味は無いと思うんだけど~……」
律「そ、それにさ。今回はもしかしたら憂ちゃん、この合宿には来れなかったのかもしれないんだぜ?」
律「いくら姉妹の片方が残ったからって……なんか行き当たりばったりな殺され方じゃな~い?」
146: 2011/02/01(火) 03:34:17.09
金田一「俺もそう思ったよ。でも、保険金目当てで頃しをするにしては、今回は条件が悪すぎる」
剣持「……まあ、高校生が高額保険の事を把握しているのも嫌な話だよな」
澪「その、条件が悪すぎるっていうのは……?」
金田一「まず、人目が多すぎるという事。わざわざこんな機会を選んで犯行に及んだとは到底思えない」
美雪「そうね、みんなが参加する合宿ですものね」
金田一「そもそも殺人をする事によって保険金を得るなんて……リスクが高すぎると思わないか?」
律「そうだな~。お金が手に入っても捕まっちゃあ意味ないし……」
澪「じゃあ、共犯者が殺されたのは……保険金はあまり関係ないとか?」
剣持「……まあ、高校生が高額保険の事を把握しているのも嫌な話だよな」
澪「その、条件が悪すぎるっていうのは……?」
金田一「まず、人目が多すぎるという事。わざわざこんな機会を選んで犯行に及んだとは到底思えない」
美雪「そうね、みんなが参加する合宿ですものね」
金田一「そもそも殺人をする事によって保険金を得るなんて……リスクが高すぎると思わないか?」
律「そうだな~。お金が手に入っても捕まっちゃあ意味ないし……」
澪「じゃあ、共犯者が殺されたのは……保険金はあまり関係ないとか?」
149: 2011/02/01(火) 03:43:17.35
金田一「いや、そうじゃない。共犯者は、この状況を逆に利用したんだ」
剣持「利用だと? どういう事だ?」
金田一「……もしも、さっき言った悪条件が全てチャラに出来て。自分の手を汚さずにそれを達成できるような手段が……あるとしたら?」
律「……人目につかないで?」
唯「自分の……手を汚さない」
紬「ま、まさか……!?」
金田一「……そう。共犯者はアンタを……一番最初の事件を利用したんだ」
紬「う……そ」
紬「うそよ、そんな……」
律「ムギ……」
剣持「利用だと? どういう事だ?」
金田一「……もしも、さっき言った悪条件が全てチャラに出来て。自分の手を汚さずにそれを達成できるような手段が……あるとしたら?」
律「……人目につかないで?」
唯「自分の……手を汚さない」
紬「ま、まさか……!?」
金田一「……そう。共犯者はアンタを……一番最初の事件を利用したんだ」
紬「う……そ」
紬「うそよ、そんな……」
律「ムギ……」
150: 2011/02/01(火) 03:49:24.84
金田一「鈴木純を殺害してしまった現場を見て……共犯者はほくそ笑んだろう」
金田一「これは利用できる、ここで事件を終わらせるのは……もったいない、と」
紬「……」
金田一「いくら警察の到着を誤魔化したところで、結局損をするのは犯人であるアンタだけだ」
金田一「おそらく共犯者は……それが本当の狙いだったんじゃないかな」
紬「……」フルフル
澪「も……もう」
澪「もうやめてやれよっ!」
律「澪……」
金田一「これは利用できる、ここで事件を終わらせるのは……もったいない、と」
紬「……」
金田一「いくら警察の到着を誤魔化したところで、結局損をするのは犯人であるアンタだけだ」
金田一「おそらく共犯者は……それが本当の狙いだったんじゃないかな」
紬「……」フルフル
澪「も……もう」
澪「もうやめてやれよっ!」
律「澪……」
151: 2011/02/01(火) 03:53:09.29
澪「ムギ、泣いてるじゃないか。もういいじゃないか……ムギは罪を認めているんだから!」
澪「だから、だから……もうムギをいじめるのは、やめて……やれよ……」
美雪「澪ちゃん……」
律「澪……」
「……」
「……」
紬「……ねえ」
紬「さっき言ったお話、本当にそうなの?」
金田一「ムギちゃん……」
紬「教えてよ……あの日、廊下で会ったんだから覚えているんでしょう」
紬「私と一緒に、地下室まで遺体を運んでくれたんでしょう」
紬「ね……唯ちゃん?」
唯「!?」
剣持「……な! こ、こいつが共犯者だと!」
澪「だから、だから……もうムギをいじめるのは、やめて……やれよ……」
美雪「澪ちゃん……」
律「澪……」
「……」
「……」
紬「……ねえ」
紬「さっき言ったお話、本当にそうなの?」
金田一「ムギちゃん……」
紬「教えてよ……あの日、廊下で会ったんだから覚えているんでしょう」
紬「私と一緒に、地下室まで遺体を運んでくれたんでしょう」
紬「ね……唯ちゃん?」
唯「!?」
剣持「……な! こ、こいつが共犯者だと!」
153: 2011/02/01(火) 04:00:32.23
紬「ね、あの日、私が廊下で困ってたら、唯ちゃん部屋から出て来たわよね」
紬「怯える私をなだめてくれて……大丈夫だよって言ってくれた」
律「お、おいムギ……」
紬「あなたが言ったから、嘘の電話だってしたし、怪しい行動とっていた梓ちゃんだって頃したのよ」
「!?」
澪「ムギが……梓を?」
金田一「……」
紬「ねえ、答えて唯ちゃん。一番最初の事件の時……私を助けてくれたのは唯ちゃんよね?」
唯「……」
澪「唯……!」
律「唯っ……本当に、お前なのか……お前が!」
紬「怯える私をなだめてくれて……大丈夫だよって言ってくれた」
律「お、おいムギ……」
紬「あなたが言ったから、嘘の電話だってしたし、怪しい行動とっていた梓ちゃんだって頃したのよ」
「!?」
澪「ムギが……梓を?」
金田一「……」
紬「ねえ、答えて唯ちゃん。一番最初の事件の時……私を助けてくれたのは唯ちゃんよね?」
唯「……」
澪「唯……!」
律「唯っ……本当に、お前なのか……お前が!」
156: 2011/02/01(火) 04:10:48.57
唯「ムギちゃん。それはきっと……私じゃないよ」
紬「!?」
律「な、なんだよ唯。どういう事だよ!」
唯「……よく考えてみてよ。寝る前って大抵楽な格好だよね。服装もそうだけど、それは髪の毛もおんなじはずだよ」
澪「髪の毛……あ」
律「そっくり……憂ちゃんか」
唯「そうだよ。憂が髪の毛をおろせば私に。私は髪の毛をあげれば憂に」
佐木「確かに、姉妹揃ってそっくりだとは思っていたけど……」
紬「……じゃあ、あの日私が唯ちゃんて呼んだのは」
唯「憂だよ。きっと、お互い気が動転していたから間違えちゃったんだよ」
紬「!?」
律「な、なんだよ唯。どういう事だよ!」
唯「……よく考えてみてよ。寝る前って大抵楽な格好だよね。服装もそうだけど、それは髪の毛もおんなじはずだよ」
澪「髪の毛……あ」
律「そっくり……憂ちゃんか」
唯「そうだよ。憂が髪の毛をおろせば私に。私は髪の毛をあげれば憂に」
佐木「確かに、姉妹揃ってそっくりだとは思っていたけど……」
紬「……じゃあ、あの日私が唯ちゃんて呼んだのは」
唯「憂だよ。きっと、お互い気が動転していたから間違えちゃったんだよ」
157: 2011/02/01(火) 04:17:08.66
唯「それに、あずにゃんが殺されちゃった時だってさ。メールは間違いなく憂に届いていたんだよ?」
唯「憂が私にそれを教える必要はないよね? 二度手間だもん。憂がまた何か教えてくれる時に、必要な事を聞けばいいだけなんだもん」
律「唯……お前っ! お前も共犯なのかよっ!」
唯「違うってば~。私は憂に話を聞いていただけ、だから犯行には関係ないよ」
金田一「……」
唯「それにさ、みんな思い出してよ」
唯「私、もしかしたら氏んじゃってたかもしれないんだよ?」
唯「憂が私にそれを教える必要はないよね? 二度手間だもん。憂がまた何か教えてくれる時に、必要な事を聞けばいいだけなんだもん」
律「唯……お前っ! お前も共犯なのかよっ!」
唯「違うってば~。私は憂に話を聞いていただけ、だから犯行には関係ないよ」
金田一「……」
唯「それにさ、みんな思い出してよ」
唯「私、もしかしたら氏んじゃってたかもしれないんだよ?」
160: 2011/02/01(火) 04:21:54.04
剣持「第三の事件か。確かに、部屋がどうとかは聞いたが……」
唯「私の部屋で憂が寝てくれたの。憂と約束して、お部屋を交換したんだよ」
剣持「一体……なんのために?」
唯「憂は、あまり私に理由を話してくれなかったよ。でも憂が言う事なんだもん、間違いないよ」
唯「私は憂を信じてたから、言われた通りにしたんだよ。そしたら……あんな事が起こって……」
紬「……っ! ま、待ってよ。その前に……私の部屋に来たじゃない。次の日に私の犯行をバラす、証拠があるんだって!」
唯「私の部屋で憂が寝てくれたの。憂と約束して、お部屋を交換したんだよ」
剣持「一体……なんのために?」
唯「憂は、あまり私に理由を話してくれなかったよ。でも憂が言う事なんだもん、間違いないよ」
唯「私は憂を信じてたから、言われた通りにしたんだよ。そしたら……あんな事が起こって……」
紬「……っ! ま、待ってよ。その前に……私の部屋に来たじゃない。次の日に私の犯行をバラす、証拠があるんだって!」
161: 2011/02/01(火) 04:29:10.27
唯「私は、やっぱり知らないよ」
唯「さっきみたいに……憂が私の格好をしてムギちゃんにお話しに行ったとしたら?」
紬「あ……」
金田一「ムギちゃん。君が平沢憂頃しを決意したのは……」
紬「……ええ、そんな事を言われたらもう怖くて。自分でもおかしかったと思うくらい」
剣持「ん、待てよ? 妹が姉になって部屋を訪ねて……姉が殺されるように仕向けたとして」
剣持「殺されるのは、入れ替わったままの妹じゃないのか!?」
金田一「それは簡単な話さ。ムギちゃんとの話が終わったらまた入れ替わればいい。片方がその事情を知らない事が条件になるけど」
剣持「……あ、そうか」
唯「さっきみたいに……憂が私の格好をしてムギちゃんにお話しに行ったとしたら?」
紬「あ……」
金田一「ムギちゃん。君が平沢憂頃しを決意したのは……」
紬「……ええ、そんな事を言われたらもう怖くて。自分でもおかしかったと思うくらい」
剣持「ん、待てよ? 妹が姉になって部屋を訪ねて……姉が殺されるように仕向けたとして」
剣持「殺されるのは、入れ替わったままの妹じゃないのか!?」
金田一「それは簡単な話さ。ムギちゃんとの話が終わったらまた入れ替わればいい。片方がその事情を知らない事が条件になるけど」
剣持「……あ、そうか」
163: 2011/02/01(火) 04:38:28.68
唯「憂も殺されるなんて思ってなかったんじゃないかな」
唯「本当にそんな話をしたかも、私にはわからないしさ。本人が氏んじゃったんだから……ね」
紬「唯……ちゃん」
金田一「……」
剣持「なあ、金田一よ。そろそろいいんじゃないか。事件の内容は全部聞いた、犯人と共犯者もはっきりしている」
剣持「これ以上は、何を話しても無駄だと思うがな……」
唯「本当にそんな話をしたかも、私にはわからないしさ。本人が氏んじゃったんだから……ね」
紬「唯……ちゃん」
金田一「……」
剣持「なあ、金田一よ。そろそろいいんじゃないか。事件の内容は全部聞いた、犯人と共犯者もはっきりしている」
剣持「これ以上は、何を話しても無駄だと思うがな……」
164: 2011/02/01(火) 04:46:33.06
金田一「無駄なだんてとんでもないぜおっさん……今までの会話の中で、俺は確信した」
金田一「この事件の共犯者、それはやはり、平沢憂だという事をな」
紬「……」
剣持「じゃあ、それで解決だ。さ、パトカーまで行こうか……立つんだ」
紬「はい……」
金田一「まてよおっさん。どうして……共犯者を連れていかないんだい?」
剣持「おいおい、いくら俺でも氏んだ人間を逮捕して連れていく事はできんぞ」
金田一「……」
金田一「氏んでなんかいないさ」
!?
金田一「この事件の共犯者、それはやはり、平沢憂だという事をな」
紬「……」
剣持「じゃあ、それで解決だ。さ、パトカーまで行こうか……立つんだ」
紬「はい……」
金田一「まてよおっさん。どうして……共犯者を連れていかないんだい?」
剣持「おいおい、いくら俺でも氏んだ人間を逮捕して連れていく事はできんぞ」
金田一「……」
金田一「氏んでなんかいないさ」
!?
166: 2011/02/01(火) 04:51:41.02
金田一「今俺たちの目の前に、こうして生きているじゃないか」
剣持「お、おいおい……」
澪「ま、まさか……」
律「今ここにいるのは……!」
紬「嘘……」
金田一「……それとも、『今』の名前で呼んだ方がいいのかな」
金田一「この事件を裏で操っていた人間……それは」スッ
全員「!!」
唯「……!?」
金田一「平沢唯」
金田一「アンタがこの事件の、真の共犯者さ」
剣持「お、おいおい……」
澪「ま、まさか……」
律「今ここにいるのは……!」
紬「嘘……」
金田一「……それとも、『今』の名前で呼んだ方がいいのかな」
金田一「この事件を裏で操っていた人間……それは」スッ
全員「!!」
唯「……!?」
金田一「平沢唯」
金田一「アンタがこの事件の、真の共犯者さ」
167: 2011/02/01(火) 04:56:27.38
澪「ゆ、唯?」
律「いや……憂?」
唯「ま……待ってよ。私は憂じゃないよ、平沢唯だよっ?」
金田一「しらばっくれても無駄さ。今は……俺にはアンタがただの髪をおろした平沢憂にしか見えない」
剣持「……ま、待て金田一よ。そもそも、憂は氏んだんじゃないのか?」
金田一「あれは……平沢唯の遺体さ」
紬「!?」
律「いや……憂?」
唯「ま……待ってよ。私は憂じゃないよ、平沢唯だよっ?」
金田一「しらばっくれても無駄さ。今は……俺にはアンタがただの髪をおろした平沢憂にしか見えない」
剣持「……ま、待て金田一よ。そもそも、憂は氏んだんじゃないのか?」
金田一「あれは……平沢唯の遺体さ」
紬「!?」
169: 2011/02/01(火) 05:06:32.29
剣持「金田一、わけがわからんぞ。一体どうなっているんだ……」
金田一「難しく考えるなよおっさん。三日目の夜に平沢憂がとった行動を……共犯者の都合のいいように当てはめてみなよ」
金田一「前提として……彼女は『どっちの姿にもなれる』って事、を忘れずにな」
唯「……」
剣持「ええっと……『憂』の方が計画を立てたと考えて」
剣持「自分とは違う『唯』の顔で犯人の部屋を訪れる」
紬「……」
金田一「難しく考えるなよおっさん。三日目の夜に平沢憂がとった行動を……共犯者の都合のいいように当てはめてみなよ」
金田一「前提として……彼女は『どっちの姿にもなれる』って事、を忘れずにな」
唯「……」
剣持「ええっと……『憂』の方が計画を立てたと考えて」
剣持「自分とは違う『唯』の顔で犯人の部屋を訪れる」
紬「……」
171: 2011/02/01(火) 05:16:00.48
剣持「その後、犯人は『唯』を殺そうと考えた」
剣持「『唯』の顔のままだとマズイので、自分は『憂』に戻る……」
金田一「そして犯人が頃すのは……部屋には行ってない、本物の『唯』の方さ」
律「な、何と言う……」
澪「酷い……」
金田一「今の入れ替わりを使えば、自分に都合の悪い記憶や行動は全て別の身体に押し付ける事が可能になる」
金田一「片方が氏んでしまった後は姿を入れ替える事は出来ないが……動機や犯行を押し付けるには十分なのさ」
金田一「何があっても『都合のいい片方』になる事が出来るんだから」
金田一「氏人に口なしさ……」
唯「……」
剣持「『唯』の顔のままだとマズイので、自分は『憂』に戻る……」
金田一「そして犯人が頃すのは……部屋には行ってない、本物の『唯』の方さ」
律「な、何と言う……」
澪「酷い……」
金田一「今の入れ替わりを使えば、自分に都合の悪い記憶や行動は全て別の身体に押し付ける事が可能になる」
金田一「片方が氏んでしまった後は姿を入れ替える事は出来ないが……動機や犯行を押し付けるには十分なのさ」
金田一「何があっても『都合のいい片方』になる事が出来るんだから」
金田一「氏人に口なしさ……」
唯「……」
172: 2011/02/01(火) 05:23:35.16
剣持「待てよ……そうなると考え方が変わってくるぞ!」
美雪「もしかして、最初の事件が起こった時から……」
金田一「そうさ。最初に扉から出てきたのが平沢唯だろうが憂だろうが……うまく変わるタイミングさえ合わせれば、どちらになる事も可能なんだ!」
佐木「はっ、そうか……だから先輩は平沢姉妹を疑っていたのか!」
澪「そ、そんな事が……」
美雪「もしかして、最初の事件が起こった時から……」
金田一「そうさ。最初に扉から出てきたのが平沢唯だろうが憂だろうが……うまく変わるタイミングさえ合わせれば、どちらになる事も可能なんだ!」
佐木「はっ、そうか……だから先輩は平沢姉妹を疑っていたのか!」
澪「そ、そんな事が……」
173: 2011/02/01(火) 05:32:11.37
金田一「大したもんだよ。最初の事件をきっかけに……このトリックを使って保険金まで手に入れるつもりだったんだからな」
唯「っ……わ、私は……」
金田一「アンタは、琴吹紬が平沢唯に信頼感を持っているのを利用して……都合のいいように人間を動かしていたんだ!」
唯「私は……唯だよっ」
律「……」
唯「私は唯だもん。憂はムギちゃんに殺されちゃって……私はこうして生きているもん」
唯「私は……私は……」
金田一「……」
金田一「わかったよ、そこまで言うなら証拠を見せようか」
唯「!」
金田一「あんたが平沢憂だという……とっておきの証拠をな!」
唯「っ……わ、私は……」
金田一「アンタは、琴吹紬が平沢唯に信頼感を持っているのを利用して……都合のいいように人間を動かしていたんだ!」
唯「私は……唯だよっ」
律「……」
唯「私は唯だもん。憂はムギちゃんに殺されちゃって……私はこうして生きているもん」
唯「私は……私は……」
金田一「……」
金田一「わかったよ、そこまで言うなら証拠を見せようか」
唯「!」
金田一「あんたが平沢憂だという……とっておきの証拠をな!」
175: 2011/02/01(火) 05:41:05.15
唯『じゃあみんなで行こう行こう~』
憂『……あれ? 澪先輩と律先輩は?』
金田一『ああ、あの二人は大浴場に行くって言ってたから……多分もう下にいるんじゃないかな』
剣持「これは?」
美雪「まだ、第三の事件が起こる前の映像です」
律「こんな所に証拠が……?」
美雪『……』ジロッ
金田一『……とと。早くご飯ご飯~と』ダダダッ
美雪『こら、待ちなさ~い!』ダダダッ
紬『あらあら、私も~』タタタッ
唯『えへへ~、ご飯~』スタスタ
憂『もう。お姉ちゃんたら』テクテク
金田一「……」
澪「あまりそれらしい所は……無いかも」
憂『……あれ? 澪先輩と律先輩は?』
金田一『ああ、あの二人は大浴場に行くって言ってたから……多分もう下にいるんじゃないかな』
剣持「これは?」
美雪「まだ、第三の事件が起こる前の映像です」
律「こんな所に証拠が……?」
美雪『……』ジロッ
金田一『……とと。早くご飯ご飯~と』ダダダッ
美雪『こら、待ちなさ~い!』ダダダッ
紬『あらあら、私も~』タタタッ
唯『えへへ~、ご飯~』スタスタ
憂『もう。お姉ちゃんたら』テクテク
金田一「……」
澪「あまりそれらしい所は……無いかも」
177: 2011/02/01(火) 05:45:24.95
金田一「そしてもう一つ。今日の推理前の様子を撮ったものさ」
紬『お待たせ~』タッタッ
唯『待たせてごめんなさ~い』スタスタ
澪『遅いぞ二人とも~』
唯『えへへ、ごめんごめん』
澪「ここは、唯……いや、憂ちゃん一人……なのか?」
律『休んで、ちょっとは元気になったみたいだな~唯』
唯『うん。おかげさまで! もう大丈夫だよ!』フンス
美雪『……ねえ唯ちゃん。本当に体調悪くない? 無理しないで大丈夫なのよ?』
唯『ふぇ? 私は大丈夫だよ?』
紬『お待たせ~』タッタッ
唯『待たせてごめんなさ~い』スタスタ
澪『遅いぞ二人とも~』
唯『えへへ、ごめんごめん』
澪「ここは、唯……いや、憂ちゃん一人……なのか?」
律『休んで、ちょっとは元気になったみたいだな~唯』
唯『うん。おかげさまで! もう大丈夫だよ!』フンス
美雪『……ねえ唯ちゃん。本当に体調悪くない? 無理しないで大丈夫なのよ?』
唯『ふぇ? 私は大丈夫だよ?』
178: 2011/02/01(火) 05:49:38.02
唯『ふぇ? 私は大丈夫だよ?』
美雪『……でも、何だか辛そうに見えちゃって。気のせいかしら?』
唯『そうだよ気のせいだよ~。私は大丈夫だから、気にしないでね?』
美雪『そう……ね。それならいいんだけど』
律「……なんだよ~、全然わかんね~ぞ~」
澪「体調?が何か関係あるのか……?」
金田一「なあ、美雪」
金田一「どうしてこの時、平沢唯の体調を心配したんだ?」
美雪「それは……パッと見て、歩き方が変だったから」
唯「……!」ハッ
律「歩き方ぁ?」
澪「へ、変には見えなかった、けど……」
美雪『……でも、何だか辛そうに見えちゃって。気のせいかしら?』
唯『そうだよ気のせいだよ~。私は大丈夫だから、気にしないでね?』
美雪『そう……ね。それならいいんだけど』
律「……なんだよ~、全然わかんね~ぞ~」
澪「体調?が何か関係あるのか……?」
金田一「なあ、美雪」
金田一「どうしてこの時、平沢唯の体調を心配したんだ?」
美雪「それは……パッと見て、歩き方が変だったから」
唯「……!」ハッ
律「歩き方ぁ?」
澪「へ、変には見えなかった、けど……」
179: 2011/02/01(火) 05:56:42.48
美雪「えっと、ビデオや実際に見てるとね。唯ちゃんの歩き方って、とても活発な感じがしたの」
美雪「でも、さっきの唯ちゃんは……元気なんだけど、気持ち前の方で両手を組んでいたように見えて……」
美雪「手の癖、って言うのかな。なんか違和感があって……」
美雪「そ、それで私。お腹が痛かったり、どこか体調が悪いのかって思ったのよ」
唯「……」
律「はえー、そんなもんなんかねー」
澪「でも、言われてみれば確かに……」
美雪「でも、さっきの唯ちゃんは……元気なんだけど、気持ち前の方で両手を組んでいたように見えて……」
美雪「手の癖、って言うのかな。なんか違和感があって……」
美雪「そ、それで私。お腹が痛かったり、どこか体調が悪いのかって思ったのよ」
唯「……」
律「はえー、そんなもんなんかねー」
澪「でも、言われてみれば確かに……」
180: 2011/02/01(火) 06:04:14.89
金田一「それを美雪に言われて、俺たちはもう一度ビデオを見返した」
唯「……」
金田一「アンタが普通に歩いているシーンを探すのに苦労したよ。なんたって、ずっとビデオ片手に琴吹紬を撮っていたんだからな」
唯「……こんなの、証拠にならないよ」
唯「……」
金田一「アンタが普通に歩いているシーンを探すのに苦労したよ。なんたって、ずっとビデオ片手に琴吹紬を撮っていたんだからな」
唯「……こんなの、証拠にならないよ」
182: 2011/02/01(火) 06:08:02.41
金田一「一日目、演奏するために娯楽室に移動する時の様子」
律『ようし、みんな移動だ移動~!』タタタッ
唯『頑張るぞ~』テクテク
梓『唯先輩、一番最初トチらないで下さいよ!』グイッ
唯『大丈夫だよ~。あずにゃ~ん』
憂『ふふっ、頑張ってねお姉ちゃん』スタスタ
律「唯と憂……」
金田一「そして三日目、アンタたちは夕飯の前には既に入れ替わっていたんだ」
唯『えへへ~、ご飯~』スタスタ
憂『もう。お姉ちゃんたら』テクテク
律「あ……」
澪「言われてみると、なんとなく違いがわかる気がする……」
律『ようし、みんな移動だ移動~!』タタタッ
唯『頑張るぞ~』テクテク
梓『唯先輩、一番最初トチらないで下さいよ!』グイッ
唯『大丈夫だよ~。あずにゃ~ん』
憂『ふふっ、頑張ってねお姉ちゃん』スタスタ
律「唯と憂……」
金田一「そして三日目、アンタたちは夕飯の前には既に入れ替わっていたんだ」
唯『えへへ~、ご飯~』スタスタ
憂『もう。お姉ちゃんたら』テクテク
律「あ……」
澪「言われてみると、なんとなく違いがわかる気がする……」
183: 2011/02/01(火) 06:13:33.35
金田一「そして四日目。本物の平沢唯が氏んだ後も……」
唯『待たせてごめんなさ~い』スタスタ
紬「……」
金田一「もしこの時、美雪が歩き方を心配する発言をしたら、アンタはもしかしたら体調のせいだと言っていたかもしれない」
金田一「残りの時間を、完璧な平沢唯として過ごせたかもしれない」
唯「……」
金田一「これが、アンタが平沢憂である証拠さ。何か反論があるなら聞こうじゃないか」
唯「……」
紬「あなたは……誰なの?」
紬「私は、一番大事に思っていた親友を……この手で殺めてしまったの?」
唯「……」
憂「そうだよ」ニッコリ
唯『待たせてごめんなさ~い』スタスタ
紬「……」
金田一「もしこの時、美雪が歩き方を心配する発言をしたら、アンタはもしかしたら体調のせいだと言っていたかもしれない」
金田一「残りの時間を、完璧な平沢唯として過ごせたかもしれない」
唯「……」
金田一「これが、アンタが平沢憂である証拠さ。何か反論があるなら聞こうじゃないか」
唯「……」
紬「あなたは……誰なの?」
紬「私は、一番大事に思っていた親友を……この手で殺めてしまったの?」
唯「……」
憂「そうだよ」ニッコリ
184: 2011/02/01(火) 06:23:29.20
!?
紬「あ、あぁ……」
律「そ、その髪……やっぱり」
澪「憂……ちゃん」
憂「……」
剣持「こ、この子が」
憂「確かに、私は平沢憂だよ。でもね、入れ替わっていたから……なに?」
剣持「な、なんだとっ?」
憂「よく考えてよ。私が変われるって事はさ、お姉ちゃんも私になれるって事なんだよ」
憂「私がこの四日間で何をしていたのか……本当の事を知ってるのは、私とお姉ちゃんだけ」
紬「あ、あぁ……」
律「そ、その髪……やっぱり」
澪「憂……ちゃん」
憂「……」
剣持「こ、この子が」
憂「確かに、私は平沢憂だよ。でもね、入れ替わっていたから……なに?」
剣持「な、なんだとっ?」
憂「よく考えてよ。私が変われるって事はさ、お姉ちゃんも私になれるって事なんだよ」
憂「私がこの四日間で何をしていたのか……本当の事を知ってるのは、私とお姉ちゃんだけ」
187: 2011/02/01(火) 06:32:43.71
憂「私が悪い事をしたかもしれない、お姉ちゃんが悪い事をしたのかもしれない」
憂「くすっ」
剣持「こ、こいつっ! 立て! パトカーまで歩くんだ!」
憂「……プンだ」ガチャッ
紬「……」
紬(唯、ちゃん……)
……。
金田一「……」
美雪「これで……終わったのよね?」
金田一「ああ……」
美雪「ねえ、はじめちゃん」
金田一「ん?」
美雪「いつ位から、唯ちゃんたちが入れ替わっているって推理するようになったの?」
金田一「……ムギちゃんが言ってた事がきっかけさ」
憂「くすっ」
剣持「こ、こいつっ! 立て! パトカーまで歩くんだ!」
憂「……プンだ」ガチャッ
紬「……」
紬(唯、ちゃん……)
……。
金田一「……」
美雪「これで……終わったのよね?」
金田一「ああ……」
美雪「ねえ、はじめちゃん」
金田一「ん?」
美雪「いつ位から、唯ちゃんたちが入れ替わっているって推理するようになったの?」
金田一「……ムギちゃんが言ってた事がきっかけさ」
188: 2011/02/01(火) 06:49:25.49
美雪「きっかけって?」
金田一「……さあ、なんだったっけな。もう忘れちまったや」
美雪「えっ?」
金田一「もう事件は終わったんだ……そんな事、どうでもいいじゃないか」
美雪「それは、そうかもしれないけど……」
佐木「あ、また雨……ですね」
金田一「ああ……そうだな」
森に、いくつもの雨音が響いている。
窓の外には、何も見えない暗闇が広がっていて……。
俺たちは、その黒をただ見つめる事しか出来ずにいた。
今夜もまた、この場所には止まない雨が降る。
金田一「……さあ、なんだったっけな。もう忘れちまったや」
美雪「えっ?」
金田一「もう事件は終わったんだ……そんな事、どうでもいいじゃないか」
美雪「それは、そうかもしれないけど……」
佐木「あ、また雨……ですね」
金田一「ああ……そうだな」
森に、いくつもの雨音が響いている。
窓の外には、何も見えない暗闇が広がっていて……。
俺たちは、その黒をただ見つめる事しか出来ずにいた。
今夜もまた、この場所には止まない雨が降る。
189: 2011/02/01(火) 06:54:28.75
紬『ねえねえ唯ちゃん』
唯『んっ? どうかした?』
紬『はい、ケーキのプレゼント!』
唯『うわ~、ありがと~! こんなおっきなケーキ初めてだよっ!』
紬『お家のお金、全部唯ちゃんのためのケーキに使ったのよ』
唯『……』
紬『じゃあ、一緒に食べましょ? 今お茶を持ってく……』
唯『ダメだよ、全部なんて』
紬『……え?』
唯『んっ? どうかした?』
紬『はい、ケーキのプレゼント!』
唯『うわ~、ありがと~! こんなおっきなケーキ初めてだよっ!』
紬『お家のお金、全部唯ちゃんのためのケーキに使ったのよ』
唯『……』
紬『じゃあ、一緒に食べましょ? 今お茶を持ってく……』
唯『ダメだよ、全部なんて』
紬『……え?』
190: 2011/02/01(火) 06:58:37.22
唯『ケーキなんかより……ケーキなんかより……』
紬『ご、ごめんなさい。他のお菓子の方がよかった……かな……』
唯『! ううん、違うよっ!』
紬『えっ……』
唯『私は、ムギちゃんのお家の事が心配なの! お金大丈夫? 全部ケーキになんてしなくてよかったのに……!』
唯『ご飯とか野菜も買わないと栄養偏っちゃうよ! あ、あとお茶のお金だって……』
紬『……くすっ』
紬『ご、ごめんなさい。他のお菓子の方がよかった……かな……』
唯『! ううん、違うよっ!』
紬『えっ……』
唯『私は、ムギちゃんのお家の事が心配なの! お金大丈夫? 全部ケーキになんてしなくてよかったのに……!』
唯『ご飯とか野菜も買わないと栄養偏っちゃうよ! あ、あとお茶のお金だって……』
紬『……くすっ』
191: 2011/02/01(火) 07:03:41.88
唯『ムギ……ちゃん?』
紬(ああ、やっぱり唯ちゃんは唯ちゃんだ)
唯『ねえ、どうしたの。どうして私から離れていっちゃうの?』
紬(夢の中でも、私の事を心配してくれる……あの時とおんなじだ)
唯『ねえ……何か喋ってよ。私、ケーキもお茶もいらないよ? ムギちゃんとお話できれば、それでいいから……』
唯『だから……』
紬(ごめんね、唯ちゃん)
唯『そんな遠くに行っちゃわないでよ……』
紬(私、唯ちゃんと親友でいられて……本当に……)
唯『……』
紬(ああ、やっぱり唯ちゃんは唯ちゃんだ)
唯『ねえ、どうしたの。どうして私から離れていっちゃうの?』
紬(夢の中でも、私の事を心配してくれる……あの時とおんなじだ)
唯『ねえ……何か喋ってよ。私、ケーキもお茶もいらないよ? ムギちゃんとお話できれば、それでいいから……』
唯『だから……』
紬(ごめんね、唯ちゃん)
唯『そんな遠くに行っちゃわないでよ……』
紬(私、唯ちゃんと親友でいられて……本当に……)
唯『……』
193: 2011/02/01(火) 07:10:34.52
?日後・都内墓地
午後13時過ぎ
金田一「……」
美雪「……はい、お参り終わり」
金田一「ふぁ~あ、せっかくの日曜日だってのによ」
美雪「もう。お墓の前でそんな事言わないのっ」
金田一「へいへい。……にしてもあいつら遅くね~? 誘われたから、わざわざ遠くまで来たって言うのに」
美雪「きっとすぐに来るわよ」
金田一「へっ、ああいうガサツな女の子ってのは、やっぱり時間にもルーズで……」
律「誰がガサツだ! 誰がっ!」
金田一「うおっ! び、びっくりしたぁ……」
律「ったく……悪口言うならいない時に言えよな」
澪「あははっ、こんちわっ」
午後13時過ぎ
金田一「……」
美雪「……はい、お参り終わり」
金田一「ふぁ~あ、せっかくの日曜日だってのによ」
美雪「もう。お墓の前でそんな事言わないのっ」
金田一「へいへい。……にしてもあいつら遅くね~? 誘われたから、わざわざ遠くまで来たって言うのに」
美雪「きっとすぐに来るわよ」
金田一「へっ、ああいうガサツな女の子ってのは、やっぱり時間にもルーズで……」
律「誰がガサツだ! 誰がっ!」
金田一「うおっ! び、びっくりしたぁ……」
律「ったく……悪口言うならいない時に言えよな」
澪「あははっ、こんちわっ」
194: 2011/02/01(火) 07:16:10.49
律「……」スッ
澪「……」スッ
律「今でもさ、信じらんねーよ」
金田一「ん~」
律「同じ学校の人間が殺されて、犯人も私たちの身近にいた。なんてさ」
澪「律……」
律「こうやってお墓見ても、何にも実感沸かないんだよな」
美雪「律ちゃん……」
律「いつもみたいに部室でダラダラしてるとさ、口うるさそうに『練習しないとダメですよ!』って」
律「……ああ、なんだろうな。うるさい人間がいないと寂しいもんだな」
澪「律……」
律「真面目に……グスッ、練習するからさ。梓……帰って来てくれねえかなぁ……」
澪「っ……言うなよっ!」
澪「……」スッ
律「今でもさ、信じらんねーよ」
金田一「ん~」
律「同じ学校の人間が殺されて、犯人も私たちの身近にいた。なんてさ」
澪「律……」
律「こうやってお墓見ても、何にも実感沸かないんだよな」
美雪「律ちゃん……」
律「いつもみたいに部室でダラダラしてるとさ、口うるさそうに『練習しないとダメですよ!』って」
律「……ああ、なんだろうな。うるさい人間がいないと寂しいもんだな」
澪「律……」
律「真面目に……グスッ、練習するからさ。梓……帰って来てくれねえかなぁ……」
澪「っ……言うなよっ!」
196: 2011/02/01(火) 07:25:36.31
澪「わ、私だって……私だって……うっ……」
律「お菓子もお茶もいらないからさ……ムギだって早く帰って来いよバカヤロー……っ」
澪「う、うわあぁぁん……」
律「くそっ、グスッ……くそっ……」
美雪「……」
金田一「……」
金田一(それぞれの胸に、けっして消える事の無い深い傷を残しながら)
金田一(悪夢のようなあの事件は……終わった)
金田一(今日も、どこかの女子高の音楽準備室には……もう二度と持ち主が現れる事のない楽器たちが)
金田一(ただもの寂しそうに、窓辺に飾られているだけだった)
終
律「お菓子もお茶もいらないからさ……ムギだって早く帰って来いよバカヤロー……っ」
澪「う、うわあぁぁん……」
律「くそっ、グスッ……くそっ……」
美雪「……」
金田一「……」
金田一(それぞれの胸に、けっして消える事の無い深い傷を残しながら)
金田一(悪夢のようなあの事件は……終わった)
金田一(今日も、どこかの女子高の音楽準備室には……もう二度と持ち主が現れる事のない楽器たちが)
金田一(ただもの寂しそうに、窓辺に飾られているだけだった)
終
198: 2011/02/01(火) 07:28:45.09
けいおん見た事無くて最初誰が誰だか全くわからんかったけど、面白かった!
おつ!!
おつ!!
199: 2011/02/01(火) 07:29:17.67
おもしろかったよ!
乙
乙
203: 2011/02/01(火) 07:31:01.54
教会
?日目?時?分
憂「……私は罪を犯しました」
『……』
憂「しかし私の手は汚れておりません」
『……』
憂「それでも周りは皆、私を罪人と呼ぶのでしょうか」
『……』
憂「私にはわかりません。私の何がいけないのかが」
『……』
憂「ああ……」
?日目?時?分
憂「……私は罪を犯しました」
『……』
憂「しかし私の手は汚れておりません」
『……』
憂「それでも周りは皆、私を罪人と呼ぶのでしょうか」
『……』
憂「私にはわかりません。私の何がいけないのかが」
『……』
憂「ああ……」
205: 2011/02/01(火) 07:31:48.09
っておわってなかったし
208: 2011/02/01(火) 07:38:56.16
憂「どうか私を、お救い下さい」
『……』
『いいでしょう』
憂「!」
『あなたが救われたいと懇願するのなら』
『私はあなたを救いましょう』
憂「……」
『……』
『いいでしょう』
憂「!」
『あなたが救われたいと懇願するのなら』
『私はあなたを救いましょう』
憂「……」
210: 2011/02/01(火) 07:43:39.01
憂「はい、ありがとうございます」
『お礼など、いいのですよ』
『あ、それと……これをどうぞ。あなたに差し上げます』
憂「……なんですか?」
『御近づきの、印ですよ。どうです……美しいでしょう?』
憂「わあ、綺麗……」
『ふふっ、気に入って頂けましたか。この』
憂「はい。この色、これはまるで……」
『そうですとも』クスッ
『血のように赤い薔薇』
高遠『あなたに……ピッタリの薔薇でしょう?』
終
『お礼など、いいのですよ』
『あ、それと……これをどうぞ。あなたに差し上げます』
憂「……なんですか?」
『御近づきの、印ですよ。どうです……美しいでしょう?』
憂「わあ、綺麗……」
『ふふっ、気に入って頂けましたか。この』
憂「はい。この色、これはまるで……」
『そうですとも』クスッ
『血のように赤い薔薇』
高遠『あなたに……ピッタリの薔薇でしょう?』
終
212: 2011/02/01(火) 07:46:34.43
これで終了。
絶対に細かいミス、大きなミスもがあるんでしょう……そこはお見逃しを。
トリック云々より、らしさと言うか……雰囲気を楽しんでもらえれば幸いです。
絶対に細かいミス、大きなミスもがあるんでしょう……そこはお見逃しを。
トリック云々より、らしさと言うか……雰囲気を楽しんでもらえれば幸いです。
289: 2011/02/01(火) 08:07:38.79
面白かった
金田一と律に会話の雰囲気が好きだったて前に言ったかなこれ
とりあえず完走乙でした
金田一と律に会話の雰囲気が好きだったて前に言ったかなこれ
とりあえず完走乙でした
引用元: 金田一「謎はすべて解けた!」唯「え……」
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